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90 授業科目名 (講義題目) ベンチャー企業 開講学期 春学期 2単位 担当教員 五十嵐 伸吾 講義コード 科目区分 対象学生 選 択 2年生(1年生) 20176013 開講予定日 ①② 4/10 ③④ 4/17 ⑤⑥ 4/24 ⑦⑧ 5/1  ⑨⑩ 5/15 ⑪⑫ 5/22 ⑬⑭ 5/29 ⑮ 6/5 履修条件 必須とはしないが「企業財務」、「組織 論」、「戦略論」、「イノベーション・マ ネジメント」、「ガバナンス」、「M&Aの履修を勧める。 キーワード アントレプレナーシップ、スター トアップ、新規事業、社内ベン チャー、ベンチャー投資 全体の教育 ベンチャーに「成功の定石」は無い。 個々の状況に即した最善の意思決定を 行い、行動できる能力の向上を目指す 個別の学習 起業機会の認知。アイデアとし ての発案、スクーリーニングか ら資金調達、組織化など全般プ ロセスの理解。PBL、ケースに よる疑似体験 授業形態 (項   目) ・講義・演習 ・グループワーク、ペアワーク ・プレゼンテーション ・ディスカッション 使用する ・スライド資料(電子媒体) ・映像・音声資料 (内   容) ・ 講義:テキストを事前に読んでいることを前提として、当日講義の主要テーマを授業担 当教員による確認及び要点のより詳細な解説を行う。 ・グループワーク:そののち、ケースまたは課題に関して学生同士でグループを作り、学 生同士で話し合って課題等を進めることで、問題を読み解く視点を多角化する。 ・プレゼンテーション:グループワークののち、特定の課題に対するチームの意見や考え を取りまとめ、他のチームの学生の前で発表し、質疑応答を行う。 ・ ディスカッション:各チームによるプレゼンテーションによって多様となった視点を比 較検討し、課題を解くうえでの論点を整理し、最適解は何かを全体化する。 授業の概要 Schumpeter(1912)は、新規に創業した独立系の企業(スタートアップ)にイノベーショ ンの担い手との役割を与えた。それ以降、スタートアップは、既存企業に対して競争圧力 としてはたらき、市場効率化を促進する役割を果たすイノベーションの源泉の一つと考え られている。現実にテスラ、Uber, Facebook に代表されるように成功したスタートアップ は、世界的企業に成長を遂げたばかりではなく、一国の経済・産業をリードする存在になっ ている。一方、近年、「ベンチャー」を社内に取り込み(一般に、「コーポレート・ベンチャ リング」と称される)、あるいはスタートアップへの投資を専業とするベンチャーキャピタ ル(VC)を企業が運営する(コーポレート・ベンチャーキャピタル:CVC)の設立も活発 化している。これは企業内でいかに企業カルチャーを変革し社内から破壊的なイノベーショ ンを実現するかを模索する手段である。 本講義では、「少ない経営資源で如何に事業を立ち上げるか」について議論することに よって、新規事業の立ち上げに際するマネジメント能力の向上を目指す。 授業の進め方 1.議論の密度を濃くするために春学期2コマ連続で開講する。 2.議論の密度を高めるために、事前学習(分量は極力抑える)を求める。 3.座学、ケース討議、ゲスト講師の招聘を組み合わせ、学生主体の双方向型で講義を進 める。

授業科目名 ベンチャー企業 五十嵐 伸吾 · トアップ、新規事業、社内ベン チャー、ベンチャー投資 全体の教育 目 標 ベンチャーに「成功の定石」は無い。

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Page 1: 授業科目名 ベンチャー企業 五十嵐 伸吾 · トアップ、新規事業、社内ベン チャー、ベンチャー投資 全体の教育 目 標 ベンチャーに「成功の定石」は無い。

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授業科目名(講義題目) ベンチャー企業 開 講 学 期

単 位 数春学期2単位

担 当 教 員 五十嵐 伸吾講義コード 科 目 区 分

対 象 学 生選 択

2年生(1年生)20176013

開講予定日①② 4/10 ③④ 4/17 ⑤⑥ 4/24 ⑦⑧ 5/1 ⑨⑩ 5/15 ⑪⑫ 5/22 ⑬⑭ 5/29 ⑮ 6/5

履 修 条 件

必須とはしないが「企業財務」、「組織論」、「戦略論」、「イノベーション ・マネジメント」、「ガバナンス」、「M&A」

の履修を勧める。

キーワード

アントレプレナーシップ、スタートアップ、新規事業、社内ベンチャー、ベンチャー投資

全体の教育目 標

ベンチャーに「成功の定石」は無い。個々の状況に即した最善の意思決定を行い、行動できる能力の向上を目指す 個別の学習

目 標

起業機会の認知。アイデアとしての発案、スクーリーニングから資金調達、組織化など全般プロセスの理解。PBL、ケースによる疑似体験

授 業 形 態(項   目)

・講義・演習・グループワーク、ペアワーク・プレゼンテーション・ディスカッション

使 用 す る教 材 等

・スライド資料(電子媒体)・映像・音声資料

授 業 形 態(内   容)

・講義:テキストを事前に読んでいることを前提として、当日講義の主要テーマを授業担当教員による確認及び要点のより詳細な解説を行う。

・グループワーク:そののち、ケースまたは課題に関して学生同士でグループを作り、学生同士で話し合って課題等を進めることで、問題を読み解く視点を多角化する。

・プレゼンテーション:グループワークののち、特定の課題に対するチームの意見や考えを取りまとめ、他のチームの学生の前で発表し、質疑応答を行う。

・ディスカッション:各チームによるプレゼンテーションによって多様となった視点を比較検討し、課題を解くうえでの論点を整理し、最適解は何かを全体化する。

授 業 の 概 要 Schumpeter(1912)は、新規に創業した独立系の企業(スタートアップ)にイノベーションの担い手との役割を与えた。それ以降、スタートアップは、既存企業に対して競争圧力としてはたらき、市場効率化を促進する役割を果たすイノベーションの源泉の一つと考えられている。現実にテスラ、Uber, Facebook に代表されるように成功したスタートアップは、世界的企業に成長を遂げたばかりではなく、一国の経済・産業をリードする存在になっている。一方、近年、「ベンチャー」を社内に取り込み(一般に、「コーポレート・ベンチャリング」と称される)、あるいはスタートアップへの投資を専業とするベンチャーキャピタル(VC)を企業が運営する(コーポレート・ベンチャーキャピタル:CVC)の設立も活発化している。これは企業内でいかに企業カルチャーを変革し社内から破壊的なイノベーションを実現するかを模索する手段である。 本講義では、「少ない経営資源で如何に事業を立ち上げるか」について議論することによって、新規事業の立ち上げに際するマネジメント能力の向上を目指す。

授業の進め方 1.議論の密度を濃くするために春学期2コマ連続で開講する。2.議論の密度を高めるために、事前学習(分量は極力抑える)を求める。3.座学、ケース討議、ゲスト講師の招聘を組み合わせ、学生主体の双方向型で講義を進

める。

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教科書および参 考 図 書

適宜、論文・資料等を配布する。講義全体の参考図書としては下記を推奨する。〇エリック・リース『リーン・スタートアップ』、日経 BP 社、2012(1,980円+税)〇アレックス・オスターワルダー他『ビジネスモデル・ジェネレーション~ビジネスモ

デル設計書』、翔泳社、 2012(2,677円+税)〇アレックス・オスターワルダー他『バリュー・プロポジション・デザイン~顧客が欲

しがる製品やサービスを創る』翔泳社、 2015(3,080円+税)

試験・成績評価 の 方 法 等

出 席    30% …出席と講義への貢献をカウントする。事前レポート 30% …講義の事前準備としてレポート(A4 2枚程度)の提出をカウン

トする。最終レポート 40% …最終レポートを試験に代替する。(試験は行わない)

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第 1、2 回 目 (2020 年 4 月 10 日:2コマ連続)

<講義テーマ>「ガイダンス」「スタートアップのモデル」

<講義のねらい>・スタートアップ(ベンチャー企業)の基礎概念の理解・急成長スタートアップのモデルの理解

<ディスカッション・ポイント>・スタートアップの成長と生存・投資家と中心とする投資家のスタンス・マイルストーン設定の是非

<当日参照 DVD >DVD「e dreams」

第 3、4 回 目 (2020 年 4 月 17 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「起業機会の評価」

<講義のねらい>・「起業機会の認知と起業プロセス」・「起業機会の評価」

<ディスカッション・ポイント>・起業機会とは何か?どのように機会を認知(発見 and/or 創造)するか?・発見した起業機会をどのように評価するか?

<参考文献等>

第 5、6 回 目 (2020 年 4 月 24 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「マーケティング実践」

<講義のねらい>・使えるマーケティング~ STP および MM の活用

<ディスカッション・ポイント>・グループによるワークショップにより新たなマーケティング戦略の立案

<参考文献等>●石井淳蔵・廣田章光「1からのマーケティング」、碩学舎;第3版

授 業 計 画

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第 7、8 回 目 (2020 年 5 月 1 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「ベンチャー戦略」

<講義のねらい>・マーケティングの基礎を理解した上での戦略策定・成長ステージによる戦略の変更

<ディスカッション・ポイント>・ケース「スターバックス」のマーケティング戦略の検討・内部・外部環境の変化と戦略的対応

<ケーススタディー>ケーススタディー 「Starbucks coffee」ケーススタディー 「スターバックス:顧客サービスの提供」

第 9、10 回 目 (2020 年 5 月 15 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「ベンチャーファイナンスとスタートアップの成長」

<講義のねらい>・ベンチャーファイナンスの仕組みの理解・直接金融(投資)と間接金融(融資)の特徴と活用した場合のメリット・デメリットの理解・ベンチャーキャピタル(VC)によるマイルストーン投資とは?

<ディスカッション・ポイント>・最適な資金調達法とは?投資と融資の選択・成長戦略とビジネスモデル、組織形態、資金調達の整合性の検討

<ケーススタディー>ケーススタディー「Nancy’s Coffee」

第 11、12 回 目 (2020 年 5 月 22 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「ベンチャーファイナンスの実際」

<講義のねらい>・ゲスト講師(ベンチャーキャピタリスト)の招聘講義・ベンチャーファイナンスの実際の理解

<ディスカッション・ポイント>・ベンチャーキャピタリストが投資対象とする企業とは?・キャピタリストの投資前の評価 /投資後のモニタリング

<参考文献等>・現役ベンチャーキャピタリストによる特別講義

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第 13、14 回 目 (2020 年 5 月 29 日:2 コマ連続)

<講義テーマ>「スタートアップと組織」

<講義のねらい>・組織の基礎概念の理解~企業成長と組織デザイン・スタートアップにおける意思決定バイアス

<ディスカッション・ポイント>・企業成長の阻害要因、組織デザインと中核的マネジメント手法・意思決定バイアスの存在と弊害

<ケーススタディー>ケーススタディー「アジャム・バイ」

第 15 回 目 (2020 年 6 月 5 日:1 コマのみ、1 限)

<講義テーマ>「振り返り:アントレプレナーシップとは?」

<講義のねらい>・全体振り返りと省察・デザイン思考を用いた Blue Sky のアイディエーション

<ディスカッション・ポイント>・起業機会活用のためのアイデア拡張~逆転の発想法等・個別知識の全体化

<参照 DVD >DVD「October Sky」