37
t ド南経済学論集第38 巻第 l 1997 6JJ 消費税導入の経済効果 一一1990 年産業連関表を用いた予測とその評価一一 l i 'BE/ {青 1 i:i i はじめに 2 i:i'i fil 日栴決定の基一本モデル 3 節伝票方式 4 l 帳簿方式 5 i I 帳簿方式間接税(呪行方式消費税)の経済効果 一一一伝票方式間被税( ' 1 1 骨恨内閣売上税) との比}校一一一 6 i1j'j 本稿の分析の限界と今後の課題 1 節はじめに 1989 4 月, 日本経済には「消費税j とし寸名称の新型の間接税(付加価 値税)が導入された。当時の政府(竹下自民党内閣)が消費税を導入した背 景にはし E くつかの要因があった。まず,当時の税制度下で給与所得者が強く 持っていた重税感を緩和するためには所得税減税が必要で、あったこと,また 一方で、は, r 奪イ多財j 的消費に物品税等を課税するといった当時の個別間接税 中心の間接税体系は現代の消費の多様化・サービス化に対応できなくなった こと,また,来るべき高齢化社会に向けての福祉財源の確保などが,その主 たるものであった。 1989 年に消費税が導入されるまでにも,新型の間接税導入の議論は幾度か 繰り返されてきた。 1970 年代の後半には石油ショック以来の財政支出増加と ( 55 ) 55 字詰

消費税導入の経済効果tド南経済学論集第38巻第lサ 1997年6JJ 消費税導入の経済効果 一一1990年産業連関表を用いた予測とその評価一一 藤

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tド南経済学論集第38巻第 lサ 1997年6JJ

消費税導入の経済効果一一1990年産業連関表を用いた予測とその評価一一

藤 l

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第 1i:iii はじめに

第 2i:ii'i fil日栴決定の基一本モデル

第3節伝票方式

第 4節 l帳簿方式

第 5筒、i I帳簿方式間接税(呪行方式消費税)の経済効果

一一一伝票方式間被税('11骨恨内閣売上税) との比}校一一一

第 6i1j'j 本稿の分析の限界と今後の課題

第 1節はじめに

1989年4月, 日本経済には「消費税j とし寸名称の新型の間接税(付加価

値税)が導入された。当時の政府(竹下自民党内閣)が消費税を導入した背

景にはし Eくつかの要因があった。まず,当時の税制度下で給与所得者が強く

持っていた重税感を緩和するためには所得税減税が必要で、あったこと,また

一方で、は, r奪イ多財j的消費に物品税等を課税するといった当時の個別間接税

中心の間接税体系は現代の消費の多様化・サービス化に対応できなくなった

こと,また,来るべき高齢化社会に向けての福祉財源の確保などが,その主

たるものであった。

1989年に消費税が導入されるまでにも,新型の間接税導入の議論は幾度か

繰り返されてきた。 1970年代の後半には石油ショック以来の財政支出増加と

( 55 ) 55

字詰

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税1収|以文不)足ιのためにH財1司オ

悶)は}財!司4布iE正政文の再建策として, i一般消費税Jの導入を試みたが,当時の世論の

支持を得られずに導入が見送られた。その 8年後, 1986年の中将根内閣当時

にふ税制改革の要として「売上税Jの導入を提案したが,これもまた世論

の激しい抵抗に会い結局は実現をみなかった。

そして「売上税」騒動の余韻が残るq.,その後の竹下内閣のもとでも,税

制改革の一環として新型間接税の導入が提案され,その是非を巡って再ぴ日

本中を議論に巻き込んだことは記憶に新しい。上述のように,新型間接税導

入の是非をめぐる議論では,財政再建という旗印の他に,高齢化社会での同

' 民負担率増加の危機感や,海外主要国との直間比率のバランスの維持という

論点が11111され,さらに,当H寺がノ〈ブル景気のさなかであったことも幸いし,

1989年 4Hに現行の「消費税Jが導入されることとなった。消費税の導入当

時は,相当期llijは税率 (3%)の変更は行わないという建前であったが, 1994

年の細川内問(非臼民の連立内閣)が税率を 7% (i同氏福祉税」という名称

に変更)にすると発表(翌日発表を撤回)するなど,税率の引き上げの是非

についての議論がくすぶり続けた。結局1996年度終了まで税率は 3%に維持

されたが, 1996年12月18日に発表された税制改革大綱では, 1997年 4月に消

費税率が 4% (地方消費税 1%を加えれば両方で 5%)へ引き上げられるこ

となど,増税を柱とする税制改革が実施されることになった。

( 1) IIIJ按税導入にまつわる経科は,下rl" (1988). 北野・湖東(1994)等にコンパク

トに来日介されている。

( 2 ) 当時の「売上税J法案の内存については1'1rll民主党は!とIrll民 1='3t (1987) を/P,

版し広報に努めた。

( 3 ) (1111民主党は再び rm費税J法案広報のために1'1111民主党 (1989) を発行した。

4,;秘第 3iii'jの付加fillifrii税導入のシミュレーションはこの内存を及び‘,jij掲のj'i 111民主

党(1987)の内芥を基慌にしている。また大蔵行は, ",立的に税:liIJ改革の必要性を

iii命じたilflll(1988) を発行し,相UIlIJについてj義高官することをタフ。-iJiしないように

訴えた。

( 4 ) 全IJilll¥J按税会総述合会(1995) に改正の要点が記載されている。この税制改正

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~ j'i費税導入の経j存知J米-

これらー述の新型の1m接税は, 1960年代からの比較的長い経験を持つEC

諸凶の付加価値税を基本に考えJ11されており, 日本でも付加価値税の導入を

議論するとき,商品が業者1mで、取り引きされる間に税傾が累積しない「控除

法」を採るべきであるという一般了解があった。「控除法Jの付加fiUi値税には

大別して,次の二種類がある。

(a) j伝票方式J:前段階税傾控除法,タックス・クレジット方式,あるい

は,インボイネ方式とも H引工作るが,本稿以下では「伝票方式」と呼

ぶことにする。

(b) jr帳簿方式J:前段附売上高J空|徐j去,アカウント方式, とも H乎ばれるが,

本稿以下では「帳簿方式」と呼ぶことにする。

ここで,両方式の付加価値税の基本原理についてに簡単に触れておくこと

にしよう。まず, E C型付加価値税や中曽根内閣当H寺議論された「売上税J

は伝票方式にあたる。この方式で、は,企業の納税義務傾は企業のうど上に合ま

れている税額から仕入に含まれている税額を差し引くという形で求められる。

商品が業者|討を流通する際に,商品は必ず商品本体価格とそれに付加された

税額を示した伝票(インボイス)を伴うため,取引の都度これら(価格と税

額)を確定することが可能であり, したがって,前段階までの税額を控除し

て納税額を算定することが可能で‘ある。

一方,大平内閣当時の提案された「一般消費税」および,現行の「消費税J

は帳簿方式にあたり,企業の納税義務額は企業の売上から仕入をヲI~、た額(~)

わゆる付加価値額)に当該産業に課せられた税率をかけて求められる。この

は1994年11月に公布されが,所得税の累進緩和lが先行し,消費税率の引き上げは1997

年4月実施されることになっていた。 1996年の衆議院選挙の結果によっては1997年

4月の税率引き一1--'l'の実施は流動的であったが, I~I 民党は1996年12月(日 本経済新

聞1996年12月1911)に, 1997年4月からの消費税率の引き上げを改めて決定した。

( 5 ) rl本は戦後まもなく(1948年),税額が累約するタイプの間接税である「取引出

税Jを導入したが, 1!r.ド 4f1の奴JtJJlmで村正rl:にjJd~、込まれた経験がある。

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方式では,何が1liJ処から仕入れられたかを問わず,帳簿上の付加価値部分に

一定の税率を乗じて納税額を算定する。日本の零細業者にとっては,取引の

都度の伝票発行は事務能力的に大きな負担になることや,納税の際に仕入

先・売上先を必ずしも明らかにする必要がないので納税額算定の責任の所在

をあいまいにできること,様々な優遇措置や非課税措置を弾力的に運用でき

ること,また,最終消費者には優遇措置や非課税措置を受けている業者を知

られずにすむ等の理由で,この方式が最終的に採用された。

このように両方式の付加価値税は原理的に若干の相違があるもの,課税

ベースは同じ付加価値額であるから, もし単一の税率しか存在存在しないと

きには両方式の下で、課税後の生産物価格の理論値は等しくなる。しかし,複

数の税率が存在する場合や非課税措置が存在する場合には,各産業の納税義

務額や導入時における産業別の価格に与える効果の理論値は付加価値税のタ

イプによって異なる。

本稿の第ーの目的は,これら方式の税額の計算法と物価上昇に与える影響

を産業連関モデルベースで整理することである。本稿の次節以降では,産業

連関論の価格モデルを使い両者の課税方式の相違を理論的にi整理された形で

示すことにしたい。

本稿の第二の目的は,付加価値税の導入が価格体系に与える短期的影響(付

加価値税の第一次効果)を,実際に1990年時の産業連関表テ。ータに理論モデ

ルを適用し推計することである。ただ,以下に示す付加価値税の導入時の予

想物価i上昇及ぴ予想産業別納税義務額はあくまでも理論値である。したがっ

て,ここでの興味はむしろ現実と理論がどの程度事離するのかを見るという

ことになる。

後述するように,消費税はマクロ的には最終消費に課税され(実際は非企

業部門の住宅投資にも課税されるが),消費税収額はその約3%になるはずで

ある。しかし,現行の消費税には消費税率に関する「簡易課税jlJlJJや「限界

58 言宇

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消費税導入の経済効果

図表 1 民間最終消費政府消費住宅投資と消費税額(億円)

(a) (b) (c) (d) (e) (0

年度 最家終消計費 (a)の3% 消 績費 比率政最終消府費 住民宅投資間税収実 (c)/(b)

1989 2, 336, 046 70.081 40.874 58,3% 367, 336 234, 168 1990 2, 493, 930 74,818 57, 784 77.2% 395, 201 255. 526 1991 2, 618, 063 78, 542 62, 204 79.2% 417,948 230, 955 1992 2, 695, 639 80, 869 65,511 81. 0% 436, 907 226. 626 1993 2. 771, 594 83, 148 69.831 84.0% 450. 393 242. 150 1994 2. 823. 202 84. 696 70. 394 83.1% 462,114 262,490

出所:家計最終消費支出等は国民経済計算平成8年版

消費税収実績は財政統計平成8年版

控除制度Jといった特例制度が存在し,現実には脱税もあるため,実績値と

推計値は大きく事離してしまう。実際,図表 Iに示したように,税務統計か

らは興味深い数字が得られている。仮に課税ベースを家計の最終消費支出に

限ったとしても, 1990年の消費税額は 7兆 5千億円程度になるはずで、あるが,

消費税収の同年の実績は 5兆 8千億円であり,その「捕捉率jは80%にも満(日)

たない。もし課税ベースに政府消費や非企業部門の住宅投資を加えればこの

補足率はもっと下がることになる。

本稿の議論の本筋とは関係ないが,この差額の一部がいわゆる「益税J,つ

まり業者が消費者から「消費税」相当分を預かったものの当該業者が税務当

局には支払わない税額, という形で、業者の懐に残ってしまうという問題があ

る。この益税の享受者が特例制度の対象者である中小零細小売業者や個人タ

( 6 ) 簡易課税税制度とは期間中の売上高が5億円以下の業者は売上高の0.6%を納

税傾とすることができるという簡易計算の制度であり,限界控除制度とは期間売一上

高が3,000万円未満の業者は納税義務がなく, 6.000万円未満まで、の業者は売上傾に

応じて納税額が軽減されるという制度である。

( 7 ) 同民経済計算では,持家家賃や農家の自家消費が帰属計算されるので,その分

だけ家計消費が実際の取り引きより過大になるという問題はあるが,この影響はさ

ほど大きくないと考えられる。

( 8 ) 住宅投資(言うまでもないが土地は合まれなし、)に関しては,後に述べるよう

に企業部門のものは仕入控除の対象となるが,家計部門(111il人企業を合まない)の

ものは控除されない。

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クシ一等のサービス業者であり,彼等の多くが現政権 U1民党と社民党の連

立政権)の支持者層である。彼らは,消費税導入前は反対をl唱えながら導入

後は賛成するという複雑な(ある意味では分かりやす~,)行部Jを採るという

ところに,税金問題の複雑さを感じる。もっとも, r益税」とは反対に,中小

の課税業者は,販売先が需要独占的状況にある場合には,付加価値税相当分

を価格に転嫁で、きないという別の問題もある。 1989年の税制改革は法人税率

の低減も合まれていたこともあり,この点が「大企業優遇・弱い者いじめ」

の税制改革であるといわれる一つの根拠となっている。

さて,産業連関表を月:j~,た付加価値税の経済効果の研究としては,法人税

減税と付加価値税導入に伴う価格効果を取り扱ったアーロン(1968),ウ、、アー

ソロメオス(1974), ドレッシュ・リン・スタウト(1977)等の業績がある。

日本でも新型間接税導入の気運が高まる中,これらの研究をうけて,大平内

閣当時の「一般消費税Jの価格効果を扱った金子(1981,1982),'11井 (1978,

1981), '1'円根内閣当時の「売上税」の効果についての日本経済新聞(1987),

林・橋本(1987),現行の「消費税Jの効果については浅利・土居(1988),

新長(1992)等の研究が発表された。しかし,これらの研究では,二つの方

式の付加価値税がもっ経済効果の差異については明確には論及されていない。

既に述べたように,本稿はその整理を企図している。また,少々技術的な|問

題ではあるが,これらの研究では明示的にモデル化されていない国境税調整

の問題も非競争輸入型の産業連関表を月j¥, ,ることにより可能となる。玉岡・

藤川(1987),藤川(1991)ではこれらの点で改良を加えたが,本稿はこれら

の延長線にあり, 1990年ベースの産業連関表を月4~' た消費税の価格効果の分

析に焦点を絞っている。

第 2節価格決定の基本モデル

付加価値税のもたらす価格変化を分析するために,産業連関分析で、の自!日格

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消費 t~U華人の経済効果

決定モデルを応用する。使ffJする産業述I生j表のタイプを競争J愉入塑として,

産業連|英j分析で、のfiUi栴モデルを説明しておこう。件産業それぞれ一種類の生

産物を生産し, fim格ん (j=1,…,n)でも他産業,あるいは消費者等の需要者

に!以光するものとする。産業連関表のダ,J 方向では,次の会計(I~J関係が成立し

ている。

( 1) p}X} = L.p,X,} + V}

ただし,Xj(i=1,…,1Z), Xii(i,j=1,・・・ ,n ), Vj (i = 1 ,… ,n)はそれぞれ第

j産業の生産量及ぴ第 i産業-から第j産業へのrlrnu投入量,名 LIの付加fimffi'(初

であリ,ん(j=l,… ,n)は第j産業の生産物価格を表すものとする。ここで,

r1r I日j投入の物的投入係数 α戸 XjX/と名目付加価値率的二 V)Xj がそれぞ

れ定数であるとすると,次の(単位)filli格方程式が付加価値税導入前には成

主:しτいることになる。

αI}

αコ( 2) P} = L.ρ, a 1} + v} = (p 1, p~, ・…・・,ρ,, )1 1 +v)

αrυ

産業別のfilfi格定義式(2 )式を行手'JをnJし、て表し,さらに, filli格ベクトルρにっ

し、て解けばfi!li絡決定モデルの基本方程式を得る。

( 3 )ρ=ρA+v, したがって

ρ=v(I-A)ーl

ただし,tおよび uは件産業の生産物価格および付加価値率を要素とする η

( 9 ) トJ'/JII fllli fI{(は. 1 日本(,~)には )trt 川 JTlmk?:?15 余乗'J. I ,'il 定資本i}'Î~H;. 純 11 \J-tìtHL より

十t'li:I/i.されているが, ~I:;;立 /fl.ili白人 jf! の,!;!~ :!.it3辿 I~J 去をI1J~、た場合,別-tu されている iliÍJiì 人

l!f投入分を, i;l-:;I:l:は{、J'/]IIfllli f!l'Cの一民ょとして倣うことがfU.!利である。以下の式で、

は,愉人1[1'J党人分はH/)11 I!lIi (,,'昨日(こ冷まれていると Jlj!,併されたい。

61

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次の行ベクトルであり ,Aは物的投入係数である。

以下の議論はこの基本価格方程式に変形を加えるという形で進めることに

しよう。

第3節伝票方式

3-1 伝票方式の基本モデル

伝票方式の付加価値税では,納税義務者は自らの販売にかかわる付加価値

税額から仕入に含まれる税額を差しヲ|いた金額を税務当局に納めることにな

る。次の図表 2には簡単な数値例を示した。図表 2(a)の数値例で、は,付加価

値税率を10%とし, B業者は, A業者より(税抜き)100だけ仕入れ,それに

付加価値100を加え, (税抜き)200でC業者に販売している。売り上げに含ま

れる税額は200の10%である20で,仕入れに含まれる税は100の10%である10

であるから, B業者の支払う付加価値税額はその差額である10ということに

なる。もっともこの額は,税込み売り上げ220の1/11(グロス税率)マイナス

税込仕入れ110の1/11と計算することもでき,実務上はこの方法が用いられる。

図表 2(a) 税率を10%とした場合の付加価値税(伝票方式)の転嫁の様子

税抜 税込 付加 税抜 付加価値税計算方法 付加 税込仕入 仕入 価値 売上 価値税 売上

A業者 100 100x 10 % = 10 110

B業者 100 110 100 200 200 x 10 % -100 x 10 % = 10 220

C業者 200 220

一方凶表 2(b)では, A業者の税率は 5%で, B業者の税率が10%の場合で

ある。このケースでも B業者の支払う税の計算原理は同様で、'売り上げに合

(10) 税傾の税込み制Ij絡のうちに,lj める ??ll イ?を者Il税~t~ (τ) ,税抜きfilli栴に,Ijめる割合

を純HU.f.~ (1)とIf子ぶことにする。両者には τ =1/ (1+1) という|対係がある。共f本(I~J に

は,今1"1の消費税のように純税率が3%であれば,キ11税率は3/103%であり,約2.91%である。

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消費税導入の経済効果

まれる税額 (21)0の10%である20) と仕入れに含まれる税額(100の 5%であ

る 5)の差額である 15ということになる。

A業者

B業者

C業者

図表 2(')) A業者の税率を 5%. B業者の税率を10%とした場合の

付加価値税(伝票方式)の転嫁の様子

税抜 税込 付加 税抜付加価値税計算方法

付加仕入 仕入 価値 売上 価値税

100 100x 5 % = 5

100 105 100 200 200 x 10 % -100 x 5 % = 15

200 220

売税込上

105

220

それでは,産業連関分析の枠組みで,全産業が課税対象である場合のモデ

ル式を考えよう。例えば,第j産業に対してグロス税率 τJの付加価値税を課

すと,第j産業の納税義務額 (vatJ は

(4) vat, =τjP,Xj-L:τ,p,X"

であり,これを生産物一単位当りになおせば,次の式を得る。

-al,

一α百

引atつ74=τ,p,-L:τtρia'j= [τIPI. τ2P2. ・…・・, τ"ρn ]

.A.,' 11-a,j

(5 ) -an,

-alj -alj

τ1 一α2i -aZj

τ2 = [PI.ρ2. ・…・・, ρn] =ρ[τ]

τn

-a", J l-a",

ここで, [τ]じ各産業の税率を対角線上に並べた対戸j行列である。ただし,

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ここでの税率 τは税額と税込み価格の比率という意味での税率(グロス税率)

であり.いわゆる税率(税額と非課税価格との比率,ネット税率)を tとすれ

ば, τ=t/(l+t)で表せる。生産物の版売{illi格は,通常のfilfi格方程式(2 )式に,

( 5 )式で計算される税綴を上乗せしたものになる。改めていえば,次に示す

( 6 )式あるいは(7 )式で示される価格が,市場で取り引きされるべき価格で

ある。

-alJ 。IJ -alJ

-aZJ α:!J -a2J

(6 )ρJ=Lpjaリ +Vj+ρ[τl =ρI l+vJ+ρ[τ] l-a" I la" l-ajJ

-anJ anJ -anJ

この関係を,(第j産業以外の)他の産業にも定義し,芥産業の{iIIi格をまとめ

て行ベクトルの形式で‘表示すれば,次の関係を符-る。

(7 )

p=pA+v+p[τ](I-A ), したがって

ρ=v[(I一[τ])(I-A)]・l

=v(l-A)ー1(1-[τ]t'

=v(l-A)ーl(l+[t])

ここで,[tJもグロス税率の場介と 11i)様・に,ネット税率を対角線.上に故べた対

角行手IJである。(7 )ょにの故後のイi辺は,付加Ifillifu'if見が導入されるiiijの均衡化

fi断栴)j私:式の後から税率の対角行手IJを来じる形式になっている。したがって,

たとえ件版業で、税率がbl,~なっていても,ある生産物の課税後の供給filli格は,

(11 該 im:業以外の生産物の税F告にはU~作せず. ,l~H~tIìíjfilli格の 1+ (~I'I 該 J;'í~: 業:の)

ネット税率七?になることがわかる。ただし,厳栴にパえば,愉入された11;1に

も i課税されるので,作!えr'~.%の*Í1~人比F事によリ, (本f,\',~で、の)付加 fílli航率 v の変

化がうちなることになり, Jが点;i主i託:業ごとの(州11山川11町lit-栴作変fヒも tれ;:|r:b彩診

64

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消費税導入の経済効果

3-2 伝票方式における輸出税還付

通常の付加価値税は仕向地主義を採用している。仕向地主義とは生産物価

格に含まれている税金のうち間接税については,輸出の|僚に輸出業者に還付

され,当該生産物は輸出相手国において課税されるというものである。 EC

諸国では,輸出国での当該生産物に関しては,後述する「ゼロ税率Jに準じ

る扱いをし,仕入生産物に含まれている税額(伝票に記載されている税額)

を輸出業者に還付することになっている。したがって,総販売額にしめる輸

出額の比率が高ければ高いほど還付される税額が多くなるので,輸出中心の

業者は,生産物を全て国内市場向けに販売する業者に比べて販売価格を低く

設定することができるはずである。こうした制度を考慮、して価格モデルをつ

くると,基本モデルは以下のように変更される。

輸出生産物にゼロ税率を適用すると,輸出品売上には課税されず,さらに

仕入れ品価格に含まれている付加価値税は輸出向けであろうと圏内販売向け

であろうと控除できるのであるから,課税ベースは(国内総販売額一総仕入

額)となる。 Ej を第j産業の輸出額とし第j産業には τjのグロス税率を適用

するとすると,第j産業の納税義務額は,

(8) vaム =τjpj(Xj-Ej)-~ τiPiXij

であり,これを生産物 1単位当りになおせば,次の式を得る。

(9)32=山(l-e})-~山'}

ただし,ejは総産出量に占める輸出売上の割合,Ej/Xjである。したがって,

税の完全転嫁を仮定すると第j産業生産物の課税後の価格は次の関係を満た

すことになる。

(10)ρ}=~p , aij+vj+ τjpj (1 -ej)-~ τ, Pi 仏J

さらに, [eJを各産業の輸出比率を対角線に並べた行列で‘あるとして行列で

表示すれば,最終的に次の式を得る。

65

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ρ=pA+v+p[τ](l-[e])一ρ[τ]A, したがって(11)

ρ=v[(l-A)一[τ](1-A-[e])]ーl

3-3 伝票方式における投資財税額一括控除制

現在EC諸国等を中心に採用されている付加価値税は消費型の付加価値税

といわれる。消費型の付加価値税では各業者は投資財を購入するとき,当該

業者は投資財に含まれている税額を即時に納税義務額から控除できることに

なっており,本稿の序論で触れたように,マクロベースで課税ベースを見れ

ば,付加価値総額(つまり国内総生産)から輸出額と投資額を差しヲIIt)た額

になるためその名がある。第j産業の第 i産業からの投資財の購入量を Cu,ま

た第j産業産出物のー単位当りの投資財投入を資本形成率と呼ぴ,Cij( = Ci)

Xi) で表すとすると,第j産業の納税義務額、は,前項の輸出税還付を考慮、し

ないもとでは次のように表される。

(12) vatj =τjtjX}-Lτ,t,(X'j+C,})

であり,これを生産物ー単位当りになおせば,次の式を得る。

(13) 学 =τjpj-L T,P; (川 C'j ) ノ、 j ,

ここで各業者はこのように計算された税傾を転嫁して価格設定を行うものと

すれば, (6)式は次のように変形される。

(14) pj=Lt;a,}+vj+τ}tj-Lτ,t, (a 'j + C 1) )

ここで,行列 Cを各産業の資本形成率行列として,上式をまとめて表示すれ

ば,最終的に次の式を得る。

66

t=tA +v+t[τ] (1-A -C), したがって(15)

t=v[(1-A)一[τ](I-A-C)]-I

3-4 伝票方式における非課税

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消費税導入の経済効果

さて,これまでは全産業が課税対象であることを前提にモデルを示してき

たわけであるが,通常の付加価値税制においては,非課税品目の設定や非課

税業者制などの非課税措置がもられていることが多い。ここでいう「非課税J

制とは次のような制度である。まず,非課税生産物を扱う企業や非課税業者

は付加価値税を全く払わなくてよいが,購入財に含まれている付・加価値税は

控除できない。そして,課税業者も付加価値税額を計算する際に,非課税業

者からの購入財に含まれる税は控除できない(言い換えれば,非課税業者か

らの仕入れは税が含まれていないとみなすことになる)というものである。

この「非課税J制度は,課税業者であれ非課税業者であれ,購入財に含まれ

ている付加価値税をすべて控除できる「ゼロ税率J制とは異なるので注意が

必要で、ある。図表 3には簡単な数値例を示した。商品がA業者→B業者→C

業者→D業者とそれぞれ100だけの付加価値をつけながら動く中で, B業者が

非課税業者であり,その他の業者には10%の付加価値税が課せられるとしよ

う。 B業者は非課税であるから,売上には課税されないが,仕入に含まれる

税額10を控除できず売上価格は210となる。 B業者から仕入れた課税業者は,

この210には税が含まれていないとみなし,売上にかかる税額31を付加して,

売上価格は341となる。

以下,輸出税還付制度及ぴ投資財税額一括控除制度が無いという条件のも

とでこれら両制度を産業連関分析の枠組みでモデル化してみることにする。

A業者

B業者

C業者

D業者」

図表3 A業者, B業者, c業者, D業者と商品が動く過程で,

B業者が非課税業者でその他業者に関しては.税率10%

とした場合の付加価値税(伝票方式)の転嫁の様子

税抜 税込 付価加値税抜

付加価値税計算方法 付加仕入 仕入 売上 価値税

100 100x 10 %ニ 10

100 110 100 200

210 100 310 310x 10%= 31

310 3-!l

税売込上

110

210

341

67

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• ぎ割h

ここでは,第 k産業のみが「非課税」産業で、ある場合を考えよう。この場合,

第h産業は付加価値税の納税義務はないが,仕入に含まれている付加価値税

(前段階までの付加価値税)も控除することができない。その他一般の課税

産業(たとえば第j産業)に関しては,納税義務額については形式上は(4 )式

の基本納税義務額の算出方程式と同様であり,その中の第 k産業の税率をゼ

ロ (τk=O) と考えればよい。

Cl6a) vatk = 0

Cl6b) vatj =てJPJXj-Lτtρ,X,}> (ただしれ=0)

(16b)式を生産物ー単位当りの付加価値税額にする際には,形式的には(5)式

と同様で、,その中で九二Oと考えれば良い。 [τ(kl]は [τ]のうちれ=0とし

た行列とすれば,次の式を得る。

-a1j

-a2J

Cl7) 学=p[九]Aj 11-a}}

-a"J

ここで各業者はこのように計算された税額を転嫁して価格設定を行うものと

すれば, (6)式は次のように変形される。

-alJ a1j -al}

-a2J aZJ -a2J

(18) PJ=LPJaiJ+vj+ρ[τ山)] =P +Vj+ρ!日)]l-aJj αJJ l-a}}

-anj α町 -anj

これら,課税産業・非課税産業の扱いの違いを考成すると,全産業のfiHi格べ

68

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消費税導入の経済効果

クトルは次の方程式を満たす。

(k列め)

l-a11 -a12 ・・・ 0 ・・・ -a1ll

-a21 l-a22 ・・・ 0 ・・・ -a2n

p=ρIA+v+ρ[τ情)]

(19) -an1 -a n2 ••• 0 ・・・ l-ann

=ρ,A+v+p[τ(帥](F-A)(剖, したがって

p=v[(l-A)一[τIk)](1 -A )(k)r1

ここで,行列 (l-A)(/l)は (l-A)の第 h列目を全てゼロに置き換えた行列

である。非課税産業が複数存在しでもこの関係は変わらず,非課税産業の産

業番号に対応する税率および,(l-A)(ん)の対応する列をゼロにすれば(19)式

の価格方程式はそのまま成立する。

また,この式からは少々見づらいことではあるが,非課税の産業の価格も,

他産業の価格上昇の影響を受けて,幾分かは上昇することになる。なぜなら

ば,この項の冒頭で触れたように,非課税産業は納税義務は無いが,仕入に含

まれている間接税額分も控除できないからである。この点が,次に述べる「ゼ

ロ税率j制との大きな相違である。

3-5 伝票方式におけるゼロ税率

「ゼロ税率」の制度のもとでは, ["ゼロ税率Jが適用される生産物を扱う業

者は付加価値税の支払い義務がない上に,前節で説明した「非課税J制のも

とでは不可能で、あった仕入財に含まれている付加価値税の控除も可能で、ある

したがって,第 k産業に対してゼロ税率を適用すると,第 h産業の納税義務額

(というよりは付加価値税の還付額というべきだが)も課税産業の納税義務

額も,形式的には(4 )式と同様の式で表され,式中の税率を九=0とした特殊

?と見ることができる。

6S

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(20a)

(20b)

vat,l=τfρIIX,1- L:7:,P;XiI..= -:=τ;P;X;k

vat) =てjpjXj-L: 7:;ρ;X'J> (ただしれ=0)

したがって,価格方程式も(7 )式と形式的には同様で、ある。

ρ=ρ'A+v+ρ[ 7:(/..JA, したがコて

(21) ρ=v(1-A)ー1(1-[τ山 1t

=v(1-A)一1(1+[t山)])

これより,外生変数およびパラメター(投入係数行列および、付加価値率)が

課税前と同じであれば,ゼロ税率適月:生産物以外の生産物の課税後の価格は

課税前価格の (1十ネット税率)倍にとるのに対し,ゼロ税率適用生産物の課

税後価格は課税前の価格にとどまることがわかる。ゼロ税率適用生産物が複

数ある場合も当該生産物の税率をゼロとおけば(21)がそのまま使用できる。

第 4節帳簿方式

4-1 帳簿方式の基本モデル

帳簿方式の付加価値税では,各業事力課税ベースは売り上げから仕入れを

差しヲI¥,)た額(付加価値額)になり,それに当該業者に迫用される税率を乗

じた額が付加価値税額となる。凶表 4:こ簡単な数値例を示した。図表 4(a)で

は税率は10%とした。この場合, B業者は税抜き売上200と税抜き仕入100と

の差額である100(B業者の付加価値):こ当該産業に対する税率10%を乗じた

10が付加価値税額となる。言うまでもなくこれの額は伝果方式で、の付-加価値

税額と同額である。

図表4(a) 税率を10%とした場合の f加価値税(帳簿方式)の転嫁の様子

税抜 税込 付価加値 売税抜上仕入 仕入 付加価値税計算方法 付加 売税上込価値税

A業者 100 100x 10% = 10 110

B業者 100 110 100 200 100x 10%= 10 220

C業者 200 220

70

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消費税導入の経済効果

しかし,図表 4(b)での例のように, A業.者の税率が 5%, B業者の税率が

10%の場合は伝票方式と等しくならない(伝票方式では B業者の付加価値税

額は15であった)0 B業者の付加価値はやはり 100であるから,帳簿方式では

この100の10%である 10が付加価値税傾であり, B業者の納税頼は図表 4(a)の

ケースと同様である。

A業者

B業者

C業者

図表-1Cb) A業者の税率を 5%. B業者の税率を10%とした場合の

付加価値税(帳簿方式)の転嫁の様子

税抜 税込 付加 税抜付加価値税計算方法 付加

仕入 仕入 価値 売上 価値税

100 100x 5 % = 5

100 105 100 200 100 x 10 % = 10

200 215

税込冗上

105

215

帳簿方式では,上述のように第j産業に課せられる付加価値税額は第j産

業に対する税率のみが関係するので,産業連関分析の枠組みでは付加価値税

額は次のように表される。

(22) vatj = 'rj (ρ)Xj - "EpiXij)

この納税義務額を生産物ー単位あたりに直せば次の式を得る。

-aJj I I -alJ

-a~) I I -a~)

(23) 学=τj(ム-"E仰1))= [ρ 1, P2, , p,,] I Iの I I 'r)

A) 1 11-ajjl 11-ajj

-a,,) J l-anJ

税額分を転嫁して供給価格を設定するとすれば,供給価格は次の式で与えら

れる。

7]

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-aii

-a2i

(24) Pi=~Piaij+vi+PI_ It'i

. Il-ajj

anJ

この関係を(第j産業以外の)他の産業についても定義し,まとめて行列で表

せば,供給価格は次の式で表せる。

(25)

ρ=pA+v+ρ(I-A )[τ], したがって

ρ=v[(l-A)(lー[τ])]・l

=v(l一[τ]f'(l-A f'

=v(l+[t])(I-Ar'

このように,帳簿方式での価格方程式は伝票方式での価格方程式(7 )式と比

較して,税率を表す行列の位置が異なり,税金がない場合の価格方程式の中

に割りこむ形で現れる。したがって,税率が各産業で同一で(非課税産業も

なければ)伝票方式と帳簿方式の価格方程式は事実上同一で、あるが,産業ご

とに税率が異なる場合には,帳簿方式では,ある産業の生産物の価格は自産

業の製品に課せられる税率のみならず他産業の税率にも影響されることにな

る。この点が帳簿方式の付加価値税と伝票方式の付加価値税とが決定的に異

なる点である。

4-2 帳簿方式における輸出税還付

帳簿方式の付加価値税においても仕向地主義がとられ,輸出をする産業は

輸出に際して輸出財に含まれる付加価値税の還付を受けることになる。つま

(11) 本来の輸出税の還付は,輸H',財の生産に関わる仕入に含まれる付加価値税を還

付するのだが,産業ごとに税率が異なれば,帳簿方式では仕入財毎に合まれる税額

72

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消費税導入の経済効果

り,具体的には,輸出産業にとっては輸出売上に対しては課税されず,輸社

に関わる仕入れ生産物に含まれている税額の還付も受ける。したがって, ZE

j産業の課税ベースは, (園内総販売額一総仕入額)となり,第j産業の納税義

務額は,Ejを輸出額とすると次のように表わされる。

(26) vat/ = 1:j [ρj (Xj -Ej) -'Lp,X,j]

これを生産物一単位当りになおせば次の式を得る。

ω 子山(1-es)-PiGiJ]

ただし,ejは伝票方式で述べたようにEj/Xjで表され,総産出量中の輸出売

上の割合(輸出比率)を表わす。したがって,税の完全転嫁を仮定すると,

第j産業生産物の課税後の価格は次の関係を満たすことになる。

(28) pj =写ρia,j+Vj+τj[pj(l-ej)一平Piai/]

さらに, [eJを各産業の輸出比率を対角線に並べた行列であるとして行列で

表示すれば,最終的に次の式を得る。

p = pA + v + P ([-A -[ e ] ) [τ] したがって(29)

p=v[(l-A)一(l-A-[e])[τ]]-1

4-3 帳簿方式における投資財税額一指控除制

帳簿方式の付加価値税も消費型の付加価値税であれば,各業者は投資財を

購入するとき,投資財に含まれている税額を即時に納税義務額から控除でき

る。第j産業の第 i産業からの投資財購入量を Cijとすると第j産業の納税義

務額は次のように表される。

(30) vatj =τj [pjXj -'LPi (Xij + Cij)]

これを生産物一単位当りになおせば,次の式を得る。

が確定できないので正確な悶境税調整が事実上不可能で、ある。この点についての言

紺iは玉岡(1987) を参照。

7:

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(31)竿=ゆ)-l:Pi(αzj+Czj)]AJ '

ここで各業者はこのように計算された税額を転嫁して価格設定を行うものと

すれば, (24)式は次のように変形される。

(32) pj=l:PiaU+v,+τj[pj-l:ρi (α') + C ,))]

ここで,行手IJCを各産業の資本形成率の行列として,上式をまとめて行列で

表示すれば,最終的に次の式を得る。

ρ=ρIA+v+ρ(l-A-C)[τ], したがって(33)

ρ=v[(l-A)ー (l-A-C)[τ]r

4-4 帳簿方式における非課税

帳簿方式については,課税業種が非課税業種から仕入れた場合,その額、を

課税ベースから控除するかしないかにより,理論的には二種類の「非課税措

置jが考えられる。第一の方法は課税業者は非課税業者からの購入財に含ま

れているとみなされる付加価値税を控除することができる場合であり,第二

の方法は課税業者は非課税業者からの購入財に含まれている付加価値税を控

除することができない場合である。いずれにしても,非課税業種の納税義務

はゼロであり,非課税業種は仕入れに含まれている消費税相当分の還付は受

けない。第一の方法を採った場合,課税業者は仕入先を課税か非課税かに分

割して考える必要も無く,非課税措置における課税の累積現象は生じない。

さて,現行方式はそのどちらかといえばかなり微妙である。自由民主党税制

調査会(1989)によれば,非課税産業からの仕入に含まれる付加価値税額は

控除できないことになっているが,現行の方式では仕入財の購入元について

課税業者か非課税業者かを厳密に記帳する必要は無いようで,現実の運用面

では相当程度第ーの方式に近いといえよう。

図表 5に簡単な数値例を示した。ここでは,第ーの方法(非課税産業の納

74

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A業者

B業者

C業者

D業者

消費税導入の経済効果

図表5 A業者. B業者. c業者. D業者と商品が動く過程で,

B業者が非課税業者でその他業者に関しては.税率10%

とした場合の付加価値税(帳簿方式)の転嫁の様子

税抜 税込付価加値 売税抜上 付加価値税計算方法 付価 加

仕入 仕入 値税

100 100x 10%= 10

100 110 100 200

210 100 310 100x 10%= 10

310 320

売税込上

110

210

320

税義務額はゼロで,課税産業は仕入れに含まれている税額を全て控除できる)

を採用することにしている。各業者は100だけの付加価値をつけ,非課税であ

るB業者を除いてその他の産業の税率は10%としよう。このケースではB業

者は納税の義務はなく,その他の業者は各業者の付加価値額に10%を乗じた

額が付加価値税額となる。

帳簿方式のもとでの非課税制度を産業連関分析の枠組みでモデル化しよう‘

輸出税還付制と投資財税額即時一括控除制がない下では,各産業の納税義務

額は次の式で表わされる。

C34a) vaれ=0

C34b) vaι=τ'} [pjX}-~ρiXij ]

(34b)式を生産物ー単位当りになおせば,次の式を得る。

一αIj

α2j

(35) 学 = 巾-~Piaij ] =ゆλ i 11-ajj

anj

ここで各業者はこのように計算された税額を転嫁して価格設定を行うものと

75

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すれば, (7)式は次のように変形される。

-a1}

一α2j

(36) p}=~pjaij+vj+ τjp 11 -aj}

anj

これら,課税産業・非課税産業の扱いの違いを考慮すると,全産業の価格ベ

クトルは次の方程式を満たす。これは,れがゼロであることを除いて,形式

的には,帳簿方式での基本価格方程式 (25)式と同様で、ある。

(第h列)

l-a11 -a12 -a1k -a111

-a21 1-a22 α2k 一α211

ρ=ρ'A+v+pl [τ1kl

-an1 -an;; . . . αn 1-ann

(37) = pA +v +p (1-A)[ r(kl] したがって

ρ=v[(I-A)ー (I-A)[τl削 ]]-1

= v (1 + [ t(kl] ) (1-A )ーi

非課税産業が複数存在するときも, (37)式の [τ山]あるいは[f(l,.Jの非課

税産業に対応する税率をゼロにするだけで,このモデルはやはり有効で、る。

4-5 帳簿方式におけるゼロ税率

帳簿方式の付加価値税で、ゼロ税率制度を考慮するのは困難である。繰り返

し述べているように仕入財に含まれる税額が確定できないからである。しか

しながら,現行の制度のように税率が一つしかないのならば,非課税産業が

仕入財に含まれる税額(仕入財価格のグロス税率倍)の還付を受ける方式と

76

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消費税導入の経済効果

いう意味で,ゼロ税率制を考えることができる。つまり,ちょうど,先ほと

の非課税制度の第一方式に加えて,さらに,非課税産業が税の還付を受けと

方式と考えればよい。例によって,ゼロ税率適用産業を第 h産業とし,各課私

産業に共通の(グロスの)間接税率をむとしよう。このとき第 h産業の課私i

額(還付額)は次のように表わされる。

(38a) v似た=τ。(O-L:P,X'k)=一τOL:P;X;k

次に,一方課税産業の納税義務額は次の通リである。

(38b) vat, =τ。(ρjX,-L:P;X,,)

(38a), (38b)式をそれぞれ,生産物一単位当りになおせば,次の式を得る。

-a1j

-aZj

(39a) 学 =τ。(O-L:p;aij)=τoplA" ' I-ajj

(3ω鋤9肋b) 宝空字千!?ιL〕=可可司叫τιれ川川()ペ)ベ(

-a",

-alJ

-a~,

11一αJυJ

-anj

ここで各業者はこのように計算された税額を転嫁して価格設定を行うものと

すれば,次のように表される。

T

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1-a,1 -a'2 一αlli 一α111

ρ=pA+v+ρI -akl -a"2 O-a"'i -alill I [τ。]

一αnl 一αn:! 一αnk 1-anlJ

(40) =ρ,A +v+p (l-A)[τ。], したがって

ρ=v[(l-A)一(l(削 -A)[ro]]-I

第 5節 帳簿方式間接税(現行方式「消費税J)の経済効果

一ーイ云票方式間接税(中曽根内閣「売上税J)との比較一一

ここでは,前節までに示したモデルを使用して,付加価値税の持つ価格効

果(付加価値税の転嫁による価格上昇)及び税収効果を数量的に予測する。

繰り返しになるが,ここで取り上げる「間接税の効果」とは,付加価値税税

制が存在しなかった経済に付・加価値税が導入されたときに,その他の経済変

数が不変とすれば,物価がどの程度上昇するか,あるいは税収がどの程度に

なるかを意味している。したがって,間接税導入後の物価上昇.に伴い賃金が

上昇したり,また財・サービスの相対価格の変化により消費構造が変化する等

の二次的な効果は扱わない。

以下の計算は伝票型,帳簿型の両方で、行わilる。まず帳簿型での試算では,

できるだけ1989年の「消費税j導入の効果を分析できるように配慮した。

( i )付加価値税の基本税率は 3%,輸送機械産業の税率を 6%とした。

(12) 中井(1978,1981),王|首j・藤川(1987)司藤川(1991)では, これら二次的な効

果を視野に入れているが本稿では,むしろ帳簿出と伝票型の比較に重点を置いてい

るため,これら効果の分析には踏み込まなかった。

(13) 1989年より 1992年の 3月まで普通乗nJ1'-1動}JI(完成車)の税率は特例として 6%

とされていた。本稿では,いうまでもなく, 6%の特例税率を適用する範闘を過大

に設定することになる。

78

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消費税導入の経済効果

( ii )金融保険業,公務,教育研究,医療保健,その他公共サービスは非課

税とした。

(iii )物品税, トランプ税,砂糖消費税,入場税,通行税,電気税,カ'ス税

の個別間接税が廃止され,酒税,たばこ消費税,料理飲食等消費税,

娯楽施設利用税の税率等が改正(され存続)されたが,これらについて

は,1985年と1990年での産業連関表ペースでの間接税の税率を比較し

調整することで対応した。詳細については後述する。

(iv)しかし,本稿の試算では,上述のように簡易課税税制度や限界控除制

度の諸制度は考慮されていない。

次に,伝票方式の試算では,税率・非課税産業・既存間接税の廃止について

は帳簿方式の場合と同一にし,徴税方法のみを伝票型に変更した。この想定

は,中曽根内閣当時の売上税構想と次の点で異なる。

( i )売上税では税率は 5%。

( ii )売上税では消費税で非課税とされた産業の他食料品,旅客輸送,住宅

建設・住宅賃貸が非課税対象となり,非課税産業が広かった。

計算は間接税が導入された1989年当時の状況に比較的近いと思われる1990

年基準の産業連関表を用いて行われるがそこで注意を要することは, 1990年

(14) ここでの非課税産業の設定も正確には現実どおりではない。例えば,金融保険

に関しては,公社債投資信託の信託報酬,各種保険の保険料,およぴ銀行の外国為

替業務の手数料は非課税であるが,銀行の|週内送金等の手数料は課税対象である。

医療については,医療保険等に基づいて行われる医療行為については非課税である

が,医療保険でカバーされない医療行為については課税対象である。教育について

も,学校教育法に基づく学校および一定の用件に該当する各種学校の授業料,入学検

定料のみが非課税となる。公務・その他公共サービスに|期しても,登記,受録,特

許,免許等の事務に関わる手数料が非課税,社会福祉事業法および児童福祉法に基

づく事業は非課税とされているが,本稿ではこれらが合まれている産業部門全体を

非課税扱いしている。つまり,全体として非課税産業を多めに設定していることに

なる。

79

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図表6 間接税導入前(個別間接税整理後)の基本物価水準

産業 個別間接税率 間接税調整後

1985年 1990年 1990年価格

1 農林水産 2.4% 3.2% 1. 011 2 鉱業 2.4% 3.4% 1. 014 3 食料品 11. 5% 10.7% o. 995 4 繊維産業 1.8% 1.6% 1.000 5 紙製品 1.7% 2.0% 1. 005

6 化学製品 1. 9% 1.8% 1. 002 7 石油石炭製品 16.9% 28.9% 1. 125 8 窯業土石 2.2% 2.4% 1. 007 9 鉄鋼 1.7% 1. 8% 1.011 10 非鉄金属 1.9% 1.9% 1. 000

11 金属製品 1.8% 1.9% 1. 005 12 一般機械 1.6% 1.5% 1. 001 13 電気機械 2.5% 1.5% O. 988 14 輸送機械 3.2% 1.2% 0.967 15 精密機械 2.5% 1.7% 0.992

16 その他製造業 2.2% 1.7% 0.996 17 建設 1.5% 1.3% 1. 001 18 電気ガス 8.2% 5.6% 0.980 19 水道 2.0% 2.2% 1. 002 20 商業 2.5% 3.0% 1. 007

21 金融保険 4.8% 6.5% 1. 019 22 不動産 5.1 % 6.8% 1. 019 23 運輸 2.0% 2.0% 1. 011 24 通信放送 1.9% 3.0% 1. 011 25 公務 0.2% 0.3% 1. 000

26 教育研究 0.2% 0.7% 1. 005 27 医療保険 1.0% 1.0% 1. 001 28 公共サービス 0.9% 2.1% 1. 012 29 事業所サービス 2.1 % 2.1% 1. 001 30 個人サービス 6.2% 5.0%

31 その他 5.2% 0.5% 0.956

平均 1. 002

80

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消費税導入の経済効果

ではすでに個別の間接税が廃止あるいは改定されている点である。図表6の

第1夢11と第 2列には, 1985年表および1990年表での間接税率(間接税の総投

入に対する比率)を示した。図表の第 3列は, 1990年の投入産出構造のもと

で,も L1985年から1990年のかけての間接税の変化と同様の変化が起これば,

価格構造がどのように変化したかを示している。上述のように自動車,電気

機器等に課せられていた物品税,およぴ電気税,カ。ス税が廃止されたために,

これら産業では間接税率が低下していることがわかる。しかし一方で、,石油

石炭製品ではかなり大幅に間接税率が上昇し,価格も10%以上も上昇する計

算となった。最下行にこれらの物価変動の加重平均 (1990年の国内生産額で

ウエイト付け)を示したが,これは1.002となり,ほんのわずかに上昇するこ

とになった。

このように間接税率の調整を行った後,帳簿方式の「消費税Jが導入され

た場合の産業別の価格変化(左側のプロック),および、消費税納税額(右側の

ブロック)の計算結果が,図表7に示されている。それぞ、れの7.ロックで,

第l列は輸出税還付制度および投資財一括控除制が無い場合,第 2列は輸出

税還付制度のある場合,第 3夢11は輸出税還付制度に加えて投資財一括控除制

もある場合(現行の消費税はこのケース)の推計である。価格フ事ロックの最

下行は1990年の圏内生産額でウエイト付けした平均価格,消費税ブロックの

最下行は産業ごとの納税額の単純合計を示している。当然のことであるが,

各産業について左から右に見れば,価格の上昇幅,消費税の納税額とも小さ

くなる。

物価について見れば,平均価格の変化は,左より 3.1%,2.7%,2.0%の上

昇となる。個別産業では,非課税扱いにした公務,教育研究,医療保健,そ

の他公共サービスの各産業では,価格の上昇は小さいが,他産業からの投入

財価格が上昇しているので,価格の上昇はゼロではない(それぞれ,第 3列

目で, 0.6%, 1.0%, 1.0%, 1.9%の上昇)。興味あることには,輸出比率の

81

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図表7 帳簿伝票方式による物価上昇と消費税額

産業 価格変化 0990= 1. 000) 消費税額(10億円)

基本 還輸付出税 投控資除財 基本 還輸付出税 投控資除財

1 農林水産 1. 041 1. 040 1. 029 321. 0 319.5 177.6 2 鉱業 1. 044 1. 042 1. 036 35. 7 35.2 29.6 3 食料品 1.027 1. 026 1. 019 471. 3 463.8 405. 1 4 繊維産業 1. 032 1. 029 1. 023 181. 6 157.3 129.7 5 紙製品 1. 039 1. 037 1. 031 253. 2 242. 7 201. 0

6 化学製品 1. 034 1. 029 1. 022 328. 7 248.9 174.9 7 石油石炭製品 1. 174 1.173 1. 171 332. 0 322.9 307. 9 8 窯業土石 1. 038 1. 036 1. 030 141. 7 126.5 106.9 9 鉄鋼 1. 045 1. 040 1. 031 241. 7 186. 7 103.6 10 非鉄金属 1.041 1. 037 1. 032 132. 1 115. 7 98.2

11 金属製品 1. 036 1. 033 1. 027 238.6 220. 1 188. 4 12 一般機械 1. 031 1. 023 1. 016 405.9 226. 7 137.3 13 電気機械 1. 017 1. 007 1. 000 568. 0 216. 7 64.6 14 輸送機械 1. 008 o. 981 o. 968 628. 4 -32. 7 ー284.415 精密機械 1.022 1. 010 1.003 65.4 23. 2 7. 6

16 その他製造業 1. 027 1. 024 1. 017 431. 3 385.3 305.4 17 建設 1. 032 1. 031 1. 026 1279. 5 1279.5 1208.6 18 電気ガス 1. 014 1. 013 1.000 310.2 309.5 144.8 19 水道 1. 032 1. 032 1. 003 129.5 129.4 -30. 1 20 商業 1. 037 1. 035 1. 031 1764. 7 1700.1 1494.9

21 金融保険 1. 026 1.025 1.023 o. 0 O. 0 o. 0 22 不動産 1. 048 1.047 1. 040 1295. 7 1295.5 934.0 23 運輸 1. 042 1. 038 1. 027 676. 6 555. 2 240. 1 24 通信放送 1.041 1.041 1. 030 247.0 245.8 150.4 25 公務 1. 010 1. 008 1.006 o. 0 0.0 o. 0

26 教育研究 1. 013 1. 012 1. 010 0.0 O. 0 0.0 27 医療保険 1. 014 1. 013 1. 010 0.0 0.0 o. 0 28 公共サービス 1. 023 1. 022 1. 019 0.0 0.0 0.01 29 事業所サービス 1. 031 1. 028 1. 019 911. 9 897.4 600.3 I

30 個人サービス 1. 018 1. 017 1.009 891. 1 878. 8 651.6

31 その他 O. 985 O. 978 O. 968 62.9 26. 5 ー17.1 I

平均/合計 1. 031 1. 027 1. 020 12345.6 10576.5 7531. 2

82

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消費税導入の経済効果

大きい産業および、設備投資の大きい産業ほど,左から右への価格の変化が大

きい。典型的には自動車産業がこれに該当し,輸送機械産業の価格変化は左

側の0.8%の上昇より始まり,輸出税還付制度が導入されれば, 1.9%の低下

(左列との差は2.7%) となり,さらに投資財一指控除制が導入されれ

ば, 3.2%の低下(左列との差は1.3%) となる。

消費税の納税額も左から右へと小さくなり,現行制度では合計 7兆5312億

円と試算される。図表 1で見たように, 1990年の消費税収実績は 5兆7784億

円であるから,この額はかなり過大推定ということになる。本稿の推定では,

特例措置を考慮していないので,過大な税収の推定値を導くことを認めるの

にやぶさかではないが,税収実績はあまりに少額ではないのかという印象を

うける。本稿の序論でも述べたことだが, じっさいの課税ベースを狭く限定

し家計最終消費のもとしても, 1990年時点で‘の家計最終消費250~包円の 3%は

7兆 5千億円となり,本稿での試算とほぼ同額である。この績と消費税収実

績との差額の一部はし、わゆる「益税Jとなっていることは否めない。

産業別には,価格効果に関しても述べたように,輸出比率の大きい産業お

よび設備投資の大きい産業ほど,左から右へと消費財納税額が大きく減少す

る。したがってここでは別の問題が発生する。例えば,自動車産業では,現

行制度では, 2844億円の還付を受ける計算になる。消費税は大企業優遇税だ

として非難されることがあるが,ここにその議論の根拠の一つを見ることが

できる。

さて,これら産業連関モデル予想された価格の変化は,現実に観察された

消費者物価の変化とどのように対応しているかを見てみよう。図表 8(a)には

1987年 4月から1990年12月にかけての消費者物価(全国,総合)の月次での

変化を拘げた。 1989年 4月の消費税導入を期に,それまで比較的安定してい

(15) 北野・i/iJJ収(1994)では,輸出に伴う消費税の還付知を企業別に-tff;i-I.している。

(16) ここでJ1J ~、た消費荷物filljf行数は 1985{I'.1μ'V~の数寸:であるが, ifi費税導入の効果

83

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た消費者物価が約 2%ジャンブし, その後いくぶんのラグ効果をもちながら

上昇傾向に転じていることがわかる。 もっともこのラクゃ効果は91年秋にはお

さまりそれ以降の物価上昇は殆どない。価格変化の要因としては, 間接税以

外の要因(例えば輸入財価格や賃金)価格も関係し,さらに月次データの場

合は季節的な変動もあり, 明石;tには言えないカヘ 消費税が価格に転化された

のと見るのが自然であろう。

図表8(a) 総合消費者物価の推移

108.0

106.0

104.0

102.0

100.0

98. 0

96. 0 r-- r-- r-- r-- r-- 00 ロ::> 0(コ cc OC> 00 。コ Cコ cコ Cコ 0コ cコ o cコ cコ Cコ Cコ o∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞。 m m 。∞∞

I I 』ロb() +'υ .0 1-<ロb() ...., υ .0 1:< C: bO←, U .0 1:<巴bO .._. 0・::::l ::::l υ 。(j) 0. ::::lコ υ <i> -(j) 0.ココ υ (j) (j) 0.ロロ υ 。〈 門<0 o ~ < ~ < 0 o ~ < ~ < cコロ~ < ~ < 0 O

次にもう少し細かい品目で消費者物価の変動を見てみよう。図表 8(b)には

比較的物価上昇の大-きかった品目を示した。 まず, 食キ斗IE;では, 1988, 1989,

1990年の毎年について 9月, 10月に価格が上昇する季節変動が認められるが,

1989年の 3月から 4月にかけて約 2%のジャンプが見られる。消費税が転化

されたことを裏付けている。次に被月li・履物であるがこの品目も 2月と 8月

をボトムとするかなり明瞭な季節変動が認められる。 この品目の価格の上下

84

に注目するために1989年 3月を100とした折数に変換して表示している。以ドの|ヌl去8 (b), 12<1表8(c), 1刈去 8(d)についても"i]様。

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110.0

108.0

106.0

104.0

102.0

100.0

98.0

96. 0

94. 0

i jli費税導入の来日汗効果

図表 8(b) 物価上昇率の高い品目

~ ~ ~ ~ ~ 00 00 00 00 00 00σコ σ~ cn 0"コ σコ cn cコ Cコ Cコ cコ Cコ o0000000000000。ロコ 。o 00 00 00 00 00 00 00 00 cn σ~ cn cn σ~ cn

I 』 ロ む且+J u ..o$-t 口 bO ..... U ..(コ 』 巴 bO .....U ..D1-< 己 bO ..... u 0.ココ υ Q) Q) 0.ココ U Q) ω ロ.ココ U Q) Q) 0. ;::::lコ uω<<: -, <<: cコ O~<<: -, <CコC::~<<:-, <Cコ己:::.~<-, <Cコ Cコ

は大きくピークとボトムの差が 6%ポイント程度あるので,1989年 3月から

4月の価格上昇を他の年次と比較するのはやや困難で、あるが, 1988年までの

季節変動に比較して, このH寺の価格上昇はやや (2%ポイント程度)拡大し

ているように凡える。 これら 2品目の現実の価格変化は図表 7で示した予想

価格上昇率(約 2%) と望室合的である。 この教育費は毎年 4月に上昇する特

徴を持っている。 1989年 4月の価格上昇は 4%ポイントであるが, 1988{J三よ

りはすこしその上昇・11I面は拡大しているようである。教育に関する現実の価格

変化も凶表 7で示した予想、価格上昇率と整合的である。

図表 8(c)には比較的価格変動の少なかった品目を掲げた。住居については

契約の特殊性もあり,消費税の価格転化は同時ではなかったものと考えられ

る。 ただ,住居費は1989年 3月から 6月にかけて,緩やかながらそれ以前と

は異なる勾配での価格上昇・(この数ヶ月間の上昇は約 2%)が観察され, や

はり消費税の転化が行われたと考えるべきであろう。 交通・通信及び光熱・

水道の価格は認可制の{iUi俗であり, 4F1か10月に{iIli格が変動する。交通・通

85

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物価上昇率の低L、品目

001υω0

0

∞!Hυ0

0

∞lωコ〈

O

∞fロコ円

。∞l』色〈

。∞l』

ω品

∞∞lUω口

∞∞1一戸ハ}0

0

∞ωコ〈

∞∞ーロコ円

。∞ha〈

∞∞心ω'出

∞∞lυω凸

∞∞1Hυo

∞∞1凶コ〈

∞∞l

ロコ「

∞∞lha〈

∞∞DO民

ト∞iυω白

ト∞lHυo

ト∞lωコ〈

ト∞ロロ『

ト∞l』(凶〈

nuv aq

図表 8(c)

108.0

104.0

96.0

102. 0

100. 0

106.0

98. 0

信に関しては,凶表 7では 3%程度の価格上昇が予想されているが,政策的

に価格が意識的に低く抑えられたものと考えられる。光熱・水道産業は設備

19891f三 4|究|表 7の試算でも予想価格上昇-は非常に低いが,投資績が大きく,

上昇傾向に転じている。月にそれまでの低下傾向がとまリ,

産業連関モデルから試算されたfilli格上昇は概ね現実の価格上昇と整以上,

消費税の税収実績がモデ合的であると言えそうであった。にもかかわらず,

消費者から納めやはり,ルから予想される消費税額を下同るということは,

「説税Jの存在を疑わざるられた消費税の一部が業者内部にとどまるという

を得ない。しかし,一方で、は,先に述べたように, ",小業者のなかには消費税

の転化ができなくて|判っている業者もあるという指摘もある。消費者物価指

大企業製品と '1'小企業製品と~,う分類でイilli格を発工業lUに閲して,数では,

表している。参考までにこの数字をは|去 8(d)に拘げた。大企業filfi絡は1989年

4 HII寺にはわずかしかj-J1・していない。価格変動のその他の要l社を考慮せず

'1' 小企業よに敢えて述べるとすれば,消費税をfWi格に転化していないのは,

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消費税導入の経済効.~~

図表8Cd) 企業規模による価格上昇の差

110.0

108.0

106.0

104.0

102.0

100.0

98. 0

96. 0 t - t - t - t - t - cococococoo。σコ mσコ m mσコ Cコ Cコ cコ Cコ cコ oco co 四コ 。o co co co co co co 00 co 00 00 co co co σコ σコ σコ σ) m σコI I I 』 巴tl.O +-' U .!コ 』 己 tl.Oやj U .!コ 』 口 且且+-' υ 」コ 』 己 tl.O +-' υ 0. ::lコ υ Q) Q) 0.ココ uω Q) 0.ココ uω Q) 0. ::lコ υ Q)<<: ...... <<: cコ己コ(.L., <<: ~吋<<: cコ己コ主t.. <<: ...... <<: 0 0 広t.. <<: ~・> <<: cコ ιコ

りむしろ大企業ということになる。マクロで兄る限リ, r '1'小企業は大企業に

比l校して消費税をfilli絡に転化しにくい」 とは言いづらい。

ところで¥ 本稿ではI|!??根内閣 ~"III寺提案された「ぅピ 1',税」をモデルにとっ

た場介の試算も行っている。!ズ|表 9にその結果を示した。物fiUiの‘上井につい

ては,わずかで、はあるが, rH'j費税」の場合に比JII交して,やや大きくなる傾向

がある (愉lli税還付制度に加えて投資財-J古住|徐制もある場合で、は産業平均

で2.0%の上昇)。伝表方式では非課税業者からの購入財はそれに合まれる;iq

費税額を控除できないのに対して, I帳簿方式で‘はどこから購入したかに関わ

らず購入1!;1'に合まれる消費税傾を於除できるため, こうした差異がlliること

になる。消費事故内科L綴についても (事命HI,f見送付:ljlJJ支に加えて投資財ー折控除

制もある場介で), 産業計で 8兆7637億円となり, 「消費税Jに比ill交して約 l

兆2000億PI あまり軍~ ~ ,課税方式になる。

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図表9 伝票方式による物価上昇と消費兎額

産業 価格変化 0990= 1. 000) iij費税額 00億円)

基本輸出税 投控資除財 基ヰ

輸出税 投控資除財還付 還付

農林水産 1. 043 1. 042 1. 030 33i.7 336. 3 185. 7 2 鉱業 1. 046 1. 045 1. 037 3f.7 38.3 32. 1 3 食料品 1. 028 1. 027 1. 020 48f. 2 478.7 418.4 4 繊維産業 1. 034 1. 031 1. 025 19E.4 171. 0 142.5 5 紙製品 1. 040 1. 039 1. 032 26E.8 256.3 212. 7

6 化学製品 1. 038 1.033 1. 026 38L 5 309. 3 234. 2 7 石油石炭製品 1. 175 1. 174 1. 172 338.8 329.6 314.4 8 窯業土石 1.041 1. 038 1. 032 154.2 138.9 118.2 9 鉄鋼 1.047 1. 042 1.033 25(.8 201. 7 117.8 10 非鉄金属 1. 042 1. 039 1. 034 13t. 1 122.7 104.7

11 金属製品 1. 038 1. 035 1. 029 251. 2 232. 6 199.2 12 一般機械 1. 034 1.025 1. 018 44~.8 264. 1 173.0 13 電気機械 1. 021 1.011 1. 004 688. 1 335. 5 181. 8 14 輸送機械 1. 029 1.001 0.992 1142.5 466. 2 333. 7 15 精密機械 1. 025 1. 013 1. 006 74.8 32.6 15. 7

16 その他製造業 1. 029 1. 026 1. 019 45l.7 408. 7 324. 5 17 建設 1. 034 1. 032 1. 027 1324.5 1324. 5 1237.2 18 電気ガス 1. 015 1. 015 1.002 33C. 1 329.4 163. 7 19 水道 1. 034 1. 033 1.004 13~. 5 133.4 ー26.9 20 商業 1. 039 1. 037 1. 032 187C. 1 1805. 3 ー1586.0

21 金融保険 1. 026 1. 026 1. 024 (.0 0.0 0.0 22 不動産 1. 050 1. 050 1. 042 1397.9 1397.7 1034.4 23 運輸 1. 045 1. 041 1. 028 7M.8 627.5 255.7 24 通信放送 1. 043 1. 042 1. 031 25E.9 255.7 158.3 25 公務 1. 011 1. 009 1.007 (.0 0.0 0.0

26 教育研究 1. 013 1. 013 1. 011 ( . 0 0.0 o. 0 27 医療保険 1. 015 1. 014 1. 010 ( . 0 0.0 0.0 28 公共サービス 1. 024 1. 023 1. 020 (.0 0.0 0.0 29 事業所サービス 1. 032 1. 030 1. 020 92i.6 914.3 591. 2 30 個人サービス 1. 019 1. 018 1. 010 92~. 7 912.4 654. 9

31 その他 o. 988 O. 982 0.971 8], 8 45. 2 0.5

平均/合計 1. 034 1. 029 1.022 1365<.3 11868. 0 8763. 7

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消費税導入の経済効果

第 6章 本稿の分析の限界と今後の課題

本稿では付加価値税導入による第一次効果を分析したが,これは,本来内

生変数であるべき変数の多くを外生変数扱いしたという意味であくまでも暫

定的な性格を持っている。価格体系が変化すれば,直接には賃金や消費水準

が変化し,また,その他の国民総支出(設備投資,政府支出等)および国内

総生産(雇用者所得,営業余剰等)を構成する経済変数にも影響を与える。

また, 1989年度の税制改革では,個別間接税の整理や付加価値税の導入のみ

ならず,所得税や法人税の改革も平行して行われた。本稿での分析は,これ

らについては触れていない。

より全体的に税制改革の分析を行うためには,国民総支出の構成科目や各

種税金を内生化した計量モデルを作成し,それと本研究で用いられた産業連

関モデルとの間で変数を相互依存させながら物価上昇や税収額の推定値を求

めるという方向が考えられる。それについては,稿を改めて報告することに

したい。

参 考文 献

浅利一郎・土居英二「付加価値税導入と産業・家計・政府への影響の推計一一産業連

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