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終 了 報 告 書
SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
課題名「エネルギーキャリア」
研究開発テーマ名「有機ハイドライドを用いた水素供給技術の開発」
(有機ハイドライド水素ステーション向け脱水素システムの技術開発)
研究題目「有機ハイドライド向け実用型炭素膜の開発と
膜分離システム設計」
研究開発期間:平成26年9月1日~平成30年3月31日 研究担当者: 吉宗 美紀 所属研究機関:(国研)産業技術総合研究所
i
目次
1.本研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.研究開発目標とマイルストーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.研究開発実施内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3-1.実用型炭素膜の開発
3-2.膜分離システム設計
3-3.まとめ
3-4.今後の課題
4.外部発表実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
5.特許出願実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
6.参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
図表一覧
図1.炭素膜の製造工程
図2.中空糸炭素膜の新規焼成方法
図3.CVDによる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図4.CVD炭素膜を用いた水素/トルエン混合ガス分離試験結果(90℃測定)
図5.焼成時間の異なる CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
図6.焼成温度の異なる CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
図7.CVD源の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図8.供給プロピレン濃度の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図9.CVD条件の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図10.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(110℃測定)
図11.種々の条件で作製した CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
図12.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図13.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス長期試験結果(100℃測定)
図14.作製した 3種の炭素膜ミニモジュールのガス透過特性(90℃測定)
図15.水素/トルエン混合ガス分離試験における透過側トルエン濃度の経時変化(100℃測定)
図16.M-1モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図17.M-2モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図18.M-3モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図19.架橋剤添加 CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
図20.作製した架橋剤添加 CVD炭素膜ミニモジュールのガス透過特性(90℃測定)
図21.M-4モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図22.M-5モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
ii
図23.検討した膜分離システム-その1
図24.検討した膜分離システム-その2
図25.マルチモジュールシステム試計算のベースにしたシステムNo. I-2
図26.モジュール 20本を 4列+1列につないだマルチモジュールシステム
図27.中空糸膜の微小長さ dz空間での物質移動
図28.水素精製量 50Nm3/hのマルチモジュール膜分離システム
図29.300Nm3/h対応の非等温膜システム第1案(24M-(4)-6)
図30.300Nm3/h対応の非等温膜システム第2案(24M-(4)-4+2)
図31.300Nm3/h対応の非等温膜システム第3案(24M-(4)-3+3)
図32.300Nm3/h対応の非等温膜システム第4案(24M(4)-3+2+1)
表1.研究開発のタイムスケジュール
表2.研究開発のマイルストーン
表3.検討した膜分離システムのまとめ
表4.圧力損失の影響による H2 Flux効率の減少
表5.膜システム形態の違いによる回収水素量の変化
1
1.本研究の目的
研究チームでは、『メチルシクロヘキサン脱水素触媒の高性能化・高耐久化』、『脱水素システムの高
効率化・小型化』、『低コスト水素精製技術の開発』、『有機ハイドライド型水素ステーションの普及に向
けた安全性検証・基準整備』を実施する。産業技術総合研究所(以下、産総研)では、『低コスト水素
精製技術の開発』に関連して、「実用型炭素膜の開発」および「膜分離システム設計」を担当する。
『低コスト水素精製技術の開発』では、従来の PSA 法と比較して、省エネルギーかつ高効率で高純
度水素の精製が可能な膜分離法を採用し、次世代型水素精製技術として炭素膜を用いた水素精製技術の
開発を行う。産総研はすでに、膜の基本分離特性が燃料電池自動車向けの規格を満たすに十分な高選択
性炭素膜の開発に成功しているが、実用化に向けては、高い選択性を有する膜を連続的かつ安定的に量
産できる技術の確立が不可欠である。また、脱水素システムでの使用を想定し、トルエン共存下で膜性
能の評価が可能な評価技術を確立してその長期安定性を検証しなければならない。
そこで、産総研は「実用型炭素膜の開発」において、まず①高性能実用型炭素膜の開発として、高性
能かつ安定性に優れた炭素膜を量産化が可能な製造方法で製造する手法の開発を実施する。炭素膜の前
駆体には実績のあるスルホン化ポリフェニレンオキシドを用いる。そして、ラボスケール(~0.01Nm3/h)
の炭素膜ミニモジュールを作製してトルエン共存下での分離性能の評価を行い、システムで要求される
水素純度や長期安定性を達成するために必要な炭素膜の基本特性を明らかにする。特に、膜の長期安定
性は、膜コストやシステムコストへの影響が大きいことから、再生処理も含めた検討を実施する。
また、②NOK膜製造支援として、産総研での高性能実用型炭素膜の開発結果をもとに、NOK株式会
社(以下、NOK)が製造する量産膜の基本特性評価および製造条件の最適化を検討して、NOKで実施
する「中空糸炭素膜の量産化」開発に反映させる。また、産総研で実施したラボスケール炭素膜モジュ
ールによる評価結果を、NOK で実施する「モジュール開発」に反映させて、高性能な炭素膜モジュー
ル(0.1Nm3/h~)の構築に貢献する。
また、膜をモジュール化すると、膜単体に比べて水素透過性能が低下する傾向がある。これは、膜を
モジュール構造に組み込むことでモジュール内部の流体の挙動、濃度組成、温度・圧力勾配等が膜単体
の場合と異なるためであり、このようなモジュール化による水素透過効率の低下を抑えることができる
ようモジュール構造を最適化する必要がある。そこで、産総研は、②NOK 膜製造支援として、膜の基
本性能がモジュール性能に十分に反映するモジュール構造を提案し、NOK で実施する「モジュール開
発」を支援する。
さらに、実用規模の水素精製器では、複数のモジュールを組み合わせた膜分離システムの構築が必要
となるが、トータルでの性能を維持しつつ、できるだけ膜の使用量を抑えて小型化を図るために、モジ
ュールの組み合わせ方や条件設定がきわめて重要となる。したがって、モジュール単体の構造およびモ
ジュール構成の最適化に向けては、一定規模の膜分離システムを用いて反応器側と連動させた性能検証
により、システム設計の最適化とスケールアップを進めなければならない。ここには高度な膜システム
エンジニアリング技術が求められる。そこで、産総研は「膜分離システム設計」において、要求仕様を
達成する効率的な水素精製が可能となる膜分離システムを構築するために、膜の基本性能およびモジュ
ール単体の性能を基に、膜モジュール配列や操作条件を変数としてシステム設計シミュレーションを行
い、所要動力および必要膜面積を指標とした最適化の評価を行う。この結果を、JXTGエネルギー株式
会社(以下、JXTGエネルギー)で実施する膜分離システム製作・評価に反映させると共に、評価実験
2
結果をフィードバックして設計シミュレーションの精度を上げ、より正確な膜分離システムの設計計算
を実施し、最終的に 300Nm3/hの膜分離システムを設計して、チームの研究開発に貢献する。
2.研究開発目標とマイルストーン
『低コスト水素精製技術の開発』に関して、以下の計画に基づいて課題解決に取り組み、上記の開
発目標を達成する。本研究開発の各研究開発項目の年次展開計画(タイムスケジュール)および目標(マ
イルストーン)は下記の表に示す通りである。
表1.研究開発のタイムスケジュール
表2.研究開発のマイルストーン
実用型炭素膜の開発 膜分離システム設計
初年度 膜性能が精製水素中炭化水素濃度2ppm以
下(C1換算)
可能性のある膜分離システム5形態以上の
概念設計
2年度 水素透過速度が75GPU以上かつ精製水素中
炭化水素濃度2ppm以下(C1換算)
3Nm3/h膜分離システムの設計計算完了
3年度 90%回収、100時間の耐久試験後、水素透過
速度が75GPU以上かつ精製水素中炭化水素
濃度2ppm以下(C1換算)
50Nm3/h膜分離システムの設計計算完了
4年度 90%回収、1000時間の耐久試験後、水素透
過速度が75GPU以上かつ精製水素中炭化水
素濃度2ppm以下(C1換算)
300Nm3/h大型膜分離システムの設計計算
完 了 、 仕 様 確 定 ( 所 要 動 力 原 単 位
0.15kWh/Nm3(H2)以下)
※ 1 (GPU) =1×10-6 (cm3(STP) cm-2 s-1 cmHg-1) = 3.35×10-10 (mol m-2 s-1 Pa-1)
「実用型炭素膜の開発」①高性能実用型炭素膜の開発において、初年度は、量産化が可能な製造方
法で炭素膜を製造する手法を開発し、その製造条件の最適化を実施する。特に、量産においてネックと
なる可能性のある炭化処理について、多本数の中空糸膜を同時に炭化できる技術を確立する。2 年度に
研究開発項目初年度
(H26.9~H27.3)2年度
(H27.4~H28.3)3年度
(H28.4~H29.3)4年度
(H29.4~H30.3)
1.実用型炭素膜の開発①高性能実用型炭素膜の開発②NOK膜製造支援
2.膜分離システム設計
実用型炭素膜の
製造条件最適化
実用型炭素膜の長期安定性向上
3Nm3/h膜分離システム設計
実用型炭素膜の
性能向上
(1.5) (1.5) (1.5)
(0.5)
(1.0)
(1.0)
量産膜の基本特性評価と製造条件最適化支援
(0.5)
(1.0)
膜分離システム基礎設計
(1.0)
50Nm3/h膜分離システム設計
300Nm3/h大型膜分離システム設計
(1.0)(1.0)
(1.0)(1.0)
(0.5)
(1.5)
(0.5)
量産膜の長期安定
性向上
3
は、量産化が可能な手法を用いて優れた分離性能を有する炭素膜の開発とトルエン共存下での膜性能の
評価を行い、トルエン濃度等の供給条件が膜性能に与える影響を明らかにして、トルエン共存化で目標
性能を満たす高性能炭素膜を開発する。3 年度~4 年度には、トルエン共存下で長期安定性の評価を行
い、膜性能の低下原因の検討や再生方法の検討を実施する。JXTGエネルギーで実施するモジュール評
価結果を踏まえて、高選択性かつ長期安定性に優れた炭素膜の開発を行い、「膜分離システム設計」に
必要なエンジニアリングデータを取得するとともに、長期的に目標性能を満たす炭素膜を開発する。
②NOK膜製造支援では、初年度末までにシミュレーションを主体としてモジュール化による性能低
減因子の把握と影響度の解析を行い、それを基に高性能なモジュール構造の概念設計を行う。また、初
年度~3 年度にかけて、NOK で製造する量産膜の基礎透過特性の評価および製造条件の最適化支援を
実施する。そして、4 年度には、産総研での検討結果をもとに、NOK で製造する量産膜の長期安定性
の向上支援を実施する。
「膜分離システム設計」においては、初年度~2年度にかけてフィジビリティスタディの一環として、
種々の条件下における多様な形態の膜分離システムを概念設計して目標達成の難易を評価すると同時
に、それを基に 3Nm3/h 膜分離システムの設計計算を行う。3 年度には 50Nm3/h 膜分離システムの設
計計算を行うと同時に、300Nm3/h 大型膜分離システムの設計計算に着手する。そして、4 年度には
50Nm3/h 膜分離システムの運転結果の評価・解析を行い、その結果を反映させて 300Nm3/h 大型膜分
離システムの設計計算を完了する。
4
3.研究実施内容
3-1.実用型炭素膜の開発
実用型炭素膜の開発において、初年度は、高性能かつ安定性に優れ
た炭素膜を量産化が可能な製造方法で製造する手法の開発を目指し
て検討を実施した。図1に炭素膜の製造工程の概要を示す。中空糸膜
の紡糸は、実用化されている高分子膜の手法を用いているため、量産
において最もネックとなるのは炭化処理工程である。そこで、炭化処
理工程について、多本数の中空糸膜を同時に炭化する手法の検討を行
った。炭化雰囲気は、多くの炭素材料の製造において用いられている
窒素雰囲気とした。従来ラボスケールにおける検討では、膜の分離性
能等を確保するために、図2左に示すように不融化処理膜を 1本ずつ
細い石英管に入れて焼成を行っていた。これを多本数の中空糸膜を同
時に炭化する手法に変更すると、従来法で作製した炭素膜と比べて、水素選択性が低下したり、不融化
条件によっては膜同士がくっついてしまうなどの問題が見られた。これは前駆体ポリマーの熱分解時に
発生する分解ガス(メタン、一酸化炭素等)が問題の原因の一つと考えられたため、不融化条件を最適
化した結果、図2中央に示すように数十本スケールで同時炭化が可能となった。
図2.中空糸炭素膜の新規焼成方法
一方、これまでの検討で、マイルストーンである「膜性能が精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1
換算)」を達成するには、非常に高い水素選択性が必要であることが分かっている。もっとも効率の高い
1段分離によってマイルストーンを達成するためには、水素/トルエン選択性 30万以上が必要となる。
多本数焼成において、目標とする水素選択性を達成することは困難であったことから、膜焼成時にプロ
ピレンを供給して膜表面に炭素析出(CVD)させることを検討した。その結果、水素透過速度は低下す
るものの非常に高い水素選択性が得られることを見出した(特許出願済)。CVD温度について検討した
結果、650℃以上で CVDの効果が顕著となることから、焼成条件は 650℃、1時間とし、CVD時間は 5
分間とした。図3に CVDによる炭素膜のガス透過特性の変化を示す。CVDをしない場合、水素透過速
度は高いものの、水素/メタン選択性は 130であったが、CVDを行うと水素透過速度は減少するものの、
水素/メタン選択性は 1625まで向上した。
このプロピレン CVDを施した炭素膜について、ミニモジュール(膜面積約 50cm2)を作製し、90℃
における水素(あるいはヘリウム)/トルエン混合ガス分離試験の連続運転を実施した。その結果を図4
に示す。安定な水素透過速度を得ることができ、かつ透過側水素中にトルエンは検出されなかった(検
出限界 10ppb)ことから、初年度のマイルストーンを達成することができた。
<従来の焼成方法> <新規焼成方法>
1本ずつ石英管に入れて焼成(性能確保のため)
膜を束のまま焼成(ただし性能は低下)
炭素CVDを追加
N2 N2+Pr
膜の大量焼成と高性能化を同時に達成
図1.炭素膜の製造工程
中空糸の紡糸
乾燥
不融化処理
評価
評価モジュール化
フィードバック
炭化処理
5
図3.CVDによる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図4.CVD炭素膜を用いた水素/トルエン混合ガス分離試験結果(90℃測定)
次に、量産化を踏まえて焼成時間を短縮化するために、焼成温度を 650℃、CVD時間を 5分に固定
し、焼成時間を 1時間から 10分まで変化させた。また、焼成速度も従来の 10℃/minから 20℃/minと
する試験も実施した。その結果を図5に示す。焼成時間を短くするほど、焼成速度を大きくするほど、
水素選択性は低下する傾向が見られた。
そこで、焼成温度を 700℃に変更して、焼成時間の短縮化を試みた。これまで、650℃、1時間焼成(焼
成速度 10℃/min)、CVD5分としていた条件を、700℃、20分焼成(焼成速度 20℃/min)、CVD5分と
しても同等の透過特性を得ることができ、焼成時間の大幅な短縮化が可能となった。
1.E-08
1.E-07
1.E-06
1.E-05
1.E-04
1.E-03
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
Pe
rme
an
ce
(cm
3(S
TP
)/cm
2s c
mH
g)
Molecular diameter (nm)
650℃, CVDなし
650℃, CVDあり
0.E+00
2.E-05
4.E-05
6.E-05
8.E-05
0 100 200 300 400 500 600 700
Pe
rme
an
ce (
cm
3(S
TP
)/cm
2s c
mH
g)
Time (h)
H2+TOL
He+TOL
Pure H2
TOL
H2
He
To
lue
ne c
on
cen
tra
tion
(p
pm
)
6
図5.焼成時間の異なる CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
図6.焼成温度の異なる CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
続いて、NOK膜製造支援として、産総研での検討において効果が見られた多本数の中空糸膜焼成時
にプロピレン CVDを施す方法を、NOKが製造する量産膜の製造工程に適用する検討を行い、ほぼ同等
の分離性能が得られることを確認した。その後、産総研とNOK㈱で相互に協力して、焼成本数や CVD
条件の最適化を行い、NOKで製造した炭素膜の小型モジュールにおいて 45000以上と非常に高い水素
/メタン選択性を達成することができた。さらに、JXTGエネルギーにおいて、90℃における水素/トル
エン混合ガス分離試験の連続運転を実施した結果、長時間安定な水素透過速度を得ることができ、かつ
透過側水素中にトルエンは検出されないことが確認された。
1.E-08
1.E-07
1.E-06
1.E-05
1.E-04
1.E-03
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
Pe
rme
an
ce
(cm
3(S
TP
)/cm
2s c
mH
g)
Molecular diameter (nm)
通常条件
20℃/min
焼成30分
焼成10分
CVDなし
1.E-08
1.E-07
1.E-06
1.E-05
1.E-04
1.E-03
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
Pe
rme
an
ce
(cm
3(S
TP
)/cm
2s c
mH
g)
Molecular diameter (nm)
650℃, CVDなし
650℃, CVDあり
700℃, CVDあり
7
2年度は、さらなる性能向上のために、プロピレン以外の CVD源について検討を行った。CVD源に
は、工業用プロピレン(プロピレン濃度約 75%)、エチレン、n-ブタン、イソブタン、アセトニトリル、
シクロヘキサンを用いた。焼成条件は 650℃、1 時間とし、CVD 時間は 5 分間とした。ガス状の CVD
源については、濃度 100%で供給した。常温で液体のアセトニトリル、シクロヘキサンについては、40℃
において窒素ガスでバブリングして供給し、CVD 時間は 1 時間とした。このときの供給濃度は、アセ
トニトリルが 14%、シクロヘキサンが 16%である。図7に CVD源の異なる炭素膜のガス透過特性の変
化を示す。CVD なしの炭素膜と比較すると、CVD 炭素膜はいずれの CVD 源でも炭素の析出によるも
のと思われる水素透過速度の低下が観測された。しかし、水素選択性には CVD源によって差が見られ、
高純度プロピレンと工業用プロピレンでは水素/メタン選択性が 1000を超える高い選択性が得られたが、
ブタン系では CVD なし炭素膜よりも低い選択性となった。これはオレフィン系 CVD 源のほうが熱分
解温度が低いためで、必ずしもそれぞれの CVD 源に最適な条件で CVD 処理が行われていないことが
原因と考えられるが、炭素膜の性能、ガスの価格や CVD の操作性等を総合的に判断すると、プロピレ
ンあるいは工業用プロピレンが最も CVD源に適していると考えられる。
図7.CVD源の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
次に、プロピレンガスの供給濃度について検討を行った。従来条件(焼成温度 650℃、昇温速度 10℃
/min、焼成時間 1 時間)において、供給濃度を 100%から供給濃度 10~20%にした場合、CVD なし炭
素膜とほぼ同等の結果となった。これは 650℃ではプロピレンの熱分解量が少ないためと考えられる。
初年度の検討において、焼成温度 700℃、昇温速度 20℃/min、焼成時間 20分としても、従来条件と同
等の性能が得られていることから、この焼成条件でプロピレン濃度の影響について評価した。図8に作
製した炭素膜のガス透過特性の変化を示す。供給濃度 100%の CVD炭素膜に比べて、CVD時間を長く
する必要があったが、供給濃度 5%の CVD 炭素膜においては、2 年度のマイルストーンである 75GPU
を上回る 81GPUの水素透過速度と、水素/メタン選択性 7400という非常に高い選択性を得ることがで
CVDなし 高純度プ
ロピレン
工業用プ
ロピレン
エチレン n-ブタン i-ブタン アセトニ
トリル
シクロヘ
キサン
Pe
rme
ance
(G
PU
)
H2
H2/CH4
CH4
103
101
100
10−2 100
105
103
102
H2/C
H4
se
lectivi
ty
102
10−1 101
104
8
きた。プロピレン濃度を低くすることにより、供給濃度 100%で作製した炭素膜よりも選択性を維持し
たまま水素透過速度を向上できるだけでなく、CVD に必要なプロピレン供給量も少なくできることか
ら、実用面でも有効な手法であると考えられる。
図8.供給プロピレン濃度の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
図9.CVD条件の異なる炭素膜のガス透過特性の変化(90℃測定)
さらに、プロピレン供給濃度を 10%に統一して CVD時間の影響について評価した。ここでは、図8
で使用した膜と比べて、より薄膜の前駆体中空糸膜を使用した。図9に作製した炭素膜のガス透過特性
CVDなし 100%, CVD5min 5%, CVD20min 10%, CVD20min
Pe
rme
ance
(G
PU
)
H2
H2/CH4
CH4
103
101
100
10−2
100
105
103
102 H2/C
H4
se
lectivi
ty
102
10−1
101
104
10−3
CVDなし 10%,CVD20min
10%,CVD11min
10%,CVD10min
10%(工業用),
CVD10min
Pe
rme
ance
(G
PU
)
H2
H2/CH4
CH4
103
101
100
10−2
100
105
103
102 H2/C
H4
se
lectivi
ty
102
10−1
101
104
10−3
9
の変化を示す。CVD 時間が短くなるほど水素透過速度は大きく、水素選択性は小さくなる傾向が見ら
れた。1分の CVD時間の違いでも性能の差は大きく、CVD条件によって炭素膜の分離性能を幅広く制
御できる可能性がある。供給濃度 10%、CVD11分の炭素膜において、100GPUを超える水素透過速度
と、5000を超える非常に高い水素/メタン選択性を得ることができた。
以上の知見より、供給濃度10%、CVD10分の炭素膜を用いてミニモジュール(40本、膜面積約23cm2)
を作製し、水素/トルエン混合ガス試験を行った。供給圧力は 0.3MPa、透過側圧力は 0.1MPa、供給ト
ルエン濃度は 2%、測定温度は 110℃として行った。混合ガス試験における水素透過速度と非透過側お
よび透過側トルエン濃度の経時変化を図10に示す。水素透過速度は 85GPU以上の安定した値を示し
ており、透過側トルエン濃度も検出限外以下(10ppb)であったことから、2 年度のマイルストーンで
ある「水素透過速度が 75GPU以上かつ精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)」を達成すること
ができた。また、産総研での検討において得られた知見を、NOK が製造する量産膜の製造工程に適用
する検討を行い、産総研膜とほぼ同等の分離性能が得られることを確認した。
図10.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(110℃測定)
続いて、さらなる性能向上を目指し、CVD 条件の最適化の検討を行った。図10で使用した炭素膜
の製造条件である焼成温度 700℃、20分、供給プロピレン濃度 10%、CVD10分の条件を中心に、製膜
条件の異なる十数種の炭素膜の製造を行った。具体的には、炭化温度を 680~720℃、焼成時間は 10~
30分、供給プロピレン濃度 10~15%、CVD時間 5~12分とした。評価した炭素膜の分離性能を図11
にまとめた。水素透過速度と水素選択性のトレードオフプロットにおいて、初年度(H26)に得られた
結果(供給プロピレン濃度 100%)に比べて 2 年度(H27)に得られた結果はグラフの右上に推移して
おり、大幅な性能向上が可能となったことは明らかである。さらに、水素/メタン選択性は数百から数万
まで幅広く制御可能であることが分かった。図10に示した検討結果より、水素/メタン選択性が 1800
0
1
2
3
4
5
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
0 50 100 150 200 250
To
lue
ne C
on
c. (
%)
水素透過速度
(GP
U)
Time (h)
H2 Permeance
Permeate TOL Conc.
Retentate TOL Conc.
10
程度で透過側トルエン濃度が検出限界以下であったことから、2 年度のマイルストーンである 75GPU
よりも水素透過速度の大きい CVD 炭素膜についてミニモジュールを作製し、混合ガスでの評価を実施
することとした。
図11.種々の条件で作製した CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
水素/トルエン混合ガス試験用のミニモジュールは、供給濃度 10%、CVD7分の炭素膜 40本を用いて
(膜面積約 26cm2)作製した。供給トルエン濃度は 2%~、測定温度は 100℃として行った。混合ガス
試験における水素透過速度と非透過側および透過側トルエン濃度の経時変化を図12に示す。2%トルエ
ン供給時において、水素透過速度は 80GPU 以上の安定した値を示しており、透過側トルエン濃度も検
出限外以下(10ppb)であったことから、2 年度のマイルストーン値を達成している。トルエン供給濃
度を 5%に増加させると、水素透過速度の低下がみられたが、マイルストーンを達成する分離性能を維
持していた。しかし、この後トルエン供給濃度を 13%、17%と増加させたところ、膜の透過側に 230ppm
のトルエンが検出された。モジュールのリーク検査を実施したところ、接着剤と膜の界面に欠陥が発生
しており、接着剤の高濃度トルエン耐性が不足していることが分かった。
これまで産総研では市販接着剤を使用していたため、NOK においてトルエン耐性に優れることが見
出された接着剤を用いて再度モジュールを作製して混合ガス試験を実施した。その結果を図13に示す。
2~5%トルエン供給時には 75GPU 以上の水素透過速度を示しており、接着剤を変えても再現性は良好
である。トルエン供給濃度を 13%、17%と増加させていくと、水素透過速度が低下したが、3000 時間
にわたって透過側のトルエン濃度は 0.28ppm以下(C1換算 2ppm以下)を維持しており、炭素膜とモ
ジュールの耐久性に問題がないことが確認できた。トルエン濃度 17%はシステムで想定され得るトルエ
ン濃度の最大値であり、この濃度で 3000 時間の耐久性が確認できたことは大きな成果であると考えら
れる。本知見は NOKでの中型モジュール設計に反映させることとした。
また、NOK膜製造支援として、NOKと相互に協力して CVD条件の最適化を行った量産膜を用いて
作製した中型モジュールの単ガス透過特性評価を行った。複数のモジュールについて、再現の良い結果
100
1000
10000
100000
10 100 1000
H2/C
H4選択性
水素透過速度 (GPU)
CVDなし
CVD炭素膜
(H26)
CVD炭素膜
(H27)
目標ライン□:供給濃度の検討
◇:焼成温度の検討
11
が得られており、水素/メタン選択性が 20,000 以上と非常に高い選択性を有することが確認できた。さ
らに、JXTGエネルギーにおいて、90℃における水素/トルエン混合ガス分離試験の連続運転を実施した
結果、安定な水素透過速度と透過側のトルエン濃度が 0.28ppm以下であることが確認された。
図12.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図13.CVD炭素膜のミニモジュールを用いた水素/トルエン混合ガス長期試験結果(100℃測定)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
0 50 100 150 200 250
水素透過速度
(GP
U),
供給トルエン濃度
(%),
透過側トルエン濃度
(pp
m)
Time (h)
H2 Permeance [GPU]
Perm TOL Conc [ppm]
Retentate TOL Conc [%]
12
3年度は、2年度に開発した高性能炭素膜を用いてトルエン共存下での長期安定性の評価を行い、100
時間の耐久試験後、75GPU以上の高い水素透過速度と精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)を
満足する高い水素選択性の両者を達成することを目標とした。長期評価の実施にあたり、脱水素システ
ムの仕様に合わせて、供給トルエン濃度を 1000ppmとした。
まず、高い透過速度を維持しつつ、必要な水素選択性の見極めを行うために、透過特性の異なる 3種
の炭素膜のミニモジュール(膜面積:約 30 cm2)を用いて水素/トルエン混合ガス分離の長期試験を行
った。サンプル M-1 は炭素 CVD なし、M-2 および M-3 はプロピレンを CVD 源として、異なる CVD
条件にて作製した。水素/トルエン混合ガス分離試験は、トルエン濃度が約 1000 ppm の水素/トルエン
混合ガスを 0.3MPa で供給し、透過側圧力 0.1MPa として、100℃において実施した。図14に作製し
た炭素膜ミニモジュールの 90℃における単ガスでの透過特性を示す。水素透過速度は、M-1が 191 GPU、
M-2が 101 GPU、M-3が 90 GPU、水素/メタン選択性はM-1が 415、M-2が 1150、M-3が 2400であ
った。M-1 に比べて、M-2、M-3 では水素透過速度は低いが、炭素 CVD により高い水素選択性が得ら
れ、かつ CVD条件により透過特性が制御可能であることを示している。図15に水素/トルエン混合ガ
ス分離試験における、透過ガス中のトルエン濃度の経時変化を示す。M-1では 200時間後からトルエン
の透過が観測されたが、M-2およびM-3では、1000時間以上にわたって透過側のトルエン濃度は検出
限界以下であったことから、目標値の達成には一定の水素選択性が必要であり、炭素 CVD は水素選択
性向上に非常に有効であると考えられる。
また、各サンプルの水素透過速度の経時変化について、図16に M-1 モジュールを用いた水素/トル
エン混合ガス試験結果を示した。水素/トルエン混合ガスに切替えてから約 70時間後に透過側にトルエ
ンが検出され、時間とともにその濃度は増加した。同時に水素透過速度も初期に比べて大きく減少し、
約 250 時間の運転後には約 19%減少した。混合ガス試験後に純水素を供給したところ、初期速度まで
回復しなかったことから、膜の細孔内に吸着したトルエンが水素透過速度低下の原因と考えられる。
図14.作製した 3種の炭素膜ミニモジュールのガス透過特性(90℃測定)
0.01
0.1
1
10
100
1000
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
Pe
rme
ance
(G
PU
)
Molecular diameter (nm)
M-1
M-2
M-3
H2He
N2
CH4
13
図15.水素/トルエン混合ガス分離試験における透過側トルエン濃度の経時変化(100℃測定)
図16.M-1モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
M-2モジュールについては、図17に示すように透過側へのトルエン透過は検出されなかったものの、
水素透過速度は時間とともに徐々に低下し、1300時間後の低下率は初期性能に対して 9%であった。一
方、M-3 モジュールでは、図18に示すように初期水素透過速度は低いものの、2000 時間にわたって
90GPU以上の安定した透過速度を維持しており、4年度のマイルストーンである「1000時間の耐久試
験後、水素透過速度が 75GPU以上かつ精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)」まで達成するこ
とができた。
以上の結果より、M-3 が FCV 用高純度水素分離用途に最も適していると考えられ、安定した分離性
能を得るのに必要な水素/メタン選択性は 2000程度であることが分かった。
0
0.02
0.04
0.06
0.08
0.1
0 500 1000 1500 2000
Tolu
ene
co
nc.
in p
erm
ea
te (
pp
m)
Time (h)
M-1
M-2
M-3
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0
50
100
150
200
250
0 100 200 300 400 500
水素透過速度
(GP
U)
Time (h)
H2-TOL mixture
Pure H2
Perm TOL (ppm)
透過側トルエン濃度
(pp
m)
14
図17.M-2モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
図18.M-3モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
続いて、NOK膜製造支援として、NOK製量産膜を用いて作製した中型モジュールの単ガス透過特性
評価を行った。上述の通り、産総研での検討において必要水素/メタン選択性が 2000であることが明ら
かになったことから、NOKと相互に協力して CVD条件等の製造条件の最適化を行った結果、目標とす
る 2000程度の選択性を有する中型モジュールの製造に成功し、水素透過速度も 20%程度向上させるこ
とができた。さらに、JXTGエネルギーにおいて、90℃における水素/トルエン混合ガス分離試験の連続
運転を実施した結果、安定な水素透過速度と透過側のトルエン濃度が 0.28ppm 以下であることが確認
された。
続いて、NOK ではモジュールの大型化に取り組み、中型モジュールの 3 倍の膜面積を有する大型モ
ジュールの試作に成功した。この大型モジュールは1m3/h規模の水素精製能力を有し、かつ 3000以上
の高い水素/メタン選択性を示したことから、スケールアップしても欠陥を生じず、炭素膜本来の優れた
0
0.05
0.1
0.15
0
50
100
150
0 500 1000 1500 2000
水素透過速度
(GP
U)
Time (h)
H2-TOL mixture
Pure H2
Perm TOL (ppm)
透過側トルエン濃度
(pp
m)
0
0.05
0.1
0.15
0
50
100
150
0 500 1000 1500 2000 2500
水素透過速度
(GP
U)
Time (h)
H2-TOL mixture
Pure H2
Perm TOL (ppm)
透過側トルエン濃度
(pp
m)
15
ガス分離性能が維持されていることが確認された。また、JXTGエネルギーにおいて、90℃における水
素/トルエン混合ガス分離試験の連続運転を実施した結果、透過側のトルエン濃度が 0.28ppm 以下であ
ったことから、優れた水素/トルエン選択性を有することも確認された。以上の成果について、NOK、
JSTと共同でプレス発表を行った。
4 年度は、3 年度にすでにマイルストーンを達成しているため、精製水素中炭化水素濃度 2ppm 以下
(C1換算)を満足する高い水素選択性と長期安定性を維持したまま、水素透過速度の向上を検討すること
とした。種々の検討を行った結果、不融化条件の最適化および炭素膜の前駆体ポリマーに架橋剤を添加
することが有効であることを見出した。架橋剤添加前駆体高分子膜に対し、最適条件で不融化処理を行
った後、水素/メタン選択性が 2000程度となるよう CVD条件を調整した上で作製した炭素膜の 90℃に
おけるガス透過特性を図19に示す。水素透過速度と水素選択性のトレードオフプロットにおいて、平
成27年度に得られた結果に比べて今年度に得られた結果はグラフの右側に推移しており、水素選択性
を維持したまま水素透過速度が向上したことは明らかである。架橋剤添加炭素膜の 25℃における CO2
吸着測定を行った結果、添加なし炭素膜に比べて吸着量が増加していたことから、架橋剤添加により細
孔容積が増加したことが透過速度向上の要因であると考えられる。
次に、水素選択性の異なる 2 種類の架橋剤添加 CVD 炭素膜についてミニモジュールを作製し、混合
ガスでの評価を実施することとした。図20に作製した炭素膜ミニモジュールの 90℃における単ガスで
の透過特性を示す。サンプルM-3は、図18に示している 3年度にマイルストーンを達成した炭素膜モ
ジュールである。サンプルM-4およびM-5が、架橋剤添加 CVD炭素膜を用いて作製したモジュールで
あり、M-3 が 2400、M-4 が 1830、M-5 が 3140 という水素/メタン選択性に対し、水素透過速度は、
M-3の 90 GPU からM-4が 133 GPU、M-5が 110 GPUと大きくなっている。
図19.架橋剤添加 CVD炭素膜のガス透過特性(90℃測定)
100
1000
10000
100000
10 100 1000
H2/C
H4選択性
水素透過速度 (GPU)
CVDなし
CVD炭素膜
(H26)
CVD炭素膜
(H27)
目標ライン□:供給濃度の検討
◇:焼成温度の検討
●:架橋剤の検討
CVD炭素膜
(H29)
16
図20.作製した架橋剤添加 CVD炭素膜ミニモジュールのガス透過特性(90℃測定)
水素/トルエン混合ガス分離試験は、トルエン濃度が約 1000 ppmの水素/トルエン混合ガスを 0.3MPa
で供給し、透過側圧力 0.1MPa として、100℃において実施した。各サンプルの水素透過速度の経時変
化について、図21に M-4 モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果を示した。M-4 モジュ
ールは、初期の水素透過速度が 147 GPU と非常に高く 1930 時間にわたって透過側へのトルエン透過
は検出されなかったものの、水素透過速度は時間とともに徐々に低下した。1930時間後も 130 GPU以
上の高い水素透過速度を示していたが、初期性能に対して 9%低下したことから、水素選択性が不足し
ていると考えられる。
図21.M-4モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
0.01
0.1
1
10
100
1000
0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 0.45
Pe
rme
an
ce
(G
PU
)
Molecular diameter (nm)
M-3
M-4
M-5
H2He
N2
CH4
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
0
20
40
60
80
100
120
140
160
0 500 1000 1500 2000
H2
Pe
rme
ance
(G
PU
)
Time (h)
Pure H2
H2-TOL mixture
Perm TOL (ppm)
TO
L C
onc.(p
pm
)
17
一方、M-5モジュールでは、図22に示すように初期水素透過速度は 101 GPUとM-4モジュールに
比べて低いものの、1000時間にわたって透過側へのトルエン透過は検出されず、100GPU前後の安定
した透過速度を維持していた。以上の結果より、目標分離性能である精製水素中炭化水素濃度 2ppm以
下(C1換算)を達成する水素選択性を維持したまま、水素透過速度を 3年度に比べて 10 GPU向上させ
ることに成功した。
図22.M-5モジュールを用いた水素/トルエン混合ガス試験結果(100℃測定)
続いて、NOK膜製造支援として、NOK製量産膜を用いて作製したモジュールの長尺化、充填本数の
増加の検討を共同で行った。まず、膜の長尺化が水素/トルエン分離性能に与える影響を調べるため、
NOK 製長尺炭素膜を用いて作製した長尺ミニモジュールの水素/トルエン混合ガス試験を行った結果、
1000 時間以上にわたって透過側へのトルエン透過は検出されず、非常に安定した水素透過速度を維持
していた。長尺ミニモジュールの有効長は、産総研製ミニモジュールに比べて2倍以上の長さがあるが、
長尺化による分離性能の低下は見られておらず、長尺化の影響がないことが確認された。
さらに、NOK では 3 年度より充填本数の多い大型モジュール作製に成功し、その単ガス透過特性評
価を行った結果、24000以上の高い水素/メタン選択性を示したことから、充填本数を増加させても炭素
膜本来の優れたガス分離性能が維持されていることが確認された。また、JXTG エネルギーにおいて、
90℃における水素/トルエン混合ガス分離試験の連続運転を実施した結果、透過側のトルエン濃度が
0.28ppm以下であったことから、優れた水素/トルエン選択性を有することも確認された。
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
0
20
40
60
80
100
120
0 200 400 600 800 1000 1200
H2
Pe
rme
ance
(G
PU
)
Time (h)
Pure H2
H2-TOL mixture
Perm TOL (ppm)
TO
L C
onc.(p
pm
)
18
3-2.膜分離システム設計
3-2-1.膜分離システムの概念設計
膜分離システム設計では、可能性のある膜分離システム 5形態以上の概念設計を行うことを初年度の
マイルストーンとした。膜分離システムは、メチルシクロヘキサンの脱水素反応後に気液分離すること
で回収された、水素が主成分の残余気体を膜分離にかけて透過物として高純度水素を流量 300Nm3/hで
回収し、それを水素ホルダーに貯蔵するシステムとした。システムへの供給ガスの組成はトルエン/メタ
ン/水素の 3成分混合ガスとし、製品水素として炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)の高純度水素を回収
する膜分離システムを設計計算した。また、検討した膜分離システムでは膜モジュール一つで 1段を構
成するとして、モジュール設計計算には十字流プラグフローモデルを採用した[1]。コンプレッサー所要
動力の算出には常用の圧縮動力計算式を用い、効率を 0.52と仮定した。検討した全システムのフロー
を図23・24に示した。
図23の No. I-1 は、高圧作動ケースとして、気液分離後の混合ガスをコンプレッサー1 段で昇圧し
て膜モジュールに導入し、透過側に精製水素を流量 300Nm3/hで回収するシステムである。膜での水素
回収率を 95%に設定した時、分離精製目標である炭化水素濃度 2ppm 以下(C1 換算)を達成できる膜分
離係数は H2/TOL=200万、H2/CH4=1400となった。この時の所要動力は 28.3kWと算出された。図2
3のNo. I-2は、低圧作動ケースであり、反応圧力を利用したシステムを想定した。
図23.検討した膜分離システム-その1
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
Fuel
Fuel
Fuel
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
Fuel
Fuel
Fuel
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
19
図24のNo. IIは、供給ガス中のメタン濃度が増加したケースである。膜分離の圧力条件はNo. I-1
と同じにし、膜での水素回収率を 75%に設定した時、分離精製目標を達成できる膜分離係数は
H2/TOL=50万、H2/CH4=1600となった。また所要動力は 35.8kWと算出された。
図24のNo. IIIは、供給ガス中メタン濃度を増加させ、膜での水素回収率を 80%と設定した。この
とき、分離精製目標を達成できる膜分離係数はH2/TOL=60万、H2/CH4=1400となった。また所要動力
は 33.6kWと算出された。
図24の No. IV は、No. III と同様なシステムであるが水素回収率の増大を狙った案である。膜分離
の圧力条件は上記のシステムと同じにし、膜での水素回収率を 88%と設定した場合、分離精製目標を達
成できる膜分離係数はH2/TOL=80万、H2/CH4=1800となった。また所要動力は30.5kWと算出された。
図24.検討した膜分離システム-その2
205
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
80
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
15
20
5
20
3
88
100
77
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
9
12
11
システムNo. II
システムNo. III
システムNo. IV
205
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
80
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
15
20
5
20
3
88
100
77
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
9
12
11
システムNo. II
システムNo. III
システムNo. IV
回収率75%
205
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
80
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
15
20
5
20
3
88
100
77
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
9
12
11
システムNo. II
システムNo. III
システムNo. IV
回収率80%
205
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
80
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
15
20
5
20
3
88
100
77
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
9
12
11
システムNo. II
システムNo. III
システムNo. IV
回収率88%
20
検討したシステム形態の計算結果の一部を表3にまとめた。備考欄には膜分離オフガス(未透過流)
中のトルエン分圧も記した。
表3.検討した膜分離システムのまとめ
表3にまとめた結果を見ると、最も所要動力が少ないシステムはNo. I-1であるが、必要膜分離係数
H2/TOLが 200万と極めて高い値が要求されている。
膜モジュールの分離性能は、操作圧力比(低圧/高圧)が小さいほど向上する。必要膜分離係数 H2/TOL
のさらなる低減の可能性を探る意味で、気液分離後の混合ガスをそのまま膜に供給し、透過側を大気圧
下で操作する低圧作動ケースとすることで、高圧作動ケースのシステム No. I-1より高分離性能が期待
できるシステム No. I-2を検討した。結果は必要膜分離係数 H2/TOLが 40万まで低減できたが、回収水
素を昇圧するためのコンプレッサー2 段の所要動力が増大すること、低圧での膜透過のために必要膜面
積が増大することのデメリットも明らかになった。
システムNo. IIは、膜分離での水素回収率が 75%とシステム No. Iに比べて低いため、膜モジュール
未透過流でのトルエン分圧は 100℃飽和蒸気圧相当と低い。システムNo. IIIおよび IVも同じ理由で、
No. I-1に比べて膜モジュール未透過流でのトルエン分圧は低い。
必要膜分離係数や膜モジュール未透過流のトルエン分圧を考慮すると、システム No. I-2やNo. IIが
有望な形態と考えられる。但し、膜モジュール製作用に現在用意しているシール材はトルエン中での耐
熱温度が 100℃であるため、トルエン濃度が高くなり高温での分離操作が必要となった場合は、耐熱温
度がさらに高いシール材の探索を行う必要があると共に、膜モジュール未透過流のトルエン分圧を下げ
るために水素回収率を少し下げたシステムの設計をも検討する必要がある。一例として、No. I-2 の膜
分離での水素回収率を 90%としたシステムの設計計算を行ったところ、必要膜分離係数 H2/TOL は 30
圧力条件 H2回収率 所要動力 膜面積
H2/TOL H2/CH4 Pw[kW] 相対値
I-1 高圧 200万 1400 28.3 1.00
供給CH4濃度105ppm
未透過流TOL分圧0.29MPa
(153℃飽和蒸気圧相当)
I-2 低圧 40万 41.1 1.15
供給CH4濃度105ppm
未透過流TOL分圧0.087MPa
(106℃飽和蒸気圧相当)
Ⅱ 高圧 0.75 50万 1600 35.8 0.80
供給CH4濃度430ppm
未透過流TOL分圧0.075MPa
(100℃飽和蒸気圧相当)
Ⅲ 高圧 0.80 60万 1400 33.6 0.81
供給CH4濃度344ppm
未透過流TOL分圧0.0925MPa
(107.5℃飽和蒸気圧相当)
Ⅳ 高圧 0.88 80万 1800 30.5 0.84
供給CH4濃度344ppm
未透過流TOL分圧0.145MPa
(124℃飽和蒸気圧相当)
膜分離供給ガス:TOL=2%,CH4=105~430ppm,H2 balance
膜分離回収ガス:流量300Nm3/hr,TOL=0.286ppm以下,CH4=1.7ppm以下,H2>99.99%
膜システム
No.
膜分離係数備考
0.95
21
万で膜モジュール未透過流でのトルエン分圧は 88.5℃飽和蒸気圧相当まで低下した。膜分離での水素回
収率を 90%としたNo. I-2は初年度終了時点で最も実現性の高いシステムの一つであることが明らかに
なった。
3-2-2.マルチモジュールシステムの試設計
2 年度は製作可能なサイズの膜モジュールで、要求される水素精製量(3 Nm3/h)に対応するためマ
ルチモジュールで構成するシステムの設計を行うことを目的とした。高圧供給流を直列に連結し、低圧
透過流を並列に連結するマルチモジュールで構成するシステムの計算プログラムを自作して計算を行
った。
試計算として、初年度終了時点で最も実現性の高いシステムの一つであるシステム No.I-2(図23)
をマルチモジュールシステムに展開した。図25中の赤色の数値は水素流量であり、膜分離での回収率
は 95%で、膜分離は高圧側 0.3、低圧側 0.1MPa で操作するとしている。この膜分離部を 20 本のモジ
ュールで構成すると仮定した場合のシステム概要を図26に示した。モジュール 4本の高圧側流れを直
列につなぎ、低圧の透過流を並列に結合する4本1列を1構成単位(bank と呼ぶ事にする)として、
前半に4列、後半に1列の bank を配置した。前半の bank には供給流を4分割して並列に供給し、そ
の4bank分の未透過流を再結集して後半1bankの供給流とした。透過流は全てが並列に抜き出され最
終的に一つに集めた。このマルチモジュールシステムの設計コンセプトは、透過に伴い低下する高圧流
の線速をなるべく大きく維持することで、高効率な十字流プラグフローモジュールの分離性能をシステ
ム全体で実現することである。
図25.マルチモジュールシステム試計算のベースにしたシステムNo. I-2
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
Fuel
Fuel
Fuel
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
20
5
95
100
75
20
5
95
100
75
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
システムNo. I-1
システムNo. I-2
システムNo. I-3
20
25
100
75
5
脱水素反応器
気液分離器
MCH
TOL
水素ホルダー
Fuel
0.4MPa
0.7MPa
1.0MPa
膜でのH2回収率95%
膜でのH2回収率95%
膜でのH2回収率95%
膜でのH2回収率95%
回収率95%
膜でのH2回収率95%
22
図26.モジュール 20本を 4列+1列につないだマルチモジュールシステム
3-2-3.3Nm3/h膜分離システムの設計
2 年度のマイルストーンである 3Nm3/h 膜分離システムの設計では、膜分離での回収率は 90%とし、
温度 90℃、差圧 0.2MPa で操作する事とした。膜性能としては 2 年度時点での実測値を用い、評価中
の規模のモジュールサイズで計算を行ったところ、モジュールが 13 本必要という結果になった。図2
6を参考にして前半部にモジュール 4本を直列につないで構成した bankを 2列配置し、後半にモジュ
ール 5本を直列につないで構成した bankを 1列配置する構成を 3Nm3/h膜分離システムの候補とした。
3-2-4.中空糸炭素膜の芯側流れにおける圧力損失の予測
3年度は水素精製量 50Nm3/hのシステム設計を行うことを目的とした。また、最終目標である水素精
製量 300Nm3/hのシステム設計にあたり問題となる課題の洗い出しも行うことにした。
膜モジュールの大型化に伴って危惧される問題点として中空糸膜芯側流れに於ける圧力損失がある。
本研究開発では中空糸膜の外径側にガスを供給する、いわゆるシェル側供給のモジュールを作製してお
り、中空糸の芯側は透過流となる。透過流で圧損が発生すると、透過流出口から遠い位置では透過流の
圧力が上昇するため、膜間差圧が減少し透過量の減少と分離性能の低下が起こる。そこで、大型モジュ
ールの作製にあたり膜長と圧損の関係を明らかにして効率低下の予測を行った。
中空糸膜モジュールでは、全長が短いものを除いて中空糸膜芯側流れでの圧力損失が無視できない場
合が多い。図27に示すような外径 do 内径 diの中空糸膜において、外側が高圧供給流で芯側が低圧透
過流である場合、z方向透過流での圧力損失にハーゲンポアゼイユ式を適用すると式(3.1)になる。
4
2'256
i
l
dn
RTq
dz
dp
(3.1)
ここで、nは中空糸膜本数、は芯側流れの混合ガス粘度[Pa s], q’は芯側流れの流量[mol s-1]である。
供給流
未透過流
透過水素
23
図27.中空糸膜の微小長さ dz空間での物質移動
微小膜面積 dA=ndo dz での二成分混合ガスの透過速度式を無次元形に変換すると式(3.2) (3.3)に
なる。
*
)1()1(
yPxyPx
dA
dQ rr
d
(3.2)
Q
dA
dQxyPx
dA
dx d
r
d
(3.3)
ここで、 Q=q/qf で任意の点での高圧側流量 qと供給流量 qfの比である無次元流量、*=PA/PBで A成
分と B 成分の透過係数比である理想分離係数、Pr=pl /phで低圧側と高圧側の圧力比である。また Ad=
(PAphA)/(qf)で A 成分透過率PA/と膜面積、供給流量 qf、高圧側圧力 phで定義する無次元膜面積である。
Prは芯側透過流の無次元圧力でもあり、式(3.1)を Adや Q’(=1-Q)の無次元数を用いて書き換えると
式 (3.4)になる。
rhio
f
Ad
r
P
Q
pddn
RTq
dA
dP '128
3422
2
P (3.4)
式(3.2) (3.3) (3.4)が中空糸膜の芯側透過流に圧力損失がある場合の設計基礎式になる。粘度は組成によ
り変化するので組成の関数になっているWilkeの推算式で算出した。
計算条件として、水素/トルエン混合ガスを*=300,000の膜モジュールに供給し、透過流に高純度水
素を回収率約 90%で回収することにした。
モジュールのH2 Flux効率は次式のように定義した。
)1)(1(0
bam
p rrF
FE (3.5)
Ep: モジュールのH2 Flux効率
Fm: 混合ガス透過で得られる H2の Flux
F0: 純ガスH2の透過で得られる H2の Flux
ra : 混合ガス組成によるH2分圧降下にともなう低減率
qf xfi qo xoi
qp ypi
pl
ph
dz
q
xi
q-dq
xi -dxi
q’
yi
-dq
dido
z
流量q,q’ は便宜上モジュール全体での流量と同じ記号を使用した.
供給流入口 未透過流出口
透過流出口
24
rb : 膜の長さ方向に発生する圧力損失による低減率
表4に、水素透過速度(Permeance)を 50、100、250GPU(1GPU=3.35×10-10mol m-2 s-1 Pa-1)の
3 通り、中空糸長さを 0.5、1、1.5m の 3 種について、左側が効率(1-ra)(1-rb)、右側が(1-rb)で圧損の影
響だけを分離した H2 Flux効率をまとめた。また、長さ 0は圧損が無いとした場合の値である。計算の
結果、水素透過速度が大きいほど、中空糸の長さが長いほど圧損の影響が出やすく H2 Flux効率が小さ
い傾向にあった。しかしながら、100GPUまでは圧損の影響は小さいと予測されることから、50Nm3/h
や 300Nm3/hの膜分離システム設計の計算では圧損の影響を無視することにした。
表4.圧力損失の影響による H2 Flux効率の減少
3-2-5.50Nm3/h膜分離システムの設計
3-2-3で実施した 3Nm3/h 膜分離システムで得られた知見を基に、3 年度の目標である水素精製
量 50Nm3/h の膜分離システムを設計した。まず、システム概略設計を行い、マルチモジュールシステ
ムを設計した。膜モジュールの寸法は NOK で検討中の 50Nm3/h 用大型モジュールのサイズを想定し
ている。その結果、水素精製量 50Nm3/hに対応するモジュール本数は 14本となり、図28のようにモ
ジュール 4本からなる並列 2バンクと、その後にモジュール 6本からなる 1バンクが直列につながるマ
ルチモジュールシステムを設計した。
図28.水素精製量 50Nm3/hのマルチモジュール膜分離システム
H2 Flux Efficiency (1-ra)(1-rb)
Di=360ミクロン
H2 Permeance
[GPU]膜有効長[m]
0.5 0.989715 0.989605 0.9889461 0.989166 0.988398 0.986093
1.5 0.988178 0.986532 0.9813740 0.989934 0.989934 0.989934
50 100 250
H2 Flux Efficiency (1-rb)
Di=360ミクロン
H2 Permeance
[GPU]膜有効長[m]
0.5 0.9997783 0.999667 0.9990021 0.9992239 0.998448 0.99612
1.5 0.9982262 0.996563 0.9913530 1 1 1
50 100 250
H2 Flux Efficiency (1-ra)(1-rb)
Di=360ミクロン
H2 Permeance
[GPU]膜有効長[m]
0.5 0.9963 0.994873 0.9908121 0.992129 0.986751 0.971496
1.5 0.985434 0.973911 0.9426320 0.997617 0.997617 0.997617
50 100 250
H2 Flux Efficiency (1-rb)
Di=360ミクロン
H2 Permeance
[GPU]膜有効長[m]
0.5 0.9986799 0.99725 0.9931791 0.9944994 0.989109 0.973817
1.5 0.9877888 0.976238 0.9448840 1 1 1
25050 100
中圧条件
低圧条件
高圧ライン
低圧ライン
調圧弁マスフローコントローラーマスフローメーター圧力計サンプリングポート
供給流
未透過流
透過水素
25
3-2-6.300Nm3/h膜分離システムの設計
4 年度は 300Nm3/h 大型膜分離システムの設計計算を完了し、所要動力原単位 0.15kWh/Nm3(H2)以
下の仕様を確定する事を目的とした。膜モジュールは 3年度に検討したサイズより大きい、製作が可能
な大型モジュールを想定して設計した。
ここで、前記の 3Nm3/h および 50Nm3/h 膜分離システムは 90℃等温操作を想定したものであった。
すなわち、供給ガスを熱交換器に通して 90℃まで加熱し、膜モジュールおよび配管部をヒーターと保温
材で覆うことでプロセスの全ラインを 90℃一定に保つ等温システムである。そこで、300Nm3/hシステ
ムについて、まず 90℃の等温システムで設計を行った。その結果、大型モジュールで 23.5 本必要と決
定できた。モジュール数を 24 本とした場合、供給ガス量が同じ 333.3 Nm3/h での水素回収量は
305.7Nm3/hとなった。
等温システムは膜の水素透過速度を一定として計算できるのでシステム設計が容易であるが、モジュ
ールおよび配管部をヒーターで覆う必要が有りプラントの建設費が嵩む問題がある。そこで、放熱によ
る温度低下に伴う水素透過速度の低下を考慮した非等温膜分離システムの設計を行った。
図29.300Nm3/h対応の非等温膜システム第1案(24M-(4)-6)
供給流
未透過流
透過水素
高圧側流れの平均温度(℃)
89.6 88.5 87 84.7
26
図30.300Nm3/h対応の非等温膜システム第2案(24M-(4)-4+2)
図31.300Nm3/h対応の非等温膜システム第3案(24M-(4)-3+3)
図32.300Nm3/h対応の非等温膜システム第4案(24M(4)-3+2+1)
検討したシステムは図29~32に示す 4 案であり全て 24 本のモジュールで構成した。モジュール
4本の高圧側流れを直列に連結し、透過流はパラレルに集める配管で 1ユニット(bank)を構成し、そ
の 6 ユニットを並列に繋いだ第 1 案:24M-(4)-6、並列の 4 ユニットの後に並列の 2 ユニットを繋いだ
第 2 案:24M-(4)-4+2、並列の 3 ニットの後に並列の 3 ユニットを繋いだ第 3 案:24M-(4)-3+3、並列
の 3 ニットの後に並列の 2 ユニットを繋ぎその後に 1 ユニットを繋いだ第 4 案:24M-(4)-3+2+1 の 4
供給流
未透過流
透過水素
高圧側流れの平均温度(℃)
89.7 89 88.2 87.2 86.3 85.4 84.3 82.8
供給流
未透過流
透過水素
高圧側流れの平均温度(℃)
89.8 89.3 88.2 88.1 87.3 86.4 85.1 83.3
供給流
未透過流
透過水素
高圧側流れの平均温度(℃)
89.8 89.3 88.2 88.1 87.4 86.8 86.1 85.3 84.5 83.3 82.9 81.9
27
形態である。設計計算では温度低下を考慮した水素透過速度を用いることにし、上流から下流に向かっ
て各パラメーター値を引き継いで逐次計算を行った。
計算の結果を表5にまとめた。いずれの案においても回収水素純度は FCV 水素規格を十分に上回っ
ており、4形態における差は最大で 0.4%程度とわずかなものであった。
表5.膜システム形態の違いによる回収水素量の変化
3-2-7.所要動力の評価
上記した膜分離システムでは反応系の圧力を利用して膜分離を行うことを想定しており、膜分離その
ものでは動力を消費しない。しかしながら FCV へ供給するためには一時的にガスホルダーに貯蔵し、
そこからさらに高圧ポンプで FCV に供給することが計画されている。そこで、ガスホルダーに貯蔵す
る工程までを膜分離システムとしてとらえ、透過ガスである高純度水素を昇圧する動力を次式のコンプ
レッサー軸馬力算出式で計算した。
11
1
n
l
hW
p
pnqRTP (3-6)
ここで PWは所要動力[W], Rは気体定数, T,qは吸入ガスの温度と流量[mol/s],ph , plは吐出圧力と吸
入圧力,n は圧縮段数,κ= Cp/Cv は(定圧比熱/定容比熱)である。ηは断熱効率でありここでは 0.6
とした。また T=308K,κ=1.41とした。圧縮段数については n=2とした。
計算結果を回収水素量当たりの所要動力原単位で表すと 0.12kWh/Nm3(H2)となった。この値は目標
である 0.15より小さく、また競合技術である PSA吸着法の 50%程度と推定される。
膜システム 回収水素量[Nm3/hr]
24M-(4)-6 302.324M-(4)-4+2 302.124M-(4)-3+3 302.1
24M-(4)-3+2+1 301等温24M 305.7
28
3-3.まとめ
実用型炭素膜の開発では、初年度に、量産において最もネックとなっていた炭化処理工程について、
多本数の中空糸膜を同時に炭化する手法の検討を行い、膜焼成時にプロピレンを供給して膜表面に炭素
析出(CVD)させることで、多本数焼成時でも非常に高い水素選択性が得られる手法を見出した。この
膜を用いた水素/トルエン分離試験において、安定な水素透過速度と精製水素中炭化水素濃度 2 ppm以
下(C1換算)を達成した。また、本手法はNOKにおいて実施する量産膜の製造工程にも適用可能である
ことを確認した。
2 年度には、初年度の検討において効果が見られたプロピレン CVD を施す方法を元に、さらなる性
能向上のため、CVD 源や供給濃度、供給時間等の CVD 条件について検討を行った。CVD 条件を最適
化することで初年度の炭素膜よりも選択性を維持したまま水素透過速度の向上に成功した。得られた
CVD 炭素膜のミニモジュールを用いて、水素/トルエン混合ガス試験を行ったところ、2 年度のマイル
ストーンである 75GPU 以上の水素透過速度と精製水素中炭化水素濃度 2 ppm 以下(C1 換算)を達成す
ることができた。さらに水素/トルエン混合ガス試験におけるトルエン濃度の影響の評価を実施し、最大
で 17%濃度のトルエンを供給しても、約 3000時間に渡って膜の破損や透過側へのトルエンのリークは
見られず、炭素膜とモジュールの耐久性に問題がないことを確認した。
3 年度は、2 年度に開発した高性能炭素膜を用いて、高い透過速度を維持しつつ、必要な水素選択性
の見極めを行うために、透過特性の異なる 3種の炭素膜のミニモジュールを用いて水素/トルエン混合ガ
ス分離の長期試験を行った。その結果、水素/メタン選択性 2000 程度で 2000 時間にわたって 90GPU
以上の安定した透過速度を維持することを明らかにし、4年度のマイルストーンである「1000時間の耐
久試験後、水素透過速度が 75GPU以上かつ精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)」まで達成す
ることができた。
4年度は、精製水素中炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)を満足する高い水素選択性と長期安定性を維
持したまま、水素透過速度の向上を検討した。その結果、不融化条件の最適化および炭素膜の前駆体ポ
リマーに架橋剤を添加することが有効であることを見出し、水素/トルエン混合ガス条件下で高い水素選
択性を維持したまま、3年度に比べて 10GPUの水素透過速度の向上を達成した。
膜分離システム設計では、初年度は、メチルシクロヘキサンの脱水素反応後に気液分離工程を経たト
ルエン/メタン/水素の 3成分混合ガスから、炭化水素濃度 2ppm以下(C1換算)の高純度水素を回収する
膜分離システムを設計計算した。
2 年度には、試設計として初年度に設計したシステム案の一つ(No. I-2)を 20 本のマルチモジュー
ルシステムに展開した。そのシステム案を基に、各モジュール内でのトルエン濃度を明らかにし、凝縮
を回避するために必要な加熱対策や・保温温度を明らかにした。また、3Nm3/h 膜分離システムの設計
として、モジュール 13本を用いたマルチモジュールシステムを設計した。
3年度には、まず中空糸芯側の透過流で起こる圧力損失による H2 Flux効率を試算した。その結果、
圧力損失の影響はほとんどないことを明らかにした。また、50Nm3/h 膜分離システムとして、14 本の
マルチモジュールシステムを設計した。
4年度は、回収水素量 300Nm3/h級のマルチモジュールシステムを設計した。90℃等温システムと放
熱による温度降下を考慮した非等温システムの両システム共に、24 本のモジュールで回収水素量
29
300Nm3/h以上を達成でき、水素純度も FCV用水素規格を十分達成できることを明らかにした。また、
回収水素をガスホルダーに貯蔵する工程までを膜分離システムとして考えた場合の所要動力原単位は
0.12kWh/Nm3(H2)となり、目標である 0.15 kWh/Nm3(H2)以下を達成できた。
3-4.今後の課題
実用型炭素膜の開発では、炭素膜の水素分離性能、トルエンへの耐久性、大型モジュール製造におけ
る課題は解決できたことから、炭素膜モジュールの実用化に向けて、モジュール製造能力の向上が必要
であると考えられる。
膜分離システム設計では、開発炭素膜を用いて、反応圧だけを利用した 1 段分離で FCV 用規格を十
分クリアーできる高純度水素を回収でき、かつ省エネルギー性に優れた膜分離システムを設計できた。
システム形態の違いが必要膜面積や建設費に影響することから、トータルコストが最小になる最適シス
テムの探索が必要であると考えられる。
30
4.外部発表実績
(1)論文発表
<査読なし(総説等含む)> 5件
吉宗美紀, 原谷賢治, 炭素膜による有機ハイドライド型水素ステーション用超高純度水素精製技術
の開発, 膜, 41, 96-101 (2016)
吉宗美紀, 原谷賢治, 炭素膜による有機ハイドライドからの水素分離, クリーンテクノロジー, 27,
26-29 (2017)
吉宗美紀, 分子ふるい炭素膜の研究開発状況および化学プロセスへの応用 , 触媒, 59, 151-154
(2017)
吉宗美紀, 原谷賢治, 有機ハイドライドからの超高純度水素分離用分子ふるい炭素膜の開発, ゼオ
ライト, 34, 113-118 (2017)
吉宗美紀, 原谷賢治, 有機ハイドライドからの水素分離用高性能炭素膜の開発 , 工業材料, 66,
31-35 (2018)
(2)学会、展示会等発表
<招待講演> 国内 4件
吉宗美紀(産総研)、「有機ハイドライド型水素ステーション用炭素膜の実用化への取組み」、日本
化学会第 5回 CSJ化学フェスタ、タワーホール船堀、平成 27年 10月 14日
吉宗美紀(産総研)、「炭素材料を膜化して機能を発揮させるには」、化学工学会第 81年会、関西大
学、平成 28年 3月 14日
吉宗美紀(産総研)、「気体分離用膜分離材料・技術の展望」、化学工学会第 48回秋季大会、徳島大
学、平成 28年 9月 6日
吉宗美紀(産総研)、「実用型炭素膜の開発と省エネ型ガス分離プロセスへの応用」、日本化学会第
97春季年会、慶應義塾大学、平成 29年 3月 16日
<依頼講演> 国内 2件
吉宗美紀(産総研)、「炭素膜の化学プロセス用途の研究開発状況」、触媒学会工業触媒研究会第 10
回工業触媒フォーラム、化学会館、平成 28年 1月 22日
吉宗美紀(産総研)、「膜を用いた水素ステーション用水素製造技術について」、日本脱塩協会 2016
JDA Forum、東京ビッグサイト、平成 28年 1月 28日
<口頭発表> 国内 3件
吉宗美紀、原伸生、原谷賢治(産総研)、「SPPO中空糸炭素膜におけるガス分離性能の向上検討」、
化学工学会第 47回秋季大会、北海道大学、平成 27年 9月 11日
吉宗美紀、原伸生、原谷賢治(産総研)、万代咲季、平野佑一朗、壱岐英(JXエネルギー)、「高選
択性 SPPO中空糸炭素膜を用いた水素/トルエン混合ガス分離」、石油学会名古屋大会(第 45回石
油・石油化学討論会)、ウインクあいち、平成 27年 11月 5日
吉宗美紀、原伸生、原谷賢治(産総研)、「水素/トルエン混合ガス分離に与える中空糸炭素膜の透過
特性の影響」、化学工学会第 82年会、芝浦工業大学、平成 29年 3月 7日
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<展示会、ワークショップ、シンポジウム等> 国内 5件
展示協力:内閣府主催 SIPシンポジウム、エビススバルビル、平成 27年 10月 15日
展示協力:内閣府主催 2020年に向けた科学技術イノベーションシンポジウム、経団連会館、平成
28年 3月 10日
ワークショップ招聘:CRDS主催科学技術未来戦略ワークショップ「分離工学イノベーション」、
JST東京本部、平成 27年 12月 23日
展示会協力:第 11 回再生可能エネルギー世界展示会、パシフィコ横浜、平成 28 年 6 月 29 日~7
月 1日
展示会協力:JSTフェア 2016、東京ビッグサイト、平成 28年 8月 25日~8月 26日
(3)プレス発表
平成 29年 3月 9日プレス発表(NOK、産総研、JST連名)、「水素分離用高性能大型炭素膜モジュ
ールの開発に成功」
概要:有機ハイドライドから燃料電池自動車(FCV)用超高純度水素を分離精製する新規分離技術
として、高性能炭素膜に関する研究を実施し、非常に優れた水素選択性を有する炭素膜の開発およ
び大型モジュール化に成功した。開発した大型炭素膜モジュールは、1m3/h 規模の水素精製能力
を有し、一度の分離操作で FCV用超高純度水素の ISO規格純度(精製水素中の残存炭化水素濃度
が C1換算で 2ppm以下)の達成が可能な分離性能とトルエン存在下での長期安定性を示す。
(4)マスメディア等取材による公表
(新聞)
日経産業新聞[日経テレコン21]、平成 29年 3月 10日、朝刊 17面、「水素分離、ステーション
で、NOKなど、製造膜を開発」
化学工業日報、平成 29年 3月 10日、朝刊 11面、「産総研・NOK、水素分離向け大型炭素膜、FCV
用規格を満たす」
日刊工業新聞、平成 29年 3月 16日、朝刊 29面、「高度な水素精製、NOK と産総研、装置開発」
日刊自動車新聞、平成 29 年 3 月 29 日、朝刊 3 面、「NOK、高純度の水素精製、高性能炭素膜モ
ジュール開発」
(Web)
マイナビニュース、平成 29 年 3 月 10 日、「有機ハイドライドからの高純度水素精製が可能な炭素
膜 - NOKと産総研が開発」
ITmedia、平成 29年 3月 14日、「水素の輸送コストを低減する、高効率な分離膜を新開発」
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5.特許出願実績
出願番号 発明の名称 出願年月日 出願人
1 特願2015-067385 中空糸炭素膜の製造方法及び分
離膜モジュール
平成27年3月27日 産業技術総合研究所
2 特願2015-067465 中空糸炭素膜の製造方法、分離
膜モジュール、並びに膜分離器
平成27年3月27日 産業技術総合研究所/JX日
鉱日石エネルギー㈱
3 PCT/JP2016/056497 中空糸炭素膜の製造方法及び分
離膜モジュール
平成28年3月2日 産業技術総合研究所
6.参考文献
[1] 原谷賢治:分離技術, 42, 339-344 (2012)