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多職種協働 Antimicrobial Stewardship Program による抗菌化学療法 の適正使用推進における臨床薬剤師の貢献に関する研究 Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in Promoting Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成 27 年度 論文博士申請者 栃倉 尚広( Tochikura, Naohiro 指導教員 越前 宏俊

Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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Page 1: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

多職種協働 Ant imi crob ia l St ewardsh i p P rogram による抗菌化学療法

の適正使用推進における臨床薬剤師の貢献に関する研究

S tud ies on the Con t r ibu t ion o f C l in i ca l Pharm ac i s t s i n P romot ing

Ra t iona l An t imic rob ia l Chemothe rap y wi th Mul t id i sc ip l ina r y

Ant imic rob ia l St ew ardsh ip P ro gram

平成 27 年度

論文博士申請者

栃倉 尚広( To ch ikura , N aoh i ro)

指導教員

越前 宏俊

Page 2: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

目次

序章 1

第 1 章.カルバペネム系抗菌薬の使用と緑膿菌の薬剤耐性

1.はじめに 4

2.方法

2 .1 カルバペネム使用状況の推移 5

2 .2 緑膿菌の薬剤感受性と推移 5

2 .3 カルバペネム 5 抗菌薬の M IC 測定 5

3.結果

3 .1 カルバペネム使用状況の推移 7

3 .2 緑膿菌の薬剤感受性と推移 7

3 .3 カルバペネム 5 抗菌薬の M IC 測定 8

4.考察 8

第 2 章.多職種協働による抗 MRSA 薬適正使用推進の効果

1.はじめに 13

2.方法

2 .1 抗 MRSA 薬適正使用カンファレンス 14

2 .2 抗 MRSA 薬使用状況の推移 15

2 .3 抗 MRSA 薬適正使用の推移 16

2 .4 MRSA と MSSA 検出状況の推移 16

2 .5 MRSA の薬剤感受性と推移 17

2 .6 統計解析 17

Page 3: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

3.結果

3 .1 抗 MRSA 薬使用状況の推移 17

3 .2 抗 MRSA 薬適正使用の推移 18

3 .3 MRSA と MSSA 検出状況の推移 18

3 .4 MRSA の薬剤感受性と推移 18

4.考察 19

第 3 章.鼠径ヘルニア根治術における予防的抗菌薬投与の有効性

1.はじめに 24

2.方法

2 .1 研究デザイン 25

2 .2 選択基準と除外基準 26

2 .3 無作為化 26

2 .4 手術手技 27

2 .5 介入 27

2 .6 フォローアップ 27

2 .7 統計解析 28

3.結果

3 .1 患者 29

3 .2 研究結果 29

3 .3 SS I 症例の詳細 30

4.考察 31

終章

1.総括 36

Page 4: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

2.結語 37

謝辞 38

引用文献 39

図表 48

Page 5: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

1

序章

抗菌薬に対する耐性菌の出現と蔓延は世界的な問題となってい

る。米国疾病管理予防センター( C ente r s fo r Di s eas e Con t ro l and

P reven t ion ; C D C ) は 、 カ ル バ ペ ネ ム 耐 性 腸 内 細 菌

( Carbap enem -r es i s t an t Enteroba c ter i aceae; CRE)を「悪夢の耐性

菌」として大きく取り上げている。また、多剤耐性アシネトバクタ

ーやニューデリー・メタロ β ラクタマーゼ産生菌( NDM)はイラ

ク、インド、タイなど中東から東南アジアの国々において急激に増

加している。このような状況のなかで、耐性菌に対する対策がグロ

ーバルな視点で展開されるようになった。 2011 年、世界保健機関

(World Hea l th Organ iza t ion;W HO) は「 Ant imicro b ia l Res i s t ance :

No Act ion Tod ay, No Cure Tomo rrow」というメッセージを発信して

いる。1)耐性菌感染症の制御には、サーベイランスによる正確な疫

学情報の把握が必須であり、また効果的な感染対策、適切な抗菌薬

療法、ワクチンによる感染症予防など複数の対策を並行して実施し

ていくことが必要である。

耐性菌による感染症の実態として、米国では毎年 200 万人以上

の人々が耐性菌による感染症を起こし、そのうち、少なくとも 2 万

3 千人が死亡しているという推定結果が報告されている。 2)また、

耐性菌による感染症の死亡率は、感受性菌に比べて 2~ 3 倍程度死

亡率が高くなっていると報告されている。3)耐性菌による医療コス

トへの影響も少なくない。耐性菌による感染症が起こると、治療の

ために追加の費用が必要となり、また入院期間を延長せざるをえな

くなる。耐性菌感染症による医療費の増加は莫大なものとなり、米

Page 6: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

2

国では耐性菌感染症によって年間の医療費が 200 億ドル増大し、さ

らに社会的に 350 億ドルの経済損失が起こっていると推定されて

いる。 3)

米国感染症学会( In fec t iou s Di s eas es Soc ie t y o f Am er i ca; IDSA)

は “耐性菌に立ち向かうために重要な 4 つの手段 ”として、①感染症

の予防、耐性菌の広がりを防ぐ、②耐性菌の状況の把握、③抗菌薬

の適正使用、そして④新しい薬あるいは検査法の開発、の重要性を

指摘している。 4)とくに④に関して、米国は 202 0 年までに耐性菌

に有効な抗菌薬を 10 薬剤開発することを目標に、 “Bad bu gs , N eed

Dru gs 1 0 × ’20 ”という標語で国民に呼びかけている。新薬の開発には

莫大なコストがかかるが、抗菌薬は高血圧、脂質異常症、糖尿病な

どの慢性疾患に比べて投与期間は短く、たとえ使用される頻度が高

くても、企業にとってあまり利益を生み出さない。そのため新規抗

菌薬の開発は近年停滞しており、現存する抗菌薬の適正使用を推進

し、薬剤耐性菌の出現を抑制することが求められている。

抗菌薬の濫用を防ぐ手段として、 An t imicrob ia l s t ew ar dsh ip は感

染症診療の基本や抗菌薬の適正使用につながる重要な考え方であ

る。米国では 200 7 年に IDSA と米国病院疫学学会( The Soc i e t y f o r

Hea l th car e Ep id emio log y o f Amer i ca; SHEA)の合同で「抗菌薬管理

の た め の プ ロ グ ラ ム 作 成 ガ イ ド ラ イ ン 」 を 発 表 し た こ と か ら 、

Ant imicrob ia l s t ewardsh ip の 啓 発 が 進 め ら れ て い る 。 5 ) こ の

Ant imicrob ia l s t ew ardsh ip p ro gram( ASP)の中心となる戦略は「介

入とフィードバック」と「抗菌薬使用制限」であるが、教育やガイ

ドライン、施設ごとのローカルファクターの把握、適切な投与量や

Page 7: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

3

de-es ca l a t ion などを組み合わせて実践する診療科横断的な活動を提

案している 6)。

本研究では ASP の理念を実現する包括的な抗菌化学療法管理に

関する臨床薬学的実践の試みについて検討することを目的として、

第 1 章では、院内カルバぺネム系抗菌薬の使用ガイドラインを策定

するために必要となるカルバペネム系抗菌薬の使用状況と緑膿菌

の薬剤耐性に関するサーベイランスを行った。第 2 章では、抗菌薬

使用届出制度および多職種感染症専門家(医師、薬剤師、看護師、

臨床検査技師)による介入とフィードバックが抗 MR SA 薬適正使用

推進に与える抗菌薬使用状況への影響を検討した。第 3 章では、臨

床的課題としてヘルニア根治術における早期術後創感染( Surgica l

S i t e In f ec t ion; SSI)に対する抗菌薬予防投与が有効であるかを前

向き臨床試験で検討した。

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第 1 章.カルバペネム系抗菌薬の使用と緑膿菌の薬剤耐性

1.はじめに

緑膿菌は、水まわりなどの生活環境中に広く常在し、健常者に対

しては通常病原性を示さない、日和見感染の原因菌のひとつである。

しかしながら、免疫能が低下した患者などでは血液中に侵入し、菌

血症や敗血症を起こすと、エンドトキシンショックが誘発され、多

臓器不全、死亡することもある。また、多くの抗菌薬に対し自然耐

性を示し、しばしば治療に難渋する。

カルバペネム系抗菌薬(以下、カルバペネム)はほとんどの嫌気

性菌、グラム陰性桿菌、グラム陽性球菌に抗菌活性のある広域抗菌

薬で、これら細菌のうち、さまざまな β‐ラクタマーゼを産生する

株に対しても抗菌活性をもつ。そのため、カルバペネムは日本で繁

用されており、不適切な使用や漫然とした継続投与により、耐性菌

の発現・増加が引き起こされることは周知の事実である。 7 , 8 )とく

にカルバペネム耐性緑膿菌、多剤耐性緑膿菌の出現が大きな問題と

なっており、全国的な抗菌薬感受性サーベイランスにおいても緑膿

菌に対するカルバペネムを含めた各種抗菌薬の感受性は全般的に

低下していると報告されている。 9 )現時点で日本大学医学部付属練

馬光が丘病院(以下、当院)ではカルバペネム使用に関する院内ガ

イドラインはなく、その使用は主治医の裁量にのみ任されている。

今回我々は、今後策定すべき院内ガイドラインの基礎的な資料作成

を目的として、カルバペネム使用状況、緑膿菌の薬剤感受性に関す

る調査を行った。また、 3 ヵ月と短期間ではあるが、緑膿菌の臨床

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5

分離株を対象にカルバペネムの感受性試験を行い、全国サーベイラ

ンスとの比較、交差耐性について検討を行った。

2 .方法

2 .1 カルバペネム使用状況の推移

2005 年 1 月から 2 008 年 6 月までの 3 .5 年間の im ipen em/c i l as t a t i n

( IPM/CS)、merop enem(MEPM)、p an i penem/be t amipron( PAPM/BP)、

b iapen em( BIPM)、 dor ipenem( DRPM)の使用量(バイアル数)を

オーダリングシステムにより 6 ヵ月ごと(前期: 1~ 6 月、後期: 7

~ 12 月)に集計、調査した。

2 .2 緑膿菌の薬剤感受性と推移

同期間において入院患者から分離、同定された緑膿菌 813 株を対

象に IPM/CS、MEPM、gen tamic in( GM)、amikac in( AMK)、c ip ro f lox ac in

( CPFX)、 l evof lox ac in( LVFX)、 p i perac i l l i n( P IPC)、 cef t az id ime

( CA Z)、 cef ep ime( CFPM)の感受性率の調査をカルバペネム使用

状況の調査と同様に、 6 ヵ月ごとに行った。測定には日本ビオメリ

ュー社の V ITE KⓇを使用した。また、 2007 年後期から 2008 年前期

におけるカルバペネム耐性株に対する各種抗菌薬の感受性率の比

較検討を行った。

2 .3 カルバペネム 5 抗菌薬の M IC 測定

1)使用抗菌薬

PAPM(第一三共)、 BIPM(明治製菓)、 DRPM(塩野義製薬)に

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ついては力価の明らかな原末を用いた。MEPM、 IPM については極

東 オクトパネル MP OP2(極東製薬工業)を用いた。

2)対象菌株

2007 年 11 月~ 2 008 年 1 月の 3 ヵ月間に、当院の入院患者から分

離、同定された緑膿菌 38 株を対象とした。なお、同一患者の同一

材料由来の株については、初回分離株のみとした。

3)薬剤感受性の測定

最小発育阻止濃度( min imum inh ib i to r y concen t r a t ion;M IC)の測

定は日本化学療法学会による微量液体希釈法に準じて行った。 1 0 )

なお、精度管理には日本化学療法学会の精度管理株に指定されてい

る Pseud omonas a erug inosa ATCC27 853 株に相当する、 J CM6119 株

を使用した。

4)耐性菌の判定基準

耐 性 菌 の 判 定 は 臨 床 検 査 標 準 協 会 ( Cl in i ca l and Labo ra to r y

Standards Ins t i t u t e; C LS I)に準じ、 1 1 )規定のない PAPM、 BIPM、

DRPM については MEPM、 IPM と同様の基準を適応した。

全国的な感受性サーベイランスとの耐性率の比較は χ2 独立性の

検定を行い、危険率 5%で有意と判定した。全国的な感受性サーベ

イランスについては 2004 年にメロペン調査研究会が報告している

が、 1 2 )DRPM の感受性を測定していないため、 5 抗菌薬の感受性を

測定した 2002 年の吉田らの報告 9 )も合わせて比較を行った。なお,

統計解析には Micr osof tⓇ Ex ce l XP( Microsof t Co .)アドインソフト

のエクセル統計 St a t ce l 2(オーエムエス出版)を使用した。

Page 11: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

7

3 .結果

3 .1 カルバペネム使用状況の推移

カルバペネムの使用量は 2005~ 200 7 年前期までは 25 47~ 3765 バ

イアルと著明な増加はみられなかったが、 2007 年後期、 2008 年前

期では各々、 6479、 6879 バイアルと前年に比し 2 .0、 2 .1 倍と使用

量の急激な増加がみられた(図 1)。

診療各科の抗菌薬使用におけるカルバペネムの割合の経時変化

は少なく、内科、外科、小児科、泌尿器科で各々、 5 2~ 59%、 12~

17%、 9~ 16 %、 5~ 11%、その他は 3~ 16%であった。

3 .2 緑膿菌の薬剤感受性と推移

2005~ 2007 年前期では感受性率の経時変化は乏しく、GM、AMK、

CPFX、LVFX、P IP C、CFPM においては 90%以上の高い感受性率を

維持していた。また、 IPM、M EPM においても 80%以上の感受性率

であった。200 8 年前期は 200 7 年後期と比較し IPM/C S、MEPM、CPFX、

LV FX、 CA Z の感受性率に約 1 0~ 1 5%程度の著明な低下を認めた。

(図 1)。メタロ‐ β‐ラクタマーゼ産生株、および IPM、 CPFX、

AMK に同時に耐性を示す多剤耐性緑膿菌はみられなかった。

2007 年後期から 2 008 年前期における各種抗菌薬の交差耐性につ

いての成績を表 1 に示した。 IPM 耐性 35 株と MEPM 耐性 27 株の

各種抗菌薬の感受性率を比較すると、IP M 耐性株において高い感受

性率を示した。 IP M/CS 耐性・MEPM 感受性 7 株の感受性率は CA Z

を除き 100%であった。

Page 12: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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3 .3 カルバペネム 5 抗菌薬の M IC 測定

検査材料の内訳は、痰 13 件、尿 10 件、便 3 件、膿 1 件、胆汁 1

件、耳漏 1 件、その他 9 件であった。なお、血液由来の緑膿菌は検

出されなかった。

感受性試験の結果を表 2 に、耐性率の比較を表 3 に示した。M IC 5 0

と M IC 9 0 値でそれぞれの抗菌力を比較すると、 DRP M の M IC 5 0 と

M IC 9 0 値はそれぞれ 0 .25、 8μg/m L と最も優れており、ついで BIPM

では 0 .5、 16μg/m L、M EPM、 IPM では 2、 32μg/m L、 PAPM では 4、

32μg/m L の順であった(表 2)。

耐性率は高い順に MEPM で 23 .7%、 IPM、 PAPM で 21 .1%、 B IPM

で 15 .8%、 DRPM で 5 .3%であった(表 3)。この耐性率を全国的な

サーベイランスのデータと比較したところ、MEPM では 2 つの報告

と比べて耐性率が高く、メロペン特別調査研究会の報告 1 2 )と比べ

て耐性率は有意に高かった( p=0 .01 3)。 B IPM では耐性率が 2 つの

報告の間の値であり全国的な耐性率と同様であった。PAPM では吉

田らの報告 9 )、メロペン特別調査研究会の報告 1 2 )と比べて耐性率は

有意に低かった(各々、 p=0 .0 11、 p =0 .004)。 IPM、D RPM では、耐

性率は低い結果であったが統計学的な有意差は認められなかった。

カルバペネム耐性株における各種カルバペネムの交差耐性を図 2

に示した。 IPM、MEPM、 PAPM、 BIPM 耐性株に対する DRPM の耐

性率はそれぞれ 2 5、 22、 25、 33%と低値であった。また、DRPM 耐

性株では他のカルバペネムは全て耐性を示した。

Page 13: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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4 . 考察

2005~ 2007 年前期までは、緑膿菌に対する抗菌薬感受性の経時

的な変動は乏しかった。 2008 年前期には 90%以上の高い感受性を

示す薬剤は P IPC、 GM、 AM K のみとなり、カルバペネムでは感受

性率 80%を下回り、カルバペネムの使用量増加の影響が示唆された。

このため重症感染症におけるエンピリックセラピーとしての使用

も困難になりつつある(図 1)。

研究開始点では、カルバペネム使用に関する院内ガイドラインは

なく、その使用は主治医の裁量にのみ任されているため、不適切な

使用や漫然とした継続投与が増加したものと考えられる。とりわけ、

緑 膿 菌 に 対 す る 抗 菌 力 に 優 れ 、 中 枢 神 経 系 の 安 全 性 が 高 い た め

MEPM が積極的に使用され、その使用量増加が顕著になったと考え

られる。1 3 )また、診療各科の抗菌薬使用におけるカルバペネムの割

合の経時変化は少なく、内科、外科、小児科、泌尿器科で各々、 52

~ 59%、12~ 17 %、9~ 16%、5~ 11 %であった。とりわけ抗菌薬使用

量の最も多い内科での割合は高く、全体の使用動向、感受性動向も

これに大きく影響するものと推察される。

カルバペネムに対する耐性機序として、① Opr D 欠損、②抗菌薬

排出システム、③メタロ‐ β‐ラクタマーゼ産生などがあげられる。

とりわけ抗菌薬耐性で問題になる経路は、 Opr D ポーリンによって

形成された親水経路である。 Op rD ポーリン孔は、塩基性アミノ酸

やそれに富むオリゴペプチドの透過経路として機能しているが、比

較的強い塩基性側鎖をもつカルバペネムをこの孔を介して緑膿菌

の細胞内に透過する。oprD 遺伝子の変異によって Op r D の発現量が

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減少した株はカルバペネムの使用により選択される。今回の IPM

と MEPM の感受性率の比較検討では、 IPM 耐性株と MEPM 耐性株

は各種抗菌薬に対する感受性が異なり、MEPM 耐性株の方が各種抗

菌薬に耐性を示す割合が高く、MEP M は複数の抗菌薬に対し交差耐

性が示された(表 1)。これは、 IPM 耐性が主に Op rD の欠損に依存

するのに対し、M EPM では OprD の欠損の他にセフェムと共有する

透過経路の減少により、抗菌薬の取り込みが低下、抗菌薬の排出シ

ステムの影響により交差耐性が生じるものと考えられる。 1 4 , 1 5 )ま

た、田村は IPM 耐性、かつ MEP M 感受性株では各種抗菌薬の感受

性率が高いと報告しており、 1 6 )われわれの成績と同様であった。

今回、抗菌薬排出システム耐性機序に関して検討するには至って

おらず明確な言及はできないが、緑膿菌の抗菌薬耐性には RND 型

に分類されるマルチコンポーネント型の排出システムが重要と考

えられている。1 7 )これらの抗菌薬耐性菌が重要な理由のひとつには

排出する基質域が広いことであり、これによって構造的に類似性の

ない抗菌薬間での広域交差耐性が起こる。野性株でもわずかに発現

し、緑膿菌本来の抗菌薬自然耐性に寄与する排出システムである

Mex A-Mex B-Op r M は、キノロン系抗菌薬だけでなく、メロペネム

のようなカルバペネムを含むほとんどの β‐ラクタム系抗菌薬に対

する耐性化をもたらす。こうした耐性の獲得によって、カルバペネ

ムを中心に各種抗菌薬の耐性化の傾向が認められたと考えられる。

本邦における全国規模の調査では、メタロ‐ β‐ラクタマーゼ産

生株は 1 .6~ 5 .8%とされているが、1 8 )今回の結果では産生株は認め

られなかった。

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カルバペネムの薬剤感受性試験の結果では、耐性率を全国的なサ

ーベイランスのデータと比較したところ、MEPM では 2 つの報告 9 ,

1 2 )と比較して耐性率が高く、今後、MEPM 耐性株の動向にいっそう

注意が必要と考えられる(表 3)。当院では、MEPM の使用量は最

も多く、前年比では約 2 倍と増加しており MEPM 耐性化が進んだ

可能性が考えられる。他のカルバペネム耐性率は全国的なサーベイ

ランスの結果と比較しても増大していなかった。DRP M においては

カルバペネム耐性菌に対し、最も優れた抗菌活性が示唆された。

OprD の欠損や Mex A-Mex B-OprM の高産生による DRP M の抗菌活性

の低下は IPM や MEPM に比べて小さく、 1 9 )このことが他のカルバ

ペネム耐性株に対しても強い抗菌活性を発揮するものと考えられ

た。また、Sak yo ら 2 0 )は、DRPM はカルバペネム耐性緑膿菌の増殖

を抑制する効力が最も大きく、その抗菌活性の強さによるものと報

告しており、我々の成績を支持するものであった。なお、院内感染

対策サーベイランス( J apanese Noso comia l In fec t ion Surve i l l an ce ;

J AN IS)の 20 14 年度報告 2 2)では、 IPM 耐性率 16 .3%、M E P M 耐性

率 9 .6%と 2007 年度以降は緩やかではあるが低下傾向を示しており、

本邦においても薬剤師が ASP 活動に積極的に取り組むようになっ

たことも一因と考えられる。

今回は 3 .5 年と短期間の観察であるが、カルバペネム使用量の増

加に伴う感受性率の低下が示唆され、特に MEPM 耐性株ではセフ

ェム系をはじめとする各種抗菌薬に対する感受性率の低下が認め

られた。カルバペネムの適正使用には、これら抗菌薬の使用動向調

査、および緑膿菌をはじめとする薬剤感受性サーベイランスを継続

Page 16: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

12

し、これに基づいたモンテカルロ・シミュレーションなどを活用し

た、薬剤部による感染症診療支援業務も重要であると考えられた。

また、院内 ICT ラウンド、薬剤管理指導業務を介したカルバペネム

適 正 使 用 の 取 り 組 み と し て 、「 抗 菌 薬 の 体 内 動 態

( pharm acok in e t i c s ; PK ) ‐ 原 因 菌 に 対 す る 抗 菌 活 性

( pharmacod yn amics; PD)」を考慮した処方支援も重要になると考

えている。

カルバペネムをはじめとする抗菌薬の適正使用には感染制御チ

ーム( In f ec t ion C on t ro l Team; ICT)の積極的な介入によって、カ

ルバペネム以外での治療実績、あるいはカルバペネムから他系統の

抗菌薬への de- esca l a t ion による治療実績を蓄積していくことが重

要である。カルバペネムは重症感染症に対する切り札的抗菌薬であ

ることを周知徹底し、使用届出制、許可制といった使用コントロー

ルを含めた院内ガイドラインの策定についても検討する必要があ

ると考えられた。

Page 17: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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第 2 章.多職種協働による抗 MRSA 薬適正使用推進の効果

1.はじめに

Meth i c i l l i n - r es i s t an t Staphy lococcus a ureus(MRSA)は医療関連感染

を起こす代表的な菌であり、院内で分離される耐性菌として最も分

離頻度が高いものの1つである。その頻度は各医療機関によって異

なるものの、入院患者から分離される S .aureus の 50~ 70%を MRSA

が占めているとされる。2 1 , 2 2 )MRSA 感染症患者の増加は、不十分な

標準予防策の実施や抗菌薬の不適切な使用による部分が大きく、抗

菌薬を処方する医師個人の問題であるとともに、ICT にとって重要

な課題である。抗菌薬適正使用の方法として米国では 2007 年に

IDS A と SHEA から Ant imicrob ia l s t ewa rdsh ip に関するガイドライン

が発表されている。5)ASP の中心となる戦略は前向きな抗菌薬使用

調査と介入によるフィードバック、抗菌薬使用制限、教育などを組

み合わせて実践する診療科横断的な活動である。 2 3) A SP の一環と

して抗菌薬使用制限による使用量減少や耐性菌抑制の報告は散見

されるが、 2 4 - 2 6)多職種連携によるカンファレンスやラウンドの効

果を検証した報告は少ない。 2 7)

日本大学医学部附属板橋病院(以下、当院)では ASP 介入方法

として、すべての入院患者を対象に ICT メンバーの薬剤師が抗

MRSA 薬処方症例をピックアップし、多職種から構成された「抗

MRSA 薬適正使用カンファレンス」を開催している。医師、薬剤師、

細菌検査技師、看護師は臨床情報と細菌検査結果に基づいて使用状

況の評価を行い、使用継続・変更・中止の推奨を行っている。我々

Page 18: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

14

は今回、カンファレンスの効果を検証し ASP の有用性について検

討した。

2 .方法

2 .1 抗 MRSA 薬適正使用カンファレンス

カ ン フ ァ レ ン ス は 感 染 予 防 対 策 室 の メ ン バ ー で あ る i n fec t ion

con t ro l do c to r( IC D)、抗菌化学療法指導医、感染制御専門薬剤師

( Bo ard Cer t i f i ed In fec t ion Con t ro l P harmac y Spec i a l i s t; BC ICPS)、

抗 菌 化 学 療 法 認 定 薬 剤 師 ( In fec t ious Di sease Chemother ap y

Pharmac i s t; IDCP)、感染制御認定臨床微生物検査技師( In fec t ion

Con t ro l Micro b io logica l Tech no lo gi s t; ICM T)、感染管理認定看護師

( In f ec t ion Con t ro l Nurse; ICN)など有資格者を中心に構成され、

週 1 回開催されている。細菌検査の結果から抗 MRSA 薬投与が必要

と考えられる細菌は MRSA、 meth ic i l l i n - res i s t an t coagu las e -n ega t iv e

s t aph yl oco cc i (M R-CNS)、 Entero co ccus fa ec iu m、 Bac i l l u s cereus、

その他の Baci l l u s sp、 Coryneba c ter i um sp であるが、治療開始時に

は汚染菌、定着菌などの除外も必要である。本カンファレンスにお

いては、「抗 MRS A 薬の投与の対象となる原因菌が無菌的な検体か

ら検出されている状況」、「無菌的な検体ではないが白血球の貪食像

が認められるなど原因菌の可能性が高いと考えられる」、「臨床的に

投 与 が 必 要 な 状 況 と 判 断 さ れ る 」、「 発 熱 性 好 中 球 減 少 症 」、「 抗

MRSA 薬の投与が必要な菌が検出されているが、原因菌であるか不

明な状況」、「抗 M RSA 薬の適応内だが、他剤でも治療可能と考えら

れる」、「細菌学的検索がなされていない」「抗 MRSA 薬の投与は不

Page 19: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

15

要と考えられる」、「使用理由が不明」の 9 項目に分類した。カンフ

ァレンスにて使用理由が不明の場合には病棟ラウンドを行ない、診

療録の閲覧、「抗 MRSA 薬の適応内だが、他剤でも治療可能と考え

られる」「細菌学的検索がなされていない」「抗 MRS A 薬の投与は不

要と考えられる」、「使用理由が不明」に該当する場合には、主治医

への確認なども行ない評価を完成させた。評価結果に関しては、感

染防止対策委員会に報告され、更に感染対策リンクドクターへ文書

として報告されている。また検出菌の感受性結果から de- esca l a t ion

が可能な症例については介入して、主治医に標的治療に変更を提案

した。

2 .2 抗 MRSA 薬使用状況の推移

2006 年 1 月から 20 12 年 1 2 月までの 7 年間の v an com yci n( VCM)、

t e i cop lan in( T E IC)、arbekac in( A BK)、l i nezo l id( LZD)、dap tom ycin

( DAP)使用量、および使用患者数を 1 年ごとに集計した。なお、

抗 菌 薬 の 使 用 量 は 1 ,000 患 者 日 数 あ た り の Ant imicrob ia l Usage

Dens i t y( AU D)を次式により算出し、評価した。抗菌薬の Def ined

da i l y dose( DD D)は WHO の ATC in dex vers ion 20132 8)を使用した。

また、小児のデータは成人のデータと区別せずに集計した。

AUD( 1 ,00 0 患者日数あたり)=抗菌薬使用量( g) ÷[ DDD( g)

×入院患者延べ在院日数] ×1 ,0 00

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16

2 .3 抗 MRS A 薬適正使用の推移

抗 MRSA 薬の適正使用率、および de- esca l a t ion の実施率を 1 年

ごとに集計した。適正使用の判定は「抗 MRSA 薬の投与の対象とな

る原因菌が無菌的な検体から検出されている状況」、「無菌的な検体

ではないが白血球の貪食像が認められるなど原因菌の可能性が高

いと考えられる」、「臨床的に投与が必要な状況と判断される」、「発

熱性好中球減少症」の 4 項目とした。また、検出菌の薬剤感受性試

験結果によって、抗 MRSA 薬から他剤による標的治療に変更が可能

であったものを d e-es ca l a t ion とし、汚染菌と判定され抗 MRSA 薬

が中止となったものは de- esca l a t ion から除外した。

2 .4 MRSA と MSSA 検出状況の推移

同期間において入院患者から分離、同定された MRSA、meth ic i l l i n

s ens i t i ve Staphy lococcus au reus(MSSA)を対象に検出状況を 1 年ご

とに集計した。なお、検出状況は 1 , 000 患者日数あたりの検出率を

次式により算出し、評価した。同一患者から複数検体が提出された

場合には、 1 入院期間につき 1 回のみのカウントとした。

検出率( 1 ,000 患者日数あたり)=(検出患者数 ÷入院患者延べ在

院日数) ×1 ,0 00

また、同期間において検出された M RSA および MSSA の総和に

占める MRSA の割合を算出し 1 年ごとに集計した。

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2 .5 MRSA の薬剤感受性と推移

入院患者から分離、同定された MRS A を対象に VCM、TE IC、A BK、

LZD の感受性率の調査を 1 年ごとに行った。 VCM については M IC

の分布も検討した。測定には日水製薬株式会社のライサスエニー ®

を使用した。なお、薬剤感受性菌の判定は C LS I に準じ、 1 1 )規定の

ない ABK については GM と同様の基準で行った。

2 .6 . 統計解析

2 群のベースライン比較のカテゴリー変数に関しては χ2 独立性

の検定を用いた。各群の期待度数が 5 未満の場合は Fi sher の直接

確率計算法を用い,何れも危険率 5 %で有意と判定した。なお,統

計解析には Micros of tⓇ Ex ce l 2010( Microsof t Co .)アドインソフト

のエクセル統計 St a t ce l 3(オーエムエス出版)を使用した。

3 .結果

3 .1 抗 MRSA 薬使用状況の推移

抗 MRSA 薬の投与患者数は全調査期間において年間 4 20~ 476 名

の間を推移しており大きな変化はみられなかった。抗 MRSA 薬の

AUD についても 1 2 .9~ 16 .5 の間を推移しており有意な変化はみら

れなかった(図 3)。また、VCM の占有率(% A UD)は 55~ 81%と

最多であり、TE IC、ABK、LZD、D A P で各々、14~ 25 %、2~ 26%、

2~ 3%、 2%であった。

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3 .2 抗 MRSA 薬適正使用の推移

使用状況の評価では、2006 年カンファレンス開始時の 65 .3%から

2012 年では 82 .3 %と「適正使用」と判断される症例の増加が認めら

れた( p<0 .01)(図 4)。検体未提出で「評価不能」な症例や「抗 MRSA

薬の投与は不要」と考えられる定着症例など減少傾向にあった。同

様に de-es ca l a t ion 実施率も 2006 年カンファレンス開始時には 33%

であったが、 200 7 年には 72%、 20 10 年には 85%と有意に増加が認

め ら れ た ( 各 々 p <0 .05、 p<0 .0 1)( 図 5)。 全 調 査 期 間 に お け る

de-es ca l a t ion 実施の内訳は、検出菌の感受性結果から MSSA と判明

した場合には cef azo l in( CEZ)への変更が 90%、ampic i l l i n / su lbac t am

( A BPC/SBT ) へ の 変 更 が 1 0 % で あ っ た 。 meth i c i l l i n - sens i t i ve

coagu l ase -n ega t ive s t aph yloco cc i ( MS-CNS)では CE Z への変更が

100%、 Ente roco ccus faeca l i s では A BPC への変更が 1 00%であった。

また、主治医への提案で問題となる症例はみられなかった。

3 .3 MRSA と MSSA 検出状況の推移

2012 年における MRSA 検出率は、カンファレンス開始時 2006 年

と比較して 1 .72 から 0 .84 へと減少した(図 6)。また、 S .aureus に

おける MRSA の割合は 2006 年カンファレンス開始時の 59 .3%から

35 .8%へと有意に減少した( p<0 .01)

3 .4 MRSA の薬剤感受性と推移

MRSA に対する感受性率は VCM、 T E IC、 A BK、 LZD で各々、 96

~ 100%、 100%、 98~ 100%、 100%と良好な感受性率を維持してい

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た(表 4)。また、 VCM に対する M IC が 2μg/m L 株の割合は 10%程

度で推移していたが、大きな変化はみられなかった(図 7)。

4 .考察

抗 MRSA 薬の使用状況の検討とフィードバックの結果、適正使用

と判断される症例の増加、および薬剤感受性判明後の de- esca l a t ion

実施率の増加の 2 つのアウトカムが得られた。当院では抗菌薬適正

使用のための方策として、抗 MRSA 薬のうち LZD と D AP は許可制、

VCM、 TE IC、 A BK は届出制を実施している。また、血液培養陽性

患者ラウンドに加え 2006 年から感染症専門家による個々の症例で

の適正使用チェック、介入を実践する目的でカンファレンスを開催

している。

使用状況の評価では 2006 年カンファレンス開始時の 65 .3%、2012

年では 82 .3%と「適正使用」と判断される症例の増加が認められた

( p<0 .01)(図 4)。介入とフィードバックは抗菌薬の適正使用を推

進するために最も効果的でエビデンスレベルの高い方策である。2 9)

当院においても、カンファレンスの開催、評価結果の公表、病棟ラ

ウンドの実施、あるいは個々の感染症診療への積極的支援は教育的

観点からも有用であり、抗菌薬の適正使用を可能にすると考えられ

た。「適正使用」と判断される症例が経年的に増加した要因として

は、コンサルテーション数の増加、介入による処方医への教育効果、

原因菌検索のための血液培養 2 セット採取率の向上など積極的な

ICT 活動下における感染症診療体制の向上が整ってきたためと考

えられる。また、当院では週 1 回のカンファレンスのため、カンフ

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ァレンスでの検討は最長で 1 週間近く前に治療開始された症例も

含まれるが、カンファレンスのみならず、随時、医師による血液培

養陽性患者ラウンド、薬剤師による抗 MRSA 薬使用患者モニタリン

グや TDM、微生物検査技師による耐性菌モニタリングを行なうこ

とで介入等のタイムラグを解消し、疑義のある症例では感染予防対

策室に情報を集約することで適時適切なフィードバックを可能と

している。

また、薬剤感受性判明後の de -es ca l a t ion 実施率では、 2006 年カ

ンファレンス開始時は 33%であったのに対し、 2007 年では 72%、

2010 年では 85 %と有意な増加が認められた(各々 p <0 .05、 p<0 .01)

(図 5)。敗血症性ショックでは 1 時間以内に有効な抗菌薬治療が

行われた場合、生存率は 80%と高率であるが、その後 6 時間は毎時

間 7 .6%ずつ減少するとされている。 3 0)そのため、敗血症のような

重症感染症の経験的治療には想定されるすべての原因菌に有効で、

感染巣と思われる部位で適切な濃度となる抗菌薬の単独または複

数投与が推奨されており、抗 MRSA 薬を含む多剤併用療法が必要と

なる場合も多い。 3 1)一方で、MSSA 菌血症において原因菌判明後

の適切な de -es ca l a t ion は VCM 継続に比較して予後を改善すること

が報告されており、 3 2)今回の結果は耐性菌抑制のみならず、臨床

効果の点からも重要である。

当院では「MRSA ゼロへ!」をスローガンに活動している。一般

に入院患者から分離されている S .au reus の 50~ 70%を MRSA が占

めるとの報告もあるが、 2 1 , 2 2)当院では標準予防策や接触感染予防

策の徹底により近年数年間で MRSA は減少傾向を示し、S .aureu s に

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おける MRSA の割合は 2009 年には 5 0%を下回り、20 12 年には 35 .1%

まで減少したことも de- esca l a t ion 実施率の増加につながったと考

えられる。しかしながら、 ICT による病棟ラウンド実施、あるいは

個々の感染症診療への積極的支援は抗菌薬の適正使用を可能にす

るが、MRSA 検出率には影響を及ぼさないとの報告もある。 2 3 , 2 4)

一方、当院では田中らの報告 2 4)と同様に MRSA 検出率は 1 ,000 患

者日数あたり 1 .7 2 から 0 .84 と 51%と大幅な減少効果が認められた。

小林の報告 3 5)では MRSA 感染症は在院日数の増加をもたらし、医

療費でみると 1 施設あたりおよそ 2 億 7500 万円の増加につながる

とされる。この点からも MRSA 検出率の大幅な減少は耐性菌抑制の

臨床効果のみならず、医療費抑制の点からも非常に重要な結果であ

る。なお、詳細なデータの報告はないが、当院の S .au reus における

MRSA の割合は 2012 年以降も緩やかではあるが減少傾向を示し、

2014 年では 30 .7%まで低下が認められている。

調査期間において抗 MRSA 薬の使用患者数、使用量に変化はみら

れなかった。使用量に著明な変化がみられなかった要因のひとつに

は、 2009 年に ID SA、米国病院薬剤師会、感染症薬剤師会による

VCM のコンセンサスレビュー 3 6)に基づいた VCM の高濃度管理の

積極的な実践、また TE IC についても t he r apeu t i c d ru g moni to r in g

( TDM)ガイドラインで推奨されている 2 日間負荷投与、および高

濃度管理の実践も要因であると考えられる。2 1 , 3 7)当院の TDM 実施

率 は 短 期 使 用 例 を 除 き ほ ぼ 100 %で あ り 、 高 濃 度 管 理 の 影 響 が

de-es ca l a t ion 実施率の向上による使用日数の減少効果を上回った可

能性がある。また、詳細なデータは示していないが M RSA 以外の適

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応菌種の検出率に著明な変化がみられなかったこと、発熱性好中球

減少症に対する抗 MRSA 薬の使用増加も要因として考えられる。抗

MRSA 薬の占有率について、日本病院薬剤師会学術第 5 小委員会 活

動報告と比較しても VCM が最多、次いで TE IC と大きな違いはみ

られなかったが、LZD の使用はきわめて少なかった。 3 8) V C M に対

する M IC が 2μg/m L 株に対して VCM の臨床効果は期待できないと

の報告も多数あり、 3 9 , 4 0)今後は DA P、LZD も含め症例を限定して

積極的に使用することも考慮していきたい。

MRSA の薬剤感受性率は諸家の報告 4 1)と同様に V CM、 TE IC、

ABL、 LZD 各々で今回の研究期間を通して良好に維持されていた

(表 4)。 VCM は幅広い適応症を有しガイドラインでも第一選択薬

として推奨されるが、海外では MRS A に対する VCM の M IC が僅か

ずつだが年々上昇している現象( MIC creep)が報告されている。

4 2)日本では M IC が 2μg/m L 株は三学会合同抗菌薬感受性サーベイ

ラ ン ス 呼 吸 器 領 域 の 2006 年 ~ 2 009 年 収 集 454 株 か ら 56 株

( 12 .3%)、手術部位感染領域の 2010 年収集 103 株から 10 株

( 9 .7%)と報告されており、世界的にも 10%程度存在しているこ

とが報告されている。4 0)当院においても 8~ 13%と同様の結果であ

り、M IC c reep はみられなかった(図 7)。今後も継続して感受性サ

ーベイランスを実施するとともに、D AP も含めた検討が必要と考え

られる。

本研究では、カンファレンスの臨床的効果として治癒率、死亡率、

入院日数との関連性を示すまでに至らなかった。これは評価結果に

ついてのデータ解析は過去のカンファレンス記録をもとにしてお

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り、患者転帰についての記載はなく詳細が不明であったためである。

しかしながら、 IC T による全抗菌薬処方例に対する介入の結果、 2

週間以上の長期使用例の減少、MRSA 検出率の減少、入院日数の減

少などの臨床的効果が報告されている。2 5)当院では 2014 年 6 月よ

り、カンファレンスを週 2 回とし、カルバペネム系抗菌薬も含めた

フォローアップを開始しており、患者転帰も含めた評価については

今後の検討課題としたい。

抗 MRSA 薬の使用状況の検討とフィードバックの結果、適正使用

と判断される症例の増加、および感受性判明後の d e- e sca l a t ion 実施

率の増加の 2 つのアウトカムが得られた。この成果は医師による治

療上の評価、薬剤師の薬学的な視点、臨床検査技師の感受性と病原

性の評価、看護師の院内感染対策の視点といった多職種での検討の

結果得られるものと考えている。AS P のひとつとして、カンファレ

ンスは適正使用の推進をもたらし、患者個々の使用状況を把握し、

問題点を抽出することが可能であり今後も継続していく必要があ

る。

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第 3 章.鼠径ヘルニア根治術における予防的抗菌薬投与の有効性

1 .はじめに

心臓胸部外科手術や股関節形成術のような人工デバイスを使用す

る場合には、日常的な予防抗菌薬の投与が行われている。ひとたび

感染を起こすと、人工物の除去、入院の長期化、医療費増加などを

引き起こす可能性があるためである。一方、鼠径ヘルニア根治術や

乳癌手術のような清潔創では SS I 予防のための予防抗菌の必要性

は明らかではない。 4 3)

鼠径ヘルニア根治術を対象に、予防抗菌薬の有効性を評価するた

め過去 10 年間で 10 のランダム化比較試験が行われている。 4 4 - 5 4)

このうち 2 つの研究 4 4、 4 6)では、予防抗菌薬は感染率を減少させる

のに有効であったことを示したが、 8 つの研究 4 5 , 4 7 - 5 3)では否定的

な結果であった。しかし、 6 つの研究 4 7 - 5 0 , 5 2 , 5 3)では症例数 400 以

下の小規模試験であったため、統計的な優位差を示すには検出力が

不十分であった。同様に、 6 つのメタ解析でも予防抗菌薬の有効性

は示すことができなかった。 5 4 - 5 9)従って、これはまだ議論の余地

のある問題である。また、ランダム化比較試験では感染率が高リス

ク患者ではなく、低リスク患者の登録が多くなされていた。この結

果を受け、欧州ヘルニア学会のガイドライン 6 0)では、臨床的に感

染率が低リスク( <5%)と推定される成人患者では予防抗菌薬は推

奨されておらず、ヘルニアの再発症例、高齢者、および免疫抑制状

態など SS I の危険因子がある場合のみ推奨されている。

Page 29: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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日本では 1 年間におよそ 16 万件の鼠径ヘルニア根治術が行われ

ており、米国と欧州を合わせると 1 年間に 100 万件を超える手術件

数となる。 4 5)もし、鼠径ヘルニア根治術において予防抗菌薬が不

要であれば、医療費を削減できるだけでなく、抗菌薬に起因するア

レルギーなどの副作用や耐性菌の獲得リスクを減少できる可能性

がある。6 1)また、鼠径ヘルニア根治術の SS I 発生率はわずか 1%か

ら 4%と低リスクであり、6 2)予防抗菌薬の使用を正当化するのに十

分ではない。また、日本大学医学部付属練馬光が丘病院(以下、当

院)での鼠径ヘルニア根治術のレビューでは、 SS I の発生は約 1%

であった(未発表データ)。しかしながら、研究時点において当院

では、予防抗菌薬の有効性の十分なエビデンスがないにもかかわら

ず、日常臨床では実施している現状があった。

今回我々は、鼠径ヘルニア根治術に対する予防的抗菌薬投与が

SS I 発生率を低下させるかどうか明らかにするため、単施設、プラ

セボ対照、無作為化二重盲検群間比較試験を行った。

2 .方法

2 .1 研究デザイン

試験は 2007 年 7 月から 2011 年 12 月に当院の一般外科にて行っ

た。本章の研究は「疫学研究に関する倫理指針」に準じ、院内の倫

理委員会の承認を得て実施、全ての患者に書面によるインフォーム

ドコンセントを行った。なお、本試験は Cl in i ca lTr i a l s .gov に臨床研

究の登録をされている( NCT006368 31)。

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2 .2 選択基準と除外基準

片側および両側鼠径ヘルニア症例のうち open m esh -p l ug 法によ

る t ens ion - f ree ヘルニア根治術の待機手術症例を対象とした。除外

基準は外来患者、日帰り手術、 18 歳未満、再発ヘルニア,緊急の

ヘルニア修復を必要とする嵌頓ヘルニアと絞扼性ヘルニア、妊娠ま

たは授乳中、β -ラクタム系抗菌薬またはセファロスポリン系抗菌薬

に対する重篤な薬剤過敏症、薬物アレルギーの既往、手術前 48 時

間以内の抗菌薬治療、手術時に感染症の存在、臨床上問題となる心

疾患を合併、基礎疾患による二次感染のリスクが高い症例、免疫抑

制(ヒト免疫不全ウイルス感染症、悪性腫瘍、抗癌化学療法など)、

米国麻酔学会( A mer ican Soc ie t y o f Anes thes io lo gi s t s;ASA)術前状

態分類が IV を超える症例、研究に同意がえられなかった症例とし

た。また、既往に糖尿病のある場合には HbA1 c<6 .5%を目標にコン

トロールを行った。

2 .3 無作為化

患者は予防抗菌薬群またはプラセボ群のいずれかに二重盲検法

で無作為に割りつけられた。すべての外科医と他の医療スタッフは

患者の無作為化の詳細を知ることはできなかった。なお、薬剤部に

て Microso f tⓇ Ex ce l 2010(Microsof t Co .)を使用しブロック無作為

化法で 50 名ごとに無作為割り付けを行った。

Page 31: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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2 .4 手術手技

皮膚は手術直前に剃毛を行い、10%ポビドンヨードを用いて消毒

したうえで、全身麻酔と局所麻酔下で手術を行った。メッシュには

monof i l amen t po l yprop ylen e mesh( P er Fix P lug®

; CR Ba rd , Crans ton ,

R I)を使用、縫合糸には 2-0 mono f i l am en t po l yprop yl en e 糸 (Po l yso rb®

;

Cov id i en ,M I)を使用してメッシュを固定した。なお、ドレーンの留

置は行わなかった。

2 .4 介入

予防抗菌薬群では 1 .0 g のセファゾリン Na(アステラス製薬株式

会社)を 100 m L の生理食塩液(大塚製薬工場株式会社)に溶解し

て、執刀直前に 3 0 分間で点滴静脈内投与した。プラセボ群では、

生理食塩液を同方法にて投与した。

2 .5 フォローアップ

最初のフォローアップは術後 7〜 8 日の外来受診とし創傷被覆材

および縫合糸を抜去した。第 2、第 3 のフォローアップは術後 1 ヵ

月と 3 ヵ月とした。創部の評価は執刀医を除いた 2 人の外科専門医

によって慎重に検討された。CDC の基準 6 3)に準拠し、創傷感染が

表面的な SS I または深部 SS I( DSS I)として分類し、表在的な SS I

は術後 30 日以内に起こる切開部位の皮膚や皮下組織の感染と定義

Page 32: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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した。 DSS I は術後 1 年以内に発生し、人工デバイスが所定の位置

にあり、切開部位の深い軟部組織を含む感染と定義した。患者背景

の調査項目は BM I(WHO の基準に準拠し肥満は BM I>30)、ヘルニ

アの種類(内鼠径、外鼠径、併存型)、ヘルニアの部位(右、左、

両側)、基礎疾患(糖尿病、心臓病、神経疾患、肺疾患、その他)、

ASA グレード、外科医(専門医、レジデント)、手術時間、切開創

の長さ、および入院期間とした。

2 .6 統計解析

正規分布を示す連続変数は平均値 ±標準偏差、非正規分布を示す

連続変数は四分位範囲を有する中央値として示した。 2 群のベース

ライン比較にはスチューデントの t 検定またはウィルコクソンの順

位和検定を使用した。カテゴリー変数は、絶対値およびパーセント

を示した。比率のベースライン比較には χ2 独立性の検定または

Fi she r の直接確率計算法を用いた。主要評価項目の累積 SS I 発生率

については、K apl an -Mei e r 生存曲線を用い、ログランク検定を行っ

た。何れも危険率 5%で有意と判定した。

主要評価項目は予防抗菌薬群とプラセボ群での術後 3 ヵ月以内

の SS I とした。すべての統計処理は In t en t ion to t r ea t( ITT)解析の

原理に準拠し行った。必要症例数の算出には α - e r ro r =0 .05、

β - e r ro r =0 .2 を用い、文献値 4 4 , 4 5)より推測してプラセボ群の S S I 発

生率は 7%、予防抗菌薬群の SS I 発生率は 1%とした場合、片側検定

で必要症例数は各群約 200 症例必要であった。

Page 33: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

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主要評価項目に対して、必要症例数の半数が登録した時点を含め

て 100 症例ごとに 3 回の中間解析、最終解析の 1 回を予定した。し

かしながら、 2 回目の中間解析で p <0 .031 と統計学的な有意差が認

められた。なお、 p 値の決定には La n & D eMets の α 消費関数

( O’ Br ian & Flemi ng タイプ)を使用した 6 4 , 6 5)。安全性データ・モ

ニタリング委員会は、 3 ヵ月ごとに盲検化された患者データを見直

し、計画的な中間解析を行うことにより、見落としを規制した。副

次評価項目は術後 3 ヵ月以内のその他の合併症の発生とし、同様に

危険率 5%で有意と判定した。また、研究対象の抗菌薬による可能

性のある有害事象も報告した。データ解析には Sta t a v e r s ion 12 .1

(S t a t aCorp LP , Co l l ege S ta t ion , T X) .を使用した。

3 . 結果

3 .1 患者

2011 年 12 月、 2 回目の中間解析の結果から、予防抗菌薬群に比

較してプラセボ群の有害事象が有意に認められたことから、本研究

は早期に中止した。試験登録された患者 200 名のフローチャートを

示した(図 8)。なお、主要および副次評価項目のフォローアップ

は全ての患者において完遂した。

3 .2 研究結果

合計 33 名の外科医(レジデント 2 3 名、専門医 10 名)が本研究

に参加した。全手術のうちレジデントが執刀したものは 83%であ

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30

り、発生した S S I はレジデントが執刀した手術でのみ認められた。

2 群間のベースライン比較では SS I の発生、およびその他の術後合

併症の発生率を除いて統計学的有意差はみとめなかった(表 5)。

主要評価項目の S S I 発生率は 2 0 0 例のうち 1 5 例( 7 . 5%)であり、

予防抗菌薬群では 100 例のうち 2 例( 2%)、プラセボ群では 100

例のうち 13 例( 1 3%)であった。この結果、相対リスク比は 0 .25

( 95%信頼区間 0 . 07〜 0 .92、p=0 .006)、絶対リスク減少は 11%[ SS I

の 1 エピソードを防ぐための治療必要数( number needed to t r ea t;

NNT)は 10]、および相対リスク減少率は 85%であった(図 9)。

すべての SS I は表在感染であり、深在感染はいずれの群でもみられ

なかった。術後 1 年 9 ヵ月でプラセボ群では 1 例の晩期感染を認め

たが、この症例は CDC による創感染の定義には該当していなかっ

た。副次評価項目のその他の合併症の発生は、 200 例のうち 23 例

( 11%)、予防抗菌薬群では 7 例( 7%)、プラセボ群では 16 例( 16%)

であった( p= 0 .04 6;図 10)。副次評価項目の詳細は表 6 に示した。

いずれの群においても、術中合併症などの有害事象や死亡はみられ

なかった。また、入院期間の中央値は、各群ともに 3 日間であった。

3 .3 SS I 症例の詳細

すべての SS I は退院後の外来フォローアップで診断された。予防

抗菌薬群の 2 例の SS I はドレナージのみで改善した。プラセボ群の

7 例の SS I は経口抗菌薬とドレナージの処置で、残りの 4 例はドレ

ナージのみで改善した(表 7)。また、片側ヘルニアでは 1 例、両

側ヘルニアでは 1 4 例が SS I を発症していた。両群においても、メ

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31

ッシュの除去を必要とする症例はおらず、すべての患者で SS I は治

癒した。

4 . 考察

本研究では Mesh - p lug 法によるヘルニア根治術に際して、予防抗

菌薬は SS I に対して 13%から 2%に発生率を減少させる効果がある

可能性が示唆された。そのうち約 1 0%の患者で予防抗菌薬の恩恵

を受けると推定できた( NNT =10)。また、抗菌薬の予防投与は、

他の術後合併症の発生率を減少させることが示唆された。

本研究では SS I の発生率はプラセボ群では 13%を生じていたが、

以前の報告と比較しても極端に高いものではなかった。 4 つランダ

ム化比較試験 4 4 , 4 6 , 5 1 , 5 3)では、open 鼠径ヘルニア修復後の予防抗菌

薬の有効性を評価したところ、 SS I の発生率はプラセボ群では 8 .2

~ 12 .5%と報告している。スコットランドの大規模スタディ 6 6)で

は鼠径ヘルニア根治術の退院後の S S I 発生率をサーベイランスす

るため、電話インタビューで有効性を評価したところ病院間での違

いは 0~ 14 .6%あることを実証した。本研究では他のランダム化比

較試験よりも多くのリスク要因(両側ヘルニア、 70 歳以上、糖尿

病、ASA グレード I I I、および手術時間 60 分以上)の症例が含まれ

ていた。したがって、本研究ではこれらの要因がプラセボ群の SS I

発生率 13%を反映していると考えられた。

本研究では全患者の 83%はレジデントが執刀しており、すべて

の SS I はレジデントによる手術で発生していた。全体としての SS I

Page 36: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

32

発生率は 7 .5%であったが、レジデントが手術を行う教育病院での

一般的な問題を反映しているかは不明である。しかし、 2 つのラン

ダム化比較試験 4 5 , 5 1)では患者の 43%~ 89%はレジデントによって

執刀されているが、外科医の経験年数は SS I 発生の重要な危険因子

ではないことを報告している。また、 Ta ylo r ら 6 6)の報告では外科

医の経験年数が S S I の発生率に影響を及ぼさなかったと結論づけ

ている。一方、本研究では 13 例は両側ヘルニアを有し、うち 1 例

が SS I を発症していた。我々の研究に加えて、 3 つのランダム化比

較試験 4 5 , 5 1 , 5 3 )は各々、全患者の 6%、 8%、および 11%が両側ヘル

ニアであったが、両側ヘルニアと S S I の発生率との相関は認められ

なかった。

以前の報告では S S I 発生率は 2%〜 3%と低く、感染は創傷ドレ

ナージと抗菌薬の簡単な方法で治療できるため、予防抗菌薬は低リ

スク患者では避けるべきであると述べられている。 4 4)低リスク患

者に対する予防抗菌薬の使用については議論の対象となることが

ある。第 1 に SS I の発生率は過小評価されている。 SS I の発生率は

患者に関連した危険因子、手術に関連する危険因子、および施設の

衛生状態によって影響されるので、患者ごと施設ごとに異なる。確

かに、大規模な研究では病院間での SS I 発生率は 0~ 14 .6%と違い

があることを報告している。 6 6)これは SS I の真の発生率が非常に

高い可能性があり、すべての患者に予防抗菌薬を行うことで SS I の

発生を減少することが期待できると考えられる。第 2 に、最近のメ

タ解析 5 9)では患者の大部分は低リスクであったが、予防抗菌薬の

重要な有効性を示された [オッズ比 0 .54( 95%信頼区間 0 .37~ 0 .81)]。

Page 37: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

33

この研究では予防抗菌薬は低リスク患者においても非常に有効で

あることを示している。

本研究では予防抗菌薬の費用対効果についての検討はなされて

いない。 Auf en ack er ら 4 5)がオランダからデータベースを使用して

行った研究では予防抗菌薬の費用を削減できれば、米国と欧州では

約 1、 000 万ユーロの医療費削減につながると推定される。これと

は対照的に術後の感染症関連の医療費を評価した調査では、鼠径ヘ

ルニア根治術後に感染症の 1 患者あたりの年間医療費は 44 ,800 ド

ルであり、大腸手術の 48 ,440 ドルとほぼ同様であった 6 7)。これら

の研究は S S I が医療費の面で重要な問題となることを示している。

予防抗菌薬は医療経済の観点からも効果的であると考えられる。し

かし、抗菌薬の潜在的な利益については費用対効果に対する注意深

い分析されてはいなかった。

DSS I は鼠径ヘルニアの再発の危険因子であると考えられている。

一方、いくつかの研究では SS I はヘルニアの再発を増加させないこ

とが報告されている 4 6 , 5 2 , 6 8)。実際に本研究では 3 例のヘルニアの

再発があったが、 SS I はみられなかった。 Auf enacke r らの報告 4 5 )

によると DSS I の発生率は 0 .2%から 0 .4%の範囲であり、まれな

DSS I は鼠径ヘルニアの著しく低い再発率との関連がみられた。こ

れは議論の対象となる問題である。 DSS I に対する予防抗菌薬の有

効性を検討したメタ解析では予防抗菌薬の有効性は示されなかっ

た [オッズ比 0 .50( 95%信頼区間 0 .12~ 2 .09) ]。しかし、そのメタ

解析は DSS I に対する予防抗菌薬の有効性を証明するためには検出

力が 10%と十分ではなかった。したがって、これらの知見は慎重

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34

に解釈されるべきである。 Ta ylo r ら 6 6)は DSS I がいったん発症す

ると、しばしばメッシュの完全な除去が必要となるため、 DSS I の

管理は難しく、最終的には繰り返し入院が必要となると結論付けて

いる。 4 8)

ドレーンの留置が SS I を予防することができるかどうかは議論

の余地がある。 Yerde l らの報告 4 4)ではドレーン留置は SS I のリス

クが増加することが示された。一方、 Aufenacker ら 4 5)および

Tzovaras ら 4 9)の報告では SS I のリスク増加は認められなかった。

これらのランダム化比較では矛盾する結果が示された。したがって、

ガイドラインでは出血量の多かった患者、および凝固系の異常のあ

る患者に対してのドレーンの使用を推奨している。 6 0)

術後の数年経って発生する遅発性 D SS I はまれな合併症であり、

発生率は 0 .03%~ 1 .4%と報告されている 6 9 - 7 1 )。 我々は、プラセボ

群で 1 年 9 ヵ月後に遅発性 DSS I の症例を 1 例経験した。患者は、

メッシュの除去を必要せず、抗菌薬投与のみで治癒することができ

た。1 つの後ろ向き研究では、遅発性 DSS I の発生率は予防抗菌薬、

SS I の既往、メッシュの種類、またはヘルニアの再発との関連性は

みられなかったと報告している。7 0)また、遅発性 DSSI の病因につ

いては明らかになっていないが、このタイプの感染はメッシュの普

及でより一般的になる可能性があると考えられた。 7 0)

日常的な予防抗菌薬は SS I の発生率だけでなく、他の合併症も有

意に減少させた。同時にサブグループ解析においても、患者が高リ

スクか低リスクかどうかにかかわらず有意な差はみられなかった。

したがって、我々は入院患者の鼠径ヘルニア根治術における SS I 予

Page 39: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

35

防のために、日常的な予防抗菌薬を行うことは適切であると結論づ

けた。一方、真の危険因子、予防抗菌薬の費用対効果、および晩期

感染などその他の疑問を解決するためには、今後さらなる研究が必

要である。

Page 40: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

36

終章

1.総括と結論

本研究では耐性菌に対する戦略としての薬剤師 ASP 活動に焦点

を当てた検討を行った。

第 1 章では、耐性菌データの解析、および新規薬剤の M IC 測定

を行い情報提供することは、有効な抗菌薬の選択と長期的な抗菌薬

感受性の維持において有用である可能性が示唆された。 7 2)本研究

では詳細なデータの提示はなかったが、カルバペネム系抗菌薬の適

正使用に関する院内ガイドラインを策定し、適応症について明記し

た届出用紙を用いて使用制限を行った結果、使用量の減少と緑膿菌

のカルバペネムの感受性率の改善が認められた。 7 3)このように耐

性菌情報を把握し抗菌薬の適正な使用により、これら耐性菌を抑制

することは薬剤師の責務であると考える。

第 2 章では、積極的な介入とフィードバックは主治医に対する教

育的効果としての適正使用率と de- esca l a t ion 実施率の上昇だけで

なく、MRSA の減少にもつながる可能性が示唆された。 7 4)本邦で

は形式的な使用届出制や許可制であった施設も少なくないと推察

される。しかしながら、当院では届出や許可申請の際に多職種協働

で内容を吟味し、より適切な抗菌薬の選択や用法用量を主治医に提

案する「介入とフィードバック」の実践が本研究の結果につながっ

たと考えられる。現在では抗 MRSA 薬のみならず、広域抗菌薬とし

てカルバペネム系抗菌薬と p ip er ac i l l i n / t azobac tam( P IPC/TAZ)つ

いても同様の取り組みを行い、更なる適正使用の推進体制の確立を

目指している。

Page 41: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

37

第 3 章では、医師と共同で臨床的疑問を解決する前向き介入試験

を実施することで、術後感染予防抗菌薬の適正化に貢献することが

できた。 7 5)一方、日本ヘルニア学会からの鼠径部ヘルニア診療ガ

イドライン 20157 6)では予防的抗菌薬の SS I の予防は限定的である

としているが、最新の研究では有効性を示すメタ分析もあり、今後

ガイドラインの見直される可能性についても言及している点に注

意が必要である。また、本研究の対象は鼠径ヘルニアのみであった

が、今後は日本化学療法学会と日本外科感染症学会から発刊予定の

術後感染症予防抗菌薬ガイドラインを参照し、当院における周術期

の抗菌薬ガイドラインを整備し、IC T が苦手とする傾向のある外科

系への介入を進め、術後感染予防抗菌薬適正使用の普及にも努めて

いきたい。

筆者はその他にも ASP 活動として PK-PD 理論に基づいた投与量

の適正化についての検討も行っており、 7 7 - 8 2)こうした包括的な抗

菌化学療法管理を行うとともに、将来的には ASP 活動のアウトカ

ムの評価として、医療経済面での検討に拡大すべきであると考える。

さらに、当院においては病棟薬剤業務実施加算の導入に伴い、すべ

ての病棟に専任薬剤師が常駐しており、ICT 薬剤師との密な連携を

はかることで更なる抗菌薬適正使用の推進が可能と考える。

2.結語

耐性菌出現の抑制を目的とした薬剤師の ASP 活動として、包括

的な抗菌化学療法管理に関する臨床薬学的実践の試みについての

有用性を示すことができた。

Page 42: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

38

謝辞

本研究は、著者が明治薬科大学大学院薬物治療学教室教授 越前

宏俊先生のご指導のもとに行ったものです。本論文をまとめるに際

し、ご指導いただき、心より感謝申し上げます。また、副査として、

薬効学教室教授 庄司優先生、感染制御学教室教授 池田玲子先生

に貴重なご助言をいただき、深く感謝します。

本論文をまとめるに際し、終始ご指導、ご鞭撻を賜りました薬物

治療学教室講師 小川竜一先生に感謝申し上げます。また、本研究

の実施に際し、終始多大なご指導、ご鞭撻を賜りました日本大学病

院薬剤部部長 鏑木盛雄先生、日本大学病院薬剤部技術長 菊池憲

和先生、日本大学医学部附属板橋病院薬剤部部長 吉田善一先生、

医療法人社団隆樹会林内科クリニック院長 林国樹先生、日本大学

医学部内科学系総合内科・総合診療医学分野准教授 矢内充先生、

日本大学医学部医学科医学研究企画・推進室准教授 間﨑武郎先生

に心より感謝申し上げます。さらに本研究に多大なるご協力を賜り

ました同薬剤部諸氏に厚く御礼申し上げます。

Page 43: Studies on the Contribution of Clinical Pharmacists in ...Rational Antimicrobial Chemotherapy with Multidisciplinary Antimicrobial Stewardship Program 平成27 年度 論文博士申請者

39

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