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脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 61 原著論文 脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および 麻痺分類との関係 -回復期の評価結果からの検討- 古関 一則 1) ,吉川 憲一 1) ,前沢 孝之 1) ,浅川 育世 2) ,水上 昌文 2) 1) 茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部理学療法科 2) 茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科 要旨 本研究の目的は,脊髄損傷者において,リハ病院入院時点における神経学的因子が歩行獲得に及ぼす影響を明 らかにすることである。対象は2001年 3 月~2012年12月までに当院に入院した受傷後 3 か月以内の脊髄損傷者 126名とした。方法は入院時点での麻痺重症度(ASIA Impairment ScaleAIS)・麻痺分類(対麻痺,四肢麻痺 の別)と退院時の自立歩行獲得可否との関係について,決定木分析を用いて分析した。その結果,AISD群お よびAISCかつ対麻痺群は歩行自立へと分類され,その他の組み合わせは歩行非自立へと分類された。リハ病 院入院時点において,損傷高位以下に実用的な運動機能を認めるAISDにあることが最も重要であった。 脊髄損傷者において,自立歩行獲得の可否には麻痺重症度が最も大きく影響していること,麻痺が重度の場合 では四肢麻痺者に比べ対麻痺者の方が歩行獲得の可能性が高いことが明らかとなった。 キーワード:脊髄損傷,歩行,神経学的因子 Ⅰ.はじめに 近年の脊髄損傷者の特徴として受傷年齢の高齢化 が挙げられ,それに伴い障害像が変化してきてい る。脊髄損傷の主な受傷原因は,以前は交通事故が 多くの割合を占めており,完全麻痺を呈する者が多 かったが,近年では受傷年齢の高齢化に伴い転倒・ 転落による不全麻痺者の割合が増加している 1)2) 完全麻痺者の獲得可能な日常生活活動(Activities of Daily Living,以下ADL)は損傷高位から推測 が可能であり,損傷高位から設定すべき理学療法目 標はある程度統一した見解が得られている 3)4) 。一 方,不全損傷者では損傷高位のみの情報では獲得 可能動作の予測が困難であり,実用的な歩行が獲 得できるか否かが焦点となる者も少なくない。こ のため,自立歩行の獲得可能性を予測することは 不全損傷者にとって非常に重要であり,その要因 やアルゴリズムについて過去多くの検討がなされて いる。先行研究において,脊髄損傷者の歩行獲得 にはASIA Impairment Scale(以下AIS5) ASIA motor score 6)7) ,改良Frankel分類 8) 等の評価で代 表される神経学的因子が影響するとしているものが 最も多く,神経学的因子が第一の要因として報告さ れている。これらは急性期における報告がほとんど 連 絡 先:古関 一則  茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部理学療法科 〒3000331 茨城県稲敷郡阿見町阿見4733 電  話:0298889200 FAX:0298889279 Email[email protected] 茨城県立医療大学紀要 第 20 巻 A S V P I Volume 20

脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および 麻痺 …脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 61 原著論文 脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および

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Page 1: 脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および 麻痺 …脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 61 原著論文 脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および

脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 61

原著論文

脊髄損傷者の自立歩行獲得と麻痺重症度および麻痺分類との関係

-回復期の評価結果からの検討-

古関 一則1),吉川 憲一1),前沢 孝之1),浅川 育世2),水上 昌文2)

1)茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部理学療法科2)茨城県立医療大学保健医療学部理学療法学科

要旨

 本研究の目的は,脊髄損傷者において,リハ病院入院時点における神経学的因子が歩行獲得に及ぼす影響を明

らかにすることである。対象は2001年 3 月~2012年12月までに当院に入院した受傷後 3か月以内の脊髄損傷者

126名とした。方法は入院時点での麻痺重症度(ASIA Impairment Scale:AIS)・麻痺分類(対麻痺,四肢麻痺

の別)と退院時の自立歩行獲得可否との関係について,決定木分析を用いて分析した。その結果,AIS:D群お

よびAIS:Cかつ対麻痺群は歩行自立へと分類され,その他の組み合わせは歩行非自立へと分類された。リハ病

院入院時点において,損傷高位以下に実用的な運動機能を認めるAIS:Dにあることが最も重要であった。

 脊髄損傷者において,自立歩行獲得の可否には麻痺重症度が最も大きく影響していること,麻痺が重度の場合

では四肢麻痺者に比べ対麻痺者の方が歩行獲得の可能性が高いことが明らかとなった。

キーワード:脊髄損傷,歩行,神経学的因子

Ⅰ.はじめに

 近年の脊髄損傷者の特徴として受傷年齢の高齢化

が挙げられ,それに伴い障害像が変化してきてい

る。脊髄損傷の主な受傷原因は,以前は交通事故が

多くの割合を占めており,完全麻痺を呈する者が多

かったが,近年では受傷年齢の高齢化に伴い転倒・

転落による不全麻痺者の割合が増加している1)2)。

完全麻痺者の獲得可能な日常生活活動(Activitiesof Daily Living,以下ADL)は損傷高位から推測が可能であり,損傷高位から設定すべき理学療法目

標はある程度統一した見解が得られている3)4)。一

方,不全損傷者では損傷高位のみの情報では獲得

可能動作の予測が困難であり,実用的な歩行が獲

得できるか否かが焦点となる者も少なくない。こ

のため,自立歩行の獲得可能性を予測することは

不全損傷者にとって非常に重要であり,その要因

やアルゴリズムについて過去多くの検討がなされて

いる。先行研究において,脊髄損傷者の歩行獲得

にはASIA Impairment Scale(以下AIS)5)やASIAmotor score6)7),改良Frankel分類8)等の評価で代

表される神経学的因子が影響するとしているものが

最も多く,神経学的因子が第一の要因として報告さ

れている。これらは急性期における報告がほとんど

連 絡 先:古関 一則  茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部理学療法科     〒300-0331 茨城県稲敷郡阿見町阿見4733電  話:029-888-9200 FAX:029-888-9279 E-mail:[email protected]

茨城県立医療大学紀要 第 20 巻A  S   V  P  I Volume 20

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茨城県立医療大学紀要 第20巻62

であるが,神経学的因子は時間経過とともに状況が

日々刻々と変化するため,回復期病棟を含む一般リ

ハビリテーション病院(以下リハ病院)入院時点に

そのまま適用することはできない。また,Zonnerら6)は四肢麻痺,対麻痺で歩行獲得のアルゴリズム

が違うと報告しているのに対し,Middendropら7)

は四肢麻痺者,対麻痺者で歩行獲得に差がなかった

と報告しており,麻痺重症度だけでなく麻痺分類と

の交互作用を含めた歩行獲得への影響については一

定の見解を得るまでには至っておらず,さらなる検

討が必要である。

 本研究の目的は,リハ病院入院時点における神経

学的因子が歩行獲得に及ぼす影響を明らかにするこ

とである。

Ⅱ.対象と方法

1. 対象

 対象は2001年 3月から2012年12月までに当院に

入院した脊髄障害を有する者とし,診療録より後方

視的に情報を抽出した。対象期間内に入院した脊

髄障害者282名のうち,受傷から3ヶ月以上経過し

た者,入院時のAISがEの者,18歳未満の者,運動機能に影響を及ぼす特筆すべき既往を有する者を除

いた126名(平均年齢:55.5歳±15.5歳,男性96名,女性30名)を対象とした。受傷原因は転倒37名,交

通事故31名,転落27名,スポーツ 1名,その他の外

傷11名,非外傷性脊髄損傷が19名であった。麻痺重

症度は入院時のAISがA:26名,B:18名,C:21名,D:61名,麻痺分類は四肢麻痺者79名,対麻痺者47名であった。

2. 方法

 調査項目は当院入院(受傷から平均58.8±17.8日)から平均17.0±5.9日後に行われる初期カンファランス時のAISと麻痺分類(四肢麻痺,対麻痺),当院退院(受傷から平均201.3±56.5日)時点での自立歩行獲得状況について,診療録より後方視的に抽

出した。歩行獲得状況の分類は診療録の記載から

Spinal Cord Independence MeasureⅢのitem12(移動:屋内)を用い(表1), 3点以下を歩行非自立,

4点以上を歩行自立として分類した。情報の抽出は

当院の理学療法士3名が行い,歩行獲得状況の分類

方法に関する検者間の信頼性はκ係数を用いて事前

に確認を行った上で調査を実施した。

 自立歩行獲得の可否と麻痺重症度・麻痺分類との

関係については,以下のように分析した。自立歩行

獲得の可否とAISとの関係は,AISを数値化した上で(A:1 B:2 C:3 D:4)Mann-Whitney U検定にて検討した。歩行獲得と麻痺分類との関係はχ2検定を

用いて検討した。さらに,麻痺重症度と麻痺分類の

交互作用を含めた影響を検討するため,AISと麻痺分類のクロス表を作成し,各条件における歩行獲得

率を算出した。各組合せにおける歩行自立可否の判

定には自立歩行獲得有無を従属変数,麻痺重症度と

麻痺分類を独立変数とし,決定木分析(ディシジョ

ンツリー)を実施した。

 統計解析はMann-Whitney U検定およびχ2検定

はIBM SPSS statistics 20を用い,危険率5%を有意とした。ディシジョンツリー分析はR vol.3.0.1を用い,パッケージはmvpartを使用した。予測式の算出にはclassi cation and regression treeを用い,分岐の基準にはジニ係数を利用した。

 尚,本研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認

を得て実施した(承認番号:516)。

Ⅲ.結  果

 麻痺重症度別に四肢麻痺者,対麻痺者それぞれ

の歩行獲得率をクロス表を用いて比較した結果を以

下に示す(表2)。AIS:D群の歩行獲得率は83.6%(51/61)であった。麻痺分類別の比較では,四肢麻痺者81.3%(39/48),対麻痺者が92.3%(12/13)で

表 1 Spinal Cord Independence MeasureⅢ item12

Spinal Cord Independence MeasureⅢitem12(移動:屋内)

0:全介助1:電動車椅子または手動車椅子駆動部分介助2:手動車椅子操作自立3:歩行に監視が必要4:歩行器又は杖を用いての歩行(振り出し歩行)5:歩行器又は杖を用いての歩行(交互歩行)6:1本杖歩行7:杖なし歩行(装具要)8:支持なし歩行本研究においては,3点以下で歩行非自立,4点以上で歩行自立と分類した。

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脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 63

あり,四肢麻痺,対麻痺ともに自立歩行の獲得に至っ

た者の割合が多かった。AIS:C群の歩行獲得率は23.8%(5/21)であった。麻痺分類別の比較では,四肢麻痺者が0%(0/13),対麻痺者は62.5%(5/8)であり四肢麻痺者と対麻痺者の間で歩行獲得率に差

が認められた。AIS:A,B群の歩行獲得率は,4.5%(2/44)であった。麻痺分類別に比較すると,四肢麻痺者が0 %(0/18),対麻痺者が7.7%(2/26)であり,四肢麻痺,対麻痺共にほとんどの者が自立歩

行に至らなかった。

 Mann-Whitney U検定の結果,AISは自立歩行獲

得の可否において有意を認めた(Mann-WhitneyのU=413.000,p=0.000)。一方χ2検定の結果,自立

歩行獲得と麻痺分類との間には有意差が認められな

かった(df=1,χ2=0.948,p=0.330)。 ディシジョンツリー分析の結果,1回目の分岐で

はAIS:D群とその他の群に分類され,AIS:D群は自立歩行の獲得が可能と分類された。AIS:A,B,C群のその後の分岐では,AIS:Cかつ対麻痺の群は自立歩行獲得が可能と分類されたが,その他の条

件では自立歩行獲得が困難であると分類された(図

1)。

表 2 麻痺重症度,麻痺分類別歩行獲得率

AIS:A,B 麻痺重症度AIS:C AIS:D

非自立 18 非自立 13 非自立 9四肢麻痺 自 立 0 自 立 0 自 立 39

獲得率(%) 0.0 獲得率(%) 0.0 獲得率(%) 81.3非自立 24 非自立 3 非自立 1

麻 痺 分 類 対 麻 痺 自 立 2 自 立 5 自 立 12獲得率(%) 7.7 獲得率(%) 62.5 獲得率(%) 92.3非自立 42 非自立 16 非自立 10

計 自 立 2 自 立 5 自 立 51獲得率(%) 4.5 獲得率(%) 23.8 獲得率(%) 83.6

AIS:ASIA Impairment Scaleの略

図 1 ディシジョンツリー解析結果

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茨城県立医療大学紀要 第20巻64

Ⅳ.考  察

 本研究では,リハ病院入院時点での麻痺重症度・

麻痺分類と歩行獲得との関係について調査を行っ

た。結果より,AISは自立歩行獲得の可否において有意差が認められたが,麻痺分類との間には有意差

が認められなかった。ディシジョンツリー分析にお

ける結果を見ると,1回目の分岐でAIS:D群は歩行獲得可能であるが,AIS:A,B,C群は歩行獲得の割合が低くなっており,歩行獲得には麻痺重症度

が主として関連していることが示唆された。一方,

その後の分岐ではAIS:C群かつ対麻痺群では歩行獲得に至る割合が多かったが,四肢麻痺群では歩行

獲得に至る者はおらず,AIS:C群では麻痺分類による違いが顕著に認められた。AIS:A,B群では四肢麻痺群,対麻痺群共ほとんどの者が歩行獲得に

至っておらず,このことからリハ病院入院時点で麻

痺域に運動が出現していない場合(AIS:A,B),歩行獲得に至ることは困難であることが示唆され

た。神経学的な自然回復に関する報告9)-11)では,

緩やかな神経学的回復は18ヶ月に渡り続くが,主要

な回復は受傷後3ヶ月未満,特に受傷後6週までに

顕著に回復するとされている。リハ病院入院時(受

傷後2~ 3ヶ月)は神経学的回復が緩やかになり始

める時期であり,本研究の結果より,この時点にお

いて実用的な運動機能を認めるAIS:Dを有していることが,実用的な歩行を獲得するために最も重要

であることが示唆された。

 麻痺分類と歩行獲得率について,Watersらは四肢麻痺者に比べ対麻痺者で歩行獲得率が高く,特に

受傷後1ヶ月時点で完全麻痺を呈している状態から

歩行獲得に至ったのは対麻痺群のみであったと報告

している11)-15)。本研究においては,麻痺分類とい

う単一の因子では歩行獲得率に差はなかった。しか

し,麻痺重症度別に見ると全群とも四肢麻痺者に比

べ,対麻痺者で歩行獲得率が高いという結果が得ら

れた。特に,比較的麻痺の軽いAIS:D群に比べ,麻痺が重度であるAIS:C群においてより顕著な差が認められた。これは対麻痺者ではクラッチや歩行

器の使用が有利であり上肢による支持が十分に得ら

れること,損傷高位がより下位の者は歩行獲得に重

要とされている股関節屈筋群(L2髄節の運動),膝関節伸筋群(L3髄節の運動)の機能11),16)が残存し

やすいことが考えられる。今回の結果においても,

対麻痺群では損傷高位以下の麻痺が重度であって

も,損傷高位がより下位であるためにL2,L3機能が高い例も存在し,このことが対麻痺者の歩行獲得

率が高い一因であると示唆された。このため,下肢

機能をより詳細に評価するにはASIA motor score等の評価を合わせて実施していくことが必要であ

り,今後の課題としたい。

 本研究ではリハ病院入院時点での神経学的因子と

歩行獲得率との関係について検討を行い,麻痺重症

度・麻痺分類共に歩行獲得に影響を及ぼす因子であ

ることが明らかとなった。リハ病院では退院時の移

動手段を予測することは重要であり,それに基づき

適切な練習内容の選択,自宅退院に向けて住宅環境

や福祉機器等の準備を進めていく必要がある。脊髄

不全損傷者の自立歩行獲得に関する要因としては神

経学的因子以外にも年齢17),18)や下肢筋力,立ち上

がり能力19)等が挙げられており,今後はリハ病院

入院時点の評価より,様々な要因を含んだ歩行予後

予測のアルゴリズムの作成が必要である。

文  献

1 )日本パラプレジア医学会脊損予防委員会:日

本の外傷性脊髄損傷登録統計 1990年 1月-

1992年12月.脊損予防広報,第六報,1994

2 )坂井宏旭,植田尊善,芝啓一郎:【脊髄損傷-その研究成果と臨床の現状】(part2)脊髄損傷の臨床 疫学調査 福岡県における脊髄損傷の疫

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3 )水上昌文:頸髄損傷四肢麻痺者における機能レ

ベルと移動・移乗能力との関係.理学療法ジャー

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4 )水上昌文:全身障害と理学療法,1.脊髄損傷.

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脊髄損傷者の歩行獲得と麻痺重症度・麻痺分類との関係 65

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10)須堯敦史,出田良輔,坂井宏旭,植田尊善:

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2009;57(2):50-5411)AS Burns, JF Ditunno. : Establishing

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14)Waters RL, Adkins RH, Yakura JS, Sie I.: Motor and sensory following incompleteparaplegia. Arch Phys Med Rehabil,1994; 75(1): 67-72

15)Waters RL, Adkins RH, Yakura JS, Sie I.: Motor and sensory following incompletetetraplegia. Arch Phys Med Rehabil, 1994; 75(3): 306-311

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る要因抽出の統計学的分析-.The Journal ofJapan Academy of Health Sciences.2008;11(2):51-61

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茨城県立医療大学紀要 第20巻66

Relationship between neurological severity, tetra- or paraparesis and ambulation forpatients with spinal cord injury in sub-acute hospital

Kazunori Koseki1),Kenichi Yoshikawa1),Takayuki Maezawa1),Yasutsugu Asakawa2),Masafumi Mizukami2)

1 Department of Physical Therapy, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences Hospital2 Department of Physical Therapy, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences

Abstract

This study examined the effects of neurological factors on ambulation for patients with Spinal Cord Injury (SCI)

admitted to a rehabilitation hospital.

Subjects were 126 patients with SCI admitted to Ibaraki Prefectural University of Health Sciences Hospital

within 3 months of injury in the period March 2001 to December 2012. Decision tree analysis was used to compare

which combination of ASIA Impairment Scale(AIS) and tetra- or paraparesis in patients resulted in ambulation

being regained. Analysis showed that patients with AIS:D or AIS:C and paraparesis were able to regain ambulation.

We determined that the most important factor is AIS:D (motor function is useful below the neurological level). The

most important factor for regaining ambulation in patients with SCI is severity of paralysis. If the AIS score is C,

patients with paraparesis are more likely to regain ambulation than those with tetraparesis.

Key words:spinal cord injury, ambulation, neurological factors