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COMSOL Multiphysics®による電気化学計算
橋口真宜、米大海第1技術部
計測エンジニアリングシステム株式会社東京都千代田区内神田1-9-5 井門内神田ビル5F
http://www.kesco.co.jp/https://www.comsol.jp/
IoT指向のものづくりのための基礎セミナー「エンジニアのための電気化学 第1回」電通大リサージュ3F2017 8.30 13:00-16:50
本書の内容の無断複製・掲載はご遠慮ください。
COMSOL Multiphysics®COMSOL 社(スウェーデン、ボストン)の開発製品です。計測エンジニアリングシステム株式会社は日本国内販売総代理店です。
COMSOL Multiphysicsはマルチフィジックス解析専用の有限要素解析ソフトウェアです。
COMSOL Desktop(統合型GUI)でフィジックス連成の構築と解析レベルをそのままに誰でも使える“電卓化”ができます。
モデルビルダで解析モデル開発 アプリケーションビルダで“電卓化”
COMSOLサーバーでWeb配信/計算
グラフィック端末
現場での利用拡大
計算/実験現場からメール機能などを介したフィードバックがモデル開発を推進します。
先端的なマルチフィジックス解析を簡易GUIで利用できます。
自由なマルチフィジックス
業務革新へ
2
電気化学
3
アプリケーションライブラリの内容
バッテリー&燃料電池モジュール 電気化学モジュール
4
アプリケーションライブラリの内容
5
電気めっきモジュール腐食解析モジュール
アプリケーションライブラリの利用方法
6
mphの編集・実行
問題説明・結果・手順・参考文献など
基礎知識電気導電率
添え字
電解液(質)
固体
電位, 電流密度ベクトル
体積分率
単位法線ベクトル
化学種iの価数
関与電子数 Ox + → Red7化学種 i
化学種iの濃度
S/mV A/m
mol/m化学種iの拡散係数 m /s
基礎知識
8
== − + + , (− )
=== 6.022 × 10 1/mol
Ammolm s
= 1.602 × 10 C
電流密度
濃度流束
化学種iの電荷密度
ファラデー定数
アボガドロ数
電気素量
電場
電位
C m移動度(mobility) , = /モル気体定数 = = 8.314 J/(mol K)Cmolボルツマン定数 = 1.3806 × 10 J/K
m molV · C ·1 A = 1 C/s1 J = 1 V C単位の変換
基礎知識
電解液が電気的中性、濃度勾配がないように十分に撹拌されている場合は
= −電流密度はオームの法則と同じ形になる。
基礎式は電流密度の保存則である。· = 0= ,
価数
移動度
ファラデー定数
濃度
https://www.kesco.co.jp/conference/2014/data/ConfTokyo2014Mini_electrochemistry.pdf
= , ,9
= 0電気的中性
濃度勾配がない = 0= , (− )= = − ,=
実演1
10
COMSOL Multiphysics®による鉛酸蓄電池の解析
最も簡単な一次電流インターフェースによる解析例を紹介する。
https://www.comsol.jp/model/primary-current-distribution-in-a-lead-acid-battery-grid-electrode-9984
ユーザーでなくてもpdfはダウンロードできます。
11
解析上のポイント電解液
電極 多孔質電極
Bruggeman補正
電解質電位
電極電流
12
一次電流インターフェースの利用
13
鉛酸蓄電池
14
モデル概要:3D鉛酸蓄電池グリッドのハイ
ロード(100A)放電問題;
一次電流分布計算:セル内の電流密度分布はオーム損失で決められる;
手順
15
参考文献:
手順1.モデルビルダの立ち上げ
空間次元 3D、電気化学:第1と第2電流分布:1次電流密度分布(siec)、追加、スタディ、定常、完了
2.パラメタ定義
グローバル定義を右クリック、パラメーター、以下のように入力
16
手順3.ジオメトリ
① ワークプレーン:xz平面② ワークプレーン 1→平面ジオメトリ:矩形
③ ワークプレーン 1→平面ジオメトリ:矩形
17
手順3.ジオメトリ
④ ワークプレーン 1→平面ジオメトリ:配列
⑤ ワークプレーン 1→平面ジオメトリ:矩形
18
手順3.ジオメトリ
⑥ ジオメトリ→押出し
⑦ ジオメトリ→ブロック、そのラベルに「Electrolyte」
19
手順4.ジオメトリエンティティグループの定義
① コンポーネント1:定義:選択:明示的ラベルを「Grid+Lug」にし、ドメイン「1、171」を選択
② コンポーネント1:定義:選択:補集合ラベルを「Porous Electrodes」にする。
20
手順4.ジオメトリエンティティグループの定義
③ コンポーネント1:定義:選択:隣接入力選択「補集合: Porous Electrodes」
④ コンポーネント1:定義:選択:隣接入力選択「補集合: Electrolyte」
21
手順4.ジオメトリエンティティグループの定義
⑤ コンポーネント1:定義:選択:積入力選択「隣接1、隣接2」
22
手順5. 1次電流密度分布
① 1次電流密度分布:電極
② 1次電流密度分布:多孔質電極
23
手順5. 1次電流密度分布
③ 1次電流密度分布:多孔質電極:多孔質電極
④ 1次電流密度分布:電解質
24
手順5. 1次電流密度分布
⑥ 1次電流密度分布:電極電流
⑤ 1次電流密度分布:電解質電位
25
手順6. メッシュ
① メッシュ:その他の操作:エッジ「積:Intersection 1」を選択
② メッシュ:エッジ:サイズ
③ メッシュ:フリーメッシュ四面体
④ メッシュ:全作成26
COMSOLインプリメンテーション全体のイメージ:
手順
27
主な作業はここ
手順7.スタディ:計算
8.結果表示1:電解質電位phil分布
28
手順8.結果表示2:電位phis分布
29
手順8.結果表示3:法線電解質電流密度
30
参考文献:
31
基礎知識単位法線ベクトル
境界面
例
=(1,0,0)
面 x=一定
= (0,0,1)面 z=一定· j境界面 = , ,·
境界面
= (1,0,0)· = 1 × + 0 × + 0 × =32COMSOLでは矢印(ライン上)で法線ベクトル(nx,ny,nz)を描画できる。
基礎知識
= − + − ,拡散 移流 泳動
化学種iの流束(フラックス)
/= −=電荷密度
電場
電気力
=/ 96485 /価数(-)
この力に比例する
電流密度
=
化学種iの保存則
+ · =
33
時間依存の拡散系
34
拡散のある系(1)ベリフィケーション: 時間依存系の一次元解析
35
比較解: Cottrellの式非定常拡散(移流なし、電気泳動なし)ここでは一次元の領域を考える.x=0での還元反応を考える. = 0 = ∞t = 0, c x, 0 =t > 0, x = 0, c 0, t = 0t > 0, x → ∞, c ∞, t =c x, t = erf( x2 )
I = nFA電流
時間 t
COMSOL解は理論解と一致する
理論の適用範囲
=
· | = nF(−D | )= nF 2 12 = nFn:関与電子数 A:電極面積
36
erf: 誤差関数
実演2
37
拡散のある系(2):オレンジ電池
https://www.comsol.jp/model/orange-battery-9402
https://www.comsol.jp/blogs/learn-how-to-model-electrochemistry-orange-battery-tutorial/
関連Blog
ユーザーでなくてもpdfはダウンロードできます。
38
電極には外部回路が接続されているとする。外部回路の表現として、電極電流を設定する。
二次電流インターフェースの利用
39
このように一般の電極反応においては局所的に、アノード電流(右辺第1項)とカソード電流(右辺第2項)が同時に生じている。それらを過電圧ηがコントロールしている。それらの効果の度合いは移動係数αaとαcが決めている。
オレンジ電池
40
オレンジ電池
利用事例資料のダウンロードリンク:https://www.comsol.jp/model/orange-battery-9402
41
モデル概要:
オレンジと金属電極で作った電池の電流及び金属イオンの分布を計算;電極はそれぞれzincとcopperで
作られている。
電極-電解液界面の反応は次の通りである。
手順1.モデルビルダの立ち上げ
空間次元 3D、電気化学:第1と第2電流分布:2次電流密度分布(siec)、追加、スタディ、初期化を伴う時間依存、完了
2.パラメタ定義
グローバル定義を右クリック、パラメーター、以下のように入力
42
手順3.ジオメトリ
43
手順4.変数定義
コンポーネント1:定義:変数、以下のように入力
5.ジオメトリエンティティグループの定義
コンポーネント1:定義:選択:明示的ラベルを「Orange」にし、ドメイン「1」を選択
44
手順6. 2次電流密度分布
② 2次電流密度分布:電解質
① 2次電流密度分布:ドメイン選択「明示的:Orange」
③ 2次電流密度分布:初期値
45
手順6. 2次電流密度分布
④ 2次電流密度分布:電極表面1:Zinc nail
⑤ 2次電流密度分布:電極表面1:電極反応1
46
手順6. 2次電流密度分布
⑥ 2次電流密度分布:電極表面2:Copper nail
⑦ 2次電流密度分布:電極表面2:電極反応1
47
線形化BVを選択
線形化exp x ≅ 1 + , if ≪ 1exp − exp (− ) ≅ +
電流密度を与えることで外部負荷を表現している。
負号はこの電極から外部回路へ流出していることを示す。
手順7. 希釈種輸送
① 希釈種輸送:ドメイン選択「明示的:Orange」
③ 希釈種輸送:電極表面カップリング
② 希釈種輸送:初期値
48
電極表面から亜鉛イオンが溶出し、それが電解液中の亜鉛イオンの濃度を増やすことを電極表面カップリングで表現している。
手順7. 希釈種輸送
④ 希釈種輸送:電極表面カップリング1:反応係数
8. メッシュ:全作成
49
COMSOLインプリメンテーション全体のイメージ:
手順
50
主な作業
主な作業
手順9.スタディ
10.スタディ:計算(CPU時間は約30s)
11.結果表示1
51
手順11.結果表示2:電解質電位phil
52
手順11.結果表示3:電解質電流密度流線
53
手順11.結果表示4:イオン濃度分布
54
電気泳動・拡散
55
基礎知識:電気二重層
56
参考図書林茂雄:「エンジニアのための電気化学」、コロナ社
=++++
−−−− +++
−−
= 0Helmholtzモデル
電気的中性
電荷密度=0
電気二重層電極
=++++
−−−− +++
−−
→ 0
電気的中性電気二重層電極
Gouy-Chapmanモデル
イオンのブラウン運動を考える
= −2 sinh
→界面 界面
基礎知識:電気二重層
57
参考図書林茂雄:「エンジニアのための電気化学」、コロナ社
=++++
−−−− +++
−−
→ 0電気的中性
電気二重層
電極
Gouy-Chapman-Sternモデル
イオンのブラウン運動を考える
→
Helm
holtz
laye
r
Gouy
-Cha
pman
laye
r
界面
基礎知識:デバイ長
58
/
/1/ ≅ 0.368
1デバイ長
= exp(− )=
基礎知識:デバイ長
59
参考図書林茂雄:「エンジニアのための電気化学」、コロナ社
下記参考図書 p.7925degCとしたとき、デバイ長の簡単な計算式が掲載されている。< 50 [ ] の場合 = 1mV、荷電数z=1とするとこの条件を満たす。
= 1= 3.29 1/バルク濃度C[M]が1Mとすると、 = 0.3 バルク濃度C[M]が0.001Mとすると、 = 9.6
電気泳動・拡散のある系
https://www.comsol.jp/model/diffuse-double-layer-21981ユーザーでなくてもpdfはダウンロードできます。
60
電気二重層近傍では電気的中性が成り立たない。
Gouy-Chapman-Sternモデル
モデル設定内容
61
デバイ長の10倍
電極表面 沖合(バルク)= 0
主な作業
主な作業
電位の計算
62
デバイ長の10倍
電極表面 沖合(バルク)
比誘電率
真空の誘電率
電位差シュテルン層の厚み0.5[nm]
= 0ここでは をphiと記述している。
境界条件電極表面: 表面電荷密度を与える沖合: 電位=0を与える
基礎式:電荷保存則
有限要素解析基礎
63
· == = −· =· = · − ·
試行関数を両辺に掛ける。
微分の公式
− · = − ·式の変形
− · Ω = − · Ω領域で積分
ガウスの発散定理で面積分に変換− · Ω = − ·= 0表面電荷を設定する場合
= test( )ガラーキン法
デフォルト設定
境界条件で処理する
この式の未知数は
未知数と同じ形状関数を利用する
濃度の計算
64
電極表面 沖合(バルク)ここでは電気的中性は仮定しないので未知数2個
1 mol/m=0.001M
有限要素解析基礎
65
· == − −· =· = · − ·
試行関数を両辺に掛ける。
微分の公式
− · = − ·式の変形
− · Ω = − · Ω領域で積分
ガウスの発散定理で面積分に変換− · Ω = − ·= 0
= test( )ガラーキン法
デフォルト設定
境界条件で処理する
ここではiを外して説明する。実際には、i=cA, cXについて行う。
この式の未知数は
未知数と同じ形状関数を利用する
メッシュ
66
解の変化の激しい箇所にメッシュを密に分布させる
電極表面 沖合(バルク)
計算結果
67
濃度分布
デバイ長
今回のバルク濃度は0.001Mと非常に薄い。このような場合には電気二重層は厚くなる。
計算結果
68
電荷密度分布
デバイ長
· = −< 0= const. > 0> 0電極近傍
= 00おそらく
このような形になる
下に凸関数
計算結果
69
電位分布
1デバイ長 /
phiM=1mV
= 0.5
基礎知識
70
参考図書林茂雄「エンジニアのための電気化学」 コロナ社
面積 , 間隔 の平行平板型コンデンサの容量C電極間の電位差 , 比誘電率 ,真空の誘電率=
=面電荷密度は≡ =
基礎知識
71
電極表面の表面電荷密度を C/m積分容量を F/m≡ 0 − (∞)1 = 0 − (∞) = 0 − ( ) + − (∞) = 1 + 1
== 1 + ( ) = +2 at x = ∞| | ≪= +
の場合= とすれば良い。
基礎知識
72
Stern層の中では電位は直線分布である。
電位差は 0 − ( )であるので
= ( − )表面電荷密度は次式で与えることができる。
COMSOL
計算結果
73
Couterの展開式{}の中の1に対する補正項第1項は0.0001~0.0115つまり、今回の容量の式が成立する範囲にある。
計算結果
74
COMSOL
理論
電極電位を変化させたときの表面電荷密度
+_ = ∗ 0 − ∞= ∗ 0≡ 0 − (∞)定義より
COMSOL
計算結果
75
Gouy-Chapmanモデル、Gouy-Chapman-Sternモデルの差異
参考図書林茂雄「エンジニアのための電気化学」 コロナ社
参考図書p.79式(5.35)
Gouy-Chapmanモデル
= 11.7[ ] sinh(19.5z ) Gouy-Chapmanモデル
Gouy-Chapman-Sternモデル
活用するための資料
76
http://www.kesco.co.jp/comsol/faq/comsol_geometry_mesh_post_v51.pdf
https://www.comsol.jp/videos
https://www.comsol.jp/blogs/
https://www.comsol.jp/release/5.3
https://www.comsol.jp/release-history
リリースハイライト5.3
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ご興味を持たれた方へ
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COMSOLカンファレンス 2017 東京http://www.kesco.co.jp/conference/2017/index.html参加費無料 (お申込みは上記から)2017年12月8日 (金) 10:00-17:40東京 秋葉原 UDXギャラリー/ネクスト
https://www.kesco.co.jp/seminar/comsol/参加費無料(お申込みは上記から)
COMSOL Multiphysics セミナーコースへの参加
アンケートにご協力いただければ有りがたく存じます。次回以降のセミナーへ反映させていただきます。
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