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地球温暖化をはじめとする環境問題を解決するためには、「 …地球温暖化をはじめとする環境問題を解決するためには、「知って終 わり」ではなく「解決のための行動を起こす・続ける」ことが大切

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地球温暖化をはじめとする環境問題を解決するためには、「知って終わり」ではなく「解決のための行動を起こす・続ける」ことが大切です。そのためには、伝え方にも工夫をこらすことが必要です。全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)では、地球温暖化についてわかりやすく伝え、地球温暖化防止に向けた行動への一歩を踏み出すためのきっかけとなる「活動プログラム」「フィールドワーク型ワークショップ」「工作プログラム」等を開発してきました。この手引書では、JCCCAで開発したプログラム・ワークショップ等を地域で実施するときのポイントをまとめています。「活動プログラム」の章では、地球温暖化の情報を見聞きするだけでなく、参加者が頭や体を使ったりグループワークをしながら温暖化問題を考え、防止活動へのきっかけとなるように工夫されたプログラムについて紹介し、地域で実施する上で役立つポイントをまとめました。「フィールドワーク型イベント」の章では、6年間JCCCAで積み重ねてきたオリジナルイベントの進め方や工夫について、地域でアレンジしやすいように紹介しています。「工作プログラム」の章では、つくって終わりの工作イベントからの脱却を図り、工作を通して環境問題を考えるきっかけを与えるプログラムづくりのコツを紹介しています。各地域ごとの特色を生かして、活用していただければと思います。今後は、地域で実施した活用事例も収集して共有していきたいと考えております。ぜひ実施報告をJCCCAまでお寄せください。

                 全国地球温暖化防止活動推進センター

ジャッカ

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気づき食べ物の旬を見つけるのは難しい!1年中売られているものもあるなぁ

体験食べ物をつくったり、運んだりする時にエネルギーがかかるんだ!

日常へ自分の食生活の中で、できる温暖化対策は何だろう?

環境問題や地球温暖化についての学習会やイベントなどで、一般の方々が情報を得る機会が増えています。しかし、知らせて終わりになってしまい、日常につなげられないケースが多くありませんか?ここでは、誰にとっても身近な「食べ物」という題材を使い、生活の中でできる温暖化対策について気づく活動プログラム「食べ物をめぐる物語」を紹介します。

活動プログラム 「 食べ物をめぐる物語」●�ねらい現在の日本における豊かな食生活の裏側にある、地球温暖化問題とのつながりに気づき、自分の食生活をふりかえるきっかけにする。

●�対 象中学生以上(最適参加人数:20名 指導者1名につき)※特に主婦には最適。日常的に料理する機会が多く、テーマや内容はもちろん、日常へもつなげやすい。

●�流 れ(所要時間:30 分)00:00~00:10 導入(チラシクイズに挑戦!)00:10~00:25 本体(外国の食べ物を探せ!)00:25~00:30 まとめ

●�ポイント身近な切り口である食べ物について、地域のアレンジを加えたツールを使って、参加型で考えてもらい、日常への行動につなげる。

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準備

導入

本体

まとめ

実施

ふりかえり

本手引書の5ページ「『食べ物をめぐる物語』のつくり方」や6ページ「地

域バージョンのつくり方」を参考に、ツールを作成しましょう。

まとめなどで使えそうな地元の食についての情報を集めましょう。どんな食

材があり、どこで手に入るかが掲載されている地域情報のパンフレットなど

を配布できるよう、手に入れておくのも良いでしょう。

道具類が揃っているか確認して、プログラムを行う場のセッティングを行い

ます。世界地図パネルは黒板やホワイトボードに貼れるよう準備し、図表パ

ネルなどは、見せる順序なども考えて取り出しやすいようにセットします。

ワークシートは必要枚数をコピーしておきましょう。

配られたチラシを見て、何月のチラシかを当てるクイズに

挑戦してもらいます。

チラシの中から遠くから運ばれてきた食材を探し、

ワークシートに記入してもらいます。

自分たちの食生活の中で、何ができるのかを

考えてもらいます。

本手引きの4ページ「ふりかえりシート」を参考に、実施に携わったスタッフ全員で、良かった点・改善点・次回挑戦したい点などをふりかえりましょう。最初は主担当が発言し、補足するようなかたちで他のスタッフが発言すると良いでしょう。時間軸に沿って準備段階から細かくふりかえっていくと進めやすいです。失敗したところだけでなく、よくできたところも必ずほめあいましょう。改善点も、悪いところを責めるのではなく次回に向けて前向きなアドバイスになるように心がけましょう。記入したシートは保管しておき、次に実施する際に見直すと、同じような失敗を減らすだけでなく、クオリティの向上にもつながります。

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00:00 導入

00:10 本体 

チラシクイズに挑戦!●グループに1枚ずつチラシを配り、そのチラシが何月のチラシなのか、掲載されている食べ物など(なるべく生鮮食品)から予想して当ててもらう。●参加者の回答を聞いて、答え合わせを行う。●一年中売られている生鮮食品も参加者に探してもらう。

●スーパーの食品チラシ加工ツール 4 枚●グラフ「きゅうり1 kg 当たりの生産投入エネルギー量と内訳」

●世界地図●国名入り世界地図●グラフ「各国のフードマイレージの品目別比較」●ワークシート●サインペン●マグネット

外国の食べ物を探せ!●チラシの中から外国産の食べ物を見つけてもらう。ワークシートを配布して、外国産の食べ物の国名と食品名を書いて世界地図に貼ってもらう。●世界地図に貼り終わってから、1つずつどんなものがあったか見ていく。

●参加者の住む地域の食材についての情報などを話して、日常生活につながりやすくする。

●「○○(食材の名前)があるから、□月」と回答を発表してもらう。他に載っていた季節の食べ物についても補足して、その季節ならではの“旬”の食べ物があることに目を向けてもらう。●図表「きゅうり1kg 当たりの生産投入エネルギー量と内訳」のグラフを見ながら、その裏に隠されているエネルギーについて考えてもらう。

●世界地図に貼られたワークシートを読みあげるなどして、たくさんの物が外国から運ばれてきていることを確認する。●図表「各国のフードマイレージの品目別比較」を見て、食べ物の輸送にも多くのエネルギーが使われていることも知ってもらう。

00:25 まとめ ●自分たちの食生活が地球温暖化の原因とつながっていることを確認して、参加者ができる温暖化対策を考えていく。

時間 項目 内容 ポイント 準備物

00:30 終了 アンケート記入 アンケート用紙

-00:10 受付 ●事前に班分けしているテーブルに座ってもらう。

スタッフは参加者と交流して雰囲気づくりをする。

※プログラムに必要な基本的な道具類は、貸出物A07-03「食べものをめぐる物語」に含まれています。※さらに詳しい内容については、貸出物に含まれる「活動プログラムシート」をご覧ください。 (ホームページからもダウンロードできます)

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●�つくるものリスト 1セット分(☆印のものは JCCCA よりデータ提供可)

○�スーパーの食品チラシ加工ツール 4枚 ※春夏秋冬に1枚ずつ○�世界地図、グラフなどのパネル類 3種類 4枚○�ラミネート加工した国名入り世界地図(A3 1枚)○�ワークシート原紙(A4 2種類 2枚)

●�必要なもの 1セット分○ JCCCA からのデータが入っているCD○�スーパーのチラシ(春夏秋冬の各季節のものを十分用意する)○�色画用紙 適量(月を隠すときに使う)○�ラミネーター、ラミネート用紙

●�つくり方○�スーパーの食品チラシ加工ツール1.�チラシを集め、選別しましょう新聞の折り込みチラシを取っておくこともできますが、地元スーパーなどに分けてもらうと効率よく集められます。食品中心のチラシで、食品の写真

(カラー)が多く載っていて、旬の食材と一年中ある食材がバランス良く載っているものなどを選びましょう。外国産の食材が入っているものを選びましょう。

2.�チラシを加工しましょうそのチラシが何月のものか分かるような表記を細かいところまですべてを見つけ出して、色画用紙を貼って隠します。ラミネート加工しましょう(A3より大きなチラシは業者に依頼する必要があります)。隠す前にどのチラシが何月なのかメモをしておきます。

3.�答えあわせ資料をつくりましょう使うチラシが決まったら、それぞれのチラシにA~Dなど区別できる記号等をつけ、答え合わせのための資料をつくります。Aのチラシ:9月(旬のもの:りんご、かき、秋鮭…)など、答えとその決めてとなる食材を書き出しておきます。ラミネートをする前に、必ず数人でチェックし、隠し漏れがないか確認しましょう!

○�それ以外のツールJCCCA からのパネルデータは 100%で出力すると 60cm × 60cm 程度の大きいものもあります。広い会場や大人数などに対して使用する場合は見やすいサイズですので、大型プリンターがない場合は出力サービスを行っている業者に依頼しましょう。ラミネート加工は、パネル類は大きいサイズのものであれば、チラシ同様、業者に依頼しましょう。

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1.�地域の食材がわかるツールを活用する京都府地球温暖化防止活動推進センターでは、京都府の生協にチラシを提供してもらい、「食べ物をめぐる物語」京都版を作成しました。さらに、プログラム参加者が地産地消に目を向けて、具体的に行動してもらえるように、「府内野菜の出回り時期と主な産地」というカレンダーを活用しています。これは京都府農林水産部食の安心・安全推進課が作成したもので、推進員やセンター職員が出前授業を行う時に使っています。 このように自治体の農林水産関連部署などが、地元の産直に関する冊子を作成しているので、それらの冊子を地域のツールとしてうまく活用し、プログラム参加者が、地元産を消費するきっかけになるように活用してみてはいかがでしょうか。

2.�地域に即したツールを開発するJCCCA の貸出物「A07-01 元気なごはん ~夏~」では、東京の地場産と旬にクローズアップしています。東京湾で獲れるアサリを使った煮物や夏野菜のきゅうりやなすを使った料理の写真パネルだけではなく、簡単なレシピも付いており、見た人を「おいしそう!つくってみよう!」という気にさせます。また冬の食べ物にも目を向けてもらうために「A07-02 元気なごはん~冬においしく~」も作成しました。食べ物は地域性を取り入れやすい題材です。ぜひ、ご自分の地域の特色を活かしたツールを開発して下さい。

3.�参加者の学びが継続する「おみやげ」を用意するJCCCA では、「食べ物をめぐる物語」に関連して、「ごはんノート」というワークブックを制作しました。「ごはんノート」は毎日の自分のごはんの感想を書き込むだけではなく、その食材の中に「地元のもの」「季節のもの」がどれだけ含まれているかを書きこめるようになっています。プログラムを体験しておわりにせず、日常に戻ってからも続けることによって、自分の食生活が輸送や生産の際のエネルギー消費とどれだけつながっているかの実感が湧いてくるでしょう。

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プログラムを実施する際のポイントを以下にまとめました。何度も実践する中で伝える技術は磨かれていきます。失敗を次へ活かしましょう。 

参加者とのやりとりクイズをはじめ参加者に問いかける部分では、答えを聞いて終わりにはせず、なぜそう考えたのかも聞いてみましょう。参加者と丁寧にやりとりをして、じっくり考えてもらうことが学びを深めます。

グループワークで参加者同士でやりとり人数が多いときは、参加者を数人ずつのグループに分けて、プログラムを体験してもらいましょう。クイズや作業に取り組む時に生まれる参加者同士のコミュニケーションも、学びがにつながります。

データを出すタイミンググラフなどのデータは関心のない人には難しく、そうではない人にはわかったつもりにさせてしまうものです。クイズや作業で興味や疑問を充分に引き出し、タイミングよく出すと良いでしょう。

日常へとつなげるまとめ自分の生活とつながるような参加者の声を引き出し、プログラムを体験して気づいたことなどを日常に持ち帰ってもらえるようにすることが大切です。こちらから教えるより、参加者自身が気づいたことの方が印象に残り、その後の行動にもつながっていきます。

地域のネタを加える地域の自然や特性、まちの地場産業などをひとつでもプログラムに加えてみましょう。よりリアルに自分たちの暮らしや地域のあり方を見直し、未来をつくっていく行動へとつなげていくことができます。

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準 備:□使いやすいチラシを選別しましたか?

□チラシの何月かわかる部分をすべて隠しましたか?

実施の前に:□前回の「ふりかえり」をチェックしましたか?

□道具類が揃っているか確認して、場のセッティングを行いましたか?

□グループに分けて体験してもらう準備はできましたか?

⦆ふりかえり:□参加者とのやりとりはできていましたか?

□適したタイミングでデータを出せましたか?

□日常の生活につながるまとめができましたか?

□ スタッフ全員でふりかえりをしましたか?

□ ふりかえった内容をシートにまとめましたか?

地域色:□地元の食品チラシを手に入れましたか?

□地元の食材の情報を内容に盛り込みましたか?

memo

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○�「家庭生活のライフサイクルエネルギー」(社団法人 資源協会)○�「食料の総輸入量 ・ 距離(フードマイレージ)とその環境に及ぼす負荷に�� 関する考察」  中田哲也(農林水産政策研究第 5 号より)○�「フードマイレージから見えてくるもの」中田哲也 � (「わたしは消費者」web 版より )� http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/kyouiku/shouhisha/107/4.htm

○�WEB サイト:「フードマイレージ・プロジェクト」� http://www.food-mileage-project.com/

○�書籍:「旬の食材」シリーズ(全 7 巻) 講談社編 (講談社発行)○�WEB サイト:直売所ドットコム� http://www.tyokubaisyo.com/

○�WEB サイト:東京中央卸売市場� http://www.shijou.metro.tokyo.jp/kids/index.html

○�女子栄養大学栄養学部 生物有機化学 辻村卓教授の研究� http://www.vic-japan.gr.jp/vicJ/no97.htm

○�WEB ページ:旬の食材事典(キッコーマン株式会社 ホームページ内)� http://www.kikkoman.co.jp/homecook/chie/season/01.html

○�WEB ページ:子育ての医学情報� http://www.oyako-net.com/medicine_info/column_117.html

○�WEB サイト:食料需給情報ステーション(農林水産省 ホームページ内)� http://www.kanbou.maff.go.jp/www/station/

お問い合わせプログラムを実施するにあたり、わからないことや質問などがありましたら、全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)にお問い合わせください。

全国地球温暖化防止活動推進センター (JCCCA)温暖化防止促進課WEB SITE:http://www.jccca.org/