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機能のジャーナリズムと 仮説思考 西田亮介 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授 [email protected] 201642日@ JCEJ ジャーナリストキャンプ勉強会

20160402 jcej「機能のジャーナリズムと仮説思考」

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機能のジャーナリズムと仮説思考

西田亮介

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授

[email protected]年4月2日@

JCEJジャーナリストキャンプ勉強会

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自己紹介• 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。博士(政策・メディア)。

• 専門は社会学、公共政策学、情報社会論、ジャーナリズム研究。情報化と社会変容、情報と政治(ネット選挙)、

社会起業家の企業家精神醸成過程や政策としての「新しい公共」、地域産業振興等を研究。

• 1983年京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同大学

院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学。2014年に慶應義塾大学にて、博士(政策・メディア)取得。

同大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、(独)中小機構経営支援情報センターリサーチャー、

東洋大学、学習院大学、デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師、立命館大大学院特別招聘准教授等を経

て、2015年9月より東京工業大学大学マネジメントセンター准教授。2016年4月より現職

• 単著に『マーケティング化する民主主義』(イースト・プレス)、『メディアと自民党』(角川書店)、『ネット選挙解禁

がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、「ネット選挙とデジタル・デモクラシー」(NHK出版)。

• (共)編著・共著に『民主主義〈一九四八-­‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版』(幻冬舎)、『無業

社会 働くことができない若者たちの未来』(朝日新聞出版)、『「統治」を創造する』(春秋社)『大震災後の社会

学』(講談社)ほか。

• NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」Tokyo  MX「モーニングクロス」等メディア出演多数。JFN各局月曜AM5:30〜「Ride  On  the  Politics」パーソナリティ。

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• 近刊『マーケティング化する民主主義』(2016年、イースト・プレス)

• 『民主主義 〈一九四八-­‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版』(2016年,幻冬舎)

• 『メディアと自民党』(2015年,角川書店)

• 『無業社会 働くことができない若者たちの未来』(2014年,朝日新聞出版)

• 『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(2013年,東洋経済新報社)

• 『ネット選挙とデジタル・デモクラシー』(2013年,NHK出版)

• 毎日新聞社ネット選挙報道

(2013年参院選、2014年東京都知事選、2014年衆院選)

• 千葉市広報広聴課コミュニケーションズ・アナリスト(2015年4月〜)

• 問題意識:

• 与件としての「新自由主義」のもとで、「寛容な社会」を擁護する論理と政策は、いかにして可能か

• 社会政策と政治参加の同時再検討

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毎日新聞社・

立命館大(西田研究室)

共同研究

• NTTコミュニケーションズ「バズファインダー」からの、

Twitter上の全量データの分析

• 候補者アカウントを特定した、全ツイート抽出からの定量分

析(ツイート数×RT数)

• 候補者アカウントと特定した、全ツイート抽出からのテキスト

分析(頻出語句等)

• 世論調査、ボートマッチサイト「えらぼーと」との比較検討

• マップへの可視化

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東京都知事選の電話世論調査(1月23日、24日実施)の、地域ごとの政策関心事を社会保障、原発、東京五輪の3課題で分類してマッピング、さらに候補者の演説場所を重ねた。

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戦略広報公聴の行程案

① 広報広聴課業務の体系化• 広報公聴課内における広報広聴ガバナンスの体系化、クロスメ

ディア化の実現とガバナンスの作成

② 全庁における広報広聴業務の体系化• 全庁的な広報公聴の体系化と広報広聴戦略(戦略広報公聴プ

ラン?)、広報広聴マニュアルの作成、研修等の実施

③ 市民協働の広報公聴に向けて• 市民協働の「インフォメーション・ミックス」型広報広聴の実現と透

明性、アーカイブの改善

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千葉市コミュニケーションズ・アナリスト:戦略広報広聴の工程イメージ

① 広報広聴課内の体系化

・「広報広聴」の定義

・事務事業の要綱、要領、

ガイドライン等の再定義

・クロスメディアと事業ごと

の予算規模等の再検討

② 全庁における広報広聴業務の体系化

・広報広聴担当の統一

・シティセールス、パブリ

シティ等との連動?

・広報広聴マニュアルの

作成、研修の実施

③ 市民協働の広報公聴に向けて

・市民協働、選択肢提供のための広報広聴へ

・行政の透明性の改善へ

・「インフォメーション・ミッ

クス」の利活用へ

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今日の話題

• 前提の確認:

日本のメディア、ジャーナリズムの特殊性

• 安倍政権・自民党のメディア戦略の「巧みさ」

• 展望:  「規範のジャーナリズム」から「機能のジャーナリズム」へ?

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問題意識• 組織から離れて、機能しない組織ジャーナリスト  

Ø 「とりあえず、現場」主義  

Ø 「いってみたら、こうだった」「書いてみたら、こうだった」の「こう」は、どのように担保されるのか?  

Ø 大学生に伝わらたない選挙記事    

• メディア、ジャーナリズムが細分化している?  Ø 組織、ガバナンスの疲弊  Ø 人材の疲弊と、組織の求心力の低下  Ø 誤ったインターネット対応  

 

• ジャーナリズムは、メディアの環境条件が変わったとして、従来と同じ手法のみで、従来と同じ権力監視機能を果たすことができるのか。  

Ø 日本における、「新しいジャーナリズム」「新しいジャーナリスト」とはなにか。  

 

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前提の確認: 日本のメディア環境の特殊性• 「強力なマスメディア(組織ジャーナリズム)」vs  「弱いインターネット・メディア(個人ジャーナリト)」

• 日本ジャーナリズムの特殊性• 「メディアの1946年体制」

• 「独占」と「連続」

• 「慣れ親しみの関係」から「対立・コントロール関係」へ

• 報道、伝達表現、ガバナンスの革新の停滞。

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情報伝達の経路と

メディアへの「信頼」

• 日本におけるメディア状況の特殊性

• テレビ視聴率1%≒50万人〜100万人

• 全国紙3社の新聞発行部数(2012年)

• 読売新聞:約 1000万部

• 朝日新聞 :約750万部

• 毎日新聞:約350万部

• 世界の新聞発行部数1位、2位、4位

• 影響力の大きいマスメディアが複数存在

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情報伝達の経路と

メディアの「信頼」• 「Blogosphere」の未形成

• アメリカ中心にネットメディアとそこでの議論が「信頼に足

る」という規範が醸成。

• 日本の状況。

• 「情報の信頼度の高さ」は「テレビ(NHK)」

(47.3%)「新聞」(44.1%)「インターネット」

(7.8%)(日本新聞協会,2011,『2011年全国

メディア接触・評価調査報告書』.)

• ただし、実用性に関するスコアでは拮抗。

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歴史的側面:「独占」と「連続」

• 第二次世界大戦前後で、マスメディアの力学は連続。

• フジサンケイグループの台頭、読売新聞社と朝日新聞社の関係に変化はあったが、主たるプレイヤーは従来のまま。

• 報道手法、紙面構成、ガバナンスも、同様。Ø放送事業者のガバナンスは新聞社をモデルに作られた。   (エリス・クラウス,2006,『NHK  vs  日本政治』東洋経済新報社.)  

• そのうえで、「戦争の反省」とGHQの通達により、報道における中立公正の「厳格化」が実現し、現在に至る。

• Ex.) 放送法、新聞綱領etcアメリカにおける1987年公正原則撤廃の是非

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放送法

(目的)

第1条 この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。

一 放送が国民に 大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。

二 放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。

三 放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。

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放送法

(国内放送等の放送番組の編集等)

第4条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下

「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、

次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

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新聞綱領

• 正確と公正

新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

• 独立と寛容

新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

※ 両者の整合性と現代的あり方?

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日本政治とメディア戦略の変容

時期慣れ親しみの時代(2000年代以前)

移行と試行錯誤の時代(2000年代)

対立・コントロール期(2012年、第2次安倍内閣以後)

メディアとの関係性

「慣れ親しみの関係」

・ 長期的で、安定的な信頼関係の構築

・ 政治とメディアの人材交流

「関係性の再構築」

・ 連続する短命政権と、不安定な民意。

・ 長期の信頼関係構築のいっそうの困難

「対立・コントロール関係」・ 短期的な利害関係

・ 相互に直接的な影響力の行使を追求。

・ 変化に敏感な政治優位

有権者との関係性間接的(マスメディアを除く広

報手段の限定)

ネットの普及、メディアの力学の変化のなかで、政治と有権者の直接対峙が可能に

戦略的意図をもってデザインされた直接、間接の関係性構築の追求

戦略の起点 属人的 個人と組織の併存組織化と体系化

(未完成)

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「慣れ親しみの関係」

• 政治部、記者クラブ、番記者制• メリット:

情報発信がマスメディアしかなかった時代には、メディアが一枚岩になることで、政治に対する監視機能を果たす場合もあった。

政治もときとして、メディアに譲歩するほかなかった

人材育成とインサイダー情報への浸透

• デメリット:

メディアと政治の独立

一度、機能不全を起こしたときに、再生手段の不在。

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「対立・コントロール関係」

• 小選挙区制の導入Ø プレイヤー(政治家)の入れ替わり頻度向上Ø 政治が中長期の展望を持ちにくくなった。Ø メディアと政治の「慣れ親しみ関係」形成が困難に

• インターネット・メディアの台頭Ø 95年:日本のインターネット元年Ø マスメディアの信頼性低下Ø メディアの力学の変化Ø 政治から見た時の、情報発信オプションの増加

• 政治の環境適応Ø 政治の方が、メディア環境変化への適応へのモチベーションが高いØ ハワード・ディーン、ブッシュ、アル・ゴア、オバマなどロールモデルの増加Ø マスメディアに「隷従」するインセンティブ低下

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安倍政権・自民党のメディア戦略前史

• 前史

• 1950年代:

自民党の組織能力の蓄積と、広告代理店との長い信頼関係。

• 1960年代:

新聞嫌いの「テレビ政治」:  佐藤内閣

• 1980年代

元祖ポピュリズム:中曽根内閣

• 2000年代:

ポピュリズム政治:小泉内閣

• 作られた「小泉純一郎」像

• 小泉内閣下で、政府と党の広報戦略、戦術改革を主導したスタッフと組織能力の継承。

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自民党的アプローチの概要

• 2000年代: 政治マーケティングの高度化(雑誌等への広告出稿等の分析)、2004年頃からの党改革検証・推進委員会を通じた手法の高度化と埼玉8区補選での勝利。

• 2005年: 郵政選挙、小泉内閣における「原点」。タウンミーティングやらせ問題等の反省。

• 2010年: 自民党ネットサポーターズクラブ(J-NSC)

• 2013年:

トゥルースチーム、研修等を通じた「情報収集→分析→フィードバック→発信」のサイクル。

• 2015年: 自民党のオープン化戦略: オープン化(アクセスポイントの公開)、標準化(選挙プラットフォームとしての政党)

• Ex.) NewsPicksでの小林文明議員と西田の対談参照のこと。

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自民党のメディア戦略を際立たせた 環境条件

• 野党の絶対的劣勢。

• 支持率低下、政策の不透明さ、信頼性低下

• 民主党の広報戦略革新の失敗

• 組織能力向上の失敗

• 2000年代前半は与野党競合

• 内製化と組織能力蓄積の失敗

• 2005年での外資系PR企業との契約解消

• 政党シンクタンク「プラトン」の解散(ただし、自民党も党内シンクタンクは解散)。

• 若年世代の支持低迷。

• 民主党への世論の期待が2000年代中盤以後だとして、2009年政権交代をピークと捉えると、現在の18歳は13、4歳、22歳(大学4年生)で、15、6歳。この世代にとっては、民主党への期待と活躍は、経験的な記憶となっていない可能性が高い。

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T2の概要と「忖度の連鎖」

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①自民党のメディア露出量と政党別露出量シェア

TV番組 Webニュース 2ch Twitter ブログ 検索

ポジ:42.1% ネガ:53.3%

7月12日の各メディア露出量

10 番組 (±0)

101 件 (+16)

6,496 件

(+100)

31,880 件

(+800)

1,510 件

(+437)

ポジ:6.3% ネガ:9.7%

7月13日

18 件 (0)

自民党 32%

自民党 29%

民主党 16%

民主党 18%

維新の会 16%

維新の会 26%

みんなの党 19%

みんなの党 12%

共産党 16%

共産党 15%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

自民党 34%

自民党 37%

民主党 28%

民主党 30%

維新の会 14%

維新の会 17%

みんなの党 10%

みんなの党 9%

共産党 14%

共産党 7%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

総番組数:31

※重複 含む

総番組数:34

政党別の露出量シェア

TV番組 Webニュース

総番組数:253 総記事数:273

7月11日 7月12日 7月11日 7月12日

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7月13日 今日の打ち手 部外者への閲覧禁止

原発の再稼働問題は

安全確認が第一で、

原子力規制委員会の判断を尊重 することを強調。

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キーワード (カテゴリー) 使用例と解説

迎え盆 (国内)

使用例 (なし)

解説 7月13日の今日は、新暦の盆の迎え火・迎え盆(東京などの一部の地域)。 新暦の月遅れのお盆(月遅れ盆)の迎え火・迎え盆は8月13日。

猛暑 (国内)

使用例 皆さん、暑いですね。熱中症にならないように水分補給してくださいね。

解説 各地で猛暑続く 山梨県甲州市で4日連続39度超え 観測史上初 昨日は各地で猛烈な暑さとなり、山梨県甲州市では39.1度を記録、4日連続で39度を超えた。4日連続で39度を超えたのは、同地点で観測史上初めて。

日銀 景気判断

(経済)

使用例 「2年半ぶりに回復という言葉が使われた。間違いなくその方向に良くなっている。自信を持ってアベノミクスを推進したい」(菅官房長官の横浜市内での街頭演説より)

解説

<日銀政策決定会合>「景気回復」を明記 2年半ぶり 日銀は11日、前日に続いて金融政策決定会合を開き、景気判断を前月の「持ち直している」から、「緩やかに回復しつつある」に上方修正した。「回復」の 表現を用いるのは2011年1月以来、2年半ぶり。また、「2年程度で2%の物価目標」を達成しデフレ脱却は可能とした、4月公表の「経済・物価情勢の展 望(展望リポート)」については、「4月の見通しに沿っておおむね推移すると見込まれる」と内容をおおむね維持した。 4月に導入した大規模な金融緩和策は 全員一致で継続を決めた。 日銀は「公共投資は増加を続け、住宅投資も持ち直しが明確。個人消費も引き続き 底堅く推移している」として、景況感の改善度合いがより強い「回復」の表現を用いて景気判断を行った。

地域経済報告 (経済)

使用例 日銀の発表した7月の地域経済報告でも企業や消費者の心理が改善し、生産や消費が上向いていることが示されています。明らかにアベノミクスの成果が出てきています。

解説

日銀は7月4日に発表した7月の地域経済報告(さくらリポート)で、全国9地域のうち東北を除く8地域の景気判断を4月の前回報告から引き上げた。円安株高の流れを背景に企業や消費者の心理が改善し、生産や消費などが上向いた。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気の持ち直しが地方経済に波及してき たことを示した格好。

今日の世の中キーワード 7月13日

*遊説や会見での話題として、無理のない範囲でご活用ください これでつかみはOK!演説ネタ

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情報の受け手、リテラシーの課題:

政治のフレームワーク、学習機会、「参照点」の不在?

• 政治と政局を判断する合理的なフレームワークと、学習機会、「参照点」が不在?

• 日本史:近代史までが中心

• 政治経済:原理と原則が中心

• 現代社会:主題別カリキュラム構成

• 模擬選挙は、各種社会状況を資料に、政党別の政策を参照した選択中心で、実際の投票行動とは異なる?

• 教育基本法第14条(旧8条)の問題

• 1947年3月成立、準憲法的性質を有する、とされ、完成度の高さが指摘されていた。

• (政治教育)

• 第十四条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。

• 2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしては

ならない。

• 市民性教育に先行する「18歳選挙権」問題。

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市民性教育に先行する「18歳選挙権」問題

• 2022年度(!)から、高校に「公共」「歴史総合」(仮称)が必修科目として設置予定。

• 公共: 政治参加、社会保障、契約、家族制度、雇用、消費行動等を学習予定

• 歴史総合: 日本史と世界史の近現代部分を中心に。

投票年齢の引き下げは2016年参院選から実施。両者の関係をどのように捉えるか

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政党の広報戦略向上と民主主義の共通感覚

不在、道具立て(リテラシー)のあり方

• 与党一極集中のネット選挙と「統合運用」能力の向上。いかにして、誰が、読み解き、どのようにして政治に緊張感をもたらすか。

Ø 市民性教育について、何を、どのように提供するべきか。日本における民主主義の固有性、質感、手触りとはなにか。

Ø 民主主義の共通感覚(コモンセンス)の不在。

Ø 政治のメディア戦略と市場の論理に基づく大きなうねりへの防波堤が不在?

• 衆参同日選挙と、憲法改正発議の状況下における投票運動への対応をどうするか。

Ø 2016年参院選後の憲法改正発議の「現実味」。改憲にせよ、護憲にせよ、日本の憲政と民主主義の新しい段階に? 「民主主義と普及啓発の社会学」

Ø 技術的には、大都市地域特別区設置法(施行令)と国民投票法の類似性(次スライド参照のこと)

Ø 大阪における住民投票運動のような国民投票運動が、護憲、改憲をめぐって、全国で生じる?

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Ex.)  国民投票運動と選挙運動

国民投票運動(国民投票法) 選挙運動(公職選挙法)

支出金額 制限なし 候補者の人数と政令で規定

期間 制限なし選挙によって異なるが、

参院選17日。衆院選12日

文書図画の規定 制限なし 大きさ、枚数、証紙等の規制

テレビ広告投票日から2週間の間は国民投票広報協議会と政党等によ

る規定のもののみ可能原則として利用不可

ネット選挙 制限なし 電子メール等を除き利用可能

自動車、拡声器の利用(宣伝カー) 制限なし 台数等に制限あり

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展望:「規範のジャーナリズム」から「機能のジャーナリズム」へ?

• 規範のジャーナリズム  Ø取材、速報、告発  Ø政治とメディアの「慣れ親しみの関係」、情報量、チャネル、

メディアの乏しい時代に大所高所から規範を提示。  Ø情報(量)、情報メディア環境の変化、受け手とリテラシーの

変化に不対応。  

 • 機能のジャーナリズム  

Ø整理、分析、啓蒙  Ø政治とメディアの「対立・コントロール関係」、情報量、チャネ

ル、メディアの多い時代に、「意図と構図、文脈」を提示?    

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