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2010 年 12 月 31 日 第8号 日中人文社会科学学会会報 - 1 - ISSN 1880-9626 日中人文社会科学学会編集 平成 22 年 12 月 31 日 6 20 日(日)午後 1 時より、二松学舎大学において、 本学会平成 22 年度総会及び第8回研究発表大会が開かれ た。 松田存副会長による開式の辞及び黄華珍会長の挨拶に つづいて、本学会員による特別講演―溝口貞彦氏(二松学 舎大学名誉教授)による「最近中国の教育―毛沢東時代を 中心として―」、湯川敬弘氏(電気通信大学名誉教授)に よる「西周の理の〈哲学〉――儒学はどのように philosophy に融合されたか」―が行われ、講演終了後にも活発な質疑 応答がなされた。 休憩をはさんで、2 30 分より会員による研究発表が 行われた。発表題目は以下の通りである。 1. 『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察― ―粤語方音(声母)を中心として ……大野広之(慶應義塾大学) 2. 被字句的新特征 ……田禾(関西学院大学) 3. 第二世代「打工文学」作品の主題についての分析 ……李瑩(華南師範大学) コメンテーターはそれぞれ黄華珍(岐阜聖徳学園大学)、 李錚強(共立女子大学)、邵迎健(徳島大学)、司会は、范 建明(電気通信大学)・木村守(東京学芸大学)・劉力(二 松学舎大学)らがそれぞれ担当した。 その後、4 30 分から総会が行われた。まず、黄会長 から運営報告がなされた。今年度の主要な活動として、① 会誌『知性と創造―日中学者の思考―』第 1 号が 2 月に創 刊され、ISSN も取得したこと、②昨年度の台湾・玄奘大 学におけるシンポジウム時の論文集『漢學研究與華語語文 教學』の出版を確認したこと、などが説明されたのち、会 則の厳格な運用による会費徴収制度の確立、会員の整頓・ 拡大等が当面の課題として挙げられた。 また、今秋に行われる予定の中国東北大学での国際学術 シンポジウム参加及び会誌第 2 号(来年 2 月出版予定)で は、昨年 12 月に逝去した伊藤漱平本学会顧問の追悼特集 を組むことなど、今後の学会活動の計画についても説明が あった。つづいて李偉会計より会計報告があった。 最後に、理事会を代表して黄会長が閉会の辞を述べ、本 学会が創設された二松学舎でふたたび総会を開くことと なった意義を指摘し、総会は成功裏に閉幕した。6 時より 二松学舎本館 13 階ラウンジにて懇親会が開かれた。溝口 貞彦評議員が乾杯の辞、松田存副会長が閉会の辞を述べ、 歓談のうちに時を過ごした。 なお、研究発表に先立って理事会も開催されたことを附 記しておく。 〔文責:横久保〕 平成22年度総会・第8回研究発表大会報告 ····················································································· 1 日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会ご挨拶 ·································································· 2 学会 HP リニューアルのお知らせ/入会申込書·················································································· 2 【特別講演】現代中国の教育 溝口貞彦(二松学舎大学名誉教授)······················································ 3 西周の理の哲学-儒学はどのようにフィロソフィーと融合されたか- 湯川敬弘(電気通信大学名誉教授)······················· 3 日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会(案内) ······························································· 3 会員新刊書案内······························································································································ 3 【研究発表(報告)】······················································································································ 4 1.『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察―粤語方音(声母)を中心として― …………大野広之( 慶應義塾大学) 2.被字句的新特征 …………田 ( 関西学院大学) 3.第二世代「打工文学」作品の主題についての分析 …………李 ( 華南師範大学) 第9回研究発表大会及び総会・国際シンポジウム開催等のお知らせ······················································ 4 東北大学での国際シンポジウム(報告) ··························································································· 5 融合・共生・互助――第2次中日文化比較研究国際シンポジウムご挨拶················································ 6 櫻間会による能の上演報告 ·············································································································· 6 2009 年度会計報告書・2010 年度会計予算案 ····················································································· 7 20092010 年度日中人文社会科学学会役員 ······················································································ 7 日中人文社会科学学会会則 ··········································································································· 7-8

平成22年度総会・第8回研究発表大会報告2010年12月31日第8号 日中人文社会科学学会会報 - 1 - ISSN 1880-9626 日中人文社会科学学会会报 日中人文社会科学学会編集

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2010 年 12月 31日 第 8号 日中人文社会科学学会会報 - 1 -

ISSN 1880-9626

日日中中人人文文社社会会科科学学学学会会会会报报

日中人文社会科学学会編集 平成 22 年 12 月 31 日

平平成成2222年年度度総総会会・・第第88回回研研究究発発表表大大会会報報告告6 月 20 日(日)午後 1 時より、二松学舎大学において、

本学会平成 22 年度総会及び第8回研究発表大会が開かれ

た。

松田存副会長による開式の辞及び黄華珍会長の挨拶に

つづいて、本学会員による特別講演―溝口貞彦氏(二松学

舎大学名誉教授)による「最近中国の教育―毛沢東時代を

中心として―」、湯川敬弘氏(電気通信大学名誉教授)に

よる「西周の理の〈哲学〉――儒学はどのようにphilosophy

に融合されたか」―が行われ、講演終了後にも活発な質疑

応答がなされた。

休憩をはさんで、2 時 30 分より会員による研究発表が

行われた。発表題目は以下の通りである。

1.『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察―

―粤語方音(声母)を中心として

……大野広之(慶應義塾大学)

2. 被字句的新特征 ……田禾(関西学院大学)

3. 第二世代「打工文学」作品の主題についての分析

……李瑩(華南師範大学)

コメンテーターはそれぞれ黄華珍(岐阜聖徳学園大学)、

李錚強(共立女子大学)、邵迎健(徳島大学)、司会は、范

建明(電気通信大学)・木村守(東京学芸大学)・劉力(二

松学舎大学)らがそれぞれ担当した。

その後、4 時 30 分から総会が行われた。まず、黄会長

から運営報告がなされた。今年度の主要な活動として、①

会誌『知性と創造―日中学者の思考―』第 1 号が 2 月に創

刊され、ISSN も取得したこと、②昨年度の台湾・玄奘大

学におけるシンポジウム時の論文集『漢學研究與華語語文

教學』の出版を確認したこと、などが説明されたのち、会

則の厳格な運用による会費徴収制度の確立、会員の整頓・

拡大等が当面の課題として挙げられた。

また、今秋に行われる予定の中国東北大学での国際学術

シンポジウム参加及び会誌第 2 号(来年 2 月出版予定)で

は、昨年 12 月に逝去した伊藤漱平本学会顧問の追悼特集

を組むことなど、今後の学会活動の計画についても説明が

あった。つづいて李偉会計より会計報告があった。

最後に、理事会を代表して黄会長が閉会の辞を述べ、本

学会が創設された二松学舎でふたたび総会を開くことと

なった意義を指摘し、総会は成功裏に閉幕した。6 時より

二松学舎本館 13 階ラウンジにて懇親会が開かれた。溝口

貞彦評議員が乾杯の辞、松田存副会長が閉会の辞を述べ、

歓談のうちに時を過ごした。

なお、研究発表に先立って理事会も開催されたことを附

記しておく。 〔文責:横久保〕

平成22年度総会・第8回研究発表大会報告 ····················································································· 1日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会ご挨拶 ·································································· 2学会 HP リニューアルのお知らせ/入会申込書 ·················································································· 2【特別講演】現代中国の教育 溝口貞彦(二松学舎大学名誉教授)······················································ 3

西周の理の哲学-儒学はどのようにフィロソフィーと融合されたか-湯川敬弘(電気通信大学名誉教授)······················· 3

日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会(案内) ······························································· 3会員新刊書案内······························································································································ 3【研究発表(報告)】 ······················································································································ 41.『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察―粤語方音(声母)を中心として― …………大野広之(慶應義塾大学)2.被字句的新特征 …………田 禾(関西学院大学)3.第二世代「打工文学」作品の主題についての分析 …………李 瑩(華南師範大学)

第9回研究発表大会及び総会・国際シンポジウム開催等のお知らせ······················································ 4東北大学での国際シンポジウム(報告) ··························································································· 5融合・共生・互助――第2次中日文化比較研究国際シンポジウムご挨拶················································ 6櫻間会による能の上演報告 ·············································································································· 62009 年度会計報告書・2010 年度会計予算案 ····················································································· 72009-2010 年度日中人文社会科学学会役員 ······················································································ 7日中人文社会科学学会会則 ··········································································································· 7-8

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日中人文社会科学学会会報 第 8号 2010 年 12月 31日- 2 -

日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会ご挨拶会長 黄 華 珍

皆様、こんにちは。

今日は、大切なお休みの日にもかかわらず、多くの

方々にお集まりをいただき、まことにありがとうござ

いました。

前回の総会及び第8回研究発表大会からはや1年、

皆様のご協力を得つつ、総会で承認された方針に沿っ

て学会自身の整頓をしながら、会員の拡大、研究発表

会や国際シンポジウムの開催、また論文集の編集出版

などを展開しました。これらのことについては、後ほ

ど総会でまた報告いたしますので、ここでは省略させ

ていただきます。

さて、本日は二つの講演と三つの発表があります。

哲学、教育に関する講演及び文学、言語学に関する発

表で、いずれも興味深いテーマだと思います。お二人

の講演は、私たちのよく知っている溝口、湯川の両氏、

文学の発表は李莹氏、言語学の発表は田禾氏と大野広

之氏です。

李、田両氏について、少し紹介したいと思います。

李莹氏は御茶ノ水女子大学大学院の博士号を取得後、

昨年9月より広州にある華南師範大学国際文化学院の

専任教員となりました。田禾氏

は、今年4月から関西学院大学

に移られました。

最後に、今日の大会に尽力さ

れた松田、范両氏を始めとする

司会者・関係者・講演者・発表

者の方々に厚く御礼を申し上げ

たいと思います。

また、長い間ずっとわが学会

を支えてくれた会員の皆様・関係する中日両国の学者

の皆様にも、感謝の意を表したいと思います。

どうもありがとうございました。

2010 年 6 月 20 日

二松学舎大学(東京九段下)にて

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

☆会費納入のお願い☆

会費を未納の方は、できるだけ早く納入してください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

学学会会HHPPリリニニュューーアアルルののおお知知ららせせ

URL:https://sites.google.com/site/ajchss/昨年11月より、段階的に HPを移行していきます。学会員のみなさまに、よりわかりやすく使いやすいHPとして、学会からの情報発信を行っていきたいと思っております。HPについてご意見等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。

入 会 申 込 書

本学会に入会ご希望の方は、入会申込書を当学会のHPよりダウンロードし、必要事項をご記入の上、事務局あてに郵送、FAX、メール等でお申し込みください。

入会申込書はこちら:https://sites.google.com/site/ajchss/home/nyuukai-moushikomi-sho/

別掲東北大学(瀋陽)における能楽金春流桜間右陣師による能(「猩々」)

パフオーマンスにつき、奥井基継、平田雅利の両氏(学校法人二松学舎役員)より過分の御寄附をいただきました。ここに誌上を借りて厚く御

礼申し上げます。

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2010 年 12月 31日 第 8号 日中人文社会科学学会会報 - 3 -

特別講演 現代中国の教育 溝口貞彦(二松学舎大学名誉教授)

1949年中華人民共和国成立後の教育は、毛沢東主席指導の時代には、改革が相次いだ。

当初はソ連の方式の導入を目指し、1951年「学制改革に関する決定」を定めた。1958年大躍

進期には中国独自の教育を目指し、「教育活動に関する指示」によって、「二本足の教育」(都

市と農村で異なる教育体系)が打ち出された。1966 年文化大革命期には「教育革命」の名の

もとに、すべての学校が閉鎖され、政治優先の教育が目指された。1978 年に復活した鄧小平

のもとで、文革期教育方針は否定され、西欧型に近い教育体系が採られるようになった。1986

年九年制義務教育の制定、90年代の高等教育有料化などである。

特別講演 西周の理の哲学-儒学はどのようにフィロソフィーと融合されたか-

湯川敬弘(電気通信大学名誉教授)

幕末、明治の代表的啓蒙思想家西周は明治新政府の官僚としての活動が多かったが、何より

も学者として、philosophy を紹介するとともに哲学をはじめ、主観、客観、概念、観念、演繹、帰

納等々の抽象的観念語を創成し、日本の精神世界にヨーロッパ的概念世界を移植し、アジア

の漢字文化圏に儒学的学問世界とは異質な伝統をもつヨーロッパ的思考方法を導入すること

になった。西は思想の単なる翻訳者ではなく、この異質性をよく認識した上で、儒学、特に朱子

学の理という概念を媒介として、フィロソフィーもまた理を探求する一つの儒学として、独自の新

しい思惟の学「哲学」を樹立した。彼の理についての思考をたどって、東西思想伝統の融合の

一つの形を観る。

日中人文社会科学学会総会及び第8回研究発表大会

総合司会:范建明(電気通信大学)/開幕の辞:松田存(二松学舎大学)/大会挨拶:黄華珍(岐阜聖徳学園大学)特別講演

溝口貞彦(二松学舎大学名誉教授)「現代中国の教育」湯川敬弘(電気通信大学名誉教授)「西周の理の哲学-儒学はどのようにフィロソフィーと融合されたか-」

研究発表 司会:木村守(東京学芸大学)1.『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察―粤語方音(声母)を中心として―

…………大野広之(慶應義塾大学)――コメンテーター:黄華珍2. 被字句的新特征 …………田 禾(関西学院大学)――コメンテーター:李錚強(共立女子大学)3. 第二世代「打工文学」作品の主題についての分析

…………李 瑩(華南師範大学)――コメンテーター:邵迎健(徳島大学)総 会 司会:劉 力(大東文化大学)

学会運営の報告及び来年の展望:黄華珍会計報告:李 偉(東京外語専門学校)

懇 親 会 司会:劉 力 / 乾杯の辞:溝口貞彦 / 閉会の辞:松田存

会員新刊書案内

『能楽遊歩道』松田存 著/かりばね書房/2010 年 10 月/B6:304 ページ

ISBN 9784904390047 価格 1,800 円(1,714 円+税)

半世紀に及ぶまさにひとすじの能楽遊歩道。そこには、研究に、鑑賞に、公(講)演という視野の広い能楽界の有りようがうかがえる。今や世界の無形遺産に指定された能楽の、過去(歴史)・現在・未来へ亘る一読の高著。

目次 Ⅰ能楽研究余滴/Ⅱ海外と能楽/Ⅲ能楽界によせて、など

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日中人文社会科学学会会報 第 8号 2010 年 12月 31日- 4 -

研究発表 『通用漢言之法』にみられる漢字音についての一考察

―粤語方音(声母)を中心として―― 大野広之(慶應義塾大学)

本発表では、ロバート・モリソン(1782-1834)の著した“A grammar of the Chinese language”

(漢語書名『通用漢言之法』) に見られる広東語漢字音について若干の考察を試みたものを中

心として発表する。キリスト教宣教師は中国におけるキリスト教布教を目的とするのは勿論であっ

たが、その際に布教先の文化を研究してキリスト教教義を適応させ、所謂融和的布教策を手段

として現地の文化に寄り添いつつ伝導に努める態度を堅持していた。そこには当然のことながら

布教先の言語(漢語)に習熟することが必要とされ、西欧を中心としたサイノロジー隆盛にも影響

を与えたモリソンの著作に見られる漢字音に見られる特徴としてどのようなものがあるのかを明ら

かにしていきたい。

被字句的新特征 田 禾(関西学院大学)

近年网络语言中出现了一些使用“被”字的新表达方式,如“被自愿”、“被主动辞职”、“被自

杀”、“被跳楼”等。本文拟就这类被字句的动词进行归类,以期对这类被字句的句法和语用特

征加以分析,并从新型被字句的角度观察汉语的变化以及语言和社会、思维模式之间的互动。

具体构成如下:

0.问题的提出 / 1.一般被动句的动词特征 / 2.新型被动句的动词特征

3.中文被动句的使用条件 / 4.从语用角度看新型被动句的容许度 /

5.新型被动句对原有被动句的影响

第二世代「打工文学」作品の主題についての分析 李瑩(華南師範大学)

「打工文学」は「打工者」自らが創作した、都市において仕事やアルバイトをする社会グループ

の生活と思想感情を反映する文学作品である。本論文では、80 年代に広東で起こった「打工文

学」という文学創作ジャンルを紹介する。特に、第二世代「打工文学」作品の主題、第一世代と第

二世代の「打工文学」作品の主題の比較、及びそこに現れる社会問題などに絞って分析したいと

思う。本研究では、2007 年 5 月から 7 月にかけて、筆者が広州、深圳などで行った実地調査を行

った。筆者が「打工文学」に注目した理由は、これらが改革解放後、広東の都市化の過程に現れ

た現象を表現しているからである。

■ 第9回研究発表会及び総会のお知らせ

下記のとおり、2011 年度総会及び研究発表会を行います。

発表を希望される方は、発表の題目(テーマ)を明記の上、2011

年 4 月末日まで、事務局までお申し込み下さい。

詳しい内容は、改めてお知らせしますので、万障お繰り合

わせの上、ぜひご参加下さいますようお願いいたします。

日 時:2011 年 6 月 19 日午後 1:00~

会 場:東京学芸大学(予定)

■ 会費納入のお願い

1、郵便局口座記号番号:00160-9-501497加入者名:日中人文社会科学学会

(郵便局備え付けの用紙をお使いください。)

2、銀行銀行名:三井住友銀行支店名:調布駅前支店店番号:916 口座番号:0936230名 義:日中人文社会科学学会

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2010 年 12月 31日 第 8号 日中人文社会科学学会会報 - 5 -

東東北北大大学学ででのの国国際際シシンンポポジジウウムム

9月 9日(木)より、中国・遼

寧省瀋陽にある東北大学に

おいて、東北大学中日文化

比較研究所・相愛大学との

共催による国際シンポジウム

「融合・共生・互助――第 2

次中日文化比較研究国際

学術討論会」が開催された。

本学会からは日本各地から

のみならず北京・天津・石家荘・廈門等中国国内からも多数の会員が参加した。開会に先立つ 8 日の晩に東北大学内に

おいて催された歓迎宴では、櫻間会による能が上演され聴衆から大きな拍手を浴びた。

午前9時からの開会記念式典では、来賓紹介の後、本学会を代表して黄華珍会長が挨拶し、本学会の紹介と瀋陽にお

ける今次シンポジウム開催の意義について述べた。基調講演・記念撮影・昼食の後、会場を漢卿会堂に移し、2日間にわ

たって研究発表が行われることとなった。その内、本学会員の発表は以下の通りである。

分会場A(漢卿会堂 402 室)【文学・文化、語言学】

9 日午後

○満文陀羅尼初探 大野広之(慶應義塾大学)

○太宰治创作调和期和颓废期的作品比较 沈日中(泉州師範学院)

10 日午前

○中国語のネット用語の表現スタイル――日本語と対照しつつ―― 李錚強(共立女子大学)

○「獲得」を表す“V 着 zhao”表現に関する一考察――日本語対訳との比較を通して―― 李菲(慶應義塾大学・院)

○世子『花鏡』に見る中国学の影響 松田存(二松学舎大学名誉教授)〔論文参加〕

分会場B(漢卿会堂 308 室)【思想・歴史、科技哲学、経済管理】9 日午後

○论十七至十九世纪的东亚儒学――以朝鲜通信使与日本学者的笔谈为中心 范建明(電気通信大学)

○《講周易疏論家義記》殘巻研究 黄華珍(岐阜聖徳学園大学)

○The Summer Resort Life of Foreign Diplomats and Missionaries at the West Hill(西山八大処) in 1860s and 70s 宮澤眞一(埼玉女子大学)

10 日午前

○柳诒征的学者观 横久保義洋(岐阜聖徳学園大学)

○怒吼吧,中国! 邵迎建(徳島大学)

○中日企业社会责任报告体系的比较研究 申光龍(南開大学)〔論文参加〕

最後に、東北大学中日文化比較研究所名誉所長の青木五郎・彭定安両先生による総括がなされ、会員の研究発

表に対して高い評価が与えられた。2 日間を通じ、東北大学をはじめ中国の大学で活躍されている先生方の発表

が目白押しであり、司会の方々のプログラム進行や質疑応答の整理に心を砕かれていらっしゃったのも印象的で

あった。就中、若手を育てようとの親心からか、本学会理事の孫久富先生(相愛大学)の力強くかつ温かい叱咤

激励のコメントもあり、学問に対峙するときの心構えについても説き及ぶ一幕もあった。また、発表中のナショ

ナリズム・「東アジア共同体」、そして科学文明等の問題提起をめぐって、発表後、もしくは休憩時間中に活発な

意見交換も行われたが、こうした機会は、学会の席上では非常に貴重な場面であり、学術研究の深化・発展のた

めには大いに歓迎すべきことといえよう。まさに「融合・共生・互助」が研究発表の現場で行われているとの実

感を得た。

シンポジウム閉幕後の 10日午後、瀋陽故宮見学が行われる。夕方、瀋陽市内の「老辺餃子店」において晩餐会

が催され、シンポジウムの成功を祝するとともに、さらなる友誼と交流とを深めた。 (文責:大野・横久保)

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日中人文社会科学学会会報 第 8号 2010 年 12月 31日- 6 -

融合・共生・互助――第2次中日文化比較研究国際シンポジウムご挨拶会長 黄 華 珍

皆様、こんにちは。

この爽やかな秋の日にあたり、私たちは著名な東北大学

に来て、多くの専門家・学者の皆さまと一堂に集い、このた

びの国際シンポジウムを共同開催できることを、心よりうれし

く思います。

まず日中人文社会科学学会を代表し、このたびのシンポ

ジウム開催のため、さまざまな便宜を図って下さった東北大

学の各関係部門・責任者ならび尽力していただいた教職員

各位に厚く御礼申し上げます。また、日本及び中国の各地

よりはるばるご来臨いただいた中・日・韓3ヶ国の専門家・学

者の皆さまにも心より感謝の意を表します。

日中人文社会科学学会は 2004 年 7 月に設立され、現在

約 80 名の会員を有しております。毎年日本国内で少なくと

も一度の年次総会および研究発表大会を開いている他、

積極的に中国国内の大学・研究機関とさまざまな交流活動

を行っております。この六年間、相次いで北京大学、中山

大学、河北科技大学、(台湾)玄奘大学と国際シンポジウム

を共催しましたが、もし今回の東北大学との共催シンポジウ

ムを入れるならば、5 回のシンポジウムを行ったことになりま

す。学会設立準備期間から始めると、我々はすでに 4 本の

論文集を編纂出版しており、さらに現在 2 本の論文集が出

版待ちになっております。また今年初めに《知性と創造――

中日学者の思考》という名の定期学術刊行物を始めました

が、これは今後毎年 2月に発行する予定です。

このように、本学会は設立以来何年もにわたり、中日の学

術交流活動促進において目覚ましい成果を挙げてきました。

本学会は中日両国の学者が共同設立した珍しい学術団体

なので、当然メンバーには日本・中国の両国の学者がいま

す。今後我々は「日中人文社会科学学会会則」の趣旨にの

っとり、引き続き中日両国間の人文社会科学研究を推進す

るため、もっと多くの研究者の皆さまのご加入いただき、ご

指導・ご支援を仰ぎたく思っております。

東北大学は長い歴史・伝統を持った大学です。今日我々

はこちらに伺うことができ、教師・専門家・学者の皆さまと交

流ができるのみならず、東北地方の歴史的変遷における東

北大学の発展変化を目の当たりに見ることができますことは、

我々にとって素晴らしい学習の機会となります。この機会を

借りて、このたびの会議の主催者であられる東北大学中日

比較文化研究所、相愛大学人文科学研究所、及び本学会

会員に謹んで感謝の意を表します。

最後に、心よりこのたびの国際シンポジウムの成功と、東

北大学のますますの発展をお祈り申し上げます。

皆さま、ありがとうございました。

2010 年 9 月 9日

瀋陽・東北大学にて

櫻間会による能の上演

「猩々」シテ櫻間右陣、地謡伊藤真也、司会解説松田存

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2010 年 12月 31日 第 8号 日中人文社会科学学会会報 - 7 -

■2009 年度会計報告書及び 2010 年度会計予算案

2009-2010 年度日中人文社会科学学会役員

会 長: 黄華珍

副会長: 松田存、范建明、張仕英

理 事: 木村守、何 彬、李錚強、范建明、

邵迎建、松田存、周国強、孫久富、

張仕英、黄華珍、劉 力

海外理事: 于逢春、王 迪、王建新、殷 強、

麻国慶、彭広陸

評議員: 山下輝彦、李素楨、范建明、松田存、

宮澤真一、張仕英、黄華珍、湯川敬弘、

森茂岳雄、溝口貞彦

会 計: 李 偉、邵鄖生

監 事: 横久保義洋、齋藤祐一

広報編集: 木村守、何 彬、范建明、松田存、卲迎建、

徐 前、孫久富、宮澤真一、張仕英、黄華珍、

劉 力、横久保義洋、齋藤祐一

日中人文社会科学学会会則

第一条 (名称)

本会は、日中人文社会科学学会と称する。

第二条 (目的)

1.日中両国の人文社会科学の研究を推進し、会員相

互の研究上の交流を図る。

2.日中両国間の学術交流を行い、新しい学術環境を

創造し、優れた学術成果を公表する。

第三条 (本部および事務局)

1.本会の本部および事務局は、二松学舎大学松苓会

(松田名誉教授)に置く。

2.必要に応じて地方と海外にも支部を置く。

第四条 (事業)

本会はその目的を達成するために次の事業を行う。

1.研究大会の開催。(原則として年一回)

2.国際シンポジュウム、講演会の開催。

3.機関誌、その他の出版物の編集・刊行。

4.ホームページの作成と運営、その他の広報活動。

5.その他、本会の目的を達成するために必要な事業。

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日中人文社会科学学会会報 第 8号 2010 年 12月 31日- 8 -

【学会会則のつづき】

第五条 (会員の種類)

本会の会員は次のとおりとする。

1.一般会員

2.学生会員

3.夫婦会員

4.賛助会員

5.海外会員

第六条(会員の資格)

会員は、本会の目的に賛同し、入会申込書を提出し、

会費を納入したもので、理事会の承認を得たものとす

る。

第七条(会員の権利)

会員は次の権利を有する。

1.本会が営む事業への参加

2.役員の選出

3.研究大会における研究発表

4.機関誌への投稿

5.機関誌、会員名簿等の無償領布。

第八条(退会)

1.この会から退会しようとする会員は、その旨を

学会事務局に申し出るものとする。また二年連続で会

費を滞納した場合は、退会の意思を有するものである

とみなす。

2.退会は理事の議を経て承認される。

第九条(会費)

会員は、次の会費を毎年納入しなければならない。

1.一般会員 5000円

2.学生会員 3000円

3.夫婦会員 7000円

4.賛助会員 20000円

5.海外会員 中国の場合:150人民元、中国以外の

場合:年額 30米ドル

ただし、名誉会長及び顧問はこれを免除する。

第十条(役員)

本会を運営するために次の役員を置く。

1.会長 1名

2.副会長 2~3 名

3.理事 若干名

4.評議員 若干名

5.監事 2名

6.その他、必要に応じて名誉会長、顧問を置くこ

とができる。

第十一条(会長、副会長)

1.会長、副会長は、理事の互選により選出する。

2.会長は本会を代表し、理事会の議長となる。会

長に支障がある場合、会長の指名により副会長がそ

の職務を代行する。

第十二条(理事)

理事は、原則として会員の無記名投票により、会

員の中から選出する。

第十三条(評議員)

評議員は、理事会の議を経て、会長が指名する。

第十四条(監事)

監事は、本会の会計・運営などについて監査する。

第十五条(役員の任期)

名誉会長、顧問を除く役員の任期は二年とする。

会長は原則として連続再任はできない。ただしその

他の役員は再任を妨げない。

第十六条(総会)

総会は、本会の最高議決機関であり、会長が召集

する。

第十七条(会計)

1.本会の運営に必要な経費は、会費、寄付金、及

びその他の収入をこれにあてる。

2.本会の会計年度は、毎年 4 月 1 日に始まり、翌

年 3 月 31日に終る。

第十八条(会則の変更)

本会則は、総会において出席会員の過半数の同意

を得て変更することが出来る。

〔附則〕

本会則は、2004年 7月 10日より施行する。

〔附則〕

本会則は、2009年 6月 14日より施行する。

(紙幅の関係により会則中国語文は割愛)

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編 集 後 記

会報も第8号となりました。例年より編集

作業が若干遅くなってしまいましたこと、心

からお詫び申し上げます。この会報が皆さん

のお手元に届くころは、ちょうど春節が間近

に迫っているころでしょうか。昨年は本学会

の HP もリニューアルいたしました。新たな

年もまた会報8号のように、末広がりの年と

なりますよう、お祈り申し上げます。。

(木村守)

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