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CMIP3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 大島和裕,谷本陽一 (北海道大学 地球環境) 日本気象学会2008年度春季大会521

CMIP3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 · cmip3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 大島和裕,谷本陽一

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Page 1: CMIP3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 · cmip3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 大島和裕,谷本陽一

CMIP3気候モデルにおける北太平洋10年規模変動の再現性

大島和裕,谷本陽一

(北海道大学 地球環境)

日本気象学会2008年度春季大会5月21日

Page 2: CMIP3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 · cmip3気候モデルにおける北太平洋 10年規模変動の再現性 大島和裕,谷本陽一

地球温暖化研究において大規模大気海洋系10年スケール変動の再現性評価は,人為起源変化と長期自然変動の識別に重要

北太平洋中緯度域における海面水温の10年スケール変動(赤線)

PDOに伴うSST偏差

北太平洋10年スケール変動(PDO)

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• CMIP3気候モデルにおける20世紀再現実験を用いてPDO再現性を評価した先行研究として,Overland and Wang (2007) がある。彼らは北太平洋のみに着目して評価(振幅と空間構造)。

• PDOのメカニズムに関してはまだ明らかになっていないものの,有力な説の1つとして,Decadal ENSOに励起される大気のテレコネクションパターンの影響。

目的• CMIP3気候モデルにおけるPDO再現性を熱帯太平洋域におけ

る変動(Decadal ENSO)との関連性に着目して調べる。• モデル間での再現性の違いについて検討する。

先行研究

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データと解析方法24のCMIP3気候モデルにおける20世紀再現実験(20c3m)観測はHadISST, NCEP/NCAR reanalysis, NOAA OLRSST偏差:冬季(DJF)平均気候値からの偏差,線形トレンドを除去,5年移動

平均,1900年-1999年の100年間

• NPsst indexとSST偏差との相関回帰係数分布• 観測と各モデルの振幅と空間構造を比べる

赤:NPsst index (PDOの指標)青:Nino34 index (Decadal ENSOの指標)

NPsst

Nino34

観測

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PDO再現性のモデル間比較

観測とモデルを比較すると,CMIP3モデルにおいておおよそPDOが再現されている• NPsst indexの標準偏差:観測の0.5-1.2倍• 北太平洋域における空間相関係数:0.6-0.9

PDOに伴うSST偏差の空間構造: 観測と2つのCMIP3モデル(DJF)

観測 t 再現性○(r=0.87) k 再現性×(r=0.64)

Metricを算出

NPsst indexとSST偏差との回帰係数分布

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NPsst indexとSST偏差との回帰係数分布について,観測とモデルの空間相関係数

Nino3

4 in

dex

とS

ST

偏差

の回

帰係

数分

布に

つい

て,観

測と

モデ

ルの

空間

相関

係数

北太平洋域におけるDecadal ENSOに伴うSST偏差の空間構造の再現性が良いモデルほど,PDOに伴うSST偏差の空間構造も観測と合う。ただし,外れるものもあり。

領域は20°N以北の北太平洋域

PDO再現性の違いとDecadal ENSO再現性

a: BCCR-BCM2.0b: CGCM3.1_T47c: CGCM3.1_T63d: CNRM-CM3e: CSIRO-Mk3.0f: CSIRO-Mk3.5g: GFDL-CM2.0h: GFDL-CM2.1i: GISS-AOMj: GISS-EHk: GISS-ERl: FGOALS-g1.0

m: INGV-SXGn: INM-CM3.0o: IPSL-CM4p: MIROC3.2_hiresq: MIROC3.2_medresr: ECHO-Gs: ECHAM5_MPI-OMt: MRI-CGCM2.3.2u: NCAR-CCSM3.0v: NCAR-PCM1w: UKMO-HadCM3x: UKMO-HadGEM1

0.5 0.8 1.0

0

1.0

0.4

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Decadal ENSOに励起された

大気のテレコネクションパターン

SST

OLR

z500

観測

Nino34 indexに対する回帰係数分布

t PDO再現性○ k PDO再現性×

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まとめ

• 多くのモデルで観測と一致したPDOの空間構造が再現されている。

• Decadal ENSOに伴うSST偏差の空間構造の再現性が良いモデルほど,PDOに伴うSS偏差の空間構造も観測と合う。

• Decadal ENSOによる大気応答の良し悪しが北太平洋におけるDecadal ENSOに伴うSST偏差の再現性にも関係する。

• この大気応答の違いについて今後詳しく検討する。

PDOに伴うSST偏差の空間相関係数

Deca

dal

ENSOに

伴う

SST

偏差

の空

間相

関係

太平洋域(20°N)