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2017・5 AFCフォーラム 15 調調調便調調便便調調便調調調調食の志向は 健康、安全が上昇 ネット利用は 配達の利便性に人気 消費者の食の志向や消費動向はどのように変化して いるのでしょうか。今年1月に実施した消費者動向調 査の結果について、そのポイントをご紹介します。 日本政策金融公庫 農林水産事業 Report on research 情報戦略レポート 調使2016年度 下半期消費者動向調査

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2017・5 AFCフォーラム 15

 

消費者動向調査は、消費者の食

や農業に関する意識・意向を把握

するため、日本公庫が毎年二回実

施しているものです。

 

二〇一六年度下半期調査では、毎

回実施している「食に関する志向」

の他、「食料品の購入先などの動向」

について調査しました。消費・社会

構造が変化する中で、多様化する

販売チャネルへのニーズを知るこ

とでマーケティングの材料となる

ことを目的としています。

食に関する志向

 若い世代に「簡便化」傾向

 

消費者の現在の食の志向では、

「健康志向」が四四・一%と前回調査

(二〇一六年七月)より二・五ポイン

ト上昇しています(図1)。「経済性

志向」は三五・二%で前回調査より

〇・一ポイント、「簡便化志向」は三

〇・二%で一・四ポイントと若干低

下しているものの、「健康」「経済性」

「簡便化」が引き続き三大志向と

なっています。

 

今回の調査では「安全志向」が二

一・九%と前回調査より二・二ポイ

ント上昇しており、「健康志向」と

「安全志向」が高まっていることが

うかがえます。

 

年代別では、二〇歳代と三〇歳代

で「簡便化志向」が上昇し、今回の調

査では一位となりました。また、四

〇歳代では「経済性」が一位となっ

ています。なお、五〇歳代以上では

「健康志向」が一位となり、年代が上

がるにつれて、「健康志向」の比率が

高くなっています。

 輸入食品のイメージ改善

 

食料品を購入するとき、あるいは

外食するときに国産かどうかを気

に掛けるかどうかを聞きました。

食料品の購入時に「気に掛ける」は

八〇・四%と前回調査より三・八ポ

イント上昇しました。

 一方で、外食時に「気に掛ける」は

三三・九%と四・二ポイント低下と

なり、食料品の購入時と外食時の

気に掛ける割合の差は、調査開始

以来最大となっています(図2)。

 

国産原料の食品と輸入食品に対

するイメージはどうでしょうか。国

産食品は「おいしい」「色・形が良い」

との評価が三期連続でわずかなが

ら低下、輸入食品は「おいしい」が三

期連続で上昇し、「安全面に問題が

ある」が低下しています(図3)。こ

のことから、依然として国産食品の

支持は高いものの、輸入食品のイ

メージが改善してきていることが

うかがえます。

 

次に輸入食品と比べ、どのくらい

の価格レベルまでなら国産食品を

選ぶか、いわゆる価格許容度を聞き

ました。「割高でも国産品を選ぶ」は

六四・一%と前回調査より二・七ポ

食の志向は健康、安全が上昇ネット利用は

配達の利便性に人気

消費者の食の志向や消費動向はどのように変化しているのでしょうか。今年1月に実施した消費者動向調査の結果について、そのポイントをご紹介します。

日本 政 策 金 融 公 庫 ◦ 農 林 水 産 事 業

Report on research

情報戦略レポート

イント上昇し、調査開始以来三番目

に高い割合となった一方、「三割高

を超える価格でも国産品を選ぶ」

は一八・三%と低下しており、輸入

品との価格差が大きい国産食品は

避けられる傾向がうかがえます

(図4)。

食料品の購入先などの動向

 購入先の鍵は安さ、品ぞろえ

 

食料品を主に購入する先を聞い

たところ、「デパート・スーパー」が

九六・七%と最も高く、次いで「ド

ラッグストア」二〇・二%、「八百屋、

肉屋、魚屋などの商店」一九・一%、

「農産物直販所」一六・六%、「コンビ

ニ」一六・四%と続いています(図

5)。

 

購入先を選ぶ主な理由として、

「安さ」七〇・七%、「品ぞろえの多

さ」六七・二%、「商品の質」六五・

四%が高い割合となっています(図

6)。

 

なお、「ポイント制度がある」二

五・九%、「商品の支払いにクレジッ

トカード・電子マネーが使える」一

四・六%、「古紙・ペットボトル・缶・

ビンなどリサイクル資源の回収が

可能」八・〇%も一定の割合となっ

ており、商品の値段、種類、質に加

え、きめ細かいサービスの提供が期

―2016年度 下半期消費者動向調査―

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16 AFCフォーラム 2017・5

Report on research

︻調査概要︼

調査対象

 

全国の二〇〜七〇歳代の男女二〇〇

〇人(男女各一〇〇〇人)

実施時期

 

二〇一七年一月一〜一五日

調査方法

 

インターネットによるアンケート

[注]図については、四捨五入の関係上、合

計が一致しない場合があります。

待されていることがうかがえます。

 ネット通販利用に課題

 

高齢化や買い物難民の増加など

で、食料品が自宅や自宅付近で購

入できるネットスーパーや移動式

スーパーが注目されます。

 

そこで、購入先に「ネットスー

パー・ショッピングサイトによる宅

配」を選択した人七・二%に対し、利

用する主な理由を聞きました。その

結果、「食料品を運んでもらえる」が

六八・八%と最も高く、「手間がかか

らない」四七・二%、「食料品を購入

する時間がない」一九・四%、「食料

品を購入できる場所が遠い」一四・

六%と続きました。このことは利便

性を重視していることを印象付け

る結果となりました(図7)。

 

反対に、「ネットスーパー・ショッ

ピングサイトによる宅配」を選択し

なかった人に利用しない理由を聞

いたところ、「実際に商品を見て選

べない」が六〇・九%と最も高く、

「価格が高い」三三・四%、「受け取り

が面倒」二四・一%、「注文の仕方が

分からない・面倒」一一・八%となり

ました(図8)。このことから、注文

サイトの見やすさや内容の充実、配

達システムの工夫が課題と言えそ

うです。

 

購入先に「移動式スーパー」を選

択した人は〇・一%にすぎませんで

した。拡大の可能性を探るため、選

択しなかった人に今後利用する可

能性について聞きました。その結果、

「利用は必要がない」が七五・七%と

多数となりました。

 一方で、「利用したいが、サービス

が提供されていない」が一八・四%、

「サービスは提供されており、今後

利用する可能性がある」が三・二%

となり、利用を検討する人が二つ合

わせて二割を超えました(図9)。

 

商品を実際に目で見て購入、予

約注文もできる移動式スーパーは、

今後拡大の余地があると言えそう

です。

 

今回ご紹介した内容を含む本調

査結果に関する公表資料は、当公庫

ホームページに掲載しております。

(https://ww

w.jfc.go.jp/n/findings

/investigate.html#sec04

)  

(情報企画部 

五十嵐 拓)

図1 現在の食の志向の推移/2つまで回答

健康志向

経済性志向

簡便化志向

安全志向

手作り志向

国産志向

美食志向

0 10 20 30 40 50 60(%)45.4

41.041.741.644.1

32.438.4

36.435.335.2

26.027.9

31.231.630.2

25.421.1

20.119.721.9

18.723.6

21.822.822.7

18.519.0

18.018.3

17.3

11.99.810.9

10.010.1

2015/7

2016/7

2016/1

2015/1

2017/1(今回)

図2 食料品を購入するとき/外食するときに国産品かどうか    を気に掛けるか

(1)食料品を購入するとき

(2)外食するとき

気に掛ける

気に掛ける

気に掛けない

気に掛けない

食料品は購入しない

外食しない

2014/1

2014/1

2014/7

2014/7

2015/1

2015/1

2015/7

2015/7

2016/1

2016/1

2016/7

2016/7

2017/1(今回)

2017/1(今回)

0

0

20

20

40

40

60

60

80

80

100(%)

100(%)

77.5 19.3 3.3

77.4 18.9 3.8

79.6 17.4 3.0

80.0 18.1 2.0

77.9 18.1 4.1

76.6 20.2 3.2

80.4 16.7 3.0

35.3 55.5 9.3

35.6 55.0 9.4

39.1 52.2 8.8

39.1 52.5 8.5

41.9 50.0 8.1

38.1

33.9

53.0

57.9

8.9

8.3

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2017・5 AFCフォーラム 17

図3 国産原料の食品/輸入食品に対するイメージ

(1)価格

(2)安全面

(3)おいしさ

(4)見た目

国産食品 輸入食品

安い

安全である 安全である

おいしい おいしい

色・形が良い 色・形が良い

安いどちらともいえない

どちらともいえない どちらともいえない

どちらともいえない どちらともいえない

どちらともいえない どちらともいえない

どちらともいえない高い

安全面に問題がある 安全面に問題がある

おいしくない おいしくない

色・形が悪い 色・形が悪い

高い

2015/7

2015/7

2015/7

2015/7

2015/7

2015/7

2015/7

2015/7

2016/1

2016/1

2016/1

2016/1

2016/1

2016/1

2016/1

2016/1

2016/7

2016/7

2016/7

2016/7

2016/7

2016/7

2016/7

2016/7

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

2017/1(今回)

0

0

0

0

0

0

0

0

20

20

20

20

20

20

20

20

40

40

40

40

40

40

40

40

60

60

60

60

60

60

60

60

80

80

80

80

80

80

80

80

100(%)

100(%)

100(%)

100(%)

100(%)

100(%)

100(%)

100(%)

3.225.1 71.8

4.028.2 67.9

3.7

3.0

27.1

26.2

69.2

70.9

4.465.4 30.3

3.064.1 33.0

3.1

3.1

65.5

66.6

31.5

30.3

3.8

3.7

72.8

69.4

23.5

27.0

2.7

3.9

69.9

70.3

27.5

25.9

1.949.2 49.0

2.452.3 45.4

2.5

2.5

52.3

52.6

45.3

45.0

2.365.8 32.0

1.764.8 33.6

1.3

2.0

63.2

62.7

35.6

35.4

3.079.3 17.7

4.778.1 17.3

4.8

4.9

78.3

78.5

16.9

16.7

1.748.9 49.4

2.048.5 49.5

1.5

2.1

47.3

46.8

51.3

51.2

4.979.8 15.3

6.777.7 15.6

6.2

6.2

78.4

77.6

15.5

16.3

図4 国産食品の輸入食品に対する価格許容度3割高を超える価格でも国産品を選ぶ 2割高までなら国産品を選ぶ

同等の価格なら国産品を選ぶ1割高までなら国産品を選ぶ

3割高までなら国産品を選ぶ

国産品へのこだわりはない

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

2016/1

2016/7

2017/1 (今回)

割高でも国産品を選ぶ 62.8

割高でも国産品を選ぶ 61.4

割高でも国産品を選ぶ 64.1

18.6 12.618.0 17.0 24.79.2

19.0

18.3

12.8

11.3

16.5

18.6

17.6

17.8

25.8

24.8

8.4

9.3

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18 AFCフォーラム 2017・5

Report on research

図5 食料品を主に購入する先(複数回答可)図7 「ネットスーパー・ショッピングサイト」を利用する   主な理由(複数回答可)

図8 「ネットスーパー・ショッピングサイト」を利用しない   主な理由(複数回答可)

図6 食料品を購入する場所を選ぶ主な理由(複数回答可)

0

0

0

0

20

20

20

20 3010

40

40

40

40 50 60

60

60

6080

デパート・スーパー

食料品を購入できる場所が遠い

品ぞろえが少ない

実際に商品を見て選べない

注文の仕方が分からない・面倒

商品の質に不満がある

価格が高い

受け取りが面倒

その他

食料品を購入する時間がない

食料品を運んでもらえる

お店で食料品を購入するよりも手間がかからない

その他

八百屋、肉屋、魚屋などの商店

農産物直売所

ドラッグストア

コンビニ

生協などによる宅配

ネットスーパー・ショッピングサイトによる宅配

移動式スーパー

その他

安さ

品ぞろえの多さ

商品の質

新商品の多さ

購入場所の近さ

営業時間の長さ購入場所の雰囲気・

イメージ車が止めやすい

ポイント制度がある古紙・ペットボトル・缶・ビンなど

リサイクル資源の回収が可能商品の支払いにクレジット

カード・電子マネーが使えるその他

図9 「移動式スーパー」の利用検討状況移動式スーパーの利用は必要がない移動式スーパーを利用したいが、サービスが提供されていない移動式スーパーのサービスは提供されており、利用を検討したことはあるが、利用に至らなかった移動式スーパーを利用していたが、利用をやめた移動式スーパーのサービスは提供されており、今後利用する可能性がある

75.7 18.42.5

0.2

3.2

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100(%)

100(%)

80(%)

80(%)

70(%)

96.7

19.1

70.7

67.2

65.4

9.7

47.4

17.1

16.5

30.5

25.9

8.0

14.6

0.8

16.6

20.2

16.4

13.2

7.2

1.0

0.1

19.4

14.6

68.8

47.2

11.8

9.3

60.9

11.8

9.5

33.4

24.1

6.4