13
W-C-C・三元共晶融液中のWCの粒成長 土方倹三,塩川 Kenz6Hijikata,T6ru Shiokawa:Grain Gro Tungsten Carbide in W・C・Co Eutectic Solutio 1 炭化タングステソ(WC)粉末と金属コパルト粉末の混合物を圧縮成形し加熱焼結してえられ る超硬合金は通常W-C-Co系三元共晶温度1298。C1)以上で加熱して製されるから液相を伴な う焼結である。この焼結過程で原料WC粉末粒子は成長するが,粒成長は焼結の温度,時間の ほか添加混合するCoの量,原料WC中の結合炭素量および遊離炭素量によっても影響される ことがGurland2)によって報告され,またWC粒子の大いさが超硬合金の機械的物理的性質 に大きな関係をもつことが同じ著者によって広範囲に研究された。 とくに巨大に成長したWC粒子が含まれていると超硬合金を工具などの材料に使用する場合 に材料破壊の原因となる。それゆえWC粒子の巨大化を防止するためWCに固溶するTaC, TiC,Cr3c2,vcなどの炭化物の少量を加えることが工業的におこなわれている。しかし添加 炭化物の混合が十分均一でない場合は巨大WC粒子が発生しやすい。 原料WC粉および焼結後のWCの粒子は単一の大いさではなく粒度分布を持つが,粒度分 布曲線では数量的取扱いが困難であるから多くの場合求めた粒度分布曲線から平均粒経を算出 し,これによって粒成長を取扱うことが多い。しかし平均粒経では粗大化した粒子は細粒子の 存在によって打消されることもあるので粒度を考察するには平均粒経のみでは不十分である。 0。6 0.4 0.2 WC powder 3ぬr 100為r WC・Co(16%) S三nteringtemperature 1400℃ 0 1 2 3 4 Grain size of WC(μ) 5 6 Fi陛1 Effect of Sintering Time on Size Distribution of WC Grain(Gurland) 1

W-C-C・三元共晶融液中のWCの粒成長 土方倹三,塩川...W-C-C・三元共晶融液中のWCの粒成長 土方倹三,塩川 了 Kenz6Hijikata,T6ru Shiokawa:Grain

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W-C-C・三元共晶融液中のWCの粒成長

土方倹三,塩川 了

♪ Kenz6Hijikata,T6ru Shiokawa:Grain Growth of

Tungsten Carbide in W・C・Co Eutectic Solution

言緒1

 炭化タングステソ(WC)粉末と金属コパルト粉末の混合物を圧縮成形し加熱焼結してえられ

る超硬合金は通常W-C-Co系三元共晶温度1298。C1)以上で加熱して製されるから液相を伴な

う焼結である。この焼結過程で原料WC粉末粒子は成長するが,粒成長は焼結の温度,時間の

ほか添加混合するCoの量,原料WC中の結合炭素量および遊離炭素量によっても影響される

ことがGurland2)によって報告され,またWC粒子の大いさが超硬合金の機械的物理的性質

に大きな関係をもつことが同じ著者によって広範囲に研究された。

 とくに巨大に成長したWC粒子が含まれていると超硬合金を工具などの材料に使用する場合

に材料破壊の原因となる。それゆえWC粒子の巨大化を防止するためWCに固溶するTaC,

TiC,Cr3c2,vcなどの炭化物の少量を加えることが工業的におこなわれている。しかし添加

炭化物の混合が十分均一でない場合は巨大WC粒子が発生しやすい。

 原料WC粉および焼結後のWCの粒子は単一の大いさではなく粒度分布を持つが,粒度分

布曲線では数量的取扱いが困難であるから多くの場合求めた粒度分布曲線から平均粒経を算出

し,これによって粒成長を取扱うことが多い。しかし平均粒経では粗大化した粒子は細粒子の

存在によって打消されることもあるので粒度を考察するには平均粒経のみでは不十分である。

0。6

0.4

0.2

WC powder

3ぬr

100為r

 WC・Co(16%)S三nteringtemperature

   1400℃

0 1 2     3     4

Grain size of WC(μ)

5 6

Fi陛1 Effect of Sintering Time on Size

   Distribution of WC Grain(Gurland)

1

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Gurland2)は16%Coを含む超硬合金中のWC粒子の成長状況を1400℃で3hrおよび100hr

焼結した試料について原料WC粉末と粒度分布曲線の対比を求めFig・1の綜果窒得ている。

これによると約1、αの所に分布の山をもつ原料WC粉は焼結時間の経過によって粒子が成長

し,分布の山はなだらかとなり,粒経の大ぎい方向にずれることがわかる。しかしこのように

粒成長を粒度分布曲線で取扱う例はきわめて少ない。

 本実験は原料のWC粒子が焼結過程で粒成長する状況を二組の粒度分布をもつそれぞれ細粒

群と粗粒群およびそれらの混合物を原料に用い,種々の温度,時間条件で焼結したもの,また

Co添加量を変えた試料につぎ焼結体中のWCの粒度分布と平均粒経との両面から粒子の成長

を観察し,また各条件での最大WC粒子の経を求めたもので,異状成長をした巨』大WC粒子

発生の条件を探る手がかりをうることを目的とした。

豆 試料および実験方法

WC粉末およびCo粉木は三菱金属鉱業(株)大井工場より提供されたもので,それらの化学

Table l Chemical Analysis and Meall Parしicle Size of WC*and Co*Powders

Chemical Analysis(%)

lExperiment P・wders  T6taI

i            Carbon

M乙anParticleS圭ze(μ)1

Free Carbon  Oxygen

   Fine    、VC ・    6.17

1   Coarse WC   6.16

        Co

0.12

0.04

0,04

0,02

C 塑騨Cムし

・ーeMm

S  [

s一

S

1.0

0・9112.01i

-1

   iFine wci 6.13E   Coarse WC i  6.19

        CO l

0.11

0.08

0、05

0,02

0、66

1.6

3.4

1.1

1.8

3.5

   * Ooi Work,Mitsubishi Meta亘Mining Co.

分析値および平均粒経をTable1に示す。実験は二段階におこない,実験1においてはWC

94%,Co6%と組成を一定としTable2にあげたWC粒度の組合せで焼結温度を1400,1450,

1500QC,時間を90夕180,360minとした。また実験HではCo量を6,10,15%にとりTable

 Table2Mixmg Ratio of WC Powiers     2に示すWC粒度の組合せで焼結温度を

     P。wder  MixingRati・Expe「iment

N。. F魚6 Wσ記面詫一WC                                   (%)    ⊆髪⊇

       1      0     100

  1     2     50     50

       3     100      0

皿 4567

55噂05

34FO6

5FO[OFb

6内043

2

1350,1400,1450,1500。C,時間を90,

180,360minにとった。Fig.2は実験1

で用いたWCの粗粒群および細粒群の粒

「慶分布曲線を表わし, Photo.1はそれ

らの電子顕微鏡写真である。

 両実,験を通じWC粉末とCo粉末との

混合,成形,焼結はつぎの方法でおこな

った。それぞれの組成に両粉末を秤量し

メノー乳鉢中で概拝混合した後テトラリ

ン(1級)の少量を添加して湿式混合の

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1

04

0.3

噛 0.2

0。1

Fine WC(Mo。3)

Mean size・0。913μ

Experime“t I

Coarse WC(No、1)

Meansize

2.01μ

0・ ・.5 ・.・ 1,5 2,。 2。5 a。 35

            Particle S…ze(μ)

 Fig.2Particle Size Distribution of WC Powders

             ●

醸1    罐灘   “翻 羅 騰 マz趾’ 繋難纏一鰯雛

       鍵i灘、,欝、羅 醗羅 露欝

    (a)fme WC(0,913μ)            (b)coarse WC(2,01μ)

      Pho士01Electron Micrograph of WC Powders(×3000)

後,真空乾燥機中で約48hr乾燥してテトラリンを除去する。原料混合粉を10mmφの鋼製金

型中で1t/cm2の圧力で成形し10mmφ×5mmhの成形体を製する。焼結には発振周波数400

±40KC・出力max・8KWの高周波電流真空加熱炉(Photo.2)を用いた。Fig。3に加熱の主

要部分を,Fig.4に真空系統を示した。黒鉛製のルツボ内の黒鉛皿に酸化ベリリウみ粉末をひ

き,その上に成形体試料をならべ,炉内全体を約10-3mmHgに減圧し,高周波電流を流して

加熱する。昇温速度は5・5。/minで,発振管のプレート電圧1200V,プレート電流150mA,

グリ・ッド電流20mAの場合1500。Cまで約4hrを要する。温度が上昇するに従いルヅボ,

保温濡黒鉛粉末,試料などからのガス発生で真空度が低下し,約10-2mmHgとなる。しかし

Coの蒸気圧が高く3)高真空ではその蒸発が甚だしいので,Brownleeら4)の報告を参考とし,

共晶融液を生ずる温度 (1298。C)以.LではEjectorの運転を止め,油回転ボンプのみで0。5×

3

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l

I

O O o O O O O O O

Vaouum Temperature Measurment (Optical pyrometer)

lOO c

80 c

28 c

36 c

;j~.6:c~

Fig. 3 Schematic View

Quartz tube

Graphite tube

O Graphite powder

O O sintercorund crucible

O Graphite crucible

O specimen

O O Graphite plate

~High frequency coil

O Crucible holder ( S inte rcorund)

of Sintering Sy5tcm

~f

r*'*~'=~

~~:

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I'~ -"'~"{ . .~

~~:

~~~=i~~~~ ~ '~~~~~~~~ ~~'=* '

s*

'・~

Furnace

(1)

Vacuum (2)

gauge s

4'

Oil ejector

(3)

Cas

d inlet

$

cas

Rotary pump

Leak valve Leak valve

Dustcorreetor

Fig. 4 Vacuum

autlet

Sy s I e m

Photo. 2 Hlgh Frequency Vacuum Sintering Furnacc

! 1, ;

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×10-1mmHgとした。

 焼結温度は炉体の上部ノゾキ窓を通し光高温計により試料表面部分を測定した。焼結時閥終

了後高周波電流を切り,真空ポンプは運転したまま炉冷する。

 焼結体はまずSic回転砥石で荒削りし,つぎにダィヤモンド研摩をおこない,村上試薬3)

(NaOH:赤血塩:水=1:1:10)により研摩面を腐蝕した。乾燥後Bra(11ey4)の報告にした

がって腐飾面の二段プリカをとり,このものを電子顕微鏡にかけて1000倍に,さらに写真引伸

で3000~5000倍の組織写真をうる。これらの写真からWCの粒度分布および最大粒経を測定

し,粒度分布から平均粒経を算出した。なお一条件における測定WC粒子の数は約500である。

皿 実験結果

Table3にWC94%,Co6彩の組成の成形体をそれぞれの条件で焼結した試料のWCの平

Table3Grain Size of WC after Sintering(Experiment I)

WCPowder

No.

123123123

Sintering     Sinte「玉ngT呈me(min)              『1  闇        下Temperature     g7     1    180     1    360

   (ゆ1轟伽ig鼎伽縣伽iG轟ll&轟G藷§i嘉

1400

 (μ)     (μ)     (μ)1     (μ)i     (μ)

             3.4    7.68・5、 3・3  6・86.o   2.91 6.8             3.1    8.56.8     2.6     6.8             2・9  8・5

1450

7.6

8.5

7.6

1500

12.9

21.0

7.6

3.5

3.1

3.5

77【」343

8.5

7.6

7.6

11.4

29.0

12.6

4.3

3.5

3.5

4.4

6.0

4.1

14.8

21.0

10。1

19.4

37.1

14.5

μ(65PD

3336.5

6.5

4.2

7.8

13.8

6.1

                 1

    *WC94%,Co6%   紳Vacuum Sintering(5×10甲2mmHg)

均粒経と最大粒経の測定結果を纏めた。平均粒経では焼結温度の高いほどまた時間の長いほど

粒成長し,細粉であるNo,3WC粉を用いると粗粉のNo.1WC粉の場合に比べ平均粒経が小

さい。しかし細,粗の混合物であるNo.2WC粉を使用すると細,粗それぞそ単独のWC粉の

みの場合に比して粒子の成長はいちじるしい。WCの最大粒子経は14000Cおよび1450。C焼結

では平均粒経の2倍程度であるが,細,粗混合物のNo.2WC粉では焼結温度1500。CでWC

の異状成長による巨大粒子が発生し,その大いさは平均粒経の3~4倍にもおよぶ。

 またFi9.5,Fi9・6に1400Qcおよび1500。cで焼結した試料中のwc粒度分布曲線の焼結

時間による変化を示した。縦軸は粒子数の分率ノを示すが,Fig.5のNo.2WC粉を用いた

実験では細,粗の混合粉のあらわす粒度分布の二つの山は消滅し,一つの山になることがわか

る。Fig・6に示した1500QC焼結の場合は焼結時間が長くなると,粒度分布曲線の形が粗の方

洵に移動し,WC粒子の成長がよく認められるが,360min焼結したものの分布曲線は2~4μ

5

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o

0。3

0.2

0.1

0

0.2

0.1

0

0。2

0。1

    1500℃肘o.1;coarse WC100%

     WC・Co(6%)

90

Sinteringt三me

  360min

180

90

180

360

     1500℃

N・・2儲r,eWgll髪

     WC-Co(6%)

360min

180

90

360min

180

90

    工5000C

No,33fine WC50%    WC囎Co(6%)

匙00

    1    2    3    4    5    6    7

          GでaIn size of WC(μ)

Fig。6 Effect of Sintering Time on Size Distribution of

    WC Grain after Sintering at1500。C

O.3

0。2

0,1

o

0,2

0,1

0

0,3

0.2

0.1

 %鮒

 06

 0(

 &O

cc弔

・WC

OO

eW

4.s

工『 a

 O

 C

 α

 N

 18090

Sinte茸!㎎time

 360m:n

360

180

  Sinteringtimo90min

    14000C

N・・2撫rSe鞭1髪

      WC-Co(6%)

LO

Q

180

360

Sfnteringtime

90min

   Mσ00C

No,3:fine WC loO%

    WC-C・(6%)

Fig.5

1    2    3    4    5    6    7

       Gra:n size of WC(μ)

Effect of Sintering Time on Size Distribution of WCgrain after Sintering at4400。C

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、亀

議鑛職

    fine WC-Co(6%)       伽e WC(50%)十coaτse WC(50%)一Go(,6%)

        Photo・3・(1)M孟crostructures of WC-6%Co sintered at1400。C for90min・(×3000

ーー刈

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co

Mixing Ratio of WC Powder : coarse WC 50% : fine WC 50%

Photo. 3.(2) Microstructure of WC- 6 %Co sintered at 1500' for 180min ( ><3000)

~~~~

'~~'

**** ' *~'~:::~'*~'~ !~~'*. ~ '" ~~~;*-*~';*~ =

'~'if"'~' ~i i'~). ~ '~~' ~'~i~"'*~ = ';""' ~ ~ *~'~~'~>~~::i~~)~{.

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fine wc-CO( 6 %) coarse wc-Co( 6 %)

Photo. 3.(2) Microstructures of WC- 6%Co sintered at 1500ec for 90min (x3000)

/

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の間の粒子数の分率∫が0.15~0.18となり,分布の形が台形を表わしている。

 Photo.3はこれらの試料の電子顕微鏡写真である。

 Table4は実験∬の中,組成をWC94%,Co6%とした実験の結果である。原料WC粉末

は細粉,粗粉とも実験1に使用した原料に比して粒経が大きい。また細粉,粗粉の配合比は

Table2に示した通りである。Table4からみると焼結温度が高く時間の長いほど平均粒経

      Table4Grain Size af WC after Sintering(Experiment I1)

         WC Sintering    Sinte「ingTime(mi瓜)

Po wder  Temperature l     90                              360                     180

Nα  (嘲謡着i、el藷瓢謡藤器§i、,                           G,撫ize騰a&ze

            (μ)・

4567

1350

1400

1450

1500

5.8

5.2

6.3

6.1

7.9

6.5

8.1

8.5

7.6

8.5

9.3

11.2

12.9

13.5

16.8

15.1

ンμ

(2568

33335779

3333

 (μ)

6.5

5.7

7.2

8.6

7.6

6.8

10.5

10.9

7990

3334

91“乙1

3444

8.6

7.8

13.1

14.5

11.4

20.0

19.3

19.7

μ

(7003

3444

4.1

4.2

4.2

4.7

4.2

4.6

4.5

4.7

4.3

4.7

4.8

4.8

 (μ)

7.7

8.2

7.3

9.2

8.5

7.9

8.3

11.3

8.7

10.2

18.1

20.6

19.8

22.1

25.3

30.2

 (μ)

4.1

5.0

5.0

5.9

5.0

5。5

5.3

6.0

5.3

5。8

5.8

6.1

5.4

6.3

6.1

6.2

    *WC94%,Co6%   **Vacuum S三ntering(5×10-2mm1{g)

は大きくなり粒の成長が認められるが,最大粒経と平均粒経との比は1500。C,180minおよび

360min焼結の場合4倍から5倍に達する。 (Table4ゴヂック体数字参照)ここで顕著なこ

とはNo。6およびNo。7のWC粉すなわち粗粉に・対し細粉の多い場合に巨大粒子が発生する

ことである。

 Table5は実験■の中Co配合量を変化させた場合の結果で,焼結時間は180minである。

それぞれの焼結温度でWCの平均粒経にCo量がそれ程大きな影響を与えていない。Gurland2〉

はCo量が多いほどWC粒成長は温度によって敏感に響くと報じているが,本実験結果では平

均粒経で表わすとそれ程顕著とは言えず,14500Cおよび1500。Cの焼結でむしろ最大粒経に

Co量が強く影響することを認めた。Table5でコヂック体の数字はこれを示し,平均粒経の

4~5倍の巨大粒子が生じている。

 Photo・4はWCの巨大粒子を・ またFig.7にCo量のことなる三種の試料中のWC粒度

9

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Table5Grain Size of WC after Sintering(Experlment II)

WCト

I Sintering

l Temperature

      (。C)

Co(%)

Powder 6 10 15

No.   M誠‘…一”M壱an  -Maズー『r-Me吾五 “皿M百X   MeanGrain SizeGrain SizeGrain SizeGrain S{ze Grain S丘zeIGrain Size、

45ρG7

1350

μ

(5726

6一〇78

 (μ)

3.7

4.0

4.0

4.3

 (μ)1

7.3

6.8

8.1

8.6

 (μ)

3.8

4.4

4.3

4.5

μ

(9075

7Qぜ88

4ロ」67

1400

7.6

6.8

10.5

10.9

4.1

4.2

4.2

4.7

8.1

8.8

7.7

8.5

4。0

4.6

4.3

4.4

7.6

9、7

9.3

10.9

』倦567

1450

8.6

7.8

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14.5

4.2

4.6

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4.7

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10.9

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13.5

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4.6

4.6

14.9

11.4

16.1

14.5

4567

1500

11.4

20.0

19.3

19.7

4.2   16.8

4.7   14.5

4.8  16。94.8   19.3

4.5

4.9

5.3

4.5

20.3

21.9

25.8

23.5

 (μ)

4.3

4.5

4.5

5.0

4.3

4.8

4.6

5.6

4.7

4.8

4.5

5。5

4.8

4.8

4.9

6.0

*Sintering Time 180min紳Vacuum Sinterlng(5×10-2mmHg) ●

Photo.

Mixing Ratio of WC Powder=

fine WC65%:coarse WC35%

4Microstructure of WC一・15%Co  sinteredat1500。Cfor180min(×750)

分布曲線を示した。

10

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0.3

0,2

0.1

10%

No,7Powder

 /

6%

  S五駄ter三ng1500。C

     180minNへ7・{織、,轡8號

15%Co-WC

/  10%Co-WC

 0 0     1     2     3     4     5     6

            G翌ain5董ze of WC(μ)

Fig。7Effect of Coba正t Content on S三ze Distribution of WC

   Grain after S圭ntering at1500。C for180min.

             6%Co・WC       15%

8

w 考  察

ρ

 液相を伴なう焼結における固相粒子の成長は超硬合金2)のみならず古くはW-Ni-Cu(正{eavy

Metal)からはじまりTiC-Ni7)8)9),Fe一一Culo)さらに酸化物たとえばMgO-Va“adium ion11〉

などで検討された。これらによるとこの現象の巨視的解釈はつぎの通りである。

 加熱焼結によって系に液相を生ずると表面エネルギーの高い細粒子の表面および粒子の突起

部分は液相中に.溶解し,表面エネルギーの低い部分たとえば粗粒子の表面に析出し,細かい粒

子のあるものは液相中に溶解し去り,粗粒子はますます成長して粗大になる。したがって粒成

長の速さは粒子表面から液相えの溶解速度,液相中の拡散速度および粒表面えの析出の速度の

中いずれかかが律速となって定まる。

 本実験における各条件でのWCの平均粒成長速度を平均粒経を基として計算するとTable6

Table6Growth Rate of WC Grain during Sintering

i WCPowder No.1

134567

Mixing Ratio Mean Grain Growth Rate (μ/min)

Fine WC  (%)

00

 0

 1

5FD【D5

3456

1継衝)L135・。

00

01

65  1   0.006

55  1   0.005

45      0,005

 3510・009

14000

0。0003

0.005

0.006

0.007

0.006

0.008

1450。

0.008

0.007

0.006

0,008

0.007

0.008

1500・c Sinte「in区

    Time(mm)

0.012

0.012

0.007

0.009

0.008

0.008

360

180

   *WC94%,Co6%

の結果をうる。これらの値をみると加熱温度の高低よりも加熱時聞が成長速度に響くようであ

る。Cech12)は10vol%および25vo1%のCoを含むWC-Co系の焼結によるWC粒成長速

度としてTable7に示す結果を報じている。10vol%は約6wt%に相当するが,本実験の

結果に比してその値が大きい。

 粉末の粒度を表わすのに平均粒経を用いることが多い。しかし平均粒経ではその粉体群の中

11

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Table7Growth Rate of WC Grain during Sinte血g(Cech)

Composition WC-10vo1%Co WC-25vol%Co

lSinteringTemp(ゆ1

Growth Rate(μ/min)

1 1300  1800  1200  0、016      0.137      0.024

1600

0.195

*Sinte「ing t圭me 360min

に含まれる微細あるいは巨大の粒子のあり方が明確でない。液相を伴なう焼結において固相で

ある粒子の成長を考える場合にはこの事は重要である。分布曲線の裾が細,粗両方向に大きく

拡っている場合と比較的そろった粒経をもつ場合とで等しい平均粒経を示すことがあるからで

ある。

 Table3において1500QC,360min焼結の場合,細,粗(50:50)の混合粉では平均粒経も

成長しているが,最大粒子は37μにも達した巨大粒子となっている。他の焼結条件でもゴヂッ

ク数字で示したように細,粗の混合粉を原料とした場合とくに巨大のWC粒子を生じている。

細粒子の液相えの溶解,液相中の拡散つづいて粗粒子表面えの析出を粒成長の機構と考えるこ

とが巨視的には当をえたものであり,粒度分布曲線の裾の拡りの狭い場合は比較的巨大化し難

いことが理解できる。これはTable4の1500QC,360min焼結の結果にも適合する。

 焼結体中の結晶粒子の粒度測定は精確に行ない難いので,数量的あるいは数式による取扱い

は困難であり定性的とならざるを得ないが,液相を伴なう焼結において粒子の成長を考える場

合には平均粒経のみでは不十分で,同時に粒度分布を考慮に入れる心要が認められた。

 超硬合金の工業的製造に際しては,すでにTaC,Tic,VCなどの少量添加がWC粒子の異

状粒成長の抑制に効果を挙げているが,基本的には原料に用いるWCの粒度分布が重要であ

り,ひいては粗原料の粉砕条件にも関係があると考える。

碕,

V 結  言

 加熱焼結で共晶融液を生ずる超硬合金中の炭化タングステン粒子の成長を種々の試製条件の

WC-Co系焼結体について観察した。原料に用いた炭化タングステン粉末の粒子はいずれの条

件でも粒成長するが,とくに炭化タングステンの細粒群と粗粒群との混合物を原料に使用する

とコバルト添加量6~15鰯,焼結温度1500。Cでは細粒群,粗粒群単独にコバルトを添加した

ものに比して炭化タングステン粒子の成長が大きく,さらに顕著なことは両群の混合粉を用い

た場合に異状に成長した巨大炭化タングステン粒子の出現することである。これは原料炭化タ

ングステン粉末の粒度分布の裾が拡っている場合におこると考えられるので,巨大粒子の生成

を避けるには分布の裾の狭い粒子群を原料に選ぶことが必要と思われ,したがって平均粒経の

みで粒度を扱うことは不十分であることが認められた。

 本実験におこなうに当り原料粉末を提供され,焼結体のダイヤモンド研磨をされた三菱金属

鉱業(株)大井工場に感謝し,実験の一部に協力した小泉清君にお礼を述べます。

一12一

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