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三方晶リボヌクレアーゼAの結晶成長
物性物理学研究室
SP-12139 平野雄治
目的
本研究三方晶の結晶表面の成長様式をその場観察し理解する。
高品質の結晶作成の指針となる。
蛋白質の構造をより深く知ることができる。
蛋白質を機能性材料として使うために役立つ。
これまでの研究結晶構造解析は行われているが、表面観察はあまり行われていない。
PDB ID: 1FS3リボヌクレアーゼA分子量 約14,000機能 RNA分解晶系 単斜晶、斜方晶、三方晶
発表内容
1. 結晶化
2. 表面観察
3. 構造に基づく解釈
発表内容
1. 結晶化
2. 表面観察
3. 構造に基づく解釈
三方晶の結晶化
ドロップ
リザーバー
蒸気拡散法
結晶化プレート断面図
Fedorov et al. (1996) Biochemistry, 35, 15962.
結晶化プレート内の溶液濃度
蛋白質溶液(ドロップ) 25mg/ml
沈殿剤溶液(リザーバー) 2.4M NaCl,24%飽和(NH4)2SO4 pH5.5
析出した結晶
六角柱状 立方体状 板状
発表内容
1. 結晶化
2. 表面観察
3. 構造に基づく解釈
5mm
表面観察
観察用セル
位相差顕微鏡でその場観察する。
4mm カバーガラス
過飽和度σ=1.7C :溶質濃度 C0 :飽和濃度過飽和度σ=C‒C0 /C0
観察用セル内の溶液濃度
蛋白質溶液 17.5mg/ml
沈殿剤溶液 2.4M NaCl, 24%飽和(NH4)2SO4
シリコンリング
結果過飽和度σ=1.7 3分ごとに写真撮影
78分→9秒
二次元島状成長
結晶表面
二次元島(新たな結晶の層) 結晶成長
成長単位(付着分子)
結果過飽和度σ=1.7 3分ごとに写真撮影
78分→9秒
成長速度
𝑏
𝑐
𝑐
𝑏
成長速度[σ=1.7]𝑏軸方向 12 nm/s𝑐軸方向 4.5nm/s
なぜb軸の方向に成長が速いのか。
田草川英昇 (2008) 平成19年度北里大学大学院理学研究科修士論文
立方晶ブタインスリン(分子量5800)σ=[1.81]
0.28~0.38nm/s比較
大滝正訓 (2010) 平成21年度北里大学大学院理学研究科博士論文
発表内容
1. 結晶化
2. 表面観察
3. 構造に基づく解釈
マクロボンド
M1 M2
水
蛋白質の分子間結合 = マクロボンド
分子間結合の強さを見積もることができる。
マクロボンド解析
分子1 分子2
Matsuura, Y. and Chernov, A. (2003). Acta Crystallogr, D59, 1347-1356.
各軸方向における成長のしやすさをある程度推測できる。
構造に基づく解釈
a 0 a
b
0
b
a
Ⅲ
Ⅱ
Ⅰ 385
マクロボンド
ダイマー単位での成長を考える。
マクロボンドⅢは力が非常に小さいので無視する。
文献によるマクロボンド解析のデータを利用して構造に基づく解釈をした。
田草川英昇 (2008) 平成19年度北里大学大学院理学研究科修士論文
リボヌクレアーゼA
174
24
(kJ/mol)
構造に基づく解釈
c
b
b軸方向の成長
c軸方向の成長
𝑐
𝑏
AB
CD
0
a
b
b
c
12 nm/s
4.5nm/s
緑ダイマーを成長島とした場合
c
b
b軸方向の成長
c軸方向の成長
𝑐
𝑏b
c
0
a
b
F
E
b軸方向 ダイマーA
c
b
A
A0
a
b
b軸方向 ダイマーB
c
b
0
a
b
B
BB
c軸方向 ダイマーC
c
b
c
a
C C
c軸方向 ダイマーD
c
b
D
D
a
o
b
c
緑のダイマーを成長島とする場合
c
b
a
c
bo
E
F
E
F
構造に基づく解釈まとめ
c
b
c軸方向より、b軸方向の成長速度が速いことを示唆している。
AB
CD
マクロボンドⅡの数
成長島 b軸成長方向 c軸成長方向
赤・青ダイマー
A付着時:2本 C付着時:1本
B付着時:2本 D付着時:2本
緑ダイマー E付着時:2本 F付着時:2本
まとめ
• 表面観察において、過飽和度σ=1.7の時、二次元島状成長を観察することができた。
• 構造に基づく解釈より、c軸方向のマクロ
ボンドの数がb軸方向より少ないことが確認
でき、これをc軸方向の成長が遅い理由と考えた。
今後の課題
• 過飽和度を変えて、表面観察を行い、成長様式を確認する。
• b軸方向とc軸方向の成長速度に約3倍
もの大きな差があるので、構造に基づく解釈をより詳しく行っていく必要がある。
補足資料
結晶の析出について
• 2週間後には、表面観察に適した0.5mmほどの結晶が得られている。
• 六角柱状と立方体状は同じ条件で析出したが、板状結晶は、ドロップの初期沈殿剤濃度が0.3M-3%低かったので、勢いよく結晶化してしまったのかもしれない。
立方体状と板状結晶について
・立方体状の構造は六角柱状と同じであり、成長すれば六角柱状になると考えられる。
・板状は、晶系も結晶構造が違う。
{100}
{101}
{101}
{101}
{100}
田草川英昇 (2008) 平成19年度北里大学院理学研究科修士論文
位相差顕微鏡
原理透明な結晶の屈折率により、直接光と回折光(観察物体の情報を持つ)には位相差ができる。像面で、この二つの光が干渉させて、明暗のコントラストを生み、目で見えるようになる。
メリット・位相の差を可視化できることより、実体顕微鏡では観察できない無色透明な試料でも、その高低差を利用して、微細な情報が得られる。
過飽和度1.7の測り方
C :溶質濃度 C0 :飽和濃度
過飽和度σ=C‒C0 /C0
蛋白質の結晶成長の律速原因
蛋白質の結晶表面での分子の取り込みの律速にかかわる過程として、
1.溶液から溶質の供給(輸送過程)=高いステップは、高さに応じた溶質が必要で、前進に多量の溶質が必要になる。
2.溶質が異方性を有するので表面に取り込まれる際にエネルギー的に最安定な配向に向く過程(回転過程)
3.溶液中での水和状態からの脱溶媒和過程
立方晶ブタインスリンの成長速度について
• バンチングしている可能性がある。結晶成長の際、成長する層がいくつか重なってしまい、成長速度を下げていると考えられる。
• 成長島の多核形成が起こっていて、溶質の供給が不足している。
表面観察についての補足
今回、楕円の島が見られこれは赤・青ダイマーを二次元島とした成長の面だと思われる。
予想
もう少し長い時間観察すれば、楕円の島が
一面を全て掃いた後、次は緑ダイマーを二次島とした円の成長様式が見られる。
マクロボンドの結合について
• 水素結合は電気陰制度に。。。