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6 Feynman ルールと 生成氾関数 (Green ) Feynman 6.1 Green 関数の generating functional Z [J ] φ 4 L = 1 2 μ φ∂ μ φ - m 2 φ 2 - λ 4! φ 4 (1) S [φ]= Z d 4 x 1 2 φKφ - λ 4! φ 4 (2) K = -(2 + m 2 ) (3) n G (n) (x 1 ,x 2 ,...,x n )= hφ(x 1 )φ(x 2 ) ··· φ(x n )i = h0|T * (φ(x 1 )φ(x 2 ) ··· φ(x n )|0i (4) qft1-6-1

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6 Feynman ルールと 生成氾関数

場の理論における最も重要な量は相関関数 (Green関数)である。この章ではその総体を一度に扱う生成氾関数について述べ、それを摂動論で求める際に有用なFeynmanルールを導出する。

6.1 Green関数のgenerating functional Z[J ]

簡単のため、φ4理論を例にとる。ラグランジアンは

L =1

2∂µφ∂µφ − m

2φ2 − λ

4!φ4 (1)

S[φ] =

∫d4x

(1

2φKφ − λ

4!φ4

)(2)

K = −(∂2 + m2) (3)

基本場のn点関数を次のように定義

G(n)(x1, x2, . . . , xn) = 〈φ(x1)φ(x2) · · · φ(xn)〉= 〈0|T ∗(φ(x1)φ(x2) · · · φ(xn)|0〉 (4)

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これは次の経路積分表示を持つ

G(n)(x1, x2, . . . , xn) =1

N

∫DφeiSφ(x1)φ(x2) · · · φ(xn) (5)

N =

∫DφeiS (6)

すべてのG(n)を同時に扱う標準的な方法は、次のように生成氾関数 (gen-

erating functional)を定義すること:

Z[J ] ≡∞∑

n=0

1

n!

∫d4x1 · · ·

∫d4xnG(n)(x1, x2, . . . , xn)

·(iJ(x1))(iJ(x2)) · · · (iJ(xn))

=1

N

∫Dφ exp (iS[φ] + iJ · φ) (7)

ここで J · φ ≡∫

d4xJ(x)φ(x) (8)

φをスピンと見れば、Jは磁場にあたる。(1/i)(δ/δJ(x)) を作用する度毎に、φ(x)が一つ指数関数の肩からおりてくる。Z[J ]を図示すれば、

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Z[J ] = 1 +

J J

J

+ + · · · + · · ·J J

JJ

J

2 Z[J ]の摂動展開 :

λは小さいとして、Z[J ]をλの巾で展開して計算しよう。そのために、作用を freeな部分と相互作用部分に分ける:

S0[φ] =

∫d4x

1

2

((∂φ)2 − m2φ2

)

=

∫d4x

1

2φ(−∂2 − m2)φ (9)

SI[φ] = − λ

4!

∫d4xφ(x)4 (10)

(全体の規格化の因子1/Nはしばらく忘れて)自由な理論に対するgenerat-

ing functional Z0[J ] を考える:

Z0[J ] =

∫Dφ exp (iS0[φ] + iJ · φ) (11)

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指数部分はφの二次式であるから、ガウス積分が容易に実行できる:

1

2φKφ + J · φ =

1

2(φ + K−1J)(φ + K−1J) − 1

2JK−1J (12)

s ss Z0[J ] = exp

(− i

2JK−1J

)(13)

ここでK−1(x, y) = ∆F (x − y)はFeynman propagator:

−(∂2 + m2 − iε)K−1(x, y) = δ4(x − y)

K−1(x − y) =

∫d4p

(2π)4K−1(p)e−ip·(x−y)

K−1(p) =1

p2 − m2 + iε(14)

δ/δ(iJ)を作用すると、経路積分中にφを挿入することができるから、Z[J ]

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を次のように書くことができる:

Z[J ] = G

δ(iJ)

]F [iJ ] (15)

ここで G

δ(iJ)

]= exp (iSI[δ/δ(iJ)]) (16)

F [iJ ] = exp

(i

2(iJ)∆F (iJ)

)= Z0[J ] = free part (17)

これをSIの巾で展開することによって、摂動展開が得られる。

実はこの展開を得るための、よりうまい方法があり、それからFeynman di-

agramの規則が自然に得られる。まず、明らかに、

G

δ(iJ)

]F [iJ ] = G

δ(iJ)

]F [iJ ]eiJφ

∣∣∣∣φ=0

(18)

これは次のように書き換えられる

G

δ(iJ)

]F [iJ ]eiJ ·φ = G

δ(iJ)

]F

δφ

]eiJ ·φ (19)

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GとFの操作は交換するから、これはさらに次のように書き直せる:

= F

δφ

]G

δ(iJ)

]eiJ ·φ = F

δφ

]G[φ]eiJ ·φ (20)

従って、結局

G

δ(iJ)

]F [iJ ] = F

δφ

]G[φ]eiJ ·φ

∣∣∣∣φ=0

(21)

これより、Z[J ]に対する非常に便利な表式を得る:

(?) Z[J ] = exp

(1

2

δ

δφ∆

δ

δφ

)exp (iSI[φ] + iJ · φ)

∣∣∣∣φ=0

(22)

ここで ∆ = i∆F (23)

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さらに、次の簡略記号を用いると以下の計算が容易になる:δ

δφ∆

δ

δφ=

∫d4x1d

4x2

δ

δφ(x1)∆(x1 − x2)

δ

δφ(x2)= ∆ij∂i∂j (24)

δ

δφ(xi)= ∂i (25)

すなわち、添え字iで場の変数を、その和で積分を表す。

2 ファインマン図による表現の例 :

N点関数はJNの係数であることを思い出そう。

0点関数(vacuum bubble): 基本公式(?)でJ = 0とおき、eiSIを展開すると、最初の非自明な項として

iSI[φ] = −iλ

4!φ4 (26)

を得る。最後にφ = 0と置くので、ゼロにならないためにはexp(12∆ij∂i∂j)

部分から4つの微分が必要。これはTaylor展開の第2項から生ずる。従って

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求める寄与は

1

2!

(1

2∆ij∂i∂j

)2 (−i

λ

4!φ4

)=

1

2

(1

2

)2 (−i

λ

4!

)∆12∆34∂1∂2∂3∂4φ

4i

(27)

∂iφj = δijを用い、同一の添え字に付いては和をとることを考慮すると、∂4φ

4i = 4δ4iφ

3iのように次々と微分すると、因子4!が得られ、次の結果を

得る:

1

2

(1

2

)2 (−i

λ

4!

)4!∆ii∆ii =

1

2(−iλ)

︸ ︷︷ ︸standard factor

× 1

4︸︷︷︸symmetry factor

×∆ii∆ii

(28)

これは次の2-loop vacuum bubble diagramで表される:i

すべてのvacuum bubble diagramsを足し合わせたものとしてZ[J = 0]がえられる。従って、

∫ DφeiSで割ることにより、すべてのvacuum bubbleを

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取り除いたものが得られる。このため規格化を次のようにとったのである。

Z[J ] =

∫ DφeiS+iJ ·φ∫ DφeiS

(29)

2点関数(propagator): 次にO(λ)の2点関数を考える。これはSIJJから得られるが、このような項は、Taylor展開における3次の項(SI+J ·φ)3 33SIJJから生ずる。この因子3も考慮すると、

i3

3!× 3 × SI[φ](J · φ)2 =

i3

3!× 3 ×

(−iλ

4!

)φ4

iJjφjJkφk (30)

今度は6個の微分が必要。これはexp(12∆ij∂i∂j) の展開の3次の項から得

られる。従って、求める寄与はi3

3!× 3 ×

(−iλ

4!

)1

3!×

(1

2

)3

JjJk∆12∆34∆56∂1∂2 · · · ∂6(φ4iφjφk)

(31)

Diagramとしては、次の形。

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微分の演算は容易ではあるが、若干面倒である。うまい計算の規則を得るには、まず縮約に関するcombinatiricsを理解する必要がある。

2 縮約のCombinatorics

相関関数の計算に関するファインマン規則は、以下に述べるように、com-

binatoricsのルールが非常に規則的になっていることに起因する。

まず二つの場の積を考えると、1

2

δ

δφ∆

δ

δφ(φ1φ2) =

1

2

δ

δφi

∆ij(δj1φ2 + φ1δj2)

=1

2∆ij(δj1δi2 + δj2δi1)

= ∆12 (s ss ∆ij = ∆ji)

次に2n個の積φ1φ2 · · · φ2nを考える。するとゼロにならない寄与は1

n!

(1

2

δ

δφ∆

δ

δφ

)n

(φ1φ2 · · · φ2n) =1

n!2n

δφ∆

δ

δφ

)n

(φ1φ2 · · · φ2n)

最初のδ/δφは2n個の異なるφiに働くことができ、二番目の微分は残りの2n − 1のφiに働く。これを繰り返すと微分から生ずる項の数は(2n)!

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となるが、これと1/2nn!の因子を組み合わせると(2n)!

2nn!=

(2n)!!(2n − 1)!!

2nn!= (2n − 1)!!

この数を理解するために、propagatorsの異なる積の combinationsの数を求めてみる。まず一つのφiを選択すると、これとpairをなすことができるφjの数は2n−1であり、これが一つのpropagatorを与える。のこりの2n − 2個のφの中からまた一つ選ぶと、同様にして2n − 3個のpropagatorのchoiceが得られる。この操作を繰り返すと、結局丁度(2n − 1)!!通りのn個のpropagatorの異なる積が得られる。このことから、次の非常にきれいな公式が得られる:

1

n!

(1

2

δ

δφ∆

δ

δφ

)n

(φ1φ2 · · · φ2n) =∑distinct

∆i1i2∆i3i4 · · · ∆i2n−1i2n (32)

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この公式において、右辺の各項の係数は丁度1になっている。つまり、異なるpropagatorの組み合わせが丁度一回ずつ現れる。これより、φiを結ぶ線に一つのpropagatorを対応させることができるのである。

2 Symmetry factorの勘定

上記のルールは、相互作用vertexのように、同一点での場の積を挿入する場合には修正が必要になる。

例1 φ4: すべて異なる位置の場合には(4 − 1)!! = 3通りのdiagramsが生成される。これらは具体的には次の表式と対応する

∆12∆34 + ∆13∆24 + ∆14∆23 (33)

しかし、すべての位置が同じ場合には、同一の図になり、余分な因子3が掛かることになる。

i

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例2 φ1φ2φ43: すべての位置が異なれば、(6 − 1)!! = 15個の異なる図

が生成される。実際には独立な図の数は2個である。

1 2

3

1 23

(a)

(b)

(a) ∆12 と vacuum bubbleからなる。 これに掛かる因子は3。(b)この場合には、φ1とφ2両方がφ4

3とcontractされる。これは4×3 = 12

通り。これらを併せれば正しく15個の図に対応する。

従って、正しい symmetry factorを得るには、まずすべての点が異なるとしてカウントし、次に同一点を同定したときの独立な図をすべて描き、それに対する重複の数を勘定すればよい。

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6.2 連結(connected)グリーン関数に対する生成氾関数W [J ]

外線の数が固定されたグリーン関数に寄与するdiagramはconnectedとdis-

connectedに分類される。物理的に非自明なダイナミックスを表すのは連結された相関関数。非連結相関関数は連結なものの組み合わせで構成される。

連結グリーン関数の生成氾関数W [J ]は次のように定義される:

iW [J ] =∞∑

n=0

1

n!

∫d4x1 · · ·

∫d4xnG(n),c(x1, x2, . . . , xn)

·(iJ(x1))(iJ(x2)) · · · (iJ(xn))

=∞∑

n=0

1

n!G

(n),ci1i2...in

(iJi1)(iJi2) · · · (iJin) (34)

以下で、Z[J ]とW [J ]の関係を二通りの方法で調べる。

2 Combinatoric Method

Z[J ]に寄与する項を連結成分の数で分類する。n個の連結成分を持つ項はW [J ]nから生ずる。どのW [J ]の因子から来るかは関係ないので、n個

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のW [J ]の因子の並べ方の数n!で割らねばならない。従って、各W [J ]にiをつけるconventionを採用すれば、次の関係を得る:

Z[J ] =∑ in

n!W [J ]n = eiW [J ] (35)

この形から、統計物理の立場ではW [J ]はHelmholtzの自由エネルギーF (V, T )にあたることが分かる。対応は、V ∼ J , T ∼ ~となっている。

注: 場を適当に rescaleすると、温度Tは実はcoupling constantに対応していることがわかる。

φ4理論の例: φ = λ−1/2χとおいて作用を書き換えると、

S =1

λ

∫d4x

(1

2∂µχ∂µχ − m

2χ2 − 1

4!χ4

)(36)

となり、T ∼ ~λとなっている。

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全相関関数と連結相関関数の関係の具体例:

〈φi〉c =1

Z

δ

δiJi

Z =δiW

δiJi

=δW

δJi

(37)

Zで割ることで、disconnected diagramsを取り除いている。

〈φiφj〉 =1

Z

1

i

δ

δiJi

1

i

δ

δiJj

Z

=δ2iW

δiJiδiJj

+δiW

δiJi

δiW

δiJj

= 〈φiφj〉c + 〈φi〉c〈φj〉c (38)

2 W [J ]の物理的な特徴 :

W [J ]がconnectedな相関関数の母関数であることは、cluster decompo-

sitionに対する性質から、より物理的に理解することができる。図のようにN -点関数を二つの clusterにわけ、それらを space-likeな遠方に引き離す。

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connected

disconnected

Connectedの場合には、必ず長距離のpropagatorが現れるので、dampしてゼロになる。一方disconnectedの場合には、そこで切れば、必ずしもdampしない。この違いによって、connected graphを区別することができる。

系を有限な箱に入れ、sourceを次のように局所的なsupportを持つ部分に分解する。

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Ω1 Ω2

J1(x) 6= 0, J2(x) = 0 J2(x) 6= 0, J1(x) = 0

J(x) = J1(x) + J2(x)

作用Sが local interactionのみを含むとすると、

S[φ] + J · φ =

Ω1

dnx(L + J1 · φ) +

Ω2

dnx(L + J2 · φ)

+

x /∈Ω1,Ω2

dnxL (Jiに依らない) +境界∂Ωiからの寄与

(39)

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従って、generating functionalは次のように factorizeする:

Z[J ] = Z1[J1]Z2[J2]Z12[J1, J2] (40)

Zi[Ji] =

x∈Ωi

Dφei(S+Ji·φ) (41)

Z12 = 境界 ∂Ωiからの寄与 (42)

ここで全系を linearにscale upして、無限大volumeにすると、境界からの寄与は他の寄与に比べて落ちる。ここでZ = eiWとすると、

W [J ] = W1[J1] + W2[J2] (43)

すなわちWは和に分解される。

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これをJの巾で展開して連結相関関数を定義する。

iW [J ] =∑ 1

n!

∫dx1dx2 · · · dxniG(n)

c (x1, . . . , xn)(iJ(x1)) · · · (iJ(xn))

=∑ 1

n!

∫dx1 · · · dxpdyp+1 · · · dyn

× iG(n)c (x1, . . . , xp, yp+1 . . . yn)i

nJ1(x1) · · · J1(xp)

× J2(yp+1) · · · J2(yn)

xi ∈ Ω1 , yj ∈ Ω2

この表式が iW1[J1] + iW2[J2]と分解しなければならないから、二つのsourceが混合した部分はゼロとなる必要がある。すなわち、

G(n)c (x1, . . . , xp, yp+1 . . . yn) −→ 0 as min|xi − yj| → ∞ (44)

これはまさしく connected な相関関数がもつ性質であり、disconnected dia-

gramsはこれを満たさない。• これは非摂動論的にも成立する性質である。

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6.3 1PI グラフに対する生成氾関数=有効作用

W [J ]がHelmholtzの自由エネルギーに対応することを見たが、次にGibbs

の自由エネルギーG(P, T )に対応する有効作用 Γ[Φ]を定義する。これはV ↔ J からP ↔ ΦiへのLegendre変換で得られる。

Φi ≡ δiW

δiJi

=δW

δJi

= 〈φi〉c in the presence of Ji (45)

(−iΓ[Φ]) ≡ (iJi)Φi − iW ⇒ Γ[Φ] = W − JiΦi (46)

(45)を逆に解いた式も非常に重要になる。(46)をΦiで氾関数微分すると、

δ(−iΓ)

δΦi

= iJi +δiJj

δΦi

Φj − δiW

δΦi

= iJi +δiJj

δΦi

Φj − δiW

δiJj

δiJj

δΦi

(47)

(45)より、第2項と3項はキャンセルするから、

δ(−iΓ)

δΦi

= iJi ⇒ δΓ

δΦi

= −Ji (48)

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注: −iΓ, iW, iJのように適当にiをつけたものを基本と考えると、統計物理との対応が良くなると同時に、符号の規則が系統的になる。

2 Γ[Φ]の意味 :

具体的にΓ[Φ]を計算して、その意味を見てみよう。

• 2点関数: (48) の左側の式を iJiで微分すると

δij =δ2(−iΓ)

δiJiδΦj

=δΦk

δiJi

δ2(−iΓ)

δΦkδΦj

= 〈φiφk〉δ2(−iΓ)

δΦkδΦj

(49)

従って

δ2(−iΓ)

δΦkδΦj

= 〈φkφj〉−1 (50)

となり、これは inverse propagator、すなわちwave operator を表す。

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• 3点関数: (49) をiJ`で微分すると、

0 = 〈φiφkφ`〉〈φkφj〉−1 + 〈φiφk〉〈φ`φm〉 δ3(−iΓ)

δΦmδΦkδΦj

s ss 〈φiφjφk〉 = 〈φiφi′〉〈φjφj′〉〈φkφk′〉 iδ3Γ

δΦi′δΦj′δΦk′(51)

これは、propagatorの足を取り去った amputated 3-point function

を表す。

•この式をさらにiJ`で微分すると、

〈φiφjφkφ`〉 =δ

δiJ`

(〈φiφi′〉〈φjφj′〉〈φkφk′〉) iδ3Γ

δΦi′δΦj′δΦk′

+〈φiφi′〉〈φjφj′〉〈φkφk′〉〈φ`φ`′〉 iδ4Γ

δΦi′δΦj′δΦk′δΦ`′

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1行目の微分は、3つのconnected 3-pt functionsを生み出す。これらはそれぞれ上記の公式(51)を用いてΓ(3)で書き直せる。従って図示すると、

l

+

i(j, k) j(k, i)

k(i, j)

これより、Γは1粒子のpropagatorで結ばれているもはや1粒子線を含まないようなグラフの総体であることが予想される。そのようなグラフは1粒子既約(1-particle-irreducible=1PI)と呼ばれる。

従って、1PI n-point function (n ≥ 3)でamputated Green’s function と余分な iの因子なしに結ばれているものをΓi1i2...in と書くことにすると、Γは次のような展開を持つことになる

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Γ =i

2ΦiG

−1ij Φj − i

∑ 1

n!Γi1i2...inΦi1Φi2 · · · Φin (52)

2点関数のみ少し例外であり、

Γij = −G−1ij (53)

と定義される。

2 Tree levelでの作用との比較 :

Tree levelではΓはもともとの作用と一致する。例えばscalar理論では(積分記号を省略すると)

Γ(0) =1

2Φi(∆

−1F )ijΦj −

∑ 1

n!λi1i2...inΦi1Φi2 · · · Φin

=i

2Φi∆

−1ij Φj −

∑ 1

n!λi1i2...inΦi1Φi2 · · · Φin (54)

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上記の一般形と比較すると

Γ(0)i1i2...in

= −iλi1i2...in (55)

のように同定される。

2 Γの物理的有用性 :

• δΓ/δΦi = −Jiであるから、これをゼロにおくと、ちょうど外部source

をゼロにする条件が得られる。これは量子効果も含めた運動方程式を与える。

• S行列との関係:

6.4 Γ[Φ]が1PI diagramの生成氾関数であることの証明

1PI diagram ⇔ どの1本の lineを切断してもdiagramはconnected

実は、effective action Γ[Φ]はこのようなdiagramsの生成氾関数になっていることを以下で示す。(以後簡単のためΦの代わりにφと書く。)

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2 Propagatorを切断するtrick:

作用を次のように少しmodifyしたものを考える:

Sε =1

2

∫dxdyφ(x)φ(y) [K(x, y) + ε] + V (φ) (56)

K(x, y) = wave operator , ε = small parameter (57)

Modified propagator ∆εが次のように定義される:∫dz∆ε(x, z) [K(z, y) + ε] = δ(x − y) (58)

∆εをεの巾で展開すると、

∆ε = ∆ + ε∆(1) + · · · (59)

∆ = K−1 = 通常のpropagator (60)

(58)のεの一次の項は

ε

∫dz

[∆(x, z) + ∆(1)(x, z)∆−1(z, y)

]= 0 (61)

∆(y, w)を掛けてyで積分すると、∫dz∆(x, z)

∫dy∆(y, w) + ∆(1)(x, w) = 0 (62)

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ここでη(x) ≡ ∫dz∆(x, z)と定義すると、

∆(1)(x, y) = −η(x)η(y) (63)

従って、

∆ε(x, y) = ∆(x, y) − εη(x)η(y) + O(ε2) (64)

εの一次の項はfactorizeしているので、これをinsertすると、Feynman diagram

の対応する lineが切断される。従って、示すべきことは、∆εを用いて構成したΓε[φ]において、O(ε)で生成されるdiagramsが依然としてすべてconnectedであること。

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2 Γε[φ]の構成 :

まずZε[J ]をO(ε)まで構成する。作用に付け加えた余分なεに比例する項を考慮すると、

Zε[J ] ≡ eiWε[J ] =

∫Dφ

(1 + i

ε

2

∫dxdyφ(x)φ(y)

)ei(S+J ·φ) + O(ε2)

=

(1 + i

ε

2

∫dxdy

1

i

δ

δJ(x)

1

i

δ

δJ(y)

)eiW [J ] + · · ·

=

(1 + i

ε

2

[(∫dx

δW

δJ(x)

)2

+1

i

∫dxdy

δ2W

δJ(x)δJ(y)

])eiW [J ] + · · ·

従って、

Wε[J ] ' W [J ] +ε

2

[(∫dx

δW

δJ(x)

)2

+1

i

∫dxdy

δ2W

δJ(x)δJ(y)

]

(65)

O(ε)の第一項はdisconnectされているので、Γに行くと落ちる。

次にLegendre変換を行う。一般に、W [J ]があるglobal parameter εによっ

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ている場合のLegendre変換の性質を見てみよう。定義より、

Γ[φ] = W [J ] −∫

dxJ(x)φ(x) (66)

φ(x) =δW

δJ(x)= εに依っている (67)

Γ[φ]をεで微分する。左辺にはchain ruleを用いると、

LHS =∂Γ

∂ε+

∫dx

∂φ(x)

∂ε

δΓ

δφ(x)(68)

RHS =∂W

∂ε−

∫dxJ(x)

∂φ(x)

∂ε(69)

左辺第二項のδΓ/δφ(x)は、ε = 0とおくと−J(x)に等しい。従って、∂Γ

∂ε

∣∣∣∣ε=0

=∂W

∂ε

∣∣∣∣ε=0

(70)

これより、εの一次の項はΓとWで相等しい。従って (65)より

Γε[φ] = Γ[φ] +ε

2

∫dxdyφ(x)φ(y) +

ε

2i

∫dxdy

δ2W

δJ(x)δJ(y)+ · · ·

(71)

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第2項はもともとのactinに加えた項であるので無視してよい。第3項はsource

がある場合の connected propagatorを表しており、一つの内線を cutしてもまだconnectedになっていることを表している。図示すると、

x y

J

φ

φ

φ

φ

J

φ

φ

φ

φJ

φ

φ

φ

φ

J

φ

φ

φ

φ

J

φ

φ

φ

φ

従ってΓ[φ]が1PI diagramの generating functionであることが証明された。

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