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令和元年度 地域経済産業活性化対策調査 官民連携による6次化推進拠点づくりに向けた 地域商社事業に関する調査 報告書 【概要版】 令和2年 3 月

令和元年度 地域経済産業活性化対策調査令和元年度 地域経済産業活性化対策調査 官民連携による6次化推進拠点づくりに向けた 地域商社事業に関する調査

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令和元年度

地域経済産業活性化対策調査

官民連携による6次化推進拠点づくりに向けた

地域商社事業に関する調査

報告書

【概要版】

令和2年 3 月

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目 次

第1章 事業の概要.................................................................................................................. 1 1. 事業の目的 ................................................................................................................ 1 2. 事業の内容 ................................................................................................................ 1

第2章 間活 を活 した類似施設や地域商社に関する先進事例の 献及びヒアリング調査 ......................................................................................................................................... 2

1. 6次産業化に関連した類似施設等の先進事例の取り組み ....................................... 2 2. ヒアリングの実施 ..................................................................................................... 4

第3章 産直施設についての現状調査 .................................................................................... 6 1. 集客力の高い産直施設の情報収集 ........................................................................... 6 2. ヒアリングの実施 ..................................................................................................... 7

第4章 商圏調査、外国人観光客調査 .................................................................................... 9 1. 山形市内及び周辺地域の競合が予想される施設等の情報収集 ............................... 9 2. 拠点施設を中心とした商圏分析 ............................................................................. 10 3. 外国人観光客に関する調査 .................................................................................... 11

第5章 山形市の強みとなりうる地域資源の抽出、比較調査分析 ....................................... 13 1. 地域特性の整理 ...................................................................................................... 13 2. 地域特性の分析 ...................................................................................................... 15 3. 6次化推進拠点づくりに向けた取組み内容 ........................................................... 17 4. コンセプト(案) ................................................................................................... 19 5. 6次化推進拠点施設に関するハード、ソフトの提案 ............................................ 20

第6章 「6次産業化推進拠点づくり協議会(仮称)設立準備会」の開催 ........................ 21 1. 開催概要 ................................................................................................................. 21

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第1章 事業の概要

1. 事業の目的

平成 31 年 4 月に山形市 福島市間の東北中央道が開通したことで、高速道路で直結した南東北 3 県の県庁所在地間の新しい人の流れが生まれ、それぞれの魅力を活かし交流人口を創出することで、新たな広域商圏の確立が期待されている。

そのような中、山形市では「 形中央インターチェンジ」の隣接地に官 連携による農商工連携、6 次産業化の拠点の設置を検討している。この拠点は、観光農園や体験農場、ICT 試験ハウス、農業資材販売、加工品の試作・製造、農産物・加工品売場、農産物レストラン等 6 次産業化に係る施設で構成することが検討されており、次世代農業者、稼げる農家、将来的にも自立可能な地域づくりを目指すこととしている。

同市は各種1次産品の生産が盛んだが、強いブランドカを持つ近隣市町村の中において、差別化、顧客設定、特色づくりが急務となっている。一方、県庁所在地で人口 25万人を抱える中核市であり、圏域全体を牽引する役割も期待されている。

本事業では、拠点施設の整備(ソフト・ハード面)にあたり、農商工連携、6 次産業化の拠点整備の体制構築や地域商社機能の検討、地域ブランディング等について、同様の条件下にある全国の先進事例等も取り上げつつ、課題を抽出・整理し、地域関係者との意見交換を交え、持続可能な 6 次産業の拠点づくりについて総合的に検討する。

2. 事業の内容

1. 間活 を活 した類似施設や地域商社に関する先進事例の情報収集及びヒアリング調査

2.産直施設についての現状調査 3.商圏調査、外国人観光客調査 4.山形市の強みとなりうる地域資源の抽出、比較調査分析 5.「6 次産業化推進拠点づくり協議会(仮称)設立準備会」の開催

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第2章 民間活力を活用した類似施設や地域商社に

関する先進事例の文献及びヒアリング調査

1. 6次産業化に関連した類似施設等の先進事例の取り組み

文献などから地域商社が運営し、物販や加工など6次産業化に取り組んでいる道の駅等の先進事例施設として、下記の7施設を整理した。

・道の駅うつのみやろまんちっく村(栃木県宇都宮市)・道の駅さかい(茨城県境町)・いい道の駅のと千里浜(石川県羽咋市)・道の駅センザキッチン( 県 市) ・道の駅来夢とごうち(広島県安芸太田町)・道の駅うきは(福岡県うきは市)・うるマルシェ(沖縄県うるま市)

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■先進事例施設の概要

施設名 施設概要 運営組織

道の駅うつのみやろまん

ちっく村

(栃木県宇都宮市)

【整備主体】宇都宮市 【開設】1997 年

【規模】敷地面積:460,000 ㎡/床面積合計:㎡/駐車場台数 1,112 台

【施設内容】農産直売所、農園施設(クラインガルテン、ハーブ農園)、レストラン、クラフトブルワリー、温泉施設、宿泊

施設、公園施設

【特徴】・東北自動車道宇都宮 IC にほど近い、滞在体験型ファームパーク。

【運営会社】株式会社ファーマーズ・フォレスト

【特徴】地域 6次産業化拠点施設を核とした「地域経営」。付加

価値商品の開発や、担い手支援、里山づくり、着地型観光など

を通して、交流型拠点施設を集客の装置とした様々なプロデュ

ース。

道の駅さかい

(茨城県境町)

【整備主体】境町 【開設】1996 年

【規模】敷地面積:㎡/床面積合計:㎡/駐車場台数 127 台

【施設内容】農産直売所、さかいサンド(サンドイッチショップ)、さかい河岸ブルワリー(地ビール醸造)、観光案内所

【特徴】・隣接して、2019 年にオープンした茶蔵(さかいキッチン、さかい鉄板、さしま茶サロン、生ハム工房、茶葉栽培室)

がある。

【運営会社】株式会社さかいまちづくり公社(道の駅さかい共

栄会と境町で 50%ずつ出資した、他地域の民間業者が介入して

いない「官民協働」の企業体)

【特徴】ふるさと納税事業、観光案内事業、6次産業化施設(さ

かいサンド)運営

いい道の駅のと千里浜

(石川県羽咋市)

【整備主体】羽咋市 【開設】2017 年

【規模】敷地面積:18,000 ㎡/床面積合計:㎡/駐車場台数 166 台

【施設内容】農産直売所、加工施設、レストラン、ベーカリー、ジェラート、足湯、RV・タイヤシャワー、観光案内所

【特徴】・車中泊専用の有料宿泊エリア、RVパーク(4台分)がある。

【運営会社】羽咋まちづくり株式会社

【特徴】産品の市場開拓による外貨獲得と地域内経済の好循環

を推進する司令塔「地域商社」としての機能を有する。

道の駅センザキッチン

(山口県長門市)

【整備主体】長門市 【開設】2017 年

【規模】敷地面積:21,000 ㎡/床面積合計:2,583 ㎡/駐車場台数 161 台

【施設内容】農産直売所、バーベキューコーナー、レストラン・カフェ、観光案内所、長門おもちゃ美術館

【特徴】・家のような存在であり、ゲストを振る舞う「リビング・ダイニング・キッチン」づくり

【運営会社】ながと物産合同会社(市・JA長門大津・深川養鶏

農協・山口県漁協の 4 者が 200 万円ずつ出資する地域商社)

【特徴】総合商社機能として、戦略的なPRや販路開拓、一元

的な集荷・出荷体制の確立、代金決済・クレーム対応のワンス

トップ化等による「ながとブランド」の需要拡大。

道の駅来夢とごうち

(広島県安芸太田町)

【整備主体】安芸太田町 【開設】1995 年

【規模】敷地面積:㎡/床面積合計:㎡/駐車場台数 227 台

【施設内容】農産直売所、レストラン・カフェ、大型遊具

【特徴】・高速 IC 近傍の立地を活かし、高速バスによる貨客混載での新鮮野菜出荷の拠点を形成する。

【運営会社】一般社団法人 地域商社あきおおた

【特徴】地域事業者(物産品、観光)の稼ぐ力向上のための町

のブランディング及びマーケティング・セールスの基盤構築。

道の駅うきは

(福岡県うきは市)

【整備主体】うきは市 【開設】1990 年

【規模】敷地面積:㎡/床面積合計:㎡/駐車場台数 168 台

【施設内容】農水産直売所、レストラン・カフェ

【特徴】・道の駅の隣りには、イベントや交流・情報交換スペースとして 2018 年に市が整備した「ウキハコ」がある。

【運営会社】うきはの里株式会社(第3セクター)

【特徴】うきは地域総合商社の母体として、事業のミッション・

ビジョンを、市内の事業者(つくり手)の所得向上としている。

うるマルシェ

(沖縄県うるま市)

【整備主体】うるま市 【開設】2018 年

【規模】全体敷地面積:13,206.00 ㎡/直売所棟:1,790.93 ㎡/産直レストラン棟 1F:864.12 ㎡/産直レストラン棟 2F:

470.02 ㎡/駐車場:6,185 ㎡(232 台分)

【施設内容】農水産直売所、キッチンスタジオ、産直レストラン、フードコート、会議室

【特徴】・経営理念として、地元の人とともに郷土愛を以てうるま市の未来を真剣に考え「ものづくり」「ひとづくり」「まち

づくり」を通じた地域社会への貢献。

【運営会社】うるま未来プロジェクトグループ(一般社団法人

プロモーションうるま、株式会社ファーマーズ・フォレスト)

【特徴】地域発信型商材(商品やサービス)の商流構築、産地

間中規模流通、地域素材を活用した共感型ツーリズム(着地型

観光商品)の造成と運営、農業支援事業など、多面的な自主事

業の強みを活かして、地域をまるごと総合プロデュースする事

業展開。

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2. ヒアリングの実施

①ヒアリング先の選定

前述の7施設について、施設規模や取り組み内容などを比較検討し、本拠点施設の参考となりうる下記の3施設をヒアリング調査先として選定した。

・道の駅さかい(茨城県境町)・いい道の駅のと千里浜(石川県羽咋市)・道の駅センザキッチン( 県 市)

②ヒアリング調査の日程

下記の日程でヒアリング調査を実施した。

施設名 ヒアリング実施日

道の駅さかい(茨城県境町) 令和 2年 2月 7日(金)

いい道の駅のと千里浜(石川県羽咋市) 令和 2年 2月 14 日(金)

道の駅センザキッチン(山口県長門市) 令和 2年 2月 25 日(火)

③ヒアリング調査の結果

各施設へのヒアリング調査結果から、ポイントとなる点を整理すると以下のようになる。

●株式会社さかいまちづくり公社(道の駅さかい)・道の駅×ふるさと納税が、地域商社が生き残

れる要因・町と連携して、国の事業(交付金・補助金等)

に提案、常に新しい事業・商品のアイディアをストックしておく

・同じ品目の種類を多く取り揃えて、場所を確保することにより、お客様が立ち止まり、商品を手に取って頂ける

・自社の加工品を増やすのと同時に、問屋に頼らず、自分たちで展示会などに足を運んでセレクトした商品をおく

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●羽咋まちづくり株式会社(いい道の駅のと千里浜)・道の駅の軒下スペースを活用し、新商品を販売・テストマーケティング、土曜魚市

も人気・地域の新しい資源を発掘し、新しいブランド商品を作る・「農菓連携」をプロデュース・計画段階から一貫して同じデザイナーが入り、空間・ロゴ・パッケージなどをトー

タルデザインして、ブランディング

●ながと物産合同会社(道の駅センザキッチン)・ 市 6 次産業化支援施設「ながとラボ」のコーナーを設置して、新商品を販売・

テストマーケティング・「多くの人が集まるリビングダイニングキッチン」をコンセプトに一般的な道の駅

とは違う形態を作る・新たな一次産品の発掘と販路開拓・ブランド化

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第3章 産直施設についての現状調査 1. 集客力の高い産直施設の情報収集

文献などから山形県、宮城県及び福島県における集客力の高い産直施設として、下

記の3施設を整理した。 ・よってけポポラ(山形県東根市) ・食の駅(山形市) ・紅の蔵(山形市)

■対象産直施設の概要

施設名 施設概要 運営組織

よってけポポラ

(山形県東根市)

・産直施設、ジェラート販売 ・隣接して、東根市子どもの遊び場

「あそびあランド」がある。

JA さくらんぼひがしね

食の駅

(山形市)

・「生産者が自ら価格設定できる仕組み作り」「生産者の顔の見える安心食品」を原則として運営している産直施設。

・隣接している「ぐっと山形」はお菓子や漬物などの加工食品や伝統工芸品など豊富な品揃えを誇る大型の物産店であり、フードコートなどその場で食べることができる施設も充実している。

ファームドゥ 株式会社

紅の蔵

(山形市)

・旬産旬食をテーマとした山形の魅力ある食の提供、地域特産品の販売、伝統野菜をはじめとする安心・安全・新鮮な農産物の直売

一般財団法人 山形市都市振興公社

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2. ヒアリングの実施

①ヒアリング先の選定

前述の3施設について、ヒアリング調査先として選定した。

②ヒアリング調査の日程

下記の日程でヒアリング調査を実施した。

施設名 ヒアリング実施日

よってけポポラ(山形県東根市) 令和 2年1月 30 日(木)

食の駅(山形市) 令和 2年 2月 5日(水)

紅の蔵(山形市) 令和 2年1月 28 日(火)

③ヒアリング調査の結果

各施設へのヒアリング調査結果から、ポイントとなる点を整理すると以下のようになる。

●よってけポポラ

・主力商品は果物、6 12 月まで店内にびっしりと並ぶ

・専用の発送受付窓口を設置、サクランボのピーク時は駐車場にプレハブを 3 棟作り、地方発送を受付ける

・果物を使用したジェラートとアイスが集客の目玉

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●食の駅 山形蔵王店

・主力商品は贈答用の果物、山形県内全域から多様な品種の様々な果物を、生産者が持ち込む

・1 品 の品ぞろえを多くしている(贈答 の箱 り ばら売り、規格外のりんごや桃等もジュース用に安く販売)

●紅の蔵 旬菜旬果「おいしさ直売所」

・主力商品は果物、商品を切らさない努力をして、季節ごとに旬な果物がよく売れる

・伝統野菜は組合員の生産者が普通に出品、伝統野菜コーナーで特徴を出す

・鮮度の維持と通年で品揃えの確保のため、全国の JA 直売所(ファーマーズマーケット)40 店舗のネットワークを活用

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第4章 商圏調査、外国人観光客調査 1. 山形市内及び周辺地域の競合が予想される施設等の情報収集

道の駅さかい 道の駅のと千里浜 道の駅センザキッチン

■施設外観 ■施設外観 ■施設外観

■施設規模概要 敷地面積:15,000 ㎡ 建築面積:720 ㎡ 建ぺい率:4.8% 駐車台数:112 台(小型)

■施設規模概要 敷地面積:18,817 ㎡ 建築面積:1,305 ㎡(通路上屋等含む) 建ぺい率:6.9% 駐車台数:150 台(小型)

■施設規模概要 敷地面積:21,000 ㎡ 建築面積:2,583 ㎡(休憩所等含む) 建ぺい率:12.3% 駐車台数:148 台(小型)

■商圏(定性調査) ・東京都江 川区・東京都葛飾区・千葉県・埼 県・ 市

■商圏(定性調査) ・能登町・金沢市・加賀市・富山市

■商圏(定性調査) ・山口県内全域・広島市・福岡市

■客層 直売所・物産館・レストラン:60 70 歳代 サンドイッチ専門店:20 30歳代 新レストラン:10 70 歳代

■客層(ターゲット) 県庁所在市等人口集中エリアの女性 市内サラリーマン(20 50 歳代男性)

■客層

■曜日別動向 平日:観光客3地元客7 休日:観光客6地元客4

■曜日別動向 平休:観光客メイン

■曜日別動向 平休:観光客メイン

半径約 70km 半径約 80km

半径約 120km

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2. 拠点施設を中心とした商圏分析

複合施設としての商圏 農業資材販売店としての商圏 産直施設としての商圏

【算出根拠】 前頁の大型道の駅へのヒアリング調査を参考に仮定

【算出根拠】 一般的なホームセンターの商圏とされる 3km※1を参考

【算出根拠】 一般的なスーパーマーケットの商圏とされる2km※2を参考

【商圏人口の抽出条件】 山形市への旅行者の旅行参加形態として「夫婦・カップル」「男女グループ」が約半数と多いことからターゲットとして仮定(resas より) 【データソース】 上記円がかかる宮城県、山形県、福島県からの山形市への旅行者(resas from-to 分析2

2

【商圏人口の抽出条件】 域内の農業従事者をターゲットとして仮定 【データソース】 上記円にかかる小地域内の総農家数※3(農林業センサス2015 より) 【商圏人口】

【商圏人口の抽出条件】 域内の主婦または主夫をターゲットとして仮定 【データソース】 上記円にかかるエリア内の核家族世帯数※核家族1世帯につき、主婦または主夫が1名という仮定(国勢調査 2015 より) 【商圏人口】 8,569 人

※1:齋藤雅俊、三浦英俊、『ホームセンターにおける商圏の範囲の研究』、南山大学、2015 を参考にした他、カインズやコメリの出店基準を参考

※2:『2019年版 スーパーマーケット白書』、スーパーマーケット協会、2019 を参考

※3:経営耕地面積が 10a 以上又は農産物販売金額が 15 万円以上の世帯

半径約 100km 半径約 2km

半径約 3km

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3. 外国人観光客に関する調査

A 社 B 社 C 社

【対応者】 仙台支店 営業統括部 他

【対応者】 インバウンド事業グループ 東北チーム 担当リーダー

【対応者】 事業部 マネージャー他

【東北地域でのインバウンド客の動向】 ・台湾、中国、韓国、タイ、米が多い ・タイや香港は検疫が甘く、果樹の持ち帰りが目立つ ・レンタカー利用、国籍問わず増えている ・レンタカー利用、香港、台湾、タイで特に増えているイメージ ・FIT の増加も著しいが、台湾等国によってはまだ団体旅行も多い ・韓国や香港は9割方FIT に移行したのでは ・東アジアからで 2 泊 3 日、東南アジアからで 5 泊 6 日程度の旅程が平均的でそのうち山形県内の滞在は半 1泊2 ・果物狩りは人気コンテンツ(いちご、さくらんぼ、もも、なし、ぶどう、りんご、かき) 【調査対象施設の想定機能に関する需要予測】 ・ホームセンターもショッピングセンターもそれなりに近くにあり、競合との差別化が難しく感じる ・立ち寄り型観光拠点の肝は、夜の滞在地(宿)と昼の滞在地(その日のメインになる観光地)の間に位置しているかどうか、その観点からすると本施設の立地優勢は低く、現在団体ツアー用に組み込んでいる既存他施設(蔵王、天童、寒河江等)に劣る

【調査対象施設の想定機能に関する需要予測】 ・駐車場や施設の規模から団体向けの大箱需要は可能性ある ・特に宿泊拠点である蔵王に戻る際、山形市内で昼食に立ち寄れる大箱が少ないので、競合が少ないのでは ・機能性としては、お土産物販だけであれば立ち寄る可能性は 0。飲食や果樹収穫体験等の体験メニューがあって始めて俎上にのる。 ・公共交通で動く層、山形駅からの誘引は非常に厳しいと予想

【調査対象施設の想定機能に関する需要予測】 ・道の駅「米沢」は特別立地性に優れているとは思わないが、一度高速道路を降りてまで立ち寄る。情報発信拠点として機能しているのでは ・寒河江、東根にはサクランボ狩りできるところがあるが、山形市内では少ない。また収穫時期をずらせると強みになる ・公共交通で動く層、山形駅からの誘引は非常に厳しいと予想 ・毎日確実に営業し、当日受付可等間口を広く設ければ団体需要は増す

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【その他提言】 ・インバウンド需要という側面においては、産直や加工品売場等の物販よりも観光農園等の時間消費型のコンテンツに注力すべき ・昨今の観光動向からすると大型バス 20 台分の駐車マスは過剰

【その他提言】 ・農業体験から文化体験(調理体験)までワンストップ化する素材として、いも煮のポテンシャルを感じる ・飲食の提供方法、ビュッフェ形式の人気高い

【その他提言】 ・農業体験から文化体験(調理体験)までワンストップ化する素材として、いも煮のポテンシャルを感じる ・施設の機能ごとにターゲットが違うのであれば敷地内動線も整理しては

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第5章 山形市の強みとなりうる地域資源の抽出、

比較調査分析 1. 地域特性の整理

①地域資源

山形市内及び周辺地域における活用が可能な地域資源を、「農産物」「加工品」「観光資源」「歴史・文化」のカテゴリーで整理を行った。

本地域においては、伝統野菜や郷土料理など特徴的な地域資源が散見される。

カテゴリー 名称

農産物 悪戸いも 小笹うるい

堀込せり 金谷ごぼう

蔵王かぼちゃ 三河ぶき

山形赤根ほうれんそう えごま

もってのほか 山形産きのこ

だだちゃまめ

加工品 のし梅 芋煮

ラスクフランス 玉こんにゃく

樹氷ロマン どんどん焼き

だし 冷やしラーメン

青菜漬け・おみ漬け 冷たい肉そば

観光資源 霞城公園 ドッコ沼

文翔館 山形美術館

もみじ公園(宝幢寺跡) 山形城跡

立石寺 最上義光歴史館

山形蔵王温泉スキー場 唐松観音堂

歴史・文化 林家舞楽 山岳信仰

山寺が支えた紅花文化 ラーメンのおもてなし文化

芋煮会 山形組子

やまがたの雛

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②山形市の特徴

国勢調査などの既存統計資料などをもとに、県内市部における各種指標の比較を行うと、山形市については、人口、第1次産業と第3次産業の人口構成比、小売業年間販売額などが特筆すべき点として挙げられる。

人口密度 可住地面積 世帯数 (世帯) 世帯数 (世帯)

(人/k ㎡) (k ㎡) 人口

(2018 年) 18/13(%)

老年人口比率(%)

年少人口増加率(%)

生産年齢増加率(%)

老年人口増加率(%)

(2013 年) (2018 年) 世帯数 18/13

(%) 人口社会増減数(人)

(2015 年) 高齢単身世

帯数 高齢単身者割合(%)

山形県 山形市 647.1 174.03 246,755 -1.1 28.5 -5.9 -5.1 10.9 97,851 101,631 1.04 -236 100,303 8,958 8.9

米沢市 148.1 133.29 81,214 -4.9 30.5 -13.1 -8.6 7.1 32,293 32,324 1.00 -472 32,997 2,976 9.0

鶴岡市 97.5 401.18 127,851 -5.1 33.4 -11.6 -9.8 6.7 48,186 48,288 1.00 -491 45,339 5,135 11.3

酒田市 172.2 244.23 103,852 -5.2 34.2 -13.0 -10.3 7.8 41,724 41,819 1.00 -237 39,320 4,538 11.5

新庄市 161.6 96.34 36,015 -5.1 30.8 -15.5 -8.4 7.3 13,656 13,687 1.00 -172 12,961 1,214 9.4

寒河江市 295.9 69.69 41,138 -3.0 30.7 -8.5 -7.5 9.3 13,358 13,777 1.03 -19 13,086 937 7.2

上山市 127.6 78.58 30,753 -6.5 36.7 -13.0 -12.6 6.4 11,356 11,230 0.99 -209 10,694 1,297 12.1

村山市 124.5 88.74 24,519 -7.3 36.9 -15.6 -13.5 6.6 8,231 8,177 0.99 -183 7,713 691 9.0

長井市 125.8 79.08 27,008 -5.6 33.9 -11.0 -10.5 5.9 9,727 9,755 1.00 -65 9,109 872 9.6

天童市 544.9 75.34 61,576 -0.6 29.0 -4.8 -5.6 13.7 20,352 21,621 1.06 -31 21,428 1,561 7.3

東根市 230.0 75.12 47,605 1.0 26.9 -2.0 -2.3 11.0 16,057 17,175 1.07 218 15,473 1,014 6.6

尾花沢市 44.3 113.44 16,493 -10.3 37.7 -13.9 -17.1 2.4 5,704 5,497 0.96 -190 5,109 459 9.0

南陽市 197.0 65.13 31,624 -5.2 32.2 -10.9 -9.5 6.1 11,125 11,192 1.01 -117 10,705 996 9.3

青森県 青森市 347.6 259.27 286,624 -3.7 29.5 -11.0 -8.9 12.8 135,118 136,349 1.01 -986 118,234 14,046 11.9

岩手県 盛岡市 327.6 236.56 290,422 -0.9 26.3 -5.6 -5.2 13.4 129,671 132,329 1.02 -185 129,718 12,490 9.6

秋田県 秋田市 343.3 290.66 311,024 -2.6 29.8 -8.3 -8.0 13.0 141,000 143,423 1.02 -899 135,318 15,366 11.4

宮城県 仙台市 1332.9 341.74 1,048,020 1.8 23.3 -2.7 -2.1 17.8 476,044 497,377 1.04 1295 498,953 45,035 9.0

福島県 福島市 364.3 275.17 279,655 -1.2 28.7 -7.8 -5.3 11.9 116,644 121,428 1.04 -961 122,269 13,238 10.8

労働者数(人)

完全失業者(人)

産業別人口構成比(%) 製造業 出荷額(100 万円)

2015/2014(%)

小売業 年間販売額(100 万円)

2016/2014(%)

新設住宅着工戸数 (件)

病院 保育所

第1次産業 第2次産業 第3次産業 事業所数 (箇所)

事業所数 (箇所)

施設数 (箇所)

病床数 (床)

医師数 (人)

施設数 (箇所)

在所児数 (人)

山形県 山形市 121,849 4,799 3.5 19.7 73.2 405 218,791 1.07 1,964 316,442 0.99 1,475 17 5,308 1,200 45 4,428

米沢市 41,423 1,590 3.8 34.3 58.9 279 503,121 0.89 751 101,504 1.06 474 5 1,102 154 17 1,568

鶴岡市 64,816 2,346 9.4 28.5 60.3 261 225,546 0.95 1,263 125,411 1.00 597 7 1,397 228 39 3,358

酒田市 52,964 2,142 8.3 25.1 62.4 205 255,815 1.05 1,003 111,706 0.97 444 6 1,359 267 31 2,330

新庄市 18,433 676 9.7 27.6 60.4 109 49,702 0.94 408 59,137 1.03 162 3 929 83 7 673

寒河江市 21,445 758 10.2 32.6 55.3 114 142,627 0.98 321 45,466 0.95 255 2 318 51 10 882

上山市 15,814 565 10.9 24.7 63.8 93 65,353 1.10 260 22,826 0.93 113 3 717 57 4 521

村山市 12,545 522 14.4 37.1 48.3 93 40,669 0.96 224 16,665 0.95 59 - 9 22 4 225

長井市 13,919 431 7.2 37.5 53.0 115 52,560 1.12 273 31,158 0.97 120 2 322 32 5 416

天童市 31,877 1,271 10.3 29.5 58.6 140 183,049 1.01 537 84,549 1.36 399 4 581 83 7 764

東根市 25,281 1,036 12.0 31.5 54.6 108 425,808 0.98 358 48,938 1.05 462 2 722 64 9 780

尾花沢市 8,995 277 22.2 31.4 46.3 48 28,645 0.97 192 17,855 0.84 30 1 171 11 7 443

南陽市 16,419 646 10.3 32.7 56.7 110 49,959 1.07 345 33,660 0.99 232 2 303 44 6 679

青森県 青森市 130,968 8,202 3.0 14.5 78.5 213 109,436 1.07 2,093 329,979 1.10 1,735 21 5,232 668 67 4,731

岩手県 盛岡市 143,723 6,398 3.3 13.9 80.1 204 150,186 1.49 2,299 407,421 1.01 2,392 29 6,637 1,240 58 5,527

秋田県 秋田市 140,707 6,479 2.1 16.0 78.5 266 307,519 1.05 2,306 389,288 1.14 1,902 23 5,705 1,227 54 5,259

宮城県 仙台市 479,339 24,807 0.8 16.1 80.5 609 882,297 0.81 6,360 1,491,357 1.21 9,909 56 13,116 3,677 157 14,843

福島県 福島市 140,435 5,639 4.0 23.0 68.7 384 636,525 1.00 2,076 353,689 1.05 2,769 21 4,668 1,139 36 3,334

資料:国勢調査など各種統計調査

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2. 地域特性の分析 関連する事項について、我が国を取り巻く社会情勢(機会、脅威)、山形県に関する特徴(強み、弱み)を整理し、それらを基に地域特性を SWOT 分析により整理すると以下のようになる。

強み

・山形空港、JR 山形駅、高速自動車道路があり、県内でも航空、鉄道、自動車交通のそれぞれ要衝に位置する。

・山形市は、買回品の商圏として上山市、山辺町、中山町、朝日町、大江町、白鷹町を一次商圏として抱えており、特に上山市、山辺町、中山町からの購買依存度は 55%以上となっている。

・東北最大の消費地である仙台市からもアクセスしやすい立地条件 ・隣接して 形市市 防災センターが 地している。 ・山形大学、東北芸術工科大学があり、多様な人材、ノウハウがある。 ・さといも、こんにゃくへの支出額は山形市が一位。あさつき、うるい、

洋なしの収穫量は山形県が第一位。 ・山形市のふるさと納税の人気が高い。

弱み

・ 形県は 本でも有数の年間降雪量があり、冬期の市 活に甚大な影響を及ぼすこともある。

・山形市の人口は減少傾向にあり、高齢化率は 28.5%と全国平均を上回っている。

・本県における伝統野菜は、野菜以外のものも含めた在来の作物の品種は 150 種あるが、生産者の高齢化と後継者不足とともに、病気に弱い品種が多く、伝統野菜自体の育て方が難しい・手間がかかるなどの理由から、生産が敬遠される傾向にある。

・地元には様々なおいしい伝統野菜があるにもかかわらず、その良さを地元の人が知らないため、これらの野菜を食べてもらう機会が失われている。

・ 形県の県 所得は、全国的に見ても比較的低い。 機会

・平成 25 年 12 月に、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録

・令和元年の東北6県の外国人延べ宿泊者数(従業者数 10 人以上の施設)については、1,557,910 人泊(前年比+21.0%)となっている。

・若者の消費行動においてコト消費にお金をかけているのは 31.9%と他世代よりも強く表れる。

・健康ヘルス市場、 啓発市場は成 産業である。 ・産学官が連携した取り組みが増加している。 ・ふるさと納税、クラフトファンディングなどで社会貢献する方が増えて

いる。 ・国内のアウトドア市場は、今後拡大していくことが見込まれている。

・山形県には、奥羽山脈、日本海などの多様な自然環境が広がっている。

山形市域の奥羽山脈は、大半が蔵王国定公園に指定されており、変化に富んだ豊かな自然環境が見られる。

・広域観光の出入り口となる主要な公共交通機関が整備されており、国内のみならずインバウンド観光を見込むための基盤は整っている。

・山形市の人口は約 24 万人で、県内市部の中でも最も多い人口を擁している。また、隣接して東北最大の人口規模を誇る仙台市が隣接しており、多くの方が観光や買い物など訪れることが期待できる。

・大学との連携による、既存産業の発展、新たな産業の創造などが期待できる。

・寄付などの社会貢献に関心のある方が、山形の取り組みに注目している。

・降雪は、外国人観光客にとって魅力の1つであるが、農業にと

っては、冬期の厳しい気象環境となっており、冬期における販売商品の確保が課題である。

・「和食」の無形文化遺産登録により、郷土料理や伝統野菜などへの関心が高まる中、山形には多様な食文化、伝統野菜などがあり、その活用が必要である。

脅威

・「和食」の礎となる各地域で伝統的に継承されてきた伝統的な食文化は、担い手の高齢化などにより徐々に失われようとしている。

・食文化の伝承するためには、若い世代への継承が重要になる。 ・訪日旅行者の「道の駅」に対する認知度は約2割と比較的低い。 ・道の駅は全国に 1,100 箇所以上あり、多くの道の駅が物産機能などを備

えている。特徴的な施設については、明確なコンセプトや商品のブランディングなどに取り組んでいる。

・地球温暖化などの影響により、大雨や洪水などの自然災害リスクが高まっている。

・個人投資、寄付などの社会貢献への関心の高まり。

る。 ・全国には、多様な道の駅など農産物直売所を含む施設が多く整備され

ている。人気のある施設は、工夫を凝らしそれぞれの施設が特徴を出している。人口減少が進む中でおり、差別化が求められている。

・山形のみならず我が国全体における人口減少、少子高齢化の傾

向は今後一層進むことが推測されている。 ・第一次産業人口構成比が県内市部の中で最も低い。第一次産業

の後継者不足でもあり、特に若年層の掘り起こしが重要になる。

・市内農業者の所得は増加傾向にあるが、他分野と比較すると低い。

・生き残るためには、施設の差別化が求められている。 ・農家自らの加工・販売の取り組みはハードルが高い。

-15-

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3. 6次化推進拠点づくりに向けた取組み内容

クロス SWOT 分析から整理された6次化推進拠点整備に向けて求められる取組み項目について、その具体的な内容を以下に示す。

1)施設のコンセプトの明確化

・今回調査した道の駅等の施設の多くは、他の施設とは差別化した明確なコンセプトを持っています。

・「農産物をつくる“入り口から出口まで”必要な産業のすべてに関わって農業を安定産業にする」という生産者の視点で施設整備の意義、目的は明確であるが、利用者(消費者)に向けて伝える施設が目指すもの(コンセプト)が示されておらず、明確に打ち出す必要があると考えます。

2)高齢者支援、安心安全、雇用などの地域への社会貢献

・本施設は、市街地と郊外集落との中間に位置し、そのため、農業就業者や観光客だけでなく、地域住 にとっても魅 的な施設であることが望まれます。本施設が、どのように地域住 の 活を豊かにするか、地域経済に貢献するのかを し、地域住 にも愛され、 えられる施設にしていくことが必要です。

3)安全性や健康などに着目した農産物、加工品の開発、提供

・高齢社会、食の安全性への関心の高まりなどを背景に、農産物やその加工品に対するニーズも多様化しています。農産物の付加価値を高め、農業者の収入を安定させるためには、年間を通して特 的な農産物、加 品の開発、提供を図る必要があります。

4)山形の食文化の継承と新たな食文化の創造と発信

・山形には、地域の風土にあった多種の伝統野菜が生産され、郷土料理など独特の食文化が形成されてきましたが、時代とともに継承が難しくなってきています。これらは山形を特徴づける資源であることから、継承と情報発信の拠点として取り組みを充実させることが必要です。

・伝統に捉われることなく、新たなニーズを開拓するための食文化の創造も求められます。

5)取り扱う商品について農林畜産物への特化

・山形は、農地や山林、河川、海など豊かな資源環境が広がっています。本市は海には面しておらず、本市の特産品として海産物というイメージもないことから、幅広く特産品を販売するよりも、イメージしやすい農林畜産物に特化することが必要であると考えます。

・その際、販売を通じて嗜好や売れ筋などをマーケティングしながら、県外や国外への販路を拡大していくことも求められます。

6)施設自体が目的化した機能、役割の装備

・高速道路 IC など主要な交通にアクセスしやすい立地となりますが、周辺に集客施設がないことから、何かのついでに寄るということよりも、目的を持って訪れる施設となる必要があります。そのため、集客性のある機能や施設を備えた施設づくりを目指すことが必要です。

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7)コト消費による市内外のファンを作るための仕掛けづくり

・近年の、モノを消費することよりも、コトを消費することを希望するニーズが増えており、そのためのメニューの充実を図る必要があります。時代のトレンドに応じた多様なメニューを提供するなど、「ファン」を増やす仕掛けづくりが必要です。

8)多様な世代、職種が農業を学ぶことのできる環境を提供

・若い世代やリタイア後の生きがいを求める高齢者のみならず、職業を持ちながら自己啓発の一環として農業を学ぶというニーズが高まってきており、都市部を中心にその市場が拡大することが見込まれています。このため、世代や性別に関わらず、農業を気軽に学ぶことのできる環境を提供していくことが必要です。

9)優れた人材、差別化のある農産物・加工品などを一貫したプロデュース

・統一したブランドイメージを持って、農産物や加工品を販売することが、他との差別化につながると考えます。それらを、生産者や外部の加工業者に任せるのではなく、品質管理や商品のプロデュースなどマネジメントしていくとともに、それらを生産・加工できる優れた人材を育成していくことが必要です。

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4. コンセプト(案)

前述の「3.6次化推進拠点づくりに向けた取組み内容 1)施設のコンセプトの明確化」で示した、現時点で検討されている施設整備目的、整備の方向性等を基に、利用者(消費者)に向けて伝える施設が目指すもの(コンセプト)についての提案を整理する。

■現時点で示されている施設整備の目的、整備の方向性など

・おいしいテーマパーク「あがって」:農業者による農業者のための農業振興

・農産物をつくる“入り口から出口まで”必要な産業のすべてに関わって農業を安定産業にする

・「あがって」は、山形の農業の入口「A-GATE」も意味する

(第1案) (あがって)は、「農業 」「活動 」「魅力 」の3つのA

(エー)の (入口)として、通年的な山形の様々な農林産物の販売・紹介、新たに農業を志す方の入口、農林産物を介して様々な活動を行う方の入口、山形の魅力を発信する入口としての位置付けを目指します。

(第2案)

山形は、米を始めとして野菜、果物など国内でも有数の産地であり、また本地域にしか見られない伝統野菜も多くあります。山形の豊かな実りを、一年を通して「買う」「調理する」「食べる」という活動を、くつろぎ・楽しみながらこの施設内で体験できる空間づくりを目指します。

(実りの広場)

( )

活動 魅力

農業

A-GATE

Harvest:農産物の(穀物・果物・野

菜などの)収穫、刈り入れ、採取、

収穫期、刈り入れ時、(穀物・果実

などの)収穫物、作物、産物、(一季

節の)収穫高、(仕事・行為の)結果

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5. 6次化推進拠点施設に関するハード、ソフトの提案 前述の「3.6次化推進拠点づくりに向けた取組み内容」の「2)施設のコンセプトの明確化」で示した、「2)高齢者支援、安心安全、雇用などの地域への社会貢献」から「9)優れた人材、差別化のある農産物・加工品

などを一貫したプロデュース」を踏まえて、施設整備に関するハード、ソフトの提案を整理する。

■導入施設の整備方針とその取組み

■産地直売施設(こだわりマーケット) ・市内、県内の農林畜産物、加工品等の販売

・市内の直売所との連携や生産者と一体となった集荷体

制を構築し、山形市の物産の発信拠点

■飲食施設(農産物利用レストラン) ・地元の新鮮な素材を活用した郷土料理を提供する施設

として、独自メニューの開発や食の安全安心にこだわ

った食事の提供を行う施設

■資材等販売施設 ・種苗や肥料、農機具などの農業資材販売

・作業着等の衣料品販売

■農産物加工所 ・惣菜、瓶詰、菓子製造など各種加工品の製造が可能な

加工所

■ワイナリー・ブリュワリー

施設、整備方針

○野菜等集出荷場

○実演調理カウンター

○POSレジ(売上管理、マーケティング)

○レストラン

○厨房

○販売棚

○セミナーホール(講習会、イベント

など)

○DIY資材、DIY体験軽作業場 ○キャンプ用品などアウトドアに関する商品の

販売

○特産品販売施設

○農産物販売施設

○流し場、調理施設

○冷蔵設備

○一次加工設備

○レンタル農産物加工所

○ワイン、ビール醸造設備

○農業用ハウス

○ICT設備

○芝生広場

○電源、給排水など屋外インフラ設備

○ドッグラン

○キャンプスペース

○防災施設

ハード(基本) ハード(提案) ソフト

○生産者の顔やこだわり、生産履歴の情報

○旬の野菜、伝統野菜などを使った調理実演サービス

○県外、国外への商品出荷に向けたマーケティング

○ふるさと納税返礼品の取り扱い

○地域の食材を使ったメニュー開発

○産地直売所と連携した食品ロスの削減

○栄養バランスなどニーズに応じた配食サービス

○農業初心者への農業技術のコンサルティング

○付加価値のある農産物づくりのコンサルティング

○社会人向け農業イノベーションスクール

○県立農林大学校との連携による人材育成

○農業機械のレンタル、リース事業

○6次化起業の支援

○売れる商品づくりのコンサルティング

○地域の資源を活かした特産品の開発

○ジビエ料理・加工品の開発研究

○産地直売所と連携した食品ロスの削減

○山形大学、東北芸術工科大学との連携

○通年的な農作物の生産

○観光客向けの収穫体験だけでなく、農業への関心を高める栽培

体験

○各種イベントの開催

○起業支援マーケットの開催

○グランピングの開催

収益事業部門

■キッチンスタジオ ・イベント的に料理を学ぶことのできる施設

○キッチンスペース ○イベント広場との一体的な利用(調理品を提供

するイベント時の利用)

公益的部門

○コミュニティバスなど停留所

○EV(電気自動車)充電スペース

○キャンピングカー駐車スペース

○非常時のエネルギー設備

○一般車両駐車スペース

○大型車両駐車スペース

○身体障害者用駐車スペース

○男子トイレ、女子トイレ、多目的トイレ

■駐車場・トイレなど ・多くの人に利用してもらうため、十分な規模の駐車場

を確保

■農場(体験農場、観光農園) ・ICTを導入した農場

・新規就農者が技術を学ぶことのできる農場

・観光農園

○伝統野菜などの調理方法の講習

○アウトドア料理などの講習

○料理コンテスト、料理レシピの提供

○レシピ等調理や食育、食の安全、安心に関する情報

■イベント広場 ・周りの自然景観を眺めながら、くつろげる空間

・イベントなど賑わいを生みだすことのできる空間

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Page 25: 令和元年度 地域経済産業活性化対策調査令和元年度 地域経済産業活性化対策調査 官民連携による6次化推進拠点づくりに向けた 地域商社事業に関する調査

第6章 「6次産業化推進拠点づくり協議会(仮称)設立準備

会」の開催 1. 開催概要

開催日時:令和2年3月 19 日(木) 9:30 11:30 開催場所:山形市役所 10 階委員会開催室 専門家:山形大学人文社会学科 准教授 兼子良久 株式会社ファーマーズ・フォレスト 代表取締役 松本謙 参加者数:29 名 開催内容:山形市6次化推進拠点構想と現状について [山形市] 調査結果報告

先進事例紹介[株式会社ファーマーズ・フォレスト] 意見交換

氏名・肩書 専門分野

兼子 良久

山形大学人文社会学科

准教授

専門分野はマーケティング、マーケティング・リサー

チ。研究業績として「地域振興に関する消費者心理調

査-テキストマイニングの活用を事例として((学習

院大学計算機センター年報))」「過疎地域住民の生活

ニーズ調査-過疎地の小売戦略(学習院大学計算機セ

ンター年報)」「九州地域のブランド力測定-鹿児島に

おける地域ブランド構築に向けて-(鹿児島経済論

集)」等、地域活性化を主要研究テーマの 1 つとして

いる。

松本 謙

(株)ファーマーズ・

フォレスト

代表取締役社長

地域活性化戦略/地域戦略構想書の作成/地域資源の

利活用/新商品開発の方法/マーケティング戦略/地

域ブランド戦略/農村交流拠点・道の駅・地域アンテ

ナショップ等の戦略経営/着地型観光や体験型ニュー

ツーリズムによる地域展開。

国内でも有数な成功事例として著名である地域商社

「ファーマーズ・フォレスト」の代表であり、道の駅

うつのみやろまんちっく村の総合運営等実践者として

の豊富な経験を有する。

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