Title 混合ビタミン剤並びに食品中のビタミンDの定量法に関する研究( Dissertation_全文 )
Author(s) 足立, 昌子
Citation 京都大学
Issue Date 1979-11-24
URL https://doi.org/10.14989/doctor.r4002
Right
Type Thesis or Dissertation
Textversion author
Kyoto University
主
論文
へ 愚愚
モ ゑマ ヂ にニゴ
混合ビタミン剤並びに食品中の
ビタミンDの定量法に関する研究
目 次
「マニll::豊」
第1章
第2章
2.1
2.1.1
2.1.1.1
2.1。1.2
2.1.1,3
2.1.1.4
2.1.1.5
2.1.2
2.1.2.1
2.1.2.2
2.1,3
2.1.4
ビタミンD定量法の現況とその問題点一一一・…一一………一・圃……………’…’層…一……
ガスクロマトグラフィーによるビタミンDの定量…一’……’……’圏……’…一一……’
市販混合ビタミン剤中のビタミンD2の定量 一………・一一・・一…一……………
2.2
2.2.1
2.2.2
2.2.3
2.2.4
2.3
2.3.1
2.3.2
2.3.3
2.4
2.4.1
2.4.2
2.4.3
2.5 小
通常の混合ビタミン剤一………一……・・一……一…一曲…一一一……一一…一一…一・
検量線・一…………一…一……・一…一・一…・一一…・・一…・一・・……・幽隅…一….一_
けん化の条件の検討……一一…一……・一・…………・…・…一一・一一……・……一・・一・
TLCの条件の検討…一…一…一一………一…一…一一…・一…一一一…一…・一・…一一…一一
標準D2,A並びにEの混合物申におけるD2の定量結果…∴…………一・
市販混合ビタミン剤申のD2の定量値 …………一……・一一一一……・一…一…・10
ビタミンEを多量に含む混合ビタミン剤 一……一…一一一・…一・…一…一……一一11
標準D2,E混合物申におけるD2の定量結果 …一…一一一一…一……一一一一12
市販混合ビタミン剤中のD2の定量値 一一…一…一・……一…一………一・・…・13
比色法との比較検討結果 …・一一・・一……一・…一…一……一…一・…一一・…一・…一… 13
保存試験の結果…一一…一…一…一…・一一一………・一…一・一一…・一一…………一・…・14
マグロ肝油並びにビタミンD3樹脂房中のビタミンD3の定量 一一・……一一一16
D並びに内部標準物質のガスクロマトグラフィー…一一…一…一…一一一・一……一17
検量線 一一一一一一一圏一一一一一一脚一一一一一一一一一一一『一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一・一一一一一一・一一一圃一一一一一一一一 17
マグ.ロ肝油のガスクロマトグラフィーによるD3の定量 一…一一…一・…一…・・17
D3樹脂油のガスクロマトグラフィーによるD3の定量 一…一…一一一…20
照射乾燥酵母中のビタミンD2の定量 一…一……………一………・・一…一・…… 21
検量線・……一……一一・・一一…一……一・一一・一…一…・……一一…・一・一・圃…………・21
照射乾燥酵母のガスクロマトグラフィーによるD2の定量 …一……・・一21
照射紫外線量とD2の生成量との関係 一・・…・一・一…一一…・……・…一…一22
照射シイタケ申のビタミンD2の定量 ………・……・…一一一一一……・……一・一24
照射シイタケのガスクロマトグラフィーによるD2の定量 …・一……一一… 24
照射紫外線量とD2の生成量との関係 ……一一一…一…一…・…一・…・・………26
シイタケ中のD2含量 …・…・…・…一一…一・・……・・…一・・…・・…一……一・……26
括一…一…一…一……・一…。一一…・一…一・一一一……・…噂……一一圃・圃…………・一一27
1
6
6
7
7
7
8
8
第3章 高速液体クロマトグラフィーによるビタミンDの定量 ……”……’一…’…’…一…
3,1 市販混合ビタミン剤中のビタミンD2の定量 …一一一……一・一一…一一……………
3.1.1 通常の混合ビタミン剤’…一一・…・…一…一…・一一一・……一…一・一…・…一一……一一…
3,1.1.1
3.1.1.2
3.1。1.3
3.1.2
3.1.2.1
3,1。2.2
3.2
3.2.1
3.2.2
3.2.3
3、3
S.3.1
3.3.2
3,4
3.4.1
3.4.2
3.5.
3,5.1
3.5.2
3.5.3
3,5.4
3.5.5
3.6
第4章
検量線…卿幽昌…’冒’……9一曹………騨・…・一・…一一…………一一…一一…一一……一
市販混合ビタミン剤の高速液体クロマトグラフィーによるD2の定量 …・
GLC法との比較’…………”…幽・一一・一・・一一一…一……一・一一…………一__..
ビタミンEを多量に含む混合ビタミン剤 …一一…・一一・……一一・…一一……・
市販混合ビタミン剤の高速液体クロマトグラフィーによるD2の定量 …一
GLC法との比較一………………一胴……………一…一一一・……一一…一一…一一一・
マグロ肝油並び1ζビタミンD3の定量…………一……・一・………・………一・・
マグロ肝油の高速液体クロマトグラフィーによるD3の定量・…一一…一・一一…
D3樹脂油の高速液体クロマトグラフィーによるD3の定量・…一…一・……
G弛C法との比較 …………一………r・一・・…・一…一一…一一・……一・…・……一一
照射乾燥酵母中のビタミンD2の定量…’國…國…幽’……’…一…一…一・一・…一一一一一
照射乾燥酵母の高速液体クロマトグラフィーによ多D2の定量…一…一一…
GLC法との比較’”……一’……・一一一……一一・・一…一一…一・一…………一一…一一・一
照射シイタケ中のビタミンD2の定量…一……………一……・一…………一・一
照射シイタケの高速液体クロマトグラフィーによるD2の定量一…一…一…
G上C法との比較…”…………一一・一……・一…一…一・…一一・一一一……………・一
牛乳並びに母乳中のビタミンDの定量…”………’…一一……・一…一…・一…一一一
牛乳中のD3の定量’…’”…………墨’……………’…圏………’”…’…『一’一
母乳中のDの定量…’’’’”……’…璽囎…’……”’……弓一ロ……一…’…一…一一一・
UV照射1ζよるD3生成量の検討 ’………一…一一一…一…一・一一一・・一…・…・一一一一
GC.一MS分析による牛乳中のD3の確認…・…一……一…一一一………一一…一
D硫酸エステルについての検討‘………“’…’…”……”…暫…’圏’一一…’一・
小 括’……’∵ロ…’…’”……一一…’……一・一…・一一…・………圃一・…一一……一
29
29
29
29
30
30
31
31
33
33
33
34
35
36
36
37
37
37
38
39
39
41
42
42
42
43
ガスクロマトグラフィー並びに高速液体クロマトグラフィーによるプロビタミンD
の定量…’…’……’…’一’……『…’……”用……一一…………一一…一一一一…………一・一… 45
4.1 乾燥酵母中のエルゴステロールの定量 一……一…・…一一一……一一…一…一… 45
4.1.1 検量『線 ……一…一・一…一一…・…一一・一一…一一一一一一…一・一……一・一…・一一・…一…一… 45
4.1.2 無照射乾燥酵母のガスクロマトグラフィーによるエルゴステロールの定量一一46
4.1。3
4.1.4
4.2
4.2.1
4,2.2
4.3
4.3.1
4.3.2
4.4
第5章総
謝 1辞
無照射乾燥酵母の高速液体クロマトグラフィーによるエルゴステロール
の定量 ………・一………一…’……’…一”【嗣’圃…’……’………”……層…”
G■C法との比較・………・・……一・…一一…一…・…一一……,…一……_...
シイタケ中のエルゴステロールの定量一…一・……一・・…一・一一一・一・一…………一一一・一
シイタケのガスクロマトグラフィーによるエルゴステロールの定量…一一…
シイタケの高速液体クロマトグラフィーによるエルゴスデ面一ルの定量一一.
牛乳中のプロビタミンDの定量一………・一…一一・…一一一・……一……一…一……一
牛乳の高速液体クロマトグラフィーによるプロDの定量…一一…一幽…・…・一.
GC-MS分析による牛乳申の7-DHCの確認……一一…一.……一・一..一
小括_____.一_一_一_一..一一_幽_一一_._一_一__一一..__一_一..
括…・’…圏…一……一一…一………一……・一一一……・……一…一一……………・
実験の部一……・一一一・…一…一一一……一一……一一一一…一……・…一・…・…・・一一…・一一一一…一一…・一
霞2章に関する実験…’…”………一”噌
第3章に関する実験……”……’…’”‘
第4章に関する実験…一……一’……一一
文献…一’一一・…………・……・一一
用.”圏圏一 @■一璽. ロー騨■帰.幽一 ■唄卿嗣髄一.鴨 騨冒■冨顧圏一甲 幽,一■辱”唇圏 一99巳聖■暫一 ■厘一,一胴騨一 隣.圏巳
一, ■ 一一胴 ■■冒■ 閑 ■一一 圃■一一 讐■幽■ 圃一■雫 唖曜一■“ 9■ 一 瞥騨■ 菖 ■昌瞭巳 圃覇■ ● ■量層巳 ■ ■髄 一 唖一一一 一【罹曽
■ 一 一 ” 一 ■ ” ■ 一 . . 一一■ . 9 ■ 「 ■ 9 圏 雫 「 ■ ■ 巳 圃 の ■ .讐 一 騨 ■ 一 圏 騨 ■ ■ ■ 鯛 ■ r ■ ■ 冒 r ■ ■ 一 一 圏 一 購 圃 脚 騨 團 ■ . 一 一
.一.一一一』
D一..一..一.一一.一.一_......一.一..一..一..一.一......一..一.一..一..一『
47
47
49
49
50
50
51
53
53
55
59
60
60
65
69
72
第1章 ビタミンD定量法の現況とその問題点
ビタミンD(以下Dと略す。)は抗くる病成分で,搬にはプロビタミンD(プロD)の紫外線
照射によって得られる。プロDは;Fig.1に示すような5.7一ジ手ンステ白一ルの骨格を有し,紫
外線照射によって9,.10位間での開環が起こり,プレビタミンD(プレD)に変わる。このさいル
Fig・1 . UV i・・adi・ti・n.・f p・。一D、
。。 忽1.
PrQvitamin D
HOノ
1
R
CH2
Vitamin D
R
Toxistero1 .含. H’
HO. ミ\
Lu皿istero1
7
眠
OH
R
T註¢hystero1
R
D2系IR呂
D4系IR=
D6系=R紹
D3系=R昌
D5系3R昌
Dブ系:R冒
一1…
ミステロール,タチステロール,トキシステロールなどが副生する。プレDよりDへの異性化反応
は光によらず,溶液状態での単なる加熱で起こり,この反応は可逆反応である。Fig.1に示すよ
うな光および熱異性化反応は,5.7一ジエンステロールであれば側鎖構造が異っていても同様に起
こり,同様の反応成績体を与える。生成したD型の化合物の抗くる病活性には側鎖構造が関与する
ために,プロDおよびプレDとして定義されるものの数は少ない。現在までにFig.1に示すよう
にプロD2~D7がプロDとして認められておりそれぞれの紫外線照射によってD2~D7が得られて
いる。しかしこれらのうち高い生物活性を示すものはD2とD3のみであり,その他は実用的にはほ
とんど顧みられていない。なおプロDではプロD2,プロD3といった名称よりもエルゴズテロール
(ERG),7一デヒド白コレステロール(7-DHC)の方が一般化されているのでそれらを使
用すること. ノした。
D2とD3は哺乳類に対してはほぼ同等の生物効力を示すが,鳥類に対してはD3のみが有効であ
り,D2はD3の1/10以下の画くる病効力を示すにすぎない。そこでDの生物効力単位はD3を標
準物質とし,D3の0.025.μgに相当する潮力をrI.U.とすると1949年にWH Oで定められて
いる。前述のようにプロDの冷時UV照射溶液中に最初に生成するプレDは単なる加熱操作でDに
異性化される。一方Dの溶液を加熱した時もプレDが生成し,両者閲d)反応は可逆的な熱異性化反
応であり,プレD自Dの平衡状態に到達するまで異性化は進行する。この反応速度は温度のみに依
存し.・溶媒の種類・光・触媒などには影響されない。このようにDが加熱によって一部が容易にプ
レDに変わるという性質は,Dの定量において重大な問題である。なぜなら,ある試料中にDとプ
レDがある含量比で存在していたとしても・この比は試料の保存中に徐々に変化するであろうし,
また定量操作において必要不可欠のけん化操作によっても変化してしまうからである。
1) はDのみの定量値を“ac七ロalD値”そしてDとプレDの定量値K:everling BuiSmanら
の合計を “potenもi激D値”ζ定義し, actualD値を定量することは上記の理由で困難であ
り,プレD自身の生物効力は低いが,体内でDに転換する可能性もあるので,DとプレDの合計値
であるpotentialD値を定量することが試料中のDを評価するための最善の策ではないかと提
案している。著者もこの提案に同調し・以下・広義のDであるpotenUalDを求めることにし
た。
薬品及び食品中のDを定量することは製剤学の面からも,またDの栄養,代謝の研究や,国民の
栄養状態を調査するなど保健衛生の見地からも非常に重要なことである。DはビタミンA(A)と
ともに最も古くから知られた脂溶性ビタミンの1っであり,この両者は水溶性ビタミンのB1,→B2,
C,ナイアシンとともに栄養学的に最重要なビタミンと考えられてきた。D.以外の5つのビタミン
は比較的・早くから理化学的定量法が開発されたのに対して・Dに関しては,かなり多くの人々の
_2一
努力があったにもかかわらず,容易に成功せず,最近まで動物試験法.によることが多かった。動物
試験法では飼育,飼料にむつかしい条件があるばかりでなく,試験期間が長期にわた.る(ネズミで
は,1ケ月以上,ヒナの場合でも3週間を要する。)という欠点があり簡便ではない。1960年に
な。てUSP2hうやく動物試灘の代りに,N・。1d呈飯応(試料を靴。。チ、レを含む三塩
化アンチモンとクロロホルムまたは塩化エチレン溶液中で反応させる。)を利用する比色定量法が
採用されるようにな。た.Ni。ld呈色試薬㌔Dの艶試薬のうちで実用的鞭用されて、、る唯
一のものである。しかしながらA・ステロール等も同様に呈色するためにこれら妨害物の除去を完
全にする必要がある・M・lderら4)・上田ら句は各々・段階のカラ…詠グ・・,一で精製、
後,比色法により混合ビタミン剤中のpを定量している。著者もこれらの定量法を追試検討したが,
日常使用するには操作が非常に煩雑である。このように混合ビタミン剤,食品等に含まれるDを理
化学的な方法で迅速且つ正確に定量することの困難な理由として,Dの生物効力が非常に高く(1
μ9=401・U・ヒトの所要量は幼児の場合が最大で1日4001.U.),そのため1と常1と微量定量が要
求されることや,Dの定量に利用できるような特異反応が発見きれ.ないために妨害物質として混在
する多量のA,ビタミンE(E),ステロール等の影響を除かなければならないことがあげられる。
Dの生化学面での最近のめざましい研究の発展とは対照的にDの理化学的定量法の確立の立ちおく
れは大きい。このため栄養学,公衆衛生学,製剤学等における研究の発展がさまたげられてきた。.
その基本となる定量法の確立が強く要望されている背景の中で著者は迅速且つ正確な定量法を確立
することを計画した。
・96・年Ziff。,6)らはG■Cの条件下でDは輔恥起こし,py,。』とi,。pym診の2っ.
のピークを骸ることを罪した.ついでA。i。li7)らはGLα・おいてDは定量的にpy。。一D
と isopyro-Dになることから,いずれのピークもDの定量に利用できることを歌い出した。 D
を真空単管中または高沸点溶媒の溶液として150。C以上の温度で加熱するとき,9,10位間で
閉環したpγro-Dと iSopyrO-Dとに異性化される。この反応はプセDを同様の条件で加熱し
ても起こる。(Fig.2)このようにGLCにおいてDとプレDは全く同一挙動で熱闘回して定量
的にpyroつとisopyro-Dに基づくピークを与旧るので,いずれかのピークを利用して定量すれば, Dとプレ
Dの合計値のpote.n嫉alD値が求められるので便利である。しかし,水素炎イオン化検出器を
用いるGLCはそのDの検出限界が約10ngであり,比較的Dを多く含む混合ビタミン剤などに
は適当であろう。しかし,Dをごく微量しか含まない食品の分析においては,試料採取量が非常に
多くなり,簡単に入手出来る試料の場合には支障ないが,母乳のように入手困難なものめ場合には
この方法は利用できない。そこで感度の面ですぐれている(Dに対して,検出限界は約2ngであ
る。)HPI」Cにも注目し,6丑CとHPLCを用いて検討することにした。
_3一
Fig。2 Thermal isomerization of D
R
HO。.
耀
1
R
CH2
ム.qH
∠
“
∠
△
HO
>150。
3斐l
Pyro-D
Vitmin D P.re-D HO
R
H・LCを用いたDの趨・・関しτはT・・・・・…♂)(D、樹脂油), 1ら(ゼ・チ
・で被われたAace・。・。とD,馳)月田10)ら(b,難体)H。f,ass’1)ら(D、樹脂油)並
びにTh。mp,。。12)ら(強僻耳L)の鮎があるが,その適用はD含量の非常1,多い髄のもの
H.1
“
Isopyro-D
9)Tomkins
に限られておウ,食品一般に適用される定量法の報告は全くみられない。また栄養学の観点からも
丁般の食品にも巾広く利用出来る定量法を確立することが必要である。そこで著者は本研究を行っ
た。
著者が研究の対象とした製剤並びに食品をTable1に示した。 Dを含む食品は非常に限定され
ており,いずれもその代表的なものである。また別にプロDのERGを多量に含む植物性食品例え
ば,茸類,酵母もUV照射すればDが生成するので,照射試料を定量の対象に選ぶと共に,これら
の試料中に含まれるプロbの定量についても検討し#。また,GLC法とHP玉C法とによって得
られた結果を比較いこれまで全く報告されていなかった両者の相関性を明らかにした。
Table l Samples for也he deter卑ination of vitamin D and
pro_vitamin D bアG]」C and H:P玉C methods
Sample Characもeristic
Mul七ivit翫mins prepa♂窒≠狽奄盾獅刀@I E/D≦2,500
(Usual prel)arations)
Multivitamins preparations且 E/D>2,500
(Containing excess amounts of vitaminE).
_4一
Tuna liver
Vitamin D3
Dried
Dried
Cow's
yeast
oils
resin
-ishntake
.and
oils
Human m/i1ks
Containing large amounts t tt 'of vitamin D ・ ・. '' ttt ' ' 'UV irradiated product of ' ' '7-dehy,qrocholesterol 1' '
Containing Iarge amounts
' ' 'of ergostero・l .・
tt tt ttContaining large amo'untsof ergoster.ol ,, ・ '. ' ' ' tt t 'g,O".`,?i.n.i:.g. .SMaii amounts
-5-
第2章ガスクロマトグラフィーによるビタミン. Dの定量
2.1.市販混合ビタミン二二のビタミンD2の定量
一般に混合ビタミン剤に配合されているDはA,.Eとの共存下にある場合が多く,Dに対するA,
:Eの配合量が非常に大きい。現在日:本で市販されている混合ビタミン剤(a~u)中の各々の配合
比を調べて表にまとめた。(Table 2)A/Dでは1..U.比で2~12.5の範囲にある。 E/Dで
は重量比で10g~2,000の範囲歩ほとんどであるが,例外的に2,500以上が2,3見受けられ
た。GlC法ではFig.3に示すようにpyro-D2もpyro-D3もA, Eから分離されるので比色
Table 2 R・aIios of vitamln A(1・U・ratio)and vitaml鉄E(weight ratlo)to vitamln
Din c・㎜erci・1 m曲i・itami・prep・・ati・ns・n・ale iρJ・pa・.
ト麗三鼎α調,・。)( EIDweight ratio)贈贈α塩気、。)(。,、齪。、、。)
a
b
C
d
皇
f
ghi
j
k
5
10
10
10
10
12510』
12.5
5
10
10
100
120
160
200
400
400
500
500
600
1
mPO
P
q.
.r
S
t
u
2
エ0
5
10
12.5
10
10
10..
5
10
800 8001,000
1,000
1,000
1,200
1,600
2,000
5,000
13,333
法におけるような完全な妨害物の除去操作を行う必要はないが,A, Eの量が多くなると妨害を受
13) らは試料の不けん化物をHClで処理けるので,ある程度妨害物の除去を行う必要があるp月田
してAの大部分をanhydro-Aに変えたのち・TLCで妨害物を除去し,次いでG L Cを行う方法
を報告しているが,標準品についての検討にとどまり,その実際面への応用は全く行っていない。.
H。㎜。,14)らは2段階のカラム知マトグラ。,rHCによ三三後i9。一Dに異性化し,
G玉C法で製剤中のDの定量を行っているが,非常に操作が煩雑である。このように混合ビタミン
剤中のDの定量:にG]コC法を適用した報告は数少なく,しかもそれらは,非常に煩雑な前処理操作
とかなりの時問を要し簡便な方法とは言いがたい。そこで,著者はより簡便な前処理方法を検討し
た結果,吸着剤にKieselglGF254,展開溶媒にn一ヘキサン・酢酸エチル(4:1)を用い
一6一
Fig.3
Gasch・・m・t・g・a皿・・fD2・D3・AandE
富
)霧
8脅
£
50
0
50
0
50
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Pひ
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堰E・py・・一D3
Uisopyro-D
SA
d1 一民塑tgc・pheτ・1SA.ォ.
ピret‡nQ1
SA.
ォ.
0 20 40 60
Retention time (mi.n〕
たTLCによって,HCl処理などの操作を行うことなくA,E等の妨害物を簡単に除去出来ること
を確認した。なお,日本で販売されている混合ビタミン剤はすべてDとしてp2を含んでいる。
2.1.1 通常の混合ビタミン剤
定量操作法の概略はけん化及び不けん化物の分離→TLC→GLCである。以下定量法を確立す
るに至るまでの基本的な検討事項から順に述べる。
2.1.1.1 検量線
標準D2 10,20,40,60,80,100μg/彫‘とSA50μg/彿6を含むアセトン溶液を第2章
に関する実験の定量:操作法の1)の③(P62)に設定した条件でG5Cに適用したところ, Fig.
4に示す検量線が得られた。このようにD2は熱望環をおこし,一定条件下では定量的にpyro-
D2とisopyro-D2になる。生成したpyro-D2とisopyro-D2の比率は,1.7:1で血yro這D2
の方が大きいので定量は.pyro-D2の『「クを用いることにした。
2.1.1.2 けん化の条件の検討
標準D2(8,0001U), A pa1皿itate(55,0001U)と:E(60π野)の混合物を作り・けん化
条件の検討を行。た・搬化剤を加えないでけん化を行ゆ、碇量したところ・Eの分醐・由
一7一
Fig.4 Calibration curves of D2 by GI・C
1.0
2慧
.0。5.$
慧
鶯.
£..
.0
P著「アD・
isOPγ「o}D客
0 1.O
w・ight rati・.(D2/sA)
2.0
来するピーク炉pyrO-D2のピークを妨害した。(Fi.g.5(1))そこで抗酸化剤を種々検討した結
果,20%ピロガロー)レ・.エタノール溶液が最も有効であることがわかった。(Kg.5(皿))
2.1.1.3 TLCの条件の検討
T■Cの条件を精査し,.吸着剤にK:ieselgelGF254,.展開溶媒にn一.ヘキサン・酢酸エチル
(4:1)を使用すれば・A・E等の妨害物を簡単に除去できることを確認した。Fig.6にこの
条件下でめ標準D,A, E混合物の不けん化物の薄層クロマトグラムを示す。実線は明確に確認出
来たスポット.であり,点線はうすいスポッ.トである。
2.1.1.4 標準D2,A並びにEの混合物中におけるD2の定量結果
D2(8,000.IU)・A palmitate(55,0001U)とE(6脾2)の混合物につき第2章
に関する実験の定量操作法の1)(P61)に従い操作を行いD2の回収率を求めたところTable 3
に示すように満足な結果が得られた。従って前述の検量線は前処理操作を行わないものであるが,
前処理操作による補正は行わず,そのまま使用しても支障はないと考えた。又,Table 4に示す
ようにA/DがIU比で104以下,E/Dが重:量比で2,500以下であるなら,A,Eの混在は上
記のTLCによる前処理操作を用硫た定量を妨害しなかった。日本で市販されている大部分の混合
9ビタミン剤のA/D.及びE./Dは前記の制限を大きく下回っているので,本法は通常の混合ビタミ
ン剤に対してならば広く一一般的な定量法として使用可能であるb例外的にE/Dが2,500を超え
る混合ビタミ.ン剤も2,3見受けられたが,このような場合でも丁丑Cの前にMulder4)らのPT
A(PhOSphate-treated alumi.na)カラムクロマトグラフィーを行えばEとD影響を除去でき
一8一
Fig. 5
F ig.
t-'N
d"
Uoen
gonu)・oct
6
Rf
1,O
Th
50
o
50
o
50
o
Gas chromatograms of model preparations
(1) ,J
s
J
・
,
Standard・ pyr :i:-D2 'isopyro-D2 SA,
o,
in- layer
20 ・・ 40 ・ Retention time
chromatograms of
60Cmin) .
a model preparation.
O,5
o
X'::.h.
tt t t / t .-...-.,..--..-....-.....-.-'h・s--.--------t--.-.---L----"---.--t-:---i--:tb:---e-F:;::::---- :-::::;S"
C== ====)s:-'-"-':・'・':-:'-:::"-:'・-'・-'- :':-'::---"
-------------- :・-・: ==----::::::> --・h------・l.----.. --- ---------- Sb - -- t' ---- i---S=- .--.......-.-.-.-.--.-...--".."i-...-..-.-.-.--....."-..-..-"K......-..--."".'."'...-......
< === == =>
(1) (2)
(l)
(2)
Reference solution for TLC (D2fpre-D2)
The unsaponifiable matters of a model
prepGratlon made by mixlng D2(eoOOIU).
A palmltate(55000IU) and E(6emg) ' ・ ' tt ' ' ' ' ' tt ・ ・-9- ・'
ることも確認.した。これについては次項で述べる。
Table 3 R㏄overy of vitamin D2 in a model pfeparation.
Tria1vitamin D2
Added. value(1.U.) Estimated value(1.U.)
R㏄overy (%)
1
2
3
4
8,000
8,000
8,000
81060
8,056
7,736
8,008
7,752
100.7
96.7
100.1
96.9
M士SD 98.6±L8 「 Note:The. model prepa士ation切as madc by mixing vltamin D2.(8,0001.U.), A palmitate
(55・000LUI and E(60 mg)・
了able 4 1n且ue魏ces of vitamin A and E on the detcrmina吐lon of vi亡amin D2.
V量tamh1.D2 (1.u.)
AID(1・U・胆tio)
EID(Weight ratio)
Rccovery (%)
8,000
8,000
6,000
8,000
8,000
8,000
8,000
41.7
104.2
208.3
1,000
2,500
5,000
10,0qo
99.4
95.8i量npossiblβ
955 96.8impossible
impossible
Note:The model preparations we∫e made by mixing vi1amin p2(8,0001.U.). and vltamm
Apa正mitate or E
2。1.1.5 市販混.合ビタミン剤中のD2の定量値
市販混合ビタミン剤(試料孤1~5)を薬局より購入直後,第2章に関する実験の定量操作法の
1)(p61)に従い繰り返しD2を定量した。 Fig.7に定量した際のガスクロマトグラムを示した。
いずれの場合にも妨害物による影響を受けることなく定量可能であった。定量値をTable 5に示
した。いずれにおいても定量値間のバラツキは少なく良好な結果が得られた。バラツキを動物試験
法と比較すると,勤試験法では変動係数は、・.・%15)であるのに対い瀦の厳では・.・%で
あった。
Table 5 Vitamin D2 con七e且t. in co皿meτcia1
.「 multivitamin preparations ,
Sample viもam.in D2 conten七
Indicated 46,0f Foun“昂ssay (M±SD)
一10一
庵1
躍6.2
庵3
ガ6.4
.46.5
2501U/tabr
4001U/.cap。.
2QOIU/tab.
400.IU/3もab. !
2501U/6・p.
4
5
5.
4
4
266± 4
404± 9
206±17
4乞2±.25
304±.10.
Fig・7・
Gas. chro皿atQgra皿s
50.
(卵.
)Φ
切
。
傷の.
ゆ
郎
0
50
0
.50
0.
5.0
0
50
.0
50
0
・fc・皿merci・1.加1tivit・min.prepara℃‡・hs
Saケ1?、.↓ ↓.ォ 」 「
no.2. ’@ ↓. .↓ ↓.
no.3.@ ↓ ↓.
@ ↓ 、
no.4.@ ↓. ↓1 ↓
no.5.
@ ↓
@ ↓.
↓ 隔
Standard@ 「o-D2 S亀. Pご i匙。Dy「o-D2
0 2.0 40 60 RetentiOn time 〔m.in)
2.1.2 .ビタミンEを多可に含む混合ビタミン剤
・定量操作法の概略はけん化及び不けん化物の分離→?ho.spha七er.もrea.tψd alu血ina.(PTA.)
一11一
カラムクロノマトグラフィー→TLC→G五Cである。
2.1.2.1 標準D2,E混合物中におけるD2の定量結果
D・(80001U)とE酪・・・・・…と細・吻混舗につき第・章・・関する実験の趨操
作法の2)(P63)縦・…の回収率を求めた・. E・g.8(1)はDl(,。。。、U)、。、,。。吻の
憎憎につき舗の混合ビ・・、ン剤の場合・同様の操作法を行。た結果であ・.,,,。.D,の。一
クは媚を受けて趨不可能であら#・Fig.・α)は上記混一につきPTAヵラ。ク。マトグ。
フ・一(P63)を翻・酷果である・丁丁1ま除去きれ趨可能とな。た.二値を,。bl,
61こ示した・酵共叩収率はほ・・…%に近く・結果は満足すべきものであ。た.
Fig.8
50
0
50富
冨畏
且 o.8
缶 50
0
G・・.・h・・皿・t。gram・・h・d・1 P・ep3rati6耳,
(1〕 ↓ ↓
〔11). ↓ ↓
Standa「d p夢・一D、 S~ 響 ■sopy「・一D2
@ ・0 20 40 60
Retention ti珊e (min〕
TabIe 6 Recovery of vitamln D2 in model preparations.
Modelpr舜paratlon
Vitamin D2
Tria1 Added value A. ssayedl
(1.U.) value(1」Uゆ
Recovery (%)
No.工
(EID=5,000)
1
28,000
8,000
7,936
7,968
99.2
.99.6
Mean 7,952 99.4
No.2(E/D=10,000)
1
2
8,000
8,000
7,913
7,800
98.9
98.5
Mean 7,857 98.7
Note:The modcl preparations No s.1 and 2 were made by mixing 8,0001.U.
(0.2mg)of vitam{n D2 with 1,000 and 2,000 mg of vitamin E(4陸一tocopheryl
acetate), respectively.
一12一
2.1.2.2 市販混合ビタミン剤申のD2の定量値
市販飴ビタミン剤試聯につき通常曜合・.…剤に翻・れ・攣作法(,・、)。行っ
塒のガスクロマトグラムを・・g・9(1)に示・た・騨品の場合と同様にpy,。一D,の・一,は妨
害を受け趨不可能であ・π・. E・g・9①は上記試料に?き・・Aカラ…マ・グ。。,一の操
作を加え暢合である・媚物は除去され・趨可能とな。た。・。bl。7・,示。た趨廊バラ
ツキは小さく,良好な結果が得られた。
Fig.9
富冨旨
&
8
Gas ch・…t・gra皿・.・f…merci・1。。1ti。it。mi。.
P「epa「ation (Sample no p6)
50
O
(1〕
@ ㌧.
↓.
↓↓
50〔11)
↓・
↓
↓
0
50 StandardPソ奪。一D2 ●
1駅py「o璽D2
..S
0
0 20 4.0 60RetentiOn time (min)
Table 7 Viもamin D2 con七ent in a commercial
m・1もi・it・mi・p・ep…ti・n・・nt・ining。XCeSS。皿。Unも,
of viもamin E
S呂皿PleVitamin D2 content
IHdic&ted 癒・of・ Fouhd assaア (M±SD)
」6.64001U/cap 5 422±15
2.1.3 比色法との比較検討結果
GLC法においては通常の混合・タミ・剤の場合(P6・)旧い操作しD、を回した.比色
一13一
4) ら盗従い操作した。Table 8に各々の結果を示した。両法による定量値法においてはMulder
はほぼ近似しており,このこと.は確立したGLC法による定量法が混合ビタミン剤中のDの定量に
十分利角できることを示して.いる。
Table 8 Dete㎜ination of vitamin D8 in multlvitamin powders and
oiIy solu重ions by both GLC and colorimetric methods.
Sa恥ple
Indicated value
of vitamin D3 q・u・ノ9)
LAssayed、value of vitamin D3
By GLC method・ By colorimeIric (1.u.19) method(1.u.19)
Samや1e no. 7
Sample no.8 .
Sample no.9..
Samp!e no.10
Sample no.11
Sample no.12
Sample駐。.13.
Sample no.14
4,000
4,000
4,000
4,000
401000
40,000
40,000
40,000
4,040’
4,496
4,004
3,720
39,960
4孕,360
40,600
41,880
3,924
5,176
3,goo
3,732
39,500
45,080
40,420
42,200
2.1.4 保存試験の結果
室温まオこは虐待条件下で長期に保存されて多量のD,A等の分解物を含む混合ビタミン剤の場合
にも確立したGLC法による定量法が適用できるかどうかにっき検討を行った。試料駈1,2及び
6をそれぞれ購入時の容器に入れたまま密封し,暗所で室温または400Cの恒温槽中に保存した。
室温保存のものは約12ケ月後にまた400C保存のものは1,2,3,6,9,12ケ月後の適当
な時期k試料の一部を取り出してD2を定量した。なお・試料妬.1・2については参考までに第8改
正日本薬局方のA定量法の第2法に従いAの定量も行った。結果は丁鋤ble 9に示すとおりである。
また保存開始時の定量値を100%とした時のD2の残存率はFig.10に示すとおりである。試料
躍6。1,2及び6の40。C,12ケ月保存後の残存率はそれぞれ49.6・44.7及び64.4%であり・
室温12ケ月保存後のそれらは72.6・78.2及び78.5%であった。各試料のガスクロマトグラム
はFig.11に示すように,試料が同一である限り保存条件または保存期間にかかわらず大差はなく・
特にpyro-D2のピークを妨害するようなピークの出現はいずれの場合1とも認めら.れなかった。
_14一
Table.9 Assayed Valuespreparations hfter
of vitamin
stprage .at
D2 and A in commercial
room temperature or 40℃
multivitamin
Condition
of
storage
AsshYed value (iv!tab. or cap.)
Sample No. 1.l
Sample No, 2 Sample No. 6
D2 A (f) D2 A (f) D2
inltial
40℃, 1 month
4・,2 ip
4,3 e・ e,6 e 4,9 e 4 ,12 4 ' 'RT*,12 e
270
242.
224
210
208
134
196'
2,970
2,940
2,850
2,650
2,030
2,780
(O.97)
(O.97)
(O.87)
(O.81)
(O.66)
(O.83)
412
34&
260
240
226
184
332
2,650
'2,590 ' '2,190
1,960
'
1,820
2,510
(O.94)
(O.91)
(O.76)
(O.73)
(O.7Q)
(O.79)
410
ss8
290
264
322
* RT=roo!n temperature
Fig. 10 Residual ratepreparations
of vitamin D2
after storage
in
a.t
corrunercial mtiltivitamin
room temperature or 400C
100
Aep 80Usg 6o=co
.-
= 40-tuEoe-t 20
o
Sample no
;oom
.1
temperatures 100
80
Sapaple
roorp
no.2tseMPerature
t・J,t
400c 6e
40
20
o
12OStorage
3
period
4o"c
69( month ) 12
loe
80
'60
40
zo
e
Sample no.6' !OOrns",temperature
140'c
o・ 3 6 9 3 6 9 12
-l 5-
Fig.11Gas chromatograms of comlnercial multivitamin
preparatlons
富〕霧
ぎ
房
£
50
0
50
0
50
0
No..1
Pnitia1
◎
S0 ,12m
py
、1幸叫ザ
12month
20 40 60
Retention time (min)
2.2 マグロ肝油重びにビタミンD3樹脂油中のビタミンD3の定量.
天然物中におけるDの産出は非常に限定されている。その申で唯一の豊富な資源は魚の肝油であ
1.6) らはタラの肝油中のDの定量をGLC法により行っている。試料の不けん化物をメタる。Bell
ノール冷却,ジギトニン沈殿法並びに2段階のカラムクロマトグラフィーで精製後,三塩化アンチ
14)モン試薬によりiso-Dに異性化しTMS化の後G.LCを適用している。別にHo㎜es らも
ジギトニン沈殿法,2段階のカラムクロマトグラフィー,TLCにより精製し, iSo-Dに異性化
の後GLC法でタラの肝油中のDめ定量を行っているが,両法共に非常に操作が煩雑でφる。 D3
樹脂油は7-DHCのUV照射物より7-DHCの大部分をメタノールを加えて一20。Cに放置し,
更にタチステロールを無水マレイン酸付加反応で除いたのち,濃縮したものをいい,市販油溶液は
これを植物油などで適当に濃度を希釈したものであり,医薬品や飼料の原料として使用されている。
マグロ肝油では混合ビタミン剤の場合と異なり,定量に際しステロールによる妨害を.受けたのでジ
ギトニン・セライトカラムクロマトグラフィーでステロールの大部分を除去することにした。しか
しながら,これだけの前処理操作では不十分で,未知物質がpyro-D3のピークを妨害し定量可
能とはならなかった。そこで未知物質を除去するためにいろいろな前処理操作を試みたが,満足す
べき結果が得られず,TMS化することによりはじめて定量可能となった。一方D3樹脂油に対し
ては植物油中のステロールを除去するためにマグロ肝油の場合と同様にジギトニン・セライトカラ
一16一
ムクロマトグラフィーを使用し,UV照射した試料尽ので田MS化の操作を行うことにした。
2.2.1 D並びに内部標準物質のガスクロマトグラフィー
D2,D3及びそれらのTMS体とCholesteryl ace七a七e(CA),S七igmas七eryl
呂ce七ate(SA)のGLCの二時時間並びにCAに対する各々の相対保時時聞を求めてTable
・・17 ?Eた。齢ビタ・・剤暢合では内部標勒質として,盛恥てきた、・。。ble一、。カ、
らもわかるようにD3系はD2系よりも保時時間が短かく各々のTMS体はTM:.S化していないもの
より更に短かい。このようにD3のTMS.体の場合操作時間を短縮する目的でSAより保時時間の短
いCAを使用することにした。
T・bl・iO R・t・nti・nもim・・昂nd・el・七i・ρ.・et・n事i・nti血・・
of vitam耳n D and steryl acetate
.COmp・und Retell.tion time
(min)
Relative rete耳tio孕
1time
D2 44.6/54.1
D3 38.0/45.7
D2雪MS ether 26.0/40.4
D3 TMS ether ♀2.0/34.5
Cholesteryl aceもate 59.4
Stigmasteryl ace捻te 90・1
0.マ5/0.91
0.64/0.77
0.44/0.6.8
0.37/0.58
1.00
1.52.
Note:Vitamin D gives twin peaks due七〇pyro-and
iSopy.ro-D.
2.2。2検量線
標準D3,50,100,150,200,250μg!砺6とCA 100μg乃4』を含むベンゼン・ピリジン
(95:5)溶液の0.5解6にっき第2章に関する実験の定量操作法の3)の④(P.6.4)に従ってτM
S化後GLCに適用してFig.12に示す検量線が得られた。 このようにTMS化した場合にも熱
閉環をおこし,定量的にpyro-D3 TMSとisopyro-D3 TMSに変化することを利用する定
量に際しては,大きなピークを与えるpyro一.D3 TMSを利用すること.にした。
2.2.3 マグロ肝油のガスクロマトグラフィーによるD3の定量
Fig.13 はマグロ肝油を第2章に関する実験の定量操作法の3)(P 63)に従っ.て操作したの.
一17一
:Fig.12 Calibraもion curves of vitamlnD3 TMS eもher by GLC
華
鍾1・5
葛2。つ
.判 Σ:
2私1.Oo『、
.2eo盆メ00.58紹に
さ
占 0 当 O e .
py「臣D3TQhe「
\
1sopyrO-D3T凹S ether
0.5 1、O l,5 2,0
We19ht「G㌻io(D3/CA!
2.5
ち,G■Cを行った時のガスクロマトグラムである。 Fig.13(1)は試料閃けん化物をそのままG
Lcに適用した結果であり多量に共存するステ.ロール類によりpyro-D3及びisopyro-D3の
ピーク.は妨害を受けて定量不可能であった。Fig.13(H)は試料好けん化物をジギトニン・セライ
トカラムクロマトグラフィー並びにTLCで処理した後,得られたガスクロマトグラム.である。ス
テロール類は除去されたものの,Dと同一挙動をとる未知物質がpアrO-D3のピークを妨害し,定.
量不可能であった。Fig.13(旺)はFig.13(のに更にTMS化の操作を加えた時のガスクロマトグ
ラムである。図からわかるように,.未知物質とpyrO-D3TMS体のピークは分離し,定量可能と
なった。以上の結果に基ブいてマグロ肝油中のD3を定量するためには試料不けん化物をジギトニ
.ン・セライトカラムクロマトグラフィーとTLCを行い, TMS化の後G.LCに適用する方式を採
用することにした。次に,マグロ肝油1gにつきD3を16,0001U添加し第2章に関する実験の
定量操作法の3)(P63)に従って操作しD3の添加回収実験を行った。 Table 11に示すよう
に回収率は99・5%と良好な結果が得られた。従って・前処理操作を行っていない検量線について
の補正は行わずそのまま使用することにした。またD3の定量値は10,800±1501U/g(M±
SD)で第8改正日本薬局方のA定量法第2法に従い定量したAの値は95,3001U/gであった。
これらの値を山川18)らが報告している値と比較するとDはその範囲内(10,000~45,0001U/
g)であり,Aはやや高めであった。
_18一
'Fig. 13 Gas ehromatograms of tuna liver oil
50
o
50
o
50ge
v$8g.o O
50
o
,lr,O-D3
cAisio,pyro-D3"'
(111)PYrO.-D3T"ISis"epyro-
p3TMs.Ci
P・Y Igs:3¥l,:,l-D,l],if,li;:g:i,,,..,,cAsxi}:''tt"
o 20
Retention
40
time (min)
60
Table ll Determina.tion apd recovery test of vitamin Ds in a tuna liver eil.
Assaed value of vitarnin・D s a.U.lg)
Trial Without addition・ of Vitamin Ds (a)
16,O()O I.U. ofvitamin Ds added (b)
b-aRcoovery (%) ・
1
2
3
4
10,720
10,920
IO,960
10,600
26,320
26,640
27,Ooo
26,920
15,600
15,720
16,040
16,320
97.5
98.3
1co.3
192.0
Mean±S.D. 10,800±ISO 99.5±1.8
-19-
2.2.4.D3樹脂油のガスクロマトグラフィーによるD3.の定量
Fig.14はD3樹脂白白のD3の定量法を検討した結果である。 Fig.14 q)は試料不けん化物を
直接TMS化したもののガスクロマトグラムであり,植物ス.テロールによると思われる多くの妨害
がみられた。Fig.14(証)は試料不けん化物をジギトニン・セライトカラムクロマトグラフィーを
行ったのち,TMS化したもののガスクロマトグラムである。ジギトニン試薬でジギトナイドを形
成しないルミステロールや残存するタチステロールに由来するピークがみられ,定量不可能であっ
た。Fig.14⑲は試料不けん化物をジギトニン・セライトカラムクロ.マトグラフィーとTlCを
行.いTMs化したもののガスク.ロマトグラムである。図からわかるようにpyro-D3 TMS体の
こ一クを妨害していたものはT.LCで除去され,定量可能となった。以上の結果に基づいて, D3
樹脂油中のD3を定量するためには,マグロ肝油の場合と同様の操作法を.採用することにした。次
Fig・14 q・・ch耳qm・t・9・・m.・・fヤit・miの・・e・i皿・i1
50
0
50
Q
50藁
霧
88
.畠. 0
50
0
(D
CA ゆ
qD py「o翌3T門S. CA@ 1解py「o-D3T凹S
(11D @py・・ず3TMS 望 i・gpyピ・一D3T凹S
pyro工D3T凹S CA i・・gy「o凹D3T凹S
0 20 40 60
Retent10n tllne (min)
_20一
にD3樹脂油16検体中のD3を各々1回ずつ定量した。(Table 12)
Table 1.2 Determinat董On of vita斑in D3 in vitamin D3 resin oils.
Vitamin b呂σ.U.ノ9) V至ta田孟nD3(1.U,19)
SampleNo.
Indicatedvalue
Asbayed
val鵬SampleNo. 撫ted櫨9d
1
2
3
4
5
6
78
100,000
100,000
.100,000
100,000
100,000
100,000
fOO,000
100,000
.89,300
91,400
110,300
78,800
92,200
79,600
75,000
83,700
9
10
11
12
13
14
15
16
10・oqo
10,000
10,000
ioρ00
10,000.
10,000
10ρ00
.10,000
10,200
7,960
8,000
.7,960
8,440
8,160
7β60
9,480
23照射乾燥酵母中のビタミゆ・の趨
乾燥酵母は第9冊子日本薬局方で串accharomycesに属する酵母の野守を乾燥して粉末とした
ものと記載され・常用量1ま・日. T~・・9どな。ている・このものは栄養補給・食欲梅・消化不良・
便秘に対する整腸剤に用いられる。UV照射した酵母中のD2の定量に関しては:Bmchmannlgb
比色法が報告されている。しかし,比色法であるため,妨害物の完全除去の必要性から非常に煩雑
である。乾燥酵母にはErgosもelolが豊富に存在することは古くからよく知られている。一方D
は含まれていないと報告され20λUV照射によ。て初めて生成する.よ。てDの定量はUV照射
したものにつき行った。
2.3.1検量線
標準D220,40,80,120,160,200μg/麗とSA100μg/笏‘を含むベンゼン・ピリジン
(95:5)溶液の0.5躍6につき第2章に関する実験の定量操作法の3)の④(:P64)に従ってτM
s化の後Ghcに適用してFig.・15.に示す検量線が得られた。 D2の場合と同様にTMs化した場
含も熱閉環をおこしpyro-D2TMSとisopyro-D2 TMSに定量的になる。 定量に際しては
大きなピークを示すpyro-D2 TMSを利用することにした。
2.3.2 照射乾燥酵母のガスクロマトグラフィーによるD2の定量
一21一
Fig.15C・1ibrati・n・・rv・・.・f D2 TMS・the「by GLC
2 更
お
§
。望1週目N
貯認鍵盃。5 Wあの
㌫瓜 o
自
盃
)0
py「o“D2皿s
Vt㎞「
へ.
is・pyr・’D2TMS
ethef
0 0.4 0.8 1。2 1.6 2.O
W・ight rati・(D2/SA)
乾燥酵母試料庵1を健康線ランプより10c卿離し(照射エネルギー:20E-Vito即製)1時間照
射しτ得た照射乾燥酵母を試料とし・D2の定量条件の検討を行った。.Fig・16(Dは試料不けん化
物を直接TMS化したもののガスクロマトグラムであり,多量に共存するステロール類によりpy■o
-D2及びisopyro-D2のTMS体のピークは妨害されて定量不可能であった。 Fig.16Φ)は試
料不けん化物をジギトニン・セライトカラムクロマトグラフィーを行ったのちTMS化したものの
ガスクロマトグラムである。ステロール類の多くは除去されたが・pyrO-D2のTMS体に重な
る妨害物のピークがあり定量不可能であった。Fig.16(皿)は試料不けん化物にっきTLCを行った
のちTMS化したもののガスクロマトグラムである。図からわかるようにpyrO-p2の里MS体の
ピークを妨害するような化合物はTLCでほとんど除去され定量可能となった。以上の結果に基づ
いて照射乾燥酵母中のD2を定量するためには・試料不けん化物をT:LC処理後, TMS化いG
LCを行う方式を採用することにした』次に前記で得られた照射乾燥酵母に標準D2を8001U/g
添加し,D2の回収率を求めたところTable 13に示すように,満足すべき結果が得られた。従っ
て前処理操作による補正は必要.でないと判断し,検量線をそのまま使用することにした。
2.3.3 照射紫外線量とD2の生成量との関係
乾燥酵母試料孤2に健康線ランプの光を20E-VI ton/1涜のエネルギーで時聞を変えて照射し
三拝操作を行ったものと行わないものにづき第2章に関する実験の定量操作法の4)(P64)に従
一22一
F ig.
ntsR'
woen・=
enanoct
16
50
o
50
o
50
o
50
o
o
GLC behavior of irradiated dried yeastSaponificationTMS
(I)SA-`
SaponificationDl' gitonin-celiteTMS
(li)
SAt:r`:s-:-lts
'¥aLcponificationsATMSqll),7YrOor?l,;IMpySro-2Y/":,TMS:,,tttv
standardPslYr0 7iJT,t:i)ro-D2TMsSiS.1
・v.10 20 30
Retention time ( min
40
)
50
Tab!e 13
Determination and recovery test of vitamin D2 in dried yeast
TrialAssayed value of vitaminD 2 (IU/g)
Added valueWith addition of vitam inD2 (A)
without addition ofvitaminD2 (B) A-B
Reco ve ry
(%)
l
2
3
4
5
800800800800800
1, 8OO ,1,76O1,93O1,8OO1,76O
930 9301,lOO1,OOO . 910
870830830800850
1O8.81O 3.8
1O3.81OO.O1O6.3
M±SD 970±69 1O4.5+3
Note : Thewith
samples ofa Erythemal
dried Yeastultraviolet'
werelamp
irradiated for(2oE-viton/67S )
lhr
-2 3 --
い,D2を定量しその生成量を調べた。その結果Fig.17 に示すように撹拝操作を行った場合に
.は生成量:は15分で最大(6651U/g)に到達し,以後急激に減少した。一方撹拝操作を行わない
場合には1時間で最大(5201U/g)となり,以後漸減した。なおいずれの場合も前者では15
分まで,後者では30分までの照射において照射紫外線量とD2の生成量には比例関係が成立した。
なお無照射時においてD2は検出されなかった。
Fig.17D2 i・d…dyeast・f・・r・rrad・・t・・n〔・・E-V・…/・m2)
600
500
爲≧
巳 400
口N
300も
茗
.耳
目
200
100
0
昌 1.宰
ll
昌
ヂ1¥
9 ・ロ ロ
ξ
1 、1 終3 ㌦ら
蜜ξ
ぎ
義 With Sti。。i。g
Without Stirring 重
0 30 60 90 120
1rradiatiOn tirne (min)
2.4 照射シイタケ中のビタミンD2の定量
賜。イタ舛のD、の趨に関しては有本ら璽)蘭22)らの比色法が報告きれている.いずれ
の場合もその操作が煩雑である。シイタケ中にかなりの量のErgosもerolが含まれていることは
21)占くから知られているがD2は殆んど含まれておらず ・UV照射によって初めて生成してくる。
従って乾燥酵母の場合と同様にD宴の定量はUV照射したシイタケに適用した。
2.4.1 照射シイタケのガスクロマトグラフィーによるD2の定量
乾燥シイタケに健康線ランプの光を20E-Viton/読のエネルギーで丁子部に30分間照射し
た後粉末状にしたものについてD2の定量条件の検討を行った。 Fig.18月目は試料不けん化物を直
_24一
接τMS化したもののガスクロマトグラムであり・多量に共存するステ三一ル類によりpγro-D2
及びisopyro-D2のTMS体のピークは妨害されて定量不可能であった。以降乾燥酵母の場合.
と同様に検討し・照射シイタケ中のD・碇量するためには試料不けん化物教乃C}・三三TM
S化し,GLCを行う方式を採用することにした。しかし乾燥シイタケを3E-Viton/i痘のエ累
ルギーで,5~30分間程度健康線ランプの光を照射した時に.はD2の生成量が200~8001U/
gと少ないのでGLCでの定量限界以上とするために試料の採取量を多くしたとこち,共存するス
テロール類の絶対量が多くなり・.アセトン・その他の有機溶媒に完全に溶解せず・結晶が析出して
操作が不可能となったので,やむをえずジギトニ.ン・セ.ライトカラムクロマトグラフィーを行って
ステロール類の大部分を除去したのち丁丑Cを適用し,TMS化の後GLCを行うこと1ζした。次
Fig.18 Gas chromatogr.ams of irradiated drでed ”Shiitake”
男
50
0
50
0
50
0
50
0
Saponification 番
T図S T凹S-pyro-D2(D S.A.
SaPOnificationDigltOhうn-celiteTMS
TMS-pyro-D2
(ID ジ“看sopy「o騨D2S.A。
Saponificatioh懸 〆・・S-py・・一D2
(lID
病垂S-is・py「・曽D2S.A。
Standard
ξ!T凹S-py・・’D2
ピT図S-isopyro騨D2
S.A.
0 20 40 60
RetentてOn.tTme ( min )
一25一
に20E-Viton/罐のエネルギーで30分間照射して得た乾燥シイタケに標準D2を1,6001U/9
添加してD2の回収率を求めたところTable 14に示すようにほぼ100%に近い満足すべき結果
が得られた。
.Table 14 DclerHl三natb斐〕:md rec‘}very test(,f vhごLmh.L D2 h1(lri{唆[Shhtake
E・tim・t・d・・lue・,f・it・mli・.i)・(1U/9)
Trlal
Addud vこdueWlth{idditbm」l Withl,ut addill‘」1】v三tI壁min Dz(A) ・r vil・[mh1 D2くH)
、A一・・一B
Recし,very
(%)
1
2.
3
4
5
L600
L600
1,600
1、600・
1,6(X)
2,540
2,81)0
2,730
2,710
2,540
S70
1,1坦
1,060
1,070
980
1,670
1,690
L670
L64{〕
1,560
104.4
・105。6
104.4
102,5
97.5
M=上SD 1,02吐85 102,9茸,8,・
Note=.The sample()f dricd Shiitake were irradiated for 30聖nln with a Erythcmahdtraviolct laml⊃(20E-Vit‘}n/¢m2).
2.4.2 照射紫外線量とD2の生成量との関係
乾燥シイタケを20E-Vi七〇n/c涜のエネルギーで時間を変えてUV照射したのち第2章に関す
る実験の定量操作法の5)(p64)に従ってD2を定量いD2生成量を調べた。 Fig.19に示す
ように照射時間の増加と共にD2の生成量は増加して5時聞で最大となり,更に照射を続けたとこ
ろ,D2生成量は漸次減少していった。次に乾燥シイタケの1日の食用量(約2個)からD2の所要
量(4001U/日)を充足するためにはどの程度の照射を行えばよいかを知る目的で,・同じロッ’』ト
の乾燥シイタケを3E-VitOn/編のエネルギーの紫外線で5~30分間照射したのち第2章に関す
る実験の定量操作法の5)(P64)に従ってD2を定量した。 Fig.20に示すように,この実験条
件下では照射紫外線とD2の生成量との聞にはほ岬直線関係が成立し却。1分聞の照射に対するD2
生成量は291ツ9であった・D・の所要量・シイタケの・日常用食用量(約2個)などを考えると・
この条件下では10~15分間の照射を必要とした。
2.4.3 シイタケ申のD2含量’
和歌山,大分,愛媛,岩手,群馬各県産の乾燥シイタケを無照射時並びに3E-Viton/c擁 で
15分間,20E-Viton/磁で5時商UV照射したものにつきD2を定量したところTable 15
に示す結果を得た。かなりの個体差が認められた。無照射時においてはいずれもD2は含まれてい
なかった・
一26一
Fig, 19 Fig. 20
E・ti・・t・d・a1・e・・f・it・・i・D2 i・d・i・d llShiit・ke「‘・ft・・va・iou5.times of i「「adiati。n
with a Erythemal ultraviolet lamp.
5000§
:4000
浄30。。
・≡、
窪2。。。
暮
1.}000
0
Irradlation energy
!
’
~
’
’
’
;’
’
’
,’
’
220 E-Viton/c国
〆〆曜一…蜘亀 _鴨 ミ
\ヨ800
論。。
信
ξ400
こ
ξ2・。.
範 》 0
0 1 23 4 5 6.7h I¥・radiation timeO 1200 2400 3600 4800 6000 7200. 8400
Q蝋・m・f1・・曲t・d・・e・・y(E-V・t一・・ノ・m2>.
Irr、di、ti。, e,e,gy 3 E-Vit。・/,m2
6
o
0 5101520.2530min -Irradiation timeO 15 30 . 45 60 75. 90
〔~uantu飢 of frradiated energy (.E-VitOh.
。i,/、m2)
Table 15 Assayed vaiue of
vl乳・ml・b、 ln d・ied Slliit・k。 p,。d。ced
at d三fferent P玉aces after irrad…ation
with a 耳rytheynal ultraviolet lamp
Assayed value
Place Vit[・min D、(田/9)
Witllout 3E-Vit‘レh/20E-Viton
irr・di・lti・n cm215min/cm25h
WakayamaOlta.
Ehime
Iwate
Gunma
0
0
0
0
0
430.
61t}
410
290
290
4,800
5,720
6,940
3,48Q
1,610
2.5 小 括
GLCを用いてDの定量につき検討し,次のような結論を得た。
1.GLCを用いて混合ビタミン剤等のDの定量法を確立した。試料によって多少の違いはある
が所要時間は3~4時間の範囲にあり,これまでの動物試験法,比色法にくらべかなり簡便と
一27一
なった。
2.三物試験法並びに比色法では分離不可能であったD2並びにD3をGLCを用いることにより・
分離可能とし,試料中のD2並びにD3の存在状態を明らかにした。
3.D,A等の分解物を多く含む試料でも適用可能であったので,製剤申のDの安定性試験にも
利用出来ることを明らかにした。
4・著者の検討した範囲での乾燥酵母並びにシイタケ中にはDは含有されていなかった。
一28一
第3章高速液体クロマトグララィ=による ビタ.ミンDの定量
3.1. s販混合ビタミン平中のビタミンD2の定量
・・m・…g)らはぜ・チ・で被われたA・ce七…とD、雛中のD、を・・m・・hyl・ulf。x・d,.
を簾てゼ・チ・膜腋。た後直細璋C繭肌て島・る.また且・f・・ss11).らはAを諦三
物中のD・をけん化晒その耐確物を酵H・・αζ適用・て三三Cの場合と向様にH
PLCにおいてもF’gづ21.に示亨ようにpre-D・も・A・E.と分離す否の飾色法ρような完全.
な妨害伽除去操師う曙はない・三者・まこれ・でG平・法で得た経験轡・H耳¢法に・
り混合ビタ・ミン斉P中ρDの二言齢し芽・な郷噂G五Cの場合1は異り・”’g・31
Fig.21 HP・c・f.%P31・吟P、…6-D・・..A・nd E.
50
富
〕$
容
牙
0£
d1-oし一tocopherol. ↓
内1三富醤1。
毫ち
retino1.
一
0 10 孝0 30 tlme (min).Retention
・・耐・う・・b・とpre-D・は分離す・ので…と・・ρ一b・を合訂・てD・鐸・なければな
らない。
3.1.1 通常の混合ビタミ.ン剤
糧欝法概略はけん咽び不けんイヒ物の分野TLC→H且Cで樋・
3.1.1.1 検量線
標準・・または…一…2…6・・11…乃・と・一ナ.・.・一ル2・μ9/・齢む益で.・タ
ン溶液を第3章に関する実験の定量操作法1)あ③(P66)に設定した条件で亘P■Cに適吊しで
検量線を作成した。(Fig.22.)この図において,,同じ含量の時のD豊とpre-D2の内部標準物聲….
一29一
に対するピーク面積比の比を計算していったところ・pre-D2はD2に対して0.45であった。
Fig.22 C・1iわrati… urves。f D20「D3 by HPLC
.95・o罵
器
捻
鴬
8
Go
D3
\
、㌔2
P「o一D3
\
pre-D2
0。2 0.4 0.6
Weigh.t ratiQD3・・pre-D3(D2・・p・e}D2)/賦,n・phth・1
そこでpre-D2の標準溶液を毎回調製することは非常に手間がかかるので,、試料中のpre-D2
含量はpre-D2のピーク面積を,標準D2のそれと比較して得られた値に換算係数.0.45を乗じて
求めることにした。D3系についても同様である。なおpre-D2はD250η野を二塩化エチレン50
叛4中で30分間還流させた後うTLCで精製し得た。
3,1.1.2 市販混合ビタミン剤の高速液体クロマトグラフィーによるD2の定量
F童g.23(1)は市販混合ビタミン剤試料瓢7を試料として,その不けん化物を直接H:PLCに適
用したものの高速液体クロマトグラムである。D2のピークはわずかながらEの分解物により妨害
を受け,定量不可能であった。これに対しFig.23(旺)はGLCの前処理の場合と同様に,試料不
けん化物をTLCに適用して妨害物を除去した後HPLqに適用した結果であり,TLCの適用に
よって定量可能となった。従ってHPLC法の場合にもGLC法と同様の前処理操作を適用するこ
とにした。次に市販混合ビタミン剤(試料甑2及び鳳7)を購入直後に,D2を定量したところ,
バラツキは少なく良好な結果が得られた。(丁駄ble 16)
3.1.1.3 GLC法との比較.
市販混合ビタミン剤試料妬.7につき,確立したGI、G法並びにHPLC法で各タ30回ずつD2
の定量を行い,両者の間の相関関係を調べた。(Fig.24)相関係数は0.958でありL両法によ
る結果の問には高度の相関関係があることがわかった。
一30「
Fig.23
巴
雷
8詠
£
HighF士)erformance liquid ch士6血atograms of
commercial multivitalnin prepa.rations
50.
0
50..
0
50
0
(1
諏P.n’f’cat’o
TL.C
S母ponificati.on
鴨1蹴影 o覧 ,・ ll
0 ユ0己. ..L....20 「:30. Re.tehtion.time..亡lnih)
丁昂ble.16 Vit吊mi・D.・c・nt・・もi・.1・・皿me・rial
叫lti・it.・min.P・ep…!i6n・
SaInple Vitam.in D2 con七en.t.
Indicated %、of
≠唐唐<A
Fouhd(M::ヒSD)
妬.2
砿7
40q.IU/c.a.P。
盆00.iu/tab.
5.
5
4..06±4
20.1±1.6
3・1・2 ビタミ1シEを.多墨に含.む準合ビタ..ミシ剤
H蕪欝略糊噺 をイ騨騨岬ケ∵グラフィ.「→∵9→
S…2・.・.轍齢ζ・..・.・斉ゆ高三体・▽々・.ダ・・.づ.rlrタうP・ρ騨
F・g….(1)は市販昂・タ・.・剤(試柵・.・.室温・き年鵜)の不け”晦・.LC}噸.
後H・・Gを行…も鋤高醐如7.・グラムであ・・.T.LCの噸三三ダ1即櫛
害物による影響を受け.るので・GL〈)の場合と同様さらにPTA.カ.ラムクロマ.トグラフ..ブ..一}とよ1る
一31一.
Fig. 24Correlation between
methods (commercial
' 'D2 values by
multiVitamin
GLC and HPLC
preparation)
T.A
.E1
RL;,
$,k
AX
Bi}`
$ tu
AN
.24Q
220
200
eeeV ee
eeee
/ e'e tt
.
'
e e'ee
y=o
・(.887X+14
r=O.9S8 )
200
D2 assayed
-220
by GLC
24o
(IUIcap.)
Fi'g.25
Aeey-)'
¢ co = o n m・. o・・ ]c
50
o
50
o
so
o
High-performance liquid
commercia1 mu1tivitamin
chromatograrns of
preparatlons
TLC(1)
Saponification.tieltlll-'tt."e
SaPonification¥ie,,l,,'-'t:ttttt
standa'dd'n:Z?ivhp.t).9BzDN2g}l:et
o 1 O' 20 30
alli mp E? -p CJ 1]H % t: tCB , Fig.25 (I) VC Ek vil- .} 5 ia gai=iltz l}l ve ik 8 ;l-Lre ig flJfie e ig . t: . eofi
-3 2-
法.に従い,繰り返しD2の定量を行ったところ満足すべき結果を得た。(Table 17)
Table 17 Viもamin D2 co日置ent in commercial
mulもivitamin preparations
Sa皿ple vitamin D2 contenも
Indicated ノ伍.of Found
assaア (M土SD)
46.6 4001Uン/cap.’ @5 238±11
3。L2.2 GLC法との比較
市販混合ビタミン剤(試料砺.6,室温,3年保存)にっき,確立したGLC法並びにHPLC
法で各々5回ずつ繰り返し定量を行った。(Table 18. j両法による定量値はほぼ近似しぜいた。な
お保存開始時の定量値を100%とした時,室温で3年間保存後のD2の残存率は54.9%であった。
Table 18 Determination of vi七aminD2 iR commercial.
mulむiviもamin preparations bアbo七h GLC and EPLC
me七hod8
Sample 妬.of
(lll’器、甥. aS町
Assayed value of vitaminD2 (IU/cap。)
By GLC method. @by.HP乃C method
(M±SD) (M±SD)
(、。臨) 5 225±15 238±11
3・2 マグロ肝油並びにビタミンD3樹脂油層のドタミンD3の定量
水産物中のDの定量に関gては,比色法並びにGLC法による報告は見られるが,HI)LCを用
いた報告はいまだ見られない。一方HPLCを用いたD3樹脂油中のDの定量に関しては,
H・…ssl 戟jらまた・・・・…t・8)らの結・励,共・・講を酵H,。C、,翻。ている.著
者もGLC法により検討した結果に基づいてHP五dを用いて検討を行った。
3.2.1 マグロ肝油の高速液体クロマトグラフィーによるD3の定量
一33一
Fig.26(1)はマグロ肝油の不けん化物をジギトニン・セライトカラムクロマトグラフィー.に適用
後HPLCを行った時の高速液体クロマトグラムである。共存する妨害物によりD3のピークは影
Fig,26
50
0ε50
$
ぎ
量。
匡50
0
High-P爾・f・・m・・ce.1iq・id・h・・m・tdgram・
of tuna liver oils
Saponjficationcigitonin-celite
↓
〔]) 典1竃
Oo
SaponificationDigitonin-celite ↓
TLC A(11) 呉
ll,亀
St・ndard必・・phth・1 鷺3
轟響1
pre-D3
h1亀
.0 10 20 30
Retention time 〔min〕
響を受け,定量不可能であらた。Fig.26①)は試料不けん化物をジギトニン・セライトカラムク
ロマトグラフィー並びにTLCを行ったものの高速液体クロマトグラムである。G.LCの場合と同
様に未知物質がD3のピークを妨害し,定量不可能であった。 GLC法ではTMS化の操作を加え
ることにより,はじめて未知物質とpyro-D3 TMSのピークとが分離し定量可能となったが,
HP上C法の場合にはTMS化を行うとGI、Cの場合とは異って極端に三時時間が早くなるため,
溶出液から検討しなおさなければならない。従って統一した定量条件をとるためにHPLCではT
MS.化を行わない方針を.とつ.てきた。幸にしてセグロ肝油申のD3に関してはGLC法で定量可能
となるので,GLC法でのみ定量を行うことにした。
3,2.2 D3樹脂油の高速液体クロマトグラフィーによるD3の定量
Fig.27(DはD,翻正油・試料翫・の不けん化物を直接HPLCに適用したものρ高速液体
クロマトグラムであり,Fig.27(皿)は試料不けん化物をTLCに適用しD3並びにpre-D3画分
をかきとり,HPLCに適用したものの高速液体クロマトグラムである。両者の定量値はほぼ等し
かっ.た。この結果を基にD3の定量の際には試料不けん化物を直接HPLCに適用することにした。
一34一
F.ig。27 H’gh”pP・f一孕ce・’q・・d・㎞・吻9士….
.Qf..vit・mih p3 resi・・ils
50
0
巴 50.
の.
の
。
画め
Φ O
l50
0
0. ■10.、....20....30
Rr.・←癖。h.・i興・.伽.i・).
蟹幣翻藏申ρD岬した..(Table.1.9.)
P棚輝郷1~5につき・確立レ嘔・珠並岬・L噸各々・.回ずつ・・の輝
を行っ.た。.(Table 20)..商法による定量値はほぼ近似.してい津r..
Table 19
Saponificationc智.〔1) 鱒 ll. .ll l㌔ ↓愛錨ヲ置u
C
1亀.
塁呈き.n’f’cat’o・ ↓・・メ・・IU!・ (11) 毛 o。
Standa「d必・・聖… 9,..
@ 謹..
@ 轟 93
.P「eつ3
Deter血ination of vitaminb3 in vi七amin.D3 resin oilS
Sample 妬..
.VitaminD3.(工{1/9)
Indica毛ed..
value
Assaナed valU61
1
2
3
4
5
100,000100.,0.00
100,000.
100,000100,000.
9Q,400
95,700
112,800 .7.7,900
.95,000
Table 20 De七er.ln.ination.of vi七昂m.i耳.D3 in vitaminD3
resin oilsゆy GLC 呂nd HPLC methods.
Sample 妬..
Indicaもed valueof v三七amin:D3
(Iu/9)
Assaしyed val.ue of vi.taminD3(IU/g)
ByGI、Clheth6d By HpLC metれod
1
2
3
4
5
100,000100,00010.6,000
100,000.
100.,000
89,300 91,400.
.109,300
78,800 92,2.00〕.
9.O,400 9.5,7.00
11.♀,.8..qo.1.
.77,.3Q..9.
X5,00.0
一35一
3.3 照射乾燥酵母中のビタミンD2の定量
前章においてGLC法により照射乾燥酵母中のD2の定量法を確立したことを述べた。そこでH
PLCについても検討を行った。
3.3.1 照射乾燥酵母の高速液体クロマトグラフィーによるD2の定量
Fig.28(1)は燃5化20E-Viton/屍のエネルギーで1時聞UV照射した後,けん化しその
不けん化物を直接HPLCに遮用した時の高速液体.クロマトグラムである。 D,のピークは妨害物
Fig.28 High-performance liquid chrolnatograms
of. irradiated dried yeast
50
富
)霧
自
辞
畠
0
50
0
50
0
Saponification
@ 〔1〕 ●
↓
亀
,1
曹騒
ll・1
SaponificationsLC
↓
(11) 糞 ol
oo・1
Standard@ ゐ・妙th・1
@ いre-D2
ε・
llo1
●6
0 10 20 30
RetentiOn time 〔min)
の影響を受け定量不可能であった。そこでT・LCρ)操作を加えるとFig.28(のに示すように,定
量可能となった。前記のUV照射乾燥酵母中の砺を繰り返し第3章に関する実験の定量操作法の4)
(P67)に従い定量したところ,バラツキは小さく良好な結果が得られた。(Table 21)
Table 21 Determina七ion of vitaminD3 i且irradiated dried yeast
Sample /6.ofaSsay
Vita皿in D2 (IU/望)
Assayed value(M±SD)
万6.5 5 620±22
_36一
3..3.2.GLC法との比較
乾燥酵母試料孤5に20E-Vi ton/読のエネルギーで1時間照射したものにっき,確立したG丑