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Chapter 4
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4レイヤ
Chapter
レイヤはグラフを作成するための強力なツールです。これを利用して多軸グラフの作成や複数グラフの一画面上のレイアウトが可能になります。この章では、順番に操作してみましょう。
ORIGIN6.0
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Chapter4 - 01 レイヤとは
レイヤとはグラフを描画するウィンドウを構成する台紙のことです。レイヤの基本的な事項について解説します。
レイヤ
ORIGINのグラフはレイヤと呼ばれる台紙の上に作成されます。一枚のレイヤの上に描かれている軸は左右、上下で全く同じスケールを表示します。したがって、異なるスケールを持つ2軸グラフを作りたい!という場合は必ずレイヤを追加して2つ目のグラフを作成する必要があります。
レイヤの利用例
レイヤを使って作成したグラフの例を次に示します。
挿入レイヤ例
上下2段のレイヤ例
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左右2列のレイヤ例
2*2のレイヤ例
2Y軸のレイヤ
レイアウトウィンドウとは異なり、レイヤの場合は作成したグラフ間で軸のリンクを行えるという特徴があります。軸のリンクに関する詳細はChapter4-02「レイヤのリンク」の項を参照してください。
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レイヤアイコン
グラフウィンドウに存在するレイヤの枚数を表わし、かつレイヤの選択、アクティブレイヤの表示に利用するのがレイヤアイコンです。レイヤアイコンはウィンドウの左上角に表示されます。
レイヤアイコン(レイヤの3がアクティブになっている状態)
通常ORIGINを起動し、一つのグラフを作成した場合、レイヤアイコンの「1」が表示されます。
レイヤの追加
レイヤを追加するために次の2つのメニューが用意されています。いずれもグラフウィンドウを表示した状態で操作してください。
1.「編集」メニューの「重なりレイヤ(軸)の作成」を選択する
既存のグラフウィンドウに、メニューのような軸を持つ4種類の新規レイヤを追加することができます。
2.「ツール」メニューから「レイヤツール」を選択する
レイヤダイアログ
レイヤツールを使えば、単にレイヤを追加するだけでなく軸のスケールが設定でき、さらに子レイヤを挿入できます。子レイヤとはグラフの中にその一部を拡大表示する際に利用するレイヤのことで、機能的には一般のレイヤと全く同じです。また、あらかじめ追加するレイヤの軸の種類を決めることができます。
編集メニューの重なりレイヤ(軸)の作成
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レイヤの選択
目的のレイヤに対し、データセットを追加したり、グラフの内容、レイヤの仕様を編集する場合はレイヤをアクティブにする必要があります。レイヤをアクティブにする場合は次の方法を利用します。
(1)レイヤボタンを使う目的のレイヤ番号のレイヤアイコンをクリックします。
(2)レイヤ中のオブジェクトをクリックするただし、「フォーマット」メニューの「作図の詳細(ページ)」を選択したときに表示される「作図の詳細」ダイアログの「その他のオプション」タブ内で、「レイヤアイコンのみによりアクティブ化」がチェックされているときは、オブジェクトをクリックしても、目的のレイヤをアクティブにすることはできません。
作図の詳細ダイアログ
(3)「表示」メニューの「表示」から「アクティブレイヤ標識」を選択する複数の軸が存在し、レイヤとの関係が分かりづらいときは、「表示」メニューの「表示」から「アクティブレイヤ標識」を選択します。アクティブなレイヤの軸が強調表示されます。
アクティブレイヤ標識
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レイヤの削除レイヤを削除する場合は、レイヤアイコンにマウスを移動し、右クリックしたときに表示されるメニューから「レイヤの削除」を選択します。
マウスの右ボタンを使ったレイヤの削除
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Chapter4 - 02 レイヤのリンク
異なるレイヤ間の軸リンクの作成/変更方法および特別なリンクの作成について解説します。
親レイヤと子レイヤ
レイヤ間にリンクを作成する場合には次の基本的なルールがあります。
1. 親レイヤを基準として子レイヤのリンクを作成する。2. 親レイヤと子レイヤは同じグラフウィンドウ中に存在しなければならない(異なるグラフウィンドウ間でのレイヤのリンクは作成できません)。
3. 親レイヤのレイヤ番号が子レイヤのそれよりも小さくなければならない(例:親レイヤ番号3なら子レイヤは4以降とする)。
レイヤ番号の変更
親レイヤの番号が、子レイヤの番号よりも大きくなってしまった場合、これをメニュー操作で変更することはできません。次に示すLabTalkコマンドを利用してください。はじめに次のサンプルデータを準備します。
サンプルデータ
次の手順でグラフを作成します。
1. A(X)とB(Y)を使って「線+シンボル」のグラフを作成します。
2. 「編集」メニューの「重なりレイヤ(軸)の作成」から「(リンク)右Y軸」を選択します。
3. レイヤアイコン2をダブルクリックし、データセットC(Y)を追加します。
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グラフの様子を次に示します。
異なるレイヤ間での凡例の表示方法はChapter6-07「凡例」の項目を参照してください。
この時、親レイヤは1の「線+シンボル」のグラフで、子レイヤは2の「折れ線」グラフです。このリンク関係を逆転してみましょう。分かりやすくするために、子レイヤの「折れ線」を縦棒グラフにします。「折れ線」をダブルクリックして、「作図の詳細」ダイアログの左下にある作図形式から「縦棒/横棒」を選びます。そして、棒の塗りつぶしの色を「緑」にして、OKを押します。「線+シンボル」のグラフが縦棒グラフの後ろに隠れてしまっているのがわかります。
「ウィンドウメニュー」から「スクリプトウィンドウ」を選択し、次のコマンドを入力し、Enterキーを押してください。
page.reorder(1,2)
レイヤを使ったグラフ
折れ線を棒グラフに変更
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これを実行するとグラフは次のようになります。
レイヤ番号を置き換えたときのグラフ
標準ツールバーの「スクリプトウィンドウ」ボタンをクリックするか、ショートカットキー「ALT+3」を使っても、スクリプトウィンドウを開くことができます。
実行したスクリプトにはステートメントの最後にセミコロン(;)が自動的に付きます。!Attention
軸リンクしたレイヤの作成
Chapter4-01「レイヤとは」の項でも説明しましたが、あらかじめ軸リンクしたレイヤを作成する場合は、「編集」メニューから「重なりレイヤ(軸)の作成」の中から、「リンク」とあるものを選択します。
「編集」メニューの「重なりレイヤ(軸)の作成」
または「ツール」メニューから「レイヤツール」を選択し表示されるレイヤダイアログを使います。
スクリプトウィンドウボタン
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レイヤダイアログ
独立したレイヤ間にリンクを作成
サンプルデータからリンクの無い2つのグラフを作成してみましょう。新規のグラフウィンドウを作成します。このとき、空のレイヤ1が表示されています。レイヤダイアログの追加タブで、左端にある「標準のレイヤ」ボタンをクリックし、レイヤを追加します。この時点では、グラフを見ても軸が重なって表示されていますので、2つのグラフがあることを分かりづらいかもしれませんが、レイヤアイコン「1」と「2」があるのがわかります。次に、配置タブで上下2つのレイヤボタンをクリックします。その時のグラフウィンドウは次の通りです。
リンクの無いレイヤを作成
レイヤボタンをクリックして、それぞれにデータセットB(Y)とC(Y)を追加します。
標準のレイヤボタン
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データセットをグラフ化
子レイヤは上側の縦棒グラフです。レイヤアイコンをクリックして子レイヤをアクティブにします。「フォーマット」メニューの「作図の詳細(レイヤ)」を選択して、作図の詳細ダイアログを表示します。「軸のリンクと縮尺」タブをクリックして、「リンク先」のドロップダウンリストから「レイヤ1」を選択して、OKボタンをクリックすれば、レイヤ間にリンクを作成できます。
作図の詳細(レイヤ)ダイアログ
リンク軸のカスタマイズ
次のサンプルデータを準備してください。
サンプルデータ
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このデータを元に散布図を作成します。X軸タイトルを「直径(inch)」としてください。
散布図
「編集」メニューの「重なりレイヤ(軸)の作成」から「リンク:上X軸」を追加します。
上X軸(リンク)を追加
CTRLキーを押した状態で、レイヤアイコンの2をダブルクリックします。「作図の詳細」ダイアログの「軸のリンクと縮尺」タブをクリックします。
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「作図の詳細」ダイアログの「軸のリンクと縮尺」タブ
「X軸リンク」の項目で「カスタマイズ」をチェックし、それぞれ次のように入力します。
X1=2.54*X1X2=2.54*X2
OKボタンをクリックします。
このカラムには次の要領で数式を入力します。
子レイヤの開始値X1=親レイヤの開始値X1による関数子レイヤの終了値X2=親レイヤの終了値X2による関数
この操作により、親レイヤを変化させると自動的に子レイヤのスケールも調整されます。親レイヤのX軸のスケールを変えてみましょう。これだけで、子レイヤの軸スケールも変わるのが確認できます。
作図の詳細ダイアログ
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リンク軸をカスタマイズしたグラフ
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Chapter4 - 03 レイヤの編集
作成したレイヤの編集方法と関連するメニューについて解説します。
レイヤサイズの変更
作成したレイヤのサイズは任意に変更することができます。次に示すサンプルグラフを作成してください。
サンプルデータ
サンプルグラフ
任意の軸をクリックします。軸の色が反転しハンドルが表示されます。縦横の比率を保持したまま、サイズを変更するときはCTRLキーを押した状態でマウスをドラックします。
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CTRLキーを押した状態でレイヤサイズを変更
次のような方法で、サイズ変更すれば正確な大きさを指定することができます。
グラフをダブルクリックして、「作図の詳細」ダイアログを開きます。左側のツリー形式のアイコンでレイヤ1をクリックします。「レイヤの大きさ・描画スピード」タブをクリックして、「レイヤ領域」の幅と高さを入力します。数値の単位は、右側にある「単位」から選びます。「左」「上」は、ウィンドウに対するレイヤの左上の座標位置です。
「フォーマット」メニューから「作図の詳細(レイヤ)」を選んでもこのダイアログが現れます。
作図の詳細(レイヤ)ダイアログこのダイアログ内の項目について説明します。「フォーマット」メニューから「作図の詳細(レイヤ)」を選択すると次のダイアログが表示されます。
作図の詳細ダイアログ
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作図の詳細ダイアログ
背景タブ背景項目レイヤの背景や縁取りの設定を行います。詳細はChapter6-10「背景」の項目を参照してください。
レイヤの背景を調整
レイヤの大きさ・描画スピードタブ
レイヤ領域レイヤのサイズを調整します。単位は色々な種類が用意されています。デフォルトの状態を例えばcmとしたい場合は、空のグラフを選択し、単位をcmとした後で、これをテンプレートとして保存します。詳細はChapter6-16「グラフテンプレート」の項目を参照してください。
グラフィックスキャッシングORIGINのグラフ描画で、メモリ上のバッファを取る方法です。描画を高速化します。データ量が多く、複雑なグラフを作成するときに使用します。3Dグラフのときに、特に効果を発揮します。
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スピードモードワークシートデータ、曲線あたりの最大ポイント数
ワークシート上のデータを使って描く1つの曲線で使用されるデータポイントを間引くことで、高速化を図ります。使用するデータポイント数を指定して、その数を超えた分が間引かれます。「正確にグラフを描くこと」と「高速化」はトレードオフになっています。データ数が大量にある場合に、これを使用していると正確なグラフが描けない場合があります。チェックを外して、正確なグラフを描きましょう。
行列データ、次元あたりの最大ポイント数「ワークシートデータ、曲線あたりの最大ポイント数」と同様の機能で、こちらは、行列データに対して行います。
レイヤ表示方法タブ
スケーリングデフォルトの状態を1としたときに、軸目盛りや数値ラベルの大きさを比率で調整します。
レイヤ枠でスケール:常にレイヤ全体の大きさから適切な大きさを維持します。固定倍率:エレメントを絶対的な比率で拡大/縮小します。
標準的な子レイヤを追加
固定倍率を1.5に設定
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表示項目軸、ラベル、データの表示/非表示をコントロールします。
データ作図オプション枠でデータを切り取る:レイヤサイズやスケールを変更したときに、データや接続線が範囲外に表示される場合があります。その時に利用します。
枠でデータを切り取るオプションを有効
枠でデータを切り取るオプションを無効
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プロットを軸に優先:XY軸に位置するシンボルを軸で遮るか、または軸外にはみだして表示するかの選択を行います。
プロットを軸に優先オプションを有効(軸がシンボルの上に重ねられている)
プロットを軸に優先オプションを無効
グリッドを軸に優先:グリッド線とデータシンボルの前後表示関係をコントロールします。
グリッドを軸に優先オプションを有効(グリッドがシンボルの上に重ねられている)
グリッドを軸に優先オプションを無効
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余白による切り取り水平:水平方向で外側から指定した%で余白を作ります。データは隠されます。垂直:垂直方向で上下から指定した%で余白を作ります。データは隠されます。
上下20%を余白に設定
( Y 軸最大値が 9 なので9*0.2=1.8で、上下1.8目盛が余白になっている)
全グラフウィンドウの結合
サンプルデータから4つのグラフを、それぞれ異なるウィンドウに作成します。(異なるレイヤに作成することになります。)
(A,B), (A,C), (A,D), (A,E)の組み合わせで「線+シンボル」を4つ作ります。図のようになります。
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「線+シンボル」の4つのウィンドウ
ORIGINにはこれらのウィンドウを一つのレイヤにまとめて表示する機能があります。任意のグラフを表示した状態で、「編集」メニューから「全グラフウィンドウの結合」を選択します。
「元のプロットをとっておきますか」というメッセージがでたら、取っておく場合は「はい」、削除してしまう場合は「いいえ」をクリックします。どちらの場合も新しいグラフウィンドウに結果が表示されます。
レイヤの総数というダイアログボックスには、上下、左右にいくつのレイヤを並べるかを指定します。ここでは、デフォルトのまま上下2、左右2とします。(グラフの数が4つなので、2x2でレイヤの数と同じになります。)
指定した数の積がグラフの数より少ない場合は、あまったグラフが重なって表示されます。例えば、上下1、左右3と指定すると4つ目のグラフが重なって表示されます。(レイヤは4つできます。) 指定した数の積がグラフの数より多い場合は、さらにレイヤが追加されます。
レイヤの総数ダイアログ
Chapter 4
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そして、レイヤ間の間隔を指定して、OKを押すと全グラフウィンドウを結合したウィンドウができます。
その結果を次に示します。
全グラフウィンドウの結合
ページ設定ダイアログ
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