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北九州市 SDGs 未来都市計画 『「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される 「グリーン成長都市」』を目指して 北九州市

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北九州市 SDGs 未来都市計画

『「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、信頼される

「グリーン成長都市」』を目指して

北九州市

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< 目次 >

1 全体計画

1.1 将来ビジョン

(1)地域の実態.....................................................................................................................................2

(2)2030 年のあるべき姿..................................................................................................................6

(3)2030 年のあるべき姿の実現に向けた優先的なゴール...............................................8

1.2 自治体SDGsの推進に資する取組

(1)自治体SDGsの推進に資する取組の概要.......................................................................10

(2)自治体SDGsの情報発信・普及啓発策.............................................................................23

1.3 推進体制

(1)各種計画への反映状況............................................................................................................24

(2)北九州市版ローカルインディケーターの設定..................................................................25

(3)行政体内部の執行体制............................................................................................................26

(4)関連団体や関係自治体などとの連携.................................................................................27

(5)SDGs達成に向けた新たな連携体制の構築...................................................................29

(6)SDGs達成に向けた未来人材の創出・育成....................................................................32

2 自治体SDGsモデル事業

(1)課題・目標設定と取組の概要.................................................................................................35

(2)三側面の取組................................................................................................................................36

(3)三側面をつなぐ統合的取組の概要......................................................................................42

(4)ステークホルダーとの連携.......................................................................................................48

(5)自律的好循環................................................................................................................................49

(6)普及展開策.....................................................................................................................................50

(7)スケジュール...................................................................................................................................51

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1.1 将来ビジョン

(1) 地域の実態

【地域特性】

① 地理的特性

<国内>

本州と海を挟んだ九州の玄関口に位置しており、主な国道や鉄道の「九州の起点」に

もなっていることから、交通や物流の利便性に優れている。

<世界>

東京と上海の中間に位置し、発展著しいアジアと距離的に近いだけでなく、北九州空

港や北九州港を有しており、「アジアのゲートウェイ」として、各方面との交通アクセスに

も非常に優れている。

② 人口

北九州市の人口は、1963年の旧五市合併以降、増加傾向を示したが、昭和54年をピ

ークに、現在まで、一貫して減少しており、2018年1月には、94万人台まで減少した。ま

た、北九州市の高齢化率は29.6%(2017年3月末時点)であり、政令指定都市の中で

最も高齢化が進んでいる。

この人口減少と高齢化という、日本の将来の都市が抱える課題に、本市はいち早く直面

しており、このピンチをチャンスととらえて「持続可能な住みやすいまち」をつくることで、他

の都市のモデルとなり得ると考えている。

③ 産業構造

日本を代表する産業都市として発展してきた本市では、素材産業(鉄鋼や化学等)や加

工組立産業(機械や自動車等)、環境関連産業(リサイクル等)など、時代とともに、高度な

1.全体計画

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技術が求められる様々な業種の企業が立地している(安川電機や TOTO といったグローバ

ルな企業も本市に本社がある)。また、本市が地震や災害が少ない地域であることから、

「BCP」の観点で立地する企業も増えている。

一方、本市の世界文化遺産(旧八幡製鐵所関連施設)などの観光資源を活用した「イン

バウンド事業」や工場見学などを行う「産業観光」などにも、官民連携して取り組み、観光関

連産業も伸びつつある。

このように、本市の産業構造自体も「持続可能な形態」へ変化している。

④ 地域資源(地域の強み)

ア 「経済面」の強み

(ア) ものづくり産業の集積・広範で高度な技術力

鉄鋼や化学等の素材産業、機械等の加工組立産業を中心に、ものづくり産業が集

積している。

近年、自動車産業・環境産業なども展開されている。

(イ) 充実した都市・産業基盤

本州と九州の接点に位置する北九州市は、交通の要衝でもあり、陸・海・空の交通

網が充実している。道路(九州自動車道・東九州自動車道・北九州都市高速道路)、

国際拠点港湾である北九州港、24時間対応の北九州空港など、産業を支えるインフ

ラが整っている。

(ウ) 環境産業・技術の蓄積

国の「次世代エネルギー社会システム実証地域」の認定を受けた東田地区をはじ

め、多種多様な再生可能エネルギー施設が集積した「次世代エネルギーパーク」、先

進水循環システムの技術開発や情報発信拠点である「ウォータープラザ」などの多く

の実証フィールドを有している。

また、「北九州エコタウン事業」では、多くのリサイクル関連企業が立地し、研究開発

からパイロットプラント・事業化まで一貫した取組を推進している。

(エ) 知の集積(「学術研究都市」など)

九州工業大学や産業医科大学、北九州市立大学など、特色ある10大学が立地し

ている。

(オ) 国家戦略特区の活用(介護ロボットの開発)

高齢者人口の増加を見据え、本市では、現在、国家戦略特区の規制緩和の特例を

活用し、介護ロボット等を用いた「先進的介護」の実証実装に取り組んでいる。

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イ 「社会面」の強み

(ア) 市民力を活かした「まちづくり協議会」等を中心としたまちづくり

自治会や社会福祉協議会など地域の様々な団体等で横断的に組織される「まちづ

くり協議会」などの組織体制が小学校区ごとに確立しており、市民センターを拠点に、

各地域の特色や課題に合った独自のまちづくり活動を展開している。

また、まちづくり協議会を対象に「地域課題を見える化」するモデル事業では、地域

と行政が連携して、地域の課題解決に取り組んでいる。

(イ) ESDや女性活躍推進の取組

市民が「北九州まなびとESDステーション」を拠点に「ESD」の活動を行っており、

特に、市内の大学生がNPO等と連携し、街なかのごみ拾いや市民交流会の開催等を

行っている。市民が中心となって活動することにより、人材育成だけでなく、「まちづくり」

や「シビックプライドの醸成」にも繋がっている。

また、企業・団体トップによる北九州イクボス同盟の設立や、行政の付属機関等に

おいて「指定都市で初めて女性委員参画率(50%超)を実現する」など、男女共同参

画の推進や女性の意見を取り入れたまちづくりを進めている。

ウ 「環境面」の強み(国際パートナーシップなど)

(ア) 国際機関との連携

○ 国際協力機構(JICA)との包括連携(2013 年 2 月)

ODA を活用した日本国内の地域活性化に向けた取り組みを強化しているJICA

と連携し、本市が蓄積してきた環境技術、都市づくりのノウハウを開発途上国にビ

ジネス展開することで、開発途上地域への貢献とともに、本市の国際競争力の強

化、地元企業の活性化に取り組んでいる。

○ 日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携(2013 年 7 月)

開発途上国の発展をわが国の持続的な成長に取り込むため、中小企業を中心

とする日本企業の海外展開を支援するジェトロと連携し、北九州地域企業の海外

展開支援を推進している。

(イ) 環境国際協力(環境姉妹都市など)

本市は、公害克服で蓄積した技術やノウハウなどをアジア諸都市とのネットワークの

中で活かすことにより、環境国際協力に取り組んできた。

また、2010 年 6 月に開設した「アジア低炭素化センター」を中心に、海外での環境国

際ビジネスの展開を図る市内企業等を支援することにより、環境産業の育成や国際ビ

ジネスの拡大などにも取り組み、アジア規模での超低炭素社会の実現を目指している。

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○ ベトナム 「ハイフォン市」 (姉妹都市)

○ カンボジア 「プノンペン都」 (姉妹都市)

○ インドネシア「スラバヤ市」 (環境姉妹都市)

○ フィリピン 「ダバオ市」 (環境姉妹都市)

【今後取り組む課題】

本市は、人口減少や高齢化、産業構造の変化といった「将来の日本の大都市が抱える課

題」に一足早く直面している。

① 人口減少

本市における人口減少の原因のうち、自然動態については、少子高齢化の進行により、

その減少幅は拡大傾向にある。

一方、社会動態については、過去、約15,000人の転出超過の年もあったが、これまで

の取組により、過去5年間(2013年から2017年)では年平均で1,000人台に落ち着い

ている。一方、世代別の状況をみると、20代から30代の若者が特に転出超過となってお

り、この世代の「転入促進・転出防止」が課題となっている。

② 少子高齢化

本市の高齢化率は29.6%(2017年3月末時点)と指定都市の中で、最も高く、高齢者

の単身世帯も増加している。

そのような中、町内会でも高齢化が進み、高齢者の社会参加や地域での見守りのあり

方など、多様な課題が生じている。

③ 産業構造の変化への対応

本市は、1901年の官営八幡製鐵所の創業を機に、四大工業地帯として我が国の近代

化を牽引してきたが、1990年代以降、製造品出荷額のシェアが低下するなど、本市の看

板である「ものづくり産業」の比重が小さくなっている。

④ 都市イメージの低迷

本市は、「工業都市」や「港湾都市」として発展してきた歴史的背景があり、いまだ「公害」

(大気汚染等)などのイメージを払拭できずにいる。

⑤ 増加する外国人居住者への対応

近年、外国人の増加及び多国籍化により、日本語が十分に話せない外国人への対応が

追いついていない部分があり、小中学校の外国人生徒の受け入れ体制の充実など、地元

住民と外国人居住者が共生し、快適に暮らせる環境づくりが求められている。

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(2) 2030 年のあるべき姿

【北九州市のSDGs戦略 (ビジョン)】

1 人と環境の調和により、新たな産業を拓く 【経済】

○ 少子化・超高齢化による労働力不足等が予測されるなか、先進のまちを目指して、ロ

ボットやAI、自動運転等の新技術やシステムの開発、活用など新たなビジネスを創出

する。

○ 洋上風力発電とメンテナンス技術や高度エネルギーマネジメント等により新たな産業

の核となるエネルギー産業を創出することで、地元経済の活性化を図るとともに、持続

可能な都市モデルを構築する。

○ 本市の強みである、「環境」「上下水道」分野における国際貢献のノウハウを生かし、海

外でのビジネス展開により、本市産業の国際競争力を強化するとともに、地元企業の

活性化を促進する。

2 一人ひとりが行動し、みんなが輝く社会を拓く 【社会】

○ ジェンダー平等の取組をはじめ、女性や高齢者、障害のある人など、市民が自身の特

性に応じた役割を果たし、誰もがいきいきと活躍できる場を創出する。

○ ESDや子ども食堂などを通じた多世代・多文化交流や、これまでに培われてきた市民

力と地域のネットワークを活用し、災害時の被害を最小限化(減災)するなど、市民参加

型の活動により生活の質(QOL)の向上を目指す。

○ 健康に関する指導や情報を得る機会に恵まれ、誰もがより長く健康的に生活すること

ができる都市を構築する。

○ あらゆる世代において学ぶ機会を容易に得ることができ、生涯にわたり社会で活躍す

ることで、地域・企業等の活性化を促進する。

「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献し、

信頼される「グリーン成長都市」

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3 世界のモデルとなる持続可能なまちを拓く 【環境】

○ レアメタル等のリサイクル技術の高度化、市民も一緒に取組むごみの減量化と資源リ

サイクルの推進、廃棄物発電等も活用し、他都市のモデルとなる循環システムを構築

する。

○ コンパクト化した都市の中で、長寿命化が図られた既存の公共施設や公共交通機関

が最大限活用されるストック型社会を実現する。

○ これまでの技術や経験により世界各都市の持続可能なまちづくりに貢献する。

■ 一人ひとりの日常のあらゆる活動が、SDGsの達成につながることを市民に理解しても

らい、市民の力をさらに高め、結集し、一丸となって取り組んでいく。

■ ものづくりの技術や公害克服の経験など、本市の強みを生かし、国内はもとより、今後課

題を抱える世界(アジアなど)の都市に向け、経済・社会・環境の統合的な取組(課題解

決モデル)を発信・展開し、課題解決を図ることで、「真の豊かさ」にあふれ、世界に貢献

し、信頼されるまち「グリーン成長都市」を目指す。

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(3) 2030 年のあるべき姿の実現に向けた優先的なゴール

(経済)

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.2

9.4

指標:従業者一人あたり市内 GDP(名目)

現在(2014 年):8,016千円 2030 年:9,320千円

7.2

9.4

13.2

指標:再生可能エネルギー導入量

現在(2018 年 7 月):

288,000kW

2030 年:

700,000kW

8.5 指標:就業率

現在(2015 年):52.8% 2030 年:56.7%

「人と環境の調和により、新たな産業を拓く」ことを目指し、「介護ロボット等の活用による新

たなビジネススタイルの創出」や「新たな産業の核となるエネルギー産業の創出」などに取り

組む。

(社会)

ゴール、

ターゲット番号

KPI

5.5 指標:北九州市の付属機関等の女性委員の参画率

現在(2018 年 7 月):

付属機関等の女性委員参画率

が平均で 50%を超えている

2030 年:

全ての付属機関等の女性委員参画

率が 50%を超えるよう取り組む

3.d 指標:市民の健康寿命

現在(2016 年):

男性 71.93 歳、女性 74.01 歳

2022 年:

男性 73.93 歳、女性 76.01 歳

「一人ひとりが行動し、みんなが輝く社会を拓く」ことを目指し、「ジェンダー平等などの取組

による誰もが活躍できる場の創出」や「市民参加型の活動による生活の質(QOL)の向上」な

どに取り組む。

アイコン

をここに

貼り付け

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(環境)

ゴール、

ターゲット番号

KPI

7.2

9.4

13.2

指標:再生可能エネルギー導入量 (再掲)

現在(2018 年 7 月):

288,000kW

2030 年:700,000kW

11.6

12.5

指標:家庭ごみ量

現在(2018 年 7 月):164,330t 2030 年:159,652t

6.a

17.9

指標:アジアの環境人材育成のための研修員の受入数(延べ)

現在(2018 年 3 月):9.083 人 2030 年:10,000 人

「世界のモデルとなる持続可能なまちを拓く」ことを目指し、「他都市のモデルとなるエネ

ルギーマネジメント・循環システムの構築」や「コンパクトなまちの形成によるストック型社会の

創造」、「技術と経験を生かした国際貢献の推進」などに取り組む。

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1.2 自治体SDGsの推進に資する取組

(1)自治体SDGsの推進に資する取組の概要(2018~2020 年度の取組)

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(経済)

【先進のまちを目指した新たなビジネスの創出】

① 「介護ロボット等の開発・改良及び導入」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.d

8.2

指標:介護ロボット等の実証台数や実証結果に基づく開発・改良件数

現在(2016 年度):

3 件

(2017~2019 年度):

9 件

・本市の強みであるものづくりの技術を活かし、介護ロボット等を開発・改良、さらには介護施

設への導入を促進する。

・これにより、単に効率だけでなく、高齢者の自立支援や職員の負担軽減、さらには職員の専

門性や働きがいを高める「先進的介護」の実現を目指す。

・また、国内の社会保障費の削減に加え、今後アジアをはじめとする海外への展開により国

際技術協力や高齢社会向けビジネスにつなげていく。

② 「次世代自動車産業の拠点化推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.2

9.4

指標:自動運転関連研究者の集積

現在(2018 年度):

64人

2020 年度:

79人

・近年、最も注目を浴びている自動運転技術を活用したモビリティシステムを構築し、次世代

自動車産業の拠点化を図る。

・自動運転の普及により、過疎地域における公共交通機関を補完するだけでなく、高齢者を

はじめとする市民の移動支援になる。

・また、交通事故の減少や労働者不足による人流・物流の効率化・CO2削減にもつながる。

【新たな産業の核となるエネルギー産業の創出】

① 「風力発電等の地域エネルギー拠点化」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

7.2

9.4

13.2

指標:再生可能エネルギー導入量

現在(2018 年 7 月):

288,000kW

2020 年度:

360,000kW

・電力を作る面においては、洋上も活用した風力発電やバイオマス等の高効率火力発電の

立地を促進する。

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・電力を使う面では、「地域エネルギー会社」によるエネルギーマネジメント等を通じて、市内

外への低炭素で安定した電力供給とエネルギーコストの低減を図る。

・これらにより、再生可能エネルギーの導入を促進し、CO2を削減するとともに、地域エネル

ギー拠点化のモデル都市づくりを進める。

【地域経済における自律的好循環の形成】

① 「市内企業への就職促進、新たな働き手の確保」

② 「地域経済活性化の推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.2

9.2

指標:市内企業への新卒就職者数

現在(2018 年度):

3,961 人

(2024 年度):

4,600 人

8.2

9.2

指標:市内新規雇用者数

現在(2015~2018 年度):

累計 18,148 人

(2020~2024 年度):

累計 30,000 人

8.3

9.1

指標:企業誘致による新規雇用創出数

現在(2014~2018 年度):

累計 3,714 人

(2020~2024 年度):

累計 4,000 人

・若者が「しごと」に求めるニーズを把握した上で、市内企業の魅力発信や仕事の体験、市内

外の大学等との連携などにより、若者の市内企業への就職促進やU・I ターン就職の機会拡

大を図る。

・市内企業をまち全体で応援する風土を育みながら、本市の優位性を生かし、若者の雇用創

出・拡大につながる企業立地に積極的に取り組む。

・産業集積に適した用地を確保するため、重点的に企業立地を促進する区域や集積すべき

業種を定め、本市の強みを生かした産業を積極的に誘致する。

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(社会)

【ダイバーシティの推進等による誰もが活躍できる場の創出】

① 「ウーマンワークカフェを活用した女性活躍の推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

5.5

8.5

指標:ウーマンワークカフェ北九州年間新規利用者数

現在(2017 年度):

3,276人

2019 年度:

4,000人

5.1

8.5

10.2

指標:女性就業率(25~44歳)

現在(2015 年):

70.0%

2020 年:

70.0%

・働く女性をトータルサポートする「ウーマンワークカフェ北九州」を中心に、男女共同参画セ

ンター等で女性の就業やキャリアアップ、再就職等を支援する。

・これにより、女性の社会参画がさらに加速するとともに、新しい視点からの社会づくりにつな

げる。

② 「誰もが働きやすいまちづくり」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

5.4

8.5

17.17

指標:北九州イクボス同盟加盟企業数

現在(2018 年度):

111社

2023 年度:

300社

・働きやすいまち北九州を目指して 2017 年度に設立した、企業・団体のトップによる「北九州

イクボス同盟」の拡大を図る。

・これにより、市内にイクボスをさらに普及させ、誰もが能力を発揮できるように企業の働き方

改革を後押しする。

③「いきがい活動ステーション等を活用した高齢者のいきがいづくり」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.x

4.7

8.5

指標:いきがい活動ステーション利用者数

現在(2017 年度):

ホームページ閲覧:39,624 件

窓口来所:4,555 件

2020 年度:

ホームページ閲覧:40,000 件

窓口来所:5,200 件

・「年長者研修大学校」、「いきがい活動ステーション」や「生涯現役夢追塾」による高齢者の

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ボランティア活動支援や豊かな経験と知識・技能を生かせる経済活動の支援などを行う。

・「高齢者就業支援センター」や「シニア・ハローワーク戸畑」を拠点に、高齢者がいきいきと働

き続けられるための就労支援を行う。

・これにより、高齢者一人ひとりが、元気に生きがいを感じながら充実した生活が送れるよう

になるとともに、高齢者の健康寿命の延伸や人口減少社会における働き手不足の解消につ

なげる。

④「障害のある人への総合的な支援」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

10.2 指標:地域生活支援拠点等の整備

現在(2017 年度):

0箇所

2020 年度:

1箇所

8.5

10.2

指標:福祉施設から一般就労への移行

2016 年度の一般就労への移行実績の 1.5 倍とする。

現在(2016 年度):

177 人

2020 年度:

266 人

8.5

10.2

指標:市立特別支援学校高等部卒業生の一般就業率

現在(2016 年度):

42.0%

2023 年度:

50.0%

・「北九州市障害者支援計画」に基づき、障害のある人の自立及び社会参加の支援等のため

の施策を総合的かつ計画的に実施する。

・これにより、障害のある人が社会を構成する一員として、自分らしくいきいきと暮らすことの

できる社会の実現を目指す。

・また、障害のある人の雇用・就労の促進を図るため、「北九州障害者しごとサポートセンタ

ー」を拠点とした一般企業への就労支援、一般就労が困難な人に対しては福祉的就労の底

上げによる工賃水準の向上など総合的な支援を推進する。

・また、特別支援学校において、進路指導主事だけではなく、就労支援コーディネーターや就

労支援アドバイザーなどを配置・活用し、自立した社会生活につながるよう、職場実習先や

就労先の開拓を進めるとともに、受入れ側への障害者雇用に対する理解・啓発を図る。

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【市民参加型の活動による生活の質(QOL)の向上】

①「ESD活動の推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

4.7

11.a

17.17

指標:ESD活動拠点の利用者及びESD啓発イベント等への参加者

数(延べ)

現在(2016 年度):

18,520 人

2020 年度:

24,000 人

・市民を中心としたSDGs達成に結びつく活動をさらに拡大させるため、市のESD推進拠点

である「北九州まなびとESDステーション」の運営支援を行う。

・また、市民や大学等と連携し、SDGs/ESDの普及啓発、地域リーダー育成のための講座

やイベント、プログラム等を実施する。

・これにより、一人ひとりの「市民力」が向上し、市民全体による「持続可能なまちづくり」の実

現につなげる。

②「災害に強いまちづくり」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

11.b

17.17

指標:① 地域ぐるみの防災ネットワークを構築した校区数

② 地域防災の新たな担い手を育成した人数

現在(2017 年度):

① 14校区 ②298人

2020 年度:

①50校区 ②420人

・市民が住みやすく安心して生活できるまちづくりを行うため、「北九州市地域防災計画」に基

づき、地域における自主防災体制の整備のための支援を行う。

・これにより、自ら命を守る「自助」意識や地域で助け合う「共助」の風土づくりなどの地域防

災力が向上する。

③「子ども食堂」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

4.7

17.17

指標:市内における子ども食堂の開設数

現在(2018 年):

20施設

2024 年:

増加

・子ども食堂による地域の居場所づくりのため、開設・運営の支援として、子ども食堂ネットワ

ーク北九州を中心に研修会やボランティア・寄付の募集を行う。

・また、子ども食堂コーディネーターが、主催者に対して開設・運営の相談対応を行うなど、持

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続可能な運営ができるようにきめ細かくサポートをしていく。

・これらにより、多世代交流の場として、参加する人々の笑顔と笑顔をつなぎ、心の居場所が

ある地域づくりにつなげる。

【市民の健康(幸)寿命の延伸】

①「健康づくり推進員の活動」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

11.a

17.17

指標:健康づくり推進員が関わる活動への参加者数

現在(2016 年):

522,780 人

2022 年:

増加

・地域での健康づくり活動を推進するために実施している「北九州市健康づくり推進員養成研

修」の修了者によって構成されているボランティア団体。市民センターなどで、地域の住民と

連携しながら市民主体による健康づくり活動を推進している。

②「食生活改善推進員の活動」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

指標:食生活改善推進員が関わる活動への参加者数

現在(2016 年):

412,043 人

2022 年:

増加

・地域での食を通じた健康づくり活動を推進するために養成している「食生活改善推進員養

成教室」を修了した、会員によって構成されているボランティア団体。

・子どもから高齢者まで各世代に応じた健康づくりの担い手として、市民の健康寿命の延伸

に向けて、減塩普及をはじめ様々な活動を通し、健全な食生活を実践することができるよう

に、活動を推進している。

③「喫煙者・受動喫煙の割合の減少」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

3.a

指標:喫煙者の割合(20歳以上)

現在(2016 年):

男性 27.9%・女性 8.1%

2022 年:

男性 22.0%・女性 7.0%

・たばこの健康影響に関する知識及び最新情報等の普及啓発、慢性閉塞性肺疾患(COPD)

の予防、禁煙支援施設ガイドブックやちらしを作成して啓発することにより、市民の禁煙行動

を促す。

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・また、健康教育や市民センターを拠点とした健康づくり事業等で簡易肺機能検査を行い、

市民の禁煙の動機づけを行う。

・これらにより、市民の禁煙を促進し、喫煙による疾患リスクの軽減を図り、さらに健康寿命

延伸にもつながる。

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

3.a

指標:受動喫煙の割合(20歳以上)

(保健福祉局:第二次北九州市健康づくり推進プラン)

現在(2016 年):

家庭 14.1%・飲食店 29.9%

2022 年:

家庭 13.0%・飲食店 15.0%

・健康増進法の一部改正を受け、望まない受動喫煙を防ぐため、受動喫煙に関する知識及

び情報の普及、受動喫煙の防止に関する意識の啓発、受動喫煙の防止に必要な環境の

整備等を行う。

・これにより、望まない受動喫煙が生じない社会環境づくりを実現することで市民の健康増

進及び健康寿命延伸につながる。

【変革を支え、リードする教育・人材育成の推進】

①「SDGsの視点を踏まえたシビックプライドの醸成」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

4.7

17.17

指標:「北九州市に住んでよかった、ずっと住み続けたい」と答えた市

民の割合

現在(2018 年度):

80.8%

2024 年度:

90%以上

4.7

17.17

指標:「北九州市への誇りや自信がある」と答えた市民の割合

現在(2018 年度):

53.8%

2024 年度:

80%以上

4.7

17.17

指標:SDGsの取組みをホームページで発信している校数

(小・中・特別支援学校等)

現在(2018 年度):

0校

2020 年度:

170校(約 90%)

・ 「第2期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン」に基づき、SDGsの視点を踏まえた教育

を推進する。

・これにより、SDGsの視点が含まれる学習について、各学校や地域の実状に応じた取組み

を推進し、SDGsへの理解を進めるとともに、子どもたちが主体的・協働的に学び、行動する

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ための能力・態度を育む。

・また、新学習指導要領でも示されている「持続可能な社会を創る担い手」の育成を図るた

め、小中学校を通して教科等の学習で活用できる地域教材資料集を作成・活用し、郷土の

視点から理解を深め、シビックプライドの醸成を図る。

②「子どもに関する経済的・社会的な課題への対応」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

4.7

17.17

指標:スクールソーシャルワーカー等により解決・好転した割合

現在(2018 年度):

43.5%

2023 年度:

50%

・「第2期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン」に基づき、さまざまな課題を抱える児童

生徒に対して、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携しながら、きめ細

かな対応を行う。

・これにより、子どもがその生まれ育った環境によって将来が左右されることのないよう、教育

の機会均等を図るとともに、価値観の多様化等に対応する。

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(環境)

【他都市のモデルとなるエネルギーマネジメント・循環システムの構築】

①「リサイクル産業の振興及び地域環境活動の更なる促進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

7.3

8.4

9.4

12.5

13.2

17.7

指標:環境未来技術開発助成事業で助成した研究開発の事業化数

現在(2016 年度):

34 件

2020 年度:

38 件

・かん・びん・ペットボトルといった資源の分別や、古紙・古着の回収といった市民参加型の地

域環境活動をさらに促進していく。

・レアメタルやリチウムイオン電池等に関するリサイクル技術の高度化を図る。

・国内外で新たな事業展開を図り、環境産業における雇用創出とアジア地域での循環型社会

構築を実現する。

・これらにより、本市のリサイクル率が向上するだけでなく、世界のリサイクル率の向上・リサ

イクルビジネスの振興にもつなげる。

②「ごみの減量と廃棄物発電」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.2

9.4

12.5

13.2

指標:市民 1 人一日あたりの家庭ごみ量

現在(2018 年 7 月):

471g

2020 年度:

470g

・市民や NPO 団体等と連携し、市民センターや小学校等での生ごみ堆肥化(コンポスト)や資

源化物の分別等の講座・授業の開催、また、食品ロス削減の取組「残しま宣言」運動の実施

により、市民一人ひとりのごみ減量に対する意識を向上させる。

・また、近隣市町と連携し、廃棄物発電(ごみ発電)のネットワーク化及び事業拡大を図る。

・国内におけるごみやCO2の削減だけでなく、アジアをはじめとする海外へ展開することによ

り、世界中のごみやCO2の削減につながる。

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【コンパクトなまちの形成によるストック型社会の創造】

①「集約型都市構造の形成」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

7.3

8.4

9.4

11.3

12.2

13.1

指標:居住誘導区域内における公共事業による新たな住宅供給戸数

現在(2017 年度):

住宅供給戸数 0 戸

2020 年度:

住宅供給戸数 400 戸

・「北九州市立地適正化計画」に基づき、集約型都市構造(コンパクトシティ)の形成を目指

し、市民や事業者等の主体的な関与を促進する取組を行う。

・これにより、商業、医療・福祉、行政などの様々な機能が集積され、人口減少下において

も、拠点における賑わいの創出、公共交通経営の安定化、行政サービスの効率的な提供等

につながる。

・また、斜面地等における災害リスクの低下、高齢者等の外出機会の増加による健康増進、

公共交通の利用促進や経済活動のコンパクト化等による CO2 削減にも寄与する。

・街なか居住の促進を図り、高齢者や障害のある人、子育て世帯など、誰もが暮らしやすい

まちを確保していく。

・内閣府が進める「ⅰ-都市再生」も活用し、住民とともに、将来目指す、集約型都市(コンパ

クトシティ)のイメージを共有する。

②「人と環境に優しい交通戦略の推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

3.4

7.3

8.4

9.4

11.1

11.2

13.1

指標:公共交通人口カバー率

現在(2014 年 8 月):

79.5%

2020 年度:

80%

指標:公共交通分担率

現在(2014 年 8 月):

21.9%

2020 年度:

24%

指標:自家用車CO2排出量(H17 年度比)

現在(2014 年 8 月):

約2.4%を削減

2020 年度:

約6%削減

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・「北九州市環境首都総合交通戦略(北九州市地域公共交通網形成計画)」に基づき、「次世

代都市交通システムの検討」や「幹線バス路線の高機能化」など30の施策を一体的に推進

する。特に柱である、地域の実情に応じた輸送サービスを提供する「地域密着型バスネット

ワークの提供」を実現させる。

・これにより、人口減少・超高齢化社会に対応した持続可能な公共交通ネットワークを形成す

る。

・また、高齢者等に対して、公共交通の利用促進に繋がるモビリティマネジメントを積極的に

行い、交通事故の減少、歩行による健康増進、CO2削減にも寄与する。

③「公共施設マネジメントの推進」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.2

9.4

11.7

11.a

12.7

指標:「北九州市公共施設マネジメント実行計画」に基づく「5ヶ年行動

計画(2017 年3月策定)」における公共施設保有量(延床)の削減面

現在(2017 年度):

2,486 ㎡の削減

2021 年度:

29,700 ㎡の削減

・本市の公共施設マネジメント実行計画に基づき、施設の統廃合をはじめ長寿命化や安全の

確保など、公共施設の効率的な運営を図る。

・これにより、人口減少社会における大きな課題である「公共施設に係る将来的な財政負担」

を軽減するとともに、将来のニーズを見据えて時代に適合したものとする。

・また、既存の市民ボランティアによる「北九州市道路サポーター」や「公園愛護会」等の活動

により、公共施設の清掃等を行うことで、市民が安全に施設へアクセスできるようになり、ク

リーンなまちづくり、コミュ二ティの維持にもつながる。

【技術と経験を生かした国際貢献の推進】

①「官民連携による海外水ビジネスの展開」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

6.1

6.2

8.3

9.1

17.7

17.17

指標:海外からの研修員受入人数(上水・下水)

現在(2017 年度):

年間受入合計 410人

(上水) 26 人

(下水) 384 人

2020 年度:

年間受入合計 255人

(上水) 55 人

(下水) 200 人

・企業の持つ優秀な技術力と、本市がこれまで蓄積してきた上下水道分野での事業管理運

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営ノウハウ、長年にわたる国際技術協力(交流)で築いてきた人的ネットワークを駆使した情

報収集力と信用力を組み合わせることにより、官民一体となって成長著しいアジア市場をメ

インに海外へのビジネスを展開する。

・本市の上下水道に関する技術・ノウハウを海外へ提供することにより、開発途上国において

も飲める水の供給や漏水防止などを実現する。

・国際協力や企業によるビジネス機会の創出に加え、海外から「信頼されるまち」としてのイメ

ージアップにもつなげる。

②「『アジア低炭素化センター』等による環境改善の取組」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.1

9.2

13.2

17.7

指標:アジア地域における低炭素化プロジェクト実施件数

現在(2017 年度):

164 件

2020 年度:

184 件

・本市の持つ環境関連技術やこれまでに構築した都市間連携の枠組みを活用し、官民一体

となって国際ビジネス展開を推進する。

・また、国内外での研修や派遣を通じて、海外人材の育成を拡充する。

・これにより、市内企業の国際競争力が強化されるだけでなく、地域経済の活性化や雇用の

創出に繋がる。また、アジアひいては世界の低炭素化に貢献できる。

③「石けん系泡消火剤など世界に展開する商品の開発」

ゴール、

ターゲット番号

KPI

8.1

9.2

11.5

13.1

17.7

指標:北九州エコプレミアム選定件数

現在(2017 年度):

208 件

2020 年度:

240 件

・環境に配慮した石けん系泡消火剤など、市内企業の持つ「ものづくり」の技術を生かし、アジ

ア諸都市のニーズに応えた商品を開発する。

・また、本市の持つ海外とのネットワークを活用し、その商品の普及展開を図る。

・これにより、市内企業における海外とのビジネス促進だけでなく、世界の諸都市が抱える課

題の解決に貢献できる。

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(2) 自治体 SDGsの情報発信・普及啓発策

【北九州市における自治体SDGsの情報発信・普及啓発の展開】

地域内向け

○大規模イベントを活用した情報発信

・エコテクノ(来場者数:約 3 万人)<企業:PR>

・下水道展’18 北九州・下水道国際ジンポジウムin北九州(来場者数:約3.3万人)

<市民・企業:PR>

・わっしょい百万夏祭り(来場者数:約 150 万人)<市民・企業:PR>

・北九州マラソン(出走者数:約 1.2 万人)<市民・企業:PR>

・北九州エコライフステージ(来場者数:約 10 万人)<市民・企業:PR・交流>

○施設を活用したPR

・北九州まなびとESDステーション<市民・企業:PR・交流・人材育成>

・市民センター<市民:PR・交流・人材育成>

・市役所本庁舎1階「市政情報コーナー(市民ホール)」<市民:PR>

・市内の小中学校<市民:PR>

・環境ミュージアム(来館者数:約 13 万人/年)<市民:PR>

・エコタウンセンター(来場者数:約 3 万人/年)<市民:PR>

・ミクニワールドスタジアム北九州(入場者数:約 19.4 万人/年)<市民・企業:PR>

○その他のPR

・北九州SDGsクラブ<市民・企業:PR・交流>

・北九州市環境首都検定(受検者数:約 4,000 人/年)<市民:PR>

・本市の環境マスコットキャラクター「ていたん」<市民・企業:PR>

・市のホームページ(年間総アクセス数:約 4,000 万件)<市民・企業:PR>

・PR物件(ポスターやチラシ、パンフレット)の制作<市民・企業:PR>

・SDGsのロゴ入りのバッジや名刺等の制作<市民・企業:PR>

・Jリーグチーム「ギラヴァンツ北九州」(観客動員数:約 9.5 万人/年)<市民・企業:PR>

・民間企業とのSDGs連携協定等によるPR<企業:PR>

地域外向け(国内)

・「エコプロ」(東京都で開催・来場者数:約 16 万人)

・ALL九州SDGsネットワーク<市民・企業:PR・交流>

地域外向け(海外)

・OECDより、アジア諸国で唯一の SDGs モデル都市に選定されていることから、同機構が

開催する国際会議の場において、本市の取組みを発信する。

・海外からの研修員受入れ等によって形成された国際ネットワークを活用して、本市のSD

Gsに関する取組みを発信する。

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1.3 推進体制

(1) 各種計画への反映状況

■北九州市環境基本計画(2017 年 11 月改訂)

環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための

「北九州市環境基本計画」を改訂。副題を「環境首都・SDGs実現計

画」とし、環境・経済・社会問題に一体となって取り組むことでSDGs

を達成し、そのまちを未来に引き継いでいくことを基本理念としてい

る。

改定にあたっては、取組ごとにSDGsのアイコンを表示した。

■北九州市教育大綱(2019 年 5 月改訂)

2019 年 5 月、北九州市総合教育会議において、新たな「北九州市

教育大綱」を策定。子どもたちに、SDGsの視点を踏まえた教育を通

して、本市の魅力を理解してもらい、本市に対する誇りや愛着を持

ち、将来、ふるさとに貢献してくれる人材に育って欲しいとの想いか

ら、副題に「SDGsの視点を踏まえたシビックプライドの醸成」を掲げ

た。

■第 2 期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン(2019 年 8 月改訂)

2019 年 8 月、教育をとりまく社会状況等の変化や、これまでの成

果・課題に対応する、新たな教育プランを策定。プランでは教育活動

全体をSDGsに示される17の目標の視点で整理するとともに、「誰

一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえた学校教育を推進

し、子どもたちの成長を促すとともに、持続可能な社会づくりの担い

手を育み、SDGsの幅広い目標への貢献につなげていくこととしてい

る。

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■その他の各種計画

今後は、北九州市のすべての行政計画をSDGsと関連させるとともに、これが分かるよう

SDGsのアイコン表示を行う等の改訂を加速する。

<参考>北九州市の主な各種計画

・「元気発進!北九州」プラン

・北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略 (2019 年度改訂予定)

・北九州市男女共同参画基本計画 (2018 年度改訂予定)

・北九州市文化振興計画

・北九州市人権行政指針(2020 年度一部改訂予定)

・北九州市の地域福祉(地域福祉計画)(2020 年度改訂予定)

・北九州市いきいき長寿プラン (2020 年度改訂予定)

・北九州市障害者支援計画 (2022 年度改訂予定)

・第2次北九州市健康づくり推進プラン(2022 年度改訂予定)

・元気発進!子どもプラン (2020 年度改訂予定)

・北九州市新成長戦略 (2021 年度改訂予定)

・北九州市都市計画マスタープラン (2017 年度改訂)

・北九州市環境首都総合交通戦略 (2020 年度改訂予定)

・第2期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン (2019 年度改訂)

・北九州市生涯学習推進計画 (2020 年改訂予定)

(2) 北九州市版ローカルインディケーターの設定

国連及び国が示したインディケーターを参考にしながら、本市独自のインディケーターの

設定を行う。

また、本市の各種分野別計画をアクションプランとし、計画改訂に合わせて、KPIの見直

し設定や新規設定を行う。

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(3) 行政体内部の執行体制

■北九州市「SDGs未来都市」庁内推進本部(2018 年 2 月設置)

自治体SDGsを推進するにあたり、市全体の施策にかかる意思決定や、関係部局に

おける相互の緊密な連携を図るため、市の内部組織として市長を本部長とする「北九州

市『SDGs未来都市』庁内推進本部」を設置した。SDGsにおける今後の取組の進め方

などについての検討・議論や情報共有を行っている。

■庁内ワーキンググループ(2017 年 7 月~)

各部門の課長級職員で構成する「庁内ワーキンググループ」を設置し、実務者レベルで

SDGsに関する情報共有や協議等を行っている。

(その他)関係する組織

■北九州市まち・ひと・しごと創生推進本部(2014 年 11 月設置)

市役所全体で国の「まち・ひと・しごと創生本部」と連携し、人口減少対策や地域活性化

の推進を図っていくため、市の内部組織として市長を本部長とする「北九州市まち・ひと・し

ごと創生推進本部」を設置している。

自治体SDGは地方創生の実現に資するものであるという「まち・ひと・しごと創生総合戦

略 2017 改訂版」(2017.12.22 閣議決定)に鑑み、本市においては北九州市まち・ひと・しご

と創生推進本部で市民や企業等の参画による自治体SDGsを推進することとしている。

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(4) 関連団体や関係自治体などとの連携

地域内連携

○北九州市まち・ひと・しごと創生推進協議会(市民、企業、金融、教育)

○北九州市SDGs協議会(市民、企業、金融、教育)

■主に「経済」面におけるネットワーク

・北九州市環境産業推進会議(市民、企業)

・北九州市新成長戦略推進懇話会(市民、企業)

・テクノミクス北九州(市民、企業)

・北九州市海外水ビジネス推進協議会(市民・企業)

■主に「社会」面におけるネットワーク

・北九州市自治会総連合会(市民)

・北九州市安全・安心推進会議(市民、企業、教育)

・北九州市防災会議(市民、企業、教育)

・北九州市子ども・子育て会議(市民、教育、NPO)

・北九州市女性活躍・ワークライフバランス推進協議会(市民、企業、NPO)

・北九州市地域福祉振興協会(市民、企業、NPO)

■主に「環境」面におけるネットワーク

・北九州ESD協議会(市民、教育、NPO、企業、行政)

・北九州市環境衛生総連合会(市民)

・北九州市環境モデル都市地域推進会議(市民・企業)

・損保ジャパン日本興亜㈱とのSDGsに関する連携協定(企業)

自治体間の連携

○「環境未来都市」構想推進協議会

■主に「経済」面におけるネットワーク

・北九州都市圏域連携中枢都市圏構想

■主に「社会」面におけるネットワーク

・下関市との連携(関門連携)

・岩手県釜石市との連携

・福岡市との連携(福北連携)

・九州新幹線沿線主要4都市との連携(四都市連携)

■主に「環境」面におけるネットワーク

・環境モデル都市との連携(熊本県小国町)

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国際的な連携

■主に「経済」面におけるネットワーク

・東アジア経済交流推進機構

・アジア環境都市機構

・日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携協定締結(2013 年)

・国際協力機構(JICA)との包括連携協定(2013 年)

■主に「社会」面におけるネットワーク

・北九州市立大学の国際教育交流

■主に「環境」面におけるネットワーク

・中国大気環境改善のための都市間連携

(上海市、天津市、武漢市、大連市、唐山市、邯鄲かんたん

市)

・中国・大連市と友好姉妹都市を締結(1979 年)

・ベトナム国・ハイフォン市と友好姉妹都市を締結(2014 年)

・カンボジア国・プノンペン都と友好姉妹都市を締結(2016 年)

・インドネシア国・スラバヤ市と環境姉妹都市協定を締結(2012 年)

・フィリピン共和国・ダバオ市と環境姉妹都市協定を締結(2017 年)

(その他)友好姉妹都市との環境分野での相互連携(今後検討)

・アメリカ合衆国:ノーフォーク市及びタコマ市

・大韓民国:仁川広域市

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(5) SDGs達成に向けた新たな取組み

産学官民の連携につながる取組み

■北九州SDGsクラブ(2018 年 11 月)創設

SDGsの達成に向けた産学官民による幅広い活動の推進のため、SDGsに関連する

活動に取り組んでいる、または関心を持っている団体・企業・個人等が自由に参加できる

場を提供し、会員同士の交流や情報交換を通じて、各々の活動の活性化を目指す。

・対 象

① SDGsの達成に関する活動を実施している団体・企業・個人等

② SDGsに関心をもつ団体・企業・個人等

③ 大学、高等学校等の教育機関及びその学生・生徒・教職員等

・活動内容

① 会員の募集

② 会員の活動等の情報共有及び交流会の開催

③ 会員の活動内容等の情報発信(PR)

④ 会員による先進的、モデル的な活動(地域課題解決型プロジェクトチーム)の

創出・表彰・PR

・会員数

1000 (令和2年2月29日現在)

<内訳>

企業:306/団体:163/学校235/市民:296

■ALL九州SDGsネットワーク(2019 年 8 月創設)

※壱岐市、熊本県小国町との共同提案

九州エリアにおいて、各地で個別に行われている取り組みの情報を持ち寄り、共有する

分科会を設立することで、地域間のパートナーシップを推進し、九州からSDGsの成功モ

デルを発信することを目指す。

・会員数

10 (令和2年2月現在)

<内訳>

自治体:7(北九州市、壱岐市、小国町、菊池市、長崎県、唐津市、直方市)/

企業:1/団体:1/学校:1

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自律的好循環につながる金融機関・中小企業の取組み

■中小企業を対象としたSDGs経営セミナーの開催

主に中小企業をターゲットとして、基調講演や企業での取り組み事例の発表により、

SDGsに取り組むメリットを周知するセミナーを金融機関が自主的に開催する。

■金融機関及び中小企業の従業員向け勉強会の開催

様々な企業を取引先にもつ金融機関の従業員や中小企業の経営者に対して、SDGs

に関する基礎知識や動向、企業がSDGsを取り込むメリットなどを理解していただくため

の勉強会を、金融機関と連携して開催する。

■金融機関による中小企業向け「SDGs経営サポート」の整備

北九州SDGsクラブに加入する金融機関が、SDGs経営に取組もうとする企業やビジネ

スマッチングや海外展開をしようとする企業、経営体質等を改善しようとする企業などを

支援する体制を構築し、「自律的好循環」を形成する。

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中小企業や市民の取組み

■魚町商店街振興組合によるSDGs達成に向けた取組み

本市の都心部にあり、一番の賑わいを見せる魚町商店街は、日本初の「SDGs 商店街」

を目指す宣言を行い、アーケードに横断幕等を設置している。

本市で一番恵まれた場所にある商店街だからこそできる様々な社会貢献に商店街全体

で取組んでいる。

<取組事例>

(1)省エネ対策として、商店街にエコルーフを設置

(2)商店主が市民に様々な知識や技能を伝授する「得するまちのゼミナール」の開催

(3)フードロス対策として、「食」のイベントで『残しま宣言』を実施

(4)空き店舗や空きビルなどの遊休不動産をリノベーションし、飲食店やコミュニティスペ

ースなど様々な用途での利活用

(5)アーケードへのSDGs横断幕の掲示

(6)大学生を主体とした清掃活動

(6)SDGs関連イベント、セミナーの開催

(7)PR動画の作成

(2019 年 3 月「第一回SDGsクリエイティブアワード」ゴールドアワード(最優秀賞)を

受賞)

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(6) SDGs達成に向けた未来人財の創出・育成

【2030 年の主役となる世代の育成】

高 校

■SDGsをテーマとした「探究学習」に取組む高校を支援

将来の進路を決定する時期である高校時代に、SDGsをテーマとした「探究学習」を通

じ、地域課題や元企業に触れることで、地域への関心と愛着を育み、その後の地元定着や

U・I ターンにもつなげるなど、市が目指す地方創生の達成を図る。

また、実社会で課題解決に取り組む団体や企業等と交流を図りながら、地域課題の把握

や分析等に実践的に取組み、「北九州SDGsクラブ」の会員マッチング機能を活用し、企業

や団体等のサポートのもと、未来の地域社会を切り拓いていく若い人財の育成を目指す。

■SDGs に取組む高校生の探究学習成果発表会「SDGs選手権大会」の開催

SDGsをテーマとした探究学習に取組む高校生の成果発表会を定期的に開催するこ

とにより、同様にSDGsに取組む高校の増加を図る。

成果発表会を広く公開することにより、市内外の高校生へのSDGsの理解を広め、次世

代の地域社会づくりの担い手となる若者が自発的な活動ができるよう育成するとともに、

企業や団体などとの連携を促進し、各世代への波及効果の創出を図る。

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大 学

■市内大学におけるSDGs 達成に向けた取組みの推進

次世代を担うステークホルダーのひとつである大学において、SDGs の理解を深める

カリキュラムの採用や、SDGs の達成に向けた大学生ならではの活動を推進する。

また、「高大連携」の取組みを強化し、地域課題の発見・解決に向けた探究学習を行う

高校との連携カリキュラムの開発等を推進する。

■地元企業への支援

市内企業等の若手従業員に対し、SDGs の必要性や企業等の取組事例を確認しなが

ら、SDGs への理解を深め、企業活動に SDGs を取り入れる上で必要なリーダーシップ

やファシリテーション技術を習得するための講座を開講するなど、地元企業への支援を

推進する。

<大学での取組事例>

【北九州市立大学】 国連アカデミック・インパクトへの登録

2019 年度、国連と世界の大学をつなぐプラットフォームである「国連アカデミック・イン

パクト」に登録し、SDGs をはじめとした国連の活動に教育機関としてコミットすることで、

SDGs推進に積極的な大学間連携を促進するとともに、活動を世界に発信する。

【北九州市立大学】 キャンパスSDGsプロジェクト

学内のSDGsに資する活動を取材し、ゴールことにまとめてホームページに掲載する

ことで「見える化」し、大学の魅力を広く発信するとともに、学生・教職員のSDGsに対す

る意識の向上を図る。

【九州国際大学】 「ペガサス・ボヤージュ」モニターツアー

車いすユーザーのために開発した海外旅行「ペガサス・ボヤージュ」モニターツアー

が、朝日新聞社主催の「大学 SDGs ACTION! AWARDS 2019」で、スタディ・ツアー賞を受

賞した。

【九州女子大学】高校の探究学習への支援

2019 年度より八幡南高校でスタートした、地域課題の解決策を探る探究学習をサポ

ートしている。7つの地域課題をテーマにして、そのうちの一つである「子育て支援」を教

授が担当し、学生は各テーマの授業のサポートしている。

【西日本工業大学】 にじのはしプロジェクト

街の風景やごゴミ箱などをアートで彩るプロジェクトや、ハロウィンなどの賑わいを創

出するプロジェクトを実施している。

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【2030 年以降に主役となる世代の育成】

小中学校

■北九州市教育大綱(2019 年 5 月改定)及び

第 2 期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン(2019 年 8 月改定)への SDGs の反映

SDGsの視点を踏まえたシビックプライドの醸成を基本方針に掲げ、本市の魅力を理解し、

本市に対する誇りや愛着をもち、将来、地元に貢献してくれる人材を育成する教育を推進す

る。SDGsの視点を踏まえた教育の推進により、新しい時代を切り拓くことのできる、持続可

能な社会を創る担い手を育むことで、SDGsの幅広い目標への貢献につなげていくことを目

指す。

■短編映画「3日間クラブ」の制作(2020 年 1 月完成)

目指す子どもの姿や、新たに SDGs の視点を盛り

込んだ「第 2 期北九州市子どもの未来をひらく教育

プラン」をPRするため、SDGsをキーワードとした

短編映画「3日間クラブ」を制作している。

この映画の主演は現役の中学校演劇部員や教

師。自分の学校を舞台に映画撮影に挑んだ意欲

作。中学生の視点で、中学生同士が互いに影響し

あいながら、自ら未来を開いていくショートムービー。

■子どもたちのシビックプライド育成事業(2020 年 3 月完成)

~SDGsの視点に立った地域教材資料集(副読本)の作成~

「第 2 期北九州市子どもの未来をひらく教育プラン」に盛り込まれたSDGsの視点と、新学

習指導要領に示された「持続可能な社会を創る担い手」育成の観点から、地域教材資料集

を作成。

小学 3・4 年生が主として社会科の教科等で活用し、郷土の視点から理解を深め、自分た

ちのまちに対する誇りと愛情を育むことに資する前編と、小学校高学年から中学生及び保

護者が家庭において発展的な学習などに活用できるほか、SDGsについての理解促進を図

ることができる後編とで構成。

2020 年度に、公立小学校の 3・4 年生全員に配布する。(小学 6 年生まで活用。)

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(1) 課題・目標設定と取組の概要

自治体SDGsモデル事業名:地域エネルギー次世代モデル事業

(取組の概要)

地域内で、資源やエネルギーに関して以下の3つの視点から取り組むことで、「環境・経

済・社会」の統合も含めたSDGsの達成に寄与する。

このために、主に以下の取組を総合的、効果的、効率的に推進する戦略(マスタープラン)

策定を作成し、実施する。

1. 「つくる」

① エネルギー(電力等)自体をつくる→風力発電、バイオマス発電など

② 関連技術、産業をつくる→風力発電関連部品、高度リサイクル技術、低炭素で安定した

エネルギーを活用したデータセンター誘致、充電サービス等の創業

③ 人材やネットワークをつくる→研究開発者の育成、再生可能エネルギーに関するメンテ

ナンス人材の育成、バイオマス伐採ネットワークの構築

④ リサイクルして何度もつくる→リサイクル製品の種類拡大、高度リサイクルの事業化

⑤ 災害に強いまちをつくる→エネルギー地産地消によるレジリエンス強化、里地・里山の

保存と再生

2. 「つかう」

① エネルギー自体を賢く・上手につかう→デマンドレスポンスの高度化(AI活用等)、

電力需要予測による発電量最適化

② 余剰資源・副生資源をつかう→副生水素等の活用、森林資源の有効活用(主伐、間

伐)、小型家電等のリサイクルによるレアメタル確保(都市鉱山)、PVリユース・リサイク

ルの確立

③ 人材やネットワークをつかう→「まちぐるみリサイクル」の推進、リサイクルへの高齢者、

障害のある人の参画促進(雇用開発)

3. 「つなぐ・つながる」

① コミュニティを強化する(人をつなぐ)→人材育成、啓発拠点の整備と活用、古紙回収等

の地域活動によるコミュニティ再構築

② 「見える化」で見学者・遠隔者とつながる→エネルギー産業の観光化、エネルギー使

用実態を利用した遠隔地からの見守り

2.自治体 SDGs モデル事業

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③ 技術移転で世界とつながる→本モデル事業の海外へのPRによる都市のブランド化、

技術移転ビジネス、研修ビジネス、地球規模での環境保全(資源循環、温暖化防止等)

につなげる

(2) 三側面の取組

① 経済面の取組

ゴール、

ターゲット番号

KPI

7.2

9.4

13.2

指標:①-1 再生可能エネルギー導入量

現在(2018 年 7 月)

288,000kW

2020 年度:

360,000kW

8.2

9.4

指標:①-2 産業用ロボット導入支援補助金活用支援件数

現在(2018 年度)

累計 19 件

2020 年度 累計 25 件(2020年ま

でに毎年3件ずつ支援)

9.4 指標:①-3 エコタウン事業による投資額(累計)

現在(2016 年度)

770億円

2020 年度

798億円

①-1 地域エネルギー拠点化の推進

<概要>

洋上風力発電などの低炭素エネルギー産業を支援することで、低炭素社会の実現を図

る。また、部品数が約2万点に及ぶ風力発電の関連産業は裾野が広いことから、これらの

産業を市内(響灘地区)に誘致し、経済を活性化するとともに、雇用創出を図り、人口の社

会動態をプラスにすることを目指す。

<主な取組>

○再生可能エネルギー導入促進事業(旧次世代資源・エネルギーシステム創生事業)

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:30,000千円

(取組概要)

・CO2削減・地域経済の成長に資するため、「低炭素で安定したエネルギーを創り、賢

く使うまちづくり」「災害に強いまちづくり」「エネルギー産業の振興」等による、日本を

牽引する先進的取組の実践を目指し、地域エネルギー戦略を進める。

・これらを実現するため、風力・バイオマスといった再生可能エネルギー等の推進、エネ

ルギーマネジメントや竹のバイオマス活用など新たな再エネ事業化支援の取組を重

点的に行う。

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①-2 ロボットやAIを活用した生産性向上

<概要>

生産年齢人口の減少が進む地域において、様々な都市活動を持続可能とするため、ロボ

ットやAIを活用することで生産性の向上を図る。

例えば、AIを活用し、高度なデマンドレスポンス等による、高効率なエネルギーマネジメント

を行い、快適で環境に配慮した社会を形成する。また、女性や高齢者、障害のある人等誰も

が操作しやすい産業用ロボットの開発・導入を促進し、環境にも人にも優しい職場環境の実

現を目指す。

<主な取組>

○ロボットテクノロジーを活用した地方大学・地域産業創生関連事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:619,100千円

(取組概要)

・地方大学・地域産業創生交付金を活用し、産業用ロボットの用途拡大ニーズに応える研

究開発を産学連携で強力に進めるとともに、人口減少、高齢化による労働力不足の課題

を有する地域企業にロボット等の導入支援を説教的に行い、生産性革命を推進する。

①-3 一次産業(林業等)や環境関連産業の活性化

<概要>

木材チップやペットボトル再生等の環境関連産業の活性化を図ることで、リサイクルや低

炭素化を推進し、グリーン成長に資する新たな産業の創出を図る。また、新たな産業の創出

により、高齢者や障害のある人等の就労の場の提供を目指す。

<主な取組>

○北九州エコタウン事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:39,069千円

(取組概要)

・日本初、日本最大級のエコタウンを中心として循環型社会を実現するため、環境産業

の集積と環境・エネルギー技術開発の更なる拠点化を図る。

・具体的には、レアメタル回収(都市鉱山)やPVパネルなど社会課題に対応した新たな

リサイクルに取り組んでいく。

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② 社会面の取組

ゴール、

ターゲット番号

KPI

5.1

8.5

10.2

指標:②-1 女性就業率(25~44歳) (再掲)

現在(2015 年):

70.0%

2020 年:

70.0%

11.b 指標:②-2 地区 Bousai 会議運営支援事業(地域ぐるみの防災ネ

ットワークの構築)の実施校区

現在(2014 年度~2017 年

度):14校区

2020 年度:

10校区程度/年

4.7 指標:②-3 ESD活動拠点の利用者及びESD啓発イベント等への

参加者数(延べ)

現在(2016 年度):

18,520人

2020 年度:

24,000人

②-1 女性や高齢者・障害のある人等が活躍できる場の提供

<概要>

女性や高齢者、障害のある人等が活躍できる場を提供することにより、多世代の社会参

画を促し、これから深刻化する、人口減少や超高齢化による人手不足の解消を目指す。

<主な取組>

○ウーマンワークカフェ北九州運営事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:91,800千円

(取組概要)

・女性の就業・キャリアアップ・創業などをワンストップで支援する「ウーマンワークカフェ北

九州」の運営を国・県と連携して行う。

・具体的には、同カフェを中心に、子育てと両立できる働き方の紹介や就職、キャリアアッ

プ・創業などに役立つ各種セミナーを開催する。

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②-2 安心で災害に強いまちづくり

<概要>

市民が積極的に参加し活動できる地域コミュ二ティをつくることで、災害を最小化する

災害に強いまちづくりを実現する。また、レジリエンスの強化により、産業基盤を安定化

し、生産性の向上を図る。

<主な取組>

○みんな de Bousai まちづくり推進事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:46,125千円

(取組概要)

災害から命を守りぬくために、自らの命を守る「自助」意識の醸成や、地域で助け合う

「共助」の風土づくりなどによる地域防災力の向上を目指して、「みんな de Bousai まち

づくり推進事業」を実施。市内全校区(132校区)で地区防災計画を作成するとともに、

地域ぐるみの防災ネットワークの構築を図る。

②-3 市民活動の場の提供(ESD等)

<概要>

多くの市民が、ESDの視点を持った環境学習やまち美化・リサイクル回収等の市民

活動に参加しやすい環境づくりを行い、市民レベルでの温暖化対策への取組を進める。

また、市民一人ひとりに、市民活動のプレーヤーとして活躍してもらうことで、生涯活躍

社会の実現を図る。

<主な取組>

○ESD活動支援事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:61,583千円

(取組概要)

・ESDの更なる普及強化と市民活動の活性化、まちのにぎわいの創出などのため、

様々な世代・分野の人々が集い・つながる「ESDの推進拠点(北九州まなびとESDス

テーション)」をまちなかに整備・運営する。

・ESDの推進拠点において、SDGsを積極的に普及啓発していく。

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③ 環境面の取組

ゴール、

ターゲット番号

KPI

7.a 指標:③-1 環境未来技術開発助成事業で助成した研究開発の事

業化数

現在(2016 年度):

34件

2020 年度:

38件

17.7 指標:③-2 戦略的環境国際協力事業の件数(延べ)

現在(2016 年度):

6件

2020 年度:

7件

12.5 指標:③-3 市内の未利用材をバイオマス燃料として使用

現在(2016 年度):

0トン/年

2020 年度:

500トン/年

③-1 エネルギーや資源の地域循環

<概要>

エネルギーや資源の地域循環を目指すことで、エネルギーやリサイクル産業の集積

や技術開発を進め、市内経済の活性化につなげるとともに、低炭素社会の実現による

気候変動への対応や資源効率の向上に取り組んでいく。

<主な取組>

○環境未来技術開発助成事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:143,604千円

(取組概要)

新規性・独自性に優れた環境・エネルギー技術の研究開発費の一部助成により、中小企

業をはじめとした地元企業等に技術開発の機会を提供するとともに、本市における環境・エ

ネルギー分野の技術の集積を進める。

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③-2 環境国際協力や環境国際ビジネス

<概要>

「アジア低炭素化センター」を核として、国際ネットワークを通じた環境国際協力や環

境国際ビジネスに取り組むことで、市内企業のビジネスチャンスを拡大し、経済の活性

化を図るとともに、海外諸都市の「グリーン成長」に貢献することで、CO2 の削減による

世界的な気候変動への対応や生活環境の改善を目指していく。

<主な取組>

○国際ネットワークを活用したSDGs発信事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:3,000千円

(取組概要)

・アジアを中心とする諸都市の環境改善等に向け、本市が有する様々な環境国際ネット

ワークを活用し、環境国際協力事業を展開する。

・「アジア低炭素化センター」を拠点に、本市のもつ環境関連技術や社会システムをパッ

ケージ化した「北九州モデル」を世界に発信し、市内企業のビジネス展開を強力に支援

する。

③-3 里山等の自然保全

<概要>

里山等の自然保全に取り組むことで、自然と共生したまちづくりの実現を図るととも

に、温暖化対策として森林を適正に保全していく。

<主な取組>

○森林資源活用事業

(事業費)

0円(民間企業が事業主体となるため、市費は不要。)

(取組概要)

・人工林の主伐、搬出間伐等推進による未利用材の地域内循環を図るとともに、森林資

源を活用することで、里山等の自然保全につなげる。

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(3) 三側面をつなぐ統合的取組の概要

統合的取組の事業名:地域エネルギー次世代モデル事業

(事業費)

3年間(2018~2020年)総額:52,000千円

(取組概要)

「地域エネルギー次世代モデル事業」では、エネルギーを、「(低炭素で)つくる」「(上手に)

つかう」「つながる(つなげる)」という3つの視点で、地域エネルギーを核として、本市の強み

(市民力・技術力・国際ネットワークなど)を生かし、以下の取組を行うことで、経済・社会・環

境の三側面からSDGsの達成を目指す。

(1)エネルギーを中核として、地域でSDGsを達成するための戦略を策定

(2)エネルギーに関連した、SDGsの取組を支える人材の育成

(3)エネルギーを含めたSDGsの取組を見える化し、SDGsに取り組む地域拠点の形成

(4)こうした取組を内外に展開するための「都市レベルの指標づくり」及びその発信、国

際的なニーズ・シーズを取り込むための国際的なプラットフォーム・ネットワークの構

※(2)(3)(4)は、(1)に不可欠なコンテンツになる。

(1)-①地域エネルギー・SDGs戦略策定事業

本市の強みであるエネルギー分野を核として、地域における再エネ・省エネ(エネマネ)・水

素活用などの取組を通じて、地域のSDGsを達成するための戦略を策定する。

具体的には、地域のポテンシャルを活かした様々なエネルギー政策・施策をどのように進め

れば、CO2削減といった「環境面」だけでなく、産業の活性化といった「経済面」、高齢化対

策・働きがいといった「社会面」の三側面を統合的に解決できるのかを明らかにしていく。

その後、リスク・コスト分析を踏まえた上で、エネルギー面からSDGsを達成するための将

来像及び具体的な方策やロードマップを盛り込んだエネルギー版SDGs戦略を策定し、順次

実施していく。

(1) -②北九州市森林活用マスタープラン策定事業

エネルギーの一分野として、市内森林のゾーニングや将来の活用計画等を定めたマスタ

ープランを作成し、循環型の林業経営や市民活動が見込まれる場などゾーニング計画を示

す。

また、これまで施業の妨げとなっていた施業区域の集約化や収益積算システムの構築の

促進を図るとともに、都市部における林業経営モデルの構築によって、本市取組の全国展開

を目指す。

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(2) SDGs人材育成事業

実際にSDGsを進める上で鍵となる人材育成を行うため、未来を担う若年層(小・中・高校

生等)に向けた漫画を活用した普及啓発や、本市がこれまで進めてきたESD(持続可能な開

発のための教育)のインフラを活用し、多様なステークホルダーの中でも環境・経済・社会の

三側面の統合的向上に重要な役割を担う企業向けの研修を実施する。

また「環境首都北九州SDGsアワード (ESD表彰)」を創設し、地域の様々なステークホル

ダー内におけるSDGsの人材育成を後押しするほか、地域活動の拠点である市民センター

による普及啓発を進めていく。

(3) SDGs拠点形成・見える化事業

本市においてこれまで環境上の取組の国内外の発信拠点となってきた地域環境拠点(我

が国唯一のエコタウンセンター・環境ミュージアムなど)を、SDGsの視点も取り入れてリニュ

ーアルすることで、市民や企業、あるいは国内外の視察者におけるSDGsの見える化・ショー

ルーム化を図る。

具体的には、SDGsに関する展示物の設置や、訪問者がSDGsを体感し、理解してもらえ

るような仕掛け(燃料電池や超節水型トイレ等)を本市の民間企業等の協力を得ながら実施

する。

本事業を通じて、市民や企業、国内外の研修生や視察者、観光客等がSDGsを実感する

ことのできる場を提供し、具体的な取組を促す。

(4) 「都市レベルの指標づくり」とOECD等との連携によるSDGsプラットフォーム・ネットワー

ク構築事業

本市は、2018年度から、OECDが世界10都市程度を選定し実施する「SDGsモデル都

市」調査の1都市(日本では本市のみが選定)として、都市レベルでの取組やデータを調査

し、優良事例の共有やモデル都市間でのネットワーク構築を図ることとする。

この取組と連携して、様々なステークホルダー(企業・市民・NPO)のSDGsへの取組状況

について、分析・評価したものを取りまとめ、本市のSDGsのプラットフォームとしてHP上に日

本語及び英語で公開する。

さらに、これまで本市が受け入れた約1万人に及ぶ海外研修生とのネットワークを活用し、

上記調査結果等を発信するとともに、各都市におけるSDGsに関連した事業ニーズ・シーズ

を汲み上げ、ビジネスへと繋げていく。

なお、整備したSDGsプラットフォームには、本市の様々なSDGs取組を集約するともに、

企業等によるデータ提供も積極的に受け入れることで、SDGsの取組を加速させる。

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② 三側面をつなぐ統合的取組による相乗効果(新たに創出される価値)

■ 経済⇔環境

【経済→環境】

KPI

指標:再生可能エネルギー導入によるCO2削減効果

現在(2018 年 2 月現在):

0トン

2020 年度:

15万トン

指標:本モデル事業の相乗効果創出のベースとなる国際ネット

ワークを生かした情報発信数

現在(2018 年 2 月現在):

0人

2020 年度:

3,000人

(概要)

・再生可能エネルギー・省エネルギー産業の育成・経済成長が進み、CO2削減が進む。

・環境配慮製品の提示やサービスの紹介等の見える化により、市民や観光客、視察

者等を通じて国内外へ波及することで、市内外のCO2削減や資源循環が進む。

・国際的なネットワークを生かしたニーズ発掘により、環境ビジネスの展開が進み、国際的

な環境問題の解決に貢献する。

【環境→経済】

KPI

指標:本モデル事業の相乗効果により創出されるエネルギー関

連プロジェクト数

現在(2018 年 2 月現在):

0件

2020 年度:

10件

指標:環境・SDGs拠点への視察者数

(SDGsに関する施策・製品・サービスの波及に関連する指標)

現在(2016 年度):

22万人/年

2020 年度:

24万人/年

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(概要)

・CO2削減を目指した、エネルギー産業や関連産業の取組が進み、エネルギー産業・資源産

業の新たな集積や技術の進展がなされる。

・人材育成により、SDGsに関心をもつ企業にも人材が浸透し、職場の魅力向上や持続的な

経済成長などの企業価値の向上が期待される。

・環境配慮製品の展示やサービスの紹介等の見える化により、本市の環境配慮製品やサー

ビス等が国内外へ波及するとともに、本市への観光客、視察者の増大に繋がる。

・本市の取組の海外への発信・展開や国際的なネットワークを生かした海外ニーズの発掘に

より、海外諸都市の環境改善が進むと同時に、地元企業の国際的なビジネスチャンス拡大

などが期待できる。

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■ 経済⇔社会

【経済→社会】

KPI

指標:本モデル事業の相乗効果により創出される地域課題の解

決に資する新サービス数

現在(2018 年 2 月現在):

0件

2020 年度:

2件

(概要)

・新たなエネルギー産業の育成が進み、魅力的な職場として若者等の就労が増える。

・自立分散型で災害に強く、安定したエネルギー供給とエネルギーマネジメントサービスを見

守りサービスと組み合わせるなどして、安全安心なまちづくりが進む。

・エネルギー分野を始めとして、企業が必要とする新たな分野開拓に資する人材の雇用創出

が促されることで、NPO活動やコミュニティ活動などとの協働が進む。また、個人や地域の

活力が増進される。

・SDGs拠点と地元商店街との協働などにより、地域の経済振興が図られる。

・海外への発信・展開や国際的なネットワークを生かした海外ニーズ発掘により、海外諸都市

の経済成長と暮らしの質(QOL)の向上などが期待できる。

【社会→経済】

KPI

指標:本モデル事業の相乗効果により創出される雇用数

現在(2018 年 2 月現在):

0人

2020 年度:

50人

・エネルギーマネジメントを生かした見守りや福祉サービスなどの新たなサービスが進み、新

サービスの創出が進む。

・SDGs人材育成により、女性や高齢者などの活躍が進み、多様な人材の雇用確保などの

相乗効果が創出される。

・海外への発信・展開や国際的なネットワークを生かした海外ニーズ発掘により、日本同様に

高齢化等が進む海外における新たなビジネスチャンスを捉え、国際ビジネス展開に繋げる。

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■ 社会⇔環境

【社会→環境】

KPI

指標:本モデル事業の相乗効果により創出されるコミュニティに

おける環境保全等の取組数(市民センターを拠点とした取組)

現在(2018 年 2 月現在):

0件

2020 年度:

30件

・地域が一体となった再エネ・省エネ等の取組が促され、環境面において環境負荷の低減な

どが進む。

・SDGs人材育成やSDGs拠点における市民・コミュニティとの連携により、社会面のコミュニ

ティの活性化や生涯活躍などが進み、環境面での活動が拡大する。

【環境→社会】

KPI

指標:本モデル事業の相乗効果創出のベースとなるSDGs人材

の育成数

現在(2018 年 2 月現在):

210人

2020 年度:

260人

・地域における自立分散型エネルギーの進展や再エネ・省エネなどの低炭素化の取組が進

展し、都市の防災機能の向上や暮らしの質(QOL)の向上などが進む。

・SDGsの活動に、市民・コミュニティ全体で取り組むことで、その活動が刺激され、地域が抱

える課題解決などが進む。

・海外への発信・展開や国際ネットワークを生かしたニーズの発掘により、環境面の取組のみ

ならず、海外での地域が抱える課題解決などが期待できる。

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(4) ステークホルダーとの連携

団体・組織名等 モデル事業における位置付け・役割

株式会社北九州パワー 民間企業として事業を推進

損保ジャパン株式会社 民間企業として普及啓発を実施

北九州ESD協議会 市民・教育機関・企業等によるネットワーク

組織として普及啓発を実施

市内の大学(北九州市立大学など) 事業の推進

OECD 事業の推進

IGES 事業の推進

JICA 事業の推進

ジェトロ 事業の推進

海外の環境姉妹都市など(スラバ

ヤ・ハイフォン・プノンペン都・ダ

バオなど)

国際協力都市として、技術協力や人材交流な

どを実施

北九州市海外水ビジネス推進協議会

(産・官)

海外水ビジネスを推進する

北九州市「SDGs未来都市」庁内

推進本部

庁内の取組を推進する

北九州ローカルチーム(OECDと

の連携)

OECDとの連携を推進する

北九州エコタウン連絡会議(産・

官・学)

エコタウンでの取組を推進する

北九州市SDGs協議会 SDGsの取組の方針等を検討し、市民と一

丸となって進めていく。

北九州市まち・ひと・しごと創生推

進協議会

地方創生の観点から連携を図る。

北九州SDGsクラブ 市民・企業・NPO 等が参画する組織を創設

し、イベントや交流会の開催などを行い、S

DGsの普及啓発等を行う。

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(5) 自律的好循環

(事業スキーム)

本市の強みである「国際パートナーシップ」(環境姉妹都市など)を生かし、このモデルを世

界展開することで、以下の自立的好循環を生む。

(将来的な自走に向けた取組)

今回提案する事業を推進し、「持続可能な産業の振興」【経済】、「人口減少・超高齢化対

応」【社会】、「気候変動への対応」【環境】の三側面への課題を統合的に解決するだけでな

く、本事業をモデルとして、本市の強みである「国際パートナーシップ」を生かして世界に展開

することで、

① 市内企業のビジネスチャンスの拡大

② ビジネス拡大に伴う雇用創出による、女性・高齢者・障害のある人等の活躍の場の提

③ モデルの世界展開による、地球規模でのCO2削減(気候変動への対応)

などの自律的好循環が生まれ、本市のブランド力の向上にもつながると同時に、SDGsの

達成に大きく貢献できると考えている。

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(6) 普及展開策

本市は、「地域エネルギー次世代モデル事業」を自治体SDGsモデル事業として提案し、

国より選定を受けた。

エネルギーは、市民の生活の質の向上(QOL)だけでなく、産業や社会活動にも不可欠な

要素であると同時に世界各地で普遍的に求められるものであることから、事業に対するニー

ズは高い(事業が受け入れられる)と考えている。

まずは、関係者や企業の連携のもと、事業の完成度を高め、市民センター等の市内施設、

市内でのイベント等を活用して周知を図るとともに、環境学習などをはじめとしたESDの取組

や「北九州SDGsクラブ」での活動等を通じて市民等の理解を深め、市民や市内企業等に対

し導入を進める。

次に、本市のエコタウンセンター、環境ミュージアム等の視察や全国レベルでのイベントや

シンポジウムを通じて、国内での周知・普及を図る。

また、本市の環境国際協力や環境ビジネス、あるいは環境姉妹都市とのパートナーシップ

等を活用することで、国際的な普及を目指す。

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(7) スケジュール

取組名 2018 年度 2019 年度 2020 年度

7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月

統合

地域エネルギー次世代

モデル事業

経済

・次世代資源・エネルギ

ーシステム創生事業

・ロボットテクノロジーを

活用した地方大学・地

域産業創生事業

・北九州エコタウン事業

風力関連産業人材育成推進業務委託

竹・木質バイオマス熱供給事業可能性調査委託

#1 バイオマス会議 #2 バイオマス会議 #3 バイオマス会議

引き続き、事業の実施、PR など 契約や計画の実施後、事業の開始

各年度 事業実施

エコタウン企業他、市内企業への新事業展開支援等

産業用ロボットの用途拡大ニーズにこたえる研究開発、地域企業へのロボット等の導入支援の推進等

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●事前準備 (調査対象者選定、調査方法検討等) ●情報発信コンテンツ、調査帳票の設計・作成/翻訳

取組名 2018 年度 2019 年度 2020 年度

7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月

社会

・ウーマンワークカフェ

北九州運営事業

・みんな deBousai まち

づくり推進事業

・ESD 活動支援事業

環境

・環境未来技術開発助

成事業

・国際ネットワークを活用

したSDGs発信事業

・森林資源活用事業

調査結果のフォローアップ

回収・とりまとめ/督

※4月~5月(応募受付)

交付決定

※6月(応募受付)

実績報告

※3月(交付額決定)

各年度 助成金交付事業を実施

民間事業体による自立運転 市内未利用バイオマス収集 市内施設で利用

企業向け研修

募集 選考

動画作成 《表彰式 2/9》

報告書作成 各年度 事業実施

地区 Bousai 会議 継続 継続

(4月~)人材育成事業

ファシリテーター研修

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北九州市 SDGs未来都市計画

平成30年8月 第一版 策定

令和2年 3月 改定