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Product Specifications Acclaim AmG C18 カラム アミノグリコシド系抗生物質専用逆相カラム CHROMATOGRAPHY CONSUMABLES Thermo Scientific™ Acclaim™ AmG C18カラムはシリカ基 材のC18カラムで、アミノグリコシド(aminoglycoside )系抗 生物質の分析に特化した逆相のカラムです。このカラムは、さ まざまなアミノグリコシド系抗生物質の純度の測定・不純物の 同定や、医薬品のモニター、マトリックスに残留するさまざまな 抗生物質の定量に利用可能です。このユニークな固定相は非常 に低い pH、高温、高い比率の水系移動相に耐えることができ、堅 牢性に優れています。 製品の特長 アミノグリコシド系抗生物質に対する優れた選択性 優れた耐酸性 高効率およびハイスループット 容易に使用可能 はじめに アミノグリコシド系抗生物質は、糖にア ミノ酸を修飾した構造を持つ抗生物質で す。これらはバクテリアのタンパク質生 成機能を阻害するため、感染症などの薬 や治療に幅広く使用されています。しか しこれらの抗生物質には重篤な副作用が あり、場合によっては聴器毒性や腎毒性 を起こします。このため血液、尿、動物由 来の食品に含まれるアミノグリコシド系 抗生物質の同定、含有量のモニター、医薬 品純度の高感度測定は非常に重要です。 高感度 IP-RPLC(イオン対逆相液体ク ロマトグラフィー )は、プラスにチャージ した親水性化合物であるアミノグリコシ ド系抗生物質の分析で、広く利用されて います。アミノグリコシド系抗生物質は 有機溶媒に溶けにくいため、 HILICモード での分離は困難です。また二重結合がな いため、 UVでは測定不可能です。このた めアミノグリコシド系抗生物質の測定に は、荷電化粒子検出器(CAD )、 ELSD、質 量分析計(MS )、電気化学検出器が用い られてきました。

Acclaim AmG C18カラム カラムテクノロジー Acclaim AmG C18カラムは、100 mMのト リフルオロ酢酸(TFA)といった揮発性の フッ素系の酸をイオン対試薬として用い、抗

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Page 1: Acclaim AmG C18カラム カラムテクノロジー Acclaim AmG C18カラムは、100 mMのト リフルオロ酢酸(TFA)といった揮発性の フッ素系の酸をイオン対試薬として用い、抗

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Acclaim AmG C18カラム

アミノグリコシド系抗生物質専用逆相カラム

CHROMATOGRAPHY CONSUMABLES

Thermo Scienti�c™ Acclaim™ AmG C18カラムはシリカ基材のC18カラムで、アミノグリコシド(aminoglycoside)系抗生物質の分析に特化した逆相のカラムです。このカラムは、さまざまなアミノグリコシド系抗生物質の純度の測定・不純物の同定や、医薬品のモニター、マトリックスに残留するさまざまな抗生物質の定量に利用可能です。このユニークな固定相は非常に低いpH、高温、高い比率の水系移動相に耐えることができ、堅牢性に優れています。

製品の特長• アミノグリコシド系抗生物質に対する優れた選択性• 優れた耐酸性• 高効率およびハイスループット• 容易に使用可能

はじめにアミノグリコシド系抗生物質は、糖にアミノ酸を修飾した構造を持つ抗生物質です。これらはバクテリアのタンパク質生成機能を阻害するため、感染症などの薬や治療に幅広く使用されています。しかしこれらの抗生物質には重篤な副作用があり、場合によっては聴器毒性や腎毒性を起こします。このため血液、尿、動物由来の食品に含まれるアミノグリコシド系抗生物質の同定、含有量のモニター、医薬品純度の高感度測定は非常に重要です。

高感度 IP-RPLC(イオン対逆相液体クロマトグラフィー)は、プラスにチャージした親水性化合物であるアミノグリコシド系抗生物質の分析で、広く利用されています。アミノグリコシド系抗生物質は有機溶媒に溶けにくいため、HILICモードでの分離は困難です。また二重結合がないため、UVでは測定不可能です。このためアミノグリコシド系抗生物質の測定には、荷電化粒子検出器(CAD)、ELSD、質量分析計(MS)、電気化学検出器が用いられてきました。

Page 2: Acclaim AmG C18カラム カラムテクノロジー Acclaim AmG C18カラムは、100 mMのト リフルオロ酢酸(TFA)といった揮発性の フッ素系の酸をイオン対試薬として用い、抗

2 カラムテクノロジーAcclaim AmG C18カラムは、100 mMのトリフルオロ酢酸(TFA)といった揮発性のフッ素系の酸をイオン対試薬として用い、抗生物質のアミノグリコシド系抗生物質を分析できるようにデザインされています。通常のC18カラムでは、強酸性であるTFAの濃度が高い状態で分析すると固定相が加水分解されるため、一定のデータを得ることが非常に困難です。Acclaim AmG C18の固定相は特許取得済みのC18で、酸性条件下で非常に安定した性能を示します。特にアミノグリコシド系抗生物質の分析において優れた選択性と分離を発揮するよう、これらのアプリケーションに特化しています。加えて、100 mM TFAといったシンプルな水系移動相であり、有機溶媒の添加やpHの調整なしで十分な分離が得られる場合が多いため、簡単に利用できます。

低いpHにおける優れた安定性アミノグリコシド系抗生物質の IP-RPLC

は、一般的に低いpHで分析するため、低いpHに対するカラム固定相の耐性は非常に重要です。Acclaim AmG C18カラムは、C18

のリガンドを共有結合したシリカ基材を、ポリマーでエンドキャップした充塡剤を用いています。基材の周囲を覆うポリマーは、低いpHにさらされた時に、シロキサンを加水分 解から 保 護します。 図1では、Acclaim

AmG C18カラムの加水分解に対する安定性を、一般的なシリカ基材のC18と比較しています。この比較では、高温下(80℃)で、非常に低いpHの移動相(100 mM TFA)を送液しました。結果、Acclaim AmG C18カラムは100時間後も保持時間が変わりませんでしたが、一般的なC18カラムでは50%以上短くなりました。比較的低温(30℃)の条件下で100 mMのTFAを50時間送液すると、一般的なカラムと比較して明らかに優れた保持時間が得られました(図2)。ゲンタマイシン(Gentamicin)は、カラムの性能を確認するために一般的に使用されている抗生物質です。ゲンタマイシンC1の保持時間は、他のカラムと比較してAcclaim AmG C18カラムで安定していました。IP-RPLCのテクニックを用いてアミノグリコシド系抗生物質を分析する場合、厳しい分析条件下でも非常に堅牢性に優れ、簡単に利用することができるAcclaim AmG C18カラムが適しています。

20%

0%

100 mM TFA 水溶液を送液した時間(時間)0 20 100

40%

60%

80%

100%

120%

140%

保持時間の変化率(

%)

40 60 80

Acclaim AmG C18

一般的なC18

図1:低いpHにおける安定性

カラム: Acclaim AmG C18 および一般的な C18

カラムサイズ: 3.0 × 150 mm 酸性条件下での劣化試験移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/minカラム温度: 80℃

性能確認方法移動相: 10 mM 酢酸アンモニウム水溶液/

アセトニトリル(90:10、v/v)流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 80℃検出: 220 nm (UV)試料: Acetanilide

10

0

Accl

aim

Am

G C1

8

20

30

40

50

60

70

80

90

100

保持時間の変化率(

100

mM

TFA水溶液を

50時間

送液する前と後のゲンタマイシン

C1を測定)

Bran

d G

Bran

d W

Bran

d A

Bran

d D

Bran

d T

Bran

d H

図2:酸性条件下における他社カラムとの比較

カラムサイズ: 4.6 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 1 mL/min注入量: 5 µLカラム温度: 30℃検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00)試料: Gentamicin (1 mg/mL)確認方法: 100 mM TFA 水溶液を50時間送液

C1a

C2a

C2b

C1

0.0

Time (min)

0.0 10.0 60.0

2.5

5.0

7.5

10.0

Curre

nt (p

A)

20.0 30.0 40.0 50.0

R1 R2 R3

C1a H H HC2 H CH3 HC2b CH3 H HC2a H H CH3C1 CH3 CH3 HC2

図3:ゲンタマイシン分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00)試料: Gentamicin (1 mg/mL)

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3アプリケーションゲンタマイシンの分析例ゲンタマイシンは幅広く利用されている抗生物質であり、ミクロモノスポラプルプレア(Micromonospora purpurea)の培養によって、ゲンタマイシンと類縁物質が混合した状態で生成されます。ゲンタマイシンCの主な類縁物質は、ゲンタマイシンC1、ゲンタマイシンC1a、ゲンタマイシンC2です。図3は、100 mM TFA

を移動相に用いてイソクラティックで分離し、CAD(荷電化粒子検出器)で検出した例です。ゲンタマイシンC1、C1a、C2、C2a、C2bをベースラインで分離できています。ゲンタマイシンC2、C2a、C2bにおいては、少なくとも分離度3.0以上を得ることができました。加えて、ゲンタマイシンの類縁物質を20以上検出することができました。また、わずかに有機溶媒を加えるだけで、分析時間を大幅に短縮させることが可能です。たとえば、水系移動相100%を用いてイソクラティックで分離した場合、分析時間は60分です(図4 C)。しかし、わずか2%のアセトニトリルを加えてイソクラティックで分離すると、分析時間が25分以内になります(図4 B)。さらに、グラジエントを利用して分離すると分析時間が15分以内になり(図4 A)、図4 Cと比較してシャープで対称的なピークが得られました。図5は、ゲンタマイシンを異なるカラム温度で分析した時のクロマトグラムです。カラム温度を高くすると、分析時間をより短くすることが可能です。

図4:ゲンタマイシンの分離(移動相の影響を確認)

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 4.6 × 150 mm移動相 A: 100 mM TFA移動相 B: アセトニトリル流量: 1 mL/min注入量: 5 µLカラム温度: 30℃

0.0

Time (min)

B. イソクラティック 2% B + 98% A

0.0 10.0 60.0

20.0

0.0

0.0

30.0

40.0

Curre

nt (p

A)

20.0 30.0 40.0 50.0

1

54

3

2

1

54

3

2

15

4

3

2 A. Time (min) %A %B 0.0 100 0 20.0 90 10 25.0 90 10

C. イソクラティック 100% A

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00)試料: Gentamicin (1 mg/mL) 成分: 1. C1a

2. C2

3. C2b

4. C2a

5. C1

図5:異なるカラム温度におけるゲンタマイシンの分離

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 4.6 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 1 mL/min注入量: 5 µLカラム温度: 図に記載

0.0

Time (min)

0.0 10.0 70.0

10.0

20.0

10.0

0.0

20.0

Curre

nt (p

A)

20.0 30.0 40.0 50.0 60.0

50 ºC

30 ºC

C1a

C1a

C2

C2b

C1

C2C2a C1

C2b

C2a

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料: Gentamicin (1 mg/mL)

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4 シソマイシン、ネチルマイシン、 エチマイシンの分析 シソマイシン(Sisomicin)、ネチルマイシン(Netilmicin)およびエチマイシン(Etimicin)はゲンタマイシンの類縁物質です。シソマイシンも、幅広く利用されているアミノグリコシド系抗 生 物 質の 一 種で、ミ ク ロ モ ノ ス ポ ラ(Micromonospora)の培養液から単離されます。ネチルマイシンは半合成のアミノグリコシドで、シソマイシンから生成されます。シソマイシンおよびネチルマイシンは深刻な感染症に使用されており、特にゲンタマイシンの耐性菌に薬効を発揮します。エチマイシンはゲンタマイシンC1aから半合成されます。図6は、イソクラティックでシソマイシン(1)、ネチルマイシン(2)、エチマイシン(3)をそれぞれ分離したクロマトグラムと、これら三種を混液にして測定したクロマトグラムです。シソマイシン、ネチルマイシン、エチマイシンは構造的に類似していますが、Acclaim AmG C18カラムおよび100 mM

TFA水溶液を用いて、これらをベースラインで分離することができました。シソマイシン(1)およびネチルマイシン(2)の分離度は24.4で、ヨーロッパ薬局方(EP)で要求されている分離度(3.0以上)を満たしています。

アミカシン、カナマイシン、 トブラマイシン、アルベカシンの分離アミカシン(Amikacin)はカナマイシン(Kanamycin)から半合成される抗生物質で、ストレプトミセス・カナマイセティカス(Streptomyces kanamyceticus)から単離されるアミノグリコシドです。トブラマイシン(Tobramycin)はストレプトマイセス・テネブラリウス(Streptomyces tenebrarius)由来で、グラム陰性菌の治療に使用されています。アルベカシン(Arbekacin)はジベカシン(Dibekacin)から半合成されます。これらの抗生物質はカナマイシン類に分類され、同じ骨格にさまざまな側鎖が結合したアミノグリコシドがあります。図7は、Acclaim AmG C18カラムおよび100 mM TFA

水溶液を利用し、同じ骨格にさまざまな側鎖が結合したカナマイシン類を分析した例です。シンプルな分析方法で主成分をそれぞれ分離できており、いくつかの不純物ピークを検出することもできました。アミカシンとカナマイシンは他のアミノグリコシド系抗生物質と比較して親水性が高いため、保持時間が短い傾向にあります。より強力なペンタフルオロプロピオン酸(PFPA)もしくはヘプタフルオロ酪酸(HFBA)といったイオン対試薬を用いれば、より保持が強くなります。たとえば、5 mM HFBAを100 mM TFAの移動相に加えて分析すると、キャパシティーファクター(K)が5倍以上となります。

図6:シソマイシン、ネチルマイシン、エチマイシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

0.0

Time (min)

0.0 10.0 50.0

0.0

5.0

5.0

5.0

0.0

0.0

15.0

Curre

nt (p

A)

20.0 30.0 40.0

Sisomicin

Netilmicin

Etimicin

Sisomicin、Netilmicin、Etimicinの混液(1)

(2) (3)

(1)

(2)

(3)

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 成分: 1. Sisomicin (0.2 mg/mL) 2. Netilmicin (1 mg/mL) 3. Etimicin (1 mg/mL) 4. Mixture (0.25 mg/mL)

図7:アミカシン、カナマイシン、トブラマイシン、アルベカシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

0.0

Time (min)

0.0 2.5 10.0

0.0

10.0

10.0

10.0

0.0

0.0

10.0

Curre

nt (p

A)

5.0 7.5

Arbekacin

Tobramycin

Kanamycin

Amikacin

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料濃度: 1 mg/mL

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5ストレプトマイシンと ジヒドロストレプトマイシンの分離ストレプトマイシン(Streptomycin)は最初に発見されたアミノグリコシドで、治療に用いられた最初の抗生物質です。ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces

griseus)属の放線菌(actinobacterium)由来です。ジヒドロストレプトマイシン(Dihydrostreptomycin)はストレプトマイシンの還元により生成されるため、二つの構造は非常に類似しています。抗生物質の薬物動態、薬力学的な特徴、毒物学的なプロファイル、抗菌作用、生体活性も類似しています。図8は、Acclaim AmG C18を用いてこれらの抗生物質をイソクラティックで分析したときのクロマトグラムです。構造的にはあまり違いがないにもかかわらず、IP-

RPLCで分離することが可能です。加えて、多くの小さな不純物ピークを主ピークから分離することができました。ジヒドロストレプトマイシンから分離できなかった小さなピークは、2 mM程度のHFBAに100 mMのTFAを添加した移動相で分離することが可能です。この移動相を用いると、分離度2.0

以上を得ることができます。

リボスタマイシン、パロモマイシン、 ネオマイシンの分離リボスタマイシン(Ribostamycin)は生合成されており、ス ト レ プ ト ミ セ ス 菌(streptomycete)から単離されます。免疫不全の治療に使用されている、非常に重要な 抗 生 物 質です。パ ロ モ マ イ シ ン(Paromomycin)は、ネ オ マ イ シ ン(Neomycin)に非常に似た作用を発揮します。幅広く使用されているネオマイシンは、通常ネオマイシンBが主成分ですが、ネオマイシンAやネオマイシンCも混ざっています。図9は、リボスタマイシン、パロモマイシン、ネオマイシンの IP-RPLCによるクロマトグラムです。多くの不純物ピークを主ピークから分離することができました。ネオマイシンCはネオマイシンの主な不純物で、ネオマイシンBとの分離度は3.0以上あり、EPの要求(2.0以上)を満たすことができました。

図8:ストレプトマイシンおよびジヒドロストレプトマイシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

0.0

Time (min)

0.0 2.5 10.0

15.0

10.0

5.0

20.0

5.0

10.0

0.0

15.0

Curre

nt (p

A)

5.0 7.5

Streptomycin

Dihydrostreptomycin

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料濃度: 1 mg/mL

図9:リボスタマイシン、パロモマイシン、ネオマイシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 100 mM TFA 水溶液流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

0.0

Time (min)

0.0 2.5 10.0

0.0

10.0

0.0

10.0

10.0

Curre

nt (p

A)

5.0 7.5

Ribostamycin

Paromomycin

B

C

Neomycin

R1 R2

B CH2NH2 HC H CH2NH2

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料濃度: 1 mg/mL

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6 スペクチノマイシンの分析スペクチノマイシン(Spectinomycin)は広く使用されている抗生物質で、ストレプトマイセス・スペクタビリス(Streptomyces spectabilis)を培養して生成されます。生成されたスペクチノマイシン中には、生合成由来の成分が数多く存在します。図10 Aは、100 mM TFA

の移動相で、スペクチノマイシン二塩酸塩(Spectinomycin dihydrochloride)をイソクラティックで分析した例です。数々の類縁物質もしくは不純物ピークが検出されましたが、スペクチノマイシンの主ピークはこれらから分離すること

ができました。ピーク1およびピーク2を完全に分離するには、移動相にPFPAもしくはHFBAを添加します。PFPAやHFBA

といったイオン対試薬は、アミノグリコシド系抗生物質の保持を向上させるだけでなく、選択性を調節する役割も果たします。図10 Bで示すように、スペクチノマイシンの分離は、95 mM TFA水溶液に5 mM HFBAを溶解した移動相を用いると改善されます。分析時間は長くなるものの、100 mM TFA水溶液では1.2だったピーク1とピーク2の分離度が、1.8になりました。

アプラマイシンの分離 アプラマイシンは、動物(牛、豚、鶏など)のバクテリア感染症の治療に広く使用されています。ストレプトマイセス・テネブラリウス(Streptomyces tenebrarius)から生成され、動物の組織に残るマーカーとして知られています。図11Aは、100 mM TFA/イソクラティックで分析したアプラマイシン硫酸塩のクロマトグラムで、いくつかの不純物ピークが検出されています。図11Aのクロマトグラムでは不純物ピークを主ピーク(アプラマイシン)から分離できていませんが、96

mM TFA水溶液に4 mM HFBAを溶解した移動相を用いると、図11Bで示すように分離度が約1.0となりました。

図10:ストレプトマイシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 図に記載流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

0.00

Time (min)

B. 5 mM HFBA + 95 mM TFA

A. 100 mM TFA

0.0 5.0 40.0

5.00

0.00

2.50

2.50

5.00

Curre

nt (p

A)

10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0

2

4

5

7

8

1

2

5

6 78

3

31 6

4

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料: Spectinomycin (1 mg/mL)

0.0

Time (min)

B. 4 mM HFBA + 96 mM TFA

A. 100 mM TFA

0.0 5.0 35.0

10.0

0.0

5.0

5.0

10.0

Curre

nt (p

A)

10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

図11:アプラマイシンの分析

カラム: Acclaim AmG C18、3 µmカラムサイズ: 3.0 × 150 mm移動相: 図に記載流量: 0.425 mL/min注入量: 2 µLカラム温度: 30℃

検出: Corona Veo RS (Filter = 5.0 s; Evaporation Temp = 35℃; Data Rate = 5 Hz; Power Function = 1.00) 試料: Apramycin (1 mg/mL)

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7

推奨パラメーター

カラム カラム内径 (mm)

流量 (mL/min)

耐圧 (psi)

最大使用温度 (℃) pH 範囲

Acclaim AmG C18

4.6 0 .80~ 1.50

8,000(56 MPa) < 80 0.5~ 103.0 0.40~ 0.60

2.1 0.20~ 0.30

再現性Acclaim AmG C18カラムは、カラム間およびロット間の再現性が良好となるように製造されています。それぞれのカラムは厳しいテストを経て出荷され、出荷時にはレポートが添付されます。

仕様

カラム固定相 シリカ基材 粒子径 比表面積 細孔径 カラム材質

特許取得済み C18 球状、高純度 3 µm 300 m2 /g 12 nm(120 Å) ステンレス

注意:100 mM TFA水溶液といった移動相で、2時間程度平衡化する必要があります。

オーダーインフォメーション

品名 用途 粒子径 長さ (mm)

2 .1 mm ID

3 .0 mm ID

4 .6 mm ID

Acclaim AmG C18 カラム

分析用3 µm

150 088753 088755 088757

ガードカートリッジ(2/pk)* 10 088754 088756 088758

*ガードカートリッジホルダー(製品番号 069580)が必要です。

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C2

09

78

    TEL 0120-753-670 FAX 0120-753 -671

〒221-0022 横浜市神奈川区守屋町3 -9

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販売店E1501

まとめ・ Accucore C18とAccucore Polar Premiumカラムを使用して、AOAC Official Method

983 .15に記載のある食用油脂中の酸化防止剤の分析を行いました。

・ 食品のマトリックスは非常に複雑なため、マトリックスによる影響を考慮して分析を行う必要があります。このため、固定相の構造が異なるC18カラムを試すことが重要です。

参考文献[1] US Food and Drug Administration, 21CFR172 Subpart B (Preservatives). [2] D.L. Madhavi, S.S. Deshpande, D.K. Salunkhe, “ Food Antioxidants:

Technological, Toxicological and Health Perspectives,” p. 160-190 , Marcel

Dekker, Inc. NY (1996). [3] AOAC Official Methods of Analysis, Method 983 .15 , Phenolic Antioxidants

in Oils, Fats and Butter Oil (1994).

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