52
住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証実験報告書 平成 25 年 3 月 東京都豊島区

住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

  • Upload
    others

  • View
    3

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

住民への災害情報伝達の多様化実証実験に

係る機器整備

実証実験報告書

平成 25 年 3 月

東京都豊島区

Page 2: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

目次

1.実証実験の目的 ............................................................................................................. 1

2.実証実験の構成図及び構成表 ........................................................................................ 2

2.1 実証実験の構成図 ........................................................................................................ 2

2.2 実験使用機材の構成表 ................................................................................................ 3

2.3 実証実験でのシステム整備(全体像) ............................................................................ 4

3.実証実験の概要と結果 ................................................................................................... 5

3.1.実証実験の概要 ........................................................................................................... 5

3.2 事業者、関係機関等との連携~平成 24 年度 豊島区帰宅困難者対策訓練 ................ 6

3.3 防災情報伝達制御システムにおける操作の利便性の高さ ......................................... 11

3.4 防災無線親局設備の電源容量 .................................................................................... 12

4.実験の写真 ................................................................................................................... 14

5.まとめ .......................................................................................................................... 22

5.1 情報伝達の確実性の検証(情報伝達手段・内容の高度化) ..................................... 22

5.2 情報伝達手段の耐災害性の検証 ................................................................................ 23

5.3 各種情報伝達手段との連携 ....................................................................................... 23

5.4 他自治体への展開にあたっての留意事項等 .............................................................. 25

6.ご参考 帰宅困難者対策訓練情報配信シナリオ ......................................................... 27

別紙1.音響測定結果報告書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

別紙2.災害情報伝達制御システムの操作性利便性について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

別紙3.参加者アンケート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

別紙4.平成 24 年度 豊島区池袋駅帰宅困難者対策訓練参加者アンケート集計結果・・・・41

Page 3: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

1

1.実証実験の目的

本区の人口密度は、全国市区町村の中で 1位(平成 25 年 1 月現在)であり人口密度がき

わめて高い上に、日本国内でも屈指の乗降客数をもつ池袋駅があり流入人口も多い。池袋

駅周辺には専門店、飲食店などの商業施設が多く集積し、災害発生時には混乱が生じかね

ない防災上の危険性が凝縮しており、池袋駅周辺の対策が、本区の防災対策上の要点とな

っている。

本実証実験に関する機器整備において、国内屈指のターミナル駅・池袋駅を要する本区

は、東日本大震災の経験と教訓を生かしながら、典型的な『都市型』×『繁華街型』の地

域特性への対応の標準的モデル地区として、特に「池袋駅周辺」の情報伝達手段強化を中

心にすすめてきた。

これらの状況をふまえ、以下の観点から実証実験を実施するものとする。

(1)情報伝達の確実性の検証(情報伝達手段・内容の高度化)

災害時を想定した実験を行い、各システムを経由した確実な情報伝達、適切な運用に

関する実験を行う。

(2)情報伝達手段の耐災害性の検証

耐災害性の観点から、電源容量の確保・リモコン起動・操作の利便性について検証す

る。

(3)事業者、関係機関等との連携

駅や周辺繁華街の住民等利用者、事業者、帰宅困難者等を交えた実践的な訓練につい

ては、本区がとりおこなう総合防災訓練等により、実施する。

その際、鉄道事業者、商業施設、ライフライン事業者等関係者との連携が不可欠とな

る。既存の「池袋駅周辺混乱防止対策協議会」や関係機関等と密に連携・調整を図りな

がら、実践に即したシステム運用にまつわる実験を行う。

Page 4: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

2

2.実証実験の構成図及び構成表

2.1 実証実験の構成図

実証実験の構成図を以下に示す。

48H対応

バッテリ

防災無線受信部

ホーンアレイコントローラ

デジタルアンプ

ホーンアレイスピーカー

オートリターンブレーカ

24H対応バッテリ 24H対応バッテリ

東武百貨店デジタルサイネージ

大日本印刷サイネージ配信サーバ

拠点ルータ

IP告知設備

用端末

安全安心メールサーバ

エリアメール緊急速報メール

TwitterFACEBOOK

光回線VPN

センタルータ

戸別受信端末

戸別受信端末網

豊島区ホームページ

豊島区WEBサーバ

ファイアウォール

UPS2(1500VA)

クライアント端末

IP告知

送信機

KVM

スイッチ

モニタ/マウス/KB

伝達制御サーバ

音声合成端末

サイネージ中間装置

LAN接点

変換器

防災無線中間装置

防災無線網

東武百貨店屋上豊島区防災課

防災無線送信部

豊島区情報管理課

安全安心メール

ダイドードリンコデジタルサーネージ

ダイドードリンコサイネージ配信サーバ

インターネット網

携帯電話回線網

豊島区広報課

豊島区危機管理担当・治安対策担当課

クライアント端末

整備対象外

解析処理PC

拠点ルータ

IP告知設備

用端末既設放送設備I/F

既設館内放送設備

東武百貨店

西武百貨店

CATV

今回整備設備

既設スピーカー

UPS3(1500VA)

防災行政無線卓

凡例

UPS1(1500VA)

衛星モデム

クライアント端末

拠点ルータ

拠点ルータ

戸別受信端末サーバ

拠点ルータ

既設放送設備I/F

既設館内放送設備

整備対象外 今回整備設備

L3

スイッチ

ISDN

ルータ

公衆網 メンテナンス会社(リモート接続)

Page 5: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

3

2.2 実験使用機材の構成表

実験使用機材の構成表を以下に示す。

No メーカー 型    名 数量 単位 設置場所 備    考

サーバ機

1 ProLiant DL360 G7 日本ヒューレット・パッカード XE E5620 1P4C 6G P410i/256 QS245A 1 台 豊島区防災課

2 衛星モデム 理経 DBR3000 1 台 豊島区防災課

3 解析処理PC 理経 JAK-1000 1 台 豊島区防災課 キーボード・マウス含む

4 無停電電源装置(1500VA) 理経 CAB1UPS152B 1 台 豊島区防災課

音声合成端末

5 ファクトリーコンピュータ 日本電気 FC-E21G/S72R6Z 1 台 豊島区防災課

クライアント端末

6 クライアント端末 日本ヒューレット・パッカード ProBook 6560b/CT 3 台 豊島区防災課、広報課、危機管理課 マウス含む

中継装置

7 ファクトリーコンピュータ 日本電気 FC-E21G/S72R6Z 2 台 豊島区防災課 液晶ディスプレイ、キーボード・マウス含む

8 LAN接点変換器 ラインアイ LA-3R2P-P 1 台 豊島区防災課

無停電電源装置

9 無停電電源装置(1500VA) 日本ヒューレット・パッカード AF470A 2 台 豊島区防災課

10 無停電電源装置(750VA) APC Smart-UPS 750 1 台 豊島区広報課

KVMスイッチ

11 KVMコンソールスイッチ(2×8) 日本ヒューレット・パッカード AF616A 1 台 豊島区防災課

モニター

12 TFT7600 G2 KVMコンソール 日本ヒューレット・パッカード AZ882A 1 台 豊島区防災課

ファイアウォール

13 ファイアウォール SonicWALL NSA 2400 1 台 豊島区防災課

センタールータ

14 ルータ アライドテレシス CentreCOM AR560S 1 台 豊島区防災課

拠点ルータ、ISDNルータ

15 ルータ アライドテレシス CentreCOM AR415S 6 台 豊島区防災課

スイッチ

16 L3スイッチ アライドテレシス CentreCOM 8724SLV2 1 台 豊島区防災課

48時間対応バッテリー

17 48時間対応バッテリー ジーエス・ユアサバッテリー 特型 MSEX-800 1 式 豊島区産業プラザB3F 直流電源装置に搭載

IP告知送信機

18 IP告知送信機 TOA NX-220CT 1 台 豊島区防災課

IP告知設備用端末

19 IP告知設備用端末 TOA NX-220AF 2 台 東武百貨店、西武百貨店

既設放送設備接続インターフェース

20 既設放送設備接続インターフェースユニット 電音エンジニアリング 特型 1 台 東武百貨店

既設放送設備接続インターフェース

21 既設放送設備接続インターフェースユニット ピーエムコントラクタ 特型 1 台 西武百貨店

無停電電源装置(750VA)

22 無停電電源装置(750VA) APC Smart-UPS 750 2 台 東武百貨店、西武百貨店

ホーンアレイスピーカー

23 ホーンアレイスピーカー(ドライバーユニット/カバー) TOA R-HA4P 1 台 池袋西口ビル屋上

鋼管柱

接続端子盤(アレスタ込)

25

240Wデジタルアンプ

26 電力増幅装置 セントラルエンジニアリング CET1251AB 1 台 池袋西口ビル屋上

24時間対応バッテリー

ホーンアレイコントローラ

28 ホーンアレイコントローラ TOA Q-HC-3124 1 台 池袋西口ビル屋上

防災情報伝達制御システム整備関連

29 19インチラック 42U 日東工業 FST100-720EN 1 架 豊島区防災課 コンセントバー、棚板等含む

30 19インチラック 33U 日東工業 FST70-716EN 3 架 東武百貨店、西武百貨店、池袋西口ビル屋上 コンセントバー、棚板等含む

防災情報伝達制御システム整備関連

31 19インチラック 15U 日東工業 FS60-608EN 1 架 豊島区広報課 コンセントバー、棚板等含む

ハーフラック

防災行政無線拡張に関する機器

館内放送設備連動に関する機器

屋外拡声子局拡張に関する機器

ラック

池袋西口ビル屋上 蓄電池収納棚に搭載27

接続端子盤(アレスタ込) TOA

機器

19インチラック

ハーフラック、自立型ラック

防災情報伝達制御システム整備に関する機器

24時間対応バッテリー ジーエス・ユアサバッテリー NP65-12 2 台

館内放送設備連動関連、屋外拡声子局拡張関連

鋼管柱 アイエンジ SP4-P 特型 1 本 池袋西口ビル屋上ホーンアレイスピーカー用支持金物、接続端子箱等含む

24

正弦インバーター内蔵オートリターンブレーカ内蔵通信用保安器機内蔵

特型 1 台 池袋西口ビル屋上

Page 6: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

4

2.3 実証実験でのシステム整備(全体像)

池袋駅メトロ西武

東武

こちらは豊島区です。

10日午前10時00分に地震がありました。

震源地は○○で地震の規模はM7.0と

推定されます。

2008/12/10 10:06Fm エリアメールSubject エリアメール

メトロ・丸の内線

東武東上線

西武池袋線JR

こちらは豊島区です。

10日午前10時00分に地震がありました。震源地は○○で地震の規模

はM7.0と推定されます。

屋外拡張機(駅周辺)

屋外拡張機(区内全域・将来)

Twitter

Facebook

全体像

今回の整備範囲

災害対策本部

1つの端末操作で複数網・端末へ情報送信

◆同報伝達機能◆優先情報伝達制御機能◆複数網自動伝達制御機能

JR埼京線

インターネット

IP網

防災行政無線網

携帯電話網

JR山手線

豊島区役所

鉄道会社(今回整備)

商業施設等(将来)

メトロ・副都心線メトロ・有楽町線

戸別受信機

エリアワンセグ(将来)

地デジ波

警察消防

デパート

(3)エリアメール等

(2)防災行政無線

(7)デジタルサイネージ

(4)放送設備(ターミナル駅)

(6)SNS対応

(1)防災情報伝達制御システム

(5)安全安心メール

関係者間のテレビ会議システム(将来)

(8)豊島区ホームページ

(2)防災行政無線

必須

・防災行政無線と連携すると共に、高性能スピーカーを池袋駅周辺に設置することで、駅周辺の住民や利用者への情報伝達を強化

・防災行政無線のデジタル化・高性能スピーカー増設

(3)エリアメール等

(1)防災情報伝達制御システム

選択

必須

・各携帯キャリアに対応した「エリアメール」「緊急速報メール」の配信の仕組みを整備

・防災情報伝達制御システムを災害対策本部に整備し、下記(2)~(8)の情報伝達手段を一元的に制御

・各携帯キャリアへの対応

(7)デジタルサイネージ

(4)放送設備

(6)SNS対応

(5)安全安心メール

・既存のデジタルサイネージと連動し、視覚的に情報伝達する仕組みを整備

・池袋駅鉄道事業者などの既存放送設備と連動し、建物内の住民や利用者への情報伝達する仕組みを整備

・Twitter、Facebookによる情報伝達する仕組みを整備

・既存の「安全安心メール」と連動し、防災メールで情報伝達する仕組みを整備

・池袋駅周辺の関連主体との連携(駅、商業施設等)

・新たな情報伝達手段対応

[耐災害性の向上](必須)・防災行政無線電源容量強化・リモコン起動機能の整備(2種類の遠隔操作を実装)

※防災行政無線・親局の電源対策については実施済み

※耐震、浸水対策については実施済み

[耐災害性の向上]・太陽光発電装置・省電力化

情報伝達手段について(多様化・高度化)

耐災害性の向上

・実証実験でのシステム整備範囲(必須・選択要件)は下記の通りである。→今後の整備計画については、「将来像」として明記する。

実証実験でのシステム整備範囲 将来像

(8)豊島区ホームページ

・災害時に、豊島区のホームページの防災関連のページの掲載されている情報を更新する。

Page 7: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

5

3.実証実験の概要と結果

3.1.実証実験の概要

実証実験の概要と結果を以下に示す。 項

番 実験目的 対象 実験方

法 確認・測定項目 結果 目的の

達成度 想定との 相違点

1 情報伝達の確実性に

おける検証内容 防災情報

伝達制御

システム

システ

ム運用、

オペレ

ーショ

ン訓練

操作者に操作性を

ヒアリング実施 別紙2参照

- 「3.3 防災情報

伝達制御システ

ムにおける操作

の利便性の高

さ」参照

特になし

2 高性能ス

ピーカー 明瞭性

確認

想定される距離から

明瞭に聞こえるこ

と。

良 詳細は別紙1音

響測定結果報

告書を参照

特になし

3 性能測

測定した音圧レベ

ルから算出される等

価騒音レベルにお

いて 60dB 以上であ

ること。

良 特になし

4 配信実

験 配信情報が放送さ

れること。 良 特になし

5 防災無線 屋外子局

配信実

験 配信情報が放送さ

れること。 良 十分に達成 特になし

6 戸別受信

機 配信実

験 配信情報が放送さ

れること。 良 十分に達成 特になし

7 エリア(緊急速報)メール

配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成

特になし

8 ケーブル

テレビ 配信実

験 携帯端末に配信情

報が配信されるこ

と。

良 十分に達成 特になし

9 百貨店の

放送設備

接続

配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成

特になし

10 安全安心

メール 配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成

特になし

11 SNS 配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成

特になし

12 デジタル

サイネー

配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成

特になし

13 豊島区ホ

ームペー

配信実

験 配信情報が配信さ

れること。 良 十分に達成 特になし

14 耐災害性 (電源容量の確保)

防災無線 親局設備

机上確

認 48 時間の電源確保

ができること。 良 「3.4 防災無線

親局設備の電

源容量」参照

特になし

15 防災無線 屋外子局

(高性能

スピーカ

ー)

机上確

認 48 時間の電源確保

ができること。

良 同様の構成で

48 時間以上電

源確保できるこ

とを確認してい

る。

特になし

Page 8: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

6

番 実験目的 対象 実験方

法 確認・測定項目 結果 目的の

達成度 想定との 相違点

16 耐災害性 (リモコン起動)

防災情報

伝達制御

システム

リモー

ト起動

実験

リモート起動が出

来ること 良 十分に達成 特になし

17

操作の利便性の高さ 防災情報

伝達制御

システム

操作者に操作性を

ヒアリング実施 別紙2参照

- 「3.3 防災情報

伝達制御システ

ムにおける操作

の利便性の高

さ」参照

特になし

18 事業者、関係機関等

との連携 総合 住民参

加型実

証実験

アンケート実施 別紙3参照

- 「3.2 事業者、関

係機関等との連

携」参照

特になし

3.2 事業者、関係機関等との連携~平成 24年度 豊島区帰宅困難者対策訓練

事業者、関係機関等との連携に係る実証実験は、平成 24 年度 豊島区帰宅困難者対策訓

練の一環として実施した。

(1)実験の概要

① 訓練の目的

・豊島区帰宅困難者対策計画に基づく各取り組みの検証

・住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験(総務省消防庁)の実施

・区と池袋駅周辺混乱防止対策協議会の役割分担及び機能の検証

・首都直下地震帰宅困難者等対策協議会が示したガイドラインに基づく取り組みの実

② 想定

平成 24 年 11 月 20 日(火)午後 2 時 00 分

東京湾北部を震源とした首都直下地震が発生、区内の震度は6弱

鉄道等の公共交通機関の運行が停止し、池袋駅周辺に多くの滞留者が発生

③ 主催

豊島区、池袋駅周辺混乱防止対策協議会

④ 実施日時

平成 24 年 11 月 20 日(火)

第1部 活動拠点設営訓練 午前 10 時 00 分~午前 11 時 30 分

第2部 総合訓練 午後 2 時 00 分~午後 4時 00 分

※ 上記のほか、大規模集客施設において、帰宅困難者対策を取り入れた自衛消防

訓練を実施

Page 9: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

7

⑤ 実施場所

池袋駅及びその周辺

⑥ 参加者

豊島区、池袋駅周辺混乱防止対策協議会、一般公募による事業所等

総数約 2,500 名

⑦ 内容

ア. 第1部 活動拠点設営訓練

地震発生から活動拠点設営用の資器材の搬送を行い、災害対策本部、現地連絡調整

所及び情報提供ステーションの設営訓練を実施

活動拠点名称 設営場所

災害対策本部 生活産業プラザ地下1階展示場

現地連絡調整所 JR池袋駅敷地内

東口情報提供ステーション 池袋駅東口タクシープール北側

西口情報提供ステーション 池袋駅西口駅前広場

イ. 第2部 総合訓練

大地震の発生により公共交通機関が停止、池袋駅周辺に多数の滞留者が発生したこ

とを想定し、滞留者に対して様々な災害情報伝達手段により情報提供を行い、発災後の

滞留者の発生から安全確保後の帰宅支援まで一連の帰宅困難者対策訓練を実施

(ア) 地震発生時の初動対応訓練

・一斉帰宅抑制に関する呼びかけ

・災害対策本部、各活動拠点における初動対応

(イ) 情報提供訓練

住民への災害情報伝達手段の多様化実証実験(総務省消防庁)の一環として、各

種の災害情報伝達手段により、正確で迅速な情報提供を実施

・エリアメール・緊急速報メール、安全・安心メール、防災行政無線の屋外拡声器

及び戸別受信機、駅構内、店内等の放送、デジタルサイネージ、としまテレビ、区ホ

ームページ、SNS(ツイッター、フェイスブック)による情報提供

Page 10: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

8

(ウ) 一斉帰宅の抑制

・滞留者の帰宅抑制

・一時滞在施設の確保、安全な移動

・一時滞在施設の運営訓練(5カ所)

一時滞在施設等(訓練用として一時的に場所を提供)

池袋駅 駅構内オレンジロード(一時待機場所)

東口方面 第一イン池袋、帝京平成大学

西口方面 ホテルメトロポリタン、東京芸術劇場

※ その他 応急手当体験(日本赤十字社)、災害伝言ダイヤルサービスの体験(N

TT東日本)等を実施

【総合訓練イメージ】

Page 11: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

9

ウ.その他 帰宅困難者対策を取り入れた自衛消防訓練

利用者保護及び従業員の一斉帰宅抑制訓練を実施(3か所)

事業所名 時刻 参 加 人

西武池袋本店 午前 9時 10 分~午前 9時 45 分 約 1,200 名

東武百貨店 午前 9時 16 分~午前 9時 45 分 約 1,200 名

ホテルメトロポリタ

ン 午後 2時 00 分~午後 4時 00 分の間で実施 約 100 名

⑧ 進行概要

想定時刻 訓練項目 実施内容

10:00

11:30

【第1部】 災害対策本部を設置

・災害対策本部より各活動拠点の設置を指示 ・活動拠点設営用の資器材を搬送

各活動拠点の設営開始 ・現地連絡調整所、情報提供ステーションの設営を実施

14:00 14:30

【第2部】 地震発生

・下記伝達メディアで地震発生による一斉帰宅抑制を周知 防災行政無線、安全・安心メール、Twitter、FACEBOOK、

豊島区公式ホームページ、デジタルサイネージ(東武百貨店、

ダイドードリンコ) ・初動対応 ・滞留者に対し、一斉帰宅抑制を広報 一斉帰宅の抑制 ・災害対策本部等の設置、現地連絡調整所、情報提供ステーショ

ンの運用開始 ・帰宅抑制 ・現地連絡調整所が収集した情報を情報提供ステーションへ伝達

・災害伝言ダイヤルサービス体験等を実施 ・一時滞在施設の確保 ・災害対策本部が事業所に対して一時滞在施設の開設を要請

・現地連絡調整所が一時滞在施設の開設状況について情報を集約

・一時滞在施設へ移動 ・情報提供ステーションが一時滞在施設の確保状況について情報

を提供 帰宅困難者受入 ・各一時滞在施設で帰宅困難者の受付訓練を実施

・一時滞在施設の運営 ・給食訓練、仮宿泊訓練、応急手当体験等を実施

帰宅支援 ・現地連絡調整所からの帰宅支援に関する情報により帰宅開始を

判断 ・帰宅支援情報を提供 ・下記伝達メディアで公共交通機関の運行状況等の帰宅支援情報

を情報提供 防災行政無線、安全・安心メール、高性能スピーカー、 戸別受信機、エリアメール(docomo)、緊急速報メール(au、softbank)、Twitter、FACEBOOK、豊島区公式ホームページ、

館内放送、デジタルサイネージ(東武百貨店、ダイドードリン

コ)、豊島テレビ 16:00 訓練終了 ・訓練参加者よりアンケート回収

Page 12: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

10

⑨配信先伝達手段

仮設の実験環境により以下に示す伝達メディアに配信を行う。

・高性能スピーカー(西口)・屋外拡声器(東口)

防災無線

・館内放送・デジタルサイネージ(地下)

東武百貨店

・館内放送

西武百貨店

・館内放送

鉄道(JR、メトロ、西武、東武)

・館内放送

丸井ほか

・デジタルサイネージ(自販機)

ダイドードリンコ

集団向け伝達手段

・エリアメール(ドコモ)・緊急速報メール

(au、ソフトバンク)・安全・安心メール

携帯へ

・豊島テレビ(コミュニティチャンネルでの

テロップ放送)・戸別受信機

家庭へ

個人向け伝達手段

伝達制御シ ス テ ム

ワンクリック

・豊島区公式ホームページ・ 〃 (携帯版)

ホームページ

・ツィッター・フェイスブック

SNS

PULL型の伝達手段

14:30

一時滞在施設の情報提供イ

メージ

Page 13: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

11

(2)実験(アンケート)結果

別紙4.「平成 24 年度 豊島区池袋駅帰宅困難者対策訓練参加者アンケート集計結果」

を参照

3.3 防災情報伝達制御システムにおける操作の利便性の高さ

システムの操作性全般について、ヒアリング調査を行った。概ね良好という意見が得ら

れたが、下記のような意見を得た。 項目 内容

調査概要 平成 25 年 3 月 21 日 15:00- ヒアリング対象 操作研修受講職員 8 名

主な意見 システム操作研

・全員が「よくわかった」

システム操作マ

ニュアル

・全員が「よくわかった」

システムの操作

性全般

・操作に利用するノートパソコンの画面がやや小さい。

・配信先を選択するウェブ画面上で、本来は、ひとつ選択するも

のが、ラジオボタンではなく、チェックボックスになっているので、

その操作にやや不安を感じた。

・配信する前に、設定内容のプレビュー画面のような、「最終確

認」機能が欲しい。また、設定中に操作を離れると、タイムアウト

になってしまうので、途中の状態を「保存」できるような機能が必

要。

・マニュアルに記載されているような内容を、システム内で確認

するような、「ヘルプ」機能が必要ではないか。

・「エラー」がどんな時に出るのかを知りたい。

・機種依存文字の対応等、インプット(投入)はできても、アウトプ

ット(配信)ができないようなケースもあるのではないか。「配信で

きない文字は事前にはじく」「固有名詞は『かな入力』にする」な

ど、投入ルールが必要。

機器のレスポン

・操作研修で見た限りは、特に問題は感じない。

緊急時の操作

想定

・(前掲のように)確認画面が欲しい。また、その画面をプリントア

ウトできるような仕組みがあると便利。

操作時間 ・操作研修で見た限りは、特に問題は感じない。

その他 ・庁内のルールとして、防災担当、広報担当、危機管理担当が

投入する内容を、バッティングしないようにしたい

・今後、メディアを増やす可能性があるので(公共コモンズ等)拡

張性については柔軟に対応したい。

・インターネットからの接続(リモートアクセス)は、セキュリティ上

の課題もあり、運用上の検討が必要。

研修を通じて、システムの基本操作については、高い理解を得られた。一方で、システ

ムの機能について意見も多く出たことから、今後必要に応じて適切な措置を施す必要があ

る。

Page 14: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

12

3.4 防災無線親局設備の電源容量

(1)計算条件

・防災無線親局設備を蓄電池に接続する際にかかる最大負荷電流は 13.2A である。

・蓄電池種類 MSE 形蓄電池

・蓄電池最低電圧 1.8V/セル

・蓄電池湿度 5℃

・保守率(L) 0.8

(2)負荷パターン

(2880 分=48 時間)

(3)計算

容量計算の一般式(電流値が減少する部分毎に計算)

C= {K1・I1+K2・(I2-I1)+K3・(I3-I2)・・・・・+Kn・(In-In-1)} (Ah)

C:温度 25℃における定格放電率換算容量(Ah)

K:放電時間 T、蓄電池の最低温度および許容し得る最低電圧によって決められる

容量換算時間

I:放電電流(Ah)

L:保守率

サフィックス 1.2.3……、n:放電電流の変化の順に付した T.K.I

負荷電流 (A)

通電時間 (分)

I1 13.2 2880

放電時間合計 2880

14

12

10

8

6

4

2

0

1000 2000 3000 4000

13.2

放電時間(分)

放電電流(

A)

Page 15: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

13

C1=799 T1=2880

K1=48.4

今回整備の直流電源装置は、800Ah の蓄電池を接続しており、現在の防災行政無線設備

の最大消費電流 13.2A であるので、防災行政無線設備は 48 時間の商用電源停電時におい

ても稼働することが可能である。

Page 16: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

14

4.実験の写真

実証実験の写真を以下に示す。

NO 写真

1 ホーンアレイスピーカー外観(実験項目番号2)

2 高性能スピーカー性能測定模様(実験項目番号 2~4)

3 防災無線屋外子局への配信(実験項目番号5)

Page 17: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

15

NO 写真

4 戸別受信機への配信(実験項目番号6)

5 エリア(緊急速報)メールへの配信(実験項目番号7)

6 豊島ケーブルネットワークへ貸与する携帯端末への配信(実験項目番号8)

Page 18: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

16

NO 写真

7 西武百貨店の館内放送への配信(実験項目番号9)

8 安全安心メールへの配信(実験項目番号10)

9 Facebook への配信(実験項目番号11)

Page 19: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

17

NO 写真

10 twitter への配信(実験項目番号11)

11 デジタルサイネージ・ダイドードリンコへの配信(実験項目番号12)

12 デジタルサイネージ・東武百貨店への配信(実験項目番号12)

Page 20: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

18

NO 写真

13 豊島区ホームページへの配信(実験項目番号13)

14 デジタルサイネージへの配信(実験項目番号18)

15 避難する参加者達(実験項目番号18)

Page 21: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

19

NO 写真

16 避難場所(実験項目番号18)

17 避難する参加者達(実験項目番号18)

18 デジタルサイネージへの配信(実験項目番号18)

Page 22: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

20

NO 写真

19 デジタルサイネージへの配信(実験項目番号18)

20 避難した参加者達(実験項目番号18)

21 豊島区安心安全メールへの配信(実験項目番号18)

Page 23: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

21

NO 写真

22 エリアメールへの配信(実験項目番号18)

23 デジタルサイネージへの配信(実験項目番号18)

24 デジタルサイネージへの配信(実験項目番号18)

Page 24: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

22

5.まとめ

5.1 情報伝達の確実性の検証(情報伝達手段・内容の高度化)

(1)多様な情報伝達手段に対する情報伝達の検証

以下に示す多様な伝達手段に対する配信実験を実施した。 配信先 確認内容

高性能スピーカー 第一西池ビル屋上に設置したホーンアレイスピーカーに音声が配信で

きることを確認した。

また、池袋駅西口ロータリー近辺において音圧測定を実施したが、十

分な音圧を確保できた。

防災無線屋外子局 既設の防災無線に対し、防災情報伝達制御システムから音声配信がで

きることを確認した。

戸別受信機 既設の戸別受信機に対し、防災情報伝達制御システムから音声配信が

できることを確認した。

エリア(緊急速報)メール Docomo・au・Softbank に対し、エリア(緊急速報)メールが配信でき

ることを確認した。

ケーブルテレビ 「豊島ケーブルネットワーク」へ豊島区から貸与予定の携帯端末に対

し、情報配信ができることを確認した。

百貨店の放送設備接続 既設の西武百貨店・東武百貨店における館内方法設備に対し、音声配

信ができることを確認した。

安全安心メール 豊島区のメールマガジンである「安心安全メールに対し、メール配信

ができることを確認した。

SNS Facebook、twitter に対し、音声配信ができることを確認した。

デジタルサイネージ 既設のダイドードリンコ・東武百貨店に設置されたデジタルサイネー

ジ装置に対し、配信情報が表示されることを確認した。

豊島区ホームページ 豊島区ホームページに「お知らせ」情報として、情報配信できること

を確認した。

(2)災害情報を個々人に確実に伝える手段の確保

池袋駅においては、これまで現状の屋外受信機(拡声器)の音声が届く範囲が極めて狭

く、地下街が発達した駅や周辺繁華街のビル内の住民等利用者に、統制のとれた情報を確

実に提供する手段が存在しなかった。本実証実験において導入した高性能スピーカー(ホ

ーンアレイスピーカー)により音声到達範囲が改善された。また、繁華街のビル内におい

ても百貨店の放送設備接続・デジタルサイネージ等により、情報を提供する手段を確保し

た。

これらに加え、戸別受信機・エリア(緊急速報)メール・ケーブルテレビ・安心安全メール・

SNS・豊島区ホームページ等、情報伝達手段の多様化を図り、住民等利用者に確実に情報を

伝える手段を確保できた。

(3)災害伝達作業における利便性・効率性の確保

発災時には、防災担当者は連絡・対応に忙殺されるなか、迅速・的確に対応する必要が

ある。防災情報伝達手段には、情報を一元管理し複数の情報伝達手段に一括して伝達する、

自動化できることは自動化する仕組みを導入し、情報伝達作業における利便性や効率性の

Page 25: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

23

確保を図る必要がある。本実証実験において導入した防災情報伝達制御システムは、多様

な伝達手段の操作を一元的に実施し、同じ情報を同時に一括して伝達できる仕組みであり、

これにより、極めて短い時間で多様な伝達手段へ情報提供することが可能となった。

5.2 情報伝達手段の耐災害性の検証

(1)電源容量の確保

本実証実験以前より、防災行政無線の親局は、本区庁舎内に設置されており、発動発

電機で稼働可能であるため、燃料さえあれば長時間稼働が可能な状況となっていた。

本実証実験において、既設の防災無線親局設備に対し、万一の 48 時間に及ぶ停電に備

え、災害情報の伝送を可能とするよう電源容量を確保している。

(2)リモコン起動

本実証実験により設置したサーバ等の装置及び管理端末は、産業プラザビルに設置し

ているが、インターネット経由でのシステムの操作を可能とし、これによりリモート操

作により多様な伝達手段に情報配信ができることを確認している。これにより、防災課

のある産業プラザビル以外の建物からも、リモート起動により情報伝達が可能となる。

(3)操作の利便性

防災情報伝達制御システムは、極めて簡易な操作により情報配信が可能なヒューマン

インタフェースを持っている。操作画面は直感的にも理解しやすいものであり、災害時

に冷静さを欠いた職員が操作してもまず間違う心配の無いものと言える。

一方で、操作研修に参加した職員からは、「設定内容のプレビュー画面が欲しい」とい

ったシステムそのものの機能に対する意見もでた。また、「固有名詞の音声出力の精度」

といった運用時の留意点等に対する意見も得られたことから、今後必要に応じて適切な

措置を施す必要がある。

5.3 各種情報伝達手段との連携

駅や周辺繁華街には、多様な年代、趣向を持った人々が多く集まっている。また駅や周

辺繁華街の住民等利用者、帰宅困難者に必要な災害情報も刻々と変化する。提供すべき情

報の内容・性質も考慮し、情報提供手段を組み合わせて、情報提供することが必要である。

実証実験を通じ、一部の商業施設における館内放送やデジタルサイネージに対する緊急

情報配信を可能となった。現場の状況を的確に把握し、統制のとれた情報提供を行うため

には、商業関係施設等の関係主体との連携体制が必須である。

Page 26: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

24

平成 24 年度豊島区帰宅困難者対策訓練においても、上記の観点を取り入れた訓練のシナ

リオに基づき実施している。訓練の参加者に対して実施した伝達手段に対するアンケート

からは以下のことが言える。

(1)「エリアメール・緊急速報メール」の高さ

今回の実証実験参加者は、比較的若い層の参加者が多い。そのため参加者は、比較的、

携帯電話やスマートフォン等の利用が高いことが想定される。今回のアンケート調査の

ニーズ把握を通じて、「エリアメール・緊急速報メール」の高さが特徴的であった(全体

の 24.4%)。防災行政無線もニーズは高い(16.6%)が、特に都市部、駅周辺においては、

「エリアメール・緊急速報メール」は効果的な伝達手段のひとつと考えられる。

(2)駅前では「構内放送」のニーズが高い

上記と並行して、「構内放送」のニーズも高いことが確認された(全体の 16.9%)。タ

ーミナル駅には、大型商業施設や鉄道事業者等、多くの主体が関与している。駅周辺の

混乱対策においては、これらの主体との連携が不可欠となる。日ごろのコミュニケーシ

ョンを密に図りつつ、一方で、構内放送のような既存設備を上手に連携しながら、都市

の減災に向けたより効果的な手法を見出していく必要がある。

(3)「スタッフの呼びかけ」などアナログによる情報提供

ICT を活用した情報提供と合わせて、「スタッフの呼びかけ」といった、アナログによ

る情報伝達も有効な手段であることが確認された(全体の 12%)。災害発生の曜日や時間

帯などにもよるが、日ごろの訓練の中で、ICT 活用と連動して、こうした「人手による誘

導」等きめ細かな対応が必要となる。

(4)SNS やホームページでの情報提供

今回の実証実験では、発災場所から避難所まで不特定多数の一時滞在者を集団で避難誘

導することを想定した訓練を行った。実際の災害時には、鉄道等ライフラインの復旧具合

や、自身の地元の被災状況、家族との安否確認など、より個人にカスタマイズされた情報

を収集、あるいは帰宅困難者自身が発信するうえでは、SNS 等のメディアの存在は、今後欠

かせないものとなろう。

Page 27: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

25

5.4 他自治体への展開にあたっての留意事項等

(1)全体を通じて

国内屈指のターミナル駅・池袋駅を要する本区は、典型的な『都市型』×『繁華街型』

の地域特性を持った地区である。本実証実験における機器整備は、特に「池袋駅周辺」の

情報伝達手段強化を中心にすすめてきた。

本実証実験で実施したとりくみは、駅や周辺繁華街の住民等利用者への情報提供のシス

テムとして、標準モデルになりうるものと自負しており、首都圏の他ターミナル駅や、他

の大都市圏においても活用が期待できるものである。

一方、本実証実験で整備した防災情報伝達制御システムは、効果的な情報伝達を可能と

するが、迅速で正確な災害情報の収集、収集したデータの整理・分析を効率よく行うしく

みが整わなければ、その威力を十分に発揮することはできない。区では、総合的な災害情

報システムの設計に着手し、平成 26 年度の完成を目指している。

また、災害時に ICT を活用するためには、災害時も輻輳しない回線や停電対策が必要と

なり、経費は高額となる。今回のシステム構成を検討するにあたっては、「全滅しない」構

成にすることを心掛けてきた。防災情報伝達制御システムが故障しても、防災無線やエリ

ア(緊急)速報メール等の個々のシステムが生き残っていれば、情報伝達が可能となる。

ICT 環境が使えない事態を想定し、最後の手段としては人海戦術もあわせて用意する必要も

あると考えている。

(2)大容量バッテリー導入にあたって

本実証実験における機器整備で導入した防災行政無線親局設備用バッテリーについて、

バッテリーの容量が 5600Ah であり、管轄の消防署へ各種申請書類を提出した。消防法によ

り、区画全体でバッテリー容量が 4800Ah を超える場合は、設置場所やスペース(壁から 1

m離す等)に制限がある。

(3)鉄道事業者との連携にあたって

本実証実験における機器整備で当初計画していた「駅構内放送との連携」が実現してい

ない。駅構内放送との連携については、以下の点から断念した。

・災害時により多くの人々へ防災情報を配信することは非常に重要なことであるが、鉄

道などの交通機関の施設内に自治体から直接情報を流すことは二次的な事故を招くこ

とに繋がりかねないため、これらの組織を含めた防災の在り方については今後の課題

である。

・駅構内への回線敷設及び構内既設設備との接続については、セキュリティポリシーポ

リシー上実現困難であると、鉄道事業者より回答を得た。

Page 28: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

26

・鉄道事業者によっては、既存システムを事前に確認することにも難色を示す事業者も

あった。

(4)百貨店等との連携にあたって

本実証実験において、百貨店との連携を実現しているが、以下のような苦労もあった。

・店内のお客様が混乱しないように、作業・試験時間は深夜帯に限定された。

・百貨店によっては、研修受講等の条件を満たす立会者がいなければ作業できないため、

さらに作業可能な時間が限定された。

・J-ALERT の情報配信については、情報をそのまま配信すると、お客様が混乱する可能性

があるため、百貨店の要望を聞いたうえで、配信するメッセージを調整する作業を実

施している。

・放送との割り込み等の優先順位、デジタルサイネージにおける割込み時の処理等を修

正する必要があり(以下【例1】・【例2】参照)、百貨店側システムのプログラム改造

費が発生した。費用は、本実証実験の費用から捻出した。

【例1】館内放送における割込み優先順位の設定例

優先順位 内容

1 百貨店 火災情報

2 百貨店 震度情報(館内感震器)

3 百貨店 地震速報

4 豊島区 緊急情報

【例2】デジタルサイネージに割り込みが発生した場合のスケジュール変更例

通常運用スケジュール 緊急情報配信があった場合のスケジュール

表示内容 表示時間

A 社広告 30 秒

B 社広告 15 秒

C 社広告 30 秒

D 社広告 40 秒

E 社広告 40 秒

表示内容 表示時間

A 社広告 30 秒

B 社広告 15 秒

C 社広告 30 秒

緊急情報 40 秒

D 社広告 40 秒

Page 29: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

27

6.ご参考 帰宅困難者対策訓練情報配信シナリオ

(1)帰宅困難者対策訓練 デジタルサイネージ(テロップ)での情報発信

時刻 発信元 手段 内容 13:50 豊島区 チャイム・文

字・音声(14:

00まで繰り返

し)

豊島区からのお知らせ

間もなく、池袋駅及び周辺で豊島区の帰宅困難者

訓練が始まります。ご理解・ご協力、よろしくお願

いします。 この画面では、災害情報の提供訓練を行います。

なお、携帯各社の緊急速報メールでの情報提供を

行います。 14:30ごろ、携帯電話に一斉に訓練メールが届

きます。このメールは電源を切らない限り、マナー

モードでも専用着信音が鳴りますので、ご注意くだ

さい。 14:00 サイレン・文

字・音声

<緊急地震速報> 【訓練】緊急地震速報です。大きな揺れに注意し

てください。 その場で身の安全を図ってください。 この情報は、訓練情報です。

14:05 豊島区 チャイム・文

字・音声 (14時30分

まで繰り返し)

豊島区からのお知らせ(繰り返し情報①) 【訓練】本日、14:00、東京湾北部を震源と

するM7.3の地震が発生し、区内で震度6弱を観

測しました。 この地震により、鉄道は全線運休しています。現

在被害状況を調査中です。むやみに移動すると危険

です。落ち着いて行動してください。 この情報は、訓練情報です。 豊島区からのお知らせ(繰り返し情報②)

【訓練】災害時は携帯電話がかかりにくくなりま

すので、各種の安否確認サービスをご利用ください。

(訓練参加者の皆様は、配布済みのマップ等で利用

方法をご確認ください。) また、豊島区の公式HP、携帯版HPでも情報提

供しますのでご利用ください。 この情報は、訓練情報です。

Page 30: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

28

14:35 実証実験

豊島区 チャイム・文

字・音声 (14時40分

まで繰り返し)

豊島区からのお知らせ(繰り返し情報③) 【訓練】先ほどの地震により、鉄道は全線運休し

ており、復旧の見込みはたっていません。 一時滞在施設等についてお知らせします。

東口 第一イン池袋ホテル(70 人)黄リボン

帝京平成大学(200 人)青リボン

西口 ホテルメトロポリタン地下駐車場(100 人)

赤リボン

東京芸術劇場(150 人)桃リボン

駅内 オレンジロード(200 人)緑リボン

(2)帰宅困難者対策訓練 デジタルサイネージ(ダイドー)での情報発信 時刻 発信元 手段 内容

13:50 豊島区 チャイム・文

字・音声(14:

00まで繰り返

し)

豊島区からのお知らせ

間もなく、池袋駅及び周辺で豊島区の帰宅困難者

訓練が始まります。ご理解・ご協力、よろしくお願

いします。 この画面では、災害情報の提供訓練を行います。

なお、携帯各社の緊急速報メールでの情報提供を

行います。 14:30ごろ、携帯電話に一斉に訓練メールが届

きます。このメールは電源を切らない限り、マナー

モードでも専用着信音が鳴りますので、ご注意くだ

さい。 14:00 報知音・文字・

音声

<緊急地震速報>

【訓練】緊急地震速報です。大きな揺れに注意し

てください。 その場で身の安全を図ってください。 この情報は、訓練情報です。

14:05 豊島区 チャイム・文

字・音声 (14時30分

まで繰り返し)

豊島区からのお知らせ(繰り返し情報①) 【訓練】本日、14:00、東京湾北部を震源と

するM7.3の地震が発生し、区内で震度6弱を観

測しました。 この地震により、鉄道は全線運休しています。現

在被害状況を調査中です。むやみに移動すると危険

です。落ち着いて行動してください。 この情報は、訓練情報です。 豊島区からのお知らせ(繰り返し情報②) 【訓練】災害時は携帯電話がかかりにくくなりま

すので、各種の安否確認サービスをご利用ください。

(訓練参加者の皆様は、配布済みのマップ等で利用

方法をご確認ください。) また、豊島区の公式HP、携帯版HPでも情報提

供しますのでご利用ください。 この情報は、訓練情報です。

【総務省消防庁実証実験】「住民への災害情報伝達手段多様化実証実験」

デジタルサイネージ(ダイドー)への情報配信を行う(14:30)

Page 31: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

29

時刻 発信元 手段 内容 14:32 実証実験

豊島区

チャイム・文

字・音声 (14時40分

まで繰り返し)

豊島区からのお知らせ(繰り返し情報③) 【訓練】先ほどの地震により、鉄道は全線運休し

ており、復旧の見込みはたっていません。 一時滞在施設等についてお知らせします。(14:

30現在) 東口 第一イン池袋ホテル(70 人)黄色リボン

帝京平成大学(150 人)青リボン

西口 ホテルメトロポリタン地下駐車場(200 人)

赤リボン

東京芸術劇場(100 人)桃色リボン

駅内 オレンジロード(200 人)緑リボン

この情報は、訓練情報です。 15:00 豊島区 豊島区からのお知らせ(繰り返し情報④)

【訓練】先ほどの地震により、鉄道は全線運休し

ており、復旧の見込みはたっていません。 区内の主要道路では重大事故が発生しています。

また、大規模な火災も発生していますので、無理に

帰宅しないでください。 一時滞在施設等についてお知らせします。(15:

00現在) 東口 第一イン池袋ホテル(70 人) 満員

帝京平成大学(150 人) 西口 ホテルメトロポリタン地下駐車場(200 人)

東京芸術劇場(100 人) 駅内 オレンジロード(200 人)満員 この情報は、訓練情報です。

15:30 豊島区 繰り返し情報② 16:00 豊島区 豊島区からのお知らせ

【訓練】先ほどの地震により、鉄道は全線運休して

おり、復旧の見込みはたっていません。 区内の主要道路の事故処理は終了し、沿道の火災

は鎮火しました。帰宅経路の情報は、帰宅支援ステ

ーションを活用してください。 これで、本日の訓練は終了します。 この情報は訓練情報です。

Page 32: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

30

(3)構内放送内容<駅構内の一時待機訓練>

① 事前配布物(受付時)

ゼッケン(リボン付)、訓練用チラシ、震災時対応マニュアル、アンケート、記念品、

雨カッパ

② 事後配布物(待機中)

備蓄品(飲料水、食糧など)

時 刻 趣 旨 内 容

13:50 予告 (各社)

お客様に申し上げます。 本日、14:00から16:00まで、池袋駅及び周辺で豊島区の

帰宅困難者訓練を行います。 ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解・ご協力のほど、よろしくお

願いいたします。 なお、携帯各社の緊急速報メールでの情報提供を行います。 14:30ごろ、携帯電話に一斉に訓練メールが届きます。このメー

ルは電源を切らない限り、マナーモードでも専用着信音が鳴りますの

で、ご注意ください。

14:00

発災 (各社)

訓練、訓練。 ただ今、大きな地震が発生しました。 お客様は、落ち着いて、その場で身の安全を図ってください。 この放送は、訓練放送です。

14:01

一時待機 呼びかけ (各社)

訓練、訓練。 先ほど、大きな地震が発生しました。

震源地は東京湾北部、M7・3、豊島区内の震度は6弱でした。 この地震により、鉄道は全面、運行停止しています。 お客様は、従業員の指示があるまで、むやみに動かず、その場で待

機してください。 この放送は、訓練放送です。

14:05 安否確認 呼びかけ (各社)

訓練、訓練。 待機中のお客様にお知らせいたします。

先ほどの震度6弱の地震のため、鉄道は全線運行停止中で、再開の

めどは立っていません。 災害時は携帯電話がかかりにくくなりますので、各種の安否確認サ

ービスをご利用ください。 サービスの詳細は、配布した「震災時対応マニュアル」をご覧くだ

さい。 この放送は、訓練放送です。

14:10 区内情報 の周知 (各社)

訓練、訓練。 待機中の皆様に、豊島区災害対策本部からの情報をお知らせします。

本日、14時に発生した地震により、鉄道は全線運休中で、復旧の

めどは立っていません。 区内の幹線道路で交通事故が発生し、各所で火災も発生しています。

むやみに移動すると危険ですので、その場で待機してください。

◎開始合図 「安全・安心メール」で開始合図を配信。(受信したら放送開始)

Page 33: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

31

時 刻 趣 旨 内 容 なお、現在、一時待機場所について調整中ですので、決まり次第、

皆様にお知らせします。 この放送は、訓練放送です。

(待機中)

14:30

一時滞在

施設の周

訓練、訓練。 豊島区災害対策本部からの情報をお知らせします。 屋外で待機している方の一時滞在施設について発表がありました。

(ホテルメトロポリタン、芸術劇場、第一イン、帝京平成大学) 駅の通路等で待機中の皆様は、オレンジロードを一時待機場所とい

たしますので、移動してください。 なお、この情報は、デジタルサイネージ、携帯電話のエリアメール、

ツィッター、豊島区公式ホームページなどでも提供されています。そ

れらの情報もご確認ください。

★総務省消防庁「住民への災害情報伝達手段多様化実証実験」 「安全・安心メール」又はエリアメール(ドコモ)・緊急速報メール(au、ソフトバ

ンク)を受信したら放送開始。

<各待機場所> ※説明者は参加事業所の従業員 受入が落ち着いたら、訓練参加者に「行動ルール」を覚えてもらうため、 以下の説明を行う。(震災時対応マニュアルを資料として活用) 【説明内容】

① 「むやみに移動を開始しない」 地震時には「無理して帰らず、職場・学校に泊まる」のが大原則です。

(理由①) みなさん自身が危険な目に合わないため(事故・火災等)

(理由②) 救命救助活動を妨げないため ② 「まず安否確認をする」

帰らずに泊まるための対策 ・事前の対策 →職場・学校の安全化、備蓄の推進、個人での携行食の用意など ・発災直後の対策

→家族との連絡手段(安否確認)は、安否確認サービスを利用 ③ 「正確な情報により冷静に行動する」

安全に泊まり、無事に帰るための対策 →テレビ(ワンセグ)、ラジオによる広域情報 →自治体HP・携帯用HPなどによる地域別情報

→災害用帰宅支援ステーション(コンビニ等)の活用 <連絡手段> ・公衆電話 ・インターネット上の通信サービス(ツィッターなど)

④ 「帰宅できるまで外出者同士が助け合う」 行政・事業所に頼り切るのではなく、協力し合って対応する 【伝言板サービス体験】

・災害時伝言板(ドコモ、au、ソフトバンク) ・災害用音声お届けサービス(au、ソフトバンク、ドコモ)

Page 34: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

32

時 刻 趣 旨 内 容 16:00 終了 ただ今、16:00になりました。

豊島区災害対策本部からの情報を知らせいたします。 鉄道は、運行停止中ですが、区内の幹線道路の事故処理は終了し、

火災は鎮火しました。 これで、本日の一時滞在訓練は終了いたします。 お客様のご理解ご協力に感謝申し上げます。

Page 35: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

33

(4)館内放送内容(百貨店)

時 刻 趣 旨 内 容 13:50 予告

(各社) お客様に申し上げます。 本日、14:00から16:00まで、池袋駅及び周辺で豊島区の

帰宅困難者訓練が行われます。 ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解・ご協力のほど、よろしくお

願いいたします。 なお、携帯各社の緊急速報メールでの情報提供を行います。 14:00ごろ、安全・安心メールで情報配信訓練が行われます。

また、14:30ごろ、携帯電話に一斉に緊急速報メールによる訓

練メールが届きます。このメールは電源を切らない限り、マナーモー

ドでも専用着信音が鳴りますので、ご注意ください。

14:00

発災 (各社)

訓練、訓練。 ただ今、豊島区による池袋駅帰宅困難者対策訓練がはじまりました。

安全・安心メールは、訓練メールです。 この放送は、訓練のお知らせです。お客様のご理解とご協力をお願

いいたします。

14:30

一時滞在

施設の周

訓練、訓練。

ただ今、豊島区の池袋駅帰宅困難者対策訓練が行われています。 携帯電話に入った緊急速報メールは、訓練メールです。

駅周辺のデジタルサイネージ、ツィッター、豊島区公式ホームペー

ジなどでも訓練情報が提供されています。 お客様にはお騒がせして申し訳ございませんが、訓練へのご理解ご

協力をお願いいたします。 この放送は、訓練のお知らせです。

★総務省消防庁「住民への災害情報伝達手段多様化実証実験」 「安全・安心メール」又はエリアメール(ドコモ)・緊急速報メール(au、ソフト

バンク)を受信したら放送開始。

◎開始合図 「安全・安心メール」で開始合図を配信。(受信したら放送開始)

Page 36: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

34

別紙1 音響測定結果報告書 実証実験において行った音響測定の結果を以下の通り報告いたします。

1.測定概要 1)測定日時 :2012 年 11 月 20 日 14:30~15:30 2)測定場所 :東京都豊島区 JR 池袋駅西口周辺 3)測定会社 :東日本電信電話株式会社、NTT データ北陸株式会社、TOA 株式会社、 TOA エンジニアリング株式会社 4) 測定者 :【ポイント①】 TOA株式会社 有賀、山名、小野、村井 【ポイント②】 TOA株式会社 栗栖、木下、松本、澁谷 【ポイント③】 TOA株式会社 小川、熊谷、山内 TOAエンジニアリング株式会社 村田 5)測定項目 :音圧レベル、音声明瞭性(STI,STP)、聴感評価 6)拡声機材 :ホーンアレイスピーカー 200W(50W)×4 連 音源再生機器 パワーアンプ 200W デジタルプロセッサー 7)拡声内容 :チャイム音、アナウンス(男性)、スイープ音(3oct/5oct) 8)測定機器 :騒音計 NL-20(RION 製)3 台 録音機 DR-07、DR-1(TASCAM 製)各 1 台、H4n(ZOOM 製)1 台

Page 37: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

35

録音機 パワーアンプ 騒音計

ホーンアレイスピーカー

デジタルプロセッサ音源再生機器 三脚 【各測定ポイント】 【スピーカ設置位置】

9)測定ブロック図 10)スピーカー設置位置及び測定ポイント

●●●●P1

●●●●P2

●●●●P3

★★★★ホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカ既設既設既設既設スピーカスピーカスピーカスピーカ設置設置設置設置場所場所場所場所ホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカホーンアレイスピーカ

拡声方向拡声方向拡声方向拡声方向

図 1.スピーカー設置位置及び測定ポイント

(航空写真の出所は電子国土Web サイトより)

Page 38: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

36

★:ホーンアレイスピーカー4 連(既設スピーカーも同じビルの屋上に設置) 取付高さ:スピーカーの中心高さ約 35m 取付角度:下向き 7° 拡声方向:北北西(図 1 矢印方向)

図 2. ポイント P1 よりスピーカー設置場所を望む 図 3. スピーカー設置場所 ●:ポイント P1:池袋駅西口ロータリー前 スピーカーからの直線距離 約 70m。見通しあり。

図 4. 測定ポイント P1 図 5. 測定ポイント詳細 図 6. スピーカー方向

●:ポイント P2:三菱東京 UFJ 銀行前 スピーカーからの直線距離 約 135m。見通しあり。

図 7.測定ポイント P2 図 8.スピーカー方向

Page 39: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

37

●:ポイント P3:ホーンアレイスピーカー設置場所直下(電話ボックス横) スピーカーからの距離約 35m。見通しなし。

図 9.測定ポイント P3 図 10.スピーカー方向 2.測定項目 1)音圧レベル 騒音計により録音した音声から暗騒音、チャイム音と、アナウンスの等価騒音レベル(LAeq)※1を算出しました。一般的には、暗騒音に比べ 5~10dB 以上あれば聞こえると言われています。 ※1等価騒音レベル( Equivalent continuous A-weighted sound pressure Level ) 騒音レベルが時間とともに不規則かつ大幅に変化している場合に、ある時間内で変動する騒音のエネルギーに着目して時間平均値を算出したものです。 2)聴感評価 音圧測定者の聴感により 1.「明瞭に聞こえて内容も理解できる」 2.「明瞭ではないが内容は理解できる」 3.「音がなっているのは聞こえるが内容は理解できない」 4.「聞こえない」 の評価を行いました。

スピーカー設置場所 第一西池ビル屋上 スピーカー取付高さ 約35m (地面よりスピーカー中心) スピーカー取付角度 水平 下向き 7度 スピーカー拡声方向 北北西 (図1矢印方向) 測定ポイント スピーカーからの距離 備 考 P1 約70m 池袋駅西口ロータリー前。見通しあり。 P2 約135m 三菱東京UFJ銀行前。見通しあり。 P3 約35m ホーンアレイスピーカー設置場所直下(電話ボックス横)。見通しなし。

Page 40: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

38

3.測定結果 録音データから算出した値と当日の聴感評価を表にしました。 1)ホーンアレイスピーカー (出力W数:200W) 音圧レベル チャイム アナウンス 測定箇所 スピーカーからの距離 暗騒音 レベル 拡声音 音圧差 拡声音 音圧差 聴感評価 P1 約70m 62.0dB 83.2dB + 21.2dB 75.6dB + 13.6dB 1 P2 約135m 63.9dB 86.8dB + 22.9dB 74.0dB + 10.1dB 1 P3 約35m 65.5dB 88.7dB + 23.2dB 78.8dB + 13.3dB 2 2)既設スピーカー 音圧レベル チャイム アナウンス 測定箇所 スピーカーからの距離 暗騒音 レベル 拡声音 音圧差 拡声音 音圧差 聴感評価 P1 約 70m 61.7dB 67.4dB + 5.7dB 62.1dB + 0.4dB 3 P2 約135m 62.5dB 70.3dB + 7.8dB 61.9dB - 0.6dB 4 P3 約 35m 65.8dB 73.3dB + 7.5dB 66.0dB + 0.2dB 3 4.考察

測定地点3ポイントでのホーンアレイスピーカーの音圧レベルは、暗騒音レベルに対してチャイム音で20dB 以上、アナウンス音で 10dB 以上の音圧が確保されており充分と言えます。聴感評価でも内容が理解できる状態になっています。既設スピーカーでは、チャイム音 5dB以上で聞き取れるレベルですが、アナウンス音では、暗騒音レベルとほぼ同等の値なので充分聞きとれる音圧レベルではありません。 この測定でホーンアレイスピーカーについては十分な遠逹性が確認できましたが、既設スピーカーについては十分な数値とは言えません。スピーカーが見通せないところでの補助的な配慮も必要と考えます。

Page 41: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

別紙2

39

災害情報伝達制御システムの操作性利便性について

○調査内容

大項目 中項目 設問/評価項目など

(1)システム操作研修

について

①使いやすさ、分かり易

よくわかった/分かった/分からなかった

/全く分からなかった

(2)システム操作マニ

ュアルについて

①使いやすさ、分かり易

よくわかった/分かった/分からなかった

/全く分からなかった

(3)導入したシステムの

操作性全般について

①使いやすさ、分かり易

業務に支障ある/ない

とても気になる/気になる/気にならない

②機器操作のレスポン

業務に支障ある/ない

とても気になる/気になる/気にならない

③緊急時を想定した場

業務に支障ある/ない

とても気になる/気になる/気にならない

④操作にかかる時間 業務に支障ある/ない

とても気になる/気になる/気にならない

⑤その他 (ディスカッションなど)

(4)システム運用に向

けた質問、想定される

留意点

(ディスカッションなど)

(5)その他 (ディスカッションなど)

Page 42: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

別紙3

40

参加者アンケート

1 あなた自身について、お答えください

(1) あなたは豊島区民ですか

①はい ②いいえ → 「②いいえ」の方、お住まいはどちらですか (東京都内、埼玉県、千葉県、神奈川県、その他)

(2) 性別・年齢層をお答えください

・性別 女性・男性 ・年齢層 10 代、20 代、30 代、40 代、50 代、60 代、70 代以上 2 あなたは訓練開始時点で、どの地点にいましたか

① 西口公園 ② 西口駅前広場 ③ 地下通路 ④ 東口タクシープール 3 あなたは、一時滞在施設に関する情報提供に気が付きましたか

① はい → 設問「4-1」へ ② いいえ → 設問「5」へ 4-1 (「3」で「①はい」の方)あなたが、一番初めに一時滞在施設に関する情報提供がされて

いることに気付いた媒体は何でしたか

① 防災無線 ② 構内放送 ③ メール ④ SNS(ツイッターなど) ⑤ 区ホームページ ⑥ 電子看板(自動販売機)⑦ スタッフの呼びかけ ⑧ 情報提供ステーション ⑨ 周囲の人か

ら聞いた ⑩ 施設内の案内表示(サイン) ⑪ その他( ) 4-2 あなたが、一時滞在施設にたどり着くために、一番役立った情報を入手した媒体は

何でしたか

① 防災無線 ② 構内放送 ③ メール ④ SNS(ツイッターなど) ⑤ 区ホームページ ⑥ 電子看板(自動販売機)⑦ スタッフの呼びかけ ⑧ 情報提供ステーション ⑨ 周囲の人か

ら聞いた ⑩ 施設内の案内表示(サイン) ⑪ その他( ) → 設問「6」へ

5 (「3」で「②いいえ」の方)あなたはどのように一時滞在施設に到着しましたか

① 周囲の人についてきた ② 推測した ③ 3.11 で泊まった(知っていた) → 設問「6」へ

6 あなたは、どういう手段であれば、情報提供に気が付きやすいと思いますか。

① 防災無線 ② 構内放送 ③ メール ④ SNS(ツイッターなど) ⑤ 区ホームページ ⑥ 電子看板(自動販売機)⑦ スタッフの呼びかけ ⑧ 情報提供ステーション ⑨ 周囲の人か

ら聞いた ⑩ 施設内の案内表示(サイン) ⑪ その他( )

ご協力ありがとうございました。

平成 24 年 11 月 20 日 池袋駅帰宅困難者対策訓練

本日は、池袋駅帰宅困難者対策訓練にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。今後の対策の充実に向けて参考とするため、アンケート調査にご協力ください。 なお、お答えいただい名内容は、本調査目的以外には使用しません。

Page 43: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

41

別紙4.平成 24 年度 豊島区池袋駅帰宅困難者対策訓練参加者アンケート集計結果

(平成 24 年 11 月 20 日実施)

1.アンケート概要

今回のアンケートは、563 枚を配布したうち、499 人の参加者からの回答を得た(回答率 88.6%)

(図表 1-1 参照)

今回の実験は、主として、池袋駅の「帰宅困難者」にターゲットをあてたものである。ターミナル駅

周辺の企業や学校等の協力も得ている。そのため、豊島区民の参加は全体のうち 6.6%にとどまっ

ている。参加者の内訳をみると、東京都内(豊島区以外)が 184 人(6.6%)、埼玉県が 159 人(32.0%)、

千葉県が 41 人(8.3%)、神奈川県が 29 人(5.8%)、その他が 51 人(10.3%)となっている(図表 1-2 参

照)。

また性別については、女性が 136 人(29.1%)であるのに対し、男性が 332 人(70.9%)となっている。

(図表 1-3 参照)。年齢層については、20 代が最も多く 129 人(26.1%)、次いで、40 代 94 人(19.0%)、

10 代 87 人(17.6%)となっている(図表 1-4 参照)。

図表 1-1 アンケート回答数

配布数 563

回収枚数 499

〔回答者属性〕

図表 1-2 アンケート回答者の居住地

33

184

159

41

29

51

2

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

豊島区民

東京都内(豊島区以外)

埼玉県

千葉県

神奈川県

その他

無回答

Page 44: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

42

図表 1-3 アンケート回答者の性別・年齢

87

129

66

94

72

40

6

5

0 20 40 60 80 100 120 140

10代

20代

30代

40代

50代

60代

70代以上

無回答

図表 1-4 アンケート回答者の性別

136

332

31

0 50 100 150 200 250 300 350

女性

男性

無回答

Page 45: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

43

2.訓練開始での所在地点

本訓練では、受付を済ませた後、何か所かの集合場所に集合することとしていた。回答者のうち

4 か所の内訳は以下の通りであった(図表 2-1 参照)。

その他の内容としては、ホテルメトロポリタン 2 名、西口コンコース 1 名、南口(東上線等)3 名、東

上線ホーム 1 名と回答している。

図表 2-1 訓練開始での所在地点

68

169

134

91

7

30

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180

① 西口公園

② 西口駅前広場

③ 地下通路

④ 東口タクシープール

その他

無回答

Page 46: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

44

3.一時滞在施設に関する情報提供

一時滞在施設への情報提供は、今回の実証実験においては、①防災無線(拡声機)、②構内放

送、③エリアメール・緊急速報メール1、④安全・安心メール、⑤SNS(ツイッター等)、⑥区ホームページ、

⑦電子看板(自動販売機)といったツールを用いて行った。その際、この情報提供に「気付いた」と

回答した参加者は、全体の 359 人(76.2%)、気付かなかった、と回答した参加者は、112 人(23.8%)

であった(図表 3-1 参照)。

図表 3-1 一時滞在施設に関する情報提供

359 112

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

① はい ② いいえ

1 エリアメール:ドコモ、緊急速報メール:au、ソフトバンク

Page 47: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

45

4-1.一時滞在施設に関する情報提供を知った媒体

まず、一時滞在施設に関する情報提供のうち、14:30 の周知の際、もっとも最初に気付いたメディ

アについては、もっとも多かったエリアメール・緊急速報メールが127人(28.3%)、次いで構内放送が

74 人(16.5%)、次いで防災無線(拡声機)が 60 人(13.4%)であった。

今回の実験中、SNS(ツイッター)や区のホームページについても情報提供を行い、それぞれ、9

人(2.0%)、2 人(0.5%)が気づいた、という回答をしている(図表 4-1 参照)。

図表 4-1 一時滞在施設に関する情報提供を知った媒体

①防災無線(拡声機), 60, 13%

②構内放送, 74, 17%

③エリアメール・緊急速

報メール, 127, 28%④安全・安心メール, 36, 

8%

⑤SNS(ツイッター等), 9, 2%

⑥区ホームページ, 2, 0%

⑦電子看板(自動販売

機), 31, 7%

⑧スタッフの呼びかけ, 57, 

13%

⑨情報提供ステーション, 16, 4%

⑩周囲の人から聞いた, 26, 6%

⑪施設内の案内表示

(サイン), 10, 2%⑫その他, 1, 0%

Page 48: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

46

4-2.一時滞在施設にたどり着くために役立った媒体

また、一時滞在施設にたどり着く上で、もっとも有益だったメディアについては、もっとも多かった

エリアメール・緊急速報メールが 97 人(22.7%)、及び同率でスタッフの呼びかけが 97 人(22.7%)、次

いで構内放送が 53 人(12.4%)であった。

今回の実験中、SNS(ツイッター)や区のホームページについても情報提供を行い、それぞれ、5

人(1.2%)、3 人(0.7%)が気づいた、という回答をしている(図表 4-2 参照)。

図表 4-2 一時滞在施設にたどり着くために役立った媒体

①防災無線(拡声機), 43, 10%

②構内放送, 53, 12%

③エリアメール・緊急速

報メール, 97, 23%

④安全・安心メール, 25, 

6%

⑤SNS(ツイッター等), 5, 1%

⑥区ホームページ, 3, 1%

⑦電子看板(自動販売

機), 21, 5%

⑧スタッフの呼びかけ, 97, 23%

⑨情報提供ステーション, 13, 3%

⑩周囲の人から聞いた, 

35, 8%

⑪施設内の案内表示

(サイン), 15, 3%

⑫その他, 21, 5%

自由記述の中には、下記のような内容だった。

・路上の周辺地図

・場所を知っていた

・駅員さんまたは関係者の誘導

・到着してから情報があった

・配布地図

・スマホの GPS 機能

・会社

・周囲の人に聞いた

・団体行動

Page 49: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

47

5.媒体以外での一時滞在施設へのルートの認知

一方、「一時滞在施設の情報に気が付かなかった」と回答した参加者は、主として、周囲の人々

の動きを見ながら、自らの行動を判断した、と回答している(図表 5-1 参照)。

図表 5-1 媒体以外での一時滞在施設へのルートの認知

96

6

3

0 20 40 60 80 100 120

① 周囲の人についてきた

② 推測した

③ 3.11で泊まった(知っていた)

6.情報提供ニーズ

帰宅困難時で誘導を行う際、対象者側から見た情報提供メディアのニーズについて、もっとも多

かったエリアメール・緊急速報メールが 242 人(24.4%)、次いで構内放送が 167 人(16.9%)、次いで防

災無線(拡声機)が 164 人(16.6%)であった(図表 6-1 参照)。

Page 50: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

48

図表 6-1 情報提供ニーズ

①防災無線(拡声機), 

164, 17%

②構内放送, 167, 17%

③エリアメール・緊急速

報メール, 242, 24%

④安全・安心メール, 49, 

5%

⑤SNS(ツイッター等), 44, 

5%

⑥区ホームページ, 13, 1%

⑦電子看板(自動販売

機), 60, 6%

⑧スタッフの呼びかけ, 122, 12%

⑨情報提供ステーション, 

34, 3%

⑩周囲の人から聞いた, 

33, 3%

⑪施設内の案内表示

(サイン), 57, 6%⑫その他, 5, 1%

これを、「実際の気づき」と比較を行うと、下記のような情報提供ニーズと実態の差異分析が行わ

れる(図表 6-2 参照)。どのメディアにおいても、「最初に気付いたメディア」「役に立ったメディア」

「メディアのニーズ」の順序になっている。また、エリアメール・緊急速報メールや、構内放送等への

期待が大きい。

SNS や区のホームページといったメディアについては、やや期待度は低く出ているが、実際の災

害時には、東日本大震災等でも証明されたように、大きく活躍するものと考えられる。

こうしたメディアの整備を重点的に行う一方、「スタッフの呼びかけ」といった人的な対応について

も期待されることが分かる。

Page 51: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

49

図表 6-2 メディアごとの比較(気づいたもの、役立ったもの、ニーズ)

0.00%

10.00%

20.00%

30.00%

40.00%

50.00%

60.00%

70.00%

80.00%

①防災無線(拡声機)

②構内放送

③エリアメール・緊急速報メール

④安全・安心メール

⑤SN

S(ツイッター

等)

⑥区ホー

ムペー

ジ⑦電子看板(自動販売機)

⑧スタッフ

の呼びかけ

⑨情報提供ス

テーション

⑩周囲の人から聞いた

⑪施設内の案内表示(サイン)

⑫その他

ニーズ

役に立った

最初に気付いた

Page 52: 住民への災害情報伝達の多様化実証実験に 係る機器整備 実証 ... · 2019. 3. 12. · 3 2.2 実験使用機材の構成表 実験使用機材の構成表を以下に示す。

50

7.その他、自由意見等

★その他意見等★

・最初の集合場所では、拡声機の声がほとんど聞こえず、ただ立っているだけだった。障害のあ

る方々が参加したときのことも想定してやってほしいと思いました。(50 代女性)

・拡声機等での話の内容はほとんど聞き取れなかった。訓練の内容や方法など登録者にはある

程度事前に知らせてほしかった。(東京都内/40 代女性)

・14:32 のメールが、14:48 に着信(au)(神奈川県/40 代女性)

・サイネージでいろいろな情報を得たい。文字情報が大切。音や人からの情報は、間違えやす

い。(千葉県/50 代男性)

・障害者(身体・知的)対策を考えた訓練も必要。(豊島区/70 代以上)

・安全・安心メールの表現がわかりづらい!!リボンの色と行先がよくわからない。(豊島区/40

代女性)

・拡声機は、何を言っているのか内容が聞き取れなかった。(豊島区/50 代女性)

・防災無線(拡声機)は、音が反響して、内容が聞き取れなかった。(東京都内/60 代男性)

・防災無線は、訓練の為音が小さかったのでしょうか。聞き取りづらかったです。(東京都内/50

代女性)

・帝京平成大学において、会場からの質問を受付け、みんなで情報を共有する必要がある。

・いざという時は、携帯は使えないと思ったほうがいい。

・AED を付ける時、毛深いとつかないので、カミソリで剃る必要がある。その説明がない。セット

の中にカミソリが入っていない。

・一時滞在施設にたどり着くための行き方は書かれていなかった。

・電子看板(自動販売機)よりも建物についている大きい電光板(宣伝用)に緊急で案内するべ

き。→各関係会社は、儲けばかりでなく、ここを考えるべき。(東京都内/女性)

・実際の時は、電子看板は人でさえぎられて見えないのではないか。ビルの側面(スクリーン)だ

と見上げてわかりやすいのでは。電子看板は、池袋西口のほうにも設置されるのですか。(東京

都内/50 代女性)