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平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 VOC)の排出実態調査) 報告書 平成 19 3 ()産業環境管理協会

VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

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平成 18 年度経済産業省委託調査報告書

環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物

(VOC)の排出実態調査)

報告書

平成 19年 3月

(社)産業環境管理協会

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はじめに

揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制を目的とした大気汚染防止法が平成18年 4月1

日より施行され、法規制と事業者の自主的取組を適切に組み合わせて(ベストミック

ス)排出抑制を図ることとなり、固定発生源からのVOC排出量を平成22年度までに、

平成 12年度比で 3割程度抑制することが目標となっています。

経済産業省では所管の業界団体に対し、VOC排出抑制に係る自主行動計画の策定、

提出を要請しているところですが、自主行動計画に計上された VOCの排出抑制量を

評価するに当たっては、基準年度(平成 12 年度)の排出量を把握しておくことが必

要です。

現在、環境省から平成 14年度の調査結果として示されている推計値約 150万トン

については、推計方法やデータに検討の余地が残されており、また、VOC の排出抑

制目標は、固定発生源全体としてのものであるため、自主的取組に参加していない事

業者も含めた至近年次での VOC排出量の傾向も併せて把握しておくことも重要と考

えられます。

このため、本調査では基準年度である平成 12 年度における VOC 排出量の他に、

VOC排出量の推移を把握するため、平成 16、17年度における VOCの大気排出量も

推定することと致しました。

本報告書は、推計方法や出典について明記し、現時点で VOC の使用量や大気排出

率などの推計に必要な基礎データがあり、精度の高いデータが得られる部分と、まだ

実態がつかめず、今後さらに継続的に調査を行い推計値に変更を加えていく必要のあ

るものとを区別できるように配慮してまとめました。最終的に推計値の部分は、その

方法や数値について関連する業界団体に問い合わせ、大幅な間違いがないことを確認

するように努めました。

本調査を実施するに当たっては、学識経験者、自治体、業界団体からなる環境負荷

物質対策調査(揮発性有機化合物(VOC)の排出実態調査)検討委員会を設置してご

審議をいただきました。調査遂行に当たり絶大なるご支援・ご指導を賜った検討委員

会委員、関係業界団体、経済産業省担当官に対し、深甚の謝意を表します。特に、(社)

日本塗料工業会、印刷インキ工業会、(社)日本印刷産業連合会、日本接着剤工業会、

日本産業洗浄協議会、(社)日本化学工業協会、クロロカーボン衛生協会(順不同)

を始めとする業界団体の皆様には、本調査のための資料の提供、独自の出荷量調査の

実施、ヒアリングやアンケートへのご協力、報告書内容の精査など、格別のご支援・

ご協力を頂きましたことを付記し、ここに御礼を申し上げます。

平成 19年 3月

社団法人 産業環境管理協会

会 長 南 直哉

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環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物の排出実態調査)検討委員会委員・オブザーバー名簿

氏 名 所属機関 役職

委 員 長 秋鹿研一 (財)理工学振興会 専務理事

委 員 岩崎好陽 (社)におい・かおり協会 会長

委 員 岡本眞一 東京情報大学 環境情報学科 教授

委 員 東野晴行 (独)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター

環境暴露モデリングチーム長

委 員 岸本充生 (独)産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター

リスク管理戦略研究チーム

委 員 保坂幸尚 東京都環境局環境改善部有害化学物質対策課長

委 員 久米政文 (社)日本塗料工業会 常務理事

委 員 泉 克幸 日本接着剤工業会 VOC 委員会委員

委 員 山口春雄 印刷インキ工業会 技術委員会 副委員長

委 員 貝原耕太郎 日本産業洗浄協議会 洗浄剤部会長 (~平成 18 年 9 月)

委 員 野中孝一 日本産業洗浄協議会 洗浄剤部会長 (平成 18 年 10 月~)

委 員 石崎直温 (社)日本化学工業協会 環境安全部 部長

委 員 土屋徳之 石油連盟 環境部会炭化水素 WG 主査

委 員 高戸 満 (社)日本自動車工業会 環境委員会工場環境部会

化学物質管理分科会副分科会長

委 員 小澤義一 (社)日本電機工業会 事務所関連化学物質対策専門委員会

副委員長

委 員 油井喜春 (社)日本印刷産業連合会 調査研究部 部長

委 員 河端敏夫 (社)日本産業機械工業会 環境委員会 副委員長

委 員 小林彰一郎 日本プラスチック工業連盟 総務・環境部長

オブザーバー 長濱裕二 経済産業省産業技術環境局環境指導室 課長補佐

オブザーバー 神取 勉 経済産業省産業技術環境局環境指導室 特殊公害係

オブザーバー 奥山正二 (社)日本産業機械工業会 環境装置部長

オブザーバー 常重知之 石油連盟 技術環境安全部 環境・安全グループ

オブザーバー 木村龍二 (株)数理計画数理計画本部 副技幹

オブザーバー 加藤貴子 (株)数理計画数理計画本部 技師

事 務 局 指宿尭嗣 (社)産業環境管理協会 常務理事

事 務 局 小林恵三 (社)産業環境管理協会環境技術部門 技術参与

事 務 局 遠藤小太郎 (社)産業環境管理協会環境技術部門環境技術センター技術室 主査

事 務 局 大野香代 (社)産業環境管理協会環境技術部門環境技術センター技術室

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審 議 経 緯

開催日 検討内容

第 1 回委員会 平成 18 年 9 月 27 日検討委員会の設置主旨、

論点、方法について

第 2 回委員会 平成 19 年 2 月 15 日 中間報告について

第 3 回委員会 平成 19 年 3 月 27 日 報告書(案)について

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目 次

1. 事業概要......................................................................................................................................1

1.1. 事業の目的...........................................................................................................................1

1.2. 事業内容 ..............................................................................................................................1

1.3. 用語の定義...........................................................................................................................4

2. 調査対象範囲と発生源.............................................................................................................6

3. 調査方法と推定結果の概要 .....................................................................................................7

4. 発生源ごとの VOC 大気排出量の推計................................................................................... 11

4.1. 塗料.................................................................................................................................... 11

4.1.1. 塗料製造工程時に発生する VOC 大気排出量................................................................. 11

4.1.2. 塗料使用に伴う VOC 大気排出量...................................................................................12

4.2. 印刷業からの VOC排出量.................................................................................................21

4.3. 接着....................................................................................................................................30

4.3.1. 接着剤製造に伴う VOC排出量 ......................................................................................30

4.3.2. 接着剤使用に伴う VOC排出量 ......................................................................................31

4.4. 洗浄....................................................................................................................................34

4.4.1. 工業用洗浄に伴う VOC排出量 ......................................................................................34

4.4.2. クリーニングに伴う VOC排出量...................................................................................39

4.4.3. 塗膜剥離剤(リムーバー) ............................................................................................46

4.5. 化学品製造に係る VOC排出量推計...................................................................................47

4.6. 粘着・剥離剤からの VOC 大気排出量の推計 ....................................................................51

4.7. プラスチック成型・加工溶剤に係る VOC排出量推計 ......................................................54

4.8. ゴム製品 ............................................................................................................................58

4.9. 燃料からの VOC排出量......................................................................................................60

4.9.1 給油所からの VOC排出量 ................................................................................................60

4.9.2 製油所及び油槽所等からの VOC排出量の推計 ................................................................69

4.10. 織物・染色加工に係る VOC排出量 ...............................................................................72

5. 自主行動計画報告値 ..............................................................................................................74

5.1. 自主行動計画参加団体の VOC 大気排出量........................................................................74

5.1.1. 聞き取り調査内容...........................................................................................................74

5.1.2. 自主行動計画による VOC 大気排出量まとめ.................................................................79

5.2. 自主行動計画における VOC 化学成分別大気排出量の報告状況........................................81

6. まとめと今後の課題 ............................................................................................................105

参考Ⅰ アンケート調査による VOC 自主的取組の状況 ...........................................................107

参考Ⅱ (社)日本化学工業協会を対象としたアンケート調査結果 ........................................ 115

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1. 事業概要

1.1. 事業の目的

浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染状況が依然として厳しいことに鑑み、

その原因物質の一つである VOC についても、その排出抑制を図るべく、平成 16 年に大気汚染防

止法が改正された。同法では、法規制と事業者が自主的に行う取組を適切に組み合わせて効果的

な排出抑制を図る旨が規定されており、固定発生源からの VOC排出量を、平成 22 年度までに平

成 12 年度比で 3割程度抑制することが目標となっている。

これを受け、経済産業省では、所管の業界団体に対し、VOC排出抑制に係る自主行動計画の策

定、提出を要請しており、その取りまとめ結果は、毎年、産業構造審議会 環境部会 産業と環境

小委員会、化学・バイオ部会 リスク管理小委員会 産業環境リスク対策合同ワーキンググループ

(産構審 WG)に報告し公表することにしている。平成 17 年 11 月 30 日に開催された産構審 WG

(第 3 回)で平成 17 年度初回の自主行動計画の取りまとめ結果が公表されたのに続き、平成 18

年 5 月 11 日開催の産構審 WG 第 4 回、平成 18 年 12 月 13 日開催の産構審 WG 第 5 回でも追加

分を含めて自主行動計画の取りまとめ結果が公表され、追加提出分も含めると、約 48.5万トン(平

成 12 年度)から約 29.5万トン(平成 22 年度)へと約 19万トンの排出抑制が図られることになって

いる。

自主行動計画に計上されたVOC の排出抑制量を評価するに当たっては、基準年度(平成 12 年度)

の排出量を把握しておくことが必要であるが、現在、環境省から示されている推計値約 150万ト

ンについては、推計方法やデータに検討の余地が残されている。また、VOC の排出抑制目標は、

固定発生源全体としてのものであるため、自主的取組に参加していない事業者の至近年次での

VOC排出量の傾向も併せて把握しておくことも重要である。

このため、本調査では基準年度である平成 12 年度における VOC排出量のほかに、VOC排出量

の推移を把握するため、平成 16、17 年度における VOC の大気排出量も推定することとした。

1.2. 事業内容

委託事業の実施場所および名称

社団法人産業環境管理協会 東京都千代田区鍛冶町二丁目2番1号

実施期間

自:平成18年9月6日~ 至:平成19年3月31日

実施体制

図 1.1 実施体制

検討委員会

業界団体

・アンケート

・ヒアリング

・調査協力

・修正意見

・検討・修正意見・助言

・他省庁

・経済産業省原課

・業界団体 ・意見・助言

(社)産業環境管理協会

公表資料・情報の活用

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実施スケジュール

表 1.1 実施スケジュール

項目 平成 18 年

9 月 12 月

平成 19 年

1 月 3 月

1.調査・推計方法の検討

2.アンケート実施・集計

3.統計データ等解析

4.推計及び検証

5.業界ヒアリング

6.報告書作成

7.委員会開催 第 1 回

9/27

第 2 回 第 3 回

2/15 3/27

(1)調査・推計方法の検討

本調査は、排出量の推計方法の検討を含めて行った。当初、産構審 WG 第 4 回資料 5 に示さ

れた経済産業省による推計方法案を参考として推計方法を設計していたが、次に検討の結果、

以下の 2 つの方法による推計を第 1 回委員会で提示した。

推計方法 1:上流側からの推計

VOC製品の生産量、VOC製品中の有機溶剤割合、大気への排出率から求める方法

推計方法 2:下流側からの推計

業界団体による自主行動計画報告値を、捕捉率で割り戻して全国推計値とする方法

その後具体的に業種別に推計を進めた結果、全国排出量を推計するためには上流側、下流側

の一方の方法だけでは不可能であることが分かったため、両者の方法を組み合わせて全国排出

量を組み立てることとした。

なお、PRTR 届出データを元にした推計方法についても検討を行ったが、委員会判断により

検討資料として留めることとなった。

(2)推計及び検証

推計に当たっては、以下に示す一般公表情報を活用するとともに、業界ヒアリングを行い、

推計方法に関するご助言、推計結果に関する妥当性の評価等を頂いた。特に日本接着剤工業会、

印刷インキ工業会においては、本調査のために独自に会員企業における出荷量調査を実施して

いただき、貴重なデータを提供頂いた。また、全国排出量を推計する必要があったため、経済

産業省の所轄外の団体についても、ヒアリングを実施し、ご協力を頂いた。

<一般公表情報>

・PRTR届出・推計

・統計値(化学工業統計、通関統計等)

・産業構造審議会WG資料(平成18年度自主行動計画報告等)

・中央環境審議会資料

・業界団体の公表資料(出版物、報告書、ホームページ)

・14906の化学商品(化学日報社)

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表 1.2 ヒアリングを行った業界団体一覧

所轄省庁 団体名

経済産業省 日本ゴム工業会

全国石油商業組合連合会(全石連)

(社)全国石油協会

日本溶剤リサイクル工業会

(社)日本自動車工業会

(社)日本鉄鋼連盟

日本産業洗浄協議会

(社)日本印刷産業連合会

電機電子 4団体※

日本プラスチック工業連盟

日本製紙連合会

(社)日本自動車車体工業会

国土交通省 日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)

(社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会

(社)日本造船工業会

(社)日本塗装工業会

厚生労働省 全国クリーニング協議会

全国クリーニング生活衛生同業組合連合会 ※(社)電子情報技術産業協会、情報通信ネットワーク産業協会、(社)ビジネス機械・情報システム 産業協会、(社)日本電機工業会

検討委員会は、実施スケジュールに示したように、3 回開催し、学識経験者の他、業界団体委

員にご参画いただき、委員会の前後での資料の検討を含め、推計方法と結果の検証について多

くのご助言、ご提案を頂いた。

なお、業種別のより詳しい調査対象範囲と発生源について 2 章に、調査方法と推計結果の概

要については 3 章に、それぞれまとめた。4 章に、業種別に、以下の統一した章立てで業種別

の推計について詳述した。

<業種別排出量に関する 4章の章立て>

(1)VOC発生源と推計対象

(2)関係業種・関係団体

(3)推計方法と推計結果

(4)データの出典と各団体の報告値の捕捉率

(5)VOC 成分別排出量

(6)今後の課題

本報告書では、推計の方法や出典について明示し、推計結果をトレースできるようにし、透

明性の確保に努めた。ただし、業界団体等の努力によって VOC製品の出荷量や VOC の排出実

態を含む環境情報の公開に努めている状況がある一方、現時点では実態が十分に把握できない

範囲・分野もあるため、本報告書に示す推計値には精確度の強弱はかなりあると考える必要が

ある。

成分別の VOC排出量については、①自主行動計画においては成分別での表記は推奨されてい

るものの、業界団体ごとに成分を明示する範囲やくくり方を設定して良いこと、②石油・ガソ

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リン・炭化水素系溶剤・シンナーを始めとする混合成分の製品は個別の化学物質を測定・明示

する意味がないので混合物のくくりで取りまとめられ、対策も取られる、の理由から、成分明

示範囲や“その他 VOC”の定義には差異があり、あくまでも参考値として取り扱うべきであるこ

とを併せて付記する。

今後、インベントリの精度の改善に必要と思われる事項は、今後の課題として 4 章の各節、

ならびに 6章に示した。

1.3. 用語の定義

本報告書で使用している主要な語句の定義を以下に示す。なお、特に異なる意味で語句を用

いる場合は本文中で注釈を付記した。

表 1.3 用語の定義

語 句 定 義

(1)推計値 VOC の大気排出量の推計値を指す。稀に、塗料等の VOC 製品の生産

量等の推計を行っているが、その場合は明記した。

(2)捕捉率 VOC 大気排出量の捕捉率を指す。自主行動計画等では、類似の用語と

して「カバー率」「加盟率」等の用語があり、「全国売上高に対する当該業

界団体の売上高の比」、「当該団体の全企業数に対して自主行動計画に参加

している企業数の比」など様々な使われ方をしているが、本報告書では冒

頭の意で用いる。

(3)揮発性有機

化合物(VOC)

大気汚染防止法第 2条に示された定義に従い、「排出口から大気中に排

出され、また飛散した時に気体である有機化合物」(平成 17 年 5 月 27 日

政令第 189号第 2条の 2 に示された除外 8 物質(メタンおよびフロン類)

は除く)とした。なお、自主行動計画における VOC の大気排出量の算定

においては、VOC 製品中の有機溶剤はすべて揮発すると仮定したり、使

用量に対する揮発率を設定するなど様々な方法が採られている。

(注 1)(社)日本化学工業協会の自主行動計画では、法的には除外物質

であるクロロジフルオロメタン(HCFC-22)と、1-クロロ-1,1-ジフル

オロエタン(HCFC-142b)が含まれている。ちなみに同協会によるこ

れらの大気排出量報告値は平成 12 年度で 3,145トンである。

(注 2)(社)日本自動車工業会の自主行動計画では、VOC 成分の算定方

法として、「固形分以外は VOC と見なす」という考え方が採られてい

る。

(4)VOC製品 VOC が揮散し得る塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤その他の化学製

品の総称。

(5)その他の

VOC

自主行動計画で業界団体から示されている成分別VOC排出量において

は、「その他の VOC」というグルーピングが許容されている。この内容は

業界団体ごとにまちまちであるため、ある団体で成分が明示されていて

も、別の団体ではその成分が「その他」に区分されていることがある。

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(6)有機溶剤 トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジクロロメタン等に代表されるよう

な有機溶剤全般を指す。液体をイメージしており、これが大気中に揮散す

ると VOC となる。VOC 大気排出量の算定方法として、有機溶剤が全て

揮発すると仮定した場合は、VOC 製品中の有機溶剤量=大気排出量とな

る。例えば、塗膜の固化反応等において、もともとの塗料成分には含まれ

ない若干の VOCが生成することがあるが、微量であり、そこまでは厳密

には扱っていない。

(7)生産量・販

売量・取扱量

VOC 製品の生産量、製品中の VOC 含有率、大気排出率の 3 つから大

気排出量を推計する際に用いる。「生産量」を輸出入量で補正した値を用

いるのが望ましい。「販売量」では商社や問屋での仕入れ・販売がダブル

カウントになる可能性がある。「取扱量」は定義が曖昧になる。

(8)大気排出率 VOC製品に含まれる有機溶剤の量を 100としたとき、大気中に揮発す

る量の割合を示したもの。特定の工程や装置を対象とした大気排出率と、

業界団体全体での有機溶剤の取扱量に対する大気排出量の割合の 2 つの

意味で用いている。

(9)自主的取

組、自主行動計

VOC の大気排出に対して、事業所での排出量を把握または算定し、法

律による強制力がなくても自発的に対策や管理を行い、それを業界団体を

通じて報告することの活動の一切を「自主的取組」と呼ぶ。また、業界団

体がまとめ役となり、各企業からの排出実態、対策実績、削減計画等を経

済産業省指針で指定された様式に倣い取りまとめ、経済産業省に年に 1

回報告する書類およびその内容を「自主行動計画」と呼ぶ。

( 10)産構審

WG

正式名称は、「産業構造審議会 環境部会 産業と環境小委員会、化学・

バイオ部会 リスク管理小委員会 産業環境リスク対策合同ワーキンググ

ループ」である。経済産業省製造産業局化学物質管理課が所掌の化学・バ

イオ部会と、経済産業省産業技術環境局が所掌の産業と環境小委員会が合

同で運営されており、VOC の自主行動計画の取りまとめと併せ、有害大

気汚染物質の自主管理のフォローアップも継続して行われている。

現在までに 5 回開催されており、資料は公開されている。

第 1 回:平成 17 年 6 月 1 日 設立

第 2 回:平成 17 年 7 月 8 日 業界団体の現状報告

第 3 回:平成 17 年 11 月 30 日 17 年度自主行動計画取りまとめ

第 4 回:平成 18 年 5 月 11 日 17 年度自主行動計画(追加分)

第 5 回:平成 18 年 12 月 13 日 18 年度自主行動計画取りまとめ

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2. 調査対象範囲と発生源

本推計では、固定発生源のみを対象とした。しかし、食品(発酵工程)、医療機関(滅菌殺菌消

毒)等はデータに不明瞭な点が多いため、今回は推計対象外とした。本調査における VOC 大気

排出量推計の発生源と調査対象範囲を表 2.1 に示す。

表 2.1 VOC 大気排出量推計の発生源と調査対象範囲

発生源分類

大分類 中分類

発生源と推計対象範囲

塗料製造 塗料製造の工程で排出される VOC 塗料

塗料使用 塗装作業時に塗料より排出される VOC(塗装機械の洗浄に使用す

るものは含まない)

屋内塗装の業種:建築材・自動車・電機機械・機械・

金属製品 木工製品

屋外塗装の業種:建築・構造物・船舶・路面表示・家庭用・路面

表示

印刷インキ 印刷業 平版インキ(オフセット輪転印刷)グラビア印刷、金属印刷、樹

脂凸版、その他印刷に関する印刷乾燥工程から排出される VOC

(印刷機の洗浄に使用するものを含む)

接着剤製造 接着剤製造で、混合溶解工程、洗浄工程より排出される VOC 接着

接着剤使用 建築材料の合板等の素材の張り合わせや建築現場での接着剤使用

から排出される VOC

工業用洗浄 金属加工部品などの表面の油分の洗浄・乾燥工程、電機電子機器

表面のフラックス除去工程等より排出される VOC

クリーニング ドライクリーニングによる衣類の洗浄工程より排出される VOC

洗浄

塗膜剥離剤使用 塗装を剥離する際に用いるリムーバーから排出される VOC

化学品 化学品製造 化学製造における反応後の分離、蒸留、乾燥、成型、洗浄、原料

貯蔵から排出される VOC

粘着・剥離剤 粘着・剥離製品

製造

粘着テープやラベル等粘着剤に付随する剥離製品を製造する際に

排出される VOC

プラスチッ

ク製造

プラスチック成

型・加工

プラスチック加工、製品を製造する際の、ラミネート工程、コー

ティング工程、発泡溶剤使用、合成皮革溶剤使用から排出される

VOC

ゴム ゴム製品製造 ゴムの接着工程、ゴム表面の活性化溶剤の使用などから排出され

る VOC

給油所 給油所で燃料をローリーからタンクに受け入れる際と、タンクか

ら車へ給油する際に排出される VOC

燃料

製油所および油

槽所等

原油基地、製油所、油槽所の貯蔵タンクや燃料の移動に伴い排出

される VOC

織物業 織物・繊維加工 織物・染色加工のコンバーティング加工工程、捺染工程、仕上げ

工程などで排出される VOC

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3. 調査方法と推定結果の概要

推計方法は、発生源ごとに、次の 2種類のどちらかの方法を用いて行った。

① 関連団体の平成 18 年度自主行動計画報告値を捕捉率で割戻し、推算。

② 原材料の国内出荷販売量又は生産量に、VOC含有率と VOC 大気排出率を乗じて推算。

方法②の推計フローを図 3.1 に示す。

図 3.1 VOC 大気排出量推計フロー

推計方法①又②のどちらの推計方法を用いるかは、発生源ごとに、その発生源の業種をほぼ網

羅している団体があれば、①の方法を、そのような団体がない場合は②の方法を用いて行った。

①と②の両方の方法が可能な場合は両方行い、より現状に即している方法を採用した。

各発生源からの VOC排出量の推計方法の概要を表 3.2 にまとめる。

VOC製品の業種別需要分野別

国内出荷販売量(トン/年) 製品別 VOC含有率(%)

VOC製品の業種別需要分野別

VOC含有量(トン/年) 業種や用途ごとのVOC大気

排出率(%)

VOC 大気排出量推計値(トン/年)

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表 3.2 発生源別 VOC 大気排出量推計方法の概要

発生源分類

大分類 中分類

推計方法

塗料製造 (社)日本塗料工業会の平成 18年度自主行動計画報告値を捕捉率で補正塗装

塗装 (社)日本塗料工業会の業種別塗料販売出荷量に塗料中 VOC 含有率、業

種別大気排出率を乗じ、この値を捕捉率で補正

印刷インキ 印刷業 平版印刷とグラビア印刷からの VOC 排出量は(社)日本印刷産業連合会

の平成 18 年度自主行動計画報告値(下流側からの推計)より推計し、金

属印刷、樹脂凸版印刷、その他印刷からの VOC は化学工業統計のインキ

販売量より推計(上流側からの推計値)し、それぞれ足し合わせた。

接着剤製造 日本接着剤工業会平成 18年度自主行動計画報告値を捕捉率で補正 接着

接着剤使用 需要分野別、接着剤種類別の出荷量に VOC含有率と大気排出率(100%)を

乗じて推計

工業用洗浄 主要分野別・溶剤種類別販売量より、溶剤種類別大気排出率を乗じて算出

クリーニング テトラクロロエチレンおよび石油系洗浄溶剤の国内出荷量から、廃棄物

(蒸留による溶剤回収時のロス)への移動量を差し引き推計

洗浄

リムーバー

(塗膜剥離剤)

ジクロロメタンの国内出荷量に大気排出率(100%)を乗じて推計

化学品 化学品製造 (社)日本化学工業協会の平成 18年度自主行動計画報告値を捕捉率で補正

粘着・剥離剤 粘着・剥離製品

製造

日本粘着テープ工業会の会員アンケート調査による大気排出量と日本ポ

リエチレンラミネート製品工業会、製紙連合会の平成 18 年度自主行動計

画報告値の粘着・剥離製品に係る VOC排出量のみを合計し推算

推計において各団体の捕捉率を考慮

プラスチッ

ク製造

プラスチック成

型・加工

日本プラスチック工業連盟の平成 18 年度自主行動計画報告値を捕捉率で

補正(粘着・剥離製品に係る VOC排出量は除いた。)

ゴム ゴム製品製造 日本ゴム工業会の会員アンケート調査による大気排出量を捕捉率で補正

給油所 全国ガソリン販売量に、それぞれ給油時(ガソリンを貯蔵タンクから車へ

移す時)および受入時(タンクローリーから貯蔵タンクに移す時)の VOC

排出係数を乗じ推計。(受入ロスは5都道府県のみベーパーリカバリー装置

「VR設置」による排出抑制効果を考慮した。)

燃料

製油所および油

槽所等

石油連盟、天然ガス鉱業会、(社)日本ガス協会の平成 18年度自主行動計

画報告値を合計し推計

織物業 織物加工 (社)日本染色協会の平成 18年度自主行動計画報告値をそのまま用いた。

注)表中の捕捉率については、4 章の各論(4)「データの出典と業界団体の報告値の捕捉率」に詳細が明記されている。

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VOC 大気排出量推計結果一覧を表 3.3 に、物質別 VOC 大気排出量推計値を表 3.4 に示す。

表 3.3 年度別全国 VOC 大気排出量推計値

VOC推計値(千トン/年) 発生源分類

大分類 中分類 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

塗料製造 4.2 3.1 3.3塗装

塗装 494.0 417.0 406.0

印刷インキ 印刷業 134.8 105.8 91.6

接着剤製造 0.7 0.5 0.5接着

接着剤使用 62.2 50.8 49.5

工業用洗浄 70.7 46.6 45.3

クリーニング 45.2 41.1 40.7洗浄

リムーバー

(塗膜剥離剤) 7.1 1.5 1.5

化学品 化学品製造 131.7 80.4 75.3

粘着・剥離剤 粘着・剥離製品製造 50.3 33.7 29.8

プラスチック製造 プラスチック成型・加工 98.9 77.1 77.1

ゴム ゴム製品製造 24.7 21.2 20.9

給油所 98.8 105.2 105.0燃料

製油所および油槽所等 64.1 57.9 57.6

織物業 織物加工 8.0 6.5 6.6

VOC排出量合計 1,295.4 1,048.4 1,010.7

注)VOC 排出量合計値はそれぞれの排出源ごとの推計値を下 2 桁で四捨五入したものを合計した値なので表3.4の合計値と多少、値が異なる。

塗装

38%

印刷インキ

10%接着

5%

工業用洗浄

5%

クリーニング

3%

塗膜剥離剤

1%

化学品製造

10%

粘着・剥離剤

4%

プラスチック製造

8%

ゴム

2%

給油所

8%

製油所および油槽所等

5%織物加工

1%

塗装

印刷インキ

接着

工業用洗浄

クリーニング

塗膜剥離剤

化学品製造

粘着・剥離剤

プラスチック製造

ゴム

給油所

製油所および油槽所等

織物加工

図 3.1 平成 12 年度の各排出源ごとの VOC排出割合

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表 3.4 物質別 VOC 大気排出量推計値(トン/年) 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

物質分類 物質名 物質分類計 物質分類計 物質分類計

炭化水素系 トルエン 187,363 625,485 138,499 527,836 127,734 527,783

キシレン 114,116 94,200 86,362

エチルベンゼン 33,794 31,298 34,038

1,3,5-トリメチルベンゼン 1,808 379 324

n-へキサン 19,537 15,656 15,713

シクロヘキサン 11,898 10,248 7,898

n-ヘプタン 0 0 0

ベンゼン 2,415 788 601

スチレン 1,974 694 522

イソプロピルベンゼン 1,319 246 349

アクリロニトリル 1,081 503 387

その他の炭化水素系 250,180 235,326 253,855

アルコール系 メチルアルコール 29,872 87,410 23,396 77,939 23,596 75,223

エチルアルコール 1,878 999 864

プロピルアルコール 1,985 1,076 965

イソプロピルアルコール 36,576 37,838 36,159

n-ブチルアルコール 17,041 14,512 13,568

iso-ブチルアルコール 58 118 71

その他(アルコール系) 0 0 0

ケトン系 アセトン 12,023 68,049 9,151 59,870 8,359 55,868

メチルエチルケトン 38,788 35,769 33,933

メチルイソブチルケトン 17,238 14,950 13,576

その他(ケトン系) 0 0 0

エステル系 酢酸エチル 122,114 173,535 85,837 126,706 82,118 120,921

酢酸ブチル 28,274 24,826 24,883

酢酸ビニル 2,366 1,479 1,521

酢酸ノルマルプロピル 20,781 14,564 12,399

その他(エステル系) 0 0 0

グリコール系 エチレングリコール 0 0 0 0 0 0

エチレングリコールモノエチルエーテル 0 2,226 0 1,648 0 1,450エーテル/グリコールエーテル系

エチレングリコールモノブチルエーテル 0 0 0

プロピレングリコールモノメチルエーテル 2,041 1,415 1,225

ジメチルエーテル 0 0 0

ブチルセロソルブ 185 233 225

その他(エーテル系/グリコールエーテル系) 0 0 0

ハロゲン系 ジクロロメタン 58,132 108,738 30,223 63,050 29,612 59,108

クロロメタン 4,957 2,318 847

クロロエチレン 1,576 497 300

トリクロロエチレン 22,527 16,268 16,027

テトラクロロエチレン 11,307 7,378 6,690

1,2-ジクロロエタン 1,701 329 491

テトラフルオロエチレン 1,471 725 306

クロロエタン 1,215 374 137

トリクロロエタン 0 0 0

HCFC-142b 2,663 1,826 1,818

HCFC-22 1,962 1,885 1,653

その他(ハロゲン系) 1,227 1,227 1,227

その他単体溶剤 N-メチル-2-ピロリドン 0 8,909 0 4,129 0 4,668

N,N-ジメチルホルムアミド 5,908 3,772 4,387

二硫化炭素 3,001 357 281

その他(別記以外の単体溶剤) 0 0 0

石油系 工業ガソリン 2 号(ゴム揮発油) 40 42,207 17 40,093 15 40,448

工業ガソリン 4 号(ミネラルスピリット) 0 0 0

工業ガソリン 5 号(クリーニングソルベント) 38,785 36,694 36,694

その他(石油系混合溶剤) 3,382 3,382 3,739

分類できない石油系混合溶剤 0 0 0

特定できない物質 特定できない物質 178,866 178,866 147,631 147,631 125,689 125,689

合 計 1,295,425 1,295,425 1,048,902 1,048,902 1,011,158 1,011,158

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4. 発生源ごとの VOC 大気排出量の推計

4.1. 塗料

塗料製造工程で発生する VOC 大気排出量と、塗料使用に伴う VOC 大気排出量を推計した。前

者は(社)日本塗料工業会の平成 18 年度自主行動計画値を、後者は同工業会が年度公表している

「塗料からの VOC排出量実態推計のまとめ」のデータを基本とし推計を行った。

4.1.1. 塗料製造工程時に発生する VOC 大気排出量

(1) VOC発生源と推計対象

塗料製造における主な発生源は、仕込み工程、混合工程、反応工程、ろ過工程、缶詰工程、洗

浄工程等である。

(2) 関係業種・関係団体

塗料の製造に関する団体は(社)日本塗料工業会である。(社)日本塗料工業会の自主行動計

画では 77 社の事業所・工場からのアンケート調査により VOC 大気排出量の集計を行っている。

(3) 推計方法と推計結果

(社)日本塗料工業会の自主行動計画報告値に生産量を指標とした捕捉率 94.1%を考慮し、年

度別 VOC 大気排出量を算出した。算出フローを図 4.1 に、自主行動計画報告値を表 4.1 に、大気

排出量推計結果を表 4.2 に示す。

図 4.1 塗料製造工程で発生する VOC 大気排出量推計フロー

表 4.1(社)日本塗料工業会の平成 18 年度自主行動計画の報告値

表 4.2 塗料製造における VOC 大気排出量の推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC排出量 4,194 3,139 3,253

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率を表 4.3 に示す。

VOC排出量合計(トン/年) 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

排出量 3,947 2,954 3,061

(社)日本塗料工業会自主行動計画報告値

生産量捕捉率 94.1%で補正

年度別 VOC 大気排出量

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表.4.3 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC 大気排出量 (社)日本塗料工業会平成 18 年

度自主行動計画報告値

実態調査に元づく生産量ベースの捕捉

率:94.1%

(5) VOC 成分別排出量

(社)日本塗料工業会の自主行動計画報告値では塗料製造時に大気へ排出される VOC 成分を

報告している。物質名が明示されているのは 8 物質で、それら以外を「その他」として分類して

いる。VOC 大気排出量の推計値(表 4.2)を公表値の VOC 成分別排出量の比で比例配分し、VOC

成分別排出量を推計した。その結果を表 4.4 に示す。

表 4.4 塗料製造工程時に排出される化学成分別大気排出量推計値(トン/年)

物質名 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

トルエン 1,012 587 622

キシレン 460 417 394

エチルベンゼン 259 239 183

ブタノール 69 75 74

イソプロピルアルコール 86 75 92

酢酸エチル 180 146 162

メチルエチルケトン 101 77 131

メチルイソブチルケトン 83 72 84

その他 1,945 1,452 1,511

計 4,194 3,139 3,253

4.1.2. 塗料使用に伴う VOC 大気排出量

(1) VOC発生源と推計対象

塗料の使用における発生源は、塗装工程からの排出であり、大別すれば屋内塗装と屋外塗装に

分類できる。推計対象となる VOCは塗料原液中の有機溶剤成分と、塗料を希釈して用いる場合

の希釈用シンナーである。

(2) 関係業種・関係団体

塗装工程の業種は多岐にわたる。製造業の産業分類では金属製品製造業、一般機械器具製造業、

電気機械器具製造業、情報通信機械器具製造業、電子部品・デバイス製造業、輸送用機械器具製

造業、精密機械器具製造業等が含まれる。

自主行動計画提出団体で排出源に塗装を挙げているのは、(社)日本鉄鋼連盟、電機・電子 4団

体、(社)日本自動車部品工業会、線材製品協会、(社)日本電線工業会、(社)日本溶融亜鉛鍍金協会、

(社)日本アルミニウム協会、(社)日本建材・住宅設備産業協会、ドラム缶工業会、軽金属製品工

業会、(社)日本オフィス家具協会、(社)日本自動車車体工業会の 15団体である。

(3) 推計方法と推計結果

塗装工程からの排出量は、自主行動計画の提出団体単位ではまとめられているが、全国排出量

の推計を行う上では組織率が低く業界全体の状況が分かり難く、屋外塗装が関連する団体の一部

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13

のように、排出量の実態が掴めていないケースも多く存在する。そこで、塗料メーカー側からの

出荷量を元に上流側から推計を行った。

(社)日本塗料工業会は、塗料メーカー各社が自社ブランドで市場へ出荷した製品の全国需要分野

別・塗料販売出荷量を調べ、同工業会調査統計委員会の協力を得て集計された用途別 VOC 成分含

有率を乗じて、需要分野別・VOC 販売出荷量を求め、それに、需要分野ごとの大気排出率を乗じ

て VOC 大気排出量を推計している。推計フローを図 4.2 に示す。これらの塗料からの VOC排出

量推計値は「塗料からの VOC排出実態推計のまとめ」として平成 15 年より毎年公表されている

(以後、日塗工報告と記述する)。

図 4.2 (社)日本塗料工業会による VOC 大気排出量推算フロー

同工業会が報告している VOC 大気排出状況などのデータの概要は表 4.5 に示すとおりである。

表 4.5 VOC 大気排出量の日塗工報告状況

塗料出荷量(トン/年) VOC大気排出量(トン/年) 需要分野・成分別大気排出量

平成 12 年度 1,528,000 報告なし 報告なし

平成 13 年度 1,391,000 450,000 報告なし

平成 14 年度 1,493,000 報告なし 報告なし

平成 15 年度 1,445,000 411,321 報告有り

平成 16 年度 1,459,000 409,077 報告有り

平成 17 年度 1,434,000 398,208 報告有り

出典)「塗料からの VOC排出実態のまとめ、平成 12,13,14,15,16,17年度、(社)日本塗料工業会」

基準年度である平成 12 年度における VOC排出量が(社)日本塗料工業会より報告されていな

いので、VOC 大気排出量を変数とした回帰式( baXY = 、Y;VOC 大気排出量、X;年度、12 年

度=1、13 年度=2、・・17 年度=6)により推定した(図 4.3)。これにより、平成 12 年度の推計値

は 484,026トンとなった。

①塗料の需要別・製品種類別

全国販売出荷量(トン/年)

②需要別・製品種類VOC含有率(%)

③需要別・製品種類別VOC成分

全国販売出荷量(トン/年)

④需要別

大気排出率(%)

⑤VOC排出量(トン/年)

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y = 484026x-0.1093

R2 = 0.9771

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度

トン/年

図 4.3 平成 12 年度 VOC 大気排出量推定のための回帰式

平成 12 年度から平成 17 年度までの VOC排出量推計値と、この値を同工業会調べの化学工業

統計年報の対象累計をベースにした捕捉率 0.98で補正した値を表 4.6 に示す。最終的に塗料使用

からの VOC 大気排出量推計値は捕捉率を考慮した値とした。表 4.7 に推計結果をまとめて示す。

表 4.6 年度別 VOC 大気排出量(トン/年)

年度 日塗工報告値 捕捉率補正値

平成 12 年度注) 484,026 494,000(493,404)

平成 13 年度 450,000 459,000(459,184)

平成 14 年度注) 429,259 438,000(438,019)

平成 15 年度 411,321 420,000(419,715)

平成 16 年度 409,077 417,000(417,425)

平成 17 年度 398,208 406,000(406,335)

注)平成 12年度と 14年度は図 4.3の回帰曲線を元に推計。

表 4.7 塗料使用からの VOC 大気排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 大気排出量 494,000 417,000 406,000

参考までに、日塗工報告で、屋外塗装と屋内塗装別に集計されたデータを参考にし、今回推計

した VOC 大気排出量を屋内塗装、屋外塗装別に分けた結果を表 4.8 に示す。ここで、日塗工報告

では、船舶塗装、家庭での塗装を(屋内+屋外)に区分しているが、(社)日本造船工業会、(社)日本

塗装工業会のヒアリング調査より、これらの塗装は屋外塗装とした。また、日塗工は自動車補修

を屋内塗装に区分しているが、日本自動車車体整備共同組合連合会のヒアリング調査により、こ

の塗装は屋外塗装に分類した。その他の塗装業種は、パルプ・紙加工品製造業、なめし革・同製

品・毛皮製造業、窯業・土石製品製造業等であるが、これら業種による屋外、屋内塗装 VOC 大

気排出割合は、それぞれ 50%とした。

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表 4.8 屋内塗装、屋外塗装別 VOC 大気排出量推計値(トン/年)

屋外塗装 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

建物 114,782 97,886 84,418

構造物 36,422 30,805 30,467

船舶 48,467 43,391 41,984

自動車補修 35,263 29,621 26,263

家庭用 10,987 8,684 8,115

路面表示 4,373 1,594 1,809

その他 6,916 6,124 6,782

合計 257,211 218,106 199,839

屋内塗装 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

建築資材 31,314 24,441 20,165

自動車 99,167 79,536 73,996

電気機械 22,475 16,750 16,084

機械 32,412 29,599 27,180

金属製品 18,133 16,399 43,520

木工製品 26,370 26,482 18,763

その他 6,916 6,124 6,782

合計 236,787 199,330 206,490

総計 493,998 417,435 406,330

注) 自動車の区分には、実際には自動車部品工業会等の供給分も含まれている。 また、同工業会には自動車以外の部品を作っているメーカー(電気製品、 機械器具等)も多くある。

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率を表 4.9 に示す。

表 4.9 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

塗料出荷量 (社)日本塗料工業会「塗料からの

VOC排出実態推計のまとめ」

塗料需要分野別・成分別出

荷量

平成 12 年度は、平成 12 年度と

平成 15 年度の VOC 大気排出量

比を平成 15年度需要業種分野別

塗料中化学成分別出荷量に乗じ

て推計した。平成 16 年度、平成

17年度は(社)日本塗料工業会「塗

料からの VOC 排出実態推計の

まとめ」

生産統計の対象累計ベースで

98%

大気排出率 同上資料、ただし、平成 12 年度

は平成 15 年度の値を流用

表 4.11 のとおり

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(5) VOC 成分別排出量

16 年度及び 17 年度の VOC 成分別排出量は日塗工報告で公表されている需要業種分野別塗料

中化学成分別出荷量(表 4.10(2)と表 4.10(3))を 98%の捕捉率で補正し、その値に表 4.11 に示す

大気排出率を乗じて推計した。結果を表 4.12(2)と表 4.12(3)にそれぞれ示す。平成 12 年度につい

ては報告値がないので、平成 12 年度と平成 15 年度の VOC 大気排出量比 (12 年度/15 年度=

493,904/419,715=1.177) を平成 15 年度需要業種分野別塗料中化学成分別出荷量に乗じて、平成

12 年度分を推計した(表 4.10(1))。表 4.10(1)の値を 98%の捕捉率で補正をし、大気排出率を乗じ

て推計した。推算結果を表 4.12(1)に示す。

表 4.10(1)平成 12 年度需要分野別塗料中化学成分出荷量推計値(トン/年)

需要業種区分

塗料出荷量

塗料中溶剤

及びシンナー

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 522,685 112,486 13,279 22,702 4,580 300 751 1,580 4,491 34,014 284 641 29,864

建築資材 97,031 30,688 5,301 6,453 1,794 1,111 2,280 643 3,190 2,817 33 1,605 5,461

構造物 89,564 35,694 3,463 10,994 2,461 902 1,436 158 398 7,276 334 1,076 7,196

船舶 100,087 47,498 4,057 21,386 7,093 2,219 1,196 604 996 2,473 148 2,990 4,337

自動車 228,354 121,480 15,850 18,670 5,089 2,110 6,890 16,129 3,450 15,058 3,050 3,468 31,716

自補修 32,127 34,558 8,740 8,336 3,935 293 348 2,263 3,406 1,095 98 3,166 2,878

電気機械 41,457 24,472 2,928 4,044 1,618 296 2,032 2,159 1,002 2,383 753 1,008 6,250

機械 48,729 31,764 3,576 11,101 4,087 164 1,397 523 925 4,228 198 501 5,065

金属製品 142,808 71,081 5,240 15,979 5,023 612 5,108 1,314 2,476 12,170 386 1,243 21,530

木工製品 26,028 25,842 3,853 1,210 857 374 68 4,038 6,801 746 199 631 7,064

家庭用 36,586 10,767 332 1,157 654 106 202 135 976 4,152 16 140 2,895

路面標示 97,856 4,285 1,552 39 27 26 0 457 1,359 15 1 5 804

その他 49,276 13,557 2,761 1,922 594 434 335 1,183 886 1,842 947 611 2,040

計 1,512,588 564,172 70,933 123,993 37,811 8,946 22,045 31,185 30,356 88,269 6,448 17,085 127,100

注)平成 15年日塗工報告値より推計

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17

表 4.10(2) 平成 16 年度需要分野別塗料中化学成分出荷量(トン/年)

需要業種区分

塗料出荷量

塗料中溶剤

及びシンナー

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 482,230 95,928 11,896 18,131 4,350 363 727 1,337 4,770 28,422 223 640 25,069

建築資材 93,758 23,952 4,326 4,723 1,249 1,100 1,560 512 2,084 1,503 36 1,380 5,479

構造物 86,640 30,189 2,847 9,621 1,981 731 1,178 139 224 6,057 308 904 6,199

船舶 104,567 42,523 1,785 19,119 6,881 2,757 2,079 581 574 1,859 204 2,845 3,839

自動車 227,811 97,431 13,875 13,684 5,065 448 6,208 11,584 3,995 12,378 2,474 2,214 25,509

自補修 30,468 29,029 6,411 7,371 3,282 213 122 1,638 3,437 1,078 200 2,610 2,667

電気機械 39,957 18,239 2,613 3,358 1,566 414 891 1,340 482 1,606 342 803 4,823

機械 50,181 29,007 3,623 9,978 3,592 186 1,060 492 1,081 3,715 252 486 4,542

金属製品 140,677 64,284 4,476 11,540 4,956 568 4,788 844 1,568 11,792 588 1,180 21,984

木工製品 29,329 25,952 2,281 1,722 1,136 1,669 119 3,524 6,651 689 194 840 7,127

家庭用 33,224 8,510 355 1,118 660 76 74 127 874 2,712 3 48 2,463

路面標示 91,133 1,562 1,000 68 1 4 5 82 1 13 1 5 382

その他 49,105 12,003 2,976 1,390 606 354 259 977 611 1,587 685 564 1,994

計 1,459,080 478,609 58,464 101,823 35,325 8,883 19,070 23,177 26,352 73,410 5,510 14,519 112,077

出典)平成 16年度日塗工報告

表 4.10(3) 平成 17 年度需要分野別塗料中化学成分出荷量推計値(トン/年)

需要業種区分

塗料出荷量

塗料中溶剤

及びシンナー

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 457,027 82,730 10,547 12,493 4,140 363 622 1,355 2,656 39,117 87 861 10,489

建築資材 94,608 21,716 3,223 3,768 1,496 1,620 1,184 531 2,432 1,291 115 999 5,058

構造物 88,705 29,858 3,115 10,190 2,501 1,026 493 178 495 7,576 294 932 3,058

船舶 115,108 41,144 2,517 15,297 7,743 4,681 1,140 446 324 3,352 248 1,897 3,499

自動車 238,310 96,688 12,484 14,413 5,861 451 5,848 13,195 6,717 13,764 1,607 3,023 19,325

自補修 29,835 27,381 5,644 5,527 3,361 256 159 1,810 3,300 2,271 205 2,155 2,694

電気機械 37,534 18,544 2,471 3,044 1,545 631 1,047 1,689 619 1,804 505 787 4,404

機械 51,040 28,641 3,469 9,428 4,174 326 987 508 1,354 3,906 265 567 3,658

金属製品 148,355 67,698 4,922 12,571 5,146 956 5,022 837 1,687 11,113 859 1,232 23,354

木工製品 27,993 19,356 1,415 520 396 267 75 3,436 6,598 927 136 463 5,123

家庭用 29,361 8,033 472 962 622 68 49 147 704 3,267 7 56 1,680

路面標示 91,967 1,773 1,303 22 1 3 0 148 1 10 1 0 284

その他 24,311 13,427 3,347 1,743 453 368 268 990 751 1,996 629 598 2,285

計 1,434,156 456,990 54,928 89,978 37,438 11,015 16,893 25,269 27,638 90,394 4,957 13,569 84,911

出典)平成 17年度日塗工報告

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表 4.11 需要業種分野別大気排出率

大気排出率(%) 塗料需要分野

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

建物 100 100 100

建築資材 100 100 91

構造物 100 100 100

船舶 100 100 100

自動車 80 80 75

自動車補修 100 100 94

電気機械 90 90 85

機械 100 100 93

金属製品 25 25 63

木工製品 100 100 95

家庭用 100 100 99

路面表示 100 100 100

その他 100 100 99

出典)平成 15年度、平成 16年度、平成 17年度の日塗工報告 注 1)平成 12年度大気排出率は平成 15年度大気排出率を流用 注 2) 金属製品はプレコートメタルにおけるスプレー関係の製品が

平成 17年度は増え、会員 5社の平均値で大気排出率が 63%

表 4.12(1) 平成 12 年度需要分野別化学成分別 VOC 大気排出量推計値(トン/年)

需要業種区分

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 13,550 23,165 4,673 306 766 1,612 4,583 34,708 289 655 30,473 114,782

建築資材 5,409 6,585 1,830 1,134 2,326 656 3,255 2,874 34 1,638 5,573 31,314

構造物 3,533 11,219 2,511 920 1,465 161 406 7,425 341 1,098 7,343 36,422

船舶 4,140 21,823 7,237 2,264 1,220 616 1,016 2,523 151 3,051 4,426 48,467

自動車 12,939 15,241 4,154 1,722 5,624 13,167 2,816 12,292 2,490 2,831 25,890 99,167

自補修 8,919 8,506 4,015 299 356 2,310 3,476 1,117 100 3,231 2,936 35,263

電気機械 2,689 3,714 1,486 271 1,866 1,983 920 2,188 692 926 5,740 22,475

機械 3,649 11,328 4,170 167 1,426 533 944 4,314 202 512 5,168 32,412

金属製品 1,337 4,076 1,281 156 1,303 335 632 3,105 98 317 5,492 18,133

木工製品 3,932 1,235 874 382 70 4,121 6,939 761 203 644 7,209 26,370

家庭用 339 1,181 668 108 207 138 996 4,237 17 143 2,955 10,987

路面標示 1,584 40 28 26 0 466 1,387 16 1 5 820 4,373

その他 2,818 1,961 607 443 342 1,207 904 1,880 967 623 2,081 13,833

計 64,837 110,072 33,535 8,199 16,972 27,304 28,274 77,441 5,585 15,672 106,107 493,998

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表 4.12(2) 平成 16 年度需要分野別化学成分別 VOC 大気排出量推計値(トン/年)

需要業種区分

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 12,139 18,501 4,439 370 742 1,364 4,867 29,002 228 653 25,581 97,886

建築資材 4,414 4,819 1,274 1,122 1,592 522 2,127 1,534 37 1,408 5,591 24,441

構造物 2,905 9,817 2,021 746 1,202 142 229 6,181 314 922 6,326 30,805

船舶 1,821 19,509 7,021 2,813 2,121 593 586 1,897 208 2,903 3,917 43,391

自動車 11,327 11,170 4,135 365 5,067 9,456 3,261 10,104 2,019 1,807 20,823 79,536

自補修 6,542 7,521 3,349 217 124 1,671 3,507 1,100 204 2,663 2,721 29,621

電気機械 2,400 3,084 1,438 381 818 1,231 443 1,474 314 738 4,430 16,750

機械 3,697 10,182 3,665 190 1,082 502 1,103 3,791 257 496 4,635 29,599

金属製品 1,142 2,944 1,264 145 1,221 215 400 3,008 150 301 5,608 16,399

木工製品 2,328 1,757 1,159 1,703 121 3,596 6,787 703 198 857 7,272 26,482

家庭用 362 1,141 673 78 76 130 892 2,767 3 49 2,513 8,684

路面標示 1,020 69 1 4 5 84 1 13 1 5 390 1,594

その他 3,037 1,418 618 361 264 997 623 1,619 699 576 2,035 12,248

計 53,134 91,934 31,059 8,496 14,437 20,503 24,826 63,194 4,633 13,379 91,842 417,435

表 4.12(3) 平成 17 年度需要分野別化学成分別 VOC 大気排出量推計値(トン/年)

需要業種区分

トルエン

キシレン

エチルベンゼン

イソプロピル

アルコール

ブタノール

酢酸エチル

酢酸ブチル

石油系炭化水素類

酢酸ノルマルプロ

ピル

メチ

ルイ

ソブ

チル

ケトン

その他

建物 10,762 12,748 4,224 370 635 1,383 2,710 39,915 89 879 10,703 84,418

建築資材 2,993 3,499 1,389 1,504 1,099 493 2,258 1,199 107 928 4,697 20,165

構造物 3,179 10,398 2,552 1,047 503 182 505 7,731 300 951 3,120 30,467

船舶 2,568 15,609 7,901 4,777 1,163 455 331 3,420 253 1,936 3,570 41,984

自動車 9,554 11,031 4,486 345 4,476 10,098 5,141 10,534 1,230 2,313 14,790 73,996

自補修 5,413 5,301 3,223 246 152 1,736 3,165 2,179 197 2,067 2,584 26,263

電気機械 2,143 2,640 1,340 547 908 1,465 537 1,564 438 683 3,819 16,084

機械 3,292 8,947 3,961 309 937 482 1,285 3,707 251 538 3,471 27,180

金属製品 3,164 8,082 3,308 614 3,229 538 1,085 7,144 552 792 15,013 43,520

木工製品 1,371 504 384 259 72 3,331 6,396 899 132 449 4,966 18,763

家庭用 477 971 629 68 50 149 711 3,300 7 56 1,697 8,115

路面標示 1,330 22 1 3 0 151 1 10 1 0 290 1,809

その他 3,382 1,761 457 371 270 1,000 758 2,016 636 604 2,308 13,564

計 49,628 81,513 33,855 10,461 13,494 21,461 24,883 83,618 4,192 12,195 71,030 406,330

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(6) 今後の課題

本調査における塗料使用に伴う VOC 大気排出量推計値には、洗浄用シンナーの使用実態が不

明のため、スプレーガン、刷毛など器具の洗浄に伴う VOC 大気排出量は含まれていない。今後、

器具の洗浄に伴う VOC 取扱量を正確に把握するため、洗浄用シンナーの使用実態をアンケート

調査などにより調べる必要がある。

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21

4.2. 印刷業からの VOC 排出量

(1) VOC発生源と推計対象

平版印刷、グラビア印刷、樹脂凸版印刷、金属印刷、その他印刷等の印刷業におけるインキ乾

燥工程から排出される VOC を対象とする。熱乾燥工程がない平版オフセット枚葉印刷と新聞印

刷からの VOC排出は推計には含めない。対象とする VOCは、印刷インキに含まれる溶剤、印刷

インキの希釈用剤、機械洗浄用溶剤とする。

(2) 関係業種・関係団体

表 4.13(1)に印刷の種類と表 4.13(2)関連業種をまとめる。VOC 排出量の大きい印刷の種類は、

平版(オフセット)印刷、樹脂凸版(フレキソ印刷含む)印刷、出版グラビア印刷、特殊グラビ

ア印刷など、印刷工程で熱乾燥を行う印刷である。関連する業種や関係団体は多岐にわたる。

表 4.13(1)印刷の種類

注)その他印刷とは UV印刷やスクリーン印刷等

表 4.13(2)印刷の関連業種

関連業種

一般印刷産業、製版製本業、出版業、紙製容器製造業、プラスチック製品製造業、新聞

業、木材・木製品製造業、段ボール箱製造業、製缶板金業、ブリキ缶・その他鍍金等製

品製造、金属製品製造業、織物加工業、電子電機製造業

(3) 推計方法と推計結果

推計は、化学工業統計年報の印刷インキ生産量の値を元にした場合(上流側からの推計)と(社)

日本印刷産業連合会の平成 18 年度自主行動計画報告値(以後、日印産連自主行動計画報告値と記

述する)を元にした場合(下流側からの推計)の 2 つの方法でそれぞれ行った。結果として、上

流側からの推計では、特殊グラビア印刷で用いる希釈溶剤量分が推計されず、下流側からの推計

では、金属印刷、樹脂凸版印刷、その他印刷からの VOC 排出量分が含まれないため、推計は 2

つの方法を用いて次のように行った。

平版印刷とグラビア印刷からの VOC 排出量は日印産連自主行動計画報告値を捕捉率で補正し

た値からラミネートやコーターに使用される VOC 分を差し引き推計した下流側からの推計値を

用いた。また、金属印刷、樹脂凸版印刷、その他印刷からの VOC 排出量は化学工業統計のイン

キ販売量に VOC含有率、大気排出率を乗じて推計した上流側からの推計値を用いた。それぞれ、

下流側からと上流側からの推計値を足し合わせ、印刷業からの VOC排出量推計値とした。

印刷種類

平版印刷 出版グラビア印刷 特殊グラビア印刷

新聞印刷 樹脂凸版印刷 金属印刷 その他印刷注)

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1) 上流側からの推計方法

化学工業統計年報の各種印刷インキ品目ごとの生産量に VOC 含有率を乗じ、印刷インキに係

る VOC 使用量を算出し、これに大気排出率を乗じて大気排出量の推計を行った。推計の元デー

タとして生産量を用いた理由は、販売量では OEM 等の関係で、ダブルカウント量が含まれてい

るため、生産量を用いる方がより現実の値に近いと思われたためである。VOC排出量推計フロー

を図 4.4 に示す。

図 4.4 VOC排出量推計フロー

2) 印刷インキの生産量

化学工業統計より調べた印刷インキの品目別生産量を表 4.14(1)に示す。表 4.14(2)は印刷イン

キ工業会の平成 18 年度アンケート調査に元づき、表 4.14(1)の平版インキをオフセット輪転イン

キとオフセット枚葉インキに細分し、それぞれのインキ生産量を示したものである。

表 4.14(1) 印刷インキの品目別生産量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

平版インキ 143,439 162,646 164,624

凸版・凸版輪転インキ 10,310 その他インキに含まれる その他インキに含まれる

樹脂(ゴム)凸版インキ 25,903 25,752 25,205

金属印刷インキ 25,928 17,944 14,861

出版グラビアインキ 24,069 23,173 22,788

特殊グラビアインキ 115,960 111,643 109,788

その他インキ注) 41,268 50,391 50,926

新聞インキ 53,250 56,329 59,051

合計 440,127 447,878 447,243

出典:化学工業統計年報平成 12,16,17年度より 注)その他インキとは UVインキ、スクリーンインキ等である。

①各種印刷インキ品目ごとの生

産量(化学工業統計)(トン/年)

②各種印刷インキ中の

VOC 含有率(%)

④各種印刷インキ品目ごとの

VOC 使用量(トン/年)

⑤各種インキ品目ご

との大気排出率(%)

⑥印刷インキからの VOC 大気排出量(トン/年)

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表 4.14(2) 表 4.14(1)の平版インキの内訳(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

オフセット輪転インキ 98,686 111,900 113,261

オフセット枚葉インキ 44,753 50,746 51,363

合計 143,439 162,646 164,624

3) 印刷インキにおける VOC使用量

印刷インキの平均的なVOC含有率は、印刷インキ工業会平成 18 年度ヒアリング調査により(以

後、印刷インキ工業会ヒアリング調査とする)より、新聞インキで 22.5%、平版オフセット輪転

インキで 35%、枚葉インキで 25%、樹脂凸版インキ(フレキソインキを含む)で 5%、金属印刷イ

ンキでは 30%である。グラビアインキでは出版グラビアインキで 50%、特殊グラビアでは 75%

とした。また、(社)日本印刷産業連合会の平成 19 年度ヒアリング調査(以後、日印産連ヒアリ

ング調査とする)より、その他インキは UV インキでは VOC 使用量はほとんどなく、スクリー

ンインキで 50%程度なので、その他インキ全体として最高値で 40%程度であるとの回答を得た。

それぞれのインキ品目ごとの生産量にこれらの含有率を乗じて VOC使用量を求めた(表 4.15)。

印刷インキの希釈用溶剤分に関しては、平版インキ、金属インキでは希釈溶剤を用いないため、

考慮する必要はない。また、樹脂凸版インキ、その他インキの希釈用溶剤分は、化学工業統計の

インキ生産量の値に含まれており、使用量も少ないことより、別途推計は行なっていない。希釈

用溶剤を多く用いるインキは特殊グラビアインキであるが、特殊グラビアインキに用いる希釈溶

剤の約 2 割は化学工業統計値の特殊グラビアインキ生産量含まれているが、残りの約8割分はに

は含まれていない。しかし、グラビアインキの希釈割合等の詳細データが無いため、今回はこの

希釈溶剤分は推計できなかった。したがって上流側からの推計では特殊グラビア印刷で用いる希

釈溶剤からの VOC排出量が含まれない結果となった。

表 4.15 各種印刷インキに含有する VOC量推計値(トン/年)

VOC の含有率注1) 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

①平版インキ

35% 34,540 39,165 39,641オフセット輪転

オフセット枚葉 25% 11,188 12,687 12,841

②グラビアインキ

50% 12,035 11,586 11,394出版グラビア

特殊出版グラビア 65% 75,374 72,568 71,362

③新聞インキ 22.5% 11,981 12,674 13,286

④樹脂凸版インキ注 2) 5% 1,295 1,288 1,260

⑤金属印刷インキ 30% 7,778 5,383 4,458

⑥その他インキ注 3) 40% 20,631 注 4) 20,156 20,370

合計 174,822 175,507 174,612注1)印刷インキ品目ごとの VOC 含有率は、印刷インキ工業会および(社)日本印刷産業連合会のヒアリング調査より

注 2)樹脂凸版インキにはフレキソインキも含まれる。

注 3) その他インキは UV インキ、スクリーンインキ等である。

注 4)表 4.14 の凸版 凸版輪転インキ分をその他インキに加算し、VOC 含有率を乗じた値。

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4) VOC 大気排出率の設定

乾燥工程があり、VOC の大気排出がある印刷は、平版のオフセット輪転印刷、グラビア印刷、

樹脂凸版(フレキソ印刷含む)、金属印刷、その他印刷などである。参考のため印刷インキの種類

に対する印刷方式と乾燥方式の関係を表 4.16 に示す。新聞印刷と平版インキでの枚葉印刷は乾燥

工程が入らないので推計から除外した。平版のオフセット輪転印刷とグラビア印刷の大気排出率

は、日印産連自主行動計画報告値のオフセット印刷の使用量と排出量の比を用いた。その結果、

平版のオフセット輪転印刷では平成12年度で20.4%、平成16年度で14.8%、平成17年度で15.3%

となり、グラビア印刷では、平成 12 年度で 66.5%、平成 16 年度で 53.7%、平成 17 年度で 46.4%

となり、この値を用いることとした(表 4.19)。実際には事業所の規模に応じて処理装置の設置

率はかなり異なると思われる。その樹脂凸版(フレキソ印刷含む)、金属印刷、その他印刷(UV 印

刷、スクリーン印刷等)の大気排出率は印刷インキ工業会調査より、おおよそ平均 50%として計

算した。今回使用した大気排出率を表 4.17 にまとめて示す。

表 4.16 印刷インキの種類に対する印刷方式と乾燥方式の関係

印刷インキ種類 印刷方式 乾燥方式

① 平版(オフセット)インキ オフセット枚葉印刷

オフセット輪転印刷

酸化重合・浸透乾燥

熱風乾燥

② 樹脂凸版(フレキソ)インキ フレキソ印刷 浸透乾燥・蒸発乾燥

③ 出版グラビアインキ グラビア印刷 蒸発乾燥

④ 特殊グラビアインキ グラビア印刷 蒸発乾燥

⑤ その他の印刷インキ 各種印刷 各種乾燥方式

⑥ 新聞インキ 新聞印刷 浸透乾燥

表 4.17 使用した大気排出率

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

平版オフ輪転 20.4% 14.8% 15.3%

グラビアインキ 66.5% 53.7% 46.4%

樹脂凸版インキ 50% 50% 50%

金属印刷インキ 50% 50% 50%

その他等 50% 50% 50%

5) 上流側からの大気排出量の推計結果

大気排出量は表 4.15で推計された各種印刷インキのVOC使用量に表 4.17で示した大気排出率

を乗じて算出した。各種印刷インキ品目からの VOC 大気排出量結果を表 4.18 に示す。同表より、

平成 12 年度の印刷業からの VOC排出量は 90,020t/年と推計された。しかし、この値には特殊グ

ラビア印刷で使用される希釈用溶剤が含まれていない。そこで、次に示すように下流側からの推

計を行った。

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表 4.18 各印刷インキ品目からの VOC 大気排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 含有量 大気排出量 VOC 含有量 大気排出量 VOC 含有量 大気排出量

① 平版(オフ輪転+枚葉) 45,728 9,329 51,852 7,674 52,482 8,030

② グラビアインキ 99,005 65,838 95,319 51,186 93,735 43,493

③ 樹脂凸版インキ 1,295 648 1,288 644 1,260 630

④ 金属印刷インキ 7,778 3,889 5,383 2,692 4,458 2,229

⑤ その他等 20,631 10,316 20,156 10,078 20,370 10,185

合計 174,437 90,020 173,998 72,274 172,305 56,537

6) 下流側(ユーザー側)からの推計

日印産連自主行動計画報告には平成 18 年度自主的行動計画の報告で、平成 12 年、16 年、17

年度の VOC使用量と排出量が報告されている(表 4.19)。この報告値は同連合会が会員企業にア

ンケートを行い、グラビアと平版の印刷事業所の印刷等で使用及び排出する VOC について調査

し集計しているものである。そのため、グラビアと平版(オフ輪転)からの VOC 排出量推計は

この値を元に行った。この報告値の捕捉率は印刷インキの生産量ベースで 90%である。

ただし、この報告値には、印刷以外にもラミネーターやコーターで使用する VOC も若干含ま

れているため、この分を差し引く必要がある。この印刷業で使用するラミネーターやコーターに

よる VOC 量は(社)日本印刷産業連合会のヒアリングより日本ポリエチレンラミネート製品工

業会の自主行計画報告値の約 1 割の量であることが分かっているので、日本ポリエチレンラミネ

ート製品工業会の自主行動計画報告値を捕捉率 40%で割戻し、その値に 0.1を乗じ、印刷関連の

ラミネーターやコーターからの VOC排出量を求めた。結果を表 4.20 に示す。

表 4.19の捕捉率で補正した値から表 4.20の印刷関連のラミネーターやコーターからのVOC排

出量を差し引いた値をグラビア印刷とオフセット印刷業からの VOC 排出量推計値として表 4.21

に示す。

表 4.19(社)日本印刷産業連合会平成 18 年度自主的行動計画報告値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

グラビア使用量 160,000 153,100 150,100

排出量 106,400

(66.5%)

82,200

(53.7%)

69,700

(46.4%)

平版(オフセット)使用量 44,400 46,500 44,900

排出量 9,100

(20.4%)

6,900

(14.8%)

6,900

(15.3%)

総排出量合計 115,500 89,100 76,600

捕捉率で補正した値 128,333 99,000 85,111

出典 (社)日本印刷産業連合会平成 18年度自主的行動計画報告書 注) アンケートのカバー率は出荷量ベースで 9 割、カッコ内は排出率

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表 4.20 印刷関連のラミネーターやコーターからの VOC排出量(トン/年)

注 1)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値

注 2)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値を捕捉率 0.4 で割り戻した値

注 3)注2)の値の 1 割分

注 4) 平成 16 年度の値がないので、化学工業統計年報の平成 17 年度と平成 16 年度のポリエチレン生産実績値の比を用いて推計

した。

表 4.21 グラビア印刷とオフセット印刷に関する VOC排出量推計(トン/年)

7) 上流側と下流側の推計の比較

上流側(生産者側)からの推計値と下流側(ユーザー側)からのものを比較すると、平版印刷

での VOC 使用量や大気排出量は双方でほぼ近い値となっている。一方、グラビア印刷に関して

は、上流側からの推計による VOC使用量は平成 12 年度で 99,005 トンであるが、下流側からの

報告では 160,000 トンであり、その差は 60,995 トンとなる。この差の理由として 2 点考えら

れる。一つは、下流側のアンケート調査では、グラビア印刷関係の使用量と排出量にラミネ

ーターやコーターで使用される VOC も含まれているため、その分が上乗せされていること。

もう一つの理由として、上流側からの推計では、特殊グラビア印刷で使用される希釈溶剤の

量がすべてカバーされていないためと思われる。つまり、実際のユーザーは、希釈用溶剤な

どを、印刷インキメーカーからだけではなく、溶剤を専門に販売する業者や、石油メーカー

から商社などを通し、直接購入している場合などがあり、その分の溶剤量は上流側からだけ

の推計ではカバーされないことが分かる。そのため、希釈溶剤を多く使用するグラビア印刷

からの VOC 排出量に大きな差が生じたものと思われる。

8) 印刷インキからの VOC 排出量の推計値方法と結果

今回は下流側から推計したグラビア印刷と平版印刷に関する VOC 排出量推計値に、上流側か

ら推計した樹脂凸版印刷、金属印刷、その他印刷からの VOC 排出量を足し合わせ、印刷インキ

からの VOC 排出量を推計することとした。結果を表 4.22 に示す。推計結果は平成 12 年度の基

準年度で、134,840t/年となった。

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17年度

日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画報告値注1) 33,383 26,366 注4) 26,392

捕捉率で補正注2)

83,458 65,915 65,980

印刷関連のラミネーターやコーターからの VOC 注3) 8,346 6,592 6,598

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

グラビア印刷とオフセット印刷に関する

VOC排出量推計 119,987 92,408 78,513

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表 4.22 印刷インキからの VOC 大気排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 16 年度

上流側推計(樹脂凸版、金属、その他印刷) 14,853 13,414 1,3044

下流側推計(グラビアと平版印刷) 119,987 92,408 78,513

印刷インキからの VOC 大気排出量推計値 134,840 105,822 91,557

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と団体の報告値を表 4.23 に示す。

表 4.23 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの種類 出典 捕捉率

印刷インキ品目別の生産量 化学工業統計年報 平成

12,平成 16 年、平成 17 年度

印刷インキ品目別中の VOC含有率 印刷インキ工業会平成 18

年度の会員アンケート調査

および

(社)日本印刷産業連合会

への平成 18 年度のヒアリ

ング(その他インキのみ)

平版印刷とグラビア印刷は

(社)日本印刷産業連合会

の自主的行動計画の報告値

の使用量と排出量の比

自主的行動計画の報告は出

荷量に対して捕捉率は 90%

各種印刷インキの大気排出率

樹脂凸版印刷、金属印刷、

その他印刷は印刷インキ工

業会による平成 18 年度ヒ

アリング調査(上記同様)

印刷業関連のラミネーターやコータ

ーに使用される VOC量

平成 18 年度日本ポリエチ

レンラミネート製品工業会

自主行動計画報告値の 1割

捕捉率は製品売上高に元づ

き 40%

印刷インキの有機溶剤成分別使用量 印刷インキ工業会調査 捕捉率は生産量ベースで

95%以上

(5) VOC 成分別排出量

印刷インキ工業会調査で、平成 12 年度と 16 年度の有機溶剤使用量成分比が表 4.24(1)と(2)の

ように調べられており、表 4.22 の VOC排出量推計値をこの成分比に比例配分し、VOC 成分別排

出量を推計した。また、平成 17 年度は平成 16 年度の成分別使用量の比を用いて推計した。VOC

成分別排出量推計値を表 4.24(3)に示す。

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表 4.24(1)平成 12 年度有機溶剤使用量(トン/年) 表 4.24(2)平成 16 年度有機溶剤使用量(トン/年)

出典) 印刷インキ工業会調査 注1) 有機溶剤使用量には、インキ溶剤と希釈溶剤の両方の量が含まれている。 注 2) アンケートの捕捉率は印刷インキ生産量の約 95%以上である。

表 4.24(3) VOC 成分別排出量推計値(トン/年)

VOC 成分 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

トルエン 41,448 27,226 23,556

イソプロピルアルコール 25,961 27,392 23,700

酢酸エチル 28,331 16,985 14,695

メチルエチルケトン 15,990 16,902 14,623

メタノール 2,924 3,580 3,098

シクロヘキサノン 2,479 2,581 2,233

メチルイソブチルケトン 1,483 1,499 1,297

酢酸ノルマルプロピル 4,267 1,415 1,225

プロピレングリコールモノメチルエーテル 2,041 1,415 1,225

エタノール 1,878 999 864

その他 8,040 5,828 5,042

合計 134,840 105,822 91,557

(6) 今後の課題

印刷業からの VOC 大気排出量の推計精度を上げるためには、各種インキ中の溶剤量と希釈

用溶剤の量的把握ならびにインキ工業会以外からの希釈用溶剤の購入量を正確に把握する必要

がある。特に、印刷業に使用される希釈用有機溶剤の購入ルートは図 4.5 のように大きく分け

て 3 通り存在する。①印刷インキ製造業からの購入、②溶剤販売業者からの購入、③石油精製

業から商社などを介して直接購入などがあり、現在、印刷インキ工業会では、②と③の溶剤の

酢酸エチル 32,700

トルエン 32,900

メチルエチルケトン 20,400

イソプロピルアルコール 20,300

酢酸ノルマルプロピル 4,300

メタノール 3,100

プロピレングリコール

モノメチルエーテル 1,800

メチルイソブチルケトン 1,700

酢酸ブチル 1,700

エタノール 1,200

その他 7,000

合計 127,100

トルエン 46,106

イソプロピルアルコール 28,878

酢酸エチル 31,515

メチルエチルケトン 17,787

メタノール 3,253

シクロヘキサノン 2,757

メチルイソブチルケトン 1,649

酢酸ノルマルプロピル 4,747

プロピレングリコール

モノメチルエーテル 2,270

エタノール 2,089

その他 8,944

合計 149,995

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流通量を把握することができない。今後、このような溶剤のマスフローを把握することが必要

である。

また、現在、金属印刷、樹脂凸版印刷、その他印刷に関する、インキ中の溶剤含有率および

大気排出率の正確なデータがないため、今後調査をする必要があろう。

図 4.5 溶剤の購入ルート

石油精製業

印刷インキ製造業

印刷業

溶剤販売業

商社仲介

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4.3. 接着

4.3.1. 接着剤製造に伴う VOC 排出量

(1) VOC発生源と推計対象

接着剤製造に係る混合溶解工程、洗浄工程から排出される VOCを対象とする。

(2) 関係業種・関係団体

主な関係団体は日本接着剤工業会で関係業種は接着剤製造業である。

(3) 推計方法と推計結果

接着剤製造からの VOC 排出量は日本接着剤工業会の自主行動計画報告値をデータの捕捉率で

割り戻し推計した。捕捉率の計算には、接着剤製造業者 127 社が加盟している日本接着剤工業会

の平成 18 年度工業会会員調査(工業会独自の調査であり非公開である。この調査では会員アンケ

ートにより VOC使用量と出荷量、VOC含有率を業種別・用途別に集計している。以後、日本接

着剤工業会調査と記述する)を用いた。日本接着剤工業会調査による VOC 使用量に対する同工

業会の自主行動計画報告による VOC 使用量の比を求めて、その値を捕捉率とした。推計結果と

して捕捉率は 92%と設定した。表 4.25 に日本接着剤工業会調査における VOC 使用量と自主行

動計画報告による VOC使用量の値を示す。

日本接着剤工業会の自主行動計画報告値を捕捉率 92%で割戻し推計した VOC 排出量結果を表

4.26 に示す。

表 4.25 出荷量からの VOC使用量推計値と工業会員調査による VOC使用量(トン/年)

日本接着剤工業会調査の出荷量から推計した

VOC 使用量推計値注1) 自主行動計画報告による VOC 使用量注2)

年度 平成 12年度 平成 16年度 平成 17年度 平成 12年度 平成 16年度 平成 17年度

VOC 使用量(トン/年) 62,221 50,826 49,541 56,976 45,968 44,708

注1) 出典:日本接着剤工業会の平成 18年度工業会会員調査 注2) 表中の自主行動計画報告による VOC 使用量の値は、公表値と若干異なる

表 4.26 接着剤製造に伴う VOC排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC排出量注 598 484 470

VOC排出量推計値 650 526 510

注)日本接着剤工業会 18年度自主行動計画報告値

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(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率を表 4.27 に示す。

表 4.27 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

日本接着工業会

の自主行動計画

報告値の捕捉率

平成 18年度日本接着

剤工業会調査(独自

調査により非公開)

日本接着剤工業会調査による VOC 使用量と同調査に

より集計した出荷量統計値から推計した VOC の使用

量の比が 0.92

VOC 大気排出量 平成 18年度日本接着

剤工業会自主行動計

画報告値

上記より 92%

(5) VOC 成分別排出量

日本接着剤工業会の平成 18 年度自主行動計画報告による VOC 成分別排出量を捕捉率 92%で

割り戻し推計した値を表 4.28 に示す。

表 4.28 全国の接着剤製造施設からの VOC 成分別排出量推計値(トン/年)

物質名 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

酢酸エチル 120 116 118

トルエン 195 121 116

メタノール 113 103 96

酢酸ノルマルプロピル 49 39 39

n-ヘキサン 49 30 29

アセトン 45 42 41

キシレン 26 22 23

ゴム揮発油 40 17 15

シクロヘキサン 15 32 33

合計 650 526 510

注)日本接着剤工業会報告値に捕捉率 92%で割り戻した値

4.3.2. 接着剤使用に伴う VOC 排出量

(1) VOC発生源と推計対象

主に建築材料(合板、二次合板、木材)での素材の張り合わせや建築現場での接着剤使用から

排出される VOC を推計対象とする。この接着剤の推計にはゴム糊、粘着剤・剥離剤、ラミネー

ト用接着剤は対象としない。

(2) 関係業種・関係団体

接着に関係する業界団体や業種は幅広い。自主行動計画参加団体では(社)日本建材・住宅設備産

業協会や日本オフィス家具協会などがある。主な業種は、合板製造業、木材・木製品製造業、家

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具・装備製造業、建築用金属製品製造業、土木工事業、印刷・同関連産業などである。

(3) 推計方法と推計結果

前記の日本接着剤工業会調査では、工業会が独自に出荷量統計値を集計し、この値に需要分野

別、接着剤種類別の VOC 含有率(この含有率も同調査で調べている)を乗じて、需要分野別、

接着剤種類別の VOC使用量を推計している(表 4.29)。本推計ではこの需要分野別、接着剤種類

別の VOC 使用量の値を用いて、大気排出率を 100%とみなし推計を行った。結果を表 4.29 に示

す。推計方法のフローを図 4.6 に示す。

図 4.6 接着剤使用に伴う VOC 大気排出量推計のフロー図

表 4.29 VOC 大気排出量推計値 (トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 大気排出量 62,221 50,826 49,541

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典を表 4.30 に示す。

表 4.30 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

接着剤種類別・需要分野別

出荷量

平成 18年度日本接着剤工業会調査

(独自調査により非公開)

出荷量調査の捕捉率はほぼ

100%である。

接着剤種類別・需要分野別

VOC含有率

同上

接着剤種類別・需要分野別出荷量(トン/年)

(日本接着剤工業会調査による集計値)

接着剤種類別・需要分野別

の VOC含有率(%)

接着剤種類別・需要分野別

の VOC使用量(トン/年)

大気排出率

100%

接着剤からの VOC 大気排出量(トン/年)

=VOC使用量

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33

(5) VOC 成分別排出量

日本接着剤工業会調査で、接着剤に含有する VOC の成分別排出量がまとめられている、表 4.31

にそれを示す。

表 4.31 接着剤に含有する VOC の成分別排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

酢酸エチル 5,579 3,883 3,054

トルエン 15,764 12,327 11,328

メタノール 10,514 9,470 10,490

メチルエチルケトン 13,242 13,983 14,710

n-ヘキサン 4,957 3,037 3,132

アセトン 1,716 1,033 912

シクロヘキサン 3,350 2,215 1,639

ゴム揮発油 N.D. N.D. N.D.

キシレン N.D. N.D. N.D.

その他 7,100 4,877 4,276

計 62,221 50,826 49,541

出典)日本接着剤工業会調査(非公開資料) N.D.:データなし

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34

4.4. 洗浄

4.4.1. 工業用洗浄に伴う VOC 排出量

(1) VOC発生源と推計対象範囲

工業用洗浄剤は主に金属加工部品などの表面の油分の洗浄やフラックスなどの除去等に用いら

れるため、これら工業洗浄工程から大気へ排出される VOCを推計対象とした。

表 4.32 に推計対象とする工業用洗浄剤の種類と洗浄用途をまとめる。塩素系溶剤、炭化水素系

溶剤、準水系溶媒、フッ素系溶剤(大気汚染防止法の VOC 関連条文 施行令第 2 条の 2 に定義

されている除外物質7物質は除く)を推計対象とした。工業用洗浄剤は水系溶剤もあるが、これ

らは有機溶剤を含まないことより推計から除いた。ここでの推計値には、印刷インキ、塗装、接

着などの機械洗浄に用いる洗浄用シンナー分は含まれない。

表 4.32 推計の対象とする工業用洗浄剤の種類

工業用洗浄剤

の種類

洗浄用途 対象とする汚れ 溶剤の成分

塩素系溶剤 金属加工部品;電機・電子部品、

プリント元板・表面実装部品 自

動車用部品、精密加工部品

金属加工分野での比

較的粘性の高い油

ジクロロメタン

炭化水素系 金属加工品、精密加工品自動車部

品、電機・電子部品

鉱物系加工油、フラ

ックスの除去

パラフィン系、ナフテ

ン系

準水系洗浄剤 電機・電子部品や樹脂加工部品 剥離剤、フラックス、

鉱物加工油

N-メチルピロリドン

グリコール系

フッ素系溶剤 電機・電子部品、プリント元板、

表面実装部品 精密加工部品

フラックス、鉱物系

加工油、グリス、潤

滑剤の洗浄

HCFC-225

(2) 関連業種・関連団体

関連する団体および業種は多岐にわたる。主な団体は、日本産業洗浄協議会である。関連業種

は、電子部品・ディバイス製造業、金属製品製造業、自動車・同付属品製造業、プラスチック製

品製造業、ガラス・同製品製造業等である。

(3) 推計方法と推計結果

1) VOC販売量と使用量

炭化水素系溶剤、準水系溶剤、フッ素系溶剤その他溶剤の国内販売量は、日本産業洗浄協議会

の平成 13 年度報告書「工業洗浄に関する調査報告書」(以後、平成 13 年度産洗協報告書と記載

する)に報告されている工業洗浄剤の溶剤種類別販売量の値を用いた。この値の捕捉率は、同報

告書の値が販売量の多いメーカーから多く回答を集計したとのことより、比較的現実に即した値

であると判断し 100%とした。また、平成 12 年度のクロロカーボン衛生協会調査のトリクロロエ

チレン国内供給量(28,881 トン)と同報告書のトリクロロエチレンの販売量(28,000 トン)の比が

1.03であることも、同報告の値がほぼ国内販売量をカバーしていると判断した理由である。

平成 13 年度産洗協報告書の工業洗浄剤の溶剤種類別販売量の中の塩素系溶剤のテトラクロロ

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エチレン、トリクロロエチレンとジクロロメタンについては、クロロカーボン衛生協会による統

計調査(以後、クロロカーボン衛生協会調査と記載する)の金属等洗浄用の国内需要量の値を用

いた。

洗浄溶剤中の VOC含有率は炭化水素系溶剤、塩素系溶剤、およびその他非水系溶剤は 100%で

ある。また、準水系溶剤は日本産業洗浄協議会平成 18 年度ヒアリング(以後、産洗協ヒアリング

と記述する)より 95%とした。

表 4.33 に平成 12 年度の需要分野別・溶剤種類別販売量を示す。また表 4.34 に溶剤種類別販売

量の平成 12 年度、平成 16 年度、平成 17 年度をまとめて示す。ここで、平成 16 年度と 17 年度

の塩素系洗浄剤販売量はクロロカーボン衛生協会調査の値を用いた。平成 16 年度と 17 年度のそ

の他の洗浄溶剤の販売量に関しては統計値がないため、今回は平成 13 年度産洗協報告書の値をそ

のまま用い、平成 12 年度と同じ値とした。

表 4.33 平成 12 年度 需要分野別・溶剤種類別販売量(トン/年)

溶剤

の種

合計

電機

・電子

部品

プリ

ント

基板

・表

面実

装部

液晶

ディ

スプ

レイ

関係

部品

精密

加工

部品

自動

車用

部品

金属

加工

部品

樹脂

加工

備品

ガラ

ス・光

学系

部品

その

NMP 系 3,005 1,000 1,000 0 3 0 0 1,000 3 0

グリコール系 2,723 598 843 547 285 333 27 0 38 50

シリコーン系 60 0 0 0 0 0 0 0 60 0

剤 その他の準水系

洗浄剤 318 7 90 0 2 167 7 0 20 25

イソパラフィン系 5,430 2,092 50 0 1,287 417 1,467 83 35 0

n-パラフィン系 9,250 2,067 0 0 2,733 3,067 333 1,025 0 25

ナフテン系 6,461 1,500 500 0 0 1,761 2,167 0 533 0

剤 その他の炭化水

素系溶剤 4,558 709 944 0 33 1,417 709 0 368 378

ジクロロメタン 46,176 注) 4,585 598 0 3,987 4,017 32,927 0 0 60 トリクロロエチレン注) 28,881 注) 4,814 4,814 0 0 0 19,254 0 0 0 テトラクロロエチレ

ン注) 6,236 注) 565 565 0 0 9 5,097 0 0 0

剤 その他の塩素系

溶剤 180 0 0 0 0 0 180 0 0 0

HFC 593 197 0 0 197 3 0 0 197 0 フ

その他のフッ素系

溶剤 5 0 0 0 2 2 0 0 2 0

臭素系 780 260 0 0 260 0 0 0 260 0 そ

その他 3,500 0 1,167 0 0 2,333 0 0 0 0

計 118,156 18,394 10,571 547 8,789 13,526 62,168 2,108 1,516 538

出典) 平成 13年度日本産業洗浄協議会の「工業洗浄に関する調査報告書」 注) クロロカーボン衛生協会統計調査の金属等洗浄用の国内需要量の値

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36

表 4.34 各年度の溶剤種類別販売量(トン/年)

2) 大気排出率の設定

産洗協ヒアリングより、準水系洗浄剤は、洗浄後、水で洗うリンス工程でほとんどの洗浄剤が

水へ移動し、大気に排出するのは全体の 0.3~0.5%程度とのことより、本推計では準水系洗浄剤の

大気排出率を 0.4%と設定した。

炭化水素系は、洗浄タイプとして、減圧蒸気洗浄システム(密閉装置)と温風乾燥機を用いる2つ

の方法がある。近年普及している減圧蒸気洗浄システム(密閉装置)を使用した場合だと、大気への

放出量は真空ポンプからの排気に含まれるもののみで、全消費量の 1/10以下である。炭化水素系、

フッ素系、その他溶剤の大気排出率について「平成 17 年度 VOC排出抑制に係る自主的取り組み

推進マニュアル原案作成(洗浄関係)委員会報告書」(以後、洗浄関係委員会報告書と記述する)

で報告されている値があるため、今回はその値を用いることとした。これより、炭化水素系で減

圧蒸気洗浄システムを使用した場合の大気排出率は 7.4%、温風乾燥機を使用した場合は、65%と

設定した。フッ素系とその他は 84%と設定した。塩素系洗浄剤の大気排出率については、平成 16

年度の PRTR 報告値の塩素系溶剤の各成分ごとの使用量と大気排出量の比を求め、それを大気排

出率とした。各種洗浄剤に対し設定した大気排出率を表 4.35 に示す。

溶剤の種類 平成 12 年度 平成 16 年度注1) 平成 17 年度注1)

NMP 系 3,005 3,005 3,005

グリコール系 2,723 2,723 2,723

シリコーン系 60 60 60

準水系

洗浄剤

その他の準水系洗浄剤 318 318 318

イソパラフィン系 5,430 5,430 5,430

n-パラフィン系 9,250 9,250 9,250

ナフテン系 6,461 6,461 6,461

炭化水

素系溶

剤 その他の炭化水素系溶剤 4,558 4,558 4,558

ジクロロメタン注2) 46,176 25,706 24,351

トリクロロエチレン注2) 28,881 20,856 20,547

テトラクロロエチレン注2) 6,236 3,830 3,460

塩素系

溶剤

その他の塩素系溶剤 180 180 180

HFC 593 593 593フッ素

系溶剤 その他のフッ素系溶剤 5 5 5

臭素系 780 780 780その他

の溶剤 その他 3,500 3,500 3,500

合計 118,156 87,255 85,221

注1)平成 16年度と平成 17年度の塩素系溶剤以外の溶剤使用量は平成 12年度と同じ値を用いた.

注2)クロロカーボン衛生協会統計調査の金属等洗浄用の国内需要量の値

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37

表 4.35 洗浄剤の大気排出率設定値

洗浄剤の種類 大気排出率

準水系 0.4%程度(ほとんど排出しない)

炭化水素系 7.4%(密閉型装置:全国設置率 90%)

65%(温風乾燥機:全国設置率 10%)

塩素系 78%

フッ素系 84%

その他 75%

3) VOC 大気排出量の推計と結果

表 4.34 の各種洗浄剤の国内販売量に表 4.35 の大気排出率を乗じて、洗浄剤からの VOC 大気排

出量を推計した結果を表 4.36 に示す。ここで、炭化水素系溶剤からの VOC排出量は減圧蒸気洗

浄システムの国内における設置比率は洗浄関係委員会報告書より 90%との報告があるため、炭化

水素系溶剤の使用量の 9 割に大気排出率 0.74 を乗じ推計を行った。また、その残りの 10%は温

風乾燥機使用とみなし、炭化水素系溶剤の使用量の1割に温風乾燥機での大気排出率の 65%を乗

じて推計を行った。VOC 大気排出量の推計結果を表 4.36 に示す。

表 4.36 洗浄剤からの VOC 大気排出量推計値(トン/年)

溶剤の種類 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

NMP系 11 11 11

グリコール系 10 10 10

シリコーン系 0 0 0 準水系洗浄剤

その他の準水系洗浄剤 1 1 1

イソパラフィン系注) 715 715 715

n-パラフィン系注) 1,217 1,217 1,217

ナフテン系注) 850 850 850 炭化水素系溶剤

その他の炭化水素系溶剤注) 600 600 957

ジクロロメタン 36,017 20,051 18,994

トリクロロエチレン 22,527 16,268 16,027

テトラクロロエチレン 4,864 2,987 2,699 塩素系溶剤

その他の塩素系溶剤 140 140 140

HFC 498 498 498 フッ素系溶剤

その他のフッ素系溶剤 4 4 4

臭素系 585 585 585 その他の溶剤

その他 2,625 2,625 2,625

合計 70,666 46,563 45,334

注) 炭化水素系は以下のような計算を行った。 例:(炭化水素系溶剤販売量×0.9×0.074)+(炭化水素系溶剤販売量×0.1×0.65)

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38

(4) データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データの出典と団体の報告値の捕捉率を表 4.37 に示す。

表 4.37 データの出典と団体の報告値

(5) VOC 成分別排出量

洗浄剤溶剤種類別の販売量データは平成 13 年度産洗協報告書で報告されているが、詳細な

VOC 成分に関するデータは本調査において入手できなかった。

(6) 今後の課題

現在、炭化水素系溶剤、準水系溶剤、フッ素系溶剤、その他溶剤の近年の国内販売量の正確な

統計値が得られていないため、今後、工業洗浄剤の使用分野別販売量の正確な値の把握が望まれ

る。しかし、炭化水素系溶剤の販売ルートは、メーカー→ユーザー、メーカー→商社→ユーザー、

商社→代理店(二次代理店を含む)→ユーザー、ユーザー→リサイクル業者→ユーザーなどがあり、

非常に複雑である上、その製品が実際に洗浄用に用いられているかの不確定要素も存在しており、

統計的な把握が非常に難しいという現状がある。そのため、ダブルカウントが無いような調査を

するためには、調査手法も含めた詳細な検討が必要であると考えられる。

データの種類 データの出典 捕捉率

・日本産業洗浄協議会「工業洗浄に関する調査報告書」

平成 13 年 8 月

100%洗浄用溶剤販売量

・クロロカーボン衛生協会統計調査

100%

VOC含有率 ・日本産業洗浄協議会への平成 18 年度のヒアリング

準水系溶剤:日本産業洗浄協議会への平成 18 年度のヒ

アリング

炭化水素、フッ素系、その他溶剤:平成 17 年度 VOC

排出抑制に係る自主的取り組み推進マニュアル原案作

成(洗浄関係)委員会報告書(旭リサーチセンター)

大気排出率

塩素系溶剤:平成 17 年度 PRTR 報告値の各種塩素系溶

剤の使用量と大気排出量

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39

4.4.2. クリーニングに伴う VOC 排出量

(1) VOC発生源と推計対象範囲

ドライクリーニング事業所で衣類を洗浄する工程で排出される VOC を対象とする。ドライク

リーニングに使用される溶剤はテトラクロロエチレン、石油系洗浄溶剤(工業用ガソリン 5 号)、

フッ素系(CFC-113、HCFC-225)、エタン系(1,1,1-トリクロロエタン)であるが、クリーニン

グ用のフッ素系溶剤は大気汚染防止法の VOC除外物質であり、エタン系は平成 13 年より製造禁

止となっている。さらに、現在、国内で稼働中のドライクリーニング機器の約 87%が石油系溶剤、

約 11%がテトラクロロエチレン溶剤を使用した機器で、この 2種類で約 98%を占めている(厚生

労働省統計調査)。これらのことより、ドライクリーニング業からの VOC排出推計の対象溶剤は

テトラクロロエチレンと石油系洗浄溶剤とした。

・ドライクリーニングの有機溶剤回収工程について

ドライクリーニングの洗浄機械はホット機とコールド機の 2 つのタイプがあり、ホット機は洗

浄、乾燥、脱臭が一体となっており、洗浄に使用した溶剤は蒸留して回収し、乾燥と脱臭の際に

放出する溶剤は活性炭で吸着除去するシステムになっている。溶剤回収装置は洗浄機に組み込ま

れている機種が多く、設置率は高い。テトラクロロエチレンによる洗浄はすべてこのタイプとな

っている。一方、コールド機は洗浄溶剤を蒸留回収する設備を別に取り付ける場合が多く、蒸留

回収装置の設置率は低いのが現状である。また、乾燥機が別になっている場合が多く、乾燥脱臭

をおこなう際に活性炭による吸着処理設備がな場合もある。石油系洗浄溶剤での洗浄は溶剤の引

火性の問題があるため、大部分はコールド機を用いている。図 4.7 にドライクリーニング工程か

らの溶剤の排出移動のフロー図を示す。

図 4.7 ドライクリーニング工程フロー

出典:PRTR排出量等算出マニュアル業種別「クリーニング」平成 13年度 日本クリーニング協会作成

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40

大阪府の「平成 13 年度浮遊粒子状物質総合対策に係る炭化水素類排出実態調査」ではアンケー

ト調査と実測を行い、ホット機とコールド機を用いた場合の大気排出率を算出している。ホット

機の溶剤回収装置の設置率は 137 機のホット機を調査した結果、86.1%で、処理効率は平均 81.2%

~99%であった。一方、コールド機の溶剤回収装置の設置率は 535 機を調査した結果、わずか 25%

であり、回収効率は 63.3%~81.7%あった。このことより、コールド機の溶剤回収装置の設置率

はかなり低いことが伺える。

(2) 関連業種・関連団体

表 4.38 に関連団体とドライクリーニングに関連する業種をまとめているが、今回対象とする業

種は普通洗濯業のみとする。

表 4.38 関連業種・関連団体

関係団体 関連業種

・全国クリーニング生活衛生同業組合連合(全ク連)

・全国クリーニング協議会

普通洗濯業、リネンサプライ業、コインラ

ンドリー、アパレル業

(3) 推計方法と推計結果

クリーニング業からの洗浄溶剤の排出は廃棄物としての移動と大気への排出の 2 種類である。

廃棄物への移動は溶剤回収時の蒸留スラッジへのロスとカートリッジフィルターへの付着、乾

燥・脱臭時の活性炭よる吸着によるロスがある。しかし、活性炭による吸着ロスの量は非常に少

ないため、今回の推計では考慮せず、溶剤回収時のロスのみを考慮した。クリーニング業者は大

気へのロスと廃棄物としての移動により減少した分だけ、溶剤を購入することになるため、全ク

リーニング事業所への溶剤出荷量から、廃棄物への移動分を差し引いた値が、大気排出量と考え

ることができる。

VOC 大気排出量=(全国洗浄溶剤出荷量)-(廃棄物への移動量)

1) 廃棄物への移動量

廃棄物への移動量は、化学物質排出量算出マニュアル(中小企業総合事業団 HP)を参考に算

出した。洗浄工程で溶剤を回収する際のカートリッジフィルタに残留する溶剤量と蒸留スラッジ

中の残留溶剤量の算出方法を表 4.39示す。

算出に必要な各種データは平成 18 年度環境省 VOC排出インベントリー調査で実施した日本ク

リーニング環境保全センターへのヒアリングに元づき設定した値(以後、平成 18 年度環境省調査

と記述する。)を使用した。表 4.40 に算出に用いたデータを示す。

表 4.39 の式を用いて、テトラクロロエチレンと石油系洗浄溶剤を用いた洗浄における廃棄物移

動量を算出した結果を表 4.41に示す。

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41

表 4.39 洗浄溶剤の回収時における廃棄物移動量の計算式

洗浄溶剤の回収時における廃棄物移動量 算出式

カートリッジフィルター交換時におけるフ

ィルター付着残留溶剤の移動量(kg/年)

=2L×i×j×(溶剤の比重)×m

i:ワッシャーの標準負荷量(kg)

j:ワッシャーの交換した回数

溶剤の比重 テトラクロロエチレン=1.62g/ml

石油系洗浄溶剤=0.779g/ml

m:全国のドライクリーニング洗濯機設置台数

蒸留スラッジ中の残留溶剤の移動量(kg/年) =i×k×l×m×n

i:ワッシャーの標準負荷量(kg)

k:年間ワッシャー稼動数(回/年)

l:フィルター種別の係数

m:全国のドライクリーニング洗濯機設置台数(台)

n:蒸留装置の設置率(%)

出典)化学物質排出量算出マニュアル(中小企業総合事業団HP)

表 4.40 廃棄物移動量の計算に使用したデータ

注1) 平成 18年度環境省調査による日本クリーニング環境保全センターへのヒアリングより設定した値 注 2)化学物質排出量算出マニュアル(中小企業総合事業団HP) 注 3)平成 17年度の統計値が無いため平成 16年度の値を用いた。

データの項目(洗濯機 1台あたりのデータ) データ

ワッシャーの標準負荷量(kg) 12kg注1)

カートリッジ交換 1 回あたりの年間平均ワ

ッシャーの交換した回数(回/回)

平成 12 年度 650 回(500~800 回の中央値)注 2)

平成 17 年度 450 回注1)

年間ワッシャー稼動数(回/年) 1,250 回(5 回/日、250 日営業/年)注1)

フィルター種別の係数 テトラクロロエチレン 0.006(スピンディクス・珪

藻土フィルター=0.008、カートリッジフィルタ=

0.004)

石油系洗浄溶剤 0.022

蒸留装置の設置率(%) テトラクロロエチレン:100%注1)

石油系洗浄溶剤:30%注1)

洗濯機設置台数(台)

洗濯機設置台数(台)

出典)厚生労働省統計調査

洗浄溶剤種類 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

テトラクロロ

エチレン

6,142 4,831 4,831 注 3)

石油系洗浄溶

37,381 35,200 35,200 注 3)

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42

表 4.41 洗浄剤種類ごとの廃棄物移動量(トン/年)

テトラクロロエチレン 石油系洗浄溶剤 洗浄溶剤の種類

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

カートリッジ付

着残留溶剤量

459 523 523 1,344 1,828 1,828

蒸留スラッジ中

の残留溶剤量

553 435 435 3,701 3,485 3,485

廃棄物への移動

量合計

1,012 958 958 5,045 5,313 5,313

2) 国内出荷量

テトラクロロエチレンの国内出荷量はクロロカーボン衛生協会統計調査(用途別出荷量)の洗浄

用テトラクロロエチレンの出荷量の値を用いた(表 4.42 に示す。)

表 4.42テトラクロロエチレンの国内出荷量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

テトラクロロエチレンの国内出荷量 7,455 5,349 4,949 注)

出典)クロロカーボン衛生協会統計調査「用途別出荷量」各会員会社データ集計値を経済産業省生産統計値 ベースで補正した値

注) 平成 17年度のデータには経済産業省生産統計値ベースで補正した値がないため、平成 16年度の補正値を用いて、平成 17年度の各会員会社データ集計値を補正した。

クリ-ニング溶剤としての石油系洗浄溶剤(工業用ガソリン 5号)の国内出荷量に関する最新の

データは平成 18 年度に環境省が実施した「有機溶剤の国内出荷量に係る調査」(平成 18 年度環

境省 VOC 排出インベントリ報告書)の集計値であるため、この値を推計に用いることとした。

このアンケート調査結果は平成 12 年度と平成 17 年度の集計結果のみなので、平成 16 年度につ

いては、平成 17 年度の値を用いた。表 4.43 に環境省の調査結果を示す。

表 4.43 クリーニング溶剤としての石油系洗浄溶剤の国内出荷量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

石油系洗浄溶剤の国内出荷量 43,830 42,007 注) 42,007

出典)平成 18年度「有機溶剤の国内出荷量に係る調査」(平成 18年度環境省 VOC排出 インベントリ報告書)

注)平成 17年度の調査結果を用いた

3) クリーニング業からの VOC 大気排出量推計結果

VOC 大気排出量は各洗浄溶剤の国内出荷量から廃棄物への移動量(表 4.41)を差し引いた値を

合計し、推計した。各年度ごとの VOC 大気排出量推計の結果を表 4.44、表 4.45、表 4.46 にそれ

ぞれ示す。

表 4.44 平成 12 年の VOC 大気排出量推計値(トン/年)

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43

VOC国内出荷量

(a)

廃棄物への移動量

(b)

VOC排出

(a)-(b)

テトラクロロエチレン 7,455 1,012 6,443

石油系洗浄溶剤 43,830 5,045 38,785

合計 51,285 6,057 45,228

表 4.45 平成 16 年の VOC 大気排出量推計値(トン/年)

VOC国内出荷量

(a)

廃棄物への移動量

(b)

VOC排出量

(a)-(b)

テトラクロロエチレン 5,349 958 4,391

石油系洗浄溶剤 42,007 5,313 36,694

合計 47,356 6,271 41,085

表 4.46 平成 17 年の VOC 大気排出量推計値(トン/年)

VOC国内出荷量

(a)

廃棄物への移動量

(b)

VOC排出量

(a)-(b)

テトラクロロエチレン 4,949 958 3,991

石油系洗浄溶剤 42,007 5,313 36,694

合計 46,956 6,271 40,685

(4) データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データの出典と業界団体の報告値の捕捉率を表 4.47 に示す。

表 4.47 データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データの種類 データの出典 捕捉率

テトラクロロエチレ

ンの国内販売量 クロロカーボン衛生協会統計調査 経済産業省生産統計値ベースで補

正した値なので捕捉率 100%とした。

石油系洗浄溶剤(工

業用ガソリン 5号)

の国内出荷量

平成 18 年度「有機溶剤の国内出荷

量に係る調査」(平成 18 年度環境省

VOC排出インベントリ報告書)

捕捉率は工業用ガソリン 5号を製造しているメーカからのアンケー

ト回答率が 100%のことより、出

荷量ベースで 100%

ドライ溶剤使用施設

数・ドライ機台数 全国クリーニング生活衛生同業組

合連合 HP の厚生労働省調べ

100%

廃棄物への移動量計

算式 化学物質排出量算出マニュアル(中

小企業総合事業団HP)

廃棄物への移動量推

算に必要な各種デー

平成 18 年度度環境省 VOC 排出イ

ンベントリ調査における日本クリ

ーニング環境保全センターへのヒ

アリングに基づいて設定

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44

(5) VOC 成分別排出量

ドライクリーニング用溶剤の成分は、テトラクロロエチレンと工業用ガソリン 5号である。

(6) 今後の課題

今後、より正確な推計を行うためには、ドライクリーニング業への石油系洗浄剤(工業ガソリン

5 号)の国内出荷量をヒアリング等により継続的に調査する必要がある。また、正確な大気排出率

を求めるためには、石油系洗浄機の溶媒回収装置設置率等など詳細な洗浄機の使用状況を業界団

体を通じ、全国規模で調べる必要がある。

【参考:川下(ユーザー側)からの洗浄溶剤の使用量推計】

(参考1)

大阪府の「平成 13 年度 浮遊粒子状物質総合対策に係る炭化水素類排出実態調査」(以後、平

成 13 年度大阪府調査と記述する。)で、ドライクリーニング用機器を設置している 595 事業所を

対象に、溶剤の使用状況のアンケート調査を行ったデータがある。ここで報告されている 1 事業

所あたりの溶剤使用量を用いて、テトラクロロエチレと石油系洗浄溶剤の全国使用量の推計を行

った。

表 4.48 に平成 13 年度大阪府調査の洗浄溶剤使用事業所数と使用量を示す。これより、1 施設

あたりの使用量を算出すると、テトラクロロエチレで 1.95 トン、石油系洗浄溶剤では 1.35 トン

となる。1 事業所あたりの年間使用量に全国の各洗浄溶剤施設数を乗じて使用量を推計した。表

4.49 に厚生労働省調べの全国のテトラクロロエチレン施設数と石油系洗浄施設数を示す。結果を

表 4.50 に示す。

表 4.48 大阪府調査による各洗浄溶剤の 1 事業所あたりの年間使用量

洗浄溶剤使用

事業所数 使用量(L)

1 事業所あたりの使用量

(トン)

テトラクロロエチレン 118 141,480 1.95

石油系洗浄溶剤 544 956,506 1.35

出典)大阪府の「平成 13年度 浮遊粒子状物質総合対策に係る炭化水素類排出実態調査」報告書 注)溶剤重量の算出に用いた比重はテトラクロロエチレン=1.62g/ml、石油系洗浄溶剤=0.779g/mlである。

表 4.49 全国ドライ溶剤使用施設数

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

テトラクロロエチレン施設数(施設) 5,429 4,270 4,270 注)

石油系洗浄溶剤施設数(施設) 33,798 31,469 31,469 注)

出典)厚生労働省調べ「ドライ溶剤使用施設数・ドライ機台数」

注)平成 17年度の統計値がないので、平成 16年度の値を使用した。

表 4.50 1施設あたりの洗浄溶剤使用量を元に推計した全国洗浄溶剤使用量

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

テトラクロロエチレン 10,587 8,327 8,327

石油系洗浄溶剤 45,627 42,483 42,483

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45

推計結果は平成 12 年度のテトラクロロエチレン使用量が 10,587トンで、クロロカーボン衛生

協会統計調査(表 4.42)の 7,455 トンの 1.4 倍の値となった。石油系洗浄溶剤では平成 12 年度

で 45,627 トンとなり、環境省の調査結果(表 4.43)の出荷量 43,830 トンの 1.04 倍で、ほぼ近

い値となった。

(参考2)

次に平成 13 年度大阪府調査の洗浄機(ホット機とコールド機)1台あたりの年間溶剤使用状況

報告値(表 4.51)を用いて、洗浄機 1台あたりのテトラクロロエチレンと石油系洗浄溶剤の使用

量に全国のテトラクロロエチレン洗浄機台数とドライクリーニング洗浄機台数を乗じ、それぞれ

全国洗浄溶剤使用量を推計した。洗浄機台数は表 4.40 に示す値を用いた。推計結果を表 4.52 に

示す。

表 4.51 大阪府調査による洗浄機 1台あたりの年間溶剤使用量

洗浄機の種類 溶剤種類 有効回答洗浄機数 平均溶剤使用量

(トン/年)

ホット機 テトラクロロエチレン 92 3.1

コールド機 石油系洗浄溶剤 456 1.1

表 4.52 洗浄機 1台あたりの洗浄溶剤使用量を元にした全国洗浄溶剤使用量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

テトラクロロエチレン 19,040 14,976 14,976

石油系洗浄溶剤 41,119 38,720 38,720

推計結果は平成 12 年のテトラクロロエチレン使用量が 19,040トンで、クロロカーボン衛生協

会統計調査(表 4.42)は 7455トンでの 2.6倍の値となった。石油系洗浄溶剤では平成 12 年度で

41,119トンとなり、環境省の調査結果(表 4.43)の出荷量 43,830トンの 0.93倍と、出荷量より

も小さい値となった。

参考1)と 2)でそれぞれ大阪府調査による 1 事業所および洗浄機 1 台あたりの年間溶剤使用

量を元に推計を行った結果、石油系洗浄溶剤の推計はかなり出荷量と近い値となったが、テトラ

クロロエチレンの推計値は出荷量と大きく異なる結果となった。これは、テトラクロロエチレン

の洗浄機械の性能や回収率の向上によりテトラクロロエチレンの使用量が減少しており、大阪府

調査ではそのことが十分に反映されていなかっためと思われる。この結果より、ユーザー側から

の積み上げによる推計を行うには、地域ごとに広範囲なアンケート調査を行い、事業所の規模や

洗浄機の負荷量ごとの洗浄溶剤の使用量などのデータを収集解析し、実態を把握することが必要

不可欠であることが分かる。

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46

4.4.3. 塗膜剥離剤(リムーバー)

(1) VOC発生源と推計対象

塗膜剥離剤;リムーバーとは塗装の塗料膜を剥離するために用いる溶剤である。ここでは、工

業製造で剥離剤を用いて塗装膜を剥離する工程で排出される VOCを推計対象とする。

(2) 関係業種・関係団体

関係する業種は、塗装関係の業種など多岐にわたり、塗膜剥離剤のみを取りまとめている団体

はないと思われる。主に関係している業種は、塗料関係および溶剤関係である。

(3) 推計方法と推計結果

塗膜剥離剤として使用される溶剤の一つにジクロロメタンがあり、クロロカーボン衛生協会統

計調査でジクロロメタンの用途別出荷量の統計値が調べられている。ジクロロメタンを使用した

場合、すべて大気に放出されたとし、剥離剤としてのジクロロメタン出荷量を大気排出量とみな

した。その他の炭化水素系の溶剤は種類も多く、詳細なデータがないことより、本調査の推計か

らは除いた。表 4.53 に剥離剤としてのジクロロメタンの出荷量を記載する。

表 4.53 ジクロロメタンの出荷量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

ジクロロメタン国内出荷量 7,060 1,460 1,540

出典) クロロカーボン衛生協会統計調査「用途別需要量」

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率捕捉率

表 4.54 にデータの出典と団体の報告値捕捉率を示す

表 4.54 データの出典と団体の報告値捕捉率

データの種類 出典 捕捉率

ジクロロメタンの用途別出荷量 クロロカーボン衛生協会

統計調査

化学工業統計値ベースで 100%

(5) VOC 成分別排出量

現在のところ、ジクロロメタンのみのデータ。

(6) 今後の課題

関係団体のヒアリングより、近年、塩素系溶剤使用は環境への配慮から減少傾向にあるため、

塗膜剥離剤にはジクロロメタン以外に炭化水素系のアルコール系などの溶剤に切り替わっている

とのことである。そのため、塗膜剥離剤に使用される炭化水素系溶剤の量を把握することが今後

の課題と思われる。

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47

4.5. 化学品製造に係る VOC 排出量推計

(1) VOC発生源と推計対象範囲

化学品製造は、石油化学工業を中心として、化学製品を製造する業種である。裾野が極めて広

い業種であるが、基本的には、「ある原料を用い、化学反応により目的とする製品を得る業種」と

定義される。表 4.55 に化学工業における排出工程の一覧を載せる。法規制ではこのうち、大型の

熱風乾燥機が該当していると考えて良い。

なお、(社)日本化学工業協会の自主行動計画の排出量調査範囲では、参加企業の一部にはプラ

スチック製造業が、塗料の製造、印刷インキの製造、接着剤の製造の一部も含まれている。

表 4.55 化学工業における VOC排出工程の種類

排出工程の種類 VOC排出工程の詳細

1. 反応器 基本的に密閉型であり、排出源となるのはまれである。

2. 分離器 気相が直接大気に繋がっている場合に排出源になる。流量

変動大、流量小の場合は対策がとりにくい。

3. 蒸留設備 塔上部の受器が大気と接触する場合に排出源になる。減圧

蒸留の減圧発生装置が排出源になる場合がある。

4. 乾燥器 製品の水分や溶媒を飛ばす際に乾燥後ガス中に残存する。

大風量、低濃度となるのが特徴。

5. 押出(成型)機 樹脂原料を高温にし流動させた場合に分解排出されるこ

とがある。排出量の把握が難しい。

6. 洗浄装置 化学製品製造工程に含まれる部品等の洗浄。

7.原料、製品等の貯蔵タンク コーンルーフタンク等における呼吸ロス、受け入れロスに

伴う排出。

参考)有害大気汚染物質対策の経済性評価調査、平成 14年度報告書、経済産業省、p.57~60

(2) 関係業種・関係団体

化学品製造に関する自主行動計画の報告は(社)日本化学工業協会からの報告となっている。

自主行動計画への参加表明は 68 社であるが、排出量推計は(社)日本化学工業協会会員約 130

社からの報告値を元にしている。(社)日本塗料工業会の会員にもなっている 3 社は、(社)日本

化学工業協会自主的取組報告では除外されている。また、参加企業の一部にプラスチック製造業

が含まれているが、日本プラスチック工業連盟の自主的取組とは参加企業が重複しないことが相

互に確認されている。

(3) 推計方法と推計結果

平成 12 年度と平成 17 年度の VOC 大気排出量は、(社)日本化学工業協会の自主的取組報告値

を用いて次のように推計した。

(社)日本化学工業協会は、加盟率は不明であるが、大気排出量の捕捉率として 68% の値を示

している。この排出量捕捉率は、PRTR 法対象物質のうち有機化合物について、全国 PRTR届出

データの化学工業の大気排出量と、同協会が従来より行っている日化協 PRTR480 物質(うちダ

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48

イオキシン類と無機化合物を除いた 434 物質がVOC)からの同じ PRTR 法対象有機化合物の排

出量を比較した数値である。同協会は、PRTR 法対象物質については、上位 44 物質で全 354 物

質のうち 95%が捕捉出来ることを確認している。また、同協会へのヒアリングによれば、この捕

捉率の年度による値の変動は少ないとのことである。したがって、(社)日本化学工業協会の自主

的取組の排出量報告値を補正率 68%で割戻して VOC排出量推計値とした。

表 4.56 に(社)日本化学工業協会の報告値を載せる。表 4.57 に以下の推計計算により算出した

VOC排出量推計結果を示す。

表 4.56 (社)日本化学工業協会の自主行動計画での報告値(トン/年)

表 4.57 化学品製造における VOC 大気排出量の推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC排出量 131,659 80,426 75,321

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と団体の報告値を表 4.58 に示す。

表.4.58 データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC 大気排出量 (社)日本化学工業協会自主行動

計画報告値

PRTR 法の化学工業からの有機化合物

の大気排出量データの比較より求めた

排出量捕捉率 68%

(5) VOC 成分別排出量

表 4.59 に(社)日本化学工業協会の自主行動計画の成分別排出量を示す。(社)日本化学工業

協会は、自主行動計画を提出している業界団体の中では物質ごとの排出量を明示した物質数が炭

化水素類を除いて 25と最も多い。この内、HCFC-142bと HCFC-22は、大気汚染防止法の定義

では除外物質である。表 4.59 の成分比を用いて、VOC 成分別排出量を推計した結果を表 4.60 に

示す。表 4.60は、表 4.59 の排出量を 0.68で割り戻した値である。

VOC排出量合計 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

排出量 89,528 54,690 51,218

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49

表4.5

9 (社)日本化学工業協会の自主行動計画での報告値による成分別排出量

排出量

(トン

/年)

構成比

(%)

業界

団体

排出

順位

PR

TR

政令番号

物質名

平成

12年度

平成

16年度

平成

17年度

平成

12年度

平成

16年度

平成

17年度

1

メチ

ルア

ルコ

ール

11,0

98

6,9

65

6,7

40

12.4

12.7

13.2

2

n-ヘ

キサ

7,6

28

7,2

51

6,7

54

8.5

13.3

13.2

3

素数

が4

~8

まで

の鎖

状炭

化水

素類

7,1

65

7,1

65

6,1

46

8.0

13.1

12.0

4

アセ

トン

6,9

78

5,4

92

5,0

36

7.8

10.0

9.8

5

227 トル

エン

6,5

84

4,0

94

3,5

48

7.4

7.5

6.9

6

145 ジ

クロ

ロメ

タン

(別

名ジ

クロ

ロメ

タン

5,5

30

2,2

56

3,0

26

6.2

4.1

5.9

7

メチ

ルエ

チル

ケトン

4,4

11

1,6

47

1,4

94

4.9

3.0

2.9

8

シク

ロヘ

キサ

4,1

17

3,0

01

2,7

15

4.6

5.5

5.3

9

96 ク

ロロ

メタ

ン(別

名塩

化メ

チル

3,3

71

1,5

76

576

3.8

2.9

1.1

10

63 キ

シレ

2,0

73

1,0

30

2,8

83

2.3

1.9

5.6

11

241 二

硫化

炭素

2,0

41

243

191

2.3

0.4

0.4

12

172 N

,N-ジ

メチ

ルホ

ルム

アミド

1,9

22

877

768

2.1

1.6

1.5

13

酢酸

エチ

1,8

79

164

31

2.1

0.3

0.1

14

84 1-クロロ-1,1

-シ

゙フル

オロエ

タン(別

名H

CFC

-142b)

1,8

11

1,2

42

1,2

36

2.0

2.3

2.4

15

102 酢

酸ビ

ニル

1,6

09

1,0

06

1,0

34

1.8

1.8

2.0

16

299 ベ

ンゼ

1,5

61

450

323

1.7

0.8

0.6

17

プロ

ピル

アル

コー

1,3

50

732

656

1.5

1.3

1.3

18

177 ス

チレ

1,3

42

472

355

1.5

0.9

0.7

19

85 ク

ロロ

ジフ

ルオ

ロメ

タン

(別

名H

CF

C-22)

1,3

34

1,2

82

1,1

24

1.5

2.3

2.2

20

224 1,3

,5-トリメ

チル

ベン

ゼン

1,1

99

229

192

1.3

0.4

0.4

21

116 1,2

-ジ

クロ

ロエ

タン

1,1

57

224

334

1.3

0.4

0.7

22

77 ク

ロロ

エチ

レン

(別

名塩

化ビ

ニル

1,0

72

338

204

1.2

0.6

0.4

23

203 テ

トラ

フル

オロ

エチ

レン

1,0

00

493

208

1.1

0.9

0.4

24

クメ

ン/

イソ

プロ

ピル

ベン

ゼン

897

167

237

1.0

0.3

0.5

25

74 ク

ロロ

エタ

826

254

93

0.9

0.5

0.2

26

7 ア

クリロ

ニトリル

735

342

263

0.8

0.6

0.5

27

位以

下の

物質

8,8

40

5,6

97

5,0

53

9.9

10.4

9.9

(社)

日本

化学

工業

協会

合 計

89,5

28

54,6

90

51,2

18

100%

100%

100%

出典((社)日本化学工業協会):平成

18年

12月

13日

開催

「産業構造審議会

環境部会

産業と環境小委員会

化学・バイオ部会リスク管理小委員会

産業環境リスク対策合

同部会ワーキンググループ(第

5回)資

料」

※ 炭化水素類は日化協

480物

質を除く。平成

12年度実績

は不明のため、平成

16年度

と同じ値としている。

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50

表4.6

0 化学品製造の成分別排出量推計値

排出量

(トン

/年)

構成比

(%)

業界

団体

排出

順位

PR

TR

政令番号

物質名

平成

12年度

平成

16年度

平成

17年度

平成

12年度

平成

16年度

平成

17年度

1

メチ

ルア

ルコ

ール

16,3

21

10,2

43

9,9

12

12.4

12.7

13.2

2

n-ヘ

キサ

11,2

18

10,6

63

9,9

32

8.5

13.3

13.2

3

素数

が4

~8

まで

の鎖

状炭

化水

素類

10,5

37

10,5

37

9,0

38

8.0

13.1

12.0

4

アセ

トン

10,2

62

8,0

76

7,4

06

7.8

10.0

9.8

5

227 トル

エン

9,6

82

6,0

21

5,2

18

7.4

7.5

6.9

6

145 ジ

クロ

ロメ

タン

(別

名塩

化メ

チル

8,1

32

3,3

18

4,4

50

6.2

4.1

5.9

7

メチ

ルエ

チル

ケトン

6,4

87

2,4

22

2,1

97

4.9

3.0

2.9

8

シク

ロヘ

キサ

6,0

54

4,4

13

3,9

93

4.6

5.5

5.3

9

96 ク

ロロ

メタ

ン(別

名塩

化メ

チル

4,9

57

2,3

18

847

3.8

2.9

1.1

10

63 キ

シレ

3,0

49

1,5

15

4,2

40

2.3

1.9

5.6

11

241 二

硫化

炭素

3,0

01

357

281

2.3

0.4

0.4

12

172 N

,N-ジ

メチ

ルホ

ルム

アミド

2,8

26

1,2

90

1,1

29

2.1

1.6

1.5

13

酢酸

エチ

2,7

63

241

46

2.1

0.3

0.1

14

84 1-クロロ-1,1

-シ

゙フル

オロエ

タン(別

名H

CFC

-142b)

2,6

63

1,8

26

1,8

18

2.0

2.3

2.4

15

102 酢

酸ビ

ニル

2,3

66

1,4

79

1,5

21

1.8

1.8

2.0

16

299 ベ

ンゼ

2,2

96

662

475

1.7

0.8

0.6

17

プロ

ピル

アル

コー

1,9

85

1,0

76

965

1.5

1.3

1.3

18

177 ス

チレ

1,9

74

694

522

1.5

0.9

0.7

19

85 ク

ロロ

ジフ

ルオ

ロメ

タン

(別

名H

CF

C-22)

1,9

62

1,8

85

1,6

53

1.5

2.3

2.2

20

224 1,3

,5-トリメ

チル

ベン

ゼン

1,7

63

337

282

1.3

0.4

0.4

21

116 1,2

-ジ

クロ

ロエ

タン

1,7

01

329

491

1.3

0.4

0.7

22

77 ク

ロロ

エチ

レン

(別

名塩

化ビ

ニル

1,5

76

497

300

1.2

0.6

0.4

23

203 テ

トラ

フル

オロ

エチ

レン

1,4

71

725

306

1.1

0.9

0.4

24

クメ

ン/

イソ

プロ

ピル

ベン

ゼン

1,3

19

246

349

1.0

0.3

0.5

25

74 ク

ロロ

エタ

1,2

15

374

137

0.9

0.5

0.2

26

7 ア

クリロ

ニトリル

1,0

81

503

387

0.8

0.6

0.5

27

位以

下の

物質

13,0

00

8,3

78

7,4

31

9.9

10.4

9.9

(社)

日本

化学

工業

協会

合 計

131,6

59

80,4

26

75,3

21

100%

100%

100%

※ 炭化水素類は日化協

480物

質を除く。

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51

4.6. 粘着・剥離剤からの VOC 大気排出量の推計

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

粘着テープやラベル製品等およびその粘着剤に対応する剥離製品を製造する際に排出さ

れる VOC を推計対象とする。粘着剤・剥離剤の製造段階に排出される VOC は化学品製造

の推計値に含まれているのでここでは除外する。

(2) 関係業種・関係団体

主な粘着テープやラベル製造事業所を取りまとめる団体として日本粘着テープ工業会が

ある。関係業種は、包装用、建築建材、電子・電気用粘着テープなどの製造業である。ま

た、プラスチック製造業やパルプ・紙加工品製造業が関係している。これらに関係する団

体として日本ポリエチレンラミネート製品工業会と日本製紙連合会がある。

(3) 推計方法と結果

日本粘着テープ工業会の平成 18 年度 VOC 大気排出量調査(以後、日本粘着テープ工業

会調査と記載する)に日本ポリエチレンラミネート製品工業会と製紙連合会の自主行動計

画報告値のうち、粘着・剥離に関する VOC 排出量を推計し、その値を加算し推計値とした。

ここで、日本粘着テープ工業会調査の値はほぼ 100%、粘着・剥離に係る排出とみなし、

そのままの値を用いた。日本ポリエチレンラミネート製品工業会の報告値では 2 割、また、

製紙連合会の報告値では 8 割が粘着・剥離に関係する VOC 大気排出量ということなので、

それぞれの報告値に各割合を乗じて、粘着・剥離製造に係る VOC 排出量を求めた。表 4.61、

表 4.62、表 4.63 にそれぞれの団体が取りまとめた VOC 大気排出量の値を記す。

日本ポリエチレンラミネート製品工業会の平成 16年度の報告値については正確な値がな

いため、化学工業統計年報の平成 17 年度と平成 16 年度のポリエチレン生産実績値の比を

用いて推計を行った。表 4.64 に粘着・剥離製造に伴う VOC 大気排出量の推計値を記す。

表 4.61 日本粘着テープ工業会のとりまとめ結果(トン/年)

VOC 排出量合計 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

使用量 134,992 105,941 109,252

排出量 25,933 17,452 13,515

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52

表 4.62 日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値(トン/年)

注 1)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画報告値 注2)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画報告値のうち粘着・剥離からの排出量が 2 割

として推計 注3)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値の捕捉率40%で割り戻した 注4)化学工業統計年報の平成 17 年度と平成 16 年度のポリエチレン生産実績値の比を用いて推計

表 4.63 製紙連合会の自主行動計画での報告値(トン/年)

VOC 排出量合計 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

排出量 9,644 3,821 3,880

粘着・剥離からの VOC 排出量推計値注) 7,715 3,057 3,104

注)日本製紙連合会の自主行動計画での VOC 排出量のうち 8 割が粘着・剥離に関する排出として推計

表 4.64 粘着・剥離製造に伴う VOC 大気排出量の推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 排出量 50,341 33,692 29,814

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率に関する捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率に関する捕捉率を表 4.65 に示す

表 4.65 データの出典と業界団体報告値の捕捉率に関する捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC 大気排出量 平成 18 年度日本粘着テー

プ工業会の会員アンケー

ト調査

業界内の捕捉率はほぼ 100%とのこと。

VOC 大気排出量 日本ポリエチレンラミネ

ート製品工業自主行動計

画報告値

団体ヒアリングより報告値のうち 20%

が粘着・剥離に使用される VOC とのこ

と。また報告値の捕捉率は製品売上高に

元づき 40%

VOC 大気排出量 製紙連合会自主行動計画

報告値

団体ヒアリングより業界内捕捉率はほ

ぼ 100%。また、VOC 排出量の 80%が粘

着・剥離からのものである。

平成12年度 平成16年度 平成17年度

全体の VOC 排出量注1) 33,383 26,366 注4) 26,392

粘着・剥離からの VOC 排出量推計値注2) 6,677 5273 5,278

捕捉率で補正注3) 16,693 13,183 13,195

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(5) VOC 成分別排出量

VOC成分別排出量はVOC大気排出量推計値を日本粘着工業会調査のVOC成分別排出量

(表 4.66)の比で比例配分し、推計を行った。結果を表 4.67 に示す。

表 4.66 日本粘着工業会とりまとめの VOC 成分別排出量(トン/年)

表 4.67 VOC 成分別大気排出量の推計値(トン/年)

物質名 平成 12 年度 平成 17 年度

トルエン 16,228 8,389

キシレン 139 25

酢酸エチル 5,253 2,800

n-ヘキサン 775 316

メチルエチルケトン 784 388

その他 2,754 1,597

合計 25,933 13,515

物質名 平成 12 年度 平成 17 年度

トルエン 31,502 18,506

キシレン 270 55

酢酸エチル 10,197 6,177

n-ヘキサン 1,504 697

メチルエチルケトン 1,522 856

その他 5,346 3,523

合計 50,341 29,814

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54

4.7. プラスチック成型・加工溶剤に係る VOC 排出量推計

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

プラスチックの成型、加工工程にはラミネート加工、コーティング(特殊表面加工)、合

成皮革溶剤、ウレタンフォーム等の発泡工程などがある。表 4.68 に推計の対象とするプラ

スチックの成型、加工工程の一覧を載せる。

表 4.68 推計の対象とするプラスチックの成型、加工工程の種類

成型・加工工程中の溶剤種類 VOC 排出工程の詳細

1. ラミネート用接着剤 ポリエチレンフィルム等を貼り合わせて作られる包装材

(ラミネート製品)を製造する際の接着工程。

2. コーティング溶剤 プラスチックフィルム上の帯電防止、耐摩耗性、防曇剤、

電磁遮断剤、紫外線吸収剤等の表面特殊加工における薬

剤の溶解。

3. 発泡用溶剤 ウレタンフォームや発泡スチレンシート等のプラスチッ

クの発泡製品の製造。

主成分:ジクロロメタン

4. 合成皮革溶剤 合成皮革を製造する際にポリウレタンを溶解する工程。

主成分:ジメチルホルムアミド

(2) 関係業種・関係団体

プラスチックの成型、加工工程に関する自主行動計画の報告は日本プラスチック工業連

盟の報告となるが、同連盟の報告は以下の 6 団体をまとめた値である。

1)ウレタンフォーム工業会

2)日本ビニル工業会

3)日本プラスチック板協会

4)日本ポリエチレンラミネート製品工業会

5)発泡スチレンシート工業会

6)PET トレイ協議会

このうち4)日本ポリエチレンラミネート製品工業会からの VOC 排出量は全体の約 72%

を占めている。ウレタンフォーム工業会はウレタンの発泡剤としてジクロロメタンを使用

している。発泡スチレンシート工業会は食品トレー用発砲スチレンシートを製造している

事業所が加盟している団体であるが排出量は少ない。

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55

(3) 推計方法と推計結果

平成 12 年度と平成 17 年度の VOC 大気排出量は、日本プラスチック工業連盟と日本ポリ

エチレンラミネート製品工業会の報告値を用いて次のように推計した。

日本プラスチック工業連盟の VOC 大気排出量報告値の中で、日本ポリエチレンラミネー

ト製品工業会の報告値が 72%を占めている。ヒアリングより日本ポリエチレンラミネート

製品工業会の報告値の約 20%は粘着・剥離剤からの排出量とのことなので、日本ポリエチ

レンラミネート製品工業会の報告値の 2割分を日本プラスチック工業連盟のVOC大気排出

量報告ちより差し引き、同工業会自主行動計画報告値の補足率 40%で割戻して VOC 排出量

推計値とした(式 4-1 に推算式を示す)。ここで、用いた補足率 40%は日本プラスチック工

業連盟のヒアリングより、主要物質に関する PRTR データの比較より求めた値である。

○VOC 大気排出量推計の推算式(平成 12 年度として)

VOC 大気排出量推計値(トン)=( ){ }4.0

2.03338346239 ×−

(式 4-1)

日本プラスチック工業連盟の VOC 排出量: 46,239 トン

日本ポリエチレンラミネート製品工業会の VOC 排出量:33,383 トン

日本プラスチック工業連盟の自主行動計画報告値の平成 16年度は他年度とは提出団体の

数が異なるとのことから、正確さに欠けるため、推計には使用できなかった。従って、平

成 16 年度の VOC 大気排出量は平成 17 年度と VOC 大気排出割合を同じと仮定し、平成 17

年度のVOC大気排出量に平成 17年度と平成 16年度のポリエチレン生産量の化学工業統計

値の比を乗じて推計値とした(式 4-2 に推算式を示す)。表 4.69 と表 4.70 に日本プラスチ

ック工業連盟の日本ポリエチレンラミネート製品工業会のそれぞれの自主行動計画報告値

を載せる。表 4.71 に以下の推計計算により算出した VOC 排出量推計結果を示す。

○平成 16 年度の VOC 大気排出量の推計

平成 16 年度の VOC 大気排出量=032,228,3

199,240,3140,77 × (式 4-2)

平成 16 年度のポリエチレン生産量:3,240,199 トン

平成 17 年度のポリエチレン生産量:3,228,032 トン

平成 17 年度の大気排出量推計値:77,140 トン

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56

表 4.69 日本プラスチック工業連盟の自主行動計画での報告値(トン/年)

表 4.70 日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値(トン/年)

注)日本ポリエチレンラミネート製品工業会の自主行動計画での報告値

表 4.71 プラスチックの成型、加工工程における VOC 大気排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 排出量 98,906 77,063 注) 77,140 注)平成 17 年度の VOC 排出量に平成 17 年度と平成 16 年度のポリエチレン

生産量の工業統計値の割合を乗じて推計

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率を表 4.72 に示す。

表 4.72 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC 大気排出量 平成 18 年度日本プラスチック

工業連盟自主行動計画報告値

主要物質に関する PRTR データの比較

より求めた大気排出量の捕捉率 40%

VOC 大気排出量 平成 18 年度日本ポリエチレン

ラミネート製品工業会自主行動

計画報告値

団体ヒアリングより報告値のうち 20%

が粘着・剥離に使用される VOC とのこ

と。また報告値の捕捉率は製品売り上

げ高に元づき 40%

(5) VOC 成分別排出量

表 4.73 に日本プラスチック工業連盟の自主行動計画報告値の成分別大気排出量を表示す。

この内、ジクロロメタンは発泡剤に使用され、ジメチルホルムアミドは合成皮革のポリウ

レタン溶解に使用される。VOC 排出量推計値を表 4.73 の成分比で比例配分し成分別大気排

出量推計した結果を表 4.74 に示す。

VOC 排出量合計 平成 12 年度 平成 17 年度

使用量 70,274 71,409

排出量 46,239 36,134

平成 12 年度 平成 17 年度

VOC 排出量注) 33,383 26,392

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57

表 4.73 日本プラスチック工業連盟の自主行動計画報告値による成分別排出量

排出量(トン/年) 構成比(%) 業界団体 物質名

平成 12 年度 平成 17 年度 平成 12年度 平成 17 年度

酢酸エチル 22,019 17,133 48% 47%

トルエン 9,461 7,467 20% 21%

酢酸ノルマルプ

ロピル 4,887 3,416 11% 9%

ジクロロメタン 3,328 2,162 7% 6%

イソプロピルア

ルコール 1,002 732 2% 2%

ジメチルホルム

アミド 837 1,042 2% 3%

その他 4,706 4,213 10% 12%

日本プラ

スチック

工業 連盟

合 計 46,240 36,165 100% 100%

出典)日本プラスチック工業連盟自主行動計画報告 出典)日本ポリエチレン製品工業連合会ホームページ(http://www.jpe.gr.jp/project/)

表 4.74 VOC 成分別排出量の推計値

排出量(トン/年) 構成比(%) 物質名

平成 12 年度 平成 17 年度 平成 12 年度 平成 17 年度

酢酸エチル 47,475 36,256 48% 47%

トルエン 19,781 16,199 20% 21%

酢酸ノルマルプ

ロピル 10,880 6,943 11% 9%

ジクロロメタン 6,923 4,628 7% 6%

イソプロピルア

ルコール 1,978 1,543 2% 2%

ジメチルホルム

アミド 1,978 2,314 2% 3%

その他 9,891 9,257 10% 12%

合 計 98,906 77,140 100% 100%

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58

4.8. ゴム製品

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

ゴムの接着工程、ゴム表面の活性化のための溶剤使用時に排出される VOC を推計対象と

する。粘着テープを使用する企業でゴム製品製造を行う場合に排出される VOC は、本推計

には含めず、粘着・剥離からの VOC 大気排出推計値に含めた。

(2) 関係業種・関係団体

ゴム製品を製造する団体として日本ゴム工業会がある。関係業種は、タイヤ・チューブ

製造業、はきもの製造業、工業用ゴム製品製造業、その他のゴム製品製造業、ゴムに係る

化成品製造業である。

(3) 推計方法と推計結果

日本ゴム工業会は、自主行動計画に参画していないが、同工業会のホームページに平成

12、16、17 年度における VOC 排出量が報告されている。報告値は、会員会社 117社中、

38社によるものであるが、排出量からみた捕捉率は 90%程度であることが聞き取り調査に

より得られている。このため、日本ゴム工業会の報告値を基本として、この値を捕捉率 90%

で割戻して VOC 大気排出量推計値とした。表 4.75 に日本ゴム工業会の報告値を、表 4.76

に VOC 大気排出量推計値を示す。

表 4.75 日本ゴム工業会の報告値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 排出量 22,246 19,111 18,789

表 4.76 ゴム製品製造における VOC 大気排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 排出量 24,718 21,234 20,877

(4) データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データの出典と業界団体の報告値の捕捉を表 4.77 に示す。

表 4.77 データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC大気排出量 日本ゴム工業会ホームページ記載値 団体のヒアリングより排出量

捕捉率 90%

有機溶剤排出量 ゴム工業における有機溶剤の使用実

態調査結果について、昭和 60 年 8月、

日本ゴム工業会

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59

(5) VOC 成分別排出量

日本ゴム工業会では、下記物質を取り扱っているが物質別の排出量は公開していない。

このため、全量を特定できない物質とした。

(6) 今後の課題

ゴム製品製造に係る成分別 VOC 大気排出量推定値を明らかにすることが出来なかった。

成分別 VOC 大気排出量の推計が望まれる。

ゴム製品製造に係る溶剤の種類

アセトン、イソプロピルアルコール、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサ

ン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、

トルエン、n-ヘキサン、メチルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケト

ン、ゴム揮発油、その他の炭化水素類

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60

4.9. 燃料からの VOC 排出量

4.9.1 給油所からの VOC 排出量

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

全国の給油所からの受入時(ローリーから地下貯蔵タンクへの受入時)と給油時(タン

クから車への供給時)に排出される VOC を推計対象とした。

(2) 関係業種・関係団体

関係業種は石油製品販売業で主に給油所である。全国の給油所を取りまとめている団体

は全国石油商業組合連合会がある。この団体は 47都道府県に設置された石油商業組合で構

成されており、全国の約 25,000社の給油所を取りまとめている。

(3) 推計方法と推計結果

1) 推計方法について

基本的な大気排出量の推計方法は全国のガソリン販売量に受入時と給油時の排出係数

(kg/kL)を乗じて推算されるが、都道府県によっては受入時(ローリーから地下貯蔵タ

ンクへの受け入れ時)の VOC 排出を防止する目的で、一定のタンク容量規模の貯蔵施設に

ベーパーリカバリー装置(以後、VR 装置と記述する)の設置を義務を付けているところが

あり、VR 装置設置率を考慮した大気排出量推計が望ましい。一方、給油時(タンクから車

への供給時)の VR設置は高額な費用を要するため、条例での規定は設けられておらず、全

国の普及率も1%以下注)である。そのため、今回の推計では受入時における VR 装置によ

る排出抑制効果のみを考慮することとした。また、VR 装置の処理効率は環境省 PRTR 法で

給油所から排出される炭化水素化合物の排出量推計の計算で用いている 85%を使用し、稼

働率は一律 100%とする。なお、貯蔵タンクの呼吸ロスについては既に排出量が非常に少な

いことが分かっているので、今回の推計では考慮しないこととした。対策なしと対策あり

の受入時および給油時の VOC 排出量推計の計算式はそれぞれ式(4-3)と式(4-4)となる。

注)全国石油商業組合連合会の平成 18 年度のヒアリングによる。

・対策なしの受入時および給油時の VOC 排出量推計計算(トン/年):

販売量(kL)× 排出係数(kg/kL) 式(4-3)

・対策ありの受入時および給油時の VOC 排出量推計計算(トン/年):

)排出係数)処理効率稼働率設置率

(1-販売量(k (kg/kL100

(%)VR

100

(%)VR

100

(%)VRL) ××××

式(4-4)

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2) VR 装置の設置率について

受入ロス防止のための VR 装置の全国設置率は既存の統計値がないため、特に条例を定め

ている都道府県のみにヒアリングを行い、設置率を確認した。設置率が確認できた県のみ、

VR 装置による VOC 排出抑制効果を考慮した推計を行った。表 4.78 にの各都道府県の条例

内容と VR 装置設置率を示す。埼玉県および愛知県、東京都、横浜市の設置率はヒアリング

によるものである。また大阪府は平成 13 年浮遊粒子状物質総合対策に係る炭化水素類排出

実態調査報告書を参考にした。

参考までに、給油所の上部が屋根で覆われており、道路に 1 面だけ接している特殊給油

所には消防法によりベーパーリカバリー装置の設置義務が課せられているが、そのような

特殊給油所で登録されているものは現在全国で 560基のみである。

表 4.78 都道府県の条例内容と VR 装置設置率

条例設置年度 条例内容 ベーパーリカバリー装置普及率

埼玉県 平成 14 年

4 月 1 日

(条例)

給油用地下タンク(27kL

以上)

タンク車への蒸気返還設

備(ベーパーリカバリー)

又は除去率 80%以上の処

理設備)を備えることが義

注:対象事業所はガソリンスタンドのみでは

ない。

規模 施設数 設置率

平成 14 年度 2,129 87.4%

平成 17 年度 2,444 94.7%

大阪府 平成 9 年

4 月 1 日

(条例)

燃料小売業に供する地下

タンク(貯蔵量が合計 30

kL 以上)

平成 12 年度 設置率 64.4%、稼働率

63.3%(大坂府平成 13 年浮遊粒子状物質総合

対策に係る炭化水素類排出実態調査より)

規模 施設数 設置率

30kL 未満 224 17.4%

50~30kL 477 78.4%

50kL 以上 168 87.5%

神 奈 川

平成 14 年

4 月 1 日

給油施設(貯蔵量の合計が

30kL 以上)

調査は行っておらず、把握はしていない。

愛知県 昭和 49 年

4 月 1 日

(条例)

ガソリンスタンドに設置

されるガソリンの貯蔵施

設(貯蔵能力の合計 40k

L 以上)

設置率:100%(平成 12 年度)

設置率:100%(平成 16 年度)

設置率:100%(平成 18 年 12 月現在)

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東京都 平成 12 年

4 月 1 日

(条例)

貯蔵施設(燃料用揮発油5

KL 以上、燃料用揮発油

灯油 軽油のすべての合

計 50kL 以上)

平成 12 年度 設置率 46.8%

(平成 12 年度東京都の報告書より)

平成 16 年度 設置率:約 85%

(東京都環境局環境改善部 全国大気汚染防

止連絡協議会 平成 16年 10月の報告書より)

注:対象施設はガソリンスタンドのみではな

い。)

横浜市 平成 15 年

4 月 1 日

(条例)

給油施設(貯蔵容量の合計

が 30kL 以上)

条例は平成 15 年 4 月から施行であるが、

昭和 50 年より指導をおこなっている。

設置率:100%

川崎市 平成 12 年

12 月

(条例)

全給油施設に設置義務を

設けている。

設置率:100% (平成 12 年以降)

千葉県

千葉市

船橋市

昭和 63 年

7 月 1 日

(指導要綱)

給油施設(貯蔵容量の合計

が 30kL 以上)

特に調査は行っていない。

京都府 平成 12 年

4 月 1 日

(条例)

給油施設(貯蔵容量の合計

が 30kL 以上)

特に調査は行っていない。

尼崎市 平成 13 年

4 月 1 日

(条例)

給油施設(貯蔵容量の合計

が 50kL 以上)

特に調査は行っていない。

福井県 平成 13 年

4 月 1 日

(条例)

給油施設(貯蔵容量の合計

が 30kL 以上)

特に調査は行っていない。

注)設置率:給油事業所全体に対する設置率

今回のヒアリング調査で、回答を得られた県は埼玉県、大阪府、愛知県、神奈川県、東

京都の 5 都府県であった。従って、ベーパーリカバリー装置の設置による排出抑制効果は

この 5都府県のみ考慮し、その他の道県は設置率 0%として推計した。表 4.79 に推計に用

いた都道府県別の VR 装置の設置率をまとめる。

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63

表 4.79 推計に用いた都道府県別・VR 装置の設置率

都道府県 VR 装置の設置率

埼玉県 平成 12 年度:87%注 1)、平成 16 と平成 17 年度:93%

大阪府 64%

愛知県 100%

神奈川県注 2) 100%

東京都 平成 12 年度:47%、平成 16 と平成 17 年度:85%

その他の道府県 0%

注1) 埼玉県の平成 12 年度の設置率は平成 14 年度のものを用いた。 注2) 横浜市と川崎市の設置率が 100%より神奈川県の設置率を 100%とみなした。

3) 大気排出係数について

これまでの調査報告からの受入時と給油時の VOC 大気排出量の推計値を表 4.80 に示す。

表 4.80 の①は昭和 50 年の資源エネルギー庁報告書によるもので、実測による求めた排出

係数を販売量に乗じて大気排出量を推計している。表 4.80 の②は国立環境研究所の調査で、

自動車保有台数、ガソリン販売量、気温、ガソリン組成などを用いて推計を行ったもので、

35 種類の炭化水素の排出合計として VOC 量推計を行っている。表 4.80 の③は②の値を平

成 9 年と平成 12 年の販売量の増加率を乗じて平成 12 年度に推計したものである。表 4.80

の④は(社)全国石油協会が平成 16 年度に調査を行い、冬と夏の排出係数を実測により求め

たものである。今回の推計には最新の情報である④の報告書の排出系数を用いて推計を行

った。

表 4.80 受入時と給油時の VOC 排出量の推移

参考資料番号 ①昭和 50 年推計 ②平成 9 年推計 ③平成 12 推計 ④平成 12 推計

受入時ロス 5.82 万トン/年

〔1.08kg/kL〕

5.6 万トン/年 6.1 万トン/年 5.55 万トン/年

〔冬 0.7kg/kL、夏 1.2kg/kL〕

給油時ロス 7.75 万トン/年

〔1.44kg/kL〕

6.2 万トン/年 6.7 万トン/年 5.55 万トン/年

〔冬 0.7kg/kL、夏 1.2kg/kL〕

排出量合計 13.57 万トン/年 11.9 万トン/年 12.8 万 t/年 11.1 万 t/年

〔 〕内は排出係数 排出ガス1kL 容量あたりの VOC 排出重量 単位(kg/kL)

資料出典は以下のとおり:

① 昭和 50 年資源エネルギー庁「石油産業における炭化水素ベーパー防止トータルシステム研究調査

報告書」での実測値 ② 平成 13 年(独)国立環境研究所「都市域における VOC の動態解明と大気質に及ぼす影響評価に関

する研究(特別研究)平成 10~12 年」 ③ 平成 15 年 3 月 「平成 14 年度 揮発性有機化合物(VOC)排出に関する調査報告書~VOC 排出

インベントリー~」環境省請負調査報告書 (社)環境情報科学センター ④ 平成 16 年 3 月「給油所から排出される炭化水素系 VOC(揮発性有機化合物)に関する調査報告

書」(社)全国石油協会

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64

4) VOC 排出量の推計

(社)全国石油協会の報告値(表 4.80④)では、受入時ロスと給油時ロスの排出係数は同

じ値であり、冬と夏を比較すると、夏の方が気温が高いため、排出係数が高いことが分か

る。本推計は、春と秋の排出量を夏と冬の平均の排出量として季節ごとの排出量を算出し、

合計し排出量推計を行った。算出式は式(4-5)となる。

a)給油時の VOC 排出量推計

2

BAC/VOC

+×年)=年間排出量(t 式(4-5)

C:年間ガソリン販売量(千 kL) A:冬の給油時の排出率 0.7kg/kL

B: 夏の給油時の排出率 1.203kg/kL

式(4-5)を用いて平成 12 年度と平成 16 年度、平成 17 年度の給油時の VOC 排出量を計算

すると表 4.81 のようになる。表 4.82 に石油連盟調査による各年度の全国ガソリン国内販売

量と5都道府県別のガソリン販売量の統計値を示す。

表 4.81 給油時の VOC 排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

給油時の VOC 排出量 55,000 60,163 60,095

表 4.82 ガソリン販売量(千kL/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

全国総量 57,803 63,230 63,158

埼玉県 2,925 3,013 2,991

大阪府 3,113 3,783 3,903

愛知県 3,841 4,350 4,198

神奈川県 3,080 3,449 3,531

東京都 4,963 6,650 6,704

出典:石油連盟の統計調査より

t55,0002

1.2030.757,803VOC12 =排出量=年度平成

t60,0952

1.2030.763,158VOC17 =排出量=年度平成

t163,602

1.2030.763,230VOC16 =排出量=年度平成

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b)受入時の VOC 大気排出量推計

VR 装置設置率を考慮する場合は式(4-4)を用いて算出する。式(4-4)の第 1項の販売量には

各都道府県別ガソリン販売量を用いた(表 4.82)。今回VR装置設置率を考慮するのは表 4.83

に示した5都道府県のみである。その他の都道府県は VR 装置設置率なしとして、式(4-3)

を用いて推計を行い、5都道府県の VOC 排出量とその他の都道府県を足し合わせ全国の給

油所の受入時における VOC 排出量の推計値とした。結果を表 4.83 にまとめる。以下に算

出方法を示す。

例)埼玉県の平成 12 年度の VOC 大気排出量推計

7252

)203.17.0()

100

(%)85

100

(%)100

100

(%)871()(925,2 =

+

×××−×kL

上記同様にその他4都道府県の推算を行った。

表 4.83 受入時の VOC 排出量(トン/年)

都道府県 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

埼玉県 725 601 596

大阪府 1,351 1,641 1,693

愛知県 548 621 599

神奈川県 440 492 504

東京都 2,836 1,756 1,770

その他の道府県の合計 37,947 39,949 39,802

全国合計 43,846 45,060 44,965

給油時と受入時の排出量を合計し、全国給油所からの VOC 大気排出量を推計値した結果

を表 4.84 に示す。

表 4.84 給油所からの VOC 排出量推計値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

給油時の VOC 排出量 55,000 60,163 60,095

受入時の VOC 排出量 43,846 45,060 44,965

全国給油所からの VOC 排出量 98,846 105,223 105,060

(4) データの出典と各団体の報告値の捕捉率

データの出典と団体の報告値の捕捉率を表 4.85 に示す

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66

表 4.85 データの出典と団体の報告値の捕捉率

データの種類 出典 捕捉率

ガソリンの年間販売量 石油連盟調べの統計値 100%

受入時と給油時におけ

る排出係数

平成 16 年 3 月「給油所から排出される炭化水素系

VOC(揮発性有機化合物)に関する調査報告書」(社)全

国石油協会

実測値

VR 装置設置率 条例のある各都道府県にヒアリング(表 4.78 を参照)

(5) VOC 成分別排出量

全国石油協会の平成 16 年,3 月「給油所から排出される炭化水素系 VOC(揮発性有機化

合物)に関する調査報告書」で、ガソリン 1kL 中に含まれる VOC 成分を分析したデータ

(表 4.86)があるので、VOC 排出量推計値を表 4.86 の各の VOC 成分の比で、比例配分し、

VOC 成分別排出量を推計した。結果を表 4.87 に示す。

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67

表 4.86 ガソリン1KL 中に含まれる VOC 成分とその割合

VOC 成分 ガソリン1kL 中

VOC 量(g/kL)成分割合

メタン 0.21 0.03%

C1計 0.21 0.03%

エタン 0.33 0.05%

C2計 0.33 0.05%

プロパン 6.17 0.88%

C3計 6.17 0.88%

1-ブテン+i-ブチレン 30.30 4.33%

t-2-ブテン 19.98 2.85%

c-2-ブテン 14.41 2.06%

i-ブタン 153.99 21.98%

n-ブタン 176.90 25.25%

C4計 395.59 56.47%

3-メチル1-ブテン 1.71 0.24%

1-ペンテン 3.13 0.45%

2-メチル1-ブテン 4.94 0.71%

t-2-ペンテン 5.26 0.75%

c-2-ペンテン 2.65 0.38%

2-メチル2-ブテン 7.11 1.02%

シクロペンテン 0.92 0.13%

i-ペンタン 123.81 17.67%

n-ペンタン 55.24 7.89%

C5計 204.78 29.23%

ベンゼン 0.87 0.12%

メチルシクロペンタン 2.94 0.42%

2-メチル 2-ペンテン 1.26 0.18%

2.2-ジメチルブタン 7.97 1.14%

2.3-ジメチルブタン 9.42 1.34%

2-メチルペンタン 24.55 3.50%

3-メチルペンタン 14.83 2.12%

n-ヘキサン 12.79 1.83%

その他 C6 5.31 0.76%

C6計 79.94 11.41%

トルエン 3.53 0.50%

2,4-ジメチルペンタン 0.80 0.11%

3,3-ジメチルペンタン 0.31 0.04%

2-メチルヘキサン 1.96 0.28%

2,3-ジメチルペンタン 0.74 0.11%

3-メチルヘキサン 1.99 0.28%

n-ヘプタン 0.86 0.12%

その他 C7 2.91 0.42%

C7計 13.10 1.87%

C8計 0.44 0.06%

合 計 700.55 100.00%

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表 4.87 給油所からの成分別 VOC 排出量の推計値(トン/年)

VOC 成分 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

メタン 30 32 32

エタン 49 53 53

プロパン 870 926 925

1-ブテン+i-ブチレン 4,280 4,556 4,549

t-2-ブテン 2,817 2,999 2,994

c-2-ブテン 2,036 2,168 2,164

i-ブタン 21,726 23,128 23,092

n-ブタン 24,959 26,569 26,528

3-メチル1-ブテン 237 253 252

1-ペンテン 445 474 473

2-メチル1-ブテン 702 747 746

t-2-ペンテン 741 789 788

c-2-ペンテン 376 400 399

2-メチル2-ブテン 1,008 1,073 1,072

シクロペンテン 128 137 137

i-ペンタン 17,466 18,593 18,564

n-ペンタン 7,799 8,302 8,289

ベンゼン 119 126 126

メチルシクロペンタン 415 442 441

2-メチル 2-ペンテン 178 189 189

2.2-ジメチルブタン 1,127 1,200 1,198

2.3-ジメチルブタン 1,325 1,410 1,408

2-メチルペンタン 3,460 3,683 3,677

3-メチルペンタン 2,096 2,231 2,227

n-ヘキサン 1,809 1,926 1,923

その他 C6 751 800 798

トルエン 494 526 525

2,4-ジメチルペンタン 109 116 116

3,3-ジメチルペンタン 40 42 42

2-メチルヘキサン 277 295 294

2,3-ジメチルペンタン 109 116 116

3-メチルヘキサン 277 295 294

n-ヘプタン 119 126 126

その他 C7 415 442 441

C8 59 63 63

合 計 98,846 105,223 105,060

(6) 今後の課題

全国的な VR 装置設置率の調査を行う必要がある。

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69

4.9.2 製油所及び油槽所等からの VOC 排出量の推計

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

製油所は中東諸国等より輸入された原油を精製し、各種石油製品(ナフサ、灯油、軽油、

潤滑油、重油)を製造している。精製品であるガソリンやナフサはタンクローリー、貨車

や船舶により各地の油槽所、給油所等に運搬される。ここでは製油所、油槽所等における

燃料の出荷時とタンクへの受け入れ時に排出されるものと、貯蔵タンク内で気化したガス

が排出される呼吸ロスを推計対象とする(ここには給油所は含まない。給油所からの VOC

排出については本報告書 4.9.1 を参照)。

ここで、タンクの種類は固定屋根式と浮屋根式の 2 種類があるが、浮屋根式のタンクか

らの VOC の排出量は、固定屋根式タンクからの排出量の 0.1%であり、製品払出時の濡れ

た壁面の蒸発による大気排出のみを対象とした。また、灯油より初留点(150℃以上)の高

い油種からの排出はほとんどないため、これらからの VOC 排出量はないとみなした。

(2) 関係業種・関係団体

製油所及び油槽所等に関係する団体は、石油連盟、天然ガス鉱業会、(社)日本ガス協会で

ある。それぞれの団体と関連している業種および施設を表 4.88 にまとめる。

表 4.88 関係団体と業種や施設

関係団体 関係業種や施設

石油連盟 製油所 油槽所における出荷、貯蔵

天然ガス鉱業会 天然ガス油田における貯蔵タンク

(社)日本ガス協会 都市ガスに関するナフサ貯蔵

(3) 推計方法と推計結果

製油所及び油槽所等に関係する表 4.88 に示す 3 団体が、自主行動計画で VOC 排出量を

報告しており、この 3 団体で、国内の製油所及び油槽所等に係る VOC 発生量をほぼ網羅し

ていると思われるため、3 団体の報告値を合計した値を、全国の製油所及び油槽所等からの

VOC 排出量の推計値とした。ここで、石油連盟と(社)日本ガス協会、天然ガス鉱業会の値

は捕捉率が出荷量ベースで 100%なのでそのまま用いた。

表 4.89 に 3 団体の自主行動計画報告値の推計対象と推計範囲について示す。

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70

表 4.89 3 団体の自主行動計画報告値の推計対象と推計範囲

【石油連盟の自主行動計画報告で用いた推計方法と排出係数】

○固定屋根式タンクからの VOC 排出量(受入ロス+呼吸ロス)

固定屋根式タンクの場合の VOC 排出量は、石油をタンクに受入する際、大気に排出され

る量(受入ロス)と、貯槽時にタンクのガス抜き口より排出される量(呼吸ロス)であり、

燃料の種類に従い、式(4-6)と式(4-7)を用いて推算している。

・ガソリン、ナフサ、原油、灯油の場合

VOC 排出量=k1×(受入量)+k2×(タンク容量)2/3 式(4-6)

・灯油、軽油、重油の場合

VOC 排出量=k1×(受入量)+k2×(タンク容量) 式(4-7)

○ 浮屋根式タンクからの VOC 排出量(払出ロス)

浮屋根式タンクの場合、受入ロス、呼吸ロスの両方は無く、製品払出時の濡れた壁面の

蒸発ロス(払出ロス)だけとなるため、式(4-8)を用いて推算している。

VOC 排出量=k3/(タンク径)×(払出量) 式(4-8)

ここで、k1、k2、k3 は推算のための係数であるが「石油産業における炭化水素ベーパー

防止トータルシステム研究調査書」資源エネルギー庁(昭和 50 年)の報告値(表 4.90 に

石油連盟 天然ガス鉱業会 (社)日本ガス協会

対象事業者

石油製品製造業、石油販

売業のうち石油精製、販

売(元売)事業者

原油・天然ガス鉱業のうち天

然ガス生産事業者

ガス業のうち一般ガス

事業者

主な排出源施設

貯蔵(石油タンク)

出荷施設

原油貯蔵タンク 貯蔵(ナフサタンク)

推計範囲

製油所、油槽所における

出荷ロス(タンクローリ

ー・船舶・貨車)、

固定屋根式タンクの受入

ロスと呼吸ロスおよび浮

屋根式タンクの払出ロス

による VOC の排出量を

算出

天然ガス油田における貯蔵タ

ンク、グライコイール再生装

置、脱炭酸ガス装置、工事に

伴う放散ガス、船積み出荷、

ローリー出荷、積出し作業に

伴い大気放出される VOC 量

を算出している

都市ガスに関するナフ

サ貯蔵時の VOC 発生量

を算出

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71

示す)を用いている。

表 4.90 VOC 排出量推算のための係数

ナフサ・ガソリン 原油 灯油

k1 1.00 0.52 0.0024

k2 0.7064 0.3054 8.3×10-5

k3 0.047 0.0141

出典)資源エネルギー庁「石油産業における炭化水素ベーパー防止

トータルシステム研究調査書」(昭和 50 年)

3 団体の平成 18 年度の自主行動計画報告を合計し、推算した製油所及び油槽所等に係る

VOC 排出量の推計値を表 4.91 に示す。

表 4.91 自主行動計画報告による VOC 排出量(トン/年)

平成 12 年 平成 16 年 平成 17 年

石油連盟 61,426 56,281 55,921

天然ガス鉱業会 2,603 1,587 1,665

(社)日本ガス協会 87 31 27

合計 64,116 57,899 57,613

出典)平成 18 年度自主行動計画報告値

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体報告値の捕捉率をまとめたものを表 4.92 に示す。

表 4.92 データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

石油連盟 平成 18年度自主

行動計画報告値

加盟企業数は、石油精製・元売:18 社、石油

精製工場(製油所):全国 30 箇所(非加盟会

社を含む)油槽所・石油基地約 150 箇所(非

加盟会社を含む)からの集計値で全国の出荷

量に対する捕捉率はほぼ 100%

天然ガス鉱業会 平成 18年

度自主行動計画報告値

天然ガス生産量ベースで 100%

VOC 排出量

(社)日本ガス協会 平成 18

年度自主行動計画報告値

PRTR データの届出値との比較で 100%

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72

4.10. 織物・染色加工に係る VOC 排出量

(1) VOC 発生源と推計対象範囲

織物・染色加工業では各種繊維の織・編み物のコンバーティング加工(ラミネート、コ

ーティング、ボンディング)、捺染工程、仕上げ工程や糸などの繊維を染色した後の洗浄工

程などから排出される VOC を対象とする。

(2) 関係業種・関係団体

関係業種は織物等機械染色整理業、綿状繊維・糸色毛等機械染色整理業などである。表

4.93 に関係業種・関係団体を示す。

表 4.93 関連団体と業種の関係

関係団体 業種

(社)日本染色協会 ポリエチレンや綿の織物・編み物の加工

日本繊維染色連合会 綿状繊維・糸染色業

日本毛整理協会 毛織物業 毛整理業

(3) 推計方法

VOC 排出源としてポリエチレンや綿の織・編み物業を取りまとめる団体として(社)日本

染色協会があり、この団体の VOC 排出量報告値には、コンバーティング加工等 VOC の排

出量の多い加工装置を持っている大きい事業所からの値がほぼ 100%含まれているとのこ

とであるので、特にカバー率などを考慮せず報告値をそのまま推計に用いた。

綿状繊維・糸染色業関係では日本繊維染色連合会が自主行動計画で報告をしているが、

同連合会加盟企業で 1 トンを超える会社は 1 社のみとのことであった。綿状繊維・糸染色

業関係業界では、縮充・風合いを主目的とする精錬・洗浄工程に VOC を用い、主に取り扱

う VOC 成分はテトラクロロエチレンであるが、テトラクロロエチレンはここ 10 年で水系

洗浄への切り替えや回収、リサイクル率が上がり、年間取扱量が 1 トンを超える業者はほ

とんどないとのことである。そのため、今回は推計値から除外することとした。

羊毛の織・編み物業を取りまとめる団体として日本毛整理協会にヒアリングを行ったと

ころ、毛整理業は小規模の企業が多く、規模的には(社)日本染色協会の 1/10 程度で、綿状

繊維・糸染色業関係と同様に、平成 12 年までにテトラクロロエチレンなどの使用量の削減

を行ってきたため、現在の使用量は非常に少ないとのことであった。今回、毛織物にかか

る VOC 排出量はデータがなく、排出量も非常に少ないと判断できるので、推計値からは除

外することとした。

以上のことより、織物・染色加工に係る VOC 排出量の推計値は(社)日本染色協会の自主

行動計画報告値をそのまま使用した。 表 4.94 に(社)日本染色協会の平成 17 年度自主行動

計画の平成 12 年度、平成 16 年度、平成 17 年度の VOC 大気排出量推計値を示す。

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73

表 4.94 平成 17 年度(社)日本染色協会の自主行動計画報告値(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 大気排出量 7,976 6,512 6,576

出典)(社)日本染色協会の平成 17 年度自主行動計画報告値

(4) データの出典と業界団体報告値の捕捉率

データの出典と業界団体の報告値の捕捉率を表 4.95 に示す

表 4.95 データの出典と業界団体の報告値の捕捉率

データ種類 出典 捕捉率

VOC 大気排出量 平成 18 年度(社)日本染色協会の

自主行動計画報告値

団体ヒアリングより生産量ベースで業

界内の捕捉率はほぼ 100%とのこと。

(5) VOC 成分別排出量

(社)日本染色協会の自主行動計画で報告されているVOC成分別排出量を表 4.96に示す。

表 4.96 染色工程に係る VOC 成分別排出量(トン/年)

出典)平成 18 年度(社)日本染色協会の自主行動計画報告値

VOC 成分 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

1 トルエン 2,648 2,061 2,036

2 ターペン 1,662 1,051 1,100

3 メチルエチルケトン 1,446 1,366 1,416

4 N,N-ジメチルホルムアミド 1,104 941 944

5 イソプロピルアルコール 352 334 363

6 キシレン 239 131 137

7 ブチルセロソルブ 185 233 225

8 酢酸エチル 165 148 149

9 イソブタノール 58 118 71

10 1,3,5-トリメチルベンゼン 45 42 42

その他物質の合計 72 87 93

VOC の排出量の全合計 7,976 6,512 6,576

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74

5. 自主行動計画報告値

5.1. 自主行動計画参加団体の VOC 大気排出量

自主行動計画は、産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会、化学・バイオ部会リス

ク管理小委員会、産業環境リスク対策合同ワーキンググループ(以下、産構審 WG と記す)

において過去 3回公表されている(平成 17 年 11月 30 日、平成 18 年 5月 11 日、同年 12

月 13 日)。平成 18 年 12月 13 日に開催された産構審WG では 30 の業界団体から 27件の

提出があり、取組に参加している事業者は 9,341 社である(電気・電子 4 団体は(社)電子情

報技術産業協会、情報通信ネットワーク産業協会、(社)ビジネス機械・情報システム産業協

会、(社)日本電機工業会)。

これら 30 の業界団体からの自主行動計画報告値に基づく年間 VOC 大気排出量の合計は

表 5.1 に示すように、平成 12 年度で 484,680 トン、平成 16 年度は 378,317 トン、平成 17

年度は 352,849 トンである。この他、自主行動計画には参加していないが、業界のホーム

ページ等に報告している日本ゴム工業会、日本サッシ協会、日本粘着テープ工業会の報告

値を加えると、平成 12 年度で 533,913 トン、平成 16 年度は 415,370 トン、平成 17 年度

は 385,643 トンとなる。

表 5.1 自主行動計画等による VOC 大気排出量報告値(トン/年)

平成12年度 平成16年度 平成17年度

自主行動計画 VOC 大気排出量報告値

(30 業界団体、9,341社) 484,680 378,317 352,849

自主行動計画に公表していない 3 団体による

報告値 49,233 37,053 32,773

合計 533,913 415,370 385,622

各業界団体の報告内容は、平成 18 年 12月 13 日に開催された第 5回産構審WG に示さ

れているが、捕捉範囲、主な排出源、除外、裾きりの考え方、対象物質などの概要を表 5.2

に示す。この他、聞き取り調査等で得られたその後の情報は次のとおりである。

5.1.1. 聞き取り調査内容

(1) 日本製紙連合会

・ 製紙工程上での VOC 排出はほとんどない。剥離紙、粘着紙等の加工工程での排出が

非常に多く、印刷工程(グラビア印刷、マスター紙の製造)での排出が 1 割程度ある。

印刷関係は、(社)日本印刷産業連合会との重複はなく、剥離紙、粘着紙関係について

も日本粘着テープ工業会との重複はない。

・ 当業界の自主取組対象物質であるトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソ

プロピルアルコール、メタノールの 5 物質で全排出量の 96%を占め、排出全体の 79%

がトルエンである。

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75

表 5.2 自主行動計画等報告概要

排出量 使用量(※は取扱量) 番

号 業界団体名 捕捉範囲 主な排出源 除外、裾きりの考え方 対象物質

12 年度 16 年度 17 年度 12 年度 16 年度 17 年度

1 (社)日本ガス協会 加盟率:100%、捕捉率:100% 貯蔵 対象設備を有する 2 社 ナフサ 87 31 27 25,600 12,500 4,300

2 (社)日本染色協会 加盟率:89%、捕捉率:73%(生産量ベース) 接着、印刷 年間 1t 以上使用実績のある物質を対象 トルエン、ターペン、メチルエチルケトン 7,976 6,512 6,576 17,724 16,168 16,017

3 日本製紙連合会 加盟率:86%、捕捉率:86%(生産量ベース) 印刷、接着 100 トン以上の 5 物質(全 VOC の 96%カバー) トルエン、酢酸エチル等 9,644 3,821 3,880 14,357 12,580 13,667

4 (社)日本鉄鋼連盟 加盟率:不明、捕捉率:約 84%(粗鋼生産量ベース) 塗装、洗浄 PRTR の届出要件と同じ PRTR:42、PRTR 外 16 物質 6,346 4,417 4,139 271,067 239,383 ※231,527

5 電気・電子 4 団体 加盟率:不明、捕捉率:85%程度(生産規模ベース) 塗装、洗浄 対象物質年間 1t 以上を取扱っている企業を対象 20 物質(全排出量の 96%) 24,984 17,226 19,622 101,933 106,858 ※119,965

6 (社)日本塗料工業会 加盟率:98%、捕捉率:94%(生産量ベース) 塗料製造工程 会員企業中、塗料、シンナー製造企業を対象 トルエン、キシレン、エチルベンゼン等 3,947 2,954 3,061 922,720 786,850 801,200

7 (社)日本自動車部品工業会 加盟率不明:、捕捉率:不明 塗装、接着、印刷、洗浄 アンケート回答のあった企業を対象 工業会として総排出量 50 トン以上の物質対

象 22,651 14,934 18,856 36,100 31,840

8 (社)日本自動車工業会 加盟率:100%、捕捉率:100% 塗装 14 社 トルエン、アセトン等塗料中のVOC 52,991 43,786 41,537 73,449 62,386 60,196

9 線材製品協会 加盟率:91%程度、捕捉率:91%程度(生産量ベース) 洗浄、塗装 VOC を物質当たり 1 トン以上排出している企業を

対象

キシレン、テトラクロロエチレン等 1,290 1,040 894 1,435 1,006

10 日本伸銅協会 加盟率:100%、捕捉率:77%(生産量ベース) 洗浄 アンケート回答のあった企業を対象 排出量合計の 9 割以上を占める 7 物質 436 198 193 620 498

11 全国鍍金工業組合連合会 加盟率:95%程度、捕捉率:95%程度(企業数ベース) 洗浄 有害大気汚染物質の自主管理対象企業 トリクロロエチレン、ジクロロメタン 1,356 1,356 992 1,540 1,155

12 (社)日本電線工業会 加盟率:86%、捕捉率:76%(団体内生産量比率×加盟率) 塗装、圧延時の皮膜 VOC 使用実績のある会員企業を対象 PRTR対象 92 物質、PRTR非対象 12 物質 1,815 1,168 1,149 10,816 7,560

13 (社)日本溶融亜鉛鍍金協会 加盟率:不明、捕捉率:82%(団体内の企業ベース) 塗装 アンケート回答のあった会員企業 キシレン、トルエン 101 101 99 101 99

14 (社)日本アルミニウム協会 加盟率:94%、捕捉率:66%(会員企業内の生産量ベース) 塗装、洗浄、印刷、接着 圧延大手 6 社、箔圧延大手 7 社、建材押出し大手

5 社は他団体の自主行動計画に参加

PRTR 非対象物質については不明のため

PRTR 対象 7 物質に限定 1,900 704 569 4,012 2,854 2,719

15 (社)日本建材・住宅設備産業協

加盟率:85%(サッシ業界)、91%(繊維版業界)、100%(窯業系

サイデング、ガラス・ロックウール保温製造業会)、捕捉率:

60%(PRTR排出ベース)

塗装、接着、洗浄

①金属製品製造業、②パルプ・紙・紙加工品製造

業、③窯業・土石製品製造業のうち他団体の自主

行動計画に参加する企業・団体を除く 5 団体を対

PETR 対象物質のうち排出量の割合の上位

を占める物質を対象団体各々が選定 8,025 6,255 6,059 10,103 7,925 7,639

16 天然ガス鉱業会 加盟率:90%以上、捕捉率:ほぼ 100% 貯蔵、積出 会員企業 7 社 全炭化水素 2,603 1,587 1,665 103,813,216 122,688,873 132,947,836

17 石油連盟 加盟率:100%、捕捉率:100% 貯蔵、出荷設備 24 社 炭化水素 61,426 56,281 55,921

18 (社)日本化学工業協会 加盟率:不明、捕捉率:約 68%(PRTR報告ベース) 化学品製造工程 68 社/130 社、ただし、排出量集計は 130 社 PRTR354+日化協独自物質 126+石油製

品由来 434 89,528 54,690 51,218 82,750,000 93,043,000 89,522,000

19 (社)日本印刷産業連合会 加盟率:約 90%、捕捉率:約 90%(出荷額ベース) 印刷 グラビア印刷(ラミネート、コーターを含む)、オフセ

ット印刷業

トルエン、酢酸エチル等全 VOC 115,500 89,100 76,600 204,400 199,600 195,000

20 ドラム缶工業会 加盟率:100%、捕捉率:100% 塗装 200ℓ ドラム缶メーカー11 社 加熱算分測定法により、VOC 全物質を一括

把握 1,763 1,966 1,634 2,153 2,254

21 軽金属製品協会 加盟率:70%、捕捉率:90%(大手 5 社分を含んだ VOC 使用

量ベース) 塗装

会員 7 社、会員外 3 社のうち会員 2 社、会員外 2

社を対象。加盟アルミ建材メーカー5 社は日本建

材・住宅設備産業協会の行動計画に参加

キシレン、トルエン、エチルベンゼン、12 年

度 VOC 排出量の 80%程度をカバー(推定) 349 342 312 349 393 380

22 日本プラスチック工業連盟 加盟率:約 60%、捕捉率:約 40%(主要物質の PRTR データと

の比較) 接着、印刷

連盟中プラスチック加工 6 団体を対象 年間使用量 1 トン以上の全 VOC 対象 46,239 46,239 36,134 70,274 71,409

23 (社)日本オフィス家具協会 加盟率:約 50%、捕捉率:約 50%(製品出荷額ベース) 塗装、接着 会員で製造業を営む企業 年間排出量 1 トン以上の PRTR 対象 41 物

質、PRTR 非対象 16 物質 2,824 2,824 2,181 3,373 2,738

24 (社)日本表面処理機材工業会 加盟率:95%、捕捉率:95%(企業数ベース) 表面処理薬剤製造工程 1 トン以上 VOC を使用している企業 ホルムアルデヒド、メタノール、イソプロピル

アルコール 1 1 1 752 870

25 (社)日本自動車車体工業会 加盟率:不明、捕捉率:約 89%(製品売上高) 塗装 会員企業中 VOC を使用している企業 工業会で使用している 38 物質 20,300 20,300 19,060

26 日本接着剤工業会 加盟率:67%、捕捉率:67%(企業数ベース) 接着剤製造工程 会員企業中接着剤製造企業を対象 工業会において主に使用している 9 物質 598 484 470 56,951 46,083 44,768

27 日本繊維染色連合会 加盟率:約 23%、捕捉率:約 23%(事務所数ベース) 洗浄 従業員数が 21 名以上且年間取扱量 1 トン以上の

企業

テトラクロロエチレン 0.1 0.03 0.031 2.3 1.7 2

小計(排出量) 484,680 378,317 352,849

小計(使用量) (社)日本ガス協会、天然ガス鉱業会、石油連盟、日本化学工

業協会を除く

1,804,231

日本ゴム工業会 排出量からみた場合、90%程度 接着、表面活性化 38 社/117 社 アセトン、イソプロピルアルコール、キシレン

等 22,246 19,111 18,789

(社)日本サッシ協会 1,054 490 469

日本粘着テープ工業会 25,933 17,452 13,515

合計(排出量) 533,913 415,370 385,622

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76

(2) (社)日本鉄鋼連盟

・ 粗鋼生産実績比率でみた捕捉率は 17 年度で約 84%であるが、VOC 排出量と関連性は

ない。

・ 自主行動計画には公表していないが、PRTR 対象物質、PRTR 非対称物質別の排出量

は次のとおりである。

表 5.3 (社)日本鉄鋼連盟の自主行動計画による PRTR 対象、PRTR 非対象物質別

VOC 排出量(トン/年)

区分 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

PRTR 対象物質 4,965 3,171 2,899

PRTR 非対象物質 1,381 1,247 1,239

合計 6,346 4,418 注) 4,138 注)

注) 自主行動計画とは四捨五入により数値が異なる

(3) (社)日本自動車工業会

・ 排出削減対策としては工程内対策を行っており、エンドオブパイプ技術は採用してい

ない。主な対策技術の種類は次のとおりであり、対策により VOC 使用量が減少する

ので、排出量と使用量の比は団体全体としての対策率とはならない。

表 5.4 (社)日本自動車工業会における VOC 対策技術とその普及率

対策普及率(%) 主な対策技術

平成 12 年 平成 17 年

対策の排出削減効果

(平成 12 年→平成 17 年)

廃シンナー回収装置 81 94

塗着効率向上 52 58

ハイソリッド塗料採用(中塗) 67 72

水系塗料の採用(上塗) 4 33

22%

注)対策普及率は設備数を対象としたものである。

(4) 日本プラスチック工業連盟

・ 同連盟による自主行動計画は、①ウレタンフォーム工業会、②日本ビニル工業会、③

日本プラスチック板協会、④日本ポリエチレン製品工業連合会(日本ポリエチレンラミ

ネート製品工業会を含む)、⑤発泡スチレンシート工業会、⑥PET トレイ協議会が合

同で作成している。

・ プラスチック成型・加工工程で排出され、加工工程としてはラミネート、印刷、コー

ティング、粘着剤塗布があるが、各加工工程種類別の排出量は不明である。発泡工程

で使用する発泡剤もある。

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77

(5) 経済産業省所管以外の団体からの聞き取り調査結果

1) 塗装関係

塗装に係る VOC 大気排出源として造船塗装、建築塗装、橋梁塗装、自動車修理塗装を取

り上げ、それぞれ(社)日本造船工業会、(社)日本塗装工業会、(社)日本橋梁・鋼構造物塗装技

術協会、日本自動車車体整備協同組合連合会に聞き取り調査を行った。その概要は次のとお

りである。

① (社)日本造船工業会

・ 現在のところ工業会として正確な塗料取扱量を把握していない。

・ 7 割は屋外塗装、3 割が屋内塗装である。ブロック塗装時に屋内塗装をすることがあ

るが、これは工期の問題からの雨対策である。

・ 屋内塗装時の VOC 削減対策は実施していない。これは、塗装ブロックが超大である

ため気密性のある塗装ブースの設置が困難で、室内における作業員による塗装作業と

なり、ファンによる大量の強制換気、給排気が必要で(有機溶剤中毒、爆発・火災の回

避)、VOC の回収処理が非常に困難なためである。

② (社)日本塗装工業会

・ 塗料の使用量は把握していない。

・ 対策としては、水性塗料への変更、次に溶剤変更(トルエン系→炭化水素系)である。

業界としては低 VOC 塗料の使用の動向にある。

・ 作業は内装、外装とも全て建築現場におけるローラーと刷毛を用いた塗装である。

・ 塗装の 73%は補修が占めている

・ 補修時は、人が住んでいる状態での塗装となるので溶剤系の塗料は使わない。

・ 建築外装は 7 割ほど水性塗料を使用している。建築内装はシックハウス防止のため、

ほとんどが水性塗料である。

③ (社)日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会

・ 塗料の使用量は把握していない。塗装に係る金額は把握しているが、この金額と塗料

使用量との関係は、同じ規模の工事でも入札による受注金額の低下などの原因により

推計することは難しい。

・ 昔は工場での塗装が 3 回、現場塗装が 2 回の 5 回塗りだったが、最近は製鋼工場で 2

回、橋梁製作工場で 3 回、現場で 2 回塗りとなっている。現場は 2 回とも刷け塗りで

ある。

・ 製鋼工場、橋梁製作工場の塗装は、屋外塗装か屋内塗装かは会社によって異なる。屋

内塗装の場合、VOC 排出削減対策が実施されているかどうかは不明である。

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78

④ 日本自動車車体整備協同組合連合会

・ 同協同組合連合会は会員数約 8,000 社であり、そのほとんどは従業員 2~3 人程度で

ある。アウトサイダーはかなりあると思われるが、母数は把握していない。

・ 塗料の使用量は把握していない。

・ 平成 18 年 4月から平成 19 年 3月までの実績データをベースにして、平成 19 年 4月

にアンケート調査を行い、6月に経済産業省に自主行動計画を提出予定。

・ 事前の調査で、排ガス処理装置の設置は無理であることが分かっているので、装置の

導入は考えていない。

・ 対策は作業工程の見直し、低 VOC 塗料の使用等で対処することになる。

これら 4 団体における聞き取り調査によれば、団体としての塗料の取扱量や使用量は把

握されていない。また、塗装は屋外で行われていることが分かった。これら団体による VOC

大気排出量推計値は、「表 4.8 屋内塗装、屋外塗装別 VOC 大気排出量推計値」で記述した屋

外塗装によるものを適用すると表 5.5 のようになる。

表 5.5 屋外塗装による VOC 大気排出量推計値(トン/年)

屋外塗装 平成 12年度 平成 16 年度 平成 17 年度

建物「(社)日本塗装工業会関係」 114,782 97,886 84,418

構造物「(社)日本橋梁・鋼構造物塗装技

術協会関係」 36,422 30,805 30,467

(社)日本造船工業会(造船塗装) 48,467 43,391 41,984

自動車補修「日本自動車車体整備協同

組合連合会関係」 35,263 29,621 26,263

家庭用 10,987 8,684 8,115

路面表示 4,373 1,594 1,809

その他注) 6,916 6,124 6,782

合計 257,211 218,106 199,839

注)その他の業種は、パルプ・紙加工品製造業、なめし革・同製品・毛皮製造業、窯業・土石製品製造業等である

2) ドライクリーニング関係

ドライクリーニングによる VOC 大気排出量推計のため、全国クリーニング協議会及び全

国クリーニング生活衛生同業組合連合会への聞き取り調査を実施した。全国クリーニング協

議会では VOC 自主的取組の啓蒙普及は行っているが、今のところ自主行動計画的取組参加

の予定はなく、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会も VOC 自主的取組の啓蒙普及を

ホームページを通じて行っているが、組合連合会としての自主行動計画の予定はないとの回

答があった。また、ドライクリーニング洗浄剤の年間取扱量は、組合連合会として集計して

Page 87: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

79

おらず、国による統計もなされていなかった(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会で

は、日本クリーニング用洗剤同業会 14 社のテトラクロロエチレン系、エタン系、フッ素系、

石油系ドライ用洗浄剤の年度別出荷実績統計値を公表しているが、これ以外の会社の出荷量

は不明であった)。

今回は、クロロカーボン衛生協会調査によるドライクリーニング用テトラクロロエチレン

の国内出荷量統計値および、平成 18 年度環境省 VOC インベントリ調査におて実施した「有

機溶剤の国内出荷量に係る調査」による石油系洗浄溶剤(工業用ガソリン 5 号)の国内出

荷量集計値を用い推計を行った。廃棄物への移動量は平成 18 年度の環境省インベントリ調

査において日本クリーニング環境保全センターへのヒアリングに元づき設定した値を用い

て推計した。洗浄溶剤の国内出荷量から廃棄物への移動量を差し引き、VOC 大気排出量を

推計した。推計結果を表 5.6 に示す。

表 5.6 ドライクリーニングに係る VOC 大気排出量推計値(トン/年)

テトラクロロエチレン 石油系溶剤 合計

平成 12 年度 6,443 38,785 45,228

平成 16 年度 4,391 36,694 41,085

平成 17 年度 3,991 36,694 40,685

3) 給油所関係

給油所からの VOC 大気排出量の把握のため、全国石油商業組合連合会(全石連)、(社)全

国石油協会への聞き取り調査を実施した。同連合会及び協会の自主行動計画による VOC 大

気排出量の報告はないが、「給油所から排出される VOC に関する調査報告書」、平成 16 年

3月、(社)全国石油協会を入手した。

給油所からの VOC 大気排出量は、この報告書に記載されている方法により推計した(ガ

ソリンの年間販売量実績と季節を考慮した排出係数から計算)。その結果を表 5.7 に示す(詳

細は 4.9.1 給油所からの VOC 大気排出量参照)。

表 5.7 給油所からの VOC 大気排出量推計値(トン/年)

年度 平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

VOC 排出量推計値 98,846 105,223 105,060

5.1.2. 自主行動計画による VOC 大気排出量まとめ

各業界団体の自主行動計画報告値は表 5.2 に示すとおりであるが、それぞれの業界団体の

捕捉率を単純に割り戻し拡大推計した VOC 大気排出量推計値は、表 5.8 に示すようになる

((社)日本自動車部品工業会は捕捉率不明であるので 80%に設定)。

Page 88: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

80

この値に屋外塗装(表 5.5)、クリーニング(表 5.6)、給油所(表 5.7)による VOC 大気排出量

推計値を加えると、平成 12 年度で 1,097,332 トン、平成 16 年度は 918,586 トン、平成 17

年度は 846,330 トンとなる。

表 5.8 年度別 VOC 大気排出量推計値(自主行動計画を主体として)(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

自主行動計画値(捕捉率補正) 684,329 539,852 492,361

屋外塗装 257,211 218,106 199,839

クリーニング 45,228 41,085 40,685

給油所 98,846 105,223 105,060

合計 1,085,614 904,266 837,945

「第 4章 発生源ごとの VOC 大気排出量の推計」で推計した値と「第 5章 自主行動計画

報告値」で推計した値の比較を表 5.9 に示す。ここで、第 4章における VOC 排出量推計値

が正式なものである。一方、第 5章における VOC 排出量推計値は、業界団体の自主行動計

画には参加していないが業界のホームページなどに公表している 3 団体の値を加え、これ

ら各団体の報告値を各業界団体がそれぞれ公表している捕捉率で補正し、この値に、さらに

自主行動計画に報告されていないが VOC 排出量が大きいと考えられる屋外塗装、クリーニ

ング、給油所から排出される VOC 量を加えたもので、この方法によりどこまで VOC 排出

量が捕らえられるかを検討した参考値である。

したがって、第 4章と第 5章の VOC 排出量推計値は対等には比較できないが、両者の差

は、自主行動計画に参加していない業界団体(経済産業省所管以外の団体を含む)による

VOC 排出量に起因しているところも大きいと考えられる。

表 5.9 第 4章並びに第 5章で推定した VOC 大気排出量推計値の比較(千トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

①第 4章で推計した VOC 大気排出量 1,295 1,048 1,011

②第 5章で推計した VOC 大気排出量 1,086 904 838

差(①-②) 209 144 173

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81

5.2. 自主行動計画における VOC 化学成分別大気排出量の報告状況

平成 18 年 12月に公表された自主行動計画においては、27件の提出があり、このうち下

記 13 業界団体より物質別 VOC 排出量が公表されている。他の 14 団体は取扱い物質名を明

示しているが、物質別 VOC 排出量は公表しておらず、取り扱っている物質を一括して総

VOC 排出量として公表している(表 5.2 自主行動計画等報告概要 参照)。

物質別 VOC 排出量が公表されている業界団体

(社)日本染色協会、(社)日本塗料工業会、(社)日本自動車部品工業会、日本伸銅協会、

全国鍍金、工業組合連合会、(社)日本電線工業会、(社)日本溶融亜鉛鍍金協会、(社)

日本建材・住宅設備産業協会、(社)日本化学工業協会、(社)日本印刷産業連合会、軽

金属製品協会、日本プラスチック工業連盟、日本接着剤工業会

(1) 化学成分別 VOC 排出量

業界団体別化学成分 VOC 排出量を年度別に分けて表 5.10~表 5.12 に示す。表中のその

他 VOC とは、成分別 VOC を公表している団体で、物質ごとの排出量のほかに、複数の物

質の排出量を一括して集計してあるものを表している。また、表中の成分不明 VOC は、成

分別 VOC 排出量を公表していない業界団体の総 VOC 排出量を表している。

表 5.13 は表 5.10(平成 12 年度)、表 5.12(平成 17 年度)を炭化水素類、PRTR法対象物質、

PRTR法対象外物質、化学成分不明 VOC に分けて集計したものである。表中の化学成分不

明 VOC集計値は、表 5.10並びに表 5.12 のその他 VOC と成分不明 VOC を加えた値であ

る。なお、平成 16 年度は総 VOC 排出量の集計はなされているが、成分別 VOC について

は未集計の業界団体があるので(全国鍍金工業組合連合会、(社)日本自動車部品工業会、(社)

日本溶融亜鉛鍍金協会、日本プラスチック工業連盟)解析対象外とした。

ここで、全排出量に対して排出割合が 1%以下の化学成分をその他 VOC として集計しな

おしたものが、表 5.14並びに図 5.1 である。平成 12 年度と 17 年度を比べると、企業の削

減努力によりほとんどの物質の絶対量は減少しているが、全排出量に占める排出割合をみる

と、PRTR 法対象物質であるトルエン、ジクロロメタンの排出割合は 12 年度に比べて 17

年度は減少しているが、PRTR 法対象外物質である酢酸エチル、イソプロピルアルコール

や炭化水素類の排出割合は増加している。

Page 90: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

82

表5.1

0(1

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

12年度

)

(トン

/年)

物質名

炭化水素類

トルエン

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

ジクロロメタン

メタノール

アセトン

キシレン

N-へキサン

シクロヘキサン

クロロメタン

N,N

-ジメチルホルムアミド

業界団体名

PR

TR番号

ターペン含む

227

145

63

96

172

1

(社)日

本ガス

協会

87

2

(社)日

本染色

協会

1,6

62

2,6

48

165

1,4

46

352

239

1,1

04

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼

連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料

工業会

952

169

95

81

433

7

(社)日

本自動

車部品工

業会

6,8

21

683

1,7

19

652

3,0

57

1,7

64

1,3

74

2,7

90

64

79

8

(社)日

本自動

車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸銅協会

318

100

17

11 全国鍍金工業組合連合会

392

12

(社)日

本電線工業会

156

44

236

43

68

175

460

73

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

47

54

14

(社)日

本アルミニウム

協会

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

4,4

19

771

2,2

56

16 天然ガス鉱業会

2

,603

17 石油連盟

61

,426

18

(社)日

本化学工業協会

7,1

65

6,5

84

1,8

11

4,4

11

5,5

30

11,0

98

6,9

78

1,9

22

7,6

28

4,1

17

3,3

71

2,0

41

19

(社)日

本印刷産業連合

2,4

20

36,8

60

20,2

20

15,9

60

18,7

20

20 ドラム缶工業会

21 軽金属製品協会

215

129

22 日本プラスチック工業連盟

9,4

61

22,0

19

4,8

87

1,0

02

3,3

28

837

23

(社)日

本オフィス家具

協会

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

1

25

(社)日

本自動車車体工

業会

26 日本接着剤工業会

37

179

110

45

104

41

24

45

14

27 日本繊維染色連合会

(トン

/年)

7

5,4

00

68,6

60

45,1

77

28,6

07

21,0

44

13,2

21

13,0

34

8,5

68

8,3

24

7,7

37

4,2

10

3,3

71

4,0

55

注1) 日本染色協会自主行動計画報告よりターベンをその他から炭化水素類に移動

注2) 日本自動車部品工業会自主行動計画報告よりデカン、ブタノール、エタノール、プロピレンアルコールモノメチルエーテル、

N-ヘ

プタン、

N-プ

ロピル

ブロマイド、メチルへキサンを追加

注3) 日本溶融亜鉛鍍金協会自主行動計画報告よりトルエン、キシレンの値を修正

注4) 日本化学工業協会自主行動計画報告より

HC

FC

-22、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリルを追加

注5) 日本接着剤工業会自主行動計画報告よりゴム揮発油をその他から炭化水素類に移動

注6) 日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、日本接着剤工業会の合計値は産業構造審議会における報告値と異なる

(修正

)

注7) 日本鉄鋼連盟は成分別

VO

Cは公表していないが

PR

TR対象、

PR

TR非対象物質別に表示しているので、そのように区分した

注8) その他

VO

Cとは成分別

VO

C報告業界団体のうち成分を明示していない

VO

Cを示す

注9) 成分不明

VO

Cとは物質名を記載していない業界団体の

VO

C報告値を示す

注10) 化学成分不明

VO

Cとはその他

VO

Cと成分不明

VO

Cを加えたものである。

Page 91: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

83

表5.1

0(2

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

12年度

)

(トン

/年)

二硫化炭素

HC

FC

-142b酢酸ビニル

ベンゼン

トリクロロエチレン

スチレン

HC

FC

-22エチルベンゼン

プロピルアルコール

1,3

,5-ト

リメチル

ベンゼン

1,2

-ジクロロエタン

クロロエチレン

テトラフルオロエチレン

イソプロピル

ベンゼン

番 号

業界団体名

241

84

102

299

211

177

85

40

224

116

77

203

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

45

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

244

7

(社)日

本自動車部品工

業会

546

103

637

61

8

(社)日

本自動車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸銅協会

1

11 全国鍍金工業組

合連合会

964

12

(社)日

本電線工業会

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

14

(社)日

本アルミニウム

協会

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

449

16 天然ガス鉱業会

17 石油連盟

18

(社)日

本化学工業協会

2

,073

1

,879

1,6

09

1,5

61

1,3

50

1,3

42

1,3

34

1,1

99

1,1

57

1,0

72

1,0

00

897

19

(社)日

本印刷産業連合

20 ドラム缶工業会

21 軽金属製品協会

5

22 日本プラスチッ

ク工業連盟

23

(社)日

本オフィス家具

協会

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

25

(社)日

本自動車車体工

業会

26 日本接着剤工業

27 日本繊維染色連

合会

(トン

/年)

2,0

73

1

,879

1,6

09

1,5

61

1,5

10

1,4

53

1,3

42

1,3

35

1,3

34

1,3

06

1,1

57

1,0

72

1,0

00

897

Page 92: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

84

表5.1

0(3

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

12年度

)

(ト

ン/年

)

クロロエタン

アクリロニトリル

メチルイソ

ブチルケトン

ブチル

セロソルブ

クレゾール

酢酸ブチル

イソブタノール

デカン

テトラクロロ

エチレン

フェノール

ホルムアルデヒド

エチレングリコール

モノエチルエーテル

アセテート

エチレングリコール

モノメチルエーテル

N-メ

チル

-2-

ピロリドン

業界団体名

74

7

67

200

266

310

101

45

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

185

58

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

78

7

(社)日

本自動車部品工

業会

446

146

269

192

127

124

79

76

74

8

(社)日

本自動車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸銅協会

11 全国鍍金工業組合連合会

12

(社)日

本電線工業会

269

107

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

14

(社)日

本アルミニウム

協会

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

106

16 天然ガス鉱業会

17 石油連盟

18

(社)日

本化学工業協会

826

735

19

(社)日

本印刷産業連合

20 ドラム缶工業会

21 軽金属製品協会

22 日本プラスチック工業連盟

23

(社)日

本オフィス家具

協会

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

25

(社)日

本自動車車体工

業会

26 日本接着剤工業会

27 日本繊維染色連合会

0.1

(t/年

) 826

735

524

331

269

269

250

127

124

107

106

79

76

74

Page 93: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

85

表5.1

0(4

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

12年度

)

(ト

ン/年

)

ブタノール

エタノール

プロピレンアルコール

モノメチルエーテル

N-ヘ

プタン

N-プ

ロピルブロマイド

メチルシクロヘキサン

その他

VO

CP

RT

R対象計

PR

TR非対象

計炭化水素類

その他

VO

C成分不明

VO

C合計

業界団体名

1

(社)日

本ガス協会

87

87

2

(社)日

本染色協会

72

4,0

36

2,2

06

1,6

62

72

7,9

76

3

日本製紙連合会

9,6

44

9,6

44

4

(社)日

本鉄鋼連盟

4,9

65

1,3

81

6,3

46

5

電気・電子

4団体

24,9

84

24,9

84

6

(社)日

本塗料工業会

65

1,8

30

1,6

29

488

1,8

30

3,9

47

7

(社)日

本自動車部品工

業会

82

64

64

42

37

25

454

14,2

94

7,9

03

454

22,6

51

8

(社)日

本自動車工業会

52,9

91

52,9

91

9

線材製品協会

1,2

90

1,2

90

10 日本伸銅協会

436

0436

11 全国鍍金工業組合連合会

1,3

56

01

,356

12

(社)日

本電線工業会

184

1,1

08

523

184

1,8

15

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

101

0101

14

(社)日

本アルミニウム

協会

1,9

00

1,9

00

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

24

8,0

01

024

8,0

25

16 天然ガス鉱業会

2,6

03

2,6

03

17 石油連盟

61,4

26

61,4

26

18

(社)日

本化学工業協会

8,8

40

35,2

51

38,2

74

7,1

65

8,8

40

89,5

30

19

(社)日

本印刷産業連合

21,3

20

36,8

60

54,9

00

2,4

20

21,3

20

115,5

00

20 ドラム缶工業会

1,7

63

1,7

63

21 軽金属製品協会

349

0349

22 日本プラスチック工業連盟

4,7

06

13,6

26

27,9

08

4,7

06

46,2

40

23

(社)日

本オフィス家具

協会

2,8

24

2,8

24

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

01

1

25

(社)日

本自動車車体工

業会

20,3

00

20,3

00

26 日本接着剤工業会

203

359

37

0599

27 日本繊維染色連合会

0.1

00

.1

(トン

/年)

147

64

64

42

37

25

37,4

30

122,2

15

133,9

43

75,4

00

37,4

30

115,6

96

484,6

84

注1) その他

VO

Cとは、成分別

VO

Cを公表している団体で、物質ごとの排出量のほかに、複数の物質の排出量を一括して集計したものである

注2)

成分不明

VO

Cは、成分別

VO

C排出量を公表していない業界団体の全

VO

C排出量である

Page 94: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

86

表5.1

1(1

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

16年度

)

(トン

/年)

物質名

炭化水素類

トルエン

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

ジクロロメタン

メタノール

アセ

トン

キシレン

N-へキサン

シクロヘキサン

クロロメタン

N,N

-ジメチルホルムアミド

業界団体名

PR

TR番号

ターペン含む

227

145

63

96

172

1

(社)日

本ガス協会

31

2

(社)日

本染色協会

1,0

51

2,0

61

148

1,3

66

334

131

941

3 日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5 電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

552

137

72

71

392

7

(社)日

本自動車部品工

業会

8

(社)日

本自動車工業会

9 線材製品協会

10 日

本伸銅協会

183

5

10

11 全

国鍍金工業組合連合会

12 (社

)日本電線工業会

88

41

200

5

53

121

332

63

13 (社

)日本溶融亜鉛鍍金

協会

14 (社

)日本アルミニウム

協会

15 (社

)日本建材・住宅設

備産業協会

3,5

72

269

1,7

84

16 天

然ガス鉱業会

1,5

87

17 石

油連盟

56

,281

18 (社

)日本化学工業協会

7,1

65

4,0

94

1,2

42

1,6

47

2,2

56

6,9

65

5,4

92

877

7,2

51

3,0

01

1,5

76

243

19 (社

)日本印刷産業連合

2

,700

22,7

50

22,1

90

12,3

30

15,9

30

20 ド

ラム缶工業会

21 軽

金属製品協会

210

127

22 日

本プラスチック工業連盟

23 (社

)日本オフィス家具

協会

24 (社

)日本表面処理機材

工業会

25 (社

)日本自動車車体工

業会

26 日

本接着剤工業会

16

111

107

36

95

39

20

28

29

27 日

本繊維染色連合会

(トン

/年)

6

8,8

31

33,6

21

23,8

24

15,4

92

16,5

35

2,5

35

7,1

13

5,6

52

3,6

73

7,2

79

3,0

30

1,5

76

1,2

47

注1) 日本染色協会自主行動計画報告よりターベンをその他から炭化水素類に移動

注2) 日本化学工業協会自主行動計画報告より

HC

FC

-22、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリルを追加

注3) 日本接着剤工業会自主行動計画報告よりゴム揮発油をその他から炭化水素類に移動

注4) 日本鉄鋼連盟、日本伸銅協会、日本化学工業協会、日本接着剤工業会の合計値は産業構造審議会における報告値と異なる

(修正

)

注5) 全国鍍金工業組合連合会、日本溶融亜鉛鍍金協会、日本プラスチック工業連盟、日本オフィス家具協会、日本表面処理機材工業会、

(社)日

本自動車車

体工業会の値は平成

12年度の排出量を用いている

注6) 日本鉄鋼連盟は成分別

VO

Cは公表していないが

PR

TR対象、

PR

TR非対象物質別に表示しているので、そのように区分した

注7) その他

VO

Cとは成分別

VO

C報告業界団体のうち成分を明示していない

VO

Cを示す

注8) 成分不明

VO

Cとは物質名を記載していない業界団体の

VO

C報告値を示す

注9) 化学成分不明

VO

Cとはその他

VO

Cと成分不明

VO

Cを加えたものである。

Page 95: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

87

表5.1

1(2

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

16年度

)

(ト

ン/年

)

二硫化炭素

HC

FC

-142b酢酸ビニル

ベンゼン

トリクロロエチレン

スチレン

HC

FC

-22エチルベンゼン

プロピルアルコール

1,3

,5-ト

リメチル

ベンゼン

1,2

-ジクロロエタン

クロロエチレン

テトラフルオロエチレン

イソプロピル

ベンゼン

番 号

業界団体名

241

84

102

299

211

177

85

40

224

116

77

203

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

42

3 日本製紙連合

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5 電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

225

7

(社)日

本自動車部品工

業会

8

(社)日

本自動車工業会

9 線材製品協会

10 日

本伸銅協会

11

11 全

国鍍金工業組合連合会

12 (社

)日本電線工業会

13 (社

)日本溶融亜鉛鍍金

協会

14 (社

)日本アルミニウム

協会

15 (社

)日本建材・住宅設

備産業協会

519

16 天

然ガス鉱業会

17 石

油連盟

18 (社

)日本化学工業協会

1,0

30

164

1,0

06

450

732

472

1,2

82

229

224

338

493

167

19 (社

)日本印刷産業連合

20 ド

ラム缶工業会

21 軽

金属製品協会

5

22 日

本プラスチック工業連盟

23 (社

)日本オフィス家具

協会

24 (社

)日本表面処理機材

工業会

25 (社

)日本自動車車体工

業会

26 日

本接着剤工業会

27 日

本繊維染色連合会

(トン

/年)

1,0

30

164

1,0

06

451

0732

472

749

1,2

82

272

224

338

493

167

Page 96: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

88

表5.1

1(3

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

16年度

)

(トン

/年)

クロロエタン

アクリロニトリル

メチルイソ

ブチルケトン

ブチル

セロソルブ

クレゾール

酢酸ブチル

イソブタノール

デカン

テトラクロロ

エチレン

フェノール

ホルムアルデヒド

エチレングリコール

モノエチルエーテル

アセテート

エチレングリコール

モノメチルエーテル

N-メ

チル

-2-

ピロリドン

番号

業界団体名

74

7

67

200

266

310

101

45

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

233

118

3 日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5 電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

68

7

(社)日

本自動車部品工

業会

8

(社)日

本自動車工業会

9 線材製品協会

10 日本伸銅

協会

11 全国鍍金

工業組合連合会

12 (社

)日本電線工業会

84

57

13 (社

)日本溶融亜鉛鍍金

協会

14 (社

)日本アルミニウム

協会

15 (社

)日本建材・住宅設

備産業協会

75

16 天然ガス

鉱業会

17 石油連盟

18 (社

)日本化学工業協会

254

342

19 (社

)日本印刷産業連合

20 ドラム缶

工業会

21 軽金属製

品協会

22 日本プラ

スチック工業連盟

23 (社

)日本オフィス家具

協会

24 (社

)日本表面処理機材

工業会

25 (社

)日本自動車車体工

業会

26 日本接着

剤工業会

27 日本繊維

染色連合会

0.0

3

(トン

/年)

254

342

68

233

84

0118

057

75

00

0

Page 97: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

89

表5.1

1(4

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

16年度

)

(トン

/年)

ブタノール

エタノール

プロピレンアルコール

モノメチルエーテル

N-ヘ

プタン

N-プ

ロピルブロマイド

メチルシクロヘキサン

その他

VO

C

番号

業界団体名

PR

TR対象計

PR

TR非対象

計炭化水素類

その他

VO

C成分不明

VO

C合計

1

(社)日

本ガス協会

31

31

2

(社)日

本染色協会

87

3,1

75

2,1

99

1,0

51

87

6,5

12

3 日本製紙連合会

3,8

21

3,8

21

4

(社)日

本鉄鋼連盟

3,1

71

1,2

47

4,4

18

5 電気・電子

4団体

17,2

26

17,2

26

6

(社)日

本塗料工業会

71

1,3

66

1,1

69

419

1,3

66

2,9

54

7

(社)日

本自動車部品工

業会

14,9

34

14,9

34

8

(社)日

本自動車工業会

43,7

86

43,7

86

9 線材製品協会

1,0

40

1,0

40

10 日

本伸銅協会

200

0200

11 全

国鍍金工業組合連合会

1,3

56

1,3

56

12 (社

)日本電線工業会

124

629

415

124

1,1

68

13 (社

)日本溶融亜鉛鍍金

協会

101

101

14 (社

)日本アルミニウム

協会

704

704

15 (社

)日本建材・住宅設

備産業協会

36

6,2

19

036

6,2

55

16 天

然ガス鉱業会

1,5

87

1,5

87

17 石

油連盟

56,2

81

56,2

81

18 (社

)日本化学工業協会

5,6

97

14,7

80

27,0

47

7,1

65

5,6

97

54,6

89

19 (社

)日本印刷産業連合

13,2

00

22,7

50

50,4

50

2,7

00

13,2

00

89,1

00

20 ド

ラム缶工業会

1,9

66

1,9

66

21 軽

金属製品協会

342

0342

22 日

本プラスチック工業連盟

00

046,2

39

46,2

39

23 (社

)日本オフィス家具

協会

2,8

24

2,8

24

24 (社

)日本表面処理機材

工業会

11

25 (社

)日本自動車車体工

業会

20,3

00

20,3

00

26 日

本接着剤工業会

131

334

16

0481

27 日

本繊維染色連合会

0.0

30

0.0

3

(トン

/年)

71

20,5

10

52,5

66

82,1

11

68,8

31

20,5

10

154,2

98

378,3

16

注1) その他

VO

Cとは、成分別

VO

Cを公表している団体で、物質ごとの排出量のほかに、複数の物質の排出量を一括して集計したものである

注2) 成分不明

VO

Cは、成分別

VO

C排出量を公表していない業界団体の全

VO

C排出量である

Page 98: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

90

表5.1

2(1

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

17年度

)

(ト

ン/年

)

物質名

炭化水素類

トルエン

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

ジクロロメタン

メタノール

アセトン

キシレン

N-へキサン

シクロヘキサン

クロロメタン

N,N

-ジメチルホルムアミド

番 号

業界団体名

PR

TR番号

ターペン含む

227

145

63

96

172

1

(社)日

本ガス協会

27

2

(社)日

本染色協会

1,1

00

2,0

36

149

1,4

16

363

137

944

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

585

152

123

87

371

7

(社)日

本自動車部品工

業会

5,4

85

938

1,7

04

618

1,2

87

1,5

40

293

2,7

95

49

128

8

(社)日

本自動車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸銅協会

186

24

11 全国鍍金工業組合連合会

280

12

(社)日

本電線工業会

68

45

376

246

111

152

40

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

42

57

14

(社)日

本アルミニウム

協会

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

3,6

45

240

1,5

28

16 天然ガス鉱業会

1,6

65

17 石油連盟

55

,921

18

(社)日

本化学工業協会

6,1

46

3,5

48

1,2

36

1,4

94

3,0

26

6,7

40

5,0

36

768

6,7

54

2,7

15

576

191

19

(社)日

本印刷産業連合

2

,890

19,9

00

18,9

80

11,8

30

15,0

00

20 ドラム缶工業会

21 軽金属製品協会

180

123

22 日本プラスチック工業連盟

7,4

37

17,1

33

3,4

16

732

2,1

62

1,0

42

23

(社)日

本オフィス家具

協会

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

1

25

(社)日

本自動車車体工

業会

26 日本接着剤工業会

14

107

109

36

88

38

21

27

30

27 日本繊維染色連合会

(トン

/年)

6

7,7

63

43,2

19

38,6

97

20,0

64

17,1

77

6,9

99

8,4

14

5,4

78

5,9

56

6,8

30

2,8

73

576

2,2

17

注1) 日本染色協会自主行動計画報告よりターベンをその他から炭化水素類に移動

注2) 日本自動車部品工業会自主行動計画報告よりデカン、ブタノール、エタノール、プロピレンアルコールモノメチルエーテル、

N-ヘ

プタン、

N-プ

ロピル

ブロマイド、メチルへキサンを追加

注3) 日本化学工業協会自主行動計画報告より

HC

FC

-22、テトラフルオロエチレン、アクリロニトリルを追加

注4) 日本接着剤工業会自主行動計画報告よりゴム揮発油をその他から炭化水素類に移動

注5) 日本鉄鋼連盟、日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟の合計値は産業構造審議会における報告値と異なる

(修正

)

注6) 日本鉄鋼連盟は成分別

VO

Cは公表していないが

PR

TR対象、

PR

TR非対象物質別に表示しているので、そのように区分した

注7) その他

VO

Cとは成分別

VO

C報告業界団体のうち成分を明示していない

VO

Cを示す

注8) 成分不明

VO

Cとは物質名を記載していない業界団体の

VO

C報告値を示す

注9) 化学成分不明

VO

Cとはその他

VO

Cと成分不明

VO

Cを加えたものである。

Page 99: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

91

表5.1

2(2

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

17年度

)

(ト

ン/年

)

二硫化炭素

HC

FC

-142b酢酸ビニル

ベンゼン

トリクロロエチレン

スチレン

HC

FC

-22エチルベンゼン

プロピルアルコール

1,3

,5-ト

リメチル

ベンゼン

1,2

-ジクロロエタン

クロロエチレン

テトラフルオロエチレン

イソプロピル

ベンゼン

番 号

業界団体名

241

84

102

299

211

177

85

40

224

116

77

203

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

42

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

172

7

(社)日

本自動車部品工

業会

133

108

825

81

8

(社)日

本自動車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸銅協会

1

11 全国鍍金工業組合連合会

712

12

(社)日

本電

線工業会

13

(社)日

本溶

融亜鉛鍍金

協会

14

(社)日

本ア

ルミニウム

協会

15

(社)日

本建

材・住宅設

備産業協会

524

16 天然ガス鉱業会

17 石油連盟

18

(社)日

本化

学工業協会

2,8

83

31

1,0

34

323

656

355

1,1

24

192

334

204

208

237

19

(社)日

本印

刷産業連合

20 ドラム缶工業会

21 軽金属製品協会

9

22 日本プラスチック工業連盟

23

(社)日

本オ

フィス家具

協会

24

(社)日

本表

面処理機材

工業会

25

(社)日

本自

動車車体工

業会

26 日本接着剤工業会

27 日本繊維染色連合会

(t/年

) 2,8

83

31

1,0

34

323

845

764

355

1,5

30

1,1

24

316

334

204

208

237

Page 100: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

92

表5.1

2(3

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

17年度

)

(ト

ン/年

)

クロロエタン

アクリロニトリル

メチルイソ

ブチル

ケトン

ブチル

セロソルブ

クレゾール

酢酸ブチル

イソブタノール

デカン

テトラクロロ

エチレン

フェノール

ホルムアルデヒド

エチレングリコール

モノエチルエーテル

アセテート

エチレングリコール

モノメチルエーテル

N-メ

チル

-2-

ピロリドン

番 号

業界団体名

74

7

67

200

266

310

101

45

1

(社)日

本ガス協会

2

(社)日

本染色協会

225

71

3

日本製紙連合会

4

(社)日

本鉄鋼連盟

5

電気・電子

4団体

6

(社)日

本塗料工業会

79

7

(社)日

本自動車部品工

業会

376

174

479

213

101

82

60

80

8

(社)日

本自動車工業会

9

線材製品協会

10 日本伸

銅協会

11 全国鍍

金工業組合連合会

12

(社)日

本電線工業会

71

41

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

14

(社)日

本アルミニウム

協会

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

95

16 天然ガ

ス鉱業会

17 石油連

18

(社)日

本化学工業協会

93

263

19

(社)日

本印刷産業連合

20 ドラム

缶工業会

21 軽金属

製品協会

22 日本プ

ラスチック工業連盟

23

(社)日

本オフィス家具

協会

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

25

(社)日

本自動車車体工

業会

26 日本接

着剤工業会

27 日本繊

維染色連合会

0.1

(トン

/年)

93

263

455

399

71

479

284

101

041

95

82

60

80

Page 101: VOC)の排出実態調査 報告書 - 一般社団法人産業環 … 平成 18 年度経済産業省委託調査報告書 環境負荷物質対策調査(揮発性有機化合物 (VOC)の排出実態調査)

93

表5.1

2(4

) 自主行動計画における成分別

VO

C排出量

(平成

17年度

)

(ト

ン/年

)

ブタノール

エタノール

プロピレンアルコール

モノメチルエーテル

N-ヘ

プタン

N-プ

ロピルブロマイド

メチルシクロヘキサン

その他

VO

C番

業界団体名

PR

TR対象計

PR

TR非対象

計炭化水素類

その他

VO

C成分不明

VO

C合計

1

(社)日

本ガス協会

27

27

2

(社)日

本染色協会

93

3,1

59

2,2

24

1,1

00

93

6,5

76

3

日本製紙連合会

3,8

80

3,8

80

4

(社)日

本鉄鋼連盟

2,8

99

1,2

39

4,1

38

5

電気・電子

4団体

19,6

22

19,6

22

6

(社)日

本塗料工業会

70

1,4

22

1,1

28

511

1,4

22

3,0

61

7

(社)日

本自動車部品工

業会

139

61

66

63

303

166

509

10,8

56

7,4

91

509

18,8

56

8

(社)日

本自動車工業会

41,5

37

41,5

37

9

線材製品協会

894

894

10 日本伸銅協会

193

0193

11 全国鍍金工業組合連合会

992

0992

12

(社)日

本電線工業会

197

374

578

197

1,1

49

13

(社)日

本溶融亜鉛鍍金

協会

99

099

14

(社)日

本アルミニウム

協会

569

569

15

(社)日

本建材・住宅設

備産業協会

27

6,0

32

027

6,0

59

16 天然ガス鉱業会

1,6

65

1,6

65

17 石油連盟

55,9

21

55,9

21

18

(社)日

本化学工業協会

5,0

53

14,6

85

25,3

36

6,1

46

5,0

53

51,2

20

19

(社)日

本印刷産業連合

8,0

00

19,9

00

45,8

10

2,8

90

8,0

00

76,6

00

20 ドラム缶工業会

1,6

34

1,6

34

21 軽金属製品協会

312

0312

22 日本プラスチック工業連盟

4,2

13

10,6

41

21,2

81

4,2

13

36,1

35

23

(社)日

本オフィス家具

協会

2,1

81

2,1

81

24

(社)日

本表面処理機材

工業会

01

1

25

(社)日

本自動車車体工

業会

19,0

60

19,0

60

26 日本接着剤工業会

128

328

14

470

27 日本繊維染色連合会

0.1

00

.1

(トン

/年)

209

61

66

63

303

166

19,5

14

71,3

98

104,7

99

67,7

63

19,5

14

89,3

77

352,8

51

注1) その他

VO

Cとは、成分別

VO

Cを公表している団体で、物質ごとの排出量のほかに、複数の物質の排出量を一括して集計したものである

注2) 成分不明

VO

Cは、成分別

VO

C排出量を公表していない業界団体の全

VO

C排出量である

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94

表 5.13 化学成分別 VOC 排出量(トン/年) 平成 12 年 平成 17 年

物質名 排出量(t/年)排出割合(%)排出量(t/年)排出割合(%)

★トルエン 68,660 14.2 43,219 12.2

★ジクロロメタン 13,221 2.7 6,999 2.0

★キシレン 8,324 1.7 5,956 1.7

★クロロメタン 3,371 0.7 576 0.2

★N,N-ジメチルホルムアミド 4,055 0.8 2,217 0.6

★二硫化炭素 2,073 0.4 2,883 0.8

★HCFC-142b 1,879 0.4 31 0.01

★酢酸ビニル 1,609 0.3 1,034 0.3

★ベンゼン 1,561 0.3 323 0.1

★トリクロロエチレン 1,510 0.3 845 0.2

★スチレン 1,453 0.3 764 0.2

★HCFC-22 1,342 0.3 355 0.1

★エチルベンゼン 1,335 0.3 1,530 0.4

★1,3,5-トリメチルベンゼン 1,306 0.3 316 0.1

★1,2-ジクロロエタン 1,157 0.2 334 0.1

★クロロエチレン 1,072 0.2 204 0.1

★テトラフルオロエチレン 1,000 0.2 208 0.1

★クロロエタン 826 0.2 93 0.03

★アクリロニトリル 735 0.2 263 0.1

★クレゾール 269 0.1 71 0.02

★テトラクロロエチレン 124 0.03 0 0

★フェノール 107 0.02 41 0.01

★ホルムアルデヒド 106 0.02 95 0.03

★エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート 79 0.02 82 0.02

★エチレングリコールモノメチルエーテル 76 0.02 60 0.02

★PRTR 法対象物質(成分名不明) 4,965 1.02 2,899 0.82

炭化水素類 75,400 15.6 67,763 19.2

酢酸エチル 45,177 9.3 38,697 11.0

メチルエチルケトン 28,607 5.9 20,064 5.7

イソプロピルアルコール 21,044 4.3 17,177 4.9

メタノール 13,034 2.7 8,414 2.4

アセトン 8,568 1.8 5,478 1.6

N-へキサン 7,737 1.6 6,830 1.9

シクロヘキサン 4,210 0.9 2,873 0.8

プロピルアルコール 1,334 0.3 1,124 0.3

イソプロピルベンゼン 897 0.2 237 0.1

メチルイソブチルケトン 524 0.1 455 0.1

ブチルセロソルブ 331 0.1 399 0.1

酢酸ブチル 269 0.1 479 0.1

イソブタノール 250 0.1 284 0.1

デカン 127 0.03 101 0.03

N-メチル-2-ピロリドン 74 0.02 80 0.02

ブタノール 147 0.03 209 0.1

エタノール 64 0.01 61 0.02

プロピレンアルコールモノメチルエーテル 64 0.01 66 0.02

N-ヘプタン 42 0.01 63 0.02

N-プロピルブロマイド 37 0.01 303 0.1

メチルシクロヘキサン 25 0.01 166 0.05

PRTR 法対象外物質(成分名不明) 1,381 0.3 1,239 0.4

化学成分不明 VOC 153,126 31.6 108,891 30.9

計 484,684 100.0 352,851 100.0

★:PRTR 法対象物質

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95

表 5.14 主要化学成分別 VOC 排出割合(%)

物質名 平成 12 年度 平成 17 年度

★トルエン 14.2 12.2

★ジクロロメタン 2.7 2.0

★キシレン 1.7 1.7

炭化水素類 15.6 19.2

酢酸エチル 9.3 11.0

メチルエチルケトン 5.9 5.7

イソプロピルアルコール 4.3 4.9

メタノール 2.7 2.4

アセトン 1.8 1.6

N-へキサン 1.6 1.9

その他 VOC 7.3 5.4

化学成分不明 VOC 32.9 32.0

計 100.0 100.0

注) その他 VOC:表 5.13 において全排出量に対して排出割合が 1%

以下の化学成分をその他 VOC として集計し直したもの

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

★トルエン

★ジクロロメタン

★キシレン

炭化水素類

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

メタノール

アセトン

N-へキサン

その他VOC

化学成分不明VOC

%

平成12年度

平成17年度

図 5.1 主要化学成分別 VOC 排出割合(%)

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96

(2) PRTR 法対象、非対象物質別 VOC 排出量

表 5.10~5.12 に示した自主行動計画における成分別 VOC 排出量を PRTR 法対象物質、

非対象物質別に集計しなおした結果を表 5.15、図 5.2 に示す。VOC 排出量の絶対値は年々

低下しているので、年度ごとの全 VOC 排出量に対する比率を調べたものが表 5.16、図 5.3

である。

平成 16 年度については、総 VOC 排出量の集計はなされているが、成分別 VOC について

は未集計の業界団体があるので、平成 12 年度と 17 年度を比較すると、PRTR 法対象物質

の排出は減少しており、PRTR 法非対象物質、炭化水素類の排出は増加している。

表 5.15 PRTR 法対象、非対象物質別 VOC 排出量(トン/年)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

PRTR 法対象物質 122,215 52,566 71,398

PRTR 非対象物質 133,943 82,111 104,799

炭化水素類 75,400 68,831 67,763

化学成分不明物質 153,126 174,808 108,891

計 484,684 378,316 352,851

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

PRTR法対象物質

PRTR法対象外物質

炭化水素類

化学成分不明物質 計

t/年

12年度

16年度

17年度

図 5.2 PRTR 法対象、非対象物質別 VOC 排出量 (トン/年)

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97

表 5.16 PRTR 法対象、非対象物質別 VOC 排出割合(%)

平成 12 年度 平成 16 年度 平成 17 年度

PRTR 法対象物質 25.2 13.9 20.2

PRTR 対象外物質 27.6 21.7 29.7

炭化水素類 15.6 18.2 19.2

化学成分不明物質 31.6 46.2 30.9

計 100.0 100.0 100.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

PRTR法対象物質

PRTR法対象外物質

炭化水素類

化学成分不明物質

12年度

16年度

17年度

図 5.3 PRTR 法対象、非対象物質別排出割合 (%)

(3) VOC 含有製品ユーザーにおける VOC 成分別排出量

自主行動計画における成分別 VOC 排出量は、(社)日本染色協会、(社)日本塗料工業会、(社)

日本自動車部品工業会、日本伸銅協会、全国鍍金工業組合連合会、(社)日本電線工業会、(社)

日本溶融亜鉛鍍金協会、(社)日本建材・住宅設備産業協会、(社)日本化学工業協会、(社)日本

印刷産業連合会、軽金属協会、日本プラスチック工業連盟、日本接着剤工業会より報告され

ている。ここでは、これら業界団体のうち VOC 含有製品ユーザー業界団体における VOC

成分別排出量について記載する。

化学物質製造並びに VOC 含有製品製造業界団体である(社)日本化学工業協会、(社)日本塗

料工業会並びに日本接着剤工業会における成分別VOC大気排出量については別に記載する。

VOC 含有製品ユーザーによる年度別 VOC 成分別排出量を表 5.17 に示す。また、排出割

合の少ない化学成分をその他 VOC として集計したものを表 5.18、図 5.4 に示す。

PRTR 法対象物質であるトルエン、ジクロロメタンの排出割合は平成 12 年度に比べて 17

年度は減少しており、PRTR 法非対象物質である酢酸エチル、メチルエチルケトン、イソ

プロピルアルコールと炭化水素類の排出割合は増加している。

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98

表 5.17 VOC 含有製品ユーザーによる VOC 成分別排出量(トン/年) 平成 12 年度 平成 17 年度

排出量 排出割合(%) 排出量 排出割合(%)

★トルエン 60,945 29.8 38,979 26.5

★ジクロロメタン 7,691 3.8 3,973 2.7

★キシレン 5,945 2.9 4,796 3.3

★N,N-ジメチルホルムアミド 2,014 1.0 2,026 1.4

★トリクロロエチレン 1,510 0.7 845 0.6

★スチレン 103 0.1 108 0.1

★エチルベンゼン 1,091 0.5 1,358 0.9

★1,3,5-トリメチルベンゼン 107 0.1 124 0.1

★クレゾール 269 0.1 71 0.05

★テトラクロロエチレン 124 0.1 0 0

★フェノール 107 0.1 41 0.03

★ホルムアルデヒド 106 0.1 95 0.1

★エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート 79 0.04 82 0.1

★エチレングリコールモノメチルエーテル 76 0.04 60 0.04

炭化水素類 4,082 2.0 3,990 2.7

酢酸エチル 43,087 21.1 37,200 25.3

メチルエチルケトン 24,056 11.8 18,411 12.5

イソプロピルアルコール 20,962 10.3 17,089 11.6

メタノール 1,832 0.9 1,586 1.1

アセトン 1,549 0.8 404 0.3

N-へキサン 64 0.0 49 0.0

シクロヘキサン 79 0.04 128 0.1

メチルイソブチルケトン 446 0.2 376 0.3

ブチルセロソルブ 331 0.2 399 0.3

酢酸ブチル 269 0.1 479 0.3

イソブタノール 250 0.1 284 0.2

デカン 127 0.1 101 0.1

N-メチル-2-ピロリドン 74 0.04 80 0.1

ブタノール 82 0.0 139 0.1

エタノール 64 0.03 61 0.04

プロピレンアルコールモノメチルエーテル 64 0.03 66 0.04

N-ヘプタン 42 0.02 63 0.04

N-プロピルブロマイド 37 0.02 303 0.2

メチルシクロヘキサン 25 0.01 166 0.1

化学成分不明 VOC 26,760 13.1 13,039 8.9

計 204,449 100.0 146,971 100.0

★ ;PRTR 法対象物質

集計は下記 10 業界団体

(社)日本染色協会、(社)日本自動車部品工業会、日本伸銅協会、全国鍍金工業組合連合会、(社)日本電線工業会、

(社)日本溶融亜鉛鍍金協会、(社)日本建材・住宅設備産業協会、(社)日本印刷産業連合会、軽金属協会、日本プラ

スチック工業連盟

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99

表 5.18 VOC 含有製品ユーザーによる VOC 主要成分排出割合(%)

平成 12 年度 平成 17 年度

★トルエン 29.8 26.5

★ジクロロメタン 3.8 2.7

★キシレン 2.9 3.3

★N,N-ジメチルホルムアミド 1.0 1.4

★トリクロロエチレン 0.7 0.6

★エチルベンゼン 0.5 0.9

酢酸エチル 21.1 25.3

メチルエチルケトン 11.8 12.5

イソプロピルアルコール 10.3 11.6

メタノール 0.9 1.1

アセトン 0.8 0.3

炭化水素類 2.0 2.7

その他 VOC(PRTR 法対象、PRTR 法非対象成分含む) 1.4 2.2

化学成分不明 VOC 13.1 8.9

計 100 100

★印は PRTR 法対象物質

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

★トルエン

★ジクロロメタン

★キシレン

★N,N-ジメチルホルムアミド

★トリクロロエチレン

★エチルベンゼン

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

メタノール

アセトン

炭化水素類

その他VOC(PRTR法対象、

PRTR法非対象成分含む)

化学成分不明VOC

平成12年度

平成17年度

図 5.4 VOC 含有製品ユーザーによる VOC 主要成分排出割合(%)

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100

(4) 化学物質製造による VOC 排出量

(社)日本化学工業協会が報告している成分別 VOC 排出量を表 5.19 並びに図 5.5 に示す。

平成 12 年度と 17 年度の成分別排出割合を比べると、PRTR 法対象物質ではトルエン、

ジクロロメタン、キシレン、クロロメタンなどは減少している。排出割合が多くなっている

化学成分としては、二硫化炭素、酢酸ビニル、ベンゼンなどが挙げられる。

PRTR 法非対象物質では、N-へキサン、酢酸エチル、メタノール、アセトン、シクロヘ

キサン、プロピルアルコールなどが増加しており、メチルエチルケトン、イソプロピルベン

ゼンの排出割合は減少している。

表 5.19 化学物質製造における成分別 VOC 排出量(トン/年)

平成 12 年度 平成 17 年度

物質名 排出量

排出割合

(%) 排出量

排出割合

(%)

★トルエン 6,584 7.4 3,548 6.9

★ジクロロメタン 5,530 6.2 3,026 5.9

★キシレン 1,922 2.1 768 1.5

★クロロメタン 3,371 3.8 576 1.1

★N,N-ジメチルホルムアミド 2,041 2.3 191 0.4

★二硫化炭素 2,073 2.3 2,883 5.6

★HFC-142b 1,879 2.1 31 0.1

★酢酸ビニル 1,609 1.8 1,034 2.0

★ベンゼン 1,561 1.7 323 0.6

★スチレン 1,350 1.5 656 1.3

★HCFC-22 1,342 1.5 355 0.7

★1,3,5-トリメチルベンゼン 1,199 1.3 192 0.4

★1,2-ジクロロエタン 1,157 1.3 334 0.7

★クロロエチレン 1,072 1.2 204 0.4

★テトラフルオロエチレン 1,000 1.1 208 0.4

★クロロエタン 826 0.9 93 0.2

★アクリロニトリル 735 0.8 263 0.5

炭化水素類 7,165 8.0 6,146 12.0

酢酸エチル 1,811 2.0 1,236 2.4

メチルエチルケトン 4,411 4.9 1,494 2.9

メタノール 11,098 12.4 6,740 13.2

アセトン 6,978 7.8 5,036 9.8

N-へキサン 7,628 8.5 6,754 13.2

シクロヘキサン 4,117 4.6 2,715 5.3

プロピルアルコール 1,334 1.5 1,124 2.2

イソプロピルベンゼン 897 1.0 237 0.5

排出量上位 27 以下の物質 8,840 9.9 5,053 9.9

計 89,530 100.0 51,220 100.0 (社)日本化学工業協会自主行動計画値より作成

★印は PRTR 法対象物質

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101

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0 ★

トルエ

ン★

ジク

ロロ

メタ

ン★

キシ

レン ★

クロ

ロメ

タン

★N,N

-ジメチ

ルホ

ルム

アミド ★

二硫

化炭

素 ★HF

C-1

42b ★

酢酸

ビニ

ル★

ベン

ゼン

★ス

チレ

ン ★HC

FC-2

2

★1,3

,5-ト

リメ

チル

ベン

ゼン

★1,2

-ジク

ロロ

エタ

ン★

クロ

ロエ

チレ

★テ

トラフ

ルオ

ロエ

チレ

ン ★ク

ロロ

エタ

★ア

クリ

ロニ

トリル 炭

化水

素類

酢酸

エチ

メチ

ルエ

チル

ケトン

メタ

ノー

アセ

トン N-

へキ

サン シ

クロ

ヘキ

サン

プロ

ピル

アル

コー

イソ

プロ

ピル

ベン

ゼン 27

以下

の物

%

平成

12年度

平成

17年度

図5.5 化学品製造における成分別

VO

C排出割合

(%)

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102

(5) 塗料製造による VOC 排出量

(社)日本塗料工業会が報告している成分別 VOC 排出量を表 5.20 並びに図 5.6 に示す。

平成 12 年度と 17 年度の成分別排出割合を比べると、PRTR 法対象物質ではトルエンは

減少、キシレン、エチルベンゼンはほぼ横ばいである。PRTR 法非対象物質は年度ごとの

排出割合の大きな変化はみらない。

表 5.20 塗料製造における成分別 VOC 排出量(トン/年)

平成 12 年度 平成 17 年度 物質名

排出量 排出割合(%)排出量 排出割合(%)

★トルエン 952 24 585 19

★キシレン 433 11 371 12

★エチルベンゼン 244 6 172 6

酢酸エチル 169 4 152 5

メチルエチルケトン 95 2 123 4

イソプロピルアルコール 81 2 87 3

メチルイソブチルケトン 78 2 79 3

ブタノール 65 2 70 2

その他 VOC 1,830 46 1,422 46

計 3,947 100 3,061 100

(社)日本塗料工業会自主行動計画値より作成

★印は PRTR 法対象物質

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

★トルエン

★キシレン

★エチルベンゼン

酢酸エチル

メチルエチルケトン

イソプロピルアルコール

メチルイソブチルケトン

ブタノール

その他VOC

平成12年度

平成17年度

図 5.6 塗料製造における成分別 VOC 排出割合(%)

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103

(6) 接着剤製造による VOC 排出量

日本接着剤工業会が報告している成分別 VOC 排出量を表 5.21 並びに図 5.7 に示す。

平成 12 年度と 17 年度の成分別排出割合を比べると、PRTR 法対象物質のトルエンの排

出割合は減少し、PRTR 法非対象物質である酢酸エチル、メタノールの排出割合が増加し

ていることが特徴的である。

表 5.21 接着剤製造における成分別 VOC 排出量(トン/年)

平成 12 年度 平成 17 年度 物質名

排出量 排出割合(%) 排出量 排出割合(%)

★トルエン 179 29.9 107 22.8

★キシレン 24 4.0 21 4.5

炭化水素類 37 6.2 14 3.0

酢酸エチル 110 18.4 109 23.2

メチルエチルケトン 45 7.5 36 7.7

メタノール 104 17.4 88 18.7

アセトン 41 6.8 38 8.1

N-へキサン 45 7.5 27 5.7

シクロヘキサン 14 2.3 30 6.4

計 599 100 470 100

日本接着剤工業会自主行動計画値より作成

★印は PRTR 法対象物質

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

★トル

エン

★キシレン

炭化水素類

酢酸エチル

メチルエチルケトン

メタノール

アセトン

N-へキサン

シクロヘキサン

平成12年度

平成17年度

図 5. 接着剤製造における成分別 VOC 排出割合(%)

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104

(7) 光化学反応性や SPM 生成能からみた VOC 排出量の把握

自主行動計画報告値による成分別 VOC 排出量の実態を解析したが、成分別 VOC 排出量

を報告している業界団体は 27 業界団体のうち 13 団体であった。

VOC 排出の削減は VOC 成分に関係なく一律 30%削減とするのではなく、光化学反応性

が大きい VOC や SPM 生成能の高い VOC を対象に削減することが本来の法の趣旨に照ら

して合理的であるという考えがある。すなわち、オキシダント生成能等による物質ごとの

順位付けのためのリスク評価がいずれ必要となると考えられる。それには、自主行動計画

における更なる成分別 VOC 排出量の報告が必要であり、これは、VOC 製品の代替対策の

妥当性を判断する上で重要なことと考えられる。

ただし自主行動計画は、各業界団体がそれぞれの状況に応じて VOC の実態を把握して、

その特性に合わせた排出抑制を計画的に実施するものであるため、必ずしも成分別の対策

が最適ではない業種のあることを考慮しなければならない。

光化学オキシダントの発生は、炭化水素類など VOC の種類とその濃度、紫外線強度、風

向風速、気温等の要因が影響し、その発生には局地性がみられている。そして、その汚染

予測は、窒素酸化物やVOC等炭化水素類の排出強度とその位置等をインプットデータとし、

移流拡散と化学反応を考慮した数値解拡散モデルが利用されている。このように、光化学

オキシダントの発生予測とその削減対策には、炭化水素等 VOC の排出源位置も重要な項目

になる。ちなみに、自主行動計画で公表されている三大都市圏(関東地域、関西地域、中部

地域)の VOC 排出量をみると表 5.22 にようになる。

表 5.22 地域別 VOC 排出量(トン/年)

全国注1) 関東地域 関西地域 中部地域 年度

排出量 排出量 全国比(%) 排出量 全国比(%) 排出量 全国比(%)

12 年度 201,153 52,934 26 19,349 10 22,892 11

16 年度注 2) 74,898 25,042 33 11,155 15 7,041 9

17 年度 133,221 35,237 26 15,200 11 19,731 15

注 1) 全国排出量は、地域別排出量データがあるものを集計した値

注 2) 16 年度の排出量は、業界団体で把握していない場合は暫定的に平成 12 年度の排出量を使用して集計

ある地点である期間に測定された粒子状物質の化学成分、粒子径、濃度変動などの情報を

基に、その期間にその地点に及ぼす発生源の同定や寄与率を推定する方法が最近の微量分

析技術の進展により可能となり近年注目を集めている(リセプターモデル)。この方法は、気

象条件や地形条件とは無関係に発生源の同定や寄与率の推定が可能なこと、把握されてい

る発生源に関係なく、捕捉しがたい発生源や新しい発生源の同定ができることなどの利点

がある。最近では、VOC に関しても、EPA において大気中の複数の化学成分濃度やその変

動を把握することにより、VOC 発生源の同定や寄与率の推定をリセプターモデルにより行

っている(http://www.epa.gov/scram001/models/receptor/CMB_Protocol.pdf)。

今後このような方法による VOC 発生源の同定などの試みも必要になると思われる。

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105

6. まとめと今後の課題

平成 12 年度、平成 16 年度、平成 17 年度の固定発生源からの排出される VOC 大気排出

量の推計を行った。

推計の方法としては、塗料等 VOC 製品の生産量・出荷量に、VOC 製品中の有機溶剤の

割合と VOC の大気排出率を乗じて推計する方法(上流側からの推計)と、産業構造審議会合

同WG(平成 18 年 12月 13 日開催)での自主行動計画を主とした業界団体ごとの排出量報告

値を基本として生産量や生産金額等による捕捉率で補正して推計する方法(下流側からの推

計)の二通りの方法を組み合わせて行った。どちらの推計方法を用いるかは、発生源ごと

に、その発生源の業種をほぼ網羅している団体があれば「下流側からの推計」の方法を、そ

のような団体がない場合は「上流側からの推計」の方法を用いた。両方の方法が可能な場

合は両方行い、より現状に即している方法による推計値を採用した。

推計に当たって利用したデータは、化学工業統計などの統計値、業界ごとの自主行動計画

報告値(公式には経済産業省を通じた自主的取組に参加していないが業界団体のホームペー

ジで排出量を公表している場合を含む)、業界団体等による出版物や報告書、さらに、日本

接着剤工業会や印刷インキ工業会においては、本調査のために独自に需要先別や組成につ

いての情報をご提供いただいた。また、対策の実態や捕捉率に関しては、経済産業省所轄

外の業種の団体も含めて業界団体へのヒアリングを行い、有用なご助言を得た。

推計結果は、平成 12 年度排出量が約 130万トン、平成 16 年度排出量が約 105万トン、

平成 17 年度排出量が約 101万トンとなった。

固定発生源からの VOC 大気排出量推定における主な課題として、次の項目が挙げられる。

① 炭化水素系工業用洗浄剤使用に伴う VOC 大気排出量

工業用洗浄剤の使用に伴う VOC 大気排出量推計に当たっては、炭化水素系溶剤の国

内販売量を、日本産業洗浄協議会の平成 13 年度報告書「工業洗浄に関する調査報告書」

の“工業洗浄剤の使用分野別販売量”に記載されている値を用いた。しかし、この値

は、回答事業者数を指標としたアンケート回収率 61%での値であり、過大推計を避け

るため回収率を考慮した補正を行っておらず、正確な推計が困難であった。また、平

成 16 年度と 17 年度については、炭化水素系溶剤の販売量の統計値がないため、平成

12 年度の値と同様とみなしており、正確な値の推定がなされていない。

② 洗浄用シンナーの使用に伴う VOC 大気排出量

塗料使用に伴うVOC大気排出量推計では、洗浄用シンナーの使用実態が不明のため、

スプレーガン、刷毛など器具の洗浄に伴う VOC 大気排出量を明らかにすることが出来

なかった。また、接着用機器類や印刷機器類の洗浄に用いられるシンナーの使用実態

も不明であり、大気排出量の推定が困難であった。

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106

以上、何れも炭化水素系洗浄剤使用に伴う VOC 大気排出量推定に問題が生じている。こ

れは、炭化水素系工業用洗浄剤や塗装用洗浄器具の洗浄用シンナーの購入ルートが、①石

油精製業からの直接購入、②商社などを介した購入(代理店経由を含む)、③溶剤販売業者(溶

剤ブレンドメーカー)からの購入、④溶剤リサイクル業者からの購入など非常に複雑である

ため、炭化水素系洗浄剤使用量を正確に把握することが困難なためである。

このため、今後、工業洗浄剤などの使用分野別販売量の正確な値をアンケート調査等によ

り把握することが必要である。そのためには、現場での使用実態の把握、ダブルカウント

が無いような調査など調査手法も含めた詳細な検討が必要であると考えられる。

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107

参考Ⅰ アンケート調査による VOC 自主的取組の状況

(ア) 調査目的

大気汚染防止法に基づく揮発性有機化合物(VOC)の自主的取組への参加状況の概況を調

べるため、多くの業種が会員となっている(社)産業環境管理協会の会員を対象としてアンケ

ート調査を実施した。平成 18 年 4 月における(社)産業環境管理協会の会員企業数は、967

社であるが、コンサルタント業など VOC 排出に関係のない業種を除いた 851 社にアンケー

トを行い、463 社から回答があった(回答率;54.4%)。

調査の主目的は、「VOC 排出削減に努めているが、業界団体に加盟しておらず報告先団体

がないために自主的取組に参加できない企業」、「加盟している団体が自主行動計画に参画

していないので自主的取組に参加できない企業」を把握することである。

(イ) 調査結果

設問ごとの回答結果を次に示す。

(1)業種分類

第 10回改訂版産業分類に基づいた PRTR 対象業種別回答数を付表 1-1 に示す。回答率は

54.4%であり、回答業種は広く分布している。

(2)VOC 製品との関わりの有無

回答企業のうち、「VOC 製品を製造している」、「VOC 製品を使用している」と回答した

企業数は 320 社 (69.1%)であり、かなりの企業が VOC を取り扱っている(付表 1-2 VOC取

り扱い状況参照)。

(3)自主的取組参加団体への所属

自主行動計画取組参加団体への所属状況を付表 1-3 に示す。463 社中 195 社が自主的取組

参加団体に所属している(42.1%)。自主行動計画取組団体以外の団体に所属している団体名

を付表 1-4 に示す。

設問1:貴社の業種についてお伺いします。標準産業分類において、貴社の業種はどれ

に該当しますか?選択肢より最も代表的なものを1つ、お選び下さい。

設問 2:貴社では、VOC 製品※を製造または使用されていますか?該当する番号を回答

欄にお書き下さい。

設問 3:貴社は、自主的取組参加団体(参加予定を含む)の会員企業ですか?選択肢より、

最も代表的な業界団体を 1 つお選び下さい。 選択肢に該当する団体名がない

場合、差し支えない範囲で右欄にご所属団体名をご記入下さい。

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(4)自主的取組への参加の有無

企業の自主的取組への参加の意向を調べた結果を付表 1-5 に示す。

327 社から回答があり(70.6%)、その内訳は、「所属団体の自主的取組に参加している(195

社、59.6%) 」、「今後参加の予定があり現在調査中又は準備中(11 社、3.4%) 」、「今後参加

の予定があるが、まだ準備・調査等はしていない(12 社、3.7%) 」、「自社として排出削減に

取り組んでいるが、報告先となる業界団体がない(34 社、10.4%) 」、「参加できるかどうか

を見極めるために排出実態を調査・検討中(13 社、4.0%) 」、「現在どの団体の自主的取組に

も参加していないがいずれ検討する(26 社、8.0%) 」であり、今後、自主的取組参加に前向

きな意向を持つ企業が多い(既に所属団体の自主的取組に参加している企業を除いた割合は

72.7%)。

(5)VOC 発生源の種類

VOC 発生源の種類を問うた結果を付表 1-6 に示す(複数回答有り)。

VOC 発生源は屋内塗装、屋外塗装、印刷工程、接着剤を使用する工程、工業用洗浄、化

学品の製造、溶剤・燃料等の貯蔵である。

(6)自主的取組へ参加できない理由

自主的取組へ参加できない理由を問うた結果を付表 1-7 に示す(複数回答有り)。

141件の回答があり、その理由の大きいものとして「もともと排出量が少なく、経済的に

可能な対策が取れないから(50 件)」、「PRTR 制度で環境排出量を報告しているので、それ

以上のことは必要ないと思うから(27 件)」、「もう少し状況を見てから判断したい(25 件)」、

「既に十分な排出抑制・管理を行っており、今後さらに上乗せしての削減を図れる余地が

ないから(17件)」が挙げられる。

そのほかの理由として、「どんな対策が可能なのか、判断するための技術情報、コスト情

報がないから(7件)」、「経済性に優れた対策技術が存在しないから(5件)」、「法規制ではない

ので、参加する必要がないと思うから(5件)」、「目標値を立てても、将来未達成になる可能

性があるため約束できない(2件)」、「社内の現状や実績を調査するための費用や事務的労力

設問 4:貴社は、Q3のご所属団体の自主的取組に参加されていますか?または、今後参

加される予定がございますか? 下記の 1~8 よりお選び下さい。

設問 5:VOC を発生する貴社の業態について、該当する欄に○を付けて下さい。(複数回

答可)

設問 6:Q4で 6~8 を選択された方に伺います。自主的取組に参加できない理由は何で

すか?当てはまる項目に○を付けてください。(複数回答可)

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を確保できないから(1件)」、「多数で参加しないと、他社から個別の排出量を類推されてし

まう恐れがあるため(1件)」、「対象物質を絞り込めないので、対応できない(1件)」がある。

(7)(社)産業環境管理協会を通じての自主的取組報告の可能性

今後、(社)産業環境管理協会を通じての自主的取組報告の可能性を問うた結果を付表 1-8

に示す。

50 社から回答があり、その内容は、「報告ルートがなくて困っていたので、是非そういう

仕組みを作って欲しい(5 社) 」、「参加企業数がまとまれば考えたい(4 社) 」、「仕組みが出来

た時点で改めて判断したい(33 社) 」であり、自主的取組への参加の積極性が見られる。

(ウ) 今後の課題

今回の(社)産業環境管理協会の会員企業を対象としたアンケート調査でも「VOC 排出削減

に努めているが、業界団体に加盟しておらず報告先団体がないために自主的取組に参加で

きない企業」、「加盟している団体が自主行動計画に参画していないので自主的取組に参加

できない企業」は回答のあった企業の 11%を占めており、全国的にみるとかなりの企業数

に上ると思われる。このため、現時点で自主行動計画に参加していない業界団体の参加が

望まれるところである。

なお、平成 18 年 12 月に開催された産業構造審議会第 5 回産業環境リスク対策合同ワー

キンググループにおいて、(社)産業環境管理協会は、自主行動計画に未参加の業界団体に属

する企業、中小企業、業界アウトサイダー等の受け皿として十分に貢献できるものと判断

され、VOC 自主行動計画の促進を支援していくこととした自主行動計画の促進支援を行う

こととなった。

設問 7:Q4で、4を選択された方に伺います。もし仮に、当協会が、現在適当な報告先

がないために自主的取組に参加していない企業からの報告を取りまとめる形で

自主的取組に参加するとしたら、貴社はその仕組みを利用されますか?

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110

付表 1-1 PRTR 対象業種別回答数

Q1:標準産業分類 1 金属鉱業 0

2 原油・天然ガス鉱業 1

3 食料品製造業 13

4 飲料・たばこ・飼料製造業 7

5 繊維工業 6

6 衣服・その他の繊維製品製造業 0

7 木材・木製品製造業 5

8 家具・装備品製造業 3

9 パルプ・紙・紙加工品製造業 17

10 出版・印刷・同関連産業 7

11 化学工業 60

12 石油製品・石炭製品製造業 14

13 プラスチック製品製造業 12

14 ゴム製品製造業 7

15 なめし革・同製品・毛皮製造業 0

16 窯業・土石製品製造業 42

17 鉄鋼業 26

18 非鉄金属製造業 10

19 金属製品製造業 18

20 一般機械器具製造業 20

21 電気機械器具製造業 50

22 輸送用機械器具製造業 32

23 精密機械器具製造業 10

24 武器製造業 0

25 その他の製造業 25

26 電気業 19

27 ガス業 10

28 熱供給業 0

29 下水道業 1

30 鉄道業 0

31 倉庫業 0

32 石油卸売業 0

33 鉄スクラップ卸売業 0

34 自動車卸売業 0

35 燃料小売業 0

36 洗濯業 2

37 写真業 0

38 自動車整備業 0

39 機械修理業 0

40 商品検査業 0

41 計量証明業 14

42 一般廃棄物処理業※ 0

43 産業廃棄物処分業※※ 9

44 高等教育機関 0

45 自然科学研究所 0

その他の回答

建設業:6 社

サービス業:1 社

非製造業:1 社

コンサルティング:1 社

農業:1 社

計量証明業、自然科学研究所:1 社

食料品製造業、その他の製造業:1 社

生コン・アスファルト混合物製造・販売:1 社

該当なし:10 社

23

合計 463

付表 1-2 VOC取り扱い状況

Q2 :VOC 製品との関わりの有無

1 VOC 製品を製造している 44

2 VOC 製品を使用している 276

3 VOC 製品とは関わりがない 139

その他の回答

親会社は VOC 製品を製造しているが、子会社は

VOC 製品を使用している:1 社

VOC 製品を製造、使用している:2 社

VOC 製品を使用していたが、現在は未使用:1 社

4

合計 463

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111

付表 1-3 自主行動計画取組団体への所属状況

Q3:自主的取組参加団体への所属

1 日本産業洗浄協議会 0

2 日本接着剤工業会 3

3 ドラム缶工業会 0

4 (社)日本オフィス家具協会 3

5 (社)日本自動車車体工業会 3

6 日本繊維染色連合会 0

7 (社)日本表面処理機材工業会 0

8 (社)プレハブ建築協会 0

9 軽金属工業会 0

10 石油連盟 11

11 線材製品協会 1

12 全国鍍金工業組合連合会 0

13 天然ガス鉱業会 1

14 電機・電子 4 団体※ 48

15 (社)日本アルミニウム協会 7

16 (社)日本ガス協会 8

17 日本プラスチック工業連盟 2

18 (社)日本印刷産業連合会 3

19 (社)日本化学工業協会 35

20 (社)日本建材・住宅設備産業協会 3

21 (社)日本自動車工業会 6

22 (社)日本自動車部品工業会 22

23 日本伸銅協会 0

24 日本製紙連合会 14

25 (社)日本染色協会 1

26 (社)日本鉄鋼連盟 20

27 (社)日本電線工業会 3

28 (社)日本塗料工業会 0

29 (社)日本溶融亜鉛鍍金協会 1

合計 195

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112

付表 1-4 自主行動計画取組団体以外の所属団体名

印刷インキ工業連合会 愛知県産業廃棄物協会

ウレタンフォーム工業会 協同火力発電事業者会

大阪医薬品協会 研削砥石工業会

化繊協会 (社)セメント協会

ガラス産業連合会 (社)全日本文具協会

キッチンバス工業会 (社)日本環境測定分析協会

(社)産業環境管理協会 (社)日本建設機械工業会

(社)電池工業会 (社)日本植物油協会

(社)日本機械土工協会 (社)日本製薬工業協会

日本分析化学会 (社)日本鉄鋼協会

(社)日本電機計測器工業会 (社)表面技術協会

(社)日本農業機械工業会 耐火物協会

炭素協会 電気事業連合会

全国産業廃棄物処理業協会 電子回路基盤組合

全国清涼飲料協同組合連 日本衛星設備機器工業会

全日本コーヒー協会 日本ガラスびん協会

電気事業協会 日本建設機械工業会

電気事業連合会 日本産業廃棄物協会

日本医用光学機器工業会 日本製薬工業協会

日本カーペット工業会 日本農業機械工業会

日本化学繊維協会 日本不織布協会

日本環境測定分析協会 日本粉末冶金工業会

日本機械土木協会 日本工具工業会

日本建設業団体連合会 日本ゴム工業会

日本農業機械工業会 該当する団体なし(但し新会社 26)

日本産業洗浄協議会

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113

付表 1-5 企業の自主的取組への参加の意向

Q4:自主的取組への参加の有無

1 所属団体の自主的取組に参加している 195

2 今後参加の予定があり、現在調査中又は準備中 11

3 今後参加の予定があるが、まだ準備・調査等はしていない 12

4 自社として排出削減に取り組んでいるが、報告先となる業界団体がない 34

5 参加できるかどうかを見極めるために排出実態を調査・検討中 13

6 現在どの団体の自主的取組にも参加していないがいずれ検討する 26

7 参加しにくい障害事項がある 1

8 将来的にも参加する見通しはない 32

その他の回答 3

合計 327

付表 1-6 VOC 発生源の種類

Q5:VOC発生源の種類

1 屋内塗装 48

2 屋外塗装 16

3 印刷 18

4 接着剤を使用する工程 37

5 工業用洗浄 35

6 化学品の製造 25

7 溶剤・燃料等の貯蔵 38

合計 217

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114

付表 1-7 自主的取組へ参加できない理由

Q6:自主的取組へ参加できない理由

1 もともと排出量が少なく、経済的に可能な対策が取れないから 50

2 既に十分な排出抑制・管理を行っており、今後さらに上乗せしての削減を図れる余地がないから 17

3 経済性に優れた対策技術が存在しないから 5

4 どんな対策が可能なのか、判断するための技術情報、コスト情報がないから 7

5 排出量を物質別に推計する方法が分からない 0

6 取り扱っている VOC 製品や溶剤にどんな揮発成分が入っているか分からないから 0

7 社内の現状や実績を調査するための費用や事務的労力を確保できないから 1

8 法規制ではないので、参加する必要がないと思うから 5

9 PRTR 制度で環境排出量を報告しているので、それ以上のことは必要ないと思うから 27

10 多数で参加しないと、他社から個別の排出量を類推されてしまう恐れがあるため 1

11 目標値を立てても、将来未達成になる可能性があるため約束できない 2

12 もう少し状況を見てから判断したい 25

13 対象物質を絞り込めないので、対応できない 1

合計 141

付表 1-8 (社)産業環境管理協会を通じての自主的取組報告の可能性

Q7:(社)産業環境管理協会を通じての報告可能性

1 報告ルートがなくて困っていたので、是非そういう仕組みを作って欲しい 5

2 参加企業数がまとまれば考えたい 4

3 仕組みが出来た時点で改めて判断したい 33

4 利用しない 9

合計 51

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115

参考Ⅱ (社)日本化学工業協会を対象としたアンケート調査結果

(ア)調査目的と方法

化学業界を対象に、排出量の実態把握と対策の現状を知るために(社)日本化学工業協

会(日化協)のご協力を得て無記名選択肢方式のアンケート調査を行った。調査票は別添

(末尾)のとおりである。調査方法を付図 2-1 に、設問項目を付表 2-1 に示す。

スケジュールは平成 18 年 10月 13 日発送、同 11月 15 日締切とした。158 社に発送し、

本社に送付された場合は事業所に回送頂いた。回答があったのは 108 社(=返信された封

筒の数)、302事業所であった。企業数ベースで 68.4%の回答率だが、日化協自主的取組参

加表明企業 68 社はカバーしていると考えられる。

集計・解析の結果を次ページ以降に示す。

付図 2-1 アンケート調査票の発送・回収方式

付表 2-1 アンケート設問項目

Q1:日化協の自主的取組への参加の有無

Q2:事業所の所在地

Q3:事業所の規模

出 Q4:年度別/物質別排出量(上位 25 物質+その他の PRTR 法該当物質+非該当物質)

Q5:対策の種類

Q5-付:代替溶剤の種類

Q6:対策前後の事業所排出量

Q7:対策年度

Q8:排ガス中の代表的 VOC

Q8-付:溶剤の種類

Q9:対策の設備投資額

Q10:年間運転経費

Q11:配管コスト

(社)産業環境

管理協会

(社)日本化

学工業協会

の 158 社

アンケート発送

・ ・ ・

事業所 1

事業所 2

事業所 302

本社

事業所 3

アンケート回収

(社)産業環境

管理協会

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116

(イ)各設問ごとの集計結果

(1)VOC 自主的取り組みへの参加の有無(Q1)

現在の日化協自主的取組への参加状況を付表 2-2 に示す。未参加の事業所数が 33 あるが、

ほとんどが自主的取組の参加事業所からの回答であると判断できる。

付表 2-2 自主的取組への参加状況(事業所数)

1) (社)日本化学工業協会の自主的取組に参加している 263

2) 今後参加の予定があり、現在調査中又は準備中。 7

3) 他の業界団体の自主的取組に参加している(または参加予定がある) 4

4) 参加できるかどうかを見極めるために調査・検討中である。 11

5) どの団体の自主的取組にも参加していない 15

合計 300

(2)事業所の所在地(Q2)

事業所の所在地の都道府県名を 3 大都市圏内外に分けて集計した結果を付表 2-3 に示す。

日化協は経済省による 3 大都市圏の 8 都府県に加え、付表 2-4 に示す 6府県を加えている。

付表 2-3 3大都市圏内外の事業所数の割合

3大都市圏内

事業所数

3大都市圏外

事業所数

3大都市圏(経済省区分) 140 161

3大都市圏(日化協区分) 192 109

付表 2-4 3 大都市圏の定義

経済省による3大都市圏の都道府県

(自動車NOx・PM法に基づく分類)

日化協が左記に追加した

3大都市圏の都道府県

関東地域 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 茨城県、栃木県、群馬県

中部地域 愛知県、三重県 岐阜県

近畿地域 大阪府、兵庫県 滋賀県、京都府

(3)事業所の規模(Q3)

事業所の規模を、従業員数のランクとして集計した結果を付表 2-5/付図 2-2 に示す。50

~1,000 名の範囲の 4つのランクに回答が多かった。

1) 10 名以下 3

2) 11~20 名 7

3) 21~50 名 21

4) 51~100 名 50

5) 101~200 名 89

6) 201~500 名 74

7) 501~1000 名 36

8) 1001~2000 名 17

9) 2001~5000 名 3

10) 5001 名以上 110名以下

11~20名

21~50名

51~100名

101~

200名

201~

500名

501~

1000名

1001~2000名

2001~5000名

5001名以上

0

20

40

60

80

事業所

従業員数区分 /人

付図 2-2/付表 2-5

事業所規模の分布

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117

(4)年度別/物質別排出量(Q4)

Q4 にて、27 の物質区分にて、年度ごとの排出量を問うた。排出量は選択肢のランクで回

答しているので、それを数値化するために付表 2-6 に示す算術平均の換算値(ランク幅の最

大値と最小値の平均値で換算)を用いた。

参考までに、幾何平均的な換算値(ランク幅の最大値と最小値の積の平方根で換算)を

用いて全物質の積算値を比較すると、およそ 1,000~2,000 トン少なくなるが、ランク幅を

比較的小刻みに設定したこともあり、算術平均と幾何平均での差は小さかった。また、4,000

トン以上の選択肢に回答がなかったことから、最大ランクの外挿値(=7,500 トン)による

影響は生じていない。

(社)日本化学工業協会の自主的取組報告値は、平成 12 年度についておよそ 9万トンとな

っており、アンケートの回答から換算・積算した排出量はおよそ 75%をカバーした。

各年度の排出量を物質別に集計した結果を付表 2-7、付図 2-3 に示す。

付表 2-6 算術平均的な積算と幾何平均的な積算方法の比較(27 物質区分の合計)

回答件数 算術平均的な換算による排出量 幾何平均的な換算による排出量(参考)

12 年度 16 年度 17 年度

換算値

トン

12 年度

トン/年

16 年度

トン/年

17 年度

トン/年

換算値

トン

12 年度

トン/年

16 年度

トン/年

17 年度

トン/年

1) 排出なし 1269 1262 1266 0 0 0 0 0 0 0 0

2) 1 トン 未満 676 864 870 0.5 338 432 435 0.5 338 432 435

3) 1~2 161 150 172 1.5 241.5 225 258 1.4 228 212 243

4) 2~5 171 217 190 3.5 598.5 759.5 665 3.2 541 686 601

5) 5~10 133 130 128 7.5 997.5 975 960 7.1 940 919 905

6) 10~20 128 119 112 15 1920 1785 1680 14 1810 1683 1584

7) 20~30 70 48 63 25 1750 1200 1575 24 1715 1176 1543

8) 30~50 62 68 54 40 2480 2720 2160 39 2401 2634 2091

9) 50~80 49 32 38 65 3185 2080 2470 63 3099 2024 2403

10) 80~100 36 23 18 90 3240 2070 1620 89 3220 2057 1610

11) 100~150 37 29 29 125 4625 3625 3625 122 4532 3552 3552

12) 150~200 20 17 13 175 3500 2975 2275 173 3464 2944 2252

13) 200~300 24 21 20 250 6000 5250 5000 245 5879 5144 4899

14) 300~400 18 14 9 350 6300 4900 3150 346 6235 4850 3118

15) 400~500 9 6 4 450 4050 2700 1800 447 4025 2683 1789

16) 500~800 10 8 13 650 6500 5200 8450 632 6325 5060 8222

17) 800~1000 6 1 1 900 5400 900 900 894 5367 894 894

18) 1000~2000 9 2 1 1500 13500 3000 1500 1414 12728 2828 1414

19) 2000~3000 0 1 0 2500 0 2500 0 2449 0 2449 0

20) 3000~4000 1 0 0 3500 3500 0 0 3464 3464 0 0

21) 4000~5000 0 0 0 4500 0 0 0 4472 0 0 0

22) 5000 トン以上 0 0 0 7500 0 0 0 7500 0 0 0

件数合計 2,889 3,012 3,001 排出量

合計68,126 43,297 38,523

排出量

合計 66,310 42,228 37,555

参考 1:自主的取組報告値(トン/年) 89,528 ― 51,218 H17.11.30 産構審,日化協 PRTR480 物質

参考 2:自主的取組報告値(トン/年) 90,208 55,185 ― H18.5.11 産構審,日化協 PRTR480 物質

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118

付表

2-7 物質ごと/年度ごとの集計結果

排出

量集

計値

平成

12年

平成

16年

平成

17年

排出

順位

通し

番号

日化

番号

政令

番号

物質

(トン

/年

(トン

/年

(トン

/年

1

430

207

メチ

ルア

ルコ

ール

10,3

66.0

6,7

40.5

5,9

80.5

2

392

167

n-ヘ

キサ

7,2

99.5

5,8

30.0

5,6

46.0

3

X001 ※

素数

が4

~8

まで

の鎖

状炭

化水

素類

(除

く:日

化協

480物

質)

4,3

17.5

4,0

47.5

4,6

45.5

4

16

75

アセ

トン

2,2

56.0

1,7

60.0

1,6

67.5

5

302

150

227

トル

エン

4,8

17.5

2,2

26.5

2,2

73.0

6

188

21

145

ジク

ロロ

メタ

ン(別

名塩

化メ

チレ

ン)

4,8

67.0

2,4

29.0

2,2

83.0

7

433

211

メチ

ルエ

チル

ケトン

2,4

09.5

1,2

10.0

1,1

15.0

8

154

127

シク

ロヘ

キサ

3,1

87.0

2,9

43.5

2,7

55.0

9

129

4

96

クロ

ロメ

タン

(別

名塩

化メ

チル

715.0

577.0

310.5

10

87

102

63

キシ

レン

702.0

551.0

523.5

11

322

245

241

二硫

化炭

5,0

03.5

2,5

03.5

1,5

03.0

12

226

137

172

N,N

-ジ

メチ

ルホ

ルム

アミド

554.5

239.0

197.0

13

135

113

酢酸

エチ

1,5

70.0

829.0

783.5

14

115

84

1-ク

ロロ

-1,1

-ジ

フル

オロ

エタ

ン(別

名H

CF

C-142b)

876.0

224.5

38.0

15

138

115

102

酢酸

ビニ

1,4

22.5

769.5

804.0

16

400

199

299

ベン

ゼン

950.5

328.5

180.5

17

378

190

プロ

ピル

アル

コー

1,2

26.5

1,0

07.5

951.5

18

237

139

177

スチ

レン

596.0

459.5

421.0

19

116

85

クロ

ロジ

フル

オロ

メタ

ン(別

名H

CF

C-22)

779.5

393.0

351.0

20

299

224

1,3

,5-トリメ

チル

ベン

ゼン

373.5

258.5

183.0

21

157

17

116

1,2

-ジ

クロ

ロエ

タン

1,0

15.0

252.5

138.0

22

107

3

77

クロ

ロエ

チレ

ン(別

名塩

化ビ

ニル

395.0

143.0

142.5

23

271

203

テトラ

フル

オロ

エチ

レン

1,8

65.5

440.5

425.5

24

90

106

クメ

ン/

イソ

プロ

ピル

ベン

ゼン

11.5

12.0

12.0

25

104

74

クロ

ロエ

タン

801.5

280.0

33.5

26

位以

下の

PRT

R法

該当

物質

の大

気総

排出

5,2

37.5

2,6

49.5

2,2

03.5

26

位以

下の

PRT

R法

非該

当物

質の

大気

総排

出量

4,5

10.0

4,1

91.5

2,9

56.0

合計

68,1

25.5

43,2

96.5

38,5

23.0

※網掛け物質は、環境省により

VO

Cとされている物質 ※※

X001は、日化協による分類番号

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119

付図

2-3 年度別/物質別排出量

--

26位以下のPRTR法非該当物質の大気総排出量

26位以下のPRTR法該当物質の大気総排出量

クロロエタン

クメン/イソプロピルベンゼン

テトラフルオロエチレン

クロロエチレン(別名塩化ビニル)

1,2-ジクロロエタン

1,3,5-トリメチルベンゼン

クロロジフルオロメタン(別名HCFC-22)

スチレン

プロピルアルコール

ベンゼン

酢酸ビニル

1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(別名HCFC-142b)

酢酸エチル

N,N-ジメチルホルムアミド

二硫化炭素

キシレン

クロロメタン(別名塩化メチル)

シクロヘキサン

メチルエチルケトン

ジクロロメタン(別名塩化メチレン)

トルエン

アセトン

※炭素数が4~8までの鎖状炭化水素類

n-ヘキサン

メチルアルコール

01000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

10000

11000

排出

量 

トン

/年

平成

12年

度 平

成16年

度 平

成17年

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120

(5)対策の種類(Q5)

対策の種類の集計結果を付表 2-8 に示す。技術の大分類では除去設備、運転条件・工程改

善、密閉化、使用量削減の順になっているが、いずれもまんべんなく活用されている。選択

肢のうち、13)原料・副生物を溶媒・溶剤に使用、21)プラズマ熱分解、23)膜分離の 3 つの

技術については回答件数は 0 であった。

付表 2-8 対策の種類(Q5)

対策の分類 主な対策 併用対策1 併用対策2

1) 前工程に接続 10 1 3

2) 蓋や囲いの設置・改造 26 14 5

3) 排気口統合 6 12 5

4) 内部部屋設置 1 1 0

5) フランジ等の微小漏れ改善 11 10 4

密閉化

(109)

小計 54 38 17

6) 薬剤を変更する 7 0 0

7) 反応率・回収率を向上する 51 14 4

8) VOCが副生しない工程に改善 7 0 0

9) 作業・管理を工夫する 33 21 8

運転条件・

工程改善

(145)

小計 98 35 12

10) 溶剤・溶媒※変更 27 4 2

11) 溶剤・溶媒の使用量を減らす 28 5 4

12) 溶媒・溶剤自体を使わない(水等) 15 3 3

13) 原料・副生物を溶剤・溶媒に使用 0 0 0

使用量減

(91)

小計 70 12 9

14) 活性炭等吸着 40 5 1

15) 油等による吸収 5 2 0

16) 水・酸・アルカリで吸収 20 4 1

17) 触媒酸化焼却 9 3 0

18) 直接焼却・加熱炉 38 8 2

19) 蓄熱燃焼 18 1 0

20) 冷却・凝縮 25 3 1

21) プラズマ熱分解 0 0 0

22) 生物分解処理 3 2 0

23) 膜分離 0 0 0

除去設備

(191)

小計 158 28 5

排ガス中の物質名を明示したくない場合に、現在使用している溶剤の種類を Q8-付で聞い

ている。また、溶媒・溶剤を変更した場合の溶剤の代替先について Q5-付で問うた。それぞ

れ付表 2-9、付表 2-10 に示す。ここでは付表 2-9 と 2-10 は互いにペアのデータからの集計

ではないので、それぞれ独立したデータとして全体傾向を眺めて頂きたい。溶媒・溶剤・洗

浄剤用途の排ガス中物質を併せた溶媒対策の解析は後に示す。代替先の溶剤の種類は、アル

コール系ないし水系に多い。塩素系への代替はなかった。

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121

付表 2-9 現在使用中の溶剤(Q8-付) 付表 2-10 代替溶剤の種類(Q5-付)

アルコール系 1) アルコール系 2 アルコール系 1) アルコール系 6

2) イソパラフィン系 0 2) イソパラフィン系 2

3) nーパラフィン系 0 3) nーパラフィン系 2

4) ナフテン系 0 4) ナフテン系 1

炭化水素系

12

5) その他の炭化水素系 12

炭化水素系

17

5) その他の炭化水素系 12

6) アルカリ系 0 6) アルカリ系 4

7) 中性系 1 7) 中性系 2

8) 酸系 0 8) 酸系 1

水系

1

9) その他の水系 0

水系

13

9) その他の水系 6

10) NMP系 0 10) NMP系 1

11) グリコール系 0 11) グリコール系 1

12) シリコーン系 0 12) シリコーン系 0

準水系

0

13) その他の準水系 0

準水系

2

13) その他の準水系 0

14) ジクロロメタン 0 14) ジクロロメタン 0

15) トリクロロエチレン 1 15) トリクロロエチレン 0

16) テトラクロロエチレン 2 16) テトラクロロエチレン 0

塩素系

9

17) その他の塩素系 6

塩素系

0

17) その他の塩素系 0

18) HCFC-225 0 18) HCFC-225 0

19) HCFC-141b 0 19) HCFC-141b 0

20) HFC 0 20) HFC 0

21) PFC 0 21) PFC 0

フッ素系

0

22) その他のフッ素系 0

フッ素系

1

22) その他のフッ素系 1

23) エーテル系 0 23) エーテル系 0

24) エステル系 0 24) エステル系 2

25) 臭素系 0 25) 臭素系 0

その他

1

26) その他 1

その他

6

26) その他 4

(6)対策前後の事業所排出量(Q6)

排出量の低いランクは相対的に上昇し、排出量の高いランクは件数が減っている。

1) 排

出な

2) 1トン

未満

3) 1~

2トン

4) 2~

5トン

5) 5~

10トン

6) 10~

20トン

7) 20~

30トン

8) 30~

50トン

9) 50~

80トン

10) 8

0~10

0トン

11) 1

00~

150ト

12) 1

50~

200ト

13) 2

00~

300ト

14) 3

00~

400ト

15) 4

00~

500ト

16) 5

00~

800ト

17) 8

00~

1000

トン

18) 1

000~

2000

トン

19) 2

000~

3000

トン

20) 30

00トン

以上 --

0

10

20

30

40

50

60

対策後

対策前

事業所

排出量ランク

付図 2-4 対策前後の事業所排出量のランク別度数

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122

(7)対策年度(Q7)

主な対策の年度を付表 2-11 に集計した。有害大気

汚染物質の自主管理の第 1 期と第 2 期の端境期で、

かつ PRTR 法の施行直前の平成 12 年度に対策数が

多く、一旦減少し、再び増加傾向にあるが、継続的

に対策が進められていると考えられる。

(8)排ガス中の代表的 VOC について(Q8)

Q8 で排ガス中の代表的な物質を 3 つまで、それぞれの使用目的と共に問うた結果を付表

2-12 に示す。

付表 2-12 代表的な VOC 成分と使用目的

物質名 物質1 物質2 物質3

1) メチルアルコール 38 11 1

2) n-ヘキサン 12 1 1

3) ※炭化水素類 6 6 0

4) アセトン 14 5 5

5) トルエン 53 27 1

6) ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 42 4 1

7) メチルエチルケトン 13 6 4

8) シクロヘキサン 10 1 0

9) クロロメタン(別名塩化メチル) 8 2 1

10) キシレン 10 10 8

11) 二硫化炭素 2 0 1

12) N,N-ジメチルホルムアミド 4 0 0

13) 酢酸エチル 9 10 8

14) 1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(別名 HCFC-142b) 3 1 0

15) 酢酸ビニル 5 1 0

16) ベンゼン 36 3 3

17) プロピルアルコール 8 3 6

18) スチレン 8 2 4

19) クロロジフルオロメタン(別名 HCFC-22) 2 1 0

20) 1,3,5-トリメチルベンゼン 4 0 0

21) 1,2-ジクロロエタン 11 1 1

22) クロロエチレン(別名塩化ビニル) 2 4 1

23) テトラフルオロエチレン 1 0 0

24) クメン/イソプロピルベンゼン 0 0 0

25) クロロエタン 3 0 1

26) 26位以下の PRTR 物質 58 12 8

27) 26位以下の PRTR 非該当物質 10 2 1

使用目的 物質1 物質2 物質3

1) 溶媒・溶剤・洗浄剤 216 69 28

2) 製品(副生成物含む) 41 17 12

3) 原料 89 25 14

付表 2-11 対策年度

1) 12年度 72件

2) 13年度 45件

3) 14年度 44件

4) 15年度 54件

5) 16年度 69件

6) 17年度 69件

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123

(9)対策の設備投資額(Q9)、年間運転経費(Q10)

設備投資額と年間運転経費の回答数を付表 2-13、2-14 にまとめた。設備投資額は多様で

あるが 100 万円以下のランクが相対的に多い。年間運転経費も幅があるが、運転経費ゼロ

のランクが多い。運転条件・工程改善か、使用量削減の一部に該当するものと思われる。

付表 2-13 設備投資額 付表 2-14 年間運転経費

1) ゼロ 71 1) ゼロ 115

2) 0~100 万円 61 2) 0~20万円 39

3) 100~300 万円 30 3) 20~50万円 21

4) 300~500 万円 18 4) 50~100万円 23

5) 500~1000 万円 28 5) 100~300万円 34

6) 1000~2000 万円 26 6) 300~500万円 22

7) 2000~3000 万円 20 7) 500~1000万円 14

8) 3000~5000 万円 22 8) 1000~2000万円 20

9) 5000~10000 万円 26 9) 2000~3000万円 4

10) 10000~20000 万円 25 10) 3000~5000万円 5

11) 20000~30000 万円 15 11) 5000万円以上 10

12) 30000 万円以上 20

(10)配管規模(Q11)

配管規模の回答集計結果を付表 2-15 に示す。今般のアンケートでは、既設設備と新設設

備の区別を明確にしていないが、配管規模の回答ランクは低い側に多かった。配管規模を金

額に換算して設備投資額を補正する場合には、付表 2-16 のようにまず配管規模を代表値化

し、鋼管 3,000 円/インチ・m、ステンレス管 4,500 円/インチ・m の単価を設定した。

付表 2-15 配管規模

付表 2-16 配管規模の金額への換算値

代表値

インチ・m

鋼管(非塩素系)の

補正金額 万円

ステンレス管(塩素系)の

補正金額 万円

1) 500 インチ・m未満 250 75 113

2) 500~1000 インチ・m 750 225 338

3) 1000~5000 インチ・m 3000 900 1350

4) 5000~10000 インチ・m 7500 2250 3375

5) 10000 インチ・m以上 15000 4500 6750

1) 500インチ・m未満 80

2) 500~1000インチ・m 21

3) 1000~5000インチ・m 24

4) 5000~10000インチ・m 3

5) 10000以上インチ・m 5

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124

(ウ)設問間の関係の解析

(1)排出量に関する解析

1) 3 大都市圏での排出量に関する解析

Q2:事業所の所在地(県別)、Q4:年度別/物質別排出量を組み合わせることにより、

3大都市圏内外での排出量の積算値の比較を行った。

まず、アンケートの回答の範囲で都道府県別に排出量換算値を評価してみると、付表 2-17

(次頁)のようになる。平成 12 年度について排出量の多い都道府県別のトップテンは以下

のようになる。鹿島、京浜、京葉、水島、四日市など、わが国の代表的な石油化学コンビナ

ート地域が反映されている。

1位:茨城県(10.9千トン/年) 6位:岐阜県(3.8千トン/年) 2位:神奈川県(6.9千トン/年) 7位:山口県(3.6千トン/年) 3位:千葉県(5.9千トン/年) 8位:新潟県(3.4千トン/年) 4位:岡山県(4.0千トン/年) 9位:静岡県(3.2千トン/年) 5位:三重県(4.0千トン/年) 10位:埼玉県(2.9千トン/年)

付表 2-17 の都道府県別データを、付表 2-4 に示した 3 大都市圏の内外別に集計すると付

表 2-18 のようになる。3 大都市圏の定義を、行政的な分類とするか、地理的な分類とする

かで寄与率が逆転している。

付表 2-18 3大都市圏内外での排出量の寄与率比較

経済省による3大都市圏 日化協による3大都市圏

代表値による

換算値 トン/年

寄与率 代表値による

換算値 トン/年

寄与率

3大都市圏内 24,205 36% 40,446 59%

3大都市圏外 43,886 64% 27,645 41%

同様に、物質別に 3 大都市圏の内外で集計すると付表 2-19 のようになる。排出量がトッ

プテンの物質に網掛けを付した。

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125

付表

2-1

7 都道府県別の排出量回答ランクの分布(平成

12年度)

整理

番号

地域

ブロ

ック

都道

府県

1) 排出なし

2) 1トン 未満

3) 1~2 トン

4) 2~5

5) 5~10

6) 10~20

7) 20~30

8) 30~50

9) 50~80

10) 80~100

11) 100~150

12) 150~200

13) 200~300

14) 300~400

15) 400~500

16) 500~800

17) 800~1000

18) 1000~

2000

19) 2000~

3000

20) 3000~

4000

21) 4000~

5000

22) 5000 トン

以上

代表

によ

換算

トン

順位

1

1・北

海道

27

10

20

10

00

00

00

0

00

00

00

00

016

34

2

3・岩

25

0

01

10

00

00

00

0

00

00

00

00

011

35

3

4・宮

0

1

00

01

00

00

01

0

10

00

00

00

0541

22

4

6・山

0

0

00

00

00

00

00

0

00

00

00

00

00

36

5

北海

道・

東北

7・福

6

23

82

33

10

12

21

0

10

00

00

00

01143

19

6

8・茨

124

52

14

21

13

13

13

46

37

3

3

23

10

30

00

010908

1

7

9・栃

0

6

40

21

00

10

00

0

00

00

00

00

0104

28

8

10・群

40

27

34

53

23

11

10

0

00

00

00

00

0565

21

9

11・埼

47

37

87

66

41

11

00

2

01

00

10

00

02935

10

10

12・千

161

75

15

15

13

16

46

42

33

1

32

11

00

00

05880

3

11

13・東

33

24

45

21

00

10

10

1

00

00

00

00

0506

23

12

関東

14・神

奈川

96

56

10

79

14

87

32

30

3

31

22

00

00

06925

2

13

15・新

27

15

76

35

32

10

11

2

20

00

10

00

03357

8

14

16・富

66

17

34

45

23

32

00

0

00

10

00

00

01327

18

15

中部

北陸

17・石

0

18

02

21

10

02

00

0

00

00

00

00

0251

27

16

18・福

0

0

10

10

01

00

00

0

00

00

00

00

049

30

17

19・山

0

0

00

00

00

00

00

0

00

00

00

00

00

36

18

20・長

0

4

20

21

00

00

00

0

00

00

00

00

035

31

19

21・岐

0

6

11

20

00

12

10

0

00

00

00

10

03893

6

20

22・静

90

26

69

46

13

23

52

0

00

00

10

00

03194

9

21

23・愛

70

43

99

51

43

01

00

0

00

00

00

00

0429

25

22

24・三

55

21

58

12

53

23

23

2

2

20

20

00

00

03966

5

23

25・滋

38

22

10

52

82

32

30

0

0

00

00

00

00

0749

20

24

26・京

0

9

20

01

00

00

00

0

00

00

00

00

023

32

25

27・大

50

52

16

14

67

14

22

11

2

01

00

00

00

01994

13

26

28・兵

143

35

311

10

44

72

10

3

1

00

00

00

00

01571

15

27

近畿

30・和

歌山

15

10

00

20

00

00

00

0

00

00

00

00

020

33

28

33・岡

3

18

10

11

75

22

22

21

3

20

11

00

00

04055

4

29

34・広

32

14

24

22

40

20

20

0

10

10

00

00

01549

16

30

中国

35・山

40

17

62

77

25

23

11

3

11

01

00

00

03582

7

31

36・徳

0

1

11

22

00

00

00

0

00

00

00

00

051

29

32

37・香

2

0

01

11

00

20

01

0

00

00

00

00

0331

26

33

四国

38・愛

3

9

32

03

22

21

10

0

00

01

00

00

01436

17

34

40・福

24

8

17

00

11

20

20

0

00

00

00

00

0475

24

35

43・熊

5

5

13

03

02

11

00

1

00

00

10

00

02045

12

36

九州

44・大

43

12

45

33

30

10

00

0

00

10

10

00

02387

11

37

45・宮

4

3

04

10

31

11

00

0

00

00

10

00

01793

14

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126

付表 2-19 物質別の 3 大都市圏内外の排出量(平成 12 年度)(トン/年)

経済省定義 日化協定義

3大都市圏内 3 大都市圏外 3 大都市圏内 3 大都市圏外

代表値

による

換算値

順位

代表値

による

換算値

順位

代表値

による

換算値

順位

代表値

による

換算値

順位

1 メチルアルコール 1804 5 8562 1 2352 7 8015 1

2 n-ヘキサン 5248 1 2052 9 6482 1 818 10

3 ※炭化水素類 1920 4 2398 6 2140 9 2178 3

4 アセトン 303 21 1954 10 643 15 1614 6

5 トルエン 1791 6 2902 5 3836 2 857 9

6 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 2776 2 2092 8 3246 5 1622 5

7 メチルエチルケトン 307 19 2103 7 2173 8 237 21

8 シクロヘキサン 1453 7 1734 11 2412 6 775 11

9 クロロメタン(別名塩化メチル) 318 18 398 21 419 21 297 19

10 キシレン 142 22 561 17 303 23 399 17

11 二硫化炭素 2 27 5002 2 3502 3 1502 7

12 N,N-ジメチルホルムアミド 31 24 524 18 174 25 381 18

13 酢酸エチル 650 10 921 15 801 13 770 12

14 1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(別

名HCFC-142b) 796 9 81 26 876 12 0 26

15 酢酸ビニル 420 13 1003 13 428 19 995 8

16 ベンゼン 437 12 514 19 529 18 422 15

17 プロピルアルコール 305 20 922 14 600 16 627 13

18 スチレン 327 17 269 25 428 20 169 23

19 クロロジフルオロメタン(別名HCFC

-22) 507 11 273 24 776 14 4 25

20 1,3,5-トリメチルベンゼン 4 26 370 22 184 24 190 22

21 1,2-ジクロロエタン 419 14 596 16 594 17 422 16

22 クロロエチレン(別名塩化ビニル) 110 23 285 23 133 26 263 20

23 テトラフルオロエチレン 341 16 1525 12 1841 11 25 24

24 クメン/イソプロピルベンゼン 8 25 4 27 12 27 0 26

25 クロロエタン 352 15 450 20 352 22 450 14

26 26位以下のPRTR物質 2031 3 3207 3 3304 4 1934 4

27 26位以下のPRTR非該当物質 1409 8 3191 4 1913 10 2687 2

2) 対策年度と対策前排出量の関係

Q6 の対策前の事業所排出量と、Q7 の対策年度の関係を整理したものを付表 2-20 に示す。

排出量が少ないランクでも、対策が講じられていることが分かる。この 6 年度の範囲では、

各年度の対策における排出量の分布にはそれほど特徴的な傾向は見られない。

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127

付表 2-20 対策前排出量と対策年度の関係

1) 12年度 2) 13年度 3) 14年度 4) 15年度 5) 16年度 6) 17年度

1) 排出なし 0 0 0 1 0 0

2) 1トン未満 4 2 5 2 11 5

3) 1~2トン 4 1 1 2 4 0

4) 2~5トン 6 2 5 7 3 8

5) 5~10トン 5 3 3 8 3 5

6) 10~20トン 6 8 4 9 13 11

7) 20~30トン 1 2 1 1 3 4

8) 30~50トン 4 0 5 6 3 3

9) 50~80トン 3 5 3 2 2 0

10) 80~100トン 1 2 0 1 4 4

11) 100~150トン 7 1 2 2 3 5

12) 150~200トン 3 2 2 0 4 5

13) 200~300トン 3 1 3 2 2 1

14) 300~400トン 3 1 1 1 0 3

15) 400~500トン 1 2 0 1 2 1

16) 500~800トン 3 2 1 2 1 2

17) 800~1000トン 1 0 2 1 2 0

18) 1000~2000トン 8 2 1 2 2 1

19) 2000~3000トン 0 0 2 0 0 2

20) 3000トン以上 0 1 0 0 0 0

(2)対策技術に関する解析

1) 年度別の適用技術の傾向

年度別に適用技術の件数の傾向を、主な対策、併用対策をあわせて集計した結果を表 2-21

に示す。対策ののべ件数は、有害大気汚染物質の自主管理の第 1 期と第 2 期の端境期で、

PRTR 制度の施行直前の平成 12 年度に多くの対策件数があり、一旦減少した後、平成 15

年度から再び対策件数が増加傾向になっている。

付表 2-21 より、適用件数が多い技術は、2) 蓋や囲いの設置・改造(51 件)、7) 反応率・

回収率を向上(58 件)、9) 作業・管理を工夫する(57 件)、14) 活性炭等吸着(41 件)、

18) 直接焼却・加熱炉(47 件)であった。

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128

付表

2-2

1 年度別の適用技術の傾向

対策

年度

1)

12年

2)

13年

3)

14年

4) 15年

5) 16年

6) 17年

対策

の種

主な対策

併用対策1

併用対策2

12年度小計

主な対策

併用対策1

併用対策2

13年度小計

主な対策

併用対策1

併用対策2

14年度小計

主な対策

併用対策1

併用対策2

12年度小計

主な対策

併用対策1

併用対策2

13年度小計

主な対策

併用対策1

併用対策2

14年度小計

全年

合計

件数

1)

前工

程に

接続

2

03

51

00

10

00

0

20

02

20

02

11

02

12

2)

蓋や

囲い

の設

置・改

76

215

62

08

13

0

4

80

19

40

04

73

111

51

3)

排気

口統

13

26

00

00

00

1

1

01

01

23

05

11

24

17

4)

内部

部屋

設置

0

00

00

00

00

00

0

11

02

00

00

00

00

2

密閉化

5)

フラ

ンジ

等微

小漏

れ改

12

03

31

04

01

1

2

01

12

02

24

30

03

18

6)

薬剤

を変

更す

00

00

00

00

10

0

1

10

12

20

02

20

02

7

7)

反応

率・回

収率

を向

10

41

15

31

04

42

0

6

51

28

13

20

15

82

010

58

8) V

OC

が副

生し

ない

工程

10

01

30

03

10

0

1

10

01

00

00

10

01

7

運転・工程

改善

9)

作業

・管

理を

工夫

する

4

11

67

51

13

10

1

2

48

113

63

211

92

112

57

10)

溶剤

・溶

媒※

変更

1

00

13

22

76

10

7

21

03

50

05

80

08

31

11)

溶剤

・溶

媒の

使用

量を

60

17

32

05

00

1

1

50

27

62

08

50

05

33

12)

溶媒

・溶

剤自

体を

使わ

ない

(水

等)

00

33

11

02

50

0

5

12

03

30

03

40

04

20

物質使用

量減

13)

原料

・副

生物

を溶

剤・溶

媒に

使用

0

00

00

00

00

00

0

00

00

00

00

00

00

0

14)

活性

炭等

吸着

10

20

12

51

06

40

0

4

32

05

70

07

60

06

40

15)

油等

によ

る吸

31

04

00

00

00

0

0

20

02

01

01

00

00

7

16)

水・酸

・ア

ルカ

リで

吸収

7

00

70

10

13

00

3

10

01

41

05

31

04

21

17)

触媒

酸化

焼却

1

10

22

00

20

00

0

00

00

21

03

31

04

11

18)

直接

焼却

・加

熱炉

8

40

12

20

02

80

0

8

10

10

11

50

05

43

29

47

19)

蓄熱

燃焼

4

00

42

00

24

00

4

30

03

30

03

11

02

18

20)

冷却

・凝

41

16

30

03

61

0

7

40

04

40

04

21

03

27

21)

プラ

ズマ

熱分

00

00

00

00

00

0

0

00

00

00

00

00

00

0

22)

生物

分解

処理

2

10

30

00

00

00

0

00

00

00

00

10

01

4

除去設備設置

23)

膜分

00

00

00

00

00

0

0

00

00

00

00

00

00

0

全技

術計

72

26

14

112

44

16

363

44

84

56

53

18

879

68

15

487

69

16

691

488

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129

2) 対策前排出量と適用技術

対策前事業所排出量と対策の種類を付表 2-22 に整理した。1)~5)の密閉化対策、10)~13)

の物質使用量を減らす対策は、どちらかと言えば排出量が小さい側のランクに回答がある。

運転条件・工程改善に当たる 6)~9)、除去技術のうち 14)活性炭吸着、16)水・酸・アルカ

リで吸収、17)直接焼却・加熱炉は広い排出量にわたって適用されている。17)触媒酸化、20)

冷却・凝縮は比較的排出量の低いランク、19)蓄熱燃焼は比較的排出量の高いランクに回答

がある。

付表 2-22 対策前排出量と適用技術の関係

1)

排出

なし

2) 1トン

未満

3) 1~

2

4) 2~

5

5) 5~

10

6) 10~

20

7) 20~

30

8) 30~

50

9) 50~

80

10) 80~

100

11) 100~

150

12) 150~

200

13) 200~

300

14) 300~

400

15) 400~

500

16) 500~

800

17) 800~

1000

18) 1000~

2000

19) 2000~

3000

20) 3000トン

以上

1) 前工程に接続 0 3 0 2 0 2 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0

2) 蓋や囲いの設置・改造 0 3 0 9 1 4 0 3 2 3 2 0 1 0 0 0 0 1 0 0

3) 排気口統合 0 1 0 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

4) 内部部屋設置 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

5) フランジ等の微小漏れ改善 0 1 0 0 1 1 1 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 1 0 0

6) 薬剤を変更する 0 1 1 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0

7) 反応率・回収率を向上する 0 4 3 3 1 13 2 2 2 2 1 1 2 1 3 3 2 0 0 0

8) VOCが副生しない工程に改善 0 0 0 1 0 1 0 0 0 1 0 1 0 1 0 0 1 1 0 0

9) 作業・管理を工夫する 0 3 2 3 4 5 2 2 1 0 3 3 1 0 0 0 0 0 0 0

10) 溶剤・溶媒※変更 0 5 2 2 4 3 2 0 1 2 3 0 0 0 0 1 0 0 0 0

11) 溶剤・溶媒の使用量を減らす 0 4 1 2 3 4 3 1 1 1 0 3 0 0 0 1 0 0 0 0

12) 溶媒・溶剤自体を使わない(水等) 0 1 1 3 0 2 0 1 2 0 1 1 1 0 0 0 1 0 0 0

13) 原料・副生物を溶剤・溶媒に使用 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

14) 活性炭等吸着 1 1 2 2 2 6 1 2 2 1 2 3 0 3 0 1 1 0 1 1

15) 油等による吸収 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 0 0 0 1 0 0

16) 水・酸・アルカリで吸収 0 3 0 2 1 0 0 0 0 0 4 0 0 0 1 1 0 4 0 0

17) 触媒酸化焼却 0 1 0 0 0 3 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0

18) 直接焼却・加熱炉 0 1 2 2 3 4 1 7 3 0 2 0 2 2 1 1 0 3 2 0

19) 蓄熱燃焼 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 2 3 2 0 2 0 4 0 0

20) 冷却・凝縮 0 3 0 2 3 1 1 2 0 3 0 3 1 1 0 1 0 0 0 0

21) プラズマ熱分解 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

22) 生物分解処理 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0

23) 膜分離 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

3) 溶剤の代替

溶剤の使用、代替に関してまとめる。今般のアンケートでは、Q8 で排ガス中の代表的な

物質を 3 つまで挙げて頂き、それぞれの用途を①溶媒・溶剤・洗浄剤②原料③製品・副産

物の別に記載頂いた。別途、Q8-付にて、物質名を記載したくない場合に、溶媒の種類を挙

げていただいた。

付表 2-23 には、排ガス中の代表 3 物質のいずれかの用途に「溶媒・溶剤・洗浄剤」が記

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130

載された場合について、代替先の溶剤の種類、または、溶剤対策が行われた件数をまとめた。

3 物質まで併記されているので、そのどれか 1 つでも塩素系物質を使用している場合は付表

2-23 では“塩素系”とし、塩素系物質が使われていない場合は“非塩素系”とした(付表 2-24

も同様)。

代替先の溶剤はその他の炭化水素系、アルコール系、アルカリ系などに見られ、その他の

水系にも代替されている。代替ではなくとも、溶剤を減らす対策は多く見られ、溶剤・溶媒

を使わない(水等)方法も行われている。

付表 2-23 代替前後の溶剤の種類

代替前の溶剤の種類 1)

アル

コー

ル系

5)

その

他の

炭化

水素

7)

中性

16)

テトラ

クロ

ロエ

チレ

17)

その

他の

塩素

26)

その

非塩

素系

塩素

不明

1) アルコール系 0 0 0 0 0 0 4 0 0

2) イソパラフィン系 0 0 0 0 0 0 1 0 0

3) nーパラフィン系 0 0 0 0 0 0 1 0 0

4) ナフテン系 0 0 0 0 0 0 1 0 0

5) その他の炭化水素系 0 0 0 1 0 0 7 1 0

6) アルカリ系 0 0 0 0 0 0 4 0 0

7) 中性系 0 0 1 0 0 0 1 0 0

8) 酸系 0 0 0 0 0 0 0 0 0

9) その他の水系 0 0 0 0 0 0 1 4 0

10) NMP系 0 0 0 0 0 0 1 0 0

11) グリコール系 0 0 0 0 0 0 0 0 0

22) その他のフッ素系 0 0 0 0 0 0 1 0 0

24) エステル系 0 0 0 0 0 0 0 1 0

26) その他 0 0 0 0 0 1 2 1 0

代替

後の

溶剤

の種

無記入 0 2 0 0 0 0 0 0 0

※11)溶媒・溶剤を減らす 1 0 0 0 1 0 20 2 0

溶剤

対策

※12) 溶媒・溶剤を使わ

ない(水等)

0 0 0 0 0 0 4 2 0

物質 1~3 で用途として溶媒・溶剤・洗浄剤を選択した場合で、代替や溶媒・溶剤の対策

以外の対策を行っている場合の件数を付表 2-24 に示す。また、溶媒・溶剤・洗浄剤用途や、

現在使用している溶媒・溶剤の種類について回答がないが、対策としては代替や溶媒・溶剤

の対策を回答している件数を付表 2-25 にまとめた。

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付表 2-24 溶剤以外の対策を 付表 2-25 溶媒・溶剤・洗浄剤用途でないが、 行っている件数 対策として溶媒・溶剤対策を行っている件数

現在使用している溶剤 1) アルコール系 2

1) アルコール系 1 2) イソパラフィン系 1

5) その他の炭化水素系 10 3) nーパラフィン系 1

15) トリクロロエチレン 1 5) その他の炭化水素系 3

16) テトラクロロエチレン 1 8) 酸系 1

17) その他の塩素系 5 9) その他の水系 1

塩素系 34 11) グリコール系 1

非塩素系 118 24) エステル系 1

代替

先の

溶剤

無記入 1

※11)溶剤・溶媒を減らす 1

代替

対策

※12) 溶媒・溶剤を使わない

(水等) 7

(3)設備投資額・年間運転経費・配管規模の解析

1) 事業所の規模と設備投資額の関係

事業所の規模と設備投資額の関係を集計すると表 2-26 のようになる。大まかに言って、

20 名以下の小規模事業所では、設備投資額は 100 万円以下になっている。50~1,000 名の

範囲では設備投資が安価なランクが多いものの、回答ランクは広く分散している。1,000 名

を越す事業所では、2,000 万円を越す設備投資による対策が講じられている。

表 2-26 事業所規模と設備投資額の関係

事業所の規模

設備投資額

1)10名

以下

2)11~

20名

3)21~

50名

4)51~

100名

5)101~

200名

6)201~

500名

7)501~

1000名

8)1001~

2000名

9)2001~

5000名

10)5001名

以上

1) ゼロ 0 4 3 5 10 12 3 2 0 0

2) 0~100万円 0 2 4 7 12 6 4 0 0 0

3) 100~300万円 0 0 0 2 7 1 1 1 1 0

4) 300~500万円 0 0 0 1 2 1 2 0 0 0

5) 500~1000万円 0 0 1 3 6 3 1 0 0 0

6) 1000~2000万円 0 0 1 1 4 4 4 0 0 0

7) 2000~3000万円 0 0 1 2 4 1 2 3 0 0

8) 3000~5000万円 0 0 1 0 4 1 0 1 0 0

9) 5000~10000万円 0 0 1 2 4 5 4 1 0 0

10) 10000~20000万円 0 0 0 1 2 6 2 4 0 0

11) 20000~30000万円 0 0 0 1 1 4 1 3 0 0

12) 30000万円以上 0 0 0 1 0 4 7 2 2 0

2) 対策前排出量と設備投資額の関係

次に対策前排出量と設備投資額の関係を付表 2-27 に示す。広く分布しているが、設備投

資額が低いランクでも、1,000 トンオーダーの排出源に対して適用されているケースが見ら

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れる。逆に、2 億円以上の設備投資に関しては、最低でも 50~100 トン以上の排出量に対

して適用されている。

付表 2-27 対策前排出量と設備投資額の関係

3) 適用技術の種類と設備投資額、年間運転経費の関係

適用技術の種類と設備投資額、年間運転経費の関係を表 2-28 に示す。除去設備の設備投

資額はいずれも回答ランクの広がりが大きいが、密閉化、運転条件・工程の改善、物質の使

用量を減らす、と比較すると若干高価な側のランクに回答されている。年間運転経費はおお

むね最大でも 2,000 万円以下に納まっている。

設備投資額では 100 万円以下、年間運転経費では 20 万円以下の低いランクにも回答数が

多い傾向が見られる。

1)

ゼロ

2)

0~

100万

3)

100~

300万

4)

300~

500万

5)

500~

1000万

6)

1000~

2000万

7)

2000~

3000万

8)

3000~

5000万

9)

5000~

10000万

10)

10000~

20000万

11)

20000~

30000万

12)

30000万

円以

1) 排出なし 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0

2) 1トン未満 11 7 5 2 2 0 2 1 1 0 0 0

3) 1~2トン 4 4 1 1 1 0 2 0 0 0 0 0

4) 2~5トン 10 7 3 3 2 2 1 2 1 1 0 0

5) 5~10トン 7 4 2 1 6 0 1 2 2 0 0 0

6) 10~20トン 12 13 1 2 4 5 2 4 5 2 0 0

7) 20~30トン 5 2 1 0 1 1 1 1 1 1 0 0

8) 30~50トン 3 1 3 0 1 2 2 1 2 2 0 3

9) 50~80トン 1 3 3 1 1 0 1 2 2 1 0 0

10) 80~100トン 4 2 0 1 0 0 0 1 0 2 2 1

11) 100~150トン 4 2 1 2 0 2 0 3 4 1 0 1

12) 150~200トン 3 5 2 0 3 0 0 0 1 2 0 1

13) 200~300トン 2 0 0 1 2 1 1 1 1 1 1 1

14) 300~400トン 1 0 0 0 0 2 1 0 1 2 0 3

15) 400~500トン 0 0 2 0 0 3 1 0 0 1 1 0

16) 500~800トン 0 0 0 2 2 0 0 1 0 2 2 2

17) 800~1000トン 0 0 1 0 0 0 2 0 0 1 1 1

18) 1000~2000トン 1 0 0 0 0 3 0 2 1 3 3 2

19) 2000~3000トン 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 3

20) 3000トン以上 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

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133

付表

2-2

8 適用技術の種類と設備投資額・年間運転経費の関係

設備

投資

年間

運転

経費

1) ゼロ

2) 0~100万円

3) 100~300万円

4) 300~500万円

5) 500~1000万円

6) 1000~2000万円

7) 2000~3000万円

8) 3000~5000万円

9) 5000~10000万円

10) 10000~20000万円

11) 20000~30000万円

12) 30000万円以上

無記入

小計

1) ゼロ

2) 0~20万円

3) 20~50万円

4) 50~100万円

5) 100~300万円

6) 300~500万円

7) 500~1000万円

8) 1000~2000万円

9) 2000~3000万円

10) 3000~5000万円

11) 5000万円以上

無記入

小計

1)

前工

程に

接続

0

61

01

10

00

10

0

010

61

10

00

01

00

01

10

2)

蓋や

囲い

の設

置・改

57

42

25

10

23

11

740

15

40

22

11

10

01

13

40

3)

排気

口統

02

10

10

00

01

00

05

12

00

00

01

00

01

5

4)

内部

部屋

設置

0

00

00

00

01

00

0

01

00

00

10

00

00

00

1

密閉化

5)

フラ

ンジ

等の

微小

漏れ

改善

1

23

00

00

01

00

0

29

41

01

00

01

00

02

9

6)

薬剤

を変

更す

21

00

00

00

00

02

16

30

00

10

00

00

02

6

7)

反応

率・回

収率

を向

上す

11

94

46

33

12

12

2

149

17

36

23

51

20

03

7

49

8) V

OC

が副

生し

ない

工程

に改

21

10

00

01

00

01

17

30

00

10

00

00

03

7

運転・工

程改善

9)

作業

・管

理を

工夫

する

12

12

11

00

11

01

00

332

22

21

20

00

10

00

4

32

10)

溶剤

・溶

媒※

変更

11

31

02

10

22

01

1

327

92

02

11

00

00

012

27

11)

溶剤

・溶

媒の

使用

量を

減ら

12

81

22

00

00

00

0

227

11

10

10

01

00

00

04

27

12)

溶媒

・溶

剤自

体を

使わ

ない

(水

等)

91

01

00

11

00

10

014

91

00

00

01

00

03

14

物質の使

用量を減

13)

原料

・副

生物

を溶

剤・溶

媒に

使用

0

00

00

00

00

00

0

00

00

00

00

00

00

00

0

14)

活性

炭等

吸着

0

10

13

45

45

64

3

137

00

15

72

44

22

28

37

15)

油等

によ

る吸

00

01

00

02

20

00

05

01

01

01

00

00

02

5

16)

水・酸

・ア

ルカ

リで

吸収

0

21

22

32

21

20

1

220

12

52

11

01

01

06

20

17)

触媒

酸化

焼却

0

01

00

02

22

00

1

08

11

00

20

20

00

11

8

18)

直接

焼却

・加

熱炉

2

33

23

73

32

61

4

140

63

31

95

23

11

33

40

19)

蓄熱

燃焼

0

00

02

00

24

35

2

018

20

10

34

33

10

01

18

20)

冷却

・凝

22

62

42

21

20

01

024

35

25

31

10

00

04

24

21)

プラ

ズマ

熱分

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

0

22)

生物

分解

処理

0

11

00

00

00

00

1

03

00

00

00

01

00

02

3

除去設備設置

23)

膜分

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

00

0

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4) 設備投資額と年間運転経費の関係

全技術分類を合計した設備投資額と年間運転経費の関係を付表 2-29 に示す。概ね表の左

上から右下への対角線の幅の中に納まっている。

付表 2-29 設備投資額と年間運転経費の関係

年間運転経費 1)

ゼロ

2)

0~

20

万円

3)

20~

50

万円

4)

50~

100

万円

5)

100~

300

万円

6)

300~

500

万円

7)

500~

1000

万円

8)

1000~

2000

万円

9)

2000~

3000

万円

10)

3000~

5000

万円

11)

5000

万円

以上

無記

小計

1) ゼロ 57 0 0 1 2 1 0 0 0 0 1 7 69

2) 0~100 万円 24 22 3 3 1 2 0 0 0 0 0 6 61

3) 100~300 万円 10 7 4 1 2 1 0 1 0 0 0 3 29

4) 300~500 万円 4 3 3 3 1 0 0 0 0 0 1 3 18

5) 500~1000 万円 6 3 3 4 2 1 0 0 0 0 2 7 28

6) 1000~2000 万円 2 3 3 2 3 4 2 0 0 0 0 7 26

7) 2000~3000 万円 1 0 2 2 5 2 1 2 0 0 0 5 20

8) 3000~5000 万円 2 0 1 4 7 1 1 1 0 0 0 5 22

9) 5000~10000 万円 1 0 1 2 8 6 0 2 0 1 0 5 26

10) 10000~20000 万円 4 0 0 0 2 2 6 5 1 0 1 3 24

11) 20000~30000 万円 1 0 0 0 0 2 3 4 0 2 1 2 15

12) 30000 万円以上 1 0 1 0 1 0 1 4 3 1 4 4 20

設備

投資

無記入 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 22 24

小計 113 38 21 23 34 22 14 20 4 4 10 79 382

(4) 配管規模について

配管規模に関して、鋼管が用いられる非塩素系物質と、腐食性の問題からステンレス製の

配管が用いられる塩素系物質に分け、集計した結果をそれぞれ付表 2-30、付表 2-31に示す。

付表 2-16 に従って配管経費で設備投資額を補正すると、設備投資額の回答があった平成 12

~17 年度の対策件数 364 件に対し、配管補正後の設備投資額の合計試算値は 180.4 億円と

なり、1 件当たりの平均設備投資額はおよそ 5 千万円と計算される。

なお、今般のアンケートでは、設備投資額に配管経費を含めることが十分に文面では伝え

られなかったためか、設備投資額より配管経費が上回る回答もあった。ここでの計算では、

その場合は補正後の設備投資額を 0 として計算した。

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付表 2-30 非塩素系物質に関する配管規模とその設備投資額

非塩素系物質

1)

500イ

ンチ

・m

未満

2)

500~

1000イ

ンチ

・m

3)

1000~

5000イ

ンチ

・m

4)

5000~

10000イ

ンチ

・m

5)

10000イ

ンチ

・m

以上

無記

小計

1) ゼロ 4 1 0 0 0 56 61

2) 0~100万円 15 2 0 0 0 34 51

3) 100~300万円 13 0 1 0 0 12 26

4) 300~500万円 2 2 0 0 0 8 12

5) 500~1000万円 6 8 1 0 1 8 24

6) 1000~2000万円 2 4 2 0 0 12 20

7) 2000~3000万円 2 2 4 0 0 8 16

8) 3000~5000万円 4 2 4 0 0 6 16

9) 5000~10000万円 1 1 6 0 0 11 19

10) 10000~20000万円 2 2 3 1 1 12 21

11) 20000~30000万円 1 0 0 1 0 8 10

12) 30000万円以上 1 1 1 1 2 9 15

無記入 0 2 0 1 0 106 109

小計 53 27 22 4 4 290

付表 2-31 塩素系物質に関する配管規模とその設備投資額

塩素系物質

1)

500イ

ンチ

・m

未満

2)

500~

1000イ

ンチ

・m

3)

1000~

5000イ

ンチ

・m

4)

5000~

10000イ

ンチ

・m

5)

10000イ

ンチ

・m

以上

無記

小計

1) ゼロ 0 0 0 0 0 9 9

2) 0~100万円 9 0 0 0 0 1 10

3) 100~300万円 3 0 0 0 0 1 4

4) 300~500万円 2 0 0 0 0 4 6

5) 500~1000万円 2 0 0 0 1 1 4

6) 1000~2000万円 2 1 0 0 0 3 6

7) 2000~3000万円 1 0 0 0 0 3 4

8) 3000~5000万円 1 0 0 0 0 5 6

9) 5000~10000万円 2 0 1 0 0 4 7

10) 10000~20000万円 0 1 1 0 0 2 4

11) 20000~30000万円 1 1 0 0 0 3 5

12) 30000万円以上 1 0 0 0 0 4 5

無記入 0 0 0 0 0 3 3

小計 24 3 2 0 1 43

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(エ)まとめ

(社)日本化学工業協会の 158 社を対象とした事業所アンケートにより、同協会の自主

的取組報告の実績排出値のおよそ 75%を平成 12、16、17 年度について安定的に把握でき

た。

上記の差異の要因については、日化協の自主的取組実績調査の対象が約 140 社 606 事業

所(17 年度)であるのに対し、今般の調査での回答は 108 社 302 事業所(自主的取組参加

中との回答は 263 事業所)であったことによると考えられる。企業数でのカバー率は 77%

で、事業所数でのカバー率は 50%である。排出量カバー率が事業所数カバー率を上回って

いるので、606 事業所の中ではやや大規模な事業所が中心に回答されたと考えられるが、事

業所ごとの排出量は各年度とも良く捉えられ、物質ごとの排出量も整理されているものと思

われる。

このアンケートのような無記名・選択肢方式のアンケートは、日化協のご協力の下、平成

13 年度以降行っているが、業界団体や他の事業者からの類推を避けることが可能であるこ

とが最大の特徴である。これにより、守秘性が担保され、多くのデータが回収できるが、個

別のデータが誰のデータかは回答した人にしか分からない仕組みになっている。事業者個人

にとっても、自分のデータが全体集計の中でどのような位置にあるのかを確認することが出

来、有用なフィードバックになり得る。業界団体にとっては、本節に示したように、簡単な

項目間の解析でも様々な側面から全体傾向を掴むことが出来る。

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添付

資料

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