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タイにおける土壌・地下水汚染対策法令~背景・規制概要・最新動向~
2018年1月
EnviX Asia
EnviX Asia
エンヴィックス・アジア社(タイ)
http://www.envix-asia.com/ Tel: +66-20775058
Email: [email protected]
EnviX
エンヴィックス有限会社(東京・豊島区)
http://www.envix.co.jp/Tel: 03-5928-0180
Email: [email protected]
株式会社ヤマキ環境(東京・中央区)
http://www.yamakikankyo.jp/Tel: 03-6231-0503
Email: [email protected]
目次・サマリー
2
1. タイの土壌・地下水汚染問題とは?(pp.3-4参照)• 鉱山開発や工業発展により土壌・地下水汚染が問題化(pp.3)• 2000年以降、土壌・地下水関連法令を段階的に整備(pp.4)
2. タイの土壌・地下水汚染対策法令とは?(pp.5-11参照)• 2016年に土壌・地下水汚染に関する工業省令が公布、施行(pp.5)• 特定12業種の工場に①工場情報の届出、②土壌・地下水の調査結果の報告を
義務付ける(pp.6-9)• 2017年に規制の運用がスロースタート。2018年以降、法令順守状況の確認の
ため検査が実施される見込み(pp.10)• 土壌・地下水汚染に係る社会の認識が高まり、土地取引に係る自主調査ニーズ
も増加(pp.11)
3. エンヴィックス・アジアについて(pp.12-16参照)• タイ・バンコクの日系環境コンサルティング会社です(pp.12-13)• 土壌・地下水汚染に係るコンサルティング等を行っています(pp.14)• 実績紹介(pp.15)• 連絡先(pp.16)
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向―
タイの土壌・地下水汚染をめぐる環境問題
マプタプット工業団地の公害問題(2000~)世界第5位の規模を誇るマプタプット(ラヨーン県)の石油化学工業地帯では、公害が社会問題に発展。工場から排出される有害化学物質により甚大な健康被害を受けているとして周辺住民が訴訟を提起。2009年9月、中央行政裁判所が総額でおよそ100億ドル(約1兆円)にのぼる76件のプロジェクトに中断を命じた。この決定は、日系企業にも大きな影響を与えた。当局は200を超える観測井戸を設置し、地下水汚染状況を監視している。
北部工業団地のVOCsによる地下水汚染(1999)JICAの支援のもと、電気電子産業を中心とした日系企業が多く入居する北部工業団地(ランプーン県)にて地下水の汚染状況を調査。トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物(VOCs)による工業汚染が見つかり、後に地下水環境基準が制定される契機となった。
鉛鉱山による公害問題(1990~)カンチャナブリ県には鉛亜鉛鉱床があり、その一部は鉱山開発された。しかし、選鉱場下流に位置するクリティクリーク(小川)周辺で、鉛に起因する健康被害が発生し、社会問題となった。現在、タイ天然資源環境省を中心に、浄化プロジェクトが進行中である。
タイでは、鉱山開発や工業発展に伴って引き起こされた土壌・地下水汚染が各地で問題となっている。
32018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向―
タイにおける土壌・地下水汚染関連法整備の経緯
1990年代 スズ鉱山(ナコンシ―タマラート県)による土壌および地下水のヒ素汚染
1990年代 鉱山開発および選鉱場によるクルティクリーク(カンチャナブリ県)の鉛汚染
1999頃 北部工業団地(ランプーン県)における VOCsによる地下水汚染
2000 「地下水環境基準」制定
2000頃 廃棄物埋め立て処分場(サラブリ県)における重金属汚染
2000年代 マプタプット工業団地(ラヨーン県)の公害問題
2004 「土壌環境基準」制定
2009 マプタプット公害訴訟において、中央行政裁判所が総額およそ約1兆円にのぼる76件のプロジェクトに中断命令
2016 「工業省令:仏暦2559年(2016年)工場敷地内の土壌及び地下水の汚染管理」公布
2016 「工業省告示:仏暦2559年(2016年)土壌及び地下水の汚染基準、土壌及び地下水の質的検査、土壌及び地下水の情報の届出並びに質的検査結果報告書の作成、土壌及び地下水の管理対策及び汚染軽減対策提案報告について」公布
2017 「工業事業局告示:仏暦2560年(2017年)土壌及び地下水のサンプル採取マニュアル」公布
2017 「公衆衛生省告示:仏暦2560年(2017年)ごみ埋め立て処分場における浸出液からの地下水汚染の予防および検査結果の報告について」公布
42018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向―
1. 工場法 1992年に制定された法律。所管官庁は工業省。 工場の安全管理や環境管理について規定。
2. 工業省令:仏暦2559年(2016年)工場敷地内の土壌及び地下水の汚染管理 2016.04.29公布、2016.10.26施行 規制の枠組みを定める
3. 工業省告示:仏暦2559年(2016年)土壌及び地下水の汚染基準、土壌及び地下水の質的検査、土壌及び地下水の情報の届出並びに質的検査結果報告書の作成、土壌及び地下水の管理対策及び汚染軽減対策提案報告について 2016..11.29公布、2016..11.30施行 規制の詳細および報告書書式等を定める。
4. 工業事業局告示:仏暦2560年(2017年)土壌及び地下水のサンプル採取マニュアル 2017.04.20公布、同日施行 サンプリングの技術的事項について定める
関連法令の枠組み
土壌・地下水汚染に係る工業省令(2016)の法的枠組み
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向― 5
工業省令(2016)の義務が課せられる対象工場は?
No. 工場の区分又は種類
1 織物、糸、又は非アスベスト(Asbestos)繊維に関する工場No.22 (1) (2) (3) (4)
2 パルプ又は紙の製造工場No.38 (1) (2)
3 化学品、化学物質、又は肥料以外の化学材料に関する事業の工場 No.42 (1) (2)
4 塗料(Paints)、ワニス、セラックニス、ラッカー又は塞ぐ若しくは詰める用途のための製品に関する事業の工場No.45 (1) (2) (3)
5 化学製品に関する事業の工場No.48 (1) (2) (3) (4) (6) (12)
6 石油精製工場 No.49
No. 工場の区分又は種類
7 鉄又は鋼鉄以外の金属の精錬、混合、純化、熔解、鋳造、圧延、引延し又は初期段階の製造に関する工場No.60
8 電気器具に関する事業の工場No.74 (1) (4) (5)(照明器具、絶縁材、電池)
9 製品又は製品の構成要素の装飾又は特性変更に関する事業の工場 No.100 (1) (2) (5)
10 中央廃棄物処理施設 No.101
11 廃品又は不用品の分別又は埋立てに関する事業の工場No.105
12 工業製品の不用品又は工場から出る廃棄物を、工業的製造工程を経て原材料又は新製品に再生する事業の工場 No.106
対象工場は、省令にて指定される特定12業種。タイ国内における該当工場数は5798工場。日系企業の進出が多い地域を見ると、• バンコク:460工場• アユタヤ:201工場• チョンブリ:467工場• ラヨーン:222工場(エンヴィックス・アジア調べ)
注)No.は、工場法に基づく産業分類番号のこと。
該当工場かわからない場合には、弊社までお問い合わせください。無料で調査・回答致します。問い合わせ先:[email protected]
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向― 6
重要な提出書類は、以下の2点です。
工場情報届出
初回調査
2回目調査
3回目以降の調査
調査報告
2016.11.30180日以内
土壌: 3年毎地下水: 毎年
2017.05.29
調査報告
120日以内調査
報告120 日以内
1. 工場情報の届出(提出期限:2017年5月29日)2. 調査結果の報告(初回提出期限:2017年10月24日)
※土壌(3年毎)・地下水(毎年)について継続して提出。
• 汚染対策の計画(提出期限:汚染が見つかった日から180日以内)
付属書3
1回目調査から180日後
工業省令(2016)の要求事項は?
工場情報の届出(付属書3提出)期限は5月29日!
初回調査の実施および報告(付属書4提出)期限は2017
年10月24日
2017.10.24
基準超過の場合のみ、後日以下の書類を提出します。
報告書の作成の仕方によって、その後のコストが大きく変わってきます。弊社では、お客様のご希望に合わせてご提案させていただいております。まずはご相談ください。問い合わせ先:[email protected]
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向― 7
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向ー 8
工業省令(2016)に違反した場合の罰則は?
工場法に基づく罰則
• 罰金 (20万バーツ以下)• 操業の停止、ライセンスの剥奪
国家環境保全推進法に基づく罰則
• 環境損害の修復(上限なし)
環境損害の修復モニタリング費用負担
(上限なし)
環境損害
20万バーツ以下の罰金
工業省令(2016)は工場法の下位法令であり、工場法の罰則適用の対象となります。
工場敷地外に汚染が拡散すれば、国家環境保全推進法が適用され、上限なく環境修復費用を負担するよう求められる可能性があります。
工業省令(2016)の特徴
• 既存工場、新規工場ともに対象。• サンプリングおよび分析対象は土壌および地下水• サンプリングおよび分析は、工業省に認められた機関(民間・公共)が実施• 調査対象物質は(実質的に)省令のリストに掲載される126物質/項目のうち、
自社で使用/保管している物質• 地下水の流れを基準に、上流側と下流側の少なくとも2点に井戸を設置• 有害物質を使用/保管していない場合は、サンプリングおよび分析が免除
弊社の専門家が、化学物質や地下水の情報を調査、報告書の作成・調査のご提案等対応いたします。
また、免除の対象となる可能性があれば、書類準備、工業省との折衝含めサポートいたします。
問い合わせ先:[email protected]
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向― 9
2017年までは、工業省も厳しい取り締まりを行わず、認知度の向上を図るとともに、段階的に曖昧な点を確認しながら規制の運用をスロースタートしてきた。
2018年以降、当局は徐々に規制の執行を強化していく方針。
工業省令(2016)の運用実態
• 対象工場へのレター送付、セミナー開催等により、工業省は規制の周知徹底に努めている。
• 県や工業団地により、指導のレベルにバラつきがある。• 実務上、法令とは異なる指導も行われている。• 報告書の提出が遅れても厳しい指導は行わず、報告書を
受領している。• 2018年以降、法令順守状況の確認のため検査を実施して
いく方針。
• 書類を提出していないため、工場ライセンスの更新に支障が出るケースが生じている。
• 罰則が科された例は今のところない(2017年12月現在)
工業省が対象工場に送付した規制の順守徹底を求める通知
(2016.08.04付)
工業省の指導
対象工場への影響
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向― 10
工業省令(2016)の影響
• 工業省令(2016)の影響により、土壌・地下水汚染に対する社会の認識が高まりつつある。
• 工業省令(2016)の制定を受けて、規制対象には該当しないが自主的な調査を行う企業が増えてきている。
土壌汚染のある土地の売買には、売り主、借り主、仲介業者等それぞれにリスクが存在します。弊社でも、法令に基づく工場の土壌・地下水調査の他に、工業用地、ガソリンスタンド跡地、コンドミニアム建設地などの土地取引に伴う自主調査の実績があります。
ご相談は、下記までお問合せください。問い合わせ先:[email protected]
土地取引に伴う自主調査(2017年2月@サラブリ県)
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 ―背景・規制概要・最新動向― 11
EnviX Asiaについて
エンヴィックス・アジアは、エンヴィックス有限会社、株式会社ヤマキ環境およびタイ現地のエンジニアによるJV企業です。タイおよび周辺各国にて環境コンサルティングサービスを提供しています。
EnviX Asia Co., Ltd. http://www.envix-asia.com/ (エンヴィックス・アジア社)EnviX Ltd. : http://www.envix.co.jp/ (エンヴィックス有限会社)Yamaki Environment Co., Ltd. : http://www.yamakikankyo.jp/ (株式会社ヤマキ環境)
主要サービス• タイ土壌・地下水汚染に係るコンサルティング(規制対応、自主調査など)• 工場の環境管理・環境法規制対応コンサルティング• 環境・エネルギービジネスに係る市場調査・アジア市場展開支援
2016年設立。タイ・バン
コクの中心部にオフィスを構えています。
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エンヴィックス・アジア社 サービス概要
Services Off-Site:
• 環境・安全法令に係るデスクリサーチ&コンサルティング(報告書作成・プレゼンテーション等) 土壌・地下水法令対応のための報告書作成・コンサルティング
工場に適用される環境法令の特定・法令要求事項対応のためのアドバイス
化学物質法規制対応コンサルティング(輸出入に関する届け出・許認可、GHS、タイ語SDS・ラベル作成等)
環境法令の制定・改正状況のアップデート(タイ環境法規制DBなど)
• 環境・エネルギーに係る市場調査・アジア諸国海外展開支援 EnviX Water Business Journal(EWBJ)
アジア諸国における環境ビジネス市場調査・事業展開支援(水・廃棄物等)
Services On-Site:
• 土壌・地下水の調査・汚染修復 法令に基づく調査・浄化 自主調査・浄化
• 工場やオフィスの環境管理 EHS(Environment, Health & Safety)監査 タイGreen Industry認証取得支援 ISO認証取得支援
• 環境サンプルの採取・分析 大気、排水、土壌、廃棄物、騒音など 職場の化学物質暴露、衛生管理など
• 水処理/廃棄物管理・リサイクル/アスベスト対策/省エネ・再生可能エネルギー
文系(法規制)・理工系(環境技術)の知見を融合した、環境・安全管理に関するワンストップ・コンサルティングサービスの提供
有資格者(日本人):
技術士(環境)、計量士(環境・一般)、公害防止管理者(水質1種)、産業廃棄物処理施設管理者、土壌汚染調査技術管理者等有資格者(タイ人):
エンジニア(環境)、公害防止管理者(水質、大気、廃棄物)
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向ー 13
エンヴィックス・アジアのサービスーー土壌・地下水
• タイの土壌・地下水分野における数十件のコンサルティング実績。• 工業省・天然資源環境省とのネットワーク。
タイ土壌・地下水汚染に係るコンサルティング• 土壌・地下水のサンプリング・および分析• 汚染対策・浄化工事• 報告書の作成・提出、工業省との折衝・調整
法令にもとづく調査のための井戸設置作業(2017年8月@バンコク近郊の化学品製造工場)
タイ土壌・地下水汚染に係るセミナー(2016年12月@東京・御茶ノ水)
講師:タイ天然資源環境省Dr. Wangcharoenrung
2018年1月 EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向―14
EnviX Asia 実績紹介(一部抜粋)
エネルギー関連プラントの履歴調査世界第5位の規模を誇るマプタプット(ラヨーン県)の石油化学工業地帯にあるエネルギー関連プラントの履歴調査(フェーズ1調査)を実施(顧客:タイ政府系企業E社)。
化学品ターミナルの法令に基づく調査大容量化学品タンクを有する化学品ターミナル(サムットプラカーン県)の法令に基づく土壌・地下水調査を実施。(顧客:日系商社D社)
• 法規制対応のための書類作成・調査• 土地取引や環境管理のための自主調査• 汚染が見つかった際の対策・浄化
など、お困りのことがございましたらまずはご相談ください。問い合わせ先:[email protected]
ガソリンスタンド跡地の土壌・地下水調査東北部カラシン県にて、土地取引に伴うガソリンスタンド跡地の土壌・地下水調査を実施(顧客:欧米系小売業A社)。
コンドミニアム建設用地の土壌調査バンコク中心部のコンドミニアム建設予定地にて土地取引に伴う土壌調査を実施。(顧客:日系不動産開発業B社)
工業団地入居企業の法令に基づく調査工業団地(プラチンブリ県)に入居する金属関連工場の法令に基づく土壌・地下水調査を実施。(顧客:日系非鉄金属業C社)
15EnviX Asia タイにおける土壌・地下水汚染対策法令 -背景・規制概要・最新動向―
お問合せ先:
土壌・地下水法規制対応、土地取引に伴う自主調査、汚染浄化、その他環境管理・法規制対応でお困りのことがございましたら、お気軽にご連絡ください。
EnviX Asia
エンヴィックス・アジア社(タイ)
http://www.envix-asia.com/ Tel: +66-20775058(タイ)
+81-3-5928-0180(日本)
Email: [email protected]
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