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168 感染症学雑誌 第82巻 第3号 LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法による Mycoplasma pneumoniae の高感度迅速検出 栄研化学株式会社生物化学研究所 吉野 安中 敏光 小島 池戸 正成 (平成 19 年 11 月 27 日受付) (平成 20 年 1 月 25 日受理) Key words : Loop-mediated isothermal amplification (LAMP), Mycoplasma pneumoniae, community-acquired pneumonia, gene diagnosis, rapid マイコプラズマ肺炎の起因菌 Mycoplasma pneumoniae のゲノム内に存在する反復配列 SDC1 を標的とした LAMP プライマーを設計し,臨床検体からの診断法の確立を目的として,特異性および感度に関する検討 を行った.設計した M. pneumoniae用 LAMP は 65℃ の等温条件下で,試験したすべての M. pneumoniae対し,60 分以内に迅速かつ特異的な増幅反応を示した.相同性の高い M. genitaliumをはじめ,他の Myco- plasma 属菌や細菌性肺炎起因菌との交差性もないことを確認した.最少検出感度は 6 コピーであり,対照 としたふたつの nested PCR と同等あるいはそれ以上の高い検出感度を示した.喀痰など臨床患者検体から 抽出した DNA サンプルを用いて PCR との相関性を検討したところ,判定結果は完全に一致した(204 例 中 24 例陽性).LAMP 法は反応から検出までを閉鎖系の中で迅速かつ簡易に遂行できるため,適切な治療 判断を必要とされる臨床現場において極めて有用な診断法であると考えられた. 〔感染症誌 82:168~176,2008〕 非定型肺炎の約 30~40%,流行年には約 60% 程度 Mycoplasma pneumoniae によるマイコプラズマ肺炎 であり,クラミジア肺炎とともに高い割合を占めてい .マイコプラズマ肺炎は,5~35 歳の年齢層の市 中肺炎の大きな部分を占め,日本での発症頻度は1,000 人に 4 人程度との報告があり,また米国では毎年 200 万人の患者が発生し,10 万人のマイコプラズマ肺炎 の入院患者が発生していると推計されている .とき に呼吸不全などを呈する重症化や遷延化する症例もあ り,適切な治療を迅速に行う必要がある. マクロライド系薬の投薬など適切な治療が重要とな るため,感染初期からの確定診断の必要性が求められ る.胸部レントゲン写真,咳および発熱などの臨床症 状所見,末梢白血球数や CRP 値の一般検査のほかに, 採取した呼吸器検体からの分離培養法や,PA 法によ る血清抗体価の上昇確認によって確定診断を行ってい .しかし,これらの診断法は,培養による確認お よび抗体価上昇までに時間を要するため,迅速性に欠 け る.ま た,DNA プ ロ ー ブ 法 や PCR 法 )~も開発 されているが,検出感度,特異性などに問題があり, 最も感度が高いとされる nested PCR 法においても, 依然として操作の煩雑さと迅速性に欠けている点があ り,簡易・迅速でありながら高感度・高特異性の診断 法の開発が望まれていた. Loop-mediated isothermal amplification(以 下, LAMP)法は,特徴的に設計されたプライマーと鎖 置換活性を有する DNA 合成酵素との組み合わせによ り,65℃ 付近の一定温度において,標的遺伝子配列 を高感度に効率良く増幅する方法である .LAMP 法 で用いるプライマーは,少なくとも 6 領域の塩基配列 を認識するため特異性が高く,一本鎖ループ構造を認 識するプライマーを起点とした DNA 合成と,自己を 鋳型とした 3’末端を起点とした DNA 合成が同時多発 的に進行するため,極めて迅速かつ高感度に標的遺伝 子を検出することが可能である.反応効率が顕著に高 別刷請求先:(〒3290114)栃木県下都賀郡野木町大字野木 143 栄研化学株式会社生物化学研究所 吉野

LAMP(Loop-MediatedIsothermalAmplification)法によるjournal.kansensho.or.jp/Disp?pdf=0820030168.pdf · 2008-05-22 · LAMP法によるM. pneumoniae 高感度迅速検出 169

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168

感染症学雑誌 第82巻 第 3号

LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法による

Mycoplasma pneumoniaeの高感度迅速検出

栄研化学株式会社生物化学研究所

吉野 学 安中 敏光 小島 禎 池戸 正成

(平成 19 年 11 月 27 日受付)(平成 20 年 1 月 25 日受理)

Key words : Loop-mediated isothermal amplification (LAMP), Mycoplasma pneumoniae,community-acquired pneumonia, gene diagnosis, rapid

要 旨マイコプラズマ肺炎の起因菌Mycoplasma pneumoniaeのゲノム内に存在する反復配列 SDC1を標的とした

LAMPプライマーを設計し,臨床検体からの診断法の確立を目的として,特異性および感度に関する検討を行った.設計したM. pneumoniae用 LAMPは 65℃の等温条件下で,試験したすべてのM. pneumoniaeに対し,60 分以内に迅速かつ特異的な増幅反応を示した.相同性の高いM. genitaliumをはじめ,他のMyco-

plasma属菌や細菌性肺炎起因菌との交差性もないことを確認した.最少検出感度は 6コピーであり,対照としたふたつの nested PCRと同等あるいはそれ以上の高い検出感度を示した.喀痰など臨床患者検体から抽出したDNAサンプルを用いて PCRとの相関性を検討したところ,判定結果は完全に一致した(204 例中 24 例陽性).LAMP法は反応から検出までを閉鎖系の中で迅速かつ簡易に遂行できるため,適切な治療判断を必要とされる臨床現場において極めて有用な診断法であると考えられた.

〔感染症誌 82:168~176,2008〕

序 文非定型肺炎の約 30~40%,流行年には約 60%程度

がMycoplasma pneumoniaeによるマイコプラズマ肺炎であり,クラミジア肺炎とともに高い割合を占めている1).マイコプラズマ肺炎は,5~35 歳の年齢層の市中肺炎の大きな部分を占め,日本での発症頻度は 1,000人に 4人程度との報告があり,また米国では毎年 200万人の患者が発生し,10 万人のマイコプラズマ肺炎の入院患者が発生していると推計されている2).ときに呼吸不全などを呈する重症化や遷延化する症例もあり,適切な治療を迅速に行う必要がある.マクロライド系薬の投薬など適切な治療が重要とな

るため,感染初期からの確定診断の必要性が求められる.胸部レントゲン写真,咳および発熱などの臨床症状所見,末梢白血球数やCRP値の一般検査のほかに,採取した呼吸器検体からの分離培養法や,PA法によ

る血清抗体価の上昇確認によって確定診断を行っている3).しかし,これらの診断法は,培養による確認および抗体価上昇までに時間を要するため,迅速性に欠ける.また,DNAプローブ法4)や PCR法5)~7)も開発されているが,検出感度,特異性などに問題があり,最も感度が高いとされる nested PCR法においても,依然として操作の煩雑さと迅速性に欠けている点があり,簡易・迅速でありながら高感度・高特異性の診断法の開発が望まれていた.Loop-mediated isothermal amplification(以 下,

LAMP)法は,特徴的に設計されたプライマーと鎖置換活性を有するDNA合成酵素との組み合わせにより,65℃付近の一定温度において,標的遺伝子配列を高感度に効率良く増幅する方法である8).LAMP法で用いるプライマーは,少なくとも 6領域の塩基配列を認識するため特異性が高く,一本鎖ループ構造を認識するプライマーを起点としたDNA合成と,自己を鋳型とした 3’末端を起点としたDNA合成が同時多発的に進行するため,極めて迅速かつ高感度に標的遺伝子を検出することが可能である.反応効率が顕著に高

原 著

別刷請求先:(〒329―0114)栃木県下都賀郡野木町大字野木143栄研化学株式会社生物化学研究所 吉野 学

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LAMP法によるM. pneumoniae高感度迅速検出 169

平成20年 5 月20日

いため,副産物のピロリン酸マグネシウムによる白色沈殿が大量に生成されるので,反応時間に伴う反応液の濁度の上昇を指標にした増幅反応の有無の確認を,測定装置,もしくは肉眼で行うことが可能である.また一般的な PCR法と比べて,LAMP法は遺伝子増幅反応を阻害する生体成分の影響を受けにくいことが知られており9),簡易な前処理で得られた粗抽出サンプルからも増幅反応が速やかに行われる.この特性を利用して,既に畜産・漁業・環境・臨床など幅広い分野で応用されている10)11).このような LAMP法の特徴を応用して,臨床検体

を対象としたマイコプラズマ肺炎検査においても,検体処理から増幅,そして判定までの一連の行程が簡易かつ迅速でありながら,従来の方法よりも高い特異性と検出感度を有する検査法を構築できる可能性が考えられた.今回,我々は LAMP法によるM. pneumoniae

検出法を確立し,感度および特異性など反応特性,および臨床患者検体を用いた PCR法と本法の相関性を検討したので報告する.

材料と方法1.試験菌株試験したM. pneumoniae株は,臨床株,標準株など

10 株(内 2株は未同定の臨床分離株)を用いた(Table1).また,他のMycoplasma属として,M. genitalium,M. hominis,M. salvarium,M. fermentans,M. oraleの計 5菌種 5株を選択した.PPLO液体培地を用いた各培養菌体から,DNeasy Tissue Kit(QIAGEN社)を用い,使用方法に沿って genomic DNAを抽出および精製した.M. pneumoniae(816,394bp,DDBJ�EMBL�GenBank accession No. NC_000912)12),M. genitalium

(580,076bp,同 NC_000908)13)は既知のゲノムサイズをもとにDNA濃度からコピー数をそれぞれ決定した.それ以外のMycoplasma属菌はM. pneumoniaeのゲノムサイズに換算して,同様にコピー数を決定した.

Mycoplasma属以外に,細菌性肺炎起因菌など 28 菌種 28 株を選択した(Table 1).培養菌体を生理食塩水にMcFarland No.1(約 2.4×108CFU�mL)となるように懸濁し,TE緩衝液(10mM Tris-HCl,1mMEDTA,pH8.0)で適宜希釈し,95℃,5分間熱処理し,急冷後,12,000rpm,5分間遠心し,その上清を加熱DNA抽出液とした.一部の菌株は,上記と同様に菌体から genomic DNAを抽出および精製し,既知のゲノムサイズをもとにDNA濃度からコピー数をそれぞれ決定した.2.プライマー設計標的遺伝子はM. pneumoniae特異的な塩基配列を持

つ,SDC1配列(DDBJ�EMBL�GenBank accession No.M35024)14)を選択した.基本プライマーのインナープ

ライマー(FIP および BIP),アウタープライマー(F3および B3),さらに増幅反応を加速させるループプライマー(FLおよび BL),計 6つのプライマーを設計した.なお,LAMP増幅産物の特異性を確認するため,F1-B1 間の鋳型由来配列に制限酵素 Hinf I によって切断される塩基配列が配置されるようにした.各プライマーを構成するドメインの位置および配列をFig.1に示した.FIP は F1 の相補配列とF2の正配列から構成され,BIP は B1 の正配列とB2の相補配列から構成される.3.LAMP反応反応基質の dNTPs と硫酸マグネシウム,および pH

緩衝剤を処方したReaction Mix に,各 LAMPプライマーと鎖置換活性を有する Bst DNA Polymerase を添加した LAMP反応液を作製した(Table 2).LAMP反応液 20µL に加熱DNA抽出液 5µL を添加し,リアルタイム濁度測定装置 LA-320C(テラメックス社)を使用し,65℃,60 分の測定条件で,LAMP増幅反応に伴い生成されるピロリン酸マグネシウムの白色沈殿による反応液の濁度上昇をモニターした.4.PCR反応国立感染症研究所作成の「病原体検出マニュアル」3)

中に「マイコプラズマ肺炎」項中のDNA検査法として記載されている 16S rRNA遺伝子および p1遺伝子を標的とした 2種類の nested PCRを,マニュアルに従って操作した.5.感度試験コピー数を決定したM. pneumoniae M129 株(I 型

菌),FH株(II 型菌)の精製 genomic DNAを用いた.また,2株の LAMP増幅領域を含む塩基配列(310bp)を挿入した plasmid DNAをそれぞれ作製し,構築した plasmid DNAも LAMP法の感度試験に用いた.genomic DNAおよび plasmid DNAともに,TE緩衝液で段階希釈し,95℃,5分間熱処理し,急冷後,LAMPおよび PCRに鋳型として添加した(plasmidDNAを用いた感度試験は,LAMP法のみ).6.特異性試験Table 1に示したM. pneumoniae 10 株,M. pneumo-

niae以外のMycoplasma属 5菌種 5株,Mycoplasma属菌以外 28 菌種 28 株の精製 genomic DNA,あるいは加熱DNA抽出液 5µL を,LAMP反応液に添加した.M. pneumoniae株は反応あたり 60 コピー,M. pneumo-

niae株以外の菌株は 600,000 コピー(あるいは 600,000CFU)を供試し,LAMP反応を行った(65℃,60 分間).ただし,M. pneumoniae株以外については,120分まで LAMP反応を継続して行い,非特異反応の有無を試験した.7.臨床患者検体を用いた相関性試験

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吉野 学 他170

感染症学雑誌 第82巻 第 3号

Table 1 Strains tested in this study

Tt (min.)*LAMPContent of templateReference(Type)StrainName

25.2+copies/test60ATCC15531(I I)FHMycoplasma pneumoniae

25.0+copies/test60Clnical isolateMycoplasma pneumoniae

25.8+copies/test60Clnical isolateMycoplasma pneumoniae

26.2+copies/test60ATCC29342(I)M129Mycoplasma pneumoniae

23.5+copies/test60ATCC15492(I I)MacMycoplasma pneumoniae

26.5+copies/test60NBRC14401 ( = ATCC15531)(I I)FHMycoplasma pneumoniae

28.0+copies/test60(I)100Mycoplasma pneumoniae

26.9+copies/test60(I)180Mycoplasma pneumoniae

27.3+copies/test60(I I)6Mycoplasma pneumoniae

29.2+copies/test60(I I)60Mycoplasma pneumoniae

--copies/test600,000ATCC23114 (Type strain)Mycoplasma hominis

--copies/test600,000ATCC23064 (Type strain)Mycoplasma salvarium

--copies/test600,000ATCC19989 (Type strain)Mycoplasma fermentans

--copies/test600,000ATCC23714 (Type strain)Mycoplasma orale

--copies/test600,000ATCC33530 (Type strain)Mycoplasma genital um

--cfu/test600,000ATCC19606 (Type strain)Acinetobacter baumannii

--cfu/test600,000ATCC15309 (Type strain)Acinetobacter lwoffi

--cfu/test600,000ATCC19209Alcaligenes faecalis

--cfu/test600,000ATCC27061 (Type strain)Achromobacter xylosoxidans

--copies/test600,000KKpn-1Chlamydia pneumoniae

--copies/test600,000Bud-1Chlamydia psittaci

--copies/test600,000L2/434/BuChlamydia trachomatis

--copies/test600,000D/UW-3/CxChlamydia trachomatis

--cfu/test600,000ATCC29897 (Type strain)Chryseobacterium indologenes

--copies/test600,000Nine mileCoxiel a burneti

--cfu/test600,000ATCC11775 (Type strain)Escherichia coli

--cfu/test600,000ATCC43319 (Type strain)Flavobacterium breve

--cfu/test600,000ATCC4651 (Type strain)Flavobacterium odoratum

--cfu/test600,000ATCC9795Haemophlus influenzae

--cfu/test600,000ATCC13883 (Type strain)Klebsiela pneumoniae

--cfu/test600,000ATCC33152 (Type strain)Legionela pneumophla

--cfu/test600,000ATCC33462 (Type strain)Legionela longbeachae

--cfu/test600,000ATCC33217 (Type strain)Legionela bozemanii

--cfu/test600,000ATCC33218 (Type strain)Legionela micdadei

--cfu/test600,000Moraxela catarrhalis

--cfu/test600,000ATCC27853Pseudomonas aeruginosa

--cfu/test600,000ATCC13525 (Type strain)Pseudomonas fluorescens

--cfu/test600,000ATCC17588 (Type strain)Pseudomonas stutzeri

--cfu/test600,000ATCC8100Serratia marcescens

--cfu/test600,000ATCC25923Staphylococcus aureus

--cfu/test600,000ATCC14990 (Type strain)Staphylococcus epidermidis

--cfu/test600,000ATCC49619Streptococcus pneumoniae

--cfu/test600,000ATCC19615Streptococcus pyogenes

* Tt (min) denotes the amplfication time required for the threshold value (0.07) of the velocity of turbidity increase on LA-320C, Loopamp real-time turbidimeter to be exceeded.

東邦大学医学部微生物・感染症学講座にて保存された肺炎症状を示す臨床患者由来の喀痰(179 例),気管吸引液(14 例),咽頭ぬぐい液(5例),胸水(3例),尿(2例),肺刺(1例)計 204 例の検体を用いた.Fig.2Aに示すように,QIAamp DNA mini kit(QIAGEN社)を用いて,各呼吸器検体試料 100µL から,50µLの抽出DNAを調製した.95℃,5分間熱処理し,急冷後,LAMPおよび PCR反応液に加熱DNA抽出液として添加した.また,上記 204 検体のうち,86 検体の保存培養液

を簡易な方法に供した.各保存培養液 500µL を遠心し,上清を除去後,沈渣にTE緩衝液 50µL を添加し,95℃,5分間熱処理し,急冷後スピンダウンし,LAMPおよび PCRに加熱DNA抽出液として添加した(Fig.2B).

成 績1.感度試験M129 株から抽出した genomic DNAを段階希釈

し,LAMP法および二種類の nested PCRの検出感度を比較した.その結果,LAMP法はM129 株の

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LAMP法によるM. pneumoniae高感度迅速検出 171

平成20年 5 月20日

Fig. 1 Nucleotide sequence of M. pneumoniae SDC1 repetitive element (M35024) used to design the LAMP primers. DNA sequences used for the primer designing are shown by the solid arrows. The restriction site for Hinf I, located between F1 and B1, is indicated by the dotted box. And the oligonucleotide sequence of the LAMP primers for M. pneumoniae SDC1 detection are shown in the solid-line box.

genomic DNAに対して 6コピーまで増幅反応を確認できた(Fig. 3A).それに対して,16S rRNA遺伝子を検出する nested PCRは,1st PCRでは 60 コピー,2nd PCRでは 6コピーまで,p1遺伝子を検出するnested PCRでは,1st PCRでは 60,000 コピー,2ndPCRでは 60 コピーまで検出された(Fig. 3B).なお,成績を示さなかったが,FH株から抽出した genomicDNAを同様に試験した結果,M129 株と同一の成績だった.さらに,M129 株由来の LAMP増幅領域を挿入し

た plasmid DNAを段階希釈し,LAMPの検出感度を試験したところ,6コピーまでの plasmid DNAに対して増幅反応が確認できた(Fig. 4).なお,成績を示さなかったが,FH株由来の plasmid DNAを同様に試験した結果,M129 株と同一の成績だった.

2.特異性試験M. pneumoniae 10 株からそれぞれ抽出した加熱

DNA抽出液(反応あたりの供試鋳型量:60 コピー)を LAMP法で測定した反応結果を比較したところ,LAMP反応開始後,すべての株において約 20 分経過時からの増幅が確認され,陽性と判定された.各株のTt 値(濁度上昇速度が,一定のしきい値を超え,リアルタイム濁度測定装置 LA-320C が陽性と判定する時間)は,23~30 分の範囲であった.得られた LAMP増幅産物および制限酵素 Hinf Iによる増幅産物の消化物の電気泳動パターンは供試株間ですべて同一であった(Fig. 5).また,M. pneumoniae以外のMycoplasma

属菌 5菌種 5株,細菌性肺炎起因菌など 28 菌種 28 株については,十分量の鋳型量(反応あたりの供試鋳型量:600,000 コピーあるいは 600,000CFU)を試験して

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吉野 学 他172

感染症学雑誌 第82巻 第 3号

Fig. 2 Protocols for DNA extraction from (A) respiratory specimens and (B) PPLO cultures.

Table 2 Composition of the LAMP reaction mix

mM (pH8.8)20Tris-HClmM10KClmM10 (NH4) 2SO4mM8MgSO4%0.1Tween 20M0.8BetainemM each1.4dNTPs

pmol40FIPpmol40BIPpmol10F3pmol10B3pmol20LoopFpmol20LoopB

Units8Bst DNA polymerase

μL20Volume

も,すべて LAMP陰性であった.さらに,反応時間を 120 分まで延長しても増幅反応は確認されなかった(Table 1).3.臨床患者検体を用いた相関性試験

前述の感度試験において,検出感度が十分に高かった 16S rRNA遺伝子を標的とした nested PCRの 1stPCR を対照とし,臨床患者から採取された呼吸器由来 204 検体からQIAamp DNA mini kit を用いて調製した加熱DNA抽出液を用いて,LAMP法との相関性を検討した.その結果,24 検体(11.8%,すべて喀痰検体)が LAMP陽性と判定され,増幅産物の電気泳動パターンは 24 検体すべて同一であった.また,16S rRNA遺伝子を検出する nested PCRの 1st PCRによる結果も 24 検体が陽性と判定され,LAMP陽性となった 24 検体と一致し,陰性と判定された検体も含めて不一致はまったく認められなかった(Table3).一方,86 検体の保存培養液から簡易な方法で抽出

した加熱DNA抽出液についても,同様に LAMP法と PCR法の相関性を試験した.その結果,19 例(すべて喀痰検体由来)が LAMP陽性と判定され,同時に行った 16S rRNA遺伝子を検出する nested PCRの1st PCR による判定と完全に一致した.しかし,86検体の保存培養液には,LAMP法および PCR法で陽

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LAMP法によるM. pneumoniae高感度迅速検出 173

平成20年 5 月20日

Fig. 3 Comparison of sensitivity between LAMP (A), 16S rRNA nested PCR (B) and p1 nested PCR (C) using serial dilu-tions of M. pneumoniae M129 genomic DNA. Lanes and Symbols: Lane1/ ●; 600,000, Lane2/ ■; 60,000, Lane3/ ▲; 6,000, Lane4/ ◆; 600, Lane5/ ○; 60, Lane6/ □; 6, Lane7/ △; 0.6, Lane8/ ◇; 0 (copies/test) , and LaneM1; 100bp DNA ladder, LaneM2; λ-Hind I I I digest

Fig. 4 Sensitivity of LAMP using serial dilutions of plasmid DNA including the target region from the M. pneumoniae M129 genomic DNA. Symbols: ● ; 600,000, ■ ; 60,000, ▲ ; 6,000, ◆ ; 600, ○ ; 60, □ ; 6, △ ; 0.6, ◇ ; 0 (copies/test)

Fig. 5 Agarose gel electrophoresis and restriction analysis of the LAMP products amplified from several M. pneumoniae strains.Lane1; NBRC14401 (FH), Lane2; ATCC15492 (Mac), Lane3; ATCC29342 (M129), Lane4; ATCC15531 (FH), Lane5 and Lane6; clinical isolates, LaneM; 100bp DNA ladder,

性判定だった 24 検体の呼吸器由来検体を培養した保存培養液がすべて含まれていたにもかかわらず,24

検体中 5検体の保存培養液(すべて喀痰検体由来)はLAMP法および PCR法ともに陰性だった.

考 察Mycoplasmaは人工培地上で自己増殖能を示す最小

の微生物であり,コレステロール源としてウマ血清を

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吉野 学 他174

感染症学雑誌 第82巻 第 3号

Table 3 Results of detction for M. pneumoniae from clni-cal samples by LAMP and PCR.

PCR * (+)LAMP (+)nRespiratory specimen

(%)n(%)n

(11.8 %)24(11.8 %)24179sputum( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 14tracheal aspirate( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 5pharyngeal swab( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 3pleural fluid( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 2urine( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 1transthoracic needle aspirate

(11.8 %)24(11.8 %)24204

PCR * (+)LAMP (+)nPPLO culture from specimen

(%)n(%)n

(22.1 %)19(22.1 %)1978sputum( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 1tracheal aspirate( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 4pharyngeal swab( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 1pleural fluid( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 1urine( 0.0 %) 0( 0.0 %) 0 1transthoracic needle aspirate

(22.1 %)19(22.1 %)1986*1st PCR of nested-PCR targeting the 16S rRNA gene

含む PPLO液体培地などを用いて,患者検体から分離培養することが可能である.口腔内に常在するM.

salvariumやM. oraleなどと鑑別するため,M. pneumo-

niaeの特徴的なコロニー形態の確認をはじめ,染色,血球吸着能,溶血反応,ブドウ糖およびアルギニン分解能などを試験する必要がある3).この分離培養法は確定診断となる方法であるが,培養のため長期間を要し,同時に煩雑な操作も必要とされる.M. pneumoniae

の表面抗原を検出する直接蛍光抗体法15)は迅速性に優れているが,観察に蛍光顕微鏡と試験者の経験が必要であるため,実施施設が限定される.PA法(粒子凝集反応)やCF法(補体結合反応)など患者血清中の抗体価を指標とする血清学的検査法が広く行われている.しかし,免疫応答まで十分な時間(約 1週間)を要することと,急性期と回復期のペア血清での診断が望ましいが,単一血清での診断を行わざるを得ない場合も多い.イムノクロマトEIA法による IgM抗体検出法は,操作も簡便で感染初期の診断が可能とされるが,発色反応時間の違いで陽性率に大きく差が生じる16).遺伝子診断法として,DNAプローブ法から PCR法へと感度および特異性を高めた方法が開発され,診断法として現在広く使われている.さらに定量性を求めたリアルタイム PCR7)も開発されている.しかし,日本呼吸器学会によって 2007 年に策定された「呼吸器感染症に関するガイドライン」成人市中肺炎診療ガイドラインにおいて,上述した従来の方法はすべて,「手技が煩雑,あるいは特定の機器,施設が必要な検査」と分類されており,検査法として問題点が指摘さ

れていた.今回我々はM. pneumoniaeを検出するための LAMP

プライマーを設計する段階において,検査における特異性と感度を高めるため,宿主細胞への吸着に関与する細胞接着器官(attachment organella)17)を構成するタンパクをコードする遺伝子群に着目した.M. pneu-

moniaeの細胞接着器官は,先端に位置する P1 をはじめ,複数のタンパクで構成されており,各タンパクをコードする遺伝子は p1,hmw,crlの 3つの各オペロン上に位置している18)~20).M. pneumoniaeには繰り返し配列が多く,全ゲノムの約 8%を占めるが,標的遺伝子とした SDC1配列も繰り返し配列のひとつであり,p1オペロン内にあるORF6 遺伝子上に存在する.この SDC1に存在するM. pneumoniaeに特異的な塩基配列を LAMP法の標的とした.今回設計した LAMPは,M. pneumoniaeのみに特異

的に反応し,M. pneumoniaeと近縁で相同性が高いことが知られているM. genitaliumを含む他のMyco-

plasma属菌および多くの細菌性肺炎起因菌などに対しては全く反応を示さなかった.また,M. pneumoniae

の p1遺伝子の塩基配列によって分類される I型菌および II 型菌に対して,いずれも迅速な反応速度と非常に高い検出感度を示した.これは,特異性が極めて高いと同時に,M. pneumoniaeの型に左右されない検査法として,非常に適した標的遺伝子の選択,およびプライマーの設計ができたものと考えられた.感度については,標的とした SDC1は繰り返し配列のひとつであることから,高い検出感度が実現できるものと当初期待された.しかし,LAMP増幅領域を 1コピーずつ含む plasmid DNAと比較して,全長の genomicDNAを用いた検出感度に差はなかった.これは,SDC1およびその類似配列のコピー数は染色体上に少なくとも 8コピーとそれほど多くないこと,またはプライマーの特異性が高いため,SDC1の類似配列には反応性を示さないことが要因として推測される.迅速性については,基本となる 4つのプライマー(FIP,BIP,F3 および B3)に,増幅反応を加速させるループプライマー(FLおよび BL)を追加したことにより,反応開始後 30 分以内という短時間内に増幅および検出することが可能であった.斉藤らによって p1遺伝子を標的としたプライマーによるM. pneumoniae

迅速検出 LAMPの報告21)があるが,本法がより反応時間が速く,検出感度も高かった.これは,本法の基本となる 4つのプライマーの有する高い反応性,さらにF側およびB側の両方にループプライマーを設定されていることが要因と考えられる.喀痰など臨床患者から採取した呼吸器検体を用いた

相関性試験では,LAMP法と PCR法の結果は 100%

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LAMP法によるM. pneumoniae高感度迅速検出 175

平成20年 5 月20日

(204 例中 24 例が,LAMPおよび PCRともに陽性)一致し,良好な相関性が認められた.同様に,培養液検体を用いた相関性も良好な結果が得られた.ただし,喀痰などもととなる呼吸器検体では陽性であったが,接種して培養を経過した培養液では陰性化する検体があった(24 例中 5例).データには示さないが,これら陰性と判定された 5例の抽出検体に検出感度付近の少量の plasmid DNAを添加して LAMP反応を試験する方法で,検体そのものによる反応阻害の影響を検討したが,すべて 60 分以内に良好な反応を示した.これは,今回検討した培養液からの簡易抽出法は,LAMP反応を阻害する物質を除去できていることを示した.このことから,培養液検体で陰性化した例は,もととなった喀痰などの臨床検体から十分に培養・増殖されなかった,もしくは簡易な抽出法による回収率が低かったことが考えられた.一般的に喀痰はMycoplasma

属以外の雑菌を多く含み,喀痰成分の影響もあり,分離同定を目的とした培養にはスワブ採取による咽頭拭い液のほうが適しているとされている.今回の検討では,臨床患者検体のほとんどが喀痰検体であったが,マイコプラズマ肺炎検査の対象として広く用いられている咽頭拭い液を中心とした臨床患者検体について検討を行い,最適な抽出法との組み合わせについて今後精査していく予定である.LAMP法は,6つのプライマーと強力な鎖置換活性

を有するDNA合成酵素との組み合わせにより,高い特異性と感度を示す増幅反応と反応液の濁度上昇を指標とした判定を,ひとつの閉鎖系で行うことを可能としている.しかも 65℃を維持できる恒温装置だけでも実施可能であり,検査に必要とされるトータルコストを抑える効果も大きいと考えられる.既に市販されている LAMP法によるキットと同様に,あらかじめプライマー,基質などを含む反応液にDNA合成酵素を追加し,抽出検体を添加後,反応を開始できる簡便な操作性を実現できるため,従来の検査法と比較して「精度が実施者の経験に左右されにくい」検査法であると言える.以上のことから,早急に適切な治療を迫られる現場において,本法は非常に有用な試験法と考えられた.謝辞:貴重な臨床患者検体,菌株の御提供,ならびに御助言をいただきました学校法人東邦大学医学部 山口惠三教授,舘田一博助教授,国立感染症研究所 佐々木次雄先生,KKR大手前病院中央検査部 山中喜代治先生,神奈川県衛生研究所 岡崎則男先生に深謝いたします.

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吉野 学 他176

感染症学雑誌 第82巻 第 3号

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Sensitive and Rapid Detection of Mycoplasma pneumoniae by Loop-mediated Isothermal Amplification

Manabu YOSHINO, Toshimitsu ANNAKA, Tadashi KOJIMA & Masanari IKEDOEiken Chemical Co., Ltd. Biochemical Research Laboratory

For establishment of a method for rapid diagnosis of Mycoplasma pneumoniae in clinical specimens, wedesigned and evaluated a loop-mediated isothermal amplification (LAMP) assay, using a set of primers tar-geting the SDC1 repetitive element of the M. pneumoniae genome.

The method showed rapid and specific amplification for all the strains of M. pneumoniae tested (Type Iand II), within 1hour at 65℃.

No cross-reactivity with the most common causative organisms bacterial pneumonia was observed.The detection limit was shown as 6 copies, which was equal to or higher than that of the two nested

PCRs used as references.Two hundred four clinical samples, comprising sputum samples, throat swabs, etc., were tested by both

LAMP and PCR, and determination of the correlations revealed complete agreement individually (24 posi-tives).

The LAMP assay, a simple procedure in a closed system, allowed rapid amplification and accurate de-tection consistently ; therefore we considered that it could become an caeasily available diagnostic methodsuitable for clinical situations requiring quick and appropriate decisions for treatments and care.