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完全な土壌水分 Moisture Release Curve.pdf完全な土壌水分特性曲線を測定するためのツールとヒント WP4CとHYPROPを使用した完全な水分特性曲線の作成方法

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完全な土壌水分特性曲線を測定するためのツールとヒント

WP4CとHYPROPを使用した完全な水分特性曲線の作成方法完全な水分特性曲線を作成することは困難であり、完全な曲線の作成に必要な土壌水分ポテンシャルを測定できるような機器は存在しない。歴史的にみて、曲線の一部を測定できるような機器でさえも、最終的な結果に影響を与えるという限界を有していた。

しかしながら、過去数年の間で、これに変化の兆しが見られる。2005年には、ドイツの機器メーカーUMSが、0~100 kPaの帯域で100以上のデータポイントを生成できる機器、HYPROPを発表した。そして2010年には、Decagonが素晴らしい精度と範疇を備えるWP4C水ポテンシャル測定装置を開発し、テンシオメーター帯域内で良好なデータが取得できるようになった。

HYPROPで水ポテンシャルを測定することは芸術に近いものであり、テンシオメーター帯域での測定にWP4Cを使うには注意と技術が必要であるが、良好な測定技術を用いることで、土壌水分の放出曲線を高分解能で得ることが可能となった。本アプリケーションガイドでは、この測定方法で必要とされる技術を説明する。

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サンプルを収集する

WP4CとHYPROPの両方からサンプルを収集する。-40 kPaより乾燥した試料では、試料攪乱が測定の不確かさに大きく影響することはない(後述の「土壌水ポテンシャル測定における試料攪乱の影響」を参照)。しかしながら、完全な曲線を作るには、WP4Cを使用して-40 kPa以上の湿潤なサンプルを測定し、攪乱が最小限のサンプルを収集するために、ステンレス製のサンプルカップを使用する必要がある。

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HYPROPを使って湿潤側曲線を作成する

HYPROPには攪乱が最小限のサンプルを使用し、サンプル収集には250mlのサンプルリングを使用しなければならない。サンプルは24~48時間飽和させ、翌日に試験を開始する。HYPROPを充填して、スタートさせたら、無人のまま1週間放置すると、完全な湿潤側曲線が作成される。

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サンプル調製︓粗質土壌

次は、異なる含水量に対してWP4Cサンプルを湿潤させる、あるいは乾燥させるステップである。粗いテクスチャの土壌は湿潤法を用いて調製できる。そのためにはまず、1つ目の試料に水を1滴添加し、2つ目に2滴、3つ目に4滴、4つ目に6滴というように水を加える。サンプルを混合して蓋をし、再び均一になるまで一晩寝かす。典型的な曲線を得るには、10~15のWP4Cサンプルを使用する。

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サンプル調製︓細質土壌

粘土やシルトロームなどの細かいテクスチャの土壌は、ヒステリシスを示す場合があるため、WP4CとHYPROP曲線間の一致を改善させるためにWP4Cサンプルを乾燥させることが必要である。サンプルがキラキラし、表面上に水が溜まりそうになるまで飽和させる。その後、時々サンプルに蓋をしながら乾燥させ、異なる含水量に達するまで再度均一化させる。

������の使用方法については、��������������������でビデオをご覧ください。

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精密モードと連続モードの切断ポイント

WP4Cの精密モードは、測定値が連続して0.3 MPa以内に収まるまで(-40 MPaを超える水ポテンシャルに対して0.03 MPa)、サンプルの水ポテンシャルの測定を繰り返す。これをデフォルトの測定モードに設定するべきである。(-2 MPaよりも湿った)湿潤側サンプルについては、非常に慎重な測定技術を備えた連続モードを使用する。-40 MPaより乾燥したサンプルについては、高速モードが推奨される。このモードにおいては、水分損失による誤差を最小限に抑えるため、WP4Cは一度だけ測定値を取得する。

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テンシオメーター帯域内で安定的なWP4C測定値を取得する

蒸気圧法に対する最湿範囲能(-2 MPaより湿った状態)を測定するためには、非常に慎重な実験方法が求められる。

実験技術として有用な情報については、このガイドで後述する「WP4Cを用いたテンシオメーター範囲内での水ポテンシャルの測定」を参照のこと

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HYPROP Fitのデータを準備するAquaLinkはデータの読み込みと同時に、サンプルデータに注釈を付けることができる。サンプルに関する情報に加えて、各サンプルの含水量を記述する列を含むことができる。

AquaLinkを使って、WP4Cからデータを簡単にロギングする方法については、www.decagon.com/smrcを確認のこと。

AquaLinkはwww.decagon.com/aqualinkから無料試用版をダウンロードできる。

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含水量を決定する

水ポテンシャルを測定した後、水分含量を検出するため、サンプルを秤量して、乾燥オーブンに入れる。計量乾燥重量法で重量含水量を決定する。次の式を用いて水分特性曲線を作成する前に、これを体積含水量に変換しなければならない点に留意する。

ωは重量含水量、ρbは土壌の嵩密度、ρωは水密度である。

注︓HYPROPは、この式で使用できる嵩密度を決定する。

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HYPROPとWP4Cのデータを組み合わせるHYPROP Fitソフトウェアを用いて、両機器から得たデータを単一の水分特性曲線に統合させる。HYPROP Fitを使い、HYPROP Videoに保存された測定データのうち.bhd/.bhdx形式のファイルを開く。

「評価」タブの「リテンションポイントの追加」を選択すると、WP4Cのデータをマニュアルで入力できる。含水量は、データを追加する前に重量値から体積値に変換されている点に注意すること。また、ECが0.2 dS/mより高い土壌では、連続した曲線を得るには、WP4Cの水ポテンシャル測定値から浸透ポテンシャルのコンポーネントを削除する必要がある。このプロセスの詳細については、本ガイドの「WP4Cを用いたマトリックポテンシャルの測定」を参照のこと。

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曲線を作成するすべてのデータを入力したら、「フィッティング」タブに移動し、手持ちのデータに適合するモデルを選択する。HYPROP Fitは、対象土壌に対する完全な水分特性曲線を作成する。選択したモデルと手持ちのデータの適合性を示す統計情報とともに、モデルに関連するパラメータが表示される。

HYPROP FitにHYPROPとWP4Cのデータを転送する方法については、www.decagon.com/smrcをご確認ください。

HYPROP Fitは、www.decagon.com/hypropfitから無料でダウンロードできます。

(1)

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WP4Cを用いてテンシオメーター帯域で最大の水ポテンシャルを測定する方法Doug Cobos博士(Decagon社研究員)からのアドバイス

フィールドあるいはその付近の水ポテンシャルの容水量はWP4Cのエッジ範囲を越えている。このように湿った試料を測定する場合で可能な限り最高の精度を得るためには、連続モードでWP4Cを実行し、端末エミュレータを使用してデータを記録し、完全に平衡化した安定的な数値が出るまで測定を継続することが必要である。ここでは、実際のデータを使いながら、そのポイントを説明する。

表1のデータは、空気乾燥した(約-120 MPa)センサブロックを使って開始した-0.20 MPa KCl塩溶液のものである。WP4Cを高速モードで作動させる場合、値は最初の水ポテンシャルの数値(-0.29 MPa)を示し、-0.09 MPaの誤差を生じさせる。精密モードではWP4Cは、2つの連続した数値が0.03 MPaの範囲内にそれぞれ収まるまで待機するため、-0.24 MPaを表示し、誤差は-0.04 MPaとなる。しかしながら、ユーザーが忍耐強く、ラボの温度安定性がきちんと確保されているならば(温度安定性の詳細については後述)、0.01 MPaのレベルまで精度をあげることができる。

Time (Minutes) Measured Water Potential (MPa)

3.5 -0.29

7.3 -0.25

11.0 -0.24

14.8 -0.23

18.6 -0.22

22.5 -0.22

26.3 -0.21

30.2 -0.21

34.1 -0.20

37.9 -0.20

41.8 -0.20

45.7 -0.20

49.5 -0.20

Table 1: Equilibration time when making vapor pressure measurements with -0.20 MPa KCl salt solution.

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線形オフセットを使用する

このテクニックを慎重に用いて、所望の精度まで見事に調整することができれば、ゴールは目前である。粗末な正確性ではなく、素晴らしい精度を獲得できるということは既知の事実であるので、次のステップで必要なことは、精密な測定を正確に行うことである。WP4Cは、0.5重量モルのKCl標準品と組み合わせて、機器をキャリブレートして使用できる内蔵型オフセット調整配列を有す。このキャリブレーション・シーケンスは精密モードを使用し、KCl標準品の水ポテンシャルを測定してから、KCl溶液の既知および測定済みの水ポテンシャルとの差によって、すべての後発数値を調整する。内蔵されたオフセット調整機能を使用してWP4Cをキャリブレートした場合は、通常、KCl標準品の精密モード測定の制限に起因して、湿潤側の精度は約±0.04 MPaであると予想される。

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精度を確実に調整するための私の戦略は、平衡値に達するまで、連続モードでKCl標準品を実行し続けることである。その後、事後処理の過程で、Excelあるいはデータ分析に使用する任意のプログラムを用い、既知および測定済みの水ポテンシャル間のオフセットをすべての後発データに適用する。KClの精密溶液を用いてWP4Cの湿潤側精度の評価を慎重に行ったところ、-2.2 MPaから0の間で約±0.02 MPaの精度を達成できた。表2はデータセットの一例である。すべてのデータは、-2.238 MPa規格でオフセットを使って調整されていることに留意いただきたい。

乾燥試料を測定する場合、試料温度のわずかな変動は目を引かないのに対し、湿潤側測定をしている場合は、これらの変動が再現性、精度、および正確性に影響を与えることがある。WP4Cは、サンプルの熱安定性を確保するために内部温度制御機能を有している。これは、ほとんどの条件下でたいへん良好に作動する。しかしながら、周囲温度に急激な揺動が存在する場合、温度安定性が低下することがあり得る。

測定に影響を与え得る急激な温度変動の例を挙げよう。著者のオフィスでは、長期測定用にWP4Cを設置するのに最も便利な場所は、偶然にもHVACベントの場所と直接一致している。エアコンが作動すると、

Known Water Potential (MPa) Offset-Corrected Water Potential (MPa) Absolute Error (MPa)

-2.238 -2.238 0.000-1.346 -1.363 -0.017-0.223 -0.238 -0.015-0.132 -0.138 -0.006-0.040 -0.053 -0.0130.000 0.012 0.012

Table 2:Wet end accuracy of WP4C using precision KCl solutions.

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ステンレススチールのサンプルカップを使用する

湿った試料を測定する際に考慮すべき別の重要事項として、サンプルカップのタイプがある。使い捨てのプラスチック製カップは、乾燥試料には適用できるが、湿潤試料には不適切である。湿潤側では、プラスチック製サンプルカップ全体のわずかな熱勾配によって最大0.05 MPaの誤差が生まれる。ステンレススチール製のカップは十分に高い熱伝導率を有すため、等温になり、これらの誤差を回避することができる。湿潤側測定を行う場合は、ステンレススチール製のカップを使用して計測器をキャリブレートすることも重要である。

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温度勾配から保護する

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WP4Cのケースを冷却するのに十分な冷気が発生する(5分未満で1.5℃程度)。このような温度擾乱は、約0.05 MPaの測定誤差を誘発させる可能性が十分にある。温度安定性を確保するために、私はWP4Cを普通の段ボール箱の中に入れ、WP4Cから発生した熱が箱外へ排出されるように、WP4Cの背面側の箱の壁に大きな通気孔を開けて置いている。良好な測定のためには、ボックス内に通気孔を設けることが不可欠である点に注意していただきたい。通気孔がなければ箱が熱くなり、WP4Cは自身で温度を制御できないので、エアコンの風に晒されるよりも粗悪な結果をもたらす。

WP4Cを用いてマトリックポテンシャルを測定する

WP4CとHYPROPで作成された水分放出曲線は非常に良好な一致を見せるが、時には図1のグラフのような様相を示すことがある。

Figure 1: Moisture release curves generated by the HYPROP and WP4C of a silt loam soil with an EC of 1.4 dS/m.

HYPROP

縦軸は飽和の程度、または飽和時水分含有量と含水量の割合、横軸は水ポテンシャルを示す。2つの結果が一致する様子を見せないのは明らかであるが、なにが問題なのか︖そして、どう修正すればよいか︖

WP4C露点ポテンシオメーターなどの蒸気圧法は、マトリックポテンシャルと浸透ポテンシャルの合計を測定するのに対して、HYPROPのようなテンシオメーターは、マトリックポテンシャルのみを測定する。2つの方法の結果が重複する場合、水ポテンシャルの浸透成分はゼロに近い。浸透成分は主に、土壌溶液中に溶解した塩に由来し、かなりの塩濃度を有す土壌では、WP4Cの結果が図1のようになる。

浸透ポテンシャルが分かっていれば、WP4Cの測定値からそれを差し引き、マトリックポテンシャルを得ることができるだろう。そうすれば、HYPROPデータと一致するに違いない。幸いなことに、浸透ポテンシャルを決定するのは比較的容易である。

図2は、シルトローム壌土のマトリックポテンシャル、浸透ポテンシャル、および総ポテンシャルの全体像を示したものである。ここでは、土壌が約1.4 dS/mの飽和抽出ECを有すると仮定する。湿潤帯域では浸透ポテンシャルが、乾燥帯域ではマトリックポテンシャルが、総ポテンシャルを占めていることが分かる。図1のHYPROPのデータを、WP4Cの曲線とぶつかるまで約-3 MPaの場所まで滑らかに曲線を延ばしてみるのは、

WP4C

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ωは土壌の重量含水量、Ws飽和時含水量(またはψos測定時の含水量)である。ψosは電気伝導度測定から得ることができるが、WP4Cで測定する方が簡便である。サンプルを飽和させ、その水ポテンシャルと温度を測定する。サンプルは飽和しているので、そのマトリックポテンシャルはゼロであり、したがって測定される値は浸透ポテンシャルである。手持ちのサンプルの別の含水量での浸透ポテンシャルを計算するためには、この実験から得られたψosとWsを使って式3に当てはめ、WP4Cで得られた総ポテンシャルからこれらの値を減算すると、マトリックポテンシャルが得られる。

WP4Cを使用した土壌水ポテンシャル測定における試料攪乱の影響

水ポテンシャルを測定する場合、試料攪乱がしばしば懸念される。ほとんどの研究者は、試料攪乱を最小限にするよう努力しているため、より典型的な測定値を獲得することができる。しかしながら、試料攪乱は必然的に発生する。本稿の目的は、試料攪乱の影響の大きさを評価し、それらの影響を土壌サンプルの水ポテンシャル範囲に関連付けることである。土壌は多くの場合、様々な細孔サイズを持つ毛管

Figure 2: A complete picture of the matric, osmotic and total matric potential of a silt loam soil.

(3)

支障のない行為であろう。とはいえ、より定量的な方法を希望する場合は、浸透ポテンシャルの値を計算し、それを総ポテンシャルから差し引くと良い。

もし、土壌定数中の塩分量を保持したい場合(土壌を湿らせるためには蒸留水を使用し、それを乾燥させるには蒸発させる)、(USDAハンドブック60)から飽和抽出液の浸透ポテンシャル(MPa)を近似することができる。

(2)

σsは、dS/m単位での飽和抽出液の電気伝導度を示す。

他の含水量では、次のように浸透ポテンシャルを表せる。

MatricOsmoticTotal

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の束としてモデル化される。表3に示すように、所定の細孔サイズと細孔の直径に関連した水ポテンシャル間のユニークな関連性が存在する。この関係性は、空気-水界面下の水ポテンシャルとその界面の曲線を関係づけるヤング・ラプラス方程式に由来する。

最大細孔内の水は最も放出されやすく、土壌乾燥をもたらす第一の原因である。土壌が乾燥するにつれて、残留水は小さな孔に保持される。最終的には、毛管様構造が破壊され、水は主に粒子表面上に吸着した膜として保持される。土壌の水ポテンシャルと含水量との関係は、「水分放出曲線」または「水分特性」と呼ばれる。

土壌の水分特性は、土壌中の水分を保持する力に基づいて、おおよその3つの範疇に分類できる︓

kPa pF Pore Diameter (μm)

-1 1.01 290.08-10 2.01 29.01

Field Capacity -33 2.53 8.79-100 3.01 2.90

-1000 4.01 0.29Perm. Wilt. Pt. -1500 4.18 0.19

-10,000 5.01 0.03Air Dry -100,000 6.01Oven Dry -1,000,000 7.01

Table 3:Water potential units: MPa comparison to pore diameter and pF.

Figure 3: Idealized soil moisture characteristic from Lu and Likos (2004) showing the three soil moisture retention regimes.

“Tightly Adsorbed”Regime

“Adsorbed Film”Regime

“Capillary”Regime

{{

Soil Water Content, w, q(scale depends on soil type)

Air - Entry Suction

Saturated Water Content

Soil

Suct

ion

(kPa

)

106

105

104

103

102

101

110

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WP4Cのエキスパートユーザーは、正確性を±25 kPaまで上げるために、周到にデザインした実験系の下、連続モードで同機器を使用でき、WP4Cの機能測定範囲を基本的に、毛管水帯域までさらに拡張することが可能である。この種の慎重な研究を実施する場合は、試料攪乱による誤差は無視できないものとなるため、WP4Cの使用においては攪乱が最小限のサンプルを使用することを推奨する。

ReferencesBox, J.E., and S.A. Taylor. (1962). Influence of soil bulk density on matric potential. Soil Sci. Soc. Amer. Proc. 26:119-122.

Campbell, G.S., and Walter H. Gardner (1971). Psychrometric Measurement of Soil Water Potential: Temperature and Bulk Density Effects. Soil Sci. Soc. Amer. Proc. 35:8-12.

Lu, N., and W. Likos (2004). Unsaturated Soil Mechanics. John Wiley and Sons, Hoboken, NJ USA.

Figure 4 Box and Taylor (1962) graph showing changes in matric potential due to differences in bulk density. Note that the units of J/kg are equivalent to units of kPa.

Bulk Density

強固な吸着︓オーブン乾燥から-10000 kPa吸着膜︓-10000~100 kPa毛管水︓-100~0 kPa

土壌の攪乱や嵩密度の変化によって、主に最大細孔のサイズが変化する。したがって、攪乱は毛管水帯においてはサンプルの含水量-水ポテンシャルとの関係に強く影響を与えるが、懸垂水帯や吸着水帯においては、サンプルの水ポテンシャルにほとんど影響を持たない。Box and Taylor (1962)のグラフを用いて、これを図4に示す。彼らは水分特性に関する嵩密度の影響を調査した。図4は、土壌の湿潤が約-40 kPa以上の場合、その密度変化がマトリックポテンシャルに劇的に影響を与えるのに対して、乾燥土壌ではほとんど影響しないことを示している。Campbell and Gardner(1971)も同様の結果を得ている。

WP4Cを精密モードで使用する場合、湿潤範囲が±-50 kPaの精度を示すが、これは-50 kPaでの測定値が±100%の精度を持っていることを意味する。この測定の不確かさは、密度差に起因する不確実性よりもはるかに大きいので、このシナリオでは試料攪乱の影響はおそらく、ごくわずかである。

Temperature =

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この曲線は私が最近HyPropで作成したもので、温室で使用されて

いる等級の低い無土壌基質を使っている。HyPropは100以上の

データポイントを取得する。ご覧のように、その結果は、データ

ポイント5つのみの場合で予想するよりも、はるかに興味深い。

WP4Cは画期的な精度と拡張領域を備

え、これら2つの機器を一緒に使用することによって、完全な水分放

出曲線で期待する解像度を得ることができる。

なお、誤解しないでいただきたいが、これらの機器は、エッジレンジ

での水ポテンシャルの測定にまだ挑戦的な部分を残している。

しかしながら、この機器のおかげで、過去に比べて格段に少ない労力

と時間で高解像度の完全曲線を得ることが可能になっている。

このような曲線を得るためのテクニックについては、当社の

ウェブサイト

www.decagon.com/bettertogetherをご覧になるか、資料を精

読いただきたい。

©2016 Decagon Devices, Inc. PRINTED IN THE USA

私は常々、0~-1000 kPaの間の水分放出曲線データに多少の不満を感じていた。土壌は総含水量の

半分あるいはそれ以上を失っているにもかかわらず、大抵の研究者がそうするように圧力板を使用

した場合、5つのデータポイントのみに基づいて曲線が作成されるからである。

圧力板を取り巻く種々の問題―所要時間、実際の正確性など―はさておき、そもそもの問題は、

データポイントを5つしか得ることができない点に尽きる。

この点について私は、良い解決法がないか常に模索していた。私がHyPropの愛好家である理由はこ

れである。実際に使用するには時間をかけて学習しなければならないが、一旦やり方を覚えれば、

サンプルを収集して湿らせ、テンシオメーターに挿入し、プラグをつないでおくと、それから1週

間ほどのデータが美しい曲線を描き出す。

日本語訳︓アイネクス株式会社〒144-0035 東京都大田区南蒲田2-16-1TEL:03.5713-1388 FAX:03-5713-1388