私どものアムステルダムにあります「ホテル・オークラ・アムステルダム」、ここの社
長であるマルセル・ファン・アレストが中心になってやっていきましょうということで
決定したのですけどね、
まあ彼もなかなか忙しいもので、一部分私どもがやっていたり、または彼の下にいるク
ラバーという者が案件の分析を行っておりますので、全体的な話としては、私どもが把
握していないところも正直あります。今日はそのなかでお話しさせていただきます。
また、再来週、6月 8日、一つはトルコの合弁事業について、トルコでのマネジメント会社の合弁事業について、もう一つは、カッパドキアについて、メディアへの発表をしま
す。その時に、私どもの広報部、「・・・クリエーションズ」
これについて、未完成ですが、これについてもお話しさせていただきます。
Q まず、今年から中身が変わった会報です。今年でちょうど 20年目ですが、20年前はどのように作ってきたものなのか。次に中村先生とのインタビュー
A
Q まず、ホテルオークラは全体としてグローバル事業にどれくらいの重みを置いていますか?
A 海外に進出している日本のホテル会社は、今まで非常に限られたものでした。観光を通じてお互いに理解しあうということは非常に大切なことです。私どもは日本国内での
展開のみならず、海外に積極的に進出し、ホテルオークラを通じて日本を再認識してい
ただくことを、実はかなり前から目指していました。1960年代後半(詳細はのちほど?)にはインドネシアに進出するなど、積極的に海外に出ようとしておりましたが、
そこでチェーン展開をするには至りませんでした。
2000年代以降、再び海外に出ようとする機運が高まりました。ちょうど 3年前、経営不振に陥っていた日本航空の子会社、「 JALホテルズ」の株式を 80%取得し、ホテルオークラの子会社としました。これを機に海外でのホテル事業をさらに加速させようと
取り組んでおります。
おかげさまで、今まで日本国内では多くのホテルを展開してきましたが、これからは
海外にも展開していこうと考えております。東南アジアがメインとなりますが、それに
加えて日本と友好関係にあるトルコなどの国にも、今後積極的に展開していきます。
Q 海外展開を考える時は、日本人が多く訪れる国はもちろん、これからもっと日本からの観光客が増える国、あるいは日本のホテルがない国への進出を目指していらっしゃる
のですね?たしか現在トルコに日本のホテルは一つもなかったと記憶しておりますが。
A はい、その通りです。また、日本のホテルができるということは、日本人が継続的にそこを訪れるということです。飛行機のように路線を突然廃止するといったことができ
ません。しかし、例えばカッパドキアやイスタンブルといった現地のローカルコミュニ
ティーの中で好評頂ければ、その中で日本を知っていただくといったことも可能になり
ます。
Q 成長戦略としては、日本の文化なども含めて海外に紹介すること、 JALホテルズを買収したことが大きいということですね。
A はい。今後はより選択肢が広がっていきます。今まではオークラのみだったものが、今はそれに加えて JALホテルズの「日航ブランド」も、私どもは提供できます。
Q 現在は東南アジアが中心であるとのことですが、中東地域の中ではどこがメインにな
るのでしょうか?トルコの需要というのはどれほどあるのでしょうか?
A トルコは観光の拠点となっていて、日本はもちろん、東南アジアやヨーロッパからの需要が期待できます。観光だけではなく、トルコに進出する企業の出張者なども含めて、
需要が高まっていると言えます。地理的にも重要な位置にあり、そこに拠点を作ること
は日本企業にとり現在揺れている地域への将来的な進出も期待できるということです。
Q 10年後には周辺地域も安定しているだろうと思います。トルコは重要な拠点になるとのことですが、トルコに対する戦略はどのようなものでしょうか。カッパドキアとイ
スタンブルのほかに何かお考えでしょうか。
A 今回進出するカッパドキア、またイスタンブルを中心に展開を考えていきたいと思っています。イスタンブルはご存じのとおり、日本の企業が多く進出しておりますが、ビ
ジネスを目的とした方、またはハイエンドのレジャーを目的としたお客様を中心に取っ
ていきたいと考えております。特にトルコの場合、特に日本人は周遊型の観光が多いの
で、首都アンカラや南のイズミルも含めて拠点を持っていければと思っています。
その展開の推進にあたる体制という意味で曽根社長をはじめ、現地の ERSA社、オークラ、曽根社長のMSIC社の 3社からなる合弁会社を設立し、トルコを開発していこうと進めているところです。
Q ありがとうございます。ほかにはたとえば、ボドルムなどはどうでしょう?
A そうですね、ボドルムも考えられると思いますし、その先にも展開は考えられます。
Q カッパドキアとイスタンブルに関してはかなり計画が固まっているという印象をうけましたが、実際の部屋数やベッド数などの数値はありますか?
A カッパドキアに関しては、部屋が 134室です。カッパドキアの風光明媚な奇岩風景、また周辺にある歴史的な教会など、カッパドキア全体の景観を活かしながら造っていき
ます。工事もすでに始まっています。
Q 134室というのは、カッパドキアの中では大きい方なのでしょうか?
A 大きいホテルです。カッパドキアのホテルは 15~30部屋のところが大半で、大きい方でもCave Resortというホテルが 100室超であることを考えても、かなり大きいものだといえます。
Q イスタンブルについてはどうでしょうか。
A イスタンブルに関してはまだ具体的には決まっていません。余談ですが、ホテルには2つの要素があります。ひとつはホテル事業で、もうひとつは不動産としての事業です。私どもは不動産事業ではなく、ホテル事業、いわゆる「ホスピタリティー事業」を担当
しております。不動産のオーナーと契約し、その中でホテルの運営をしていきます。
イスタンブルの場合、いくつかの候補はあるものの、そのパートナーがまだ決まって
いないという状況です。規模としては 250~300部屋を考えています。立地に関してはまだ決まっていませんが、ボスポラス海峡が見えるロケーションで利便性の高い場所を
希望しています。
Q カッパドキアのホテルはどこになるのでしょう?
A カッパドキアは、ウルギュップです。
Q 投資をされるのは御社ではなく、トルコのパートナーということですね。
A はい。不動産に関しても、全てオーナーさんにお任せするということです。
Q ホスピタリティー・ビジネスをされている御社にフィーが落ちるということですね。
A そのとおりです。
Q 設備の面などは、どういうサービスが提供されるのでしょうか。和食の提供などはあるのでしょうか。
A 「オールデイ・ダイニング」という多目的レストランを考えています。限られたスペースの中で、まず一つ大きいレストランを作ろうということで決まったものです。
和食ですが、スペースの問題と、食材の観点から考えるとなかなか難しいところがあ
ります。やはりオークラとしては日本の文化、特に食事に関しては力を入れていきたい、
できる限りきちんとした和食を出したいと思っている以上、今回は和食としては作らな
いといことにしました。ただ、多目的レストランを利用し、例えば日本的なモチーフを
入れた食事を作ったり、鉄板焼きを作ったりなどは今後検討していきたいです。
Q ホテルのオープンはいつごろを目指していらっしゃいますか?
A 建築が順調にいけば、2016年 8月ごろのオープンを考えています。 イスタンブルについても、オーナーさんからいい話があればすぐにでも取り掛かりた
いと思っております。
Q トルコと仕事をする際に、トルコ企業のどういうところが良いと思われますか?また、何かやりにくいと感じたことはありますか?
A 私どもはアムステルダムを中心に進めておりまして、トルコは部分的なポーションになってしまっていますが、その中でやり取りさせて頂いたソネルさん、レジェプさん、
今回のオーナーであるウングン社さんとはとても仕事がしやすかったです。「トルコだ
から、二本だから」などということを別段意識せず仕事ができました。
確かに、同じ部屋で長時間一緒に仕事をしていくとしたらその中で何か問題もあるか
もしれませんが、今のところはそういった問題はありません。国の違いは特に意識して
いません。
Q ありがとうございます。先ほど立地のお話がありました。欧州は平和ではありますが経済的に苦しんでおり、ロシアではウクライナ問題があります。トルコの南東部では内
戦中のシリアと国境を接しているなど、地理的にはやはりリスクがあることは確かです。
このリスクについてはどのようにお考えですか?
A ホテルの場合、マーケットとしているのが観光客、ビジネスマンですが、特に観光客の方々は文化・歴史・食といったものを期待されています。またカッパドキアをはじめ、
素晴らしい景色があります。そのなかでもっとも基本となるのが、平和であることです。
セキュリティー上の問題がないかということです。そういうことから考えますと、南の
方で起きていることは、観光ホテル産業としては若干の懸念の材料ではあります。日本
はそういうことに特に敏感なところもありますので。
ただトルコはきちんとした秩序・ルールをもって成り立っている国ですし、ビジネス
の分野に関しては、特に心配はしていません。イスタンブルなどは、日本企業もたくさ
ん進出している都市ですし。
Q そうですね。220社ほどが進出していると言われています。ただこれは世界的にはまだまだ少ない方です。ほかの国には最低でも 1000社ほどが出ています。まだまだこれからですが、毎年 20社ほど増えているという話も聞きますので、これからが期待できそうです。
A 特に日本の場合、現政権になってから、これからトルコとの交流を深めようという動きも強まっており、我々も期待しているところであります。そういう点でビジネスに関
しては特に心配していません。観光の面ではやはり心配なところはありますが。
Q そうですね。ただ、トルコで何かが起きたということはなく、日本人 2人が殺害された先の事件というのもシリアで起きたことです。その影響はあるにしてもこれは今年に
なってからのことで、これからずっと続く影響ではないですよね。
A そのとおりです。先ほども申し上げました通り、ビジネスに関しては安心・安全の仕組みがあり、問題ないのです。
ただ、観光となりますと、噂・風評といったものに左右されやすい面があります。実
際に行ってみたら「なーんだ」というようなところにも、かなりセンシティブになって
しまいがちなので、そういう点には若干懸念しているところです。
しかしさきほど仰っていた 10年後にはどうなっているかを考えますと、さすがにそういう風評の影響はないでしょう。少なくとも今の段階ではそういうこともありますが、
来年 8月に我々のホテルがオープンするころには、そういった風評も収まってくれればいいなと思っているところです。