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29P-0656 MALDI-TOF MS による漿クロバムの合 麻1 中村 1 ,井口 和1 井 1 口 1 1 佐治木 1 ,平1 1 岐阜薬大) 【目的】MALDI-TOF MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量 分析計)はタンパク質、ポリマー、核酸および多糖類などの高分子化合物の分子量 解析や構造解析に用いられているが、生体試料中低分子化合物の定量分析に応用 された例は少ない。我々は、MALDI-TOF MS の操作の簡便性に着目し、抗てんかん 薬クロバザム(CLB)の生体試料中の定量について検討を行った。 【方法】CLBは大日本住友製薬(株)から提供された。安定同位体標準物質(CLB-d 2 ) は H-D 交換反応を応用した重水素標識化により合成した。MALDI-TOF MS の測定に Ultraflex TOF/TOF(ブルカー・ダルトニクス社)を用いた。CLB 添加ヒト血清(0.5 mL)に酢酸エチル(2.5 mL)を 3 回加え震盪混和後、有機相を減圧濃縮乾固させた。 また固相抽出カラム(C 18 )の検討も行った。CLB-d 2 を含むマトリックス溶液(2,5-ジ ヒドロキシ安息香酸 20 mg/mL)で再溶解させたものサンプルプレートに載せ測定 した。測定はリフレクターモードで、測定に用いた照射レーザーの波長は 337nm であった。レーザーの照射位置をかえながら約 200 回のスキャンを行い平均のス ペクトルを得た。 【結果および考察】CLB の[M-H] + ピークが m/z301 に検出された。特異性の高い前 処理法と組み合わせることで CLB を検出できることが明らかになった。また、内 部標準物質として CLB-d 2 を用いることで、5-100 μg/mL の間で直線性が得られた。 今後、本測定法の再現性向上および高感度化により生体試料中薬物の簡便な定 性・定量あるいは in vitro 実験に応用可能であると考えられた。

29P-0656 による クロバ ムの 1 2 - Pharmnenkai.pharm.or.jp/131abst/29P-0656.pdf29P-0656 MALDI-TOF MS による血漿中クロバザムの測定 川合 麻未1,中村 光浩1,井口

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Page 1: 29P-0656 による クロバ ムの 1 2 - Pharmnenkai.pharm.or.jp/131abst/29P-0656.pdf29P-0656 MALDI-TOF MS による血漿中クロバザムの測定 川合 麻未1,中村 光浩1,井口

29P-0656MALDI-TOF MSによる血漿中クロバザムの測定◯川合 麻未1,中村 光浩1,井口 和弘1,臼井 茂之1,門口 泰也1,土屋 照雄1,佐治木 弘尚1,平野 和行1(1岐阜薬大)

【目的】MALDI-TOF MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)はタンパク質、ポリマー、核酸および多糖類などの高分子化合物の分子量解析や構造解析に用いられているが、生体試料中低分子化合物の定量分析に応用された例は少ない。我々は、MALDI-TOF MS の操作の簡便性に着目し、抗てんかん薬クロバザム(CLB)の生体試料中の定量について検討を行った。【方法】CLB は大日本住友製薬(株)から提供された。安定同位体標準物質(CLB-d2)は H-D 交換反応を応用した重水素標識化により合成した。MALDI-TOF MS の測定には Ultraflex TOF/TOF(ブルカー・ダルトニクス社)を用いた。CLB 添加ヒト血清(0.5 mL)に酢酸エチル(2.5 mL)を 3 回加え震盪混和後、有機相を減圧濃縮乾固させた。また固相抽出カラム(C18)の検討も行った。CLB-d2を含むマトリックス溶液(2,5-ジヒドロキシ安息香酸 20 mg/mL)で再溶解させたものサンプルプレートに載せ測定した。測定はリフレクターモードで、測定に用いた照射レーザーの波長は 337nmであった。レーザーの照射位置をかえながら約 200 回のスキャンを行い平均のスペクトルを得た。【結果および考察】CLB の[M-H]+ピークが m/z301 に検出された。特異性の高い前処理法と組み合わせることで CLB を検出できることが明らかになった。また、内部標準物質として CLB-d2を用いることで、5-100 μg/mL の間で直線性が得られた。今後、本測定法の再現性向上および高感度化により生体試料中薬物の簡便な定性・定量あるいは in vitro 実験に応用可能であると考えられた。