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木幅 5以下のグラフの 3彩色可能性の必要十分条件
島崎浩幸†1
• 概要:本稿では、木幅 3 以下のグラフの 3 彩色可能性に対する都築†2 の予想を証明し、さらに木
幅 3 以下の条件を木幅 5 以下に一般化する。
1. はじめに
1.1 グラフ
グラフとは頂点(ノード)と辺(エッジ)によって構成される
抽象的な概念で、様々なものの関連がグラフとしてモデル
化できる(例:路線図やコンピューターネットワークなど)。
グラフの解法が現実問題の解法として役に立つことがあり、
グラフの最適化問題は計算理論研究室の研究テーマの一つ
である。最適化問題の一つとしてグラフ描画問題というも
のがあり、本研究では彩色問題を扱う。
1.2 諸定義
V : 全頂点の集合
E : 全辺の集合
G = (V,E) : 無向グラフ
1.3 彩色問題とは
グラフ彩色とは、入力グラフ G に対して隣接する頂点同
士が同じ色にならないように全頂点を彩色することである。
グラフGの彩色に必要な最小の色数を求める問題を彩色最
適化問題(彩色問題)と呼ぶ。k-彩色問題では、グラフ G が
k 色で彩色出来るかどうかの可否を問う。本研究で扱う 3
彩色問題は、入力グラフが 3 色で彩色出来るかの可否を問
う。この問題は NP 困難であり、現在でも研究されている
問題の一つである。
1.4 本研究について
「3 彩色問題での 3 彩色不可のグラフパターンの検証」(以
後、前研究)において、3 彩色不可能な部分グラフの特徴を
指摘し、頂点に対して 1 つずつ彩色しなくてもグラフの形
だけで 3 彩色の可否がわかるのではないかという提案と、
その検証が行われた。その結果、バタフライコンフリクト
(後述)の有無が 3 彩色の可否を決めることの正当性が実験
から得られたが、完全に証明はされていない。そこで、本
研究では制約をより一般化した上でグラフの 3 彩色出来る
こととバタフライコンフリクトが無いこと等価性を証明す
ることで、3 彩色問題の解法速度の向上や、k 彩色問題の解
†1 明治大学
Meiji University
†2 明治大学 2017 年度卒
Graduated from Meiji University in 2017
法の足掛かりとする。
2. バタフライコンフリクトの定義
バタフライコンフリクトの説明の前に、定義「蝶型グラフ」、
「ウィング対」、「バタフライ連鎖」の説明をする。
2.1 蝶型グラフ
蝶型グラフとは、次数 2 の頂点と次数 3 の頂点がそれぞ
れ 2 つ、全 4 頂点のグラフのことを言う。4 頂点クリーク
から 1 辺を除いたグラフと等価である。
2.2 ウィング対
ウィング対とは、蝶型グラフにおいて次数 2 の 2 つの頂
点のことを言う(図 1 の赤色の頂点)。蝶型グラフを 3 彩色
するためには、ウィング対は同色でなければならない。
図 1 : 蝶型グラフ
2.3 バタフライ連鎖
バタフライ連鎖とは、グラフ G における異なる頂点の列
𝑣1, 𝑣2, . . , 𝑣𝑘 (k ≥ 2) で、1 ≤ i < k となるすべての i に対し
て、𝑣𝑖 と 𝑣𝑖+1が蝶型部分グラフのウィング対であるよう
なものを言う。このとき、グラフ Gのどのような 3彩色も、
バタフライ連鎖の頂点𝑣1, 𝑣2, . . , 𝑣𝑘をすべて同色で塗らなけ
ればならない。
2
図 2 : バタフライ連鎖の例
2.4 バタフライコンフリクト
バタフライコンフリクトとは、グラフ G におけるバタフ
ライ連鎖の頂点𝑣1, 𝑣2, . . , 𝑣𝑘 (k ≥ 2)で、異なるウィング対
{𝑣𝑖 , 𝑣𝑗} (1 ≤ i < j ≤ k)が辺を持つことを言う。このとき、グ
ラフ G は 3 彩色できない。例えば、図 3 においていずれか
の破線がグラフの辺であるとき、そのグラフはバタフライ
コンフリクトが生じていると言え、3 彩色出来ないことを
確認できる。
図 3 : バタフライコンフリクトの例
なお、用語の名称や定義方法が前研究と一部異なるが、そ
れはより一般的に定義したためである。
3. 木分解と木幅
3.1 木分解の利用
本研究における証明の手段として木分解を利用する。木分
解によって大きなグラフ(問題)を小さく分けることが出来
るため、一般的なグラフに対して分析が容易となる。
3.2 木分解の定義
無向グラフ G=(V,E)の部分グラフを木のように並べたも
のを木分解と呼ぶ。部分グラフ1つ1つをバッグと呼ぶ。
木は以下の条件を満たす。
[1]G上の全ての頂点はそれぞれ 1 つ以上のバッグに存在す
る。
[2]G 上の全ての辺はそれぞれ 1 つ以上のバッグに存在す
る。
[3]ある頂点 v について、v が存在するバッグは連結してい
る。
3.3 木幅の定義
木分解の幅とは、その木分解の[バッグの大きさの最大値-
1] である。グラフ G の木幅とは、G を木分解して得られ
るあらゆる幅の最小値である。
図 4 : グラフと木分解後の木の例
4. 証明する定理
4.1 前研究との相違点
前研究ではバタフライコンフリクトと 3 彩色可能性の関
係性が分析され、以下の予想について検証が行われた。
予想 : 木幅 3 以下のグラフにおいては、3 彩色可
能性とバタフライコンフリクトを持たないこと
は等価である
この予想は検証によって正当性が得られた一方で完全に
証明されたわけではない。本研究ではこの予想をより一般
化し、以下のような定理として証明をする。
定理 : 木幅 5 以下のグラフにおいては、3 彩色可
能性とバタフライコンフリクトを持たないこと
は等価である
4.2 3彩色可能なグラフの分析と証明の準備
バタフライ連鎖の頂点の 3 彩色するとき、ウィング対が
同色でなければならないことから、証明するものを新たに
以下の定理 1 とする。
定理1 : G を無向グラフ、T を G の木幅5以下の
木分解、X を T のバッグのひとつ、I={𝑰𝟏 … 𝑰𝒕} を
G[X]の 2 頂点以上の独立点集合の集まりで、異な
る i,j について𝑰𝒊 ∩ 𝑰𝒋 = ∅であるようなものとする。
このとき 1 ≤ i ≤ t に対して𝑰𝒊の頂点を 1 色で塗
るような、G の 3 彩色が存在する。
また、グラフ G を木分解でバッグに分けたとき、一般性
を失うことなく、次の 4 つの場合を考えればよい。
(基底)X は T のただ一つのバッグである
(導入)X と隣接する T のバッグはただひとつ(X’)
であり、X は X’にただひとつの頂点を加えたも
のである。
(忘却)X と隣接する T のバッグはただひとつ(X’)
であり、X は X’からただ一つの頂点を除いたも
のである。
(統合)Xと隣接する T のバッグは X1 と X2 のふた
つであり、この三つのバッグは集合として等しい。
あらゆる G[X]において、以上の 4 種類のバッグについて
定理 1 に基づいた 3 彩色可能性を証明することで、帰納的
3
に T 及び G の 3 彩色可能性を証明ができる。
定理 1 の証明にあたって、バタフライコンフリクトがな
い頂点数 4,5,6 のグラフの独立点集合の取り方を調べる。
ここで、グラフ G[X]の互いに交わらない独立点集合の集ま
り𝐼1, 𝐼2, ... , 𝐼𝑘を、(|𝐼1|, |𝐼2|, ... ,|𝐼𝑘|)型の独立集合族と呼ぶ。
4 頂点グラフでバタフライコンフリクトがないグラフは(2)
型のみであることは明らかである(蝶型グラフ)。次に 5 頂
点グラフで独立集合族の取り方と、それぞれのバタフライ
コンフリクトの有無、またバタフライコンフリクトが無い
族同士の部分グラフの有無を調べ、以下の表にまとめる。
独立集合族 バタフライコンフリクト 部分グラフ
(2)型 有
(2,2)型 無 無
(2,3)型 無 ⊂ (2,2)型
(3)型 無 無
(4)型 無 ⊂ (3)型
(5)型 無 ⊂ (3)型
表 1 : 5 頂点のグラフにおける独立集合族の取り方
以上より、5 頂点グラフでバタフライコンフリクトを持
たないならば、必ず(2,2)型、(3)型のいずれかの独立集合族
を持つ。同様に 6 頂点のグラフで独立集合族の取り方を、
(2.2)型、(3)型を基準に調べ、以下の表にまとめる。
独立集合族 バタフライコンフリクト 部分グラフ
(2,2)型 有
(2,2,2)型 無 無
(2,3)型 無 無
(2,4)型 無 ⊂ (2,3)型
(3)型 有
(3,3)型 無 ⊂ (2,3)型
(4)型 無 無
(5)型 無 ⊂ (4)型
(6)型 無 ⊂ (4)型
表 2 : 6 頂点のグラフにおける独立集合族の取り方
以上より、6 頂点グラフがバタフライコンフリクトを持
たないならば、必ず(2,2,2)型、(2,3)型、(4)型のいずれかの
独立集合族を持つ。以下のような各頂点数におけるバタフ
ライコンフリクトがない独立集合族について定理 1 が成り
立つ説明をすれば G に対しての証明が出来る。
頂点数 6
① (|𝐼1|,|𝐼2|,|𝐼3|) = (2,2,2)型
② (|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,3)型
③ (|𝐼1|) = (4)型
頂点数 5
④ (|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,2)型
⑤ (|𝐼1|) = (3)型
頂点数 4
⑥ (|𝐼1|) = (2)型
また、頂点数 5 の(3)族と頂点数 4 の(2)族は頂点数 6 の(4)
族の部分グラフであるため、証明から省く。したがって、
上記のパターン①~パターン④について証明をする。
5. 定理1の証明
5.1 基底
|X| ≤ 6 なので、バタフライコンフリクトがないことから、
3彩色が可能なことおよび、互いに交わらない独立点集合
をそれぞれ一色で彩色できることは容易に確認できる。
5.2 導入
導入における追加頂点を v、X で v ∈ 𝐼𝑖について、𝐼𝑖 - {v}
の 1 頂点を v’、または 2 つ以上の頂点を v’ ={𝑣𝟏′ … 𝑣𝒕′}と
する。
【パターン①】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v と𝐼1, 𝐼2の各頂点に辺がある。
図 5 : ①のグラフ
証明すること:𝐼1, 𝐼2, 𝐼3の 6 頂点をそれぞれ同色で塗る
ような G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、v’を別の色で塗るよう
な G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=> v と v’を含む𝐼3について、v を v’と同色で塗れば、求め
る3彩色が完成する
②(|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,3)型のとき、X において v が𝐼1に含まれる場
合、𝐼2に含まれる場合、いずれにも含まれない場合の 3 通
りのパターンが考えられるため、それぞれで証明をする(順
に②-a、②-b、②-c とする)。
【パターン②-a】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼2は独立点集合、v
は𝐼2の各頂点と X - Iの 1 頂点に辺がある。
4
図 6 : ②-a のグラフ
証明すること:𝑰𝟏, 𝑰𝟐の 5 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼2の 3 頂点を同色、残りの 2 頂点をそれぞれ
別の色で塗るような G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=> v と v’を含む𝐼1について、v を v’と同色で塗れば、求
める3彩色が完成する。
【パターン②-b】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2 − {𝑣}は独立点
集合、v は𝐼1の各頂点と X - Iの 1 頂点に辺がある。
図 7 : ②-b のグラフ
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 5 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2 − {𝑣}をそれぞれ同色、残りの 1 頂点を
別の色で塗るような G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=> v と v’を含む𝐼2について、v を v’と同色で塗れば、求め
る3彩色が完成する。
【パターン②-c】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v と𝐼1, 𝐼2の各頂点に辺がある。
図 8 : パターン②-c のグラフ
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 5 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1,𝐼2をそれぞれ同色で塗るような G - {𝑣}の 3
彩色がある。
=> v を別の色で塗れば、求める3彩色が完成する。
③(|𝐼1|) = (4)型のとき、X において v が𝐼1に含まれる場合、
含まれない場合の 2 通りのパターンが考えられるため、そ
れぞれで証明をする(順に③-a、③-b とする)。
【パターン③-a】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1 − {𝑣}は独立点集
合、v と X - Iの 2 頂点に辺がある。
図 9 : パターン③-a のグラフ
証明すること:𝐼1の 4 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1 − {𝑣}の 3 頂点を同色、残りの 2 頂点をそ
れぞれ別の色で塗るような G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=> v と v’を含む𝐼1について、v を v’と同色で塗れば、求め
る3彩色が完成する。
【パターン③-b】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1は独立点集合、v
とバッグ内の各頂点に辺がある。
5
図 10 : パターン③-b のグラフ
証明すること:𝐼1の 4 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1の 4 頂点を同色、残りの 1 頂点を別の色で
塗るような G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=>v を残った別の色で塗れば、求める3彩色が完成する。
④(|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,2)型のとき、X において v が𝐼1(𝐼2)に含まれる
場合、含まれない場合の 2 通りのパターンが考えられるた
め、それぞれで証明をする(順に④-a、④-b とする)。
【パターン④-a】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼2は独立点集合、v
は𝐼2の各頂点と X – Iの 1頂点と辺を持つ
図 14 : パターン⑥-a のグラフ
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 4 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼2の 2 頂点を同色、残りの 2 頂点をそれぞれ
別の色で塗るような G - {𝑣}の 3 彩色がある。
=> v と v’を含む𝐼1について、v を v’と同色で塗れば、求
める3彩色が完成する。
【パターン④-b】X = X’ ∪ {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v は𝐼!, 𝐼2の各頂点と辺を持つ
図 15 : パターン⑥-b のグラフ
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 4 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色で塗るような G - {𝑣}の 3
彩色がある。
=>v を残った別の色で塗れば、求める3彩色が完成する。
5.3 忘却
忘却における削除頂点を v とする
【パターン①】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2,𝐼3は独立点集合、
v ∈ 𝐼3
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 4 頂点をそれぞれ同色で塗るよう
な G の3彩色がある(I3は忘却により独立点集合ではなく
なる)。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2,𝐼3をそれぞれ同色で塗るような G の 3
彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1, 𝐼2のそれぞれを同色で
塗るような3彩色が完成する。
②(|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,3)型のとき、X において v が𝐼1に含まれる場
合、𝐼2に含まれる場合、いずれにも含まれない場合の 3 通
りのパターンが考えられるため、それぞれで証明をする(順
に②-d、②-e、②-f とする)。
【パターン②-d】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v ∈ 𝐼1
証明すること:𝐼2の 3 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、X’ – Iの 1 頂点を残っ
た別の色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼2の 2 頂点を同色で塗る
ような3彩色が完成する。
【パターン②-e】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v ∈ 𝐼2
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 4 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、X’ – Iの 1 頂点を残っ
た別の色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色で塗
るような3彩色が完成する。
【パターン②-f】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v ∉ 𝐼1, 𝐼2
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 5 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、X’ – Iの 1 頂点を残っ
た別の色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色で塗
るような3彩色が完成する。
6
③(|𝐼1|) = (4)型
のとき、X において v が𝐼1に含まれる場合、含まれない場
合の 2 通りのパターンが考えられるため、それぞれで証明
をする(順に③-c、③-d とする)。
【パターン③-c】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1は独立点集合、v
∈ 𝐼1
証明すること:𝐼1の 3 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1の 4 頂点を同色、X’ – Iの 2 頂点をそれぞ
れ別の色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1の 3 頂点を同色で塗る
ような3彩色が完成する。
【パターン③-d】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1は独立点集合、v
∉ 𝐼1
証明すること:𝐼1の 4 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1の 4 頂点を同色、X’ – Iの 2 頂点をそれぞ
れ別の色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1の 4 頂点を同色で塗る
ような3彩色が完成する。
④(|𝐼1|,|𝐼2|) = (2,2)型のとき、X において v が𝐼1(𝐼2)に含まれる
場合、含まれない場合の 2 通りのパターンが考えられるた
め、それぞれで証明をする(順に④-a、④-b とする)。
【パターン④-a】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v ∈ 𝐼2
証明すること:𝐼1の 2 頂点を同色で塗るような G の3彩
色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、X’ – Iの 1 頂点を別の
色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1の 2 頂点を同色で塗る
ような3彩色が完成する。
【パターン④-b】X = X’ − {𝑣} であり、𝐼1, 𝐼2は独立点集合、
v ∉ 𝐼1, 𝐼2
証明すること:𝐼1, 𝐼2の 4 頂点をそれぞれ同色で塗るような
G の3彩色がある。
定理 1 より、𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色、X’ – Iの 1 頂点を別の
色で塗るような G の 3 彩色がある。
=> X’から v を除いたとき、X で𝐼1, 𝐼2をそれぞれ同色で塗
るような3彩色が完成する。
5.4 結合
X と隣接するふたつのバッグX1とX2は集合として等しい
ため、X1,X2の彩色結果を X の対応した頂点にそのまま引
き継ぐことが出来る。このことから 3 彩色が可能であるこ
とは明らかである
5.5 まとめ
G[X]の基底、導入、忘却、結合についてバッグ内での彩
色が定理 1 に基づき 3 彩色可能であるため、T が 3 彩色可
能、そしてそれは G も 3 彩色可能と言える。したがって、
木幅 5 以下のグラフにおいては、3 彩色可能性とバタフラ
イコンフリクトを持たないことは等価である。
6. 今後の展望
木幅 5 以下までのグラフについては証明が出来たが、そ
れ以上の木幅についても検証し、より一般的な定理を調べ
る余地がある。今現在検証中であり本研究には含まれてい
ないが、木幅 6 に関してはおそらく定理 1 によって証明が
出来る見通しが立っている。同様に木幅 7 以降の証明が出
来ればより一層の 3 彩色問題の解法の足掛かりとなるだろ
う。
参考文献
1) 都築秀之 3 彩色問題での 3 彩色不可のグラフパターンの検証
http://www.th.cs.meiji.ac.jp/assets/researches/2017/tsuzuki/research_tsu
zuki.pdf
2) 岩田陽一“Tree-width and other width parameters”(2013-7)
http://www-imai.is.s.utokyo.ac.jp/~imai/lecture/GraphMinor.pdf