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1 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
「準揮発性有機化合物(SVOC)」
2013.3.6
早稲田大学理工学術院建築学科
田辺新一
資料 1-1-2
2 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
揮発性有機化合物 室内濃度指針値 ホルムアルデヒド 100 μg/m3
トルエン 260 μg/m3
キシレン 870 μg/m3
パラジクロロベンゼン 240 μg/m3
エチルベンゼン 3800 μg/m3
スチレン 220 μg/m3
クロルピリホス 1 μg/m3
フタル酸ジ-n-ブチル 220 μg/m3
テトラデカン 330 μg/m3
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル 120 μg/m3
ダイアジノン 0.29 μg/m3
アセトアルデヒド 48 μg/m3
フェノブカルブ 33 μg/m3
揮発性有機化合物発生
ホルムアルデヒド、トルエンなど 代表例
接着剤、建材、家具など 放散源
特徴 空気中に放散
厚生労働省指針値
●ホルムアルデヒド放散建材の 使用面積制限 ●クロルピリホス使用禁止 ●機械換気システム設置義務
対策
室内の化学物質汚染:「シックハウス症候群」
図:国土交通省HPから引用
3 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 • DEHP室内曝露による小児の喘息への影響が示唆された(ス
ウェーデン, Bornehag et al., EHP, 2005)
• ダスト中DEHP濃度と就学前の子供たちの喘息の間に有意な関連が見られた(ブルガリア、Kolarik et al.,EHP, 2008)
• 児童のIQおよび尿中フタル酸濃度との間に負の関連が見られた(韓国、Cho et al. EHP, 2010)
• ダスト中のBBzP,DEHAがアトピー性皮膚炎のリスクを各々2.1倍、2.2倍、DEHPが結膜炎のリスクを3.7倍上げた。(Kishi et al., 北海道大学, 2010)
• その他リン系難燃剤、可塑剤に関する指摘もある
フタル酸エステル類の健康影響の指摘
4 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
デンマークのフタル酸エステル含有製品規制
2013年2月28日から施行 DEHP, DBP, BBP, DIBPを含む室内使用製品の輸入、販売に関する規制 皮膚および気道粘膜から吸収される
含有率重量比0.1%を超える製品を規制
家庭用品、乳児用品など
罰則あり
5 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 室内におけるSVOCの挙動
[i] : 経気 [d] : 皮膚 [o] : 経口
6 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
分配係数(Koa)の検討が必要 William W Nazaroff, HB2012から引用
・ほぼ 100%近く が 粒 子 状 になっている ・従って空気中濃度は高くならない
7 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 飲食由来の年齢群別DEHP摂取量推計(男性) 年齢群歳 DEHP摂取量[μg//kg・day]
平均 5P 50P 95P 全体 6.7 0.86 4.1 21.3
1 21.7 2.6 13 68.2 5 13.6 1.7 8.2 42.2 10 10 1.3 6.2 30.5
13~15 7.1 1 4.5 21.6 16~19 5.9 0.81 3.7 18 20~29 5.3 0.75 3.4 16.6 30~39 5.6 0.78 3.5 17.2 40~49 5.6 0.82 3.5 17.3 50~59 6.2 0.92 4 18.6 60~69 6.1 0.86 3.8 17.8
日本食品分析センター(1998)
厚生労働省(2002, 2010)は「器具及び容
器包装並びに乳幼児の口に接触させるおもちゃに対する、DEHPなどを含有する合成樹脂を使用してはならない」としている
幼児のDEHP摂取量が 低減出来るようにした
0
5
10
15
20
25
30
35
40
WA KZ NO SU
OK0
8-P
OK0
8-C
TK08
-S
TK08
-L
KR08
MY0
8
TS08
SN08
MD
08
KN09
YM09
ST09
KW09
KG09
OK0
9
HT0
9
KN KG YM IG TT MR
2007 2008 2009 2010
自然素材住宅 一般住宅
DE
HP摂
取量[μg/kg
・da
y]
US.EPA (RfD):20[μg/kg·day]
幼児のハウスダスト摂取量:10.3 [mg/kg•day]
室内のDEHP汚染濃度を低減するため
には室内に使用している建材等の含有率対策が必要ではないか
SVOC対策
ハウスダスト由来のDEHP摂取量推定
8 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 SVOC分析対象物質 分析対象化学物質
2E1H D6 BHT DEP C16 TBP TCEP DBA DBP C20 TPP DOA DEHP
C16換算総有機物量※
※2E1HからDEHP間に検出された揮発性有機化合物総量のC16換算値
9 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
住宅のハウスダスト中SVOC濃度の実態把握
調査目的
ハウスダスト中SVOC濃度測定 気中濃度測定
0日目
掃除機でハウスダストを吸引する
3日目
3日間掃除をせず、 放置する
捕集装置を用いて ハウスダストの捕集を行う
63μmでふるい分けし、 溶媒抽出後、GC/MSで 分析する
調査方法
ハウスダスト中DEHP濃度実測調査
10 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
0
1000
2000
3000
4000
5000
6000 W
A SU
K1
K2
K3
K4
K5
K6
OK0
8-P
TK08
-S
KR08
M
Y08
TS08
SN
08
MD
08
KN09
YM
09
ST09
KW
09
KG09
O
K09
HT0
9 KN
10
KG10
YM
10
IG10
TT
10
MR1
0 H
N11
KM
11
KN11
YM
11
SD11
H
H12
N
K12-
J N
K12-
W
ハウスダスト中DEHP濃度 ハ
ウス
ダスト
中D
EHP濃
度[µ
g/g]
ドイツ 既往研究
2010
■畳 ■木質系床材 ■PVC系床材 ■カーペット
・日本住宅はドイツ住宅と比べ、DEHP濃度が高い傾向 ・自然素材住宅は低めの濃度
2011 2012 2009 2008
韓国住宅
95P
50P
2007
自然素材住宅
11 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
35.0
40.0
45.0
0.0 0.5 1.0 1.5 0
1000
2000
3000
4000
5000
6000
0.00 0.50 1.00 1.50
DEHP気中濃度[µg/m3] DEHP気中濃度[µg/m3]
DEHP気中濃度とダスト中濃度の関係 DEHP気中濃度と単位面積当たりのDEHP検出量の関係
■PVC系床材 ◆木質系床材 ▲畳
単位面積当たりの
DEH
P検出量
[µg/
m2 ]
ダスト中
DEH
P濃度
[µg/
g]
KN11 KN11
YM11
YM11 KM11
HN11
SD11
HN11 KM11
SD11
・気中濃度とDEHP濃度には強い相関はない ・気中濃度の高い住宅は単位面積当たりのDEHP検出量が高い ・浮遊粉塵に付着したDEHPも捕集している
気中DEHP濃度
HH12 HH12
12 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 Little’s chamber FLEC CLIMPAQ
気中濃度と SS棒への吸着量から 放散速度、放散量を 算出をする。
気中濃度から 放散速度、放散量を 算出をする。 気中濃度が検出されるには約150日必要。
気中濃度から 放散速度、放散量を 算出をする。 同様に約100日必要。
吸着が定常になるまで、測定できない
建材からのSVOC測定法
13 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
Material Glass Chamber Volume 630mL Loading Factor 8.4m2/m3
Air Exchange Rate 1.5 times/hour
Inlet
Outlet
Cover
Clamp Sorbent Tube
φ115mm
φ82mm 125mm
Test specimen
φ82
mm
φ11
5mm
■エージング ・マイクロチャンバーを流水及び、メタノールで洗浄 ・残存した化学物質を揮発させるために260℃で2時間加熱処理
マイクロチャンバー法 (JIS A 1904)
14 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
⇒GC/MS
Tenax-TA
⇒GC/MS
エージング 試験片を設置し、換気を行う 試験片と捕集管を取り出す 加熱脱着を行う
マイクロチャンバー法
Thermostat Oven
Micro Chamber MSTD Micro Chamber
測定手順
15 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 クッションフロア
テーブルクロス 壁紙
カーペットタイル
PVCタイル
滑り止めマット
障子紙
CF-WT CF-LI CF-DM CF-CO CF-01 CF-02
TB-CH TB-FL TB-RS TB-OR
CT-SG CT-HA CT-01
PT-OL PT-DR PT-WO PT-JP PT-DK PT-FL
WL-SM WL-IB WL-ST WL-01 WL-02 WL-03
EV-01 EV-02 EV-03
EVA樹脂タイル
イグサシート
IS-01
SB PA
計31種
測定建材一覧(市場で購入)
16 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
0
2
4
6
8
10
12
14 CF
-WT
CF-C
O
CF-D
M
CF-L
I
CF-0
1
CF-0
2
TB-C
H
TB-F
L
TB-R
S
TB-O
R
CT-S
G
CT-H
A
CT-0
1
PT-J
P
PT-D
K
PT-O
L
PT-D
R
PT-W
O
PT-F
L
WL-
IB
WL-
SM
WL-
ST
WL-
01
WL-
02
WL-
03
EV-0
1
EV-0
2
EV-0
3 SB
PA
IS-0
1
DEH
P放散速度[
µg/m
2 h]
■クッションフロア ■テーブルクロス ■カーペットタイル ■PVCタイル ■壁紙 ■EVA樹脂タイル ■滑り止めマット ■障子紙 ■イグサシート
DEHP(Diethyl phthalate)
・自然素材である障子紙は放散速度が小さな値であった ・しかし、コンタミがある→建材表面への吸着か? ・クッションフロア、テーブルクロスは放散量が高い ・壁紙の中にはDEHPを含有しないISM壁紙などもある
17 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
実験室実験
恒温高湿槽 温度:28℃相対湿度:50%
設置時間:3日間
表面ブリードアウト試験や模擬ダストを回収した後、残留SVOC濃度を測定
DEHP表面ブリード量
0
10
20
30
40
50
60
S-BL-1 S-BL-2 S-BL-3 Average
35 D
EH
P検出量[μg]
設置と拭き取り様子
DE
HP検出量[μg]
0
20
40
60
80
K2R
3-a
K2R
3-b
K2R
3-cl
ean
K2L
3
K3L
3
K4R
3
K4L
3
TW-0
9
TW-1
0
K-S
H-L
K-S
H-R
K-Y
H-R OK
HT
N.D
N.D
6倍 残留量 確認
床材の表面ブリードアウトを確認し、模擬ダストを除去しても表面に残留されることが確認された。また、実住宅における実験では、同じ空間であっても床材の種類によって床面のDEHP濃度が異なる
表面ブリードアウト試験
残留量試験
実測調査
模擬ダスト除去後、DEHP残留量
22
0102030405060
R-BL-1 R-BL-2 R-BL-3 Average
DE
HP検出量[μg]
拭き取り法を用いた床面付着SVOC濃度測定
18 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定 曝露リスクを低減させるに有効な方法は
対象となるSVOC含有率の低い建材、製品を選定すること
換気だけではSVOC(DEHPを含む)汚染を防ぐことは難しい
空気濃度のみでの議論は不十分
19 Shin-ichi Tanabe, Waseda University, All Rights Reserved ©2013
マスタ タイトルの書式設定
謝辞
本研究のSVOC捕集システムに関しては、平成19~21年度:国土交通省・住宅・建築関連先導技術開発助成事業「ハウスダストによる健康負荷削減住宅に関する技術開発」の助成を受けて開発された。 市場購入建材の測定に関しては、平成23年度:公益財
団法人セコム科学技術振興財団助成研究「日常のみならず被災時の建築空気環境の安全と安心対策」の助成を受けて行われた。