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無業社会の問題系 ――若年無業者とその支援の現状から 2015124日@日本学術会議 西田亮介 立命館大学大学院先端総合学術研究科 特別招聘准教授 [email protected]

「無業社会の問題系 ――若年無業者とその支援の現状から」@20150124日本学術会議

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無業社会の問題系  ――若年無業者とその支援の現状から

2015年1月24日@日本学術会議  西田亮介  

立命館大学大学院先端総合学術研究科  特別招聘准教授  

[email protected]  

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自己紹介 •  立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘准教授。博士(政策・メディア)。  •  国際大学GLOCOM客員研究員。北海道大学大学院公共政策学連携研究部附属公共

政策学研究センター研究員、総合研究開発機構客員研究員、毎日新聞社客員研究員

等。  

•  専門は情報社会論と公共政策。情報化と社会変容、情報と政治(ネット選挙)、社会起

業家の企業家精神醸成過程や政策としての「新しい公共」、地域産業振興等を研究。  

•  1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科

修士課程修了。同大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。

•  同大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、(独)中小機構経営支援情報

センターリサーチャー、東洋大学、学習院大学、デジタルハリウッド大学大学院非常勤

講師等を経て現職。  

•  著書に『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)「ネット選挙と

デジタル・デモクラシー」(NHK出版)。共編著・共著に『無業社会 働くことができない若

者たちの未来』(朝日新聞出版)『「統治」を創造する』(春秋社)『大震災後の社会学』

(講談社)ほか。

•  『無業社会 働くことができない若者たちの未来』    (2014年,朝日新聞出版)  

•  『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』  (2013年,東洋経済新報社)  

•  『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』  

 (2013年,NHK出版)  

•  問題意識:  –  与件としての「新自由主義」のもとで、「寛容な社会」を擁護する論理

と政策は、いかにして可能か  –  社会政策と政治参加を同時に問いなおす    

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無業社会

•  誰もが無業になる可能性があるにもかかわら

ず、無業状態から抜け出しにくい社会。  –  論理的に考えれば、当事者/非当事者に限らず、予防と

早期の労働市場への(再)参入、それに伴う納税主体化

が便益を増大。  

–  社会と政治に蔓延する「自己責任」論が阻害。  

–  「無業社会」概念は、「自己責任」論を中和し、世論形成、

政策形成を促進することを企図。  

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労働市場への(再)参入とコスト試算

•  厚労省は、2012年に、25歳を起点に、生活保護を生涯受給した場合と、労働

市場へ再参入した場合のコストギャップを試算  –  税・社会保障費は約1億円。コストギャップは、約1億5千万円。  

–  潜在的な最大数が約400万人(『OECD若年者雇用レビュー』)。掛け合わせると、約

400兆円の社会保障費が必要に。  

–  憲法25条は生存権を保障。放置は不可能。  

–  「自己責任」論の不可能性。合理的かつ効果的な対応策が必要。    (厚労省,2012,「生活保護を受給した場合と就業した場合の社会保障等に与える影

響について」)  

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「無業社会」の関連プロジェクト

•  『若年無業者白書』  –  若年無業者の支援を行う認定NPO法人育て上げネットと2000人の若年

無業者の生活実態に関する定量的分析と白書を作成(2013年1月)。  

•  『無業社会』  –  育て上げネット理事長工藤啓との新書による普及啓発(2014年6月)。  

•  政策提言『若者と仕事』  –  省庁を越えた若年無業者支援関連の法と政策を洗い出し、政治と社

会に対する政策提言(2015年1月)。  

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無業社会の実情

•  内閣府『平成25年版 子ども・子育て白書』  – 15歳〜34歳の若年無業者の数:約63万人。  

– 人口に占める割合:2.3%  

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無業社会の実情

9 図表1:内閣府『平成25年版 子ども・子育て白書』p.37より引用。  

世代別完全失業率

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4.0  

6.0  

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10.0  

12.0  

Total   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old   years  old  and  over  

総 数 15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上

図表2:2007年〜2013年の日本の世代別完全失業率。  『平成25年 労働力調査年報』より筆者作成。

日本の無業社会とその意味

•  日本の完全失業率は、世界的に見ると低い。  

–  4.6%(2011)、4.3%(2012)、4.0%(2013)  

–  ただし、若年世代に限れば、6〜8%  

•  世界的にはグローバル化に伴う流動性の向上や、情報社会論的な「機械との競争」が

課題に。  

•  日本の「無業社会」の個別的特徴  

–  独特の就労習慣と労働市場が無業を固定化  

–  人口ボリュームやラベリングの観点を加味すると、「深刻さ」の程度は比較不可。  

–  無業と社会関係資本喪失のポジティブ・フィードバック、無業期間の長期化。  

–  課題先進国の「無業社会」。東アジアの共通課題としての無業社会。

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無業社会とその現代的意味

•  1990年代後半以後、就労の問題が社会問題として顕在化。  •  社会学者、経済学者、当事者が議論を活発に展開。  

–  佐藤俊樹,2000,『不平等社会日本――さよなら総中流』中央公論新社.  –  玄田有史・曲沼美恵,2004,『ニート――フリーターでも失業者でもなく』幻冬舎.  –  本田由紀・後藤和智・内藤朝雄,2006,『「ニート」って言うな!』光文社.  –  橘木俊詔,2006,『格差社会――何が問題なのか』岩波書店.  –  赤木智弘,2007,『若者を見殺しにする国――私を戦争に向かわせるものは何

か』双風社.  –  NHK,2010,「無業社会」.2011、「孤族の国」  –  城繁幸,2012,『若者を殺すのは誰か?』扶桑社.  –  玄田有史,2013,『孤立無業(SNEP)』日本経済新聞社.  

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無業社会と日本型システム

•  「日本型システム」の機能不全  – 日本的経営と雇用システム  

– 日本型福祉国家  

– 中央集権の意思決定と資源の再分配システム  

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日本的経営と無業社会

•  日本的経営とその特徴  – 新卒一括採用とメンバーシップ  

– 終身雇用、年功序列型賃金とジョブ・ローテーション  

– 企業別組合  

※参入離脱コストの高いシステム  

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日本型福祉国家と無業社会①

•  福祉国家と日本型福祉国家  

–  第2次世界大戦後の世界のなかの福祉国家  

–  1970年代のオイルショックと、福祉国家の危機を経た構造転換と新自由主義。  

–  「新しい社会民主主義」と「第3の道」  

–  後進国としての日本の社会保障システム  

–  「経済成長を背景にした福祉、その福祉を背景にしたいっそうの経済成長」    (田中角栄,1972,『日本列島改造論』日刊工業新聞社.)  

   

 

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日本型福祉国家と無業社会②

•  福祉国家と日本型福祉国家  

–  個人と国家、企業協働の中負担、中福祉構想とその限界。  

–  理念なき福祉。GHQの社会福祉指令、福祉3法、福祉6法、(新)

ゴールドプラン、介護保険法。場当たり的改革。出発時点では、若

年者に対するセーフティ・ネットのみならず、老年福祉も存在せず。    ※日本型雇用の機能不全と、日本型福祉国家は前提を供給してい

たため、同時期に限界が露呈。      

 

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弱者としての若者

•  就職氷河期、出生率低下を経て、「弱者として

の若者」の社会的認知拡大と、政治的介入へ。  – 2003年 内閣府、文科省、厚労省、経産省「若者自

立・挑戦戦略会議」  •  (第1次安倍内閣における独自性の対象としての「若者」)  

– 2004年 経産省「ジョブカフェ」(地方自治体へ移管)  – 2006年 厚労省「地域若者サポートステーション」  

 

 

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断絶・分断

現状維持と  予防措置の不備

有業者 無業者

政府、地方自治体

「自己責任」

羨望・萎縮

コストカットの要望

セーフティネット拡充の要望

対症療法と  改善措置の不備

「無業社会」の固定化

「無業社会」の固定化と自己責任

「寛容な社会」モデル

•  包摂性  •  連続性  •  再挑戦の支援  

– キャス・サンスティーン「ミニマリスト/トリマー」

(『Conspiracy  Theory  and  Other  Dangerous  Ideas』)。  

 

 

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包摂

機会の格差解消と統合された支援環境

どのステージにも参画できる流動・移行のための支援が必要

さまざまな事情に応じた再チャレンジをきめ細かく支援することが必要

連続非熟練労働、定型業務、高付加価値業務間の移行を支援

再挑戦

多様な労働市場からの阻害理由に対応した再参入支援と予防

no problem problem問題のない若者

問題を抱えている若者

潜在的に困っている若者

支援支援

予防予防

高付加価値労働

定型業務

非熟練労働

困っている若者 離転職問題を抱える若者

制度・政策の狭間を埋める支援39歳までの若者に対して

早期予防が必要

学びの複線化

仕事の複線化

くらしの複線化

困難な若者の再チャレンジ支援

若者、女性、高齢者等の新規チャレンジ支援

若者支援の背景 政策提言「若者と仕事」の考え方若者が無業になるのは自己責任なのでしょうか?「ニート」「フリーター」「ひきこもり」など、無業の若者に対す

るイメージには誤解があります。「そういう若者の現状は自己責任

であり、自分とは関係のない他人ごとだ」と思っている方も多い

ことでしょう。しかし、そのイメージは正しいのでしょうか。

若者無業者の数は、2002年以降おおむね80万人です。

景気の変化や少子化にも関わらず、一貫して80万人前後で推

移しています。また、日本の完全失業率はだいたい4%前後で

すが、若年世代だけを見ると6~10%にまで上がってしまいます。

これは、若者の自己責任だけでは片づけられない問題です。

「日本型システム」を見直すべき時に来ています。立命館大学准教授の西田亮介氏は「若年無業者の背景に

は日本型システムの機能不全がある」「若者をどのように支援し

ていくかというビジョンに欠けている」と言います。

新卒一括採用、終身雇用、年功序列型賃金、企業別組合

などの日本的経営はもともと参入離脱コストの高いシステムです。

こうした日本的経営を背景に、「経済成長を前提とした福祉」を

押し進めた結果、企業協働の中負担・中福祉の構造が完成さ

れましたが、今後この構造を維持していくことは難しいでしょう。

欧米各国では労働市場への再参入を推奨しながら、福祉と労働

を両立させていく福祉社会へ移行していきましたが、日本では生

活に困窮している人だけを救う対症療法を繰り返してきたのです。

もはや「他人ごと」では済ませられません。無業の若者を放置しておくとどうなるのでしょうか。2012年に

発表された厚生労働省の試算によれば、25歳の若者が就業し

た場合と生活保護を受給し続けた場合では、コストギャップが1

人あたり約1億2千~5千万円にのぼるとされています。日本の

財政状況が取り沙汰されるなか、こんなにも莫大な社会保障費

を負担することは不可能でしょう。私たちは、若年無業者の問題

をもはや「他人ごと」としてすませてはいられないのです。

問われるべきは「誰を、どう支援するか」です。2003年、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業

省によって「若者自立・挑戦戦略会議」が設置され、、2004

年には経産省がジョブカフェ、2006年には厚労省が地域若者

サポートステーションをつくりました。しかし、どちらも相談事業が

その中心を占めています。

今、問われているのは、「若者が労働市場に参入し、定着し

ていくためには、一人ひとりをどう支えるべきか」なのです。

西田亮介,2014,「『無業社会』の現在形と政策提言に向けて」より再構成

「若者」と「中小企業」を「IT」でつなぐ。若者採用の意欲はあるものの求職中の若者を見つけるのが難

しいなどといった理由から、中小企業が若者を雇用できずにいる

という現状があります。一方、中小企業の人材不足は顕著なも

のになっています。そこで、IT教育を受けた若者を中小企業に

つなぎ、就労機会損失の回避と橋渡しを行います。若者がIT

教育を受けることは、IT格差と如実に結びついた経済格差を解

消することでもあります。

支援のポイントは「包摂」「連続」「再挑戦」。性別、資本、状況等に基づく機会格差を回避しながら、若

者全体を包摂的に支援し、多様な労働市場からの阻害理由に

対応した再参入支援と予防を行わなければなりません。また、無

業の若者が労働市場に参入しやすくするとともに、非熟練労働

~定型業務~高付加価値業務などへ移行するための連続的支

援も必要です。ゆたかに働き続けられる社会のために、これら3

つのポイントを総合的に加味した支援策を行うべきです。

0

20

40

60

80

100

平成7年

(1995)

15~19歳

平成12年

(2000)

平成17年(2005)

平成24年

(2012)

平成22年(2010)

20~24歳25~29歳 34~39歳30~34歳

15~19歳

総数 20~24

25~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~

2007~2013年

0

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6

8

10%

●若年無業者数の推移〈グラフ①〉

●世代別完全失業率〈グラフ②〉

背景にあるのは日本型システムの機能不全

このまま放置しておくと莫大な社会保障費が必要になる

〈チャート①〉

社会保障給付(医療介護・年金等)

就労に伴う税金・社会保険料額

若年無業者

約80万人

25歳までの完全失業率

6~10%

*グラフ①:内閣府「H25年版子ども・子育て白書」 *グラフ②:総務省統計局「H25年労働力調査年報」*チャート①:厚生労働省/ 2012年「生活保護を受給し続けた場合と就業した場合の社会保障等に与える影響について」

日本的経営

企業協働の中負担中福祉

経済成長を前提とした福祉

正規雇用された25歳単身の場合

25歳から生活保護給付を

受けた場合 コストギャップ

約1億5千万円

生活保護給付

若者 中小企業IT

若者と中小企業を ITでつなぐ

若者が労働市場*に参入しやすい社会へ

働く世代人口が減少。高まる若者の希少価値化。

IT利活用が日常化するなか経済格差と IT格差は比例する。

若年世代を中心とした能力開発機会の多様化/多元化/多段階化中小企業を中心とした探索により就労機会損失の回避と橋渡し

*労働市場とは、中間的就労、福祉的就労、クラウドソーシングなど多様な働き方を含みます。

若者を雇用しにくい構造。IT人材不足が深刻化。

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6 7

相談職業訓練

伴走者

スムーズな移行

ミスマッチ回避

インターン マッチング

段階的職業訓

就労 定着

相談

職業訓練校

(ハローワーク経由)

民間職業紹介民間

専門学校

相談

相談

相談

トライアル雇用

(厚労省)

人材橋渡し事業(経産省・中企庁)

求職者支援制度

(ハローワーク経由)

民間支援団体

有期実習型訓練

(厚労省)

再チャレンジ支援事業(文科省)

ハローワーク

分野横断型ワンストップ支援

既存の縦割型ワンストップサービス

若者UPを受講してから働くことへの自信に変化はあったか?

支援機関に来所した目的〈*2〉

自信がなくなった

変わらない

どちらかというと自信がついた自信がついた

0 10 20 30 40 50 60 70 80

働く自信をつけたい

自分に合う仕事をしたい

PCスキルを習いたいコミュニケーションの苦手を

改善したい漠然とした不安を解消したい

0 10 20 30 40 50 60

各支援段階を一貫サポート分野横断型ワンストップ支援の確立

相談~訓練~マッチング~就労までをワンストップでサポート。

2000年代以降、若者支援がはじまりましたが、そのほとんどが相談事業で、相談窓口から職業訓練、職場での試行、マッチング、就労までのステップを一貫して支援している機関はほとんどありません。【若者UPの実践より】若者UPプロジェクトは、支援団体のスタッフ自身が講師となり、段階的なIT講座を行うと同時に就労支援を行います。こうした一貫サポートが成果を上げ、のべ2万人が参加、受講生の48%が就労等進路を決定しました。

若者と伴走し続けながら企業側の事情にも配慮できる人材。

ともに職業訓練を経験し、企業側の事情にも配慮しながら、職場体験、就職までをデザインし、コーディネートする「伴走者」の存在が不可欠です。一貫して伴走することで、若者と企業の関係性を醸成。ミスマッチを回避し、定着を促進することができます。【若者UPの実践より】企業ニーズをよく知る支援者が企業側とコミュニケーションしながら、若者に寄り添い、支援しています。ときには、若者育成の方法を企業へアドバイスしながら、企業と支援者が一体となって若者を育成していくことで、スムーズな労働市場への移行を実現しています。

IT教育・訓練の重要性とIT格差解消への貢献。

IT利活用が日常化するなか、IT教育は、受益者である若者に便益をもたらすだけではなく、経済・生活活動の効率化やコミュニケーション改善により、市民社会や経済の発展に貢献します。

【若者UPの実践より】OA活用職種に就労することによる所得増〈*1〉

無業の若者3人に1人がパソコンを持っておらず、求職をしていない無業の若者10人に1人が携帯電話を持っていない〈*2〉という「就活格差」「IT格差」状態にあります。

IT用語の理解度に大きな向上=IT格差解消に貢献〈*1〉

OA活用職種以外への就労

【若者UP講座受講前】 【若者UP講座受講後】

OA活用職種への就労

年収において約47万円の差

「縦割型ワンストップサービス」の問題点と課題。

行政の縦割りに応じて相談事業が立ち上げられている場合、その事業の範疇を越えて若者の困難を支援することはできません。若者たちはその事業ごとに、違う場所を探し、一人で試行錯誤しながら、次のステップを歩まなければならず、支援が分断されてしまいます。誰が責任を持って若者に関わり、最後まで伴走していくか不明確であり、困難を抱える若者にとって大きな障壁となります。

若者と企業側の間を取り持つコーディネーターの必要性。

支援現場と求人募集をする企業との間には大きな溝があります。支援現場には企業の情報がなく、企業には若者の情報がないまま、若者は何度も応募を繰り返し、その間に若者のモチベーションが低下してしまいます。企業側に若者の採用と育成についてアドバイスし、同時に若者に対しても適切に助言していく……企業と若者の間に立つコーディネートが求められています。

「働く自信をつけたい」という若者のニーズ。

支援機関に来所する若者の2人に1人が「働く自信をつけたい」と考えています。職業訓練で得られたスキルは若者の自己肯定感を醸成し、そのスキルを社会から客観的に評価されることにより、働く自信が生まれます。

【若者UPの実践より】〈*1〉

パソコンにさわったことがなくタイピングすらできなかった、ある若者のケース

高校卒業後、接客・販売職に就職したAくんは、激務で体をこわして退職。ハードな立ち仕事は無理だと、オフィスワークを志望しました。しかし、いくら就職活動をしても、タイピングもままならないAくんは次 と々断られ続けます。そこで、Aくんは若者UPに応募。支援者とともにタイピング練習をして講座にのぞみました。Excelの上級編までをマスターしたAくんは、IT系企業のインターンを経て、現在、同じ会社で働いています。

不登校~高校中退から就職したある若者のケース

不登校のため高校中退。通信制高校で高卒資格を得たものの、なかなか就職できなかったBくん。若者UPに参加後、ITに興味を持ち、マイクロソフト オフィススペシャリスト(MOS: Microsoft Office Specialist)の資格を取得。大手IT企業でインターンすることになりました。インターン経験で自信をつけたBくんは、その後、IT機器のラウンダーに就職することができました。

103万円約

150万円

ITへの理解が浅い

レベル0レベル0 レベル5レベル5

ITへの理解が深まった

*1:株式会社公共経営・社会戦略研究所による第三者評価*2:『若年無業白書』2013年、NPO法人育て上げネット

自信向上

約75.8%

自信つけたい

約50.7%

afterbefore

無業社会の問題系  ――若年無業者とその支援の現状から

2015年1月24日@日本学術会議  西田亮介  

立命館大学大学院先端総合学術研究科  特別招聘准教授  

[email protected]