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ドローンやスマートフォンを使ったスペクトル測定による農業情報革命
北海道大学 大学院理学研究院特任准教授 栗原 純一
2
従来技術とその問題点
農作物の葉の色から生育状態を診断する従来技術
葉色板 葉緑素計問題点
• 葉単位、株単位でしか測れない• 圃場の中まで入って測らなくなくてはいけない• 手作業でデータを記録しなくてはいけない
→ 非接触で圃場全体を診断・記録できる方法はないか?
3
新技術①「ドローン搭載用マルチスペクトルカメラシステム」
可視~近赤外域の光を自由に選択できるマルチスペクトルカメラシステムをドローン搭載用に開発
1)スナップショット式なので、ブレに強く、画像解析が容易2)液晶波長可変フィルターを使用した多波長(スペクトル)撮像
カメラ本体 ドローン搭載状態名刺
4
新技術の特徴・従来技術との比較<撮像方法>
(空間的な走査が必要)
スナップショット方式プッシュブルーム方式
従来技術 本技術
5
新技術の特徴・従来技術との比較<分光方法>
フィルターホイール方式
液晶波長可変フィルター方式
機械式回転
電気的選択
イメージセンサ
フィルターホイール
レンズ
液晶波長可変フィルタ
フィルターを増やすとホイールが大きくなる
機械式なので消費電力・寸法・重量が大きい
任意の色を選べる(多波長)
低消費電力・小型・軽量
従来技術
本技術
6
実施例
植物の生育状態を表す「植生指数(NDVI)」を導出
作物A
土壌(収穫後)
作物B
→ 施肥の判断基準、収量の予測に有効
240 m
180 m
150 m
ドローン
新技術②「スマホ一体型分光器によるスペクトル計測システム 」
人工衛星ドローン
直下のスペクトル計測に限定
従来 今後
人工衛星ドローン
視野を拡大し撮像効率を向上
あらゆる角度・方位から植物などの対象物のスペクトルを計測し、同時に植物などの病害虫や生育状況を記録する必要
新技術②「スマホ一体型分光器によるスペクトル計測システム 」
植物の光学スペクトルは撮像角度や方位によって大きく変化
あらゆる対象物の、あらゆる方位からの光学スペクトルデータを効率よく収集、データベース化する方法を新たに考案
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0R
efle
ctan
ce900800700600500400
Wavelength (nm)
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
Ref
lect
ance
900800700600500400Wavelength (nm)
1. 対象写真2. 位置(GPS)3. 角度φ4. 方位θ5. 時刻
30° 90°
スペクトル+
任意の角度・方位・時刻の「スマホ+分光器」による計測データから同時取得する各種情報を用いて、通常の(上空からの)スペクトルへの復元が可能
スマホ一体型分光器
θ
1. 対象写真2. 位置(GPS)3. 角度φ4. 方位θ5. 時刻6. スペクトル
データ蓄積・利用演算加工
全データ同時測定
I. 植物種類判別II. 健康状態判定III.病害虫情報IV. 育成段階判定V. 汚染状態判定VI. CO2吸収量
マッチング・演算
データベース
スマホ一体型分光器によるスペクトル計測システム
スマートフォン一体型多機能多波長安価分光器を用いれば、ユーザーが計測装置と太陽光の向きを気にすること無く気軽にシャッターを押すだけで、入射および反射する光の角度を自動的に計算、記録し、それに対象物の写真も付加してネットワークサーバへ送信することで、ユーザーが撮影したスペクトル情報を自動的に集積しデータベースを構築できる
スペクトル(380-1050nm)
θ
実施例1:コーヒーの葉のスペクトルの観測方位による違い
θ=30°
θ=80°
実施例2:コーヒーの葉のスペクトルの太陽天頂角による違い
4時
2時
スペクトル(380-1050nm)
時刻: 2時00分
時刻: 4時00分
12
想定される用途
農作物の生育診断
施肥管理
収量アップ
肥料コストの削減
品質管理付加価値
アップ
収穫時期・収量の予測
安定経営
病害虫・雑草の診断
適正な防除農薬コスト
の削減
農業だけでなく、医療や食品など、色やスペクトルを使って性質や異変の診断を行っている様々な分野に応用可能
Sun light
Satellite
入射角
出射角1
出射角2
衛星画像(LCTF)、スマホ+小型分光器、ドローンにより得たスペクトルデータ(+実空間像)の有機的結合・相補的利用
Drone
スマートフォン付小型分光器
このシステムが構築されれば、あらゆる対象物のスペクトルデータベースが自動的に構築され、そのデータベースによって、今後ドローンや人工衛星に搭載されるスペクトル情報を最大限に活かすことが可能になる
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実用化に向けた課題
①ドローン搭載用マルチスペクトルカメラシステム• マルチスペクトルカメラの製造コストがまだ高い。• 現時点では特定の機種のドローンにのみ対応。
様々なドローンに搭載できるようなアダプターが必要。
②スマホ一体型分光器によるスペクトル計測システム• 現時点では、3Dプリンターによる試作品が完成しているだけであり、
実用に耐えうるハードウエアが開発できていない。
• まだ、3次元スペクトルデータの精度検証が不十分。• ユーザーが計測装置と太陽光の向きを気にすること無く気軽にシャッ
ターを押すだけで、入射および反射する光の角度を自動的に計算、記録し、それに対象物の写真も付加してネットワークサーバへ送信する一連のシステムは、まだ開発途上にある。
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企業への期待
①ドローン搭載用マルチスペクトルカメラシステム
• ドローン技術、ビッグデータ解析技術、営農支援IT技術などを持つ企業との共同研究を希望。
• 特に農業用ドローンを開発中の企業には本技術の導入が有効と思われる。
②スマホ一体型分光器によるスペクトル計測システム
• このシステムが構築されれば、あらゆる対象物のスペクトルデータベースが自動的に構築される。このデータベースによって、今後ドローンや人工衛星に搭載されるスペクトル情報を最大限に活かすことが可能になる。
• 特に、ハードウエア(スマホ一体型分光器)の開発を、現在の研究グループに参画して、一緒に共同研究をやってくれる企業を募集中。
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本技術に関する知的財産権
①ドローン搭載用マルチスペクトルカメラシステム• 発明の名称:スペクトルカメラ制御装置、スペクトルカメラ制御プログラム
、スペクトルカメラ制御システム、このシステムを搭載した飛行体およびスペクトル画像撮像方法
• 出願番号 :特願2016-080896• 出願人 :国立大学法人北海道大学• 発明者 :高橋幸弘、栗原純一、石田哲朗
②スマートフォン向け安価小型分光器• 発明の名称:物体状態検出伝送シシテム、分光端末とその制御方法、
制御プログラム、記録媒体及びサーバ装置
• 出願番号 :特願2016-162160• 出願人 :国立大学法人北海道大学• 発明者 :高橋幸弘、成瀬延康
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お問い合わせ先
国立大学法人北海道大学
産学・地域協働推進機構 産学推進本部
産学協働マネージャー 小野寺 晃一
TEL:011-706-9559FAX:011-706-9550E-mail:[email protected]