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立教大学社会学部メディア社会学科 木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書 2016 年 7 月

立教大学社会学部メディア社会学科...木村ゼミ2015 年度専門演習2 報告書 1 はじめに 本冊子(ファイル)は、立教大学社会学部メディア社会学科木村忠正ゼミ2015

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立教大学社会学部メディア社会学科

木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

2016 年 7 月

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立教大学社会学部メディア社会学科

目 次

はじめに ............................................................................................................................ 1

第 I 部 卒業論文に向けた調査研究レポート ...................................................................... 3

アイドルファンコミュニティーの構築 ............................................................................. 4

大学生の Twitter 利用 ...................................................................................................... 9

若者の SNS 依存 ............................................................................................................. 14

ユーザーインターフェースデザインの実態と展望 ......................................................... 21

日本における情報発信媒体の未来の諸相 ........................................................................ 31

テレビドラマとポピュラー音楽研究―Twitter が持つ可能性― ..................................... 34

「SNS」と「オタク」のインタビュー調査現状報告 ..................................................... 38

SNSと購買行動 ........................................................................................................... 42

デジタルネイティブ第四世代に使用される各 SNS の使用用途・状況の比較、検証調査

に向けての活動報告 ........................................................................................................ 48

テレビ離れの実態と今後のテレビ業界 ........................................................................... 56

コンテンツ産業目録 ........................................................................................................ 61

サードプレイス的側面と監視論的側面から見た、SNS という空間の特性と現実空間との

関係、及び現実の定義について ...................................................................................... 65

第 II 部 社会調査分析レポート ........................................................................................ 71

Twitter の利用状況について .......................................................................................... 72

大学生の Twitter 利用 .................................................................................................... 75

LINE 上の人間関係と“リアル”の人間関係の相関性 ....................................................... 80

恋人の有無とリアル・バーチャル双方における人間のプロパティ分析 ......................... 84

LINE 上の人間関係と“リアル”の人間関係の相関性 ................................................... 93

大学生へのアンケート調査から見える「ゲーム」の今後 ............................................... 99

恋人の有無とリアル・バーチャル双方における人間のプロパティ分析 ....................... 102

若者のネット/ソーシャルメディア・SNS 利用における不安感とソーシャルメディアに

対する意識や、重視する情報の要素に焦点を当てての調査と考察 .............................. 110

コンテンツ産業目録(映像コンテンツ編) .................................................................. 131

これからのコンテンツ産業の生きる道とは。(映画産業編) ..................................... 137

SNS と幸福度の関係 ..................................................................................................... 143

第 III 部 社会調査質問票(単純集計付) ....................................................................... 152

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

1

はじめに

本冊子(ファイル)は、立教大学社会学部メディア社会学科木村忠正ゼミ 2015 年度「専

門演習 2」報告書である。「専門演習 2」は、3 年次のゼミであり、通年科目として展開され

る。

わたしにとっては、立教大学社会学部に着任して初年次のゼミであり、ゼミ生たちは、第

1 期となる。ゼミ生たちは、「メディア・コミュニケーション論」の専門家が着任すると知

らされてはいたが、具体的にどのような教員が着任するかわからないままに、ゼミを選択し

ていた。担当者もまた、国立大学の小さなコースから、私学文系の大規模な学部に移り、ど

のような学生たちが、いかなる関心をもって集まってくれているのか、五里霧中の中、ゼミ

活動が始まった。

担当者とゼミ生たち、ゼミ生たち同士、それぞれに相手のことを理解しようと模索しなが

ら、ゼミ活動を展開した成果がこの報告書である。「デジタルネイティブ」たちの情報ネッ

トワーク行動、とりわけソーシャルメディア利用を研究主題の一つとしている担当者にと

って、ゼミ生たちとの出遭いは、楽しく、教えられるところの多いものであった。「メディ

ア社会学科」の学生たちは、「メディア」というと、テレビ、新聞、雑誌などの「マスメデ

ィア」を念頭に置いている場合が多いときいていた。しかし、このゼミに集まった学生たち

は、1994 年生が中心の、高校からスマホを利用始めた世代であり、彼らにとって、LINE、

twitter、Youtube などの「ソーシャルメディア」こそ「メディア」なのだと実感させられ

た。

ゼミ活動は、ソロ活動とグループ活動、文献にもとづく議論と社会調査などのデータにも

とづく議論、いずれも大切にし、各人の得手不得手、関心のあり方で、強弱がつけられるよ

うに配慮し、構成された。具体的には、大別して、以下の 5 種類の活動を展開した。

A. インターネット研究、CMC 研究の基礎的文献読解

B. 「現代社会におけるデジタルネイティブたちのメディア・ネットワーク利用に関す

る調査研究」という大きな枠組で、既存の調査研究にもとづき、各自具体的な調査研

究課題を設定し、レポートを作成

C. 卒業論文に向けた研究課題の設定、先行研究サーベイ、議論の組み立て

D. ゼミ合宿(2015 年 9 月 15 日~17 日)

E. 立教大学生を対象とした社会調査の立案、実施、データ入力、整理、分析

A、B は、4、5 名からなる 4 グループに分かれて行った。A の活動を通してグループでデ

ィスカッション、知識を共有しながら、B の活動に向けて、各自問題意識、関心を明確化し

た。それを受け、B の活動では、各メンバーの関心を摺り合わせ、グループ毎に一定のテー

マを設定し、個別にレポートを作成することを目指した。

就職活動が、4 年生の春学期の学業に大きな影響を及ぼす傾向にあることを踏まえ、3 年

生の初期段階から、A、B の活動と並行し、それを活かしながら、卒業論文に向けた研究課

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題の具体化と取り組みを積極的に推奨した。C の活動として、秋のゼミ合宿、秋学期終盤で

研究計画、進捗報告のプレゼンを行い、学年末にレポートとしてとりまとめた。

E は、設計段階では、大きく二つのチームに分かれ、質問票を検討した。実施後は、デー

タクリーニング、コーディング作業をゼミ全員で手分けして行い、その過程で、分析関心を

共有する 3~5 名からなる 5 班が改めて形成された。 後の授業で、班毎に分析結果のプレ

ゼンテーションを行い、その後、各自がそれぞれに分析レポートを完成させることにした。

本報告書は、上記のような活動から、C、E の活動によるレポートと、E の調査票を単純

集計とともにまとめたものである。不十分な点が多いことはたしかだが、学生たちの知的成

長と関心をうかがうことができるとともに、質問紙調査は、立教生の現在を知る上で、多く

の方にとって参考になるものと思う。これを基礎に、木村ゼミでは、メディア・コミュニケ

ーションに関する立教生調査を継続していきたいと考えている。

2016 年 7 月

木村忠正

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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第 I 部 卒業論文に向けた調査研究レポート

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アイドルファンコミュニティーの構築

1.要旨

国籍、男女問わずさまざまなジャンルのアイドルが日本の芸能界には存在する。そして、そ

のアイドルに欠かすことのできない存在がアイドルを応援するファンである。本研究では、

そのアイドルのファンに焦点を当てて研究していく。アイドルと言ってもジャンルを問わ

ず膨大な数のアイドルグループが存在するため、本研究ではジャニーズアイドルのファン、

いわゆるジャニヲタを研究対象として、論を展開していく。具体的な構成として、はじめに

男性アイドルの変遷、ジャニヲタ同士で使用されている用語を解説し、ファン同士の交流方

法、アイドルを応援していくことの心理的側面、ジャニヲタによって引き起こされる購買行

動、経済効果を研究していく。基本的には文献調査を軸に行うが、論を進めていく中で、実

際にジャニヲタに聞き取り調査、アンケート調査なども行っていく。

2.主題

現在の日本国内には男女問わずさまざまなアイドルグループが存在する。本研究はジャニ

ーズ事務所に所属しているアイドル、もしくはいわゆるジャニヲタと呼ばれるジャニーズ

のファンを研究対象とし研究を進めていく。はじめに、日本における男性アイドルの変遷を

述べる。その次にジャニーズファンを研究していく上で欠かすことのできない用語を簡単

に解説したのち、ファン同士の交流方法、アイドルを応援していく上でのファンの心理的側

面、ジャニーズファンによって引き起こされる購買行動、経済効果などを文献調査、実際に

ジャニヲタと呼ばれる人々からの聞き取り調査、アンケート調査を行って研究を進めてい

く。

3.問題意識

ジャニーズのファンだけでなくあらゆる分野のヲタク達は、ネット上で知り合った人と交

流を深め、実際に会い普段から仲良くしている友達(リア友)のように接するということが

よくみられる。なぜ見ず知らずの人と趣味が一緒というだけで仲良くなれるのか。二次分析、

社会調査分析で Twitter におけるオンラインコミュニケーションについて取り上げた。そこ

から得られた研究結果を生かしながら論を進めていきたい。また、心理的側面に関しては、

いくら頑張っても手の届く存在ではないジャニーズのアイドルに対して、なぜジャニヲタ

達は熱狂的に応援し続けることができるのだろうか。応援していくには金銭面においても

相当な負担となってしまう。そして、金銭面に関連して、ジャニヲタ達の購買行動も調査し

たい。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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4.先行研究

二次分析で出てきた魅力の法則を交友関係面における先行研究としたい。魅力の法則と

は、パトリシア・ウォレス著「インターネットの心理学」第7章で出てくる。端的に説明す

ると、人は実世界において似た態度や考えを持った人々を魅力的に感じてしまい、好意を抱

く傾向がある。態度や関心の類似性が高いほどその相手を魅力的に感じてしまうというも

のであった。これがオンライン上でも適用され、趣味友達を作り、ジャニヲタ同士のファン

コミュニティーが形成されているのではないだろうか。一度も会ったことのない見ず知ら

ずの相手を、趣味が同じというだけで仲良くなってしまう現象には魅力の法則が作用して

いた。

5. 仮説

現在のジャニヲタ同士が交流するための代表的なツールをして Twitter があげられる。二

次分析の報告書でも述べた通り、「#(ハッシュタグ)」を利用して自分と同じ趣味をもつ友

達を探す光景が Twitter 上でよく見受けられる。(図1参照)しかし、つい数年前までは

Twitter ではなくジャニヲタ同士の交流ツールとして mixi が主流であった。しかし、Twitter

の普及によってこれまで利用されていた mixi が衰退してしまった。Twitter の手軽さが大

きく影響していると考えるが、mixi で展開されていたファンコミュニティーと Twitter で

現在展開されているファンコミュニティーを比較すると全く同質なものとは思えない。こ

のように感じる大きな理由として、Twitter と mixi を利用できる年齢制限の有無が大きく

関係しているのではないだろうか。以前の mixi は 18 歳未満利用禁止として形だけではあ

るかもしれないが年齢制限があった(現在では 15 歳以上は利用できるが 18 歳までは一部

の機能に制限あり)。これに対して、Twitter は 13 歳未満のお子様向けではないとしか謳っ

ておらず、年齢制限がほぼないに等しい。Twitter の普及に伴ってファンコミュニティーを

形成する年齢層が幅広くなったことがこのように感じた大きな理由なのかもしれない。言

ってしまえば Twitter は小学生でも利用できるのに対して mixi は高校3年生(人によって

は高校卒業後)でないと利用できない。Twitter と mixi の年齢制限の有無をジャニヲタ同

士の交友関係面の仮説とする。本研究ではジャニヲタ同士の交友関係面において Twitter と

mixi の比較をしていく。

6.これまでに調べたこと

6.1 アイドルの変遷

稲増龍夫著「アイドル工学」によると「日本文学における「アイドル」とは 70 年代以降

に生まれた、若者をターゲットにした歌謡ポップス歌手の総称」であり、従来のスターのカ

リスマ性や歌手としての実力よりも、「性」や「若さ」をアピールして人気を得た存在であ

ると述べられている。60 年代、 も初期のアイドルの代表格は吉永小百合であった。しか

し、当時は、まだ「アイドル」という表現はあまり使われておらず、「映画スター」という

言葉が使われていた。アイドル歌手が登場するのは 70 年代以降である。この時代のアイド

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ルの代表格として山口百恵があげられる。70 年代のアイドル界における 大のスターで歌

の内容のみならず、実人生における「生きざま」そのものが幅広い層のファンから共感を得

た。山口百恵あたりまでのアイドルは「雲の上の存在」でありファンは1人のアイドルに対

して、熱烈な愛情を持つというスタンスが一般的であった。また、70 年代には「新御三家」

と呼ばれた郷ひろみ、西城秀樹、野口五郎、またフォーリーブスらが活躍している。郷ひろ

みとフォーリーブスは当時ジャニーズ事務所の所属であり、80 年代に入ってからは、同事

務所から多くの若手男性歌手が世に送り出されることとなる。80 年代を代表するアイドル

は女性では松田聖子やおニャんこクラブ、男性では「たのきんトリオ」と呼ばれた田原俊彦、

近藤真彦、野村義男、またグループではシブがき隊、少年隊、光 GENJI らはともに 80 年

代にデビューした「ジャニーズ」である。とくにおニャんこクラブはアイドルとファンの関

係性を決定的に変えた。ちょうどこの頃からアイドル歌手が新曲を出すとイベントで全国

各地をまわり、握手会を行うスタイルが定着しはじめた為、アイドルとファンの距離が限り

なく近くなった。80 年代のアイドルは「友だち」として距離の近い存在であると捉えられ

はじめ、アイドルにスキャンダルがあっても動じないような、クールな視線がファンの中に

生まれたのだ。アイドルも自分たちと変わらない普通の人間だ、そして、その普通の人間を

アイドルに仕立て上げているのはテレビをはじめとするメディアだ。そう気づいたアイド

ルファンたちは、徹底的にアイドルを相対化し、数多くのアイドルのイベントに行っては、

それぞれのアイドルを冷静に分析するという新しいファンの特徴を見せるようになる。こ

れが、アイドルオタクの始まりだ。その後、女性アイドルは数多くの事務所から輩出される

が、男性アイドルの担い手はほぼジャニーズ事務所に絞られた。90 年代には SMAP、

TOKIO、V6、Kinki Kids、嵐、2000 年代にはタッキー&翼、NEWS、関ジャニ∞、KAT-

TUN、Hey!Say!JUMP 、Kis-My-Ft2、Sexy Zone、A.B.C-Z、ジャニーズ WEST がデビ

ューし、各メディアの取り上げられ方、CDの売上等が他事務所を圧倒する存在となってい

る。デビューはしていないものの、ジャニーズ事務所に所属しているアイドルのことを総括

してジャニーズ Jr.と呼ぶ。デビューしたアイドルに比べて、メディアの露出度はかなり低

いが、先輩のコンサート、舞台のバックダンサーとして出演することが多いため、そのコン

サート、舞台を見たデビューしたアイドルのファン達から注目をあび、そのままジャニーズ

Jr.のファンになるといった現象がよく見られる。ジャニーズ Jr.内でもユニットが存在し、

代表的なユニットが Snow Man、Mr.King、Six Tones などがあげられ、これらのユニット

のデビューを望むジャニヲタ達がたくさんいる。

6.2 ジャニヲタ文化について

ジャニーズのファンについて論を展開していく上で欠かすことのできない専門用語がある。

まず「担当」という用語だ。本来、何か一定の事柄を引き受けたり、受け持つことを意味す

る「担当」という言葉であるが、ジャニヲタ達の中では、ジャニーズ事務所に所属するアイ

ドルのファンであること、ジャニーズの中で一番好きなアイドルのことを意味する。よく

「わたしは○○くん担当です」といった感じで使用され、ジャニヲタの間では担当の対象を

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自分が も好きなアイドルとして「担当」という言葉が使用されている。「担当」という言

葉から派生して「担降り」という言葉もある。この意味としては、担当していたアイドルの

ファンをやめる、または担当のアイドルは好きなのだが、下の世代のアイドルの方が好きに

なってしまった場合に使われる言葉だ。主に「○○くんから●●くんに担降りします。」といっ

た表現で使われる。その他にも、自分と同じアイドルを好きなファンのことを「同担」、担

当を1人に絞りこむことができず、2人以上の担当がいる人のことを「掛け持ち」、ジャニ

ーズのアイドルであればみんな好きな人のことを「事務所担」と呼ぶ。このように「担当」

から派生する用語がジャニヲタの世界には数多く存在し、ジャニーズに興味がない人から

してみるとかなり異様な文化に思われるかもしれない。

6.3 SMAP 解散騒動からみる Twitter の影響力、ジャニヲタの購買行動

2016 年 1 月 13 日付けの各スポーツ新聞で国民的アイドルグループの SMAP が解散の危機

にあると報じられた。スポーツ新聞のみならず、各一般紙、各ニュース番組も大きく取り上

げ、大騒動となった。この SMAP 解散騒動の経緯としては、SMAP の育ての親であるマネ

ージャーのジャニーズ事務所の退社に伴い、SMAP のメンバーも共にジャニーズ事務所を

退社するというものであったが、メンバーの中でただ1人木村拓哉のみがジャニーズ事務

所に残留する意思があるため事実上の解散をやむを得ないと報じられた。この報道を受け

て、SMAP の解散を阻止しようと SMAP のファンが立ちあがった。SMAP の代表曲である

「世界に一つだけの花」が報道後の 1 月 15 日付けのオリコンデイリーランキングで 9 位に

なり、前日の 100 位圏外から大きくランクアップした。この現象が起きた背景としては、

13日にSMAPの解散が伝えられて以降、ファンたちはツイッターで「みんなの気持ちが

SMAPに、どうか届きますように」「また5人で歌っているのを聞きたい」などとつぶや

き、「世界に一つだけの花」の購入を呼び掛けた。各ツイートの中に「♯世界に一つだけの花

購買運動」「♯SMAPは終わらせない」などのハッシュタグを付けて意識共有し、多数のユ

ーザーが同調した。そして、このツイートに同調したファン達によって「世界に一つだけの

花」の購買運動が起こり、全国の CD ショップで売り切れが続出した。「世界に一つだけの

花」のみならず、SMAP がこれまでにリリースした CD が飛ぶように売れ、オリコンラン

キングに SMAP の多くの曲がランクインした。この一連の騒動を受け、実際にこの購買行

動が SMAP の解散を阻止できたのかは定かではないが、改めて Twitter の影響力、そして

ジャニヲタの購買力の凄さを実感した。

7.今後の課題

これまで調べてきたことはネットを介した交友関係がほとんどであったので、ジャニーズ

ファンの心理的側面、さらに購買行動について引き続き調べていく必要がある。しかし、卒

論の内容がジャニーズファンに焦点を当て、交友面、心理面、経済面の3つの観点から調べ

るつもりであるが、交友面なら交友面のみで分野を統一して卒論を書いた方がいいのかと

不安に思っている。

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図表

図表1 ハッシュタグの利用

参考文献

パトリシア・ウォレス(2001)『インターネットの心理学』、NTT出版

稲増龍夫(1993)『アイドル工学』、筑摩文庫

徳田真帆(2010)『ジャニーズファンの思考』『くにたち人類学研究』 Vol. 5 2010.05.01

http://anthropology.soc.hit-u.ac.jp/journal/2010/tokuda3.pdf

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大学生の Twitter 利用

1 主題

現在 Twitter はたくさんの人に利用されている。そのなかで大学生はほぼ全員利用してい

ることが調査を経てわかった。そこでどうしてここまで Twitter が利用されているのかと

いうことが気になった。人によってもっているアカウントの数やそのアカウントの目的、

つぶやいている内容・頻度など様々なのでそれについて既に行った調査票をもとに分析す

る。そして大学生はどのように利用しているのかを考察したい。また利用していることは

心理的面にもなにか影響を受けたり与えたりしているのかということにまで踏み込んで結

論付けたい。

2 問題意識

私は携帯を常に目の届く場所に置いていないと落ち着かず、常に電波があるところにい

て SNS を利用していたいと思う。その理由の一つが Twitter を見るためである。とにかく

私は Twitter が好きで高校生の時からヘビーユーザーである。しかしなぜそこまで人の更新

を気にしてしまうのかなぜなにかあるたびにつぶやきたくなるのか自分自身でもよくわか

っていない。このような人はほかにもいるはずで、その人たちはどうして Twitter に依存し

てしまっているのか知りたいと思った。それだけではなく逆に依存せずにいられる人はど

のように Twitter を利用しているのかなども気になった。わたしのようにヘビーユーザーな

人はいるのか、またその人たちはどのように Twitter を利用しているのかという疑問がで

た。そして実際に調査を行ってみると立教生の9割が Twitter を利用していることがわかり

大学生に焦点をあて Twitter と大学生の関係を見ていきたいと思った。

3 仮説

大学生にとって Twitter は利用していて当たり前の SNS になっていて利用しはじめた理

由多くはみんなが利用しているからというものであると思う。友達の輪を広げるため、また

友達との仲を深めるために主に利用していると考える。また 新の情報を常に取得するた

めに常にチェックしたいという欲にかられると考える。利用で頻度は暇になったらチェッ

クするというスタイルで毎日1度は必ずTwitterをひらいているくらいの人からTwitterを

見るための時間を作る人まで幅広くいるとおもう。そしてその利用頻度が高いほど友情関

係は広く交際人数も多いという結果になるのではないかと思う。また見る方にもつぶやく

方にもそれぞれ利用したいと思うような理由があると考える。見る方は新しい情報を常に

取得していたいという思いと友達がどのようなことをしているのか知りたいという思いか

らでつぶやく方は友達のツイートをちゃんと読んでいるよという合図であり仲を深めるき

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っかけにもなるということや自分のまわりであったことをみんなに報告し誰かに反応して

ほしいという思いからであると考える。

4 明らかにしたい論点

LINE や Facebook など数々の SNS をつかいこなす大学生にとって幅ひろい世代に利用さ

れている Twitter とはどのような存在なのかということ。なんのためにどのくらい利用して

いて、その利用によってなにを得ているのかということ明らかにしていきたい。LINE や

Facebook など数々の SNS をつかいこなす大学生にとって幅ひろい世代に利用されている

Twitter とはどのような存在なのかということ。なんのためにどのくらい利用していて、そ

の利用によってなにを得ているのかということ明らかにしていきたい。

5 先行研究

Twitter を介したつながりの感覚一女子大学生へのインタビュー調査から-

本研究では、Twitter をアクテイブに利用している女子大生を対象とした半構造化インタビ

ューから、Twitter を介したつながり感覚を概念化し、その関連について考察した。そこか

らは『ゆるさと気軽さ』『場の共有』といった Twitter ならではのつながり感覚の特徴が見

えてきた。その一方で、そのような“ゆるやかなつながり”でありながらも、他者の存在や反

応を強く意識する様相も浮かび、上がってきた O 繰り返し述べているように、本調査を実

施した 2012 年当時には Twitter は、特に若い女性の間で、親しい友人・知人間のコミュニ

ケーション・ツールとして利用されていた。これは、それまで標準的なコミュニケーション・

ツールであった携帯メールが、非常に“強いつながり”の感覚をもたらし、そのことによる“つ

ながりの圧力”とも言える影響から逃れる一つの選択肢ではなかったかと推察される。親し

い友人・知人同士のコミュニケーションや連絡手段としては、主として LINE が利用され

ている一方で、Twitter の利用のされ方としては、親密な関係におけるコミュニケーション・

ツールというよりは、顔の見えない多数の他者に向けた即時的な情報の発信・拡散・共有の

ためのツールとなっている。今日の 20 代、30 代の人々は、携帯メール、Twitter、LINE と

主たるコミュニケーション・ツールを変遷させ、あるいは使い分けているのだろう。 初に

も述べたように、使うツールが変わることで、コミュニケーション行動のみならず、対人関

係のあり方そのものにも影響を及ぼすと考えられる。今後は、いわばデファクトスタンダー

ドとして LINE を利用する中学生、高校生などの若年層を中心に、再び携帯メールのよう

な“強いつながり”を指向しているのか、それとも LINE に特有なつながり方をしているの

か、それらのつながり感覚が対人関係にどのような影響をもたらしているのかについて検

討する必要があると考えている。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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6 これまでにわかったこと

木村ゼミで行ったメディアに関する社会調査を分析し以下のことがわかった。

6.1 利用率・利用頻度

まず木村ゼミで行ったメディアに関する社会調査では 9 割もの学生が現在 Twitter を利

用している。そして全体の 8 割もの学生が日に 2,3 回以上は Twitter を利用しているとこ

たえている。数字的には少ないがこれはこの問いの選択項目の中で一番頻度の高いものに

なっているので実際にはもっと利用している学生がいると考えられる。他の SNS と比べて

みると LINE は Twitter よりも利用率が高く 98%が利用している。Facebook は 7 割が利

用と利用率は低くまた頻度もバラバラでただ登録していてたまにみることがあるといった

結果であった。頻度はグラフ 1(1.100 回以上 2.50~99 3.20~49 4.10~19 5.1~9

6.1 回未満)のとおりで半分以上は 1 日 20 回以上 Twitter を利用している。1 回未満とい

う人もいる中で 100 回以上利用する人もいる。

6.2 アカウント

アカウント数の平均は 2.2 と思っていたより少なかった。この数字をみるとみんが 2 個は

もっているというように考えられるが実際には複数持っている人はたくさん持っていて

40%の学生たちは 1 個しか持っていない。2 つ目のアカウントを作る目的として一番多かっ

たのは趣味で 2 番目に多かったのは裏アカというものだ。どちらも一つ目のアカウントで

はつぶやけないようなことをつぶやくためにつくられるものである。つぶやく側がリアル

な友達の前でつぶやくことはきがひけるという思いとみる方が嫌な気分になってしまうの

ではないかという配慮である。この裏アカというものは主に本当に仲の良い人、身近な人な

ど自分をさらけ出せる相手だけをフォローしたものでつぶやく内容も個人的なものであっ

たり弱音をはいたりときには悪口をかいたりと多くの人には見られたくないものが多い。3

つ以上もっているひとはこの趣味と裏アカを両方使っていたりさらに情報を収集するため

にアカウントをもっていたりする。そのアカウントにはフォロワーはなく自分がほしい情

報をつぶやいてくれるアカウントをフォローしたり bot といわれるアカウントをフォロー

したりする。

6.3 フォロー数と内訳

次にアカウント数のところでもすこし話にでているフォロー数・フォロワー数の数であ

る。それぞれの平均は 294.4 と 302.6 である。LINE の友達数の平均は 263.3 人でありその

数字とそれほどかわらない。Twitter のフォロー数と LINE の友達数には相関関係も見られ

どちらかが多いほど片方も多かった。なので Twitter のほうが必ずしも広く浅い友人関係の

ための SNS ではないということでありそうだ。しかし家族となるとやはり LINE でしかつ

ながっていないようであった。Twitter のフォロー数の内訳は表1である。一番多いのはや

はり普段よく会う友人・知人(学校・バイト)であった。その次は殆ど会う機会がない友人・

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知人(学校・バイト)であった。やはり普段よく会う、会わないというのはさほど関係がな

く学校やバイトの友人という身近な人が多い。趣味関係のフォロー数を見てみると普段よ

く会う人、ほとんど会う機会がない人、会ったことはない人どれも同じような数字だ。趣味・

関心が同じであれば会ったことがなくてもフォローをしている。これはアカウント数のと

ころででてきた情報を得るためという目的のためでもあるのではないかと思う。しかしそ

れとは別に bot や情報収集のためのアカウントもフォローしている。また芸能人・タレン

ト・有名人などもフォローしている。

ツイート数

ツイート数の平均は 4777 であった。しかしこれはいつから Twitter をはじめたのかがわ

からないとツイート頻度は分析できない。私は 5 年ほど利用しいていて 1 万 2 千ツイート

を超えている。しかしだいたいの学生は大学入学時にはじめているとし、1,2 年生の回答者

が多かったことも考えると年間平均 2 千ツイートほどと考えられる。1 日に換算すると 5,6

ツイートほどである。2 個目のアカウントのツイート数の平均は 1486 人と 1 つ目のアカウ

ントと比べ少ない。やはり 1 つ目のアカウントを一番利用しいている。

利用と交際関係

Twitter の利用と恋人数・友人数については Twitter のフォロー数と LINE の友人数には

相関関係がみられた。数はそんなに多く差はなくどちらかが多いほど多い。Twitter の友人

と交友関係についてはフォロー数と LINE の友人数、ツイート数と LINE の友人数両面か

らみてもほぼ相関はみられなかった。また同じように恋人数も見てみたが同じくほぼ相関

はみられなかった。しいていうなら少し見られた傾向はツイート数が少ないほど恋人数が

多いという傾向だった。Twitter 利用の高い人の回答を個人的にみてみても恋人数は 0~4

とばらついていた。

結果

立教生の 9 割は Twitter を利用している。他の SNS と比べると LINE よりは低く

Facebook よりは高い。そして利用者の 8 割以上は 1 日に 2,3 回以上は Twitter をひらい

ている。またなかには 100 回以上 Twitter をひらいている人もいた。なにか伝えたいこと

や知りたいことやイベントがあるときにひらくのではなくまた 1 日一回ひらくというので

もなく日常的に Twitter を利用していることがわかった。またツイート数を見てみると平均

5000 近くでありただ情報を得るためだけに利用しているわけではないことが分かった。大

学に入学と同時に始めた人が多いとことや回答者に 1 年生が多かったことを考えると 1 年

で 2000 以上、1 日に 5,6 ツイートほどしていることになる。このツイートにはリプとい

われる返事も含まれるのでやりとりが続くと 5,6 ツイートはすぐにできてしまう。今後は

ツイート内容についてもみていきたい。フォロー数については LINE の友人数の平均を大

きく上回ると仮説を立てたがそんなことはなく少しLINEの友人数の方が多い程度だった。

フォローの内訳はやはり普段会う学校・バイト関係の友達が一番多かったが会う機会がな

い友達もフォローしていた。また趣味関係の友達はよく会う友達、会う機会がない友達、会

ったことのない友達どれもだいたい同じような数字であった。この会ったことない友達と

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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繋がれるのも Twitter ならではの結果になったなと思う。しかしただ友達の輪をひろげるの

ではなくここでは同じ趣味をもつ友達というのがポイントである。そしてこの趣味の友達

を増やすためや情報を集めるために普段使っているものとは別に趣味用のアカウントを持

つ人も多くいる。アカウント数の平均は 2.2 であり半分以上の学生が 1 つ以上アカウント

をもっている。その利用目的の 1 番は趣味用である。また芸能人や有名人をフォローする

ことも Twitter ならではの特徴である。そして Twitter 利用と交際人数については関係なか

った。Twitter のフォロー数と LINE の友人数は相関関係にあったが利用頻度と LINE の友

人数、ツイート数と LINE の友人数は関係なかった。またそれぞれと交際人数にも関係は

なかった。なので Twitter を高頻度で利用するからといって友達が増えるわけでも恋人がで

きるわけでもなかった。

このように Twitter の利用をみていくと立教生は友達と繋がるためと趣味を充実させるた

めに日常的に Twitter を利用している。しかし友人数を広げるためや交際人数を増やすこと

にはつながらない。

今後の課題

まだ論文や文献を全然読めておらず SNS の基礎知識や SNS を利用する心理などが不足

しているのでもっともっと論文・文献を読んで幅広い知識を身に付けて新しい視点からみ

ていきたい。分析の面ではさらに Twitter の利用と友人関係について調べていき、さらに次

はどのような内容のことをつぶやいているのかということを実際にリアルタイムで観察し、

分析し利用目的を調べていきたい。また Twitter の機能にあるアンケートなどをつかって実

際 Twitter を利用している人の声をきくことを考えている。アンケート内容としてはなぜ

Twitter をはじめたのか、なぜ利用しつづけているのか、つぶやくのはなぜか、つぶやくだ

けでなくタイムラインをチェックするのはなぜかというようなことを考えている。メディ

アに関する社会調査のなかにもまだ分析できていない課題が多々あると思うのでそこの分

析も進めていきたい。依存などの心理的な分野に踏み込んでいくにはさらに心理系の知識

も必要になっていくと思うのでそっちのほうの文献も参考にしたい。

参考論文

中山満子・二宮麗

Twitter を介したつながりの感覚一女子大学生へのインタビュー調査から-

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若者の SNS 依存

要旨

本研究では、近年問題視されている若者の SNS 依存について研究する。まず、現代社会

に普及している LINE や Twitter、Snapchat、Facebook、Instagram などのソーシャルネ

ットワークサービス(以下 SNS)を複数利用することに、人々の心理がどのように影響して

いるか明らかにする。SNS に依存してしまう原因として、SNS の利用から得られる満足感

と孤独感が大きく影響しているのではないだろうか。SNS の特徴である、常に相手を身近

に感じることができるということは、メリットとデメリットの両面を持っている。「SNS 疲

れ」という言葉が出てくるようになったことからも、SNS 利用から得ている精神的なもの

は個人差が大きいと言えるだろう。若者が SNS 離れをすることは今後起こり得るのだろう

か、現状を確認した上で考察していく。

1. はじめに

近年、インターネット依存やオンラインゲーム依存といったように、SNS 依存がうたわ

れ始めている。私たちは複数の SNS を状況によって使い分けており、同じ人と異なる SNS

を通じて、同じ時間に複数のメッセージを送り合うこともある。同時に複数の SNS を利用

する理由とは一体どのようなものなのだろうか。一つの媒体で済ますことは出来ないのだ

ろうか。それぞれの SNS によって、その持つ特性は異なる。例えば、LINE は個人的にや

り取りをするものであり、Twitter は鍵付きのアカウントであればフォロワー全員に、鍵な

しのアカウントであれば不特定多数の人に自分のツイートを公開している。周知の通り、

LINE は返事を求める内容が多く、Twitter はあくまで呟きであり、ツイートすることは誰

かに返事を求めての行為ではない。また、Snapchat は先に述べた 2 つとは異なり、送信内

容が自分にも相手にも残らない為、瞬間的な共有が出来る SNS であると言えるだろう。こ

のように、機能の違いがあることによって、私たちは多数の SNS を使い分けていると考え

られる。しかし、機能の違いだけが、人々が複数の SNS を同時的に使い分ける理由である

と言えるだろうか。私はここに、SNS 利用目的の達成に対する満足感に加え、自身の存在

確認や孤独への不安といった心理的な原因があると考える。そして、そこに SNS 依存の原

因が隠れていると考える。SNS 疲れという言葉までも社会に流れるようになった今、SNS

の使い方を一度考え直してみるべきではなかろうか。

~仮説~

・オフラインでの人間関係が上手くいかず、オンライン上に繋がりを求める。その結果、

オンライン上のコミュニティに依存してしまう(=SNS 依存)。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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・オフラインの関係をオンライン上に持ち込むことによって、オフラインでの繋がりが

あるからこそオンライン上でも繋がっていなければならないと思い、SNS での繋が

りから抜け出せない。

・SNS も流行の 1 つと言えるのでは。(Snapchat とか)→全てが廃ることはまず考えら

れないが、一部はいずれ廃るのでは。

・SNS 疲れを感じている人は、それほど SNS に依存していない。

・依存の問題は、依存している自覚がなく、のめり込んでしまう人がいること。

・SNS に依存しない為に、使い方を改める必要がある。(どのように)

2. SNS の利用実態

ソーシャルメディアの利用実態としては、2011年の時点で1つ利用している人が 17.5%、

複数利用している人が 25.4%である(情報通信白書、表 2)。更に同書によれば、「利用者は、

現実の知り合いと SNS 上でも知人になることで SNS に現実の世界での人間関係を持ち込

むこともできるし、あるいは SNS 上で新たな人間関係を構築して利用者同士のコミュニケ

ーションを図ることも可能である。普段会ったり電話等で会話をすることが少ない知人と

SNS 上で頻繁にやり取りをしたり、SNS を通じて昔の友人と『再会』しつながりを復活さ

せる人もいれば、趣味等を同じくする人と SNS 上で知り合い、情報を交換し、友人となる

人もいる。」という(情報通信白書、2011)。このように、オフラインからオンラインだけで

なくオンラインからオフラインへ繋がることもある。

Twitter において遊びに行った内容を写真と共にツイートするという行為は、私自身もた

まに行っているが、そのようなツイートは楽しかったアピールやリア充ツイートと言われ

ることがある。自己満足の為の行動であると考えられるからであろう。このようなツイート

は、自分の存在を多くの人にアピールしたいという自己顕示欲が見受けられる。表 2 より、

「知人・友人に読んでもらいたいから書き込む」という数値が高いのは自己顕示欲の現れで

はないだろうか。もしくは、自己を発信することで、孤独感を埋めようとしているのではな

いだろうか。

また、「天空の城ラピュタ」がテレビ放映された際、「バルス」というツイートが大量に見

受けられ、話題となった。宮木によれば、「発信することで、自分が今それを見て楽しんで

いることをリアルタイムで伝え、同じように楽しんでいる人たちとその感覚と時間を共有

することで、つながり感を楽しみ、それによってテレビ視聴をライブとして楽しんだと考え

られる。」という(宮木、2012)。この場合、ただ呟くのではなく、その瞬間を共有し、つな

がるということに重きが置かれている。「スマートフォン・パソコンの向こうの相手が、『今

何をしているのか』それ自体を知りたいのではなく、自分の能力や意見の妥当性を計りたい

というのでもなく、相手が何をしているのかを知ることで相手を身近に感じることが、SNS

の重要な機能の 1 つとなっている。」これは、他者と繋がっているという満足感、幸福感を

与えているのではないだろうか。

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3.孤独感

直接的な関係が上手くいかない時、他者と上手く関われず SNS 上の間接的な関係に走る

人がいる。誰かとつながっていたいと思うからこそ、SNS にすがってしまうのだろう。五

十嵐によれば、「学校や職場で感じる孤独を解消しようと,インターネット上のコミュニテ

ィで新しい居場所を探すことは,短期的な孤独感の解消には有効であっても,長期的に見た

場合に必ずしも問題の根本的な解決につながるとは限らない。逆に,インターネット上での

社会的ネットワークへの依存度を深めることは,身近な現実場面における人びとの社会的

な適応を阻害しかえって孤独感を高めてしまう可能性もある。また,コンピュータを介した

非対面の間接的なコミュニケーションと,対面の直接的なコミュニケーションとでは,対人

関係の形成・維持における心理的なプロセスが異なることも考えられるだろう。」という(五

十嵐、2009)。また、リレーションシップオーストラリアの 2011 年の調査によれば、SNS

を多数、かつ頻繁に利用している人程、孤独を感じているという結果が出ている。以上のこ

とから、①日常生活における孤独感から SNS の利用に走り、見知らぬ人とコミュニティを

形成する②日々満足しており、更にこの満足感を高める為に SNS を利用する③日々満足し

ているが、SNS を利用することにより、今までは感じなかった孤独感への不安に陥るとい

った 3 つのパターンが考えられる。SNS を多く利用していても孤独を感じていない人は多

数存在しており、寧ろ絆が深まったと満足感が大きい人もいる。また、Twitter のフォロワ

ーが増えると、逆に孤独感が増すという研究もある。多くの人に自分のツイートを見られる

ことで、身近な人と Twitter 上で関わりにくくなることが原因だ。繋がりが大きければ大き

い程いい訳ではないようである。

4.SNS 疲れ

・「『SNS 疲れ』に繋がるネガティブ経験の実態」より引用

デジタル大辞泉では「SNS 内でのコミュニケーションによる気疲れ」とした上で

SNS の長時間の利用に伴う精神的・身体的疲労のほか、自身の発言に対する反応を

過剰に気にしたり、知人の発言に返答することに義務感を感じたり、企業などの SNS

で見られる不特定多数の利用者からの否定的な発言や暴言に気を病んだりすること

を指す」と説明している。つまり「SNS 疲れ」とは、身体的疲労だけでなく精神的

疲労も伴い、自身が発信を行っていなかったとしても陥る可能性のあるものと言え

る。

・若者に広がる”SNS 疲れ”は日本の社会をどう変えてしまうのか

(http://www.excite.co.jp/News/column_g/20140405/Economic_33318.html)

・つながることは本当に幸せかー「つながり疲れ」を感じていませんか?

(http://diamond.jp/articles/-/20420)

→これらを参考に、SNS 疲れの定義を確定する。

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※どこまでネットから引用してきてよい?

先行研究や参考にできる論文は少なめ。しかし、ネット上で話題としているペー

ジは多い…(企業ブログや個人ブログ)

SNS 疲れという言葉は私自身の周りからも聞くことがあり、 近では Twitter の

アカウントを削除する友人も出てきた。LINE は簡単に連絡を取ることが出来る便

利なアプリケーションであり、主要な連絡手段となっている為にアカウントを削除

する人はあまりいないと考えられるが、Twitter は人の動向がタイムリーに分かっ

たり、コミュニティに属する者として Twitter 内で絡む必要があったり、またタグ

付けの機能を嫌がる人もいたりと、周りの眼を意識しなければならない場合がある

ことが原因であるように考えられる。

5.SNS 依存

どの状況から依存しているというのか定義する。

(「青少年のモバイル利用とネット依存」の中の、ネット依存尺度参照)

依存している人は今のままの使い方でいいのか。

脱 SNS 依存したい人々もいるのではないだろうか。

大人になるにつれて、依存度の割合は低くなっているといえる。

6.依存することの問題点

具体的な目に見える影響

社会心理学の観点

どうすれば回避できるか。

依存しないためには何をしたら良いか。

7.脱 SNS 依存

そもそも、自分が SNS に依存していると自覚しているとは限らない。また、その状況に

嫌気を感じているとも限らない。この場合の人と自覚のある人とを区別して考察する必要

がある。また、SNS 疲れとどのような関係性があるだろうか。引きこもりの問題との関係

性は、どのように解決する必要があるだろうか。(引きこもりから SNS 依存。SNS 依存症

から引きこもり。)

8.SNS との今後の付き合い方

SNS の発展により、私たちは瞬時にれんらくを取り合うことができるようになった。待

ち合わせ場所が分からなくなったり、大幅な遅刻をして相手に迷惑をかけたりすることも、

SNS によって 小限に抑えられていると言えるだろう。SNS が存在しなかった頃と比べる

と非常に便利な世の中になり、SNS がない生活に戻ることは非常に難しい。しかし、便利

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になったからこそ昔にはなかった社会問題が出てきており、それをまた新しい発想で解決

していかなければならない。私は、SNS が存在しなかった時代と現代の中間、すなわち、

携帯電話が普及し始めた頃が一番利用者にとっての問題点が少なく、好ましい状態で使用

できていたのではないかと思う。利用者である私たち一人ひとりが使い方を改めるべき時

代にきているのではないだろうか。

課題

引用範囲の確認が必要。CiNii ではあまり参考にできる論文がない。

個人ブログから引用するわけにはいかないので、区別をつける必要あり。

個々人によって異なってくる結果内容ではあるが、きちんと結論付けれる内容にする。

若者の範囲を定める。中高生を含むと、いじめの問題にも関係が出てくる。

現段階では上記の 1~8 を中心に本論をまとめていくつもりだが、具体的な先行研究を見

つけられていないので、適宜変更していく。また、仮説がまとまっていないので、一つの繋

がりにまとめて考察する。

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図表

図表 1 (情報通信白書)

図表 2 (青少年のモバイル利用とネット依存)

モバイルによるウェブサービス利用頻度とインターネット依存モバ

イルによるウェブサービス利用頻度(日数換算/月) インターネット

依存得点 友だちとメールする -0.08 ** ネット動画を見る(Youtube,ニコニコ動画など) 0.06 † ソーシャルメディア(mixi,facebook…)に書き込む 0.04 ソーシャルゲーム(ソーシャルメディア上で提供されるゲーム)をす

る 0.02

ソーシャル以外のオンラインゲームをする -0.01 無料通話アプリやボイスチャットを利用する(Skype や LINE など) -0.05 † 文字チャット・メッセンジャーを利用する 0.03 匿名掲示板を利用する(2ちゃんねるなど) 0.10*** 学校サイトを利用する(クラスや学年の SNS・掲示板・交流サイト) -0.02 メル友募集・出会い系のサイトを利用する 0.06 *

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音楽をダウンロードする(着うた・着メロも含む) 0.03 写真や画像をダウンロードする(待ち受け画像なども含む) 0.01 自分で撮った写真や作った画像をサイトに投稿したり、友だち・恋人

などと共有したりする 0.09 **

ショッピングやオークションをする 0.00 ネット小説・ウェブコミックを読む 0.10*** ホームページやブログを見る 0.00 性別 -0.02 年齢 -0.05 † n 1423 F value 6.7*** Adj R-Sq 0.07

参考文献

・ 『インターネットが壊した「こころ」と「言葉」』森田幸孝、2013、幻冬舎ルネッサン

ス新書

・ 『デジタルネイティブの時代-なぜメールをせずに「つぶやく」のか』木村忠正、2012、

平凡社新書

・ 「ソーシャルメディア・パラドクス:ソーシャルメディア利用は友人関係を抑制し精神

的健康を悪化させるか」河井大介、2014、(社会情報学 第 3 巻 1 号より)

・ 『インターネット心理学のフロンティア』三浦麻子、森尾博昭、川浦康至 編著、2009、

誠信書房

・ 『ウェブ社会の思想〈偏在する私〉をどう生きるか』鈴木謙介、2009、日本放送出版協

・ 『ネット依存症』樋口進、2013、PHP 新書

・ 「多様化する SNS の利用目的」宮木由貴子、2012、研究開発室

・ 「情報通信白書」

・ 「次世代 ICT 社会の実現がもたらす可能性の関する調査研究」2011、総務省 情報通

信国際戦略局 情報通信経済室

・ 「『SNS 疲れ』に繋がるネガティブ経験の実態 : 高校生 15 名への面接結果に基づいて

(研究)」2013、一般社団法人社会情報学会

・ 「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査」2013、総務省 情報通信政策

研究所

・ 「青少年のモバイル利用とネット依存―東京大学橋元研究室・総務省情報通信政策研究

所共同研究から」

・ (講義で実施した調査結果も使用する)

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ユーザーインターフェースデザインの実態と展望

要旨

電子機器利用者の拡大によりその顧客の満足度を高めることが技術者およびデザイナーに

とってのマストな課題となる時代となった。中でもデザインによる利用者の意識や行動の

変化という点に着目すれば、その話題性、利便性について考慮しても十分に分析するに値

する分野となり得る。ここで電子機器流通の歴史の変化を元来のデザインの変化と共に考

察していくことで、その時代ごとに必要とされたユーザビリティも見えてくるのではなか

ろうかとの仮説の下、実例の整理をもしていくこととする。UI(ユーザーインターフェー

ス)デザインにおけるスキュアモーフィズムとフラットデザインについても比較していく

ことで今後の我々ユーザーがどのようなデザインを評価し、制作側もどのような形での開

発を促進し、それに応えてゆくのか、その展望も予測していきたい。また 後に先行研究

として存在している UI デザインに関するワークショップでの例を分析することで、デザ

イン新時代における新しい手法にも触れ、独自のアイデアも交えて紹介しながら考察して

みたい。

はじめに

インターネットの普及に伴い爆発的な流行と一般化を見せている PC、スマートフォンな

どの電子機器であるが、それらの安定したポジションの確保のために日々工夫が凝らされ

ている点がある。それがユーザーの、より快適な使用を目的とした「ユーザーインターフ

ェース」と呼ばれるものだ。これはハードウェア、ソフトウェア双方において用いられる

概念であるが、どちらにしても大きく共通している点がある。それは「コミュニケーショ

ン」と密接な関係が存在する点だ。本来媒介と他媒介を接続させる意味でのハードウェア

におけるインターフェースという言葉と、プログラム内におけるデータのやりとりのため

に工夫され、その仕様を指すソフトウェアにおけるインターフェースという言葉は別の次

元の存在のようにも感じる。しかし前者は物理的な媒介同士のコミュニケーション、後者

はユーザーと電子機器自体とのコミュニケーションという点において、その根本での類似

性を確認することができる。近頃ドコモグループの iPhone の宣伝文句の「iPhone じゃな

きゃ、iPhone じゃない」というものが話題になっているが、これはハードウェアとソフト

ウェアの一体開発が進んでいるということである。ここにもその共通の前提を見て取るこ

とが可能だ。

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導入

さて私が興味を持ったのは、上記を踏まえた上でのソフトウェアにおけるユーザビリティ

の変遷と実状である。今や日本国内において圧倒的なシェアを誇る Apple 社の「iPhone

シリーズ」であるが、無論私もその愛用者の一人である。そのソフトウェアにおけるイン

ターフェースについて考察していた時に、現在のアップデートデザインに馴染み、違和感

なく利用している自分を発見した。それこそがユーザビリティの追求の成功である裏づけ

にもなっているが、ここで一つの違和感を覚えた。アップデートするより以前のアイコン

やそれに伴う操作法をふと思い出したからである。そしてそれらの調査を進めるにつれ

て、そこには UI(ユーザーインターフェース)デザインという一つのコミュニケーション

の歴史を有したジャンルが確立されており、抜本的なインターフェースのデザイン形態の

変化を経て現在のスタイルになっていることを知った。以降はその歴史の変遷とこれから

の展望について、述べていきたい。

従来のデザイン

電子機器のシェア率が未だ流通途上だった時代、それらの精巧さを伝える手段として「リ

ッチデザイン」という名のデザイン手法が用いられた。アイコン、ツール等はグラデーシ

ョンやドロップシャドウなどを効果的に用いてより立体的に示された。リッチデザインの

一つとも言う事が可能なスキュアモーフィックデザインにおけるリアルオブジェクトの模

倣もその一部と考えることが出来る。如何にして現実に近づけるかに重きが置かれたこの

時代では、よりリアルなビジュアルが追求されていたのだ。そしてこのデザインのメリッ

トがもう一つある。そのデザイン自体がそれらの使用法を示すことや、そのヒントとなる

ような思考を誘導してくれるマニュアルのような役割を果たしてくれる点である。例

を挙げると iPhone の IOS6のボイスレコーダーに表示されるリアルなマイク、計算機能

ツールに表示される電卓などがある。電子書籍のタブレット端末におけるリアルな本棚の

グラフィックや本物の文庫本のようなページの演出などもこれらに分類される。マイクな

らそれに向かって声を吹き込む、ページなら右から左にめくってみるといった行動に自然

に人間がたどり着くことが期待できるのである。これなら初めてのユーザーであっても、

それぞれ使い方を調べずとも迷わず利用することが可能となるのだ。

現在のデザイン

しかし時代は変化した。その変化の大前提として、以前は途上だった電子機器の流通の確

実な浸透が挙げられる。ここまで来るとデザイナーからの「ユーザーへの期待」が発生

し、その上でのよりハイレベルな地点に重心が変化する。そしてここではデザイン面と単

純な機能面での二つがポイントとなる。どういうことかというと、まずは今まで自然と使

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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用法に誘導されることでリッチデザインに浸かったユーザーは、その経験値から画面を見

るだけである程度スムーズな行動が可能なレベルまで進化しているのではないかという事

だ。これがユーザーへの期待である。そしてその期待を踏まえた上で機能的な側面、そし

てコンテンツそのものに重きを置くと、アイコンの簡素化へとつながる。シンプルへの回

帰、艶を抑えてあえて二次元的なデザインをとることでユーザビリティを向上させ、さら

には単純化からその恩恵を受ける容量、ロードのスピードなどの改善も見込んだ方針転換

である。その他、技術が進歩することで高解像度化が進み、より鮮明な画像の表示が求め

られている現代ではそれらのニーズに関しても深く関係するレスポンシブデザインも新し

いデザインスタイルの基盤となるものである。それらを踏まえたものが、現在利用されて

いる iPhone の IOS7以降のアップデートに見られる「フラットデザイン」である。また

これはスキュアモーフィックデザインの対になる存在として認知されている。ビビットお

よびパステル調の統一された世界観のトーンを基調色として馴染みやすく、親しみやす

く、そして操作のしやすい細部まで工夫を凝らしたものである。しかしシンプルに回帰

し、フォルムや色彩にも工夫を凝らしたこのフラットデザインであるが、例に挙げたアッ

プデートが実装された時の賛否は両論であったのだった。技術者やデザイナーからユーザ

ーへの信頼の上に成り立った簡略化であったため、その期待通りのパフォーマンスを出来

たユーザー(主に若年層)と急な流れに取り残され不便を感じたユーザー(主に年配者)

の2パターンの人間に分かれてしまったのをその原因とみて間違いないであろう。

リッチデザイン、フラットデザイン双方の特徴を踏まえた上での比較にあたり、IOS6

と IOS7以降を対象にしようと思う。アイコンの見易さ、識別のしやすさを含めた好感に

関して言えば初めは酷評であったフラットデザインがカメラ、ゲームセンター、サファリ

の三点を除いては勝利していたというユーザーアンケートの結果も出ている。初めのうち

は見慣れない存在に違和感を覚えるということは当たり前のことであり、それにもじきに

慣れて愛着が湧くのが人間である。リッチデザインを好みながら現在 IOS8を楽しく利用

している私がいい例である。そしてもう一つ人間の流されやすい特性もここには働いてい

る。Apple 社は 先端で、そのデザインはこの上なく現代的で芸術的であるという固定概

念のような考えが我々、特にユーザーの中心となる若者には根付いている点だ。新作を発

表すればそれはたちまち話題の的となり、あれやこれやと感想が飛び交い、 終的に特定

のポジションに落ち着く。こうした流れが時代を作り、そしてさらなる若者の固定観念の

強化につながることとなったのだ。事実としてフラットデザインは一つの流行となり、ス

キューモフィズムは時代遅れとなっている。ここから何がスタイリッシュであるか、何が

本当のニーズであるかは、ある程度はデザイン制作側が誘導可能なこともわかった。な

お、ここでいう「本当のニーズの誘導」というのはリッチデザインに慣れてはいたものの

フラットデザインというものを提示されるまではそこに不便さもそれ以上の発展への期待

も込めなかった我々に、改めて新しいデザインに触れた時、さもそれを以前から自分達の

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求めていたもののように感じさせることが可能であるということである。

UI と UX

ここでまた違った観点から分析をしてみる。ユーザーインターフェース(UI)という

言葉によく似たユーザーエクスペリエンス(UX)について考えてみたい。この二つの違

いとしては様々な工夫による使いやすさのことを UI と呼ぶのに対して、一連の使用での

満足感や感動そのもののことを UX と呼ぶ点にある。なおここで「一連の」と表記したの

はこの UX は使用上の満足感に限らず、使用にあたっての事前よりの期待や使用後の感動

についてもカバーした言葉だからである。ここで考えるべきはこの二つの言葉の関係であ

る。まずは UI から見た UX だが、使いやすさを追求することが確実な感動や満足感につ

ながるかと考えるとそれは必ずしもそうとは言えない。使いやすさの追求には切り捨てる

部分や多少の強引さなどが存在するからである。それ故に不便を感じるものも、新機能に

対してネガティブキャンペーンをする者も現れる。しかし逆はどうか。使用時の感動や満

足感のためには、使いやすさの追求は確実と言っていいほどマストなことである。簡単な

数学用語を用いて考えるとわかりやすい。UI は UX の十分条件であり、UX は UI の必要

条件であると表すことが出来る。

上の考え方を踏まえた上で改めて考える。これからもユーザーはより高いレベルでの

「感動」(UX)を期待し、求めるであろう。そして制作側もそれに応えるためにマストで

ある「使いやすさ」(UI)の追求を怠ることはないはずである。これは他でもなく今まで

の流れ作ってきたものでもあり、これからの流れを作るものである。それは既存のユーザ

ビリティを補完するような新しい工夫の探求と、またそれが新しくなくなりさらに新たな

工夫の要求とが交互に行われるその運命的なループを指し示している。フラットデザイン

への今回の原点回帰もファッションと同じく一定周期でブームが来るような流行の一つと

してとらえることが出来るだろう。そして UI デザインに関して言えば Apple 社のように

その流れをある程度操作し、形作ることが可能な存在がいる限り、廃れることはない。そ

れ故の永遠の課題分野となりそうである。より高次なニーズに対応するため、フラットデ

ザインとリッチデザインを止揚するような未来のデザインが出現するのも時間の問題では

なかろうか。無論、そのようなニーズの発生へとユーザーを刺激し、誘導するのは技術者

本人となるのかもしれないが。

先行研究利用

ここで2008年、富士ゼロックス、キヤノン、セイコーエプソン等の株式会社が合同で

行った体験型 UI デザイン学習交流についての報告書を先行研究として扱ってみたい。大

まかなデザインの歴史の流れと人間のニーズ変化を分析しながら紹介してきて、今後への

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新たなるデザイン分野の発展への期待も示した所で、今度はそういったデザイン領域につ

いての研究というものが企業主導でどの程度行われてきているのかという箇所にその主眼

を移す。この体験型学習交流、いわゆるワークショップであるが、ここでの研究で注目し

たいのは「Found Behavior 手法」という「人間の振る舞い観察」を基盤としたアプロー

チ手法である。本論文では「人の振る舞いを人工物の振る舞いに転移する作業が UI デザ

インの作成である」とされており、その上でこの手法は考案段階でのファーストステップ

であると定義されている。ここからはわかりやすくかみ砕きながら分析をしていく。この

手法でまず大切とされることは二つ。一つは人間の「(有)意識」、すなわち特定の行動

時、利用の意義を補強していくようなユーザーたちの自発的工夫を発見することだ。これ

を大まかに「意識的振る舞い」と定義する。もう一つは人間の「無意識」、こちらは人間

が日常的につい疑いもなくしてしまう行動に着目することである。これは当然「無意識的

振る舞い」と言えよう。この二つを分析した上で結びつけることにより、その完成した UI

デザインの発想根拠とし、時にそれを強化する原点とすることができる。これは紹介した

リッチデザインに通じるものがある。人間は本や雑誌を娯楽や学習として楽しむために自

発的に触れようとする気持ちが存在し、所有しようとしたり、シェアしようとしたりす

る。またページのような厚みのある冊子はその本能的好奇心や行動の一つのデフォルトと

して無意識にめくりたくなってしまう。ここでこの要素を画面に取り入れ、暗黙の取り扱

い説明と共にリアルの模倣としての感動を与えることで二重の親しみやすさを生み出した

のがリッチデザインであるとも言えるであろう。この手法における研究が行われたのは2

008年、たしかにフラットデザインへの回帰など当然考えられていない、依然としてデ

ザイン飽和が起きていない時代である。しかし、これはフラットデザインへの回帰をした

現在でも応用可能な手法であると考える。それはフラットデザインがリッチデザインのた

しかな浸透、飽和の上に台頭したものだからである。先ほど紹介したようなフラットデザ

インになじむことができなかった人々の意識も、やがてすぐに淘汰されそれを常識と認め

るようになるのは自明のことである。その新しい常識がユーザーの次なる意識的工夫の考

案の余地を生み、一方で無意識的にしてしまうようなユーザー共通の癖を生み出すことと

なるのだ。本物に近いボタンほど押さずにはいられなかった元来の人間の常識は、これか

らのフラットデザインの浸透による、より二次元的で現実離れしたデザインのボタンほど

押したくなるような新しい常識によって潰されてしまうかもしれない可能性も存在すると

いうことである。とにかく先ほどの研究の意義を咀嚼した上で考えると、製作者からする

とユーザーの日常の分析がなければ始まらないということがわかる。人間が事にあたる

際、どのような工夫をすることでその行為に「楽しい」といった価値を付与しているか、

そして自然に起こしてしまうようなアクションは存在するのか。それを繋ぎ合わせた上で

どのような流行を作っていこうかというのがスタート地点であったのだ。そして生まれた

新たな開発が今度はまた現実にも作用しうるような UI のデザインを施していくことが大

切なのである。

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新しいアプローチ

ここで一つの自分の案を上記の手法に当てはめて説明してみる。「老若男女問わずヒッ

トするアプリの提案をしろ。」といった課題を「Found Behavior 手法を用いる」といった

備考付きで自分自身に課してみた。私が着目したのは料理である。老若男女問わず触れる

機会が存在し、またそのバリエーションは未知数でありとても奥が深い。個人的に料理は

まず①美味しく作るにはどうしたらいいか②いかに楽しんで料理を行うことができるか、

といった二つの自発的工夫を持った上で行う行動だと考えている。その上で料理中につい

してしまうような無意識の行動を考えてみる。私が真っ先に浮かんだのが鼻歌であった。

ドラマ、アニメなどでも主婦が鼻歌を歌いながら台所に立つ描写はなじみがある。つまり

料理と音楽という異なった行動が結びついた。そしてこの意識、無意識、この二つの要素

を組み込んだ上で提案したいアプリが「音楽に合わせて模擬的に料理をするアプリ」であ

る。キャラクターを登場させる、ゲーム的なミッションやレベルをつけるといった細かい

設定については触れないが、このアプリなら幅広い年齢層の人々に楽しんでもらえる上に

リアルへと還元することでのユーザーへのメリットも見込める。どういうことかという

と、単純に料理のレパートリーを増やすことへの貢献に限らず、歌や曲と共に料理の手順

やコツなどを楽しく身に着けることなども可能となるのではないかといった狙いである。

もちろん 新音楽のダウンロードなどによる宣伝も可能である。またここでの UI デザイ

ン案は無限であり、よりリアルに料理の場や食材を表現するようなリッチデザインによる

王道案、フラットデザインによりリアルでも試してみたくなるような心を喚起する変わっ

た案など、様々なデザインを通してユーザーインターフェースを考えることもできる。

通して語ってきたことだが、本レポートでは UI デザインの歴史を紹介していく上で大

きく二つのデザインを比較してきたが、どちらが優れているといったことは言わず、ただ

事実を記してきた。その上でこれからもその時代にふさわしいデザインが登場するであろ

うということ、そしてそれを作るのは技術者であり、時にユーザー本人であるということ

を示した。Apple 社の例からも、大きな力が流行を作りだすことが可能な点も理解でき、

その上で時代の変化に伴い常識が変容するということがわかったであろう。つまり流行を

作ることで常識を作ることが可能となり、その流行の一端として、ユーザーインターフェ

ースに着目したデザイン分野は今後も深く考察していくに値する分野であると再確認する

に至った。

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参考画像

(↓以下は IOS6とアップデート後の7以降との比較)

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参考資料:

渡辺衆、小泉弘之他

『Found Behavior 手法を用いたデザインワークショップ―体験型 UI デザイン学習交流の

実施と課題―』

参考 URL

http://u-note.me/note/47485701

http://blog.digitalstage.jp/design/3694

http://www.seojapan.com/blog/flat-design

http://www.iphonejoshibu.com/iphonejoshibu.php/tips/93200/

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日本における情報発信媒体の未来の諸相

要旨

私は、今回卒業論文で、日本における情報発信媒体の未来を見据えるために、テレ

ビ・新聞・ネットとの機能的面や特徴について3者を比較し、現在の状況そしてこれから

先、日本における情報発信媒体の立ち位置がどのように変わっていくかを考えていきたい

と思う。現在においては、テレビが圧倒的多数の人にとっての情報教授手段であるが、近

年スマートフォンやインターネットの普及によりその状況は変わりつつある。そして情報

発信媒体として1番古い新聞についても、以前から活字離れが進み存続の危機にあるとい

う議論がなされている。それがこの先どう変わるのか自分なりに予想していきたい。

1. はじめに

現在、特に若者を中心とした世代における「テレビ離れ」が深刻になってきている。テ

レビの視聴者は、今はほとんどが高齢者だという人もいるくらいだ。その理由として挙げ

られるのが、インターネットの急激な発展である。情報発信媒体としてだけでなく、コミ

ュニケーション、娯楽の手段としてもインターネットというのはいつでもどこでも利用で

きるその利便性から、時間に余裕のない学生から働く世代の人まで多くの人から支持さ

れ、利用されている。しかし、便利な一方でインターネットというのは、山のような情報

があり、時には誤った情報も含まれている可能性もある。信頼性においてはやはりまだイ

ンターネットの情報はテレビや新聞に比べて劣るものがあるだろう。ただ、現状を見ると

インターネットがテレビや新聞を抑えて、情報発信媒体の主になることは目に見えている

ように思う。そこで、これからのメディアがどのようになっていくかに加え、テレビ・新

聞がこれからの時代で生き残るためにすべきことも考えていきたいと思う。

2. 仮説

まず、「今後新聞はなくなるのではないか?」と考える。これは、新聞も電子化が進み

こそ先は紙媒体として残るのは厳しいもではないかと思うからである。この仮説を検証す

るにあたり、アメリカの事例をもとにしたいと考えている。次に、「今後もテレビ離れは

進行し続けるのではないか?」という仮説を立てる。テレビ離れが進む理由としてインタ

ーネットがあげられると述べたが、 近になって VOD(ビデオオンデマンド)というイ

ンターネット視聴サービスを民放テレビ局でも取り入れるようになった。これによりテレ

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ビをリアルタイムで見る必要性がなくなってくるのではないかと考えた。もう一つは、

「テレビ・新聞・インターネットに変わる新しいメディアが登場する?」という仮説であ

る。3者の比較を主に行って未来のメディアの姿を予想するが、もしかしたら現在にはな

い何か新しいものが出現するのではないかという可能性も検討してみたいと思う。

3. 明らかにしたい論点

まず、現状テレビ離れが進んでいるとはいえ、テレビの影響力はどのメディアよりも強

大であるということを強調したい。また、進めていくにあたって、新聞・テレビ・インタ

ーネットの長所や短所などの体質的特徴を、事例を含めて具体的に示し、それぞれのメデ

ィアの持つ影響力の違いを明らかにしたい。

テレビの即時性と同時性、新聞の情報の正確性など、それぞれの利便性を述べたうえ

で、なぜそれらが消滅の危機に瀕しているのか、日本におけるメディア利用の形態の変化

を明らかにしたいと思う。

4. これまでにわかったこと

電通が行った民放キー局の視聴率についての調査を見ると、2005年から2014年かけて前

日視聴率は約7%低下している。この急激な低下を見ると、テレビ局が視聴率獲得に苦戦

している現状が非常によくわかる。

また、参考文献を見ると、テレビの未来に対し否定的な意見が多い中で、肯定的な意見

の著者もいた。ということは、やはりテレビの即時性、同時性、そして放送法に即した情

報の偏りのなさという点においてはどのメディアよりも優っており、これから先も情報発

信媒体としては存続し続けられるのではないかと思う。しかし一方で、娯楽手段としての

テレビというのは、近年ゴールデンタイムのドラマの視聴率の低下が話題になっている

が、やはり毎週その時間にテレビの前にいなければならないというのは、限られた時間の

中で生活する現代人にとってはなかなか難しいように思う。リアルタイムでの視聴率が欠

かせないテレビ局にとっては、厳しい状態が続くだろう。

6.今後の課題

正直、テーマのくくりが大きいのでこれから先、どのような論点で論文を執筆していけ

ばいいのか非常に悩んでいる。また、まだ論文全体の流れ、構想がはっきり見えていない

ため、どのように組み立てていくかしっかりと考えなくてはならないと思う。情報発信媒

体というくくりで、テレビ・新聞・インターネットを比較していくつもりだが、日本のメ

ディアの将来を考えるにあたり娯楽手段や広告媒体としてのこれらのメディアの形態につ

いても考えなくてはいけないように思う。

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参考資料

「Newspicks」https://newspicks.com/news/1070861/

「テレビ視聴の構造変化と今後の展望」株式会社電通

http://www.soumu.go.jp/main_content/000384298.pdf

「テレビは今後どうなるのか - 制作者と視聴者アンケートで意外な結果続々」

news.mynavi.jp/news/2012/01/26/080

「テレビ局削減論」新潮新書 石光勝 著

「明日のメディア 3年後のテレビ、SNS、広告、クラウドの地平線」ディスカヴァー携書

志村一隆 著

「テレビは生き残れるのか」ディスカヴァー携書 境治 著

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テレビドラマとポピュラー音楽研究―Twitter が持つ可能性―

要旨

テレビドラマやポピュラー音楽がヒットする際には、少なからず SNS の利用が不可欠な

のではないか。Twitter での口コミや評価の高低、Twitter を利用した宣伝が効果的かつ有

効であるということを、ヒットテレビドラマ、ヒット曲の2点から明らかにすることが本研

究の主題である。近年、主にインターネットやスマートフォンといったデジタルメディアに

触れながら育ったデジタルネイティブを中心に 、“テレビ離れ”や“CD などのパッケージ

売り上げの縮小”が囁かれる。Twitter がテレビドラマやポピュラー音楽をヒットさせる可

能性を持っていること、その関連性を明らかにし、より有効な Twitter 利用はどういったも

のであるのかということを探っていく。本研究の仮説は、①「テレビドラマやポピュラー音

楽に関するツイートの出現率の高さは、その作品に触れるきっかけとなる」、②「Twitter な

どでの評価が高いほどドラマの視聴率は上がり、ポピュラー音楽のパッケージ売り上げは

上がる」、③「Twitter の広告・宣伝の利用が、現代の日本においてテレビドラマとポピュラ

ー音楽がヒットするかしないかに大きく影響する」の3つである。

1 研究の主題と概要

本研究の主題は、Twitter での口コミや評価の高低、Twitter を利用した宣伝が効果的か

つ有効であるということを、ヒットテレビドラマ、ヒット曲の2点から明らかにすることで

ある。テレビドラマやポピュラー音楽をヒットさせる法則を明らかにすることは不可能で

あるだろうが、Twitter がテレビドラマやポピュラー音楽をヒットさせる可能性を持ってい

ること、その関連性を明らかにし、より有効な Twitter 利用はどういったものであるのかと

いうことを探っていく。日本国内では、2014年 6月時点で 1980万人ものユーザーがTwitter

を利用し、その数は年々増加している。Twitter 上に溢れる情報は日々更新され、それに伴

いユーザー行動やユーザーを取り巻く環境も変化している。個人のユーザーにとってだけ

でなく企業にとっても、行う事業においてデジタルプラットフォームの進化や拡大は求め

られ、企業経営と切り離して考えられなくなった。本研究は、厳しい業界情勢にあるテレビ

ドラマとポピュラー音楽を取り上げ、業界全体の現状の把握と今後の成長性や展望を予測

していく上でも役に立つ。

2 問題意識

テレビドラマやポピュラー音楽がヒットする際には、少なからず SNS の利用が不可欠な

のではないか。近年、主にインターネットやスマートフォンといったデジタルメディアに触

れながら育ったデジタルネイティブを中心に 、“テレビ離れ”や“CD などのパッケージ売

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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り上げの縮小”が囁かれる。YouTube などの動画投稿サイトやハードディスクなどの大容

量録画機器により、テレビを好きなタイミングで好きな番組を視聴するカスタマイズ視聴

が浸透している。また、定額料金を支払うことで、特定期間、音楽が聴き放題になるサブス

クリプション型音楽配信の参入に踏み切る企業も増えている。ただし、だからといってテレ

ビドラマや音楽に対する人々のニーズがなくなりつつあるのではない。デジタル化に伴い

その享受の手段が多様化しているのであって、楽しみ方が変化しているということなので

ある。ただ、どちらもが厳しい業界情勢の中に身を置いている点では同じであり、既存の枠

組みにとらわれない、「作り手」の視点だけでなく、「受け手」の視点にも立ち世間のトレン

ドやニーズを敏感に捉えることが求められている点で、テレビドラマとポピュラー音楽に

は関連するところがあり、Twitter はその用途や効果の範囲を広げる可能性を持っていると

考えられる。

3 仮説

①「テレビドラマやポピュラー音楽に関するツイートの出現率の高さは、その作品に触れる

きっかけとなる」、②「Twitter などでの評価が高いほどドラマの視聴率は上がり、ポピュラ

ー音楽のパッケージ売り上げは上がる」、③「Twitter の広告・宣伝の利用が、現代の日本に

おいてテレビドラマとポピュラー音楽がヒットするかしないかに大きく影響する」という

考えを本研究の仮説とする。テレビドラマはまた、調査をする上で、テレビドラマや曲その

ものの内容の傾向や心理的な要因がヒットに起因するのであれば、それらにも触れながら

展開していき、考察、結論付けていく。

4 明らかにしたい論点

仮説①において、特定のテレビドラマやポピュラー音楽に関するツイートの出現率が高

く、それがユーザーに影響を与えることは至極当然のことである。この仮説で明らかにした

い論点は、作品の中でも今まで知らなかったもの、自分の趣向とは異なっていたため出会う

機会のなかったジャンルのものといった、新たなものに触れるきっかけとしてツイートが

有意な要因になりうるのかという点である。社会調査の問 15 の「SNS に対する重要度の高

さと信頼度の高さ」を調べた項目と問 17 の「商品・サービスに対して、興味を持つきかっ

けとなる、買おうと思う気にさせる広告・宣伝の影響力の強さ」を調べた項目を用いて分析

を進める。

仮説②において、ツイッターのタイムライン上におけるフォロワーのツイートを、その作

品に対しての純粋な評価や感想という世論として捉えている。明らかにしたい論点は、そう

した世論の内のポジティブなツイートが、視聴率や売り上げの高まりとしてプラスな方向

に働いていくのかという点である。Twitter は、双方向的なコミュニケーションが可能であ

る。もし、その作品に対して興味を抱いたのならば、ツイートをしたユーザーにリプライし

て直接コミュニケーションを行える。この観点からも、TVCM や HP のような一方向的に

情報を伝達する宣伝や広告よりも有効であるだろう。また、タイムライン上に常に新しいツ

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イートが更新されていく Twitter は、リアルタイムな情報として宣伝・広告の力を発揮でき

る。

仮説③において、仮説①、仮説②の分析結果とそれぞれの業界の現状や将来的なヴィジョ

ンを踏まえた上で多角的な視点から分析を進める。明らかにしたい論点は、主題でもある

Twitter がテレビドラマやポピュラー音楽をヒットさせる可能性を持っているという点で

ある。ここで、テレビドラマやポピュラー音楽は、Twitter との親和性が高いことに留意す

る必要がある。

5 これまでに分かったこと、調べたこと

厳しい業界情勢にあり、常に斬新さやオリジナリティが求められる中で、時にその世代を

も巻き込んだ社会現象を起こすような大ヒットドラマや大ヒット曲が生まれる。2013 年に

TBS で放送された『半沢直樹』は 終回で視聴率 42.2%を記録し、「経済ドラマ」でありな

がら、子供から大人まで幅広い層に支持される社会現象となった。また、2015 年には歌手

の Adele のアルバム『25』の全米での発売一週間の売り上げが 338 万枚と史上 高記録を

更新し、世界中で大旋風を巻き起こした。

テレビドラマの場合、ヒットするとスペシャル化や映画化へ踏み切り、関連商品の売り上

げや DVD、サウンドトラックの売り上げなど更なる人気と利益に繋がる。そもそもテレビ

は、現在であってもインターネットやスマートフォンに取って代わられたメディアではな

く、私たちの生活になくてはならないものである。依然として多彩なチャンネルやジャンル

の番組を通じて、視聴者に癒しと楽しさを与えてくれる娯楽であり、人々が大きく関わり多

くの恩恵を受けるメディアであるに違いない。ここで、ヒットしたかどうかを判断する も

明瞭な数値として視聴率を利用する。テレビドラマにのみならずほとんどの番組(スカパー

や WOWWOW といった衛星放送は視聴率の獲得を目的としていない)は、視聴率を穫得す

ることを目標に掲げて制作している。より高い視聴率を獲るためには、より多くの人にその

番組を視聴してもらわなければいけなく、そのために CM やタレントによる番宣、ポスタ

ー広告など、多くの人の目に触れ知ってもらうことが重要となる。そうした中で、多くのユ

ーザーを抱える Twitter は有効だ。個人発信で情報を多くの人へと伝達することが可能な

Twitter による口コミや宣伝は、規模も範囲も広く、その影響力は大きい。宣伝効果の期待

値は高いと言えるであろう。

ポピュラー音楽の場合、その楽しみ方が多様化し、主力事業であった CD や DVD のパッ

ケージ(ITunes などで一曲ごとに料金を支払うデジタルダウンロードの売り上げもパッケ

ージ売り上げに含まれる)の売り上げはピーク時の 1/3 以下にまで減少している。一方、音

楽著作権使用料は毎年ほぼ変わっていない。即ち、ポピュラー音楽を楽しみたいという人々

のニーズは依然として高いのである。そうした中で、「場所」を共有することで生の音楽を

聴くことができるライヴ関連事業の売り上げや定額で聴ききたい音楽を好きなだけ聴くこ

とのできるサブスクリプション型音楽配信事業は安定した収入源の一つとなっている。そ

うした中で、依然としてパッケージ販売にはどの企業も力を注いでいて、それまでのレコー

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ド会社から 360°に事業を展開させていく総合エンタテインメント企業へと変革していか

なければならない。また、パッケージ販売の売り上げ自体を上げていくために必要なことは

2つある。一つ目は、その作品自体の価値を高めることだ。音楽をストリーミング再生する

だけでなく、CD や DVD として買いたいと思わせなければならない。曲そのもの出来の他

に、他のアーティストとのコラボレーションや PV・MV などの特典映像や握手券などの特

典を付けるといった工夫が、現在ではされている。二つ目は、その作品を多くの人に知って

もらうために広告・宣伝していくことである。その際に も有効であるのが Twitter である

と考える。テレビドラマと違い、音楽は人々一瞬触れるだけで事が済む。昨年から画像の他

に動画をツイートすることが可能になったことにより、その一瞬のきっかけが生まれる機

会が激増した。テレビドラマが個人の評価や口コミに宣伝効果が生まれるのに対し、ポピュ

ラー音楽は企業やアーティスト本人など公式アカウントによるツイートの宣伝効果の期待

値が多いように思われる。より Twitter の特徴や強みを活かした方法が有効となり、デジタ

ルプラットフォームの拡充においても反映させていかなければならない。

6 今後、卒論に仕上げるまでにクリアすべき課題

Twitter での出現率が高いからテレビドラマやポピュラー音楽がヒットするのか。それ

とも、元来ヒットするべき要素が備わっている作品が、ヒットしていく過程の一つの顕

在な現象として、Twitter の出現率が高くなるのかということに言及していかなければ

ならない。

本研究を進めていく上で、文献講読や企業の HP を利用してテレビ業界やエンタテイ

ンメント業界への知識を深め、卒論内容に具体性と説得力を持たせていかなければな

らない。

常に変化し続け、様々な要素が複雑に絡み合う SNS(Twitter)やテレビ業界・エンタ

テインメント業界を対象としているため、一つの現象に対して一つの視点から捉えよ

うとするのではなく、多角的な視点に立って議論を進めていかなければならない。

本研究で扱うテレビドラマやポピュラー音楽が、比較的 Twitter と親和性が高いという

ことに留意すべきである。

「ヒット」したかどうかの明確な数値として用いる「視聴率」と「パッケージの売り上

げの定義付けをきちんと行った上で卒論を進めていく。

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「SNS」と「オタク」のインタビュー調査現状報告

要旨

オタクと呼ばれる人々のコミュニケーション力は低いと思われがちな一方でオンライン

のメディア上ではそうと言い切れないケースも多数ある。そこで本研究ではオタクの SNS

利用を対象としたインタビュー調査を行うこととオタクと SNS の 2 方向の先行研究を参照

することによって、そのアイデンティティや対人関係の形成過程、コミュニケーション行動

を明らかにして、それらのメリット/デメリットは何か、今後の社会にどう影響していくか

を検討していく。

はじめに

街を道行く人々に「オタクとはどういう人々だと思いますか?」と質問したらどのような

返事が返ってくるだろうか。今でこそこういうことを言う人は少なくなったように感じる

が、何人かからは「気持ち悪い」「根暗だ」そして「コミュニケーション力が無い」という

意見が挙がるかもしれない。しかしその一方で、セミノンフィクションとも言える『電車男』

(中野独人 2004)の中で主人公は、 初は内向的でいわゆる「オタク」ではあるものの、

インターネットの掲示板での他のユーザーとの交流を通して声援やアドバイスを貰い自信

を付け、意中の女性との交際までこぎつける。このように、たとえ世間的にはオタクと呼ば

れる人々がコミュニケーション力に乏しいとされていても、実際には以前なら電子掲示板

やチャット、現在では SNS といったオンライン上のメディアをオタクはそうでない人たち

よりも早く深く受容することで多岐に渡って活用し、その一環として活発なコミュニケー

ション行動を起こしているのではないだろうか。そして、そのコミュニケーション行動はオ

ンライン上にとどまらず現実世界にまで広がっており、非オタクの人々にも影響を与え、今

後のオンライン上のコミュニケーション行動の指標となり得るのではないだろうか。

本研究では以上の疑問点を元に、オンライン上のメディアと親和性が高いと考えられる

「オタク」の、今現在において も人々に利用されているオンライン上のメディアである

「SNS」(=Twitter)の利用を調査することで、オタクが「オンライン上でどのようなアイ

デンティティを獲得するのか」、「そのアイデンティティを元にどのような対人関係を構築

するのか」、「その対人関係を元にどのようなコミュニケーション行動をとっているのか」、

「そのコミュニケーション行動をオフライン上にどう反映させているのか」などのオタク

による SNS を始めとするオンライン上のメディアの活用方法を明らかにし、それがどのよ

うなメリット/デメリットを持つのか、また今後非オタクの人々にもそれらの活用方法が

受け入れられることはあるのかを検討していくことが主な目的となる。

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1 現状での予測・理解

現状においてもオタクの SNS 利用について予測・理解できる点が存在する。それには私

が 2015 年度の夏季休業期間に行った、二次分析研究の『ネットが満たす「コミュニティ」

の需要』が関わってくる。この中で私は、Twitter がクラスターの属性に基づく集団の概念

を根拠として「コミュニティ」的な働きをし、複数のユーザーが自身の属性と一致したニュ

ースやトレンドに反応してコミュニティとしての姿を現すと分析した。一方オタクはたび

たび「○○オタク」と彼らが愛好する物の名前を冠して呼ばれ、自ら名乗るように、基本的

になんらかのコンテンツや作品、人物を愛する者として表される。そして「○○オタク」と

いう呼称はそのまま「○○クラスター」と言い換えることができる。つまりオタクは自身の

好むものをそのまま属性に転化することができ、多数のクラスターが絡み合いその時々に

よってコミュニティを現出させる Twitter のような SNS と親和性が高いのではないだろう

か。

またインターネット黎明期から存在する電子掲示板においてもコンテンツに対する興

味・関心が多種多様な掲示板を生み出し、発展の原動力となった点はオタクを読み解くため

の重要なキーになるだろう。

2 調査方法とアプローチ

本研究では「オタク」の「SNS」利用を調査すると先述したが、次はどのように調査する

かということが問題となってくる。そこで私は今回、インタビューによる調査を中心にした

いと考えた。

これには 2 つ理由がある。まず 1 つが調査対象者の確保に関わる問題である。前提とし

て調査対象者はオタク的要素を持ち合わせた者でないといけない上 SNS を日常的に利用し

ている者でないと調査の意義が薄れる。そのためアンケート調査などの量的調査を行おう

にも一箇所でこれらの条件を満たす調査対象者が多数存在するような集団を探しだすのは

非常に困難であると考えられる。また仮に条件を満たす集団を探しだすことができたとし

てもゼミなどのある程度の集まる日時や場所が決まっており調査の申し込みも比較的容易

な集団ではなくサークルなどの集まりになってしまうため一斉に調査することができない

可能性が高い。

そして 2 つめの理由としては私自身の個人的関心である。これまでの学生生活において

量的な調査はゼミやサークルを通じて何度か触れる機会があった。しかし質的な調査とな

るとあまり触れる機会が無く、以前はそれでもいいと考えていたものの、ゼミや普段の講義

で様々な文献を読んでいく中で一度は質的調査を行ってみたいと考えるようになった。そ

のため卒業論文を自分自身の手で自由に調査研究ができる現状 後の機会だと捉え、この

機に質的調査/インタビュー調査を行いたいと考えている。

肝心のインタビューの内容だが、ここではインターネット接触時間や SNS の利用状況、

コンテンツ利用状況といった基本的な質問に加え、ライフヒストリー的要素を持った、いつ

どのようにして「オタク」になったのか、何を以ってしてそれを自認したのか、SNS には

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立教大学社会学部メディア社会学科

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どのようにして触れるようになったのか、何故 SNS にのめり込むようになったのか、オタ

ク以前・SNS 利用以前で人間関係は変わったのか、オンライン上での知り合いと実際に会

ってみた経験やそこでのメリット/デメリットはあったか、といった質問を軸にインタビ

ューを進め、更にその回答から新たな質問に派生していく形を取っていく。こうすることで

アイデンティティの形成過程やコミュニケーション行動の推移、そのコミュニケーション

行動がどのような利益をもたらすか探っていく。

また今回のインタビューでは、一般的な対象者と対面してのインタビューだけでなく、そ

れ自身が SNS の可能性を模索するものとして、SNS を介した知人とオンラインでインタビ

ューを行えないかどうか検討している。

インタビュー内容との比較や仮説の展開のための量的なデータには 2015 年 10 月にゼミ

で行った社会調査のデータや、Twitter 上のトレンドやアンケート機能を利用することを予

定している。

3 先行研究

現段階ではオタクに限った SNS 利用の研究の存在は把握できていないため、参考とする

先行研究もオタクを取り扱った研究と SNS の利用を取り扱った研究の 2 方向となる。

オタク研究に関しては文献等を調べてきた中で、娯楽性を重視し純粋な学問とは言えな

い書籍が少なからず含まれており、その扱いに関しては慎重にならざるを得ないと感じた。

しかし、そのような文献の中でも立教大学に籍を置き私自身講義を受けたこともある井手

口先生の著書『同人音楽とその周辺 新世紀の震源をめぐる技術・制度・概念』は、オタク

系文化のでもより狭い範囲である同人音楽について書かれたものだが、同人音楽をどう定

義するか、また同人音楽を「ジャンル」という視点で見たときどう捉えるべきかという論述

はオタクそのものを知る上でも非常に参考となる点がある。

その他にも東浩紀氏の『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』も出版年数

は経ってしまっているものの、オタクというワードを紐解く上で大いに参考になるだろう。

続いて SNS の利用についての研究だが、こちらは現在の SNS の隆盛に合わせ多くの研

究がなされている。その中でも高橋利枝氏の『デジタル・ネイティヴと日常生活―若者と

SNS に関するエスノグラフィー―』は、デジタル・ネイティヴに焦点を当て彼らと SNS の

関わり方から SNS の社会的な役割について考察する内容となっているが、デジタル・ネイ

ティヴのアイデンティティの形成や対人関係についても細かに考察されていることと、エ

スノグラフィーとあるようにアプローチの一部にインタビューが含まれていることから参

考にしたいと考えた。

4 現状の問題点と対策

現状の問題点として 1 番大きなものはインタビュー調査に対する経験・知識の不足であ

る。先述したように量的な調査の経験はあるものの、質的な調査についてはほぼ未経験で、

どのようなものかという知識しかないために今のままでは満足な調査が行えないことが予

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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想される。そのため早急に文献などによって知識を得るとともに、4 月からの 2016 年度春

学期にインタビュー調査に関する講義を受講するなどして少しでも実践的な経験を得る必

要があると考えている。

次に挙げられるのが、「オタク」の指標作りに対する時間的負担である。オタクの SNS 利

用を調査する上で、まず何を以ってオタクと定義するかということが必要となる。場合によ

ってはこれだけで一つの研究となり得るほどの作業であるために、それに応じた研究時間

が必要となることが予想される。そのためこちらも先述したオタクについての先行研究や

ゼミでの社会調査のデータを活かし、早急にまとめあげる必要があると考えられる。

そして 後に挙げられるものは、この研究だけに言えることではないが、SNS などのオ

ンラインメディアの発達と研究結果の乖離のおそれである。SNS などのオンラインメディ

アの発達は著しく、爆発的にユーザーを獲得したサービスが数年もすれば全く利用者が存

在しなくなっている、といったケースもままあることである。実際、SNS に関する先行研

究を探している中でも株式会社ミクシィの運営する SNS、「mixi」について書かれたものが

多数見つかったが、その mixi も研究が行われた時点では多くのユーザーを抱えていたと推

測されるものの、今では大きくユーザーを減らしており、ゼミでの社会調査においても総回

答者 246 名中、現在利用しているのは 4 名のみという結果になっている。現在多くのユー

ザーを抱え、私自身がこれから主な研究対象とする Twitter などの SNS も、数年後には既

に過去のものとされている可能性もある。そのような状況で研究を行うにあたっては、今後

の環境の変化を念頭に置いた上で単一のメディア・サービスのみに視点を当てるのではな

く、オンラインメディア全体にまで視野を広げた研究結果が求められると考えた。

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SNSと購買行動

要旨

「情報メディア白書 2015」によると 2013 年度末のインターネットの利用者数は 1 億 44 万

人、人口普及率は 82.8%、13 歳から 49 歳に限定すると 95%以上の利用率となっている。ソ

ーシャルメディア白書 2012」によるとインターネット利用に対するソーシャルメディアの

割合は 7 年間で 3.7 倍になっており、特に 10 代で約 30%~40%、20 代でも 25%の時間が

ソーシャルメディアの利用によって占められている。このようにインターネットとSNS

が増々生活の中に浸透していく状況において、企業のSNS利用状況や本文で後述するデ

ジタルネイティブを中心にデータを分析してSNSと購買行動には関連があるという結論

に至った。

1主題と概要

この研究ではCMCの年代別、立教生の普及率、などをもとにそれらにおける購買行動に

ついて論を展開していく。CMCとは Computer Mediated Communication であり、コンピュ

ーターを媒介としたコミュニケーションのことである。具体的には Twitter や Facebook な

どの SNS がそれに当てはまる。

対象の年代については本論の中で説明するデジタルネイティブに特に着目していくこと

とし、特に twitter に絞って分析、考察していくものとする。さらに企業側の twitter の利

用方法とその目的、満足度 twitter 利用頻度についての傾向という観点からSNSと消費

行動の結びつきも明らかにしていく。そして、アンケート調査の結果も踏まえ、その他の主

要SNSとの比較からも twitter では特にどのようなコミュニケ―ションが行われている

のか、企業はどのような twitter でのマーケティングをしているのかを分析していくもの

とする。 後にそれらを踏まえて、ソーシャルメディアとクチコミと購買行動の結びつきに

ついて分析をしていく。

2主題に対する問題意識

「パソコン白書 2000-2001」によると 2000 年 2 月時点のインターネット利用者数は 1937

万人、人口普及率は 20.9%であり、20 歳代 30 歳代で全体の 8割を占める。もっともよくア

クセスする場所は、家庭が 9 割以上(92.3%)を占めていた。しかし、「情報メディア白書

2015」によると 2013 年度末のインターネットの利用者数は 1 億 44 万人、人口普及率は

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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82.8%、13 歳から 49 歳に限定すると 95%以上の利用率となっていることからこの 15 年間

で大きくインターネットとの接しかたが変わってきたことは明らかである。そして次に、ソ

ーシャルメディアについてであるが、「ソーシャルメディア白書 2012」によるとインターネ

ット利用に対するソーシャルメディアの割合は 7年間で 3.7 倍になっており、特に 10 代で

約 30%~40%、20 代でも 25%の時間がソーシャルメディアの利用によって占められてい

る。

このような状況下において SNS と購買行動になんらかの結びつきがあることは自明であ

るが、それがどのようなものであるか、またどのような程度であるのかという問題意識をも

った。そして、Twitter は大学生であれば、ほとんどの人が利用している中で、つぶやいて

いる人がどのような目的であるのかということが明確ではないことが多いが、そのコミュ

ニケーションが口コミなどにつながり、購買行動ともつながっているのではないかと考え

た。そしてその他のSNSとの比較によって twitter で行われているコミュニケーション

はどのような特徴があるのかを明らかにできれば、twitter 上で起こるマーケティングや購

買行動に関する問題点や良いところがわかってくるのではないだろうかと考えた。

3 先行研究

ソーシャルメディアは、圧倒的な情報伝播力をもっている。従来のウェブは、発信者と受

信者 が比較的分かれており、影響力のある発信者(インフルエンサー)の発言が受信者に

広がるという構造であった。しかし、ソーシャルメディアでは受信者であった大勢の生活者

が RT(リツイート)や「いいね」ボタンなどで同時に情報発信者になるという、「受信者

=発信者」という構造 ができあがり、情報が発信の連鎖に乗って波紋のように広がり、一

瞬にして数百人から数万人、 数十万人に伝わるようになった。 2011 年3月 11 日に発生し

た東日本大震災は、これまで利己的になりつつあった日本社会に「絆」や「つながり」、「助

け合い」といった向社会的規範意識を思い出させた。その中で、ソーシャルメディアによっ

て人びとは友人や知人、または同じ趣味の仲間などとつながりやすくなり、「人と 人とのつ

ながり」 という古くからあった関係性の素晴らしさを再認識させられた。人びとは、「友人

や知人とのつながりという古くからある関係性こそ幸せへの鍵である」ことを理解するよ

うに なり、リアルな友人や知人、そしてネット上でつながっている人びとと有益な情報を

共有することに幸せを見出すと同時に、彼らの共感や信頼を獲得することを追い求めるよ

うになった。 現代は、新しい情報が溢れかえる情報洪水時代であり、同じような商品が多

く存在している成 熟市場時代である。そのため、単なる情報が Twitter、Facebook、mixi

などソーシャルメディア 上で広まるためには、情報が「共感」を纏っているかどうかが重

要となってくる(佐藤,2011)。ここでの共感とは、「笑えた」「泣けた」「心が震えた」など

の情緒的な感動、「好きかもしれない」「面白い」「新しい」「かわいい」などの行為や興味・

関心、「有益だ」「役に立つ」などの情報価値、「友だちに教えたい」「皆も知るべきだ」とい

った伝達欲や共有欲などが含まれている。当然、悪い噂や評判などのネガティブな情報も、

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多くの人にとって「友人や知人に教えてみたくなる」情報であれば、あっという間に広まっ

ていく。ソーシャルメディア上ではリアルな人間関係が持ち込まれており、他者の目を気に

して日常生 活と同様に正しい行動を取ろうとするため、信頼性のある情報を得ることがで

きる。さらに、自分をよく知っている友人から自分に適した情報が入ってくるようになり、

そのような情報には友人の共感という重みづけが行われているため、その重要度や共感度

が分かるようになってきた。 インターネットの普及により、ある情報を能動的に検索する

と多数の結果が得られるが、その中 から自分自身に必要なものを探し出すことは非常に困

難である。その中で、ソーシャルメディア で友人や知人の共感で重みづけられた情報を選

択的に検索することは非常に便利であるため、他者からの共感は非常に重要であるといえ

る。現代では、企業のネットコミュニケーションが盛んに行われており、ソーシャルメディ

アは消 費者行動に大きな影響を及ぼしている。その中で、消費者行動が「共感

(Sympathize) 」「確認(Identify)」「参加(Participate)」「共有(Share)・拡散(Spread)」

というプロセスであるとする「SIPS」というモデルが提唱されている(佐藤,2011) 。従

来の広告効果モデルでは、消費者行 動が「注意(Attention)」「興味(Interest) 」「欲求

(Desire)」「記憶(Memory)」「購入(Action)」 というプロセスであるとする「AIDMA」

や、「注意(Attention)」「興味(Interest)」「検索(Search)」「購入(Action)」「共有(Share)」

というプロセスであるとする「AISAS」などのように、広告 に「注意」させることが広告

戦略を検討する上で も重要であるとされてきた。しかし、ソーシャ ルメディア上では「共

感」を纏った情報しか広まらず、「共感」されなければ情報は受け取っても らえない。その

ため、AISAS で「注意」「興味」「検索」となっていたプロセスが、SIPS では 初に「共

感」が行われると仮定されている。次に、消費者は共感をおぼえた情報や商品が本当に 自

分の価値観にあっているかどうか、本当に自分に有益かどうかを検索だけでなく、友人や知

人 の意見、専門家の言葉、専門誌、マスメディアなど、あらゆる手段を用いてチェックす

る「確認」が行われる。この行動は、ソーシャルメディア上の「共感」という出発点を持ち、

友人や知人の「好み」も入っているため、機能や価格などによる客観的で相対的な比較、検

討よりも、より主 観的で感情的なものである。そして、実際の購買行動を行うだけでなく、

いいと思ったり友人に 広めようとしたり消費者がそれぞれのレベルで情報や商品に関与

する「参加」が行われる。SIPS では、必ずしも購買を伴う必要はない。「ちょっといいか

も」と思ったり、「とりあえず友人に伝えよう」と考えて RT や「いいね」ボタンなどで軽

い気持ちで友人や知人に広めたりすること が、友人や知人の購買につながる場合もある。

単にブランドサイトやブランド発のアプリなどで 遊ぶことも、その行動がソーシャルメデ

ィア上で共有された場合、友人や知人の興味を喚起させることにつながる。これらは、結果

的に企業の販売活動に参加していることになるため、どのように参加してもらうかはどの

ように共感してもらうかの次に重要な要素である。 後に、ソーシャルメディア上でコメン

トされたり RT や「いいね」ボタンを押されたりする「共有」が行われ、それぞれのソー

シャルグラフ上で「拡散」が行われる。確認を経て参加したさまざまなレベルの生活者は、

その参加活動や情報を主にソーシャルメディア上で友人や知人と共有しようとする。 ここ

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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では、趣味が同じ仲間から回ってきた情報を RT して他の仲間と共有しようとしても、同

じ 趣味の仲間だけではなく、属している他のコミュニティに拡散していくことが自動的か

つ無自覚 に起こる。もちろん、同じ趣味の仲間による情報が拡散しても他の人びとの興味

を惹かないかも しれないが、その人びとは「情報そのもの」ではなく、「友人であるあなた」

という「発信元」に 共感するため、情報が広まっていく。この「共感を纏った情報」が SIPS

の冒頭の「共感」になり、 人びとは「確認」し、自分に有益だったりおもしろいと思った

りしたら「参加」行動を起こす。このように、「S→I→P→S」のプロセスはくり返して

起こるため、冒頭の「S」の母数が乗数的に拡大すると、その情報は世の中に広く知れ渡っ

ていく。そのため、この母数を拡大させることがソーシャルメディア時代のマーケティング

において重要であり、結果的に購買の増大につながっていくのである。

4本論(考察)

まず「情報メディア白書 2015」によると、2013 年度末、インターネットの利用目的で家

庭内において主に用いられる端末は自宅のパソコンが一位(47.8%)であり、家庭外ではス

マートフォンが一位(43.4%)である。そしてその利用目的のうち、商品・サービスの購入・

取引が家庭内 57.2%、家庭外 29.1%になっているのに対してソーシャルメディアの利用は

家庭内 44.0%、家庭外 49.9%という結果が示されており、このデータからはSNSと購買

行動には大きな関連性がないのではないか、と考えられる。そして、次の論を展開する前に

ここで、スマートフォンの普及状況についてであるが、年代別に見ると、13 から 19 歳は

64.3%、20 から 29 歳では 83.7%、30 から 39 歳では 72.1%であるのに対して、全体の統

計では 39.1%にとどまっている。このことから、スマートフォンはおもにデジタルネイテ

ィブを中心として普及をしていることがうかがえる。デジタルネイティブというのは「デジ

タル技術に青少年期から本格的に接した世代のことで、およそ 1980 年前後生まれ以降を指

す」(木村)言葉である。ここからは利用実態にみる日本におけるソーシャルメディアの現

状を述べていく。ここでは、4 つの主要コミュニケーションサービス(blog、twitter、mixi、

facebook)に触れるが、「ソーシャルメディア白書 2012」によると、twitter の認知度が 96.4%

と も高く、mili も 90%を超えており、その他 2 つも 80%後半である。しかし認知度は高

いものの、経験率や利用率となると大きく数値は低下する。Youtube は利用経験 73.1%に

対して、4 つのうち も利用率が高い blog でさえ 39.2%であり、認知度の も高い twitter

も経験率は 32.2%にとどまっている。以上よりソーシャルメディアサービスに対する認知

度は高いものの実際に利用するユーザーは一部にとどまっていることがわかるのであるが、

さきほどのデジタルネイティブたちの利用率となると少し状況が変わってくる。具体的に

は、10 代男性では 45.2%、女性は 59.2%である。このように年代別に大きな利用率の差異

が現れた原因として、先ほど触れたスマートフォンの普及状況が大きく関わってくると考

えることができるであろう。

ここまでを踏まえて、次にオンラインコミュニケーションの3つの特性について述べて

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いく。「デジタルネイティブの時代」(木村)によると、第一に「タイミング柔軟性」第二に、

物理的存在(オフライン)と「論理的存在」(オンライン)を分離しうること、第三にオン

ライン独自の社会的手がかりを挙げることができるというものである。

ここからは、マーケティングの観点から論を展開していくとする。「次世代マーケティン

グリサーチ」(萩原)によると、既に多くの企業が活用している、ログや個人サイトなどに

あらわれる膨大なテキスト分析方法をバズリサーチと呼ぶが、その視点から言えばテキス

トとして も有効と思われるのは twitter である。その理由としては 140 文字という限られ

た文字数であるので、内容がポジティブかネガティブか判定しやすいこと、また書き込む人

達が多岐にわたるので幅広い層の意見と感情を知ることができること、リアルタイム性が

強いことが挙げられている。感情や気分が消費者行動に影響を与えることはよく知られて

いることであるのでそのことからも twitter はマーケティングにおいて有用だと考えられ

る。そして、その分析ツールとしては主に4つの種類が存在する。1 つ目はアカウントにつ

いての統計であり、これはツイートの投稿の時間帯や曜日分布、ツイートのタイプ別比率な

ど様々な指標が算出される。2 つ目はアカウント同士の関係についての統計であり、アカウ

ント同士のコミュニケーションのデータから人間関係のつながりのデータや実際のコミュ

ニケーション頻度、関係の深さを算出することができる。3つ目はツイートに引用されたリ

ンクソースの統計であり、どの記事やブログが数多くツイートで引用されているかといっ

たランキングや統計データが得られる。この統計はあらゆるニュースサイトやブログをカ

バーしているという点で、今世間で何が関心を持たれているのか的確に表す指標となるで

あろう。4 つ目はツイートのテキストマイニングであり、これはツイートに踏まれる単語単

位の集計であるが、英語と違って日本語ではそれが好意的な内容なのか批判的な内容なの

かを判断することが難しいという欠点もある。以上4つがおもなツイート分析ツールであ

る。次に、twitter について企業側の具体的なデータを示していく。「ソーシャルメディア白

書」によると現在、企業の広報、マーケティング活動で も活用されているソーシャルメデ

ィアは twitter である。調査した企業全体では 51.2%であるが、twitter のほかにもソーシ

ャルメディアを積極的に活用する上級活用企業においては実に 91.7%が利用している。そ

して、その効果としては全体で 36.8%、上級企業では 57.1%が自社サイトへの流入が加速

したという実感を持っており、その他にも会社や商品の認知度が向上した、ブランド好感度

が増したなどという実感を得ている。一方で効果が得られていない、実感できないという企

業も全体で 30.4%、上級企業で 11.4%存在するというデータもある。しかし、そのような

企業ほどソーシャルメディア主幹部門が設置されていない傾向にある。よって、企業として

の対策を立てれば twitter を活用し、その効果を享受できると考えられる。そして、そのよ

うな部門を設置している企業はソーシャルメディアの活用満足度も非常に高く、活用に対

し不満足と答えている企業は 14.3%にとどまる。こういったデータからもソーシャルメデ

ィア活用度が上がると活用満足度もあがるという点は明らかであろう。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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5結論

初の情報メディア白書のデータからは関連性がないように思われたが、その後に挙げ

たデータから企業がソーシャルメディアを活用していることは明らかであり、その中でも

特に twitter を重要視していることがわかる。ここまでのデータを合わせて考えるとどのア

ンケートでも twitter が一位であり、企業が twitter を重視していることがわかる。そして、

デジタルネイティブの twitter 利用度が他の年代に比べて高いことからもデジタルネイテ

ィブがクチコミに対して大きな影響力を持っていると考えられる。そして、今後ますますス

アートフォンが普及していくと思われるので、SNSの重要性が増していくのではないだ

ろうか。

今後の課題としては立教生のアンケートで twitter の利用率と企業アカウントのフォロ

ー率などをアンケート調査していけば、卒論にむけてより厚みのあるレポートとして完成

していけるのではないかと思うと同時に、先行研究であったSIPSモデルについての文

献などを分析し、あいまいで定義が難しいものであると考えられるが、本論でも触れた感情

に着目し研究を進めていければ卒業論文にも発展させていけるのではないかと考える次第

である。

参考文献

株式会社トライバルメディアハウス・株式会社クロスマーケティング(編)(2012)、「ソ

ーシャルメディア白書 2012」、翔泳社。

電通総研(編)(2015)、「情報メディア白書 2015」、ダイアモンド社。

泉水清志(2014)、「ソーシャルメディアの共感が購買行動に及ぼす影響」、育英短期大学研

究紀要第31号。

木村忠正(2012)、「デジタルネイティブの時代」、平凡社。

萩原雅史(2011)、「次世代マーケティングリサーチ」、ソフトバンククリエイティブ(株)。

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デジタルネイティブ第四世代に使用される各 SNS の使用用途・状況

の比較、検証調査に向けての活動報告

要旨

各 SNS がデジタルネイティブ(特に 1991 年以降生まれの世代)によってどのようなツー

ルとして使われているのかを明らかにしたうえで、それらを利用するリスクやリテラシー

を提案、提示することを一つの目的とする調査・研究をするにあたって、デジタルネイティ

ブに含まれる学生を対象に質問票調査を行った。利用実態とそれらへの意識を明らかにす

るには不十分な点がいくつか見られた。その課題も含め、先行研究とこれまでの活動を報告

する。

1.主題・概要

本研究は広く普及した複数のソーシャルメディア、ソーシャルネットワークサービス(以

下 SNS)におけるそれぞれの利用状況を明らかにする。各 SNS がデジタルネイティブ(特に

1991 年以降生まれの世代)によってどのようなツールとして使われているのかを明らかに

したうえで、それらを利用するリスクやリテラシーを提案、提示することを一つの目的とす

る。

2.問題意識

現代においてインターネットやソーシャルメディアの重要性は非常に高く、デジタルネ

イティブにとっては生活の一部となっていると言っても過言ではない。デジタルネイティ

ブは人生の大半の交流を、メールやネットワーク機能の付いた機器でソーシャルメディア

を利用して行い、その中で既存の人間関係だけでなく新たな人間関係をも構築し継続させ

発展もさせている。日本で代表的なコミュニケーションツールとしてのソーシャルメディ

ア、SNS として挙げられるのは LINE と Twitter である。日本の LINE 株式会社のメッセ

ージアプリとしてサービスが開始された LINE は日本でのスマートフォンの普及に伴い代

表的なソーシャルメディア、SNS の一つという地位を獲得し、2015 年 3 月には全世界での

月間アクティブユーザー数は約 2 億 5000 万人に達したと発表された。そして Twitter は

2006 年にアメリカでサービスが開始され、2014 年 6 月には全世界での月間アクティブユ

ーザー数は約 2 億 7100 万人に達したと発表されている。このどちらもコミュニケーション

ツールとしてのソーシャルメディアではあるのだが、鈴木はプライバシーリスクを考える

上で LINE を「クローズドなソーシャルメディア」、Twitter を「オープンなソーシャルメ

ディア」と分類している。定義としては「発信する情報の届く範囲が、電話帳や友達リスト

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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に掲載されているユーザだけに限定されている」のがクローズドなソーシャルメディアで

あり、「発信する情報の届く範囲が、電話帳や友達リストに掲載されているユーザだけに限

定されず、インターネット全体に公開される」のがオープンなソーシャルメディアとしてい

る(鈴木、2015)。この分類がユーザーの多くを占めるデジタルネイティブにも為されている

としたならば、各 SNS がデジタルネイティブによってどのようなツールとして使われてい

るのかを明らかにすることが出来るのではないかと推測される。そしてソーシャルメディ

ア、SNS と一括りにされがちなツールを個々に見ることで、それぞれのリスク回避やリテ

ラシー提示につなげる事が出来るのではないかと考えられ、それを研究意義とする。そして

現時点でのソーシャルメディア利用だけでなく、次世代でのソーシャルメディアの利用に

おけるリテラシー提示にもつなげていければ幸いであると考える。

3.先行研究

3-1.木村(2012)による「デジタルネイティブ」の区分とソーシャルメディアの変遷、

日本社会との関連についての概要

デジタルネイティブは青少年期からデジタル技術に本格的に触れてきた 1980 年代以降

生まれの世代を主に指し、著者はデジタルネイティブを四つの世代に区分する。この世代分

類・区別は断絶的ではなく、技術の発展や経済的・社会的要因を背景とした区分であり連続

性を持つという。1991 年以降生まれは「デジタルネイティブ第 4 世代」に区分される。デ

ジタルネイティブ第 4 世代には、それまでの世代と同じようにオフラインの関係を基盤に

したオンラインの関係や、オフラインに従属するオンラインの関係の傾向も見られるが、そ

れとは逆にオンラインの関係自体にオフラインでの関係と同様な人間関係を構築する場合

も見られると言う。つまりはオンラインとオフラインそれぞれでの他者との接し方に差が

ないということである。そしてそれはオンとオフの区別が曖昧であることが示唆される。こ

れがデジタルネイティブ第 4 世代の特徴と言えるだろう。そして「空気を読む圧力」と「テ

ンション(気分の高揚感)の共有」という日本における対人関係・コミュニケーション特性が、

社会的コミュニケーションを構築・変容させており、先のデジタルネイティブの世代区分と

も連関しているとも言える。そしてコミュニケーションメディアを取り巻く、社会的原理

(「コミュニティ」、「ソサエティ(ソーシャル)」、「コネクション」という「つながりの原理(集

団形成の原理)」)や日本人のインターネット空間に対する不信感(匿名性の重視など)や「不

確実性回避行動」という特性からコミュニケーションへの影響を論じている。日本人の抱え

る不信感、または「不確実性回避行動」ないしそれを生み出す「安心志向」の克服が課題で

あると提示し、その克服が将来の情報ネットワーク社会としての日本を支えると纏めてい

る。

筆者はコミュニケーションメディアを取り巻く社会的原理の中でも「コネクション」を強

く感じさせるのが Twitter であると述べている。コミュニケーションを図る空間として固定

された「場」が無く、会話を滞ることなく「キャッチボール」の形で行う必要が無くなり、

従来のコミュニケーションメディアでは強く見られた「空気を読む圧力」を回避し、「テン

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ションの共有」を強制せず、自分の居場所から他者と安定したやり取りを行えるという特徴

を Twitter は持つ。その Twitter が日本で台頭したのは、高度に個化した消費社会にあるポ

ストモダン的志向の強い日本社会の在り方による影響もあるという。そして日本人に多く

見受けられるサイバー空間やインターネット利用における「不確実性回避行動」を筆者は

「困ったらどうしようと困る」行動としているが、この行動傾向は「安心志向」と共に日本

社会のシステムとして構築されてきたものであり、社会として克服する必要があると提言

している。具体的には「社会として、不確実性回避傾向を相対化するとともに、中高生時代

における情報ネットワーク行動について、たんに遠ざけるのではなく、自律的利活用を涵養

するための議論をさらに進展させることが必要だろう」と述べている。

3-2.鈴木(2015)によるソーシャルメディアの違いと、それによるリスクの違いも含め

たソーシャルメディア利用を取り巻くリスクについて

オープンなソーシャルメディアにおけるプライバシーリスクとクローズドなソーシャル

メディアを信用しすぎるリスクと盲点を、それぞれの特徴を踏まえソーシャルメディアの

リスクという形でまとめて提示している。この「オープン」と「クローズド」の違いは「発

信する情報の届く範囲が、電話帳や友達リストに掲載されているユーザだけに限定されて

いる」かどうかにある。日本においてオープンなソーシャルメディアに対応するのはメッセ

ージ投稿サービスの Twitter や代表的 SNS の Facebook であり、クローズドなソーシャル

メディアに対応する代表例は無料通話アプリ、またはチャット形式でのメッセージ投稿ア

プリの LINE である。

オープンであれ、クローズドであれ、ネットを介したソーシャルメディアであることには

変わりないということを示すリスクを筆者は早い段階の項で述べている。オープンなソー

シャルメディアであっても、設定を変更することでクローズドなソーシャルメディアとし

ての利用は可能であることは、つまりクローズドなソーシャルメディアとして利用しても

やり取りによってはオープンな状態、つまりは限定的な公開ではなく一般的な公開になり

うるというリスクである。シェアという形やリツイートという形が具体例として挙げられ

るだろう。そしてこのシェアなどによる情報の二次利用は投稿された発言だけでなく、画像

などにもリスクは多くある。画像のみでは特定のしづらい場所での何気ない写真であって

も GPS による位置情報が画像に埋め込まれていれば撮影場所や日時が特定される場合があ

るためである。

さらに画像には様々なリスクがある。人物写真に対するタグ付け(写真に写る人物が誰な

のかを示す)が Facebook や Twitter ではサービスの一環として設定されている。これをす

ることでその人物へのリンクにもなるサービスだが、これは自分だけでなく他者のプライ

バシーを脅かす行為にもなりうる。そして画像にタグ付けを行わずとも、画像検索で掲載場

所として一般に公開しているソーシャルメディアだけでなく、限定公開にしているソーシ

ャルメディアも明らかになる場合もある。そしてソーシャルメディアのサービスを提供す

る運営会社を信用しすぎるのもリスクの一つであると筆者は述べる。「オープン」でも「ク

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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ローズド」でも、内容閲覧ができる可能性があるのだ。さらに利用規約や設定の変更が行わ

れることは度々あり、データの無断の利用もされることがあることも理由の一つである。

3-3.折田(2014)によるインターネット上での個人情報、プライバシーな情報の管理に

関するプライバシーリスクに関しての研究

「個人情報さえ隠しておけば大丈夫,と言いきれないのが,プライバシー保護の難しさで

ある。」(p.94)と折田はプライバシーに関する項の 初に述べている。個人情報以外のプラ

イバシーな情報が望まない形で見え、さらには情報を発信しないことで知らせていない情

報を相手に見せる形になる(具体例として、Twitter における生活時間帯の提示状態を挙げ

ている)状況を筆者は強い危機感を持って述べている。日本における個人情報保護法は個人

の特定を阻止するための法だが、特定だけでなく、識別された情報の蓄積がプライバシー情

報となる問題を強く示している。これらはインターネット、ウェブ上でのコミュニケーショ

ンにおけるリテラシーの中でも個人情報、プライバシー情報の管理は重要な要素である。折

田も今後の課題として挙げた二つのうち、一つはユーザーと情報管理側(サービス提供側)の

プライバシーの取り扱いであり、ユーザーの意識的な管理だけでなくサービス提供側の注

意喚起も重要であるとしている。そして死後のプライバシーを二つ目の課題として挙げて

いる。死後のデジタル化されたプライバシー情報の処理は各サービス事業者によって異な

り、システムも複雑であることが多い。それらの課題も検討すべきと 後に纏めている。

3-4.苅野ら(2014)と、大沼ら(2012)による若者の SNS 利用とリスク経験について

3-4-1.苅野ら(2014) -大学生の LINE・Twitter におけるリスク経験とリスク認知について

大学生の SNS 利用におけるリスク認知・リスク経験についての調査では、「SNS 利用時

に重要視していること」について「SNS での書き込みや応答によっては、相手を傷付け、

犯罪につながることもあり、相手の気持ちを考えて更新・発言することを重視して SNS を

使用している」ことが分かり、さらに「相手が気分を害するような発言をしないように気を

付けている」かどうかについては調査対象者の7割で配慮意識が見られたが、無配慮での利

用の多くは男性に見られるという結果がリスク認知の調査で明らかにされた。リスク経験

に関しては「SNS に個人を特定できる情報を投稿したことがある」のは全体の5割を超え、

「個人特定されるような内容を友達に更新されたことがある」のは4割近く、「個人特定さ

れる内容を、ネットで知り合った友達に更新されたことがある」のは2割だという。その中

でも男性のほうが写真の無断転載や「なりすまし投稿」のトラブルの経験が多い。

苅野らは、リスク認知とリスク経験には相関の関係が見られると述べている。リスク認知

が低いと、リスク経験の加害の経験や被害に遭う割合が高いという。個人を特定できるよう

な情報を投稿する割合が高いことに関しては、リスク認知が高くとも行っている割合が高

いため、日常的トラブルの存在として危険視している。この投稿に関する理由は明らかにな

ってはいないものの、リスクを理解したうえでリスクの高い行為をする「リスクテイキング

行動」を示している、もしくは友人たちが許容してくれるだろうという「事態の見積もり」

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の低い捉え方ではないかと考察している。SNS の特性として匿名性、被害者からの告訴に

頼られる処罰、交流の場をプライベートな場として誤認しやすいこと、使用の容易性の四つ

を挙げ、これらを熟知する必要がリスク認知には欠かせないとまとめている。

3-4-2.大沼ら(2012)によるソーシャルメディアでのトラブルの経験について

大沼らによる SNS 上でのトラブル経験の調査では、SNS 上で出会った新規友人ではなく

既存の友人との対人トラブルが多いということがわかった。内容としては、相手からの(自

分、または他の友人の悪口などの)直接的な否定的発言が主な原因であるという。直接的な

トラブルには至らずとも、気分を害するパターンも既存友人との対人トラブルで多く見ら

れ、内容もほぼ同じである。そしてトラブル経験者は防止策として「不快な発言をしない」

ことを意識していることからトラブルに大きく影響を与えるのは、相手からの否定的な発

言であることを大沼らは調査から示されたとしている。

3-5.総務省(2015)による「社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々

の意識に関する調査研究」(『平成 27 年 情報通信白書』より)

平成 27 年「社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々の意識に関する調

査研究」での「ソーシャルメディア利用における情報拡散の基準」の調査項目では「内容が

面白いかどうか」を基準とする人の割合は 20 代以下が も多く、「情報の信憑性が高いか

どうか」を基準とする割合は 20 代以下が も少ないという結果が出ている(2015 総務省)。

情報を発信・拡散することに重点を置いた「SNS を利用する際の注意事項の実施状況」と

いう調査項目に関してどの項目に対しても 20 代以下は「あまり気を付けていない」と回答

した割合がどの年代よりも高かった。情報通信白書でも若年層は SNS 利用率が高く、情報

拡散時には情報の信憑性よりも面白さを重視する傾向が強く、トラブルに巻き込まれる利

用者の割合がほかの年代よりも高いことが結果でも表れている。しかし、SNS 利用者のモ

ラルが高い高齢層よりも SNS の各種特性への認知度は若年層の方が高いという結果も表れ

ている。各年代の利用特性を踏まえての教育や啓発が必要であり重要であるとまとめられ

ている。

4.仮説

主な仮説として「デジタルネイティブが利用する各ソーシャルメディア・SNS について

利用状況には違いがある」を設定する。これは研究意義の項で記した鈴木らの分類(オープ

ン/クローズド)や、先行研究に記した木村による分類(コミュニティ/ソサエティ/コネクショ

ン)が適用されているのではないかという推測による。各 SNS においてユーザーによる利用

等の差異があれば、それら其々に対してのリスク認知・回避またはリテラシーの考察・提示

が可能ではないかと考えられ、それを考察・提示することを目標としたい。ここで述べる利

用状況とは、利用の目的や動機だけでなく利用の際のリスクやトラブルに対する意識も含

む。この意識が利用に対して影響を少なからず与えていると考えている。先行研究からはあ

る程度のリスク認知を、大学生を中心とした若者がしていることがうかがえるが、その他に

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も鈴木らや折田の研究から新たなリスクやトラブルの提示がされた。それらの認知の質問

を質問票などで新たに行えれば、大学生のリスク認知やトラブル回避の偏りや落とし穴と

も言えるべき点が見つかるのではないかと考えられる。

5.現時点までの調査活動

木村ゼミ全体で立教大学に通う学生を対象に調査票調査を行った。概要を以下にまとめ

る。

Ⅰ.調査名称

「情報メディアコミュニケーションに関する調査」(実施者:木村ゼミ)

Ⅱ.調査方法

自記式の集合調査

Ⅲ.日時

2015 年 10 月 15 日メディアコミュニケーション論講義内

Ⅳ.対象

2015 年度メディアコミュニケーション論受講者

Ⅴ.回答人数

247 名(男性 108 名、女性 139 名)

この調査から筆者はデジタルネイティブのネット利用、ソーシャルメディア(SNS)利用に

おける不安感と、ソーシャルメディアの情報に対する意識や重視する情報の要素に着目し

て仮説を設定し、分析・考察を行った。デジタルネイティブのソーシャルメディア(SNS)利

用の実態の中でも不安感や情報に対する意識が行動に影響を与えていると考え、今回の調

査分析ではそれらに焦点を当てて分析を行った。ネット利用に対する不安感については、イ

ンターネットを他の年代に比べ早い段階(幼少)から利用し、それに対する様々な教育などを

受けてきたデジタルネイティブであっても、インターネット利用に対して多くの調査対象

者が不安感を持っていることが明らかになった。生活の中で不安を感じやすい人には、その

不安傾向がネット利用にも表れた。ネット利用でのトラブル経験が無いにもかかわらずネ

ット利用への不安感が高いことが明らかになった。木村(2012)の先行研究に似た結果を得る

ことが出来た。分析から明らかになったこれらのネット利用の不安感の傾向は、木村(2012)

の述べる日本社会特有のネットへの不信感や高い不確実回避傾向、および日本社会の強い

安心志向を表していると考えられる。そしてソーシャルメディア・SNS からの情報に対し

ては信頼性よりも娯楽性を求める傾向にあることが示された。総務省(2015)の調査の結果の

傾向に近い結果を得ることが出来た。情報を自立的に取捨選択出来ると回答した人ほど、ソ

ーシャルメディアからの情報に対して、低い信頼性を表すのではないかという仮説を設定

したが、それは結果の分析から棄却された。情報を自立的に取捨選択出来ると回答した人も、

出来ないと回答した人も、どちらもソーシャルメディアからの情報に対して低い信頼性を

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示した。大量な情報に対して負担を感じる人ほど、ソーシャルメディアからの情報の信頼性

の重要度を低く付けているのではないかという仮説を設定したが、これも調査結果の分析

から棄却された。大量の情報を負担に感じる人も、感じない人も、どちらもソーシャルメデ

ィアからの情報に対して低い信頼性を示した。情報の中の重視する要素についての分析か

らは、情報リテラシー教育や経験から「ソーシャルメディアやインターネット上の情報は信

頼性・信憑性が低いものである」といった固定観念が年代に広く通じて作られたのではない

か、そしてその固定観念が情報の取り扱いにも影響しているのではないかと考えている。し

かし先述した通り、各年代のソーシャルメディア利用者の中での情報リテラシー等の教育

の差によるものなのか、それとも年齢による特性(世代効果)なのかは今回の調査からは明ら

かには出来なかった。

6.課題

これからに向けての課題としてはさらなる調査が挙げられる。今回の調査・分析ではソー

シャルメディアからの情報の受信・選択とそれらに対するトラブル経験や意識の調査・分析

を行うことが出来た。しかしソーシャルメディアでの情報の発信・拡散におけるトラブル経

験や意識の調査・分析が行えなかった。そして各 SNS 利用比較の調査を行いたい。各 SNS

について大まかに分類した利用目的や動機をそれぞれ選択、もしくは順位付け評価を調査

対象者にしてもらうことで利用実態が比較可能な形で見えてくるのではないかと思われる。

この調査もなるべく調査対象者に負担の大きくない形での実査を検討したい。

参考文献

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・木村忠正、2012、『デジタルネイティブの時代:なぜメールをせずに「つぶやく」のか』、

平凡社。

・鈴木英男・遠藤真紀・神野建・松下孝太郎・安岡広志・新島典子、2015、「ソーシャルメ

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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ディアにおけるプライバシーリスクの盲点:リスク逓減に向けた論点整理」、『東京情

報大学研究論集』、第 18 巻第 2 号、1-15。

・総務省、2015、「第 4 章 暮らしの未来と ICT 第 2 節ソーシャルメディアがもたらす変

化 2,SNS での「拡散」と「炎上」」、『平成 27 版 情報通信白書』

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テレビ離れの実態と今後のテレビ業界

要旨

近年、若者のテレビ離れやテレビ番組の視聴率低迷が叫ばれている。そのような中で、本

研究ではテレビ離れの実態がどのようなものかを明らかにする。これについては、多様化す

る視聴形態について論文などを基に分析する。そして、これに対するテレビ局の取り組みを

取り上げて、今後のテレビ業界の動きについて自分なりに考える。これについては、近年広

まりつつある動画配信サービスの動きを中心に取り上げる。全体を通して、インターネット

の普及による映像コンテンツの変化という観点で研究を行う。また、春学期に行った二次分

析や、秋学期に行った社会調査で得られたデータや分析を取り入れながら分析を行う。

1. 主題

本研究は、テレビ離れの実態とそれに対してテレビ局が行っている取り組みについて、動

画配信ビジネスという観点から明らかにする。それによって、今後のテレビ業界の動きにつ

いて自分なりに考えることを目的としている。

2. 問題意識

近、若者のテレビ離れが叫ばれている。また、特にバラエティ番組やドラマの視聴率が

以前よりも低くなっているが、これはテレビ離れが背景にあるためだと考えられる。しかし、

Twitter などの SNS や Yahoo の検索急上昇ワードなどではテレビ番組の話題があがること

が多い。また、安定して高視聴率をマークする番組も存在している。他には、若者だけでな

くそれ以外の年齢層でもテレビ離れが起こっているという考え方や、地上波の番組は見な

いが BS や CS の番組はよく見る人がいるという考え方もある。そこで、本研究ではまずテ

レビ離れの実態について明らかにする。そして、テレビ離れに対してテレビ局が行っている

取り組みを取り上げて、分析する。 後に、解決策や今後のテレビ業界の動きなどを自分な

りに考える。

3. 仮説や論点

本研究の仮説は次のとおりである。テレビ離れは若者に限らず様々な年齢層の人たちの

間で起こっている。この仮説を、低視聴率のバラエティ番組やドラマが増えているといった

現状と照らし合わせて検証する。テレビ離れには少子高齢化といった社会状況や、生活スタ

イルの変化といったものも絡んでくることが考えられるので、そういったものも考慮しな

がら検証する。また、動画配信ビジネスという枠組で、産業構造、収益構造、法制度といっ

た観点(ネットの普及による、映像コンテンツビジネス全体の変化という観点)からいろい

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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ろな配信メディアを比較する。さらにアメリカの動画配信ビジネス、地上波、ケーブル、ネ

ットなどの競合について少し調べてから、日本の動画配信ビジネスについて考えてみたい

(Netflix, Hulu など)。

4. 先行研究

本研究の出発点は、テレビ離れの原因を調査し、その解決に向けてテレビとインターネッ

トの共存のあり方を考察した論文(鈴木・森本 2012)である。テレビを情報源としたもの

が SNS の注目ワードや検索サイトの急上昇ワードの多くを占めているにもかかわらず、テ

レビ離れが起こっているという現状を踏まえたうえで今後の解決策を探るという方向性が

本研究の基盤となっている。このほかにも、二次分析や秋学期に行った社会調査分析で明ら

かになったことも研究に取り入れようと考えている。

5. これまでに分かっていること

5.1 二次分析で分かったこと

春学期に行った二次分析では、テレビの視聴形態がリアルタイム視聴、タイムシフト視聴、

インターネットを利用した視聴の3つを軸に様々な形態があることが分かった。その中で

も、視聴率に直結するリアルタイム視聴が基本になっていることが明らかになった。(木村・

関根・舟越 2014)

テレビの視聴時間については、NHK 放送文化研究所が行った調査のうち 2010 年と 2015

年の結果を比較すると、「ほとんど、全く観ない」、「短時間視聴」(30 分〜2 時間視聴)、「普

通視聴」(3 時間)、「長時間視聴」(4 時間以上)の中で、「ほとんど、全く観ない」人と「短

時間視聴」の人の割合が増加し、あとの 2 項目の割合は減少していた。(NHK 放送文化研

究所 2015)つまり、テレビの視聴時間が減少し、テレビ離れが進んでいることがこのデー

タで示された。

テレビ番組のインターネット配信については、民放では現在放送している番組との連動

性を高めた「見逃し配信」を行うのに対し、NHK は放送の同時配信を行うといった違いが

見られることが分かった。(日本経済新聞 2014)他の動きとしては、日本テレビがアメリ

カの動画配信会社 Hulu の日本事業を買収したことや、ネットフリックスが日本に上陸し、

会員数を増やしていることが挙げられる。また、二次分析の中で取り上げているテレビ局向

けのアンケートでは、視聴形態についてタイムシフト視聴が比較的多くなっていくと答え

たテレビ局が多かった。また、インターネット配信サービスについては、今後拡大する予定

であると答えた局がほとんどであった。(吉次 2012)これらの結果から、送り手であるテ

レビ局側も視聴形態の変化をきちんと捉えて、それをインターネット配信という新たなサ

ービスに反映しようと取り組んでいることが示された。

しかし、このサービスを展開する上で、権利処理の問題を考えなければならない。出演者

や楽曲利用の契約がテレビで番組を流す場合と異なるので、サービスの展開や拡大が困難

になってしまう場合がある。この問題があるので、民放各局はテレビ番組の同時配信になか

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立教大学社会学部メディア社会学科

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なか踏み切れないという。

5.2 社会調査で分かったこと

秋学期に行った社会調査では、様々な視聴形態がある中で、地上波の番組を見る人が BS

や CS などの番組を視聴する人よりも多いことが分かった。また、動画配信などの映像コン

テンツには課金しない人が圧倒的に多いことも明らかになった。この調査の対象は、立教大

学の学生のうち、メディア・コミュニケーション論を受講する主にメディア社会学科所属の

学生という非常に限られたものであったが、若者のテレビ離れが叫ばれている現状を踏ま

えると、この結果も参考になるだろう。

5.3 それ以外に分かったこと

5.3.1 ネットフリックスについて

二次分析と社会調査以外にも資料集めを行った結果、次のことが分かった。日本経済新聞

によると、ネットフリックスについて、「ストリーミング(逐次再生)型の動画配信サービ

スは、いつでもどこでも好きな端末で番組を見られることなどから急成長した。同社による

と米国での利用者は全世帯の4分の1に達するという。(中略)米国で視聴者をひき付けた

のは使い勝手や料金の手ごろさだけではない。ネットフリックスは膨大な視聴履歴の分析

と豊富な資金を生かした独自番組も大きな強みとなっている。」(日本経済新聞 2015)とあ

る。この強みを生かして日本でもサービスを展開し始めたが、サービス開始が発表された当

初はネットフリックスを「黒船」だと捉えた見方もあったという。この捉え方について、

NHK 放送文化研究所の論文では、「黒船とは、江戸時代に日本が 200 年以上続けてきた鎖

国というモデルに変革を迫った“外圧”の象徴的存在である。これを日本の今の放送事情に

なぞらえるということは、戦後半世紀にわたり、リアルタイム視聴率という指標を通貨に、

ハード・ソフト一致の垂直統合型の産業を系列ネットワークによって維持してきた地上波

民放のビジネスモデルに変革を迫っている、ということになろう。」(村上 2015)と述べ

ている。日本ではテレビ番組の視聴形態の多様化が進んではいるが、現在もリアルタイムで

の視聴が基本になっている。また、放送などの映像コンテンツには課金せず、無料で見られ

る地上波の番組を見る人が多いことは今までの分析でも明らかになっている。この現状を

ネットフリックスという海外のサービスによって変えられてしまう可能性があれば、テレ

ビ局などがこのことを脅威と感じることに納得できる。しかし、これとは逆の見方もある。

先ほどと同じ論文の中で、「高額でサービスの質が必ずしもよいとはいえないケーブルテレ

ビ事業者と契約しなければ地上波 4 大ネットを十分に見ることができないアメリカで、そ

のことに不満を持つ人たちが、契約を止めたり、安い契約に切り替えたりする(コードカッ

ティング、コードシェービングなどと呼ばれる)受け皿となってきたという位置と、地上波

民放が全国どこでも無料で視聴できる日本でのそれとは大きく異なる」(村上 2015)とあ

る。確かにアメリカで成功したからといって、映像コンテンツに関する環境が異なる日本で

同じように成功するとは限らないと考えることはできる。しかし、ネットフリックスなどの

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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サービスは開始されてからそれほど時間が経っていないので、日本で完全に成功したとは

言い切れず、今後の動向を見守る必要があると個人的には考えている。

5.3.2 テレビ局の動画配信サービスついて

(1)現在の動き

テレビ局の方でも新たな動画配信サービスが始まった。2015 年 10 月に在京民放 5 社は

「TVer(ティーバー)」というサービスを開始した。日経産業新聞ではこのサービスについ

て、「放送直後のドラマやバラエティを1週間程度、広告付きで配信。番組やタレント名、

ジャンルで検索でき、当初は計約 60 番組を用意。好きな番組を登録する機能もある。既に

各局は見逃し配信サービスを提供している。受け皿をひとつにして使い勝手を良くし、より

多くの視聴者をひき付けるために手を組んだ。」(細川倫太郎 2015)と紹介されている。民

放各社が局の垣根を越えてサービスを展開し始めたということであるが、もともと自社で

展開していたサービスは今後どうなってしまうのかが疑問に思う。たとえば、フジテレビは

フジテレビオンデマンドというサービスを展開しているし、日本テレビは Hulu を買収し、

そこでドラマを配信している。これらのサービスが今後も継続されるのか、それとも終了し

てしまうのかについては今のところまだわかっていない。今後の動きに注目したい。

(2)サービスの効果

先ほども紹介した NHK 放送文化研究所の論文では、サービス開始後の効果などについ

て、「配信した番組の大半において、リアルタイム視聴時よりも若い層が視聴する傾向が出

ていること、ユーザーアンケートベースではあるが、リアルタイム視聴への誘導の効果が見

込まれること、そして、違法動画サイトでの視聴を抑止できる可能性がうかがえることなど

である。また、各局とも、こうした視聴者の動向と同じくらい意味があるとしているのが、

配信を契機に局内の意識改革や業務フローの見直しが始まったということである。リアル

タイム視聴率至上主義の傾向が強い営業などのセクションにおける価値観の変化や、制作

現場における権利処理への理解とそれに伴う処理の迅速化や体制強化などが進んでいると

いう。」(村上 2015)と述べられている。まず、若者のテレビ離れが叫ばれている中で、若

い層を取り込めているのは現状を変えるうえで効果があると考えられる。次に、視聴率に直

結するリアルタイム視聴への誘導が見込まれると、視聴率が上昇し、 終的にテレビ局の収

入源である広告収入の増加にもつながる。そして、局内の意識改革が始まったということか

ら、結果的に番組の質も向上するだろう。以上のことから、視聴率低迷という現状を打破す

るうえで、動画配信サービスは効果があるということがいえる。しかし、このサービスもネ

ットフリックスなどと同様に 近始まったものなので、長期的に動向を見守る必要がある

だろう。

6. 今後の課題

まず、ネットフリックスや TVer といった動画配信サービスは 近始まったものであり、

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立教大学社会学部メディア社会学科

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完全に普及して、テレビ離れを食い止める効果があるとは言い切れない状況である。また、

こういったサービスについては今後も新たな動きがあることが考えられるので、 新の情

報を集めつつ、長期的に動向を見守る必要がある。他の課題としては、本研究でアメリカと

日本の動画配信サービスを比較するという観点を取り入れる計画だが、アメリカの動画配

信サービスに関する資料集めがほとんどできていないので、これらの資料集めを引き続き

行う必要がある。

参考文献

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接しているのか~『2014 年 6 月全国放送サービス接触動向調査』の結果から~」、『放

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細川倫太郎、2015、「動画配信サービス(4)テレビ局、地上波とどう両立(よくわかる)」、

『日経産業新聞』、2015 年 10 月 8 日、2 面

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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コンテンツ産業目録

要旨

とにかく、現状の版権無法地帯化しているこの社会の中でコンテンツ産業が生き残ってい

る形や、ビジネスモデルを実例や理論を交えつつ提示し、それぞれのコンテンツのジャンル

毎に考察し、〆の一文でそれらをまとめる…。というものを構想している。今回のレポート

では音楽、映画、アニメ、ゲームといったそれぞれの分野の中で今までまとめたことを詳細

に記述した。特に映画の分野では今回行った社会調査でこれからの日本の未来を担うこと

になる未来の消費者の消費形態のそれなりに説得力のあるデータの採取ができたので、こ

ういった調査の結果も踏まえながら一つの結論に導こうと検討中…といった内容が今回の

レポートとなる。

1. はじめに

結局、コンテンツの作り屋に将来はなりたい、というものが私の願望にはあるのだろう。だ

から卒業論文もまだ完全に固まってはいないというものが正直な部分であるがコンテンツ

産業と社会構造の分析が卒業論文の内容となることは間違いはないだろう。

そんなわけで、私がこれから書く秋学期レポートは今まで少しずつまとめてきたことを

今一度整理する場所ということになるのだろう。

2. 主題

これから先、コンテンツ産業はどのような経営戦略をとってゆくのがベストなのだろう

か?

3. 問題意識

社会学的にここ数年で大きく変化したと言われている現象、キーワードは携帯端末の普

及、インターネットの爆発的な普及、そして情報が広く行き渡りすぎることによって発生し

た著作権の実質、無法化…。その中で所謂(見せ物)商売であるコンテンツ産業はその波の

中で大きく煽りを受けていると言われている業界だ。

ただ見せ物をするだけではすぐに違法アップロードだがお咎めはなし、の現状がそこに

ある今、コンテンツ産業の…とりわけ日本のコンテンツの生き残る道を模索してゆきたい。

4. 仮説

初に漠然とあったものは正直に述べさせてもらえばコンテンツ産業はこれから完全に

衰退していってしまう業界ではなくこんな現状でも必ず成功するプロセスのようなものは

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存在しているはずだ、ということだったが少々、分析が住んだ後付けの仮説はこのようにな

る。

暫定的には、スマートフォンで Youtube などの動画を見る行為といかに差別化をつけるこ

と、あるいはそれを利用することが生き残りのカギとなるのではないだろうか?

5. 明らかにしたい論点

○これから先の未来を支配するコンテンツ産業のジャンルとは何か?

○あるいはコンテンツ産業のビジネスモデルとは何か?

6. 先行研究

○同人音楽とその周辺 新世紀の振源をめぐる技術・制度・概念 井手口彰典著 青弓社

具体的には、同人という直接、商業とは結び付かないファンコミュニティの研究としては

非常に参考になる研究であった。

○なぜ人はゲームにハマるのか 開発現場から得た「ゲーム性の本質」

ここでは具体的に内容として述べている部分はないと思うのだが、所謂社会学の視点か

ら見たゲーム体験の魅力( 高の疑似現実を提供してくれる魅力)について研究をしてくれ

ている一冊、ということになるだろう。

7. これまで分かったこと、調べたこと、これからの課題などなど

あくまで括りはコンテンツということでそのコンテンツの中でもアニメ、音楽、映画、ゲ

ームなどなど…いくつかに分野は分かれるので、今までの調査で分かったことをここで簡

潔に列挙してゆくことでこれまで分かったことのまとめとしたいと思う。

アニメ

歴史とすると、手塚治虫氏の鉄腕アトムが黎明期となり、アニメは商売になるということが

社会にはじめて認知されることとなった。それから先はアニメ産業の黄金期とも言える時

代となり、ルパン三世や宇宙戦艦ヤマト、ガンダムなどあらゆるジャンルを超え、今日でも

ファンの多いジャパニメーションが多く生まれた。 初は子供が見るものという固定観念

のあったアニメもその子供が大人になってゆくにつれて大人が鑑賞することを前提に作ら

れた作品も多く発表されるようになる。その社会情勢を端的に示したものがスタジオジブ

リの勃興や子供の視聴がないことを前提としている涼宮ハルヒの憂鬱といった深夜に放送

されるアニメ作品のヒットということになるだろう。

だが、今のアニメ業界の情勢はその時代と比べたら苦しくなっていると言わざるを得な

い。理由の一つは違法アップロードの蔓延化と深夜アニメを中心とする産業構造により、ち

ゃんとしたスポンサーのいない中でアニメというコンテンツを活用して自分達の力で利益

を上げなければならない、という政策会社の事情も大きく関連しているのだろう。

音楽

どこの産業調査を見ても音楽産業は苦戦していて、ライブ産業ぐらいしかわずかな伸び

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がないという現状があるようだ。その中でも私が特に注目したい音楽産業のホープは桃色

クローバーZ というアイドルユニットだ。

彼らの活動のコンテンツ産業のビジネスの主軸は、コンサート事業とグッズ販売にある。

だが、彼らは決してそこまで歌が上手いというわけではない。これは主観の意見が強いので

この考えを客観的に示せ、と言われても難しい部分があるのだが…。

思うに、彼らの価値とは「がむしゃらに、一生懸命にやるアイドル」という部分にあるの

ではないだろうか。例え話にはなるが、彼らの価値を説明するのであれば高校球児の野球の

試合の価値とプロの試合の価値をどう比べるか、ということになるのではないかと思う。

高校球児の野球はプロの試合と比べるとへたくそであることには違いない。しかし、彼ら

は一夏の大会の栄光のためだけにがむしゃらに汗を流して頑張っている。…だが、逆にそん

ながむしゃらに頑張っているはずの高校球児の「不正や不祥事」を世間は快く思わない。一

生懸命を強いられている状態にあるからこその価値がももクロにはあるのではないだろう

か。

映画

今回の社会調査で私が担当した分野となるが映画のビジネスは安定している。要因として

は以下の部分が挙げられるだろう。

1.まず、コンテンツの規模が大型であり映画配給会社といった会社の影響力が強いこと。

つまるところ、訴えることを当然にようにできる存在がちらつくからこそそう簡単に違法

アップロードを先進国ではできない状況があることと、何時間にも及ぶコンテンツをキッ

チリアップロードできるほどのサーバーの耐久性が違法サイトにはそうそう存在しないと

いうことだ。

2.映画 DL コンテンツは厳しいが、映画館は安定している。

これは間違いなく、スマートフォンで動画サイトの映像を見るという行為と映画でコンテ

ンツを楽しむという行為が異なっていることの一つの証明ではないかと私は考えている。

例えばだが、映画館には大きな映像をしっかりとした音響設備の中で皆で楽しむことがで

きるというメリットが存在しているのに対し、PC やスマートフォンではどうしても内臓さ

れている微小な設備に依存しなければならない。ここの部分はもう少し順序立てて説明を

考える必要性があるのではないか、と感じてはいるが少なくとも、これからスマートフォン

が更なる進化を遂げて現状の映画館並みの音響や映像を映し出すシステムを(無料)で提供

できるようになった場合は映画館での収入もこのようにはいかなくなるかもしれないが…

まぁ、すぐに悲惨な状況になるということはありえないだろう。

ゲーム

ゲームと一言で括ってしまうのもいいがやはりコンテンツ的な分野としてはコンシューマ

ーゲームとソーシャルゲーム(スマホでやるゲーム)の二つはわけて考えるのが自然である

ように感じる。

今回の社会調査の分析では同じ班に所属している武田君に分析をお願いしていたのだが、

今回の社会調査では中々に面白いデータが採れた。実は、コンシューマーゲームもソーシャ

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ルゲームも若者の中に存在している潜在的な顧客層になり得る割合はそこまで変わらない

ということ。(寧ろ、コンシューマーゲームの顧客層の方が若干ではあるが多かった。)

現状、SEGA やスクウェア・エニックスに KONAMI をはじめとして多くのゲーム会社

がソーシャルゲームの利益に注目し、参入してきている。だが、自分達で社会調査をしてみ

て分かったことはソーシャルゲームの市場規模は一部の人間が多くの課金をすることによ

って成り立っているものであるということを改めて再認識させられた、ということだった。

だが、コンシューマーゲーム市場も開発費の高騰といった問題を抱えてはいる。そこで私

が注目したしたいのは任天堂社が作ったゲーム、splatoon におけるメディア展開について、

だ。

このゲームは対戦式のゲームであり、100 万本以上の売り上げを叩きだした大ヒットゲーム

であったのだが、このゲームのメディア戦略として特筆したいのは闘会議 2016 というイベ

ントにおいてゲームの看板キャラクターがプロじゃクターと CG を活用してあたかも立体

的に、そこに存在しているかのように映し出すコンサートを行ったことである。

このライブ技法そのものは初音ミクというボーカロイドのキャラクターをステージ上で

歌わせる(ように魅せる)技法の流用にあたるものなのだが、しょせんはコンシューマーゲ

ームの BGM としてかかる曲がコンテンツである。

この時のライブを見るためにお客さんに払ってもらわなければならない費用は実質、

1500 円以上であったが(ライブブースへ入ること自体は無料なのだが 2016 年 1 月 29 日の

幕張メッセの闘会議 2016 のイベントブース内へ入る入場料にはチケットの購入が必須で

あったため。)私はこの目でたかだゲームの BGM であるのに、プログラミングされたデー

タの塊でしかないゲームの BGM をうたう電子データに向かって手を振り、熱狂する一団

の中にいた。この部分はまだ完全にどういうことかの分析が住んではいないのでは今後は

この現象を考える考察が必要となって来るだろう。

参考文献

○同人音楽とその周辺 新世紀の振源をめぐる技術・制度・概念

井手口彰典 著 青弓社

○なぜ人はゲームにハマるのか 開発現場から得た「ゲーム性」の本質

立命館大学映像学部 渡辺修司・中村彰憲 著 SB Creative

○ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケ―ションが変える顧客満足

深田浩嗣 著 SoftBank Creative

○「ヒットする」のゲームデザイン ユーザーモデルによるマーケット主導型デザイン

Chris Bateman Richard Boon 著 松原健二監訳 岡真由美訳 オライリージャパン

○テレビゲーム産業白書

株式会社メディアクリエイト

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サードプレイス的側面と監視論的側面から見た、SNS という空間の

特性と現実空間との関係、及び現実の定義について

要旨

ここ数年のうちにソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が広まってきた。SNS

は新たな人間関係、既にある人間関係、かつての人間関係、様々な関係を結ぶのに役立って

いる。現実のやり取りと同じ働き、時にはそれ以上の効果を生み出し、人々に影響を与えて

いる。本研究ではどれほど現実に即しているのか、影響を与えているのかといったことを、

レイ・オルデンバーグが提唱したサードプレイス、バウマン、ライアンが述べるような監視

論などを参考にしながら検証する。さらにそれを踏まえて、SNS の空間が与えた現実の空

間への影響、人々の「現実」の捉え方などを考察していく。

はじめに

ソーシャルメディア・ネットワーキング・サービス(以下 SNS)というインターネット空間

が、どのように人々に利用されているのかを明らかにする。コミュニティとしての機能、対

人関係形成の過程、自己表現・コミュニケーションの方法といった SNS の諸機能を整理しつ

つ、その特徴や問題点を挙げる。さらに SNS の果たす機能と現実の空間でのコミュニティや

対人関係との比較を行い、現実の空間と同じ、類似する点、異なる点などを考えることで、

SNS の空間が現実の空間に対してどういった位置づけであるのかを明らかにする。

SNS が現実の空間と同等の機能を果たすのであれば、SNS 空間でのやり取りのすべては、

現実の、対面でのコミュニケーションと等しい意味と価値を持つ。SNS 空間と現実空間が等

価で結ばれたとき、今現在においての「現実」とは何なのか検討すること必要となってくる

と考える。この「現実」再定義こそが本研究の主題となる。

1 問題意識

SNS はスマートフォンの登場とともに、ここ数年で広く知れ渡り利用されるようになって

きた。情報発信、情報収集、会話、連絡、近況報告など様々な場面で使われ、現実の空間で

人と実際に会ってやり取りするより機会が SNS に取って代わられることも増えてきた。イ

ンターネット空間が現実の空間に任されていた機能を持ち始めたともいえるだろう。個人

的な感覚では、授業の合間、移動中、自分の部屋で、スマートフォンを操作し画面の中の空

間に意識を向けている間、意識は身体と切り離されているように思える。だからこそ、歩き

スマホで事故などが起きているのでは?などと 近では考えるようになった。かつて現実

の空間で行われていた行為が SNS 上で行われるようになることで、人々の生活、現実の空間

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はどのような影響を受けているのだろうか。

もし、SNS 空間が現実の空間と同等の機能を持っているというのであれば、SNS(インター

ネット)の空間は現実の空間を単に補助するだけの空間ではないということになる。現実の

空間と SNS(インターネット)の空間が等価であるならば、それらで形作られている、「現実」

はこれまでの「現実」とは異なる意味を持ち、今現在における、「現実」について定義しな

おす必要があるのではないだろうか。

また、総務省の調査(2015)では若者世代が SNS を特に利用していることが明らかになっ

ている(図表 1)。デジタルネイティブと称される若者世代の SNS の利用を詳細に調査するこ

とで、新しく作り直されている「現実」について明らかにできるだけでなく、これからの日

本を担っていく世代の「現実」観が分かるのではないだろうか。

2 明らかにしたい論点・考えられる仮説

2.1 明らかにしたい論点

① SNS の特徴と影響について明らかにする。SNS に出来ることと出来ないこと、その機

能や役割について SNS 全体、各 SNS、それぞれ整理していく。また、SNS が登場した

ことにより現実の空間にもたらされた影響を正負の両面から考える。

② SNS と現実の空間の差異について明らかにする。SNS が現実の空間でのやり取りとど

こまで同等といえるのか、どこが異なっているといえるのか、その境界をはっきりさ

せるための比較を行う。その際、論点1でまとめた特徴を、正の側面に関してはレイ・

オルデンバーグのサードプレイスの考え方に照らし合わせながら、現実空間との比較

検証を行い、負の側面については監視論に基づき、ジグムント・バウマンやデイヴィ

ッド・ライアンを参考にしつつ比較する。

③ 現在の「現実」の意味・定義について明らかにする。論点 2の比較で得られた結果か

ら、現実の空間、SNS の空間(インターネット空間)という二つの空間が、どう同じで、

どう異なり、どう係りあって「現実」を構成しているのか、今日現在での「現実」の

意味と定義を考える。

④ 若者の「現実」の捉え方(「現実」観について)について明らかにする。論点 3で検討

する「現実」の意味と定義を補助する意味合いで、SNS を一番よく利用している若者

世代のその利用の仕方を仔細に検証し、彼らの SNS 空間への考え方を「現実」の再定

義の際に盛り込む。SNS という、これまでと異なるコミュニケーション手段と空間の

登場によって醸成される新たな「現実」を、デジタルネイティブと称される人々がど

う捉えているか知ることで、新たな「現実」がこれからさらにどう変化・進化してい

くのか予測ができるようになるであろう。

2.2 考えられる仮説

① SNS の空間で行われるコミュニケーションは、現実空間のコミュニティにおいてみら

れるサードプレイス的特徴を持ち合わせていて、現実の空間での対面のやり取りを必

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要とせず、現実空間のコミュニティと同様に機能している。

② SNS の利用の中には、現実の空間でみられる監視行為を目的とした利用が存在し、マ

イナンバーや防犯カメラといった、国家や企業が公的な目的で行っている監視が、一

個人単位で私的な目的で行われている。

③ 「現実」は、現実の空間が仮想空間(SNS、インターネット)を包含する形で成り立って

いるのではなく、現実の空間と仮想空間とが並立し、どちらも等価な「現実」として、

一つの大きな、これまでの捉え方とは違う「現実」を構築している。

④ 若者の「現実」の捉え方は、仮想空間(SNS、インターネット)の介在による、新しい

「現実」に即している、もしくは寄っていて、これまでの「現実」の捉え方とは異な

っている。彼らの「現実」観はこれからの「現実」について考察する際の指標となり

得る。

3 先行研究

3.1 河合によるインターネット・パラドクス研究

SNS 上での対人関係にかかわる先行研究には、河合(2014)による、インターネットのネガ

ティブな影響であるインターネット・パラドクスがソーシャルメディア上で起きるのか、即

ちソーシャルメディア・パラドクスについて調査したものがある。インターネット・パラド

クスとはインターネットの利用により家庭内のコミュニケーションの減少が起こり、社会

的関係の縮小や、抑うつや孤独感の増大というような健康への影響現れることを意味する。

河合の調査では、ソーシャルメディアの新規利用者で投稿頻度の高い場合、友人関係の満足

度が強まり、それ以外の条件(新規利用者の閲覧行為、ユーザー全体を通しての投稿・閲覧

行為)では友人関係や孤独感にネガティブな影響があるという結果(表 2)が得られた。つ

まりソーシャルメディア上にもインターネット・パラドクスの傾向が認められ、部分的にだ

がソーシャルメディア・パラドクスの存在が支持された。

3.2 鈴木らによるソーシャルメディアにおけるプライバシーリスク研究

SNS 上の監視行為について考える上で役立つ先行研究に、ソーシャルメディア利用とプラ

イバシーの危険について、鈴木ら(2015)がまとめたものがある。ソーシャルメディアをクロ

ーズドなものとオープンなものに分け、自身の投稿がどこまで流れていくのか、情報公開の

範囲設定にも注目しプライバシーについて考えている。さらに、若者の情報公開への意識、

ソーシャルメディアが生み出す人間関係のトラブル、GPS、実名・匿名利用、アプリ、写真

の顔認識といった機能が抱えるリスクまで、様々な角度からソーシャルメディアに潜むプ

ライバシーに関する危険性を検討している。

4 これまでに分かったこと・調査したこと

まず、春学期の二次分析レポートで調べた SNS についての情報を CMC,SNS,Twitter の順

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に確認していく。その後、レイ・オルデンバーグ提唱のサードプレイスの特徴について整理

する。

4.1 CMC について

SNS は CMC(Computer-Mediated Communication)の特徴を備えていると言ってよいだろ

う。つまり、①CMC 上では、自分の姿が相手に物理的に見えない故に、自己開示が促進され

る傾向にあること。②CMC 上では非言語的手がかりが減るため、他者からの肯定や承認を得

るために行われる自己呈示をコントロールしやすい。③CMC は対面コミュニケーションにお

ける外見や雰囲気、視線や表情、言葉遣いやジェスチャーといった要素がなく、テキストベ

ースでありコントロール可能性が高いため、「話しやすさ」が生まれる。さらに非言語的手

がかりが少ない分、自己呈示が上手くいくだろうという見込み感も高まり、「話しやすさ」

がさらに強まる(杉谷、2009)。以上の三点であり、非言語的手がかりの少なさ、つまり相手

に見えていないことが、対人関係の形成を助けると分かる。ここでは見えていないことが対

人関係の促進を担っているが、見えてないことを、悪意を持って利用すれば、監視のような

対人関係を壊してしまう効果も生み出してしまうのではと予測する。

4.2 SNS の定義

総務省(2011)による定義づけでは、「SNS とは、インターネットを利用して人と人とのコ

ミュニケーションをサポートするサービスであり、 利用者は、現実の知り合いと SNS 上で

も知人になることで SNS に現実の世界での人間関係を持ち込むこともできるし、あるいは

SNS 上で新たな人間関係を構築して利用者同士のコミュニケーションを図ることも可能で

ある。普段会ったり電話等で会話をすることが少ない知人と SNS 上で頻繁にやり取りをし

たり、SNS を通じて昔の友人と「再会」しつながりを復活させる人もいれば、趣味等を同じ

くする人と SNS 上で知り合い、情報を交換し、友人となる人もいる。」となっている。現実

の知り合いに留まらず、見知らぬ他人、かつての友人など、幅広い交友関係を、CMC 的特性

を使って構築していくのが大まかな SNS の特徴であるといえる。

4.3 Twitter の特徴

個別の SNS の特徴として Twitter は、①リアルタイムの情報が流れ、情報を通じた場

の共有が可能になる。②フォロー機能により、リアルタイムに更新される情報源・量は、

任意のユーザーをフォローすることで増える。様々なユーザーをフォローすることでタ

イムラインに流れる新鮮な情報もまた様々になる。③自分が反応したい時だけ相手につ

ぶやきを返すという、断られる心配や、誰を誘うかということを悩まずに済む「ゆるい」

関係、気楽なコミュニケーションが Twitter 上には存在する。④140 字という二言三言

で終わってしまう文字数制限、思ったことを一言つぶやくだけでよい投稿の敷居の低さ、

相手の反応を気にしなくてよい気楽さといった「シンプルさ」が投稿の頻度を押し上げ、

メディアとしての価値を生み出している。⑤リツイートやハッシュタグといったユーザ

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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ーが勝手に生み出した使い方を、開発者側が正式に採用してサービスとして提供し始め

ること、即ちユーザーの意見や外部開発者が Twitter を育てている。以上のようなこと

が枝(2009)によってまとめられている。情報を得る、コミュニケーションを取る量や種

類を自由に決められる環境に、CMC の特徴が合わさったものが Twitter と見て取ること

が可能だ。しかし、この特徴がまとめられた時期が 2009 年であり、また特徴⑤にもあ

るように、ユーザーの使用方法や、要望によって日々アップデートが繰り返されている

ので、変化の過程や現在の仕様と照らし合わせる必要があるだろう(例えば、文字数制

限が変更になるかもしれないことなど)。

4.4 サードプレイスの特徴

次に、レイ・オルデンバーグが提唱したサードプレイスが持つ特徴を列挙していく。①誰

でも自由に出入りできること(政治的・法的といった条件に縛られない)。②地位や身分は重

視されず、みな平等であること。③主な活動は(ユーモアやウィットに富んだ)会話である

こと。④アクセスしやすく、便利・安価であること。⑤常連の客がいて、場所の空気を作り

出していること。⑥派手で排他的であることがなく、地味であり誰でも受け入れること。⑦

会話は緊張感や憎悪を生んではいけない、冗談や遊び心に満ちた雰囲気を持つこと。⑧我が

家のような居心地の良さ、温かい感情を抱けること。の八点を挙げることができる。これは

現実の空間に対して持ち出された考えであるため、仮想空間である SNS に対しては解釈を

変えて、これらの特徴を有しているのか検討する必要が出てくるだろう。

5 クリアすべき課題

・漠然とした問題意識、意識と身体の乖離の感覚について、説明的な文章にしてまとめる。

・先行研究で扱った Twitter の特徴のようなまとめを仕様の変更などに注意しつつ、LINE、

Facebook、Instagram といった他の SNS でも行う。その上で、SNS 全般の定義についても

適宜修正する。

・サードプレイスの定義を SNS に利用できるように、再定義する必要がある。

・監視をしているかどうかということを、どのような尺度で測るか、また SNS での監視行為

と通常の利用の境界線の決め方。

・若者「現実」の捉え方をどのような尺度で測るか。

・SNS 上の投稿をテキスト分析する際、内容を損なわずプライバシーを保護すること。

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図表 1. SNS の利用率及び実名利用率(総務省 2015)

参考文献

・枝洋樹、2009、「Twitter とは何か?」、『Twitter の衝撃 140 文字がビジネスからメディ

アまで変える』、日経 BP 出版局、p17-33

・河田大介、2014、「ソーシャルメディア・パラドクス : ソーシャルメディア利用は友人間

係を抑制し精神的健康を悪化させるか」、『社会情報学』、第 3 巻 1 号、31-46、

http://ci.nii.ac.jp/els/110009844625.pdf?id=ART0010359399&type=pdf&lang=jp&host

=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1456245882&cp

(2016 年 2 月 18 日アクセス)

・杉谷陽子、2009、「インターネットにおける自己呈示・自己開示」、

『インターネット心理学のフロンティア 個人・集団・社会』、誠信書房、p59-85

・鈴木英男、遠藤真紀、神野健、松下孝太郎、安岡広志、新島典子、2015、「ソーシャルメ

ディアにおけるプライバシーリスクの盲点: リスク逓減に向けた論点整理」、『東京情報

大学研究論集』、Vol.18 No.2、1-15、

http://www.iic.tuis.ac.jp/edoc/journal/ron/r18-2-1/r18-2-1.pdf

(2016 年 2 月 25 日アクセス)

・総務省、2011、「ソーシャルメディアの効用と課題 2-1-1 ソーシャルメディアの概要」、

『次世代 ICT 社会の実現がもたらす可能性に関する調査』、p4-6

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h23_05_houkoku.pdf

(2016 年 2 月 21 日アクセス)

・総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課情報通信経済室、みずほ情報総研株式会社、

2015、『社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々の意識に関する調査研

究』、

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h27_06_houkoku.pdf

(2016 年 2 月 17 日アクセス)

・オルデンバーグ、R.O.、2013、「サードプレイス コミュニティの核になる「とびきり居心

地よい場所」」、(忠平美幸訳)、みすず書房

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第 II 部 社会調査分析レポート

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Twitter の利用状況について

要旨

近年の Twitter の普及によって性別、年齢問わず多くの人々が Twitter を利用するようにな

った。Twitter ユーザーの中にはアカウントを複数持ち、用途によって使い分けている人も

多い。今回の社会調査のアンケート項目にも、立教生の Twitter の利用状況を問う項目があ

った。そこで本分析では、社会調査の質問項目の中でも問10-1 所持しているアカウン

ト数、アカウントごとの利用方法の回答結果を利用し、立教生の Twitter の利用実態を分析

していく。また、春学期に実施した Twitter の利用状況に関する聞き取り調査の内容も引き

続き利用し研究していく。

研究の主題と概要

春学期の二次分析において Twitter を利用した対人関係の構築について取り扱った。秋学期

に立教大学の学生247人を対象に大学生のネット利用実態を調査するために社会調査を

実施した。質問項目の問10-1 Twitter のアカウントの所持数、アカウントごとの用途

2 フォローしているアカウント、3 Twitter に載せている個人的な情報について質問し

ている。そこで、本社会調査分析レポートでは、問10の回答から実際に集められた Twitter

の利用状況に関するデータを元にして、立教生に焦点を当てて Twitter の利用状況を分析す

る。主に問10-1、2の質問項目を利用していく。本調査の分析において春学期に実施し

た Twitter のアカウントを使い分けている人数人を対象にした聞き取り調査の内容も引き

続き利用する。

1.主題に対するアプローチの仕方

立教生の Twitter 利用状況を明らかにするために問10-1~3の質問項目より以下の

項目に焦点を当てて分析していく。

1.1人当たりの Twitter アカウントの所持数

2.アカウントごとの使い分け

3.趣味・関心から Twitter で知り合い、実際に会ったことのあるフォロワー数

1は1人当たりの平均アカウント所持数を算出し、 も多くアカウントを所持している

人でいくつのアカウントを持っているのかを明らかにする。2ではアンケート対象者にア

カウントごとの利用方法について簡潔に書いてもらった。その結果からどのような用途で

アカウントを使い分けているのかを分析する。人それぞれによってアカウントの説明にば

らつきがあった(リア友用、一般用、ヲタク用、趣味用など)ので自分なりにジャンル分け

をしてある程度統一することとする。3では趣味、関心から Twitter 上で出会ったフォロワ

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ーとの関係性について考察する。ここではあくまでも Twitter 上に限定し、日常生活におけ

る友達とは区別する。

2.分析結果

2.11人当たりの Twitter アカウント所持数

問10-1よりアンケート対象者247人のうち半数以上の立教生が2つ以上のアカウ

ントを所持していた。具体的な数値で表すと、1人当たりの平均アカウント所持数は2.2

アカウント、 も多かったアカウント所持数は11アカウントであった。中には Twitter を

利用していない立教生もいたが、アンケート対象者の約8割以上が1つ以上の Twitter アカ

ウントを所持していた。

2.2 アカウントごとの使い分け

アカウントごとの利用目的について問10-1で質問している。2つ以上のアカウント

所持者のうち、 も多かった回答が一般・リア友用と趣味用でアカウントを使い分けている

ユーザーであった。さらに、本調査では3つまでアカウントの説明が記入できるようになっ

ていた。3つのアカウントに関する説明をすべて記入した学生の中で、3つ目の説明に「裏

アカ」「大学のサークル用」「趣味用その2」などの回答があった。「裏アカ」の説明で本当

に仲の良いと思っている親友数人で相互フォローしているという補足もあった。「裏アカ」

の定義が曖昧であるので「裏アカ」と呼ばれるものを所持しているフォロワーに聞いてみた。

一般・リア友用アカウントでは相互フォローしている人が多すぎるので、自分の呟きたいこ

とが呟けない。フォロワーの中には大して仲が良くない人もいるため、そのような人に見ら

れたくない。故に「裏アカ」と呼ばれるものを作り、本当に仲の良い人しか見られないよう

にすることで思う存分呟きたいことを呟くといった答えが返ってきた。

2.3 趣味・関心から Twitter で知り合い、実際に会ったことのあるフォロワー数

この質問項目に対して多くの回答が0人ではあったものの、回答者の中には具体的な人

数で答えている人もいた。0人以外の回答をした立教生のうち趣味・関心から Twitter で知

り合い、実際に会ったことのあるフォロワー数の平均が3~5人であった。このことから趣

味・関心から Twitter 上で繋がり、オンライン上以外で趣味友達と交流をしている立教生が

いるということがうかがえる。

3. 結果・考察

一人当たりのアカウント所持数の平均が2.2アカウントであったことから、立教生の

Twitter ユーザーのうちのほとんどがアカウントを利用目的ごとに使い分けていることが

明らかになった。さらに、2つ以上のアカウント所持者の半数以上が一般・リア友用、趣味

用で使い分けている。なぜ、一般・リア友用と趣味用でアカウントを使い分けるのだろうか。

春学期に実施した Twitter の複数アカウント所持者を対象とした聞き取り調査の結果を見

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てみるとこのような回答が得られた。

・自分の趣味をあまり周りに知られたくなかったから。

・日常のアカウントではなかなか趣味に関して呟きにくかったから。

・周りにこんな趣味を持っているのかと思われるのが嫌だったから。

・自分のツイートする内容は自分と同じ趣味を持っていない人からすれば、迷惑だと思った

から。

・周りに自分と共通の趣味を持つ人がいないので趣味友達を見つけるため。

おそらくこのような回答が今回の社会調査の回答者にも当てはまるのではないかと考える。

一般のアカウントのフォロワーに自分の趣味に関するツイートを見られることの後ろめた

さ、自分の趣味を隠したい気持ちからアカウントの使い分ける人が出てくる。また、問10

-2 7.趣味・関心から Twitter で知り合い、実際に会ったことのあるフォロワー数の質

問項目にも関連してくるが、自分と共通の趣味を持つ友達を Twitter 上で見つけるためにア

カウントを使い分けている人もいる。オンライン上で友達を作るということに抵抗を持つ

人も多いため、一般・リア友用のアカウントを使って Twitter 上で友達を見つけているとい

うことを知られたくないという理由からアカウントを作ったといったユーザーもいた。こ

れらの回答から、自分の趣味に対する後ろめたさや隠したい気持ちを持っている人が多く、

そのような人々が Twitter のアカウントを使い分けているということが明らかになった。ま

た、アカウントごとの使い分けに関して「裏アカ」を所持している人がいた。「裏アカ」と

は先述の通り、フォロワーを限定することで、ごくわずかなフォロワーしか見ることのでき

ないようにし、自分の呟きたいことを思う存分呟くアカウントのことである。ここでも、趣

味用のアカウントを別に作る人と同様の心理的要因があると考える。一般・リア友用のアカ

ウントでは、自分のツイートを見ているはずあろうフォロワーが多いため、呟きたいことが

呟けない。それ故の一般・リア友用アカウントとはまた別の「裏アカ」を作るのである。急

速な Twitter の普及に伴って、大学生の誰もが1人1つは Twitter のアカウントを所持する

時代となった。言ってしまえば、Twitter のアカウントはアイコンやツイート内容も含めて、

その人の人間性やプライベートなことを明らかにしてしまうものである。名目上のアカウ

ント=一般・リア友用アカウントを所持しつつ、本当の自分をさらけ出すことのできる趣味

用のアカウント、裏アカウントを別に所持するユーザーが増えてきているということが、今

回の社会調査で明らかになった。

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大学生の Twitter 利用

要旨

現代社会ではほとんどの人が携帯を所持していて、利用のされ方も電話だけではなくな

っている。パケットし放題にするのがあたりまえになりゲームをしたり SNS をつかったり

地図を見たり写真をとったりとさまざまなことができるようになっていてなくてはならな

いものになっている。その中で現代の携帯のつかわれかたの特徴である SNS の利用につい

てどのようにつかわれているのかを分析したい。立教生に行った木村ゼミのメディアに関

する社会調査をもとに大学生の Twitter 利用に関して分析する。Twitter の利用率や利用頻

度を分析し数字的に Twitter 利用を見たりどのような人をフォローしているのか、2 個目の

アカウント作成の目的はなんなのかなど自由記述の部分からも分析していく。

問題意識

現代社会ではほとんどの人が携帯を所持していて、利用のされ方も電話だけではなくな

っている。パケットし放題にするのがあたりまえになりゲームをしたり SNS をつかったり

地図を見たり写真をとったりとさまざまなことができるようになっていてなくてはならな

いものになっている。その中で現代の携帯のつかわれかたの特徴である SNS の利用につい

てどのようにつかわれているのかを分析したい。種類もたくさんありそれぞれの SNS にさ

まざまな特徴がある。写真に特化していたり個人的な会話ができたり有名人とつながるこ

とができたりである。ここでは特に立教生の中で利用率が高かった SNS である Twitter に

焦点をあてて分析していく。大学生はなぜこんなにも Twitter を利用しているのか、どのよ

うに利用しているのかどのような目的で利用しているのかを明らかにしたいと考えた。自

分も Twitter には依存していてタイムラインをみないと落ち着かないしなにかあるとつぶ

やきたくなってしまうのでそのような自分の経験もふまえながら大学生はどのように

Twitter を利用しているのかをみて大学生にとっての Twitter とはという探求がすこしでも

わかるような分析をしたい。

仮説

大学生はみんながやっているからやるという考えがおおいのでその考えで Twitter もは

じめているのではないかと思う。大学という新しい場所で友達の輪を広げるためにまずは

Twitter をフォローし合うということが私の大学にはいる前にもあったので友達を増やす

方法として Twitter を利用しているのではないかと思う。そのため LINE よりも浅く広い

人間関係であると思うのでフォロワー数は LINE の友達数よりも多いと思う。また Twitter

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利用頻度が高いほど友達が多いのではないかと考えた。そしてつぶやく目的としてはあっ

たことをみんなに知らせたい、そしてみんなからの反応をもらいたいというものであると

思う。なのでフォロワーは身近な友人が大半をしめている。またつぶやいてそれに返事をし

て仲良くなり付き合うというように Twitter 利用は交際人数と関係あるのではないかと考

えた。

分析

利用率・利用頻度

まず木村ゼミで行ったメディアに関する社会調査では 9 割もの学生が現在 Twitter を利

用している。そして全体の 8 割もの学生が日に 2,3 回以上は Twitter を利用しているとこ

たえている。数字的には少ないがこれはこの問いの選択項目の中で一番頻度の高いものに

なっているので実際にはもっと利用している学生がいると考えられる。他の SNS と比べて

みると LINE は Twitter よりも利用率が高く 98%が利用している。Facebook は 7 割が利

用と利用率は低くまた頻度もバラバラでただ登録していてたまにみることがあるといった

結果であった。頻度はグラフ 1(1.100 回以上 2.50~99 3.20~49 4.10~19 5.1~9

6.1 回未満)のとおりで半分以上は 1 日 20 回以上 Twitter を利用している。1 回未満とい

う人もいる中で 100 回以上利用する人もいる。

アカウント

アカウント数の平均は 2.2 と思っていたより少なかった。この数字をみるとみんが 2 個

はもっているというように考えられるが実際には複数持っている人はたくさん持っていて

40%の学生たちは 1 個しか持っていない。2 つ目のアカウントを作る目的として一番多か

ったのは趣味で 2 番目に多かったのは裏アカというものだ。どちらも一つ目のアカウント

ではつぶやけないようなことをつぶやくためにつくられるものである。つぶやく側がリア

ルな友達の前でつぶやくことはきがひけるという思いとみる方が嫌な気分になってしまう

のではないかという配慮である。この裏アカというものは主に本当に仲の良い人、身近な人

など自分をさらけ出せる相手だけをフォローしたものでつぶやく内容も個人的なものであ

ったり弱音をはいたりときには悪口をかいたりと多くの人には見られたくないものが多い。

3 つ以上もっているひとはこの趣味と裏アカを両方使っていたりさらに情報を収集するた

めにアカウントをもっていたりする。そのアカウントにはフォロワーはなく自分がほしい

情報をつぶやいてくれるアカウントをフォローしたり bot といわれるアカウントをフォロ

ーしたりする。

フォロー数・内訳

次にアカウント数のところでもすこし話にでているフォロー数・フォロワー数の数であ

る。それぞれの平均は 294.4 と 302.6 である。LINE の友達数の平均は 263.3 人でありその

数字とそれほどかわらない。Twitter のフォロー数と LINE の友達数には相関関係も見られ

どちらかが多いほど片方も多かった。なので Twitter のほうが必ずしも広く浅い友人関係の

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ための SNS ではないということでありそうだ。しかし家族となるとやはり LINE でしかつ

ながっていないようであった。Twitter のフォロー数の内訳は表1である。一番多いのはや

はり普段よく会う友人・知人(学校・バイト)であった。その次は殆ど会う機会がない友人・

知人(学校・バイト)であった。やはり普段よく会う、会わないというのはさほど関係がな

く学校やバイトの友人という身近な人が多い。趣味関係のフォロー数を見てみると普段よ

く会う人、ほとんど会う機会がない人、会ったことはない人どれも同じような数字だ。趣味・

関心が同じであれば会ったことがなくてもフォローをしている。これはアカウント数のと

ころででてきた情報を得るためという目的のためでもあるのではないかと思う。しかしそ

れとは別に bot や情報収集のためのアカウントもフォローしている。また芸能人・タレン

ト・有名人などもフォローしている。

ツイート数

ツイート数の平均は 4777 であった。しかしこれはいつから Twitter をはじめたのかがわ

からないとツイート頻度は分析できない。私は 5 年ほど利用しいていて 1 万 2 千ツイート

を超えている。しかしだいたいの学生は大学入学時にはじめているとし、1,2 年生の回答者

が多かったことも考えると年間平均 2 千ツイートほどと考えられる。1 日に換算すると 5,6

ツイートほどである。2 個目のアカウントのツイート数の平均は 1486 人と 1 つ目のアカウ

ントと比べ少ない。やはり 1 つ目のアカウントを一番利用しいている。

利用と交際関係

Twitter の利用と恋人数・友人数については Twitter のフォロー数と LINE の友人数には

相関関係がみられた。数はそんなに多く差はなくどちらかが多いほど多い。Twitter の友人

と交友関係についてはフォロー数と LINE の友人数、ツイート数と LINE の友人数両面か

らみてもほぼ相関はみられなかった。また同じように恋人数も見てみたが同じくほぼ相関

はみられなかった。しいていうなら少し見られた傾向はツイート数が少ないほど恋人数が

多いという傾向だった。Twitter 利用の高い人の回答を個人的にみてみても恋人数は 0~4

とばらついていた。

結果

立教生の 9 割は Twitter を利用している。他の SNS と比べると LINE よりは低く

Facebook よりは高い。そして利用者の 8 割以上は 1 日に 2,3 回以上は Twitter をひらい

ている。またなかには 100 回以上 Twitter をひらいている人もいた。なにか伝えたいこと

や知りたいことやイベントがあるときにひらくのではなくまた 1 日一回ひらくというので

もなく日常的に Twitter を利用していることがわかった。またツイート数を見てみると平均

5000 近くでありただ情報を得るためだけに利用しているわけではないことが分かった。大

学に入学と同時に始めた人が多いとことや回答者に 1 年生が多かったことを考えると 1 年

で 2000 以上、1 日に 5,6 ツイートほどしていることになる。このツイートにはリプとい

われる返事も含まれるのでやりとりが続くと 5,6 ツイートはすぐにできてしまう。今後は

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ツイート内容についてもみていきたい。フォロー数については LINE の友人数の平均を大

きく上回ると仮説を立てたがそんなことはなく少しLINEの友人数の方が多い程度だった。

フォローの内訳はやはり普段会う学校・バイト関係の友達が一番多かったが会う機会がな

い友達もフォローしていた。また趣味関係の友達はよく会う友達、会う機会がない友達、会

ったことのない友達どれもだいたい同じような数字であった。この会ったことない友達と

繋がれるのも Twitter ならではの結果になったなと思う。しかしただ友達の輪をひろげるの

ではなくここでは同じ趣味をもつ友達というのがポイントである。そしてこの趣味の友達

を増やすためや情報を集めるために普段使っているものとは別に趣味用のアカウントを持

つ人も多くいる。アカウント数の平均は 2.2 であり半分以上の学生が 1 つ以上アカウント

をもっている。その利用目的の 1 番は趣味用である。また芸能人や有名人をフォローする

ことも Twitter ならではの特徴である。そして Twitter 利用と交際人数については関係なか

った。Twitter のフォロー数と LINE の友人数は相関関係にあったが利用頻度と LINE の友

人数、ツイート数と LINE の友人数は関係なかった。またそれぞれと交際人数にも関係は

なかった。なので Twitter を高頻度で利用するからといって友達が増えるわけでも恋人がで

きるわけでもなかった。

このように Twitter の利用をみていくと立教生は友達と繋がるためと趣味を充実させるた

めに日常的に Twitter を利用している。しかし友人数を広げるためや交際人数を増やすこと

にはつながらない。

図表

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図表

家族 0.2

普段よく会う友人・知人(趣味 関心) 24.1 普段よく会う友人・知人(学校 バイトなど) 100.0

殆ど会う機会がない友人・知人 21.8 殆ど会う機会がない友人・知人 82.5

趣味・関心でフォローしたが、実際にあったことはない人 22.7 ボット 4.7

仕事・バイト関係 2.0 外国人 1.0

芸能人・タレント 10.8 そのほか 有名人・著名人 4.5

学生関係の団体 組織 サークル 4.1 情報収集のためのアカウント 6.3

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LINE 上の人間関係と“リアル”の人間関係の相関性

要旨

若者の SNS 利用において、友人関係が充実している人は、実際の友人関係も充実してい

るのだろうか。今回は LINE に限定して考察する。また、SNS 上での友人関係が充実して

いるとリアルの生活への満足度は高いのか、あるいは友人関係が充実していないとリアル

な生活への満足度は低いのだろうか。LINE の平均友達数を調査し、友達数が多い人の方が

日々LINE のやり取りをする回数も多いのか、さらに、恋人の有無に友達の多さは関係して

くるのかを考察し、そこから満足度の高さの違いについて研究する。

1. 問題提起

① LINE の友達数の総数には、男女差があるだろうか。

② LINE の友達数と日々やり取りする友達の数に関係性はあるだろうか。

③ LINE の友達数と恋人の有無には関連性があるだろうか。

④ LINE の友達数と実生活への満足度に関係性はあるのだろうか

2. 仮説

⑤ LINE の友達数の総数には、男女差があるだろうか。

→男女差があり、女子の方が多い。

⑥ LINE の友達数と日々やり取りする友達の数に関係性はあるだろうか。

→関係性はある。

LINE の友達数が多い程、日々やり取りする友達の数も多い。

⑦ LINE の友達数と恋人の有無には関連性があるだろうか。

→関係性はある。

LINE の友達数が多い程、恋人がいる確率は高くなる。

⑧ LINE の友達数と実生活への満足度に関係性はあるのだろうか。

→関係性はある。

LINE の友達数が多い程、実生活への満足度も高い。

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3. 仮説の検証

まず、LINE の友達数だが、一番少ない人で 22 人、一番多い人で 716 人であった。

全体の平均人数が 263.3 人であった為、200 人未満を友達数が少ないグループ、200 人

~400 人未満を中間のグループ、400 人以上を多いグループに分類した。この分類に調

査対象者を当てはめると、友達数が少ないグループは全体の 36.4%、中間のグループは

49.8%、多いグループは 13.8%を占めている。次に、仮説ごとに調査結果を述べていく。

尚、「メディアコミュニケーション論」の講義で行った社会調査分析の結果を参照し、

平均の数値や確率を求めた。よって、調査対象の大半は立教大学社会学部に所属する学

生となる。

⑨ LINE の友達数の全体の平均が 263.3 人だったのに対し、男性の友達平均数は

263.9 人、女性の友達平均数は 263.3 人であった。ほとんど差がなく、むしろ男性

の方が少し上回っていることが分かった。よって、LINE の友達数に男女差は見ら

れない。

⑩ まず、LINE に登録している友達を、「普段よく会う友達」と「ほとんど会わない

友達」の 2 つに分類する。LINE の友達数が少ないグループの普段よく会う友達数

の平均は 45.6 人、ほとんど会わない友達数の平均は 67.8 人であった。次に、LINE

の友達数が中間のグループの普段よく会う友達数の平均は 106.1 人、ほとんど会わ

ない友達数の平均は 134.1 人であった。 後に、LINE の友達数が多いグループの

普段よく会う友達数の平均は 167.4 人、ほとんど会わない友達数の平均は 236.5 人

であった。これらはどのグループも友達の総人数に比例しており、オフライン上で

友達数が多い人程、オンライン上でも友達として繋がっている人数が多いことが分

かる。具体的な友達の振り分けはこの結果からは分からないが、大規模なサークル

や団体に所属している人程普段よく会う友達の数が多い為、LINE に登録している

友達の総数も多いのではないだろうか。また、LINE で日常的にやり取りをする友

達の数は、LINE の友達数が少ないグループは 8.4 人、中間のグループは 11.8 人、

多いグループは 20.5 人であった。少ないグループと多いグループの総友達数が倍

以上であることから、この結果は比例しているとは言えないだろう。友達の数が多

いからといって、その分多くの人と常にやり取りをしている訳ではないようだ。

⑪ LINE の友達数と恋人の有無には面白い関係性が見られた。友達数の少ないグル

ープにおいて恋人がいる人は 17 人、恋人がいない人は 58 人であり、中間のグルー

プにおいて恋人がいる人は 46 人、恋人がいない人は 75 人であった。それに対し

て、友達数の多いグループにおいて恋人がいる人は 34 人、恋人がいない人は 19 人

との結果が出ており、恋人がいる人の方が多かった。これを割合にしてみると、友

達数の少ないグループにおける恋人がいる割合は 22.7%、中間のグループにおける

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恋人がいる割合は 38.0%、多いグループにおける恋人がいる割合は 64.2%となる。

少ないグループと中間のグループは恋人がいる割合が半分にも満たないのに対し

て、多いグループは 64.2%と過半数を占めている。このことから、LINE の友達数

が多い人は交友関係も広いと考えられるので、その分恋人ができやすい環境にいる

のではないかと考えられる。

⑫ 実生活における満足度を、「満足している」、「まあ満足している」、「あまり満足

していない」、「満足していない」の 4 つに分けて調査した。満足していると答えた

人の割合は、友達数の少ないグループにおいて 28.3%、中間のグループにおいて

62.3%、多いグループにおいて 9.4%であった。まあ満足していると答えた人の割合

は、友達数の少ないグループにおいて 34.7%、中間のグループにおいて 50.8%、多

いグループにおいて 14.4%であった。あまり満足していないと答えた人の割合は、

友達数の少ないグループにおいて 35.7%、中間のグループにおいて 48.2%、多いグ

ループにおいて 16.1%であった。満足していないと答えた人の割合は、友達数の少

ないグループにおいて 14.3%、中間のグループにおいて 71.4%、多いグループにお

いて 14.3%であった。これを各グループごとのグラフに表わすと以下の棒グラフと

なる。ここから、友達数の少ないグループよりも友達数の多いグループ方が満足し

ている人の割合は低く、かつ満足していない人の割合は高くなっていることが分か

る。よって、LINE の友達数が多いからといって実生活の満足度が高いとは言えな

い。

4. 結論

⑬ LINE の友達数の総数には、男女差がある。

→男女間にほとんど差はなく、むしろ男性のほうが少し多い。

⑭ LINE の友達数が多い人は、日々やり取りする友達の数も多い。

→普段やり取りする友達数は、LINE の友達数の総数に比例しているが、日常的に

やり取りをする人数には比例しない。

⑮ LINE の友達数と恋人の有無に関連性はある。

→関連性があり、友達総数が多いほど、恋人がいる割合が高い。

⑯ LINE の友達数が多いと、実生活への満足度も高いのか

→LINE の友達数が多いからと言って、実生活の満足度が高いとは言えない。

5. まとめ

LINE の友達数が多い人程恋人がいる人の割合は高かったが、実生活における満足度

が高いとは言えなかった。LINE における人間関係の濃厚さが実生活への充実感に影響

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を及ぼしているとは言えないようだ。もしくは、友達の数が多いからこそ広く浅くの関

係になってしまい、それが満足度の低さに繋がっていると言えるかもしれない。どうし

て満足度が低いのか、憶測になってしまったので、きちんと調査するべきだと実感した。

2. 課題

実施した社会調査分析の結果だけを元にしているので、この結果が広く若者(主に大

学生)の傾向を表しているとは言えない。調査対象者の範囲が非常に狭く、偏った結果が

出ていることも考えられるので、調査対象者の幅を増やす必要がある。また、大きく 3

つのグループに分けてしまったので、平均的な結果しか得ることができなかった。もう

少し細かく分類し、かつ男女別に調査することでもっと具体的な結果を得ることができ

るのではないだろうか。さらに、研究としては、その結果から見えてくる内容と先行研

究や文献を踏まえて、深く掘り下げる必要がある。

図表

「LINE 上の友達数と実生活における満足度」

0% 20% 40% 60% 80% 100%

200人未満

200~399人

400人以上

満足している まあ満足している

あまり満足していない 満足していない

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恋人の有無とリアル・バーチャル双方における人間のプロパティ分

要旨

学生の考え方・行動・カーストの一つの基準ともなる「恋人の有無とその来歴」に注目し、

それらがいかに人間自身を規定するもので、自らを定義づけするものかを考える。その中で

のメディア媒体の利用や課金のありようなどにも注目し「リア充」と「非リア充」との違い

を明確にする。それにあたり「現在恋人がいる」「過去恋人がいたが現在はいない」「今まで

付き合ったことが無い」の3種類に分類分けし、それぞれの諸データと照らし合わせること

でそれぞれ行動と思想の一定の定義付けを可能とするような、一つの大きなものさしを作

り上げたい。

はじめに

「恋人の有無とリアル・バーチャル双方における人間のプロパティ分析」というテーマを

設定するにあたって調査結果の活用と分析、その上で立てた仮定の説明を行う。

去年行った社会調査プロジェクトの問29「恋人の有無(過去にいたか)」の結果から、恋

人の有無もしくはいたという経験が日常生活や人間性にどのような影響を与えているのか

に着目したのがそもそもの始まりである。

またそこから推測されることが SNS・メディアの利用の実態にどのような違いを生むのか

を調べることも目的にしている。俗にいう「リア充」という概念を見つめなおすと共に、言

葉の再定義も行うことが出来たなら良いとも考えた。一方でここから一般的にヲタクと言

われる人々の意識や行動の研究にも一歩踏み入れて分析を行った。これもデータと照らし

合わせることで一つの実態を浮き彫りにすることが出来るであろう。

掲げた仮説として、それは自分の見解であり、一般常識の延長線上にあるようなものであっ

た。それぞれ

① 恋人のいる人間の方が SNS 利用に積極的である

② 恋人のいない人間の方が性格的に内向的

③ 恋人のいる人間の方が消費性向が高い

といったものであった。どれもある意味では暗黙の了解のような形で流布した考え方であ

り、特に疑うこともせず理解され定着していることであろう。

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仮説 1

調査と集計の結果としては「ツイート数」に関しては恋人のいたことの無い人の方が明らか

に多いとわかった。その差は実に2倍である。恋人が現在いる人間といたことがあった人間

に差は見られないものの、それら二つに大きく差をつける恋愛未経験者のツイート数の伸

びには目を見張るものがある。独り身を貫く人間は大きく何パターンかに分けることが出

来るが、だいたいは「他者が受け入れがたい趣味やこだわりを持っている」「自分一人であ

ることに不自由を感じないどころか楽だと感じている」「本質的に内向的で外部接触が得意

ではない」などに分類される。趣味用のアカウントも所持もしかりであるが、ツイートもそ

ういった内容が増えるため数が増加するのであろう。また本質的な内向きさはその悩みを

増幅させ、それを打ち明ける人間が少ないほど独り言、つぶやきとなって投稿されることと

なるのであろう。それに関しては後々また調査結果も含め深く言及することとする。

フォロワー数に関しては恋人のいたことの無い人の方が明らかに少ないという結果は前述

の内容の補強となるであろう。これには社交性の問題も含まれてくるが、恋人を積極的に作

ることが出来るような人間はコミュニケーション能力が高く、そしてより多くのコミュニ

ティを形成することでそのアイデンティティを保持すると共に異性とも関わる機会が増え

る。故にフォロワー数も伸びることとなり、そうではない人との顕著な差が生まれるのだ。

なおグラフ化した時はきれいな階段になっており、恋人がいる、いたことがある、いたこと

がないの三つのフォロワー数の比は「2:1.5:1」となっている。大学生の独特のスク

ールカーストと向き合ったとき、大きな指標となる「ノリ・コミュ力」というものの存在の

大きさを感じた。

そして一方で SNS、インターネットのアクセス数に関しては現在恋人がいる人の方がアク

セスする割合が高いという結果が出ていた。一見グラフには突出した箇所はなく、恋人の有

無、来歴で差は見られない。しかしよく見ると、多くアクセスをする箇所を総合すると明ら

かに現在付き合っている相手がいる人間の方がアクセス数が多い。これは先ほどの外向き

に人と積極的に関わり、様々な情報を得ようとする姿勢の結果であることは当然のことと

してあり、そしてここには交際相手の存在も絡んでいることが容易に想像できる。やはり自

分自身のための情報調達には限界があるということであろう。 初と比較して、ツイート等

の個人的発信に関しては個人プレーの爆発を見ることが出来るが、やはり自分一人ではな

いこと、外交的な側面や積極性が見られる人間とはそのあたりで差が生まれるのだと考え

た。

仮説 2

仮説②に関しては結論から述べると「予想通り」であった。

恋人のいたことのない人間は「オタク傾向」であり「悩みがち」そして明らかな「インドア

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立教大学社会学部メディア社会学科

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派」であったのだ。データと照らし合わせながら解説をしていくと、まずは生活の満足度だ

がここでわかるのは明らかに恋人がいない人間は、現在いる人間ほど自信を持って満足し

ていると言えない傾向にあるということだ。代わりの趣味の充実か、はたまたそれなりの見

栄なのかはわからないが、その中でまあまあ満足しているという項目に票が集まることと

なっていた。

そして何より本調査分析で も顕著に表れたデータが「自分が悩みがちであるか」といった

項目の結果である。一目瞭然であるが、恋人のいたことのない人間だけ「自分が悩みがちだ

と思う」の箇所が半数を超えている。そしてさらに面白いのは「悩みはない」に票が無いこ

とである。常に悩みがある認識は恋愛的な非充実感からくるものではなかろうか。ここでも

う一つこのデータで面白いのは「恋人はいたことはあるが、今はいない」層のデータである。

悩みがちであるという項目とまあまあ悩みがちであるという箇所を合計するとほぼ恋人が

いる人間と同数であるのだ。ただきれいな階段となっているのは恋人がいる方の人間であ

って、実質的に も悩んでいないのは過去の恋愛経験者であるとの解釈もできる。恋愛を乗

り越えた今の生活に満足しているのだろうか。

そして次は「自分には○○オタクと言えるほどの趣味がある」という項目だがここでも予想

通りではあるものの非常に参考となるデータがとれた。ここまで顕著であるととてもわか

りやすいが、簡単に言うと恋人がいたことが無い人間は圧倒的に「ある」と答えた人間が多

いのだ。それが二次元関係のアニメであるのか、ゲームであるのか、はたまた恋愛などをす

る余裕もないほどのスポーツ、レジャー、バックパッカーであるのか。その答えはのちの「イ

ンドア・アウトドア意識調査」で明らかになる。

詳しい数値をグラフから読み取ると恋人がいない人間で自分をオタクであるとする人の割

合は実に6割5分、半数を大きく超える。他の2種類の人間と比較しても面白い。恋人がい

る人間で自分をオタクと定義する人間は合計で約4割、過去は交際していたが今は一人で

ある人間は半数を少し超える数値となっている。ここで考えてみたいのは現在独り身とな

っているこの層である。よく何かに没頭しすぎて恋愛がおろそかになる、もしくは恋人にか

ける金銭を趣味にかけるようになるといったことが原因で破局を迎えるカップルを目の当

たりにする。自らをオタクだと定義して譲れないものがあるからこそ現状に満足をして恋

人を作らなくなったのか、その趣味を受け入れてくれる人間が現れないから一人でいるの

か、どちらにせよその自己定義性が枷となっている人間がその層にも半数を占めていると

いうことが非常に興味深く、そして恋愛継続中の人間の意識の特別さを引き立たせる。

ここでの 後の情報として「自分はインドア派というよりアウトドア派である」という項目

の結果を分析してみる。ここで大切なのは先ほどの趣味・オタク性のアンケートとの対応分

析である。こちらも結果は顕著である。恋人が出来たことの無い人の「いいえ」という回答、

つまり自らをインドア派だと定義した人の内訳はまさに6割5分にも上ったのである。特

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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にその中でもどちらかといえばインドアよりであると答えた人間がほぼそれを占めていた。

内向きな思考はここにも行動として表れていたのである。先ほどの○○オタクといった自

己定義や譲れない趣味の結果と対応させるとここで先ほどでいう恋人と比較しても譲れな

い趣味である何かが「スポーツ」「レジャー」「バックパッカー」といったアクティブで外向

きなアウトドアではなかったと考えることが出来るということがわかった。それはむしろ

人とのかかわりを遮断するかのような一般的でこの時代にとっては常識的な範囲インドア

な趣味であったのだ。

仮説 3

仮説③の消費性向に関しては全体的に情報を裏付ける根拠が手薄であり、手元にあるデー

タだけではその論拠と仮説の設定自体がかなり弱いということが一つの結論ではあるもの

の、ここではグループとして導き出せた段階を説明することとする。

結論から言うと恋人の有無、そして来歴で映画への課金の傾向を断定することはできない

が、データとしては映画に関しては恋人がいたことのない人の方が僅差ではあるが消費性

向が低いということであった。また現在恋人がいる人と、過去にいた経験がある人とに差は

見られなかった。映画館に1人で行くことが趣味な人間は極端な話、恋人がいようがいまい

が大して自らの行動や課金の在り方には影響を及ぼさないであろう。

映像コンテンツに関してはその他の項目よりは利用度が高いが特筆した傾向は見出せなか

った。これもほぼ一定であるが、大きく分けるとやはり動画コンテンツに対し常習的かつ一

定の課金をしているのは恋人のいなかった人間であるということが見て取れる。動画コン

テンツは先ほどの他と項目と比べると利用度は高いものの、と前置きをしたが、これはそも

そものその他の消費コンテンツとの母数であるパーセンテージの比較の上でそうだという

ことである。結局どれも恋人の有無、来歴と大きく相関関係が導き出せるような情報ではな

かったため、その中でも比較的わかりやすいデータを分析に取り上げたということであっ

た。とはいえ、現在のデータだけではやはり、消費性向を定義することは難しい、しかしこ

こで映画や映像コンテンツを「誰と見る、楽しむことが多いか」について言及をするような

調査結果があったなら、先ほどの趣味をアウトドア・インドアの例のように答えに近づくよ

うな一つの答えを導き出せたかもしれないと考えた。

見解

冒頭でも述べたが、全体を通して一般的に言われるところの「リア充」「勝ち組」「コミュ力

高め系学生」と「オタク」「陰キャラ」と区分される人間との差を感じた。むしろこれらは

このような調査分析が為されないまでも文化の裏側に既に深く根付き、十分に浸透し定着

した周知の実態ではあった。しかしそれらについての定義はおそらく100人に聞けば1

00通り存在しており、そこにこのアンケートのデータ分析の意義が見いだせると考える。

一つの事実として指標をつくることで各々の持つイメージがいかに曖昧なものかを強調で

きる。その上で自らが「自らの定義」だとどこに属すのか、また他人からどの位置に定義づ

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立教大学社会学部メディア社会学科

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けられているのかを考え、その上で自らを評価し、他人を評価する。その中で自らのプロパ

ティがいかに作用しているかを改めて考え、これまでの恋愛経験が自分に人格にどのよう

な影響を与えているのかを見つめなおすきっかけともなるだろう。己の人格形成の系譜を

辿ることは自らの行動の理由を確固たるものとさせ、今後の予測のヒントともなり得るも

のである。

まとめ

結果としては SNS 利用や基本的な性格は大筋仮説通りであった。人と関わろうとする力、

自分を他者に表現しようとする力、自分を貫こうとする力、多くの力は経験に基づく「心」

と関係していた。心というテーマを扱った分析は非常に興味深く、ここに関する情報を密に

集めることで次世代の SNS の在り方や、応用した新商品の開発など多岐にわたる研究の橋

渡しになるだろうと感じたのがこの度の感想である。発表用のスライドの打ち込みとデザ

インを担当させていただき、未熟で不完全ながらチームとして一つのまとまったプレゼン

テーションが出来たと感じることで成長を感じた社会調査分析であった。次は交際人数も

組み込んだ分析が出来たなら良いと考える。

グラフ

0

500

1000

1500

2000

2500

1 2 3

ツイート数

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89

0

50

100

150

200

250

1 2 3

フォローワー数 平均

0%

10%

20%

30%

40%

50%

1 2 3

アクセス数(1番利用)

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6

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90

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

今の生活への満足度

系列1 系列2 系列3 系列4

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

自分は悩みがちである

系列1 系列2 系列3 系列4

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0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

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30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

1 2 3

自分は「○○オタク」といえるほどの趣味がある

系列1 系列2 系列3 系列4

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

インドア派というよりはアウトドア派だ

系列1 系列2 系列3 系列4

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10%

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20%

25%

30%

35%

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1 2 3

映画館での映画鑑賞

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6 系列7

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

1 2 3

映像コンテンツ購入

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6 系列7

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LINE 上の人間関係と“リアル”の人間関係の相関性

要旨

社会学部の学生約 250 人に行ったアンケート調査結果をもとに、SNS 上の人間関係と、

現実における人間関係の交友範囲はどこまで共通しているのか、また SNS 上での人間関係

への満足度と、日常生活の満足度は比例するのかということに関連して、4つの仮説を立て

それぞれ分析を行い、分析結果をもとに仮説の正誤を検証した。今回はSNSの中でも「LINE」

に注目し、友達の総数の分布や男女差、友達の内訳などの調査結果を主に利用し、検証を行

った。

はじめに

今回、私たちのグループは、今回の調査をもとに SNS の利用実態に大きく焦点を置いた。

現在、SNS は学生生活に不可欠なものとして、ほぼ 100%の学生が利用をしている。いつ

でもどこでも友人とリアルタイムで連絡を取ることができるという利便性がある一方で、

SNS 疲れや SNS 上でのやり取りによるトラブルなども問題になっている。そこで私たちは

「若者の SNS 利用(特に LINE)において、友人関係が充実している人は、実際の友人関

係も充実しているのだろうか?」「SNS 上での友人関係が充実しているからといって、現実

の生活への満足度は高いのか?」ということに興味関心を持った。SNS 上の人間関係と、

現実における人間関係はどこまで共通しているのか、また SNS 上での人間関係の満足度と、

日常生活の満足度は比例するのかということに関連して4つの仮説を立てた。

まず 1 つ目は、「LINE の友達数の総数には、男女差があるのではないか?」ということ

である。LINE などの SNS を積極的に利用するのは断然女性なのではないかと考えた。2

つ目に、「LINE の友達数が多い人は、日々やり取りする友達の数も多いのではないか?」

ということである。LINE の友達が多いということは、現実における人間関係も充実してお

り、日々やり取りをする友達の数も比例して多くなるのではないかと予想した。3つ目は、

「LINE の友達の数と恋人の有無には関連性があるのではないか?」ということである。

LINE の友達の総数が多いほど、交友関係が豊かであり、恋人がいる割合も高くなるのでは

ないかと予想した。 後に4つ目が、「LINE の友達数が高いと、実生活への満足度も高い

のではないか?」ということである。LINE の友達の総数が多ければ、友人関係が豊かで、

それが実生活の満足度にも関係するのではないかと予想した。しかし、この仮説については

班の中でも意見が分かれ、LINE 上 SNS 上のみでの友人関係を積極的に持つ人もいるため、

必ずしも実生活の満足とは関係しないのでないかという意見もあった。確かに、 近では、

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立教大学社会学部メディア社会学科

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実際に面識はないが SNS 上だけでつながりを持っているというケースも珍しくならである。

1. 「LINE の友達数の総数における男女差」

1つ目の「LINE の友達数の総数には、男女差があるのではないか?」という仮説を

証明するために、男性と女性で友達総数の平均値を比較した(図2)。すると、男性は

263.9 人なのに対し、女性では 263.3 人という結果が出た。微妙に差は出たものの、私

たちの予想とは裏腹に、友達の総数では男女比はほとんど見られないということが分か

った。

2.「LINE の友達総数と日々のやり取りの相関性」

2つ目の「LINE の友達数が多い人は、日々やり取りする友達の数も多いのではない

か?」という仮説を検証するために、友達の中で「普段よく合う友達」「ほとんど会わ

ない友達」「日常的にやり取りする友達」がどの程度の割合いるのかを比較した(図3)。

すると、「普段よく会う友達」と「ほとんど会わない友達」の数は、友達の総数に比例

していた。しかし、LINE で「普段よく連絡を取る友達」の数に関しては、友達の総数

に関わらず、割合に大きな差は見られなかった。つまり、LINE の友達の総数が多けれ

ば、現実世界での人間関係も豊かであるという私たちの予想は正しかった。しかし「普

段よく連絡を取る友達」については、どの分類でもだいたい全体の5%程度で、人数に

も大きな差は見られなかったことから、友達の総数が多い=やり取りする友達が多い

という仮説はかならずしも正しくはないということが分かった。

3.「LINE の友達総数と恋人の有無の相関」

3つ目の、「LINE の友達の数と恋人の有無には関連性があるのではないか?」とい

う仮説では、 初に求めた分類と、「現在の恋人の有無」という質問項目の結果を用い

て、比較し検証を行った(図4)。すると、友達の総数が「少ない」のグループでは、

恋人がいると回答したのは、全体の 22.7%だった。「ふつう」のグループでは、全体の

38.0%、そして「多い」の」グループでは、全体の 64.2%であった。この結果を見ると、

友達の総数が多いほど、恋人のいる確率も高くなるという私たちの仮説は正しかった

といえる。今回は、自分たちが想像していたよりも、数値が顕著に表れたが、これがも

っと多い母数になったらどうなるのか、また LINE ではなく Twitter や FACEBOOK

など別の SNS ではどのような結果が出るのかも検証してみたい。

4.「LINE の友達総数と実生活への満足度の相関性」

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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後の4つめの、「LINE の友達数が高いと、実生活への満足度も高いのではないか?」

という仮説を検証するために、「実生活への満足度」という質問項目を用いて検証を行

った。「満足している」「まあ満足している」「あまり満足していない」「満足していない」

の4つの割合を、友達の総数ごとに比較した(図5)。ここからは、中間の2つの項目

を「満足している」「満足していない」の項目に振り分けて検証した。「多い」のグルー

プでは、「満足している」が 66.7%、「満足していない」が 33.3%だった。「ふつう」の

グループでは、「満足している」が 71.6%、「満足していない」が 28.4%、「少ない」の

グループでは、「満足している」が 71.8%、「満足していない」が 28.2%であった。

初の4つの分類で注目してみると、「満足していない」と回答した人は「多い」のグル

ープで 6.1%、「ふつう」のグループで 7.7%、「少ない」のグループで 2.6%となった。

この結果からわかることは、満足しているか、していないかの2つで見ると、どの分類

にも大した差はなく、友達の数が多いからと言って生活満足度に影響はなかった。しか

し、「満足していない」という項目だけに注目すると、少し数値に差が出ているのが分

かる。それも、友達総数が少ないグループが満足していないと答えた人の割合が一番少

なかった。つまり、「友達の総数が多ければ生活満足度も高くなるではないか?」とい

う私たちの仮説は正しいとはいえないということが分かった。友達の総数は少ない方

が、本当に普段付き合う友人ときちんと関係を築き、SNS 疲れや友人トラブルも少な

く豊かな生活を送れるのかもしれない。

5.「考察」

今回、LINE の友達の総数を基準に色々な質問項目とかけわせて4つの仮説に対する

検証を行ったが、どれもだいたい私たちの予想の範囲内の結果で終わってしまい、もう

少し「これは意外!」というような検証データが取れればよかったなと思う。また、

LINE というのはだいたい知り合いとしか交換しない傾向があるので、SNS 上だけで

の友人関係についての検証を行うならば、Twitter のデータを用いる方が効果的ではな

いかと反省をしている。今回この検証を行い感じたことは、いかに SNS が私たちの生

活の中心にいるかということである。いつでもどこでも連絡が取れるという利便性の

一方で、リアルな世界での友人関係がそのまま SNS 上に持ち越されることにより、人

間関係からの逃げ場がなくなるという問題点もあると思う。それが現代におけるネッ

トいじめの一つの要因になっていると考えると、改めて SNS との向き合い方について

考えていく必要があるのではないかと思った。

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図表

(図1)LINE 友達数の分布

(図2)LINE 友達数の平均の男女比較

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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図3)LINE の友達数と友達内訳の相関

図4)友達の数と恋人の有無の関係

64.2%

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(図5)LINE 上の友達数と実生活満足度の相関

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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大学生へのアンケート調査から見える「ゲーム」の今後

要旨

本レポートでは大学生を対象としたメディアの利用やその意識に関するアンケート調査

の結果を元に、重要な日本の輸出資源や新たなコミュニケーション形態のきっかけとなり

得るコンテンツ産業の中でも、端末の高機能化や多様化で大きくその動向が変化してきた

「ゲーム」に焦点を当て、利用状況や課金傾向などのデータから、若者にゲームがどのよう

に受容されているか、今後ゲームはどうなっていくかを分析・予測し、報告していくことを

目的とする。

はじめに

我々、アルファ班では「現代のコンテンツ利用は、無料が当たり前という意識があるので

はないか。」という仮説を念頭に置き、その上でテレビ・映画・ゲームの 3 つのコンテンツ

産業に絞って、木村ゼミで 2015 年 10 月に実施した大学生の若者の意識に関する社会調査

の問 16,17,18 を中心に研究を行った。私は以上の 3 つのコンテンツ産業の中でも端末自体

の高機能化・インターネット環境の発達・スマートフォンの普及などで状況が大きく変化し

続けているゲームに焦点を当てて研究を行った。

1 日本におけるコンピューターゲームの変遷

日本においては、コンピューターゲームは生まれた当初ゲームセンターなどに置かれる

業務用ゲームとして一般に浸透し、その後は任天堂のファミリーコンピュータなどの家庭

用ゲーム機の普及でそのユーザー数を伸ばしてきた。家庭用ゲーム機の世代が移り変わり

高機能化していく一方で、2000 年代前半にはインターネットとパソコンの普及でオンライ

ンゲームが急速にシェアを拡大していった。オンラインゲームはパソコンだけにとどまら

ず、パソコン同様一般に普及していった携帯電話でも Mobage や GREE といった SNS で

の配信によってソーシャルゲームという形でプレイできるようになり、こちらも若者を中

心に急速にシェアを拡大していった。そして 2000 年代後半からの iPhone を代表するスマ

ートフォンの登場は大きな変化をもたらした。まずスマートフォンの場合はそれまでの携

帯電話(=フィーチャーフォン)のソーシャルゲームのようにブラウザ上でプレイするので

はなく、アプリケーションという形でソフトウェアをインストールしプレイすることがで

きるようになった。またスマートフォンは従来のフィーチャーフォンに比べて処理能力が

向上していた。これらが結びついた結果、ソーシャルゲームが「ポチポチゲー」と揶揄され

るようにゲーム性があまり高いとは言えずただボタンを押して先に進むだけの単純なもの

であったのに対し、スマートフォンのアプリゲームは家庭用ゲームには劣るもののある程

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立教大学社会学部メディア社会学科

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度のゲーム性がありアクションゲームやパズルゲーム、リズムゲームなどと言った様々な

種類のゲームを作ることが可能となった。アプリゲームはスマートフォンの普及とともに

そのユーザー数を大きく伸ばし、重複するユーザーはいるものの対象の 10~59 歳の母集団

7444 万人のうち、家庭用ゲームプレイユーザーが 2612 万人とされているのに対しアプリ

ゲームユーザーは 3376 万人とされるまでになった(1)。

2 大学生間のアプリゲームの普及と懸念

またアプリゲームの普及はゲームのダウンロード状況など以外の異なる質問項目の結果

からも見て取ることができる。より直接的にアプリゲーム・オンラインゲームのプレイ状況

を問う、問 6-6 の「スマホゲーム、ケータイゲーム、オンラインゲーム」へのアクセス頻度

の項目だが、ここでは 244 名中「日に 2,3 回以上」という回答が 95 名で約 38 パーセント、

「日に 1 回」という回答が 29 名で約 12 パーセント、2 つの回答を合わせると 124 名約 50

パーセントとなり 2 人に 1 人が 1 日に 1 回以上はアプリゲームなどをプレイしている計算

となる。逆に今まで「アクセス/利用したことがない」という回答は 3 人で約 1 パーセン

トのため、大学生においてはほぼ全員がアプリゲームを受け入れる土壌が整っているとも

考えることができる。

このように一見アプリゲームは既にユーザー数アクセス率ともに十分安定しているよう

に見える。しかし、アプリゲームにも懸念すべき点がある。それは家庭用ゲームとの集金プ

ロセスの違いにある。家庭用ゲームは基本的に売り切りのものなので販売数=売り上げと

なる。一方アプリゲームは売り切りのものやゲーム内に広告を出しその広告収入で運営し

ているものもあるものの、無料でアプリケーションを提供し、ゲーム内アイテム・ゲーム内

通貨を有料で販売することで収入を得ている。つまり、いくらユーザー数が増えアクセス率

が高くなったところで、課金するユーザーがいなければビジネスとしては成り立たなくな

ってしまうということである。このことを踏まえて再び社会調査の結果を見ていきたい。こ

こでは問 18-9 の「ゲーム内通貨の購入」に対する 1 ヶ月あたり平均の支出額の項目を参考

にしたいと思う。この項目で購入していないという回答は 247 名中 203 名で約 82 パーセ

ント、無料のみという回答(キャンペーンなどで無料配布されるゲーム内通貨を含めたもの

と推測される。)は 19 名で約 8 パーセント、2 つの回答を合わせると 222 名約 90 パーセン

トがアプリゲームに課金をしていないという計算になる。もちろん普段からゲームをプレ

イしていないという者も回答してはいるが、前述のアクセス率の項目での結果を踏まえる

と、仮に課金しているのが全て 1 日 1 回以上アプリゲームなどにアクセスしていると回答

した恒常的なユーザーであったとしても、そのうちの 2 割のユーザーしか課金しておらず、

残り 8 割のユーザーは課金しないままゲームをプレイしていると言うことができる。この

ことはアルファ班全体の仮説として設けた「現代のコンテンツ利用は、無料が当たり前とい

う意識があるのではないか。」という考えに当てはまる。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

101

3 アプリゲームが遊ばれる背景

ここからはアプリゲームの特徴から仮説通り無料でのプレイにとどまるユーザーが多い

理由を分析していく。まずアプリゲームはいつも身近にあるスマートフォンでプレイでき

る手軽さがメリットとして挙げられる。そのため家庭用ゲームのようにプライベートな時

間に腰を据えてプレイするというよりも仕事や勉学の合間、移動時間などに暇つぶしの一

環としてプレイされていると推測される。暇つぶしとしてプレイすることはあっても課金

をしてまでプレイするほどのモチベーションは無い、というのが多くのユーザーの感情と

してあるのではないだろうか。またオンラインゲームの要素を取り入れたアプリゲームで

は日々新たなコンテンツが追加されていくが、裏を返せば明確なゴールが無いということ

になり、人によっては惰性によるプレイに繋がる可能性もある。

4 アプリゲームの今後

それでは今後アプリゲームはどうなっていくのか。今回の社会調査でわかったユーザー

数・アクセス率と課金の割合の乖離は、ゲームを作る側もデータとしては既に掴んでいるだ

ろう。その上で、どう課金してもらうかということに重点が置かれるはずである。そこで予

想されるのが、課金が無駄にならないシステムを作ることである。現状、アプリゲームにお

ける課金の使いみちはゲーム内のアイテムやキャラクターがランダムに手に入る「ガチャ」

と呼ばれる有料のくじに集中している。しかしランダムなくじである以上、低レアリティの

アイテム・キャラクターしか獲得できない、同じアイテム・キャラクターしか獲得できない

ということも起こり得る。現実での物品であれば他人との交換・売却という形で再利用する

ことができるが、電子データであることやリアル・マネー・トレード(現実の金銭とゲーム

内アイテムの取引)を防ぐためかゲーム内での他のプレイヤーとアイテムを交換・売却する

ことができないことが課金に対する大きなネックとなっていると考えられる。この状況を

打開するためのシステムの 1 つとして挙げられるのがガンホー社の「パズル&ドラゴンズ」

などで既に採用されている、ゲーム内で獲得したキャラクターを特殊なポイントに換金し、

そのポイントをまた新たなキャラクターと交換することのできるシステムである。ゲーム

によって交換の対象は変わるが、仕組み自体は変わらないものが今後は他社のゲームでも

見られるようになるだろう。また、これはあくまで 1 例であり既に異なる課金が無駄にな

らないシステムが企画・導入されているかもしれない。そういった意味ではアプリゲームは

市場としてまだ伸び得ると私は考えた。

今回の調査でコンテンツ利用は無料であるという意識の強さを知ることができた。今後

はそのことによる弊害とその意識を変えるために何が必要なのかをより追求していきたい。

参考文献

(1) フ ァ ミ 通 ゲ ー ム 白 書 2015 発 表 の ニ ュ ー ス リ リ ー ス 内 資 料

(https://www.enterbrain.co.jp/files/pdf/release150612.pdf)

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102

恋人の有無とリアル・バーチャル双方における人間のプロパティ分

要旨

SNSが浸透した現在、恋人の有無が普段の生活にどのような影響をもたらしているの

か、おもに社会心理の観点、そしてわずかではあるがビジネスの観点からも分析した。恋人

がいることで人間性・行動に変化が生まれる。人生をより豊かなものと感じ思考がポジティ

ブになり自己を肯定したり、行動も積極的になったりする。それに伴いSNSの利用や消費

行動に関しても特徴が表れてくる。一方精神の安定化は2極化し、絶えず不安・不満などマ

イナスの感情を抱えるものも少なくない。そして、今回分析する調査は若者を対象としたも

のであるためこの傾向は顕著であると考えられる

はじめに

先日行った社会調査プロジェクトの問29「恋人の有無(過去にいたか)」の結果から、

恋人の有無もしくはいたという経験が日常生活や人間性にどのような影響を与えているの

かに着目した。そして、その影響が SNS・メディアの利用の実態にどのような違いを生むの

かを調べることを目的にしている。影響と違いについては次の 3つの仮説を立てた。まず 1

つ目、恋人のいる人間のほうがSNS利用に積極的である。2つ目、恋人のいない人間のほ

うが内向的である。そして 後に 3つ目、恋人のいる人間のほうが消費性向が高い。このよ

うな 3つの仮説をもとに、それぞれアンケート調査のデータを根拠として検証を行う。その

際使用するデータとして選んだのは、1つ目の仮説を検証するデータとして、ツイート数と

フォロワー数、アクセス数を、2つめの仮説を検証するデータとして、今の生活への満足度、

自分は悩みがちである、自分は「○○オタク」といえるほどの趣味がある、インドア派とい

うよりはアウトドア派だ、の項目を、3つ目の仮説を検証するデータとして、映画館での映

画鑑賞、映像コンテンツの購入である。

グラフ説明

そして本論にはいる前に、これから言及していくグラフの系列1,2,3について説明す

る。1は現在恋人がいる人、2は現在はいないが恋人がいたことのある人、3は今までに恋

人がいたことのない人である。

1 恋人のいる人間のほうが SNS に積極的である

ここからは仮説の検証に入っていく。まず 1つ目の仮説「恋人のいる人間のほうがSNS

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103

利用に積極的である」を検証していく。資料 1によると、ツイート数に関しては、1と 2に

比べて 3である恋人がいたことの無い人の方が明らかに多い。そして資料2によると、フォ

ロワー数に関しては1,2、3の順番で減少傾向であり、恋人のいたことの無い人の方が明

らかに少ない。 後に資料 3によると、アクセス数に関しては現在恋人がいる人の方がアク

セスする割合が高い。

これらの結果から、恋人のいる人間は相対的にフォロワーの数が多いが、ツイート数は少

ないがアクセス数は高いことがわかる。よって、フォロワー数が多いがゆえに一人一人のツ

イートは少なくとも、タイムラインに表示されるつぶやきが多くなっているのではないか

と考えられる。なので、1つ目の仮説の積極的であるという家庭については、個人のツイー

ト数に関してはその他の人間よりもすくないものの今述べたような理由で、正しいといえ

るであろう。

2 恋人のいない人間のほうが内向的である

次に 2つ目の仮説「恋人のいない人間のほうが内向的である」について検証していく。2

つ目の仮説は資料4から 7 の 4 つのグラフをもとに検証する。まず資料 4 によると、今の

生活にある程度満足している人の割合に差異はあまり見られないが、満足をまったくして

いない、あまりしていない人の合計に着目してみると、1が17%、2が 35%、3が 30%と

現在恋人のいない人の生活満足度は現在いる人と比べると低いとわかる。次に資料5によ

ると、自分は悩みがちであるというという質問に対してあてはまると答えた人の割合は、恋

人がいたことはない人はその他の1と2に比べて明らかに多いとわかる。そしてなんと、ま

ったくあてはまらない、つまりまったく悩んでいないと答えた人の割合を見ると、1と2に

関しては約 10%の人がそう回答していたのに対して、3に関しては今回アンケート調査を

行った中では一人もそのような回答をしていた人物はいなかった。次に資料6によると、オ

タクと呼べる趣味があるかという質問に対してあてはまる、まああてはまる、あまりあては

まらない、まったくあてはまらないという回答が1と3で全く逆の結果になっていること

がわかる。つまりは、1の人は「あてはまらない」から「あてはまる」において徐々に回答

が徐々に減少していくが、3の人は増加している。 後に資料7によると、自分をインドア

派だと思う人の割合は、1は47%、2は 46%、3は69%と、恋人がいない人に多かっ

た。

以上の結果だけでも恋人のいない人間のほうが内向的であるという仮説は正しいといえ

るとわかるが、現在いる人と過去にいたことがある人の中での資料7における差異はほと

んどみられなかったことから、恋人がいたことが「ある」「ない」というところに区切りが

あると考えられる。そして、その区切りに着目すると、資料5からわかるように恋人がいた

ことのない人は、そうでない人に比べて悩みがちであり、オタクと呼んでいいほどの趣味を

持っているので、インドア派であり、内向的といえるのではないだろうか。ちなみに、資料

4の生活満足度については、現在恋人がいる人のみ高いという結果であったが、過去にいた

ことのある人は、積極的に行動をして恋人をつくり、その状況を脱しているという未来はこ

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の結果からも想像できる。しかし、今までいたことのない人は外部的ななにか大きなきっか

けがない限り、現在の状況が変わらない人が大半であるとも考えられる。

3 恋人のいる人間のほうが消費性向が高い

後に 3つ目の仮説、「恋人のいる人間のほうが消費性向が高い」について検証していく。

まず資料8によると、映画館で映画を見るのに使う金額のうち一番回答の割合が高いのは、

1、2、3とも 1000 円~3000 円の範囲で同じだが、3千円以上に注目すると、1と2は 16%

ずつ、3は6%と恋人のいたことのない人は映画館での映画鑑賞にお金をかけていないと

いえる。そして資料9によると、オンライン映像コンテンツの購入に関しては 500 円から

1000 円までと答えた人の割合が1、2、3とも多いことはわかったが、その他目立った結

果は表れていなかった。ちなみに、この二つの質問を分析に採用した理由であるが、その他

の消費についての質問項目の内、「全くしたことがない」「無料のみ」と答えた人の割合が少

なかったからである。例えばゲームソフトの購入であると、1,2、3とも 60%以上の人々

がそのように回答していたので、適正なデータはそこからは得られないと判断した。

以上の結果から、映画に関しては恋人がいたことのない人の方が僅差ではあるが消費

性向が低いと考えられる。そして、現在恋人がいる人と、過去にいた経験がある人とに差は

見られなかったがこれは、明確な相関データはないが先ほどの内向性とかかわりのある結

果ではないか。内向的なので外に出て映画鑑賞をするという外交的行為における金銭の投

資額も減っていると考えることができるのではないだろうか。映像コンテンツに関しては

その他の項目よりは利用度が高いため、データを使用したが、特筆した傾向は見出せなかっ

た。

まとめ

後に以上3つの結果をまとめていく。まず「SNS の積極的利用」に関しては仮説通り、

恋人の有無が影響していると見て取れた。しかし、恋人の有無と映像メディアの利用に明確

な相関関係が見いだせなかった。ただし、消費性向に関しては、質の高い検証をするにはデ

ータが明らかに不足していた。このような結果には人間の心が深く影響していたという事

実も判明した。そのことは自己承認と自信という2つがその内容を紐解くカギになるので

はないかと私は考える。一般的に恋人同士は、お互いが好きで付き合っていることが多いの

で、他者から承認されている感覚が得られることでこれまで述べてきたような結果があら

われたのではないかと考えられる。宮台によると、幸せになるためには、自分は他者に受け

入れられる存在である尊厳が必要であり、それは他者から承認された経験を必要とする(宮

台2008)とある。よってその承認が身近な他者である恋人から得られることで尊厳を得

ることができて幸せであると感じるので、恋人のいる人間のほうが開港的になり、よってS

NS利用にも積極的でそれに伴い消費性向が高くなるといえるだろう。

このように、恋人に無条件に認められることによって発現する差が大きなアンケート結

果の差異をもたらし、今回の仮説の証明の根拠になったと考えられる。そして、仮説は一般

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105

的にも予想されうることであったが、実際に如実に結果が現れていることを証明できた。

後に、2つ目の仮説で示された外向性との関連性について直接的に聞いたような質問項

目があれば 3つ目の仮説については、明確な根拠として提示できたのではないだろうか。具

体的には、恋人がいない人が趣味にかけるお金だったり、これは難しいかもしれないが、恋

人がいることで、自分ひとりよりも増加した使ったお金の金額とその使い道などの質問事

項があれば仮説が正しいか、正しくないかをより精巧に分析できたのではないだろうかと

いところに課題が残る。そしてもう一つ今回の仮説から結論、考察をしていくこのスタイル

についてだが、今回のようにわかりやすいものだと立てた仮説の結果が考察前から推測で

きてしまうので、新鮮味だったり、新たな大きな発見がないという点で課題が残るところで

はある。

グラフ

0

500

1000

1500

2000

2500

1 2 3

ツイート数(資料1)

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106

0

50

100

150

200

250

1 2 3

フォローワー数 平均(資料2)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

1 2 3

アクセス数 1番利用 (資料3)

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6

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107

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

今の生活への満足度(資料4)

系列1 系列2 系列3 系列4

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

自分は悩みがちである(資料5)

系列1 系列2 系列3 系列4

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0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

1 2 3

自分は「○○オタク」といえるほどの趣味がある

(資料6)

系列1 系列2 系列3 系列4

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

1 2 3

インドア派というよりはアウトドア派だ(資料7)

系列1 系列2 系列3 系列4

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109

参考文献・資料

情報メディアコミュニケーションに関する調査

2008年、宮台真司、「14歳からの社会学」、世界文化社。

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

1 2 3

映画館での映画鑑賞(資料8)

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6 系列7

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

1 2 3

映像コンテンツ購入(資料9)

系列1 系列2 系列3 系列4 系列5 系列6 系列7

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若者のネット/ソーシャルメディア・SNS 利用における不安感とソー

シャルメディアに対する意識や、重視する情報の要素に焦点を当て

ての調査と考察

要旨

デジタルネイティブのソーシャルメディア/SNS の利用実態を明らかにするにあたって、

その利用における不安感と、ソーシャルメディアの情報に対する意識や重視する情報の要

素に着目して仮説を設定し、分析・考察を行った。デジタルネイティブのソーシャルメディ

ア(SNS)利用の実態の中でも不安感や情報に対する意識が行動に影響を与えていると考え、

今回の調査分析ではそれらに焦点を当てて分析を行った。不安感に関しては日本人特有の

傾向が今回の調査でも表れた。情報に対する意識に関しては 10 代から 20 代特有の傾向が

見られた。

1.概要・問題関心

現代においてインターネットやソーシャルメディアの重要性は非常に高く、デジタルネ

イティブにとっては生活の一部となっていると言っても過言ではない。デジタルネイティ

ブは人生の大半の交流を、メールやネットワーク機能の付いた機器でソーシャルメディア

を利用して行い、その中で既存の人間関係だけでなく新たな人間関係をも構築し継続させ

発展もさせている。日本で代表的なコミュニケーションツールとしてのソーシャルメディ

ア、SNS として挙げられるのは LINE と Twitter である。日本の LINE 株式会社のメッセ

ージアプリとしてサービスが開始された LINE は日本でのスマートフォンの普及に伴い代

表的なソーシャルメディア、SNS の一つという地位を獲得し、2015 年 3 月には全世界での

月間アクティブユーザー数は約 2 億 5000 万人に達したと発表された。そして Twitter は

2006 年にアメリカでサービスが開始され、2014 年 6 月には全世界での月間アクティブユ

ーザー数は約 2 億 7100 万人に達したと発表されている。この生活様式がデジタルネイティ

ブの中で標準的となりつつある中で、デジタルネイティブによってソーシャルメディア

(SNS)がどのようなツールとして使われているのかに筆者は関心を寄せてきた。

今回の社会調査の中で、デジタルネイティブのネット利用、ソーシャルメディア(SNS)利

用における不安感と、ソーシャルメディアの情報に対する意識や重視する情報の要素に着

目して仮説を設定し、分析・考察を行った。デジタルネイティブのソーシャルメディア(SNS)

利用の実態の中でも不安感や情報に対する意識が行動に影響を与えていると考え、今回の

調査分析ではそれらに焦点を当てて分析を行った。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

111

2.先行研究

2-1.木村(2012)による「日本社会の抱えるインターネットへの不安感」に関する研究

日本と他国でのインターネット利用に関する比較調査では他国に比べ、どの調査であっ

ても日本は突出してインターネット利用に不安感を持っていることを挙げている。木村が

参加した日中カナダの比較の調査であっても日本は不安感を抱き、さらに実際のインター

ネット利用のトラブルの経験自体は相対的に少ないにもかかわらず、トラブルに対する不

安感はトラブル経験がある他国とほぼ同じかそれよりも高いことが示されている。そして

この不安感や日本社会のインターネット利用における高い匿名性傾向は他や社会への信頼

感(社会的信頼感)の低下の傾向を要因として考えたが、ネット利用と社会的信頼感には相関

が無いということを調査の分析から示している。次に木村が挙げたのは社会的心理概念の

一つである「不確実性回避」と情報ネットワーク行動の関係である。各国で不確実性回避傾

向と不安感に相関が見られる中で、日本は もトラブルが少ないものの不安感と不確実性

回避傾向に強い相関性が見られることから、日本社会は実際の経験が無くとも不安感を強

く感じる傾向にある、つまり「困ったらどうしようと困る」と述べている。この不確実性回

避の傾向は日本社会の強い安心志向から生まれるジレンマであると木村はまとめている。

2-2.総務省(2015)による「社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々

の意識に関する調査研究」

平成 27 年「社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々の意識に関する調

査研究」での「ソーシャルメディア利用における情報拡散の基準」の調査項目では「内容が

面白いかどうか」を基準とする人の割合は 20 代以下が も多く、「情報の信憑性が高いか

どうか」を基準とする割合は 20 代以下が も少ないという結果が出ている(2015 総務省)。

情報を発信・拡散することに重点を置いた「SNS を利用する際の注意事項の実施状況」と

いう調査項目に関してどの項目に対しても 20 代以下は「あまり気を付けていない」と回答

した割合がどの年代よりも高かった。情報通信白書でも若年層は SNS 利用率が高く、情報

拡散時には情報の信憑性よりも面白さを重視する傾向が強く、トラブルに巻き込まれる利

用者の割合がほかの年代よりも高いことが結果でも表れている。しかし、SNS 利用者のモ

ラルが高い高齢層よりも SNS の各種特性への認知度は若年層の方が高いという結果も表れ

ている。各年代の利用特性を踏まえての教育や啓発が必要であり重要であるとまとめられ

ている。

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3.調査結果と仮説・分析・考察

3-1.調査結果とネット利用の不安感についての分析

ネット利用における不安感についての分析には主に、使用した質問紙の問5「ネット利用

におけるトラブル経験、またトラブルに対する不安感」を用いた。問 5 の各質問項目のう

ち、「自分が見たホームページや自分がやりとりしたメールの内容を他人に知られること」、

「名前・住所・勤務先・クレジットカード番号・パスワードなどの個人情報が他人にもれる

こと」、「自分のパソコン/ケータイ・スマホ、各種記録媒体の中身、データを盗まれること」、

「SNS、ブログ、電子掲示板などで自分に対する中傷や悪口などを書かれる」を採り上げる。

これらへの不安感に対する回答の選択肢の「不安」と「やや不安」を「不安」に、「あまり

不安はない」と「不安はない」を「不安ではない」に統一して性別とのクロス分析を行った。

(表 1-1 から 1-4) この分析から対象者の多くがネット利用において不安感をもっているこ

とがわかった。個人情報の漏洩や情報やデータが他人に盗まれることに対する不安は 90%

近い人が感じている。閲覧したホームページやメールのやり取りの不安は 76%、誹謗中傷

を書かれる不安は 63%の人が感じている。これらそれぞれで男女の間に大きな差は表れな

かった。男女の間には差はなく、調査対象者全体がネット利用に関する不安感をある程度持

っていることが示されたと考えられる。

この結果から生活の中で不安を感じやすい人は、ネット利用に対しても不安を感じなが

らの利用なのではないかという仮説を立て分析を行うことにした。

問 21-2 の質問項目のうち「人生に不確実、予測不可能なことはつきものだが、直面した

らどうしようと絶えず不安に感じる」への回答を「生活の中で感じる不安」の基準とした。

そして問 5 の経験に対する回答の選択肢の「(経験が)何度かある」と「1、2 度ある」を「(経

験が)ある」、「全くない」を「(経験が)ない」に統一してクロス分析を行った。(表 2-1 から

2-4) クロス分析の結果から、生活の中で不安感を感じていることが多い人はネット利用に

おいてもある程度の不安感を持っていることが分かった。生活の中でよく不安を感じる人

の 83%が他人に閲覧した HP やメールのやり取りを知られることを不安に思っており、こ

れが調査対象者全体の 5 割を超えている。同じように、生活の中でよく不安を感じる人の

94%が、個人情報が他人に漏れることを不安に思い、これが調査対象者全体の 6 割近くで

ある。そして生活の中で不安感を持っている人の 93%近い人が記録媒体のデータを盗まれ

ることを不安に思い、これが全体の 6 割近い人数である。誹謗中傷を書かれる不安感と生

活の中での不安には関連が見られなかった。誹謗中傷に関しては、生活の中で不安感を持っ

ていようと持ってなかろうと不安に感じている人がそれぞれ 6 割を超えて、それが全体の

結果にもつながっていることが分かった。

そして木村(2012)が先行研究で示した「実際のトラブル自体は相対的にはきわめて少ない

のに対して、不安感が高い日本社会の傾向」が今回の調査でも表れたのかを調査結果から分

析した。そして実際のトラブル経験がないにも関わらず、ネット利用での不安感が高いこと

も、問 5 の経験の有無への回答と不安感への回答のクロス分析で分かった。(表 3-1 から 3-

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113

4) これは経験と不安感に相関が見られないことを根拠に置いている。経験者が全体の 5 割

を超えた「自分が見たホームページや自分がやりとりしたメールの内容を他人に知られた

経験」と見られてしまう不安感の間には相関が見られた。しかし、個人情報が漏れた経験が

無いにもかかわらず個人情報が漏れることを不安に思う割合は全体の 66%を超える。記録

媒体のデータを盗まれた経験が無くともパソコンやスマートフォン・携帯電話記録媒体デ

ータを盗まれる不安感を持つ割合は全体の 8 割を超える。同じように誹謗中傷を書かれた

経験もないのに誹謗中傷をネット上に書かれることを不安に思う人も全体の半分以上を占

める。実際にトラブル経験をした故に不安に思うわけでなく、経験がある人は勿論だが、無

い人も不安感を抱えていることがクロス分析から示された。トラブル経験が無いにも関わ

らずネット利用での不安感が調査対象者にある程度表れたという結果は、木村(2012)の述べ

る「不確実性回避傾向」が今回の調査対象にも表れたと考えられる。検証の方法が違うため

厳密には言えないが、近い結果が得られたのではないかと思われる。以上のネット利用に対

する不安感の傾向は、木村(2012)の述べる日本社会特有の高い不確実回避傾向、および日本

社会の強い安心志向を表していると考えられる。

3-2.調査結果とソーシャルメディアからの情報の性質の重要度についての分析

先行研究に挙げた平成 27 年「社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々

の意識に関する調査研究」での「ソーシャルメディア利用における情報拡散の基準」の回答

では「内容が面白いかどうか」を基準とする人の割合は 20 代以下が も多く、「情報の信憑

性が高いかどうか」を基準とする割合は20代以下が も少ないという結果が出ている(2015

総務省)。この結果が今回の我々の調査でも表れたのかを分析することにした。

調査質問紙の問 15 の「各メディアからの情報の性質の重要度に対する順位付け」への回

答は回答者による 1 位から 7 位までの順位付けである。この回答の 1 位から 2 位を「(重要

度が)高い」、3 位から 4 位を「どちらでもない」、5 位から 7 位を「(重要度が)低い」に統一

し、各メディアへの回答と性別でのクロス分析を行った。

各メディアからの情報の「娯楽源としての重要度」については、調査対象者の全体の 8 割

がソーシャルメディアからの情報の娯楽源としての重要度が高いと回答し、他のメディア

よりも圧倒的に高い結果が示された。ソーシャルメディアの次にテレビからの情報が娯楽

源としての重要度が高いものとして回答されており、全体の 6 割程度であった。インター

ネットからの情報が娯楽源として高いと考える人は男性が多く、雑誌からの情報に関して

は女性向けファッション誌の影響もあるのか、女性は雑誌からの情報の娯楽源としての重

要度を高くはないものの、低くはないと回答する傾向が見られた。(表 4-1 から 4-7) 「勉

強等の情報源としての重要度」に関してはインターネットが全体の 5 割、新聞、書籍がそれ

ぞれ全体の 4 割を超える人が「高い」と回答し、雑誌は全体の 7 割、ラジオは全体の 9 割

の人が「低い」と回答した。ソーシャルメディアからの情報に関しては、全体の 3 割が「高

い」、全体の 2 割が「どちらでもない」、4 割が「低い」と回答していた。(表 5-1 から 5-7)

「速報性の重要度」については男女ともにソーシャルメディアからの情報の重要度が高い

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と考える人が多く、全体の 76%がソーシャルメディアからの情報の速報性の重要度が高い

と回答した。書籍からの情報が速報性の重要度として低いと全体の 95%が回答した。イン

ターネットからの情報の速報性の重要度は全体の 67%が「高い」と回答し、中でも男性回

答者の 75%が「高い」と回答した。テレビからの情報の速報性の重要度は 98%の人が低く

ないと回答し、その回答者の内の女性の 5 割が「高い」と回答し、男性の 6 割が「どちらで

もない」と回答した。(表 6-1 から 6-7) 「多元的な情報の情報源としての重要度」(ここで

の「多元的な情報」とは「さほど関心がない情報」の意である。) については、ソーシャル

メディアが男女ともに 6 割、インターネットが 5 割、テレビが 5 割弱の人が「高い」と回

答した。各メディアの中でソーシャルメディアが も多元的な情報の情報源としての重要

度が高いということが明らかになった。(表 7-1 から 7-7) 「情報の信頼性の重要度」に関

しては、全体の 8 割がソーシャルメディアの情報の信頼性の重要度に対して「低い」と回答

した。ソーシャルメディアの次に、インターネットの情報の信頼性の重要度が「低い」と回

答した人が多く、全体の 7 割近い人が「低い」と回答した。どちらの回答も女性は男性より

も「低い」と回答した割合が高かった。信頼性の重要度が「高い」と も多くの人が回答し

たのは新聞で、全体の 8 割近い人が「高い」と回答した。そしてテレビと書籍は全体の 4 割

を超える人が「高い」と回答した。(表 8-1 から 8-7) 以上から、調査対象者の多くはソー

シャルメディアからの情報を娯楽源かつ多元的な情報の情報源として捉えており、速報性

の重要度も高いと感じている。そして情報に対する信頼性の重要度は低いと感じているこ

とがわかった。これは総務省の先行研究・調査と近い結果だったと思われる。ソーシャルメ

ディアからの情報に対して娯楽性や速報性が重要視され、信頼性はあまり重要視されてい

ないということが示された。

ソーシャルメディアからの情報に対する信頼性の重要度の低さは何によるものなのか、

それを「情報の自立的な取捨選択」と「大量な情報による負担」ではないかと考えた。情報

の取捨選択において、取捨選択が自立的に可能な人ほどソーシャルメディアからの情報の

信頼性の重要度を低く回答したのではないか、そして大量な情報があふれている状態を負

担に思う人は、情報が常に更新され流れ続けるソーシャルメディアを負担に思い信頼性に

対しても重要度を低く回答したのではないかと考えそれぞれ仮説を立てて分析を行うこと

にした。

「情報の自立的な取捨選択」の基準として、質問紙の問 21-2 の中の質問項目「たくさん

ある情報の中から、自分の必要とする情報を取捨選択できる」への回答の「あてはまる」と

「まああてはまる」を「(情報の自立的な取捨選択が)できる」に、「あまりあてはまらない」

と「あてはまらない」を「(情報の自立的な取捨選択が)できない」に統一した。分析の結果

として男女の間に大きな差はなく、7 割以上が出来ると回答した。(表 9-1) そして「情報

の自立的な取捨選択」と「ソーシャルメディアからの情報の信頼性の重要度」のクロス分析

を行った。情報の取捨選択が出来ると回答し、且つソーシャルメディアの情報の信頼性の重

要度が低いと回答した人の割合は全体の 6 割を超えた。しかしこれらに相関関係は見られ

なかった。情報の取捨選択が可能であるか不可能であるかによってソーシャルメディアの

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情報の信頼性の重要度に差は表れなかった。(表 9-2) また、問 21-2 の中の質問項目「 近

は情報が多すぎて負担に感じる」への回答を用いたクロス分析でも、ソーシャルメディアの

情報の信頼性の重要度に差は表れなかった。そのため情報が大量にあることを負担に思う

人ほどソーシャルメディアの情報の信頼性が低いのではないかという仮説は棄却された。

(表 9-3,4)

今回の分析では、ソーシャルメディアからの情報に対する信頼性の重要度の低さは何に

よるものなのかは明らかにすることはできなかった。2000 年前半から初等・中等教育に取

り入れられた情報リテラシー教育や、デジタルネイティブならではの早い時期からの自ら

の経験などが「ソーシャルメディアの情報の信頼性の低さ」に影響しているのではないかと

考える。筆者の憶測に近い形にはなってしまうが、情報リテラシー教育や経験から「ソーシ

ャルメディアやインターネット上の情報は信頼性・信憑性が低いものである」といった固定

観念が年代に広く通じて作られたのではないか、そしてその固定観念が情報の取り扱いに

も影響しているのではないかと考えられる。2000 年代前半の段階で、子供たち・若者への

情報リテラシー・モラル教育においてインターネット上での悪質な情報に対する危惧がさ

れていた(2003、野原ら)。しかし、若い世代ほど情報リテラシー教育を受けている機会が上

の世代に対して多いにも関わらず、この結果が表れたことは各年代のソーシャルメディア

利用者の中での教育の差によるものなのか、それとも年齢による特性(世代効果)なのか、長

期的なスパンでの調査から明らかになるのではないかと思う。

4.まとめと反省点

4-1.ネット利用の不安感について

インターネットを他の年代に比べ早い段階(幼少)から利用し、それに対する様々な教育な

どを受けてきたデジタルネイティブ第 4 世代であっても、インターネット利用に対して多

くの調査対象者が不安感を持っていることが明らかになった。生活の中で不安を感じやす

い人には、その不安傾向がネット利用にも表れた。ネット利用でのトラブル経験が無いにも

かかわらずネット利用への不安感が高いことが明らかになった。木村(2012)の先行研究に似

た結果を得ることが出来た。分析から明らかになったこれらのネット利用の不安感の傾向

は、木村(2012)の述べる日本社会特有のネットへの不信感や高い不確実回避傾向、および日

本社会の強い安心志向を表していると考えられる。

4-2.ソーシャルメディアからの情報の性質の重要度について

ソーシャルメディア/SNSからの情報に対しては信頼性よりも娯楽性を求める傾向にある

ことが示された。総務省(2015)の調査の結果の傾向に近い結果を得ることが出来た。情報を

自立的に取捨選択出来ると回答した人ほど、ソーシャルメディアからの情報に対して、低い

信頼性を表すのではないかという仮説を設定したが、それは結果の分析から棄却された。情

報を自立的に取捨選択出来ると回答した人も、出来ないと回答した人も、どちらもソーシャ

ルメディアからの情報に対して低い信頼性を示した。大量な情報に対して負担を感じる人

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ほど、ソーシャルメディアからの情報の信頼性の重要度を低く付けているのではないかと

いう仮説を設定したが、これも調査結果の分析から棄却された。大量の情報を負担に感じる

人も、感じない人も、どちらもソーシャルメディアからの情報に対して低い信頼性を示した。

情報の中の重視する要素についての分析からは、情報リテラシー教育や経験から「ソーシャ

ルメディアやインターネット上の情報は信頼性・信憑性が低いものである」といった固定観

念が年代に広く通じて作られたのではないか、そしてその固定観念が情報の取り扱いにも

影響しているのではないかと考えている。しかし先述した通り、各年代のソーシャルメディ

ア利用者の中での情報リテラシー等の教育の差によるものなのか、それとも年齢による特

性なのかは今回の調査からは明らかには出来なかった。もしも年代特性(世代効果)である場

合は、長期的なスパンでの調査が必要になるだろう。

反省点・課題

SNS における情報の発信や拡散についての質問項目を設けなかったことを、自分の今回

の調査及び調査票作成における反省点として挙げる。平成 27 年版の情報通信白書ではトラ

ブル経験の選択肢として、情報を発信する側としての選択肢を設けており、20 代以下はお

よそ 4 割の回答者が経験をしていた(2015 総務省)。他のネット・ソーシャルメディア・SNS

利用でのトラブル経験に関する先行研究でも、情報の発信・拡散における質問項目の設定が

多い。今回の我々の調査では情報に対して受け身の立場からの選択肢しか設けなかった。設

けていればさらに詳しい比較が可能だったかもしれない。もう一つは、分析段階での不足を

挙げる。先行研究で挙げた木村の調査分析では不安感の指数を複数の質問項目の平均値で

再設定していた。今回の分析では時間の関係と筆者の力不足で、同じような分析を行うこと

が出来なかった。この分析を次回の課題としたい。

(以下、図表と参考文献)

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図表

表 1-1

表 1-2

表 1-3

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表 1-4

表 2-1

表 2-2

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表 2-3

表 2-4

表 3-1

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表 3-2

表 3-3

表 3-4

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表 4-1

表 4-2

表 4-3

表 4-4

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表 4-5

表 4-6

表 4-7

表 5-1

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表 5-2

表 5-3

表 5-4

表 5-5

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表 5-6

表 5-7

表 6-1

表 6-2

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表 6-3

表 6-4

表 6-5

表 6-6

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表 6-7

表 7-1

表 7-2

表 7-3

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表 7-4

表 7-5

表 7-6

表 7-7

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表 8-1

表 8-2

表 8-3

表 8-4

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表 8-5

表 8-6

表 8-7

表 9-1

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表 9-2

表 9-3

表 9-4

参考文献

・LINE 株式会社、2015、「【コーポレート】2015 年 1-3 月期、業績についてのお知らせ」、

http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/987 (2015 年 5 月 23 日 終アクセス)

・ Twitter Inc. ,2014, ” Twitter Reports Second Quarter 2014 Results ” ,

https://investor.twitterinc.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=862505 (2015 年

5 月 23 日 終アクセス)

・木村忠正、2012、『デジタルネイティブの時代:なぜメールをせずに「つぶやく」の

か』、平凡社。

・総務省、2015、「第 4 章 暮らしの未来と ICT 第 2 節ソーシャルメディアがもたらす

変化 2,SNS での「拡散」と「炎上」」、『平成 27 版 情報通信白書』

・野原健・加藤直樹、2003、「中学生を対象とする情報モラル育成のための指導内容の

検討」、『年会論文集』、日本教育情報学会、第 19 号、226-227.

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コンテンツ産業目録(映像コンテンツ編)

要旨

本研究は、現代の若者が映像コンテンツにどれくらい課金しているのかについて、秋学期

に行った社会調査を基に分析を行ったものである。この調査によって、テレビ視聴が地上波

中心からインターネット中心に移行しているのか、またテレビ CM とインターネット上の

広告のどちらの方が影響力が強いかといったことを明らかにした。さらに、動画配信サービ

スにおける広告やこのサービスの効果について、NHK 放送文化研究所の論文を基に分析を

行った。

1 問題関心

我々のグループは、現代の若者が様々なコンテンツに対してどれくらい課金をしている

のかについて関心を持った。そこで、秋学期に実施した社会調査の結果に基づき、メンバー

それぞれが各自の関心に基づいて分析を行った。具体的には問 16~18 を中心に利用して、

現代の若者のコンテンツ消費に対する意識分布を調べた。特に、無料サービスのみを利用す

る人と有料サービスも利用する人の差に注目した。私は特に映像コンテンツに興味があっ

たので、それについての分析を行った。

2 仮説と論点

全体を通しての仮説は、「現代のコンテンツ利用は無料が当たり前という意識がある」と

いうものである。その中で、映像コンテンツについては、若者のテレビ離れが叫ばれている

現状を踏まえて、「放送はインターネット中心に移行している」という仮説を立てた。これ

について、「消費者が有料コンテンツに求める価値とは何か」という論点に基づいて分析を

行った

3 分析と結果

3.1 映像オンラインコンテンツに対する課金

現在、若者のテレビ離れやテレビ番組の視聴率低迷が叫ばれている。この状況を食い止め

るため、テレビ局は番組のインターネット配信サービスを始めた。これによって、映像オン

ラインコンテンツに課金する人が多くなることが予想できる。しかし、問 18 の「映像オン

ラインコンテンツの購入・レンタル」の項目を分析すると、「利用なし」と答えた人が全体

の 64%、「無料のみ」と答えた人が 19%であった。(図 1)つまり、映像オンラインコンテ

ンツに課金しない人は全体の 83%を占めていることが分かった。これでは、テレビ局がイ

ンターネット配信サービスによる収益を得ることが期待できない。

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3.2 広告の影響力

テレビ局の主な収入源は映像コンテンツによるものではなく広告収入である。そこで、イ

ンターネット上の広告・宣伝による影響力が強ければ、間接的ではあるが、テレビ局が映像

オンラインコンテンツによって利益を得ることができると考えた。ここでは問 17 の「TV

コマーシャル」と「インターネット上の広告・宣伝、メールマガジン」の 2 項目での結果を

比較した。すると、「TV コマーシャル」では影響力が「とても強い」、「強い」、「まあ強い」

と答えた人の合計が全体の 78%を占めた(図 2)のに対し、「インターネット上の広告・宣

伝、メールマガジン」では全体の 52%にとどまった。(図 3)よって、TV コマーシャルの方

がインターネット上の広告よりも影響力が強いといえる。ここで、補足としてオンラインで

の口コミの影響力を調べてみた。問 17 の「友人や家族などによる口コミ(LINE、チャッ

ト、ブログ、ツイートなどのオンラインでの口コミ)」という項目を分析すると、影響力が

「とても強い」、「強い」、「まあ強い」と答えた人の合計が 81%を占め(図 4)、「TV コマー

シャル」の 78%をわずかに上回った。

3.3 利用状況

テレビとインターネットの動画の 1 週間当たりの利用状況をそれぞれ調べてみた。テレ

ビについては、問 16 の「地上波放送」の項目を分析した。すると、週 3 回以上視聴する人

は 220 人であった。一方、インターネット動画については、問 2 の「ネット動画投稿・共

有サイト(ニコ動、YouTube、Vine など)の視聴」の中の「1 週間当たりの利用日数」の項

目を分析した。すると、週 3 回以上視聴する人は「地上波放送」には及ばず、171 人であっ

た。(図 5)この結果から、若者の中で、地上波のテレビ番組を見る人はインターネット動

画(無料・有料問わず)を見る人よりも多いことが示された。この調査の対象は、立教大学

の学生のうち、メディア・コミュニケーション論を受講する主にメディア社会学科所属の学

生という非常に限られたものであったが、若者のテレビ離れが叫ばれているという現状を

踏まえると、この結果も無視できないだろう。

3.4 動画配信サービスにおける広告

ここで、実際に行われている動画配信サービスにおける広告について取り上げようと思

う。NHK 放送文化研究所の論文によると、方法は 2 つあり、「1 つは、先行者の日テレが取

り組んできた、オンエア時とは異なる広告主に販売する方法である。そしてもう 1 つは、フ

ジが模索する、オンエア時のタイム広告主に声をかけ、可能な限りテレビ CM をそのまま

配信し、テレビ広告費に上乗せして販売する方法」(村上 2015)である。日本テレビの方法

では、オンエア時と異なる広告を流すということで、尺の長い広告やストーリー展開のある

広告を流すといった、インターネットの特性を生かした広告を流すことが可能であるとい

える。一方、フジテレビの方法では、オンエア時に流れるテレビ CM とほとんど同じもの

が流れるといえる。動画配信サービスにおける広告の今後の動きについて、先ほどの論文で

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は、「先行してオンエア時とは異なる広告主に対して動画広告を販売している日テレによれ

ば、現在、ネット上でテレビ番組はプレミアムコンテンツとして扱われているため、他の動

画よりもかなり高い価格で販売できているという。しかし、今後見逃し配信の番組数が増え

ていく中で、どこまでその価格が維持されるかは不明である。フジが、オンエアの番組を支

えているタイム広告主に販売する方法を模索しているのはそのこともある。ただその場合、

力のあるタイム広告主を抱えている局とそうでない局で差が出ることも否めない。」(村上

2015)と述べられている。民放各局は動画配信における広告について、現在模索している

段階であることが分かる。ただ、今回の社会調査の結果を踏まえると、動画配信サービスに

おける広告の方法を模索するよりも、このサービスがきっかけで地上波を利用する人がよ

り多くなるような方法を模索するべきであると考えられる。地上波により多くの視聴者を

取り込むことができれば、視聴率が上昇し、動画配信サービスでの広告の方法を模索しなく

ても、結果的にテレビ局の主な収入源である広告収入が増加することにつながるだろう。

3.5 動画配信サービスの効果

テレビ局は、テレビ離れを食い止めるために動画配信サービスを展開しているが、これは

効果があるのか?先ほど紹介した NHK 放送文化研究所の論文では、これについて、「配信

した番組の大半において、リアルタイム視聴時よりも若い層が視聴する傾向が出ているこ

と、ユーザーアンケートベースではあるが、リアルタイム視聴への誘導の効果が見込まれる

こと、そして、違法動画サイトでの視聴を抑止できる可能性がうかがえることなどである。

また、各局とも、こうした視聴者の動向と同じくらい意味があるとしているのが、配信を契

機に局内の意識改革や業務フローの見直しが始まったということである。リアルタイム視

聴率至上主義の傾向が強い営業などのセクションにおける価値観の変化や、制作現場にお

ける権利処理への理解とそれに伴う処理の迅速化や体制強化などが進んでいるという。」

(村上 2015)と述べられている。ここから、まず動画配信サービスは地上波により多く

の人を取り込むのに効果があることがわかる。しかも、視聴率に直結するリアルタイム視聴

へ誘導する効果が見込まれるということは、 終的にテレビ局の収入源である広告収入の

増加も見込まれる。さらに、このサービスをきっかけに局内の意識改革も始まったというこ

とで、番組の質も向上することが期待できる。よって、長期的に見て動画配信サービスがテ

レビ離れを食い止めるのに効果があるといえる。

4. 結論

この分析の結論として、テレビは「テレビならでは」のビジネススタイルを求めることが

今後生き残っていくうえで大切であるといえる。今回の調査では、まず地上波のテレビ番組

を見る人は、インターネット動画(無料・有料問わず)を見る層よりも厚いことが分かった。

また、広告の影響力についても、テレビコマーシャルの方がインターネット上の広告よりも

影響力が強いことが示された。ただし、オンラインにおける口コミの影響度に関しては、テ

レビコマーシャルをわずかに上回るという結果が得られた。まず、これらの結果を仮説や論

点と照らし合わせると、「現代のコンテンツ利用は無料が当たり前という意識がある」とい

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う仮説は満たされているといえるが、「放送はインターネット中心に移行している」という

仮説は満たされなかった。また「消費者が有料コンテンツに求める価値とは何か」という論

点については明らかにできなかった。次に、今回の結果を踏まえると、テレビ局はインター

ネットによる動画配信サービスはテレビ離れを食い止める手段の一つであると捉える必要

があるといえる。そして、このサービスにあまり力を入れすぎず、地上波のリアルタイム視

聴により多くの利用者を取り込むことを意識するのが も大事であると考えられる。その

中で、動画配信サービスにおいて広告を流す場合は、オンラインでの口コミを生かしたもの

を流すと良いのではないか。

図表

図 1 映像オンラインコンテンツに対する 1 ヶ月あたりの課金額

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図 2 TV コマーシャルの影響力

図 3 インターネット上の広告・宣伝、メールマガジンの影響力

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図 4 友人や家族などによる口コミ(オンラインでの口コミ)

図 5 週 3 回以上視聴・アクセスする人たち

参考文献 ←節レベルと同じ「スタイル」

村上圭子、2015、「これからのテレビ」を巡る動向を整理する Vol.6 ~ 2015 年 1 月−4 月~」、

『放送研究と調査』、第 65 巻第 6 号、30-49

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これからのコンテンツ産業の生きる道とは。(映画産業編)

要旨

コンテンツ産業を映画、ゲーム、テレビの 3 つを軸にα班では今回の社会調査で研究を

した。私のレポートはその内の映画産業について。ちなみに、映画産業 は今回の調査で得

られた社会調査のデータの中で も健全な事業であることが判明したが、今回のレポート

では何故、健全であると言えるのか。あるいは、映画館に行くという行為と、映像コンテン

ツを見ることの差異に注目し、データの分析を行っている。

1. 概要

今回、私達が行った調査は立教大学に所属し、メディアコミュニケーション論を受講する

主にメディア社会学科所属の学生を対象としたものであり、(注1、詳しい調査概要は後述。)

少々偏ってしまってはいるがこれからの日本社会の消費を担うことになる若者の消費形態

について知ることのできる機会でもあった。木村ゼミに所属する我々α班(注2、メンバー

の名前)はこの消費形態の特にコンテンツ産業という分野に注目し、どれほどの金額を分野

につぎ込むのかという疑問を解決するための分析を行った。

今回、コンテンツ産業はテレビ、映画、ゲームの三分野に分けてそれぞれの分野を手分け

して分析するという手法を取り、私は映画の分野において分析をすることとした。

2. 仮説

そもそも、映画の産業モデルは基本的に産業化されてより変わってはいない。

① まず、製作チームを結成して脚本を作る。その脚本に合ったキャラクターメイキング行

い、キャスティングと美術班に衣装の発注を頼みつつ、撮影日程を決定してロケを行う。そ

して映画のシーンの全ての撮影が終わった後は編集作業を行いそこで撮影効果や映像効果

などのエフェクトを載せて映像を完成させる。

② 次はプロモーションを行って公開期間と上映会場を決定し、主に映画館にて上映を一定

期間行う。

③ 後に DVD に映像データを納めて特典などの付属物を決めて全ての映画ビジネス

は終了となる…、というものが映画ビジネスの一連の流れだ。

さて、前提の説明が随分と長くなってしまったが今回私が注目した(映画コンテンツ産

業の収入源)の調査に当たる部分は主に②に当たる。映画館に向かい、上映された映像を

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見てお客さんにお金を払ってもらうというビジネスだ…が、ここで私の仮説を述べておこ

うと思う。

まず、この現代は Youtube やニコニコ動画などをはじめとした無料動画配信サービスが

かなりの盛況を見せている。だが、あくまで無料で映像を見られてしまうこのサービスは

映像コンテンツ産業に大きなダメージを与えている。

だから映画産業もその煽りを大きく受けてしまっていて他のコンテンツ産業よりもビジ

ネスモデルの成立が難しくなっている…と、思われがちだが映画館に行って映画を見ると

いう行為は現代の若者もよく行う行動であるように私は感じている。つまり、映画産業は

昨今言われている程に煽りを受けている業界ではない、のではないか?

というものが私の仮説となる。

3. 調査結果と概説

今回行った調査は指定した娯楽を使用する、使用しないの区別とともに課金額と無課金

のみ利用しているか否か、についても質問票で区別ができる調査を行った。

その結果(図1、)2015 年 10 月においてほぼ 20 歳前後の立教大学社会学部メディア社

会学科に通う若者の内、およそ 8 割が映画を利用して課金をすると回答した。また、課金

額の分布に注目をしても 500~1500 円の課金をするといった者が全体の 5 割を占め、課

金額別に見れば非常に穏やかな俗にいう(ヒトコブラクダ型)のビジネスの顧客層モデルを

描き、他のコンテンツ産業のビジネスの顧客層(図 3~4)から対比してもここまできれい

に若者の顧客を網羅したビジネスの顧客層モデルを見ることはできなかった。

つまり、現代の若者を対象にしたビジネスはこの社会調査の結果からは映画産業である

と断言しても過言ではない…とは言いきれないデータもしっかりと存在している。

今度はこちら(図2、)を参照して頂きたい。こちらはうってかわって DL 式の映像コ

ンテンツへの意識についてユーザーへの課金意識を円グラフ化したものだ。

はっきり言ってひどい有様です、の一言に尽きる。まず 6 割強の若者層がそもそも利用

していないと答え、およそ 2 割となっている。(ちなみに、無課金のみ利用すると答えた

層の厚さが DL 式の映像コンテンツが一番厚い。)あくまで課金をしてくれていて、その

対価としてサービスを受け取る真の意味でのお客様の層が現代の若者の中にたった 2 割

しかいないビジネスは将来性のあるビジネスであるとはとてもではないが言えないだろう。

そして、こういった傾向は映像コンテンツだけでなく音楽や書籍といった分野でも見られ

る傾向だ。

電子化、ネット化をしなければ未来はない…と昨今ではよく言われているが、無料でな

ければ利用する気も起きないという状態が電子空間のビジネスでは横行していることが改

めて印象づけられた結果となってしまった…。

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4. 分析と疑問

しかし、ここで映像 DL コンテンツと映画館ビジネスのグラフを比べっこしてゆく内に

一つの疑問が浮かび上がる。それは、両者のビジネスモデルがこうまでして雲泥の差があ

る理由とは何か、という話だ。

絶対に言えることはネット上で見る映像価値と映画館で見る映像価値には大きな隔たり

があるということだ。果たしてそれは何なのだろうか?

新映画も数ヶ月我慢すればレンタルビデオショップで数百円で鑑賞できるようになる。

更にもっと我慢すれば 100 円くらいで一週間、鑑賞することだって可能だ。更に更に、も

っと言えば頑張ってインターネットの情報の海を漂えば違法にアップロードしている映画

コンテンツを無料で楽しむことだってその気になればできてしまう。(勿論、犯罪なので私

は決してその行為を推奨はしないし、反対する。一応念のため!) 私は、そのヒントは映

画館の特性にあるのではないかと考察し、更にその事実をどうにか客観的に証明するため

に(映画の興行収入が良かった年を支えた映画タイトルとその理由)から分析してみること

とした。

5. アバターと3D と映画という名のミュージックビデオ、アナ雪から見る映画

館の独立的価値

まずはこちらの図(図?)を参照して頂きたい。

これは一般社団法人日本映画製作者連盟が定期的に更新、公開している【日本映画産業統

計】がまとめた映画の興行収入の推移をグラフ化したものであり、ほぼ横ばいで推移してい

る…ことを言いたかったわけではなく、ほぼ横ばいで推移している中でぴょこんと興行収

入が突出した年に注目して欲しかったので出したグラフである。

実は、2010 年近辺と、2014 年度はそれぞれタイタニックの興行収入を上回ったアバタ

ーという作品と、Ret It Go「ありのままで」の曲で一躍、有名となったアナと雪の女王

の公開の年でもあるのだ。

アバターのシナリオはまんまインディアンと開拓社の図式だ…、アナ雪は姉妹の絆とい

う今までになかった…などのシナリオの関しての分析は映画評論家にここでは任せること

にするが、実はこの二つはそれなりに客観的事実として述べられる共通点がある。それ

は、映像美というものを非常に意識して作られた作品であるということだ。

まずアバター。この作品の日本語版のキャッチコピーとは「見るのではない。そこにい

るのだ。」そして、綴られる世界観はパンドラという緑に包まれた惑星とその惑星に住ま

う地球にいる生物とは一線を画す生態と形態をもった原住生物たちとナビィという、青い

透き通るような肌に黄色の瞳をもった種族と人間との戦いだ。(注)

さて、冒頭に綴ったこのキャッチコピーが如実に示すウリは当時、話題であった3D 映

像を見ることによる世界観への没入だ。そして、緑の森を背景に動き回る青い肌の種族と

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特徴的な幻獣生物たちという絵面…。非常に映像美を追求した作品こそがこのアバターで

あり、その結果こそがタイタニックを超える売り上げと撮影賞、美術賞、視覚効果賞とい

う三部門にノミネートされたという結果なのだろう。

対してアナと雪の女王の象徴も映像美を追求した作品であることは Youtube 上に今現在

も公開されている「Let It Go」の映像を見ればまさしく一目瞭然だ。3D モデルを利用し

ての雪や吹雪の表現は非常に難しいものなのだが、今作では本物の雪さながらに美しく舞

い上がる雪や舞い上がる氷の結晶を表現している。また、その映像とリンクした登場人物

の心理と歌声は本作の映像美をより印象付けるミュージックビデオ的な作品であるといっ

てもいいだろう。

さて、とにもかくにもアバターとアナ雪のことについて映像美がすぐれた作品であること

を証明するために頑張ってきたが、事実としてこの両者の作品は(数年に一度の大ヒットと

言える)結果を出している。そして、その大きな要因が映像美だとすれば映画館にて映像コ

ンテンツを見る価値とはこういった部分にあるのではないか、ということだ。

例えば、3D 映像を楽しむ映画であるのならその映画を楽しむために家でのテレビでわ

ざわざ 3D 対応のテレビを購入し、(今も店頭に置いてあるかどうかは知らないが…)3D

対応の DVD を購入して3D メガネを使用したところで映画館の大スクリーンで3D メ

ガネをかけて楽しむ3D の迫力には及ばないだろう。 それに、アナと雪の女王の「Let It

Go」のクライマックスの歌いあげのシーンも Youtube 上の音質も画質も悪い映像で見るよ

りは映画館の高音質、高画質で鑑賞してこそ本当の価値があると言えるものなのではない

だろうか?

と、いう分析が DL 映像コンテンツと映画館のビジネスモデルの違いについて私なりに

考察したものである。

6. まとめ

だが、映画産業も今のビジネスモデルとなっているからといってあぐらをかきっぱなし

でいるわけにもいかない。

少なくとも、3D ビジネスは業界があれだけ流行させようとしたのに廃れてしまったし、

スマートフォンや PC が更に高性能化して家庭で違法 DL をするだけでさながら映画に

いるような映像美を楽しめるようになってしまったらもしかたら映画館のビジネスも DL

映像コンテンツのそれと同じ状態になることもあり得ない未来ではないだろう。

そういう意味では、映画館の魅力の再発見と新たな価値の創造を今、余裕がある時期だ

からこそ模索することが映画業界の為すべきことなのではないだろうか?

と、いったところで今回の社会調査の分析は〆ということにさせて頂きたいと思う。

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図表

調査概要 2015 年度 立教大学コミュニケーション論を受講する 19~22 歳の層を中心と

する生徒およそ 250 人にアンケート調査を実施した。そして、その中の質問である「利用

するコンテンツ」と「一か月のおおよその課金額」についての意識を円グラフとしてまとめ

たものが以下のデータとなる。

グラフの見方として…黒は、利用していない。赤は無料のみ利用。 も薄い青色は 1~500

円、次に薄い青色は 501~1000 といったように色が濃くなるほど課金額が多くなってゆく。

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SNS と幸福度の関係

要旨

スマートフォンの台頭と時を同じくして、若者を中心にソーシャル・ネットワーキング・

サービス(SNS)も流行している。SNS が人々の幸福の度合いに影響を与えているのか分析す

ることが本稿の趣旨である。2015 年 10 月に立教大学社会学部木村忠正研究室が実施した質

問紙調査の結果をもとに相関分析を行い、SNS の利用が幸福や不幸を感じる度合いと関係性

を持っているのかを分析した。結果としては、SNS の利用が幸福・不幸に作用するという仮

説を立証することは出来なかった。ただし、今回の質問紙調査の対象がかなり限定的である

ことや、検証していない SNS も存在するため単純に相関関係がないと言い切ることもでき

ない。性別や世代、特定の SNS にスポットを当てて調査しなおすことで幸福や、炎上・拡

散・いじめ・ソーシャル疲れといった不幸との関連が見られる可能性が残っており、触れて

いない要素で調査しなおすことが今後の課題となった。

はじめに

2007 年の「iPhone」を皮切りにスマートフォン、タブレット、ウェアラブルコンピュー

タといった様々なスマートデバイスが登場してきている。携帯電話利用者のスマートフォ

ンの年代別利用状況は、20 代で約 8 割、全体でも 5 割を越え、ここ数年で大きく普及して

きた(総務省、2015)。それに伴い近年はブログ、SNS、動画共有サイト、メッセージングア

プリといったソーシャルメディアの普及も著しく、これもまた若者を中心に広く利用され

てきている。これらは生活を豊かにする一方で、炎上や拡散、いじめ、ソーシャル疲れとい

った種々のトラブルを産み出していることもまた事実であり、たびたび社会問題として取

り上げられている。

グループεは、グループ全体のテーマを「立教生の幸福度」とした。本稿では、幸福度を

測る指標として、若者の生活に強く関わっていると考えられるソーシャルメディア、特に

SNS に注目する。SNS が若者の日々の暮らしと幸福についてどのような影響を与えているの

か、本当に社会問題とされている状況が立教生の間でも起きているのか、これらを木村ゼミ

で実施した質問紙調査の結果をもとに分析することが本稿の趣旨である。

1 先行研究

1.1 総務省による SNS の利用率調査

SNS がどの程度人々の暮らしにかかわってきているのかが分かる調査として、総務省によ

る SNS 利用率の調査がある。 近約 1 年以内の SNS 利用が LINE=37.5%、Twitter=31.0%、

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Facebook=35.3%、年代別利用率においては全般に年代が高くなると利用率が下がる傾向に

あるが、Facebook は年代を問わず浸透していて、LINE は 20 代以下で 6割以上に対し 60 代

以上で 1 割未満と大きな差が見られる(図表 1、2)。また SNS での情報発信については、自

ら情報発信するよりも他人の書きこみを閲覧するユーザーが多いことが示されている(図

表 3)(総務省 2015)。

今回分析の対象となる立教生も含む 20 代以下の利用率は、それぞれ LINE=62.8%、

Twitter=52.8%、Facebook=49.3%となっていていずれも 5割に近い数値であり、 も高

い利用率であると分かる。情報発信についても他の年代が 1割程度にとどまる中、17.4%と

自ら積極的に情報発信するユーザーが多い。このようなことから、若者世代において SNS の

利用が顕著であることが分かる。ただし、個々のサービスがどのように利用のされているの

かまでは分からない

1.2 河合によるソーシャルメディア研究

ソーシャルメディアと幸福に関する先行研究には、河合によるソーシャルメディア・パラド

クスについての分析がある。ソーシャルメディア・パラドクスとは、かつてインターネット・

パラドクスと呼ばれた、インターネットの利用が対人関係や社会的関係を委縮させ、うつや

孤独感といった健康被害を増加させるという、インターネットのネガティブな傾向を示す

ことばのソーシャルメディア版であり、河合の分析ではソーシャルメディアの利用による

対人関係や精神的健康へのネガティブな影響の有無が検証された。ソーシャルメディアの

新規利用者の投稿に関しては友人関係の促進の可能性が示唆されたが、それ以外の閲覧行

為、投稿行為には友人関係や精神的健康にネガティブな影響があるという結果(表 4)から、

ソーシャルメディアにおいてもインターネット・パラドクス的傾向、つまりソーシャルメデ

ィア・パラドクスの可能性が支持された。つまり、ソーシャルメディアの利用が人々の生活

を左右する可能性が示されているのである(河合 2014)。

しかし、この分析が実施された時期(2011 年 7 月、2012 年 1 月)には LINE は対象に含まれ

ていないことや、サービスによって利用者の属性が異なることから、個別のソーシャルメデ

ィアの比較の必要性や投稿内容の分析の必要性が述べられている。

1.3 先行研究のまとめ

これらの先行研究から言えることは、SNS が広く利用されはじめ、かつその利用には人間

関係や精神的健康といった人間の幸福との関連が見られそうだということだ。しかし、個々

の SNS がどのように利用され、どの程度の影響をもたらしているかまで掘り下げられてい

るとはいえない。本稿の問題関心である SNS 利用と幸福度の関連について把握するには、丁

度先行研究で検討しきれなかった個々の SNS の調査が必要といえるだろう。

2 データについて

本稿では、2015 年 10 月に立教大学社会学部木村忠正研究室が実施した、「情報メディア

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コミュニケーションに関する調査」のデータを使用する。この質問紙調査は、立教大学社会

学部メディア社会学科の学生を対象に行われ、回答者数は 247 名である。そのため、本稿は

「立教生の」幸福と SNS 利用の関連についての分析となる。また SNS の主な調査対象には

Twitter、LINE が選定され、利用動向の調査がなされているため、分析で扱う SNS も Twitter

と LINE とする。この調査には考え方や価値観に関する質問項目も含まれている。これらの

質問項目の中から、広く幸福について当てはめることのできる質問項目、SNS に対する考え

と見て取れる質問項目を適宜利用していった。SNS 個々の利用傾向を説明変数とし、従属変

数に考え方や価値観に関する質問項目を置いて分析を行う。

3 仮説

本分析では SNS 全般の利用傾向と幸福についてではなく、個別の SNS の利用傾向と幸福

について調査することが趣旨である。そのため以下のような仮説が設定される。

① Twitter を利用することで日々の幸福度に変化がある。

② LINE を利用することで日々の幸福度に変化がある。

それぞれの仮説について正負の相関ごとに異なる影響があることが予想できる。

正の相関の場合:利用頻度が高いユーザーほど、生活を豊かに感じる、自己の肯定、

情報発信・情報社会への肯定などが見受けられると考えられる。

負の相関の場合:利用頻度が高いユーザーほど、生活への不満、自己の否定など正の相関と

は逆の結果が見られると考えられる。=Twitter 疲れ、LINE 疲れといった

ソーシャル疲れの傾向、ソーシャルメディアが不幸を感じる一因となっ

ている。

以上の仮説を木村研究室の質問紙調査結果を基に検証していく。なお正負どちらの相

関も見られない場合、ソーシャルメディアの利用が幸福度と全くの関連がないのかという

論点が生じ、別の、SNS 利用と幸福の関連に作用する要因や、二つが全く無関連である可能

性の根拠の検討が必要となる。

4 分析と結果

4.1 分析について

分析には Twitter に関する設問 10 項目、LINE に関する設問 6項目を説明変数とし、考え

方・価値観に関する設問 12 項目(図表 5)を従属変数に選んだ。設問は、Twitter・LINE の二

つについては「利用頻度」に関する項目、「プライバシーの意識」に関する項目、「対人関係」

に関する項目の三つの分類を行い、考え方価値観に関する項目については、インターネット

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利用に対する不安・不満感や満足感を測ろうとしている項目には「ネット親和性」、人間の

社会的関係についての設問には「社会的信頼」、自分自身や生活、世間の状況に対する評価

を聞く設問には「幸福感」とそれぞれ分類し(図表 5)、ソーシャルメディアに設けた三分類

が、考え方・価値観に設けた三分類とどう関連するか相関分析を実施した。

4.2 結果について

図表 6.1、図表 6.2 がそれぞれ Twitter の利用傾向を説明変数とした分析の結果と、LINE

の利用傾向を説明変数とした分析の結果を示している。質問紙調査の回答数は 247 名、N=247

であるので、N=250 のときの相関係数の棄却限界、5%水準のとき 0.124101、1%水準のとき

0.162639 を参照すると、5%水準で 11 項目(表中黄色の網掛)、1%水準で 2 項目(表中赤色の

網掛)がこれらの数値を上回っている¹ので、無相関が棄却されることが確かめられた。しか

し、相関係数の値自体が低いため、これらの変数に相関性があるとは言い難い結果となった。

5 考察

分析の結果からは、Twitter、LINE といった SNS を利用することで、人々の生活や人間関

係、ネットに対する意識に変化が起こり、幸福であるかどうかにまで作用するという仮説を

立証することは出来なかった。つまり、若者(立教生)の間では、SNS 利用が彼らの生活の幸

福度を左右することはないということになる。しかし、今回の質問紙調査の対象が立教大学

生だけであることや、更にはインターネットメディアに関心が強いと考えることのできる

メディアコミュニケーション学科の学生であったことを考慮するならば、SNS に振り回され

てはいけないと客観的に物事を捉えていた学生が多かった可能性もある。また、学年や性別、

世代、Facebook などその他の SNS、といった今回検討しなかった要素もかなり存在してい

る。それらを取り入れて再び調査・分析した場合、拡散、炎上、いじめ、ソーシャル疲れと

いった社会問題が、学年に、性別に、世代に、特定の SNS に特有の現象であるとか、SNS 利

用がやはり、人々の幸福であるかどうかという意識に関わっているといったことが浮き彫

りになるかもしれない。そうした、さらに踏み込んだ調査を行うまでは今回の結果を単純に

結論付けてはいけないだろうと考える。

終わりに

今回の質問紙調査とその分析から、何か決定的な結果と結論を得ることは出来なかった。

だが、SNS が広く使われるようになり、生活の一部に入り込んできているにもかかわらず、

本当に何一つ考え方・価値観・幸福について影響を及ぼしていないとするならば、それはそ

れで SNS が非常に特殊なウェブ空間であることの裏返しである。今後の研究では、SNS が実

際は人間生活のどの部分に結びついているのか、それがどのような影響を及ぼしているの

か、インターネット上にどう位置付けすべきものであるのかといったことを明らかにして

いきたい。

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¹相関分析で棄却限界を上回ったのは、①累計ツィート数と嫌な人と思われること、②アカウントの鍵の有無と人を信用

すること、③よく会う学校やバイトの友だちの数と人を信用すること、④会う機会がない趣味や関心を同じくする友だ

ちの数と人を信用しないこと、⑤よく会う趣味や関心を同じくする友だちの数と自分が悩みがちであること、⑥会う機

会がない趣味や関心を同じくする友だちの数と情報発信することの喜び、⑦アカウント数のネット利用を楽しいと思う

こと、⑧週間のツイート数とネット利用を楽しいと思うこと(以上 8 項目 Twitter との相関)、⑨タイムラインの公開制

限と SNS の娯楽としての重要度、⑩よく会う友だちの数と人を信用すること、⑪日常やり取りするトークの数と人を信

用しないこと(以上 3項目 LINE との相関)の 11 項目である。なお、この中で 1%水準の棄却限界を上回ったのは⑨⑩で

あった。

図表 1 SNS の利用率及び実名利用率(総務省 2015)

図表 2 SNS の年代別利用率(カッコ内は実名利用率)(総務省 2015)

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図表 3 SNS での情報発信経験(総務省 2015)

図表 4ソーシャルメディア・パラドクス(河合 2014)

友人会話時間 友人関係満足度 孤独感 抑うつ

新規利用者 閲覧 - +

投稿 (+)

全体 閲覧 (+)

投稿 (-) +

※「+」はソーシャルメディア利用により増加する,「-」は減少することを示す。また,丸括弧付きは有意

水準 10%での影響を示す

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図表 5 相関分析に用いた質問項目と質問傾向の分類一覧

項目 問 設問内容 設問傾向

Twitter 問10-1 Twitterアカウント所持数 利用頻度

問10-1-1 鍵の有無 プライバシー意識

問10-1-1 フォロー数 対人関係

問10-1-1 フォロワー数 対人関係

問10-1-1 累計ツィート数 利用頻度

問10-2-2 普段よく会う友人・知人(学校、バイト関係など) 対人関係

問10-2-3 普段よく会う友人・知人(趣味、関心のつながり) 対人関係

問10-2-4 ほとんど会う機会がない友人・知人(学校、バイト関係など) 対人関係

問10-2-5 ほとんど会う機会がない友人・知人(趣味、関心のつながり 対人関係

問10‐3a 週間ツィート数 利用頻度

LINE 問12-1 友だち総数 対人関係

問12-1 普段よく会う友人・知人 対人関係

問12-1 ほとんど会う機会がない友人・知人 対人関係

問12-2-2 日常的にやりとりする相手の数(トーク) 利用頻度

問12-2-3 過去1週間(7日間)でやりとりした相手の数(トーク) 利用頻度

問12-3-1 タイムラインの公開範囲を制限している プライバシー意識

価値観 問5-6-b SNS、ブログ、電子掲示板などで自分に対する中傷や悪口などを書かれネット親和性

問5-9-b SNS、ブログ、電子掲示板で自分の成功や幸せな様子を載せたことで、 ネット親和性

問15-1 ソーシャルメディアの娯楽源としての重要性 ネット親和性

問21-1-1 ほとんどの人は基本的に善良で親切である。 社会的信頼

問21-1-2 私は、他人を信頼するほうである。 社会的信頼

問21-1-3 人々はふつう、口で言っているほどには、他人を信頼していない。 社会的信頼

問21-1-4 人を助ければ、今度は自分が困っている時に誰かが助けてくれる。 社会的信頼

問21-2-2 自分は悩みがちだと思う 幸福感

問21-2-4 最近は情報が多すぎて負担に感じる ネット親和性

問21-2-5 自分の意見や気持ちを文字で発信することに喜びを感じる ネット親和性

問22-3-3 友人や家族と話すよりもインターネットを利用しているほうが楽しい ネット親和性

問22-3-7 私は今の生活にとても満足している 幸福感

問23-23 人々の暮らし向きは、だんだんと悪くなってきている 幸福感

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図表 6.1 Twitter の利用傾向と考え方・価値観の相関分析の結果

図表 6.2LINE の利用傾向と考え方・価値観の相関分析の結果

Twitter 問番号 問10-1 問10-1-1 問10-1-1 問10-1-1 問10-1-1 問10-2-2 問10-2-3 問10-2-4 問10-2-5 問10‐3a

問番号 説問内容 アカウント数 鍵 フォロー フォロワー 累計ツイート 良く会う(学校) 良く会う(趣味) 会わない(学校) 会わない(趣味) 週間ツイート

問5-6-b 中傷への不安 -0.042233 -0.049232 -0.012116 -0.033711 -0.021591 -0.086701 -0.078515 -0.025581 0.030514 -0.005817

問5-9-b 嫌な人と思われる -0.104183 -0.044846 -0.035660 -0.051818 -0.139188 -0.041352 -0.108668 -0.018335 -0.081491 -0.051379

問15-1 娯楽源としての重要性 -0.082263 -0.005198 0.051991 0.068028 -0.053649 -0.034261 0.118295 -0.007226 0.078781 0.010775

問21-1-1 人は善良である 0.023110 -0.020278 -0.038286 -0.034427 -0.034975 0.015401 0.082673 -0.016294 -0.062631 -0.113841

問21-1-2 人を信用する 0.033438 0.144520 0.059648 0.094432 0.070581 0.148410 0.083584 -0.010920 0.016571 -0.002840

問21-1-3 人を信用しない -0.053644 0.029667 -0.037401 -0.064496 0.093500 -0.062868 -0.079629 0.010804 0.135838 -0.065569

問21-1-4 人は助けてくれる 0.100051 0.010584 0.093435 0.056805 0.084181 -0.100268 0.083964 0.041599 0.033985 0.033005

問21-2-2 自分は悩みがち -0.015643 0.020814 -0.064248 -0.081048 0.003200 -0.117613 -0.128959 0.036446 0.047961 -0.039213

問21-2-4 情報過多である 0.008899 -0.064244 -0.114197 -0.123511 -0.023222 -0.065566 -0.058741 -0.018276 0.056312 0.043277

問21-2-5 情報発信好き -0.039957 0.009571 0.044155 -0.021130 0.037588 0.010771 -0.089364 0.064111 -0.142210 -0.005630

問22-3-3 ネット楽しい -0.159212 0.042465 -0.043765 -0.051661 -0.072488 -0.068948 0.012060 0.004787 0.009723 -0.153021

問22-3-7 生活に満足 0.071686 0.038072 -0.009263 0.022871 0.058312 0.008572 0.015386 -0.050335 -0.058843 0.107621

問23-23 暮らし向きは悪い -0.105632 -0.062425 -0.056963 -0.028265 -0.003025 0.018317 -0.006951 0.094460 0.002027 -0.044699

LINE 問番号 問12-1 問12-1 問12-1 問12-2-2 問12-2-3 問12-3-1

問番号 説問内容 友だち数 良く会う友達数 会わない友達数 日常トーク 週間トーク タイムライン制限

問5-6-b 中傷への不安 0.006626 -0.006501 -0.042923 0.033329 -0.008339 0.036167問5-9-b 嫌な人と思われる 0.045236 -0.001374 -0.012083 0.037630 0.047400 0.030759問15-1 娯楽源としての重要性 -0.005398 0.005250 -0.019598 0.000148 0.059344 0.171864問21-1-1 人は善良である -0.095825 0.039833 -0.080021 -0.049111 0.024450 0.075462問21-1-2 人を信用する -0.005252 0.167587 -0.065635 -0.096256 0.116846 0.123887問21-1-3 人を信用しない 0.044868 -0.001622 0.050539 0.125936 -0.036030 -0.074261問21-1-4 人は助けてくれる -0.091443 0.029645 -0.043085 -0.047612 -0.003974 -0.023955問21-2-2 自分は悩みがち -0.016419 -0.071512 0.088885 -0.083576 0.002868 -0.059748問21-2-4 情報過多である -0.077923 0.008315 -0.034903 -0.086314 0.033882 0.013246問21-2-5 情報発信好き -0.044971 0.094223 -0.088390 -0.013604 -0.034019 -0.044971問22-3-3 ネット楽しい 0.020687 -0.014640 0.074945 0.064737 -0.065786 0.047198問22-3-7 生活に満足 -0.046819 0.010332 -0.104877 0.112436 0.065188 0.039956問23-23 暮らし向きは悪い 0.070521 0.048530 0.020980 -0.085701 0.044072 -0.059011

= 利用頻度 = ネット親和性

= プライバシー意識 = 社会的信頼

= 対人関係 = 幸福感

= 0.124101 以上

= 0.162639 以上

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

151

参考文献

・河田大介、2014、「ソーシャルメディア・パラドクス : ソーシャルメディア利用は友人関係

を抑制し精神的健康を悪化させるか」、『社会情報学』、第 3巻 1号、31-46、

http://ci.nii.ac.jp/els/110009844625.pdf?id=ART0010359399&type=pdf&lang=jp&host

=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1456245882&cp

(2016 年 2 月 18 日アクセス)

・総務省、2015、『情報通信白書』

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc242220.html

(2016 年 2 月 17 日アクセス)

・総務省情報通信国際戦略局情報通信政策課情報通信経済室、みずほ情報総研株式会社、2015、

『社会課題解決のための新たな ICT サービス・技術への人々の意識に関する調査研究』、

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h27_06_houkoku.pdf

(2016 年 2 月 17 日アクセス)

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立教大学社会学部メディア社会学科

152

第 III 部 社会調査質問票(単純集計付)

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

153

情報メディアコミュニケーションに関する調査

調査実施日:2015 年 10 月 15 日

調査方法:自記式集合調査(大学授業時)

有効回答数:247 名(男性 108 名、女性 139 名)

問1 下の表にある情報メディア機器について、ふだん自分で利用しているかどうか、10 年後は必要だと思うかどう

か、それぞれ、あなたにあてはまるものを、1~3 の記号から一つ、A~D の記号から一つ選んで、それぞれ○を

つけてください。

現在利用していますか? N=246

10 年後あなたにとって必要だと思

いますか? N=244

使う

持ってる

が、ほとん

ど使わな

全く

使わ

ない

そう思

う まあそ

う思う

あまり

思わ

ない

思わ

ない

1. テレビ受像機(パソコンやスマートフォン、従来

型携帯電話は除く) 81.3 8.9 9.8 61.3 26.3 8.2 4.1

2. DVD・ブルーレイなどの録画機 72.8 14.6 12.6 54.1 27.9 13.5 4.5

3. パソコン(タブレット端末は除く) 93.9 5.7 0.4 82.7 14.0 2.5 0.8

4. タブレット端末(iPad、Nexus など) 24.0 8.9 67.1 36.2 32.5 24.7 6.6

5. スマートフォン(iPhone、Xperia など) 98.8 0.4 0.8 87.3 9.8 2.1 0.8

6. ガラケー 1.6 3.3 95.1 0.4 4.9 19.3 75.4

7. 電子書籍リーダー(Amazon Kindle など) 8.5 5.7 85.8 13.9 34.0 30.7 21.3

8. ゲーム機(ニンテンドー3DS、PS Vita、Wii U な

ど家庭用機、小型機いずれも含む) 20.3 44.3 35.4 14.8 29.6 32.5 23.1

問 2 あなたは次のメディアをどの程度利用していますか?まず、1 週間に何日くらいか(毎日なら「7」、利用しない

場合「0」)記入し、利用する日の平均利用時間、ニュース接触時間を( )内にご記入ください(利用していな

い場合には「0」分)。(「インターネット」の「利用時間」については、ウェブサイトをみる、メールを読む・書く、ブロ

グ・SNS・チャット利用、動画、オンラインラジオ視聴などすべてを含めてお答えください。)

N

1 週間あたり

平均利用日数0 1 2 3 4 5 6 7

含 0日

除 0日

1. テレビを見る(ネット経由は除く) 246 5.5 5.8 5.3 6.1 4.1 6.5 3.3 9.3 2.4 63.0

2. ラジオを聴く(ネット経由は除く) 244 0.2 3.0 92.2 2.9 1.2 0.8 0.8 0.8 0.4 0.8

3. ネット経由でのラジオ(らじる★らじ

る、radiko、等) 244 0.3 1.7 84.0 8.6 4.5 2.5 0.0 0.0 0.0 0.4

4. 新聞を読む(ネット経由は除く) 244 1.1 3.6 70.5 8.6 5.7 2.0 1.6 3.3 0.0 8.2

5. パソコンでのインターネット 245 3.4 4.2 19.6 13.5 10.6 13.5 5.3 6.9 3.7 26.9

6. タブレットでのインターネット 244 0.9 4.6 80.3 3.7 1.6 2.9 0.4 1.6 0.4 9.0

7. 携帯系端末でのインターネット 243 6.6 6.9 5.3 0.4 0.0 0.4 0.0 1.2 0.4 92.2

8. ネット動画投稿・共有サイト(ニコ

動、YouTube、Vine など)の視聴

(5~7 のネット利用時間の中で) 246 4.1 4.6 11.0 10.2 9.3 13.8 6.9 14.2 5.3 29.3

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立教大学社会学部メディア社会学科

154

利用する日の利用時間 利用する日のニュース

接触時間

平均(分) N 平均(分) N

1. テレビを見る(ネット経由は除く) 128.6 232 44.3 215

2. ラジオを聴く(ネット経由は除く) 66.3 19 21.4 7

3. ネット経由でのラジオ 75.2 39 21.3 4

4. 新聞を読む(ネット経由は除く) 28.7 71

5. パソコンでのインターネット 96.1 194 22.6 117

6. タブレットでのインターネット 100.0 48 28.4 25

7. 携帯系端末でのインターネット 216.7 229 40.5 189

8. ネット動画投稿・共有サイト 78.7 219 37.7 27

問 3 ネット動画投稿・共有サイト(ニコ動、YouTube、Vine など)の視聴について伺います。あなたが視聴しているネッ

ト動画の中で、テレビ番組の映像はどのくらいありますか?下の(A)~(C)の中から、あてはまるものに一つ○を

付けてください。

また、(A)を選択した場合には、視聴している動画全体を 100%として、テレビ番組映像のネット動画が占める大

体の割合を%でお答えください。

*なお、「テレビ番組映像」とは、ニュース、音楽番組、ドラマ、バラエティなどすべてのテレビ番組を指します。

N=245

64.5% (A) 視聴ネット動画に占めるテレビ番組映像の割合 (42.4)% くらい

26.5% (B) ネット動画では、テレビ番組映像は見ない

9.0% (C) ネット動画視聴をしない

問 4 あなたはふだん1日に、次のような活動に、それぞれどのくらい時間を割いていますか。大学のある日、ない日

にわけ、典型的な 1 日やおおまかな平均を念頭において、回答してください。

大学のある日、N=245 大学のない日, N=244

1. 学業 約( 4 )時間( 41 )分 約( 2 )時間( 55 )分

2. バイト 約( 4 )時間( 35 )分 約( 7 )時間( 52 )分

3. サークル・部活・同好会等 約( 3 )時間( 43 )分 約( 6 )時間( 42 )分

4. 家事・食事 約( 2 )時間( 19 )分 約( 3 )時間( 35 )分

5. 睡眠 約( 6 )時間( 10 )分 約( 6 )時間( 47 )分

6. それ以外の自由時間 約( 6 )時間( 21 )分 約( 7 )時間( 12 )分

問 5 あなたは、インターネットを利用する際、次のようなトラブルを経験したことがありますか?また、不安を感じます

か。「現実の経験」について、1~3 の中から一つ、不安感について、A~D の中から一つ、それぞれ、最も適切だと

思う選択肢の番号に○をつけてください。N=247

現実の経験 不安感

何度か

ある 1、2 度

ある 全くな

い 不安

やや

不安 あまり

ない ない

1. 自分が見たホームページや自分がやりとりしたメー

ルの内容を他人に知られること 23.1% 30.0% 47.0% 32.0% 44.9% 19.4% 3.6%

2. 名前・住所・勤務先・クレジット―カード番号・パスワ

ードなどの個人情報が他人にもれること 6.1% 21.1% 72.9% 68.8% 21.1% 6.5% 3.6%

3. コンピュータウィルスにパソコン、スマホが感染する 9.3% 25.1% 65.6% 62.3% 27.5% 7.3% 2.8%

4. 自分のパソコン/ケータイ・スマホ、各種記録媒体

の中身、データを盗まれること 0.8% 6.9% 92.3% 63.2% 25.1% 8.1% 3.2%

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

155

現実の経験 不安感

何度か

ある 1、2 度

ある 全くな

い 不安

やや

不安 あまり

ない ない

5. インターネットを使ったことで、身に覚えのない高額

の請求をされて被害を受ける 5.3% 21.1% 73.7% 40.1% 27.5% 21.1% 11.3%

6. SNS、ブログ、電子掲示板などで自分に対する中傷

や悪口などを書かれる 2.8% 11.7% 85.4% 31.6% 31.6% 26.7% 10.1%

7. インターネットや携帯メールのデマ情報、有害な情

報に惑わされる 13.0% 44.9% 42.1% 30.4% 34.4% 23.9% 11.3%

8. ネット上の自分に関する情報によって、就職、昇進

で不利な扱いを受ける 1.2% 2.0% 96.8% 38.9% 27.9% 21.9% 11.3%

9. SNS、ブログ、電子掲示板で自分の成功や幸せな様

子を載せたことで、自慢している嫌な人だと思われ

2.4% 19.0% 78.5% 17.4% 25.1% 35.2% 22.3%

問 6 あなたは、以下のような様々なジャンルの情報、ネットサービスにアクセスし、利用していますか。パソコン、タブ

レット、携帯系端末を問わず、「A」~「G」のうち、あてはまるものに一つずつ○をつけて下さい。 N=247

N

アクセス/利用する 以前アク

セス/利

用してい

たがいま

はしてい

ない

ア ク セ

ス / 利

用 し た

こ と が

ない

日に

2、3 回

以上

日に

1 回

週に

3~5

月に

3~6

月 1、2

回かそ

れ以下

1. 勉強や仕事に関連する情報 244 17.0% 19.8% 27.9% 19.4% 10.1% 4.1% 0.4%

2. 就職情報・求人募集情報 244 4.1% 3.6% 12.2% 17.4% 34.0% 16.6% 10.9%

3. 行政府(国、地方問わず)のサイト 243 0.0% 1.2% 0.4% 4.5% 35.6% 18.2% 38.5%

4. 通話・チャット・メッセンジャー(LINE、スカ

イプ、ハングアウト、iMessage など) 240 91.9% 1.6% 1.2% 1.2% 0.4% 0.4% 0.4%

5. SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)

(fb、mixi、twitter など。ここでは LINE、カカ

オ、スカイプなどは含みません)

244 85.0% 5.3% 1.2% 0.4% 2.4% 2.0% 2.4%

6. スマホゲーム、ケータイゲーム、オンライン

ゲーム 244 38.5% 11.7% 5.3% 10.1% 9.7% 20.7% 2.8%

7. Dropbox 、 Evernote 、 Google Drive 、

OneDrive などクラウドサービス 244 26.3% 16.6% 15.0% 16.6% 11.3% 5.7% 7.3%

8. 自分で創ったものを共有する(批評、作

品、グラフィクス、写真、小説、動画など) 244 5.7% 3.2% 6.5% 8.9% 15.8% 13.0% 45.8%

9. オンラインショッピング(商品、サービスを

オンラインで購入する) 243 4.1% 2.8% 8.9% 17.0% 43.3% 10.5% 11.7%

10. ネットバンキングやオンライン金融取引 244 0.4% 1.6% 1.6% 2.8% 13.0% 9.3% 70.0%

11. ネットオークション 244 1.6% 1.2% 0.8% 1.6% 15.8% 14.6% 63.2%

問 7 携帯系端末やオンラインの利用に関連する数について、それぞれ回答してください。正確な数字がわからない

場合には、おおよその数でかまいません。

1. あなたが携帯系端末でかける音声通話数(1 日平均)(通常の電話の他、LINE、スカ

イプなどでの通話も含む)

N=

243 ( 1.3 )通話

2. あなたの携帯系端末にかかってくる音声通話数(1 日平均)(通常の電話の他、

LINE、スカイプなどでの通話も含む) 242 ( 1.2 )通話

3. あなたが携帯系端末で送る電子メール数(1 日平均) 243 ( 2.1 )メール

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立教大学社会学部メディア社会学科

156

4. あなたが携帯系端末で受け取る電子メール数(1 日平均) 243 ( 12 )メール

5. あなたが携帯系端末で送る各種 SNS のダイレクトメッセージ数(1 日平均) 242 (28.2)メッセージ

6. あなたが携帯系端末で受け取る各種 SNS のダイレクトメッセージ数(1 日平均) 243 (36.5)メッセージ

7. 2 年以上互いに連絡がなかったが、SNSを通じて連絡をとることができた人(パソコン、

タブレット、携帯系端末を問いません) 243 ( 9.3 )人

8. あなたがオンラインで初めて知り合い、個人的に連絡をとったが、これまでにオフライ

ンでは会ったことのない人の数(SNS、チャット、ブログ、電子掲示板など問いません、ま

た、パソコン、タブレット、携帯系端末を問いません)

243 ( 16.7 )人

9. あなたがオンラインで初めて知り合い、これまでにオフラインで会ったことのある人の

数(SNS、チャット、ブログ、電子掲示板など問いません、また、パソコン、タブレット、携帯

系端末を問いません)

244 ( 5.3 )人

問 8 あなたがインターネットを利用するとき、パソコン、タブレット、携帯系端末、それぞれどのくらいの割合で使っ

ていますか。だいたいの感覚でよいので、1 日のインターネット利用を 100%としたときに、パソコン、タブレット、携

帯系端末が、それぞれどのくらいの割合を占めるかを教えて下さい(利用していない場合は「0」を記入して下さ

い)。

1)パソコン ( 18.5 )% (N=246)

2)タブレット ( 3.9 )% (N=244)

3)携帯系端末 ( 77.8 )% (N=247)

合計 100 %

問 9 あなたは次のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、メッセージングサービス(ミクシィ、facebook、twitter、

LINE など)をどの程度利用しますか。それぞれに関して、1~7 の中で、あてはまるものを 1 つずつ選び、数字に

○をつけてください。また、利用者の方は、利用している SNS・メッセージングのところに、「友だち」の数、さらに、

「普段学校や仕事先で顔をあわせる「友だち」の数、を記入して下さい。 N=246

利用している 利 用 し て

い た が 今

は 利 用 し

ていない

利用した

こ と が な

い 日に 2、3回以上

日に 1 回週に 3~5回

月に 3~

6 回 月 1、2 回か

それ以下

1. LINE 98.8% 0.4% 0.4% 0.0% 0.0% 0.0% 0.4%

2. twitter 81.3% 5.7% 2.0% 0.4% 1.2% 3.7% 5.7%

3. facebook 20.0% 22.4% 9.8% 9.0% 9.4% 8.2% 21.2%

4. ミクシィ(mixi) 0.0% 0.0% 0.0% 0.4% 1.2% 51.9% 46.5%

5. アメーバ 1.2% 0.8% 0.8% 2.0% 3.3% 32.4% 59.4%

6. LinkedIn 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.4% 3.3% 96.3%

7. pixiv 1.2% 2.9% 2.5% 3.3% 2.9% 8.2% 79.1%

8. Skype 1.2% 1.2% 2.9% 3.3% 13.5% 30.7% 47.1%

9. カカオトーク 0.8% 0.8% 1.2% 0.4% 1.6% 21.8% 73.3%

10. Instagram 37.6% 8.2% 3.7% 3.3% 4.5% 4.5% 38.4%

11. 755(ナナゴーゴー) 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 0.4% 7.0% 90.9%

12. スナップチャット 9.0% 5.3% 2.0% 0.8% 1.6% 6.1% 75.0%

13. Google+*注 3.3% 0.8% 1.2% 0.8% 3.3% 6.6% 84.0%

14. その他 1.4% 0.0% 0.9% 0.0% 1.8% 3.6% 92.3%

*注:Google+は、Google での検索や Gmail とは別のサービスです。混同しないようにしてください。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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( 利 用 の 場

合)「友だち」

の数(人) N

うち、普段学校や仕事先

で顔をあわせ る「 友だ

ち」の数(人) N

3. facebook 153.3 164 56.8 156

4. ミクシィ(mixi) 22.9 72 8.0 73

5. アメーバ 3.8 74 0.3 75

6. LinkedIn 0.0 65 0.0 67

7. pixiv 2.6 83 0.3 84

8. Skype 16.1 108 7.5 104

9. カカオトーク 11.7 75 4.0 78

10. Instagram 98.3 151 55.8 140

11. 755(ナナゴーゴー) 2.4 68 0.7 68

12. スナップチャット 11.1 85 6.8 86

13. Google+ 1.8 69 0.9 69

14. その他 0.7 66 0.3 68

付問 9-1 上記で、「14. その他」を利用されている方は、以下に、具体的な SNS 名をお書き下さい(複数あれば

すべてご記入ください)

BAND(1)、Eye-Em(1)、Slack(1)、soundcloud(1)、WhatsApp(1)、ウェイボー(微信)(1)、

tumblr(3) ( )内の数値は回答者数

【問 10 は、Twitter の利用についてうかがいます。twitter を利用されていない方は、次頁問 11 にお進み下さい】 問 10-1 あなたは Twitter のアカウントをいくつ持っていますか?また、それぞれのアカウントについて、鍵の有無

(どちらかに○)、簡単なアカウントの説明(例えば、「リア友用」「裏アカ」「趣味用」など)、表に示したアカウントに

関する数について、教えて下さい。(数については、該当する箇所のみ、ご記入下さい。)

*なお、アカウントを 3 つ以上お持ちの方は、よく使う順に「第 3」まで記入して下さい。

持っているアカウント数 ( 5.18 )アカウント N=228

鍵 フォロー

フォロワ

ー数

相互フォロ

ー数

累計ツィー

ト数 ミュート数

ブ ロ ッ ク

作 成 リ ス

ト数

第 1 有 62.6%

N=220

294.4

N=221

302.6

N=221

257.9

N=203

4777.8

N=213

7.3

N=211

7.9

N=207

0.4

N=205

第 2 有 49.6%

N=129

163.1

N=129

155.3

N=128

130.0

N=117

1486.7

N=124

0.3

N=120

2.5

N=117

0.2

N=121

第 3 有 49.2%

N=61

199.3

N=61

192.0

N=61

133.7

N=57

2547.0

N=57

1.0

N=59

1.4

N=58

0.2

N=59

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158

アカウントの説明(自由回答をコーディングし、集計した結果)

第 1 アカウント N 第 2 アカウント N 第 3 アカウント N

リア友 92 趣味 49 趣味 20

大学 17 サークル・部活 14 サークル・部活 8

普通 14 裏アカ 13 リア友 7

趣味 13 高校 10 裏アカ 6

個人 11 リア友 9 高校 3

本アカ 11 大学 7 情報収集 3

プライベート 7 情報収集 3 放置 3

リア友 趣味 7 プライベート 2 bot 運営 1

一般 6 個人 2 イチゴ同盟 1

高校 大学 5 高校 サークル・部活 2 キャンペーン応援用 1

高校 4 いいかげんにつぶやける用 1 ネタ用(bot 系) 1

自分 2 エロ目的 放置 1 ネット友達用 1

本名 2 オフラインで会ったことのある

人とない人が 5:5 くら(?) 1 プライベート 1

裏アカ 2 お笑い好きアカウント 1 一日アカウント 1

これしか使ってない 1 キャンペーン応援用 1 企業などのツイート 1

サークル・部活 1 ネット 1 愚痴 1

サークル・部活 リア友 1 ネットの友人 1 犬の写真きろく用 放置 1

すべての友人 1 バンドアカウント 1 大学 高校 1

ふつうの鍵垢です 1 ヒミツの 1 独り言用 1

学校 本アカ 1 リプライ用 1

見る専用 1 共有アカウント 1

持ってるだけアカ 1 見た映画の感想用 1

情報収集 1 講義用 1

情報収集 リア友 1 取引用 1

情報収集 本アカ 1 真面目 1

生活用・暇つぶし・趣味 1 特に仲の良い人だけをフォロー

したアカウント 1

全て 1 放置 1

全員 1 本アカ 1

全体向け 1 寮 1

総合 1

大学 サークル・部活 1

大学 リア友 1

誰でも 1

特に説明はない 1

日常アカウント 1

未記入 1

友人 1

友達と繋がる 1

友達のみ 1

問 10-2 あなたが Twitter でフォローしているアカウントには、どのようなものがありますか?以下の表に示した分

類に該当するフォローアカウントの数を、前問の「第1」「第 2」「第 3」アカウントに分けてお答えください(あてはま

る箇所のみ数字をご記入ください)。また、昨日から 7 日前までの 1 週間におけるツィート、リツィート合計数も、

アカウント毎にお答えください。

注、このシートでは、アカウントを持っているのにアカウント数が空欄となっている部分を 0 と解釈したデータで単純集

計を行っている。また、(N=)の数字以外は全て平均値を四捨五入した値である。

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

159

一つのアカウントが複数の種類で数えられても大丈夫です(例:有名人で、外国人の友

人で、ほとんど会う機会がない友人は、それぞれでカウントする)

第 1

N=223

第 2

N=137

第 3

N=67

あなたが

フォロー

している

アカウント

1. 家族 0.2 0.7 0.0

2. 普段よく会う友人・知人(学校、バイト関係など) 98.6 14.9 7.7

3. 普段よく会う友人・知人(趣味、関心のつながり) 21.2 6 2.9

4. ほとんど会う機会がない友人・知人(学校、バイト関係など) 78.2 15.3 18.8

5. ほとんど会う機会がない友人・知人(趣味、関心のつながり) 18.8 13.4 32.1

6. 趣味、関心でフォローしたが、会ったことはない人 20.2 57.1 65.2

7. 趣味・関心からツィッターで知り合い、実際会ったことのある人 2.3 1.8 3.5

8. ボット(bot) 4.4 2.5 2.1

9. 仕事・バイト関係 1.8 0.2 0.1

10. 外国人の知人・友人 0.9 0.2 0.3

11. 芸能人・タレント 10.1 6.7 1.5

12. その他の有名人・著名人(アスリート、識者など) 3.9 2.3 1.1

13. 学生関係の団体、組織、サークル 3.8 6.7 2.6

14. 情報収集のためのアカウント(メディア、企業など) 5.8 4.2 2.4

昨日から 7 日前までの 1 週間におけるツィート、リツィート合計数(ない場合には、「0」を

記入) 17.6 9.9 15.8

問 11-1 ツィッターのアカウント、LINE、さらに、それ以外でよく利用する SNS やメッセージング・チャットアプリ

(facebook、mixi、pixiv など)があれば、それを具体的に記入した上で、次のような情報をプロフィールに載せて

いるかどうかを教えてください。1~16 の項目で、「本当の情報を載せている」場合には、「真情報」、「ウソの、架

空の情報を載せている」場合には、「偽情報」の記号にそれぞれ○をつけてください。アカウントがない、あては

まるものがない(情報を載せていない、利用していない)場合には、○をつける必要はありません。

ツィッター LINE(N=245)

その他 SNS

(N=117)

第 1(N=223) 第 2(N=137) 第 3(N=67) 具体名記入

真情報 偽情報 真情報 偽情報 真情報 偽情報 真情報 偽情報 真情報 偽情報

1. あなたの本名 56.1% 18.4% 16.1% 39.4% 20.9% 32.8% 89.8% 3.3% 80.3% 7.7%

2. 普段呼ばれているあだ名 56.1% 8.1% 22.6% 17.5% 19.4% 20.9% 37.1% 4.9% 31.6% 9.4%

3. 自宅の住所(市区町村またはそ

れ以上詳しく) 9.0% 15.7% 4.4% 16.1% 3.0% 16.4% 9.4% 11.4% 28.2% 11.1%

4. 年齢・生まれた年 41.7% 8.1% 19.7% 12.4% 17.9% 13.4% 18.4% 8.6% 65.0% 4.3%

5. 性別 44.4% 4.0% 21.2% 9.5% 20.9% 11.9% 33.1% 4.9% 68.4% 2.6%

6. 電話番号(携帯系端末) 10.3% 11.2% 7.3% 10.9% 4.5% 14.9% 23.3% 7.8% 20.5% 11.1%

7. Eメールのアドレス 13.0% 11.7% 7.3% 11.7% 4.5% 14.9% 16.3% 8.6% 14.5% 12.0%

8. あなたの顔写真 55.2% 11.7% 12.4% 19.7% 10.4% 20.9% 58.4% 7.3% 70.1% 5.1%

9. 家族の紹介 8.1% 13.9% 2.9% 14.6% 1.5% 17.9% 7.3% 11.8% 15.4% 13.7%

10. 在学校名 62.3% 3.6% 13.1% 12.4% 16.4% 14.9% 14.3% 9.0% 59.0% 4.3%

11. 母校(幼稚園から高校どれでも) 48.0% 8.1% 8.0% 13.9% 10.4% 16.4% 9.4% 11.0% 57.3% 5.1%

12. あなたの趣味 45.7% 5.4% 40.9% 8.8% 31.3% 13.4% 16.3% 9.0% 36.8% 5.1%

13. 所属サークル、同好会、グループ 65.0% 3.6% 16.1% 12.4% 16.4% 13.4% 15.9% 9.4% 43.6% 6.8%

14. 日記 9.4% 13.0% 5.1% 11.7% 6.0% 16.4% 5.7% 11.8% 9.4% 12.8%

15. 付き合いステータス 6.7% 13.0% 4.4% 13.1% 6.0% 16.4% 5.7% 12.2% 9.4% 12.8%

16. 別アカウント ID 10.3% 11.7% 5.1% 13.1% 7.5% 16.4% 5.3% 11.8% 8.5% 12.0%

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立教大学社会学部メディア社会学科

160

問 11-2 あなたがよく利用している SNS、メッセージングを選択(あるいは名称記入)し、1 日あたりの平均アクセス

回数を、A~F の中から一つ選んで○をつけてください。スマホ等でたえずアクセスされる方は、おおよその感覚

でかまいません。複数ご利用の方は、最もよく利用するサービスから順にご回答ください。

SNS、メッセージングサービス名

(LINE、twitter、facebook の場合はその部

分に○、「その他」の場合には、( )内

に具体名を記入下さい)

1 日あたりのアクセス回数

100 回

以上

99~50

49~20

19~10

9~1

1 回未

最 も よ く

利用

LINE81.8%・ twitter16.2%・ facebook0%

その他 2%(pixiv20%カカオトーク 80%) 17.4% 22.3% 35.6% 17.0% 6.5% 1.2%

2 番目

LINE17.8%・ twitter74.3%・ facebook4.8%

その他 3.0% (google+14.3%,

snapchat14.3%, Instagram71.4%)

4.8% 14.3% 30.0% 30.4% 17.8% 2.6%

3 番目 LINE2.0%・twitter5.4%・facebook61.7%

その他 30.9% 3.9% 8.6% 7.9% 16.4% 46.1% 17.1%

【問 12 は、LINE の利用についてうかがいます。LINE を利用されていない方は、問 13 にお進み下さい】 問 12-1 LINE での友だちの数とその内訳について、下の表を用いて答えて下さい。また、該当する人がいなけれ

ば、「0」と記入してください。(数えるときに、一人の人が、複数の分類にあてはまる場合は、それぞれでカウン

トしてください(例:バイト関係で、普段よく会う友人は、それぞれでカウント)。)

LINE での友だ

263.3 人

(N=243)

その内

家族、親類 4.82 人

普段よく会う友人・知人 95.4 人

ほとんど会う機会がない友人・知人 128.8 人

仕事・バイト関係 12.9 人

外国人の知人・友人 1.71 人

オンラインで知り合い、オンラインのみで知っている友人・知人 2.91 人

オンラインで知り合い、実際に会ってみたことのある友人・知人 2.38 人

問 12-2 LINE の「トーク」、「音声通話(無料通話)」、「グループ」について、それぞれどの程度利用されているの

かを、下の表を用いて教えて下さい。いずれも正確な数字がわからない場合には、おおよそでかまいません。

N=247

トーク、音声、グループそれぞれについて、利用してない場合

には右欄の「利用してない」に○をつけて、その機能について

のそれ以下の質問に答える必要はありません

トーク 音声通話(ビデ

オ通話を含む) グループ

97.8% 67.2% 98.8%

(トーク・音声)日常的にやりとりする相手の数

(グループ)日常的に利用するグループ数 11.9 人 1.5 人 7.3 コ

(トーク・音声)過去 1 週間(7 日間)でやりとりした相手の数

(グループ)過去 1 週間(7 日間)で書込みしたグループの数 20.6 人 2.0 人 7.9 コ

過去 1 週間(7 日

間)を振り返って、 1 日あたりのだいた

いの平均値

あなたが発信したメッセージ(通話)数 98.3 通 1.9 通 26.2 通

あなたが受信したメッセージ(通話)数 126.2 通 2.2 通 116.4 通

あなたがアップした写真の数 6.5 枚 3.8 枚

タイムラインで「いいね」をした数 1.4 回 0.4 回

利用時間 223.2 分くらい 38.6 分くらい 96.4 分くらい

過去 1 ヶ月で自分が作ったグループの数 1.1 コ

過去 1 ヶ月で自分が参加したグループ(自分が作ったものも含め)の数 4.1 コ

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

161

問 12-3 LINE の使い方について伺います。以下の使い方に関して、「している」、「かつてあるが今はない」「した

ことはない」の中から、あてはまるものを一つ選び、数字に○をつけてください。

している

か つ て し

た こ と は

あ る が 今

はない

こ れ ま で

したことは

ない

1. タイムラインの公開範囲を制限している 63.2% 1.6% 35.2%

2. LINE@のアカウントからの情報を受け取っている 30.4% 17.0% 52.6%

3. パスコードをオンにする 32.4% 14.2% 53.4%

4. 特定の友だちをブロックする 48.6% 13.8% 37.7%

5. 他のユーザーの友だちリストに自動的に追加されないよう設定する 45.3% 7.3% 47.4%

6. 「友だちの自動追加」をオフにする 49.0% 8.5% 42.5%

7. 「既読」にならないようにメッセージを読む 66.0% 15.4% 18.6%

8. 有料のスタンプを買う 55.9% 13.0% 31.2%

9. LINE をフェイスブックと連携する設定をしている 8.5% 4.0% 87.4%

10. プロフィールの画像を自分の顔写真(誰かがわかる)にする 59.5% 16.6% 23.9%

11. LINE OUT(電話)(有料)を利用する 1.2% 1.6% 97.2%

問 13 あなたは SNS やブログで「日記」を書いていますか?1~7 の中で、あてはまるものに一つ○をつけ、1~4 に

○の人は、付問にも答えてください。(N=243)

1. 日に 1 回以上 0.4% 2. 週に数回程度 2.1%

3. 月に 2、3 回程度 2.1% 4. 月に 1 回以下 0.8%

5. 以前は結構書いていたが今は書いていない 19.8%

6. ほとんど書いたことがない 18.9% 7. まったく書いたことがない 56.0%

<付問>1~4 に○の人は、日記を書いている SNS、ブログの名称を教えてください。( )内の数値は回答者数

Facebook (1), JIMDO (1), Tumblr (2), twitter (2) アメブロ (4), ニコニコ,ブロマガ (1)

問 14 あなたは、下の表にあるようなジャンルのコンテンツを、テレビ番組(地上波、衛星、ケーブルを問わず、

また、リアルタイム視聴、録画視聴も問わない)で、または、ネットの動画サイトや配信・ストリーミングサービス

で、どの程度視聴しますか?それぞれ、1~5、A~E の中から、最もよくあてはまる記号を一つずつ選択し、

○をつけてください。

テレビを見ない (9.3%、N=23) N テレビ番組

ほぼ毎日 週数回 月数回 月 1 以下 全く見ない

1. ニュース・報道・情報番組 227 66.5% 23.8% 5.3% 1.8% 2.6%

2. スポーツ 224 16.5% 28.1% 21.9% 16.1% 17.4%

3. ドラマ 227 5.7% 40.1% 25.1% 9.7% 19.4%

4. アニメ・グラフィクス 226 8.9% 14.6% 17.7% 13.7% 45.1%

5. ゲーム 225 0.9% 3.6% 8.9% 10.2% 76.4%

6. バラエティ・お笑い 227 13.2% 45.4% 21.6% 7.9% 11.9%

7. 音楽 226 3.1% 30.5% 35.0% 12.0% 19.5%

8. 映画 225 0.0% 17.8% 36.0% 30.7% 15.6%

9. 旅行・グルメ 225 1.3% 11.1% 26.7% 24.9% 36.0%

10. 趣味・教養 225 4.9% 9.8% 24.9% 18.7% 41.8%

11. ショッピング、商品情報 225 0.4% 2.7% 9.8% 20.0% 67.1%

12. 健康・医療関係 225 0.9% 1.8% 9.8% 17.3% 70.2%

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立教大学社会学部メディア社会学科

162

ネット動画配信を見ない (22.7%,

N=55) N

ネットの動画サイト、動画配信・ストリーミングサービス

ほぼ毎日 週数回 月数回 月 1 以下 全く見ない

1. ニュース・報道・情報番組 186 8.6% 8.6% 9.1% 10.2% 63.4%

2. スポーツ 187 4.8% 15.5% 13.4% 8.6% 57.8%

3. ドラマ 187 1.1% 13.4% 22.5% 16.6% 46.5%

4. アニメ・グラフィクス 187 9.1% 22.5% 18.2% 10.7% 39.6%

5. ゲーム 185 11.4% 8.7% 6.5% 6.5% 67.0%

6. バラエティ・お笑い 186 4.3% 15.0% 29.4% 13.4% 37.4%

7. 音楽 190 23.7% 34.2% 16.8% 6.3% 19.0%

8. 映画 185 3.2% 11.4% 21.6% 22.7% 41.1%

9. 旅行・グルメ 187 1.1% 1.1% 6.4% 15.0% 76.5%

10. 趣味・教養 187 8.0% 12.8% 10.2% 8.0% 61.0%

11. ショッピング、商品情報 187 1.6% 2.7% 4.8% 9.1% 81.8%

12. 健康・医療関係 187 0.0% 1.1% 1.6% 11.8% 85.6%

13. 実況動画 187 10.7% 8.6% 9.6% 15.5% 55.6%

14. 二次創作、MAD 動画(*注) 189 6.4% 11.6% 16.4% 6.9% 58.7%

(*注)二次創作、MAD 動画:既存動画を編集し、主にパロディとして再構成した動画)

問 15 下の表にある A~G のメディアの情報について、その重要性や信頼性の観点から、それぞれ 1 位~7 位の順

位付けをし、空欄に 1~7 の数字をそれぞれ記入して、回答してください。例えば、「娯楽源としての重要性」で、

テレビが 1 位であれば当該空欄に「1」、ラジオが 6 位であれば当該空欄に「6」といった形で記入をお願

いします。

A ソーシャル

メディア(SNS、チャッ

ト・メッセー

ジ、動画共

有)(利用機

器問わず)

B ソーシャル

メディア利

用以外のイ

ンターネッ

ト(利用機器

は問わず)

C テレビ

D 新聞

E 雑誌

F ラジ

G 書籍

(例:娯楽源としての重要性) 1 3 2 6 4 7 5

娯楽源としての重要性 1.7 2.9 2.5 6.1 4.3 6.0 4.6

勉強、仕事上の情報源としての重要

性 4.0 2.9 3.7 3.0 5.1 6.2 3.2

いち早く世の中のできごとや動きを知

るための重要性 1.9 2.4 2.7 4.0 5.5 5.0 6.5

さほど関心がない情報を得るメディア

としての重要性 2.7 2.9 2.7 4.4 4.5 5.1 5.6

メディアの情報の信頼性 5.9 5.0 3.0 2.0 4.6 4.5 2.9

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

163

問 16 あなたは、以下のような映像サービスにアクセスし、視聴していますか?「A」~「G」のうち、あてはまるものに一

つずつ○をつけて下さい。 N=247

アクセス/視聴する 以前アク

セス/視

聴してい

たがいま

はしてい

ない

ア ク セ

ス / 視

聴 し た

こ と が

ない

日に

2、3 回

以上

日に 1

回 週に 3

~5 回

月に 3

~6 回

月 1、2

回かそ

れ以下

地上波放送 58.3% 20.7% 10.1% 3.2% 2.0% 2.8% 2.8%

BS 放送(無料) 8.1% 6.1% 10.1% 12.6% 23.1% 16.2% 23.9%

BS 放送(有料) 1.6% 1.2% 2.8% 2.0% 8.5% 16.6% 67.2%

CS 放送(無料) 0.8% 1.6% 2.8% 4.1% 16.6% 20.2% 53.9%

CS 放送(有料) 0.0% 1.2% 1.2% 2.0% 6.5% 16.6% 72.5%

ケーブルテレビ 0.8% 2.0% 2.4% 4.1% 8.5% 18.2% 64.0%

ひかり TV 0.0% 0.0% 0.4% 0.4% 5.3% 9.3% 84.6%

有料オンライン動画配信サービス(ニコ動プレミ

アム・hulu・U-NEXT・Amazon ビデオなど) 4.5% 2.4% 1.6% 2.4% 3.6% 8.5% 76.9%

有料スマホ向け動画配信サービス(NOTTV、

BeeTV、d ビデオ、au ビデオパスなど) 0.0% 0.4% 1.2% 0.4% 3.2% 10.5% 84.2%

Chromecast(クロームキャスト)、Fire TV Stick など

の機器を利用したテレビでの動画視聴 0.0% 0.4% 0.4% 0.0% 2.8% 5.3% 91.1%

問 17 次の表にあるメディアでは、あなたが商品・サービスに対して、興味を持つきっかけとなる、買おう

と思う気にさせる広告・宣伝に触れる機会がどの程度あると思いますか?それぞれのメディアに関して、

商品・サービス購入のきっかけとなる影響力の強さを、「とても強い」~「まったくない」の中から、一

つずつ選び、記号に○をつけてください。

N

とても

強い 強い

まあ強

あまり

強くな

弱い まった

くない

1. TV コマーシャル 246 22.4% 26.0% 28.9% 15.0% 6.1% 1.6%

2. TV 番組内での宣伝(例えば情報番組内での

「この夏流行のスイーツ特集」など) 247 26.7% 21.5% 29.6% 12.1% 7.3% 2.8%

3. 紙媒体(雑誌、チラシ、新聞も含む) 247 9.7% 24.3% 32.8% 22.3% 7.7% 3.2%

4. インターネット上の広告・宣伝、メールマガジン 246 11.0% 16.7% 24.0% 27.6% 10.2% 10.6%

5. Amazon、楽天、価格.com などの電子商取引サ

イト 247 6.9% 16.2% 27.1% 24.7% 15.8% 9.3%

6. 交通機関における広告(車内の広告、駅の

ポスターなど) 247 4.0% 9.3% 29.6% 31.2% 20.2% 5.7%

7. 交通機関以外の屋外広告(ビルの看板、街

頭ビジョン、街のポスターなど) 247 1.2% 8.9% 23.5% 38.1% 19.4% 8.9%

8. 友人や家族などによる口コミ(対面での会話) 246 32.5% 39.4% 17.9% 6.5% 2.8% 0.8%

9. 友人や家族などによる口コミ(LINE、チャット、ブ

ログ、ツィートなどのオンラインでの口コミ) 247 26.7% 32.4% 20.6% 12.6% 4.9% 2.8%

10. Twitter(企業・公式アカウントのもの) 245 11.4% 24.5% 27.3% 14.3% 11.8% 10.6%

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立教大学社会学部メディア社会学科

164

問 18 あなたは、次のコンテンツに対して、ここ 1 年くらいで考えて、1 ヶ月あたり平均どの程度の支出を

していますか。それぞれのコンテンツで、0~7 の中から もあてはまるものを1つずつ選んで○をつけ

てください。N=247 利 用

なし 無 料

のみ

1 ~500円

501~1000円

1001~ 3000円

3001~ 5000円

5001~ 1 万

1 万

円 以上

1. 映像コンテンツの DVD・ブルーレイ購入・レンタル 33.6% 8.5% 21.9% 16.6% 9.7% 4.9% 2.4% 2.4%

2. 映像オンラインコンテンツの購入・レンタル 64.0% 19.4% 8.1% 6.1% 1.2% 0.4% 0.4% 0.4%

3. 映画館での映画鑑賞 20.8% 0.8% 11.4% 13.5% 40.0% 9.0% 3.3% 1.2%

4. 音楽コンテンツの CD・DVD・ブルーレイ購入・レ

ンタル 40.2% 8.1% 8.5% 13.0% 16.7% 6.9% 2.4% 4.1%

5. 音楽のダウンロード購入 62.4% 18.6% 11.7% 2.4% 2.8% 0.8% 0.0% 1.2%

6. 本 (小説・漫画・雑誌など/教材・実用書は除く)(新品・中古問わず)

19.4% 2.0% 11.3% 21.5% 25.5% 10.5% 3.6% 6.1%

7. 電子書籍(小説・漫画・雑誌など/教材・実用書は

除く) 82.5% 9.8% 3.3% 1.2% 1.2% 1.6% 0.0% 0.4%

8. ゲームソフトの購入・ダウンロード、DLC(ダウンロ

ードコンテンツ) 69.2% 9.3% 5.7% 2.8% 4.9% 3.2% 2.8% 2.0%

9. ゲーム内通貨の購入 82.2% 7.7% 4.5% 2.0% 2.0% 0.8% 0.4% 0.4%

問 19 あなたは、以下のテレビに関する好みや態度について、どのくらいあてはまりますか。最も適切なものを、A~D の中か

ら、それぞれ1つ選び、記号に○をつけてください。

あては

まる

ま あ あ

て は ま

あ ま り

あ ては

ま ら な

あ ては

ま ら な

1. 社会や人の生き方を考えさせられるものなど、深い内容のあるテレビ番組が好きだ 29.0% 40.4% 23.7% 6.9%

2. TVドラマなどの主人公や登場人物に対し、感情移入して作品を楽しむ方だ 38.2% 32.9% 21.1% 7.7%

3. 悲しいTVドラマで泣くことがある 38.4% 29.4% 15.9% 16.3%

4. 気に入ったTVドラマや映画は市販のソフトで購入してそろえたい 4.9% 13.8% 28.5% 52.8%

5. 「ハッピーエンドで分かりやすい恋愛ドラマ」が好きだ 19.5% 28.9% 28.5% 23.2%

6. 非日常的なストーリーのTVドラマや小説にひかれる 37.9% 35.0% 19.3% 7.8%

7. テレビのニュース番組で知ったニュースに関して、その後の状況について最新動向

をネットでチェックすることがある 26.0% 45.9% 19.1% 8.9%

8. ネットで知った出来事に関して、その後の状況をテレビでチェックすることがある 25.6% 39.8% 21.5% 13.0%

9. 動物の出ている番組やコマーシャルには自然と目がいってしまう方だ 15.4% 22.8% 35.0% 26.8%

10. テレビの番組を、はじめから放送されるままに順番どおりに見ているとじれったい 15.2% 23.0% 38.9% 23.0%

9. SNS やチャットで書き込む場合に、「テレビ番組に関連すること」を書き込んだり、投

稿したりすることがよくある 18.8% 30.2% 21.6% 29.4%

10. SNS やチャットで他の人が「テレビ番組に関連すること」を書き込んだり投稿したりし

ているのを見たのがきっかけで、その番組を自分でも視聴することがよくある 22.4% 39.8% 22.4% 15.4%

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

165

問 20 買い物や商品の選び方などについてお聞きします。あなたは、以下の項目について、どのくらいあてはまりますか。

もっとも近いものに、それぞれ1つずつ○をつけてください。

あては

まる

ま あ あ

て は ま

あ ま り

あ ては

ま ら な

あ ては

ま ら な

1. 商品を選ぶ際に、機能、性能、品質、製法、効能などは注目して見る方だ 62.2% 32.5% 4.1% 1.2%

2. 商品の持っているブランドイメージを重視する方だ 33.5% 38.4% 24.9% 3.3%

3. 同じ商品でも、少しでも安く買える店があるなら、そのような店をわざわざ探すの

も苦にならない 29.7% 39.8% 23.6% 6.9%

4. 新商品は、自分では気になっていても周りの人がまだ買い始めて(使い始めて)

いないと購入に踏み切れない方だ 8.5% 22.0% 47.6% 22.0%

5. 価格は少し高いが素材や製法にこだわって作られた商品にひかれる方だ 29.7% 41.9% 22.4% 6.1%

6. 広告では、自分の好きなタレントが推奨していると注目してしまう方だ 24.1% 26.9% 25.3% 23.7%

7. 「今月が誕生日のあなたへ」「○○の選択に迷ってるあなたへ」など、自分だけに

特別に語りかけられるような情報にひかれる方だ 7.7% 16.3% 38.2% 37.8%

8. 商品を選ぶ際に、いろいろなバリエーションが用意されていること(色やデザイン

のタイプなど)は重要だ 34.7% 43.7% 18.4% 3.3%

9. 商品やメーカーの社会貢献性を伝えている広告を見ると、買いたくなる方だ 3.7% 14.6% 52.4% 29.3%

10. 「○○が当たる!」など、“キャンペーン実施中”のフレーズを聞くと興味を引かれ

る方だ 6.9% 23.7% 32.7% 36.7%

11. 同じ商品でも、少し先まで待てば価格が安くなると知っていたら、今買わずに待

つ方だ 27.6% 38.6% 24.0% 9.8%

12. アニメのキャラクターとのコラボによる特別仕様の製品(例:ディズニー携帯など)

には、気を引かれる方だ 8.9% 28.0% 28.5% 34.6%

問 21、22 は、さまざまな考え方や価値観についてうかがいます。 問 21-1 次の意見について、あなたご自身はどう思われますか。あなたの気持ちに最も近いものを、A~D の中か

ら、それぞれ1つ選び、記号に○をつけてください。

同 意 す

ま あ 同

意する

あまり同

意 し な

同 意 し

ない

1. ほとんどの人は基本的に善良で親切である。 11.3% 57.5% 24.7% 6.5%

2. 私は、他人を信頼するほうである。 20.2% 48.2% 26.3% 5.3%

3. 人々はふつう、口で言っているほどには、他人を信頼していない 30.8% 48.6% 18.2% 2.4%

4. 人を助ければ、今度は自分が困っている時に誰かが助けてくれる 18.6% 49.4% 27.1% 4.9%

5. 新しいことに対して、少しでも不安を感じる場合にはかかわらないほうが

賢明である 10.5% 34.8% 47.0% 7.7%

6. 実際に体験していなくても、情報として知っていれば十分だと思う 10.6% 33.7% 42.3% 13.4%

7. いろいろな情報は、記憶していなくてもインターネットで探しだせれば十

分だ 10.9% 30.0% 43.3% 15.8%

8. 言葉よりも、絵や映像のほうが効果的に情報を得ることができる 30.4% 45.7% 17.8% 6.1%

9. ことばより、絵や映像の方が自分の気持ちをうまく表現できる 8.1% 25.9% 48.2% 17.8%

10. 生活に困っている人たちには、社会が手をさしのべるべきだ 23.1% 59.9% 14.6% 2.4%

11. 競争なしによい社会を築くことはできないと思う 36.0% 48.2% 15.4% 0.4%

12. コツコツ努力しても報われない社会だと思う 13.8% 39.4% 42.3% 4.5%

13. 所得をもっと平等にすべきだ 7.3% 28.0% 49.2% 15.4%

14. 個人の努力を促すために、所得格差をもっとつけるべきだ 2.0% 22.4% 56.1% 19.5%

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立教大学社会学部メディア社会学科

166

問 21-2 次の各項目について、あなたはどの程度あてはまりますか?最も適切なものを、A~D の中から、それぞれ

1つ選び、記号に○をつけてください。

あ て は

まる

ま あ あ

て は ま

あまりあ

て は ま

らない

あ て は

ま ら な

1. 仕事あるいは学業で、神経質になったり、緊張を感じることがよくある 41.3% 39.3% 16.2% 3.2%

2. 自分は悩みがちだと思う 40.1% 31.6% 20.2% 8.1%

3. 人生に不確実、予測不可能なことはつきものだが、直面したらどうしようと

絶えず不安に感じる 24.7% 38.5% 28.7% 8.1%

4. 最近は情報が多すぎて負担に感じる 23.5% 32.0% 36.8% 7.7%

5. 自分の意見や気持ちを文字で発信することに喜びを感じる 13.0% 30.8% 41.7% 14.6%

6. 関心ある情報は多少苦労しても自分であれこれ探すのが好きだ 32.0% 46.2% 17.0% 4.9%

7. 情報を集める自分なりの方法を持っている 22.3% 35.6% 36.0% 6.1%

8. たくさんある情報の中から、自分の必要とする情報を取捨選択できる 24.3% 51.0% 21.1% 3.6%

9. 他人とのやりとりや仕事でのやりとりで、必要なことをきちんと相手に伝え

られる 21.1% 47.4% 27.5% 4.0%

10. 皆でいろいろな意見を出し合いながら、新しいことを生み出すのが好き

だ 27.9% 43.7% 22.7% 5.7%

問 22 次の各項目について、あなたはどの程度あてはまりますか?最も適切なものを、A~D の中から、それぞれ1つ

選び、記号に○をつけてください。

あ て は

まる

ま あ あ

て は ま

あまりあ

て は ま

らない

あ て は

ま ら な

1. 自分は「○○オタク」といえるほどの趣味がある 31.4% 20.4% 26.5% 21.6%

2. インドア派というよりアウトドア派だ 23.3% 25.7% 37.1% 13.9%

3. 友人や家族と話すよりもインターネットを利用しているほうが楽しい 2.9% 12.3% 52.5% 32.4%

4. オンライン上(インターネット、携帯電話、スマホ)だけの付き合いでも、オ

フラインの友だちと同じくらいの友だちといえる 4.5% 9.4% 28.3% 57.8%

5. 私は、ネットいじめを受けたことがある 1.6% 3.7% 9.4% 85.3%

6. 私の友人にネットいじめを受けたことがある人がいる 5.3% 11.0% 13.5% 70.2%

7. 私は今の生活にとても満足している 21.6% 49.0% 23.7% 5.7%

8. 私は、保守かリベラルかといわれれば、保守である。 25.0% 38.1% 25.8% 11.1%

9. 私は、保守かリベラルかといわれれば、リベラルである。 10.6% 29.0% 34.3% 26.1%

10. 自分が面白いと思うことは、人が何と言おうと気にならない 30.2% 39.2% 28.2% 2.4%

11. 他人が自分をどう思っているかいつも気になる 28.6% 42.9% 23.3% 5.3%

12. 知らない人とでも、すぐに会話が始められる 15.6% 33.6% 37.3% 13.5%

13. リスクがあっても新しいことに果敢に挑戦することが好きだ 15.6% 31.6% 45.1% 7.8%

14. 私はこれまでの人生の中で、こうしたいと思った重要なことは成し遂げて

きた 15.1% 38.8% 35.9% 10.2%

15. 国、民族の違う人とは、うまくつきあえない 4.5% 24.1% 45.7% 25.7%

16. できるだけ自分の育ったところからは離れたくない 16.3% 33.5% 29.0% 21.2%

17. 他の国、民族の人たちと仲良しだ(仲良くなりたい) 22.4% 46.1% 24.9% 6.5%

18. 海外経験が豊富だ(豊富になりたい) 24.2% 31.6% 23.4% 20.9%

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167

問 23 あなたは、次のような日本社会、日本人に関する意見についてどう思いますか。最もよくあてはまる選択肢

の番号に、それぞれ一つ○をつけて下さい。

そう思う まあ

そう思う

あまり

そう思

わない

そう思

わない

1. 犯罪を取り締まるために、プライバシーが多少制限されても、監視カメラを増

やすべきだ 16.3% 43.3% 34.3% 6.1%

2. 子どもたちにもっと愛国心や国民の責務について教えるように、戦後の教育

を見直さなければならない 12.7% 32.7% 39.6% 15.1%

3. 市民の間で、もっと政治的な議論を活発にした方がいい 22.0% 53.5% 21.6% 2.9%

4. 第二次大戦における日本の行為は常に反省する必要がある 14.3% 44.9% 33.5% 7.3%

5. 日本に合法的に移住した外国人は、日本人と同じ権利を持つべきだ 23.3% 52.7% 19.6% 4.5%

6. 不法滞在している外国人を、日本政府はもっと厳しく取り締まるべきだ 20.0% 51.0% 26.5% 2.4%

7. 日本のマスコミの情報は偏っていて信用できない 22.0% 54.3% 22.4% 1.2%

8. 日本人であることに誇りを感じる 35.0% 47.3% 14.4% 3.3%

9. 日本は、もっと、自分のことは自分で面倒をみる、個人が責任を持つ社会に

なるべきだ 22.8% 45.9% 29.7% 1.6%

10. 日本人なら、スポーツの国際試合で日本チーム、日本選手だけに声援をお

くるのは当然だ 6.5% 23.6% 51.6% 18.3%

11. 国旗・国家を教育の場で教えるのは当然である 17.2% 49.6% 28.3% 4.9%

12. 日本人は、日本の伝統的文化・価値観を尊重し、それにのっとった生活を

するべきだ 10.2% 35.0% 47.6% 7.3%

13. 文化は時代とともに移り変わるもので、伝統的文化・価値観にこだわらない 23.7% 49.4% 24.1% 2.9%

14. 第二次大戦における日本の行為に関して、孫の世代、ひ孫の世代が、謝罪

を続ける必要はない 35.5% 42.9% 18.8% 2.9%

15. 第二次大戦における日本の行為に関して、いつまでも謝罪を求める国は行

き過ぎだ 35.1% 49.0% 13.5% 2.4%

16. 日本はもっと国際貢献をすべきだ 15.9% 51.0% 29.8% 3.3%

17. 日本はもっと信賞必罰、因果応報が徹底する社会になるべきだ 7.7% 37.0% 48.8% 6.5%

18. 少年法の適用年齢はできる限り引き下げるべきだ 27.1% 35.6% 30.8% 5.7%

19. ほとんどの政治家は、自分の得になることだけを考えて政治にかかわってい

る 32.4% 50.2% 15.8% 1.2%

20. 国民の意見や希望は、国の政治にほとんど反映されない 33.6% 47.4% 17.0% 1.2%

21. どの政党が政権を担っても大きな違いはない 39.3% 33.6% 21.5% 5.3%

22. 国・社会の規制やルールは最低限にし、市場原理をもっと徹底させ、個人の

自由に任せる社会が最善だ 10.9% 36.8% 45.7% 5.7%

23. 人々の暮らし向きは、だんだんと悪くなってきている 6.5% 33.2% 55.5% 4.0%

24. 日本社会の治安は徐々に悪化している 6.9% 29.1% 54.7% 8.9%

25. 我々はつねに国産ブランドの製品を優先的に考慮すべきである 9.3% 42.5% 42.1% 5.3%

26. 異なる民族的・文化的背景をもつと積極的に関わりたい 26.7% 51.0% 17.0% 4.9%

27. 様々な民族的・文化的背景をもつ人々で構成される多文化社会になること

が望ましい 17.8% 52.2% 25.5% 4.0%

28. 生まれ変わっても、日本人に生まれたい 51.4% 29.1% 13.8% 4.9%

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立教大学社会学部メディア社会学科

168

問 24 あなたは、次にあげる国・地域について、親しみを感じますか?それぞれについて、最もよくあてはまる選択肢

の番号に、それぞれ一つ○をつけて下さい。 N=246

かなり

感じる

まあ感

じる

あまり

感じな

まったく

感じな

かなり

感じる

まあ感

じる

あまり

感じな

まったく

感じな

1. アメリカ 28.0% 59.8% 10.2% 2.0% 2. ベトナム 0.8% 9.8% 56.9% 32.5%

3. イギリス 6.5% 32.9% 44.3% 16.3% 4. タイ 7.3% 39.0% 37.0% 16.7%

5. フランス 11.8% 43.5% 36.6% 8.1% 6. インド 1.2% 8.1% 49.2% 41.1%

7. フィンランド 8.1% 30.5% 45.5% 15.9% 8. イラン 18.7% 41.1% 29.7% 10.6%

9. 中国 8.5% 35.4% 42.3% 13.8% 10. イスラエル 9.3% 39.8% 35.0% 15.9%

11. 台湾 5.3% 26.8% 50.8% 17.1% 12. オーストラリア 15.0% 45.1% 26.8% 13.0%

13. 韓国 4.9% 20.7% 45.5% 28.9% 14. ブラジル 4.1% 30.1% 43.5% 22.4%

問 25 ある人の行為が倫理的に正しいか間違っているかを判断するときに、次のような判断材料はあなたの考え方

にどの程度関係しますか。「全く関係がない(正誤の判断に全く無関係)」~「きわめて関係がある(正誤の判断

に最も重要なものの一つ)」で、最も適切な選択肢を、それぞれ一つ選び、記号に○をつけてください。N=247

全く関

係がな

あまり

関係が

ない

わずか

に関係

がある

ある程

度関係

がある

とても

関係が

ある

きわめ

て関係

がある

1. 誰かが感情面・精神面で苦痛を受けたかどうか 0.4% 3.6% 8.9% 34.8% 32.8% 19.4%

2. 一部の人々が他の人々とは違う扱いを受けたかどうか 0.4% 5.7% 8.1% 36.0% 39.3% 10・5%

3. 行動がその人の属する国への愛に基づいていたかどうか 8.9% 38.9% 24.3% 20.6% 5.7% 0.8%

4. 権威への尊重を欠いていたかどうか 3.6% 24.3% 20.6% 30.8% 16.6% 3.2%

5. 清廉さや礼儀・品位の基準に反していたかどうか 0.4% 7.3% 19.4% 39.7% 25.1% 7.3%

6. 弱い人や傷つきやすい人に対する配慮があったかどうか 0.8% 6.1% 14.2% 37.2% 29.1% 11.7%

7. 不公平な行動をとっていたかどうか 0.0% 3.6% 6.1% 26.7% 42.1% 19.4%

8. 自分の所属する集団を裏切るような行為をしたかどうか 2.0% 9.3% 18.2% 40.9% 22.7% 6.5%

9. 社会の伝統に従っていたかどうか 6.5% 25.9% 28.7% 25.9% 9.7% 2.8%

10. きわめて不快で、人の気持ちを逆撫でするようなことをしたか

どうか 0.4% 6.1% 11.3% 25.5% 33.2% 23.5%

11. その人が残忍・冷酷・無慈悲であったかどうか 0.4% 7.7% 10.5% 27.5% 32.4% 21.5%

12. 与えられるべき権利を与えられない人がいたかどうか 0.4% 4.0% 8.9% 27.9% 34.4% 24.3%

13. 行動が忠誠心にかけていたかどうか 2.4% 21.5% 25.1% 28.7% 17.4% 4.5%

14. 行動によって、無秩序や混乱が生じたかどうか 1.2% 4.9% 15.0% 32.8% 31.6% 14.2%

15. 神であれば許さないような行動をしたかどうか 23.5% 34.0% 19.8% 14.2% 5.7% 2.4%

16. 私有財産が尊重されていたかどうか 6.5% 13.4% 34.0% 30.0% 13.0% 3.2%

17. 誰もが自由にしたいことができたかどうか 2.4% 13.0% 25.5% 38.9% 15.0% 5.3%

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

169

問 26 あなたは、次のような道徳、価値観に関する意見についてどう思いますか。最もよくあてはまる選択肢の番号

に、それぞれ一つ○をつけて下さい。 N=247

全く同

意しな

まあ同

意しな

さほど

同意し

ない

ある程

度同意

する

まあ同

意する

強く同

意する

1. 苦しんでいる人・困っている人への思いやり・慈しむ心は何よ

りも重要な美徳である 1.2% 4.5% 10.9% 37.7% 31.2% 14.6%

2. 政府が法律を作る際、第一に重視されるべき原則は、全ての

人が公平に扱われることを保障することだ 1.2% 3.2% 12.6% 39.7% 32.8% 10.5%

3. 私は、自分の国の歴史を誇りに思う 2.4% 6.9% 34.8% 34.4% 16.2% 5.3%

4. 子供たちは皆、権威尊重の大切さを教わる必要がある 4.0% 6.9% 26.3% 34.4% 21.9% 6.5%

5. たとえ誰も傷つかないとしても、きわめて不快で、人の気持ち

を逆撫でするような行動をとるべきではない。 2.0% 1.6% 6.9% 22.7% 41.7% 25.1%

6. 無防備な動物を傷つける事は、人間として最悪の行動の一

つだ 1.2% 3.6% 4.5% 21.5% 31.6% 37.7%

7. 正義とは、社会にとって必要とされる最も重要なものだ 2.0% 2.8% 17.4% 43.3% 27.5% 6.9%

8. たとえ家族が間違ったことをしたとしても、人は家族に忠実で

あるべきだ 15.0% 15.8% 30.8% 19.0% 14.6% 4.5%

9. 男性と女性には、それぞれ社会の中で果たすべき異なる役

割がある 6.5% 8.9% 24.3% 34.0% 19.0% 6.9%

10. 自然の摂理に反するような行為は間違っている 2.4% 4.5% 17.0% 42.9% 24.3% 8.5%

11. 人間を殺すことは、どのような状況においても正当化できない 4.5% 4.5% 10.1% 20.6% 24.3% 36.0%

12. 裕福な家庭に生まれた子が、多額の相続をし、貧乏な家庭

の子は何も相続しないというのは、道徳的に誤っている 6.9% 9.3% 38.1% 30.8% 10.1% 4.5%

13. 自己表現して目立つよりも、チームの一員として振る舞う方が

大切だ 2.8% 10.1% 22.3% 40.9% 17.4% 6.5%

14. もし私が軍人だったなら、たとえ上官の命令に納得がいかな

くとも、義務である以上、その命令に従う 5.7% 8.5% 23.5% 32.0% 25.5% 4.9%

15. 貞節は、重要で価値のある美徳だ 3.2% 5.7% 30.0% 40.5% 16.6% 3.6%

16. ビジネスで成功している人は、得た富を、自分に見合うと思う

だけ存分に享受する権利を持っている 1.6% 2.4% 13.8% 36.8% 29.1% 16.2%

17. 社会が個人に何をしろと言うことなく、個人が自分の生活に責

任をもてるとき、社会は最もうまくいく 1.2% 4.5% 17.8% 39.7% 28.7% 8.1%

18. 政府は私たちの日常生活に介入しすぎている 4.9% 13.0% 50.2% 25.1% 5.3% 1.6%

19. 政府は、公益を一層促進する政策であれば、たとえその政策

で個人の自由と選択が制限されたとしても、より多く実施すべ

きだ

4.0% 15.4% 40.1% 30.4% 8.5% 1.6%

20. 近隣住民を危険に晒さない限り、不動産所有者は自分の望

むように土地開発や住宅建設することを許されるべきだ 3.2% 15.0% 36.8% 30.8% 10.9% 3.2%

21. 互いに平等な他人の自由を犯さない限り、皆自分の選択した

ようにする自由があるべきだ 1.2% 4.9% 13.0% 38.5% 32.8% 9.7%

22. 人々は、どのような集団の規範や伝統に従いたいか、自由に

決められるべきだ 0.4% 2.8% 10.1% 35.2% 35.2% 15.8%

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立教大学社会学部メディア社会学科

170

問 27 まず、あなたの知り合いを次の 5 つのグループに分けると考えて下さい。そして、それぞれのグループに属す

ると思われる、あなたの実際の家族、友人、知人を数人ずつ思い浮かべて下さい。

● A グループ:近親者と最も親しい少数の友人。プレゼント交換もするし、精神的に頼る/頼られる時も多い関

係。 ● B グループ:あなたから積極的に親しい関係を維持しているきわめて親密な友人と近親者。 ● C グループ:情緒的に重要だが、B グループに比べるとむしろ受動的な関係にある友人、親族。 ● D グループ:「友だち」というよりは「友だち~知り合い」といった関係。ただ、日常生活において、実際的な意

味で重要な人々。この人たちを介して、新たに知り合いが増えることもある。 ● E グループ:知り合い。ただ顔を見知っているだけで、相手は覚えていても、あなたは覚えていない場合

もあるかもしれない。 そして、それぞれのグループに属する具体的な人を思い浮かべながら、以下の各問に答えて下さい。

問 27-1 あなたが、そのグループの人と対面で話をする際に、空気の読みやすさはどの程度でしょうか? 空気が最も読みやすい場合を「100」、最も読みにくい(全く読めない)場合を「0」として、それぞれのグループの人

のだいたいの平均値を答えて下さい。また、それぞれのグループに何人くらいの人が属しているかも大雑把でよ

いので、考えてお答えください。

A グループ( 19.0 ) B グループ( 18.3 ) C グループ( 17.0 ) ( 20.6 )人くらい ( 20.6 )人くらい ( 19.8 )人くらい D グループ( 15.9 ) E グループ( 17.0 ) ( 19.8 )人くらい ( 21.5 )人くらい

問 27-2 あなたが、そのグループの人と対面で話をする際に、どの程度気を遣いますか? 最も気を遣う場合を「100」、全く気を遣わない場合を「0」として、それぞれのグループの人のだいたいの平均値を

答えて下さい。

A グループ( 26.0 ) B グループ( 26.0 ) C グループ( 27.4 ) D グループ( 13.7 ) E グループ( 32.9 )

問 27-3 あなたが、そのグループの人との心理的距離をどの程度に感じますか? 最も近いと感じる関係を「100」、最も遠いと感じる関係を「0」として、それぞれのグループの人のだいたいの平均

値を答えて下さい。

A グループ( 27.4 ) B グループ( 32.9 ) C グループ( 27.4 ) D グループ( 27.4 ) E グループ( 26.0 )

問 28 次の各項目について、あなたはどの程度あてはまりますか?最も適切なものを、A~D の中から、それぞれ1つ

選び、記号に○をつけてください。

N あ て は

まる

ま あ あ

て は ま

あまりあ

て は ま

らない

あ て は

ま ら な

1. 本当の自分というものは 1 つとは限らない 233 48.9% 38.2% 8.6% 4.3%

2. いくつかの自分を意識して使い分けている 233 37.8% 39.9% 16.7% 5.6%

3. 恋人(パートナー)として他人と付き合うのは面倒だ 231 9.5% 26.8% 39.0% 24.7%

4. 私の生活にとって、恋人(パートナー)は不可欠だ 233 13.7% 25.8% 47.6% 12.9%

5. 恋人(パートナー)がいなくても困らない 232 16.4% 47.0% 26.7% 9.9%

6. 場面によって出てくる自分は違う 233 42.9% 43.8% 9.9% 3.4%

7. わたしはリア充だ 233 12.0% 44.6% 28.8% 14.6%

8. 本当の自分と偽の自分とがある 233 25.8% 32.6% 27.9% 13.7%

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木村ゼミ 2015 年度専門演習 2 報告書

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F1 あなたの満年齢をお答えください(記入時)。 N=247

19.6 歳

F2 あなたが個人的に自由に使える金額は、平均して一ヶ月どの程度でしょうか? N=247 52,676 円

可処分金額 相対度数(%) 可処分金額 相対度数(%) 10000 円未満 1.2 60000 円以上 70000 円未満 7.710000 円以上 20000 円未満 6.5 70000 円以上 80000 円未満 8.120000 円以上 30000 円未満 5.3 80000 円以上 90000 円未満 6.930000 円以上 40000 円未満 16.6 100000 円以上 110000 円未満 8.940000 円以上 50000 円未満 11.3 110000 円以上 2.450000 円以上 60000 円未満 25.1

F3 世間の生活水準にくらべて、あなたの生活程度はどのあたりだと思いますか。当てはまるもの 1 つに○をつけてく

ださい。 N=247 NA/DA=1 (0.4%) 1 上 5.3% 2 中の上 45.7% 3 中の中 34.0% 4 中の下 10.9% 5 下 0.4% F4 お宅の世帯年収(税込)(ご家族全員を合わせた額です)は、次のうちどれにあたりますか。当てはまるもの 1 つに○を

つけてください。(よくわからない場合には、当て推量でかまいません) N=247 NA/DA=3(1.2%) 1 ~200 万円未満 3.2% 5 800 万円以上~1,000 万円未満 20.6% 2 200 万円以上~400 万円未満 6.1% 6 1,000 万円以上~1,200 万円未満 15.8% 3 400 万円以上~600 万円未満 17.8% 7 1,200 万円以上~1,500 万円未満 6.9% 4 600 万円以上~800 万円未満 18.2% 8 1,500 万円以上 10.1%

F5 性別 個数(割合) N=247 男性:108 (43.7%) 女性:139 (56.3%)