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今回は、実際にRHEL7を導入するまでの手順を紹介します。新しくなったインストーラを始め、インストール 方法のバリエーションとサブスクリプション管理など、 RHEL7を正しく使い始めるまでの概略をまとめてい ますので参考にしてください。 RHEL7のマニュアルセットの中には、日本語のインストールガイドもあります ので、より詳細を確認したい場合など、必要に応じて参照してください。 RHEL7のマニュアルセットは、レッドハットのカスタマーポータルから閲覧およびダウンロードが可能です。 カスタマーポータル(https://access.redhat.com)から、メニューから「サポート」→「製品ドキュメント」 →「Red Hat Enterprise Linux」と進んでください。 Red Hat Enterprise Linux 7 RHEL7)をインストールしてみよう Red Hat Enterprise Linux 7 ダウンロ インスト ルガイド インストーラを使った対話的インストール 1 1)サブスクリプションを入手します まずRHELのサブスクリプションを入手します。利用予定の有無にかかわらず、是非この機会にRHELの環境へ触れてみることをお勧めし ます。レッドハットのカスタマーポータル(http://access.redhat.com)のアカウント作成は無料で、 30日間の評価用RHELサブスクリプ ションも提供されていますので活用してみてください。 上の図は、カスタマーポータルへアクセスした際のwebブラウザの表示画面です。アカウントを持ってない人は、右上の「登録」リンクから Red Hatログインの作成」の画面へ進んでください(図2)。アカウントタイプとして企業・個人いずれかを選択し、必要事項を入力して「送 信」ボタンを押します。登録したメールアドレスへ、確認用のURLを記載したメールが送付されるので、忘れずに指示されたURLへアクセス してください。 Red Hat Enterprise Linux 7 Download Installation guide 1 [図1]カスタマーポータル

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今回は、実際にRHEL7を導入するまでの手順を紹介します。新しくなったインストーラを始め、インストール方法のバリエーションとサブスクリプション管理など、RHEL7を正しく使い始めるまでの概略をまとめていますので参考にしてください。RHEL7のマニュアルセットの中には、日本語のインストールガイドもありますので、より詳細を確認したい場合など、必要に応じて参照してください。RHEL7のマニュアルセットは、レッドハットのカスタマーポータルから閲覧およびダウンロードが可能です。カスタマーポータル(https://access.redhat.com)から、メニューから「サポート」→「製品ドキュメント」→「Red Hat Enterprise Linux」と進んでください。

Red Hat Enterprise Linux 7(RHEL7)をインストールしてみよう

Red Hat Enterprise Linux 7 ダウンロード & インストールガイド

インストーラを使った対話的インストール1(1)サブスクリプションを入手しますまずRHELのサブスクリプションを入手します。利用予定の有無にかかわらず、是非この機会にRHELの環境へ触れてみることをお勧めします。レッドハットのカスタマーポータル(http://access.redhat.com)のアカウント作成は無料で、30日間の評価用RHELサブスクリプションも提供されていますので活用してみてください。

上の図は、カスタマーポータルへアクセスした際のwebブラウザの表示画面です。アカウントを持ってない人は、右上の「登録」リンクから「Red Hatログインの作成」の画面へ進んでください(図2)。アカウントタイプとして企業・個人いずれかを選択し、必要事項を入力して「送信」ボタンを押します。登録したメールアドレスへ、確認用のURLを記載したメールが送付されるので、忘れずに指示されたURLへアクセスしてください。

Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 1

[図1]カスタマーポータル

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Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 2

(2)ISOファイルのダウンロードカスタマーポータルへログインできたら、早速RHEL7のインストール用ISOイメージファイルをダウンロードしましょう。トップ画面のメニューから「ダウンロード」をクリックしますと、下の図のような「Product Downloads」の画面になります。

この時点では特にメールアドレスの制限は無いのですが、評価用サブスクリプションの申請の際に、フリーメールなどを使ったアカウントは拒否されてしまうので注意が必要です。会社のメールアドレスなどを使って登録して頂くのが確実です。

[図2]アカウント登録

[図3]ISOイメージのダウンロード画面

RHELのサブスクリプションを持っていない人は、30日の評価用サブスクリプションを申請しましょう。Red Hat Enterprise Linuxとあるリンクの右側に、「Start Evaluation」というリンクがありますので、ここをクリックして表示されるポップアップメニューから「Server (30-Day Evaluation)」を選択します。各種条件(エンタープライズ契約の内容と、評価用途以外へは使用しない事など)への同意が求められるので、内容を良く読んでチェックボックスへチェックを入れ、「Continue」ボタンを押し、"Thank you! Your request has been processed."の表示が出れば完了です。

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Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 3

(3)インストールメディアの準備ダウンロードしたISOファイルを使って、インストール用のDVDあるいはUSBメモリを作成する手順を紹介します。詳細についてはインストールガイドの2章「メディアの作成」を参考してください。

● DVDの作成ダウンロードしたISOファイルをDVDへ書き込むことで、ブート可能なインストールDVDとして利用可能になります。Linux系のOSでGNOMEデスクトップを使っている場合、ファイルマネージャ(Nautilus)の画面からDVDへの書き込みが可能です。ISOファイルを右クリックして、ポップアップメニューの「書き込む…」あるいは「Write to Disc…」を選択します。

無事サブスクリプションの入手が出来たら、先程の「Product Downloads」画面から「Red Hat Enterprise Linux」のリンクをクリックしましょう。数種類のファイルが表示されるが、その中から「RHEL 7.0 Binary DVD」をクリックして、目当てのファイル(rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso)をダウンロードします(約3.5GBあるので、少々時間がかかります)。

[図4]ISOイメージの書き込み

Windows 7以降およびWindows Server 2008 R2以降を利用している場合は、OSの標準機能で書き込み可能なはずです。それよりも古いWindowsを利用している場合には、別途ライティングソフトを入手する必要があります。

コマンドラインから実行するのであれば、wodimなどのライティングソフトを使う方法もあります。以下は、RHEL6でwodimをインストールした後に、DVD書き込みをした例です:

# yum install wodim# wodim -v -eject dev=/dev/cdrom rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso

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● USBの作成Linux系のOSを使っている場合、インストール用のUSBの作成は比較的容易です。ISOイメージファイルを、該当するUSBデバイスに対してddで直接書き込むだけです。ただし、この場合、USBメモリ内にあるデータが全て失われるので注意が必要です。具体的な手順は次のようになります。

以下は、USBメモリが/dev/sdbとして認識された場合の例です:

Windows系のOSを使っている場合はddコマンド等が使えないため、別途ブートUSB作成用のツールが必要となります。インストールガイドでは、Fedora Live USB Creatorの利用を推奨しているので、ここでもその使い方を簡単に紹介します。

ツールのダウンロードは、https://fedorahosted.org/liveusb-creatorから可能です。exe形式のインストーラがあるので、ダウンロードして実行します。本稿執筆時点では、liveusb-creator-3.12.0-setup.exeというファイルでした。USBメモリを接続した状態で、管理者権限でLive USB Creatorを起動します(アイコンを右クリックして「管理者として実行...」を選択)。まず「Browse」ボタンからISOイメージを選択し、次に「Target Device」のドロップダウンリストからUSBメモリを選択します。その後「Create Live USB」ボタンを押すとインストール用USBメディアが作成されます。以下は、USBメモリがD:ドライブとして認識されている場合の処理完了時の画面イメージとなります:

処理完了後は、システムの通知エリアにある「ハードウェアの安全な取り出し」を指示した上で、USBメモリを取り出しましょう。

[図5]Fedora Live USB Creator実行画面

- USBメモリをPCへ接続します- dmesgコマンド等で、USBメモリに該当しますデバイスを確認します- USBメモリがマウントされていたらumountします- ddコマンドでUSBメモリへISOイメージを書き込みます

# mount | grep /dev/sdb# umount /dev/sdb# dd if=rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso of=/dev/sdb bs=256k

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(4)インストーラの起動準備したDVDまたはUSBメモリをセットしてシステムを起動しますと、自動的にインストーラが起動されるはずです。システムによっては、ブートデバイスの優先順位変更や、ブートデバイス選択メニューの利用が必要になるかもしれないので注意が必要です。

Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 5

[図6]ブートメニュー画面

インストールメディアからブートすると、まずは上記のようなGRUBの起動メニューが表示されます。インストールを行うには、一番上の「Install Red Hat Enterprise Linux 7.0」を選択してリターンキーを押します。メディアチェックを行いたい場合には、2番目の「Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0」を選びます。

インストーラが起動したら、まずは表示言語を選択します。

[図7]インストール時の言語選択

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ここまで、従来のRHELとほぼ同様ですが、その後、以下の画面が表示されます。

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[図8]インストールの概要画面

これまでのRHELインストーラは、「言語選択」→「キーボード選択」→「ホスト名/ネットワーク設定」→…という風に、設定項目を順に尋ねるウィザード方式でした。RHEL7では、これがダッシュボード形式に改められています。設定内容を俯瞰でき、最低限設定が必要な項目のみが「!」で強調表示されるようになっているので、導入時に、自分の好きな順番で、必要なものだけ設定すればよいのです。各設定項目について、注意点などをまとめておきます。各項目の設定画面は、左上の「完了」ボタンを押すことで、元のダッシュボード画面に戻る、あるいは更なる詳細設定画面へ移動するようになっています。画面下部に「OK」や「キャンセル」ボタンはありません。

●日付と時刻世界地図上で、該当します都市をクリックします。RHEL6とは違い、インストーラ上で現在時刻の設定やNTPサーバの指定が可能になっている。

●キーボードインストーラ起動時に日本語表示を選択した場合、キーボードも日本語キーボードに設定されます。英語キーボードなどを使っている人は、設定を変更しておきましょう。複数のキーボードレイアウトを追加しますことが可能ですが、一番上のレイアウトが有効になります(リストボックス下部の上下矢印ボタンで調整)。

[図9]キーボード設定

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● インストール先インストール先となるディスクの選択、およびレイアウトの設定を行う。ここはRHEL6以前と比べて変更されている点が多いので、後ほど詳しく説明します。

● ネットワークとホスト名ここではNICの設定を行います。大多数の方がネットワークを常時使用すると思いますが、DVDやUSBからインストーラを起動した際のデフォルト状態では、ネットワークは未設定となっています。忘れずに設定しましょう。設定方法自体は特に難しくは無いが、「設定」ボタンを押すと出てくるNIC編集画面の「全般」タブにある「この接続が利用可能になったときは自動的に接続します」のチェックを忘れないようにしましょう(図11)。

[図10]ソフトウェアの選択

●言語サポート複数の言語を利用したい場合には、ここで必要な言語にチェックマークを入れておく。

●インストールソースDVD/USBからのインストールであれば、デフォルトの「ローカルメディア」のまま変更します必要は無い。

●ソフトウェアの選択インストールしますソフトウェア群の選択は、まず「ベース環境」を選び、オプションとして「アドオン」を追加します、という形式です。デフォルトでは、ベース環境が「最小限のインストール」になっており、インストールされるパッケージも限定的なものになっている。もちろん、インストール後にパッケージを追加インストールしますことは可能だが、あらかじめ使う目的にあわせて、ベース環境とアドオンを選択しておくのが良いだろう。GUIの環境を使いたい場合は、ベース環境として「サーバー(GUI使用)」を選ぶようにします(下図)。

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[図11]ネットワーク設定

[図12]インストール進行中のユーザー設定画面

(5)インストール開始設定を終えたら「インストールの開始」ボタンを押します。インストールが開始され…と思ったら、また同じようなダッシュボード画面になり、管理者パスワード入力と、一般ユーザ作成を行うダッシュボード画面となります。このとき、インストール時間が短縮されるよう、並行してインストール処理が進んでいるはずです。

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[図15]インストール完了

[図13]rootパスワード設定

以下は、rootパスワードの設定と、一般ユーザーの作成画面です。最低限rootパスワードだけ設定すればインストールは完了できますが、後の初期セットアップ画面でユーザー作成を求められるのでここで作成しましょう。

rootパスワード設定とユーザ作成を終えてインストール処理が終わると「再起動」のボタンが表示されます。このボタンを押して、インストーラの操作は完了となります。

[図14]ユーザ作成

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Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 10Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide

RHELを利用するには、ソフトウェア利用許諾契約(EULA)への同意が必要となります。内容を良く読み、「ライセンス契約に同意します」にチェックを入れて「完了」ボタンを押します。元の画面に戻ったら、「設定の完了」ボタンを押して次の設定へ進みます。

● Kdump設定

(6)初期セットアップ(Firstboot)インストーラの「ソフトウェアの選択」において、「サーバー(GUI使用)」を選択してインストールした場合、一回目のシステム起動時に初期セットアップ画面(Firstboot)が表示されます。ここでは「ライセンス情報」→「Kdump設定」→「サブスクリプションの登録」と、順番に設定を行う必要があります。

● ライセンス情報

[図16]EULAへの同意

kdumpは、カーネルのクラッシュダンプを確実に取得するための仕組です。よくわからない場合は、デフォルトのまま「進む」ボタンを押して構いません。

[図17]Kdump設定

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● サブスクリプションの登録RHELを効率よく運用するには、システムをカスタマーポータルへ登録することをお勧めします。バグフィクスや脆弱性対応されたパッケージをオンラインでアップデートすることが可能になり、システムを最新かつ安全な状態に保つことが容易になります。

サブスクリプション管理については、後で詳しく紹介する予定なので、ここでは「いいえ、あとで登録します」を選択しても構いません。今すぐ登録したい場合には「はい、今すぐ登録します」を選択して「終了」ボタンを押します。登録に際してはカスタマーポータルのログインID(Red Hatアカウント)と、パスワードが必要となります。

[図18]サブスクリプション管理の登録

[図19]デバイスの選択

インストール先の設定2

ここでは、先程は紹介できなかったインストール先ディスクの選択、およびレイアウト指定について補足します。

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(1)インストール先ディスクの選択ローカル接続のディスク一覧から、OSをインストールしますものを選択します(選択したディスクにはチェックマークが付きます)。FC-SANやiSCSI、FCoE、RAIDデバイスなどの特殊なディスクは、「ディスクの追加」ボタンを押して検索することができます。

(2)レイアウト設定選択したディスクを、どのようなレイアウトにして利用しますかを指定します。レイアウトの指定は、大きく分けて3つの方法があります。

● 自動構成「自動構成のパーティション構成」を選択します。標準パーティションとして500MBの/bootが作られ、残った部分をLVMにて利用します。搭載メモリに応じたswapボリュームが作られ、残りはroot(/)ボリュームとなる。rootボリュームに50GBを確保してもまだ空きがある場合は、残りが/homeボリュームとして利用されます。

● 自動レイアウト「パーティション構成を行いたい」を指定して「完了」ボタンを押すと、手動パーティション設定画面になります。ここで「パーティション設定スキーム」を選び「ここをクリックして自動的に作成します」をクリックすると、レイアウトが自動作成されます。レイアウト内容は、以下の表のようになります。

+===========================+===============================================

パーティション設定スキーム | 自動レイアウトの概略

+===========================+===============================================

LVM | 「自動構成」の場合と同じ

----------------------------------------------------------------------------

標準パーティション | /boot(500MB)、swapおよびroot(最大50GB)が、

| 基本パーティションとなる。

| 残った領域があれば、拡張パーティションとして

| /homeが作られる。

----------------------------------------------------------------------------

LVMシンプロビジョニング | /boot(500MB)が標準パーティションとして作成され、

| 残りの領域はLVMで利用される。

| 通常の論理ボリュームとしてswapが作られ、残りは

| シンプールとなる。このプール上にrootと/home

| がシンボリュームとして作られる。

| HDDが50GB以下の場合、/homeは作成されない。

----------------------------------------------------------------------------

btrfs | /boot(500MB)とswapが、標準パーティションとして

| 作成される。

| 残りの領域は1つのbtrfsとしてフォーマットされ、

| rootとhomeの2つのサブボリュームが作成される。

| (df等で見ると、/ と /homeが同容量として見える)

----------------------------------------------------------------------------

btrfsやswapの領域を除き、基本的に全ての領域はxfsにてフォーマットされます。

[表1]パーティション設定スキーム別の自動レイアウト内容

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デフォルトのファイルシステムがxfsな点、OS格納領域にLVMシンプロビジョニングとbtrfsを選べる点が、RHEL7の目新しい所です。LVMシンプロビジョニングはRHEL6.4から導入された機能で、プールされたストレージ領域(シンプール)上に、仮想化されたボリューム(シンボリューム)を作成できます。シンボリュームは、データが書かれた時点でシンプール上の領域を消費します。これにより、実容量以上のボリューム作成が可能、複数世代のスナップショットを作成しても大幅な速度低下が無い、などの利点を得られます。btrfsは、LVM的なデバイスプールの管理機能を併せ持った、高機能なCOW形式のファイルシステムです。LVMシンプロビジョニング同様、ストレージを有効に活用できます。残念ながらRHEL7.0リリース時点では、btfsはテクノロジープレビューで正式サポートの対象外となります。

[図20]手動パーティション設定

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● 手動でのレイアウト設定個々のパーティションを自分の好みに合わせて設定します。自動レイアウトでひな型を作り、手動で調整することも可能です。

その他のインストール方法3

RHEL7では他にも色々なインストール方法を用意しています。ここで簡単ではありますが、幾つか簡単に紹介しておきます。詳細については、適宜インストールガイドの該当箇所を参照してください。

(1)テキストモードグラフィックが利用できない場合、あるいはカーネルオプションにinst.textを指定すると、テキストモードのインストーラを利用することができます。設定手順については、グラフィカルモードとほぼ同じです。画面をクリックするかわりに、メニュー番号を入力します形式になっています。グラフィカルモードに比べると、一部制約があります(LVMシンプロビジョニングや手動でのレイアウト設定が出来ない、など)。詳細はインストールガイドの「6.1.2.テキストモードでのインストール」を参照してください。

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(3)KickstartインストールRHELでは、インストーラの動作を自動化する仕組が用意されています。これをKickstartといい、インストール設定を記述したテキストファイルを「Kickstartファイル」と呼びます。Kickstartの利用方法についての詳細は、インストールガイドの23章「キックスタートを使ったインストール」を参照してください。先に紹介したように、インタラクティブにインストーラを操作してインストールを行うと、そこで設定した各パラメータが/root/anaconda-ks.cfgとして保存されています。このファイルをKickstartファイルのひな型にすることができます。

(2)ネットワークインストール従来のRHELと同様に、ネットワークを活用したインストールも可能です。インストールするパッケージ群を、ftp/http/nfsなどのネットワーク経由で提供できることはもちろん、インストーラの起動自体もネットワークブート(PXEブート)で行えるようになっています。基本的な仕組や手順はRHEL6と変わっていませんが、一部オプションや書式が変更されていますので、インストールガイドの20章「起動オプション」、21章「ネットワークからのインストールの準備」を参照してください。

(4)イメージファイルへのインストールRHEL7上では、仮想的なディスクイメージに対してRHEL7インストーラ(anaconda)を実行できるようになっています。この機能と、ライブイメージを作成するツール(liveimage-creator)とを組み合わせて、以下のようなカスタムブートイメージを作成できます:

実際の手順については、インストールガイドの24章「ディスクイメージへのインストール」を参照してください。

(5)公式RHEL7イメージ昨今、RHELのインストールといえば仮想マシン…という機会が多いのではないでしょうか。RHEL OpenStack Platformなどの仮想化インフラ上で、より素早く安全なRHELを利用したいという要望に応えるべく、レッドハットでは、仮想マシンとしてすぐに実行可能なRHEL7イメージを提供している。Copy-on-Writeフォーマットですqcow2形式のファイルとなっているので、そのままKVM仮想マシンとして実行することが可能であり、サイズも比較的コンパクト(400MB程度)です。また、RHEL7で正式サポートされたLinuxコンテナを活用するために、RHEL7のDockerイメージも配布しています。いずれもカスタマーポータルからダウンロード可能です。

(6)アップグレードRHEL7では、「アップグレード」を、正式にサポートしています(In-Place Upgrade)。手順の詳細はインストールガイドではなく、知識ベースのソリューションとして解説されているので参照してください。ここでは概要を紹介します。

●ブータブルISOイメージ(DVD/USB)●ブータブルHDDイメージ(アプライアンス向け)●AMI (Amazonマシンイメージ)

https://access.redhat.com/solutions/637583 ~ How do I upgrade from Red Hat Enterprise Linux 6 to Red Hat Enterprise Linux 7 ?

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サブスクリプション管理4

最後に、RHELのサブスクリプションおよびリポジトリ管理について解説します。レッドハットでは、チャンネルあるいはリポジトリというパッケージの置き場を通じて、パッケージを配布するようになっています。各システムは、「チャンネルを購読」あるいは「リポジトリを有効」という操作によって、各種のパッケージをダウンロードできます。サブスクリプションを購入したユーザが、適正なパッケージを入手出来るようにするため、サブスクリプション管理が必要となります。

さて現在、RHELのサブスクリプション管理方法は、2種類に分けられます。

前者は、アカウントが保有しているサブスクリプションの種類と数に応じて、購読可能なチャンネルの種類と、登録できるRHELシステム数が制限される形式です。管理されているのは登録されているシステムの「数」が主であり、各サブスクリプションが、どのシステムに紐付いているかは、あまり考慮されていいません。後者は、RHEL5.7およびRHEL6.1以降で導入された新しい管理方法です。RHEL5と6ではどちらかを選択できますが、RHEL7はこの証明書ベースの管理が必須となります(RHELシステムのライフサイクル管理ソリューションであるRed Hat Satellite Serverを社内で構築している場合のみ、RHNクラシック管理の仕組を使う)。証明書ベースの管理は、各RHELシステムと、所有しますサブスクリプションが明確に紐付くのが特長です。そのため、システムごとのサブスクリプション種別やアドオンの有無、有効期間などが明確になり、管理性が向上します。将来的にはこの管理方式に統一される予定ですので、この機会にRHEL5や6のシステムも含めて、切り替えを検討ください。

サブスクリプション・サービスを活用してRHELシステムを運用するには、次の3つの処理が必要となります。

● サポート要件あらゆるシステムのアップグレードを正式サポートすることは技術的に困難なため、幾つかの条件が設定されています:

● 手順概略おおまかな手順は次のようになる:

●RHNクラシック管理(rhn_registerコマンドによる登録)● 証明書ベースの管理(subscription-managerによる登録)

- x86_64アーキテクチャのみ - RHEL6.5以降のServer製品のみ - 対象パッケージは以下のパッケージグループに属していること: Minimal, Base, Web Server, DHCP Server, File Server, Print Server

1. 各種準備作業(バックアップおよび対象RHEL6サーバを最新状態にするなど)2. アップグレード診断ツール(preupg)のインストールと実行3. 診断結果の確認(result.html)4. アップグレードツール(redhat-upgrade-tool)のインストールと実行

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ターミナルから行う場合は、以下のコマンドを実行します。こちらも、カスタマーポータルのアカウントとパスワード入力が必要となります。

登録したシステムは、カスタマーポータルのメニューから「サブスクリプション」→「サブスクリプション管理」→「ユニット」を辿った「Units」のページに表示されます。

[図22]サブスクリプションの添付

(1)システムの登録RHELをインストールしたシステムを、カスタマーポータルへ「ユニット」として登録します。GUIのサブスクリプションマネージャー(subscription-manager-gui)あるいは、ターミナルからsubscription-managerコマンドを使って行います。GUIの場合には「登録」ボタンを押す。proxyの設定画面を経て、カスタマーポータルのアカウントおよびパスワードを入力します。

Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 16

[図21]サブスクリプションマネージャ(GUI)

(2)サブスクリプションのアタッチ(添付)

# subscription-manager register

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GUIの場合は、登録に引き続いて「サブスクリプションの添付」画面が表示されます。自動選択されたサブスクリプションが表示されるので「割り当て」ボタンを押します。別のサブスクリプションを割り当てたい場合は一旦「キャンセル」し、「全ての利用可能なサブスクリプション」タブ画面で目的のサブスクリプションを選択し「割り当て」ボタンを押します。ターミナルから行う場合は、利用可能なサブスクリプションの一覧を表示して、目的のサブスクリプションのID(プールID)を確認します。次に、そのプールIDを指定してアタッチします。

Red Hat Enterprise Linux 7 Download & Installation guide 17

ターミナルから行う場合は、まず利用可能なリポジトリの一覧を表示して、目的のリポジトリのID(リポジトリID)を確認します。次に、そのリポジトリIDを指定して、有効・無効を指示します。

これで、パッケージのアップデートやインストールが、yumコマンドだけで行えるようになるはずです。定期的にyum updateコマンドを実行して、システムが最新で脆弱性の無い状態を保てるように配慮してください。

[図23]リポジトリの管理

(3)リポジトリの設定RHELのパッケージは、複数のリポジトリと呼ぶパッケージ置場からダウンロードします(従来のチャンネルに相当)。サブスクリプションの種類に応じて、利用できるリポジトリの集合が決まっています。システム管理者は、使いたいパッケージに応じて、各リポジトリの有効・無効を切り替えられるようになっています。例としては、Dockerを利用するために「Extrasリポジトリ」と「Optionalリポジトリ」を有効にします、などがあります。GUIの場合は、メニューから「システム」→「リポジトリ」を選択します。表示されるリポジトリ一覧で、有効にしますものをチェックします。

# subscription-manager list --available# subscription-manager attach --pool=<プールID>

# subscription-manager repos --list# subscription-manager reps --enable=<リポジトリID> --disable=<リポジトリID>

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本RHEL7インストールガイドは以上ですが、正式な製品を購入するときは、レッドハットのパートナー、またはセールスオペレーションセンターにご連絡ください。

またレッドハットによるRed Hat Enterprise Linux 7 の運用・管理の研修コースと認定資格も用意しています。こちらも、ご興味ある場合は上記のセールスオペレーションセンターにご連絡ください。

「Red Hatシステム管理 II(RH135)」Linux管理者となるために必要な、ファイルシステムの設定、セキュリティの設定、トラブルシューティングなど、エンタープライズでのLinux管理を学習します。認定資格の試験(EX200)も含まれます。

セールスオペレーションセンター(SOC) TEL:0120-266-086 受付時間 10:00~17:00 E-mail [email protected]

コース概要(例)