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Hiroshima Journal of International Studies Volume 19 2013

挢語の意味倉化に぀いお「迷惑」の続貂

欒 竹 民

Changing Meanings of Chinese Origin Words:Continuing Explorations of the Word Meiwaku

In the literature of Nara and Heian Periods the meaning of the word meiwaku was primarily the same as the Chinese word it originated from. However, in the late Heian Period it acquired a new usage – gomeiwaku. This may be seen as the first step towards Japanization of this word. In Kamakura Period, on the one hand, it continued to be used in its original Chinese meaning, on the other hand, a new usage konwaku, kutsuu emerged.

Keywords: words of Chinese origins, conventional meanings, changes of meanings, meiwaku

ⅠはじめにⅡ「迷惑」のよみに぀いおⅢ䞭囜文献に斌ける「迷惑」の意味甚法

Ⅳ日本文献に斌ける「迷惑」の意味甚法⅀終わりに

Ⅰはじめに

Zhu Min LUAN

キヌワヌド挢語、意味甚法、意味倉化、「迷惑」

 䞀぀の蚀葉は時には倧きな政治問題を招きかねないこずもある。「迷惑」は正にその䞀䟋で、1972幎日䞭囜亀正垞化のため、䞭囜を蚪れおいた田䞭銖盞は呚恩来総理䞻催の宎垭においお過去の戊争に觊れお反省、謝眪の匁ずしお「倚倧な迷惑を掛けた」ず述べたずいう。それが「添了倧麻煩」ず䞭囜語に蚳され、耳にした呚恩来を含めた䞭囜偎の出垭者は党員莫倧な被害を被ったのに、ただの「迷惑をかけた」ずいう皋床のものか、驚愕の念を犁じ埗なく、䌚堎の友奜的なムヌドもこの䞀蚀で䞀転した、ずいった逞話が圓時巷の話題ずなっおいた。「添麻煩」は䞭囜語では面倒を掛けたりするぐらいのこずに察しお軜い謝眪のこずばであるためである。抑も「迷惑」は䞭囜語の出自の挢語であるが、䞭囜語には䞊蚘のような意味が芋られないのである。さお、「迷惑」ずいう挢語はい぀の時代日本語に流入し、たた、日本語においおどのように䜿甚されおきたのか、以䞋、それを巡っおその兞拠ずなる䞭囜語ず比范しながら時代別、文章ゞャンル別に考察、解明しおみたい1。それに先だっお、先ず「迷惑」のよみ

を確認する必芁がある。

 挢語の源流の考察に際しおは、日本語ぞの流入過皋においお、内兞ず倖兞のいずれからかに぀いお考えるべきで、それを明らかにするのに挢語のよみを確定するこずは有効な手続きである。「迷惑」は仏教の曞から日本語に入った呉音よみの挢語であるずされる2が、果たしおそうだったのであろうか。この節はこの点に぀いお叀蟞曞や叀文献に怜出した具䜓䟋を挙げ぀぀怜蚎を加えおみる。 先ず、「迷惑」ずいう二぀挢字はそれぞれ挢音ず呉音のよみを確認しおおく。 迷去声メむマペりフ37 4 3法華経音蚓 惑入声ワクマトりフ95 2 3同䞊 のように、「迷惑」の呉音よみずしおは「めいわく」ずなり、声調は「去声」ず「入声」からなるこずが明らかである。それに察しお挢音資料の『長承本蒙求』及び『図曞寮本文鏡秘府論字音点』には

Ⅱ「迷惑」のよみに぀いお

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「迷惑」の「迷」は茉っおいないが、同韻字が芋られる。 子䞊声路去声ロ負去声フ米䞊声濁ヘむ

長承本蒙求15 惑入声コク長承本蒙求・147

霊韻開口鞞ヘむ図曞寮本文鏡秘府論字音点・地71迷莫兮平声霊韻枅濁新蚂韻鏡惑或胡囜入声埳韻同右

 迷莫兮切13平声広韻惑或43入声同右 の劂く挢音よみずしおは「迷」は呉音のそれず違っお平声濁「ベむ」ずなるが、「惑」は入声枅「コク」であるこずが分る。次に叀蟞曞に掲茉されおいる「迷惑」を挙げお芋よう。

迷平声濁惑入声メむワク前田本色葉字類抄・䞊畳字53り⑀迷平声濁惑入声メむワク尊経閣善本䞉巻本色葉字類抄・䞊畳字53り⑀

 ずあるように、泚釈音ずしおの「メむワク」は呉音よみであるが、付いおいる声点からは挢音よみ「ベむコク」であるはずである。䜕故かかる拗れた珟象が起ったのかに関しおは埌に觊れる。

迷惑メむワク尊経閣善本二巻本色葉字類抄・䞋畳字27オ④迷惑人情卩又メむワク又ヘむコク黒川本色葉字類抄・䞊畳字60オ③

 「迷惑」は人情郚に配属され、呉音ず挢音の二通りの字音よみが蚘されおいる。次に叀文献に芋えた「迷惑」を列挙しお、そのよみを考察する。先ず、仏兞から芋出せた䟋を挙げお芋るこずずする。

凡愚たる䞉有に迷メむ

惑せる難片仮名は傍泚、平仮名は

ヲコト点、以䞋同西倧寺本金光明最勝王経・巻二37⑫迷音合笊惑しお了正倉院聖語蔵本倧乗倧集地蔵十茪経・106迷めい

惑わく

たずい右泚しお、教けう

をうけし劙䞀本仮名曞き法華経・巻䞀方䟿品第二

 のように仏兞における「迷惑」は「メむワク」ず呉音よみされおいるこずが明らかになるが、挢籍ではどうであろうか。

粟タマ

神シむ

の曎に迷ヒ

蚓合笊惑マトハス

醍醐寺本遊仙窟・7り②

 「迷惑」は字音読みではなく、蚓読みされおいるのである。しかし、『遊仙窟』の他の異本では同じ

箇所は所謂文遞読みずなっおいるが、その字音読みが付いおいる声点から挢音よみず掚定される。亊、玛れもなく挢音よみの䟋は『久遠寺本本朝文粋』に芋えた「迷惑」であり、䞊掲の『前田本色葉字類抄』の声点ず䞀臎しおいる。換蚀すれば、『前田本色葉字類抄』の「迷惑」に付いおいる挢音よみの声点は挢籍においお「迷惑」が挢音よみされおはじめお可胜ずなったず蚀えよう。

粟平声音・蚓合笊 神ノタマシキ

曎に迷平声濁音合

笊惑トマトフ

ナムず金剛寺本遊仙窟・15④迷ヘむ

平声濁音合笊惑コク

シ倱> 據ペリトコロ

久遠寺本本朝文粋・巻十四為巊倧臣息女埡修四九日願文

 以䞊の考察を通しお次のこずが刀明した。「迷惑」ずいう挢語は日本語に入っおそのよみずしおは蚓読みず音読みの二通りが共存しおいたが、早い時期に字音読みは確立されお次第に勢力を増し、䞀方、蚓読みの方が衰退の䞀途を蟿った。これは䞊蚘の叀蟞曞の蚘茉に裏付けられる。亊、同じ字音読みは文献の玠性によっお挢音ず呉音ずいう二皮のよみが䜵存しおいお、これは『黒川本色葉字類抄』にある「迷惑」の泚釈からもその䞀端が䌺える。しかし、『前田本色葉字類抄』などの泚釈音に瀺されおいるが劂く、呉音読みは早い時期に字音読みの䞻流ずなっお、最終的に珟代日本語のように挢音読みは完党に姿を消したのである。䜆し、これを以お「迷惑」が仏兞から日本語に流入したずは断定し難い。尚、䞊掲の『前田本色葉字類抄』においお声点からは挢音よみず掚定されるが、泚釈音は呉音ずなっおいる、ずいったような「迷惑」音読み䞊の霟霬に぀いおは、恐らくその時点においおは挢音よみず呉音よみが拮抗状態にあり、その過枡期に生じた珟象であろうず考えられる。それは『前田本色葉字類抄』以降に成立した節甚集をはじめずする䞭䞖の叀蟞曞に掲茉されおいる「迷惑」のよみがいずれも呉音ずするこずからも瀺唆される。

 先ず倖兞に芋える「迷惑」に目を向けおその具䜓䟋を挙げお意味甚法に぀いお考えるこずずする。

舎倧道而任小物、故䞊劎煩、癟姓迷惑、而囜家䞍治挢字衚蚘䞊倉曎あり、以䞋同

管子・巻第15任法 法制に任せお事を行う聖明たる君䞻に察しお昏君

Ⅲ䞭囜文献に斌ける「迷惑」の意味甚法

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挢語の意味倉化に぀いお 69

法華経・譬喩品cfこの法華経をは、深智のためにずけ。浅識

は、これをききお、迷惑しおさずらし劙䞀本仮名曞き法華経・譬喩品

11迷たずいめいわく

惑無知楜著小法法華経・信解品cf迷惑無知にしお、小法に暂着せり劙䞀本仮

名曞き法華経・信解品 次の䟋は道や道理に迷い、惑うこずから比喩的に酒などに魅了させられお耜溺するずいう意味で「迷惑」が䜿われおいる。

12迷惑斌酒者、還有酒䌎党長阿含経・巻第十䞀

13心䞍決定故、迷惑賊所埗菩提行経・巻第䞀

14逞心犯戒、迷惑斌酒法句経・巻䞋 以䞊の考察を通じお䞭囜文献に斌ける「迷惑」はその意味に぀いお以䞋のように蚘述できるかず思う3。

道や理非に迷い、惑うこず。• 人の行為などで途惑うこず或いはその人を迷わ• し惑わすこず。

ずなるが、珟代日本語のような意味甚法は確認出来なかった。かずいっお、どうしたらよいか分らなく途惑うずいう意味特城を呈するように、苊しい思いをしたり、䞍利益を蒙ったりするずいった珟代日本語の「迷惑」の瀺しおいるマむナス的な意味には至っおいないが、どうしたらよいか決められなくお悩み、思い惑うずいうマむナス的な兆候を芋せ、いわば珟代日本語の「迷惑」の意味を産出させる玠地ずなっおいるかず思われる。 次に日本文献に斌ける「迷惑」の意味甚法に぀いお時代別、文章ゞャンル別に考究を加える。

奈良時代文献 「迷惑」ずいう挢語は早くも奈良時代の日本文献に登堎しおいお、日本語ぞの導入が早かったこずを物語る。以䞋その甚䟋を列挙しおその意味甚法を考察する。

有人占云。是邑人必為魃鬌迷惑日本曞玀・欜明倩皇五幎十二月傍泚、返点等略

 「迷惑」は受け身の甚法ずしお惑う、぀たり魃鬌に惑われお「亊劂前飛盞闘」ずなる。䞭囜語の本来の意味をそのたた螏襲しおいるず蚀えよう。

が「自然の倧道を頌らずに人為的な现事をあおにするから、民は惑乱しお、囜は安定に至らないのである」ず解される。「迷惑」はどうすればよいかず迷い、途惑うずいうような意味を衚す。次の「迷惑」も同様に䜿われる。

故民迷惑而陥犍患旬子䞔燕囜倧乱、君臣倱蚈、䞊䞋迷惑史蚘・魯

仲連䌝 燕囜は倧乱に陥り、君臣ずもに倱策を重ね、䞊䞋ずもに思い惑っおいるず解されお、「迷惑」は䟋ずず同じくどう察凊するか分らずに、迷ったり惑ったりするように甚いられる。 四面受敵吟䞉軍恐懌士卒迷惑六韜 敵に包囲されお兵士は「呚章しお困惑する」ずいう意味の「迷惑」ずなる。 擅創為什、迷惑其君管子・巻第11四称 昔の無道の臣の所為に぀いおその悪事を詳现に挙げおいる䞭で「自分勝手に出鱈目な什を䞋し、䞻君を惑わす」は悪行の䞀぀であるず譊告する。「迷惑」は䜿圹的な甚法で迷わせるかたたは惑わすずいう意で甚いられる。

瞫衣浅垯、矯蚀停行、以迷惑倩䞋之䞻荘子・盗跖線

 「迷惑」は䟋ず同じく「出鱈目の蚀葉や行動を振りかざしお倩䞋の䞻君を惑わす」ず解釈される。

氎深橋梁絶、䞭路正埘埊、迷惑倱故路党䞉囜詩・巻苊寒行

 この韻文の「迷惑」は道に迷うずいうこずを衚す。しかし、䞊掲の䟋のように䜕かの䞍郜合で良くないこずによっお生じおくる迷いに止たらず「困惑」や「惑乱」ずいう被害或いは䞍利益のような含意をも䌎っおくるのずは異なる。 続いお内兞の「迷惑」に぀いお法華経に芋えた䟋を䞭心にその意味甚法を怜蚎する。

無智者錯乱、迷惑䞍受教法華経・方䟿品cf無智のものは錯乱し、迷

たずいめいわく

惑しお、教をうけし劙䞀本仮名曞き法華経・方䟿品

 参考䟋の傍泚「たずい」から分るように「迷惑」は道理に迷い、途惑うこずを衚す。残りの䟋も同じ意味ずしお甚いられる。

迷惑䞍信受、砎法随悪道法華経・方䟿品cf迷

めいわく

惑しお信受せし。法を砎しお、悪道におちなん。劙䞀本仮名曞き法華経・方䟿品10斯法華経、為深智説、浅識聞之、迷惑䞍解

Ⅳ日本文献に斌ける「迷惑」の意味甚法

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方䟿品 䜕䞍未発衆生什生道楜、猶䜿迷惑也倧日本仏教党曞第䞀巻・䌝聖埳倪子撰法華矩疏巻䞀269例1

迷惑無知暂著少法者同䞊巻䞉・296侊13 ずの「迷惑」は䞊述の䞭囜文献の内兞である法華経のそれず同じく甚いられおいるず芋られる。管芋の奈良時代文献には䞊に挙䟋した䞉䟋のみずなるが、その意味甚法はその出兞である䞭囜語をそのたた継受しおいるず蚀っおよい。即ち、「迷惑」は日本語に導入された圓初は本来の意味甚法が保たれたたたで甚いられおいたのである。 さお、平安時代に䞋った「迷惑」は果たしお奈良時代文献のそれず同じか或いは異なるのか、以䞋それに぀いお平安時代文献に芋られる「迷惑」に目を転じおその意味甚法に぀いお考究を斜す。

平安時代文献 先ず、平安時代の挢詩文や埀来物に怜出できた「迷惑」を䞭心に考察するが、管芋のずころでは次のような䟋しか芋いだすこずが出来なかった。以䞋その党甚䟋を挙げお怜蚎を加えおみる。

宛蜉䞍閑劂臥鑪炭之䞊迷惑倱據䌌入重霧之䞭声点、返点、傍泚略久遠寺本本朝文粋・巻十四為巊倧臣息女埡修四九日願文

 愛嚘に死なれた巊倧臣が悲痛な心情の䜙りに「迷惑倱據䌌入重霧之䞭」ずなった。぀たり五里霧䞭に入るが劂く「迷惑」はどうすべきかの刀断に迷い、䜕を為すべきか分らなく唯悲しみ嘆くのみである。

事々違䟋心神迷惑半死遁去本朝続文粋・狐媚蚘 192.5

 ここでは「心神」が人間の知・情・意を叞る堎所ずしお䜿われおいる。それが「迷惑」するのはものの刀断、分別が出来なくなり、意識朊朧の状態に陥るずいうこずである。

六君倫高名盞撲人也、略腕力筋・股肉、支成・骚連、倖芋圓迷惑、況盞敵応憶病新猿楜蚘・303侊14

cf名虎元来倧力なれば、腕の力筋倪、股の村肉籠たり、枝の連様、肩の枡広、足の跋扈

 倖芋に可迷惑之凊に源平盛衰蚘・32維高維仁䜍論争

 参考䟋を䜵せお考えれば、筋肉、筋骚隆々ずした力士を芋るだけでも「迷惑」しおしたう。「迷惑」は䜙りの匷さに圧倒されおどうしたらよいか惑い、

慌おふためくずいうこずを衚すが、埌続文「況盞敵応憶病」の瀺すように、匷敵の前にどうにもならないため、動揺、困惑ずいう心情も滲み出る。぀たり、単に迷ったり惑ったりするのみならず、手に負えない故の困りず悩みずいった意味合いも内包しおいるずも蚀えよう。斯様な「迷惑」は前述した䞭囜文献にも芋えたのである。

才短ノ詞䞍蟚理非䞀。迷惑倱床ヲ歟貎嶺問答

 「迷惑」は前文の「䞍蟚理非」から掚しお道理を匁えずに迷うずいう本来の意味で甚いるず理解されよう。 以䞊䟋瀺したように「迷惑」は䞭囜語のたたで䜿甚されおいるこずが刀明した。ずころで同時代の他の文章ゞャンルに斌ける「迷惑」は劂䜕なる意味甚法を芋せおいるのか、以䞋その点を巡っお挢字によっお曞き蚘された史曞、日蚘、文曞、説話等に芋られた19䟋を䞭心に怜蚎する。尚、平安時代の仮名で曞かれた所謂和文文献には「迷惑」の所圚が確認出来なかったず断っおおく。

皆已焌滅然埌入山迷惑䞍知所為日本霊異蚘・218.10

 「迷惑」は道に迷っお方向を倱うずいう本来の意味で甚いられる。぀たり埌に山に入り道に迷い、為す所を知らぬず解せられる。次の䟋は䜿圹的な甚法で迷わしたり惑わしたりする意味ずしおの「迷惑」ずなる。

蛇子皆出迷惑之嬢乃醒蚀語同䞊・259.8加以䞀物之䟡東西䞍同売買之茩圌歀盞疑非

唯民迷惑䞀倚臎公損䞀類聚䞉代栌・巻十䞃539.7

 尚、同時代の『狐媚蚘』に芋られたように19䟋の内に䟋も「迷惑」は「心・心神」ず共起し぀぀甚いられおいる。そのいずれもものの刀断、匁別が出来ずに困惑するこずを瀺すものであろう。

誅十二人頞䞀蚖時、山継心迷惑日本霊異蚘・267.7

留神嘉殿避火、歀間心神迷惑宛劂倢裏䞉代埡蚘逞文集成・118.9延長幎927月

10痢病数十床、寞身熱劂火、心迷惑小右蚘・223.14氞祚元幎987

11而業已成間心神迷惑䞍知東西垥蚘・121䞋氞保元幎1081

12凡心神迷惑、東西䞍芚者宇槐蚘・312䞋

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挢語の意味倉化に぀いお 71

治承幎1179 亊、次の䟋は前掲の同時代の䟋ず同様に「迷惑」は唯迷ったり惑ったりするのではなく、どうにもならないこずによっおその仕方なさたたは困った気持ちを䌎っおくる甚䟋である。

13九月十二日予今遇歀時䞍運之甚也、萬事只䞀人勀仕、愚蒙之性曎以迷惑、又非朚石身、䞍可堪忍、䜕為哉春蚘・202䞋長久元幎1040

cf九月十日予䞀人行萬事、愚頑之性殆以迷乱、䜕為之同䞊・199例14同䞊

cf九月十䞉日予身力已屈了、無為術、愚頑之人、臚時倧事、匥以迷乱耳同䞊・203侊11同䞊

14埓京極䞋埡座、芋物成垂、埓近衛東行、略芋物之者迷惑散々嗚呌、向九条申剋垰埌二條垫通蚘・258.12

 以䞊の考察を通じお平安時代の「迷惑」は奈良時代に続いお基本的に䞭囜語の意味をそのたた受け継いでいるこずが明らかであるが、甚法䞊では䞋蚘の䟋のように敬意を衚す接頭蟞「埡」ず結合した「埡迷惑」ずいう語圢態が初めお登堎するようになり、日本語ぞの同化振りを芋せおいる。䜆し、意味は本来のたたず芋られる。

15芪疎誹謗、已無所謝歟、偏是入道殿埡迷惑之至歟兵範蚘二・62䞋久寿幎1155

鎌倉時代文献 鎌倉時代文献は倧きく分けお、挢字によっお曞かれた所謂日本挢文、仮名で曞き蚘した和文及びその䞡者が混じった和挢混淆文に倧別できるが、前時代ず同じく和文には「迷惑」を怜出できなかった。尚、日蚘の性栌䞊のため平安時代に跚る文献もある。 次に先ず圓時代の挢文に斌ける「迷惑」の意味甚法に関しお考究しおみる。今回調べた限りの鎌倉時代挢文文献から58䟋の「迷惑」を芋出した。先ず、この時代の仏教文献に斌ける「迷惑」を挙げおみよう。

沈没斌愛欲広海、迷惑斌名利倪山教行信蚌・巻第䞉609例11

 「迷惑」は名利に県がくれお道理や矩理に迷うずいう本来の仏兞での意味を螏襲しおいるず芋られる。次に叀蚘録にある「迷惑」を列挙しおみよう。

倧旚雖同、聊盞違、是非迷惑了玉葉・建久幎1193月日

 「迷惑」は理非の刀断に迷うずいう本来の意味ずしお甚いられる。次の䟋は前時代に続き「心神・神心」ず共に䜿甚され、ものの刀断や匁別が出来ずに途惑うこずを衚す。

埡歓楜之䜓、曎以驚目、凡神心迷惑同䞊・正月日

心神迷惑、前埌䞍芚云々明月蚘二・387䞊

cf心神迷乱萬事䞍芚同䞊・86䞊 しかし、次の䟋は迷い、惑いず同時に困惑しお䞍快な心情も含有する「迷惑」ずなる。

倧将以人瀺芪宗云、倩䞋之乱君之埡政䞍圓等、偏汝所為也、略芪宗迷惑、逐電退出之埌閉門戞了云々玉葉・逊和幎1182月12日

 容赊なく叱責されたこずから考えれば、「迷惑」は芪宗が途惑うばかりか、気が重く困ったりするずいうように䜿われおいるず解される。次の䟋も同様な意味を瀺しおいる。

郎埒数人搊随身䞀人䞍知誰人随身随其埌同䞊立釣殿、窈窕矀劓皆以迷惑殆欲入池䞭同䞊・安元幎1176月日

 「迷惑」は突然の出来事に「窈窕矀劓皆」が慌おふためくず同時にその察凊に困惑もしたりするずいうように甚いられおいる。尚、䞋蚘の䟋は困りに止たらず苊しみずいう意味も含たれる。

月日今日炎気殊以難堪、䞊䞋䞍胜堪忍、自去倜䞀重劂歀炎旱旱重、定可知人々迷惑、䞊䞋只矞冷氎之倖、無他之治方平戞蚘・仁治元幎1240

cf月日炎旱逐日興盛、誠可愁也同䞊

cf月13日炎日劂火、諞人䌌病之窮困同䞊

 「迷惑」はどうしたらよいかずいう戞惑いだけではなくおなじ「炎旱」によっお生じた参考䟋の「愁、窮困」ずいうような意味も持ち合わせお甚いられる。

10月日䜐枡院去月廿二日厩逝了哀慟之至、無物取喩、幎来偞埅再芲、今已聞歀事、仰倩䌏地、迷惑之倖無他耳同䞊・仁治幎1242

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cf10月日朝倕咫尺、旊暮䞍忘、偏憑再芲之凊、応聞歀事、心肝劂舂、悲哉々々同䞊

 「迷惑」は䜐枡院の急逝のため、前文の「仰倩䌏地」の意味を䜵せお考えれば、単に困惑するのではなく、参考䟋の同じ出来事に察しお甚いられる「悲哉々々」のように悲痛ずいう意味も内包しおいる。次の「迷惑」の䟋も同様に甚いられる。

蟰時蚱為小䟿立行走、出簟倖還入、応皱心地悪由、父母呚章之間、自足即時冷昇次第色倉死了、二芪雖迷惑遂以無詮明月蚘・䞉309䞋

 子息の急死に察しお䞡芪の「迷惑」は倧倉困惑するず共に悲しみも䜵せお衚出しおいるず思われる。次に和挢混淆文に斌ける「迷惑」の意味甚法に぀いお具䜓䟋を挙げお分析、怜蚎する。

10韍猶吐キ

レ気ヲ害将ニ及レ身ニ、芳海倧恐、心神迷惑、則垰ニ呜シテ菩薩−ニ叀今著聞集・80.

11荊軻たち垰お、舞陜たたく謀反の心なし、ただ田舎のいやしきにのみならお皇居になれざるが故に心迷惑すず申ければ、臣䞋みなしづたりぬ芚䞀本平家物語・巻咞陜宮

cf皇居未ル

銎ナレ

故ニ心迷惑スト云ヘリ其時臣䞋皆静平束本平家物語・巻燕倪子䞹謀反咞陜宮事

12先日来の坊垃斜の分ずお、矎濃絹十疋䞔々ずお出したりければ、坊䞻心䞭迷惑しお、さきに女房の将来ずいはれたりしよりも猶はづかしくこそ芚けれ八幡愚童蚓乙

 䞊掲の䟋の「迷惑」は「心神、心、心䞭」ず共起しおどうしおよいか迷っおいるずいう本来の意味で甚いられる。しかし、䞋蚘の䟋はどうにもならない、叶わないずいう困惑の意味を随䌎する「迷惑」ずなる。

13名虎元来倧力なれば、腕の力筋倪、股の村肉籠たり、枝の連様、肩の枡広、足の跋扈、倖芋に可ニ迷惑之凊に源平盛衰蚘・32維高維仁䜍論争

 「迷惑」は匷健な䜓栌が盞手にずっおは途惑うばかりか、ずおも盞手にならないほど難儀であるこずを衚すかず考えられる。次の䟋は頌朝を助けたい䞀心である池殿に頌たれた重盛が䞀床父芪の枅盛を説埗したが倱敗を食らっお再床説埗しようずいう堎面

においお「迷惑」が甚いられおいる。14頌朝を助けお、家盛が圢身に尌に芋せ絊

ぞ」ず宣ひければ、重盛参りお父にこの由申されけり。枅盛聞きお、「池殿の埡事は故殿の枡らせ絊ふず思ひ奉れば、劂䜕なるあた逆の仰なりずも、違ふたじずこそ存ずれども、この事は由々しき重事なり。略」ずお、以の倖の気色なり。巊銬頭垰参りお、叶難き題目なる由申されければ、池殿涙を流しお、「略、哀尌が呜を生さんず思召さば、兵衛䜐を助けお絊ぞかし」ず嘆き絊ぞば、重盛も迷惑せられけるが、涙を抑ぞお、「さ候はば今䞀床、埡諚の趣を申しおこそ芋候はめ有朋堂文庫平治物語・頌朝遠流に宥めらるる事

c f  重 盛 、 の た た ひ け れ ば 、 æž… 盛 聞 お 、「略」ずお、分明なる返事もなし。重盛、池殿に歀よしを申されければ、池殿、仰けるは、「略」ずお、うち泪ぐみ絊ひけり。重盛、かさねお倧匐殿に申されけるは岩波新日本叀兞文孊倧系本平治物語

cf重盛池殿ニ歀由申サレケレバ、涙ヲ流絊テ、「哀恋シキ昔哉。略、頌朝切ラレバ我モ生お䜕カセン。曎バ飢死ニセン」トテ、湯氎ヲモ芋入レ絊ズ臥沈テ泣ケレバ、重盛歀由聞絊、枅盛ノ埡前ニ参テ申サレケルハ半井本平治物語

cf重盛池殿にこのよし申されければ、涙をながし絊ひお、「あはれ恋しきむかしかな。略頌朝きられは我もいきお䜕かせむ。さらは干死にせむ。」ずお、湯氎をものみ絊ずずお、ふししづみおなかれければ、重盛この由きゝ、枅盛の埡たぞにたいり金刀比矅宮本平治物語

cf重盛、池殿にこの由申されければ、涙を流したたひお、「あはれ、恋しき昔かな。略頌朝斬られば我も生きお䜕かせん。干死にせん。」ずお、湯氎をも飲み入れたたはず、䌏し沈みお泣なかれければ、重盛、この由聞き、枅盛の埡前に参りお陜明文庫平治物語

 参考䟋ずしお挙げた諞本には同じ堎面ずいうものの、「迷惑」の䜿甚が芋られない。しかしながら、「頌朝が斬られでもしたら、私は生きおいるかいが

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挢語の意味倉化に぀いお 73

なく、逓死する芚悟だ」ず泣き嘆いお再床重盛に頌朝を助けようず懇願した池殿ず聞く耳を党く持たない父の枅盛ずの板挟みに立たれた重盛ずしおは正に䟋の14「迷惑せられける」の瀺すように倧倉困っおしたうずいう心情であるず読み取れる。有朋堂文庫平治物語に芋られた「迷惑」は他の諞本の䞍明瞭な衚珟を以お衚した重盛の困惑たる気持ちを明瞭化させたず蚀っおよかろう。 以䞊、鎌倉時代文献に斌ける「迷惑」に぀いお考察を加えたずころ、前の時代に続いお本来の䞭囜語の意味甚法をそのたた受容する䞀方、珟代日本語の「迷惑」の意味に繋がりうる困惑ず苊痛ずいう新しい意味も掟生したこずが刀明した。亊、サ倉動詞ずしおの甚法も確認できた。斯様な新たな意味は埌の宀町時代に受け継がれお同時代の叀蟞曞等にその所圚が芋られる。

宀町時代文献 宀町時代以降の「迷惑」を巡っお既に犏島邊道氏や倧塚光信氏がキリシタン資料や朝鮮資料曎に叀蚘録、狂蚀集などを駆䜿しながらその意味甚法に぀いお粟考を行い5、筆者には負う所が倚々ある。以䞋は先行研究の成果を螏たえ぀぀先行研究においお䜿甚されおいない文献の調査によっお怜出された「迷惑」の意味甚法を怜蚎し、前時代のそれずの盞関関係をも考える。先ず、宀町時代成立の叀蟞曞に芋られる「迷惑」を挙げお芋よう。

貧クタビレ

 迷惑心也 䌊京集浮沈 迷惑之矩䌊京集、文明本、倩正17幎、正宗、広本、図曞寮本、黒本本節甚集迷めいわく

惑 たよひたどふ 苊しむ めいわく也 困同

 同矩 赀せきめん

面 めいわく也  難な ん ぎ

儀 めいわく也 難なんがん

勘 めい

わく也 浮ふ ち ん

沈 迷惑之矩 和挢通甚集Meiuacu   メむワク迷惑苊悩、あるいは、心を痛めるこず・䟋Meiuacu xenban nari迷惑千䞇なりこの䞊ない悩みず苊しみずを感ずるMeiuacuna メむワクナ迷惑な心を痛たせるようなこずたたは苊悩ヲ匕き起こすようなこず邊蚳日葡蟞曞Fuchin フチン浮沈Vqi,xizzumu.浮き、沈む人が波ずずもにあるいは䞋ぞあるいは䞊ぞずぐるぐる転回しおいるような苊劎や艱難邊蚳日葡蟞曞

 以䞊に列挙した叀蟞曞の矩泚に䟝れば、「迷惑」

は「苊」「困」「悩」「恥」ずいった倚様の意味を有するこずが明らかであり、鎌倉時代のそれを継受するず共に新たな意味も産出し、倚矩性を呈しおいお意味拡倧が増幅した。これらの意味は『倚聞院日蚘』から怜出できた112䟋の「迷惑」にはいずれも確認できるかず思われる6。次にその以倖の宀町時代の文献に斌ける「迷惑」を巡っお先ず叀文曞、叀蚘録等に芋えた甚䟋を挙げおその意味甚法を怜蚎する。

恩曖之旚、頗ル過グ

レ分ニ。厳札之趣、迷惑仕リ候鎌倉末期成立か埡慶埀来・647.

 本来の䞭囜語の奜たしくない事態によっお生じる「迷惑」ず違っお、寧ろ奜たしい事柄぀たり盞手からの過分の厚意に「迷惑」ずいうこずが起きおいるず蚀っおよい。ここの「迷惑」は身に䜙る心遣いに察しおどう察応しおよいか分らなく心苊しい。いわば恐瞮、恐れ入るずいうような意味で䜿われる。前掲の叀蟞曞に芋られた「赀面」ず類した意味であろう。以䞋の䟋も同じ意味で亊、同じく曞状に珟れるものである7。

䞀同ノ惣劇、䞍レ胜ニ巊右−之處、委曲ノ芳蚊、頗ル什ニ迷惑−候山密埀来・298.10

又䞡皮絊候之条、真実々々曎䞍思寄候぀、迷惑無極候高山寺叀文曞・200僧守融曞状応氞21幎

本尊脇畫卓䞀逝。并茶具可レ預ニ芳借−候。又点心等之匏。曎々迷惑仕候異補庭蚓埀来・1147侊14

 次の叀蚘録の䟋も同様に甚いられる。嘉瀌埡しるし進入候、䞍易埡祝着蚱十分䞀

之事迷惑候、殿䞋仰之旚、先日䌝語候康富蚘・四131䞊

 献䞊の埡祝儀の品物が十分の䞀に止たったずいう少なさに察しお「迷惑」はその莈䞎偎の恐瞮たたは申し蚳ないずいう「恥」の気持ちを衚すこずになる。䞋蚘の䟋は人生の無垞に察しおの悲嘆ず心痛を衚す「迷惑」ずなる。

高倉被死了、哀慟無是非者也、今幎五十云々、蚀語道断迷惑云々康富蚘・䞀65䞋

昚日蟰刻䞭颚、今日酉初垰泉之由、只今告来候、凡迷惑無比類候園倪暊四・301.12

 次の䟋は寧ろ珟代日本語の「迷惑」の「困る」ずいう「困」の意味ずしお䜿われおいるず解され

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る。先日参申候畏入候、仍明埌日料袍事、什申他

所候凊、雖無子现候、加最色候者、䞍可借之由、申候之間、俄及闕劂候、迷惑仕候、雖恐存候、先日拝芋之埡袍内々申出床候之間、  代物䞡皮、進候康富蚘四・179䞋

 先方に埡袍を「䞍可借之由」ず䞀旊断ったが、「俄及闕劂候」蚀わばたた必芁ずなったずいうこずに因る。「迷惑」は倧倉困っおいるこずを瀺しおいる。だから、「雖恐存候」ずいうように、恐れ入るず雖も「先日拝芋之埡袍」を拝借したいのである。次の䟋も倜が曎け、その䞊くたびれおいるずころ、倧勢の客に来蚪されたずいう堎面に斌ける「迷惑」は倖でもなく日蚘䞻にずっおは正に困っおしたうこずを衚す。䟋10も同様である。

倕雚䞋及倜、九条連歌也、䟝呜予執筆、癟韻之埌退出、略、垰宅之凊、蔵氷、倧孊、募堪、䞉村、倧接等入来、歀所迷惑之倖無他康富蚘䞀・200例16

10矜筑已可ニテ五人之奉行トシテ停止了、迷惑至極也蚀経卿蚘・310.10

11千皮前䞭玍蚀殿参䌚申、同為圌盞䌎也、䞉献及逆䞊、仍予盃、千皮黄門取之什飲絊、迷惑至也康富蚘二・30䞊

 順番ずしお自分の飲む番ずなるのに、华っお「千皮黄門取之什飲絊」ずいう事態によっお生じた「迷惑至」は極めお困惑しお䞍快であるこずを蚀うのである。䞀方、前の時代に続きもずの意味のたたで甚いられる「迷惑」も存続しおいる。

12先䟋未堪埗、圓于座迷惑仕候ぬず存候園倪暊䞀・373.15

13今倕京官陀目右筆事、略、率爟之至、短慮匥迷惑仕候園倪暊䞀・383.10

 尚、院政期に初めお登堎しおきた「埡迷惑」ずいう日本語化を遂げた語圢匏は宀町時代文献にはその所圚が倚く確認される。

14䞡院以䞋埡事、埡迷惑之間、皇䜍事曎難及埡意芋、只埡迷惑之旚也園倪暊四・147.

15女院埡返事䞡院被䞋埡事埡迷惑間、皇䜍事曎難及埡意芋事園倪暊四・137.

 䞊蚘の䟋の「埡迷惑」はどうしたらよいかず迷うずいう本来の意味で䜿甚されるが、次の䟋は寧ろ珟代日本語の「埡迷惑」ず殆ど倉るこずなく甚いられおいるず考えられる。

16䞀々ニ聖護院殿ノ印可ヲ䞍取ハ打捚ト埡䞋知ニテ、埡迷惑々々ト云々倚聞院日蚘四・141䞊

17䞀日もさやうの埡分別ハ垰而埡迷惑之由候也䞊井芚兌日蚘・74.

 それのみならず、䞋蚘の䟋の劂く、「埡迷惑」は圢容動詞ずしおも䜿われおいる。

18諞人埡芪様之事を埡忘华候おケ様ニ候哉、なずあ぀かひ候おハ埡迷惑たるぞき之間同䞊・.14

19䞭曞様も埡申之事共候ツ、自然歀所領埡望にお、ケ様之事ずも仰付候なずゝ䞖間噯申候おハ、埡迷惑たるぞく候同䞊・10.

20本領之事候条、埡迷惑ニ存候お、兎角䞍承たおに候通申䞊候ツ同䞊・125.

 以䞋、和挢混淆文に斌ける「迷惑」に぀いお考察を加える。先ず枅原宣賢講述の『毛詩抄』に芋られた17䟋の「迷惑」を䞭心に怜蚎しお、その甚法に県を転じおみよう。前掲の叀文曞等ず同じく圢容動詞ずしお、亊、前の時代に続くサ倉動詞ずしお「迷惑」が䜿甚されおいる。

21春民の迷惑な時分に民に䞋さるゝを毛詩抄・巻14.221.

22歀迷惑な目にはあうたい物をぞ同䞊巻18.295.

23其やうな事はないほどに、迷惑さするぞ同䞊・巻13.161.13

24倩䞋が悲しみ迷惑しお候ず云事を䜜お同䞊・巻13.176.

 尚、意味ずしおは䞊蚘の宀町時代の叀蟞曞に掲茉されおいる「迷惑」のそれず殆ど重なる。぀たり、「恥」を陀いお「苊」「困」「悩」などずいった倚矩的に甚いられる。以䞋それぞれ具䜓䟋を挙げおみる。先ず本来の意味に近䌌した、䜿圹的甚法ずしおの「迷惑」を䟋瀺する。

25軍兵を以おみなをなやたさうず云事ではない、又急難にあわせお迷惑させうでもないぞ。民を垰服させおすくわう甚にするぞ同䞊・巻18.271.

 「迷惑」はみなを「惑わす」ずいう意味で甚いられおいるが、次の䟋はいずれも本来の意味を異にする「迷惑」である。

26習習谷颚、維颚及雚、将恐将懌将恐−恐るゝ事のできたは厄難にあう事ぞ。艱難に、

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挢語の意味倉化に぀いお 75

迷惑に及ぶ事が有が、是は我等ず汝ずばかりあうぞ同䞊・巻13.150.10

 毛詩の本文「将恐将懌」の事は倩候の異倉いわば倩灜であり、それを蒙るこずになろう。埓っお、それに関する枅原宣賢の泚釈に衚れた「迷惑」はそれず䜵甚されおいる「厄難、艱難」に近い意味で危難、困苊であるこずを衚すず解される。

27行圌呚行、既埀既来、䜿我心疚来ず云は底を尜いお取ず云お、取に来ぞ。返報もあらう事ぢやが其やうな事はないほどに迷惑さするぞ同䞊・巻13.161.13

 䞀族の䞍遇に眮かれおいる状況に察しお甚いられおいる「迷惑さする」は悲したせる、心を痛たせるずいう意味を瀺すこずになる。次の4䟋は困苊ずいう意味で䜿われるものである。

28君子䜜歌、維以告哀君子が四月八章の詩を䜜お、倩䞋が悲しみ迷惑しお候ず云事を䜜お同䞊・巻13.176.

29我事孔庶、心之憂矣我ばかりにむぐうの事をせいず云るゝは迷惑なぞ同䞊・巻13.188.

30田莱倚荒、饑饉降喪田地があれたぞ。莱の字は田をあらいお、草の生しげ぀たを莱ず云ぞ。さうある皋に、民が饑饉したぞ。是さぞ迷惑したに、倩から疫病を䞋いおあるぞ同䞊・巻13.197.

31泚云、困時ニ斜之、饒時ニ収之ず云事があるぞ。春民の迷惑な時分に民に䞋さるゝを、米できお返したらするぞ同䞊・巻14.221.3

 次の「迷惑」は匱たったり衰えたり病んだりするこずによる苊しみを衚す。

32呚宀の倖に䞭囜があるが、是が衰ぞおある皋に、迷惑した皋に、こちからしんぱ぀せう事ぢやが、しんぱ぀せぬは、苕之華にたずぞたぞ。花はしがうだれども、葉のをちぬは、 諞倏の迷惑した䜓、花のしがうでをちかゝ぀たは、呚宀のをずろぞた䜓。猶諞倏已病、而王臣未発同䞊・巻15.341.

 次に『甲陜軍鑑』ず『倪門蚘』に芋出した「迷惑」を列挙しおみよう。

33東坡も人間第䞀の氎ずほめ、䞇に重宝なれ共、倧氎の時は迷惑いたす。是又すぎおあしき物也。扚火ず云物は、是も人を助くる重宝なれ共、過れば焌亡ず申お迷惑也甲陜軍

鑑・品第十四245.4 「迷惑」は圹立぀ものずしおの氎ず火が床を過ぎれば、圹立たないどころか、䞍利益をもたらす倧倉困るものずなるずいったこずを衚す。次の䟋も同様である。

34出頭ぶりを仕り、諞䟍に慮倖をするならば、諞人迷惑ながら機嫌をずり甲陜軍鑑・品第四十65.

35九州ぞも二䞇䜙階之勢を぀かはししが、倧友に通路をさぞぎられ迷惑せしなり倪門蚘・550.

 次の䟋は悲痛、心痛ずいう意味の「迷惑」ずなる。

36晎信は、甘利備前蚎死を迷惑に思ひ、うはげは機嫌よき様にもおなさるれども甲陜軍鑑・品第二十六21.

 甘利備前蚎死に察しお晎信はうわべの様子ずしおは機嫌良さそうに振る舞っおいるが、内心には「迷惑に思う」。埓っお「迷惑」は悲しく感じるずいう晎信の悲痛の心情を衚しおいる。

37勘定頭、郡奉行、略、尀民間の理非を聞分け、䟝怙なく正盎正銘なる生埗の者可被撰出䞀。䞍仁にしお理䞍尜なるものは䞇民迷惑する也歊家家蚓・遺蚓集成土井利勝遺蚓・19条

 「迷惑」は䞍利益をもたらしお困るずいうこずを衚す。぀たり、人道に背き理䞍尜な者が任官されたら人々は倧倉困っお酷い目に遭うず解される。 以䞊の「迷惑」に関しおの考察を通じお、亊、先行研究の考究を䜵せお勘案すれば、宀町時代から江戞時代初期にかけおの「迷惑」は甚法ずいい、意味ずいい、前の時代のそれを䞊回っお、殊に意味の拡倧を顕圚化させ、倚矩語ぞの倉貌を遂げお、䞭囜語はもちろんのこず、珟代日本語の「迷惑」よりも意味の広がりを芋せおいるこずが明らかになった。尚、その意味拡倧のメカニズムに぀いおは次のように考えられるのではないか。぀たり、人が急なこず、思いがけないこず、䞍本意なこず、などずいった所謂マむナス的な非垞事態に遭遇しお、劂䜕に察凊するか、どういう察応の仕方を採るかは区々であろうず想定される。どうしたらよいか迷ったり、惑ったりするずいう心の迷いが先ず生じおくるこずは極自然な反応或いは察凊の仕方ず考えられよう。䞭囜語の「迷惑」ずいう本来の意味は基本的にこの

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心の迷いずいう範囲内に止たっおいる。しかしながら、心の迷いず同時にどうにもならないずいうやむを埗ないずいう心情も自ずず随䌎しおくるず考えられる。これは日本語における「迷惑」の意味倉化を誘発した契機であり、䞋地でもある。぀たり、やむを埗ない出来事に盎面し、或いはどうにもならない立堎に立たされたら、心の迷いのみならず「困惑」「苊悩」「悲痛」などのような感情も生じかねないのであろう。䞀方、過分の埅遇に恵たれおも同様にどうしたらよいかずいう心の迷いも生じおくる。それによっお恐瞮、恐れ入るずいうような気持ちが喚起されお、「恥」を感じる。他方、他者がどうにもならない立堎いわばマむナスな目に遭うこずに察しお圓然ながら同情、惻隠の心を持぀こずもありうるため、朝鮮資料などには「気の毒」ずいう察蚳語が衚れた所以であろう8。逆に自分の行為によっお他者がどうにもならないずいうマむナスな目に遭わされたら、珟代日本語の「迷惑」の瀺すように䞍利益を蒙ったり、䞍快な思いをしたりするこずになる。詰たるずころ、日本語に斌ける「迷惑」の倚矩の発生はどうしたらよいかずいう事態に察しお取った倚様な察応のあり方に因るものであるず思われる9。 「迷惑」は宀町時代に至っお倚矩化の隆盛期を迎え、その倚矩による䟿利な䞀面を芋せおいる。䞀方、䞀぀の語はあたりにも意味甚法を倚く有すれば、負担過剰ずいう虞が生じ、意味匁別、䌝達には困難が䌎っおくるこずも起りかねない。だから、その意味匁別の機胜を匷化させるべく、珟代日本語に斌ける「迷惑」のように䞭囜語の本来の意味たで消えお意味瞮小が実珟されお、負担軜枛に達したのである。

 以䞊、䞭日䞡囜文献に斌ける「迷惑」の意味甚法に぀いお考究を加えおみたずころ、次の諞点が刀明したかず思う。「迷惑」は䞭囜語にその兞拠を持぀挢語であり、䞭囜文献では、仏兞のみならず、所謂倖兞たる散文や韻文に亘っお䜿甚されお、文章ゞャンルによる差異が認められない。「迷惑」は日本語ぞの流入が候に奈良時代にその端を発しおおり、亊、決しお仏教甚語ずしお受容され始めたのではないず蚀っおよかろう。よみずしおは、恐らく最初の段階では意蚳ずしお蚓読みされおいたが、『色葉字

類抄』にも瀺されるように早くも音読みされ、定着に至った。䜆し、音読みは文章の玠姓によっお挢音よみず呉音よみずが共存しおいた時期があったが、䞭䞖に䞋るず、文献の性栌に関わるこずなく呉音よみに収斂されるようになり、今日に至っおいる。意味甚法ずしおは奈良、平安時代の文献においお基本的にその出自ずなる䞭囜語のそれをそのたた螏襲しおいるが、平安時代末期に䞭囜語はもずより奈良時代文献にも芋られない「埡迷惑」ずいう新たな甚法が登堎し、日本語化ぞの第䞀歩を螏み出したずも蚀えよう。鎌倉時代になっお本来の䞭囜語の意味を受け継ぐ䞀方、「困惑」「苊痛」ずいった新しい意味も発生した。宀町時代の「迷惑」は鎌倉時代に生たれた倉化矩を継承した䞊、「悩」「恥」ずいう意味も新たに生じお、倚矩語ぞの倉貌を遂げお意味拡倧の頂点に達したず考えられる。

 本皿は、平成幎広島倧孊に提出した博士論文の䜜成ず共に調査した資料を基に執筆したものである。

⅀終わりに

泚

付 蚘

 「迷惑」に぀いおの先行研究は管芋のずころ以䞋のように挙げられる。

    䜐 è—€ 喜 代 æ²» 『 日 本 の 挢 語 』  2 5 6 〜 2 5 7 頁 、 昭54.10.20の「䞭䞖の挢語」に぀いおの抂芳においお「迷惑」は鎌倉時代たでその兞拠ずなる䞭囜語の本来の意味に埓っお䜿われおいるず述べられおいる。それを受けお、犏島邊道「「迷惑」考察蚳による」『囜語囜文』1983.京郜倧孊囜語孊䌚に「䜐藀氏によれば、平安・鎌倉時代においおは道などに迷うずいうのが「迷惑」の本来の意味であるずされおいる」ず曞かれおいる。続いお「そういう意味がい぀ごろから日葡蟞曞に芋えるような「苊悩・心痛」の意味に倉ったのであろうかずいうこずである。さらに、今日のような「困る」の意味に倉ったのはい぀かずいう問題もある」ず問題提起もなされた。犏島邊道「「迷惑」考察蚳による」『囜語囜文』1983.京郜倧孊囜語孊䌚においお察蚳の方法でキリシタン資料及び朝鮮語資料を駆䜿しながら宀町時代以降の「迷惑」の意味甚法に぀いお粟考を行った結果、珟代日本語の「困る」ず異なっお、

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挢語の意味倉化に぀いお 77

「苊悩、心痛」などのような意味ずしお甚いられ、「困る」よりその䞍快、䞍利益、倧倉さの皋床が甚だしいず明らかにされた。䜆し、「本皿では、もっぱら察蚳による「迷惑」の語矩に぀いお論じたのであるが、「迷惑」の語史に぀いおはなお述べ足りないずころもある」ず蚘されおいる。倧塚光信「迷惑」『囜語囜文』1990.7京郜倧孊囜語孊䌚においお泚の犏島氏の論考に぀いおそこにおけるキリシタン資料の取り扱い方に぀いお、賛同し難いず指摘した䞊、「本皿は、宀町期埌半から江戞初期にかけおの「迷惑」の諞盞を静的に蚘述しようずしたにずどたるものである」ず曞かれおいる。たた、堀口和吉「「迷惑」考」『山邊道』第40号、1996、近藀明・邢叶青「日本語「迷惑」ず䞭囜語「麻煩」の意味・甚法の察照的考察」『金沢倧孊教育孊郚玀芁人文科孊・瀟䌚科孊線』57、2008、匵愚「本邊文献に芋られる挢語「迷惑」の受容䞊代から䞭䞖前期たでの甚䟋を䞭心に」『文献探求』50、2011、匵愚「日本における挢語「迷惑」の倉容」『日本語孊䌚2012幎床秋季倧䌚予皿集』等が芋られ、倚方面から研究が斜されおいるが、尚、曎に考究する䜙地も残っおいる。

 犏島邊道「「迷惑」考察蚳による」『囜語囜文』1983.2京郜倧孊囜語孊䌚

 迷惑 亊䜜「迷或」。①蟚䞍枅是非摞䞍着頭脳。甚䟋略、以䞋同②䜿迷惑。挢語倧詞兞10・挢語倧詞兞出版瀟・1992.12

 『日本語倧蟞兞』第二版には奈良時代の䟋ずしお挙げられおいない。

 泚、。䟋えば、倧塚光信「迷惑」『囜語囜文』1990.京郜倧孊囜語孊䌚においお「迷惑」の意味甚法に぀いおの蚘述を次のように芁玄できる。①「迷惑」の䞻䜓が「心」以倖の堎合⒜隒ぐ、乱れるこず、②「迷惑」の䞻䜓が「心」の堎合⒝心苊しい、恐瞮するこず⒞うろたえるこず⒟困る、苊しむこず⒠困難な・難儀なこず⒡けしからんず思うこず⒢気の毒に思うこず、ずされる。その䞊に曎に「「迷惑」は広く抂括すれば、事に遇っお心神が䞻なき状態になるこずが䞭心であった。そしお、キリシタンは、その具珟のひず぀の圢である「苊」を蟞曞のうちに説いたのであった」ずも纏められた。

 倧塚光信「迷惑」『囜語囜文』1990.京郜倧孊囜語孊䌚においお『倚聞院日蚘』の「迷惑」の甚䟋に぀いお氏は倚数挙げお现かく分析されおいる。

 泚に「珟今の「恐瞮」に近く、前掲「悊び」ず共存するものはむしろこの意のものずした方がよく、たたこ

れは前述のように曞簡においおは、䟋略のような垞套的な衚珟ずもなった」ず曞かれおいる。

 安田章『朝鮮資料ず䞭䞖囜語』134頁、昭和55..30、笠間曞院においお朝鮮語資料『捷解新語』の初本ず改修本における「迷惑」に぀いお初本では「めいわく」に察しお改修本では「なんぎ」「きのどく」ず改められおいるず指摘されおいる䞊、「めいわく」は「圓惑」を衚しおいたが、珟代的な意味ぞの過枡期にあるらしく、原矩を保存すべく、他の語に倉えられた個所があったのであるずも述べられおいる。裏返しお蚀えば「めいわく」は「なんぎ」「きのどく」ず類意しお始めお「なんぎ」「きのどく」に取っお代り埗るのである。穎原退蔵『江戞時代語の研究』昭和22..10、臌井曞房によれば、「きのどく」は改修本成立頃、専ら他に察する同情の意味に甚いられおいるずされおいる。

 堀口和吉は特に『狂蚀』にある「迷惑」を䞭心に考察しお、「「迷惑」の原矩は、たこずにきびしい粟神䜜甚を衚す語であったが、その意で衚されるような事は、日垞生掻では頻繁に経隓するものではなかろう。たず転意した甚法は、日垞生掻で頻繁に経隓する困惑や難儀の意でいうものであるから、䜿甚䟋が倚いのは圓然である。ここにおいお、きびしさにかなりゆるみは生じたが、ただそれなりに客芳的なきびしさをその意味にも぀ものであった。䞭略、ずころが、その緊匵も倱われ、「迷惑」は、語の意味ずしお心のきびしさを衚すずいう点はたったく曖昧なたたに、もっぱら情緒的に他に察する䞍快感を衚す語ずしおふるたうようになっおきたのである」ず結んでいる。「「迷惑」考」『山邊道』第40号、1996

怜玢文献

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