21
米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向- MELT upフォーラム 日本の情報通信産業の盛衰から再生へ (一財)マルチメディア振興センター 情報通信研究部 田中絵麻

米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

米国における情報通信産業のトレンド-「国家ブロードバンド計画」後の関連動向-

MELT upフォーラム

日本の情報通信産業の盛衰から再生へ

(一財)マルチメディア振興センター

情報通信研究部 田中絵麻

Page 2: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

内容

Ⅰ 情報通信産業の市場概要

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅳ 技術開発政策と次世代市場への取組み

Ⅴ 情報通信分野のトレンドのまとめ

1

Page 3: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅰ 情報通信産業の市場概要

米国の情報通信産業の市場規模と構成

• 2012年 1兆1728億ドル(約120兆947億円 1$=102.4円)

前年比成長率 6.2%縮小する固定通信、成長する無線分野・専門サービス分野

11728

14000

米国の情報通信産業規模の推移

分類 項目市場規模

(100万ドル)構成比

前年比成長率

ネットワーク機器と設備 39,080 3.3% 6.0%

米国の情報通信産業の構成(2012年)

9506 10432

11053 10227 10425

11040 11728

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出所:TIA.

機器と設備

ネットワーク機器と設備 39,080 3.3% 6.0%法人向け機器 126,320 10.8% 5.1%住宅向け固定通信機器 930 0.1% -12.3%無線通信機器 27,000 2.3% 8.3%無線端末 38,944 3.3% 20.0%

音声・データ・ビデオ配信

回線交換 123,023 10.5% -4.3%VoIP 15,860 1.4% 19.0%無線 187,200 16.0% 11.8%固定ブロードバンド 39,979 3.4% 5.7%IPTV 8,208 0.7% 152.3%

専門サービス

統合サービス 1,730 0.1% 8.3%音声・ビデオ・ウェブ会議 6,980 0.6% 10.9%クラウド・サービス 47,000 4.0% 36.9%M2M 5,115 0.4% 198.7%サイバーセキュリティ 34,500 2.9% 13.8%

サポートサービス

固定回線・ケーブル・BB 62,150 5.3% 6.0%無線サービス 19,200 1.6% 6.8%法人向けサービス 389,600 33.2% 4.8%

出所:TIA. 2

Page 4: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

2010年 国家ブロードバンド計画の概要

目標1 速度と普及率

• 1億世帯以上が下り速度が実測100Mbps以上、上り速度が実測50Mbps以上の安価なアクセスを持つ• 2015年までには、1億世帯以上が、下り実測50Mbps以上、上り実測20Mbps以上の安価なアクセスを持つ

目標2

• 米国は、世界最速かつ世界で最大規模の無線ネットワークを持ち、モバイル・イノベーションで世界一となる• 2020年までに500MHz幅の周波数を新たにブロードバンド向けに利用可能とする

2020年までの6つの目標

2020 500MHz• 2015年までには300MHz幅を利用可能とする

目標3

• 全ての米国人は、堅牢なブロードバンド・サービスへの安価なアクセス手段を持ち、自らの選択に従いサービスに加入する手段とスキルを持つ(90%以上の採用を実現)。

目標4

• 全てのコミュニティは、学校、病院、政府機関の建物といったアンカー組織において1Gbps以上の安価なブロードバンド・サービスへのアクセス手段を持つ。

目標5

• 米国人の安全を確保するため、全ての一次応答者は全国規模で相互運用可能な無線ブロードバンドの公共安全ネットワークへのアクセス手段を持つ。

目標6

• 米国がクリーン・エネルギー経済において世界をリードすることを確保するため、全ての米国人は自身のリアルタイムのエネルギー消費を追跡し、管理するためブロードバンドを利用する。

出所:FCC. 3

Page 5: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

IP網・高速モバイル網への投資

• LTEベンダー選定 エリクソンとアルカテル・ルーセント– 2009年 ベライゾンが選定 2010年 AT&Tが選定

• LTE網の整備計画前 急拡大するモバイル・データ需要に追いつかず– モバイル・データ定額制を停止→従量制に– AT&Tは2010年、ベライゾンは2011年に

• 2013年6月 ベライゾン LTE網への投資で先行– 500ヶ所目のLTEサービス開始 「全米展開の終了」宣言

• 2012年11月公表 AT&T Project Velocity IP(VIP)– 2015年末まで ネットワーク整備に総額140億ドルを投資

今後3年間の設備投資 約220億ドル(無線系:80億ドル、固定系:60億ドル)– 2014年末まで 4G LTEネットワーク 人口カバレッジ 3億人– 2015年末まで 固定BBを固定電話のサービス地域(全米22州)の75%に拡張

4

Page 6: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

米国におけるモバイル接続数の拡大と高速化

20.8

23.3 25.5

27.0 28.6

29.6 31.6

32.6

1,3891,481 1,526

1,5991,698

1,850

1,400

1,600

1,800

2,000

25

30

35千万

接続回線数 うちスマートフォン 3G LTE 総売上(億ドル)

スマートフォン率

46.6%

10.9 12.8

14.1 15.9

18.2

20.8

5.0

7.8 11.2

15.2 15.8

3.8

525653

765876

1,0211,135

1,255

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0

5

10

15

20

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012

出所:TIA等から作成。

iPhone 3G発売

Android端末発売

46.6%

5

Page 7: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

ブロードバンド接続速度の高速化

• 2012年末現在 モバイル接続の高速化が進展中– 固定 下り速度 6Mbps以上の接続 4,070万

– モバイル 下り速度 6Mbps以上の接続 6,380万 2010年以降急速に拡大

下り速度25Mbps以上-100Mbps未満 2,042万

出所:FCC

25Mbps以上-100Mbps未満 2,042万100Mbps以上 20万

下り速度6Mbps以上 3,160万

3Mbps以上-6Mbps未満 3,220万

6

Page 8: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

OECDにおけるブロードバンド普及率順位

• 2013年6月末現在 OECD諸国 ブロードバンド人口普及率順位

– 固定BB 16位(韓国4位、日本17位)、G7内では5位

– 無線BB 6位(日本4位、韓国7位)、G7内では2位

40フランス

OECD G7諸国の固定BB人口普及率の推120

日本

OECD G7諸国の無線BB人口普及率の推移

0

5

10

15

20

25

30

35

フランス

英国

ドイツ

カナダ

米国

日本

OECD

イタリア

0

20

40

60

80

100

日本

米国

英国

OECD

イタリア

フランス

カナダ

ドイツ

出所:OECD. 7

Page 9: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

モバイル市場におけるM&Aの進展と寡占化

• AT&T– 2004年 シンギュラー・ワイヤレスがAT&Tワイヤレスを買収

– 2007年 AT&T シンギュラー・ワイヤレスを完全子会社化

– 2012年12月 T-Mobile買収失敗 (規制当局の認可の目処立たず)

– 2013年7月 Leap Wireless買収 保有周波数をLTEに

• ベライゾン・ワイヤレス

– 1999年 ボーダフォンが米国のエアタッチ買収。ベルアトランティックとの合弁事業に

– 2013年9月 ボーダフォンの持ち分を取得を発表 1,300億ドル

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

上位18社でのHII FCCによるHII FCCのHHIによる調整値

出所:FCCに加筆修正.

HHI:Herfindahl-Hirschman Index

• 市場の競争度を測る指標。• 各社の市場シェア(%)の二乗を加算。

例 10%が10社→HHI 1,000• 値が小さいほど市場競争が活発• FCC 2500以上は「高度に寡占化」

8

Page 10: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅱ 「国家ブロードバンド計画」とモバイルシフト

モバイル産業におけるデータ通信の拡大

• 縮小する音声収入と拡大するデータ通信収入

1,119 1,177 1,183

1,132 1,116 1,085 1200

1400

音声収入 データ収入

モバイル産業の収入の推移

2012年 AT&T ベライゾン

総売上高(100万ドル) 127,434 115800

営業利益(100万ドル) 12,997 13,160

通信事業者の売上高と移動体加入者数

億ドル

1,119 1,116 1,085

152 232

323 415

501

627

0

200

400

600

800

1000

2006 2007 2008 2009 2010 2011

出所:FCC.

純利益率 10.2% 11.4%

無線部門(100万ドル) 66,763 75900

固定部門(100万ドル) 59,567 39780

移動体加入者数 92,700,000 104,676,000

スプリント TモバイルUSA

総売上高(100万ドル) 35,345 5,101

営業利益(100万ドル) -1,820 824

純利益率 -5.1% 16.2%

移動体加入者数 55,626,000 8,881,055

出所:各社年次報告書. 9

Page 11: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

米国発のモバイル・エコシステムのグローバル化

• 米国事業者が提供するモバイル・プラットフォームが世界市場を制覇

サービス(アプリ)

Google, Appleに加えて多様なサードパーティーが開発(新興モバイルサービス事業者多数)

世界モバイル端末出荷台数(2013年)

モバイルOS

端末

ネットワーク AT&T、ベライゾン等の通信事業者が提供

iPhone:AppleAndroid端末:Samsung等WM端末:Nokia等Fire端末:Amazon

プラットフォーム

プラットフォーム事業者が提供

Google:AndroidApple:iOSMicrosoft:Windows Mobile(WM)Amazon: Android OSベースのKindle

9億9,800万台 (前年比44%増)

Android端末:7億8,500万台iPhone: 1億5,400万台Windows Phone: 3,210万台

出所:Canalys.

10

Page 12: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

モバイル・アプリによるApp Economyの拡大

(世界市場におけるプレゼンス)• 2013年6月 App Storeのアプリ

– ダウンロード数は累計500億件、アプリ数は90万本(Worldwide Developers Conference)– サードパーティのアプリ開発者への支払総額 累計100億ドル

• 2013年7月 Google Playのアプリ• 2013年7月 Google Playのアプリ– ダウンロード数は累計500億件、アプリ数は100万本

(米国内の雇用拡大に寄与)• 2011年 Recon Analytics推計 無線産業の米国内雇用

– 米国の全雇用の2.6%を占める380万件

• 2012年2月「Where the jobs are: The APP Economy」 TechNet調査報告書.– 2007年のiPhone発売により米国で誕生– 2011年の90日間の求人広告数(4万4,400件)から推計約15万5,400件の雇用発生

App Economyでは関連雇用を含めて2011年に推計46万6,100件の新規雇用に寄与

11

Page 13: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

大手ネット企業による新興モバイル・サービス企業の買収

• 新興サービスの成長と活発なM&A– 大手ネット企業:自社サービスの拡充を目的に買収

– 新興モバイル・サービス企業:イグジット戦略における選択肢の一つに

順位 事業者名 成長率※1 比率※2 買収企業(買収年月)

概要

モバイル・アプリの利用者数伸び率(2013年1月から10月)ランキングと買収企業

(買収年月)

1位 Vine 403% 3% Twitter(2012年10月発表)

2013年1月提供開始。Twitterの公式アプリの動画共有サービス。スマートフォンで撮影した 最長6秒までのループ動画を投稿可能。

2位 Flickr 146% 4% Yahoo!(2005年3月発表)

2004年提供開始。写真共有サービスで2005年にYahoo!が買収。2013年5月には無料の機能を拡充、ストレージ容量を1TBに拡張 。

3位 Instagram 130% 12% Facebook(2012年4月発表)

2010年提供開始。写真編集・共有サービス。2012年4月にFacebookが買収。13年10月現在利用者数は3,199万 。

4位 WhatsApp 123% 19% Facebook(2014年2月発表)

2009年提供開始。メッセージング・サービス。1年目は無料で2年目からは年間0.99ドル。2013年8月の世界でのアクティブ・ユーザー数は3億人 。

※1 2013年1月から10月までの期間の利用者数の成長率。※2 総インターネット利用者数に占めるサービス利用者数の割合の推計値。出所:MarketCharts記事 に加筆. 12

Page 14: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

米国の端末メーカーの事業構造変化

• モトローラ・モビリティ– 2004年 折りたたみ型端末 RAZR 世界的ヒット 累計1億台販売

– 2008年 iPhone登場以降 急速にモバイル端末の売上減少

– 2011年 モバイル端末部門を分社化 モトローラ・モビリティに

– 2011年 Googleがモトローラ・モビリティを125億ドルで買収

– 2014年 Googleがモトローラ・モビリティをLenovoに30億ドルで売却

(Google 特許等の知的財産は保有を維持)

• モトローラ・ソリューションズ– インダストリー・ソリューションに特化

– もともと収益悪化部門は分離して発展

– 分社化後、売上高は縮小

– 営業利益率は回復し10%台に

c.f. モトローラの総売上高

2003年 217億1800万ドル(RAZR前)

2006年 428億7900万ドル(ピーク)

出所:Motorola Solutions年次報告書.

モトローラ・ソリューションズの売上高推移

220 193

82 87 87

-1

8 9 13 12

-0.7%

4.1%

10.5%

14.4% 14.0%

-2.0%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

-50

0

50

100

150

200

250

2009 2010 2011 2012 2013

総売上高 営業利益 営業利益率

13

Page 15: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Wintel時代の終焉

• Intel– Windowsマシンに搭載 Wintel時代を築く

– 近年はPC向けが縮小。(参考)2013年 PC 出荷台数 3億1590万台(前年比10%減)

– データセンター、モバイル向け好調。スマートフォン向け、M2Mにも注力。

営業利益率 営業利益 総売上高億ドル

115

162

208 251 263

294 337

265 268 301

342

388 354 351

376 351

436

540 533 527

59 84

117 151 142

176 211

131 133 171

197 230

182 196 208 196

285

338 332 315

52% 52%56%

60%

54%

60%62%

49% 50%

57% 58% 59%

51%56% 55% 56%

65%63% 62%

60%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

0

100

200

300

400

500

600

1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

出所:Intel年次報告書.14

Page 16: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅲ グローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

新興チップメーカーの台頭

• Qualcomm– 3GのCDMA端末用チップで拡大。2009年にはAMDよりモバイルチップ部門を買収

– スマートフォン向けのSnapdragonチップセットが好調。

億ドル

80%300

総売上高 営業利益 営業利益率

4 8 21

33 39 32 27 29 38

49 57 75

89

111 104 110

150

191

249

0

(0)

1 2 4 7 0 8 16 21 40

53 62

77 72 75

101 120

150

5%

-1%

5%7%

10%

23%

1%

29%

41%44%

71% 71% 70% 69% 69% 68%

67%63%

61%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

(50)

0

50

100

150

200

250

1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

15

Page 17: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅳ 技術開発政策と次世代市場への取組み

米国における技術開発政策

• DARPAグランド・チャレンジ 2004年~2007年– 自動運転カーのレース開催により技術開発、パイロット開発を促進

– 2010年代 IT企業と自動車業界が連携してコネクテッド・カーを推進

• 米国経済再生・再投資法(ARRA)(2009年)• 米国経済再生・再投資法(ARRA)(2009年)– スマートグリッド整備に向け34億ドルの財政支援。

– 官民合わせて総額80億ドルをスマートグリッドの整備に投資。

• ビッグデータ・イニシアティブ(2012年3月)– 5年間で総額2億ドル超の研究開発予算を6つの政府機関に割当

16

Page 18: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅳ 技術開発政策と次世代市場への取組み

大手ネット企業によるICTと製造業の融合

• Google– 2009年 スタンフォード大学と共同で自動運転車の開発開始 (2010年~ Google Xでの開発)– 2010年 Android OS搭載 Nexus One発売 (HTC(台)製造)– 2013年 開発者向けGoogle Glass提供開始 (Foxconn(台湾・生産は中国)製造)– 2013年 ロボット企業、Boston Dynamics 買収– 2013年 日本のベンチャー SCHAFT 買収

• Microsoft• Microsoft– 2000年 ゲーム端末 Xbox発売 (Flextronics(新)、Wistron(台)、Celestica(米)製造)– 2007年 Fordと提携 車内でのコミュニケーション・システム「SYNC」を提供– 2012年 自社開発タブレット Surface発売

• Amazon– 2007年 初代Kindle発売– 2013年 Amazon Prime Air 無人ヘリ自動配達のプロジェクトのデモ公表(自社研究開発)

→ネット企業 :設計・マーケティング・製造(OEM等のグローバル分業進展)→オバマ政権:高度製造業への税率引き下げ・研究開発支援で育成推進→産業変化 :データ解析等による製造業のサービス・イノベーション

17

Page 19: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅳ 技術開発政策と次世代市場への取組み

次世代グローバル市場への取り組み動向

• Cisco:Internet of Everything(IoE)(2012年12月)– あらゆる機器がインターネットに接続。– 2014年までには150億台、2020年には400億に– グローバルなインターネットの成長とM2M拡大を踏まえたビジョン

• GE:インダストリアル・インターネット(2013年12月)– 製品や社会インフラをインターネットで接続、稼働データを収集・分析して効率的な運用や機能改

善につなげていくビジョン善につなげていくビジョン– 2013年10月 AT&TはGEと戦略的提携。

鉄道車両のネットワーク化の新サービス(Talking Locomotive)を開発中。

• ZigBee Alliance SEP 2.0標準化(2013年4月完了)– スマートメーターのホーム機器接続部分の標準。– 米国標準化局(NIST)がスマートメーターの標準の一つとして採択(2012年2月)– ZigBeeeを牽引するTI(テキサス・インスツルメンツ)は関連機器開発を加速中

• Open Automotive Alliance(OAA)(2014年1月)– Googleと自動車メーカーが結成

18

Page 20: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅴ 情報通信分野のトレンドのまとめ

成長分野に注力-モバイル、次世代網、高度サービス、B2Bソリューション

分類 項目市場規模

(100万ドル)構成比

前年比成長率

機器と設備

ネットワーク機器と設備 39,080 3.3% 6.0%

法人向け機器 126,320 10.8% 5.1%

住宅向け固定通信機器 930 0.1% -12.3%

無線通信機器 27,000 2.3% 8.3%

無線端末 38,944 3.3% 20.0%

回線交換 123,023 10.5% -4.3%

・モバイル通信機器→外資企業:Ericsson (世界展開) 、Alcatel Lucent (世界展開)

・モバイル端末→米国企業、外資企業Apple(世界展開)、Samsung(世界展開)、Motorola(無線端末事業→Google→Lenovo)、

音声・データ・ビデオ配信

VoIP 15,860 1.4% 19.0%

無線 187,200 16.0% 11.8%

固定ブロードバンド 39,979 3.4% 5.7%

IPTV 8,208 0.7% 152.3%

専門サービス

統合サービス 1,730 0.1% 8.3%

音声・ビデオ・ウェブ会議 6,980 0.6% 10.9%

クラウド・サービス 47,000 4.0% 36.9%

M2M 5,115 0.4% 198.7%

サイバーセキュリティ 34,500 2.9% 13.8%

サポートサービス

固定回線・ケーブル・BB 62,150 5.3% 6.0%

無線サービス 19,200 1.6% 6.8%

法人向けサービス 389,600 33.2% 4.8%

・次世代網→米国企業AT&T、Verizonの2強。固定・無線BBへの投資拡

大。BB・映像配信ではケーブル事業者も成長。

・高度サービス→米国企業Amazon、Cisco、GE etc.

※上述のトレンドに沿って、部品(チップ)(Intel、Qulacoom) 、ネットサービス(Google、新興ネット企業)、ゲーム端末(Microsoft)等の関連産業も成長、世界展開。

・B2Bソリューション→米国企業IBM etc.

19

Page 21: 米国における情報通信産業のトレンド -「国家ブロードバンド計画」後の関連動向…c-faculty.chuo-u.ac.jp/~tsujii/pdf/03tanaka.pdf · Ⅲグローバル・モバイル・エコシステムと市場動向

Ⅴ 情報通信分野のトレンドのまとめ

政策と市場の両輪がICT産業の高度化を後押し

政策展開:次世代産業の育成政策 市場創出・市場機能補完

– 次世代ネットワークの構築加速:無線分野への戦略的な資源配分とエコシステム形成により新規雇用創出に寄与。

– 次世代産業の研究開発推進政策:中期的な視点から基礎研究から商用化前のパイロットまでの支援を展開。

– 既存産業の高度化推進政策:高度製造業育成(投資とインソーシングの促進)や

公益事業(エネルギー、医療、教育、政府、交通等)におけるIT活用を推進。

市場環境:成長性、収益性、効率性の重視 成長市場・国際市場への投資

– 新規事業の成長環境:スタートアップを支援、インキュベーションによる育成、グローバル市場展開までの成長環境の存在。

– 知財戦略による収益性確保:中核的な特許や知財確保による製品・サービスの付加価値と収益性を維持。一方で、コモディティ化した部門からは撤退。

– 効率的な事業展開:企業間のM&Aや異業種間での連携等により、効率的に自社の強みをのばす/弱みを補完して戦略的に世界展開。

20