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1 亜鉛 亜鉛 亜鉛 亜鉛(II)アート錯体による立体選択的 アート錯体による立体選択的 アート錯体による立体選択的 アート錯体による立体選択的な アルキル アルキル アルキル アルキル付加技術を 付加技術を 付加技術を 付加技術を用いた 用いた 用いた 用いた 人工 人工 人工 人工アミノ酸ライブラリーの構築 アミノ酸ライブラリーの構築 アミノ酸ライブラリーの構築 アミノ酸ライブラリーの構築 名古屋大学 名古屋大学 名古屋大学 名古屋大学 大学院工学研究科 大学院工学研究科 大学院工学研究科 大学院工学研究科 准教授 准教授 准教授 准教授 波多野 波多野 波多野 波多野 学 名古屋 名古屋 名古屋 名古屋産業科学研究所 産業科学研究所 産業科学研究所 産業科学研究所 中部 中部 中部 中部TLO TLO TLO TLO 技術 技術 技術 技術移転部 移転部 移転部 移転部 部長 部長 部長 部長 大森 大森 大森 大森 茂嘉 茂嘉 茂嘉 茂嘉 A-STEP発新技術説明会(JST市ヶ谷別館) 2014.10.28

亜鉛(II) アート錯体による立体選択的な アルキル付 …...1 亜鉛(II) アート錯体による立体選択的な アルキル付加技術を用いた 人工アミノ酸ライブラリーの構築

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亜鉛亜鉛亜鉛亜鉛(II)アート錯体による立体選択的アート錯体による立体選択的アート錯体による立体選択的アート錯体による立体選択的ななななアルキルアルキルアルキルアルキル付加技術を付加技術を付加技術を付加技術を用いた用いた用いた用いた

人工人工人工人工アミノ酸ライブラリーの構築アミノ酸ライブラリーの構築アミノ酸ライブラリーの構築アミノ酸ライブラリーの構築

名古屋大学名古屋大学名古屋大学名古屋大学 大学院工学研究科大学院工学研究科大学院工学研究科大学院工学研究科

准教授准教授准教授准教授 波多野波多野波多野波多野 学学学学

名古屋名古屋名古屋名古屋産業科学研究所産業科学研究所産業科学研究所産業科学研究所 中部中部中部中部TLOTLOTLOTLO

技術技術技術技術移転部移転部移転部移転部 部長部長部長部長 大森大森大森大森 茂嘉茂嘉茂嘉茂嘉

A-STEP発 新技術説明会 (JST市ヶ谷別館) 2014.10.28

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開発のためのシーズ開発のためのシーズ開発のためのシーズ開発のためのシーズ

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これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例①①①①亜鉛アート錯体を用いてケトンへの高収率アルキル付加反応を達成(第3級アルコールの選択的合成)

塩化亜鉛は触媒量でも有効

東京化成工業から、エチルマグネシウムクロリド (約1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液) 活性化剤 :塩化亜鉛 (約10mol%)が販売中。CAS番号:2386-64-3 製品コード:E0778

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これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例②②②②

松尾らにより、亜鉛アート錯体技術を用いて、κ-オピロイドのアゴニストのブレマゾシンの全合成が達成された。

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これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例これまでのシーズ適用例③③③③さらに高活性な修飾型亜鉛アート錯体を開発し、様々なグリニャール試薬(RMgCl、RMgBr、RMgI)が適用可能になった。

抗ヒスタミン剤・シプロヘプタジン(別名

ペリアクチン)の効率的合成に成功

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従来技術とその問題点従来技術とその問題点従来技術とその問題点従来技術とその問題点

α-イミノエステルへの有機金属試薬のアルキル付加反応は、最も簡便なα-置換アミノ酸合成法だが、従来の技術では、①3つの連続する反応点による位置選択性の問題(特にaとb)②天然型/非天然型を作り分けるための立体選択性

の制御の問題

があり、技術移転のハードルは高く、広く利用されるまでには至っていない。

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本研究へのシーズ適用のねらい本研究へのシーズ適用のねらい本研究へのシーズ適用のねらい本研究へのシーズ適用のねらい

亜鉛アート錯体の性質を活かした効率の高いアルキル付加反応

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新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との比較比較比較比較①①①①

従来技術(グリニャール反応剤)の収率と選択性の問題を大幅に改善→アミノ酸ライブラリーの構築へ

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新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との新技術の特徴・従来技術との比較比較比較比較②②②②

従来技術では、光学活性α-第4級二置換アミノ酸誘導体はアルキル付加反応で事実上合成できなかった。今回の技術でライブラリー構築も可能に。

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新技術の特徴・圧倒的に高い反応性新技術の特徴・圧倒的に高い反応性新技術の特徴・圧倒的に高い反応性新技術の特徴・圧倒的に高い反応性

反応性低下を招く構造的要因をアセチレン導入で回避したことがポイント

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新技術の特徴新技術の特徴新技術の特徴新技術の特徴・亜鉛アート錯体の修飾・亜鉛アート錯体の修飾・亜鉛アート錯体の修飾・亜鉛アート錯体の修飾

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新技術の特徴新技術の特徴新技術の特徴新技術の特徴・高い立体選択性・高い立体選択性・高い立体選択性・高い立体選択性

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新技術の新技術の新技術の新技術の特徴特徴特徴特徴: 有用物質への誘導有用物質への誘導有用物質への誘導有用物質への誘導・グラムスケールアップにも対応

・フェニル化にも対応。β-ラクタム、アスパラギン酸へ誘導

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新技術の新技術の新技術の新技術の特徴特徴特徴特徴: メイン/サブ・ライブラリーの構築メイン/サブ・ライブラリーの構築メイン/サブ・ライブラリーの構築メイン/サブ・ライブラリーの構築得られた生成物の多様な化学変換・・・ヘテロ環合成・医農薬合成原料へ

ROR*

OR'

NHPMP

ROH

R'

COOR*

R NHPMP

R'COOR*

R NHPMPR'

NHPMP

Z-selective

E-selective

ROH

R'

NHPMP

HO

Ph

R'

RHN

PMP

H

R

R'

NPMP

O

HN OR

O

N ORPMP

O

N ORBoc

O

N ORPMP

ArO 2C

O

N OROHC

PMP

キラル補助基の完全回収

光学活性アジリジン合成 種 の々光学活性オキサゾリジノン合成光学活性アレン合成

オレフィンへの

幾何選択的還元

脂肪族への完全還元

光学活性アミノアルコール合成

光学活性α-第4級二置換アミノ酸から

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想定される用途想定される用途想定される用途想定される用途

• 低コスト・高効率な人工α-アミノ酸ライブラリーの構築

• β-ラクタムやインドール系の低分子医薬品に代表される付加価値の高い含窒素ファインケミカルズの合成

• 世界で2兆円弱の市場があるペプチド医薬品や先端材料産業のキラルビルディングブロックとしての活用

• 医薬品産業をはじめ、機能性材料・高分子材料・香料分野など幅広い化成品産業での需要

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実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題実用化に向けた課題

• 各種亜鉛アート錯体のラインアップ試薬化に向けて、精度の高い試薬調製法と長期品質維持管理の検討。

• 今後、アルキル付加反応についてスケールアップした際の実験データを取得し、人工α-アミノ酸ライブラリー構築に適用していく場合の条件設定を細かく行っていく。

• 実用化に向けて、生成したアルキル付加体からより付加価値の高い光学活性物質への化学変換を行い、収率や選択性を高めるための技術を確立する。

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企業への期待企業への期待企業への期待企業への期待

• 用途を問わず、グリニャール反応剤を用いたアルキル付加反応を行なっている企業との共同研究や技術支援を希望。

• アルコールおよびアミン合成を基盤としたレジスト剤等の機能性化学品分野への展開を考えている企業にも、本技術の導入が有効と思われる。

• 今後の亜鉛アート錯体のラインアップ販売により、試薬調製さえも不要となり、技術移転のハードルが大きく低減するものと期待できる。

• アミノ酸ライブラリーは、ペプチド医薬品のビルディングブロックとして創薬スクリーニングにも大変有用であるので、ベンチャー含む製薬関連企業での早期の活用を期待する。

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本技術に関する本技術に関する本技術に関する本技術に関する知知知知的的的的財財財財産産産産権権権権

• 発明の名称: 「亜鉛-マグネシウムアート錯体を含む求核試薬及びそれを使用する求核付加体の製造方法」

• 特許番号: 特許第4873502号• 出願人: 国立大学法人名古屋大学/発明者: 石原一彰、波多野学

• 発明の名称: 「グリニャール反応を利用した求核付加体の製造方法及び求核付加反応剤」

• 特許番号:特許第5585992号• 出願人: 国立大学法人名古屋大学/発明者: 石原一彰、波多野学

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本技術に本技術に本技術に本技術に関する学術関する学術関する学術関する学術論文論文論文論文

(1) Org. Lett. 2005, 7, 573–576.(2) J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9998–9999.

(3) Synlett 2010, 321–324.(4) Chem. Commun. 2010, 46, 2674–2676.

(5) J. Org. Chem. 2010, 75, 5008–5016.

[アクセスランキング第1位 July–September, 2006、Synfacts 2006, 1166に論文紹介、ドイツの化学ポータルサイトorganic-chemistry.orgに論文紹介(http://www.organic-chemistry.org/abstracts/lit1/379.shtm)、有機合成化学協会誌, 2008, 66, 1012.「ケミカルズ覚え書き」で研究紹介]

[Synfacts 2010, 819に論文紹介]

[アクセスランキング・イン、2010年7月期、ドイツの化学ポータルサイトorganic-chemistry.orgに論文紹介http://www.organic-chemistry.org/abstracts/lit2/973.shtm]

解説記事: 化学 2006, 61, 68–69; 化学 2007, 62, 16–20.

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産学産学産学産学連携連携連携連携のののの経歴経歴経歴経歴

• 2008年-2009年 JST・地域イノベーション創出

総合支援事業・シーズ発掘試験

• 2008年- 東京化成工業にて亜鉛アート錯体の試薬販売開始

• 2013年-2014年 JST・A-STEP探索タイプ

• 2014年以降 和光純薬工業にて亜鉛アート錯体の試薬販売開始予定

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お問い合わお問い合わお問い合わお問い合わせせせせ先先先先

波多野学

名古屋大学大学院工学研究科、准教授

[email protected] 052-789-3333、FAX 052-789-3222

石原一彰

名古屋大学大学院工学研究科、教授

[email protected] 052-789-3331、FAX 052-789-3222

大森茂嘉

名古屋産業科学研究所中部TLO技術移転部、部長[email protected] 052-788-6010、FAX 052-788-6012