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興亜開発㈱ 国際会員 尾上篤生 含水比による体積圧縮係数と 圧密係数の推定 © 2017 地盤品質判定士会

含水比による体積圧縮係数と 圧密係数の推定...図2 関東地区の陸成粘土のlogmv~log 𝑤 関係 (田村他:スウェーデン式サウンディングで自沈層が認められた地盤の

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Page 1: 含水比による体積圧縮係数と 圧密係数の推定...図2 関東地区の陸成粘土のlogmv~log 𝑤 関係 (田村他:スウェーデン式サウンディングで自沈層が認められた地盤の

興亜開発㈱ 国際会員 尾上篤生

含水比による体積圧縮係数と圧密係数の推定

© 2017 地盤品質判定士会

Page 2: 含水比による体積圧縮係数と 圧密係数の推定...図2 関東地区の陸成粘土のlogmv~log 𝑤 関係 (田村他:スウェーデン式サウンディングで自沈層が認められた地盤の

沈下の予測:不攪乱試料の圧密試験が原則しかし

小規模宅地では費用的に難しいそこでやむなく、従来から

1.過圧密粘性土のmvをcから推定mv=1/80c(大阪:竹中)、1/67c(関西:西田ら)、1/52c(関東:安達ら)

2.正規圧密粘性土のmvをwnとpから推定(関東の陸成粘土:田村ら)、(関東の腐植土:小黒ら)、全国の港湾・湖沼粘土(本発表)

3.正規圧密粘性土のCcをwLあるいはwnから推定

(ただし、eが分からないから沈下計算やや難)

本発表:〇wnとpによるmvの新たな推定式を提案〇cによる推定とwnによる推定の注意点

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図1 各種粘土の典型的なlogmv~log ҧ𝑝関係

(石橋他:圧密試験結果の解釈について、全地連「技術フォーラム2011」)

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図2 関東地区の陸成粘土のlogmv~log 𝑤𝑛関係

(田村他:スウェーデン式サウンディングで自沈層が認められた地盤の許容応力度と沈下の検討、建築技術2002年3月号、pp.106-111、2002)

m v=1.0x10-5・wnA, A=1.2-0.0015 ҧ𝑝 (1)

m v:[m2/kN], ҧ𝑝:(=(p 0+⊿ p/2)) [kN/m2],wn:[%]

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wnとmv ( ҧ𝑝=100kN/m2) wnとmv ( ҧ𝑝=1MN/m2)

図3 関東の腐植土のmv~log 𝑤𝑛関係

(小黒他:関東平野における腐植土層の分布と土質工学的特性、応用地質調査事務所年報 No.1, pp.105-131, 1979)

⇓𝑚v = (0.2445 log𝑤n − 0.3655) ∗ 10−2 ∗

ҧ𝑝

100

log0.0260 log 𝑤n−0.03600.2445 log wn−0.3655

(2)© 2017 地盤品質判定士会

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番号

港名深さ(m)

粘土分(%)

Ip e0 Cc

mv(at P=

100kPa)[m2/kN]

mv(at P=

1MPa)[m2/kN]

cv(cm2

/day)

1青森 15.3 31.7 31.7 2.04 0.4 4.0E-04 7.0E-05 230

2大船渡 19.2 34.3 26.7 1.56 0.5 6.9E-04 1.1E-04 360

3気仙沼 4.8 11.6 21.5 2.07 0.4 5.8E-04 8.9E-05 2700

4七尾 13 55 99.3 3.35 1.2 1.6E-03 1.7E-04 110

5富山 20.7 67 29.3 1.56 0.3 4.5E-04 8.5E-05 390

6霞ヶ浦 32.8 48 72.2 3.39 1.4 2.0E-03 1.8E-04 33

7東京 10.1 56 54.5 2.93 1.1 1.6E-03 1.4E-04 100

8東京 13.2 46.1 35.6 1.95 0.8 1.0E-03 1.3E-04 190

9川崎 16.5 64.9 68.9 2.73 0.9 1.2E-03 1.4E-04 110

10久里浜 26.8 47.2 42.6 1.59 0.7 1.3E-03 1.2E-04 60

11清水 15.2 6.3 24.4 0.84 0.3 6.2E-04 8.3E-05 290

12名古屋 26.8 36.5 29.6 1.84 0.5 7.9E-04 1.2E-04 360

13和歌山 16.6 37.9 12.6 1.43 0.4 7.3E-04 9.4E-05 2400

14錦海 7.8 60.3 75.3 3.12 2.0E-03 1.5E-04 36

15福山 7.5 51.9 69.2 2.62 1.6 2.0E-03 1.6E-04 63

16広島 19.9 61.3 84.1 3.06 1.4 1.9E-03 1.7E-04 95

17八幡浜 13.8 37.7 43.4 1.56 0.4 7.7E-04 9.5E-05 430

18小松島 8.8 25.4 11.4 1.02 0.3 4.6E-04 7.0E-05 490

19山口 10.4 32.7 44.4 2.25 0.7 1.2E-03 1.3E-04 240

20長崎 13.6 44.1 48.3 2.26 0.9 1.6E-03 1.4E-04 23

表1 全国の港湾/湖沼地域の正規圧密粘性土に関するmv

(出典:土質工学会:土質試験法、第2回改訂版、p.5-4-29)

ここで土粒子の真比重を2.67、Sr=100%を仮定し、 𝑤𝑛を求める

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mv

[m

2/k

N]

ҧ𝑝=100kN/m2において,

m v=(1.66wn -19.6)x10-5

y = 1.66E-05x - 1.96E-04R² = 6.84E-01

0.0E+00

5.0E-04

1.0E-03

1.5E-03

2.0E-03

2.5E-03

0.0 50.0 100.0 150.0

wn~mv1

y = 1.04E-06x + 3.78E-05R² = 7.51E-01

0.0E+00

5.0E-05

1.0E-04

1.5E-04

2.0E-04

0 50 100 150

wn-mv2

ҧ𝑝=1000kN/m2において,

m v=(0.104wn +3.78)x10-5

𝑚v = 1.66𝑤𝑛 − 19.6 ∗ 10−5 ∗ҧ𝑝

100

log0.104𝑤𝑛+3.78

1.66𝑤𝑛−19.6 (3)

ところで,m vと ҧ𝑝はほぼ反比例。そこで,住宅の下の深度20mにおける

初期鉛直方向有効応力を120kN/m2とすれば ҧ𝑝は130kN/m2程度であるので,

この値に近い ҧ𝑝=100kN/m2のときのm vをこの反比例定数として採用するならば,

m v=(1.66wn -19.6)x10-3/ ҧ𝑝 (4)© 2017 地盤品質判定士会

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住宅の荷重強度を20kN/m2程度,深度20mにおける初期鉛直方向有効応力を

120kN/m2とすれば ҧ𝑝は130kN/m2程度であるので,いずれの式もほぼ等価。

各近似式から推定されるm vの相互比較

0.000001

0.00001

0.0001

0.001

100 1000

mv

[m2/k

N]

p [kN/m2]

wn=120%,式(1)

wn=120%,式(2)

wn=120%,式(3)

wn=120%,式(4)

wn=50%,式(1)

wn=50%,式(2)

wn=50%,式(3)

wn=50%,式(4)

Wn=120%

Wn=50%

ҧ𝑝

図4 正規圧密粘性土と腐植土のlog ҧ𝑝~logmv関係

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Wn(%)

167

140

131

108

119

122

番号港名

深さ(m)

粘土分(%)

Ip e0 Cc

mv(at P=

100kPa)[m2/kN]

mv(at P=

1MPa)[m2/kN]

cv(cm2

/day)

1青森 15.3 31.7 31.7 2.04 0.4 4.0E-04 7.0E-05 230

2大船渡 19.2 34.3 26.7 1.56 0.5 6.9E-04 1.1E-04 360

3気仙沼 4.8 11.6 21.5 2.07 0.4 5.8E-04 8.9E-05 2700

4七尾 13 55 99.3 3.35 1.2 1.6E-03 1.7E-04 110

5富山 20.7 67 29.3 1.56 0.3 4.5E-04 8.5E-05 390

6霞ヶ浦 32.8 48 72.2 3.39 1.4 2.0E-03 1.8E-04 33

7東京 10.1 56 54.5 2.93 1.1 1.6E-03 1.4E-04 100

8東京 13.2 46.1 35.6 1.95 0.8 1.0E-03 1.3E-04 190

9川崎 16.5 64.9 68.9 2.73 0.9 1.2E-03 1.4E-04 110

10久里浜 26.8 47.2 42.6 1.59 0.7 1.3E-03 1.2E-04 60

11清水 15.2 6.3 24.4 0.84 0.3 6.2E-04 8.3E-05 290

12名古屋 26.8 36.5 29.6 1.84 0.5 7.9E-04 1.2E-04 360

13和歌山 16.6 37.9 12.6 1.43 0.4 7.3E-04 9.4E-05 2400

14錦海 7.8 60.3 75.3 3.12 2.0E-03 1.5E-04 36

15福山 7.5 51.9 69.2 2.62 1.6 2.0E-03 1.6E-04 63

16広島 19.9 61.3 84.1 3.06 1.4 1.9E-03 1.7E-04 95

17八幡浜 13.8 37.7 43.4 1.56 0.4 7.7E-04 9.5E-05 430

18小松島 8.8 25.4 11.4 1.02 0.3 4.6E-04 7.0E-05 490

19山口 10.4 32.7 44.4 2.25 0.7 1.2E-03 1.3E-04 240

20長崎 13.6 44.1 48.3 2.26 0.9 1.6E-03 1.4E-04 23

港湾/湖沼地域の正規圧密粘性土のwnとcv

上表で軟弱地盤としてはcvが異常に大きいNo.3,No.13を除外し、右上の手賀沼干拓地の底質粘土のデーターを併せてwnとcvの関係を図示

y = 979.02e-0.023x

R² = 0.5908

0

100

200

300

400

500

600

20 40 60 80 100 120 140 160 180

wn~Cv

c v =980 e-0.023wn [cm2/day] (5)

図5 粘性土と腐植土のwn~cv

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過圧密粘性土のmvをcから推定(西田他:表層地盤の沈下予測のための圧密常数の評価、

第39回地盤工学研究発表会、pp.893-894,2004)

一軸圧縮試験

mv=1/67c

圧密試験

mv=0.001 p-0.35 (5)

図6 同じ土の一軸圧縮試験&圧密試験結果

0.000001

0.00001

0.0001

0.001

100 1000

mv

[m2/k

N]

p [kN/m2]

wn=120%,式(1)

wn=120%,式(2)

wn=120%,式(3)

wn=120%,式(4)

wn=50%,式(1)

wn=50%,式(2)

wn=50%,式(3)

wn=50%,式(4)

過圧密土、式(5)

図7 正規圧密土と過圧密土のp~mv比較

1/9 1/6

200

1/3

Cから求めたmvは、wnに応じてwnから求めたmvの1/3~1/9(p=100kN/m

2で)⇒沈下を小さく見積もるから注意

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まとめ

1. 粘性土・腐植土に関する正規圧密状態のwn~mv関係は、各提案式で大差なし

2. c~mv関係式は過圧密土に対するもので、wnから推定したmvの1/3~1/9(p=100kN/m2で)と小さく見積もるから、沈下予測には要注意

3. 港湾・湖沼の正規圧密粘性土の圧密係数

c v =980 e-0.023wn [cm2/day]

ご清聴、有難う御座いました© 2017 地盤品質判定士会