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1 分子設計化学研究室 ECP500, ECA500 NMR 測定マニュアル(第2版) 2011.10.22. 坂井 健男 目次 第1部:基本操作と基本1次元・2次元測定 1-1:サンプルの調整 1-2:サンプルの投入~シムの調整まで 1-3: 1 H NMR 測定 1-4: 13 C NMR 測定 12 1-5:COSY 測定 18 1-6:測定終了後 25 第2部:応用 1 次元測定 2-1:DEPT 測定 26 2-2:差 NOE 測定 30 第3部:応用2次元測定 3-1:HMQC 38 3-2:HMBC 45 第4部:トラブルシューティング 48

分子設計化学研究室 ECP500, ECA500 NMR測定マ … · 2011-10-26 · ⑤ auto_gainにチェック。ECA-500ではauto_filterにもチェック。 force_tune

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分子設計化学研究室 ECP500, ECA500 NMR測定マニュアル(第2版)

2011.10.22. 坂井 健男

目次 第1部:基本操作と基本1次元・2次元測定 1-1:サンプルの調整 2 1-2:サンプルの投入~シムの調整まで 4 1-3:1H NMR測定 8 1-4:13C NMR測定 12 1-5:COSY測定 18 1-6:測定終了後 25 第2部:応用1次元測定 2-1:DEPT測定 26 2-2:差NOE測定 30 第3部:応用2次元測定 3-1:HMQC 38 3-2:HMBC 45 第4部:トラブルシューティング 48

1-1: サンプルの調整

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第1部:基本事項と基本1次元測定 1-1:サンプルの調整 <サンプル調整の前に> カラムクロマトグラフィーの後は、必ず真空ポンプでしっかりと溶媒(酢酸エチル・ヘキサンなど)を飛ばしてから収率を出すこと。溶媒が残っている状態で重さを出すと、嘘の収率になる上に、NMRチャートに溶媒のピークが現れてしまいます。

① サンプルを 10 mLのナスフラスコに入れる。

10 mL ナスコル

サンプル

サンプル量の目安 1H, 13C NMR両方測定時・・・20, 30 mg前後 1H NMRのみ測定時・・・3 mg ~ 20 mg程度が望ましい (1H NMRの上限 30 mg程度まで、下限は 0.5 mg) 13C NMRのみ測定時・・・20 mg ~ 100 mg程度が望ましい

○ サンプルが濃いと分解能が低下するため、細かいカップリングを読む必要

がある時は、1H NMRの測定時は濃くしすぎないこと。 ○ 13C NMRの感度は 1H NMRよりもずっと悪い (13Cは天然存在比が低い上、感度も 1Hより悪い)。13C NMR測定時は基本的に最低でも 20 mg程度はサンプルを用いること(化合物の分子量にもよるが、5 mg以下だと終夜測定が必要になる)。

1-1: サンプルの調整

3

② サンプルを重クロロホルムに溶解して、NMRチューブに移す

0.6 mLのCDCl3に溶かしたサンプル

3.7 mLのライン

5 mLメスシリンダー

綿を詰める

パスツール(小)

4 cm

(分子設計化学研究室では)左図のように 5 mLのメスシリンダーにNMRチューブを置いてサンプルを調整してく

ださい。3.7 mLのラインのあたりがちょうど 4 cmのラインです(3.8~4.2 cmに調整する)。長すぎ、短すぎは分解能の低下につながるので、慎重に高さを

確認すること。 なお、ホコリなどが分解能の低下を

引き起こすことがあるので、綿を詰め

たパスツールを用いて、サンプルをろ

過してください(綿栓ろ過)。

④ サンプルを上下によく振る。 長さが足りずに後から CDCl3 を追加した場合などは、サンプルを上下によく降

ってください。均一に混ざっていない溶液は、大幅な分解能の低下を引き起こ

します。

1-2: サンプルの投入~シムの調整まで

4

1-2:サンプルの投入~シムの調整まで ① まず、キムワイプを用いてホルダーをよく引き延ばす。ホルダーに手垢がつくと、プローブの上にあるエアー吹き出し口の穴を塞いでしまい、スピン不良

の原因となるので、決して素手で触らないこと。

素手で触ってもよい

素手で触ってはいけない(白黒によって回転数を検知するため、手垢がつくと誤認識する恐れがある)

素手で触ってもよい

素手で決して触ってはいけない(手垢がつくとプローブのエアー噴出孔がつまり、回転しなくなる恐れがある。)ここをキムワイプ

で引っ張る

キムワイプでよくふいておくこと

②上記の素手で触ってはいけないところに注意して以下のようにサンプルをホ

ルダーにセットする。

CEN

TER

10

20

20

10

4 cm よりもやや長いとき、あるいはちょうど4cmの時は、一番底までサンプルを入れる。

40 mm用

CEN

TER

10

20

20

10

40 mm用

CEN

TER

10

20

20

10

40 mm用

4 cm よりもやや短いときは、CENTERのラインからの距離が等間隔になるよう、サンプルをセットする。検出部は中心線から±1 cmなので、その領域は覆っていないと測定できない。

等間隔検出部(±1cm)

1-2: サンプルの投入~シムの調整まで

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上記写真(図 1)のように「STAC MAN」と書かれたオートサンプラーの上にセットをする。黄色いテープにスロット番号が書いてあるので、サンプラーの回転

ボタン(ADVANCE)を使い、好みの番号を手前に持ってきてセットをする。

パソコン画面

図 2: Spectrometer Control

① 「Sample」をクリックして Sample画面を表示させる(図 2)

図1:左(ABORT)はサンプルの強制排除ボタン。押さない。 真ん中は測定中のスロット番

号。右(ADVANCE)はサンプラーの回転。

1-2: サンプルの投入~シムの調整まで

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図3:Sample画面 ② サンプルをセットしたオートサンプラーのスロット番号の数字を入力す

るとサンプルが本体に自動的に吸い込まれる。Sample Stateと Spinerの部分が両方とも左側につき、緑色になるのを待つ。 ③ 溶媒を選択する ④ グラジェントシム+ロックボタンを押す。 ⑤ 自動的にロックがかかり、グラジェントシム始まる(3分くらいで終わる)。表示が、2回目の緑色「LOCK ON」「IDLE」になるのをまつ(表 1・図 4参照)。 ⑥ Lock Controlの Gainの数字を 22(溶媒が CDCl3であれば)に合わせ、Resetと Recallの間の数字を確認。 ⑦ (Recetと Recallの間の数字が 500以下の場合) Auto Shimを Z1, Z2に変更

⑥ ⑦

1-2: サンプルの投入~シムの調整まで

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すると、⑤で囲んだ部分の下側が黄色で Shimming に変わるので、これが IDLEに変わるのを待つ(図 5)。

表1:グラジェントシム&ロックボタンを押した後 1:サンプル投入直後

2:グラジェントシム+ロックを押した後

3:10秒程度後 4:12秒程度後 5:2分程度(グラジェントシム終了直後)

6:完了

サンプル投入

直後はロック

もシムもかか

っていない。

まずは、ロッ

クをかける。

ロックがかか

ると、

す ぐ に 解 除

し、グラジェ

ントシムを開

始する。

グラジェント

シムを終える

と、もう一度

ロックをかけ

る。

完了

図4:グラジェントシム中の Spectrometer Control

図5:オートシム中

1-3: 1H NMR測定

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1-4:1H NMR測定(通常所用時間1~2分)

図6:Experimentボタン

① Experiment ボタンを押す。 ② 地球フォルダーを押す。 ③ 測定モード 1H NMRを測定するとき→”single puls.ex2 or .exp” を選び OK 注:ECP-500では.exp, ECA-500では.ex2です。

1-3: 1H NMR測定

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図7:single_pulse.exp <Header タブ> ④ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-1Hなど) ⑤ auto_gainにチェック。ECA-500では auto_filterにもチェック。

force_tuneは 1H NMRのみを測定する時は基本的に不要。後で COSYなどの2次元 NMRを測定するときはチェックを入れておくこと。

<Acquisitionタブ> ⑥ scansに積算回数を入力 (通常はデフォルト通り 8回、サンプル量が 1 mg程度の時は 128回に増やすこと) ⑭ submitをクリック。機械が「サンプル IDを確認してください」としゃべるので、そのまま GOをクリック。 ☆積算終了後チャートが表示されます。COSY 測定など2次元測定を行うときはそのまま残しておくこと。

1-3: 1H NMR測定

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(参考) 1H NMR測定における各パラメーターの意味

図7-1:single_pulse.exp

<Headerタブ> filename・・・そのままファイル名になります。後で見て、誰のどの実験のデータなのかが区別がつくように「名前」「ノート番号」「メモ」「測定法」の順にし

っか記録するように。 sample_id、comment・・・その名の通りメモです。変更の必要なし。 process・・・測定終了後、どのような処理を行うかの命令について記述してある。デフォルトで OK。 auto_gain・・・チェック時には Receiver Gain(後述)の値を自動的に決定してくれる。通常はチェックした方がよい。 force_tune・・・チェック時には測定前にオートチューニングを行ってくれる。1Hのみの時は基本的に不要。

<Instrumentタブ> solvent・・・測定溶媒を指定する。間違えないよう注意。 recvr_gain・・・Receiver Gain (後述)の数値を指定できる。

(Receiver Gainとは?) NMRの測定感度。ラジオで言えばスピーカーのボリュームつまみみたいなもの。 この値が大きすぎると、観測シグナルが大きく出すぎる結果、ベースラインが

波打ってしまう。一方値が小さすぎると、観測シグナルが微弱になる。 自分で設定すると時間がかかるため、通常は auto_gainにチェックを入れて機械に設定させた方が早い。

1-3: 1H NMR測定

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図7-2:single_pulse.exp <Acquisitionタブ> x_domain・・・測定各種を指定する。1Hがデフォルト。19F NMRを測るときは、ここを fluorineにする。 x_offset・・・観測範囲の中心を ppm単位で指定する。通常はデフォルトでよい。 x_sweep・・・観測範囲を指定する。通常はデフォルトでよい。 ☆ x_offsetが 5 ppmで、x_sweepが 15 ppmならば、-2.5 ppmから 12.5 ppmを測定します。 x_points・・・上記の観測範囲を何等分するのか指定できる。カメラで言う画素数みたいなもので、この数値が小さすぎると極めて粗いチャートになるが、大

きすぎると測定に時間がかかる。通常はデフォルトでよい。 scans・・・積算回数。 x_prescans・・・積算前の空スキャン(ダミースキャン)。1H測定時は 0回で OK。 mod_return・・・デフォルトで OK。

<Pulseタブ> Pulseタブは全てデフォルトで OKです。 total_time・・・合計の積算時間 x_angle・・・倒すフリップ角について。 x_90_width・・・90度パルス角の値。 x_plus・・・フリップ角×90度パルスの結果 relaxation_dlay・・・上記のフリップ角から安定な状態に戻る(縦緩和)するまでの待ち時間(縦緩和の待ち時間)。ここが小さすぎると、各原子核が緩和しきる前に観測をやめてしまうため、積分比が狂う。一方長すぎると、測定に時間がかか

る。

1-4: 13C NMR測定

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1-4:13C NMR測定(所用時間5分程度以上)

図8:single_pulse_dec.exp

① Experiment ボタンを押す。 ② 地球フォルダーを押す。 ③ 測定モード 13C NMRを測定するとき→”single pulse_dec.ex2 or .exp” を選び OK 注:ECP-500では.exp, ECA-500では.ex2です。

1-4: 13C NMR測定

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図8:single_pulse_dec.exp <Header タブ> ⑮ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-13Cなど) ⑯ auto_gain、force_tuneにチェック。ECA-500では auto_filterにもチェック。 <Acquisitionタブ> ⑰ scansに積算回数を入力 ((サンプル量 100 mg)は 64~128回、通常(サンプル量 30 mg)は 256回、薄いとき(サンプル量 10 mg以下)なら 1000~10000回が目安) <pluseタブ> ⑱ 積算合計時間が確認できます。 ⑲ submitをクリック。機械が「サンプル IDを確認してください」としゃべるので、そのまま GOをクリック。

1-4: 13C NMR測定

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(オプション)13C 積算時に途中経過を確認したいとき(1H 測定にも応用可)

図 9:

方法1:Viewを用いる方法 Spectrometer ControlのView(図 9)をクリックすると、View VectorとProcess Vectorをクリックするとリアルタイムで積算状況が確認できます(図 10, 図 11)。4級炭素が出ているかどうかの確認などでは、通常こちらを使ってください。 ただし、この方法は 2D NMRには使えません。

図 10:Vector

1-4: 13C NMR測定

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図 11: Viewを用いた途中経過の確認

方法2:Copyを用いる方法 Copyをクリックするとこれまでの積算までの結果を用いたチャートを保存して表示します。ファイル名は(自分がつけたファイル名_copy)という名前がつきます。この方法は、2Dにも使えますが、やり過ぎると無駄なファイルが増えて重くなってしまうので、基本的には使わないこと。

☆十分にピークが出ており、測定を途中で中断するときは Spectrometer Control から測定中のキューを選び、赤い「STOP」ボタンを押す。それまでの積算結果は自動で保存される。

1-4: 13C NMR測定

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(参考) 13C NMR測定における各パラメーターの意味

図 8-1: Single_pluse_dec.exp <Headerタブ> filename・・・そのままファイル名になります。後で見て、誰のどの実験のデータ化が区別がつくように「名前」「ノート番号」「メモ」「測定法」の順にしっか

記録するように。 sample_id、comment・・・その名の通りメモです。変更の必要なし。 process・・・測定終了後、どのような処理を行うかの命令について記述してある。デフォルトで OK。 sn_ratio・・・SN比がこの値に達したときに測定をやめる。0だと、SN比に関係なく、積算回数だけ積算を行う。デフォルト通り 0で OK。 auto_gain・・・チェック時には Receiver Gain(1Hパラメーターの項参照)の値を自動的に決定してくれる。通常はチェックした方がよい。 force_tune・・・チェック時には測定前にオートチューニングを行ってくれる。13Cの時はチェック入れた方がベター。

<Instrumentタブ> solvent・・・測定溶媒を指定する。間違えないよう注意。 recvr_gain・・・Receiver Gain (1Hパラメーターの項参照)の数値を指定できる。 オートに任せること。 irr_noise・・・デフォルト(WALTZ)で OK。

1-4: 13C NMR測定

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図 8-2: Single_pluse_dec.exp <Acquisitionタブ> x_domain・・・測定各種を指定する。13Cがデフォルト。31P NMRを測るときは、ここを phosphorousにする。 x_offset・・・観測範囲の中心を ppm単位で指定する。通常はデフォルトでよい。 x_sweep・・・観測範囲を指定する。通常はデフォルトでよい。 ☆ x_offsetが 100 ppmで、x_sweepが 250 ppmならば、-25 ppmから 225 ppmを測定します。 x_points・・・上記の観測範囲を何等分するのか指定できる。カメラで言う画素数みたいなもので、この数値が小さすぎると極めて粗いチャートになるが、大

きすぎると測定に時間がかかる。通常はデフォルトでよい。 scans・・・積算回数。 x_prescans・・・積算前の空スキャン(ダミースキャン)。デフォルトで OK。 mod_return・・・デフォルトで OK。

<Pulseタブ> Pulseタブは全てデフォルトで OKです。 total_time・・・合計の積算時間 x_angle・・・倒すフリップ角について。 x_90_width・・・90度パルス角の値。 x_plus・・・フリップ角×90度パルスの結果 relaxation_delay・・・縦緩和の待ち時間 irr_domain・・・照射核の指定。13C NMR の測定時は 1H を照射するため、1Hと 13Cのカップリングは観測されない。 irr_offset・・・どこに照射するかの指定。

1-5: COSY測定

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1-5:COSY測定(所用時間5分程度)

<COSYで何が分かるの?> COSYは横軸(f2軸)、縦軸(f1軸)共に 1H NMRのチャートを載せている、1H-1Hの 2次元です。プロトンとプロトンがカップリングしている部分に交差ピークが現れます。 <どういうときに測定すればいいの?> 分子設計化学研究室では、(単純な構造の化合物以外は)常に COSYを測定することを推奨しています。 一般的には、化合物がやや複雑で、1次元のプロトンチャートだけでは十分に帰属ができないときに測定します。 <サンプル調整について> 通常の 1H NMRを測る時と同様の濃度で OKです。

1-5: COSY測定

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○ COSY測定 <COSY測定の前に> COSY を測定する前に 1H NMR の測定を行っておくことをお勧めします(範囲設定のために)。測定結果より出てくるチャートは、閉じずにそのまま残しておいてください。 <COSY 測定の手順>

① Experiment ボタンを押す。 ECP-500利用時: ② 家フォルダーを押す。 ③ 測定モード COSYを測定するとき→”fgcosy.exp ” を選び OK

1-5: COSY測定

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④ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-COSYなど) ⑤ auto_gainにチェック、force_tuneのチェックは外す。 <Acquisitionタブ> ⑥ 通常、scansは 1回のままで OKです。サンプルが薄いとき(1 mg以下など)は回数を 4回や 16回に増やして測定してください。

⑦ y_pointsの数を 128から 256に変更する。 <範囲指定> COSYの範囲はピークの出ている範囲を全て指定します。最低限 TMSと CHCl3

のピークは入るように範囲指定すること。

1-5: COSY測定

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⑨まず、測定した 1H NMRのチャートに行き、測定したい範囲へとチャートを拡大します。下図の赤丸で囲んだ部分にカーソルを持って行きます。

⑩ すると、以下のようにタブが広がるので、右側からズームを選びます。

カーソルが虫眼鏡に変わるので、ドラッグアンドドロップを用いて、

ピークが出ている範囲を拡大します。

1-5: COSY測定

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<拡大し損ねたとき> 拡大し損ねたときは、□囲みの「K」を選んで、Reset Viewもしくは Unzoomを選び縮小してください。

⑪ 次に、測定条件を入力するウインドウに行き、右下の「指マーク」をクリックし、次に「View X」をクリックします。 すると、カーソルが矢印から指に変わります。

1-5: COSY測定

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⑩ そして、その指マークのカーソルを、拡大した 1H NMRチャートへと持って行き、チャートの上(どこでも良い)をクリックします。

⑪ Acquisitionタブの x_offsetと x_sweepが、その範囲を表す数字になれば OK。 注:x_offsetは測定範囲の中心、x_sweepは測定幅です。下図の場合、約 3.8 ppmが中心で約 7.9 ppmが幅なので、測定範囲は約–0.15 ppm~約 7.75 ppmとなります。

⑫ Submit をクリックして測定を開始します。COSY など2次元は測定終了後、チャートが表示されませんので、Spectrometer Controlのキューが空になり次第サンプルを取り出して終了してください。

1-5: COSY測定

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(参考)COSY測定における各パラメーターの意味

<Aquisitonタブ> x_domain・・・測定各種を指定する。COSY測定時はデフォルトの Proton。 x_offset・・・観測範囲の中心を ppm単位で指定する。 x_sweep・・・観測範囲幅。 ☆ x_offsetが 5 ppmで、x_sweepが 15 ppmならば、-2.5 ppmから 12.5 ppmを測定します。 x_points・・・f2軸方向の観測範囲を何等分するのか指定できる。カメラで言う画素数みたいなもので、この数値が小さすぎると極めて粗いチャートになるが、

大きすぎると測定に時間がかかる。2次元測定時は大きすぎると時間がかかるので 512 or 1024が妥当。 scans・・・積算回数。 x_prescans・・・積算前の空スキャン(ダミースキャン)。デフォルトで OK。 mod_return・・・デフォルトで OK。 y_points・・・f1 軸方向の観測範囲を何等分するのか指定できる。128 だとやや粗くなるので 256がよい。

<Pulseタブ> total_time・・・積算にかかる時間。y_pointsを 256にすると、通常は 5分弱程度。 Pluseタブの内容については、デフォルト通りやっておくのが無難です。

1-6: 測定終了後

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4:測定終了後 ☆ 全ての測定が完了した後は、DELTA上では処理をしないのでチャートのウインドウは消しておくこと。

図 12: Sample画面

① Slot番号を 0にすると、サンプルが排出される。次のサンプルがある場合は、次のサンプルをセットしたスロット番号にして、③に戻る。 ② 最後に、Sample画面の windowを閉じて終了。 注:Deltaと Spectrometer Control は閉じないように。万が一、閉じた場合はトラブルシューティングへ。

2-1: DEPT測定

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第2部:応用1次元測定 2-1:DEPTの測定(所用時間5分程度以上) <DEPTで何が分かるの?> DEPTは基本的には特殊処理をした 13C NMRです。これを測ることにより、13C NMR のそれぞれのピークにプロトンが何個ついているかが分かります。 <どういうときに測定すればいいの?> 1:CDCl3の三重線にピークが被ってしまい、よく分からないとき。 後述の通り、CDCl3の炭素には Hがついていないので、DEPTのチャートには CDCl3の三重線は現れません。 2:化合物が複雑で帰属がつかないとき。 2次元の HMQC(HSQC)や HMBCと組み合わせると威力を発揮します。 <サンプル調整について> DEPTは 13Cを観測します。よって、13C NMRに準じた濃度でサンプルを調整してください。 <で、具体的にどうなるの?> DEPT測定では測定系列にプロトンθパルス照射を組み込みます。下の表の様に、DEPT測定では 3種類のパルスをかけることが可能です。

照射パルス角 45° 90° 135° 1級炭素 (H 3つ) ┴ ─ ┴

2級炭素 (H 2つ) ┴ ─ ┬

3級炭素 (H 1つ) ┴ ┴ ┴

4級炭素 (Hなし) ─ ─ ─

┴:上向きにピークが観測される。┬:下向きにピークが観測される。─:ピークが消え観測されない。

基本的には 135°のパルスをかけた DEPTを測定するだけで、2級と 4級は識別が可能です。残る 1 級と 3 級の識別が必要なときのみ、90°のパルスをかけ識別します。45°を測定する意味は通常ありません。

2-1: DEPT測定

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測定法(DEPT)

① Experiment ボタンを押す。 ② 地球フォルダーを押す。 ③ 測定モード DEPTを測定するとき→”hp_dept_dec.exp or ex2” を選び OK 注:ECP-500では.exp, ECA-500では.ex2です。

2-1: DEPT測定

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<Header タブ> ④ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-dept135など) ⑤ auto_gainにチェック。ECA-500では auto_filterにもチェック。force_tuneは通常の 13Cから連続で測るのであればチェックの必要はない。 <Acquisitionタブ> ⑥ scans に積算回数を入力 (積算回数は 13C NMR の半分の回数でよい(サンプル量 100 mg)は 32回、通常(サンプル量 30 mg)は 128回、薄いとき(サンプル量10 mg以下)なら 500~5000回が目安) <Pulseタブ> ⑦ selection angleにかけるパルス角を指定します。デフォルトは 45[deg]になっているので、変更するのを忘れないように!

⑧ submitをクリックして測定開始。

⑥ ⑦

2-1: DEPT測定

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(参考) DEPT 測定における各パラメーターの意味(抜粋) 基本的には 13C NMRと同じです。

<Pulseタブ> Pulseタブは全てデフォルトで OKです。 total_time・・・合計の積算時間 x_pulse・・・X channelの 90度パルス値 irr_pulse・・・照射 channelの 90度パルス値 selection_angle・・・45 or 90 or 135 selection_pulse・・・照射 channelのパルス値(irr_pulse×selection_angle÷90) j_constant・・・C-H間のカップリング値(見たい炭素の値からあまりに大幅にずれているとよくないようですが、アルキンを測るときなども気になったことは

ありません。普通は初期値で OK。) (注) 一般的な C-H間のカップリング値 (Pretsch, E.; B¨hStructure Determining of Organic Compoundsより)

HCH3

H2C

HCH2OH

C CH2H

H CH

CO

H

CH H

125 Hz 160 Hz 143 Hz 156 Hz 159 Hz 202 Hz 249 Hz

irr_domain・・・照射核の指定。13C NMR の測定時は 1H を照射するため、1Hと 13Cのカップリングは観測されない。 irr_offset・・・どこに照射するかの指定

2-2: 差 NOE測定

30

2-2:差NOE測定(所用時間15分程度) <差 NOE測定で何が分かるの?> 照射したプロトンのピークに対し、物理的に近い距離のプロトンがどれ

かが分かります。 一般的には、差 NOEの強度はプロトン間の距離の 2乗に反比例して弱くなっていくと言われ、2.5 Å前後では中程度、それを超えると弱くなり、3.5 Åを超えるとほとんど観測されないと言われています。また、5.0 Åを超えると、全く観測されないそうです。

H H

2.6 Å

H

2.5 Å

H

3.1 Å

H 1.8 Å参考:シクロヘキサンのプロトン間の距離

<差 NOEを測るときはどんなとき?> 小~中くらいの分子のジアステレオマーや二重結合のシス or トランスを決定するときなどに測定します。 NOEは一般的に分子量が 1000を超えるような中程度以上の分子だと検出されづらいと言われており、その場合 ROE や ROESY を用いるとよいと言われています。 <差 NOE測定の実際> NOE(Nucleus Overhauser Effect)の原理については、各専門書に説明が書いてありますのでそちらを読んでください。ここでは、差 NOE 測定の流れについて、次のエポキシスルホンの Hαを照射したと仮定して、説明しま

す。(実際は、エポキシスルホンの cis or transは差 NOEをとるまでもなく、J値の大小を比べることで決まりますが、、)

OS Ph

H! H"H3C

O O

cis

2-2: 差 NOE測定

31

OS Ph

H! H"H3C

O O

cis

CH3H"H!芳香族

CH3H"H!芳香族

9.0 1.0 1.0 3.0

9.0 1.1

照射

3.0

積分値

積分値

近接するプロトンの積分値が増加

CH3H"H!芳香族0 –0.1 0積分値 1.0

チャート1:通常の1H NMR

チャート2:H!に照射したチャート

チャート3:(チャート1)ー(チャート2)

差NOE

図:差 NOEスペクトルのイメージ図 さて、チャート1に通常の 1H NMRを示しました。差 NOE測定では、まずこの 1H NMRを測ります。 チャート2は Hαを照射したチャートです。この時、Hαは完全に消えて

なくなり、さらに、近接する Hβの積分値が少しだけ増加します。一方で、

Hαから距離的に遠い、p-トルイル基やフェニル基のピークの積分値に変化はありません。 チャート3は、チャート1からチャート2を差し引いたものです。する

と、照射した Hαは丸々残り、チャート2で積分値の増加した Hβのピーク

が下に現れます。これが、差 NOE のチャートです。照射したピークの積分値に対し 10%の増分ですので、10%の NOE が観測されたことになります。この増分によって、それらのプロトンが近いか遠いかも判別できるわ

けです。 このように、差 NOE のスペクトルをとることで、ピークの近接度が分かり、相対配置の決定に大きな威力を発揮します。

2-2: 差 NOE測定

32

測定法(差 NOE) <差 NOE測定を行う前にやるべきこと> まずは、1H NMRのチャートを測定し、全て帰属を行い、平面構造を確定します。そして、照射するプロトンを決めておかなければいけません。 照射したいプロトンが他のプロトンと重なっている時は、重溶媒を検討

して十分にピークが分離するものを見つけておいてください。 ○ 1H NMRを測定し、Receiver Gain 値を確認する ① 差 NOEを測る際には、事前に 1H NMRを測定し、Reciever Gain値を確認しておくと時間が短縮できます。まずは通常通り、1H NMRを測定してください。測定終了後、Delta 上のログを確認してください。ログの中でも一番下(自分の測定のログ)を参照し、「Gain Value Established」と書かれている部分の数字(下図ならば 17)を記録しておきます。

2-2: 差 NOE測定

33

○ 照射するプロトンの化学シフトを確認する ② 表示された通常の 1H NMRのチャートより照射するプロトンの化学シフトを確認します。下図は測定後表示されたの 1H NMRチャートです。この右上(赤丸じるしのところ)にカーソルを近づけます。

② すると、以下のようにタブが広がるので、右側からズームを選びます。

カーソルが虫眼鏡に変わるので、ドラッグアンドドロップを用いて、

照射したいピークを拡大します。

2-2: 差 NOE測定

34

<拡大し損ねたとき> 拡大し損ねたときは、□囲みの「K」を選んで、Reset Viewもしくは Unzoomを選び縮小してください。

③ 次に、メニューから Cursorを選びます。

④ 一番左の「+」のアイコンを選びます。

2-2: 差 NOE測定

35

⑤ カーソルをピークの中央に持って行き、Chemical Shift 値(ppm)を確認し、記録しておきます。

2-2: 差 NOE測定

36

○ 差 NOE測定

⑥ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法、照射プロトンの順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-NOE5.3ppmなど) ⑦ auto_gain、force_tuneのチェックは外しておく。

<Instrumentタブ> ⑧ recver_gainに①で記録した Reciever Gain値を入力する。

<Acquisitionタブ> ⑨ scansに積算回数を入力。通常は、32回積算。 <Pulseタブ> ⑩ on_resonanceに⑤で記録した照射する化学シフト値を入力する。 ⑪ irr_attenatorを 25 dBに変える。 ⑫ submitをクリックして測定開始。これにより、通常のプロトン, 照射したチャートを連続して測定し、自動で差をとったチャートが表示されます。

2-2: 差 NOE測定

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○ 差 NOE測定がうまく行かないとき 差 NOE測定は非常に繊細で、有機化学者が汎用する NMR測定の中でも難しい部類に属します。うまく行かない場合は、次のことを試して見てください。

Q: もうちょっと強い NOEが出るはず・・・・ A1:等価な Dの数が多い重溶媒に変えてみましょう。 NOE はロックシグナルが強いほど、鮮明にでるといわれています。ノイズに隠れて余りよく見えない場合は、重ベンゼン・重アセトンなど等価な D の数が多い重溶媒に変えて、積算回数を増やすのも一つの手です。 A2:脱気を行ってみましょう。 NOEの強度は酸素の影響を受けると言われています。特に微弱な NOEを観測するときは脱気を行う必要があります。

Q: 何か、化学シフトが近い他のピークも照射してしまったみたい・・・ A:照射強度を下げて測定してみましょう。 irr_attenatorの数字を大きく、26dB もしくは 27dBにしてみましょう。それでもダメな場合は、他のよくピークが分離する重溶媒を探しましょう。

3-1: HMQC測定

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第3部:2次元測定 3-1:HMQC測定(所用時間12分程度) <HMQCで何が分かるの?> HMQCは横軸(f2軸)に 1H NMRのチャート、縦軸(f1軸)に 13C NMR(もしくは DEPT135)のチャートを載せている、1H-13C の 2 次元です。結合している H-C間に交差ピークが現れます。 <どういうときに測定すればいいの?> 化合物がやや複雑で、1次元のプロトンやカーボンのチャートだけでは十分に帰属ができないときに測定します。 <HMQCは実際のところ何を測定しているのか?> HMQCは 1Hと 13Cの間に現れるカップリングのうち、140 Hz前後のモノに対して交差ピークを与えるように条件設定されています。 ○ 一般的な 1H-13C間のカップリングについて 通常、以下のような化合物の C-H 間のカップリング定数(J 値)は以下の通りです。 C1-H1・・・120~180 Hz程度 C1-H2・・・1~6 Hz程度 C1-H3・・・0~10 Hz程度 C1-H4・・・通常 0 Hz

C1H1

H2

H3

RR

R

H4 よって、Cに直接くっついている Hとのみ、交差ピークが検出されます。 <HMQC測定の前にやっておくこと> HMQCを測定する前に 1H NMR,13C NMR,DEPT135の測定を行っておくこと。サンプルは 13C NMR が容易に測定できる位の濃度はあった方が望ましいです。

3-1: HMQC測定

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<HMQC測定の手順>

① Experiment ボタンを押す。 ECP-500利用時: ② 家フォルダーを押す。 ③ 測定モード hmqcを測定するとき→”fghmqc.exp ” を選び OK

3-1: HMQC測定

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<Headerタブ> ④ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-HMQCなど) ⑤ auto_gain、force_tuneのチェックは外す。 <Instrumentタブ> ⑥ recvr_gainを 31(最大)にする。 ⑦ Instrumentの部分をクリックし、Spin_Stateタブを出し、SPIN OFFを選ぶ。 <Acquisitionタブ> ⑧ 通常、scansは 2回のままで OKです。サンプルが薄いとき(10 mg以下など)は回数を増やして測定してください。 ⑨ y_pointsの数を 128から 256に変更する。

⑤ ⑥

3-1: HMQC測定

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<プロトン(f2軸)の範囲指定> ⑩ まず、測定した 1H NMRのチャートに行き、測定したい範囲へとチャートを拡大します。下図の赤丸で囲んだ部分にカーソルを持って行きます。

⑪ すると、以下のようにタブが広がるので、右側からズームを選びます。

カーソルが虫眼鏡に変わるので、ドラッグアンドドロップを用いて、

ピークが出ている範囲を拡大します。

3-1: HMQC測定

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<拡大し損ねたとき> 拡大し損ねたときは、□囲みの「K」を選んで、Reset Viewもしくは Unzoomを選び縮小してください。

⑫ 次に、測定条件を入力するウインドウに行き、右下の「指マーク」をクリックし、次に「View X」をクリックします。 すると、カーソルが矢印から指に変わります。

3-1: HMQC測定

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⑬ そして、その指マークのカーソルを、拡大した 1H NMRチャートへと持って行き、チャートの上(どこでも良い)をクリックします。

⑭ Acquisitionタブの x_offsetと x_sweepが、その範囲を表す数字になれば OK。 注:x_offsetは測定範囲の中心、x_sweepは測定幅です。下図の場合、約 3.8 ppmが中心で約 7.9 ppmが幅なので、測定範囲は約–0.15 ppm~約 7.75 ppmとなります。

3-1: HMQC測定

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<カーボン(f1軸)の範囲指定> ⑮-1:13C NMRのチャートが開いている場合 プロトンと同様に行いますが、以下の点が View Yになっります。 測定条件を入力するウインドウに行き、右下の「指マーク」をクリックし、次

に「View Y」をクリックします。 すると、カーソルが矢印から指に変わります。

以降、プロトンの範囲指定と同じです。

⑮-2:13C NMRや DEPTのチャートを閉じてしまっているとき y_offset と y_sweep を全てのピークがおさまるように手入力してください。y_offsetは範囲の中心で y_sweepは幅です。下のケースでは–20 ppmから 180 ppmを測定します。

⑯ Submitを押して測定を始めます。

3-2: HMBC測定

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3-2:HMBC測定(所用時間15分以上) <HMBCで何が分かるの?> HMBCは横軸(f2軸)に 1H NMRのチャート、縦軸(f1軸)に 13C NMR(もしくは DEPT135)のチャートを載せている、1H-13C の 2 次元です。隣やその隣のカーボンに結合している 1Hとの間にに交差ピークが現れます。 <どういうときに測定すればいいの?> 化合物がやや複雑で、1次元のプロトンやカーボンのチャートだけでは十分に帰属ができないときに測定します。 <HMBCは実際のところ何を観測しているのか?> HMBCは 1Hと 13Cの間に現れるカップリングのうち、8 Hz前後のものに対して交差ピークを与えるように条件設定されています。 ○ 一般的な 1H-13C間のカップリングについて 通常、以下のような化合物の C-H 間のカップリング定数(J 値)は以下の通りです。 C1-H1・・・120~180 Hz程度 C1-H2・・・1~6 Hz程度 C1-H3・・・0~10 Hz程度 C1-H4・・・通常 0 Hz

C1H1

H2

H3

RR

R

H4 よって、C の隣(もしくは2つ先)の炭素に結合している 1H との間に交差ピークが現れます。それ以上離れると通常は検出されません。また、直接

くっついている H に関しても、交差ピークは現れません。隣(もしくは2つ先)の炭素に結合している 1Hとの間であっても、カップリング値が小さいケースも多く、必ず交差ピークが観測されるわけではないです。 <HMBC測定の前にやっておくこと> HMQCを測定する前に 1H NMR,13C NMRの測定を行っておくこと。サンプルは 13C NMRが容易に測定できる位の濃度はあった方が望ましいです。

3-2: HMBC測定

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<HMBC測定の手順>

① Experiment ボタンを押す。 ECP-500利用時: ② 家フォルダーを押す。 ③ 測定モード hmqcを測定するとき→”fghmbc.exp ” を選び OK

3-2: HMBC測定

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<Headerタブ> ④ filenameに名字、ノート番号、メモ、測定法の順に書き込む (例:SAKAI02090Fr6-10-HMBCなど) ⑤ auto_gain、force_tuneのチェックは外す。 <Instrumentタブ> ⑥ recvr_gainを 31(最大)にする。 ⑦ Instrumentの部分をクリックし、Spin_Stateタブを出し、SPIN OFFを選ぶ。 <Acquisitionタブ> ⑧ サンプルが濃ければ、scansは 2回のままで OKです。サンプルが薄いとき(20 mg以下など)は回数を増やして測定してください。 ⑨ 測定範囲の指定を行う。(HMQCの当該項目を参照すること) ⑯ Submitを押して測定を始めます。

トラブルシューティング

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第4部:トラブルシューティング 基本的に、何か異常があれば、直ちに酒井先生か教員に報告をし、ノートに記録をすること。 Q. ロックがかかりません。 A. 一度サンプルを出して、セットし直してください。サンプルが均一に溶解していないときなどは、ロックがかかりにくい場合があるので、一度

サンプルを上下に振ってみるとうまく行くこともあります。 Q. シム値が上がりません。 A. 一度サンプルを出して、セットし直してください。サンプルが均一に溶解していないときなどは、シム値が上がらない場合があるので、一度サ

ンプルを上下に振ってみるとうまく行くこともあります。 Q. 誤って Deltaと Spectrometer Controlの windowを閉じてしまいました。 A. デスクトップ上にある Deltaのアイコンをダブルクリックして Deltaを起動してください。その後、立ち上がる Delta(下図)window のマグネットの絵をクリックすると、Spectrometer Controlが立ち上がります。その後、自動的に Spectrometer Control が黄色の”connect”の状態になったら測定可能です。

Q. Deltaのログに Fatalと書かれたエラーが出ました。 Delta のログに Fatal(赤文字)のエラーが出た場合は、機械の調子がおかし

トラブルシューティング

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い可能性があるので、酒井先生もしくは研究室の教員に報告してください。

また、ノートにエラーの内容を記録してください。 Q. パソコンがフリーズしました。 再起動が必要です。酒井先生もしくは研究室の教員に再起動を依頼してく

ださい。