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中学生の 税についての作文 - city.matsudo.chiba.jp · 平成17年11月22日授賞式にて 中学生の 「税についての作文」優秀作品 8 私 の 家 の 冷

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平成17年11月22日授賞式にて

 中学生の「税についての作文」優秀作品

8

 私の家の冷蔵庫には、常に缶ビールが入っている。

棚には焼酎瓶、ゴミ箱には空き缶。両親が酒好きの私

にとって、お酒はとても身近なものである。

 そこで税の勉強をするにあたって、私は両親の好き

なビールと焼酎に課せられる税「酒税」について調べ

てみた。

 まずビール一リットル、焼酎一リットルにかかる酒

税の金額は、ビールは濃度に関係なく二百二十二円、

焼酎は平均して約二百四十八円だそうだ。そうすると、

母が買ってくるビールの約四十パーセント、焼酎の三

十五パーセントは税金として払っている計算になった。

消費税五パーセントに比べ、なんて高いのだろうか。

更に計算を進めれば、我が家から支出されるビール焼

酎にかかる酒税は、年間約六万五千円となる。

 「あー。それだけのお金があれば、私の服を何着買

えるだろう。」正直私はそう思った。

 しかし、その六万五千円はなんと小中学生の教育費、

更には私たちの安全を守る警察・消防費として使われ

ているという。私が使う教科書代、弟が急病の時病院

まで運んでくれた救急車を動かす費用は、両親の晩の

楽しみとして買った酒類によって賄われているという

のだ。

 それにしても「お金に税を課す」とは、なんて素

晴らしいアイデアだろうか。お酒は水や食品のよう

に、人間の生命を維持する上でなくてはならないも

の、というわけではない。好む人だけが自分の楽し

みとして欲しがるものである。私の両親のように「一

日頑張って働いた自分へのご褒美」としてお酒を飲

む人なら、多少値段が上がろうとつい買ってしまう

こと、そんな人がこの日本でたくさんいることを十

分理解された上でつくられた、国民の義務だと思う。

逆にビール一本の値段が上がれば上がるほど、買う

ことをためらう気持ちが働くのも事実だ。三本から

二本、二本から一本と減らし我慢する人が増える。

そのことによって、国は酒税から得る収入額が減っ

たとしても、お酒を減らすことで健康な人が増えれ

ば病院に行く人が減り、結果国が負担していた医療

費が少なくて済むようになる。なんてよくできた仕

組みではないか。

 このように仕組まれた酒税は、先程述べたように

教育費、警察・消防費に生まれ変わる。自分の欲望

を満たすために払ったお金がどこかで誰かを助けて

いる。自分もどこかで助けられている。もし酒税を

払うことに不満を持っている人がいるなら、ぜひ調

べてもらいたい。一体どこで使われているのか。

 私も父と母に教えてあげたいと思う。今日飲んで

いるそのビール一本が、私の教科書になっているこ

と。その焼酎一杯が、外でサイレンを響かす救急車

を動かしていることを。誰かの命をも救っているか

もしれないということを。それを知った父と母の今

晩の楽しみは、より一層おいしさを増すだろう。 

  中学三年生になったある日、予防接種の通知書が市

役所から届きました。私と小学六年の妹宛の二通です。

母は、「ああ、もうこの時期ね。前回から二・三年経っ

たのね。」と言いながら、母子手帳を出してきました。

私も横から、母子手帳を覗き込んで見ると、たくさん

のスタンプが押され、日付やワクチンの種類が記録さ

れていました。私は、「今までこんなに予防接種して

きたの。」と聞きました。「そうだよ、子供達の命を

守るために接種時期がくるとこうして通知書が送られ

てきて、病院で受けてきたんだよ。」と母が言いまし

た。スタンプの数が、十五もありました。

 ある日、祖母が「今日は健康診断に行ってくるよ。」

と出かけて行きました。それから二〜三週間経ってか

ら、祖母宛に健康診断の結果が郵送されてきました。

結果を見ていた祖母は、「あーよかった、悪い所はど

こもないって、よかったよかった。病気になると、家

族みんなに迷惑をかけるからねえ。いつまでも元気で

いたいよね。」と言いました。そして、「毎年わずか

な費用で診てもらえるんだからありがたいよね。」と

言っていました。私は「そんなに安いのかなあ。」と

不思議に思いました。

 夏の初め、予防接種の為に病院に行った時のことで

す。会計窓口でお金は払わず、母子手帳だけ返されま

した。私は病院を出る時、「お金は払わないの。」と

母に聞きました。「そうだよ。松戸市は、十五歳まで

の定められた予防接種は無料だよ。費用は税金で賄わ

れているんだよ。市で行う大人の健康診断の費用もほ

とんどが税金だよ。」と言いました。私は今まで税金

によって成り立っているのは、学校やプール、図書館

をはじめ消防署や警察署など皆が集まる場所だけだと

思い浮かべていたけど、母子手帳に書かれていた、私

の成長の記録や予防接種のスタンプの数は、納税した

皆の力によって守られてきたそのものだったのです。

人が生まれて、生きてゆく為の最も大切な命をつなぐ

ことに役立っていると、初めて気付きました。

 帰り道、税金の使われていそうなものに目を向けて

みると、きれいに草が刈られたグリーンベルトに歩道

のついた広い道路、朝、ゴミでいっぱいだったゴミ置

き場はもう跡形もなく収集され、小さい頃毎日遊んだ

公園は、ベンチが新しく整備されています。私の身の

回りには、税金によって支えられているものがたくさ

んありました。もし、納税しない人が増えたらこの環

境はどのようになってしまうのだろうと不安になりま

した。

 税金の仕組みはとてもわかりづらそうに感じます。

しかし、私も将来仕事に就いたら税金を納めるときが

きます。それまでに、少しでも分かろうと努力して、

社会の皆の家族のそして、私自身の為になっているこ

とを深く実感し、納得して納税したいと思います。さ

らに優しい、社会を目指して。

 数カ月前のこと、僕は腰を痛めてしまい、一緒に住

んでいる足腰が悪い祖母と整形外科に行くことになっ

た。

 祖母と同じ先生に、ほとんど同じような診察を受け、

その後の理学療法士によるリハビリも、そんなに違い

のあるものではなかった。しかし、それらが終わり精

算する時、祖母は三百円程度だったのに、僕の場合は

九百円以上で、三倍も違っていたのだ。

 母は、僕にかかるお金の多さに一瞬驚いていたが、

すぐ納得したようだった。不思議に思って、後でその

ことについて母に聞いてみたのだが、それは保険制度

に違いがあるのだと教えてくれた。

 両親と自分と弟は、父が働いている会社の健康保険

に入っているのだが、一緒に住んでいる二人の祖母は、

松戸市の国民健康保険に入っているそうだ。そしてそ

れらの保険は、どちらも本人の負担金が三割。その場

では、病院請求の三割払えばよいのだ。

 それなのにどうしてそんなに金額の差があるのだろ

う。正体は、老人保健制度だったのだ。年を取ると市

からもう一つ、健康保険証と似たようなものが配られ

るらしく、実際に祖母から見せてもらった。老人保健

法で定められているらしく、「医療受給者証」と書い

てあった。病院に行く時にそれをもっていくと、普通

は三割負担のはずなのに、お金を一割しか払わなくて

良いということらしい。だから、ほとんど同じ治療内

容でも、僕と祖母の支払金額は三倍も違っていたのだ。

 では、その「二割」のお金はどこから病院へ行くの

だろうか。それも聞いてみると、なんと税金だったの

だ。まさかこんなところに税金が使われていたなんて、

全く知らなかった。ふと、頭をよぎったのは少子高齢

化という言葉。近年、マスメディアでよくテーマにさ

れたりする。

 そこで、インターネットで調べたところ、この制度

は平成元年と比べ、受給者数が二倍、医療費は三倍に

もなっている。祖母は週に二回は病院へ行くし、どこ

も病気でない老人は殆どいない。更に、団塊の世代の

定年退職が迫っているという問題もある。広報まつど

には、他の歳入から繰入金を支出しても追い付かず、

保険料を上げたと書いてある。

 この先、老人を支えていかなければならないのは僕

たち若者であり、みんながしっかりしなければならな

い。しかし最近は、自分の権利ばかり主張し、税金の

ことをはじめ、与えられた義務をしっかり果たしてい

ない人が目立っている。ニートなどと呼ばれる人は収

入がないので、税金を払っている人はほぼいないだろ

う。その分、真面目に払っている人達が税率アップで

苦しむことになる。

 税金なんて大人の世界だと思っていたが、もうそん

なことは言っていられない。税金はとても身近にあっ

て、ものすごく重大だ。僕はもっと税について仕組み

を知り、同時に自分は将来しっかり払うべきだと思う。

 僕の両親の実家は、新潟にあります。それぞれの家

に、夫婦二人で暮らしています。母方の祖父母は、二

人で登山や旅行、サークルなどに参加し、たった二人

だけの生活でも充実した日々を送っています。一方、

父方の祖父母は、二人とも高齢の為に障害者認定を受

け、毎日市から派遣されるヘルパーさんのお世話になっ

ています。離れて暮らす僕達家族は、心配をしてもな

かなか実家へ帰ることが困難な状況です。唯一の連絡

手段である電話をかける度、祖父母の明るく楽しそう

な声が響きます。毎日接して下さるヘルパーさんのお

かげで、今まで夫婦二人の生活よりも張りが出て、規

則正しくなったからです。そして必ず、「福祉のおか

げで、私達は何も心配しないよ、ありがたいことだ。」

と言ってくれます。お世話出来ない罪悪感が、少しほっ

とする場面でもあり、そのようなサービスを供給して

くれたり、社会生活を保障してくれる制度に感謝の気

持ちで一杯になる瞬間です。

 公民の教科書で、「日本国憲法において、国民は様々

な権利を保障されてるからこその制度であっても、そ

れを支えているのは、同様に国民の義務である納税に

よるもの」だと、改めて学びました。中学校での勉強

の重要さは当然ですが、教科書の活字だけではなく、

身近な生活の中に溶け込んだ「税金」の目に見える使

い道は、僕にとってとてもわかりやすく、人々の生活

に直結した有り難いものだと映りました。しかし反面、

税金による生活の充実を認識せずに、納税する立場の

みに焦点があたると、重圧感や不公平感のみが前面に

生じ、国民の口から不満が叫ばれても仕方がないよう

な気がします。

 少子高齢化が進む日本だからこそ、子供からお年寄

りまでがわかる方法で、税金の動きや使い方を伝える

べきだと思います。難しい用語を用いた活字だけでは、

理解するのも困難ですし、税金によるぬくもりや優し

さなど伝わるはずがないと考えるからです。小学校の

入学式で頂いたあの新品の教科書を手にした喜び、整

備され安心の通学路を登下校してきた嬉しさ、連休明

けの大量なゴミを回収して頂いた安堵感、全て税金で

あるはずなのに、気付かなければ何もわからず過ぎて

しまいます。僕達義務教育を受ける子供達に、そのよ

うな身近な所から教えて頂ければ、税についての知識

が深まり、納税に対する理解が生まれると思います。

 今僕にできることは、国民一人一人が安心して生活

できる現在に感謝し、義務教育に真剣に取り組み、勉

強に励むことだと思います。そして、自分が社会を支

える立場になった時、一人でも多くの人を助けること

のできる、しっかりとした土台になることだと思いま

す。

 今日もまた、電話の向こうの祖父母の楽しそうな笑

い声と、ヘルパーさんとの明るいやり取りを聞いて、

より一層未来を担う責任を心に深く刻みました。

平成17年度

ほんま  はやと

松戸市長賞『

感謝できる安心な暮らし』

旭町中学校 三年

本間 隼人さん

松戸市教育委員長賞

『命と税金』

栗ケ沢中学校 三年

木田 千裕さん

おもて 

りょうすけ

松戸市議会議長賞

『少子高齢化と税金』

新松戸北中学校 三年

表 龍佑さん

松戸市教育長賞

『酒税』

第五中学校 三年

上村 香織さん

うえむら 

 か

おり

だ  

ひろ

 東  綾子さん 「税の役割」       (第二中学校3年)伊藤みちるさん 「税のある生活」      (牧野原中学校3年)今井 成美さん 「税について学んだこと」 (第一中学校3年)上杉 織美さん 「未来のために~税を学んで得たもの」(小金南中学校3年)

久米 麻美さん 「税について分かったこと」 (常盤平中学校3年)鈴木 伶美さん 「社会のリレー」   (小金北中学校3年)中川  爽さん 「税金の使われ方」   (新松戸南中学校3年)野  智之さん 「僕たちのための税金」  (牧野原中学校3年)平林 彩乃さん 「税について」     (小金中学校3年)宮城 宏衣さん 「税金について」    (第六中学校3年)山口はるかさん 「私たちの税金」   (聖徳大学附属中学校3年)

あずま    あや こ

い とう

いま い    なる み

うえすぎ   おり み

く  め  あさ み

すず き   れ み

なかがわ  そう

の ざき  ともゆき

ひらばやし   あや の

みや ぎ   ひろ え

やまぐち

◎ 松戸市納税貯蓄組合連合会会長賞

広報     2006年(平成18年)2月10日

 租税教育の一環として、中学生の皆さんに税に対する知識と正しい理解を深めていただくために、毎年「税についての作文」を募集            今年度は、市内22校から、3,249点の応募がありました。厳正な審査の結果、優秀作品15点が選ばれました。

しています。