Title 根治的前立腺全摘術後尿失禁の予測因子としての骨盤底筋厚の有用性

Author(s) 影林, 頼明; 福井, 真二; 鳥本, 一匡; 三馬, 省二

Citation 泌尿器科紀要 (2010), 56(3): 147-150

Issue Date 2010-03

URL http://hdl.handle.net/2433/108421

Right 許諾条件により本文は2011-04-01に公開

Type Departmental Bulletin Paper

Textversion publisher

Kyoto University

Kagebayashi Fukui Torimoto Samma

The Department of Urology, Nara Prefectural Nara Hospital

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150 泌尿紀要 56巻 3号 2010年

urethral attachmentの温存が尿禁制に重要な役割を持

つとしており. CoakelyらLO)は endrec凶 MRIにおけ

る膜様部長長選長詩吟荷後尿失禁と関係するとしている

また. Songら3)は，今回と同様の検討で骨盤隔膜の

厚きならぴに紅門拳筋の厚さに対する前立腺体積の比

率が，前立腺全摘術後の尿失禁に関する独立予測因子

であると報告している 今回の検討では，術前 MRI

よ骨量豊隔膜が 9nnn未満の疲例では術後3カ月日の尿

禁制は 0%であった すなわち術前払依Iで骨盤隔膜

が 9nnn未満の症例においては術後早期での尿失禁が

高率に発生すると考えられるため，十分な術前説明と

失禁対策が必要であると考えられた.しかし，重篤な

尿失禁が遷延した症例の骨盤隔膜厚については，術後

6カ月日に gョde2の尿失禁が認められた 2症例中 l

例の術前骨盤隔膜厚は 3.6m血と非常に薄かったが，

grade 3の尿失禁が認められた症例の術前骨盤隔膜厚

はlO.2出血で. 6カ月日の尿禁制群の平均よりわず

かに薄い結果であった，また，術後3カ月日に grade

2以上の失禁が認められた 3症例は全倒 6カ月日でも

同様の失禁が継続していた 以上より，重篤な尿失禁

の遷延には今回の検討した因子以外の影響，あるいは

複数の因子が複合的に影響を与えていると考えられ

る

術後尿失禁に影響を与える病理解剖学的要因とし

て，骨盤底筋の所見以外に前立腺体積が大きいほど術

後尿失禁が遷延しやすいという報告11)がある 前立

腺体積が大きいほど術中の剥離面積が広くなり，尿道

括約筋や神経筋血管束を損傷する確率が上がることが

理由の 1つとされている.また，単純に前立腺体積の

みではなく骨盤底筋膜厚/前立腺体積比が大きいほど

術後早期の尿禁制がえられるという報告のもある.し

かし，今回の検討では，前立腺体積~.骨盤隔膜の厚

きならびに紅門挙筋の厚きに対する前立腺体積の比率

のいずれも術後の尿禁制に影響を号えなかった その

理由として，大多数が 30ml以下の比較的小さな前立

腺体積症例であったこと，また，両側神経血管側非温

存術式が行われたことなどが考えられる.

結 語

術前島偲IでiJ!U定した骨盤隔膜の厚きは，前立腺全

摘術後における尿失禁からの回復の予測因子の lっと

考えられるー薄い骨盤隔膜を有する症例は，前立腺会

摘術後半期の尿禁制がえられにくい可能性がある.

文 献

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