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1COPYRIGHT (C) KANAZAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY
平成30年8月28日
金沢工業大学 工学部 情報工学科教授 松井くにお
人工知能(AI)を知る、AIを使う
人工知能技術の活用の問題点
2COPYRIGHT (C) KANAZAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY
と言われても・・・・・・・・
AIを使って業務改善をしなさい。ウチにはたくさんデータがあるだろ。
第3次AIブームの到来で、ビジネスに対するAIの期待が高まっているが、何から手をつけて良いか戸惑ってしまうのが現状Ai活用を目的としたオープンイノベーションを産み出す新たな産学連携のあり方提案
産学連携の新しいスキームの提案
人工知能技術の現状➢ 深層学習や自然言語処理などの「ツール」としてフリーで利用
可能なものがWeb上に存在
• IBM Watson
• Learn with Google AI
• amazon Alexa Skills Kit
• Neural Network Toolbox
産学連携の「学」の役割➢ これらのツールの利用に関しては、アジャイル的な側面が強く、
大学を実証フィールドとする新たな産学連携のスキームが必要
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「AIを知る」- AIの歴史、AIでできること -
人工知能の歴史
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1950 1970 1980 1990 2000 20101960
★AI命名【’56】
(ダートマス会議)
★巨大AI PJ設立(日ICOT’82, 米MCC’83, 英Alvey’84)
★AI失敗報告(ライトヒル)【’73】
★DEC社R1【’82】
★チェスDeepBlue勝利【’97】
★対話ELIZA開発【’66】
★チューリングテスト提唱【’50】
★ベイズネット開発【’88】★Lisp開発【’58】 ★Prolog開発【’72】
★逆伝搬学習法【’86】★パーセプトロン開発【’62】
プロジェクト
★Deep Learning脚光【’12】
★脳科学PJ設立(BRAIN Initiative,
Human Brain)
第1次AI
探索・演繹推論の時代 知識獲得の時代
システム
★診断Mycin開発【’73】
パラダイム
第2次AI 第3次AI
機械学習の時代
簡単な問題は解けても実用上の問題はできず
専門家の知識を機械に教えこむことが困難
★将棋勝利【’12】
第1次AI(簡単な指令で動くロボット)
言葉で指示してロボットアームが動く(SHRDLE)➢ 人:大きな赤いブロックを持ち上げて。
➢ コンピュータ:了解。
➢ 人:三角錐をつかんで。
➢ コンピュータ:どの三角錐かわかりません。
➢ 人:一番背の高いブロックをつかんで、箱の中に入れて。
人工知能研究へ過剰な期待
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UFOキャッチャー出典:https://sites.google.com/site/inteligenciaartificialist/exemplos-de-ia/shrdlu
第1次AI(単純な対話システム)
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ELIZA 出典:ITPro
第2次AI(専門家の知識)
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医療診断システムMYCIN➢ 質問応答による診断と治療の支援
質問例(抜粋)➢ 患者名 ** Jack Jones
➢ 性別 ** male
➢ 年 齢 ** 19
➢ 培養検体はどの部位で採取しましたか? ** 血液です
➢ この血液培養は何日前に採取しましたか? ** 2日前です
➢ この血液病原体から検出された第1病原体の種類(属)は? ** 不明です
➢ この血液病原体から検出された第1病原体のグラム染色特性は? ** 不明です
➢ この血液病原体から検出された第1病原体は桿菌ですか?球菌ですか?• ** 桿菌です
結果➢ 使われなかった
➢ 医局員程度の確度(正解率は65%程度 名医は80%程度)
➢ 判断を間違えたときの責任の所在が不明
出典:https://www.slideshare.net/vini89/mycin
第3次AI
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ゲームの世界でヒトに勝つ
1997年 チェスで勝つ 2012年 将棋で勝つ 2016年 囲碁で勝つ
出典:Wikipedia
出典:ニコニコ
出典:Google
特定分野で大活躍
クイズチャンピオンに勝利 マルウェアを高精度で検出 皮膚ガンの判定
出典:IBM
出典:Nature
出典:Cylance
将棋ソフトの発展
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開発者の固定観念、先入観、主観などにより、パラメータ設定
アマチュア有段者レベル
約500パラメータ
・将棋をよく知っている人・将棋の強い人、プロ
(2005年 *Bonanza~)機械学習を用いた将棋ソフト
「局面評価関数」の最適なパラメータを自動学習 プロレベルの
棋力を実現
約1億パラメータ
プロの棋譜
各駒の価値
駒と駒の位置関係
6万局
87点 569点
歩 角例
王
これまでの将棋ソフト(1980年代~)
※「Bonanza」は、保木邦仁先生(現 電気通信大学特任助教)が開発したコンピュータ将棋ソフトです
出典:富士通研究所
IBM Watson、クイズチャンピオンに勝利
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IBM Jeopardy Challenge➢ 2011年2月14日-16日
➢ Hawthorn (ニューヨーク州) のIBM研究所内にセットを作成
➢ 回答者
• Watson
• Ken Jennings(連続優勝記録保持者)
• Brad Rutter(最多賞金獲得者)
➢ クイズに勝つための方策
• 幅広いトピックスの質問文を解析し、DB検索を行なう
• 回答には確信度を付与し、クイズに勝つ戦略を考案
• 質問は読み上げられるが、Watsonにはテキストデータを転送(音声認識はなし)
出典: IBM
Cylance、マルウェア検出の新方式
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マルウェアを含むファイル正常なファイル
差分を考慮した機械学習
マルウェアのパターン(DNA)を検出
アンマッチ:正常に活用
インターネット
マッチ:水際で排除 エンドポイントにマッチングソフトをインストール
数億個を用意
検出率 99.7%誤検出率 0.002%Cf) McAfee, Symanticの検出率 50-70%
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「AIを知る」- AIの技術 -
人工知能の技術
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自然言語処理自然言語処理自然言語処理
機械学習とその課題
機械学習とは➢ 与えられたデータからコンピュータが自動的に知識やルールを
抽出し、学習・成長していく技術
➢ 現状は特徴の抽出が、分析の専門家のノウハウに依存しているため、精度や開発効率に課題
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データ 機械学習特徴抽出
機器の故障予測【特徴の候補】
ジャムやアラームやエラー、稼働期間、製品 カテゴリ、気温、など
解約の予測【特徴の候補】
年齢、住所、問合せ履歴、契約年数、契約 状況、など
深層学習の特徴
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特徴抽出を含めて自動的に学習
データ 特徴抽出 機械学習
特徴抽出は人手が必要
SVM
深層学習
Deep Neural Networkデータ
“人”
“人”
機械学習 決定木
人手が必要だった特徴抽出も含めて学習を自動化できる可能性
これまで人間が見つけられなかった知見や知識を発見できる可能性
深層学習の規模
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移動ロボット「サトルくん」(1988年、3層NN)
29
232
画像中の物体認識(2015年、7層NN)
110万
7億3000万
ニューロン数
シナプス数
モデル化
神経細胞(ニューロン)
ニューロンシナプス
ニューラルネットワーク
38,000倍
3,150,000倍
参考:コンピュータ性能(ムーアの法則):260,000倍 出典:富士通研究所
深層学習の有効な領域と条件
必要な条件➢ 規則が明確
➢ 限定された範囲
➢ 正解データの大量の蓄積
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領域 事例 規則 範囲 正解データ
ゲーム 将棋 駒ごとに明確 9×9の盤面勝ち負けの棋譜
セキュリティマルウェア抽出
振る舞いはパターン化
OS内 感染ファイル
知的活動 クイズ 5W1Hの質問6つのジャンル
Wikipediaから構造化
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「AIを使う」- AIの応用事例(共同研究など) -
CM好感度調査の分析(CM総合研究所との共同研究)
分析対象
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AIによる分析への期待
自然言語処理、関係分析、機械学習を利用➢ CMの何が好感度に影響を与えるか
• 登場人物
• シナリオ
• セリフ、コピー
• 音楽
➢ ねらいに合ったCM戦略
• 流す時間帯、番組
• タイムリーな話題、話題作り
• コンバージョンとの関係
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オープンメタデータ活用(金沢市との実証実験)
カメレオンアドレスから様々なサービスが生まれる カメレオンアドレスを介して様々な情報にアクセスできる
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サービスサービス
サービスサービス
情報提供サービス
情報提供サービス
情報提供サービス情報ベース
API APIカメレオンアドレス
カメレオンアドレスの認識(AI活用)
カメレオンアドレスと情報の対応付け
オープンメタデータ
視覚障がい者向け情報提供観光客向け情報提供道案内外国人向け情報提供宝探しゲーム・・・・・・・AIとの対話
施設案内情報観光情報道路情報外国語情報お宝・・・・・・・広告・宣伝(ビジネスも)
カメレオンアドレス
カメレオンアドレスとは?
情報の提供に適した細やかな場所を特定できるID
IDと緯度経度・高さの位置情報を対応付けたもの➢ 例)既存の道路インフラにコードを付加
23
コードを付加した点字ブロック(黑点のパターンがコード)
コードを付加した電柱(点字ブロックと同型)
AIとの対話の作成例
「観光サービスをAIで置き換えたい」➢ 市販のスマートスピーカーでやってみる
→秘書的業務のみなので無理
➢ マニュアルを読ませればすべてわかるのではないか
→AIに文章理解能力はない
AI:対話(質問応答)システムの仕組み
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質問
回答
あいまい検索
エンジン
QAデータベース
質問1 回答1
質問2 シナリオ1
質問3 回答2
質問4 回答3
質問5 シナリオ2
質問6 天気予報検索
: :
AI(人工知能)
AIに教え込むことが必要
企業への期待
大学を実証フィールドとして活用する新たな産学連携のスキームを構築しませんか?
以下の用途に使えます➢ 保有するデータの有効利用
➢ 人件費を削減するための対話処理システム
➢ テキストマイニングやテキスト分類などの文書データの活用
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Intelligence のCBA(ABCではなく)
CI (Corporate Intelligence)➢ 企業が蓄積する膨大なデータや知恵・ノウハウを利用する
BI (Business Intelligence)➢ データを整理、可視化して人間が推論・判断を行なう
AI (Artificial Intelligence)➢ データを機械学習させ、コンピュータが推論・判断を行なう
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データからソリューションを導くプロセス
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ビッグデータノウハウ等
ソリューション
データ収集 検索・統合学習実行
クレンジング
可視化
ログデータ
整形データ
実行用データ
結果データ
モデルLOD等AI
フィードバック
CI
BI
企業での研究経歴(数多くの大学との共同研究を実施)
1980:㈱富士通研究所入社 1980-1985:機械翻訳システムの研究開発 1986-1989:大規模電子化辞書の作成(EDR) 1989-1992:オンライン辞書システムの研究開発 1993-1994:次世代ワープロの企画(開発事業部) 1994-1998:超高速情報検索エンジンの研究開発 1999-2000:富士通中国研究開発中心兼務 2001-2006:ナレッジマネジメントシステムの研究開発 2007-2009:Fujitsu Labs. of America 駐在 2009-2017:サービスビジネスの推進(ニフティ株式会社) 2017.2- : 金沢工業大学工学部情報工学科
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お問い合わせ先
金沢工業大学
産学連携局 産学連携東京分室
新川 実、高田 理尋
TEL 03-5777 - 1964
FAX 03-5777 - 1965
e-mail [email protected]
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