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3 月は 9 年生を中心にイベント目白押しでした。3 16 日(金)に行われた 3 学期修了の会・感謝の集い(9 年生オイリュト ミー公演)。平日にも関わらず多くの方が観覧し、子どもたちの確かな成長を共に喜び合いました。 ※当日の様子は学園サイト「がくえんにっし」に掲載されています。是非ご覧ください。 ******************************************************* 卒業式(3月19日)9 年生を送り出して~ NPO法人横浜シュタイナー学園 2017 3 28 日発行 99 3 19 日に無事卒業式を終えることができました。 といっても、美術の課題の木版画カレンダーの制作が残 ってしまい卒業後も 3 日ほど通ってきていましたが。で も、その時間はとても良い時間で、みなでたくさんのこ とを語り合う濃密な時間でもありました。1年前には想 像もできないほどお互いが近くなっていました。それは 生徒同士だけでなく、担任との関係においてもです。本 当に幸せなことです。 学内の皆さんはご存知のように卒業プロジェクト終了 後にクラス全員で箱根へ卒業旅行出かけました。とても 楽しい思い出になりました。それだけでなく、卒業式当 日も「最後にみんなで晩御飯を食べに行こう」という話 が前日に持ち上がりました。私は「仲がいいな」と思っ て聞いていたのですが、「みんなで」の中には実は私も もれなく含まれていることがわかりとても驚くと同時に 嬉しくもありました。そんな風に思ってくれていること がです。 クラスのみんなとはいろいろなことがありました。そ れはすべて私を含めた黒沼クラス全体の課題だったので すが、私がもう少し早く自分自身を変えることができて いたら、こんなにも生徒に苦労させずに済んだのにと悔 やまれます。なんとか糸口が見つかり、9年生に間に合 い、最後の 1 年を楽しく過ごせたことがせめてもの救い です。4年生の時前任の白石先生から引継ぎ6年間。無 我夢中で過ごした日々です。 卒業式の日に、卒業証書を送る前に以下のような話を しました。 “世界中にあるほとんどのシュタイナー学校では、1 年生の最初のエポックはフォルメンです。「まっすぐな 線と曲がった線」を学びます。「直線と曲線」です。世 界はこの 2 種類の線でできています。実は私たちはず っとこの「直線と曲線」について学び続けているので す。 数学や幾何学では数式や図形で、理科では現象を通し て、社会では人と人とのつながりの中で。どの科目で もそうなのです。 以前、1期生の中に卒業プロジェクトで「オイリュ トミーについて」取り上げた生徒がいました。その生 徒に「先生は、シュタイナー学校ではどうしてオイリ ュトミーをするのだと思いますか?」と質問されまし た。私は「目に見えない直線と曲線について学ぶため です」と答えました。人と人との間にある直線と曲 線。それを美しく描く方法を学ぶのです。オイリュト ミーでは直線的に動いても曲線的に動いてもぶつから ずに美しいフォルムを描き続けることができます。 私はとても不器用な人間でよく人にぶつかる人間で す。そんな私が4期生の皆さんのおかげで人とぶつか らない方法を学びました。4期生のみなさんもそうだ ったのではないでしょうか。実践はまだこれからです が、私より若いあなたたちはずいぶん早く応用ができ ています。先日発表したオイリュトミーの美しさはほ かにたとえようがないくらいです。 あなたたちは直線と曲線についてしっかりと学びま した。ここからは更なる応用編です。それぞれが進ん でいく道で学んでいってください。私はここに残って あなたたちの助けなしで頑張ります。“ ひとりで学ぶのは大変ですが、ここから先はお互い の課題が別々なので、それぞれで頑張るしかありませ ん。でも、わたしたちは横浜シュタイナー学園で一緒 に学んだ日々を忘れることはありませんから、ここで の学びを支えにして頑張っていけるのだと思います。 5 人は苦労しながらも、お互いを思いやり信頼して 支えあうことのできる仲間に成長しました。この先 様々な場所で新しい出会いがありますが、きっとこの 経験が生かされていくことでしょう。どんな人生を歩 んでいくのか楽しみです。 黒沼クラスを見守り、応援してくださった方々に感 謝をこめて (4期生担任 黒沼亜矢)

NPO法人横浜シュタイナー学園 第99 号€¦ · 良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も 多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのは

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Page 1: NPO法人横浜シュタイナー学園 第99 号€¦ · 良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も 多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのは

3月は 9年生を中心にイベント目白押しでした。3月 16日(金)に行われた 3学期修了の会・感謝の集い(9年生オイリュトミー公演)。平日にも関わらず多くの方が観覧し、子どもたちの確かな成長を共に喜び合いました。 ※当日の様子は学園サイト「がくえんにっし」に掲載されています。是非ご覧ください。 ******************************************************* 卒業式(3月19日)~9年生を送り出して~

NPO法人横浜シュタイナー学園

2017 年 3 月 28 日発行

第 99 号

3 月 19 日に無事卒業式を終えることができました。といっても、美術の課題の木版画カレンダーの制作が残ってしまい卒業後も 3日ほど通ってきていましたが。でも、その時間はとても良い時間で、みなでたくさんのことを語り合う濃密な時間でもありました。1年前には想像もできないほどお互いが近くなっていました。それは生徒同士だけでなく、担任との関係においてもです。本当に幸せなことです。 学内の皆さんはご存知のように卒業プロジェクト終了

後にクラス全員で箱根へ卒業旅行出かけました。とても楽しい思い出になりました。それだけでなく、卒業式当日も「最後にみんなで晩御飯を食べに行こう」という話が前日に持ち上がりました。私は「仲がいいな」と思って聞いていたのですが、「みんなで」の中には実は私ももれなく含まれていることがわかりとても驚くと同時に嬉しくもありました。そんな風に思ってくれていることがです。 クラスのみんなとはいろいろなことがありました。そ

れはすべて私を含めた黒沼クラス全体の課題だったのですが、私がもう少し早く自分自身を変えることができていたら、こんなにも生徒に苦労させずに済んだのにと悔やまれます。なんとか糸口が見つかり、9年生に間に合い、最後の 1年を楽しく過ごせたことがせめてもの救いです。4年生の時前任の白石先生から引継ぎ6年間。無我夢中で過ごした日々です。

卒業式の日に、卒業証書を送る前に以下のような話を

しました。

“世界中にあるほとんどのシュタイナー学校では、1年生の最初のエポックはフォルメンです。「まっすぐな線と曲がった線」を学びます。「直線と曲線」です。世界はこの 2種類の線でできています。実は私たちはずっとこの「直線と曲線」について学び続けているのです。 数学や幾何学では数式や図形で、理科では現象を通して、社会では人と人とのつながりの中で。どの科目でもそうなのです。 以前、1期生の中に卒業プロジェクトで「オイリュ

トミーについて」取り上げた生徒がいました。その生徒に「先生は、シュタイナー学校ではどうしてオイリュトミーをするのだと思いますか?」と質問されました。私は「目に見えない直線と曲線について学ぶためです」と答えました。人と人との間にある直線と曲線。それを美しく描く方法を学ぶのです。オイリュトミーでは直線的に動いても曲線的に動いてもぶつからずに美しいフォルムを描き続けることができます。 私はとても不器用な人間でよく人にぶつかる人間で

す。そんな私が4期生の皆さんのおかげで人とぶつからない方法を学びました。4期生のみなさんもそうだったのではないでしょうか。実践はまだこれからですが、私より若いあなたたちはずいぶん早く応用ができています。先日発表したオイリュトミーの美しさはほかにたとえようがないくらいです。 あなたたちは直線と曲線についてしっかりと学びま

した。ここからは更なる応用編です。それぞれが進んでいく道で学んでいってください。私はここに残ってあなたたちの助けなしで頑張ります。“

ひとりで学ぶのは大変ですが、ここから先はお互い

の課題が別々なので、それぞれで頑張るしかありません。でも、わたしたちは横浜シュタイナー学園で一緒に学んだ日々を忘れることはありませんから、ここでの学びを支えにして頑張っていけるのだと思います。

5人は苦労しながらも、お互いを思いやり信頼して支えあうことのできる仲間に成長しました。この先様々な場所で新しい出会いがありますが、きっとこの経験が生かされていくことでしょう。どんな人生を歩んでいくのか楽しみです。 黒沼クラスを見守り、応援してくださった方々に感

謝をこめて (4期生担任 黒沼亜矢)

Page 2: NPO法人横浜シュタイナー学園 第99 号€¦ · 良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も 多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのは

*9年間を振り返って*

佐藤天亮 もうすぐ卒業するということが、わかっている今で

も、実感というものが、ありません。9 年間という長い時間を、同じクラスメイトと学びを深め、人間関係を築いてきたからだと思います。 ここまでに様々なことがあり、“5 人”という人数にな

りました。最初は“少な”と思いました。たしかに、5人しかいないから大変なこともありましたが、5人だから、と後悔したことはありません。

9 年生の一年間は、あっという間でした。大変なこともありましたが、それ以上に楽しいこともありました。このクライメイトと、この学校の学びを終えることが出来て、よかったです。

石原詩深 今の心境は皆と別れる悲しさ、新しい所へ行く不

安、卒業できる嬉しさが混ざった不思議な感じです。まだあまり実感がないです。 私は 1年生の頃からこの学校だったので、9年間通っ

てきました。今までとても長かった気がしていましたが、9 年生になってからは、忙しいのと楽しいのとであっという間だった気がします。 最後の1年間は本当にクラスのメンバーの仲が良く、

良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのはすごく楽しかったです。7、8 年生の頃は女子1人であまり話す人がいなかったのですが、9 年生になってからは、そんな事が全く無かったです。色々な事がありましたが、このメンバーで過ごせて良かったです。

渡辺健志 あんまり「卒業!」という実感はありませんでした

が、卒プロが終わってからは、「次は卒業!」と、思えるようになりました。

7 年生になるときに人数が半減し、5人になってしまいました。5人だと悪いこともありますが、良いこともありました。デメリットは、決まっている行事(八年生劇、木版画カレンダーなど)の一人一人のやる事が多いとかで、メリットは人数が少ないから移動が速い、見学や旅行の時に先生が何かおごってくれるなど。ぼくはまだ、あまり高校生活のイメージが湧きません。けど、わからないのが楽しみです。

岡崎秀飛 昨年の 9 年生や、その前の 9 年生たちとも言ってい

たように、9年生になってからの 1年はとても早かったように感じました。 ぼく達のクラスは、たった5人というとても少ない人

数だったので。学園祭での1人の分担が多かったりと、大変だったこともありましたが、長野の果樹園での農業実習や箱根への旅行も、クラスの人数が少なかったから行けたのだろうなーと思い。少ないには少ないなりの良い事があるんだなーという事も知る事ができました。 ですが、この学校に9年間通っていて、未だにわから

ない事もあります。それは、この学校でオイリュトミーをやる意味です。ぼくは、オイリュトミーという教科は小さい頃からにがてでやる意味もわかりませんでした。オイリュトミーの先生は、「今はやる意味がわからなくても、いつかはわかるようになる」といっていたので、今ではなくてもわかる日が来るといいです。 今まで長い間、見守ってくださりありがとうござい

ました。 土田尚樹 私は、この横浜シュタイナー学園を卒業できて、と

にかくうれしいと思います。まぁ、4 年間も同じ先生と生徒で、さらにクラスがたったの5人だったので、さすがにシュタイナーでの生活に飽きましたが、靴下を編んだり、浴衣を作ったり、火の上を飛んだり・・・いろいろなことを体験できてよかったです。

9 年生になってからは、学園祭、鍛金実習、農業実習、カレンダー作り、卒業プロジェクト、受験、修了の会のオイリュトミー、とやることがたくさんあって、この横浜シュタイナー学園に入ってからの4年間で最も時間が早く流れたような気がしました。そしてこの 4年間で 9年生が最も楽しい 1年でした。

感謝の集い・お楽しみ会

Page 3: NPO法人横浜シュタイナー学園 第99 号€¦ · 良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も 多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのは

*卒業プロジェクト発表(3月 5日)*

平成28年度卒業生5人へのオマージュ

~9年生卒業プロジェクト発表会に参加して~ 学園を大きく揺さぶったと言っても過言では無い、こ

のクラスの子達もいよいよ卒プロ。「あの!」もはや伝説とさえ言える8年生劇から、はや1年。お陰でこちらも鍛えられた?のか、発表会への不安など全くなく、成長した5人の姿を再び目にすることが本当に心待ちであった。そして実際、五人の発表は、五者五様の素晴らしい出来映えだった(個々のすばらしい内容については、近々に脱稿予定の記事を是非ご覧頂きたい)。 毎回この卒プロを経験して実感することだが、やはり

このヴァルドルフ教育は、丹念に日々を積み重ね、そして卒業までをやり遂げることが極めて重要である。どの発表もそうであるが、個々の発表の裏側に重ねられた、言外の厚みたるや相当なものがある。これが教科書の無い教育の良さであり、同時に厳しさでもある。卒プロ発表において提示される内容は、「ネットや本で調べたらこうでした」、などと言った知識の羅列とは対極にある。もとより教科書の影響を受けていない彼ら彼女らは、そうした発想とは縁が無いのである。もちろん、中学生の発表であるから上手い・下手、言語化の得手・不得手はあるが、そのことと、発表から感じられる深みとは別物である。どの発表も、深い自分との関わりを探り、その過程で抽出された“しずく”として披瀝される(実際これは、われわれ教科書組には質問のしづらさとして還ってくるのだが・・・)。これほど自分の内面深くと向き合う経験を経ることは、ひとりひとりにとって卒業にふさわしいイニシエーションとなり、これを経なければ決して到達できない、新たな自分に出会えたことだろう。

そして卒プロと卒業は、同時に保護者にとっても、長きにわたる学園との関わりと言うイニシエーションの終わりでもある。どの卒業生保護者も経てきたことであろうが、やはりこの日を迎えることは、決してたやすいことではない。ヴァルドルフ教育が与える深い影響は、子どもを通じて保護者にも共鳴するため、さまざまな揺さぶりやゆらぎを経てきた先に、この日があらわれる。 こうして見てみると、牛にひかれて善光寺を参ったのは、実はわれわれの方だったのかも知れない。 残念ながら今回の学年では、5家庭しかその経験は得られなかったが、、、 かつて英国において、長州ファイブと尊称された五傑

が、我が国の近代国家としての礎を築く上で大きな貢献をした。 そして今回、この武蔵の國から新たな五芒星が誕生し

た。 「YSGファイブたちよ!」

君たちならどのような困難にも、自ら高い目標を掲げて立ち向かい、孤独に耐え抜きながら、きっと大きな足跡を残してくれるだろう。 君たちがヴァルドルフ教育で培ったそうした力が、この國に新たな礎をもたらすときがきっと来る。君たちは、選ばれし5人だったのだ・・・ 頼んだぞ!YSGファイブたち!!!

(9年生保護者 石原 靖久)

「乗馬スタイル」 「Bicycle&Society」

「The world of Mechanical Pencil」

「消えた前期里美氏の歴史」

「Battle Ship」

Page 4: NPO法人横浜シュタイナー学園 第99 号€¦ · 良い雰囲気で、とても楽しかったです。9 年生は宿泊も 多く、共同生活が苦手な私ですが、皆んなといるのは

お問合せ、お申込み先 横浜シュタイナー学園事務局 Tel&Fax: 045-922-3107 e-mail: [email protected]

【会費・ご寄付等お振込先】 郵便振替: 00260‐0‐130702

加入者名:特定非営利活動法人横浜シュタイナー学園

ゆうちょ銀行: 店番029 支店名029店 (ゼロニキュウ店)当座0130702

横浜シュタイナー学園

Newsletter 第 99 号

2017年 3月 28日発行 編集: 広報の会 発行: NPO法人 横浜シュタイナー学園 h ttps://yokohama-ste iner. jp 〒226-0016 横浜市緑区霧が丘 3丁目 1-20 TEL/FAX 045-922-3107

※掲載内容の無断転載をお断りします

修了の会

ご寄付ありがとうございます (順不同・敬称略) 2017.2/15~3/24 足立久美子、水野徳子、金田治子、山本忍(神之木クリニック)、上野りえ、室恵子、星野登、星の金貨、江崎敦雄 ~皆様からのご支援に心より感謝 申し上げます~

2017年度年間予定

4月初旬に学園サイトに 2017年度 年間予定を公開します。 公開講座や親子で楽しめる各種イベントへのご案内も順次アップします。

会員制度が変わります 2017 年度 4 月より当学園のNPO 会員制度が一新します!! 公開講座へ会員価格でご利用いただけます。「賛助会員募集キャンペーン」実施中です。是非ご入会下さい。 ※詳細は学園サイトをご確認下さい。

1年生 朝の言葉、「2月のリズムの時間」から 英語「歌とゲーム」

2年生 リズムの時間」から ①お手玉「鳥捕り跡取り」 ②歌“聖フランチェスコ 「太陽の讃歌」「平和の祈り」”

4年生 英語劇「Magic Box」

3年生 英語「Let's go shopping」

5年生 オイリュトミー ベートーベン 「ロンド・ア・カプリッチョ」 「星と花」

6年生 英語の歌と詩を ジャグリングとともに

7年生 リコーダー「アダージョ」 「フィンランディア」 器楽合奏「グリーンスリーヴス」

8年生 体育の授業より「ガンブーツダンス」「マット運動」「中国武術」

9年生 浴衣の披露

7・8・9年生合同合唱 「アメイジンググレイス」 「遠い日の歌」 「大地讃頌」

3月 16日(金)午後、 旭公会堂にて 3 学期修了の会を行いました。