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110 日本臨床外科学会 北海道支部例会 支 部 長 時:平成 27 年 12 月 3 日(土)9:25~ 所:北海道大学 医学部学友会館「フラテ」 札幌市北区北 15 条西 7 丁目 第 1 会場 フラテホール(1~2 階) 第 2 会場 大研修室(1 階) 1. 一般演題:口演時間 5 分 討論時間 2 分(時間厳守) 2. 学会賞選考発表会:口演時間 5 分 討論時間 3 分(時間厳守) 3. 参加受付は 9:00 より開始いたします。 学会賞選考発表会 第 1 会場 10:10~10:50 世話人・幹事会/学会賞選考委員会 大会議室 11:00~12:00 ランチョンセミナー 第 2 会場 12:15~13:15 評議員会・学会賞授与式 第 1 会場 13:15~13:55 特別講演 第 1 会場 13:55~14:55 例会事務局:旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野 TEL: 0166-68-2503 FAX: 0166-68-2193

110 日本臨床外科学会 - E.C.PRO · 発表時間は、一般演題:5 分、討論時間2 分、学会賞:5 分、討論時間3 分です。 PowerPoint のシート枚数の制限はございませんが、発表時間を厳守してください。

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第 110回

日本臨床外科学会 北海道支部例会

支 部 長 平 田 公 一

会 長 古 川 博 之

日 時:平成 27 年 12 月 3 日(土)9:25~

場 所:北海道大学 医学部学友会館「フラテ」 札幌市北区北 15 条西 7 丁目

第 1 会場 フラテホール(1~2 階)

第 2 会場 大研修室(1 階)

1. 一般演題:口演時間 5 分 討論時間 2 分(時間厳守)

2. 学会賞選考発表会:口演時間 5 分 討論時間 3 分(時間厳守)

3. 参加受付は 9:00 より開始いたします。

学会賞選考発表会 第 1 会場 10:10~10:50

世話人・幹事会/学会賞選考委員会 大会議室 11:00~12:00

ランチョンセミナー 第 2 会場 12:15~13:15

評議員会・学会賞授与式 第 1 会場 13:15~13:55

特別講演 第 1 会場 13:55~14:55

例会事務局:旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野

TEL: 0166-68-2503 FAX: 0166-68-2193

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進行予定および座長一覧

第 1会場(フラテホール) 第 2会場(大研修室)

開会の辞(第 1会場)

小腸 1(1~5)

市立旭川病院 外科 子野日政昭

乳腺・甲状腺(36~40)

旭川医科大学病院 乳腺疾患センター 北田 正博

学会賞選考発表会(Ⅰ~Ⅵ)

小腸 2(6~9)

小林病院 外科 山本 康弘

肺・縦隔 1(41~44)

手稲渓仁会病院 成田 吉明

ヘルニア(10~13)

KKR斗南病院 外科 川原田 陽

肺・縦隔 2(45~48)

北見赤十字病院 新関 浩人

肝(14~16)

北海道大学 消化器外科Ⅰ 横尾 秀樹

腹壁・腹膜・後腹膜 1(49~51)

製鉄記念室蘭病院 外科 仙丸 直人

ランチョンセミナー(第 2会場)

司会:竹政 伊知朗 先生

札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 教授

大腸がん治療戦略の最新情報

講師:加藤 健志 先生

関西労災病院 下部消化器外科 部長

共催:中外製薬株式会社

評議員会・学会賞授与式(第 1会場)

特別講演(第 1会場)

座長:古川 博之 先生

旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野 教授

医師になった患者の一生:過労死と紙一重の外科修業

演者:加納 宣康 先生

千葉徳洲会病院 院長

共催:コヴィディエン ジャパン株式会社

大腸 1(17~21)

札幌厚生病院 外科 髙橋 昌宏

腹壁・腹膜・後腹膜 2(52~55)

深川市立病院 外科 新居 利英

大腸 2(22~25)

市立室蘭総合病院 外科 佐々木賢一

血管(56~60)

札幌厚生病院 心臓血管外科 内田 恒

食道(26~29)

帯広厚生病院 外科 大野 耕一

胆道(61~64) 札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

木村 康利

胃 1(30~32) 札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

信岡 隆幸

膵(65~67)

旭川厚生病院 外科 稲垣 光裕

胃 2(33~35)

北海道大学 消化器外科Ⅰ 川村 秀樹

閉会の辞(第 1会場)

※11:00~12:00 世話人・幹事会/学会賞選考委員会(大会議室)

9:30

10:10

11:18

11:46

12:15

13:15

14:55

13:55

15:30

15:58

16:26

16:47

17:10

11:46

11:18

10:50 10:50

9:25

10:10

14:55

15:23

16:26

15:58

16:47

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- 3 -

【ご発表の皆様へ】

ご発表の皆様へ

● 発表は、パソコンによるプロジェクター1 面映写(解析度は XGA 1024×768)です。

● 事務局で用意するパソコンの OS は Windows7、対応するアプリケーションソフトは

Windows 版 Microsoft PowerPoint 2007, 2010, 2013 です。

● Macintosh のパソコンや動画を利用される場合は、ご自身のパソコンをご用意ください。

● 進行を円滑に進めるため、発表者ツールのご使用はご遠慮ください。

● 発表データ及びパソコンをデータ受付にご持参のうえ、発表開始 30 分前までに動作、出力

確認をお済ませください。

メディアをご持参の場合

● 発表データは、CD-R または USB メモリーでご用意ください。

● フォントはWindows標準フォント(MS・MSP明朝、MS・MSPゴシック、Times New Roman、

Century 等)をご使用ください。Macintosh 版 Microsoft PowerPoint で作成したデータは、

必ず事前に Winsows 版 Microsoft PowerPoint で試写を行ってからお持ちください。

● 事務局で用意したパソコンにコピーし、動作確認をお願いします。メディアは、その場で

ご返却します。(コピーした発表データは、本会事務局が責任をもって消去します。)

● 発表データのファイル名は『演題番号-名字』で保存してください。

例:43-鈴木

パソコンをご持参の場合

● 事務局で用意するのは、通常の Mini D-sub15 ピンに対応する端子のみです。

● Macintosh や Mini D-sub15 ピンに返還が必要なパソコンの場合は、必ず変換コネクタと電

源アダプターをご持参ください。

● スマートフォン、iPod 等でのデータ持ち込み及び HDMI での送出は対応しておりません。

● 試写用モニターにて接続確認をしてください。

● 解析度は XGA(1024×768)です。このサイズより大きい場合、スライドの周囲が切れて

しまいますのでご注意ください。また、スクリーンセーバー、省電力機能等が作動しない

よう設定をご確認ください。

● PC 受付にて試写を済まされたパソコンは、発表の 15 分前までに発表者ご自身で各会場の

オペレーター席(会場内左側前方)にお持ちください。発表終了後は、オペレーター席で

PC をご返却いたしますのでお立ち寄りください。

ご発表について

● 発表時間は、一般演題:5 分、討論時間 2 分、学会賞:5 分、討論時間 3 分です。

● PowerPoint のシート枚数の制限はございませんが、発表時間を厳守してください。

● 演台上にモニター、マウス、キーボードをご用意しておりますので、ご自身で操作し発表

してください。(レーザーポインターは事務局でご用意しております。)

● 発表中は青色ランプ、終了 1 分前に黄色ランプ、終了時に赤色ランプが点灯します。

● 発表開始時間の 15 分前までに、次演者席にご着席ください。

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大腸がん治療戦略の最新情報

司会:竹政 伊知朗 先生

札幌医科大学 医学部 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 教授

講師:加藤 健志 先生

関西労災病院 下部消化器外科 部長

共催:第 110 回 日本臨床外科学会 北海道支部例会

中外製薬株式会社

ランチョンセミナー 12:15~13:15(第 2 会場)

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医師になった患者の一生:

過労死と紙一重の外科修業

座長:古川 博之 先生

旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野 教授

演者:加納 宣康 先生

千葉徳洲会病院 院長

共催:第 110 回 日本臨床外科学会 北海道支部例会

コヴィディエン ジャパン株式会社

特別講演 13:55~14:55(第 1 会場)

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座長:北海道大学 消化器外科 I 高橋 典彦

Ⅰ 乳癌における免疫逃避関連分子 HLA-G を標的とした新規治療法の検討

旭川医科大学乳腺疾患センター

○石橋 佳,安田 俊輔,岡崎 智,林 諭史,北田 正博

旭川医科大学 免疫病理学講座

熊井 琢美,小林 博也

Ⅱ IPMN 切除後再発例の検討および縮小手術の妥当性

北海道大学 消化器外科Ⅱ

○齋藤 博紀,浅野 賢道,田中 公貴,中西 喜嗣,野路 武寛

中村 透,海老原裕麿,倉島 庸,村上 壮一,土川 貴裕

岡村 圭佑,七戸 俊明,平野 聡

Ⅲ 待機的大腸癌手術における術前化学療法と SSI の関連性について

手稲渓仁会病院 外科

○横山新一郎,高田 実,篠原 良仁,伊橋 卓文,水沼 謙一

武内慎太郎,今村 清隆,寺村 紘一,渡邊 祐介,田本 英司

木ノ下義宏,安保 義恭,中村 文隆,成田 吉明,樫村 暢一

Ⅳ 右側大腸癌の腫瘍学的な特性に関する検討

札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科

○石井 雅之,沖田 憲司,西舘 敏彦,植木 知身,秋月 恵美

伊東 竜哉,河野 剛,今村 将史,九冨 五郎,信岡 隆幸

木村 康利,水口 徹,古畑 智久,竹政伊知朗

Ⅴ 肝癌に対する肝移植~肝癌の再発と再発後の予後不良因子についての検討

北海道大学 消化器外科 I

○腰塚 靖之,川村 典生,渡辺 正明,後藤 了一,神山 俊哉

武冨 紹信

北海道大学病院 臓器移植医療部

太田 稔 ,嶋村 剛

北海道大学 移植外科

山下健一郎

学会賞選考発表会 10:10~10:50(第 1 会場)

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第 1 会場

9:25 開会の辞 会長 古川 博之

小腸 1 9:30~10:05 座長 市立旭川病院 外科 子野日政昭

1 完全腹腔鏡下に十二指腸空腸吻合術を行った上腸間膜動脈症候群の 1例

砂川市立病院 消化器外科 乳腺外科 緩和ケア外科 ○河北 一誠,横田 良一,太刀川花恵,松井 博紀

本間 友樹,細田 充主,田口 宏一

2 治療に難渋した慢性偽性腸閉塞症の 1例

深川市立病院外科 ○水上 周二,岡山 大志,新居 利英

3 Treitz 靭帯に近接した上部空腸癌に対する手術手技の工夫

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 ○伊東 竜哉,信岡 隆幸,石井 雅之,河野 剛

秋月 恵美,植木 知身,西舘 敏彦,沖田 憲司

竹政伊知朗

4 腸管嚢腫様気腫症による門脈ガス血症を呈した血液透析患者の 1例

市立釧路総合病院 外科 ○吉田 雄亮,佐藤 暢人,宮崎 大,井上 玲

福田 直也,飯村 泰昭,長谷川直人

5 十二指腸球部原発 mixed adenoneuroendocrine carcinoma(MANEC)の1例

市立札幌病院 外科 ○松本 将吾,奥田 耕司,大島 由佳,齋藤健太郎

沢田 尭史,上坂 貴洋,寺崎 康展,皆川のぞみ

大島 隆宏,大川 由美,三澤 一仁

小腸 2 10:50~11:18 座長 小林病院 外科 山本康弘

6 肺癌腹膜転移を捻転軸とした絞扼性イレウスの 1例

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 ○河野 剛,沖田 憲司,西舘 敏彦,植木 知身

伊東 竜哉,秋月 恵美,石井 雅之,信岡 隆幸

古畑 智久,竹政伊知朗

7 腸石イレウスの一例

市立室蘭総合病院 ○吉田 瑛司,佐々木賢一,斉藤 慶太,奥谷 浩一

宇野 智子,中野正一郎,澁谷 均

8 小腸穿孔を併発した虫垂による絞扼性腸閉塞の 1例

勤医協中央病院外科 ○栃窪 藍,吉田 信,石井 健一,諸星 直輝

浅沼 和樹,澤崎 兵庫,奈良 智志,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,林 浩三

後藤 剛,山川 智士,鎌田 英紀,高梨 節二

樫山 基矢,石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

9 当院における腹腔鏡下イレウス解除術の検討

市立旭川病院 外科 ○宮坂 衛,村上 慶洋,阿部 紘丈,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

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ヘルニア 11:18~11:46 座長 KKR斗南病院 外科 川原田陽

10 腹腔鏡補助下に修復し得た S状結腸間膜内ヘルニアの1例

KKR札幌医療センター 外科

KKR札幌医療センター 病理診断科

○村田 竜平,今 裕史,大渕 圭祐,財津 雅昭

武田 圭佐,桑原 博昭,田村 元,小池 雅彦

鈴木 昭

11 S状結腸間膜裂孔ヘルニアの一例

イムス札幌消化器中央総合病院 外科 ○三橋 洋介,越湖 進,渡会 博志,上 奈津子

早馬 聡,田中 栄一

12 非観血的嵌頓整復後に待機的腹腔鏡下修復術を施行した両側閉鎖孔ヘルニアの 1例

JA 北海道厚生連 遠軽厚生病院 外科 ○齋藤 善也,後藤 順一,北 健吾,石井 大介

栗山 直也,橋本 道紀,稲葉 聡,矢吹 英彦

13 当科における ProgripTM

Laparoscopic Self-Fixating Mesh の導入と初期成績

市立旭川病院 外科 ○村上 慶洋,宮坂 衛,阿部 紘丈,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

肝 11:46~12:07 座長 北海道大学 消化器外科Ⅰ 横尾秀樹

14 本邦初の E型遅発性肝不全に対する脳死肝移植

北海道大学病院 消化器外科 I

北海道大学 移植外科

北海道大学病院 臓器移植医療部

○渋谷 一陽,川村 典生,後藤 了一,腰塚 靖之

渡辺 正明,武冨 紹信

山下健一郎

嶋村 剛

15 肝嚢胞による胆管圧排が原因と考えられた肝内結石症の 1例

北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野 II ○廣瀬 和幸,野路 武寛,齋藤 博紀,川村 武史

京極 典憲,田中 公貴,中西 喜嗣,浅野 賢道

倉島 庸,海老原裕磨,村上 壮一,中村 透

土川 貴裕,岡村 圭祐,七戸 俊明,平野 聡

16 異時性4重複癌(直腸・肺・胃・肝)であった肝内胆管癌の1切除例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野1

北海道大学病院 病理診断科

○阪田 敏聖,神山 俊哉,横尾 英樹,折茂 達也

若山 顕治,永生 高広,島田 慎吾,坂本 譲

蒲池 浩文,武冨 紹信

中 智昭,三橋 智子

大腸 1 14:55~15:30 座長 札幌厚生病院 外科 髙橋昌宏

17 一時的 loop ストーマ造設部位による有害事象の比較検討

勤医協中央病院外科 ○河島 秀昭,樫山 基矢,石後岡正弘,吉田 信

高梨 節二,川原洋一郎,浅沼 和樹,諸星 直輝

石井 健一,栃窪 藍

18 上行結腸癌及び胆石症術後に腹膜再発の鑑別が困難であった腹腔内膿瘍の 1例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野Ⅰ ○中本 裕紀,本間 重紀,吉田 雅,杉山 昂

大野 陽介,市川 伸樹,川村 秀樹,武冨 紹信

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19 フルニエ症候群を合併した直腸癌の 1例

旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野 ○谷 誓良,浅井 慶子,大谷 将秀,大原みずほ

宮本 正之,庄中 達也,長谷川公治,古川 博之

20 回腸脂肪腫が盲腸癌に嵌頓して腸閉塞をきたした 1例

勤医協中央病院 ○浅沼 和樹,吉田 信,栃窪 藍,石井 健一

諸星 直輝,奈良 智志,澤崎 兵庫,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,高梨 節二

後藤 剛,山川 智士,樫山 基矢,鎌田 英紀

石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

21 壁外性発育を示した直腸原発平滑筋腫の 1例

札幌厚生病院外科 ○箕浦 愛,山上 英樹,松本 哲,乾野 幸子

及川 芳徳,野口 慶太,柿坂 達彦,田原 宗徳

高橋 周作,秦 庸壮,田中 浩一,石津 寛之

高橋 弘昌,高橋 昌宏

大腸 2 15:30~15:58 座長 市立室蘭総合病院 外科 佐々木賢一

22 治療に難渋した直腸膀胱瘻の 1例

勤医協中央病院外科 ○樫山 基矢,石井 健一,栃窪 藍,諸星 直輝

浅沼 和樹,澤崎 兵庫,奈良 智志,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,林 浩三

吉田 信,後藤 剛,山川 智士,鎌田 英紀

高梨 節二,石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

23 待機的腹腔鏡下虫垂切除術施行時に認められた虫垂上行結腸瘻の一例

製鉄記念室蘭病院外科・呼吸器外科 ○村松 丈児,千葉 龍平,パウデル サシーム

佐藤 彰記,大高 和人,東海林安人

長谷龍之介,市村龍之助,仙丸 直人

24 盲腸軸捻転症術後に S状結腸軸捻転症を発症した 20歳男性の 1例

JCHO北海道病院 ○坂本 聡大,矢部 沙織,敦賀 陽介,正村 裕紀

数井 啓蔵

25 S状結腸切除術後に発症した下腸間膜動静脈瘻によるうっ血性大腸炎の 1例

札幌厚生病院外科 ○山上 英樹,松本 哲,乾野 幸子,及川 芳徳

野口 慶太,柿坂 達彦,田原 宗徳,高橋 周作

秦 庸壮,田中 浩一,石津 寛之,高橋 弘昌

高橋 昌宏

食道 15:58~16:26 座長 帯広厚生病院 外科 大野耕一

26 胃壁内転移を認めた食道表在癌の1例

恵佑会札幌病院 消化器外科

恵佑会札幌病院 病理診断科

○上村 志臣,吉川 智宏,大場 光信,坂下 啓太

澄川 宗祐,碓井 彰大,佐々木邦明,加藤健太郎

久須美貴哉,西田 靖仙,細川 正夫

大内 知之,武内 利直

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27 右鎖骨下動脈起始異常と反回神経走行異常を伴う胸部食道癌に対し腹臥位胸腔鏡下手術を施行

した 1例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野 II ○佐藤 理,海老原裕磨,京極 典憲,齋藤 博紀

田中 公貴,中西 喜嗣,浅野 賢道,野路 武寛

倉島 庸,村上 壮一,中村 透,土川 貴裕

岡村 圭祐,七戸 俊明,平野 聡

28 食道癌肉腫の 1切除例

北海道消化器科病院 消化器外科 ○福島 正之

29 苛性ソーダ誤飲後の腐食性食道狭窄に発症した食道癌の一例

国立病院機構函館病院 外科

国立病院機構函館病院 消化器内科

国立病院機構函館病院 病理診断科

○城崎 友秀,山吹 匠,岡村 国茂,藤原 晶

高橋 亮,小室 一輝,岩代 望,大原 正範

間部 克裕,加藤 元嗣

木村 伯子

胃 1 16:26~16:47 座長 札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 信岡隆幸

30 胃癌と胃神経内分泌癌を同時性重複した一例

釧路労災病院 外科 ○谷 道夫,小林 清二,千田 圭悟,江本 慎

河合 朋昭,小笠原和宏

31 TS-1/パクリタキセル経静脈投与・腹腔内投与療法により組織学的 CR が得られた胃癌腹膜播種

の一例

斗南病院 外科 ○花城 清俊,森 大樹,佐藤 大介,才川 大介

山本 和幸,芦立 嘉智,鈴木 善法,川田 将也

川原田 陽,北城 秀司,大久保哲之,奥芝 俊一

32 当科における高齢者に対する完全腹腔鏡下胃切除の導入と初期成績

市立旭川病院 外科 ○阿部 紘丈,村上 慶洋,宮坂 衛,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

胃 2 16:47~17:08 座長 北海道大学 消化器外科Ⅰ 川村秀樹

33 保存的に軽快した胃壁内気腫症の1例

社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院 ○松下和香子,藤原 康博,鈴木 達也

34 当院における胃 GIST 手術症例の検討

小林病院 外科 ○助川 誠,山本 康弘,西越 崇博,木田 裕之

重原 健吾

35 Ehlers-Danlos症候群に発症した胃軸捻転症の1例

JA 北海道厚生連帯広厚生病院 外科 ○丹羽 弘貴,市之川正臣,山本 博之,和田 秀之

加藤 航平,武藤 潤,吉岡 達也,村川 力彦

松本 譲,大竹 節之,大野 耕一

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- 11 -

第 2 会場

乳腺・甲状腺 9:30~10:05 座長 旭川医科大学病院 乳腺疾患センター 北田正博

36 神経線維腫症Ⅰ型に発症した乳癌の 2例

北海道大学病院乳腺外科 ○笠原 里紗,馬場 基,石田 直子,萩尾加奈子

郭 家志,奈良美也子,押野 智博,山下 啓子

37 原発副乳癌の 1例

旭川医科大学 外科学講座 呼吸器乳腺外科

旭川医科大学 皮膚科学講座

○岡崎 智,安田 俊輔,高橋 奈七,石橋 佳

林 諭史,北田 正博

上原 治朗,本間 大,山本 明美

38 妊娠期乳癌 6例における超音波所見と病理組織所見の比較検討

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

札幌医科大学 病理診断科・病理部

○島 宏彰,九冨 五郎,里見 蕗乃,前田 豪樹,

竹政伊知朗

長谷川 匡

39 繰り返す局所再発から遠隔転移を来し、集学的治療を要した悪性葉状腫瘍の一例

北海道がんセンター乳腺外科,北海道大学病院乳腺外科

北海道がんセンター 乳腺外科 ○押野 智博

富岡 伸元,渡邊 健一,佐藤 雅子,山本 貢

高橋 將人

40 甲状腺原発悪性リンパ腫の一例

釧路赤十字病院 外科 ○藤井 康矢,三栖賢次郎,安孫子剛大,三井 潤

金古 裕之,猪俣 斉,近江 亮

肺・縦隔 1 10:50~11:18 座長 手稲渓仁会病院 成田吉明

41 肺原発 angiofibroma の 1 例

旭川医科大学 呼吸器・乳腺疾患センター

旭川医科大学 手術部

○安田 俊輔,北田 正博,林 諭史,石橋 佳

岡崎 智,髙橋 奈七

平田 哲

42 complete VATSで切除した神経鞘腫 11例についての検討

札幌医科大学呼吸器外科 ○高橋 有毅,鶴田 航大,多田 周,槙 龍之介

三品泰二郎,宮島 正博,渡辺 敦

43 胃・胆嚢に転移を認めた転移性肺腺癌の 1切除例

小樽市立病院外科 ○佐野 修平,渡邉 義人,越前谷勇人,權藤 寛

44 肺腺癌を切除した同一肺葉内に定型カルチノイドを認めた 1例

独立行政法人 国立病院機構 北海道がんセンター 呼吸器外科 ○上田 宣仁,水上 泰,有倉 潤,安達 大史

近藤 啓史

肺・縦隔 2 11:18~11:46 座長 北見赤十字病院 新関浩人

45 感染性肺嚢胞に対する胸腔鏡下嚢胞内ドレナージの経験

製鉄記念室蘭病院 呼吸器外科 ○長谷龍之介,千葉 龍一,大高 和人

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- 12 -

46 癌性胸膜炎に対する胸腔ドレナージを契機として発症した気胸の一例

北見赤十字病院 ○青柳 美穂,新関 浩人,羽田 佑真,猪子 和穂,

新田 健雄,宮谷内健吾,松永 明宏,山口 晃司,

池田 淳一

47 肺非定型抗酸菌症の治療中に肺アスペルギローマを併発し手術を行った一例

手稲渓仁会病院外科

苫小牧王子総合病院外科

北海道医療センター呼吸器外科

○三輪 晃士,松波 己,樫村 暢一,成田 吉明

中村 文隆,安保 義恭,加藤 弘明,木ノ下義宏

高田 実,田本 英司,阿部 大,田畑佑希子

今村 清隆,寺村 紘一,武内慎太郎,水沼 謙一

伊橋 卓文,横山新一郎,篠原 良仁,西 智史

渡辺 幹夫

大坂 喜彦

48 縦隔異所性副甲状腺腺腫の 1 例

王子総合病院 外科・呼吸器外科 ○野村 俊介,渡邊 幹夫,真木 健裕,鯉沼 潤吉

松井 あや,狭間 一明,岩井 和浩

腹壁・腹膜・後腹膜 1 11:46~12:07 座長 製鉄記念室蘭病院 外科 仙丸直人

49 原発不明後腹膜腫瘍に対し開腹生検を行い確定診断に至ったセミノーマの1例

帯広協会病院 ○高橋 徹,加藤 拓也,水上 達三,大畑多嘉宣

橋本 卓,阿部 厚憲

50 血管外科と合同で切除し得た巨大後腹膜脂肪肉腫の1例

旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科学分野

旭川医科大学 外科学講座循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野

○森山 寛也,田中茉里子,萩原 正弘,今井 浩二,

松野 直徒,古川 博之

菊池 信介,古屋 敦宏,東 信良

51 大網原発の高分化型脂肪肉腫の一例

JCHO札幌北辰病院 外科

JCHO札幌北辰病院 病理診断科

○藤居 勇貴,蔵谷 勇樹,下國 達志,中川 隆公

佐々木文章

中西 勝也

腹壁・腹膜・後腹膜 2 14:55~15:23 座長 深川市立病院 外科 新居利英

52 結核性腸腰筋膿瘍に対して腹腔鏡下に診断・ドレナージを施行した1例

国立病院機構 北海道医療センター 外科

国立病院機構 北海道医療センター 呼吸器外科

北海道大学病院病理部

○小塚 陽介,高橋 宏明,植村 一仁,三野 和宏

太田 拓児,志智 俊介,

大坂 喜彦,本間 直健

畑中佳奈子

53 当院における NPWT 症例の検討

JR 札幌病院 ○太田 盛道,内山 素伸,田山 慶子,川崎 浩之

鶴間 哲弘,平田 公一

54 腹膜透析の既往のない被嚢性腹膜硬化症の 1例

旭川厚生病院 外科 ○近藤 享史,柳田 尚之,合地美香子,大平 将史

山田 健司,舩越 徹,芝木泰一郎,池上 淳

稲垣 光裕,赤羽 弘充,中野 詩郎

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55 腹腔鏡を併用して摘出した腹膜前腔異物の一例

日鋼記念病院 ○吉田 祐一,旭 火華,奥村 一慶,喜納 政哉

高田 譲二,益子 博幸

血管 15:23~15:58 座長 札幌厚生病院 心臓血管外科 内田恒

56 輪ゴム緊縛で足趾壊死となった糖尿病合併 PAD症例に対する治療経験

医療法人元生会 森山病院 血管外科 ○稲葉 雅史

57 Budd Chiari 症候群による肝部下大静脈狭窄に対する血管内治療の経験

製鉄記念室蘭病院 心臓血管外科 ○菊池 悠太,赤坂 伸之,大谷 則史

58 エコーガイド下腋窩静脈穿刺法の定型化に向けた取り組み

愛育病院

帯広厚生病院 ○中島誠一郎,鈴木 温

松本 譲

59 橈骨皮静脈カットダウン法による安全・簡単な中心静脈ポート留置術

札幌道都病院 外科 ○西森 英史,三浦 秀元,平間 知美,鬼原 史

八十島孝博,岡田 邦明,矢嶋 知己,秦 史壯

60 一次性大動脈十二指腸瘻に対し EVAR(Endovascular Aortic Repair:腹部大動脈瘤ステントグラ

フト内挿術)施行後に十二指腸瘻閉鎖術を施行した一例

手稲渓仁会病院 外科

手稲渓仁会病院 心臓血管外科

○西 智史,寺村 紘一,関谷 翔,谷口 大介

篠原 良仁,伊橋 卓文,横山新一郎,水沼 健一

武内慎太郎,今村 清隆,渡辺 祐一,高田 実

田本 英司,安保 義恭,中村 文隆,樫村 暢一

丸山 隆史,氏平 功祐,栗本 義彦

胆道 15:58~16:26 座長 札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 木村康利

61 腹腔鏡下幽門側胃切除後に良性胆管狭窄を生じた 1例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野 II ○鈴木 友啓,野路 武寛,齋藤 博紀,田中 公貴

中西 喜嗣,浅野 賢道,中村 透,土川 貴裕

岡村 圭祐,平野 聡

62 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した小児胆嚢捻転症の 1例

KKR札幌医療センター ○大渕 佳祐,武田 圭佐,槙 龍之輔,村田 竜平

財津 雅昭,桑原 博昭,今 裕史,田村 元

小池 雅彦

63 腹腔鏡下胆嚢摘出術における開腹移行症例の検討

函館協会病院 外科 ○村上 武志,向谷 充宏,澤田 健,久木田和晴

64 急性胆嚢炎を合併した胆嚢異所性膵の1例

旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科学分野

旭川医科大学病院 病理部

○山本 寛大,長谷川公治,庄中 達也,大谷 将秀

大原みずほ,谷 誓良,宮本 正之,浅井 慶子

今井 浩二,古川 博之

武井 英博,三代川斉之

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膵 16:26~16:47 座長 旭川厚生病院 外科 稲垣光裕

65 門脈合併切除を伴う膵全摘術により切除しえた巨大膵神経内分泌癌 (Neuroendocrine

carcinoma:NEC)の 1例

苫小牧市立病院 外科・内視鏡外科

北海道大学 大学院医学研究科消化器外科学分野 I

○小林 展大,藏谷 大輔,花本 尊之,広瀬 邦弘

佐治 裕,松岡 伸一

神山 俊哉

66 局所進行から当初切除不能膵癌と診断されたが、根治切除に至った conversion 症例の特徴

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座 ○山口 洋志,木村 康利,今村 将史,永山 稔

河野 剛,水口 徹,竹政伊知朗

67 下大静脈へのステントグラフト留置と緊急膵頭十二指腸切除により救命し得た腹部刺傷の一例

市立函館病院 消化器外科

市立函館病院 乳腺外科

市立函館病院 院長

○植木 伸也,中西 一彰,砂原 正男,加藤 絋一

長瀬 勇人,佐藤 利行,笠島 浩行,久留島徹大

鈴木 伸作

木村 純

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抄 録 集

学会賞選考発表会

一 般 演 題

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学 会 賞 選 考 発 表 会

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Ⅰ 乳癌における免疫逃避関連分子 HLA-G を標的とした新規治療法の検討

旭川医科大学乳腺疾患センター1),旭川医科大学 免疫病理学講座 2)

石橋 佳 1),熊井 琢美 2),安田 俊輔 1),岡崎 智 1),林 諭史 1)

北田 正博 1),小林 博也 2)

【背景】近年,癌の微小環境下で癌細胞が宿主の免疫系から逃避するメカニズムが徐々に明らか

になりつつあり,悪性腫瘍治療における免疫システムの重要性が注目されるようになってきた.

悪性腫瘍の免疫逃避は腫瘍細胞における MHC 抗原の消失や,各種癌抗原の発現低下など様々な

経路が知られているが,その中で直接的に宿主の抗腫瘍免疫を抑制させる免疫チェックポイント

分子の存在も重要な役割を果たしている.免疫チェックポイント分子の一つである HLA-G 分子

は非古典的 MHC class I 抗原に分類され,正常組織では主に胎盤に発現し,母体の免疫系から胎

児を保護する役割を担っていると考えられているが,成人の正常組織には殆ど発現を認めない.

一方で,多くの悪性腫瘍で HLA-G の発現が認められ,悪性腫瘍の免疫逃避に関わっていると考

えられている.胃癌や腎細胞癌など,一部の悪性腫瘍では HLA-G の発現が予後不良因子である

ことが報告されているが,乳癌領域については HLA-G の発現と予後の関連性や,各予後因子と

の関連性は明らかになっていない.今回我々は,当科における乳癌患者における HLA-G の発現

と乳癌の予後について検討した.また,免疫逃避システムの克服は免疫療法の臨床応用につなが

ると考えられる.そこで,HLA-G を標的とした新規ワクチン療法について検討した.【方法】当

科で手術を行った浸潤性乳癌 102 例における HLA-G 分子の発現を免疫染色を用いて評価し,各

乳癌予後因子との関連を検討した.また,HLA-G 分子において,HLA class II (HLA-DR)に親和

性の高いエピトープをコンピュータアリゴリズム解析によって同定し,得られた HLA-G ペプチ

ドを用いて,健常人末梢血から HLA-G 特異的 Th 細胞を誘導し,得られた Th 細胞の HLA-G 陽

性腫瘍に対する反応性を in vitro で評価した.【結果】HLA-G を強発現した乳癌は全生存率,無

再発生存率ともに予後不良であった.また,HLA-G の発現はホルモン受容体の発現と逆相関の

関係にあった.健常人末梢血から 4 種類の HLA-G ペプチド特異的 Th 細胞クローンを誘導し,

それぞれが HLA-G 陽性の悪性腫瘍株に対する免疫応答を示し得た.さらに,この反応は HLA-G

の発現を増強させるメチル化阻害薬によって増強された.【考察】HLA-G の発現は他の癌種と同

様に,乳癌においても予後不良因子であり,また,免疫チェックポイント分子の一つであるHLA-G

を標的とした治療は乳癌の比較的予後不良群に対して有効であると同時に,免疫逃避システムの

克服も期待できる.今回同定した HLA-G ペプチドを用いたワクチン療法は乳癌における予後不

良な患者集団に対する新規治療戦略として有望であると考えられた.

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学 会 賞 選 考 発 表 会

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Ⅱ IPMN切除後再発例の検討および縮小手術の妥当性

北海道大学 消化器外科Ⅱ

齋藤 博紀,浅野 賢道,田中 公貴,中西 喜嗣,野路 武寛

中村 透,海老原裕麿,倉島 庸,村上 壮一,土川 貴裕

岡村 圭佑,七戸 俊明,平野 聡

【背景】膵管内乳頭粘液性腫瘍(以下、IPMN)は適切な手術を施行することにより、比較的良

好な予後が期待できる疾患である。IPMN の悪性度は病理組織学的に腺腫から浸潤癌の形態を示

すものまであり、その長期的な予後や再発形式など不明な点もいまだに多い。また、適応される

術式に関しては、浸潤癌に対して 2 群郭清を伴う標準手術を施行することに異論はないものの、

低悪性度病変に対しては縮小手術の適応可能性が論じられている。教室では従来より浸潤癌を除

く IPMN に対して臓器・機能温存を目的とした縮小手術を積極的に適応してきた。【目的】教室

にて手術を施行した IPMN 症例の手術成績を検討し、再発例の臨床病理学的特徴を明らかにする

とともに縮小手術の妥当性を検証した。【対象】1983~2015 年までに教室にて手術を施行し、病

理組織学的に診断された IPMN 101 例を対象とした。【方法】患者背景、術式、手術成績、再発、

予後を検討した。<IPMN に対する手術適応>主膵管型 IPMN(以下、MD-IPMN)は全例手術

適応とした。分枝型 IPMN(以下、BD-IPMN)は 2009 年以降、嚢胞径 40mm 以上、主膵管径

10mm 以上、嚢胞内結節あり、細胞診陽性、有症状のいずれかを満たす症例を適応とした(Hirano

S, Hepatogastroenterology, 2009)。<縮小手術の適応>画像診断上、浸潤所見および領域リンパ

節の腫大がなく、高度な膵炎の既往がないものを縮小手術の適応とした。【結果】男性 64 例、女

性 37 例であり、年齢は中央値 68 歳(29-82 歳)であった。型分類は MD-IPMN 22 例、BD-IPMN

79 例で、low grade dysplasia(以下、LGD) 50 例、intermediate grade dysplasia 13 例、high

grade dysplasia 10 例、invasive carcinoma 28 例であった。縮小手術は 42 例に施行した。縮小

手術の内訳は十二指腸温存膵頭切除(以下、DPPHR)30 例、分節切除(以下、SR)7 例、膵実

質全切除 3 例、部分切除 1 例、脾温存尾側膵切除 1 例であった。観察時間は中央値 5.4 年(0.03

-17.8 年)であり、5 年疾患特異的生存率(DSS)は全症例で 91%、縮小手術例で 97%であった。

再発は 8 例(8%)に認め、無再発生存期間は中央値 1.7 年(0.9-9.8 年)であった。再発部位は

残膵 3 例、肝 2 例、リンパ節 1 例、その他 2 例であった。2 例が縮小手術施行症例の再発であ

り、1 例は DPPHR を施行し、LGD の診断であった症例の術後 7 年 8 ヵ月での残膵再発であり、

1 例は SR を施行した結果、微小浸潤癌の診断を得た症例で、術後 1 年 1 ヵ月でのリンパ節再発

であった。【結語】IPMN に対する縮小手術は概ね適切であった。しかし、縮小手術症例のなか

で微小浸潤癌症例のリンパ節再発を 1 例に認めており、より慎重な適応診断を要する。また、術

後 5 年以上経過した低悪性度症例の再発も認められたため、より長期の経過観察が必要であると

考えられた。

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学 会 賞 選 考 発 表 会

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Ⅲ 待機的大腸癌手術における術前化学療法と SSIの関連性について

手稲渓仁会病院 外科

横山新一郎,高田 実,篠原 良仁,伊橋 卓文,水沼 謙一

武内慎太郎,今村 清隆,寺村 紘一,渡邊 祐介,田本 英司

木ノ下義宏,安保 義恭,中村 文隆,成田 吉明,樫村 暢一

【背景、目的】

大腸癌に対しての手術前治療は、直腸癌に対する術前放射線化学療法が局所再発率の減少に大き

く寄与することが明らかにされるなど、腫瘍学的な効果については多く報告されている。一方術

前化学療法と Surgical Site Infection; SSI との関連性についてはあまり報告されていない。そ

こで、当院において術前化学療法を施行された待機的大腸癌手術患者と SSI の発生率、因子の関

連性について検討した。

【対象、方法】

当院において2013年1月から2016年6月までに待機的手術を施行した大腸癌患者669例から、大腸

癌自体を切除していない症例、重複癌を同時に切除した症例、過去に他疾患に対して化学療法の

治療歴がある症例を除外した652症例を対象とした。術前化学療法施行群(n=28)と未施行群(n=624)

をretrospectiveに比較し、SSIと関連する因子について検討した。検討項目は年齢、性別、SSI、

在院日数、術前化学療法、腹部手術歴、創の清浄度、American Society of Anesthesiologists

分類、身長、体重、BMI、%VC、FEV1.0、喫煙、ステロイド、腹部手術歴、COPD、腎不全、糖尿病、

術中出血量、術中輸血量、開腹/腹腔鏡下手術、アルブミン値、リンパ球数、人工肛門手術、結腸

/直腸手術の26項目とした。解析方法はマンホイットニー検定、もしくはt検定を用いた。

【結果】

SSI の発症率は、術前化学療法施行群で 32.1%、未施行群で 7.4%(p<0.0001)、全体では 8.4%

であった。術前化学療法施行群と未施行群では、単変量解析で SSI、創の清浄度、手術時間、出

血量、輸血量、人工肛門手術、直腸手術、開腹/腹腔鏡で有意差が得られた。切開創 SSIは術前化

学療法群で有意に増加し(4.0% vs 21.4%, p<0.0001)、臓器体腔 SSIは術前化学療法の有無で有

意差はないものの増加傾向がみられた(3.5% vs 10.7%, p=0.0526)。多変量解析では SSI、手術

時間、開腹/腹腔鏡下手術で有意差を認め、化学療法施行例の術後在院日数は有意に延長していた。

【結語】

術前に化学療法を施行された待機的大腸手術患者における大腸切除術後の SSI発生率は有意に

上昇し、術前化学療法は SSI 発症の危険因子となる可能性が示唆されたが、一方で術前化学療法

を施行された群は出血量の多い開腹手術が多く、結果的に SSIが増加したとも考えられた。今回

は特異的な因子は同定されなかったが、他施設合同研究などで症例を蓄積し、今後のさらなる検

討が必要と思われる。

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学 会 賞 選 考 発 表 会

- 19 -

Ⅳ 右側大腸癌の腫瘍学的な特性に関する検討

札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科

石井 雅之,沖田 憲司,西舘 敏彦,植木 知身,秋月 恵美

伊東 竜哉,河野 剛,今村 将史,九冨 五郎,信岡 隆幸

木村 康利,水口 徹,古畑 智久,竹政伊知朗

【背景および目的】近年、大腸癌において原発占拠部位による oncologic outcomeの違いに関す

る報告が多くなされている。FIRE-3 試験や CALGB/SWOG 80405、JACCRO CC-05/06 などの切除不

能進行・再発大腸癌の解析では、右側大腸癌で有意に予後が不良であることが報告されている。

また、米国国立がん研究所によるがん登録システムである SSEERのデータを用いた解析において

も同様の傾向が認められ、その結果は StageⅣ大腸癌のみならず、StageⅢ大腸癌でも同様の傾向

が認められたと報告されている。今回我々は、当科における右側大腸癌症例のうち、StageⅣ症例

を除外し解析することにより、切除可能右側結腸癌の特徴を抽出し、適切な補助療法の決定に寄

与することを目的とし検討を行った。

【対象】当科において一般的に FOLFOX療法が施行されるようになった 2008年 1月以降に手術が

施行された症例の中で、5年生存率を確認するため 2011年 9月までに手術が施行された患者を対

象とした。対象症例は上記の期間に当科で CurAの手術を施行された、多発重複癌および虫垂癌、

リンチ症候群、FAP を除いた右側大腸癌症例とした。対照群を左側結腸癌症例として同時期の下

行結腸癌および S状結腸癌症例を同様の選択基準で抽出した。

【結果】右側結腸癌 37 例、左側結腸癌症例 42例。平均年齢は右側 68.4歳、左側 66.3歳で差は

認めなかった。男女比は右側が 1:1.46、左側が 1:1.10 と右側で女性が多い傾向を認めたが有意

差は無かった。ステージに関しては、StageⅠ/Ⅱ/Ⅲa/Ⅲb の実数として、右側が 8/19/7/3 で、

左側が 7/15/19/1であり、左側で StageⅢ以上が有意に多かった。組織型として por, mucの占め

る割合は、右側が 4/37 で左側が 1/42で右側に多い傾向を認めたが有意差は無かった。予後に関

して、全体の 5年癌特異的生存率は右側が 94%で、左側が 92%で有意差を認めなかった。同様に 5

年無再発生存率においても右側が 86%、左側が 89%と有意差を認めなかった。症例を StageⅢ以上

に限っても、5年癌特異的生存率は右側が 90%で、左側が 94%と有意差を認めなかったが、5年無

再発生存率に関しては右側が 69%、左側が 88%と有意差は認めないものの、右側の方が予後が悪い

傾向を認めた。

【考察】今回の解析では、症例数が少なかったため、明らかな有意差は認めなかったが、右側結

腸癌では女性が多く por、muc 症例が多い傾向を認め、StageⅢ以上では予後が不良な傾向を認め

た。これらの結果から、右側大腸癌では左側大腸癌に比べ、強力な補助療法が必要になる可能性

が示唆された。再発症例では更に顕著に予後不良になるため、適切な手術および適切な補助療法

により再発を防ぐことが肝要と考えられた。

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学 会 賞 選 考 発 表 会

- 20 -

Ⅴ 肝癌に対する肝移植~肝癌の再発と再発後の予後不良因子についての検討

北海道大学 消化器外科 I1),北海道大学病院 臓器移植医療部 2)

北海道大学 移植外科 3)

腰塚 靖之 1),川村 典生 1),渡辺 正明 1),後藤 了一 1),太田 稔 2)

山下健一郎 3),神山 俊哉 1),武冨 紹信 1),嶋村 剛 2)

【背景・目的】肝癌に対する肝移植成績はミラノ基準を遵守すれば 5 年生存率 80%と良好である

が、約 5%に肝癌再発が認められる。さらに再発後の治療戦略は十分に構築されていない。肝癌に

対し肝移植を実施した症例において、再発の危険因子、再発後の予後不良因子を検討した。

【対象】1997 年 9 月から現在までに当科で実施した肝移植 296 例(成人 223 例、小児 73 例)の

うち、摘出肝の病理組織学的検査で肝癌が確認された 52例を対象とした。

【結果】全 52 例について:移植時の年齢は 54.7±6.6 歳、男性/女性=38/14、Child-Pugh 分類

A/B/C=13/20/19 例、MELD score 14.6±6.4、ミラノ基準内/外=29/23 で、45 例(87%)で何らか

の移植前治療がなされていた。移植後の観察期間は 8.0±5.3 年、全体の 1/3/5 年生存率はそれぞ

れ 82/73/64%であった。再発は 10例(19%)に認められ、9例がミラノ基準外であった。再発群と

無再発群の 5年生存率はそれぞれ 48%、68%であった。再発群は無再発群と比較し有意にミラノ基

準外が多く、Child-Pugh分類 A or B(MELDが低値)が多く、腫瘍径・腫瘍個数が大きく、PIVKA-II

が高値であった。年齢、性別、原因ウイルス、AFP 値、肝癌治療歴の有無については有意差を認

めなかった。再発 10例について:再発が原因で死亡(n=5)もしくは palliative care 中(n=1)

の予後不良群(B群:n=6)と、再発病巣を治療後現在まで無再発生存中である予後良好群(G 群:

n=4)の 2 群に分類し検討した。両群間の比較にて、移植から再発までの期間(中央値 G 群 583

日 vs. B群 156日)、再発形式が一臓器内単発であるか否か(G群 4例 vs. B群 1例)、病理組織

学的な脈管浸潤陽性率(G群 0例 vs. B群 6例)に有意差を認めた。移植時および再発時の腫瘍

マーカー値に有意差は認めなかった。G 群の再発は全例が一臓器内単発(肺 3 例、肝 1 例)で、

これらに対し肺 VATS3例と肝 TAE+PEIT1例を行い、再発後 9.2±3.0 年にわたり再々発なく生存中

である。B 群の死亡 5 例の再発部/移植から再発までの日数は、単発 1 例は副腎/136 日、多発 4

例はぞれぞれリンパ節/83 日、肺/176日、肝/293日、肝+リンパ節/563日であった。切除、化学

療法、放射線療法、抗がん作用を有する免疫抑制療法への変更など集学的治療を行ったが、再発

後生存期間は中央値 418日(209〜844日)であった。現在、肺転移、胸膜播種に対し palliative

care 中の 1例は再発後 859日生存中である。

【結語】ミラノ基準(腫瘍径、腫瘍数、脈管浸潤の有無)と腫瘍の生物学的悪性度を示す PIVKA-II

が再発予測因子として重要である。再発症例の再発様式を移植時に予測することは難しいが、再

発までの期間が 1年を超えるもの、再発が一臓器内単発であるもの、肝癌に脈管浸潤のないもの

は、再発巣に対する積極的な治療により予後の改善が期待できる。

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一 般 演 題

- 21 -

1 完全腹腔鏡下に十二指腸空腸吻合術を行った上腸

間膜動脈症候群の1例

砂川市立病院 消化器外科 乳腺外科 緩和ケア外科

○河北 一誠,横田 良一,太刀川花恵,松井 博紀

本間 友樹,細田 充主,田口 宏一

症例は 86 歳女性。嘔吐と腹部膨満を主訴に救急外来を受診。

CT で腹部大動脈と上腸間膜動脈の間で十二指腸水平脚の圧迫

と、胃から十二指腸の著明な拡張を認めた。上腸間膜動脈の分

岐角度が 20 度、腹部大動脈と上腸間膜動脈に挟まれた十二指

腸径が7mmであり、上腸間膜動脈症候群と診断。保存的治療で

一度は改善したが後に再燃を認め、手術の方針とした。手術は

臍と左右上腹部、左右下腹部に計5本のポートで施行。十二指

腸水平脚および下行脚を露出し、Treitz靭帯から約 30cmの空

腸と十二指腸水平脚を逆蠕動方向に並べ、それぞれに小孔を開

けて自動縫合器で側側吻合。挿入孔も自動縫合器を用いて閉鎖

し、完全腹腔鏡下で手術を終えた。上腸間膜動脈症候群は稀な

疾患であり、保存的治療で軽快しない場合は手術が考慮され

る。今回、腹腔鏡下十二指腸空腸吻合を施行する際に、側側吻

合・挿入孔のいずれにも自動吻合器を用いることで、より簡便

な手術を施行しえたので報告する。

2 治療に難渋した慢性偽性腸閉塞症の1例

深川市立病院外科

○水上 周二,岡山 大志,新居 利英

慢性偽性腸閉塞症は腸管の蠕動運動が障害されることにより、

機械的な閉塞機転がないにもかかわらず腹部膨満、腹痛、嘔吐

などの腸閉塞症状を引き起こす原因不明の難治性疾患である.

原発性と強皮症などに続発する続発性に分類され,小腸を主に

全消化管の運動異常をきたす.罹病期間は長期にわたり、罹患

患者の生活の質を極端に低下させる. 疾患の認知度も高くな

く診断確定までに時間を要する報告も少なくない.今回我々は

治療に難渋した慢性偽性腸閉塞症の1例を経験したので報告

する.症例は64歳、男性.8ヶ月前から腹部膨満感、腹痛が出

現.症状が増強し近医受診し当院紹介となった.腸閉塞の診断

でイレウス管を留置し保存治療を行うも改善せず、試験開腹を

行ったが機械的な閉塞は認めなかった.その後も腸閉塞が遷延

し、他院でも原因の精査を行ったが原因不明で慢性偽性腸閉塞

症と診断した.現在胃空腸瘻による腸管減圧と在宅中心静脈栄

養管理を行っている.

3 Treitz靭帯に近接した上部空腸癌に対する手術手技

の工夫

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

○伊東 竜哉,信岡 隆幸,石井 雅之,河野 剛

秋月 恵美,植木 知身,西舘 敏彦,沖田 憲司

竹政伊知朗

【はじめに】Treitz靭帯に近接した上部空腸癌の手術では、切

除再建とリンパ節郭清に工夫が必要である。当科で経験した上

部空腸癌の2例を提示し、その工夫について述べる。【症例1】

70 代女性、Treitz靭帯より 5cmに発生した空腸癌。T3N0M0、

cStageIIA。第2・3空腸動脈を根部まで追及しリンパ節を郭清

した。口側腸管は Treitz靭帯右側の十二指腸第 4部で切離を

行った。【症例 2】60代男性、Treitz靭帯より 8cmに発生した

空腸癌。T4N2M0、cStageIIIB。第 2・3 空腸動脈を根部まで追

及しリンパ節を郭清した。口側腸管は Treitz 靭帯左側の空腸

起始部で切離を行った。左側横行結腸への浸潤が疑われ同部を

合併切除した。【術後経過】いずれも縫合不全や吻合部狭窄を

認めず経過も、胃蠕動回復に遅延を来たした。【まとめ】Treitz

靭帯に近接した上部空腸癌では、切除・郭清範囲が過少となり

やすく、手技の工夫が必要である。

4 腸管嚢腫様気腫症による門脈ガス血症を呈した血

液透析患者の 1例

市立釧路総合病院 外科

○吉田 雄亮,佐藤 暢人,宮崎 大,井上 玲

福田 直也,飯村 泰昭,長谷川直人

症例は 80歳代の男性,ASO,HT,CKDで他院に通院中.血液透

析後に突然の上腹部痛を自覚.救急病院を受診し,CTで門脈ガ

スを認め,当院紹介となった.腹部症状は軽度で,血液検査で

は乳酸値の上昇を認めた.CTでは門脈ガス,小腸壁と腸間膜内

の気腫性変化,腹水貯留を認めた.腹部所見に乏しいが,腸管

壊死の危険性は否定できないため,審査腹腔鏡を施行した.術

中所見では,小腸・小腸間膜に気腫性変化を認めたが,穿孔・

穿通や虚血性変化は伴わなかった.腸管嚢腫様気腫症と診断

し,手術を終了した.術後も腸管壊死を疑う所見なく経過し,

術後 10 日目に退院となった.門脈ガス血症は腸管嚢腫様気腫

症によるものと診断できれば保存加療が可能である.一方で,

腸管壊死に伴うものであれば,治療の遅れは致命的となる.本

症例のように腸管虚血・壊死が完全に否定できない症例におい

ては,審査腹腔鏡での観察が有用であると考える.

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一 般 演 題

- 22 -

5 十二指腸球部原発 mixed adenoneuroendocrine

carcinoma(MANEC)の1例

市立札幌病院 外科

○松本 将吾,奥田 耕司,大島 由佳,齋藤健太郎

沢田 尭史,上坂 貴洋,寺崎 康展,皆川のぞみ

大島 隆宏,大川 由美,三澤 一仁

神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)は神経内分泌に

分化した腫瘍で、2010年のWHO分類では、腺癌、NETの成分が

各々30%以上存在するものは mixed adenoneuroendocrine

carcinoma(MANEC)と定義されている。今回我々は、比較的稀な

十二指腸球部原発のMANECの1手術例を経験したので、若干の

文献的考察を加え報告する。症例は 87歳男性。3年前の内視鏡

で十二指腸球部に隆起性病変を認めていたが、生検では悪性所

見なく経過観察されていた。内視鏡再検にて腫瘍の増大を認

め 、 生 検 に て neuroendocrine carcinoma(NEC) と

adenocarcinomaの診断を得たため、幽門側胃切除術、十二指腸

球部切除術を施行した。摘出標本の病理所見では

adenocarcinoma成分と neuroendocrine carcinoma成分がそれ

ぞれ30%以上混在しており、MANECの診断に至った。

6 肺癌腹膜転移を捻転軸とした絞扼性イレウスの 1例

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

○河野 剛,沖田 憲司,西舘 敏彦,植木 知身

伊東 竜哉,秋月 恵美,石井 雅之,信岡 隆幸

古畑 智久,竹政伊知朗

【はじめに】今回、われわれは肺癌腹膜転移を捻転軸とした絞

扼性イレウスの 1例経験したので報告する。【症例】47歳、男

性。肺癌 StageⅣにて加療中に腹痛を主訴に当院を受診。腹部

CTでは Whirl sign陽性で、腹膜刺激症状も認めたため緊急手

術を施行した。【手術】Treitz靭帯より 130cmの小腸に捻転を

認めた。捻転の軸となる腸管壁および腸間膜には結節を認め腹

膜転移に起因するものと思われた。捻転した小腸を切除しFEEA

にて再建した。【病理】結節は既往の肺癌の転移であった。【考

察】腸捻転の先天的素因としては総腸間膜症、腸回転異常、メ

ッケル憩室などがあり、後天的素因として腸間膜の瘢痕、癒着、

索状物形成などがある。その中で、肺癌腹膜転移に起因するも

のは非常に稀である。【結語】肺癌腹膜転移を捻転軸とした絞

扼性イレウスの 1 例経験したので文献的考察を加えて報告す

る。

7 腸石イレウスの一例

市立室蘭総合病院

○吉田 瑛司,佐々木賢一,斉藤 慶太,奥谷 浩一

宇野 智子,中野正一郎,澁谷 均

イレウスの中で腸石によるものは 0.04%と報告されている.症

例は 74 歳,男性.主訴は間欠的腹痛.イレウスの診断で当院

消化器内科に入院した.イレウス管を挿入するも改善せず,イ

レウス管造影にて狭窄部位に嵌頓する陰影欠損像が認められ

た.異物などの嵌頓によるイレウスが疑われ当科紹介となっ

た.腹腔鏡下に観察すると,回腸に鶏卵大の腫瘤を認めた.小

開腹創より腸切開し,5×3.5cmの結石を摘出した.本症例は腫

瘤の割面から食餌性の仮性腸石と考えられた.今回我々は極め

て稀な腸石性イレウスの症例を経験したので,若干の文献的考

察を加えて報告する.

8 小腸穿孔を併発した虫垂による絞扼性腸閉塞の 1例

勤医協中央病院外科

○栃窪 藍,吉田 信,石井 健一,諸星 直輝

浅沼 和樹,澤崎 兵庫,奈良 智志,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,林 浩三

後藤 剛,山川 智士,鎌田 英紀,高梨 節二

樫山 基矢,石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

虫垂が原因となった絞扼性腸閉塞の報告は過去に 10 数例認め

るが,小腸穿孔を併発した報告はない.症例は 75 歳女性. 2

日前から右下腹部痛を自覚し,症状が改善しないため当院受

診.右下腹部に反跳痛を伴う限局した強い圧痛を認め,腹部CT

検査では小腸の一部の拡張と腹水貯留,遊離ガス像を認め,比

較的長い虫垂が小腸の腸間膜の一部を取り囲むように位置し,

その近傍で小腸狭窄部を伴いclosed loopを形成.絞扼性腸閉

塞・小腸穿孔の診断で緊急開腹手術を行った.虫垂先端が小腸

の腸間膜の一部と癒着し,虫垂自体が索状物となり腸間膜を絞

扼していた.癒着を切離して絞扼解除すると腸管壊死はなかっ

たが腸間膜うっ血が著明.虫垂先端の癒着部近傍で小さな小腸

穿孔を認め,虫垂切除と穿孔部および腸間膜うっ血領域を含め

て小腸部分切除を行った.病理所見では急性虫垂炎と小腸穿孔

部周囲の高度な炎症や壊死組織の付着を認めたが,穿孔の原因

は不明であった.

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一 般 演 題

- 23 -

9 当院における腹腔鏡下イレウス解除術の検討

市立旭川病院 外科

○宮坂 衛,村上 慶洋,阿部 紘丈,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

【はじめに】近年、イレウスに対しても多くの施設で腹腔鏡下

手術が施行されている。今回、当院で経験した腹腔鏡下イレウ

ス解除術を行った 55 例の手術成績について検討し報告する。

【対象】2012年4月~2016年10月の腹腔鏡下イレウス解除術

を施行された55例。【結果】男性29例、女性26例、年齢は中

央値72歳。手術時間の中央値は85分であった。腸切除を行っ

たものが 18例,行わなかったものが 37例であった。術前癒着

性イレウスと診断し、腸切除を要したのは2例のみであった。

イレウスの原因としては癒着16例、内ヘルニア14例、索状物

8例、腫瘍 4例、悪性腫瘍による腹膜転移 3例であり、その他

は炎症性腸疾患による小腸狭窄や、腸捻転、腸重積であった。

【まとめ】イレウスに対する腹腔鏡手術は術前に減圧が得られ

れば、腹腔鏡での完遂率も高く、術創を少なくすることで、そ

の後の再発予防にも寄与すると考えられ、適切な症例を選べば

有用な術式であると考えられる。

10 腹腔鏡補助下に修復し得たS状結腸間膜内ヘルニ

アの1例

KKR札幌医療センター 外科 1),KKR札幌医療センター 病理診

断科 2)

○村田 竜平 1),今 裕史 1),大渕 圭祐 1),財津 雅昭 1)

武田 圭佐 1),鈴木 昭 2),桑原 博昭 1),田村 元 1)

小池 雅彦 1)

イレウスの原因の一つに内ヘルニアがあるが,その中でも S 状

結腸間膜内ヘルニアは稀であり,術前診断が困難である.今回

我々は,S 状結腸間膜内ヘルニアによる絞扼性イレウスの 1 例

を経験したので報告する.症例は 85 歳女性,朝食後に突然発症

した腹痛を主訴に近医を受診した.造影 CT を施行し,絞扼性イ

レウスの診断にて当院へ救急搬送され,同日緊急手術を施行し

た.まず、審査腹腔鏡を施行したところ,S 状結腸間膜の右葉が

欠損し,拡張した小腸と虚脱した小腸が並走して嵌入してい

た.ポートを追加し腹腔鏡下にヘルニア門を切開して小腸を解

放したところ,30cmに渡って腸管壊死を認め,S状結腸間膜内ヘ

ルニアによる絞扼性イレウスと診断し小腸部分切除を実施し

た.S 状結腸間膜の右葉の欠損は解放のままとした.術後 10 日

目に軽快退院となった.イレウスの原因として S 状結腸間膜内

ヘルニアの可能性も考慮すべきと考えられた.本症例に文献的

考察を加えて報告する.

11 S状結腸間膜裂孔ヘルニアの一例

イムス札幌消化器中央総合病院 外科

○三橋 洋介,越湖 進,渡会 博志,上 奈津子

早馬 聡,田中 栄一

症例は 80 代女性。嘔吐と腹痛のため、受診した。画像所見よ

り、内ヘルニアによる小腸嵌頓を疑った。全身状態が不良であ

り、合併症が多く、手術のリスクが高いことより、保存的治療

を行うこととなった。入院第 19 病日に、全身状態の改善傾向

見られたため、手術を行った。手術所見としては、S 状結腸間

膜内を貫くように小腸が嵌頓していた。S 状結腸間膜裂孔ヘル

ニアと診断した。ヘルニア門を解放すると、大量の膿汁と、灰

白色に変化し菲薄化した 40cm ほどの小腸が見られた。ヘルニ

ア門となっていた、S 状結腸間膜の裂孔は閉鎖した。術後の経

過は良好で、現在も入院加療中である。S 状結腸間膜裂孔ヘル

ニアはヘルニア門が小さく、嵌頓しやすいため、緊急手術にな

る例が多い。自験例は、高齢でハイリスクの患者であったが、

厳重な保存的加療のちに手術を行うことにより、救命できた。

比較的稀な一例を経験したので、文献学的考察を加えて報告す

る。

12 非観血的嵌頓整復後に待機的腹腔鏡下修復術を施

行した両側閉鎖孔ヘルニアの1例

JA 北海道厚生連 遠軽厚生病院 外科

○齋藤 善也,後藤 順一,北 健吾,石井 大介

栗山 直也,橋本 道紀,稲葉 聡,矢吹 英彦

はじめに:閉鎖孔ヘルニアは比較的稀な疾患であるが、高齢

女性に好発し、嵌頓によるイレウスを伴って緊急手術になるこ

とが多い。今回、閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対して非観血的整復を

行い、待機的に腹腔鏡下修復術を施行した症例を経験した。

症例:90歳女性。腹痛を主訴に来院し、腹部CT検査で右

閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断された。用手的圧迫法にて整復を試

み、これに成功した。整復後に経過観察入院となったが、入院

中はヘルニア嵌頓の再発は認めなかった。入院中に耐術能を評

価し、初回発症から約2か月後、待機的に腹腔鏡下閉鎖孔ヘル

ニア修復術を施行した。腹腔鏡下に観察すると左にも閉鎖孔の

開存を認めた。右閉鎖孔は縫縮後にメッシュシートで被覆、左

閉鎖孔は縫縮のみを行った。術後経過は良好で術後8日目に退

院となった。

結語:リスクの高い高齢者の緊急手術を回避し、対側の評価

や治療が可能という点で整復後の腹腔鏡下修復術は有用であ

ると思われた。

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一 般 演 題

- 24 -

13 当科におけるProgripTM

Laparoscopic

Self-Fixating Meshの導入と初期成績

市立旭川病院 外科

○村上 慶洋,宮坂 衛,阿部 紘丈,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

ProgriTMLaparoscopic Self-Fixating Mesh(以下:LPG)は

腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術においてTacking固定を不要とし

た Meshである。しかしながら展開の困難性および 5mmPortか

らの挿入が困難であることから、標準的な Mesh となり得てい

ないのが現状である。我々は、5mmPort からの挿入および展開

を容易にする方法を考案し、初発の鼠径ヘルニアにおけるTAPP

においてLPGを標準化した。2016年2月にLPGを本格的に導入

し 2016年 9月までの期間で 37例 51病変に LPGを用いて修復

を行った。男女比は30:7、年齢の中央値は70歳(30歳-93歳)。

導入当初のみ指導医が術者として用いていたが、現在は標準化

し指導医施行例が15例、前期・後期研修医施行例が22例であ

った。全例で術中のトラブルや慢性疼痛を認めず、観察期間は

短いが再発を認めていない。LPGは初発ヘルニアに対するTAPP

においてメリットも多く、安全に使用できる Mesh と考えられ

るため、当科における導入後の初期成績および手術手技につき

報告する。

14 本邦初のE型遅発性肝不全に対する脳死肝移植

北海道大学病院 消化器外科 I1),北海道大学 移植外科 2),北海

道大学病院 臓器移植医療部 3)

○渋谷 一陽 1),川村 典生 1),後藤 了一 1),腰塚 靖之 1)

渡辺 正明 1),武冨 紹信 1),山下健一郎 2),嶋村 剛 3)

症例は48歳男性、既往に慢性B型肝炎がある。2015年12月豚

レバーを摂取。2016年2月初旬より倦怠感と発熱、黄疸、肝機

能障害を認め入院。入院時採血でHEV-RNA陽性でありE型肝炎

ウイルスによる非昏睡型重症急性肝炎の診断。血漿交換を含む

内科的治療後も黄疸・凝固障害・肝萎縮が進行し3月下旬に当

科紹介。医学的緊急度8点で脳死肝移植登録。登録後8週でII

度脳症を発症し(遅発性肝不全)、緊急度10点待機に変更。待

機47日目に脳死肝移植を施行(手術時間14時間8分、出血量

5010 ml)。肝は萎縮した硬変肝でB型肝炎にE型肝炎ウイルス

が superinfection した acute on chronicの状態であった。E

型肝炎の再燃なく、術後経過良好で術後 56 日目に退院。急性

肝炎診療時はE型肝炎の可能性を常に念頭に置き、内科的治療

に抵抗性の場合は脳死肝移植が治療選択肢となりうる。

15 肝嚢胞による胆管圧排が原因と考えられた肝内結

石症の1例

北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野 II

○廣瀬 和幸,野路 武寛,齋藤 博紀,川村 武史

京極 典憲,田中 公貴,中西 喜嗣,浅野 賢道

倉島 庸,海老原裕磨,村上 壮一,中村 透

土川 貴裕,岡村 圭祐,七戸 俊明,平野 聡

症例は 70歳台の男性で、35年前に慢性膵炎に対して他院にて

膵頭十二指腸切除術(今永変法)を施行されていた。関節症性

乾癬のためステロイドを投与中、4 年前より間欠的な発熱を認

め、精査目的に施行したCT検査にて、左肝内胆管の拡張とB2/3

に高吸収域、肝S3に長径10mm大の嚢胞を指摘された。腹部超

音波検査では、B2/3根部の狭窄と狭窄部上流に充満する結石像

を認めた。逆行性胆管造影では、左肝管に狭窄像を認めず、B2/3

合流部の狭窄と同部から上流側胆管に透亮像を認め、B2/3の胆

管合流部狭窄による肝内結石症と診断した。繰り返す発熱の原

因として胆管狭窄による胆管炎が考えられたため、肝外側区切

除の方針とした。肝切除の途中、肝 S3 の嚢胞内容を吸引除去

したところ、B2/3の狭窄は直ちに解除された。病理学組織学的

検査結果では、胆管に悪性腫瘍を認めず、B2/3を圧排していた

肝S3の嚢胞はretention cystと診断された。以上の所見より、

本症例は肝嚢胞の圧排による胆管狭窄を原因として発症した

肝内結石症と診断した。

16 異時性4重複癌(直腸・肺・胃・肝)であった肝内

胆管癌の1切除例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野11),北海道大

学病院 病理診断科 2)

○阪田 敏聖 1),神山 俊哉 1),横尾 英樹 1),折茂 達也 1)

若山 顕治 1),永生 高広 1),島田 慎吾 1),坂本 譲 1)

蒲池 浩文 1),中 智昭 2),三橋 智子 2),武冨 紹信 1)

【はじめに】異なる臓器にそれぞれ原発性の癌が存在するもの

を重複癌と定義する。我々は直腸癌・肺癌・胃癌術後の経過観

察中に転移性肝癌と鑑別を要した肝内胆管癌を認め、切除を施

行した異時性4重複癌の症例を経験したので報告する。【症例】

73歳女性。9年前に直腸癌(stageⅠ)に対し低位前方切除術、

7年前に右肺癌(stageⅠ)に対し右肺葉切除術、1年前に胃癌

(stageⅠA)に対して胃全摘術を施行した。術後の定期検査にて

肝腫瘤を指摘された。腹部造影CT検査で尾状葉に40mm大、S2

に 30mm大と 7mm大の造影効果の乏しい腫瘤性病変を認めた。

術前に転移性肝癌と肝内胆管癌の鑑別が困難であったが、胃癌

が早期であることからも肝原発腫瘍を考慮して、肝左葉・尾状

葉切除を施行した。病理組織検査は、肝内胆管癌の診断であっ

た。【結語】今回、直腸癌・肺癌・胃癌術後の経過観察中に転

移性肝癌と鑑別を要した肝内胆管癌を認めた異時性4重複癌

の症例を経験した。癌の診断や治療の向上に伴い重複癌の報告

は増加しており、4 重複癌の発生も念頭におき診療することが

重要である。

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一 般 演 題

- 25 -

17 一時的 loopストーマ造設部位による有害事象の比

較検討

勤医協中央病院外科

○河島 秀昭,樫山 基矢,石後岡正弘,吉田 信

高梨 節二,川原洋一郎,浅沼 和樹,諸星 直輝

石井 健一,栃窪 藍

(目的)今回われわれは、一時的ループストーマを造設する際に回腸ス

トーマと結腸ストーマのどちらが良いのかストーマ管理の面から両者

の有害事象の発生を比較したので報告する(対象)当院で過去5年間に

一時的loop stomaを作成した40例とした。ストーマトラブルや造設・

閉鎖のトラブル・合併症に関して後方視的に比較検討を行った。ストー

マの造設部位の選択は、患者の状態から最適と考える部位を術者の裁量

で決定した。ストーマサイトマーキングは術前に医師と看護師WOCが協

働して実施した。ストーマの閉鎖時期は術後 3か月(約 90日)を標準

とした(結果)症例の内訳は回腸ストーマ(I群)27例、結腸ストーマ

(C群)13例であった 男性25例,女性 15例。定期手術は26例,臨

時手術が14例。サイトマーキングは97.5%で行われた。造設理由は、直

腸癌の covering stoma が 23 例,次いで縫合不全による diverting

stomaが8例。両群のBMIはI群22.4,C群23.0と差はなかった。スト

ーマのトラブルは、排泄口の狭窄に伴うイレウス症状がI群で3例(11%)

C群では口側誤認が 1例(7.7%)。3例は予定を繰り上げて閉鎖を行っ

た。閉鎖時の合併症は吻合部出血1例、吻合部狭窄1例、イレウス1例、

縫合不全1例であった。装具決定により退院までの術後の入院日数はI

群38日,C群31日。閉鎖までの期間は、I群101日,C群135日で標準

の90日より長かった。【結論】ストーマケアの視点からは早期の装具決

定、患者のセルフケア自立の点で結腸ストーマを選択したほうが早期退

院が可能で優れている可能性が示唆された。

18 上行結腸癌及び胆石症術後に腹膜再発の鑑別が困

難であった腹腔内膿瘍の 1例

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野Ⅰ

○中本 裕紀,本間 重紀,吉田 雅,杉山 昂

大野 陽介,市川 伸樹,川村 秀樹,武冨 紹信

症例は 78 歳男性。上行結腸癌に対し、当科にて腹腔鏡下回盲

部切除術 (D3)を施行した。病理診断は tub2,T3(SS),

ly0,v1,N0,M0,pStage II,PM0,DM0,RM0,R0 であった。初回手術

の1年半後、胆石胆嚢炎に対し他院にて腹腔鏡下胆嚢摘出術が

施行された。手術記録では、術中胆嚢壁損傷によって腹腔内へ

の落石が少数あり、回収したとの記載であった。胆嚢摘出3か

月後の PET-CTにて肝周囲に SUVmax10.3の異常集積を示す 1cm

大の腹膜結節を3か所認めた。発熱や腹痛は無く、WBC 5400、

CRP 0.24、CEA 2.3 であった。上行結腸癌腹膜再発と腹腔内膿

瘍の鑑別が困難であり、開腹下腹腔内腫瘤摘出術を施行した。

腫瘤は肝鎌状間膜、肝周囲後腹膜に存在し、周囲と強固に固着

していた。病理組織検査所見では、炎症細胞の集簇と線維化を

認め、中心部には胆汁様の結石構造が認められ、胆摘時の遺残

結石による膿瘍形成と診断した。

落下結石を原因とした膿瘍は稀ではあるが、胆摘施行後の腹

膜結節の鑑別診断として考慮すべきと考えられたため報告す

る。

19 フルニエ症候群を合併した直腸癌の1例

旭川医科大学 外科学講座 消化器病態外科学分野

○谷 誓良,浅井 慶子,大谷 将秀,大原みずほ

宮本 正之,庄中 達也,長谷川公治,古川 博之

背景:フルニエ症候群は外陰部、会陰部を主病変とする壊死性

筋膜炎で、急激な経過をたどり、早期に適切な治療を要する疾

患である。直腸癌が原因となることは稀である。今回、フルニ

エ症候群を合併した直腸癌の1例を経験したため報告する。 症

例:60歳代、女性。水様便を主訴に近医を受診した。精査の結

果、直腸Raから肛門管にかけて全周性の腫瘍を認め(Group5)、

CTでリンパ節腫大、直腸壁の肥厚、直腸周囲に膿瘍を認めた。

敗血症性心不全を併発し当科紹介。転院時フルニエ壊疽を発症

していたため会陰部のデブリードマンと洗浄ドレナージ、横行

結腸双孔式人工肛門を造設した。術後 35日目よりmFOLFOX6療

法を開始した。6 クール目から Bevacizumab を追加し、計 11

クール行った。腫瘍は著明に縮小し、初診日から214日目に根

治手術を行えた。直腸癌によるフルニエ壊疽は感染コントロー

ルと腫瘍学的な治療介入が必要不可欠である。若干の文献的考

察を加え報告する。

20 回腸脂肪腫が盲腸癌に嵌頓して腸閉塞をきたした1

勤医協中央病院

○浅沼 和樹,吉田 信,栃窪 藍,石井 健一

諸星 直輝,奈良 智志,澤崎 兵庫,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,高梨 節二

後藤 剛,山川 智士,樫山 基矢,鎌田 英紀

石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

症例は 87歳女性.腸閉塞を疑われ当院へ紹介された.腹部 CT

で腫瘍と考える回腸末端から盲腸にかけての腸管壁肥厚と,同

部位に2cm大の内部均一な脂肪濃度を含む腫瘤を認めた.回腸

末端から口側の腸管は著明に拡張していたが,上行結腸から肛

門側に拡張は認めなかった.以上より,盲腸癌による腸閉塞と

診断して手術を行った.開腹所見では回盲部に腫瘍を認め小腸

の一部が腫瘍の浸潤を受けており,回盲部切除 D3 および小腸

部分切除を施行した.切除標本では盲腸に全周性2型上皮性腫

瘍と2cm大の表面平滑な粘膜下腫瘍を認めた.病理組織検査で

中分化型管状腺癌 T3N1M0,StageⅢa および回腸脂肪腫と診断

した.脂肪腫は小腸腫瘍の中では比較的多く,成人腸重積の原

因として報告が散見される.しかし,脂肪腫が癌部に嵌頓した

症例報告は数少ない.今回,盲腸癌により狭窄した管腔に脂肪

腫が嵌頓して腸閉塞をきたした稀な1例を経験したので文献的

考察を加えて報告する.

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一 般 演 題

- 26 -

21 壁外性発育を示した直腸原発平滑筋腫の1例

札幌厚生病院外科

○箕浦 愛,山上 英樹,松本 哲,乾野 幸子

及川 芳徳,野口 慶太,柿坂 達彦,田原 宗徳

高橋 周作,秦 庸壮,田中 浩一,石津 寛之

高橋 弘昌,高橋 昌宏

【はじめに】直腸壁と連続性を有し壁外性に発育していた、直

腸原発と思われる平滑筋腫の 1 切除例を経験したので報告す

る。【症例】38 歳の女性。左殿部に緩徐な増大傾向のある腫瘤

を自覚されて受診した。理学所見では肛門の3時方向に、約4cm

大の境界明瞭で弾性のある類円形腫瘍を体表から触知した。大

腸内視鏡検査にて直腸粘膜は異常なく、壁外からの圧排による

隆起性変化が観察された。CTでは外括約筋の外側に肛門挙筋・

外括約筋との境界不明瞭な造影効果を伴う軟部組織腫瘍を認

め、MRIで腫瘍は T1で低、T2で不均一な高信号を呈した。画

像診断上、孤立性線維性腫瘍が疑われたが確定診断が付かず、

外科へコンサルトされた。針生検は行わず切除の方針で、2016

年4月に経会陰式腫瘍摘出術を施行した。腫瘍外縁に沿って周

囲組織を剥離し得たが直腸壁に連続性を認め、直腸壁の一部を

合併切除して縫合閉鎖した。病理は平滑筋腫の診断で悪性所見

を認めず、免疫染色所見は α-SMA・Desmin が陽性、S-100・

c-KIT・CD34が陰性であり、Ki-67 label indexは1%未満であ

った。

22 治療に難渋した直腸膀胱瘻の1例

勤医協中央病院外科

○樫山 基矢,石井 健一,栃窪 藍,諸星 直輝

浅沼 和樹,澤崎 兵庫,奈良 智志,中村 祥子

阿部 慎司,田尾 嘉浩,川原洋一郎,林 浩三

吉田 信,後藤 剛,山川 智士,鎌田 英紀

高梨 節二,石後岡正弘,河島 秀昭,松毛 真一

【症例】50歳男性【主訴】発熱【併存症】統合失調症【現病歴】

3 週間前より発熱が持続し近医にて尿路感染を疑われ抗生剤の

投与を受けるが改善なく当院紹介となった。【経過】腹部CTに

て膀胱、S 状結腸周囲に遊離ガス像を伴う液体貯留と肝に辺縁

が造影される低吸収域が多発しており、腹腔内膿瘍、多発肝膿

瘍の診断となった。また、大腸内視鏡検査及び注腸X線検査で

S 状結腸膀胱瘻を認め結腸穿孔、結腸膀胱瘻、腹腔内膿瘍、肝

膿瘍の診断となった。抗生剤にて炎症を沈静化させた後、入院

26日目に手術を行った。下腹部は炎症により癒着、硬化が著明

で膀胱、回腸、結腸、虫垂が複雑な瘻孔で交通していた。S 状

結腸から膀胱直腸窩に向かう瘻管を認め可及的に膀胱近くま

で追い結紮切離し、S状結腸、回腸、虫垂切除を施行しdiverting

stomaを回腸に造設した。術後68日目に正中創から尿の排出を

認め、瘻孔を造影するとS状結腸切除後吻合部と正中創が交通

しており更に吻合部肛門側に診断されていなかった直腸膀胱

瘻の存在が明らかとなった。尿カテーテル留置および回腸瘻状

態を継続し炎症の沈静化を待ち、8 か月目に両側腎盂尿管ステ

ント留置の上、低位前方切除術、膀胱切開直腸膀胱瘻切除、吻

合部皮膚瘻切除を施行。1 年後に回腸ストマ閉鎖を施行した。

【結語】数度の手術にて治癒し得た直腸膀胱瘻の1例を経験し

た。若干の文献的考察を加え報告する。

23 待機的腹腔鏡下虫垂切除術施行時に認められた虫

垂上行結腸瘻の一例

製鉄記念室蘭病院外科・呼吸器外科

○村松 丈児,千葉 龍平,パウデル サシーム,

佐藤 彰記,大高 和人,東海林安人,長谷龍之介

市村龍之助,仙丸 直人

20 歳男性。突然の心窩部痛を主訴に受診。CT で虫垂腫大、周

囲膿瘍を認め、膿瘍を伴う穿孔性急性虫垂炎と診断し入院し、

保存的治療により軽快した。発症後 5ヶ月目の CTで虫垂腫大

は認めず、周囲に膿瘍も認められなかった。発症後6ヶ月目に

手術加療の方針となり腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。術中所

見で虫垂先端付近が上行結腸と強固に癒着し、剥離を試みたが

途中粘膜下組織が露出したため、虫垂上行結腸瘻形成の可能性

を考慮し、虫垂切除・上行結腸合併部分切除を行った。切除標

本で虫垂と上行結腸に瘻孔を認め、虫垂上行結腸瘻の診断とな

った。本症例では膿瘍を伴う虫垂炎であったことから、待機的

に虫垂切除を行う方針となった。その間の慢性炎症により虫垂

上行結腸間に瘻孔が形成されたと考えられた。しかし待機的腹

腔鏡下虫垂切除術施行時には、膿瘍は消失し腸管の炎症も改善

されており、安全に虫垂切除並びに上行結腸部分切除を施行し

得たと考えられた。

24 盲腸軸捻転症術後にS状結腸軸捻転症を発症した

20歳男性の 1例

JCHO北海道病院

○坂本 聡大,矢部 沙織,敦賀 陽介,正村 裕紀

数井 啓蔵

症例は 20歳の男性。18歳時に腸閉塞と診断され、保存的加療

の既往がある。腹部手術歴はない。腹痛を主訴に当院に来院。

腹部は著明に膨満し、全体に圧痛を認めた。造影 CT 検査で腸

捻転による絞扼性腸閉塞と診断、緊急手術を施行した。開腹す

ると盲腸の軸捻転を認め、捻転部位は虚血に陥っていたため、

回盲部切除を施行した。術後に腹腔内膿瘍を認め、再手術を施

行、初回手術後24日目に退院となった。退院後10日目に腹痛

で来院、造影 CT検査で S状結腸軸捻転と診断、下部消化管内

視鏡での捻転解除は困難であり、S 状結腸切除を施行した。経

過は良好で術後 13 日目に退院となった。盲腸軸捻転症は全結

腸軸捻転症の 5.9%、全消化管腸閉塞の 1%未満であり、比較的

稀な疾患である。特に結腸軸捻転は高齢者が半数以上を占める

ため、若年者の盲腸軸捻転とS状結腸軸捻転を併発するのは非

常に稀である。稀な若年者の盲腸軸捻転症とS状結腸軸捻転症

を併発した症例を経験したため文献的考察を加えて報告する。

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一 般 演 題

- 27 -

25 S 状結腸切除術後に発症した下腸間膜動静脈瘻に

よるうっ血性大腸炎の1例

札幌厚生病院外科

○山上 英樹,松本 哲,乾野 幸子,及川 芳徳

野口 慶太,柿坂 達彦,田原 宗徳,高橋 周作

秦 庸壮,田中 浩一,石津 寛之,高橋 弘昌

高橋 昌宏

【はじめに】下腸間膜動静脈瘻が存在し、S 状結腸切除術後

に生じた血流変化により大腸炎を発症した症例を経験した。

【症例】71 歳の女性。2014 年に腹腔鏡下 S 状結腸切除術 D2

を受療されている(pT1bN0M0,Stage I)。術後9ヶ月頃から下血

を認め、虚血性腸炎の診断で近医にてフォローしていた。2016

年に腹痛を伴う様になり、精査目的に入院となった。大腸内視

鏡検査を行い、吻合部の肛門側から直腸に浮腫状壁肥厚と潰瘍

を認めた。造影 CTで IMAから温存された SRAへの血流を確認

出来ることより、血管造影を施行して IMA分枝(SA-2以下の分

岐付近)と並走する同名静脈の間に A-V シャントを検出した。

還流側のIMVが切断されているため静脈の怒張を認め、静脈圧

が高いことによるうっ血性大腸炎と診断した。先ず血管 coil

と lipiodolを用いた TAEを施行したが著効無く、手術治療を

選択した。術式は開腹下に吻合部口側から直腸までの変性腸管

を切除する低位前方切除術を行い、再吻合した。血管はIMA根

部を切離してシャント血管も en-block に切除した。現在まで

術後経過は良好である。

26 胃壁内転移を認めた食道表在癌の1例

恵佑会札幌病院 消化器外科 1),恵佑会札幌病院 病理診断科 2)

○上村 志臣 1),吉川 智宏 1),大場 光信 1),坂下 啓太 1)

澄川 宗祐 1),碓井 彰大 1),佐々木邦明 1),加藤健太郎 1)

久須美貴哉 1),西田 靖仙 1),大内 知之 2),武内 利直 2)

細川 正夫 1)

症例は65歳、男性。6年前他院で多発食道癌に対しESDを施行

され、そのフォローの上部消化管内視鏡検査で SM 浸潤を疑う

食道癌を指摘され当院紹介となった。精査で食道癌、

MtLt,T1bN0M0,cStageⅠであり、この他 EUS、CT で胃噴門部に

2cm 大の粘膜下腫瘍を認めた。手術の方針となり、胃噴門部の

粘膜下腫瘍を切除範囲に含むように、胸腔鏡下食道亜全摘・胸

骨後胃管再建を施行した。術後経過は良好であり、21日目に退

院した。病理検査では食道癌が Ut、Mt、Ae に多発しており、

Ut、Mtの病変はM癌であったが、Aeの病変がSM浸潤を認めた。

また胃噴門部の粘膜下腫瘍は扁平上皮癌であり、その分化度か

らAe病変の胃壁内転移と考えられた。術後化学療法を施行し、

現在経過観察中である。

食道表在癌の胃壁内転移は 1.0-2.7%と極めて稀であり、本

邦報告例(会議録除く)は 18 例であった。食道表在癌であって

も胃粘膜下腫瘍を認めた際は、胃壁内転移を鑑別に上げること

が必要と考えられる。

27 右鎖骨下動脈起始異常と反回神経走行異常を伴う

胸部食道癌に対し腹臥位胸腔鏡下手術を施行した1

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野 II

○佐藤 理,海老原裕磨,京極 典憲,齋藤 博紀

田中 公貴,中西 喜嗣,浅野 賢道,野路 武寛

倉島 庸,村上 壮一,中村 透,土川 貴裕

岡村 圭祐,七戸 俊明,平野 聡

右鎖骨下動脈起始異常と反回神経走行異常を伴う胸部食道癌

対し腹臥位胸腔鏡下手術を施行したので報告する。症例は 72

歳男性、嚥下困難感があり上部消化管内視鏡検査にて胸部上部

食道癌と診断された。CTで右鎖骨下動脈起始異常を認め、非反

回下喉頭神経(nonrecurrent inferior laryngeal nerve;

NRILN)の存在が推測された。胸部食道癌 cT2N2M0,cStgaeIII

に対し術前化学療法後に食道癌根治術の方針とした。手術は腹

臥位胸腔鏡腹腔鏡下食道亜全摘3領域郭清、胸骨後経路胃管再

建、頚部食道胃管吻合を施行した。胸腔鏡下操作では食道背側

を上行する右鎖骨下動脈を認め、右迷走神経から反回する神経

は認めなかった。また頚部操作においてNRILNが右迷走神経か

ら直接喉頭に向かうことを確認した。NRILN は右鎖骨下動脈起

始異常に伴う先天奇形で比較的まれなものだが、CT検査にて存

在診断が可能である。腹臥位による胸腔鏡下食道切除術におい

ても、術前予測により確実な反回神経周囲郭清が施行可能であ

ると考えられた。

28 食道癌肉腫の 1切除例

北海道消化器科病院 消化器外科

○福島 正之

【はじめに】食道癌肉腫はポリープ様の隆起を呈することが多

い。今回、非典型的な大きな2型食道癌肉腫を経験したので報

告する。【症例】71歳の男性。2013年12月つかえ感あり受診。

EGDにてMtに大きな2型腫瘍を認め、生検:低分化SCC。画像

診断にて MtLt, cT3, cN1, cM0, cStageIII の食道癌と診断。

術前化学療法の方針となり、mTPFL4 療法を 1 コース施行した

が、腎機能低下あり、手術の方針となる。腫瘍は 45mm→40mm

に縮小した。2月に胸腔鏡下食道亜全摘を施行した。【病理結果】

中心部は明瞭な角化を呈する高分化のSCCが中心だが、周堤隆

起では腫瘍細胞が短紡錘形となり核異型が強く、多数の

mitosis も認める。軟骨細胞への分化傾向があるため、食道癌

肉腫と診断。免疫染色検査では紡錘形細胞はvimentinが陽性。

化学療法の組織学的効果判定はGrade1a。MtLt, 70×50mm, CT-2

型, carcinosarcoma, ly1, v1, pN0, fStageII。【術後経過】

術後、せん妄・誤嚥性肺炎を認め入院期間が長くなった。術後

2年8か月再発所見を認めていない。【結語】食道癌肉腫は、扁

平上皮癌成分が多いと通常食道癌と同様の肉眼形態を呈する

ことがある。

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一 般 演 題

- 28 -

29 苛性ソーダ誤飲後の腐食性食道狭窄に発症した食

道癌の一例

国立病院機構函館病院 外科 1),国立病院機構函館病院 消化

器内科 2),国立病院機構函館病院 病理診断科 3)

○城崎 友秀 1),山吹 匠 1),岡村 国茂 1),藤原 晶 1)

高橋 亮 1),小室 一輝 1),岩代 望 1),大原 正範 1)

間部 克裕 2),加藤 元嗣 2),木村 伯子 3)

症例は 74 歳男性. 幼少期に苛性ソーダを誤飲し以降食道狭

窄を認めており, 通過障害を来した際には近医にて内視鏡的

除去を行うというエピソードを繰り返していた. 平成 27年 11

月に同様の症状のため内視鏡検査を施行するもスコープ通過

困難を認め, 平成 28年 3月にバルーン拡張術を施行した. そ

の際に食道穿孔を認め, 今後発症時に内視鏡検査・治療が困難

となったため, 食事摂取継続目的に手術が必要と判断され,

当院に紹介となった. 当院にて施行した上部消化管内視鏡検

査では上部食道に全周性の腫瘤性病変を認め, 生検で扁平上

皮癌の診断となり, 今後の経口摂取継続目的に縦隔鏡下食道

切除・胃管再建を行った. 病理診断は, Squamous cell

carcinoma, pT2(MP)ly0(D2-40), v0(EM), pN0, pPM0, pDM0,

pIM0, pStageⅡであった.

腐食性食道炎に食道癌を併発した報告は稀であり, 若干の

文献的考察を加え報告する.

30 胃癌と胃神経内分泌癌を同時性重複した一例

釧路労災病院 外科

○谷 道夫,小林 清二,千田 圭悟,江本 慎

河合 朋昭,小笠原和宏

症例は 68 歳、男性。かかりつけ医通院中に貧血を認めたため

上部消化管内視鏡検査を施行したところ、穹窿部部噴門部付近

に3型病変と前庭部後壁に2型病変を認めたため加療目的に当

院に紹介となった。多発胃癌の診断で開腹胃全摘術、膵脾合併

切除、D2 郭清を施行した。病理組織学的検査所見で3型腫瘍

はchromogranin A,synaptophysin陽性、MIB -1 index高値で

あり内分泌細胞癌の診断となり、 2型腫瘍は高分化から中分化

型管状腺癌と診断した。術後補助化学療法は検討されたが本人

希望で施行せず経過観察の方針となった。術後5ヶ月後現在再

発なく経過している。胃の内分泌細胞癌はまれであり、同時性

多発胃癌において管状腺癌と内分泌細胞癌との組み合わせは

少ない。今回我々は内分泌細胞癌と管状腺癌の同時性多発胃癌

の症例を経験したので報告する。

31 TS-1/パクリタキセル経静脈投与・腹腔内投与療法

により組織学的CRが得られた胃癌腹膜播種の一

斗南病院 外科

○花城 清俊,森 大樹,佐藤 大介,才川 大介

山本 和幸,芦立 嘉智,鈴木 善法,川田 将也

川原田 陽,北城 秀司,大久保哲之,奥芝 俊一

症例は 79 歳女性.受診1ヵ月前より心窩部違和感と胸やけを

認め近医受診.上部消化管内視鏡検査にて胃に腫瘍認め精査加

療目的に当院紹介となった.当院での内視鏡で胃体中部大彎側

に4型腫瘍認め生検の結果低分化型腺癌(HER2:陰性)であった.

CT 検査にて周囲リンパ節に軽度腫大認め,cT4a,N1,M0

cStageⅢA の診断となった.審査腹腔鏡を施行したところ腹膜

播種陽性であったたね,腹腔ポートを造設し手術終了した.そ

の後 TS-1+ paclitaxel経静脈・腹腔内投与併用療法を 6コー

ス行い PR の診断となった.審査腹腔鏡にて白色結節を迅速病

理検査行い陰性であること確認し,開腹胃全摘術を施行した.

病理検体からは胃もリンパ節も癌細胞は検出されずpCRの診断

となった.腹膜播種陽性胃癌が腹腔内投与併用療法を行い pCR

となった症例は本邦では報告がなく,非常に稀な一例であるた

め文献的考察を加え報告する.

32 当科における高齢者に対する完全腹腔鏡下胃切除

の導入と初期成績

市立旭川病院 外科

○阿部 紘丈,村上 慶洋,宮坂 衛,福永 亮朗

笹村 裕二,武山 聡,沼田 昭彦,子野日政昭

近年低侵襲手術の進歩により安全性が向上したことにより、高

齢者に対しても腹腔鏡下での胃癌根治手術が積極的に行われ

るようになってきた。当科では 2012 年 4月より完全腹腔鏡下

幽門側胃切除(以下TLDG)、完全腹腔鏡下胃全摘術(以下TLTG)

を導入した。2016年8月までに施行された81例の内、75歳以

上の高齢者は22例であった。症例の内訳はTLDGが18例、TLTG

が 4例であった。リンパ節郭清度は TLDGでは D1が 2例、D1+

が 9例、D2が 7例で、TLTGでは D1+、D2それぞれ 2例ずつで

あった。再建方法は TLDGではデルタ吻合による Birloth I法

での再建が 12例、結腸前経路での Roux-en-Y再建が 6例であ

った。TLTGでは結腸前のRoux-en-Y再建で行い、食道空腸吻合

はLinear Staplerでの機能的端々吻合が3例、Overlapでの吻

合が1例であった。今回我々は当科にて施行した高齢者に対す

る本術式の短期成績について検討し、高齢者に対する同術式の

安全性・術後経過について考察し、報告する。

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一 般 演 題

- 29 -

33 保存的に軽快した胃壁内気腫症の1例

社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院

○松下和香子,藤原 康博,鈴木 達也

症例は88歳女性。認知症で施設入所中、夜間に嘔吐、SpO2の

低下を認め救急搬送された。腹部単純写真で胃の拡張像を認

め、CTで胃底部から体中部後壁にかけての壁内ガス、および門

脈内のガス像を認めた。free airは認めなかった。門脈ガス血

症を伴う胃壁内気腫症と診断したが、血液検査上は壊死の所見

に乏しく、また高齢で認知症もあり積極的な手術は困難と判

断、保存的加療の方針とした。経鼻胃管による胃内圧の減圧と、

PPI、抗生剤投与を行い経過観察した。翌日に炎症反応の増大、

発熱を認めたが次第に改善した。上部消化管内視鏡で胃底部に

大網の表出を認め胃穿孔が疑われ、嘔吐による胃内圧上昇で胃

粘膜の裂傷または穿孔を生じ、胃壁内から静脈系を経由して気

腫が広がったと考えられた。胃壁内気腫、門脈ガス血症は消化

管壊死を疑う所見であり緊急手術が必要となることもあるが、

その原因と経過、全身状態により治療法を判断する必要があ

る。

34 当院における胃GIST手術症例の検討

小林病院 外科

○助川 誠,山本 康弘,西越 崇博,木田 裕之

重原 健吾

消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor: GIST)は胃、

小腸、大腸、食道、腸間膜などの腹膜に発生する間質系腫瘍で

ある。原発臓器としては胃が60%~70%と最も多く、初発GIST

に対する治療の第一選択は外科的切除である。平成 19 年から

平成28年まで当院で胃GISTに対する手術症例は8例あり、平

均年齢81.7歳、男:女=3:5、平均腫瘍径は50.9mm(22-100mm)。

平均手術時間は69分であった。Modified-fletcher分類にて、

低リスクが7例、中リスクが1例で再発症例はなかった。開腹

手術、腹腔鏡手術は 4例ずつあり、1例が開腹幽門側胃切除術

を行い、ほか全て胃部分切除術を行っていた。当院における開

腹手術、腹腔鏡手術では手術時間に明らかな差はなく、腹腔鏡

手術の方が出血量が少なく、低侵襲で行えた。噴門に近い腫瘍

では術中 GS を併用することで安全に腹腔鏡下での胃部分切除

を施行でき、腹腔鏡手術は胃 GIST に対して有用な手術であっ

た。今回我々は当院における 8例の胃 GIST手術症例ついて若

干の文献的考察を交えて報告する。

35 Ehlers-Danlos 症候群に発症した胃軸捻転症の1例

JA北海道厚生連帯広厚生病院 外科

○丹羽 弘貴,市之川正臣,山本 博之,和田 秀之

加藤 航平,武藤 潤,吉岡 達也,村川 力彦

松本 譲,大竹 節之,大野 耕一

症例は17歳男性、Ehlers-Danlos症候群・食道裂孔ヘルニア・

脊椎側弯症の診断で当院小児科を定期通院していた。前日から

の腹痛・頻回嘔吐を主訴に小児科を受診し、Xpや CT所見から

胃軸捻転症が疑われ当科コンサルトとなった。胃管による減圧

後の造影 CT で胃壁の明らかな虚血所見を認めなかったものの

捻転整復には至らず、同日審査腹腔鏡を施行した。術中所見か

ら間膜軸性胃軸捻転(短軸捻転)と診断、鏡視下に捻転整復後、

胃の虚血性変化を認めなかったため胃軸捻転再発予防目的に

胃前庭部前壁と腹壁を縫合固定した。術後は良好に経過され術

後7日目に退院、術後3ヶ月現在明らかな再発や症状を認めて

いない。胃軸捻転症の誘因として胃固定靭帯不全や欠如、食道

裂孔ヘルニア、横隔膜弛緩症などが報告されている。本症例で

は胃軸捻転の発症に組織脆弱性を特徴とするEhlers-Danlos症

候群との関連が考えられた。

36 神経線維腫症Ⅰ型に発症した乳癌の2例

北海道大学病院乳腺外科

○笠原 里紗,馬場 基,石田 直子,萩尾加奈子

郭 家志,奈良美也子,押野 智博,山下 啓子

神経線維腫症Ⅰ型 (以下、NF1、レックリングハウゼン病) は

皮膚の神経線維腫やカフェ・オ・レ斑を特徴とする常染色体優

性遺伝性疾患である。【症例 1】30 歳女性。母方祖母乳癌、甲

状腺癌。大叔母乳癌。増大する左乳房腫瘤を主訴に来院した。

蔓状神経線維腫による右難聴、右上縦郭腫瘤あり。左乳癌

T2N0M0, StageⅡA にて Bt+SN を施行した。病理診断は浸潤性

乳管癌; t = 2.8 cm, n 0, グレード2, ER (70%), PgR (10%),

HER2 (1+), Ki67 60.1%であった。術後化学療法、内分泌療法

を施行予定である。【症例 2】47 歳女性。祖父肺癌、祖母膵臓

癌。下垂体腫瘤、左上縦隔腫瘤、甲状腺腫あり。蔓状神経線維

腫による左顔面神経麻痺、子宮筋腫の既往あり。左乳房腫瘤を

自覚していたが、NF1 の皮膚病変と考え放置していた。検診で

腫瘤を指摘され来院。左乳癌T2N1M0, StageⅡB、針生検にて浸

潤性乳管癌; ER (75%), PgR (0%), HER2 (3+), Ki67 27.1%と

診断。術前化学療法 (FEC、ドセタキセル+ハーセプチン) 後、

Bt+Ax を施行した。術後内分泌療法を施行中である。

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一 般 演 題

- 30 -

37 原発副乳癌の1例

旭川医科大学 外科学講座 呼吸器乳腺外科 1),旭川医科大学

皮膚科学講座 2)

○岡崎 智 1),安田 俊輔 1),高橋 奈七 1),石橋 佳 1)

林 諭史 1),北田 正博 1),上原 治朗 2),本間 大 2)

山本 明美 2)

比較的稀な疾患である副乳癌の一例を経験した。症例は 67 歳

女性、左腋窩に5cm大の腫瘤を主訴に近医皮膚科を受診した。

組織診では扁平上皮癌であり、左腋窩有棘細胞癌の診断で当院

皮膚科にて腫瘍切除および腋窩リンパ節郭清(level I、Ⅱ)を

行った。永久標本で副乳癌の診断となり、充実腺管癌、

T2N1(26/29)、GradeⅢ、ki-67 62%, Triple negative type で

あった。術後補助療法として抗癌化学療法(FEC followed by DTX

8コース)および放射線照射を行い、現在は経口抗癌剤内服中で

ある。本病態に関し、文献的考察を加え報告する。

38 妊娠期乳癌 6 例における超音波所見と病理組織所

見の比較検討

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科 1),札幌医科大学

病理診断科・病理部 2)

○島 宏彰 1),九冨 五郎 1),里見 蕗乃 1),前田 豪樹 1)

長谷川 匡 2) ,竹政伊知朗 1)

【緒言】妊娠期ではとくに週末乳管〜小葉単位の増生がおこ

り、背景乳腺は肥厚とともに均質なエコー像を呈し、病変との

境界の判定が困難な場合がある。【症例・方法】2011年 1月か

ら 2014 年 8 月まで当科において妊娠期乳癌手術を施行した 6

例を対象として、背景乳腺と腫瘤・非腫瘤性病変の境界に着目

し、超音波所見と手術病理結果とを比較した。年齢は32-39歳

(平均34.8歳)US時の妊娠週数は 5-34週(平均20週)で、

US施行から手術まで3-12週(平均6週)である。【結果】超音

波診断で背景乳腺は妊娠 5-20週の 4例が斑状・豹紋状で、妊

娠28-34週の2例が均質であった。腫瘤4例のうち、妊娠後期

の症例2例では超音波診断上いずれも境界不明瞭であった。ま

た、非腫瘤性病変の2例は境界の判定が困難であった。【考察】

妊娠週数に伴い腫瘤境界診断が困難になる傾向を示した。ま

た、妊娠期では非腫瘤性病変の広がり診断は困難であった。

39 繰り返す局所再発から遠隔転移を来し、集学的治療

を要した悪性葉状腫瘍の一例

北海道がんセンター 乳腺外科 1),北海道大学病院 乳腺外科 2)

○押野 智博 1, 2),富岡 伸元 1),渡邊 健一 1),佐藤 雅子 1)

山本 貢 1) ,高橋 將人 1)

【背景】乳腺葉状腫瘍はしばしば線維線種との鑑別が困難で、

局所再発も多い。遠隔転移時の化学療法や放射線療法の有効性

は明らかではなく、治療の選択に苦慮する。集学的治療を行な

った悪性葉状腫瘍の一例を報告する。 【症例】初発時 27歳 女

性。1986年 (27歳)、左乳房腫瘤を自覚、1991年に増大認め当

科にて摘出術施行、14cmの巨大線維線腫と診断された。以後 5

回、局所再発のたびに切除を行い、良性、境界病変、悪性葉状

腫瘍へと病理所見の増悪を認めた。2014年 (55歳)、左胸壁に

再発し、胸壁合併切除と胸壁再建術を施行した。2015年 11月、

右肺部分切除術にて葉状腫瘍の肺転移と診断された。以後、左

肺静脈の腫瘍塞栓・右心房・右腓腹筋・手指末端に対する放射

線療法、全身療法としてエリブリン、小腸転移に対し切除術を

施行した。局所療法は奏効したが、2016 年 9 月に呼吸状態の

悪化から腫瘍死した。

40 甲状腺原発悪性リンパ腫の一例

釧路赤十字病院 外科

○藤井 康矢,三栖賢次郎,安孫子剛大,三井 潤

金古 裕之,猪俣 斉,近江 亮

症例:63 歳女性。主訴:自覚症状なし。既往歴:左後腹膜腫

瘍および下腿浮腫にて他院通院中。現病歴:5年前より甲状腺

腫に対して定期的に経過観察中であった。本年の頚部超音波検

査にて甲状腺左葉に低エコー域を認め、増大傾向であった。穿

刺吸引細胞診を施行したところ、CD20(+)、CD3(-)、Bcl-2

(-)でdiffuse large B cell lymphoma疑いであった。CTでは

リンパ節腫大を認めず、他院で経過観察中の左後腹膜腫瘍の所

見のみであった。PET-CTでは甲状腺両葉に集積あり。上下部

消化管内視鏡では腫瘍性病変は見られず。以上の経過より甲状

腺原発悪性リンパ腫と診断し、甲状腺左葉切除術を施行した。

術後経過は良好で、術後第7病日に退院となった。病理検査結

果は follicular lymphomaであった。甲状腺原発悪性リンパ腫

は比較的まれな疾患であり、画像診断上の特徴も含めて考察し

た。

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一 般 演 題

- 31 -

41 肺原発angiofibromaの 1例

旭川医科大学 呼吸器・乳腺疾患センター1),旭川医科大学 手

術部 2)

○安田 俊輔 1),北田 正博 1),林 諭史 1),石橋 佳 1)

岡崎 智 1) ,髙橋 奈七 1),平田 哲 2)

【背景】血管線維腫は良性軟部腫瘍に分類され,肺原発のもの

は1例のみ報告がある.今回,画像上胸壁腫瘍と診断された肺

原発血管線維腫の 1例を報告する.【症例】45歳女性.近医で

左上肺野に結節影を指摘され,胸部 CT で左胸壁から滑らかに

隆起する10×14mmの結節を指摘された.FDG-PETで優位な集積

を認めず, MRI 所見と合わせて胸壁由来の良性腫瘍と診断さ

れ,経過観察となった.2ヶ月間の経過観察で数mmの増大を認

め,切除による確定診断目的に当科紹介となった.完全鏡視下

の観察で胸壁に病変を認めず,肺表面から隆起する表面平滑な

有茎性の灰白色腫瘤を認めた.左上葉部分切除を施行し,術中

組織診で良性紡錘形細胞腫瘍の診断となったため手術終了し

た.永久標本で臓側胸膜より発生した angiofibroma の診断と

なった.【結語】肺原発のangiofibromaの報告は,これまで末

梢気管支上皮に発生した1例のみであり,肺表面からの発生例

としては初の報告となる.若干の考察を加え,報告する.

42 complete VATSで切除した神経鞘腫11例について

の検討

札幌医科大学呼吸器外科

○高橋 有毅,鶴田 航大,多田 周,槙 龍之介

三品泰二郎,宮島 正博,渡辺 敦

【目的】神経鞘腫に対する完全鏡視下胸腔鏡手術(c-VATS:

complete Video Assisted Thoracic Surgery)について、その

成績を後方視的に検討する。【対象と方法】当科で実施された

神経鞘腫に対する c- VATSの症例 11例を対象とした。手術の

安全性に関係する術前因子と術中因子、術後合併症と予後につ

いて検討した。【結果】1例のみ悪性腫瘍で腫瘍の発生場所は後

縦隔5例、上縦隔3例、胸壁2例、肺・横隔膜面・大動脈壁に

多発(悪性)1例で腫瘍発生神経は肋間神経4例、肋間神経or

交感神経幹側枝2例、交感神経幹1例、不明4例であり、腫瘍

径は 10~60 mmであった。手術時間の平均は 94分で、出血量

は少量~250ml、chest tubeは 8例で 1本留置、3例は非留置

であった。手術合併症は術後血胸 1 例(悪性)、硬膜破損・髄

液流出1例、Horner症候群1例であった。予後については不明

2例、再発後死亡 1例(悪性)で、他 8例については無再発で

あった。【結論】良性の神経鞘腫に対して c- VATS は低侵襲か

つ有用な手術法である。

43 胃・胆嚢に転移を認めた転移性肺腺癌の1切除例

小樽市立病院外科

○佐野 修平,渡邉 義人,越前谷勇人,權藤 寛

症例は 80歳男性。30歳時に胃潰瘍に対して幽門側胃切除術施

行。2016年3月に前医にて右肺腺癌(ALK陽性)に対し、右肺

下葉切除術を施行した。同年4月食欲不振を主訴に当院消化器

内科を受診した。上部消化管内視鏡検査にて残胃噴門部に 2cm

大の潰瘍を伴った2型病変を認め、生検にてGroup5(por1)の結

果であった。CT検査では遠隔転移の所見は認めなかった。同年

5 月に手術目的に当科紹介。6 月に残胃全摘出術、胆嚢摘出術

を施行した。術後経過は良好で、術後15日目に退院となった。

病理組織学的検査では、免疫染色の結果から肺癌胃転移および

胆嚢転移と診断された。原発性肺腺癌の胃・胆嚢転移は稀であ

り、文献的考察を加えて報告する。

44 肺腺癌を切除した同一肺葉内に定型カルチノイド

を認めた 1例

独立行政法人 国立病院機構 北海道がんセンター 呼吸器外科

○上田 宣仁,水上 泰,有倉 潤,安達 大史

近藤 啓史

症例は 59歳,女性.子宮頸癌の術後経過観察中,CTで右肺下

葉にすりガラス様陰影を認め,徐々に増大してきたため当院の

呼吸器内科に紹介となった.気管支鏡下の生検を施行されたが

悪性所見は確認できず,診断・治療目的の手術のために当科紹

介となった.すりガラス様陰影の近傍に2年半の経過で増大も

縮小もない小結節を認めていた.すりガラス様陰影の部位を切

除して術中迅速診断に提出したところ,腺癌の診断であったた

め,右下葉切除 ND2a-1 を施行した.近傍に認めていた小結節

は定型カルチノイドの診断であった.切除された肺癌と同一肺

葉内にカルチノイドを認める症例は比較的まれであるので,若

干の文献的考察を加えて報告する.

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一 般 演 題

- 32 -

45 感染性肺嚢胞に対する胸腔鏡下嚢胞内ドレナージ

の経験

製鉄記念室蘭病院 呼吸器外科

○長谷龍之介,千葉 龍一,大高 和人

今回我々は感染性肺嚢胞に対して胸腔鏡下嚢胞内ドレナージ

を行った症例を経験した。症例は 50代男性、COPDと肺嚢胞に

て近医通院中であった。発熱と右胸部痛を認め近医受診し胸部

単純写真で右肺の嚢胞内に液体の貯留を認め、当院呼吸器内科

紹介となった。感染性肺嚢胞の診断で抗生剤の投与と経皮的嚢

胞内ドレーン挿入が行われたが十分にドレナージされず、高熱

が継続していたため当科紹介となった。CTでは両肺に著明な気

腫化と右肺尖の嚢胞内に液体貯留を認め、その周囲に肺炎像も

伴っていた。感染から約1か月経過し胸腔内の癒着が強固であ

ると判断し嚢胞切除ではなく胸腔鏡下嚢胞内ドレナージを行

う方針とした。胸腔鏡下で嚢胞内を観察し、膿汁を吸引の後、

膿壁を可及的に取り除き十分に洗浄した。術後すぐに解熱し再

感染は認めず第19病日に退院となった。手術2か月後のCTで

は感染した肺嚢胞の縮小を認め、現在まで再燃なく経過観察中

である。

46 癌性胸膜炎に対する胸腔ドレナージを契機として

発症した気胸の一例

北見赤十字病院

○青柳 美穂,新関 浩人,羽田 佑真,猪子 和穂

新田 健雄,宮谷内健吾,松永 明宏,山口 晃司

池田 淳一

【はじめに】

大量胸水による長期間の肺虚脱症例では胸腔ドレナージ施行

により再膨張時の胸膜裂傷を認めることがある.今回,多発性

穿孔部を伴った気胸症例を経験した.

【症例】

症例は70歳男性.5ヶ月前より咳嗽,1ヶ月前より胸痛・咳・痰

が出現し,2 週間前に前医受診した.X-p より大量胸水を認め悪

性中皮腫の可能性を考え,当院内科に紹介.ドレナージ施行後,

気胸を発症.気瘻が続いたため手術施行.術中シーリングテス

トにて多数箇所の胸膜損傷を認めた.リーク部はタコシール+

ネオベルシート+自己血で補強した.術後 3 日目にドレーン抜

去,5日目に再燃.14日目に再手術し,肺尖にリークを 1か所認

め,タコシールを貼付し修復.再手術後2日目にドレーン抜去.4

日目に退院となった.

【考察】

今回の気胸はドレナージ後の肺の再膨張時に臓側胸膜が多発

的に裂けたものと考えた.癌性胸膜炎に伴う気胸でも積極的に

手術を行い,次の治療に備える意義はあると考える.

47 肺非定型抗酸菌症の治療中に肺アスペルギローマ

を併発し手術を行った一例

手稲渓仁会病院外科 1),苫小牧王子総合病院外科 2),北海道医療

センター呼吸器外科 3)

○三輪 晃士 1),松波 己 1),樫村 暢一 1),成田 吉明 1)

中村 文隆 1),安保 義恭 1),加藤 弘明 1),木ノ下義宏 1)

高田 実 1),田本 英司 1),阿部 大 1),田畑佑希子 1)

今村 清隆 1),寺村 紘一 1),武内慎太郎 1),水沼 謙一 1)

伊橋 卓文 1),横山新一郎 1),篠原 良仁 1),西 智史 1)

渡辺 幹夫 2), 大坂 喜彦 3)

症例は66歳、男性。2013年11月より非定型抗酸菌症にて当院

呼吸器科で通院治療を受けていたが自己中断。2014年5月、右

肺上葉に空洞性病変を指摘、非定型抗酸菌症( M.

intracellulare)の悪化と二次性の肺炎を合併し治療を再開さ

れた。2015年4月、右肺上葉の空洞性病変に菌球形成を認め、

喀痰細胞診でAspergillus fumigatusが同定された。抗真菌薬

による治療に抵抗性で全身状態も悪化、肺アスペルギルス症に

対する外科的治療が必要と判断し、2015年7月、空洞開窓術を

施行した。術後、全身状態の改善がみられ、9 か月後の 2016

年4月、胸郭形成および広背筋弁充填術を行った。術後経過は

良好で非定型抗酸菌症に対する治療を継続しながら経過観察

中である。

肺非定型抗酸菌症の空洞形成にアスペルギローマが形成され、

空洞開窓に続き胸郭形成を行い、治癒し得た症例を経験したの

で報告する。

48 縦隔異所性副甲状腺腺腫の 1 例

王子総合病院 外科・呼吸器外科

○野村 俊介,渡邊 幹夫,真木 健裕,鯉沼 潤吉

松井 あや,狭間 一明,岩井 和浩

【はじめに】縦隔異所性副甲状腺腺腫は副甲状腺機能亢進症状

で発見される事が多い稀な疾患である。【症例】44 歳、女性。

高血圧にて近医通院中、高 Ca 血症を指摘され当院循環器内科

紹介受診。血清 Ca値および intact-PTH値の上昇を認め、1次

性の副甲状腺機能亢進症を疑われ耳鼻科紹介受診。胸部 CT で

前縦隔に 24mm大の腫瘤を、99mTc-MIBI副甲状腺シンチグラム

検査で RI 異常集積像を認め、縦隔異所性副甲状腺腫と診断さ

れ手術目的に当科紹介受診。胸腔鏡下縦隔腫瘍摘出術を施行し

た。分離肺換気、左側臥位、1window2portで手術を開始。腫瘍

は前縦隔上大静脈前方に存在し、小指頭大で周囲胸腺に埋没し

ており胸腺の一部と合併切除した。迅速病理診断結果は副甲状

腺腺種であった。術後経過は良好であり、術後3日目で血清Ca

値および intact-PTH 値の速やかな低下を認めた。その後再燃

徴候無く、当科終診となった。【結語】縦隔異所性副甲状腺腺

腫に対する手術例を経験したので報告する。

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一 般 演 題

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49 原発不明後腹膜腫瘍に対し開腹生検を行い確定診

断に至ったセミノーマの1例

帯広協会病院

○高橋 徹,加藤 拓也,水上 達三,大畑多嘉宣

橋本 卓,阿部 厚憲

(はじめに) 後腹膜腫瘍は生検以外で確定診断を得る事が難し

く, 組織型により治療方針は異なる. 今回, 原発不明後腹膜

腫瘍に対し開腹生検にてセミノーマと診断できた症例を経験

した. (症例)47歳, 男性. 左側腹部痛を主訴に救急搬送され

受診. 腹部 CTにて膵下縁背側から造影効果のない 9cmの腫瘍

を認め大動脈は腫瘍を貫通, 下大静脈内には腫瘍栓も認めた.

上部内視鏡検査で十二指腸水平脚に潰瘍性病変を認め生検し

低分化型腺癌が疑われた. しかしながら免疫染色にて上皮性

マーカーは全て陰性, c-kit のみ陽性で検体不足から原発の診

断確定に至らなかった. 開腹腫瘍生検にて最終診断はセミノ

ーマとなった. 現在, 胚細胞腫瘍の国際的リスク分類に準じ

て化学療法施行中である.(考察)後腹膜原発セミノーマは全

セミノーマの 2%であり, 化学療法が治療の第1選択となる.

原発不明後腹膜腫瘍では診断, 治療方針決定のために開腹生

検が有用と考えられた.

50 血管外科と合同で切除し得た巨大後腹膜脂肪肉腫

の1例

旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科学分野 1),旭川医科

大学 外科学講座循環・呼吸・腫瘍病態外科学分野 2)

○森山 寛也 1),田中茉里子 1),萩原 正弘 1),今井 浩二 1)

菊池 信介 2),古屋 敦宏 2),松野 直徒 1),東 信良 2)

古川 博之 1)

症例は68歳、女性。増悪する腹部膨満感を主訴に前医を受診。

腹部 CT で巨大な後腹膜腫瘍を指摘され、生検にて脂肪肉腫の

診断となり当院紹介となった。精査にて腫瘍は、右腎臓、腹部

大動脈、膵頭部、十二指腸へ浸潤しており、血管外科と相談の

上、外科的切除の方針となった。術中所見で、腫瘍は腹部大動

脈、膵頭部・十二指腸に浸潤しており、腋窩-大腿動脈、大腿-

大腿動脈バイパスを行ったうえで、腹部大動脈、下大静脈を切

除し、後腹膜腫瘍切除、右腎切除、幽門輪温存膵頭十二指腸切

除を施行した。出血量4811ml、手術時間19時間22分、摘出標

本は最大径 33cmで、重さは約 5kg であった。病理検査結果で

腫瘍は脱分化型脂肪肉腫で断端はmarginal marginであった。

術後、下腿浮腫および胸腹水を生じたが、自然軽快し術後 38

日目に自宅退院となった。術後1年3ヶ月無再発生存中である。

血管外科との合同手術にて切除し得た、大血管、周囲臓器に浸

潤する巨大後腹膜脂肪肉腫を経験したので文献的考察を加え

て検討する。

51 大網原発の高分化型脂肪肉腫の一例

JCHO 札幌北辰病院 外科 1),JCHO 札幌北辰病院 病理診断科 2)

○藤居 勇貴 1),蔵谷 勇樹 1),下國 達志 1),中川 隆公 1)

中西 勝也 2),佐々木文章 1)

【はじめに】脂肪肉腫は大腿、臀部、後腹膜に発生することが

多く、大網原発のものは極めて稀である。 【症例】83歳男性。

来院 6 日前より発熱、腹部違和感を生じたため来院。造影 CT

検査にて、右腹側に脂肪濃度を呈する 10cm 大の腫瘤性病変、

および周囲脂肪濃度の上昇を認めた。大網原発脂肪肉腫や大網

捻転の可能性が考えられ、手術の方針となった。手術は大網腫

瘍摘出、腹壁・回盲部合併切除術を行った。術後は創離開を生

じたが保存的治療に改善した。病理所見は大網原発の高分化型

脂肪肉腫であった。 【考察】脂肪肉腫は高分化型、粘液型、

円形細胞型、多形型、脱分化型に分けられ、高分化型は比較的

予後が良いとされる。しかし、腹腔内発症の脂肪肉腫は、腫瘍

の完全切除が難しい、十分量の放射線照射ができないなどの理

由により、他部位発症のものより予後不良である。術後も慎重

な経過観察が必要であると考える。

52 結核性腸腰筋膿瘍に対して腹腔鏡下に診断・ドレナ

ージを施行した1例

国立病院機構 北海道医療センター 外科 1),国立病院機構 北

海道医療センター 呼吸器外科 2),北海道大学病院病理部 3)

○小塚 陽介 1),高橋 宏明 1),植村 一仁 1),三野 和宏 1)

太田 拓児 1),志智 俊介 1),大坂 喜彦 2),本間 直健 2)

畑中佳奈子 3)

【導入】 結核性腸腰筋膿瘍は非常に稀な疾患であり、多くは脊椎カリ

エスに続発して発症し、原発性の報告は少ない。今回我々は、腫瘍と鑑

別を要した原発性の結核性腸腰筋膿瘍に対して腹腔鏡下に診断・ドレナ

ージを施行した症例を経験したので報告する。

【症例】 症例は74歳女性、主訴は右腋窩腫瘤。2013年より肺結核の

治療を行っており、外来で経過観察されていた。2015年に右腋窩腫瘤を

自覚し当院受診、CTで右腋窩・大動脈周囲等のリンパ節腫大、脾臓内に

多数の低吸収域、右腸腰筋に65×55mm の低吸収域を認めた。右腋窩腫

瘤に対しては生検を行い結核性リンパ節炎と診断された。右腸腰筋腫瘤

の精査目的に外科入院となった。右下腹部に圧痛はなく、採血では軽度

の炎症反応上昇を認めた。MRI では脊椎カリエスを疑う所見なし。

FDG-PETでは頸部・腋窩など多数のリンパ節、脾臓、右腸腰筋に集積を

認めた。臨床経過と画像所見からは結核性腸腰筋膿瘍を第一に疑った

が、腫瘍性病変も否定できず手術方針とした。腹腔鏡で観察したところ、

右腸腰筋に卵形大の表面白色腫瘤を認め、穿刺を行うと白色粘稠の液体

が貯留していた。膿瘍壁の術中迅速病理診断では悪性所見を認めず腸腰

筋膿瘍と診断、膿瘍腔の開放・ドレナージを行った。膿瘍壁の病理組織

所見では乾酪壊死を伴う類上皮肉芽腫を認めた。膿瘍の抗酸菌塗抹結果

はガフキー0号で、一般細菌検査で結核菌は同定されなかったが、Tb-PCR

は陽性であり、結核性腸腰筋膿瘍と診断した。その後経過は良好であり、

術後16日目に退院となった。

【結語】 原発性の結核性腸腰筋膿瘍に対して腹腔鏡下に診断・治療を

行い、良好な経過で退院した症例を経験したので、文献的考察を加えて

報告する。

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一 般 演 題

- 34 -

53 当院におけるNPWT症例の検討

JR札幌病院

○太田 盛道,内山 素伸,田山 慶子,川崎 浩之

鶴間 哲弘,平田 公一

NPWT は,1997年に Morykwas, Argentaらによって提唱され

た治療法であり、感染した創傷や褥瘡に対して創部に持続陰圧

をかけることで、ドレナージと同時に肉芽形成を促す治療法で

ある。主に形成外科領域で普及していたが,2010年より保険収

載され、消化器外科領域でも腹部感染創や移開創に対しての使

用例が報告されている。

当院で 2013年 5月から 2016年 10月までに消化器領域の術後

にNPWTを施行した22例の検討を行った。

症例は 53-101歳(中央値 74歳)、術後 NPWT開始までの期間は

7-41日(中央値18日)であり、NPWT施行期間は7-36日(中央

値 21日)であった。治癒法は遅延 1次縫合が7例、2次治癒が

15例と2次治癒が多数であった。術後在院期間は20-120日(中

央値46日)と長期間にわたる症例が多い結果となった。これま

で施行した症例の経過や問題点について詳細を検討し、報告す

る。

54 腹膜透析の既往のない被嚢性腹膜硬化症の1例

旭川厚生病院 外科

○近藤 享史,柳田 尚之,合地美香子,大平 将史

山田 健司,舩越 徹,芝木泰一郎,池上 淳

稲垣 光裕,赤羽 弘充,中野 詩郎

症例は 50代男性。主訴は嘔吐。来院 3か月前に腸閉塞で保存

的加療された。来院1か月前に再度腸閉塞で保存的加療された

が、改善なく当科紹介となった。身体所見上、下腹部に腫瘤様

腸管を触知した。CTでは小腸拡張は認めず、胃から十二指腸水

平脚の拡張を認めた。審査腹腔鏡施行したところ、小腸は白色

肥厚した被膜に被包化されていた。被嚢性腹膜硬化症を疑い、

開腹移行し、被膜の全切除と、胃瘻造設、イレウス管の挿入を

行った。病理検査では、被膜は層状線維増生と肥厚、炎症細胞

反応、反応性中皮増生、小血管増生を伴い、被嚢性腹膜硬化症

に矛盾しなかった。術後通過障害を呈したが、ステロイドパル

ス、ステロイドの維持投与で徐々に改善し、少量の経口摂取が

可能となった。被嚢性腹膜硬化症は、腹膜透析合併症として生

じるとの報告が多いが、今回我々は、腹膜透析の既往のない被

嚢性腹膜硬化症の1例を経験したので、若干の文献的考察を加

えて報告する。

55 腹腔鏡を併用して摘出した腹膜前腔異物の一例

日鋼記念病院

○吉田 祐一,旭 火華,奥村 一慶,喜納 政哉

高田 譲二,益子 博幸

症例は 50歳,男性.2016年 7月草刈り作業中に,異物が飛散

して受傷.左側腹部に刺創を認めたが放置していた.8 月に近

医整形外科を受診した際,レントゲンにて左側腹部に金属片を

指摘され当科を受診した.来院時,左側腹部に1cm大の刺創を

認めたが,感染兆候はなく体表より左腸骨内側に異物を触知し

た.腹部 CTでは異物は内腹斜筋から S状結腸外側を通り,腸

骨筋に達していた.腹腔内への貫通の有無を評価するため,腹

腔鏡での観察を行う方針とし,9月に手術を施行した.腹腔内

を観察すると,S 状結腸外側に異物の先端を認め,結腸垂によ

り被覆されていた.腸管の損傷は認めなかった.左側腹部の刺

創を切開して異物を除去した.異物は 5cm大で草刈機の一部と

推定された.術後経過は良好で,術後5日目に退院した.異物

の腹腔内への貫通の有無の評価が困難な場合に,腹腔鏡を併用

することで,不必要な開腹をすることなく安全に手術を施行で

きた.

56 輪ゴム緊縛で足趾壊死となった糖尿病合併PAD症

例に対する治療経験

医療法人元生会 森山病院 血管外科

○稲葉 雅史

症例は78歳、 男性。糖尿病のため近医で投薬を受けており、

糖尿病網膜症で視力低下、高血圧、腎機能障害を合併していた。

現病歴 特別な誘因なく第一足趾爪周囲炎により同部の排膿、

血液流出を認めていた。しかし、神経障害合併のため痛みは軽

度であった。創部浸出液を抑えるために自分で輪ゴムを用いて

被覆材の固定により足趾緊縛となった。これにより足趾壊死と

なっていることを家族が発見し、他院受診し、切断目的で当院

整形外科紹介となった。

現症 第一足趾爪は爪床から剥離しており、感染を伴ってい

た。また、第一足趾DIP関節より末梢側皮膚が全周性に壊死と

なっていた。

手術 血管造影にて足関節部に限局した下腿動脈狭窄病変が

存在した。可及的低侵襲治療による第一足趾切断回避を目的と

して自家静脈によるshort dual bypassと壊死部切除を施行し

た。

結果 MRSA 趾骨関節炎の合併も認めたが局所療法継続により

救趾が達成され歩行、QOLの改善を得た。

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一 般 演 題

- 35 -

57 Budd Chiari 症候群による肝部下大静脈狭窄に対

する血管内治療の経験

製鉄記念室蘭病院 心臓血管外科

○菊池 悠太,赤坂 伸之,大谷 則史

今回我々は Budd Chiari 症候群(BCS)による肝部下大静脈狭

窄が原因の下肢浮腫・倦怠感に対して肝部下大静脈にステント

留置を行い、症状軽減を得たので報告する。

<症例>

78歳、女性。

<現病歴>

4,5 年前より体重増加、両下肢浮腫を自覚。最近になり症状増

悪を認めたため、当科受診、精査の方針となる。

静脈エコーで下大静脈の拡張所見を認め、CT・MRI では肝部下

大静脈に膜様低信号が認められた。BCS の疑いで静脈造影、高

度狭窄が認められた場合はステント留置を行う方針となる。

<静脈造影、ステント留置>

両大腿静脈からアプローチし、血管内超音波プローブを挿入

し、約6cmに及ぶ肝部下大静脈の偏平化を認め、ステント留置

を実施した。

<経過>

ステント留置1週間後の診察では体重減少、両下肢浮腫の改善

を認めた。

<結語>

慢性型の肝部下大静脈閉塞が 90%弱を占める BCSにおいて低侵

襲であるステント留置は血流、症状改善を望め、大変有効な治

療であると考え、今回報告とする。

58 エコーガイド下腋窩静脈穿刺法の定型化に向けた

取り組み

愛育病院 1),帯広厚生病院 2)

○中島誠一郎 1),鈴木 温 1),松本 譲 2)

【背景】リアルタイムエコーガイド下腋窩静脈穿刺法(以下腋

窩穿刺法)は,気胸,動脈穿刺,ピンチオフの合併症を生じに

くいという報告が,近年散見される.【目的】確実かつ安全な

腋窩穿刺法を検討する.【対象と方法】2016年 7月から 9月に

腋窩穿刺法を施行した 50 例.検討項目として,挿入時の合併

症,プローブを当ててから静脈にガイドワイヤーを挿入し終え

るまでの時間(以下アプローチ時間)の測定を行い,以下の手

順を遵守した.【穿刺法手順】①プレスキャン,体位確保の実

践とマーキング,②肋骨・肋間・腋窩動静脈の明確な同定,③

長軸方向での腋窩静脈描出,④穿刺針先端が血管腔内に平行に

なる穿刺角度の設定,⑤針先端と目標血管の確実な描出.【結

果】全症例において気胸・血胸,動脈穿刺等の合併症なく完遂

し得た.またアプローチ時間の中央値は5分17秒であった.【ま

とめ】腋窩穿刺法は,上記の手順を遵守することで,確実かつ

安全に施行し得る.

59 橈骨皮静脈カットダウン法による安全・簡単な中心

静脈ポート留置術

札幌道都病院 外科

○西森 英史,三浦 秀元,平間 知美,鬼原 史

八十島孝博,岡田 邦明,矢嶋 知己,秦 史壯

【はじめに】中心静脈ポートの最も一般的な留置法は、右鎖骨

下静脈穿刺による前胸部留置であるが、超音波ガイド下穿刺の

普及により合併症発生率は減少したものの気胸や動脈穿刺の

可能性はゼロではない。またピンチオフによるカテーテル閉塞

や断裂等の重篤な合併症も報告されている。これらの合併症を

ゼロとすべく当院で施行しているカットダウン法の臨床成績

を報告する。【結果】対象は2016年6月まで演者一人で施行し

た623症例のうち、橈骨皮静脈欠損例37例を除いた586症例、

計 598回。成功率は 90.1%(539/598 回)であり、不成功例は

従来法(鎖骨下あるいは内頚静脈穿刺)に変更し全例留置可能

であった。手術時間は平均16.6分。留置に伴う合併症を0.84%

(5/598例)に認めた(皮下血腫:3例、出血:1例、位置異常:

1例)。気胸、動脈穿刺、ピンチオフは 1例も経験していない。

【まとめ】本法は安全かつ短時間で施行可能であり、ポート留

置の第一選択と考える。

60 一次性大動脈十二指腸瘻に対し

EVAR(Endovascular Aortic Repair:腹部大動脈瘤

ステントグラフト内挿術)施行後に十二指腸瘻閉鎖

術を施行した一例

手稲渓仁会病院 外科 1),手稲渓仁会病院 心臓血管外科 2)

○西 智史 1),寺村 紘一 1),関谷 翔 1),谷口 大介 1)

篠原 良仁 1),伊橋 卓文 1),横山新一郎 1),水沼 健一 1)

武内慎太郎 1),今村 清隆 1),渡辺 祐一 1),高田 実 1)

田本 英司 1),安保 義恭 1),中村 文隆 1),樫村 暢一 1)

丸山 隆史 2),氏平 功祐 2),栗本 義彦 2)

症例は 73 歳男性.自宅で吐血をして倒れているところを発見

されて当院救急搬送.病院到着時JCS-300でショックバイタル

であった.緊急上部内視鏡検査で十二指腸水平脚に拍動性の出

血を認めたが止血困難であった.腹部 CT を施行したところ腹

部大動脈瘤を認め、大動脈瘤十二指腸瘻と診断した.同日心臓

血管外科で EVAR を施行,腎動脈直下から両側総腸骨動脈まで

ステントグラフトを留置した.ICU で血行動態の安定を確認し

第2病日に開腹手術の方針とした.術中所見は,瘤壁を切開し

瘤内血栓を除去すると瘤内に2mm大の十二指腸瘻を認め、単純

縫合閉鎖した.瘤内に大網を充填し手術を終了した.術後経過

は良好で第8病日に一般病棟へ転棟し,術後1ヶ月の現在,抗

菌薬加療を継続している.一次性大動脈十二指腸瘻は稀な病態

である.今回,EVARと待機的根治術で救命し得た症例を経験し

たので文献的考察を含めて報告する.(371)

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一 般 演 題

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61 腹腔鏡下幽門側胃切除後に良性胆管狭窄を生じた1

北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野II

○鈴木 友啓,野路 武寛,齋藤 博紀,田中 公貴

中西 喜嗣,浅野 賢道,中村 透,土川 貴裕

岡村 圭祐,平野 聡

症例は 62 歳の男性.胃癌に対して腹腔鏡下幽門側胃切除術,

R-Y 再建を施行した.この際,十二指腸断端はモノフィラメン

ト縫合糸(プロリーン®)3針を用いて漿膜筋層縫合を追加した.

術後 2年目の CT検査にて肝内胆管拡張と肝門部領域胆管の腫

瘍性病変を指摘された.胆道造影にて三管合流部から肝門側に

胆管陰影欠損を認め,同部位からの生検ではわずかな異型細胞

塊を認め,腺癌も否定できない像を呈していた.このため遠位

胆管癌疑いと診断し,膵頭十二指腸切除,肝門部胆管切除を施

行した.切除標本では三管合流部から肝門側の胆管に狭窄像を

認め,同部位でプロリーン®が 1本,胆管内腔に向かい 1㎝程

突出している所見を認めた.病理組織検査では左肝管に上皮内

癌を認めたが,狭窄部では線維性壁肥厚と炎症細胞浸潤を認め

るのみで,悪性所見を認めなかった.本例は胃切除の際の十二

指腸断端縫合糸が胆管に貫通したことにより良性胆管狭窄を

来したと推察された.

62 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した小児胆嚢捻転症の1

KKR札幌医療センター

○大渕 佳祐,武田 圭佐,槙 龍之輔,村田 竜平

財津 雅昭,桑原 博昭,今 裕史,田村 元

小池 雅彦

【緒言】小児の胆嚢捻転症は極めて稀だが,急性腹症の鑑別と

して重要である.【症例】生来健康な11歳女児.前日からの発

熱,右季肋部痛,胆汁様嘔吐を主訴に,当院小児科受診した.

右季肋部に圧痛を伴う3cm大の腫瘤を触知し,血液検査初見で

WBC の増加を認め,急性腸炎の診断で入院した.入院翌日も腹

痛増強し,CT及びMRCPで胆嚢腫大並びに胆嚢管の途絶を認め,

胆石は描出されなかった.急性胆嚢炎の疑いで当科紹介とな

り,同日緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中所見で胆

嚢全体が黒く変色し,肝床部と胆嚢管のみが付着して(GrossⅡ

型),胆嚢管が反時計方向に 360°回転しており(完全型;

>180°),胆嚢捻転症と診断した.術後経過は良好で術後 4 日

目に退院した.【まとめ】小児における無石性胆嚢炎を疑った

場合,鑑別として本疾患を念頭に置く必要がある.

63 腹腔鏡下胆嚢摘出術における開腹移行症例の検討

函館協会病院 外科

○村上 武志,向谷 充宏,澤田 健,久木田和晴

腹腔鏡下胆嚢摘出術は良性胆嚢疾患における標準術式とされ、

急性胆嚢炎症例においても早期の腹腔鏡手術が推奨されてい

る。当科でも開腹既往、高度炎症例を含め、腹腔鏡手術を第 1

選択としている。困難症例においては、合併症を防ぐためにも

開腹移行への判断は重要であり、術前に開腹移行への予測因子

を把握しておくことが、術式選択、開腹移行を決断するうえで

必要であると考えられる。

2007年1月から2016年10月の期間で腹腔鏡下胆嚢摘出術を施

行した214例を対象に、腹腔鏡下完遂群201例と開腹移行群13

例に関する臨床経過の比較および、開腹移行の術前予測因子に

関して検討したので報告する。

64 急性胆嚢炎を合併した胆嚢異所性膵の1例

旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科学分野 1),旭川医科

大学病院 病理部 2)

○山本 寛大 1),長谷川公治 1),庄中 達也 1),大谷 将秀 1)

大原みずほ 1),谷 誓良 1),宮本 正之 1),浅井 慶子 1)

今井 浩二 1),古川 博之 1),武井 英博 2),三代川斉之 2)

症例は 65 歳男性。悪心、嘔吐、腹痛を主訴に近医を受診し、

急性胆嚢炎の診断で入院となった。絶食、抗菌薬投与等による

保存的治療を8日間施行したが軽快しないため当院へ転院とな

り、経皮経肝胆囊ドレナージを施行し胆嚢炎は軽快した。その

後の精査で胆嚢内および総胆管に結石を認め、内視鏡的乳頭括

約筋切開、総胆管切石術を施行した後、待機的に腹腔鏡下胆嚢

摘出術を施行した。術中所見では胆嚢周囲の炎症が高度で周囲

組織との癒着を認めたが、術後経過は問題なく第4病日に退院

となった。病理組織学的診断は慢性出血性胆嚢炎であったが、

漿膜下層内に6mm大の白色結節があり、病理組織学的に膵組織

腺房と導管を認め、胆嚢異所性膵と診断された。異所性膵の中

で胆嚢に発生するものは稀であり、文献的には約 1.3%と報告

されている。今回我々は胆嚢異所性膵を経験したので文献的考

案も含め報告する。

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65 門脈合併切除を伴う膵全摘術により切除しえた巨

大膵神経内分泌癌(Neuroendocrine carcinoma:

NEC)の 1例

苫小牧市立病院 外科・内視鏡外科 1),北海道大学 大学院医

学研究科消化器外科学分野I2)

○小林 展大 1),藏谷 大輔 1),花本 尊之 1),神山 俊哉 2)

広瀬 邦弘 1),佐治 裕 1),松岡 伸一 1)

【症例】59歳、男性。2年前から糖尿病で内服加療中。検診で

膵腫瘍を指摘され当院受診。CTで15cm×8cm大の腫瘍がほぼ膵

全体を占拠しており、腫瘍内部は縞状に高吸収域と低吸収域が

混在していた。EUS-FNAで膵 NECと診断。膵全摘術+門脈合併

切除を施行した。手術時間は8時間02分、出血量3,272ml。切

除標本の病理組織検査は膵 NEC(large cell type)、T3N0M0

pStage IIIの診断で、断端陰性であった。補助化学療法として

CPT11+CDDP療法を施行中であり、術後 3か月時点で無再発生

存中である。【考察】膵神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor:

NET)のうち、核分裂像>20/10HPFまたはKi67指数>20%のものが

NEC に分類される。NECは NETと比較して極めて予後が不良だ

が、外科的切除による長期生存例の報告が散見される。切除可

能であれば手術を含めた集学的治療が考慮される。今回、膵全

摘術により切除しえた膵NECの1例を経験したので文献的考察

を加えて報告する。

66 局所進行から当初切除不能膵癌と診断されたが、根

治切除に至った conversion症例の特徴

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座

○山口 洋志,木村 康利,今村 将史,永山 稔

河野 剛,水口 徹,竹政伊知朗

目的:局所進行切除不能膵癌に対する集学的治療の中で、

conversion手術(CS)の意義は確立しておらず、当科で経験した

CS例について検討した。

対象と方法:当院における膵癌データベースに、2016年8月ま

でに登録された540例を後方視的に検索し、遠隔転移を伴わな

い局所進行切除不能膵癌(UR-LA)症例を抽出した。

結果:UR-LA膵癌として100例が抽出された。CSは3次治療以

降に 12例に行われていた。CS12例に関して治療開始から手術

までの期間は平均443.9日で、全例術前に遠隔転移を認めなか

った。術式は PDs/DPs/TPが 5/6/1 例で、門脈あるいは動脈の

合併切除が計 8例に施行され、全例 R0切除が達成された。治

療開始からのOSは CS例がMST975.5日、非手術症例がMST467

日とCS例が有意に良好であった。

結語:UR-LA膵癌の中には、CSを含む集学的治療により良好な

予後を示す症例が含まれる可能性が示唆された。

67 下大静脈へのステントグラフト留置と緊急膵頭十

二指腸切除により救命し得た腹部刺傷の一例

市立函館病院 消化器外科1),市立函館病院 乳腺外科2),市立函

館病院 院長 3)

○植木 伸也 1),中西 一彰 1),砂原 正男 1),加藤 絋一 1)

長瀬 勇人 1),佐藤 利行 1),笠島 浩行 1),久留島徹大 1)

鈴木 伸作 2),木村 純 3)

症例は 48 歳男性。うつ病で前医通院中、包丁で自らの腹部を

刺し救急搬送された。血圧74/49 mmHg、腹部は緊満しており、

右上腹部に約 5㎝の刺創を認めた。腹部造影 CTで腹腔内及び

後腹膜腔に多量の血腫、膵頭部中央の損傷と下大静脈からの造

影剤の漏出を認めた。救急科で大動脈閉塞バルーンカテーテル

による遮断と輸血が行われ、心臓血管外科により透視下で下大

静脈損傷部にステントグラフトが挿入された後、当科で緊急亜

全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した。手術時間は 6 時間 59

分、出血量は腹腔内貯留分を含めて 1000 mlであった。術後軽

度の膵液漏を認めたが、15POD で前医に転院し、精神科ケアと

同時に膵空腸吻合部ドレーンの管理の後、退院となった。その

後ステントトラブル等なく通院中である。このような複合的か

つ重度な損傷に対しては各科の連携が重要であるのはもちろ

んのこと、全体のダメージを許容範囲内に収める工夫が必要で

あると考えられる。

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日本臨床外科学会北海道支部会則

第1条(目的) 本会は北海道臨床外科学の進歩発展を図ることを主旨とし、かねて医道精神の高揚、学権の確保、学務の改善ならびに医事衛生の研究に努め、もって会員相互の団結を期することを目的とする。

第2条(名称) 本会は日本臨床外科学会北海道支部と称し事務局を札幌市中央区南1条西16丁目 札幌医科大学消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座教室内におく。

第3条(会員) 会員は、外科医ならびに本会の目的に賛同する医師とする。

第4条(入会) 入会を希望する者は、所定の入会申込書に氏名、現住所、勤務先等を記入のうえ本会事務局に申込むものとする。

第5条(異動、退会) 前条申込書記載事項に変更のあったとき、または退会を希望するものは、その旨を速かに届けるものとする。

第6条(役員) (1) 本会に次の役員をおき、任期をそれぞれ 5 年とし、再任を妨げない。ただし、欠員 により補充された役員の任期は前任者

の残任期間とする。 支 部 長 1 名 監 事 2 名 世 話 人 若干名 幹 事 若干名 評 議 員 若干名 (2) 世話人は支部長の指名によって定められ会務を分掌する。 (3) 支部長は、会員多数の推薦によって定められ会務を統轄する。 (4) 幹事は支部長の指名によって定められ会務を分掌する。ただし第8条第3号による主催者の申出により支部長は臨時の若

干名の幹事を指名することができる。 (5) 評議員は外科臨床経験のある会員の中から評議員の推薦を受け、幹事会および評議員会の議を経て支部長がこれを委

嘱し、本会の重要な事項を議するものとする。 (6) 評議員は評議員会を連続 6 回欠席した場合その職を失う。 (7) 評議員は評議員会を欠席するにあたり特別な理由がある場合は支部長に前もって申し入れ、その理由が幹事会評議員会

で認められた場合は出席扱いとする。 (8) 評議員は 5 年以上の会員歴を要し、会費滞納のないものとする。

第7条(名誉支部長、名誉会員、特別会員および顧問) (1) 会員多数の推薦により本会に名誉支部長、名誉会員、特別会員および顧問をおくことができる。 (2) 名誉支部長、名誉会員、特別会員および顧問は評議員会の議を経て支部長が委嘱する。 (3) 年会費は免除される。

第8条(集会) 本会は集会を開催するものとし、その方法は次のとおりとする。 (1) 集会は毎年2回とし、研究の発表が行なわれる。ただし、うち1回を総会とし役員の改選、会計および事業の報告もする。 (2) 演説の内容は臨床材料を基本とする。ただし、演題の取捨、選択、内容の整理は支部長に一任する。 (3) 集会の開催地およびその主催者は前回の総会において定める。 (4) 集会の期日および日数は、主催者の申出により支部長が定める。 (5) 集会において演説するものが、非会員であっても、支部長の承認があるときは演説できる。 (6) 総会の会長は評議員から選出され、例会の会長は支部長と隔年毎に世話人から選出される。

第9条(会費) 本会の経費は、会費および寄付金をもってあてる。 (1) 本会会員は年会費として 3,000円を納めるものとし、中途退会しても既納の会費を返付しない。 (2) 会費を2年以上滞納した場合は、会員の資格を失うことがある。 (3) 本会の会計年度(事業年度)は4月1日から翌年3月31日までとする。

第10条(議決機関) 評議員会を最高議決機関とする。会員は評議員会に出席して意見を述べることができる。

第11条(会則変更) 本会会則は評議員会の議を経て変更することができる。

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細 則 第1項 名誉支部長は支部長を退役したものとする。 第2項 名誉会員は会長を務めた人および本学会に特に貢献した人とし、満66歳に達した者で、その後に到来する事業年度の

総会時に推挙される。 第3項 特別会員は満66歳に達した者でかつ評議員を25年以上勤めた人およびこれに準ずる功績のあった者で、その後に到

来する事業年度の総会時に推挙される。 第4項 評議員は再任を妨げないが、満66歳に達した者は、その後に到来する事業年度の総会時でその資格を失う。

附 則

第1項 この会則は昭和59年 6月23日から施行する。 第2項 この会則は平成 8年 7月 6日から施行する。 第3項 この会則は平成10年 7月 4日から施行する。 第4項 この会則は平成10年 7月 4日から施行する。 第5項 この会則は平成13年 4月 1日から施行する。 第6項 この会則は平成16年 7月11日から施行する。 第7項 この会則は平成23年 7月 2日から施行する。 第8項 この会則は平成23年12月10日から施行する。 第9項 この会則は平成26年11月29日から施行する。 第10項 この会則は平成27年 7月11日から施行する。 第11項 この会則は平成27年12月 5日から施行する。

日本臨床外科学会北海道支部 世話人に関する細則

1. 世話人となり得るものは次のいずれかを満たすものとし、世話人に推薦されるものとする。

1) 医学部の教授職とする。

2) 総会会長経験者で評議員新規申請時の学会活動業績基準としての要件を満たすこととする。

2. 世話人の任期は世話人の就任時における施設の任期、あるいは評議員の資格を失うまでとする。

附 則

第1項 この細則は平成26年7月 5日から施行する。

第2項 この細則は平成27年7月11日から施行する。

日本臨床外科学会北海道支部 評議員に関する細則

1. 評議員となり得るものは以下の全ての資格を満たすものとし、所定の書類を世話人・幹事会に提出するものとする。 1) 連続 5 年以上の会員歴を有する正会員であり、会費を完納しているもの。 2) 評議員になる時点で医学部卒業後 10 年以上であること。 3) 大学医学部及び医科大学では講師以上あるいは世話人が推薦する診療チームリーダーであること。市中病院では副院長クラ

ス又は部長、主任医長、外科の長であること。 4) 評議員定数は外科常勤医定員数の半数未満とする。 5) 世話人の推薦を得たもの。 6) 評議員新規申請時の学会活動業績基準として申請前5年間に以下の要件を8回以上満たす。業績基準としては、日本臨床外

科学会総会、日本臨床外科学会北海道支部総会・例会での発表(筆頭演者または共同演者)、座長、司会とする。

2. 評議員は理由なく連続して 6 回評議員会を欠席した場合その資格を失う。但し、世話人・幹事会でやむを得ない事情と判断された場合は、この限りではない。一度、資格を失った評議員に対しては評議員新規申請時の学会活動業績基準を満たす場合には、評議員としての資格を再交付する。

3. 評議員の任期は 5 年とし、任期更新手続きは 5 年毎に一斉に行う。

4. 評議員は再任を妨げないが、満66歳に達した者は、その後に到来する事業年度の総会時でその資格を失う。

5. 評議員の任期更新を希望するものは会費を完納しており、任期期間のうち、最低 3 回は評議員会に出席しなければならない。

附 則 第1項 この細則は平成26年 7月 5日から施行する。 第2項 この細則は平成27年 7月11日から施行する。 第3項 この細則は平成27年12月 5日から施行する。

Page 41: 110 日本臨床外科学会 - E.C.PRO · 発表時間は、一般演題:5 分、討論時間2 分、学会賞:5 分、討論時間3 分です。 PowerPoint のシート枚数の制限はございませんが、発表時間を厳守してください。

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日本臨床外科学会北海道支部会 学会賞規定

(目的) 第 1 条 日本臨床外科学会北海道支部会が北海道の臨床外科学発展のために貢献し,独創性と発展性に富む業績を挙げ

た者(原則として会員)に対して授与し、その功績を顕彰することを目的とする。

(対象範囲) 第 2 条 学会賞受賞の対象となる者は次のとおりとする。 1. 北海道における臨床外科学発展のためにすぐれた業績を挙げた者。 2. 2年以上の日本臨床外科学会北海道支部会会員で会費滞納のない者。 3. 過去 5 年以内に学会賞受賞の経験のない者。

(選考方法) 第 3 条 表彰者の選考は、公募により候補者を募り、選考委員会にて公正に選出する。選出方法は次のとおりとする。 1. 選考は採点形式で行い、選考委員による抄録評価・発表評価・発表時間評価の合計を基準とする。 2. 抄録評価と発表評価は A判定 5 点、B 判定 4 点、C判定 3 点、D判定 2 点、E判定 1 点の五段階評価とする。 3. 採点の基準は、内容の非常に優れているものを A 判定(100%-81%)、やや優れているものを B 判定(80%-61%)、

標準的なものを C判定(41%-60%)、やや劣るものを D判定(40%-21%)、非常に劣るものを E判定(20%以下)と する。

4. 発表時間評価は、規定時間±15 秒までを 3 点、規定時間±30 秒を 2 点、規定時間±45 秒を 1 点、規定時間 ±60 秒を 0 点とし、60 秒超を -1 点とする。

5. 選考委員の評価点を合計し、順位の高い者を選考対象とする。

(選考委員会) 第 4 条 選考委員会は北海道支部会幹事で構成される。選考委員長は支部会総会または例会の会長が務めるものとする。

(業績評価) 第 5 条 選考基準は,次のとおりとする。 1. 目的、方法、結果、結語が明確に示されていること。 2. 研究・手技に将来性が見込まれること。 3. 未発表であること(演題登録申請時の自己申告による)。 4. 症例報告は対象としないこと。 5. 外科学に関する報告で,外科学の発展に貢献をすると認められるものであること。

(表彰) 第 6 条 表彰は,賞状および副賞(金 3万円)の授与をもって行う。

(対象人数) 第 7 条 学会賞授賞の対象人数は,毎年総会ならびに例会において原則各1名とする。

(授賞) 第 8 条 日本臨床外科学会北海道支部会総会ならびに例会の席上において授賞を行う。

(規程変更) 第 9 条 本規定は評議員会の議を経て変更することができる。

細則 第1項 選考委員は指導に関連した演題の採点は原則行わないものとし、辞退することができる。 第2項 抄録内容評価において、選考委員に配布する採点用の抄録には候補者の氏名を記載しないものとし、候補者の特定ができないものとする。

附則 この規定は平成23年 9月 1日から実施する。 この規定は平成23年12月11日から実施する。 この規定は平成24年 7月14日から実施する。 この規定は平成24年11月 1日から実施する。

●日本臨床外科学会北海道支部 学会賞 評価基準 評価 点数

抄録評価

目的 方法 結果 結語

発表評価

スライドの評価 発表の態度 質疑応答 学術的価値

発表時間評価 分 合計点数

抄録評価と発表評価は A判定 5 点、B 判定 4 点、C判定 3 点、D判定 2 点、E判定 1 点とする。 採点の基準は、内容の非常に優れているものをA判定(100%-81%)、やや優れているものをB判定(80%-61%)、標準的なものをC判定(41%-60%)、やや劣るもの D 判定(40%-21%)、非常に劣るもの E判定(20%以下)とする。 発表時間評価は、規定時間±15秒までを3点、規定時間±30秒を2点、規定時間±45秒を 1点、規定時間±60秒を0点とし、60秒超を-1点とする。