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熱傷早わかり ~熱傷の重症度評価と輸液を中心に~ 中京病院 救急科 黒木雄一

熱傷早わかり

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製薬会社員向け勉強会資料です

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Page 1: 熱傷早わかり

熱傷早わかり

~熱傷の重症度評価と輸液を中心に~

中京病院 救急科

黒木雄一

Page 2: 熱傷早わかり

中京病院の歴史

• 昭和22年:開院

• 昭和34年:伊勢湾台風

• 昭和45年:人工腎センター開設

• 昭和49年:ICU開設

• 平成3年:鹿児島大学病院救急部より現部長の上山ら4人の救急専従医が赴任

• 平成16年:救命救急センター開設

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2011年度 熱傷DPC統計より

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Page 8: 熱傷早わかり

他院から転送された熱傷患者数 ~最近2年間~

34 4

11

6

2

3

1

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当科に入院した熱傷患者の死亡率 (2006-2012)

70 572

=12%

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熱傷の死亡原因 • CO中毒

• 熱傷性ショック

• 肺水腫

• Abdominal Compartment Syndrome (ACS)

• 敗血症

• 原疾患の悪化

• その他の合併症

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血管内皮傷害が熱傷患者の死亡と 深くかかわっている

血管

脱水

↓ ショック

浮腫 肺水腫

ACS

血管透過性亢進による

体液シフト

血管内皮傷害

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熱傷

壊死組織

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熱傷

壊死組織

アラーミン

SIRS (全身性炎症反応症候群)

血管内皮傷害

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熱傷

壊死組織

アラーミン

SIRS (全身性炎症反応症候群)

血管内皮傷害

感染

細菌毒素

(エンドトキシンなど)

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体積=面積×深さ 壊死組織の体積が大きいほど重症!

熱傷面積 熱傷深度

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II度熱傷

• 壊死部分が真皮までにとどまる

• 水泡形成

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III度熱傷

• 皮膚全層の壊死

• 羊皮紙様

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IV度熱傷

• 筋肉まで壊死している

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熱傷の重症度をはかる指標

• Burn Index

=III度熱傷面積+1/2×II度熱傷面積

• Prognostic Burn Index (PBI)

=年齢+Burn Index

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0-20 21-40

患者数

PBI 41-60 61-80 81-100 101-120 121-

死亡率

0-20 21-40 PBI

41-60 61-80 81-100 101-120 121-

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熱傷の輸液公式(Baxter, 1968)

•受傷後24時間の輸液量

=4×熱傷面積(%)×体重(kg)

•最初の8時間で半分

•残りの16時間でもう半分

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"Fluid creep" 1975-78年 (n=11) 2000 年(n=11)

ワシントン大学データ

↑↑

↑↑

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"Fluid creep" 1975-78年 (n=11) 2000 年(n=11)

ワシントン大学データ

↑↑

↑↑

アメリカの多くの熱傷専門施設では, 30年前と比べて輸液量が明らかに増えている

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Fluid creepの背景

•麻薬の大量使用

"Opioid creep"

血圧が下がる→大量輸液負荷が必要となる

•敗血症診療ガイドライン(SSCG)における初期大量輸液(EGDT)の推奨

熱傷の初期輸液療法にも影響

•晶質液偏重志向(反膠質液主義)

" Albumin is killer fluid"

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Permissive hypovolemia

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Permissive hypovolemia

従来の輸液でも,輸液制限でも循環動態に差はない

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従来の熱傷輸液

輸液制限

多臓器障害スコア

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• 熱傷ショック期に脱水なのは当たり前

• 循環動態を完全に正常化しようとして輸液量を増やしても,血管外に漏れて浮腫になるだけ

• 脱水は許容し,なるべく少ない輸液量で乗り切るほうがよい

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過ぎたるは猶及ばざるが如し

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当科では熱傷患者に どのくらい輸液をしているのか

調べてみました

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生存群

n=20

死亡群

n=14

P

年齢 52(36-60) 66(56-75) 0.01

男/女 13/7 8/6 NS

熱傷面積 38(32-47) 39(34-55) NS

Burn Index 30(26-38) 36(28-50) NS

気道熱傷 7 10 NS

当院データ(2008-2010)

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生存群 死亡群

輸液量_ml(受傷後24時間)

当院データ(2008-2010)

p=0.009

2

1

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生存群 死亡群

輸液量/体重/熱傷面積(ml/kg/%TBSA)

当院データ(2008-2010)

p=0.006

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生存群(n=20) 死亡群(n=14)

体重増加比(=翌日の体重/初日の体重)

当院データ(2008-2010)

p=0.001

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過剰輸液が死亡リスクを高めているのではないのか?

死亡リスクの高い重症例ほどたくさん輸液が必要になるのは仕方がないのか?

Page 36: 熱傷早わかり

生存群

n=20

死亡群

n=14

P

年齢 52(36-60) 66(56-75) 0.01

男/女 13/7 8/6 NS

熱傷面積 38(32-47) 39(34-55) NS

Burn Index 30(26-38) 36(28-50) NS

気道熱傷 7 10 NS

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○生存 △死亡

r=0.37 p=0.02

Spearman検定

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○生存 △死亡

r=0.37 p=0.02

Spearman検定

高齢ほど体重増加しやすい 体重増加が著しいほど死亡する

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特に高齢者熱傷は 過剰輸液に注意!

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初日体重増加率<15%

初日体重増加率≧15%

受傷からの日数

p<0.0001

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熱傷で用いられる輸液 •細胞外液 –乳酸リンゲル –酢酸リンゲル –重炭酸リンゲル

•ビタミンC •高張ナトリウム液 •膠質液 –ヘスパンダー –アルブミン –FFP

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VitC入れたほうが輸液が少なくて済む

田中秀治先生

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ビタミンC大量投与プロトコール

アスコルビン酸66mg/kg/h×24hr

体重50kgの患者さんだと・・・

1日に158アンプル!

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HLSのほうが腹腔内圧が低く抑えられる

肺にかかる負担が小さくなる

織田順先生

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中京病院のHLSプロトコール

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ご清聴ありがとうございました。質問をどうぞ。