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TAISEI NAVI 2013 / 大成ナビ 2013

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大成高校 2013年度版 ナビパンフレット

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夢 が私たちのエンジンTAISEIを巣立ち夢を持って頑張っている先輩を

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僕の活躍でだれかが元気になってくれるそんなプロ野球選手になりたい!

 今年、本誌を読んでくださっているみなさんは、ひとりの大成OBの若者が、大きな夢をつかむまさにその瞬間を目の当たりにすることができるかも知れません。 戸田亮さん23歳、現在 JR東日本野球部に所属する2年目のピッチャー。チームは昨年全国都市対抗野球大会で初優勝を果たした実業団の名門。昨年の大会ではマウンドに立つことはできませんでしたが、今年こそは、東京ドームの大観衆のもとでその右腕をうならせてくれるはず。そして、その先にプロ野球選手の登竜門であるドラフト会議が……。 戸田さんは、小学、中学、高校と一度もレギュラーになったことがありません。高校も大学もけっして野球の名門校や強豪校ではありません。マスコミからチヤホヤされることもない、野球エリートでなかったそんな彼が、今年、全国優勝とドラフト指名という2つの奇跡を起こそうとしているのです。

外野手からいきなりピッチャーへそこから地獄の特訓が始まった

野球はいつから? 小4から軟式野球を始めて、小中は地域のクラブチームに所属していました。ポジションは外野でした。 当時の大成野球部はどんな感じでしたか? 高校野球って、練習も上下関係もずいぶんと厳しいものだなって思いました。名門校はもっと壮絶らしいのですが、それに比べたら……。高校時代の一番の思い出は、じつは3年間レギュラーになれなかった悔しさですね。 大学でも野球を続けた? ええ、二番手三番手の僕が大学で通用するわけがないと思っていたので、大学は強豪ではない高千穂大学に入りました。ところ

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 平成 23年 11月1日、第 82回都市対抗野球大会の決勝が京セラドーム大阪で行われました。相手は同じ東京都のNTT東日本。延長 11回、劇的なサヨナラ勝利を収めると、球場は大きな歓声と拍手に包まれました。ベンチから飛び出した選手のなかに戸田さんもいましたが、歓喜のなかでもなぜか「悔しい」思いの自分がいました。それは決勝の大舞台で投げるチャンスがなかったからです。肩を慣らすためにブルペンまで行ったのに……。でも、社会人になったばかりのチームの優勝は、戸田さんにプロの道を目の前に見せてもくれました。なぜなら、その年のドラフト会議で、同じチームの3人の先輩が指名を受けたのです。十亀剣(西武)、縞田拓弥(オリックス)、川端崇義(オリックス)の3選手です。優勝を記念したプレートには戸田さんの名前も刻まれていますが、「やはり今年は投げて活躍したい」決意を新たにする戸田さんです。

戸田 亮さん (23歳)JR東日本■とだ・りょう■右投げ右打ち、身長181cm、体重75kg、一番の武器はMAX151kmのストレート。大成に入った頃は156cm。それが大学でも背が伸びて、今ではプロらしいがっしりとした体型に。家族はご両親とお姉さん。やりたいと言えば、なんでも応援してくれたご両親、お父さんは大成野球部の父母会長でした。「現在の監督は大学の試合も見に来てくれましたし、父とも仲良し」だそうです。

が、入部したてのある日、元プロ野球の選手だった嶋田信敏監督が、キャッチボールをしている僕を見て、「今日からオマエ、ピッチャーやれ」と。 そんなに簡単にピッチャーに転向できるのですか? 慣れないうちは毎日すさまじい筋肉痛でした。それで、あるとき、全国でも有名な強豪チームと試合があり、たまたま先輩の代わりに僕が投げることになりました。なにしろ相手は強豪ですから、プロのスカウトも相手チームの選手たちを目当てに来ている、そんな試合で、僕は1-0で完封してしまったんです。試合後、スカウトの人がやってきて「鍛えればプロになれる」と言うと、監督は、いきなり「野球でメシを食いたいか?」と聞いてきたんです。もちろん少年野球の頃からプロはあこがれですが、まさか自分がなれるはずなんかない……。 でも、監督の言葉を聞いた瞬間に「やりたいです!」と返事をしていましたね(笑)。そして、その日から監督は僕だけに言葉にできないくらいの厳しい地獄のような指導をするようになりました。それがあったからこそ、今こうして一流の実業団にいられるんですけどね。

大学では活躍をされたんですね。 チームはそんなに強くはないので、勝敗は自分の肩にかかっていました。11試合81イニング投げていたときもありましたね。 それはほぼ毎回投げていたってことですね。 ええ、勝てばみんなが喜んでくれる。親兄弟もおじいちゃんやおばあちゃんまで。それと、強いチームであればあるほど燃えましたね。 どうして? 強豪チームならスカウトの人が来ていますからね。そこで相手を倒せば「あの選手いいじゃないか」って言われる。「オマエ投手なのにレギュラーじゃん」とか、「そんなに投げたら肩壊すよ」なんて相手の選手にからかわれるときもありましたけれど、有名大学ならプロとのパイプも太いし、何もしなくても注目されます。でも、僕らはそんなことは言っていられない、僕にとっては毎日が就活でしたね。 今でもよく大成で後輩の面倒をみているようですね。 大成にも大学にも、休みのときはできるだけ行くことにしています。行くと後輩たちに、一度もレギュラーになれなかったこんな僕だって実業団に入れるし、ドラフトだって夢じゃないって話します。そうすると、昔の僕みたいにレギュラーになれなくてクサっているヤツでも、勇気を持ってもらえるかもしれないですからね。後輩を見ていると、ああ僕もこういうときがあっ

先「、に逆。すまりかわてっなうろだんるいでん悩とっき、かとなた輩、がんばってください!」なんて言われると、自分自身の活力にもなりますね。

さあ、都市対抗も近づいてきましたね。 僕は甲子園も行っていないし、今まで大観衆のなかで投げたことが一度もない。だから、東京ドーム5万 5000人の大観衆の中で投げたいですね。大成の後輩たちにも僕の姿を見てもらいたい。僕の夢は、「小学校から高校まで一度もレギュラーになれず、甲子園にも行ったこともないのにプロになれた、戸田亮という選手だっているじゃないか」って、悩んだり落ち込んだりしている人を励ますときに名前が出るような選手になることですね。

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体育祭2012年6月

 大成の体育祭は、学年を越えた6つの連合色のチームに分かれた対抗戦や、学年内でのクラス対抗戦で競い合います。だから、競技に参加している生徒も応援している生徒も、そして先生たちも本気で熱中してしまう面白さがあります。綱引き、騎馬戦、大縄跳び、リレーなどの競技はもちろん、各チームの応援合戦も毎年見応えがあります。3分間のパフォーマンスは観客の採点対象となっているので、振り付けや衣装にも力が入ります。闘志を燃やす姿、団結する姿、ユーモアや笑い……生き生きとした大成生の素顔に会える1日です。

~フォトギャラリー~

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 前日祭から始まる大成祭は、後夜祭でその幕を閉じます。体育館で行う後夜祭には全校生徒が集まり、ダンス部門、バンド部門のコンテスト優勝団体のアンコール公演などをみんなで見ます。数ヶ月間、発表や作品に一緒に取り組んだ仲間たちとの思い出、達成感、受賞した喜び、賞を逃した悔しさ、それらのいろいろな感情があふれ出す後夜祭、そこには感動のフィナーレが待っています。

 学園全体がお祭りの舞台です。特に文化部の発表はこの日のために練習を積み重ねてきたものばかり。サンクンガーデンでのバンド演奏、講堂でのダンスなどはプロ顔負けのものもあって、一瞬、学校にいることを忘れてしまいそう。

 毎年のテーマに沿って作られる巨大なモザイクアートが大成祭の名物です。大きさはこの写真でもわかるとおり、縦は教室3階部分よりも長い。この絵に使われる色紙はなんと約30万枚、34のクラスがそれぞれのパーツを持ち寄って、大成祭前日から屋上で張り合わせられて完成しました。

大成祭2011年9月

 体育祭と二大イベントでもある大成祭。1年の中でも最も学園全体が盛り上がるイベントです。この2日間のために、生徒たちの事前準備は4月から始められます。実行委員を決め、食品販売や公演、展示などの参加団体は実行委員会へ事前に企画書を提出してプレゼンテーションも行います。昨年は大きな災害もありましたが、明るい未来を信じて笑顔でいることは大切

平成23年の大成祭のテーマは 「笑顔」 ~みんなのために ベストスマイル~

後夜祭

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 2年生での修学旅行の旅先は沖縄でした。平成23年10月24日~27日まで、2年生500名、引率職員23名、添乗員4名の総勢527名が3泊4日で、テーマごとに沖縄を体験してきました。 1日目のテーマは『琉球王国の歴史に触れる』。首里城・識名園などを見学して、世界遺産にもなっている琉球王国の歴史遺産を見学しました。現在の沖縄のルーツを知り、本土とは異なる文化や風習について考える良い機会となりました。 2日目のテーマは『平和問題を考える1日』。コース別に、ひめゆりの塔、平和祈念資料館、壕の見学、平和の礎を見学しました。特に、壕に入って聞いたガイドさんの話は、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて考えさせられる内容で、人々の幸せとは何かを

学びました。修の回今はれこ。』泊民・るれ触に然自大『、は目日3 

学旅行のメインイベントで、美ら海水族館を見学した後に民家での宿泊体験をします。生徒たちは伊江島・本部町の民家に分かれて宿泊し、各家庭では本物の沖縄の生活に触れました。わずか1日だけですが、一緒に過ごした家族との別れはとても名残惜しく、写真を撮ったり抱き合いながら涙したりしている姿が見られました。生徒たちにとっては、名所旧跡を見学するだけの旅行では味わえない、人との触れ合いを実感できる貴重な体験となりました。 4日目は、『沖縄の今に触れる』。国際通りを班別で自主行動。お土産を買ったり、沖縄ならではの食べ物に挑戦したり、各自の方法で沖縄を満喫しました。

 8月に行われる受験生を対象とするオープンスクール。今年もたくさんの受験生が大成の授業や部活を体験しました。

業が必要であり、自学自習は飛躍的に自分をのばす最良の業である。その業を身につけるために勉強合宿があります。都会の暑さとは無縁の緑豊かな最高の環境で、朝から晩まで勉強し、生活のリズムをつかみます。実力養成はもちろんですが、集中力、やる気、根気などといった実力をつけるためのベースとなる力を鍛えることができ、その後の学習習慣が変わっていきます。多くの先輩が大学受験にて、役立ったと言っています。

理科の実験授業を体験。思わず拍手も起きる楽しい授業でした。

弓道部の体験。弓を手にするのは初めてという中学生が多く、保護者のみなさんも興味津々。

勉強合宿勉強習慣が変わる、志賀高原の4日間!

あなたも1日大成生! オープンスクール

平和を考える、人と文化と歴史に触れる!修学旅行

~フォトギャラリー~

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定食………………………… 500円日替わりランチ…………… 450円日替わりラーメン………… 360円とんかつランチ…………… 420円唐揚げランチ……………… 420円ラーメン(醤油・塩) ………… 310円味噌ラーメン……………… 360円チャーシューメン………… 410円スパゲッティ……………… 350円カレーライス……………… 320円カツカレー………………… 390円唐揚げカレー……………… 390円きつね(うどん・そば) ……… 290円たぬき(うどん・そば) ……… 270円かき揚げ(うどん・そば) …… 310円カレー(うどん・そば) ………… 310円セット麺(ミニカレー ) ……… 100円ミニサラダ………………… 100円サンドウィッチ、おにぎりも販売

在校生、卒業生ともに絶大な人気

月さん。購買部で文房具や制服のシャツなどを販売しています。生徒たちは望月さんの前では、先生に言えない悩みもこぼしていくそうで、長年、素顔の大成生を見守ってきました。ショーケースには、生徒と望月さんとのスナップ写真もたくさん張られていて、卒業生もやって来ては、思い出話をしていきます。ご自身は毎年、ご夫婦でホノルルマラソンに参加するのが楽しみだそうです。

購買部

※メニューおよび価格は変更になる場合があります。

定食はボリューム、値段ともに大満足!デミグラスソースの味も抜群です。定食メニューも毎日替わります。

ラーメンは醤油と塩と味噌がありますが、この日の日替わりは大人気の麻婆豆腐がトッピングされた麻婆ラーメン。

カレーにはやっぱりとんかつを乗せたいよね!

大人気のカツカレー

忘れられない味、スパゲッティミートソース!

野菜もたっぷり、栄養バランスのよい日替わりランチ

日替わりラーメン(麻婆ラーメン)

ボリューム満点の定食

部活の前や小腹がすいたときの頼もしい味方? パンや牛乳なども生徒に人気です。

ダイニングホール 部活や勉強に、毎日元気いっぱいの大成生のお腹を満たすのが、ここダイニングホール。調理を担当している職員の皆さんは、「衛生的な環境と栄養のバランスを意識している」のだそうです。味は折り紙付き。ボリュームと栄養バランスで最も人気のある定食、卒業生にとっても思い出の味といってもいいラーメンやカレー、スパゲッティミートソース…、

毎日おかずが変わる日替わりランチも楽しみです。

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映画『不都合な真実』の上映&地球環境を考える授業 アメリカのゴア元副大統領がノーベル平和賞を受賞するきっかけとなった映画、『不都合な真実』(2006年アメリカ映画)の上映会を催しました。この映画は、地球温暖化の問題に熱心に取り組んできたゴア氏が主演したドキュメンタリー映画です。豊富な気象データや、温暖化の影響で変わり果てた自然写真などをたくさん紹介して、世界中の政府や人々に環境保護の重要さを訴えています。アカデミー賞も受賞した名作でもあり、生徒たちにとっては、環境問題に関心を持つための教科書のような作品でした。

名工大の先生を招いた講演会を開催 環境問題を情報分野から研究をしてい

る名古屋工業大学の伊藤孝行准教授(名

古屋工大グリーンコンピューティング研

究所所長)を招いて、地球環境委員会のメンバーを対象に講演会を実

施しました。大成の環境教育の取り組みを知って興味をもったことを

きっかけに、伊藤先生は大成と名工大との高大連携教育プロジェクト

を計画しています。

地球環境問題フォーラム

地球環境問題フォーラム

名古屋工業大学との高大連携プログラム

名古屋工業大学との高大連携プログラム

地 球 環 境 委 員 会高大連携も視野に、動き出した大成の環境教育

第1回

第2回

『地球環境を考える~今、私たちは何をすべきか~』という冊子。このプロジェクトのために先生方が作ったオリジナルテキストです。

伊藤先生は、ただ測定したり分析したりするだけでなく、生徒たちが研究で得たデータを広く社会に発信しようと生徒たちに呼びかけています。

これまでは、地球環境のことにはあまり関心はありませんでしたし、重要な問題だとも思っていませんでした。今回の授業を通じて、私たちにとっても深刻な問題だということがよく理解できました。

プリントや資料、電子黒板などを使ってわかりやすく説明していただいたのでよく理解することができました。これからもっと地球環境問題について考えてみたいという気持ちになりました。

大成には『地球環境委員会』というユニークな生徒組織があります。各クラスから代表が集まったこの委員会の目的は、学校を舞台に身近なところから地球温暖化防止に取り組もうというものです。

昨年までは節電のために各教室のエアコンの温度設定や電気の消し忘れをチェックするパトロールをしたり、省エネやゴミの分別を呼びかけるポスターを作って校舎内に張り出したり、環境に関する研究発表などをしていました。

。すまいてめ始をみ組り取いし新ういと』ムラーォフ境環球地『、はらか年今

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─ 進路の日 ─夢への第一歩を実感する発見と感動の1日

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 将来の目標があれば、今の生活も充実する…… 進みたい大学や就きたい職業など、目標に向けてどんなことを学び、何に取り組んだら良いのかが明確になります。そして、そこから自然と高校生活も前向きに意欲的に送れるようになってきます。 大成で毎年3月に行っている『進路の日』では、大学や短大、専門学校、一般企業などに出張講座をお願いしています。1コマ90分、その数はなんと約100講座以上。1・2年生全員が参加し、それぞれが受けたい講座を3コマずつ選び受講し、将来の進む道について楽しく真剣に向き合います。 100講座は多種多様です。法政大学の中澤忠之先生の「文学2.0 

ヴァージョンアップする文学」や駒澤大学の各務洋子先生の「グローバル社会で考えなければならないこと」など、知的好奇心を刺激される講義から、青山学院大学の矢部晋吾先生の「自然環境利用のしくみと地域文化」や東洋大学の篠永英之先生の「ケータイの進化」など今日的な問題に鋭く切り込む講義等、文系理系にかかわらず、物事の考え方の枠組みを与えてくださるような講義の数々でした。 また、専門学校の講義では、日頃はできないことを体験できる内容が多く、料理、自動車整備、デザイン、観光、声優や俳優の養成、ペットのトリミング等々、専門性の高い職業になるための具体的なことがらに触れることができました。

大学・短大・専門学校から、未来が見える100講座!

洗足学園音楽大学の小嶋貴文先生・曲作>クッロ・ズャジ<「、は業授の

アレンジの楽しみ方~コンピュータを使ったデモCD制作~」。この日ばかりは大成の音楽室がレコーディングスタジオになったかのように、コンピュータを駆使して、みるみるうちに曲が出来上がっていきます。鮮やかなプロの仕事に興味津々、音楽好きの生徒たちは足でリズムをとりながら聞き入っていました。

東海大学の高木直行先生は、「福島原発事故と今後のエネルギー」をテーマにしました。まだ未解決ですが、原発事故は首都圏に住んでいる私たちにもさまざまなことを考えるきっかけを与えてくれました。生徒たちにとってもしっかり向き合わなければならない問題でもあります。

「芸能事務所の経営戦略~人気タレントを輩出し続ける秘密~」と題して講義をされたのは、嘉悦大学の白鳥成彦先生。アイドルを売り出す芸能事務所の裏側やホンネを話す先生の上手な話しぶりに生徒たちも引き込まれていました。

「光で原子をさぐる・あやつる」は、青山学院大学の前田はるか先生。高校では習わない最先端技術の世界の話に、理系男子も理系女子も目を丸くしています。

「ドレス スタイリング」の講義は、東京エアトラベル・ホテル専門学校の後藤純子先生と小森絹枝先生。結婚式のドレス選びを想定して、お客様一人ひとりの肌の色や顔の形などに合わせた色彩や形、アクセサリーをアレンジするテクニックを披露されました。生徒からモデルを選んでの実演もありましたが、あまりに適確なアドバイスにため息がもれていました。

「細胞検査士の仕事と面白さ」をテーマに、スクリーンなどでわかりやすく講義されたのが、東京都がん検診センターの成田真一先生。多種多様ながん細胞の標本を顕微鏡で食い入るように見ている生徒たちが印象的でした。

二葉製菓専門学校の大野龍男先生、二上友美先生、和栗映治先生による「トップパティシエによる製菓実習デモ見学および試食」。飴細工の実演はまるで手品師のようなみごとな手さばき、作ったばかりのスイーツも試食できる授業でした。「ペットのお仕事について」は、東京スクール・

オブ・ビジネス専門学校の中野博先生。命を扱う仕事なので、実際の仕事内容やプロとして仕事をするときの心構え、学校での勉強など、あこがれだけではできないといった厳しい話もあり、生徒たちも身じろぎせずじっと先生の話を聞いていました。実際に何頭かの犬も教室に登場し、生徒と触れあう時間も設けてありました。

新渡戸文化短期大学の学長であり、医学博士としてマスコミでも有名な中原英臣先生の授業のテーマは「美と健康」。最近の高校生にとって美容や健康は意外に関心が高いもの。それだけにテレビなどで紹介される間違った健康法の話には興味を惹かれていたようです。

美と健康 中原 英臣

「日本全国どこを探してもこんなすばらしいことをやっている学校はありません」と、進路の日について話す中原先生。先生は毎年大成で教壇に立つのが楽しみだとお話ししてくださいました。

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クラブ紹介クラブ紹介

)年2( んく憲晃 原在

 大成高校には、インドアコートや全天候型の夜間照明つきコートなどが全7面あり、最新の施設がそろっています。監督はテニス界に顔が広く、外部の有名コーチを呼んでくださいますし、全国大会に名を連ねるような先輩もいて、テニスに打ち込むにはこれ以上は望めないといっていいほど最高の環境です。インターハイに5年連続出場、平成23年度には関東大会団体3位・ダブルス優勝も果たしました。 その一方で、強さと関係なくテニスを心から楽しむ部員もいますし、高校から始めた人もいます。初心者にはボール拾いから始めさせる学校もあるそうですが、大成のテニス部ではそんなことはありません。実力もレベルも関係なく、自分が楽しめるスタイルで続けられる自由な空気があります。実際、中学時代にテニスが嫌になったという部員も、大成では目を輝かせながら「楽しくてしょうがない!」と燃えています。 個人競技と思われがちですが、団体戦の団結感は最高です! 僕たちと一緒にテニスを楽しみましょう。

>央中<)年3( んさ季沙 沼長>左<)年2( んさ奈可 藤佐 >右<)年2( んさ代佳 浦杉

 女子テニス部は現在は22人。経験者ばかりではなく、約4分の1は高校からテニスを始めた初心者や軟式から硬式に転向した選手です。いろいろな人がいながら、テニスを通じて和気あいあいといった雰囲気です。上下関係はしっかりと筋が通っていますが、家族のようにみんなの居場所になれる、そんな部活です。 年に2回の合宿も楽しくて、部員の絆もすごく深くなります。そんな団結力の成果か、23年度はインターハイ東京予選・団体3位(関東大会出場)を果たしました。今年の目標はベスト8進出です。 もちろん仲が良いだけではなく、練習は真剣そのもの。現役プロテニスプレイヤーにコーチしていただけます。屋内コートもあるので雨の日でも練習ができます。全国レベルを目指す部員もいますから、練習はすごく刺激的です。

 将来はテニス関係の仕事に就いて、多くの人たちをテニスで笑顔にしたい、そんな夢を持つ先輩たちがみなさんの入部を待っています。大成の女子テニス部は、思う存分テニスで楽しみたい人にはピッタリです!

女子テニス部思う存分テニスを楽しみたい人にはピッタリ!

全国レベルの強豪ながら、初心者でも楽しい!

男子テニス部

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 大成高校の野球部は、みんなが刺激し合える部活です。上下関係はありますが、1年生でも自分の意見をはっきりと言える雰囲気を大事にしています。野球はチームプレーで全員の絆が勝負を決めるからです。誰かが黙って不満を抱えていると勝てません。選手の意見はしっかりとまとめ、全員が納得した上で監督にも話します。練習は全面人工芝グラウンドで週6日。日曜日は他校との練習試合がありますが、それ以外は夜8時までやっています。 大成高校の生徒はみんな礼儀を大切にしていますが、野球部はその代表になれるようにといつも思っています。野球を楽しみ、技術を磨くのはもちろん、校内でも率先して挨拶し、元気よく練習します。ゴミ拾いもしますし、人がやりたがらない仕事はすすんで引き受けるように心がけています。 目指すはやはり甲子園。西東京地区を制覇して、全国に「大成」の

ない学校生活をしていると試合には出られません。学校のみんなが応援してくれるのは、試合に勝つよりも嬉しいことです。

遠藤 賢太くん(3年) バスケの面白さは、5人全員がしっかり自分の役割を果たさないとちゃんとゲームにならないところです。バスケ部の特徴は、他校のチームからもよく言われるのですが、元気でよく走ることです。それは自分の役割を理解して動こうとしているからだと思います。 昨年の引退試合での先輩たちの姿が目に焼き付いています。最後まで自分達のバスケをやろうと最後のブザーが鳴るまでひたすら走っていました。ああいうふうになれたらいいなと思います。

女子バスケットボール部Be alert! みんなからあこがれられる部活になる!

大和 茉里亜さん(2年)

てし識意を合試もで習練。)!せま澄ぎ研( !trela eB、は標目たげ掲 緊張感を保つこと、試合中も集中してあらゆることに注意を払うこと、そして、部活に限らず、普段の学校生活でもしっかりするということです。例えば、小さいことかもしれませんが、靴のひももいつもしっかり結びます。ほどけたままではスポーツマンとして恥ずかしいですから。 部の魅力は明るくて先輩たちが優しく指導してくれるところ。昨年度は私学大会で3位でしたが、先輩たちがかっこ良くて、自分たちもこれからそれを見習っていこうと思います。

男子バスケットボール部最後のブザーが鳴るまで、自分の役割を果たし走る!

野球部

>右<)年3( んく次隆 本浜 >左<)年3( んく也優 藤佐 >央中<)年3( んく輝航 方土

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クラブ紹介クラブ紹介

全員ができるだけ自由になれるようにまとめることが大事!

稲垣 大成くん(2年)

 昨年は初めて私立高校の関東大会に出場できました。他県の強豪校と試合をしたことで、これまでの練習では通用しないのだとわかり、良い機会になりました。 セッターとして大切にしていることは、勝敗を決める大事なポジションなので、厳しい状況でも、スパイカーの個性やコンディショ

ンを把握して、できるだけ楽にしてあげることを常に考えてプレーをすることです。キャプテンとしては、部員の意見が対立しても、どちらかの言い分でまとめるのではなく、納得できるところを一部分でもつくり出し、全員ができるだけ自由でいられるように心がけています。

鈴木 彩花さん(3年)<中央> 団体競技なので1つのことにみんなで協力して取り組むというところにやりがいや楽しさを感じます。私はアタッカーですが、みんながつなげてくれたボールを最後に打つ役割なので、いつも責任を感じています。三浦 文さん(3年)<右> アタッカーが打ちやすいようにボールを上げるセッターは私にとっては難しいポジションです。東京都の新人戦でベスト32に勝ち

進んだときは、練習の成果が出たと感じて嬉しかったです。どんなときも下を向かず、しっかり前を向いていけるようになりたいと思っています。立花 朱理さん(3年生)<左> ボールを落とさずにつなげていければ試合には勝てる。リベロとしては、難しいボールをセッターにAキャッチ(セッターにピタリと返すレシーブ)で返せたときがとても嬉しいです。

男子バレーボール部

先輩後輩が手を取り合い、夢は大きく全国制覇!

 大成高校のサッカー部は、100名を超える大所帯。礼儀正しく明るい雰囲気の部活です。先輩後輩の上下関係はそれほど厳しくないのですが、けじめはキッチリしていて部活動と学校生活は分けて考えています。 例えば、試合や練習ではすごく厳しい先輩が、グラウンドを一歩出ると楽しくて同級生のように接してくれます。そんなメリハリのある先輩の姿がカッコ良くて、後輩があこがれていく、サッカー部にはそんな伝統があります。先輩後輩がすごく信頼し合っているからこそ、全員一丸

となったプレーもできるのだと思います。 また、部員一人ひとりの意識が高く、自主的に練習するのもサッカー部の特徴です。そのせいか、ここ数年は都大会でも実力が出せるようになり、「関東大会東京都予選ベスト4」や「高校総体東京都予選ベスト12」といった結果を残せました。 でも、夢はもっと大きく、「全国大会に出場して優勝する」ことです! やる気のある新入生のみなさん、僕たちと一緒に全国を目指してみませんか。

>左<)年2( んく哉友 藤佐 >右<)年3( んく義正 部阿

サッカー部

ボールを落とさずつなげることが勝利をつかむ!

女子バレーボール部

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 )年3( んく也竜 山畑)年3( んさ唯 本橋

 バドミントン部は、男女に分かれてはいますが、一緒に練習のメニューを考えたり練習をしたりするので、普段から仲が良いです。入部してくる部員は、初心者もいれば経験者もいます。ですから、最初は初心者には先輩が素振りなど基礎から教えて、経験者にはできるだけコートに入って打てるようにしています。みんなが平等にコートで練習ができるようにすることはいつも心がけている点です。 男女ともに目標は、先輩たちよりも上の実績を残すことです。そのために先輩たちがやってき

た練習よりも厳しいことをやりたいと思っています。練習は厳しい面もありますが、先輩後輩の上下関係はあまり厳しくなく和気あいあいとした雰囲気がバドミントン部の特徴かもしれません。 スピード感のあるスポーツで、スマッシュを決めたり、相手のスマッシュを返したりしたときの爽快感は他では味わえないものです。また、相手との駆け引きや、ちょっとした面の使い方、角度で、同じ場所に落とすのでも多彩な攻撃ができて、頭脳プレーが成功したときの面白さも格別です。ぜひバドミントン部に入部してください。

ハンドボール部

)年3( んく典佑 中田

 ハンドボールはスピード感のあるスポーツで、見ていてもやっていても楽しい競技です。練習はピリピリしている感じで厳しいのですが、部員同士は普段は全く違う雰囲気で楽しいです。ただ、単に競技の練習にとどまらず、挨拶や返事といった生活態度などでも顧問の先生が厳しく指導してくださいます。 ハンドボール部にいて、自分が変わったことは、普段から礼儀正しくできるようになったことと、自分のことだけでなく周囲を見られるようになったこと、全員の意識や目標を高く持つように心がけられるように

なったことです。 キャプテンとしても自分のことよりも部員のことを優先して考えるようにしていますし、練習は厳しく、それが終わったら仲良く、そして部活も授業や勉強もそれぞれに集中してメリハリをつけることが大事だと思っています。 関東大会出場が目標です。限られた時間で、今までやってきたことを全部出せるようにしたい。そして、自分たちが歴代で一番強い代だと思われたい。僕もそうですが、ほとんどが初心者ですので、安心して入部してください。

部活も勉強もメリハリが大切!

バドミントン部スピード感と爽快感はバドミントンならでは!

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)年3( んさみなみ 飼鳥  )年3( んく揮大 根曽

 大成では弓道の人気が高くて部員は約80人もいます。個人競技なのですが、仲が良く互いに信頼し合っています。例えば、大会で1人でも勝ち残ると、他の部員も最後まで熱心に応援します。その真剣さたるや、まるで自分がその選手になったみたい。弓道は的に向かう精神力が勝負ですから、応援している部員にも選手の集中力が伝わってきます。 一番集中するのは、弓を引ききった「会(かい)」という動作の時です。矢を放つ直前、ピンと張り詰めた空気の中で自分の心と戦う。集中力がギリギリまで高まっていく緊張感がたまらない魅力です。 弓道部のある中学が少ないせいか、部員のほとんどが高校に入ってから弓道に興味を持った初心者ばかり。経験者は学年に1~2人いるかどうかといったところです。それでも最近は関東大会での成績も上がってきて、予選を突破する部員も増えました。今後は優勝を目指してがんばりたいと思います。新入生のみなさん、一緒にがんばってみませんか。

弓道部

心を磨く弓道。集中力もアップし成績も上がるかも!?

クラブ紹介クラブ紹介

)年3( んさ子菜春 田浜

 私は吹奏楽の経験はありませんでしたが、音楽がやりたくて入部しました。上下関係も厳しくなく、みんな和気あいあいとした雰囲気です。 でも、練習は週5日で放課後に約3時間みっちり。練習が終わって防音の部室から出てくると、外はもう夜ということも珍しくありません。練習では、各楽器ごとに1人の外部講師に来ていただいています。指揮者も含めて7人の専門家に指導していただける、とても恵まれた環境です。

 一番の目標は年に1回の吹奏楽コンクール。昨年と一昨年は銀賞を受賞しました。演奏曲も自分たちで決めています。思い入れたっぷりの曲なので、本番中に、みんなで相談したことや練習の日々が甦ってきて胸がいっぱいになることもあり、「この仲間たちとがんばれて、本当に良かった」と思います。 コンクール本番が近くなると練習が週6日になることもありますが、勉強との切り替えははっきりと付けて、両立できるようにがんばっています。

恵まれた環境と仲間たちに囲まれて

吹奏楽部

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TAISEI NAVI 16

後藤 麻衣さん (3年) 

 お花は高校から始めました。単に花が好きだというだけの理由なのですが、テーマに沿って、うまく今の自分の感情や意図を表現した作品ができたときは達成感を感じます。 1年では華道、2年ではフラワーアレンジメントを習いました。季節によっていろいろな材料が用意されます。ときにはうまく表現できないときもありますが、それは自分の気持ちが整理されていないからだと思います。

 大成の華道部は明るく元気で上下関係はあまりありません。今は少人数で女子だけですが、もちろん男子もウェルカムです。

うまく表現できたときの達成感を味わってください!

華道部 演劇部

茶道部

)年3( んさ海七 木荒

 演劇部は同好会から部になったばかりの新しい部活です。毎年恒例と言えるものは一切なく、どこでいつ上演するか、どんな演目にするか、衣装は、練習時間は…… などなど、全部自分たちで考えて決めなければいけません。部員のほとんどが初心者ですが、何から何までみんなで相談して自分たちの思い通りに作っていけて、毎日が充実感いっぱい。本当に楽しいです。 今は文化祭などの校内公演が中心ですが、いずれはホールを借りて一般上演するのが夢です。この1年間で上演した演目は4本で、部員が書いたオリジナル脚本もあり

ています。 劇の中ではどんな役にでもなれるので、やってみると演劇は本当に面白いものなのだと知りました。大学でも社会人になっても続けていきたいと思っています。

)年3( んさ菜里 木高

 茶道では、お作法だけでなく、先生の指導のおかげ

 お茶を点た

てると、心が落ち着きます。正座をすると、気持ちもシャンとします。純粋な心で取り組めば、自然と茶道の心得が身についていきます。 お手

前まえ

といわれるお茶の作法は、道具を清める等の準備から始めます。意識して、きれいな手先で、お茶を点て、動作一つひとつに心をこめます。流れで進めるのではなく、動作一つひとつの意味を理解した上で

お茶を点てなければ、おいしいお茶にはなりません。 自分の目標は、むらがないように常においしいお茶を点てられるようになることです。初心者の部員には、先輩が個人指導についてくれます。言葉で説明するのではなく、実際に初めから終りまでやってみせて、次に試しにやってもらい、また手本を見せながら説明します。 文化祭では、浴衣姿でお客様にお茶を点てます。和

みませんか?

だから面白い!

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藤倉 寛 先生

■ ふじくら・ひろし

32歳、昨年結婚をしたばかりで,10ヶ月の女の子がいます。教師になって4年、「言葉ではなく、誠実に自分が生活をすること、自分自身が胸を張って生きている姿を生徒に見せることが教師の役割なのだと思っています」。

 先生は栃木県小山市の出身。父親が実業団のサッカー選手だったことから、物心ついたころから、知らず知らずにサッカーにどっぷり浸かっていました。本気でサッカーにあこがれたのは、小5のとき、全国高校サッカー選手権での帝京と四日市中央工業との決勝戦を見たときでした。「Jリーグがなかった時代、高校サッカーがすごくかっこよく見えて、いつかは自分も観客が一杯のスタジアムでサッカーをしたい」と思うように。 その夢は4年後には実現します。全国大会に出場していたところ、帝京高校のコーチの目にとまり、同校のサッカー部に。ところが、そこは想像以上に厳しい世界でした。部員が多く、監督に名前を覚えてもらうだけでも大変です。 放課後は夜9時まで、朝練は7時から、そのために小山の自宅と学校を片道2時間かけて毎日往復しました。その甲斐あってか1年生からレギュラーの座を射止めます。各都道府県を代表するような選手ばかりの「多国籍軍」、その一員になったのです。 毎年全国大会にも出場し、インターハイ2回、選手権2回、すべて準優勝。しかし、名門高校の宿命で、優勝しなければ賞賛はされません。「OBが築き上げてきたものを自分たちの代で汚してはいけないというプライドとプレッシャーを背負った3年間でした」。 この「優勝できなかった」という心残りが、その後のサッカー人生の原動力にもなりました。教員免許を取得するために、けっして強豪ではない東京学芸大学へ進みますが、そこでもまたサッカーに「どっぷりと浸かって」しまうことに。 そして、2001年には北京で行われたユニバーシアード大会で日本

代表に選ばれ、ジェフユナイテッド市原で活躍した巻誠一郎やFC東京の羽生直剛らと共に優勝。その時のメンバーは藤倉先生以外、全員がJリーガーになったといいます。 卒業後もソニー仙台FCで選手生活を続けます。会社で総務の仕事をこなしながら試合に出続けました。その5年間、Jリーガーへの思いはくすぶり続け、地方リーグから上にあがるチャンスが見えてこないまま、靱帯を2度切断し、夢をあきらめるべきか大いに悩みました。そして、一旦サッカーから離れる決意をして会社を辞めます。 「いろいろな人と出会い、さまざまな経験もし、社会人としてのベースを得た貴重な5年間でした」と先生。そんなときに大成の職員だった高校のサッカー部時代の友人に、教員の採用試験を受けてみないかと誘われたのでした。 教師になる一番の動機は、「サッカー部の子どもたちを全国大会に引き連れて、もう1回、国立で優勝したい。それは単なる独りよがりの夢ではないのかと葛藤したこともありました。でも、『おしつけ』も『お』を取ったら「しつけ」になります。たとえ全国大会に行かなくても、全力を尽くして練習して得た結果が負けた悔しさだったとしても、それはその後の人生のエネルギーに絶対になるはずです」。 「自分ができなかったことを自分がやるために教師になった」とは、藤倉先生でなければできない、そんな経験と思いに裏づけられた言葉だったのです。

「自分ができなかったことを自分がやるために教師になった」と言ってはばからない藤倉先生。その言葉の裏にはいったい何が? サッカーの名門高校で全国大会に3年連続決勝進出を果たし、進学した大学では、日本代表に選ばれ、世界一の栄冠を手にしました。JFCでも活躍し、それから11年、体育教師として大成の教壇に立つ藤倉先生。その心に秘めた思いとは……。

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伝統にこだわり、今ではほとんど見られなくなった穴窯を自分で作り、作品を焼く陶芸家の川合さん。飛び込むような形で京都の窯元で修業し、東京で独立した気鋭の芸術家。大成野球部のOBである川合先輩の話をお聞きました。

今回大成に寄贈いただいた作品は川合さんにとってもとても大切な作品だとお聞きしています。どうしてそうした作品を寄贈されようと思ったのですか? 2つの作品とも非常に良いもので、自宅に眠らせているのはもったいな

いと思い、恩師を通じて大学に寄贈が決まると、それならば、もうひと

つは高校にと。長い間母校と離れていたので、改めて母校を身近に感じ

ることができる良い機会になりましたね。

大成時代はどんな生徒でしたか? 野球一本の青春でした。ちょうど強豪

校から来たばかりの先生でしたので、練

習はスパルタ方式でした。ミスしたり負

けたりすると校庭100周とか“ケツバット”

とか。普通のバットよりも細いノックバッ

トですから、這いつくばるほど痛い。今

では許されないでしょうが、その時代、

それが当たり前でしたよね。

それでも続けたのですか? ええ、毎日夜8時まで練習していましたが、照明がないからひたすら走

る。先生は、僕たちの気持ちを持ち上げるのがとても上手な先生で、そ

の魅力に惹かれていたのでしょうね。ケツバットはともかくも(笑)。

先日大成にいらしたそうですね。 見違えるほどモダンですね。校庭の人工芝の上で野球部の部員が気持

ちよさそうにトスバッティングをやっている姿を見たら、なんかずいぶん

と贅沢だなあって思いました(笑)。

陶芸家になるきっかけは、ものづくりに興味を持った大学4年生の夏に、師事する京都の先生をご自分で見つけたそうですね。 ええ、本で調べて、たまたま東京に来ていた先生をつかまえて、弟子

にしてくださいと。それで、すぐに東京での仕事を手伝い、冬には京都

に行っていました。芸大出身の人や有名窯元の息子たちと一緒に仕事を

しながら、京都の文物に触れ、学び、遊び、夢を語り合った、その数年

間があったからこそ今の私があると思って

います。そのきっかけがほんの一瞬のような夏の出来事でしたね。

最後に大成生にメッセージをお願いします。 陶芸家というのはひとりで黙々とやっているというイメージがあるかも

しれません。しかし、創作するときは孤独かもしれませんが、陶芸とい

うのは、いろいろな人との交わりを拒否していてはできないものなのです。

この窯もお寺のご住職の縁があって場所をお借りしていますし、たくさん

の薪も、製材所の方や栃木や狭山の関係者の方から提供して頂いている

ものです。窯は一旦火を入れると3日間燃やし続けなければならず、協力

してくれる人がいないと成り立ちません。

 陶芸は、“土”と“火”と、そして“人”との交わりからその命が生まれます。も

のづくりは誠実と良心、コツコツと続けることです。それはこれからの皆

さんの人生や進路と共通することかもしれません。どんな道に進むかは

人それぞれでしょうが、真面目にコツコツ、そしてやりたいことが見つかっ

たら思い切って飛び込んでいくこともときには大事なのかもしれません。

今日はありがとうございました。

プロフィール1958 年、東京生まれ。明星大学(文学部英語科)卒業と同時に京都へ。陶芸家の河合紀氏に師事し、京都府立陶工訓練校や京都市立工業試験場本科研修を修了し、修行を積む。1988 年には東京に戻り、八王子に穴窯をかまえ、創作活動のかたわら陶芸教室や個展など開く。日本陶芸展など国内外のグループ展にも出品し、現在、作品は在英日本大使館(ロンドン)、岐阜県土岐市などでもコレクションされている。今年、数々の個展にも出品された『自然釉焼締め』の壺を母校の大成と明星大学に寄贈している。

● 『 穴窯』 『 啐啄』 とは……中国から朝鮮半島を経て日本に伝わった窯のなかでも、最も古いものが『穴窯』と呼ばれるスタイルのもの。4世紀後半ごろに伝来したと言われています。傾斜地に穴を掘っただけのような原始的なもので、たくさんの薪を使い、「燃費は悪く、製品にならないものができる確率が高い」が、焼き上がると奇跡的に神がかった作品が必ず出てくる窯だといいます。その魅力に惹かれて川合さんは2005 年から東京・八王子の長江寺の境内を借りて手作りで作り上げました。 「啐啄」 という名前は、元人事院総裁で茶道の裏千家淡交会理事の内海倫先生が命名したのだそうです。禅書の『碧巌録』に出てくる 「啐啄同時」という言葉が由来です。ひな鳥が卵からかえるとき、殻の内側からくちばしで “啐

つつ

く” と、親鳥が同時に外から殻を “啄き”、そしてその瞬間に卵が割れて健全なひな鳥が誕生するという、「またとない好機」という意味もある言葉です。焼き物は土と火の絶好な瞬間を作者が見極めてこそ作品の命が決まるものという川合さんの焼き物に対する考え方と通じる名前なのだそうです。

合川

人牧

んさ

 

※そったく窯陶芸教室:〒192-0914 東京都八王子市片倉町 564-21 TEL042-642-1037 E-mail:[email protected]

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同 窓 会 訪 問 記

(54

)歳

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