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大和市耐震改修促進計画
大和市
平成31年3月
1
1
大和市耐震改修促進計画
目 次
第1章 計画の目的等
1 計画策定の背景 ····················································································· 3
(1)地震による被害状況
(2)地震調査委員会による相模トラフ沿いの地震活動の長期評価の見直し
(3)中央防災会議による首都直下地震の想定被害
(4)東日本大震災以降の耐震化に係る状況
(5)耐震改修促進法の改正及び促進計画の改定
2 計画の位置付け・目的 ············································································ 7
3 計画期間 ······························································································ 7
4 対象建築物 ··························································································· 8
(1)種類
(2)多数の者が利用する特定建築物及び危険物を取り扱う特定建築物
(3)地震による倒壊で道路を閉塞する恐れのある建築物
5 市民(所有者、管理者)と市の取り組み ················································ 15
6 県と市との連携 ················································································· 15
第2章 想定される地震の規模・被害
1 大和市で想定される地震 ····································································· 16
2 大和市における地震被害想定 ······························································· 17
第3章 これまでの取り組みと成果
1 住宅及び特定建築物の目標実現に向けた取り組み ···································· 18
(1)住宅及び特定建築物の耐震化に向けた普及・啓発
(2)木造住宅の耐震化促進事業の実績
(3)分譲マンションの耐震化促進事業の実績
(4)家具転倒防止器具取付支援事業の実績
(5)住宅及び特定建築物の取り組みによる成果
(6)耐震診断が義務化された建築物への対応
2 公共建築物の目標実現に向けた取り組み ················································ 21
(1)公共建築物の耐震改修等の実績
(2)公共建築物の取り組みによる成果
2
第4章 建築物の耐震化の目標
1 住宅の耐震化 ····················································································· 22
(1)住宅の耐震化の現状
(2)住宅の耐震化の目標
2 特定建築物の耐震化 ············································································ 24
(1)特定建築物の耐震化の現状
(2)特定建築物の耐震化の目標
(3)特定建築物の耐震診断の報告期限
3 公共建築物の耐震化 ············································································ 28
(1)公共建築物の耐震化の現状
(2)公共建築物の耐震化の目標
第5章 建築物の耐震化を促進するための施策
1 耐震化の促進に関する基本的な考え方 ···················································· 30
2 耐震化に向けた普及・啓発 ··································································· 30
(1)耐震化に関する取り組みの PR
(2)パンフレットの配布、ホームページを活用した情報提供
(3)防災マップの活用
(4)相談体制の充実
(5)セミナー、講習会等の開催
3 耐震診断・耐震改修を図るための支援策 ················································· 33
(1)耐震関係支援事業の効果的な運用
(2)耐震化へ向けた支援事業
(3)各種認定制度等による耐震化促進
(4)地震時における安全対策への助言等
第6章 耐震改修促進法及び建築基準法による指導等
1 耐震改修促進法による指導等の実施 ······················································· 40
2 耐震診断が義務化された特定建築物への対応 ··········································· 40
3 耐震診断の結果の公表 ········································································· 40
第7章 進行管理等
1 目標実現のための進捗状況の点検及び評価 ·············································· 41
3
第1章 計画の目的等
1 計画策定の背景 (1)地震による被害状況
ア)阪神・淡路大震災における被害の概要
平成7年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災は、大都市における大規模な直
下型地震(マグニチュード7.3)であったことから、阪神・淡路地方を中心に多大な被害を
もたらすとともに、死者数は6,434人になりました。このうち地震による直接的な死者数は
5,502人であり、さらにこの約9割の4,831人が家屋や家具類等の倒壊によるものでした。(図
表1-1)
特に昭和56年の建築基準法施行令における「新耐震基準」※1以前に建築された建築物で
倒壊等の被害が多かったことから、昭和56年5月31日以前に建築された建築物(以下「昭和
56年以前の建築物」という。)に対する耐震性の向上が求められました。(図表1-2)
図表 1-1 死亡者の死因
平成 7年度版「警察白書」より
図表1-2 建築年別の建築物被害状況(%)
平成7年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告より
家屋、家具類等の
倒壊による圧迫死と
思われるもの
焼死体(火傷死体)
及びその疑いのあるもの その他
(88%)4,831人
(2%)
121人
(10%)
550人
29%
8%
37%
34%
75%
17%
※1 宮城県沖地震(昭和53年6月12日、M7.4)等の経験から、昭和56年6月1日に建築基準法施行令の耐震基準が大幅に改正施行
されました。この基準を「新耐震基準」と呼んでいます。
※2 大破は「そのままでは住めない状況の建築物」を、中破は「そのままでも住めるが、かなりの修理を必要とする状況の建築物」
を意味しています。
合計 5,502人
※2
※2
4
イ)平成 28年熊本地震における被害の概要
平成28年4月14日午後9時26分にマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町で最大
震度7を記録しました。さらに、約28時間後の4月16日午前1時25分にマグニチュード7.3の
地震が発生し、益城町で再度震度7を、また、熊本県西原村でも震度7を記録しました。
この地震による人的被害は、避難生活に伴う体調悪化等で死亡した「震災関連死」の死
者数より少ないものの、建物倒壊や土砂崩れによる直接的な死者数として50人が確認され
ています。
益城町における木造の建築時期別の被害状況によると、昭和56年以前の木造建築物につ
いては、新耐震基準で建てられた木造建築物と比較して、高い倒壊率となりました。(図表
1-3)
このことから、新耐震基準は、今回の地震に対する倒壊・崩壊に有効であったと認めら
れ、昭和56年以前の木造建築物については、建築物の耐震化の重要性を再認識させる結果
となりました。
図表1-3 益城町における木造の建築時期別の被害状況(%)
平成28年熊本地震建築物被害調査報告(速報) 国土交通省 国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人 建築研究所、
平成28年(2016年)熊本県熊本地方を震源とする地震に係る被害状況等について(平成30年4月13日) 内閣府非常災害対策本部より
旧耐震基準 新耐震基準
5
(2)地震調査委員会による相模トラフ沿いの地震活動の長期評価の見直し
地震調査委員会※1において、東北地方太平洋沖地震のような超巨大地震を評価の対象と
できなかったことをはじめ、海溝型地震の長期評価に関して様々な課題が明らかとなりま
した。これらの課題を踏まえ、地震調査委員会では、平成25年4月25日に、東京とその周辺
に大きな被害をもたらすことが懸念される、相模トラフ沿いの地震活動の長期評価を10年
ぶりに見直しました。見直しにおける地震の震源域については、相模トラフ沿いに首都圏
から房総沖までの広い範囲とし、ここで発生する規模はマグニチュード7.9から8.6までと
しました。そのうえで、今後30年以内に、マグニチュード8クラスの地震が起こる確率をほ
ぼ0%~5%、マグニチュード7クラスの地震が起こる確率を70%程度としています。
(3)中央防災会議による首都直下地震の想定被害
平成25年12月19日開催の中央防災会議※2「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」
では、都区部直下のマグニチュード7クラスの地震(都心南部直下地震)が、30年間に70%
の確率で発生すると報告しました。当該地震による被害想定(茨城県、栃木県、群馬県、
埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県及び静岡県が対象)は次のとおりです。(表1-1)
表 1-1 建物・人的被害想定
地震による全壊家屋 最大 約175,000棟 焼失家屋 最大 約412,000棟
建物倒壊による死者 最大 約 11,000人 火災による死者 最大 約 16,000人
負傷者 最大 約123,000人 建物等の直接被害 約 47兆円
(4)東日本大震災以降の耐震化に係る状況
平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、死者数18,000人を超え、巨大な地震・津波
により一度の災害で戦後最大の人命が失われる等、甚大な被害をもたらしました。
この大震災を踏まえ、国土交通大臣から諮問を受けた社会資本整備審議会※3は「住宅・
建築物の耐震化促進方策のあり方について(平成25年2月)」を取りまとめ、次のような耐
震化施策の方向性を提示しました。
① 支援策の充実による耐震化に要する費用負担の軽減
② 耐震性の必要性を認識させるための耐震診断の徹底等
③ 信頼できる技術者等の育成
④ 適切な工法・費用・効果等が判断可能な情報提供・相談体制の充実
⑤ 居住・使用状況に大きな支障を来さない新たな耐震改修工法の開発・活用促進
⑥ マンションの耐震化に係る意思決定の円滑化
※1 地震防災対策特別措置法に基づき、文部科学省に設置された特別機関であり、関係省庁の職員及び学識経験者により構成され
ています。 ※2 内閣総理大臣を会長とし、防災担当大臣や防災担当大臣以外の全閣僚、災害対策基本法に基づく指定公共機関の長、学識経験
者により構成されています。 ※3 国土交通大臣の諮問に応じて不動産業、宅地、住宅、建築、建築士及び官公庁施設に関する重要事項を調査審議する機関で、
各分野の学識経験者、有識者により構成されています。
6
(5)耐震改修促進法の改正及び促進計画の改定
建築物の耐震改修の促進に関する法律(以下「耐震改修促進法」という。)は、阪神・淡
路大震災の教訓を踏まえて、平成7年12月に制定されました。
以降、平成16年10月23日の新潟県中越地震等いくつかの大地震を受けて、平成17年3月30
日の中央防災会議において、東海地震及び東南海・南海地震の被害想定の死者数や経済被
害を、今後10年間で半減させる減災目標が示されるとともに、住宅及び多数の者が利用す
る特定建築物の耐震化率を、平成15年の75%から10年間に90%とすることが設定されまし
た。この目標を実現すべく、平成18年1月には、「改正耐震改修促進法」が施行され、都道
府県における耐震改修促進計画の策定が義務化されるとともに、市町村においても耐震改
修促進計画の策定に努め、計画的に耐震化を促進すること等が定められました。
これを受けて、大和市では、平成21年4月に「大和市耐震改修促進計画」(以下「促進計
画」という。)を策定し、建築物の耐震化に取り組んできました。
その後、国は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災による地震被害を受けて、今後
発生が予想されている南海トラフの巨大地震の被害を想定しました。その結果、南海トラ
フの巨大地震や首都直下型地震が最大クラスの規模で発生した場合、東日本大震災を超え
る甚大な人的・物的被害が発生することがほぼ確実視されています。
そこで、大地震の発生に備えて、建築物の地震に対する安全性の向上を一層促進するた
め、平成25年11月に、「改正耐震改修促進法」が施行され、建築物の耐震化の促進のための
規制措置や建築物の耐震化の円滑な促進のための措置が盛り込まれました。
この改正を受け、大和市では、平成26年12月に促進計画を改定し、新たに規定された内
容を反映しました。
促進計画改定後も、平成28年4月には、熊本地震が発生しました。熊本地震における建築
物被害の原因分析を行う委員会※1では、昭和56年以前の木造建築物については、昭和57年
以降の木造建築物に比較して倒壊率が高くなっており、耐震改修、建替え等の一層の促進
が必要であるとしています。
また、国は、平成 30 年 6 月の大阪府北部地震におけるブロック塀の倒壊を受け、平成
31年 1 月に「改正耐震改修促進法施行令」を施行しました。
これにより、耐震診断義務路線に接する一定の高さ・長さを有するブロック塀等であっ
て、昭和 56年以前のものについては、耐震診断が義務付けられるなど、ブロック塀等の耐
震化の促進に向けた取り組みが強化されました。
大和市においても、先の震災の教訓を踏まえ、地震被害の軽減のため、建築物の耐震化
等の対策を進めることが必要です。本計画をもとに、災害に強い街づくりを実現するため、
建築物の耐震改修の促進に向けて計画的かつ総合的に取り組みます。
※1 国土交通省国土技術政策総合研究所に設置されている「建築構造基準委員会」と国立研究開発法人建築
研究所に設置されている「建築研究所熊本地震建築物被害調査検討委員会」により構成されています。
7
2 計画の位置付け・目的
促進計画は、耐震改修促進法第6条第1項により、国の「建築物の耐震診断及び耐震改修
の促進を図るための基本的な方針」(平成30年12月国土交通省告示第1381号)」(以下「国の
基本方針」という。)及び「神奈川県耐震改修促進計画」(以下「県促進計画」という。)に
基づき、策定するものです。
また、促進計画は、基本目標5に「安全で安心して暮らせるまち」を掲げる健康都市やま
と総合計画の他、大和市都市計画マスタープラン及び大和市地域防災計画の都市防災対策
に係る部門計画として位置づけます。これらの計画と整合を図りながら、昭和56年以前の
建築物の耐震化を図り、建築物の地震に対する安全性の向上を計画的に促進することを目
的とします。(図1-1)
図1-1 大和市耐震改修促進計画の位置付け
3 計画期間
促進計画の計画期間は、第8次大和市総合計画と合わせ、平成27年度から平成30年度まで
としていましたが、国の基本方針及び県促進計画の期間や耐震化率の目標値等との整合を
図るため、平成32年度まで延長します。
これにより、耐震診断や耐震改修に係る費用についての財政的措置を含め、引き続き、
国、県と一体となって広域的に耐震化の促進を図っていきます。
なお、国や県の動向、促進計画に位置づけた施策(助成制度、普及啓発等)の進捗状況
に応じて、計画期間の見直し等の検討を行うものとします。
「地震防災戦略」策定
災害対策基本法 中央防災会議
大和市都市計画
マスタープラン
健康都市やまと総合計画
大和市地域防災計画
神奈川県耐震改修促進計画
神奈川県地域防災計画
大和市耐震改修促進計画
大和市イベントキャラクターヤマトン
耐震改修促進法
国の基本方針(H30 国交告示 1381 号)
8
4 対象建築物 (1)種類
対象とする建築物は、昭和56年以前の建築物のうち、次に示す種類の建築物とします。
ただし、促進計画における公共建築物とは、大和市単独では耐震対策を実施できない国、
県有施設や小規模な建築物等※1を除いた市有の公共建築物を言います。なお、耐震改修促
進法第5条第3項第1号に基づく、防災拠点建築物は、県促進計画に定められます。(表1-2)
表 1-2 対象建築物
種 類 内 容 備 考
民間建築物
住宅
(1)木造住宅 (戸建て、長屋、アパート等)
(2)非木造住宅(戸建て、長屋、アパート等)
(3)マンション(非木造の共同住宅)
・「住宅」とは、一戸建ての住宅、
長屋及び共同住宅をいい、店
舗等の用途を兼ねるものを含
む
特定
建築物
(1)不特定多数・避難弱者が利用する建築物
(以下「多数の者が利用する特定建築物」
という。)(学校、病院、百貨店、事務所等)
①耐震化を努力する建築物
②耐震診断が義務化された建築物
<要緊急安全確認大規模建築物>
(P8表1-3参照)
(1)①耐震改修促進法第14条第1
号
②耐震改修促進法附則第3条
・多数の者が利用する特定建築
物とは、建築物の用途や階数、
規模により耐震改修促進法に
定められるもの
(2)危険物を取り扱う建築物(以下「危険物を
取り扱う特定建築物」という。)(貯蔵場又
は処理場)
・耐震改修促進法第14条第2号
・火薬類、石油類等の危険物で
耐震改修促進法施行令に定め
られる数量以上のもの
(3)地震による倒壊で道路を閉塞する恐れの
ある建築物(以下「重要道路に接する特定
建築物」という。)
①耐震診断義務路線に接する建築物
<要安全確認計画記載建築物>
(P10表1-4参照)
②耐震診断努力路線に接する建築物
(P12、13表1-5参照)
(3)①耐震改修促進法第6条第3
項第1号
②耐震改修促進法第6条第3
項第2号
公共
建築物
(1)防災上重要な施設※2
(庁舎、消防署、小中学校等)
(2)その他の施設
(調理場、管理事務所等)
耐震改修促進法第14条第1号
< >は、耐震改修促進法による名称
※1 小規模な建築物とは、平屋で延床面積200㎡未満の建築物及び木造で延床面積50㎡以下の建築物を言いま
す。また、他の地震対策計画に定められた公共建築物は除きます。 ※2 災害応急対策活動に必要な公共建築物等で、避難所や庁舎、消防等の施設です。公共建築物の2つの種別
は、第4章3(1)公共建築物の耐震化の現状に記載があります。(P28表4-10参照)
9
(2)多数の者が利用する特定建築物及び危険物を取り扱う特定建築物
対象とする施設に該当する用途及び規模の要件は、次のとおりです。(表1-3)
表1-3 多数の者が利用する特定建築物及び危険物を取り扱う特定建築物に該当する用途・規模要件
用 途
【努力義務 指導対象】
法第14条、
法第15条第1項、
令第6条第1項、第2項
【指示対象】
法第15条第2項
令第8条第1項、第2項
【耐震診断義務対象
(要緊急安全確認
大規模建築物)】
法附則第3条
令附則第2条第1号、第2号
学校
小学校、中学校、中等教
育学校の前期課程若しく
は特別支援学校
階数2以上かつ1,000㎡以上
※屋内運動場の面積含む
階数2以上かつ1,500㎡以上
※屋内運動場の面積含む
階数2以上かつ3,000㎡以上
※屋内運動場の面積含む
上記以外の学校 階数3以上かつ1,000㎡以上
体育館(一般公共の用に供されるも
の) 階数1以上かつ1,000㎡以上 階数1以上かつ2,000㎡以上 階数1以上かつ5,000㎡以上
ボーリング場、スケート場、水泳場
その他これらに類する運動施設
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上 病院、診療所
劇場、観覧場、映画館、演芸場
集会場、公会堂
展示場
卸売市場
百貨店、マーケットその他の物品販
売業を営む店舗 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上
ホテル、旅館
賃貸住宅(共同住宅に限る。)、寄宿
舎、下宿
事務所
老人ホーム、老人短期入所施設、福
祉ホームその他これらに類するも
の 階数2以上かつ1,000㎡以上 階数2以上かつ2,000㎡以上 階数2以上かつ5,000㎡以上
老人福祉センター、児童厚生施設、
身体障害者福祉センターその他こ
れらに類するもの
幼稚園、保育所 階数2以上かつ500㎡以上 階数2以上かつ750㎡以上 階数2以上かつ1,500㎡以上
博物館、美術館、図書館
階数3以上かつ1,000㎡以上
階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上
遊技場
公衆浴場
飲食店、キャバレー、料理店、ナイ
トクラブ、ダンスホールその他これ
らに類するもの
理髪店、質屋、貸衣装屋、銀行その
他これらに類するサービス業を営
む店舗
工場(危険物の貯蔵場又は処理場の
用途に供する建築物を除く)
車両の停車場又は船舶若しくは航
空機の発着場を構成する建築物で
旅客の乗降又は待合の用に供する
もの 階数3以上かつ2,000㎡以上 階数3以上かつ5,000㎡以上
自動車車庫その他の自動車又は自
転車の停留又は駐車のための施設
保健所、税務署その他これらに類す
る公益上必要な建築物
危険物の貯蔵場又は処理場の用途
に供する建築物
令第7条第1項で定める危険
物を、第2項で定める数量以
上貯蔵又は処理するすべて
の建築物
500㎡以上
5,000㎡以上かつ敷地境界線か
ら一定距離以内に存する建築
物
表内の法とは耐震改修促進法、令は耐震改修促進法施行令をいう。
10
(3)地震による倒壊で道路を閉塞する恐れのある建築物
ア)重要道路に接する特定建築物
①耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)
昭和56年以前の建築物で、耐震改修促進法第6条第3項第1号の適用を受ける道路※1に敷
地が接し、一定の高さ要件を満たす同法第14条第3号に基づく建築物(図1-2)
②耐震診断努力路線に接する建築物
昭和56年以前の建築物で、耐震改修促進法第6条第3項第2号の適用を受ける道路※2に敷
地が接し、一定の高さ要件を満たす同法第14条第3号に基づく建築物(図1-2)
<一定の高さ要件>
図 1-2 重要道路に接する特定建築物に該当する要件
※1 耐震改修促進法第6条第3項第1号の適用を受ける道路とは、地震災害時、早期に通行を確保すべき道路と
して定める道路です。(3)イ)耐震診断義務路線において詳しく説明します。(P11表1-4参照)
※2 耐震改修促進法第6条第3項第2号の適用を受ける道路とは、地震災害時に通行を確保すべき道路として定
める道路です。(3)ウ)耐震診断努力路線において詳しく説明します。(P13、14表1-5参照)
前面道路
4m
11
イ)耐震診断義務路線
地震により、緊急輸送道路等防災上重要な道路に接する建築物が倒壊し、道路閉塞を起
こした場合、広域的な避難や救急・消火活動に大きな支障をきたし、緊急物資等の輸送や、
復旧・復興活動を困難にさせることが懸念されます。東日本大震災において、自動車専用
道路をはじめとする幹線道路は、緊急輸送道路として、救急・救援や復旧に役立つ等、「い
のちの道」としての機能を発揮しました。このため、地震発生時に閉塞を防ぐべき道路を
あらかじめ定め、その道路に接する建築物について、重点的に耐震化を促進することが重
要です。
そこで、大和市では、平成26年12月にそれら道路に接する建築物の耐震化を早期に図る
必要がある緊急輸送道路を耐震診断義務路線として定め、その道路に接する建築物の所有
者に対して、耐震診断を義務付けています。耐震診断義務路線は、広域的ネットワークを
確保し、復旧・復興活動を円滑に進めるため、神奈川県警察が選定する「緊急交通路指定
想定路※1」の6路線としています。耐震診断義務路線は、次のとおりです。(表1-4)、(図1-3)
表 1-4 耐震診断義務路線
NO 路線名 区 間 緊急輸送道路等
1 第一東海自動車道
(東名高速) 本市区間全線
緊急交通路
指定想定路
神奈川県
第1次
緊急輸送道路※2
2 国道 16号線 本市区間全線
3 国道 246号線 本市区間全線
4 国道 467号線 本市区間全線
5 県道 45号
(丸子中山茅ヶ崎線) 本市区間全線
6 下鶴間桜森線 上草柳交差点~海老名市境 大和市指定
第1次緊急輸送
道路補完道路※3
※1 県内又は他県に係る災害が発生した場合、一般車両の通行を禁止又は制限し、救急救命活動、緊急支援
物資輸送等を迅速に実施するため、緊急通行車両の通行を確保する路線です。
※2 高規格幹線道路、一般国道等で構成する広域的ネットワーク及び港湾等に連結する路線で緊急輸送の骨
格をなす路線です。
※3 神奈川県が指定する緊急輸送道路と有機的な連携を基本に、市内の緊急輸送に不可欠な路線で、広域避
難場所及びヘリコプター臨時離着陸場から大和市災害対策本部を結ぶ路線です。
12
②国道 16 号線
⑤県道 45 号 (丸子中山茅ヶ崎線)
中央林間駅
つきみ野駅
南林間駅
鶴間駅
大和駅 相模大塚駅
桜ヶ丘駅
高座渋谷駅
相模鉄道本線
⑥下鶴間桜森線 上草柳交差点~海老名市境
①第一東海自動車道 (東名高速)
③国道 246号線
④国道 467号線
図 1-3 耐震診断義務路線
13
ウ)耐震診断努力路線
「神奈川県第2次緊急輸送道路※1」、「大和市指定第1次緊急輸送道路補完道路」及び「大
和市指定第2次緊急輸送道路補完道路※2」の40路線を、耐震診断努力路線に定め、その道
路に接する建築物の所有者等に対して、耐震診断等に努めるものとしています。耐震診
断努力路線は、次のとおりです。(表1-5)
表1-5 耐震診断努力路線
NO 路線名 区 間 緊急輸送道路等
1 県道 40号(横浜厚木線) 本市区間全線 神奈川県
第2次
緊急輸送道路
2 公所中央林間線・
中央林間60号
相模カンツリークラブ~
県道目黒町町田線交点
大和市指定
第1次
緊急輸送道路
補完道路
3 南大和相模原線 公所中央林間線交点~
三ツ境下草柳線交点
4 つきみ野93号、127号 公所中央林間線交点~
県道座間大和線交点
5 つきみ野86号 市立つきみ野中学校~
県道目黒町町田線交点
6 県道座間大和線 中央林間西47号交点~
県道目黒町町田線交点
7 中央林間西47号・
南林間91号
県道座間大和線交点~
市立南林間小学校
8 福田相模原線2号 県道座間大和線交点~
県道横浜厚木線
大和市指定
第1次及び第2次
緊急輸送道路
補完道路
(下鶴間桜森線
交点が境)
9 南林間4号 福田相模原線2号交点~
小田急線踏切
大和市指定
第1次
緊急輸送道路
補完道路
10 林間21号 林間学習センター~
南林間駅東線交点
11 南林間駅東線 林間21号交点~南大和相模原線交点
12 下鶴間桜森線 上草柳交差点~
国道246号山王原交点
13 三ツ境下草柳線・深見45号・
城山宮下線
福田相模原線2号交点~
県立大和東高校
14 大和東3号・天満宮1号、2号・
大和南7号
三ツ境下草柳線交点~
深見草柳線交点
15 福田相模原線3号 県道横浜厚木線交点~
中福田南庭線交点
※1 神奈川県第 1 次緊急輸送道路を補完し、地域的ネットワークを形成する道路のうち、市庁舎に
連絡する路線です。
※2 大和市指定第 1 次緊急輸送道路補完道路以外の路線で主として避難生活施設(指定避難所)と大
和市災害対策本部を結ぶ路線です。
14
NO 路線名 区 間 緊急輸送道路等
16 柳橋47号 県道横浜厚木線交点~
市立引地台中学校
大和市指定
第 1次
緊急輸送道路
補完道路
17 桜ヶ丘宮久保線 県道丸子中山線交点~
久田山谷線交点
18 久田山谷線 桜ヶ丘宮久保線交点~
上和田仲通り線交点
19 上和田仲通り線 久田山谷線交点~
国道467号交点
20
代官53号・高座渋谷代官庭
線・福田原高座渋谷線・
下福田189号
県道丸子中山茅ヶ崎線交点~
藤沢ゴルフ場
21 緑橋山谷線 国道467号交点~緑橋
22 つきみ野29号、24号、61号 市立中央林間小学校~
公所中央林間線交点
大和市指定
第 2次
緊急輸送道路
補完道路
23 県道目黒町町田線 国道16号交点~国道246号交点
24 中央林間西17号 県道座間大和線交点~
市立緑野小学校
25 西鶴間35号、44号 下鶴間桜森線交点~
市立西鶴間小学校
26 城山泉の森線・上草柳181号 南大和相模原線交点~
市立大野原小学校
27 深見草柳線 県道横浜厚木線交点~
市立深見小学校
28 大和南17号 深見草柳線交点~市立光丘中学校
29 引地台線 県道横浜厚木線交点~
市立引地台小学校
30 柳橋38号、35号 福田相模原線3号交点~
県道横浜厚木線交点
31 桜ヶ丘宮久保線・宮久保1号 久田山谷線交点~市立上和田中学校
32 上和田170号 国道467号交点~久田山谷線交点
33 中福田南庭線 新道下南庭線交点~国道467号交点
34 新道下南庭線 全線
35 上和田62号 国道467号線交点~市立桜丘小学校
36
下福田15号、195号・福田原
高座渋谷線・下福田233号・
高座渋谷代官庭線・
下福田131号
山谷福田橋線交点~中福田南庭線
37 上和田209号 上和田170号交点~
市立上和田小学校
38 福田194号、167号 福田相模原線3号交点~
市立福田小学校
39 福田原高座渋谷線 下福田233号交点~
市立下福田小学校
40 久田山谷線支線44号 国道467号交点~市立渋谷小学校
15
5 市民(所有者、管理者)と市の取り組み
耐震改修促進法により、耐震関係の基準に適合していない全ての建築物について、耐震
化の努力義務が課せられています。
市民、建築物の所有者及び管理者(以下「所有者等」という。)は、自らの生命・財産は
自らが守るという意識を持ち、耐震診断及び耐震改修の促進に努めるものとします。
大和市は、昭和56年以前の耐震性のない建築物を対象に、その所有者等に対し、耐震診
断及び耐震改修の促進について、普及・啓発を図るほか、必要に応じて耐震診断費及び耐
震改修工事費に対する支援、指導・助言、情報提供及びその他の措置を講じるように努め
ることとします。
また、大和市が所有・管理する公共建築物については、計画的に耐震化に取り組むもの
とします。
6 県と市との連携
平成19年11月、県及び33市町村では、県内の建築物の耐震化を計画的に促進することを
目的として、「神奈川県建築物耐震化促進協議会」を設置しました。この協議会での活動を
通じて、平成22年3月末までに、全ての市町村において促進計画が策定されており、建築物
の耐震化に向けて連携して取り組んでいます。
また、県内の特定行政庁※と県内を業務区域とする指定確認検査機関39機関では、建築行
政の適正な運営を図ることを目的として、「神奈川県建築行政連絡協議会」を設置していま
す。この協議会の安全対策部会では、耐震改修促進法に基づく指導・助言・指示等につい
て連絡調整を行いながら、建築物の耐震化に向けて取り組んでいます。(図1-4)
図1-4 県及び市の連携図
神奈川県建築物耐震化促進協議会
(平成19年11月設立)
県+33市町村
神奈川県建築行政連絡協議会
(昭和51年4月設立)
特定行政庁+県内を業務区域と
する指定確認検査機関39機関
安全対策部会
(平成25年4月設置)
特定行政庁
連携
建築物の耐震化を計画的に促進 建築行政の適正な運営を図る
※ 神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市、藤沢市、相模原市、鎌倉市、厚木市、平塚市、小田原市、秦野市、茅ヶ崎市、
大和市
16
第2章 想定される地震の規模・被害
1 大和市で想定される地震
大和市地域防災計画における想定地震については、県内でその発生の切迫性が高いと考
えられているもの、危機管理的な視点から検討する必要のあるもの等の地震から、大和市に
大きな影響を及ぼす可能性のある次の6つを選定しています。(表2-1)
表2-1 大和市における想定地震一覧
No 想定地震名 地震のタイプ等
1 都心南部直下地震
首都圏付近のフィリピン海プレート内で、都心南部の直下
を震源とするモーメントマグニチュード7.3の地震。
東京湾北部地震にかわり、国が防災対策の主眼を置く地震
である。
2 三浦半島断層群の地震 三浦半島断層帯を震源域とするモーメントマグニチュー
ド7 の活断層型の地震。
3 神奈川県西部地震 神奈川県西部を震源域とするモーメントマグニチュード
6.7 の地震。
4 東海地震 駿河トラフを震源域とするモーメントマグニチュード8.0
の地震。
5 南海トラフ巨大地震 南海トラフを震源域とするモーメントマグニチュード9.0
の地震。国が想定する、あらゆる可能性を考慮した南海ト
ラフの最大クラスの地震。
6 大正型関東地震
相模トラフを震源域とするモーメントマグニチュード8.2
の地震。
1923年の大正型関東地震を再現した地震で、国が長期的な
防災・減災対策の対象としている地震。
大和市イベントキャラクターヤマトン
17
2 大和市における地震被害想定
地震被害は建物被害、火災被害及びライフラインの被害等について想定されています。切
迫性が高く、被害が大きいとされる、都心南部直下地震における被害想定は次のとおりです。
(表2-2)
表2-2 都心南部直下地震の規模・被害の状況
項 目 市 内 被 害 状 況
震 度、
マグニチュード 大和市内の震度は6弱 マグニチュード7.3
建物被害 全壊棟数
半壊棟数
920棟
5,280棟
火災被害 焼失棟数 390棟
死傷者数
死者数
重症者数
中等症者数
軽傷者数
50人
60人
530人
770人
避難者数 1~3日後/1ヶ月後 15,400人 / 15,400人
要配慮者
避難者
高齢者数 1,130人
要介護者数 380人
家屋被害
高齢者数 1,840人
要介護者数 620人
帰宅困難者数 直後/2日後 9,750人 / 0人
自力脱出困難者数
(要救助者) 60人
ライフライン
上水道 9,450人が断水
下水道 8,030人に支障
LPガス 350軒に支障
電力 113,450軒が停電
通信 86,450回線が不通
エレベーター停止台数 270台
震災廃棄物 36万トン
平成25年度から平成26年度神奈川県地震被害想定調査より
18
第3章 これまでの取り組みと成果
1 住宅及び特定建築物の目標実現に向けた取り組み (1)住宅及び特定建築物の耐震化に向けた普及・啓発
建築物の所有者等に対し、自らの建築物の地震に対する安全確保の重要性を認識しても
らう等、建築物の耐震化に対する意識の向上を図るため、平成21年4月に、大和商工会議
所、市内建築関係団体と連携し「大和市耐震化促進協議会」を設立しました。大和市及び
この協議会の登録事業者※
は、無料の木造住宅簡易耐震診断や家具転倒防止器具の取り付
け、耐震改修工事の相談受付や普及・啓発に向けたPR活動等を行っています。
(2)木造住宅の耐震化促進事業の実績
平成17年度から簡易耐震診断費、平成18年度から精密耐震診断費の助成、平成20年度か
ら耐震改修工事費の助成を実施しています。平成29年度までのそれぞれ事業の実績は、簡
易耐震診断1,444件、精密耐震診断866件、耐震改修201件となっています。(図表3-1)
図表3-1 木造住宅の耐震診断・耐震改修の累積実績(件)
(3)分譲マンションの耐震化促進事業の実績
平成24年度から、地震による分譲マンションの倒壊等を防止し、災害に強いまちづくり
を推進するため、分譲マンションの管理組合が、耐震診断を実施する場合、その診断に必
要な費用の一部について助成しています。平成29年度までの事業の実績は、予備診断14件、
本診断2件となっています。
※ 大和市耐震化促進協議会の会員で、事業者登録をした市内の設計事務所や工務店等を言います。
19
(4)家具転倒防止器具取付支援事業の実績
平成21年度から家具転倒防止器具取り付け支援を実施しています。平成29年度までの事
業の実績は185件となっています。(図表3-2)
図表 3-2 家具転倒防止器具取り付け支援の累積実績(件)
(5)住宅及び特定建築物の取り組みによる成果
着実に耐震化を進め、平成29年度末における住宅の耐震化率は92.6%、特定建築物の耐
震化率(多数の者が利用する特定建築物と重要道路に接する特定建築物を合わせた耐震化
率)は93.8%となっています。建替えや耐震改修工事により、平成30年度末の耐震化率の
目標(住宅93.2%、特定建築物94.1%)を達成する見込みとなっています。(表3-1)
表3-1 従前の促進計画における住宅及び特定建築物の耐震化率の目標
区 分 計画時 現 状
目 標
(従前の促進計画)
平成25年度 平成29年度 平成30年度
住宅の耐震化率 89.1% 92.6% 93.2%
特定建築物の
耐震化率 93.1% 93.8% 94.1%
20
(6)耐震診断が義務化された建築物への対応
ア)耐震診断が義務化された建築物への対応について
耐震診断が義務化された建築物(要緊急安全確認大規模建築物)及び耐震診断義務路線
に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)については、建築物の所有者に対して個別
に訪問や通知を行う等、制度の十分な周知に努め、耐震診断の確実な実施を促しました。
また、耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)の耐震診断費の
助成を平成27年度から、耐震設計費の助成を平成29年度から開始しました。
イ)耐震診断が義務化された建築物の診断結果の公表について
耐震診断が義務化された建築物(要緊急安全確認大規模建築物)の診断結果の公表につ
いては、次のとおり行いました。(表3-2)
表3-2 耐震診断が義務化された建築物の診断結果の公表について
区 分 報告期限 結果の公表
多数の者が利用する特定建築物のうち、
耐震診断が義務化された建築物
(要緊急安全確認大規模建築物)
平成27年12月31日 平成29年3月17日
21
2 公共建築物の目標実現に向けた取り組み (1)公共建築物の耐震改修等の実績
平成25年度末において、耐震性のない公共建築物の数は10棟となっておりましたが、平
成29年度までに、北部給食調理場の耐震補強工事等を実施し、耐震性のない公共建築物の
数は6棟となっています。
現在、小中学校、コミュニティセンター、病院、本庁舎及び市営住宅等、市民が利用す
る施設の耐震化については完了しています。
大和市役所本庁舎の耐震補強の状況
(2)公共建築物の取り組みによる成果
平成29年度末における耐震化率は97.3%となっており、平成25年度と比べると着実に耐
震化率は上昇しています。しかしながら、平成30年度末の耐震化率の目標に向けて、更に耐
震化を促進していくことが必要となっています。(表3-3)
表3-3 従前の促進計画における公共建築物の耐震化率の目標
区 分 種 別 計画時 現 状
目 標
(従前の促進計画)
平成25年度 平成29年度 平成30年度
公共
建築物の
耐震化率
防災上
重要な施設 98.8% 99.4% 100%
その他の
施設 85.1% 90.6% 100%
合 計 95.6% 97.3% 100%
22
第4章 建築物の耐震化の目標
1 住宅の耐震化
(1)住宅の耐震化の現状
平成29年度における住宅数は、総戸数101,826戸であり、このうち、昭和56年以前の建築
物は、全体の約18%にあたる18,594戸となります。
耐震性のあるものは、昭和57年以降に建築された住宅と昭和56年以前の耐震性があると
推計される建築物を合わせて、94,327戸あり、耐震化率※は92.6%となります。(表4-1)
表4-1 平成29年度及び平成25年度の住宅の耐震化状況(戸)
種 別
総戸数
A=B+C
S57年以降
の建築
B
S56年以前
の建築
C
耐震化済
戸数
F=B+D
耐震化率
G=F/A
うち耐震性
あり D
うち耐震性
なし E=C-D
戸建て 48,876
(49,910)
35,637
(34,128)
13,239
(15,782)
7,025
(6,265)
6,214
(9,517)
42,662
(40,393)
87.3%
(80.9%)
その他 52,950
(49,711)
47,595
(44,309)
5,355
(5,402)
4,070
(4,106)
1,285
(1,296)
51,665
(48,415)
97.6%
(97.4%)
合 計 101,826
(99,621)
83,232
(78,437)
18,594
(21,184)
11,095
(10,371)
7,499
(10,813)
94,327
(88,808)
92.6%
(89.1%)
( )は平成25年度数値。
数値は、総務省「平成20・25年度住宅・土地統計調査」等を元に推計した値です。
(2)住宅の耐震化の目標
住宅については、住生活基本計画(全国計画)(平成23年3月閣議決定)、日本再生戦略(平
成24年7月閣議決定)、国の基本方針、県促進計画において、平成32年までに耐震化率を95%
とする目標が定められています。
住宅の耐震化率の目標は、国の基本方針、県促進計画を踏まえ、平成30年度を93.2%、
平成32年度を95%とします。(表4-2)
また、参考として、住宅の耐震化率の想定推移を次に示します。(図表4-1)、(表4-3)
表4-2 住宅の耐震化率の目標
区 分 これまでの推移 目 標
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
住宅の
耐震化率 89.1% 92.6%
93.2%
(93.2%)
95%
(95%)
( )は従前の促進計画における目標
※ 耐震化率とは、昭和56年以前の建築物のうち、新耐震基準に適合するもの及び新耐震基準で建築された建築
物との合計が全体に占める割合です。
23
<参 考>
図表4-1 住宅の耐震化率の想定推移(戸)
表4-3 住宅の想定推移(戸)
区 分 これまでの推移 今後の想定
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
耐震性なし 10,813 7,499 6,889 5,229
耐震性あり 88,808 94,327 95,916 99,535
合 計 99,621 101,826 102,805 104,764
95%
89.1% 92.6%
93.2%
大和市イベントキャラクターヤマトン
24
2 特定建築物の耐震化
(1)特定建築物の耐震化の現状
ア)多数の者が利用する特定建築物
平成29年度における多数の者が利用する特定建築物は、総棟数が203棟あり、このう
ち昭和56年以前の建築物は、53棟となります。耐震性のあるものは、昭和57年以降に建
築された建築物と昭和56年以前の耐震性があると推計される建築物を合わせて182棟あ
り、耐震化率は89.7%となります。(表4-4)
また、耐震診断が義務化された建築物(要緊急安全確認大規模建築物)は、昭和56
年以前の建築物に含まれています。
表4-4 平成29年度の多数の者が利用する特定建築物の耐震化状況(棟)
区 分
総棟数
A=B+C
S57年以降
の建築
B
S56年以前
の建築
C
耐震化済
棟数
F=B+D
耐震化率
G=F/A
うち耐震性
あり D
うち耐震性
なし E=C-D
多数の者が利用
する特定建築物
203 150 53 32
(1)
21
(1)
182 89.7%
( )は、耐震診断が義務化された建築物(要緊急安全確認大規模建築物)
イ)危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する特定建築物
危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する特定建築物のうち、耐震改修促進法
第14条第2号に該当する建築物は、市内にありません。
ウ)重要道路に接する特定建築物
平成29年度における重要道路に接する特定建築物は、総棟数が3,411棟あり、このう
ち昭和56年以前の建築物は、417棟となります。耐震性のあるものは、昭和57年以降に
建築された建築物と昭和56年以前の耐震性があると推計される建築物を合わせて3,203
棟あり、耐震化率は93.9%となります。(表4-5)
また、耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)は、昭和56
年以前の建築物に含まれています。
表4-5 平成29年度の重要道路に接する特定建築物の耐震化状況(棟)
区 分
総棟数
A=B+C
S57年以降
の建築
B
S56年以前
の建築
C
耐震化済
棟数
F=B+D
耐震化率
G=F/A
うち耐震性
あり D
うち耐震性
なし E=C-D
重要道路に接する
特定建築物
3,411 2,994 417
(18)
209
(1)
208
(17)
3,203 93.9%
( )は、耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)
25
(2)特定建築物の耐震化の目標
平成29年度末における特定建築物の耐震化率(多数の者が利用する特定建築物と重要道
路に接する特定建築物を合わせた耐震化率)は93.8%※となっています。
特定建築物の耐震化の目標は、国の基本方針、県促進計画を踏まえ、平成30年度を94.1%、
平成32年度を95%とします。(表4-6)
表4-6 特定建築物の耐震化率の目標
区 分 これまでの推移 目 標
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
特定建築物の
耐震化率
93.1% 93.8% 94.1%
(94.1%)
95%
(95%)
( )は従前の促進計画における目標
多数の者が利用する特定建築物の倒壊状況
重要道路に接する特定建築物の倒壊状況
※ 多数の者が利用する特定建築物及び重要道路に接する特定建築物に該当する建築物は1棟としています。
26
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
耐震性あり
耐震性なし
また、参考として、特定建築物の耐震化率の想定推移を次に示します。(図表4-2)、(表
4-7)
図表4-2 特定建築物の耐震化率の想定推移(棟)
表4-7 特定建築物の想定推移(棟)
区 分 これまでの推移 今後の想定
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
耐震性なし 251 223 214 181
耐震性あり 3,465 3,382 3,404 3,460
合 計 3,716 3,605 3,618 3,641
95%
93.1%
94.1% 93.8%
27
(3)特定建築物の耐震診断の報告期限
従前の促進計画により、耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築物)
で一定の高さを満たす建築物の所有者は、平成31年3月31日までに耐震診断を行い、その結
果を大和市に報告することとなりました。(P10図1-2参照)、(表4-8)
また、多数の者が利用する特定建築物のうち、耐震診断が義務化された建築物(要緊急
安全確認大規模建築物)の耐震診断の報告期限は、平成27年12月31日までとなっていま
す。(P9表1-3参照)、(表4-8)
表4-8 耐震診断結果の報告期限
区 分 報告期限 関係法令
耐震診断義務路線に接する建築物
(要安全確認計画記載建築物) 平成31年 3月31日
耐震改修促進法
第6条第3項第1号
多数の者が利用する特定建築物のうち、
耐震診断が義務化された建築物
(要緊急安全確認大規模建築物)
平成27年12月31日 耐震改修促進法
附則第3条
大和市イベントキャラクターヤマトン
28
3 公共建築物の耐震化
(1)公共建築物の耐震化の現状
平成29年度における公共建築物は、総棟数が223棟であり、このうち、昭和56年以前
の建築物は、全体の約52%にあたる115棟となります。
耐震性のあるものは、昭和57年以降に建築された建築物と、昭和56年以前の耐震性が
あると判断された建築物を合わせて217棟あり、耐震化率は97.3%となります。(表4-9)
また、各種別の用途は次のとおりです。(表4-10)
表4-9 平成29年度の公共建築物の耐震化状況(棟)
種 別
総棟数
A=B+C
S57年以降
の建築
B
S56年以前
の建築
C
耐震化済
棟数
F=B+D
耐震化率
G=F/A
うち耐震性
あり D
うち耐震性
なし E=C-D
防災上重要
な施設
170 72 98 97 1 169 99.4%
その他の
施設
53 36 17 12 5 48 90.6%
合 計 223 108 115 109 6 217 97.3%
表4-10 公共建築物の種別及び用途
種 別 用 途
防災上重要な施設 小中学校(校舎、体育館)、学習センター、コミュニティセンター、
消防署、病院、スポーツセンター、庁舎等
その他の施設 市営住宅、調理場、管理事務所等
29
0
50
100
150
200
250
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
耐震性あり
耐震性なし
(2)公共建築物の耐震化の目標
公共建築物については、施設利用者の安全性確保を図るとともに、災害時において防災
上重要な役割を担うことから、耐震化を促進する必要があります。公共建築物の耐震化の
目標は、平成30年度を99.1%、平成32年度を100%とします。(表4-11)
また、参考として、公共建築物の耐震化率の想定推移を次に示します。(図表4-3)、(表
4-12)
表4-11 公共建築物の耐震化率の目標
区 分 種 別 これまでの推移 目 標
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
公共
建築物の
耐震化率
防災上
重要な施設 98.8% 99.4%
99.4%
(100%) 100%
その他の
施設 85.1% 90.6%
97.0%
(100%) 100%
合 計 95.6% 97.3% 99.1%
(100%) 100%
( )は従前の促進計画における目標
<参 考>
図表4-3 公共建築物の耐震化率の想定推移(棟)
表4-12 公共建築物の想定推移(棟)
区 分 これまでの推移 今後の想定
平成25年度 平成29年度 平成30年度 平成32年度
耐震性なし 10 6 2 0
耐震性あり 218 217 212 214
合 計 228 223 214 214
95.6%
100% 97.3% 99.1%
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第5章 建築物の耐震化を促進するための施策
1 耐震化の促進に関する基本的な考え方
建築物の耐震化や安全性向上の促進のためには、建築物の所有者等が、自らの生命・財
産は自らが守るという意識を持つとともに、所有または管理する建築物の倒壊等により周
辺の安全に支障を来すことがないように、建築物の耐震性を把握し、必要に応じて耐震化
を進めることが求められます。
大和市では、所有者等に建築物の耐震化や安全性向上に関する責任があることを自覚で
きるよう意識啓発を進めます。また、所有者等の取り組みをできる限り支援するという観
点から、国や神奈川県と連携して、耐震診断及び耐震改修を行いやすい環境の整備や、費
用負担軽減のための制度構築等、耐震化の促進に必要な施策を講じていきます。
2 耐震化に向けた普及・啓発
(1)耐震化に関する取り組みのPR
市内のイベント(11月開催のやまと産業フェア、1月開催の大和市防災とボランティ
ア展及び3月開催の大和綾瀬建築しごと展等)に参加し、耐震化の必要性や耐震化促進
事業について積極的に周知を図ります。
やまと産業フェアのPR風景
防災とボランティア展のPR風景
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(2)パンフレットの配布、ホームページを活用した情報提供
大和市の耐震化促進事業や耐震化の重要性を紹介したパンフレットや自ら耐震診
断を行う際の参考となる「誰でもできるわが家の耐震診断(一般財団法人日本建築防
災協会編集、国土交通省住宅局監修)」のパンフレットの配布等により、助成事業や
耐震化についての周知を図ります。また、ホームページでは耐震化に係る情報を充実
する等、防災や耐震に係わる関連情報を広く提供していきます。
誰でもできるわが家の耐震診断パンフレット
(3)防災マップの活用
市民が災害を自らの問題として意識できるように、1月開催の大和市防災とボラン
ティア展等において、地震や風水害等が発生した場合、避難に必要となる情報を示した
防災マップの掲示や配布を行います。
防災マップ
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(4)相談体制の充実
窓口において、木造住宅の耐震性に関する自己点検の方法、補強方法の概要及び耐震
化促進事業の補助制度等の市の取り組み、その他耐震化に関する情報提供に努めます。
また、市職員による「耐震説明隊」が、自治会の防災訓練、役員会合等に参加し、事
業の説明や個別相談を行う体制を維持します。
耐震説明隊の説明風景
(5)セミナー、講習会等の開催
耐震診断及び耐震改修の重要性や必要性について市民に周知を図るため、神奈川県、
商工会議所、建築士事務所及び建設業協会等関係団体とも連携して、各種行事やイベン
トの機会を捉え、耐震セミナーや相談会等を開催します。
また、具体的でわかりやすい知識の普及に努めるため、簡易耐震診断の演習を行う等、
市民や工務店向けに木造住宅耐震講習会を開催します。
どこでも講座の講義風景
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3 耐震診断・耐震改修の促進を図るための支援策
(1) 耐震関係支援事業の効果的な運用
平成29年度末現在、昭和56年以前の建築物のうち、耐震性がない住宅は約7,500戸あり
ます。建築物の耐震化については、本来、所有者等がまず取り組んでいくべきことですが、
震災時における倒壊等の被害は、道路の閉塞により避難を困難にさせたり、隣家を倒壊さ
せたりする等、周辺の安全を脅かす可能性があると考えられます。そこで、限られた予算
の中で十分な成果をあげられるよう、耐震診断費及び耐震改修工事費に対する助成制度に
ついては、重要道路に接する特定建築物や災害危険度の高い地域を優先して支援する等、
効率的な運用を図っていきます。
(2)耐震化へ向けた支援事業
昭和56年以前の建築物の耐震化が図られるよう、所有者等に対して、耐震診断費や耐震
改修工事費の助成制度等を実施します。
ア)木造住宅の耐震化促進事業
耐震化の促進に係わる取り組みとして、無料の簡易耐震診断、精密耐震診断費の助成、
耐震改修工事費の助成を実施しています。(図5-1)
図5-1 木造住宅耐震化促進事業
登録事業者等による
簡易耐震診断(無 料)
登録事業者等による
精密耐震診断(助 成)
登録事業者等による
耐震改修工事(助 成)
■簡便な方法で耐震性の目安を判定し、建築物の弱点を把握
できます。
■昭和56年以前の建築物であり、2階建て以下の木造住宅が対
象です。
■登録事業者等が、現地を調査します。
■診断費用は、無料です。
■補強の要否や補強箇所が詳細に分かります。
■登録事業者等が診断を実施します。
■診断費用は、上限64,800円を助成するため、ほぼ無料となり
ます。
■精密診断の結果から補強方法を決めます。
■防音工事やリフォーム工事と合わせて耐震改修工事を行う
と効率的です。
■工事費用の1/5、設計監理費用の1/2でその合計額(上限 50
万円)を助成します。
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イ)分譲マンションの耐震化促進事業
耐震化の促進に係わる取り組みとして、分譲マンションの耐震診断費の一部を助成し
ています。(図5-2)
図5-2 分譲マンション耐震化促進事業
マンションの耐震改修状況
市職員等による
事前相談(無 料)
専門家による
予備診断(助 成)
専門家による
本診断(助 成)
■昭和56年以前の建築物であり、分譲マンションであること、
及び設計図書の有無を確認します。
■予備診断・本診断が可能か、不可能かを判断します。
■事前相談費用は、無料です。
■現地調査及び設計図書により、本診断の必要性を判断しま
す。
■本診断費の概算費用を算定します。
■重要道路を閉塞する恐れのある建築物であるか、管理組合の
合意形成が図られているかを確認します。
■予備診断費(上限 20万円/棟)を助成します。
■耐震改修促進法第2条第1項に規定する耐震診断です。
■管理組合の合意形成が必要です。
■診断費用は、重要道路を閉塞する恐れのある建築物は、
本診断費の 2/3(上限 200万円/棟)を助成します。
その他は、診断費の1/2(上限150万円/棟)を助成します。
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ウ)家具転倒防止器具取付支援事業
平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、甚大な被害をもたらしましたが、最
も多い死亡原因は、家屋、家具類等の倒壊による圧迫死であり、全体の約9割を占めてい
ました。(P3図表1-1参照)
そこで、平成21年度から、首都直下地震発生の緊迫性も指摘される中、耐震改修を行
うことが難しい65歳以上の世帯等における人的被害を抑える観点から、家具の転倒防止
器具を取り付けています。
住宅1戸につき2箇所まで無料で、大和市が家具転倒防止器具を支給し、大和市耐震化
促進協議会の登録事業者が取り付けます。(図5-3)
図5-3 家具転倒防止器具
エ)耐震診断が義務化された特定建築物への診断費、設計費及び改修工事費の助成
耐震診断が義務化された耐震診断義務路線に接する建築物(要安全確認計画記載建築
物)の耐震診断費、耐震設計費を助成します。また、耐震改修工事費への助成について
は、耐震診断の状況や、国の助成制度の動向等をふまえて、実施するものとします。
多数の者が利用する特定建築物のうち、耐震診断が義務化された建築物(要緊急安全
確認大規模建築物)については、国が耐震診断費及び耐震改修工事費に助成を行ってい
ます。
耐震改修促進法に基づく耐震診断の義務化や、国等の助成については、次の国土交通
省住宅局のホームページをご参照下さい。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000054.html
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オ)耐震改修に対する税の特例措置の周知
昭和57年1月1日以前に建築された専用住宅等が、平成32年3月31日までに耐震改修工事
を行った場合、固定資産税の減額が受けられます。
また、昭和56年5月31日以前の多数の者が利用する特定建築物のうち、耐震診断が義務
化された建築物(要緊急安全確認大規模建築物)等が、国の補助を受けながら、平成32
年度末までに耐震改修工事を行った場合、固定資産税の減額が受けられます。
所有者等へ、これら制度の積極的なPR、周知を図るとともに、関係団体に対しても
働きかけていきます。
(3)各種認定制度等による耐震化促進
各種認定制度を活用して建築物の耐震化を促進していきます。なお、制度に関しては、
戸建て住宅やマンションも活用可能です。
ア)耐震改修工事を実施する建築物の容積率、建ぺい率等の緩和
耐震改修促進法第17条により、大和市は、建築物の所有者等から、耐震改修の計画に
ついて申請を受け、認定します。認定を受け、耐震改修でやむを得ず増築する建築物に
ついては、容積率、建ぺい率の特例措置が認められ、耐震改修工法の拡大が図れます。
イ)建築物の地震に対する安全性の表示制度
耐震改修促進法第22条により、大和市は、建築物の所有者から、建築物が地震に対す
る安全性に係る基準に適合している旨の申請を受け、認定します。認定を受けた建築物
は、広告等に、認定を受けている旨を表示することができます。
ウ)区分所有建築物の議決要件の緩和
耐震改修促進法第25条により、大和市は、耐震診断を行った区分所有建築物(マン
ション等)の管理者等から、当該区分所有建築物が耐震改修を行う必要がある旨の申請
を受け、認定します。認定を受けた区分所有建築物について、大規模な耐震改修を行お
うとする場合、議決要件が3/4 から1/2 に緩和されます。(建物の区分所有等に関する法
律第17条)
大和市イベントキャラクターヤマトン
耐震化促進
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(4)地震時における安全対策への助言等
地震による被害の軽減が図られるよう、建築物内外及び建築設備の安全対策を進めると
ともに、住宅の倒壊から避難困難者等の生命を守るため、住宅の不燃化やブロック塀、落
下物の安全対策等、安全性の向上に繋がる対策を講じるよう誘導します。
また、東日本大震災では液状化の被害が発生しました。市内では、液状化の危険性は低
いものの、地下水や堆積物の種類によって、一部の地域に液状化が生じる可能性がありま
す。液状化により建築物が被害を受けると、地盤への対策や建築物への補修が必要となる
ため、必要に応じて、地盤調査や液状化対策等について、誘導します。
ア)密集地域での不燃化促進
木造住宅が密集している地域の防火対策の施されていない住宅について、建替えや耐
震改修工事の際に、不燃化の必要性についてパンフレットを配布し、啓発を行うととも
に、出火防止を目的とした電気遮断設備「感震ブレーカー」や簡易的なブレーカー遮断
装置について、情報提供を行います。(図5-4)
また、地震等に伴い発生する火災の延焼を減少、遮断するため、重要道路に接する建
築物の不燃化を誘導するとともに、住宅の不燃化・バリアフリー化改修工事費の一部を
助成します。
図5-4大和市域の状況
…大和市における古い建築物が多いエリア
相模鉄道本線
JR 東海道新幹線
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イ)ブロック塀等の安全対策
地震によってブロック塀が倒壊すると、死傷者が出る恐れがあるばかりでなく、地震
後の避難や救助、消火活動にも支障が生じる可能性があり、その安全対策は重要な課題
となっています。ブロック塀の倒壊による危険性や安全に設置するための基準等につい
て、ホームページやパンフレットにより周知を図り、危険性のあるものには、補強や撤
去の改善指導、生け垣等への転換を促します。
また、平成30年6月18日の大阪府北部地震を受け、地震等における倒壊や落下による
災害を未然に防止するため、重要道路、通学路に接する危険性の高いブロック塀につい
ては、安全対策の啓発に努めるとともに、道路に面する法令に適合しないブロック塀等
の撤去及び改善に要する費用を、期限を定め助成します。
ウ)落下物対策
大規模な地震が発生した際には、建築物の倒壊だけでなく、窓ガラスの飛散や外壁タ
イル、袖看板等、建築物の外装材損壊や落下による被害も懸念されます。このため、地
震発生時に建築物からの落下物を防ぎ、安全性を確保するために、建築物の所有者等に
対して適正な維持管理の啓発及び指導を行います。特に、建築物の敷地に余裕がない、
人通りの多い繁華街や通学路沿いの建築物について、落下防止対策の実施状況を把握す
るとともに、未対策建築物について、その所有者等に改善を指導します。
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エ)エレベーター等の安全対策
平成17年7月23日の千葉県北西部の地震では、首都圏の多くのビルでエレベーターの
緊急停止による閉じ込め事故が発生し、地震時管制運転装置の設置が義務付けられまし
た。また、東日本大震災においては、エスカレーターの脱落等が複数確認されたことか
ら、新たな基準が定められました。このため、エレベーターやエスカレーターが設置さ
れた建築物の所有者等に建築基準法の定期検査の機会等を捉えて、地震時管制運転装置
の設置や機器の改修を促し、安全性の確保を図るよう指導します。
オ)天井脱落対策
東日本大震災においては、比較的新しい建築物も含め、体育館、劇場等の大規模空間
を有する建築物の天井が脱落して、甚大な被害が多数発生したことを踏まえ、天井の脱
落対策に係る新たな基準が定められました。そこで、大規模空間を有する建築物の所有
者等に対し、定期報告制度の活用や査察により、基準を周知するとともに、落下防止措
置を講じて安全性の確保を図るよう指導します。
カ)地震に伴う崖崩れ等による建築物の被害の軽減
近年、地震や大雨により、各地で老朽化した擁壁の倒壊等の崖崩れが発生し、地域に
大きな影響を与えていることから、崖崩れ等による建築物の被害を軽減するため、敷地
内の古い擁壁や簡易的な土留めについて、安全なものとなるよう指導、助言します。
キ)鉄道施設に影響を与える建築物の耐震化
鉄道施設沿道の建築物の耐震化を図ることは、緊急物資等の輸送力を向上するために
必要です。そのため、鉄道施設沿道の昭和56年以前の建築物に対し、耐震対策を講じる
よう、誘導します。
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第6章 耐震改修促進法及び建築基準法による指導等
1 耐震改修促進法による指導等の実施
耐震改修促進法では、昭和56年以前の全ての建築物について、耐震化の努力義務を課しま
した。このため、建築物の耐震診断及び耐震改修の適切な実施を確保するために必要がある
と認める場合は、対象となる建築物の所有者等に対し指導、助言を行います。
特に、建築確認申請の窓口で行う個別相談等の機会を捉えて、耐震診断及び耐震改修の必
要性について助言等を行います。
2 耐震診断が義務化された特定建築物への対応
耐震改修促進法や促進計画において、耐震診断が義務化された特定建築物については、所
有者に対して個別に通知を行う等、制度の十分な周知に努め、耐震診断及び耐震改修の確実
な実施を促します。その後、耐震診断の報告期限までに耐震診断が実施されない場合は、個
別の通知等により実施を促し、それでも実施しない所有者については、相当の期限を定めて
耐震診断の実施を命じ、併せて、その旨を公報及びホームページ等で公表します。(P27表4-8
参照)
また、耐震診断の結果、耐震改修等が必要となる場合は、必要に応じて指導及び助言を行
い、指導に従わない場合は、耐震診断及び耐震改修に関する具体的な実施事項を記す指示を
行います。その後、正当な理由がなく、その指示に従わない場合は、その旨を耐震改修促進
法に基づき公報及びホームページで公表します。
公表してもなお、所有者が耐震改修等を行わない場合には、構造耐力上主要な部分の地震
に対する安全性について、著しく危険であると認められる建築物等について、建築基準法に
基づいた勧告や命令を行います。(図6-1)
図6-1 指示等の手続きフロー
3 耐震診断の結果の公表
建築物の所有者から報告を受けた耐震診断の結果については、国土交通省令に基づき、
ホームページで公表します。
勧告・命令
指示
指導・助言
公表
従わない 従わない
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第7章 進行管理等
1 目標実現のための進捗状況の点検及び評価
促進計画に定める住宅、特定建築物、公共建築物の耐震化の目標を達成するためには、
市民(所有者等)と市の事業主管課が、建築物の耐震化を図ることに対しての役割を認識
し、施策の内容に基づいて、それぞれの事業を実施することが必要です。
住宅、特定建築物については、その実施状況や耐震診断が義務付けられた建築物の耐震
化の状況を点検、検証することによって、各年度末に計画の進捗状況を確認し、建築物の
地震に対する安全性の向上に関する啓発及び知識の普及を図ります。
公共建築物についても、その実施状況を点検、検証することによって、各年度末に計画
の進捗状況を確認し、必要に応じて市の事業主管課と協議し、耐震改修の早期完了に向け
た手段や手法の改善を図ります。
また、計画の進捗状況に関しては、大和市のホームページ上の事務事業評価を通じて、
公表していきます。
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編 集 発 行/ 大和市街づくり計画部建築指導課
大和市下鶴間一丁目1番1号
電話:046-263-1111
ホームページ/ http://www.city.yamato.lg.jp
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