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まずは金型の構造を理解する
第1章
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第1章 まずは金型の構造を理解する
▶プレス作業と金型
プレス作業とは、プレス機械に取り付けられた一対の金型に、材料をセットし、その材料にプレス機械により大きな力を加え、材料を成形し(プレス加工)、成形された製品を金型の外に搬出するまでの一連の作業をいいます(図1-1-1)。プレス加工は均一な品質の製品を効率よく生産できる方法として、広く利用されています。このプレス加工を行う上で欠かせないのがプレス金型です。
金型の構造と金型の機能1-1
製品材料
プレス機械
強い力
金型
金型プレス作業
加工
小物の金型
鋳造で製作された大物の金型
形や大きさは異なるが、金型の持つべき機能で見ると共通点が多い
図1-1-1 プレス作業と金型
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1-1 金型の構造と金型の機能
▶プレス金型製作に必要な知識
図1-1-2は、金型を製作する過程において、各作業に携わる作業者に必要となる知識や技能・技術を示したものです。金型の製作は総合的な技能・技術によって支えられ、「モノづくり」に関する高度で幅広い知識と技能・技術が必要とされることがわかります。プレス金型の設計から製作に携わる仕事をする者として、まず必要となる知識は「金型の構造・機能」に関する知識です。これは、「金型の設計」から「金型加工」「トライ・調整」「プレス加工」に至るすべての作業において必要な知識とされています。金型図面は金型の設計・製作過程において、情報伝達に用いられます。それを読解するために必要な「金型の構造・機能」に関する知識は、プレス金型製作やプレス加工に携わる仕事をする上で、最初に身につけなければならない知識といえます。
製品仕様 金型設計
金型試作
金型加工
金型製作過程
トライ・調整 プレス加工
プレス加工製品設計・製作の流れ
作業者に必要な知識や技能・技術
金 型金型の構造・機能標準部品・JIS
成形加工材 料金型加工設計手法その他
金 型金型の構造・機能
仕上げ組立
金 型金型の構造・機能
熱処理表面処理
金 型金型の構造・機能
切削加工研削加工放電加工その他
金 型金型の構造・機能保全
成形加工その他
金型全般技術・技能技術・技能
技術
技術・技能
設計の知識
すべての作業において「金型の構造・機能」に関する知識が必要
図1-1-2 プレス加工製品設計・製作の流れと作業者に必要な知識
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第1章 まずは金型の構造を理解する
▶一番重要な部品はパンチとダイ
プレス加工は、材料に「型」の形状を転写させる加工です。よって、プレス金型の一番重要な部品は、製品形状を加工する部品「パンチ」と「ダイ」です。パンチとダイは一対の工具で、加工を行う際は金型がプレス機械にしっかりと取り付けられ、お互いの関係精度を保って運動する必要があります。そのため金型には「加工を行う」部品以外に、「加工を補助する」ための部品や「関係精度を保つ」ための部品および「プレス機械に取り付ける」ための部品が必要となります(表1-2-1)。パンチとダイの形状は、製品の仕様を理解し、その仕様を満たすことができるように設計者が決めます。つまり、パンチとダイの形状により、製品の仕様を満たすことができるか否かが決まるのです。なお、パンチとダイの詳細な形状、構造についての説明は、他書に譲
金型を構成する部品と機能1-2
機 能 部 品
加工を行う パンチダイ
加工を補助する ストリッパプレートストックガイド
関係精度を保つ
パイロットガイドポストパンチプレートダウエルピン
プレス機械に取り付ける パンチホルダダイホルダ(ダイセット)
金型の中で一番重要な部品!
表1-2-1 機能ごとに分類したプレス金型部品
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1-2 金型を構成する部品と機能
ることにし、本書では割愛します。
材料:金型材料と区別する場合は被加工材料という。�関係精度(を保つ):パンチとダイとのクリアランス(隙間)や垂直、平行などといった互いの姿勢を保つことをいう。パンチとダイとの関係精度が悪いと加工される製品の出来栄えに影響を及ぼす。
▶プレス加工法と金型
図1-2-1は、プレス加工の代表的な加工法である、せん断加工、曲げ加工および絞り加工の加工の様子を示した図です。どの加工法においても「パンチ」と「ダイ」が、加工をする役割の中で中心的な存在となっています。
補足説明
絞り加工品
材料 材料
材料
パンチ
パンチ
パンチ
ダイ
ダイ
ダイノックアウト
ノックアウト
しわ押さえ
せん断加工用金型
絞り加工用金型
※ノックアウトは、製品をたたき出す 役割をする(1-8節参照)
せん断加工品 曲げ加工品
U曲げ加工用金型
図1-2-1 代表的なプレス加工法と金型構造