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VOL.9NO.6 CHEMOTHERAPY 399 腹 水癌 を頸 部 皮 下 及 び腹 腔 内 に移 植 し,腹 水 型 は 移植 後 5日 目,結 節 型 は 移 植 後10日 目に放 射 性 コパ ル 卜プ ロ 卜ポル フィ リン4μc/mouse,即 ち コパル 卜プv卜 ボル 『フィリンとして約1 .2mg/mouseに 当るものを背部皮下 ・に注射 した。注 射後6,24及 び48時 間 目に各 臓 器 の '60Coに 由来 す る γ線を島津の シンチ レ ーションカウン タ ー に よつ て測 定 した。 腹 水 癌 に つ い て は,腹 水 と接 触 す る腹 部 臓 器 は 放 置 し 胸 部 の心 及 び 肺 を 摘 出 し,次 で 腹水 を採 取 して カ ウ ン ト した。19当 りカ ウ ン ト数 の平 均 値 を 示す と,6時 間 後, 腹水458,24時間後,腹 水721,心395,肺491,48 時 間後,腹 水510,心248,肺352で,腫 瘍は、肺及び心 に比較 して2倍 近い カウン 卜数 を示 した。 結 節癌 マ ウ スに つ い て は,胸 腹 部 各 臓 器 へ の分 布 を測 定 し,6時 間 後,心397,肺502,脾572,肝2089。 腎767,腫瘍414,24時間 後,心313,肺410,脾 1154,肝3521,腎937,腫 瘍838,48時 間 後,心289, 肺339,脾1400,肝3871,腎947,腫 瘍886のカウ ン ト数 を 得 た。肺 及 び心 では6時 間 後 に 高 く以 後下 降 線 を 辿 つ た の に対 し,脾,腎,肝,腫 瘍 で は上 昇 線 を示 し蓄 積 を物語 り,特に腫蕩が肺や心の2倍 以上を示 したこ と ・は興味深い。 実 験(3)実 験(1)は単 にプ ロ 卜ポルフイ リンを定量 し,実 験(2)は放射性 コパル 卜プ ロ トポルフイ リンを投 与 して60Coに由来す る放射 能を カ ウン 卜した もので, コパル 卜プ 胃 トポル フイ リンが果 して安定な金属 ポル フ イ リン とし て蓄 積 した もの か,遊 離 コパ ル 卜と して 臓 器 に 留 つ た ものを 測 定 した もの か不 明 であ り,実 験(3)と して は コパ ル トプ 戸 卜ポ ル フイ リンの生 体 内安 定 性 を 検 討 した。即 ち,dd系マ ウ スの 肝 を 被 検臓 器 と し,1群に は プ ロ 卜ポ ル フ イ リン18.Omg/kgを 筋注 してプ ロ 卜ポ ル フイ リ ンを(SCHWARTZ,WIKOFF法),2群 にはコ バル トプ ロ トポルフイ リンを注射 して コパル 卜を(SAN。 DELL法),3群には硫酸 コパル 卜を 注射 して コパル 卜 を,1,2,3,4,7,10日 目に定土量した。 マ ウスは 各 群6匹 つ つ 使 用 し,そ の3匹 の肝 組 織 を 合 せ混 じて定量 した。そ の結果,単 純な コパル 卜ほ24時 澗 目に高 く急速 に減少消失 したが,コ パル 卜プ ロ 卜ポル フ イ リ ン投 与 に よ る コパ ル 卜は 之 と全 く異 りプ#卜 ポ ル フ イ リ ン投 与 と酷 似 し た 平 行 線 を取 り,24時間か ら上 昇線 を描 き7日 目にピークを示 した ことは,コ バル トポ ル フ イ リ ンが 安 定 な 金 属 ポ ル 卜フイ リン と して肝 内 に移 行 した もの と考 え られ る。 最後に各種の結節及び腹水型動物移植癌に対 して興味 あ る制癌 効 果 をみ てい るが 次 回 に 報 告す る。 (21)マー一一一フイリンおよびOX物 質の 皮膚癌にたいする効果について 植松一男・吉田守男 九大皮膚 科 ヘ マ トポル フ ィ リン ジナ 卜 リウム塩 の水 銀 錯塩 で あ る マ ー フ ィリン注 を 用 い て10例 の皮 膚癌 を 治 療 し,2例 に病 巣 の乾 燥 化 と清 浄 化 を み とめ た が 潰瘍 の 拡大 は 阻止 できず,ま た他の8例 には全 く無効であつた。な お副作 用 の面 で は 白 血 球 減 少 を み た も の が10例 中3例,顔 面,手 な どの 露 出部 に 紅 斑,腫 脹 を 発 生 した も の が10 例 中3例 であ つ た。ま た この 白 血球 減 少 に は ロイ コ ンを 混 注 す る と比 較 的 よい よ う で あ る。肝 機 能,血 清 電解 質,17KSな どへ の 影響 は ほ とん どなか つ た。 また3例 の 皮 膚 癌 にOX物 質 の軟 膏 を用 い,病 巣 の清 浄化はみ とめたがそ う有効ではなかつた。 (22)腹水人 癌 に対 す る クロモマ イ シ ンの細胞効果に就いて 粟 野亥佐武 ・外 島 伸 ・津田福見 伊 藤 倉 雄2国 分一彦 ・松山 福島県立医科大学粟野内科教室 胃癌 を 原 発 巣 と し癌 性 腹膜 炎並 び に卵 巣 癌 を併 発 した 所 謂Krukenberg腫 瘍 例 に就 い て 腹 水 中 の癌 細 胞 に対 す る ク 口モ マ イ シ ン(CM)の作 用を 細 胞 学 的 に検 討 し癌 細胞の分裂頻度,細胞の破壊過程或は再増殖の状況を経 過 を 追 い 乍 ら観 察 し又 核 型 の変 化 に 就 い て も検 討 した。 この患者の胃並びに卵巣の組織所見は粘液細胞性硬癌で あ り腹 水 中 に多 数 の 印環 細 胞 を 含み,且 つ 間 接 分 裂 像 も 多 数 認 め られ る処 か ら腹 水 腫 瘍 の場 合 と同 様,癌 細 胞 が 腹 水 中 で分 裂 増殖 を営 ん でい る も の と考 え,こ の 腹 水 所 見 を 仮 りに 腹 水 人癌 と呼 ん だ。其 処 で此 患 者 の腹 腔 内 に CM1mgを 注射 して6時 間,12時間,24時間,3日, 5日,9日,13日 と経 過 を追 い 乍 ら腹 水 中 の 癌 細 胞 の 分 裂 頻 度 並 び に変 性,破 壊 の状 況 を観 察 した が 注 射 後6時 間 の腹 水所 見 で は癌 細 胞 の クロ マ チ ン異 常 凝 縮 や 細 胞 質 の 破 壊 像 等 が 出 現 し又 分 裂頻 度 が 急激 に減 少 して くる。 注射 後12時 間 の所 見 で は癌 細 胞 の 分 裂 燥 は 殆 ん ど消 失 し核 並 び に 細 胞 質 の変 性 破壊 が更 に著 明 とな り注 射 後1 ~3日 の 所 見 で は 細 胞核 の クPマ チ ンの塊 状 化 ,細 胞 質 の変 性 破 壊 像 が 更 に顕 著 に な る。注 射 後5日 頃 の所 見 で は 腫 瘍 細 胞 は 著 明 に減 少 し残 存 の もの は小 型 化 す る。注 射 後9日 以 後 か ら腫瘍 細 胞 の分 裂増 殖 が再 び活 議 とな り 注射後2週 間で大体注射前の状態に復する。其処で此様

(22)腹 水人癌に対するクロモマイシ ンの細胞効果に就いてfa.chemotherapy.or.jp/journal/jjc/09/6/9_399.pdf · (22)腹 水人癌に対するクロモマイシ ンの細胞効果に就いて

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VOL.9NO.6 CHEMOTHERAPY 399

腹水癌 を頸 部皮下及び腹 腔内に移植 し,腹 水型は移植 後

5日 目,結 節型は移植後10日 目に放射性 コパル 卜プ ロ

卜ポル フィ リン4μc/mouse,即 ち コパル 卜プv卜 ボル『フィ リンとして約1

.2mg/mouseに 当 るものを背部皮下

・に注射 した。注 射後6,24及 び48時 間 目に各 臓 器 の

'60Coに 由来 す る γ線を島津の シンチ レーシ ョンカウン

ターによつ て測定 した。

腹水癌については,腹 水 と接触す る腹部臓器は放置 し

胸部 の心及び肺を摘 出し,次 で腹水 を採取 して カウン ト

した。19当 りカウ ン ト数 の平均値を示す と,6時 間後,

腹水458,24時 間後,腹 水721,心395,肺491,48

時 間後,腹 水510,心248,肺352で,腫 瘍は、肺及び心

に比較 して2倍 近い カウン 卜数 を示 した。

結 節癌 マウスについては,胸 腹部各臓器への分 布を測

定 し,6時 間後,心397,肺502,脾572,肝2089。

腎767,腫 瘍414,24時 間 後,心313,肺410,脾

1154,肝3521,腎937,腫 瘍838,48時 間後,心289,

肺339,脾1400,肝3871,腎947,腫 瘍886の カウ ン

ト数を得た。肺 及 び心 では6時 間後に高 く以後下降線を

辿つたのに対 し,脾,腎,肝,腫 瘍では上昇線 を示 し蓄

積 を物語 り,特 に腫蕩が肺や心の2倍 以上を示 したこ と

・は興味深い。

実験(3)実 験(1)は 単 にプ ロ 卜ポルフイ リンを定量

し,実 験(2)は 放射性 コパル 卜プ ロ トポルフイ リンを投

与 して60Coに 由来す る放射 能を カ ウン 卜した もので,

コパル 卜プ 胃 トポル フイ リンが果 して安定な金属 ポル フ

イ リンとして蓄積 した ものか,遊 離 コパル 卜として臓器

に留つた ものを測定 した ものか不 明であ り,実 験(3)と

しては コパル トプ戸 卜ポル フイ リンの生体 内安定性を検

討 した。即 ち,dd系 マウスの肝を被検臓器 とし,1群 に

はプ ロ 卜ポルフイ リン18.Omg/kgを 筋注 してプ ロ 卜ポ

ル フイ リンを(SCHWARTZ,WIKOFF法),2群 には コ

バル トプ ロ トポルフイ リンを注射 して コパル 卜を(SAN。

DELL法),3群 には硫酸 コパル 卜を 注射 して コパル 卜

を,1,2,3,4,7,10日 目に定土量した。

マ ウスは各群6匹 つつ使用 し,そ の3匹 の肝組織を合

せ混 じて定量 した。そ の結果,単 純な コパル 卜ほ24時

澗 目に高 く急速 に減少消失 したが,コ パル 卜プ ロ 卜ポル

フイ リン投与 による コパル 卜は之 と全 く異 りプ#卜 ポル

フイ リン投与 と酷似 した 平行線を取 り,24時 間か ら上

昇線 を描 き7日 目にピークを示 した ことは,コ バル トポ

ルフイ リンが安定な金属ポル 卜フイ リンとして肝 内に移

行 した もの と考 え られ る。

最 後に各種 の結節及び腹水型動物移植癌 に対 して興味

あ る制癌効果 をみ てい るが次回に報告す る。

(21)マ ー一一一フイ リンお よびOX物 質 の

皮膚 癌 にた いす る効 果 につ いて

植 松 一 男 ・吉 田 守 男

九大皮膚科

ヘマ トポル フ ィリンジナ 卜リウム塩 の水銀 錯塩 であ る

マーフ ィリン注を用いて10例 の皮 膚癌 を治療 し,2例

に病巣 の乾燥化 と清浄化をみ とめたが潰瘍 の拡大 は阻止

できず,ま た他の8例 には全 く無効であつた。な お副作

用 の面では白血球減少 を み た も の が10例 中3例,顔

面,手 な どの露 出部に紅斑,腫 脹を発生 した も の が10

例 中3例 であつた。ま た この白血球 減少には ロイ コンを

混注す る と比較的 よい ようで あ る。肝 機能,血 清 電解

質,17KSな どへの影響 はほ とん どなかつ た。

また3例 の皮膚癌にOX物 質の軟膏 を用 い,病 巣の清

浄化はみ とめたがそ う有効ではなかつた。

(22)腹 水人癌に対す るクロモマイシ

ンの細胞効果に就いて

粟野亥佐武 ・外島 伸 ・津田福見

伊 藤 倉 雄2国 分一彦 ・松山 茂

福島県立医科大学粟野内科教室

胃癌を原発巣 とし癌性 腹膜 炎並 びに卵巣癌 を併発 した

所謂Krukenberg腫 瘍例 に就 い て腹水中 の癌細胞 に対

す るク口モマイ シン(CM)の 作 用を細胞学的 に検討 し癌

細胞の分裂頻度,細 胞 の破壊過程或 は再増殖 の状況を経

過を追い乍 ら観察 し又核型 の変化に就いて も検討 した。

この患者の胃並 びに卵巣 の組織所見は粘液細胞性硬癌で

あ り腹水中に多数 の印環細胞を 含み,且 つ間接分裂像 も

多数認め られる処 か ら腹水腫瘍 の場合 と同様,癌 細胞が

腹水中で分 裂増殖 を営 んでい るものと考え,こ の腹水所

見を仮 りに腹水人癌 と呼んだ。其 処 で此患者 の腹腔 内に

CM1mgを 注射 して6時 間,12時 間,24時 間,3日,

5日,9日,13日 と経過 を追い乍 ら腹水中の癌細胞の分

裂頻度並びに変性,破 壊 の状況 を観察 したが注射後6時

間の腹 水所 見では癌細胞 の クロマチ ン異常凝縮や細胞質

の破壊像等が出現 し又分裂頻 度が急激 に減少 して くる。

注射 後12時 間の所見で は癌細胞の分裂燥は殆ん ど消失

し核並びに細胞質の変性 破壊 が更 に著 明 とな り注射後1

~3日 の所見では細胞核 のクPマ チ ンの塊状化,細 胞質

の変 性破壊像が更に顕 著になる。注 射後5日 頃 の所見で

は腫瘍細胞は著明に減 少 し残 存の ものは小型化す る。注

射後9日 以後か ら腫瘍 細胞の分 裂増殖 が再 び活議 とな り

注射後2週 間で大体注射前の状態に復す る。其 処 で此様

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400 CHEMOTHERAPY NOV.1961

な再 増殖を起 した腫瘍細胞 と薬剤投与前の腫瘍細胞 との

間に核 学的な相違があ るか ど うかに就いて検 討 し た 結

果,薬 剤投与前 の癌 細胞 の 染 色 体教の分布は,modが

45と46で あつたのに対 し投 与後では染色体教46の 細

胞 のみ とな りその核型 も投 与前の もの と相違 が 見 ら れ

た。

此様 にCMを 腹水人癌 に作用 させて細胞学的に検討 し

た結果,CMに 依 り癌 細胞の分裂増殖は阻止せ られ細胞

の変性 破壊が起るが一・部の細胞は小型化 して残 り結局再

増殖 を起 して薬 剤投与 前の状 態に帰 り,人 癌 の場合で も

動物 の腹水腫瘍の場 合 と良 く似ている事 が解つた。但 し

胃や卵 巣癌 の影響 に就 いては不明であ る。

(23)MitomycinCの 投 与 法につ い

臼 淵 勇

弘前大学医学部病理学教室

MitomycinCを 用いて 胃瘍を治療す る際に,如 何 な

る投与法 が最 も適切 であるかについて種 々の実験 を行 な

つ た。

ユ)移 植癌 に対す る腹腔内連続投与法:

腹腔移植腫瘍 に対 して,移 植2日 後に0.05~1.Omg/

kgのMitomycinを 腹 腔内に 連 日投与 してゆ く最 も一・

般的な方法であつて,各 種 の実験腫瘍(吉 田,弘 前,武

田,臼 淵,肝 癌130,肝 癌7974,Ehrlich,SN36)に

対 して極めて広いspectrumを 示 した。但 しこの方法で

は比較 的大量 を毎 日使用 した場合には全量が増加 し,屡

履副作用を来 した(昭33,Chemotherapy,6,378)。

2)移 植癌 に対す る腹腔内間歓大量投与法

腹腔移植腫瘍 に 対 して,移 植 後2~7日 後 に,Mito-

mycinの 比較 的大量,即 ち0,5~2.Omg/kgを 主 と し

て1回,時 に1週 間の間隔で数回注入 した。多 くの実験

腫瘍(吉 田,弘 前,臼 淵,肝 癌130,肝 癌7974)に 対 し

て極めて有効であつて,副 作用は少な く,完 全治癒例が

多数にみ られた。こ の際の腹腔内腫瘍細胞の消長をみ る

と,薬 剤投与後に高度の変性 を来 した腫瘍細胞 が時に再

生増殖 した後に何等の処置を加えずに再び消失す ること

か ら,腫 瘍細胞に対 して免疫が生 じてい るためであ ると

考え られた。こ の免疫の発生に よつて,移 植腫瘍は薬剤

の連続投与を行わな くとも,抗 体の助けに よつて治癒が

期待 され る。発 生腫瘍 につい ては一般に免疫の発生は否

定 されてい るが,各 種 の移植腫瘍 の治癒後に,そ れ らの

相互の間 に交叉免疫があつ て,再 移植が成立 しない こと

か ら,発 生腫瘍 にもこれ と共通な免疫原性があつて。こ

れは抗体を形成す る筈 であ ると考 え られた(昭35年

日本癌学 会総会)。

3)発 生癌 に対す る腹腔 内1回 大量投 与法:

ラ ッテの皮下数 ヵ所 にMethylcholanthreneを 注入 し,

局所に発生 した1~3個 の肉腫に対 して,Mitomycinを

1~2mg/kgの 割に腹腔 内に 投与 した。実 験 ラッテは7

匹,発 生腫瘍 は14個 で,Mitomycin投 与後腫瘍結節は

殆 んど全 て発育 を停止 し,一 部は縮小 し,2個 は消失 し

たが,同 一動 物に発生 した他 の腫瘍 が再 び増大 して,結

局,全 例が腫瘍死 した。こ の腫瘍 の組織 嬢をみ ると,全

てが紡錘形細胞肉腫であつ て,Mitomycinを 使 用 しな

い対照例では,腫 瘍の壊死は極め て少 ないが,薬 剤を使

用 した ものでは広範な壊死巣がみ られ,明 らかに対照例

と程度の差があつて,こ ゐ壊死の発生は薬剤投与 と関連

してお きた ものであ ることを示 していた。

4)移 植癌 に対す る腫瘍内1回 大量投与法:

腹腔内移植 腫瘍に対 して薬剤の腹腔内投与を行 な うと

きは最 も有効 であつ たに もかかわ らず,前 項の発生癌に

対 して薬 剤の腹 腔内投 与ではかな りの効果があつ ても,

結局全例 が腫瘍 死 した ことは,薬 剤の局所作用が大 きい

ため と考 え られ た。皮 下移植弘前 肉腫結節内に直接,

Mit0mycinを2mg/2ccに とか した ものを1~2mglkg

の割 に投与す る と,腫 瘍 は多 くの ものが急 激に縮小 し,

消失 した。移 植1週 以 内の ものは腫瘍細胞 の変性,崩 壊

が主 であ り,移 植10日 以 後の ものでは腫瘍組織 の広範

な壊死巣 の発生がみ られた。こ のこ とは移植10日 以後

の もので は強い ア レルギー反応 に よる壊死 がお きた もの

と考え られ る。前 述 の発生癌 においてみ られた壊死 巣 も

発生腫瘍がMitomycinで 崩壊 し,こ れが反応原 となつ

て,ア レルギ ー反応を来 した もの と考え られ る。

5)発 生癌に対す る腫疹内1回 大量投与法:

Methylcholanthreneをddマ ウスの背部皮膚 に反 復

塗布 して発生 した扁平上皮癌 に対 して,腫 瘍結節 内に前

項 と同様に2mg/2ccに とか したMitomycinを2mg小

kgの 割 で注入 した。多 くの ものは数 日の間に局所 に発

赤,浮 腫を来 し,次 が腫瘍結節の壊死を来 して脱落 し,

潰瘍面には腫瘍の再発をみ る もの もあ るが,完 全 治癒例

も屡 々み られた。Mitomycinを 正常な皮膚 に 同 一濃 度

で,同 量を注入 した ものでは,軽 い浮腫をみ ることがあ

るが,そ の まま治癒 して,特 別の障害はない。移 植癌の

場合にみた様に,ア レルギーの発生 と共に薬剤投与に よ

つて腫瘍の壊死を来すのであ るか ら,こ の発生癌 にみ ら

れ る壊死の発生 も主 として腫瘍ア レルギ ーに よるもの と

考え られ る。こ の薬剤の投与法では全身的の副作用 と思

われ るものは殆 ん どみ られなかつ た。

6)結 論 ・、

Mitomycinの 投与法を種 々に か え てみ て,そ の効果

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VOL.9NO.6 CHEMO'了HERAPY 401

を比較検討 したが,比 較 的濃厚 なMitomycinを 腫瘍結

節 内に直接注入す るのが,全 身的 の副作用が 最 も少 な

く,局 所 の腫瘍に対 しては,腫 瘍細胞 の直接崩壊 とア レ

ル ギー性壊死を来 して最 も有効 に作用 した。癌 化学療 法

の理想は細菌の化学療法 と同様 に薬翔が全身の腫蕩細胞

に平等 に作用す ることであるが,現 段階では この理想 を

実現す ることは容易でない。局 所に投与 された薬剤 は局

所 の腫瘍 に作用す ると共に,吸 収 されて全身的に も勿論

作 用す るのであ るか ら,単 独或 いは手術その他に併用 し

て,比 較的濃厚 のMit。mycinを 大量間激的に局所に投

与す る ことによつて,免 疫の助けを期待 し,最 も少い副

作 用で,最 も大 きい効果を期待 しうるであろ う。\

(24)マ イ 卜マイ シンCの 体液 中濃 度

測定

宮 村 定 男 ・庭山清八郎

新潟大学医学部細菌学教室

各種の抗生物質 の体液中濃度測定法 として私共 の行な

つ てい る薄層カ ップ法を マイ 卜マイ シンCに 応用す るこ

とを試 み,培 地組成,培 養法,検 定菌 を検討 した結果,

培地 は検定基準培地,培 地量,5m1/ベ 卜リ皿,検 定菌 と

しては大腸菌B株 を用い,試 料 をカ ップに入れた後1夜

氷 室に放置 してか ら16時 間37℃ に培養す ることに よ

り,0.001μ9/m1以 上 のマ イ 卜マ イ シ ンCを 測定 し得

た。

本法を体液中濃度測定 に応用す るに先立ち試料 のpH

及 び血清並びに尿 の影響 を検 したが,試 料のpHは6.0

~8.0の 範囲で特 に著 しい影響 を与えず,血 清は2倍,

尿 は4倍 の稀釈で影響を示 さなかつた。

体重2・5~3・5kgの 兎5匹 に,夫 々0.5mg~2mg

のマイ トマイシンCを 静 注し,時 間毎 に採血 して測定 し

た結果は,30分 後 に0・0016~0.025μ9/mlの マイ 卜マ

イ シンを 証 明,1時 間 後 は2mgを 注 射 した1例 に

0・001μ9/mlを 認めたのみで他は証明せず,2時 間後の

尿 で1及 び2mg注 射 した兎に 失 々2及 び12Ptg/ml

証 明 した ことか ら本物質は比較的速やかに尿中に排泄 さ

れ るもの と思われ る。な お38才,女 子,肝 臓癌で1日

1回2mg注 射 されている 患者 に,血 液中に1時 間後

o.002,2時 聞後o.oolptglml,尿 中 に2時 間後0.032,

3時 間後0.004Ptglm1を 測定 し,5時 間後に は これを

証 明 しなかつた。

1~2mgを 注射 した兎の2時 間後の組織内濃度を各種

の臓器について測定 したが,何 れ も陰性に終つた。こ の

原因 にこれ ら組織の不活作用が考 えられ るので次 に兎の

各種臓器のエマルジ ョンを作成,pH7.01/15M燐 酸緩

衝液 で倍数稀釈 をな し,そ れに同量の0・02μ9/m1の マ

イ 卜マイシ ンを加え37℃ の水浴上 に1時 間放置 した後

力価 を測定す ると,肝,腎,脳,肺,脾 の順序 で強い不

活作用が見 られ,特 に肝は8倍 稀釈 で100%32倍 稀釈

で も15%の 不活作用を呈 した。こ の ことは不活化 の機

構 と関連 し,マ イ 卜マイ シンの効果 に大 きな影響 を与 え

る もの と考え る。

(25)MitomycinCの 副作 用 の対策

徳岡俊次 ・中村輝美 ・平岡 弘

山ロ医科大学外科学教室第二講座

我 々は,主 として末期の悪性腫瘍患者22例 に,マ イ

トマイシンCを1日2~4mg静 脈 内或は腹腔内へ連 日

投与 し,特 に本剤の副作用 に対す る対策について,若 千

の知見を得たので報告 したい。臨 床効果 として,自 覚的

効果 のあつた もの6例,他 覚的 に効果 のあつた もの1例

であ る。副 作用は,食 思不振,悪 心嘔吐,全 身倦怠感を

訴えた もの9例(40%)で あつたが何れ も投薬を中止す

る程ではなかつた。肝,腎 機能障害 を来た した ものはな

かつた。栓 球減少を来た した ものは16例 あ り,動 物実

験で,脾 部の少量 レ線照射が栓球を増加 さす ことを確認

したので,1回 線量13.9r,週1回 の レ線照射を脾 に

試みた ところ,栓 球減少 に対 して,た しかに効果がある

よ うに認め られたので,そ の後症例を重ねつつあ る。又

一方3 ,000以 下 の白血球減少例は4例 に しか認め られ な

かつた。こ の ように白血球減少例が少いのは,我 々は全

例にアデニ ンを併用 したため と思われ る。

(26)悪 性腫瘍に対す る制癌剤 の腹腔

内連続投与法

常松 匠 ・徳岡淳一 ・溝田 成

佐藤 博 ・徳山英太郎

佐々木研究所附属杏雲堂病院外科

小田島成和 ・佐藤 博 ・田代田鶴子

佐々木研究所病理

纈」癌 剤の副作 用を少 くし,且 つ有効体液内濃度を易 め

る為 には,如 何 なる経路で投与 す るかが重要なFaktor

の1つ で ある。吾 々は制癌 剤を腹腔内に投与 した時 も,

他 の投与 法の時 と大体同様 の体液内濃度を示す事を既に

報告 したが,腹 腔 内臓器癌の手術後には,手 術操作に よ

る腫瘍細胞 の撒布が証 明されてい る今 日,術 後腹腔内に

制癌剤を投与す る事は,一 挙 両得 と言 え よう。

吾 々は,術 中は勿論 術後 も引続 いて,腹 腔 内に留置

したPolyethylentubeを 介 して10日 か ら15日 間,

叉手術不可能例 にもtheoacal或 いは手 術的操作 によ り

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402 CHEMOTHERAPY NOV.1961

tubeを 挿入固定 し,認 むべ き副作用な く,制 癌 剤を連

続投 与する事が出来たので報告す る。腹 腔内連 続投与の

場合,腹 腔内諸臓器 及び手術創 に及 ぼす影響が 問題 にな

ると思われ るので,先 づ,そ の基礎実験 として,Ratte

を用いて次 の様 な実験を した。1つ はN.M.O.及 びEn-

doxan各 単独10mg/kg/dag連 続10日,即 ち 計100

mg/kgの 比較的大量を 腹 腔 内に注入 し,病 理組織学的

検査 を行 なつ た。正 常動物 では,N.M.O.大 量連続腹腔

内投与時 にのみ,小 腸粘膜 の軽度 の萎縮 を見 る程度で,

他臓器 には著変を認 めない。他 の実験は 胃の粘膜下に達

す る切 開創を作 り,翌 日よ り綱癌剤を腹腔内に連続投与

したが,比 較 的大量連続投与 で 初めてFibr。blastの 新

生が若千抑制 され る程度 であつた。

臨床的には,N.M.0.25mgを 生 食 水10ccに 溶か

して注入す るが,注 入速度が早い と局所痛を訴え るもの

が時 にあ り,且 つ注入後腹部膨満感を訴え る も の が あ

る。而 し斯 る副作用は短時間で消失す るのが 常 で あ る

が,中 には著 明な腹部膨満感を訴え るもの もあ る。こ の

様な例 には翌 日よ り減量 して注入 してい る。Endoxanは

100mgを 生食 水10ccに 溶解 して使用す るが,局 所痛

や腹部膨満感を訴えた ものは1例 もない。又P。lyethy-

leutube最 長3カ 月留置例があ るが,斯 る例に於 て も,

炎症 とか腸狭窄の如 き重篤な副作用を認めていない。

白血球数に及ぼす 影響は,N.MO.使 用例では15例

中1例,Endoxanの 例では28例 中7例 に3,000以

下の白血 球減少を認 めたが,Endoxanに よ る 白血球減

少は7日 か ら10日 で速 かに恢 復 し,N.M.0.に よ り減

少 した1例 は恢 復に1ヵ 月を要 した。

以上 の如 く,術 中は勿論,術 後制癌剤を腹腔内に連続

投 与す る方法 は,腹 腔 内臓器癌 の場合には,自 他覚的副

作 用少 くして,直 接局所 に作用せ しめ,且 つ体液内に も

経 脈的 に投与 した時 と大体同様の濃度を維持出来 る点で

極 めて優れ た方 法であ ると思 う。

(27)抗 癌剤 投 与経路 に 関す る研究

Thio-TEPA"32Pに こつ い て

草間 悟。新 井正美 ・大城 勲

東京大学清水外科

従来我 々が行 なつて来た抗癌剤の投与経路には種 々あ

るが,そ の何れ の方法 も腫瘍に対 して,よ り高濃度の薬

剤 を到達 させ ることを 目的 として考案 され,且 つ多 くの

人 々に よつてその利害得失が論ぜ られて来た。そ こで今

回は32Pを ラベ ル したthi0-TEPAに ついて各種 の投与

法を行ない,血 液,髄 液,及 び各組織 等を測定 し,主 と

して脳内濃度について比較検討 した。

体重約10kgの 成犬 に32Pを ラkル したthio-TEPA

10mg(100μc)を ネ ンブタール麻酔 下に,静 脈,頸 動

脈 側脳室,経 口の4種 の経路 に て 投 与 し,血 液,髄

液,脳 内濃度を測定 した。血 液 は大腿動 脈 より,髄 液は

大槽 より採取 し,脳 は脱血死亡後,中 心 溝 より前 方の略

略一定 の位置 より主 として皮質を切 除 し測定 した。

静 脈内投与時 は前肢 の皮 下静 脈 より投与 した。血 中濃

度 は1分 以内に最高値 に達 し漸次減 少す る。髄 液 と脳 内

濃度 は略 々同様 であ り,血 液 内最 高値 の約1小5以 下で1

時 間後 よ り8時 間後迄略 々一定 の値 を示す。

頸動 脈内投与時は,血 液,髄 液,脳 内濃 度は何れ も静

脈 内投与時 と略 々同様 な値 と経過 を示 し,こ の際 の頸動

脈注入側 と反対側の脳 内濃度 の差 は全 く認 め られ ない。

側脳室 内投与時は,血 液中 には極 めて早 く1分 以内に

出現 し,5分 前後にて最高値を示 し,以 後漸次減少 し,

前記2種 の投与時 と略 々同様な値 と経過を示す。大 槽の

髄液中には約1分 後に 出現 し,略 々1時 間後 に最高 とな

り漸次減少の傾 向を とる。之 に対 し脳内濃度は髄液内濃

度 の最高値の約1/5以 下で前 記2種 の投与時 と略 々同様

な値 と経過を示す。

次に経 ロ投 与は ゾンデを 胃内に挿 入 し,生 理的食塩水

約10ccに 溶解 した ものを注入 した。血 液,髄 液及び脳

内濃度が極端 に低い値 を示 す ものを除いた平均 値では,

血 中濃度 は2時 間前後 に最高値を示 し,最 高値 は前記3

種 の投与時 の約1/3に 過 ぎないが髄液 は血 管内投与時 と

略 々同様であ り,脳 内濃度 も前記3種 の投与時 と略々同

様 な値 と経過を示す。

経 ロ投与に於いて極端 に低 い値 を示 した 例 は約30%

に認めたが,之 は主 と して胃か らの吸収,胃 通過時間,

胃液の酸度等に関係す ると思われ る。そ こ で 犬 を開腹

し,空 腸上部にthio-TEPAを 注入 す る と全例 に於い

て,血 中濃度は15分 以後では血管内投与時 と略 々同様

な値 と経過を示 し,脳 内濃度 も前記実験時 と略 々同様な

値 と経過を示す。次 に 胃幽門部を結紮 し,通 過障害を起

させて 胃内に注入す ると,全 例に於いて血中濃度は極端

に低い値を示す。

次に人の胃液 のthio-TEPAに 及ぼす影響についてペ

ーパ ークロマ 卜グ ラフ,オ ー トラジオグ ラフ及びその ス

キ ャンニングに よつて調べる と,総 酸度8,遊 離塩酸度

一一一17,pH6.8の 胃液 では37℃,2時 間では約5%が

破壊 され るに過 ぎないが,総 酸度26,遊 離塩酸 度15,

pH2・0の 胃液で は約95%破 壊 され る。之 等 の事 実に

よつ てthio-TEPAは 主 として空腸 よ り吸収 され,胃 内

では胃酸 にて破壊 され,又 吸収 は殆 んど行 なわれ ない と

考 え られ る。

以上,静 脈 頸動脈,側 脳室,経 口の各投与法を総括

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VOL.9NO.6 CHEMOTHERAPY 403

す る と,経 口投与で濃度が極端に低い値 を示す例を除い

ては,脳 内濃度 には有意の差は全 く認め られない ので効

果に於 いて も有 意の差 は期待 し得ない と考 え られ る。経

口投与で極端 に低い値 を 示 す 例が約30%に 起 るので

thio-TEPAに 貿内を素通 り させ空腸内で吸収 され る様

な コーティ ングを行 なえば,他 の投与法を行 なつた場合

に近い充 分な血 中濃度が全例に於いて得 られ,且 つ脳内

濃 度 も略 々同様 な値が 得 られ るのではないかと思 う。

(28)抗 癌剤の組織培養および電子顕

微鏡的研究

北川司良 ・岡 本 良 平。西 村耕治

河村章治 ・海老瀬尚文 ・中島正温

京都府立医大河村外科

癌の手術成績 向上のためには,早 期発見に依る根 治手

術 施行 率の増大 も確かに必要であ るが,根 治手術 と永久

治 癒の間には 尚外科医が解 決 しなければな らない多 くの

問題が残 されてい る。私 達 は臨床的に制癌 剤の リンパ管

注射や局所動 脈内注入を行ない,残 存癌細胞か らの再発

を制圧す る様努 力して来たが,各 種 の制癌剤は夫 々異つ

た性格 を持つ てお り,癌 組織に対す る有効濃度や作用機

停 も当然異つて来 ることが考 え られ る。

かか る問題を検討す るため,私 達は家鶏胎児の脾臓並

ぴ に心臓を被覆培義法 を用いて培養 し,こ れに制癌 剤を

添 加 し,そ の増生面積 を測定,そ の際,培 養全過 程を一

括 して観 察す るため,総 成長係数を求め,対 照 の10%

以上を促進,以 下を抑制 とした。

即 ち,ナ イ 卜ロミン,テ スパ ミン,マ イ 卜マイ シンは

2~4γ1d1で 発育抑制がみ られ,マrフ ィリン,ア ザ ン

は相当高濃度迄影響が現われず,カ ルチ ノフ ィリンはそ

の中間にあ るもの と思われ る。

次 に培養心線維芽細胞の微細構造 を電子顕微鏡を用い

て 観察す ると,制 癌 剤添 加によ りEnd。Plasmicreticu-

・1umには電子透過 度の高い空泡様構造が多 くみ られ,時

・にはその中t:一一部densityの 高い物質が 合 まれ てお り,

・これは発育抑制 の発現 と平行 して現われ る もの と思われ

る。ま た,制 癌剤添加に よりミ 卜コン ドリアのク リス タ

の配 列の不規則化 と ミトコン ドリヤの短縮の傾向がみ ら

れた。

テスパ ミンを犬の局所動脈 にこ注射 した後,門 脈や大腿

動脈か ら採血 した血清 を添加 してみ ると同様に発育抑 制

が現われ,こ れ よりその濃度 は一時20γ/dlに 達 し,投

与後3時 間 までは概ね有効濃度を維持 してい るもの と思

一われ る。

白血球 増加剤 として知 られ るアデ ニンやア ミノ酸 を添

加 してみ る と,ア デ 昌ンが脾 組織の発 育を若干 促進す る

以外,余 り変化はみ られないが,テ スパ ミンによる発育

抑 制に対 してこれ らの薬剤が著明に拮抗 す る の を認 め

た。

(30)地 衣成分の抗腫瘍作用に関す る

研究(第3報)

中沢昭三 ・小松信彦 ・山本郁夫

東大伝染病研究所

藤川福二郎 ・平 井 邦 夫

京都薬科大学

浜 田 碓

東京衛研

地 衣 成 分 た るPsoromicacid(PSA)とMitomycin

(MM)と の 併 用 に よる抗 腫 瘍 作 用 の 検 討 を行 な つ た。即

ちEHRUCH腹 水 癌2×106cellを 接 種 し,24時 間 後 よ

り1.P。に よ り6月 間 治療 し,以 後60日 間 観 察 した結

果,次 の如 き成 績 が 得 られ た。

1.MM5γ+PSAO.25mg併 用 群 に 於 い て は,各 々

単 独 の場 合 に比 し,著 明 な 相 乗 効 果 が認 め られ た。

2.MM5γ 十PSAO・125mg併 用群 に於 い て は,各

各単 独 の=場合 に 比 し,著 明 な 相 乗 効果 は認 め られ な か つ

た。

3eMM2.5γ 十PSAO25mgの 場 合,僅 か に 協 力 的

結 果 が 得 られ た。

4.MM2.5γ 十PSAO.125mgの 場 合,著 明 な 相 乗

効 果 が 得 られ た。

5・MMl・25γ 或 は0.625γ とPSAO.25mg或 は

0。125mgと の各 併 用 群 に 於 い て は,そ れ ぞれ 単 独 の場

合 と同 様 の 結 果 が 得 られ た。

以 上 の 結 果,MM5γ 十PSA0.25mgの 場 合 か 或 は

MM2.5γ 十PSAO.125mgの 場 合,即 ちMM1:PSA

50の 比 の 組合 せ に於 い て,最 もi著明 な 相 乗 効 果 が 現 れ

るの を 認 め た。

(31) 「延命草」抗腫瘍成分の研究

(1)

新 井 正 ・小 山 泰 正

森 田 武 信 ・加 治 晴 夫

千葉大腐敗研抗生物質

延 命 草AmethystanthiHerbaは 原 植 物 「ひ き お こ し」

AmethystanthusjσPonicus或 は 「くろ ば な ひ きお こ し」

A.trichocarPusの 乾 燥 葉 或 は茎 に対 す る生 薬 名で あ る。

そ の構 成 成 分 と し て は,1910年 八 木 が 「ひ きお こ し」