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はじめに
有機発光ダイオード(OLED)は、電流が印加された時、電子発光(エレクトロルミ
ネセンス)を示す薄膜で、テレビ・携帯電話・コンピューターモニター・時計・ディ
スプレイ等、日常で見られる様々な電子機器に使用されています。OLEDの継続的
な開発と実用化は、次世代ディスプレイ技術を開発する企業とそのサプライヤー
にとって大きな関心事です。
OLEDに基づいたデバイス(特に青色リン光発光体)構築に用いられる原材料に
は最終製品の品質及び長寿命化のため高純度であることが要求されます。OLED材
料に関連した多くの知的財産があるため、高品質な OLED原材料の製造は非常
に大きな利益を生み出します。
知的財産は、OLEDに基づいたデバイスのデバイスのコモディティ化(高付加価値
商品の市場価値低下)を抑制し、高い生産コストを回避できない OLED化学材料
ビジネスのための強力な武器です。市場分析のレポートでは、OLED市場は 2016年
までの今後 5年間で 50億ドルの市場へ成長すると予測されています。1
一般的に、OLED材料は、種々の顕微鏡技術によって分析されます。興味深いことに、
極わずかに LCベースのメソッドが、OLEDデバイスで使用されるリン光発光材料の
安定性分析として技術論文で報告されていますが、公開されている分析法の殆どは
30分以上の分析時間を必要としています。2,3,4
本アプリケーションノートでは、UltraPerformance Convergence Chromatography ™ (UPC2)およびフォトダイオードアレイ(PDA)検出器と質量分析計を用いて、図1
に示すようなイリジウム錯体染料 Ir(Fppy)3の迅速かつ選択的な純度分析メソッド
を開発しました。Ir(Fppy)3は、OLEDデバイスで使用する青色エレクトロルミネセンス
の長寿命化に重要なリン光発光材料です。分析法の開発は、OLED デバイスの構造
で用いられる汎用的な材料の共存下で検討しました。
UPC2メソッドの開発では、超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の主な移動相と
して液化炭酸ガス(CO2)、共溶媒にはメタノールを使用し、目的成分である [MX3Y3]型
有機金属錯体を溶出させます。
ウォーターズのソリューション
Waters® ACQUITY UPC2TM システム
ACQUITY UPC2 カラムキット
ACQUITY UPC2 PDA検出器
ACQUITY® SQD
EmpowerTM 3 CDSソフトウエア
キーワード
ACQUITY UPC2、超臨界流体クロマトグラ
フィー、ファインケミカル純度、特許権
保護、安定性評価、劣化プロファイリング、
PhOLED、OLED、Ir(Fppy)3、不純物、リン
光発光材料
アプリケーションの利点
■■ 原材料純度のプロファイリング改善に向けた
アプローチ
■■ 既存の液体クロマトグラフィー技術と比較し
分析時間が 1/10に短縮
■■ 溶媒の消費量と廃棄処理にかかるコストの
大幅な削減
- HPLC で約 $1.91 vs UPC2で約 $0.05
■■ 順相系希釈液や OLED分析に使用される抽出
溶媒との相溶性
UPC2/MSによる有機発光ダイオード材料の分析Michael D. Jones, Andrew Aubin, Peter J. Lee, and Tim JenkinsWaters Corporation, Milford, MA, USA
2UPC2/MSによる有機発光ダイオード材料の分析
実験方法:
サンプル調製
基準標準溶液は、Ir(Fppy)3 標準品をテトラヒド
ロフランで希釈し、濃度が約 1.0 mg/mLになる
ように調製しました。
実用標準溶液は、Ir(Fppy)3基準標準溶液をテトラ
ヒドロフランで希釈し、濃度 0.1 mg/mLになるよう
に調整しました。
分析条件
装置: Waters ACQUITY UPC2
カラム: ACQUITY UPC2 BEH 2-EP 3.0×100 mm, 1.7 μm
移動相 A: CO2
移動相 B: 2 g/Lギ酸アンモニウム含有メタノール
洗浄溶媒: 70:30メタノール / イソプロパノール
分離モード: グラジエント: 10 %→ 25 %B(5分)、 25 %(1分間ホールド)
流量: 2.0 mL/分
圧力出口: 1885 psi
カラム温度: 60℃
サンプル温度: 室温
注入量: 2.0 μL
分析時間: 5分
検出器: ACQUITY UPC2 PDA 3Dチャンネル: 200~ 400 nm, 20 Hz 2Dチャンネル: 258 nm @ 4.8 nm (500~ 600 nm補正)
質量分析計: ACQUITY SQD
MS 条件: 200~1200 Da 10,000 Da/ 秒 , ES PosNeg
Make-up 流量: なし
データシステム: Empower3 CDS ソフトウェア
結果および考察
分析法の開発
代表的な SFCシステム構成では、MS分析でイオン化効率を向上させるために
もう1台ポンプ(メイクアップポンプ)を用いてギ酸などの溶媒をポストカラム
で混合します。従来の SFCにおけるイオン化効率の不足は、イオン化に必要な
プロトンを欠いた高流量の高比率液化炭酸に起因します。UPC2を使用するに
あたって、メイクアップフローの必要性を検討しました。
この分析では、UPC2のシステム構成にイオン化促進のためのメイクアップポン
プを必要としませんでした。UV 検出器の後ろでフローをスプリットして質量分
析計に導入しました。スプリッターにはアップチャーチ社製ゼロボリュームの
PEEK Teeを使用しました。そして、MSプローブのインレットまで I.D. 0.0025イ
ンチ、長さ 30 cmの PEEKチューブを使い、CO2の超臨界状態を維持するための
十分な背圧をかけました。
メソッド開発の過程において、まず初めに 3 種類の ACQUITY UPC2 カラムの
選択性の違いを調査しました。用いたカラムは、UPC2 用に設計された UPC2
BEH、UPC2 BEH 2-エチルピリジン (2-EP)、UPC2 CSH フルオロフェニルです。
劣化した Ir(Fppy)3をサンプルとし、5分間のグラジエントメソッドで迅速スクリー
ニングを行いました。
図 2と図 3に示すように、このメソッド開発計画とシステム構成の下では、BEH
2-EP で 7つの未知不純物を分離するための最も適した選択性と良好なピーク
形状が得られました。図 2および図 3 の挿入図はピークの同定に使用された
スペクトルです。図 3に示すように、MSのデータでは1~ 2分の間で微量不純物
のピークを検出しています。MSによりこれら微量不純物を検出することでスペ
クトル情報が得られ、そのピークが目的成分なのかそれとも関連化合物なのか
の推定が容易になります。
N
FF
N
F
F
Ir
N
F
F
図1 トリス(2’, 4’-ジフルオロフェニル -2-ピリジン) イリジウム(Ⅲ)の化学構造。 略称は Ir(Fppy)3
UPC2/MSによる有機発光ダイオード材料の分析 3
不純物の同定
UVおよび MSで検出されたピークのスペクトル情報は、Empower3ソフトウェアの 3Dデータチャンネルから
抽出したものです。Empower3では、対象化合物の UVピークから MSスペクトル抽出までを 1画面で実行でき、
効率的なデータのレビューを行えます。
得られたクロマトグラフから、ブランク注入のピークを差し引くと、合計 7つの不純物ピークが見つかりま
した。保持時間および UVスペクトル、MSスペクトルを表 1に示します。7つの不純物のうち 3つ (RT 1.360 分、
RT 1.463 分、RT 1.619 分)は、Ir(Fppy)3リン光発光材料と類似した UVスペクトル形状を観測しました。7つ
のピークの MSスペクトル解析結果は、Ir(Fppy)3リン光発光材料との明らかな違いを示しました。
図 3に見られるように、Ir(Fppy)3の MSスペクトルは、特異的な同位体比を持っています。7つの不純物ピークは、
全て Ir(Fppy)3リン光発光材料と類似した同位体イオン比率を持っていました。後方に溶出する 4ピークの
うち 3つでは ESI-でのイオン化を確認できました。ネガティブイオンの情報は、精密質量測定による不純物
に焦点を当てたさらなる特性解析に役立ちます。
1.01
9
AU
0.00
0.03
0.06
0.09
0.12
Minutes
0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
1.019 Peak 1
225.4
258.4
373.4AU
0.018
0.036
0.054
0.072
nm220.00 260.00 300.00 340.00 380.00
UV 258 nm
Ir(Fppy)3
図2 UV 258 nm検出での劣化した Ir(Fppy)3サンプル中の Ir(Fppy)3 および不純物のクロマトグラム(500~600 nm補正)。ピークは、Ir(Fppy)3であると同定されました。挿入図は、極大吸収(258 nm)を示すIr(Fppy)3 のUVスペクトル
図3 MS ESI+検出での劣化した Ir(Fppy)3 サンプル中のIr(Fppy)3 および不純物のトータルイオンクロマトグラム(TIC)。ピークは、Ir(Fppy)3であると同定されました。挿入図はベースピークイオンが m/z763.9 を示すMSスペクトル
1.00
3
Inte
nsity
1.8x107
3.6x107
5.4x107
7.2x107
9.0x107
Minutes
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
1.004 Peak 1 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
761.95
763.92
Inte
nsity
0.0
7.0x106
1.4x107
2.1x107
2.8x107
m/z
744.80 748.60 752.40 756.20 760.00 763.80 767.60 771.40 775.20 779.00
Ir(Fppy)3
MS ES+
4UPC2/MSによる有機発光ダイオード材料の分析
ノミナル質量測定結果から未知不純物の特性解析を行うことは、一般的には望ましくありませんが、この
実験中に観測された不純物は、親化合物の Ir(Fppy)3と同位体パターンが類似していました。MSの測定結果に
基づいて、保持時間1.94分のピークは Ir(Fppy)3の配位異性体 (facial/maridional)と推定しました。保持時間が1.360 分、
1.463 分、1.619 分と 2.75分の未知ピークは、フルオロフェニルのベンゼン環上のフッ素原子が1つ脱離し
たことを表しています。保持時間 3.622分の未知ピークは、フルオロフェニルのベンゼン環のフッ素原子
が 2つ脱離していることを示しています。図 4に示されるように、4.12分に溶出されるピークの構造を推定す
るためには、MS/MSと精密質量測定によるさらなる詳細な測定、解析を必要とします。
1.360 Peak 2
213.7
221.9227.8239.5
262.0
317.8322.5
330.9
336.8
353.0360.2
367.4
381.8386.6392.6
AU
0.00024
0.00048
0.00072
0.00096
0.00120
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.463 Peak 3
213.7
228.9232.5
260.8
301.1
322.5
348.2351.8355.4362.6
377.0385.4
396.2
AU
0.00025
0.00050
0.00075
0.00100
0.00125
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.619 Peak 4
216.0
230.1233.6241.9
260.8
292.8
315.4322.5
330.9336.8348.2 360.2 375.8
393.8398.6
AU
0.00000
0.00025
0.00050
0.00075
0.00100
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.019 Peak 1
225.4
258.4
373.4
AU
0.018
0.036
0.054
0.072
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.345 Peak 2 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
743.93
745.90
Inte
nsity
0.0
9.0x105
1.8x106
2.7x106
3.6x106
m/z734.40 737.10 739.80 742.50 745.20 747.90 750.60 753.30 756.00 758.70
1.446 Peak 3 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
743.97
745.91
Inte
nsity
0.0
1.2x106
2.4x106
3.6x106
4.8x106
m/z738.00 740.00 742.00 744.00 746.00 748.00 750.00 752.00 754.00
1.601 Peak 4 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
743.90
745.90
746.97
Inte
nsity
0
1x106
2x106
3x106
4x106
m/z739.20 741.30 743.40 745.50 747.60 749.70 751.80 753.90 756.00
1.004 Peak 1 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
761.95
763.92
765.01
Inte
nsity
0.0
7.0x106
1.4x107
2.1x107
2.8x107
m/z759.60 760.80 762.00 763.20 764.40 765.60 766.80 768.00 769.20
Retention Time UV Spectra MS ES+ Spectra MS ES- Spectra
N/A
N/A
N/A
N/A
Ir(Fppy)3 RT λmax ES+ m/z ES- m/z
1.11 分 258.4 nm 763.9 N/A
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
1.36 分 262.0 nm 745.9 N/A
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
1.46 分 260.8 nm 745.9 N/A
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
1.62 分 260.8 nm 763.9 N/A
4.124 Peak 8
212.5221.9
238.4
264.3272.6
314.2320.1323.7332.1345.9
363.8367.4
379.4383.0386.6
AU
0.00075
0.00150
0.00225
0.00300
0.00375
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
3.622 Peak 7
212.5
237.2
275.0
341.3 354.2368.6
383.0
AU
0.0006
0.0012
0.0018
0.0024
0.0030
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
2.746 Peak 6
236.0
273.8
345.9
371.0384.2
AU
0.0051
0.0102
0.0153
0.0204
0.0255
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.935 Peak 5
234.8
270.3
343.6
371.0380.6
AU
0.013
0.026
0.039
0.052
nm220.00 240.00 260.00 280.00 300.00 320.00 340.00 360.00 380.00 400.00
1.922 Peak 6 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
761.97
763.93
765.08
Inte
nsity
0.0
7.0x106
1.4x107
2.1x107
2.8x107
m/z757.80 759.60 761.40 763.20 765.00 766.80 768.60 770.40 772.20
2.731 Peak 7 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
743.96
745.95
747.05
Inte
nsity
0.0
6.0x106
1.2x107
1.8x107
2.4x107
m/z738.00 740.00 742.00 744.00 746.00 748.00 750.00 752.00 754.00 756.00
3.605 Peak 8 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
725.97
727.94
729.01Inte
nsity
0.0
1.6x106
3.2x106
4.8x106
6.4x106
m/z722.40 723.80 725.20 726.60 728.00 729.40 730.80 732.20 733.60 735.00
4.101 Peak 9 - SQ 1: MS Scan 1: 300.00-1000.00 ES+, Centroid, CV=Tune
804.01
805.99
806.96
Inte
nsity
0.0
1.2x106
2.4x106
3.6x106
4.8x106
m/z802.80 803.70 804.60 805.50 806.40 807.30 808.20 809.10 810.00
Retention Time UV Spectra MS ES+ Spectra MS ES- Spectra 1.920 Peak 1 - SQ 2: MS Scan 2: 300.00-1000.00 ES-, Centroid, CV=Tune
806.0
808.0
809.0
Inte
nsity
0.00
2.50x106
5.00x106
7.50x106
1.00x107
m/z798.60 800.80 803.00 805.20 807.40 809.60 811.80 814.00 816.20 818.40
2.730 Peak 2 - SQ 2: MS Scan 2: 300.00-1000.00 ES-, Centroid, CV=Tune
787.9
789.9
790.9
Inte
nsity
0.0
6.0x105
1.2x106
1.8x106
2.4x106
m/z785.40 786.50 787.60 788.70 789.80 790.90 792.00 793.10 794.20 795.30
4.103 Peak 3 - SQ 2: MS Scan 2: 300.00-1000.00 ES-, Centroid, CV=Tune
848.0
849.0
850.0
851.0Inte
nsity
0.0
5.0x105
1.0x106
1.5x106
2.0x106
m/z846.00 847.00 848.00 849.00 850.00 851.00 852.00 853.00 854.00 855.00
N/A
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
1.94 分 234.8 nm 763.9 808.0
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
2.75 分 236.0 nm 746.0 789.9
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
3.62 分 237.2 nm 727.9 N/A
RT λmax ES+ m/z ES- m/z
4.12 分 238.4 nm 806.0 850.0
表1 保持時間の表および、観測されたUVスペクトル、MS ES+スペクトル、MS ES-スペクトル。MSスペクトルプロファイルでは似通った同位体パターンが確認できました。UVスペクトルと組み合わせることで未知ピークが Ir(Fppy)3 の類縁化合物であると結論づけました。
UPC2/MSによる有機発光ダイオード材料の分析 5
分離条件検討
OLED デバイスに使用される他の主要な汎用的な材料との混合物を用いて、分析法を検討しました。混合
試料は、Ir(Fppy)3リン光発光材料、ホール輸送材料(α-NHP)、ホスト材料(TCTA)、及び電子輸送材料 (Alq3)です。混合試料を分析した結果、このメソッドにおいて Ir[Fppy]3リン光発光材料と重なることなく 3つの成分
すべてを分離して検出することができました。メソッド再現性評価のために注入回数 n=5で得られた結果を
図 5に示します。
1.01
9
1.36
01.
463
1.61
9
1.93
5
2.74
6
3.62
2
4.12
4
AU
0.00
0.03
0.06
0.09
0.12
Mi t
0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
Ir (Fppy )3
N
FF
N
F
F
Ir
N
F
F
N
F
F
Ir
N
F
F
N
F
F
Ir (Fppy )3Isomer
N
F
Ir
N
F
F
N
F
F
Ir (Fppy )3 –FIsomers
N
F
Ir
N
F
N
F
F
Ir (Fppy
Relatedunknown
)3 -2FIr (Fppy )3 -F
Minutes
図4 Ir(Fppy)3リン光発光材料サンプルから見つかった未知不純物の推定構造
1.0
09
1.4
21
1.9
20
2.0
28
2.4
71
AU
0.000
0.025
0.050
0.075
0.100
Minutes0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
Ir(Fppy)3Area = 0.4%Rt = 0.1%
TCTAArea = 1.1%Rt = 0.1% Alq3
Area = 1.1%Rt = 0.1%
α-NHPArea = 0.4%Rt = 0.1%
図5 メソッドの分離特性とシステム精度の確認。OLEDデバイスで汎用的に用いられる成分の混合物の重ね書きクロマトグラム(n=5)。保持時間とピーク面積の%RSDは、主要な各ピークの上に記しています。不純物のピークは Ir(Fppy)3の関連化合物です。
Waters および ACQUITY は Waters Corporationの登録商標です。UltraPerformance Convergence Chromatography、UPC2、ACQUITY UPC2、Empower および The Science of What’s Possible は Waters Corporationの商標です。その他すべての登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
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参考文献
1. Bcc Research Market Report SMC069B, “Organic Light Emitting Diodes (OLEDs): Technologies and Global Markets” July 2011
2. Sivasubramaniam et al, “Investigation of FIrpic in PhOLEDs via LC/MS Technique”, Cent. Eur. J. Chemistry, 7(4), (2009), 836-845
3. Baranoff et al, “Sublimation Not an Innocent Technique: A Case of Bis-Cyclometalated Iridium Emoitter for OLED”, Inorg. Chem, 47, (2008), 6575-6577
4. Kondakov, D., Lenhart, W., and Nichols, W., “Operational degradation of organic light-emitting diodes: Mechanism and identification of chemical products”, J. Appl. Physics, 101, 024512, (2007)
結論
Ir(Fppy)3リン光発光材料の純度分析および、長期安定性をモニ
ターするためのアプローチとして 5 分間の UPC2/MS 迅速分析
メソッドを開発しました。ACQUITY SQDによって提供される MSの
データは、ACQUITY SQDによる MSデータから未知の不純物ピー
クのうち 3つについての特性解析を容易に行うことができました。
UPC2によるアプローチは、分析の際、100%有機溶媒を使用する
既存の LC/MSに比べ、分析時間を1/10に短縮し、溶媒の消費量
と廃棄量を大幅に削減します。UPC2の高い選択性と比類のない
分離特性は化学材料製造に関わる研究者が青色発光体有機発光
ダイオードをより理解し、コントロールするための助力になり、より
良質の OLED製品の開発や知的財産の保護に結びつきます。