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ダイバーシティ・マネジメント
1
発表構成 1.はじめに
1-1.研究背景
1-2.RQ(リサーチ・クエッション)
1-3.本研究における社会的意義
2.文化と多様性 2-1.ダイバーシティとは
2-2.文化の概念
2-3.3つの組織形態
2-4.ビジネスの世界における文化
2-5.考察
3.ダイバーシティ・マネジメント 3-1.ダイバーシティに対する企業行動
3-2.ダイバーシティ・マネジメントとは
3-3.日本のダイバーシティ・マネジメントへの取り組み
3-4.考察
4.ダイバーシティ・マネジメントを実行するには 4-1.ダイバーシティにおける組織構造と組織文化の変容
4-2.組織変革に必要な要素
4-3.考察
2
発表構成 5.事例研究
5-1.企業概要
5-2.ダイバーシティへの取り組み
5-3.ダイバーシティへの取り組みを行うために
5-4.多様性を尊重するための取り組み
5-5.文化・国籍の違いを活かすための取り組み
5-6.ダイバーシティ推進による経営効果
5-7.考察
6.現時点でのRQに対する解答
7.今後の課題・展望
8.参考文献
3
1.はじめに
4
• 卒業論文作成のための途中報告
• 現時点でのRQに対する解答を導き出す
発表の目的
• ダイバーシティとは何か?なぜ重要なのか?
• 実際にダイバーシティ・マネジメントを実行している企業の取り組み
発表の流れ
1-1.研究背景
5
海外で成功するには現地の文化理解が必要
目に見えない文化や価値観の違いをどう乗り越えればいいのか研究したい!
文化や価値観の異なる人と働く機会
日本 海外
1-2.RQ(リサーチ・クエッション)
6
目に見えない文化や価値観の違いをどう乗り越えればいいのか研究したい!
どうすれば文化や言語の違いを乗り越え、イノベーションを起こすことができるのか?
実際に企業はどのようなダイバーシティ・マネジメントを行っていて、どのような共通点や差異点があるのか?
1-3.本研究における社会的意義
日本もグローバル化や少子高齢化などの影響により、文化や価値観の異なる外国人などと一緒に働く機会がこの先も増えていくと考えられる。
さらに、日本でもLGBTについて企業が無視できなくなるような環境変化が起きている。
これらに伴い、今後ダイバーシティ・マネジメントはどこの企業でも必要とされる考え方となっていくと考えられる。
そのため、本研究は社会的に必要なものであり、社会的意義が高いといえる。
7
※LGBT:女性同性愛者(レズビアン:Lesbian)、男性同性愛者(ゲイ:Gay)、
両性愛者(バイセクシュアル:Bisexual)、そして性同一性障害含む性別越境者など(トランスジェンダー:Transgender)の人々を意味する頭字語
2.文化と多様性
• 2-1.ダイバーシティとは
• 2-2.文化の概念
• 2-3.3つの組織形態
• 2-4.ビジネスの世界における文化
• 2-5.考察
8
表層的なダイバーシティ
2-1.ダイバーシティとは
ダイバーシティ
=個々の違いを受け入れ、認め、活かしていくこと 9
参考:日本の人事部『いま求められる「ダイバーシティ・マネジメント」』 https://jinjibu.jp/article/detl/manage/178/ (2015.06.29参照)。を基に筆者作成。
図表2-1:外見と内面の属性
深層的なダイバーシティ
2-2.文化の概念
文化
=人々が経験を解釈したり、
社会的行動を起こすために使う知識
10
参考:浅川和宏(2003)『グローバル経営入門』日本経済新聞社。を基に筆者作成。
1. 学習や経験によって獲得される
2. 個人に特定されるものではなく、世代間に受け継がれる
3. あるものの象徴としての機能を持つ
4. 文化には構造があり、個々の構成要素が互いに関連しあっている
5. 変化や適応といった人間の能力に基づいている
※この知識は価値観を形成し、態度を創出し、そして行動に影響を与える
2-3.3つの組織形態
マイノリティチームと多様なチームが、組織の下層にいる 11
同質なマイノリティチーム 多様なチーム 同質なマジョリティチーム
単一組織 多元組織 多文化組織マイノリティチームと多様なチームが、組織のミドルと下層にいる
マイノリティがすべての階層に存在することによって構造的な統合がなされる
図表2-2:単一・多元・多文化組織
出所:馬越恵美子(2005)『ダイバーシティ・マネジメント:多様性を活かす組織』白桃書房, p. 208。
Coxは組織を以下の3つの形態に分類
優れた成果をあげるには多様性が不可欠
2-4.ビジネスの世界における文化図表2-3:文化とチームのパフォーマンス① 図表2-4:文化とチームのパフォーマンス②
参考:斎田久夫(2013)『グローバル人材の新しい教科書』日本経済新聞出版社。を基に筆者作成。
従来型チーム:同じオフィス、文化的な類似、所属部署内で業務が完結
グローバルで多様なチーム:多様な勤務地、多様な文化、所属部署を超えた関係
12
2-5.考察
ダイバーシティの観点からみると、文化は違いの一つにすぎず、他にも人種や性別、年齢、身体障害の有無などの外見的な違いだけでなく、宗教や価値観、社会的背景、生き方、考え方、性格、態度、嗜好など、内面の違いにも目を向けなくてはならない。
そうした多様な違いをもつチームは、同質的なチームでは成しえないプラスの結果を生み出す可能性をもっている。
しかし、多様性を理解し、活かすことができないと、その力を十分に発揮することはできず、むしろマイナスとなってしまう。
そのため、そうした多様性を活かすダイバーシティ・マネジメントが必要となると考える。
13
3.ダイバーシティ・マネジメント
• 3-1.ダイバーシティに対する企業行動
• 3-2.ダイバーシティ・マネジメントとは
• 3-3.日本のダイバーシティ・マネジメントへの取り組み
• 3-4.考察
14
3-1.ダイバーシティに対する企業行動
15
参考:馬越恵美子(2005)『ダイバーシティ・マネジメント:多様性を活かす組織』白桃書房, p. 265。を基に筆者作成。参考:日本の人事部『いま求められる「ダイバーシティ・マネジメント」』 https://jinjibu.jp/article/detl/manage/178/ (2015.06.29参照)。を基に筆者作成。
図表3-3:ダイバーシティに対する企業行動
谷口真美はダイバーシティにおける企業の
「発展段階」を、以下のような4つのステップに分類
3-2.ダイバーシティ・マネジメントとは
ダイバーシティ・マネジメント
=企業組織における多様性を
価値創造の源泉にするための経営の取り組み
16参考:馬越恵美子(2011)『ダイバーシティ・マネジメントと異文化経営』新評論。を基に筆者作成。
参考:「ダイバーシティの“今”を追う:【第一回】日本企業とダイバーシティ・マネジメント」 『ITmediaエグゼティブ』(2010年2月22日)http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1002/22/news006.html(2015.06.29参照)。を基に筆者作成。
1. 多様性が企業の売上や利益、社会的評価に貢献し、競争力の源泉となる考えに基づいている
2. 個人、人間関係、組織といった三つのレベルを適応対象としている
3. 多様性の意味を広く定義し、個人間や集団間で違いを生み出す可能性のあるすべての要素が考慮の対象となる
4. プロセスとして位置付けられ、長期的な観点を重視している
3-3.日本のダイバーシティ・マネジメントへの取り組み
以前
• アメリカのような多民族の課題
• 日本のような均質な国には関係がない
現在
• 重要度の高い課題であると認識
• 「女性の活用」と狭義に捉える傾向
今後
• 「女性の活用」から「外国人や高齢者、ハンディのある方々の活用」へ
17
参考:馬越恵美子(2011)『ダイバーシティ・マネジメントと異文化経営』新評論。を基に筆者作成。参考:「ダイバーシティの“今”を追う:【第一回】日本企業とダイバーシティ・マネジメント」 『ITmediaエグゼティブ』(2010年2月22日)
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1002/22/news006.html (2015.06.29参照)。を基に筆者作成。参考:「ダイバーシティの“今”を追う:【第四回】日本における今後のダイバーシティ・マネジメントの方向性」『ITmediaエグゼティブ』(2010年5月26日)
http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1005/26/news048.html (2015.06.29参照)。 を基に筆者作成。
日本企業は海外企業と比べてダイバーシティに対する取り組みが遅れている
3-4.考察
短期的な成果を望むのであれば、ダイバーシティは足かせとなるかもしれない。しかし、長期的に組織を成長させたいと考えた場合、ダイバーシティは避けては通れない道である。
しかし、日本では、ダイバーシティ・マネジメントと聞くと、「女性の活用である」と考える人が多いことからも、日本のダイバーシティ・マネジメントに対する取り組みは欧米諸国と比べても遅れていることが分かった。
そのため、欧米諸国などから見習い、ダイバーシティ・マネジメントを普及させ、「違いを活かす」経営を行うことが求められると考える。
しかし、そのためには、企業内で大多数であった人たちの理解を得なければならない。「違いを活かす」経営を行うためには、そうした内部の理解も得ることが必要であると考える。18
4.ダイバーシティ・マネジメントを実行するには
• 4-1.組織構造と組織文化の変容
• 4-2.組織変革に必要な要素
• 4-3.考察
19
4-1.ダイバーシティにおける組織構造と組織文化の変容
20
組織構造と組織文化を変容させる企業が、
支援・パフォーマンス・継続性の3つを満たす
参考:馬越恵美子(2005)『ダイバーシティ・マネジメント:多様性を活かす組織』白桃書房。を基に筆者作成。
多様な人々を取り組んでパフォーマンスをあげていくには
組織文化と組織構造を全体的に変える必要性がある
支援 パフォーマンス 継続性
組織を変えようとしない企業
ある特定の個人のみへの支援はしにくい
いくらダイバーシティを取り入れてもパフォーマンスはあがらない
取り組み自体が継続することはない
図表4-1:組織変容と支援・パフォーマンス・継続性
4-2.組織変革に必要な要素
21
実質的な成果が出るのは何年も後
不確実な環境下での全社的な変革のためリスクが大きい
個別の対立を当事者レベルで解決することが難しくなる
参考:馬越恵美子(2005)『ダイバーシティ・マネジメント:多様性を活かす組織』白桃書房。を基に筆者作成。
4-3.考察
組織を変えようとしない企業には、いくらダイバーシティをマネジメントしようとしても効果がない。
真にダイバーシティをマネジメントするためには、まず、すべての階層に多様なメンバーが存在しないとならない。そのため、そうでない企業は組織構造から変える必要がある。
その際、違いをコアの業務やプロセスに統合していくことが適切であり、個々の違いを受けいれ、互いにそれらの違いを学習していくことで、多様性を取り込み、個人や組織全体が変化していくことで、組織文化の変容につながる。
しかし、ダイバーシティ・マネジメントの成果はすぐに表れるものではなく、効果が出るのには何年もかかってしまう。そのため、組織(=トップ)はそのことを理解し、コミットメントすることが欠かせない。 22
5.事例研究
• 5-1.企業概要
• 5-2.ダイバーシティへの取り組み
• 5-3.ダイバーシティへの取り組みを行うために
• 5-4.多様性を尊重するための取り組み
• 5-5.文化・国籍の違いを活かすための取り組み
• 5-6.ダイバーシティ推進による経営効果
• 5-7.考察
23
5-1.企業概要
24
図表5-1:日産自動車株式会社の企業概要(2014年3月末現在)
参考:日産自動車株式会社(2014)『有価証券報告書』http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2014/fr2014.pdf (2015.10.03参照)。を基に筆者作成。
参考:日産自動車株式会社(2015)『サステナリビティレポート』http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/SR/2015/SR15_J_P108.pdf (2015.10.03参照)。を基に筆者作成。
参考:日産自動車株式会社HP: http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/PROFILE/ (2015.08.28参照)。を基に筆者作成。
図表5-2:日産自動車株式会社の従業員の状況(2014年3月末現在)
参考:従業員数1000人以上の製造業の平均値3.1%うち女性0人…
5-2.ダイバーシティへの取り組み
25
ダイバーシティを経営戦略のひとつと位置づけ、
ジェンダーとカルチャーの二つを柱に取り組んでいる
ダイバーシティ=企業の競争力
⇩
より大きな価値や独創的なソリューションを生み出す
図表5-3:日産のダイバーシティへの取り組みの2つの柱
参考:日産自動車株式会社HP: http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/DIVERSITY/ (2015.08.28参照)。を基に筆者作成。出所:日産自動車株式会社(2015)『サステナリビティレポート』: http://www.nissan-global.com/JP/DOCUMENT/PDF/SR/2015/SR15_J_P080.pdf (2015.08.28参照)。
5-3.ダイバーシティへの取り組みを行うために
26
CEO
人事部
常務執行役員
ダイバーシティディベロップメント
オフィス
ダイバーシティステアリングコミッティ
ダイバーシティを推進していくための
リーダー的な役割を担っている専門組織
ダイバーシティ(多様性)
に関連する意思決定を行う会議体
・2015年3月18日現在 7名体制・室長、キャリアアドバイザー兼マネージャー2名、担当4名
・各部門代表役員が参加・年に3回会議を行う
図表5-4: 「ダイバーシティ ステアリング コミッティ」の運営と「ダイバーシティ ディベロップメント オフィス」の設置
参考:日産自動車株式会社HP: http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/DIVERSITY/ (2015.08.28参照)。を基に筆者作成。
5-4.多様性を尊重するための取り組み
日産のダイバーシティ推進活動にまつわるさまざまな情報を掲載
メールマガジンを定期的に送付
従業員と双方向なコミュニケーションツールとなっている
27
参考:日産自動車株式会社HP: http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/DIVERSITY/ (2015.08.28参照)。を基に筆者作成。
「ダイバーシティサイト」
の開設
日産が考えるダイバーシティの社内浸透に貢献
ダイバーシティマネジメントについて学ぶ
「ダイバーシティワークショップ」の実施
図表5-6:「ダイバーシティワークショップ」
図表5-5:「ダイバーシティサイト」
5-5.文化・国籍の違いを活かすための取り組み
28
参考:日産自動車株式会社HP: http://www.nissan-global.com/JP/COMPANY/DIVERSITY/ (2015.08.28参照)。を基に筆者作成。
文化的背景への理解を深め、
相手の仕事のスタイルを学ぶことを目的とした研修を開催
日本人と外国人の従業員が
悩みを語り合うイベントを開催
e-Learningを用いて
異文化の違いを学ぶ
図表5-8:カルチャーダイバーシティについて考えるイベント 図表5-9: e-Learningのイメージ図
図表5-7:カルチャーダイバーシティ研修
違いから学び、違いを受け入れることで、
新たな企業文化の土壌をつくっている
5-6.ダイバーシティ推進による経営効果
29
経営効果の類型化 考え方
プロダクトイノベーション
対価を得る対象物(製品・サービス)自体を新たに開発、またはそれに改良を加えるもの。
プロセスイノベーション
製品・サービスを開発・製造・販売するための手段を新たに開発、またはそれに改良を加えるもの。管理部門の業務効率化を含む。
外的評価の向上 顧客満足の向上/CSRの観点から外的評価が向上
職場内の効果 従業員のモチベーションやコミットメントの向上といった心理的成果
参考:みずほ情報総研株式会社(2012)『ダイバーシティと女性活躍の推進』: http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120301003/20120301003-
2.pdf#search=‘%E6%97%A5%E7%94%A3+%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3+%E5%8A%B9%E6%9E%9C‘ (2015.10.03参照)。を基に筆者作成。
図表5-10:ダイバーシティ推進による経営効果の類型化
プロダクト
イノベーション
女性のニーズも配慮した製品開発を行い、市場ニーズに合致した
商品を提供。
プロセス
イノベーション
女性のセンスを活かし新色に「サクラ」と命名したマーケティング戦略が成功し販売台数増加。
外的評価の向上
ダイバーシティへの取り組みが周知されて優秀な人材の確保につながっている。
5-6.ダイバーシティ推進による経営効果(参考:他社比較)
企業名調査を実施した現場(部門)
経営効果の類型
プロダクトイノベーション
プロセスイノベーション
外的評価の向上
職場内の効果
日産自動車㈱マーケティング
部門
帝人㈱購買・物流部門
㈱天彦産業 なし
㈱ローソンナチュラルローソン
商品開発部門
㈱大垣共立銀行OKBハーモニー
プラザ
㈱リクルート住宅カンパニーカウンター業務
30
図表5-11:ダイバーシティ推進による経営効果(谷口真美監修)
※経営効果が見られる箇所に網掛けしている。出所:みずほ情報総研株式会社(2012)『ダイバーシティと女性活躍の推進』: http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120301003/20120301003-
2.pdf#search=‘%E6%97%A5%E7%94%A3+%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3+%E5%8A%B9%E6%9E%9C‘ (2015.10.03参照)。
5-7.考察① “多様な人々を活かすには、組織構造と組織文化を全体的に変える必要性がある(スライド20参照)”と理論づけていたが、日産では実際に、役員に外国人を登用したり、女性管理職比率の上昇を目指していた。また、「ダイバーシティステアリングコミッティ」の運営や「ダイバーシティディベロップメントオフィス」の設置などからも、組織構造の変革を行おうとしていることが伺えた。
また、異文化の理解を深め、文化や国籍の違いを活かそうとする取り組みが見られ、違いから学び、違いを受け入れることで新たな企業文化の土壌をつくっていることが伺えた。
さらに、「ダイバーシティサイト」の開設や「ダイバーシティ・ワークショップ」の開催などを行い、全社的なダイバーシティの取り組みを社内に浸透させようとすることで、継続的なアプローチを行っていることが伺える。
31
5-7.考察② しかし、その取り組みにおける経営効果を見てみると、女性の視点を取り入れたことによるイノベーションが主であり、深層的なダイバーシティへの取り組みに対する効果はまだでていない。
“ダイバーシティ・マネジメントの成果は、実質的な成果が出てくるのは何年も後のことになる”(スライド21参照)ことからも、トップのコミットメントが今後も重要となると考えられる。
また、これらの企業以外にも、トヨタ自動車やファーストリテイリングなどのダイバーシティに対する取り組みを見てきたが、女性や障害者、高齢者の活用などの表層的なダイバーシティにしか目を向けていない企業がほとんどであった。
真にダイバーシティを活かすためには、文化や価値観の違いなどの深層的なダイバーシティに目を向けていく必要がある。32
5-7.考察(まとめ)
33
谷口が分類した統合をさらに4つのステップへ分類
表層的なダイバーシティへの取り組み 深層的なダイバーシティへの取り組み
取り組みの実施 経営効果が表れる 経営効果が表れる取り組みの実施
日産自動車
日本のダイバーシティ・マネジメントに取り組んでいる主な企業
海外のダイバーシティ・マネジメントに取り組んでいる主な企業?
6.現時点でのRQに対する解答①
34
実際に企業はどのようなダイバーシティ・マネジメントを行っていて、どのような共通点や差異点があるのか。
ヒアリング対象企業(スライド30参照)では、ダイバーシティ推進を「企業経営において競争優位を築くための全社的な経営戦略」として位置づけている点で共通していた。
経営戦略として位置づけて推進していることが、経営効果に結実しており、その点が、必ずしも経営効果につながっていない企業との差と考えられる。
また、女性の活躍推進などの表層的なダイバーシティへの取り組みを行っている企業は多数存在したが、文化・国籍を活かすための取り組みなどの深層的なダイバーシティへの取り組みを行っている企業は少ない。
6.現時点でのRQに対する解答②多様な価値観や文化をもった組織で、どうすれば文化や言語の違いを乗り越え、
個を活かし、イノベーションを起こすことができるのか。
違いを活かし、競争優位につなげるという認識をトップがもち、それを共通認識として社員に広めることが大切である。
そのためには、全社的な取り組みを行う必要があり、すべての階層に多様なメンバーが存在するように組織構造から変える必要がある。
その際、違いをコアの業務やプロセスに統合していくことが適切であり、個々の違いを受け入れ、互いにそれらの違いを学習していくことで、個人や組織全体が活性化していき、イノベーションを起こせると考えられる。
その他、異文化理解促進のための取り組みなどを全社的に行い、社内にどうすればダイバーシティをビジネスに役立てていけるかを考える風土づくりが大切である。
35
どうすればダイバーシティをビジネスに役立てて
いけるかを考える風土づくり
違いをコアの業務やプロセスに統合
6.現時点でのRQに対する解答(まとめ)
共通点 差異点
具体的な取り組み
女性の活躍推進などの表層的なダイバーシティへの取り組み
文化・国籍を活かすための取り組みなどの深層的なダイバーシティへの取り組み
経営効果あり
ダイバーシティ推進を「企業経営において競争優位を築くための全社的な経営戦略」として位置づけ
経営戦略として位置づけて推進していない
36
図表5-11:ダイバーシティ推進による経営効果(谷口真美監修)
違いを活かし競争優位につなげる
7.今後の課題・展望 事例研究中心で深堀していき、他の事例と比較する
取り組みが進んでいる海外の昔の事例と現在の事例との比較
他の日本企業の取り組み・成果との比較
「組織」における「組織構造」や「組織文化」などを自身がどのように位置付けているのかを定める
全ての組織に多様性を持たせることが有効なのか考える
37
(案1)表層的なダイバーシティへの取り組みをしている企業が深層的なダイバーシティへの取り組みをするためにはどうすればいいかの提案
(案2)考え中・・・
8.参考文献① 馬越恵美子(2000)『異文化経営論の展開』学文社。
馬越恵美子(2005)『ダイバーシティ・マネジメント:多様性を活かす組織』白桃書房。
馬越恵美子・桑名義晴(2010)『異文化経営の世界:その理論と実践』白桃書房。
馬越恵美子(2011)『ダイバーシティ・マネジメントと異文化経営』新評論。
牛尾奈緒美・石川公彦・志村光太郎(2011)『ラーニング・リーダーシップ入門』日本経済新聞出版社。
斎田久夫(2013)『グローバル人材の新しい教科書』日本経済新聞出版社。
PwC株式会社HP: http://www.pwc.com/jp/ja/advisory/corporate/profile.jhtml(2015.09.07参照)。
日産自動車株式会社HP: http://www.nissan.co.jp/ (2015.08.28参照)。
日産自動車株式会社(2015)『サステナリビティレポート』: http://www.nissan-
global.com/JP/DOCUMENT/PDF/SR/2015/SR15_J_P080.pdf(2015.08.28参照)。
日産自動車株式会社(2014)『有価証券報告書』: http://www.nissan-
global.com/JP/DOCUMENT/PDF/FR/2014/fr2014.pdf(2015.10.03参照)。
日本の人事部『いま求められる「ダイバーシティ・マネジメント」』https://jinjibu.jp/article/detl/manage/178/(2015.06.29参照)。
38
8.参考文献② 日本の人事部『日本企業が生き残るための「ダイバーシティ・マネジメント」』
https://jinjibu.jp/article/detl/keyperson/76/(2015.06.29参照)。
みずほ情報総研株式会社(2012)『ダイバーシティと女性活躍の推進』:http://www.meti.go.jp/press/2011/03/20120301003/20120301003-
2.pdf#search=‘%E6%97%A5%E7%94%A3+%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%90%E3%83%BC
%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3+%E5%8A%B9%E6%9E%9C‘(2015.10.03参照)。
「ダイバーシティの“今”を追う:【第一回】日本企業とダイバーシティ・マネジメント」『ITmediaエグゼティブ』(2010年2月22日)http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1002/22/news006.html(2015.06.29参照)。
「ダイバーシティの“今”を追う:【第三回】「ダイバーシティの多様化」が進む欧州企業」『ITmediaエグゼティブ』(2010年4月14日)http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1004/14/news034.html(2015.06.29参照)。
「ダイバーシティの“今”を追う:【第四回】日本における今後のダイバーシティ・マネジメントの方向性」『ITmediaエグゼティブ』(2010年5月26日)http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1005/26/news048.html(2015.06.29参照)。
ITmediaエグゼティブ『ダイバーシティの“今”を追う:【最終回】日本企業におけるダ
イバーシティ・マネジメントの典型的事例』http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1006/25/news030.html(2015.06.29参照)。
39
THANK YOU FOR LISTENING!!
40
ご清聴ありがとうございました!