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インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

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インターンシップの取り組みと成果の考察-学生による自己評価と成果を中心に-

� 木原 すみ子・宮原 正広

1.はじめに

 大学等では、学生のキャリア形成支援、就業力育成の観点から、インターンシッ

プの重要性がより高くなっている。本学でのインターンシップは、人間コミュ

ニティ学科がスタートした平成 14 年度(2002 年)から 2 単位の選択科目とし

て継続して実施している。

 本学でのインターンシップは 15 年を過ぎ、毎年学生を実習先に送り出してき

た。ただし、当初より選択科目ということもあり、毎年数名の履修である。平

成 20 年度にコースの改変があり、新たに映像・放送コースがスタートした。こ

のコースは、演習や外部での現場実習を多く取り入れており、そのコースの学

生がさらに現場で学ぶためにインターンシップに取り組むようになった。しか

し、学科全体としてはやや減少傾向にあり、また同じ事業所に複数の学生がお

世話になることも多くなってきた。実習にかかわる学生の意欲・態度・姿勢も

多様になっている。

 そこで、まず、インターンシップの推進に当たっての基本的考え方を確認し、

文部科学省による大学等のインターンシップ調査を参考に近年のインターン

シップ状況を確認する。本学人間コミュニティ学科におけるインターンシップ

の取り組みと特徴を概観し、実習した学生の振り返りを中心に、本学でのイン

ターンシップが目指す内容についてどうであったかの自己評価、どのような学

びや理解をしたか、どのような成果が得られたかについて確認し、成果を考察

する。

 さらに、本学のインターンシップの現状での課題について、インターンシッ

プの研究、他学の取り組み事例や成果の研究等も参考にしながら検討し、多く

の学生のインターンシップへの参加、インターンシップによる成果の向上をめ

インターンシップの取り組みと成果の考察

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ざすための方策を検討する。

2.大学等のインターンシップの取り組み

2-1.インターンシップの推進に当たっての基本的考え方

 「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」について、平成9年に、

文部省・通商産業省・労働省が示しているが、その後平成 26 年、平成 27 年に

改正が行われている。

 文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「『インターンシップの推進に当たっ

ての基本的考え方』の見直しの背景及び趣旨について」によると、我が国にお

いて、インターンシップは、「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関

連した就業体験を行うこと」として幅広くとらえられている (1)。

 平成 26 年に文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「インターンシップの推

進に当たっての基本的考え方」について、見直しがされた (2)。表 1 は、大学等

及び学生にとっての意義を改正前と改正後で比較したものである。大学等及び

学生にとっての意義として、教育内容・方法の改善・充実、高い職業意識の育成、

自主性・独創性のある人材の育成に加え、キャリア教育・専門教育としての意

義が新たに加えられている。「大学におけるキャリア教育・専門教育を一層推進

する観点から、インターンシップは有効な取組である」としている。

表 1.大学等及び学生にとっての意義

改正後 改正前

・キャリア教育・専門教育としての意義

・教育内容・方法の改善・充実 ・教育内容・方法の改善・充実

・高い職業意識の育成 ・高い職業意識の育成

・自主性・独創性のある人材の育成 ・自主性・独創性のある人材の育成

 また、表 2 は、企業等における意義を改正前と改正後で比較したものである。

改正前は、実践的な人材の育成、大学等の教育への産業界等のニーズの反映、

企業等に対する理解の促進があげられているが、改正後は、企業等に対する理

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木原 すみ子・宮原 正広

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解の促進にさらに魅力発信が加えられ、「中小企業等の魅力発信としてもイン

ターンシップは有益な取組である。」としている。

表 2.企業等における意義

改正後 改正前

・実践的な人材の育成 ・実践的な人材の育成

・大学等の教育への産業界等のニーズの反映

・大学等の教育への産業界等のニーズの反映

・企業等に対する理解の促進、魅力発信

・企業等に対する理解の促進

 大学等においてキャリア教育の重要性が言われ、その実践教育の一つとして、

インターンシップ導入が推進されている。また、受け入れ先の企業等においても、

社会貢献の一つとして教育に貢献するだけでなく、自社の魅力を知ってもらう

積極的な取り組みととらえられている。

 さらに、平成 27 年に、平成 28 年度における企業の採用選考活動開始時期の

変更に伴い、学生情報を広報活動に使用できる時期、学生情報を採用選考活動

に使用できる時期をそれぞれ改正している (3)。しかし、今後も採用選考活動開

始時期の変更に伴い、これらの時期について改正されていく可能性がある。平

成 29 年には、より教育効果の高いインターンシップの実施に当たって留意点も

あげられている (4)。

2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果 

 大学におけるインターンシップの実施及び参加する学生数について、文部科

学省が毎年調査を実施 (5) しており、本学も情報提供している。単位認定を行う

インターンシップを、「特定の資格取得に関係しないもの」と「特定の資格取得

に関係するもの」にわけて調査をしている。「特定の資格取得に関係するもの」

とは、特定の資格取得のために現場で実施する実習(例:教育実習、看護実習、

臨床実習等)を指す。資格取得のために必修であり、実習する内容もその業務

が中心である。表 3 は、大学のみのインターンシップ実施校数と参加学生数で

インターンシップの取り組みと成果の考察

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ある。現時点では、平成 27 年度分までのデータが公表されている。大幅な伸び

ではないが、年々増加している。キャリア教育の観点からも導入が進んでいる

ことが推測される。

 表 4 は、同じ調査で、大学・短期大学・高等専門学校で単位認定を行うインター

ンシップの実施校で特定の資格取得に関係しないものについて、最近の平成 26

年度・平成 27 年度の 2 年度分を抜粋し、実施率と参加率を比較したものである。

表 4.大学等における単位認定を行うインターンシップ実施校数と参加学生数(特定の資格取得に関係しないもの)

学校種別平成 26 年度 平成 27 年度

実施校数(実施率)

参加学生数(参加率)

実施校数(実施率)

参加学生数(参加率)

大学(学部・大学院) 566 校(72.9%)

72,053 人 (2.6%)

581 校(74.3%)

86,248 人(3.1%)

短期大学 136 校(39.3%)

5,848 人(4.4%)

135 校(39.4%)

5,894 人(4.5%)

高等専門学校 57 校(100%)

8,950 人(15.5%)

57 校(100%)

9,379 人(16.3%)

合  計 759 校(64.4%)

86,851 人(2.9%)

773 校(65.4%)

101,521 人(3.4%)

資料:文部科学省「平成 27 年度 大学等におけるインターンシップ実施状況について」をもとに作成。

 大学や高等専門学校の参加学生数は伸びているが、短期大学での伸びは小さ

い。短期大学は 2 年間であり、資格取得のための実習が多いため、インターンシッ

プの期間をとることが難しいということも考えられる。

表 3.大学におけるインターンシップ実施校数・参加学生数

資料:文部科学省「平成 27 年度 大学等におけるインターンシップ実施状況について」

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大 学 等 においてキャリア教 育 の重 要 性 が言 われ、その実 践 教 育 の一 つとして、インタ

ーンシップ導 入 が推 進 されている。また、受 け入 れ先 の企 業 等 においても、社 会 貢 献 の

一 つとして教 育 に貢 献 するだけでなく、自 社 の魅 力 を知 ってもらう積 極 的 な取 り組 みとと

らえられている。 さらに、平 成 27 年 に、平 成 28 年 度 における企 業 の採 用 選 考 活 動 開 始 時 期 の変 更

に伴 い、学 生 情 報 を広 報 活 動 に使 用 できる時 期 、学 生 情 報 を採 用 選 考 活 動 に使 用 で

きる時 期 をそれぞれ改 正 している (3 )。しかし、今 後 も採 用 選 考 活 動 開 始 時 期 の変 更 に

伴 い、これらの時 期 について改 正 されていく可 能 性 がある。平 成 29 年 には、より教 育 効

果 の高 いインターンシップの実 施 に当 たって留 意 点 もあげられている (4)。

2-2.大 学 等 のインターンシップ実 施 調 査 結 果

大 学 におけるインターンシップの実 施 及 び参 加 する学 生 数 について、文 部 科 学 省 が

毎 年 調 査 を実 施 (5 )しており、本 学 も情 報 提 供 している。単 位 認 定 を行 うインターンシップ

を、「特 定 の資 格 取 得 に関 係 しないもの」と「特 定 の資 格 取 得 に関 係 するもの」にわけて

調 査 をしている。「特 定 の資 格 取 得 に関 係 するもの」とは、特 定 の資 格 取 得 のために現

場 で実 施 する実 習 (例 :教 育 実 習 、看 護 実 習 、臨 床 実 習 等 )を指 す。資 格 取 得 のため

に必 修 であり、実 習 する内 容 もその業 務 が中 心 である。表 3 は、大 学 のみのインターン

シップ実 施 校 数 と参 加 学 生 数 である。現 時 点 では、平 成 27 年 度 分 までのデータが公

表 されている。大 幅 な伸 びではないが、年 々増 加 している。キャリア教 育 の観 点 からも導

入 が進 んでいることが推 測 される。

表 3.大 学 におけるインターンシップ実 施 校 数 ・参 加 学 生 数

資 料 :文 部 科 学 省 「平 成 27 年 度 大 学 等 におけるインターンシップ実 施 状 況 について」 表 4 は、同 じ調 査 で、大 学 ・短 期 大 学 ・高 等 専 門 学 校 で単 位 認 定 を行 うインターン

シップの実 施 校 で特 定 の資 格 取 得 に関 係 しないものについて、最 近 の平 成 26 年 度 ・

平 成 27 年 度 の 2 年 度 分 を抜 粋 し、実 施 率 と参 加 率 を比 較 したものである。

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木原 すみ子・宮原 正広

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2-3.COC+でのインターンシップに関する取り組み

 COC は、Center of Community の略であり、COC+ とは、地(知)の拠点大

学による地方創生推進事業である。大学が地方公共団体や企業等と協働して、

学生にとって魅力ある就職先の創出をするとともに、その地域が求める人材を

養成するために必要な教育カリキュラムの改革を断行する大学の取組を文部科

学省が支援するものである (6)(7)。

 本学では、平成 27 年度に採択された文部科学省「地(知)の拠点大学による

地方創生推進事業(通称 COC+ 事業)さが地方創生人材育成・活用推進プロジェ

クト」の COC+ 参加校として、佐賀県内の佐賀大学・西九州大学・佐賀女子短

期大学、西九州大学短期大学部の COC+ 協力校と連携を図りながら地元就職率

向上での貢献を目指した取り組みを行っている。

 我が国の少子化・超高齢化社会に伴う人口の減少と若い世代の東京一極集中

に歯止めをかけ、学生にとって魅力ある地元の就職先を創出・開拓するととも

に地方創生を担う人材の育成が急務となっている。こうした背景のもと、佐賀

県及び地方公共団体、経済団体、企業及び NPO 等と協働して、地元就職率の向

上と地域産業の振興による雇用の拡大・創出に取り組んでいる。その事業の一

環として、佐賀県内の企業、自治体、NPO、学生団体等の機関が一堂に集まり、

それぞれの取り組みや魅力を、県内の大学で学ぶ学生たちに知ってもらう「さ

がを創る大交流会」や外部講師を招いて「県外における多様なインターンシップ」

についての講演やシンポジウム、FD・SD 研修会を開催している。

 COC・COC+ 共同シンポジウムでは、毎年、佐賀県内 4 大学の学生が自身の

インターンシップ体験について事例発表を行っている。平成 29 年度は、本学の

人間コミュニティ学科映像・放送コースの学生が「インターンシップを通して」

と題して、働くことの意義やインターンシップの積極的な参加の重要性につい

て報告を行った。

 平成 28 年 6 月には、本学と鳥栖市、鳥栖市教育委員会において互いの資源を

活かした包括的な連携協定を締結した。さらに平成 30 年 7 月には、地域課題解

決型の学習や企業へのインターンシップを通じた人材の育成をはじめ、地域の

インターンシップの取り組みと成果の考察

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教育・文化の振興、生涯学習の推進や地域産業の振興及び地域の活性化などに

ついて、鳥栖商工会議所と包括連携協定の締結を行った。

 本学においても、学科の強みを活かしたインターンシップを含む地域志向型

のキャリア教育の実践を目指している。

3.本学のインターンシップの取り組み

3-1.特徴・実施方法

 本学では、開学 50 周年を迎えた平成 14 年度よりそれまでの「仏教学科」「日

本語日本文化学科」を改組し、新たに「人間コミュニティ学科」を開設すると

同時にインターンシップをスタートさせた。人間コミュニティ学科の共通科目

の中で就業力育成の分野の 2 単位の選択科目と位置づけている。全国大学実務

教育協会の「ビジネス実務士」・「情報処理士」資格の選択科目にもなっている。

 インターンシップは、1 年次の夏期または春期休暇中の 2 週間を実施期間と

している。この実施時期は、単に他の実習との重複を避けるためだけでなく、

関連する科目を学ぶことにより、仕事への理解や技術力を少しでも身につけさ

せて実習に送り出し、実習で学んだことを2年次の勉学や進路選択、就職活動

に活用させるためでもある。

 インターンシップは科目の担当教員が指導し、学務課教務係の職員と連携し

ながら実施している。実習に対する意欲の高い学生を事業所に送り出すために、

選択科目としている。

 インターンシップ実施の流れは、表 5 のとおりである。1 年次の 5 月にインター

シップの目的と意義、実施内容、実施の流れについて説明する。それに先立ち、

実習をした 2 年生代表者によるインターンシップ体験報告をしてもらい、イン

ターンシップの必要性と効果について理解をしてもらう。6 月までに、希望実

習先を選定し、希望先への連絡、実習依頼に関する文書類の準備、訪問による

実習依頼という学生自らが行動するプロセスがある。訪問後、打ち合わせ内容

の詳細を教員に報告する、という流れである。

 巡回指導は、実習中の第 2 週目に実施している。実習指導担当者から、学生

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木原 すみ子・宮原 正広

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の実習への取り組みや課題達成等についての報告やアドバイスをいただくとと

もに、学生からも報告を受けて今後の指導に活かしている。

 2週間の実習が終了した学生は、実習内容や成果の報告をし、実習の内容・感想・

指導者からのコメント等を記録した実習記録ノートを担当教員に提出する。

表 5.インターンシップ実施の流れ

① インターンシップの説明を聞く② 意義・内容・実施までを理解する③ 実習時期を決定する④ 実習先を探す、相談する⑤ 希望の実習先を決定する⑥ 実習先との交渉の際の諸注意を聞く⑦ 希望実習先に連絡をし、実習依頼のための訪問のアポイントメントをとる⑧ 実習生調査書の準備をする・依頼状等の書類を準備する⑨ 希望実習先への依頼・打ち合わせをし、結果報告をする⑩ 実習前の諸注意を聞く・実習ノートの配布と記入の説明⑪ 実習⑫ 実習ノートを提出し、報告をする

 インターンシップの教育効果を高めるために本学では、これらの実習前のプ

ロセスに対して学生自身が取り組んでいく作業を多く取り入れている。希望実

習先に連絡を取り、実習依頼のための訪問のアポイントメントをとる際には、

事前に電話でのアポイントメントの取り方や訪問と打ち合わせについての注意

をし、実習生調書の作成等を指導している。しかし、事業所に連絡を取り、普

段使う事のない敬語で実習先との交渉事をすることは、学生にとって大きな負

担とも思われ、インターンシップの履修を躊躇する学生も多い。しかし、本学

ではこのプロセスこそが学生と事業所の最初の繋がりととらえ、今後とも実施

していく考えである。

 本学では、事業所でのインターンシップを通して以下のことについて、理解

を深め、知識や技術を生かした職業適応力を育成したいと考えている。

 ・基本的な業務の流れを理解する

 ・基礎的な事務処理や技術を学ぶ

 ・専門的な技術の実習の場合は、専門技術を体験する

インターンシップの取り組みと成果の考察

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 ・業種または活動の現状を学ぶ

 ・ビジネスマナーを学ぶ

 ・他者とのコミュニケーションを学ぶ

 ・プレゼンテーション能力を高める

 ・職員の体験談やアドバイス等から労働観を学ぶ

 ・積極性、自主性、責任感をもつことを学ぶ

3-2.実施状況

 平成 14 年度からスタートしたインターンシップは、当初履修する学生が少な

かったが、平成 20 年度「人間コミュニティ学科」に「映像・放送コース」、「司

書・情報コース」を新設したころから、履修者も徐々に増加した。

 表 6 は、平成 20 年から 29 年度までのインターンシップ履修者の推移である。

学科の学生の約 14%前後の履修率である。この割合は、大学等の参加数の平均

を上回っているが、この近年の傾向は、映像・放送コースの履修者が多いこと

による。

 映像・放送コースでは、映像・放送の現場において即戦力となる人材を育成

するため、1 年前期からテレビ、ラジオなどの放送機関や制作プロダクション

の協力を得て、直接現場指導を受ける実習システムを作り、企業と協働した人

材育成に取り組んでいる。これゆえ、学生たちはインターンシップを実習の延

長ととらえ 1 年生の夏期または春期休暇に、自己のスキルアップを目指し、さ

らなる現場体験の場を求めてインターンシップの実習に励んでいる。

 司書・情報コースでは、司書資格の必修として鳥栖市立図書館をはじめ佐賀

県内外の図書館と連携し協働して人材の育成を行っているため、インターンシッ

表 6.インターンシップ履修者の年度別推移(平成 20年度~ 29 年度)コース 20 年度 21 年度 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度

映像・放送コース 5 名 3 名 6 名 3 名 3 名 11 名 10 名 13 名 9 名 8 名司書・情報コース 3 名 5 名 4 名 4 名 1 名 4 名 3 名 2 名 3 名 1 名仏教コース - 1 名 - - - - - - - -

合  計 8 名 9 名 10 名 7 名 4 名 15 名 13 名 15 名 12 名 9 名

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木原 すみ子・宮原 正広

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プでは、書店や学校図書館、一般企業等での実習となる。営利企業と公共性の

高い図書館との大きな違いを感じるためか、近年の参加者数が低迷していると

考えられる。

 同じく、仏教コースでは、地域の寺院などと協働して宗教コミュニティ実習

を実施している。インターンシップは、現在までに 1 名のみ仏教関連の事業所

で実習した。

 現在までに、非営利団体(NPO)、公的機関、書籍販売、教育関連、映像・放

送関連企業等で実習している。実習内容は、事業所により異なるが、オフィスワー

クをはじめ、外務への同行、研修会への参加、テレビ局での生放送、屋外ロケ

や映像編集の現場実習など、さまざまな業務を体験させていただいている。また、

佐賀県からはインターンシップに関する情報の提供があり、本学からは取り組

みについて報告をするなど、情報交換を行っている。

 また、平成 27 年度から就職支援コーディネーターを配置し、県内企業との連

携、県内就職先の開拓、学生の就職支援、事業協働機関へのインターンシップ

の推進を行っていく体制を強化している。

4.インターンシップの成果および考察

4-1.学生による自己評価

 インターンシップ終了後の学生に、実習を通してどのくらい理解したり学べ

たりしたと思うかについて自己評価をしてもらった。実習先の業種もさまざま

であり、実施時期、実習内容も実習先によって異なるため、おおよその傾向を

みるものである。自己評価をする内容は、事業所でのインターンシップを通し

て理解を深め、知識や技術を生かした職業適応力を養成するために、「実習を通

して育成をめざす内容」にあげたものである。

 記入は順序尺度により、4(かなりできた)、3(ややできた)、2(あまり

できなかった)、1(まったくできなかった)の中で該当するものを選択する方

式である。ただし、実習していない内容に関するものは、記入なしとした。

 本稿では、複数年度で比較・分析をして傾向をみるため、平成 28 年度と平成

インターンシップの取り組みと成果の考察

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29 年度の最新の 2 年間に実習した学生のデータを対象として分析した。平成 28

年度は 11 名、平成 29 年度は 7 名の回答があった。

 表 7 は、年度ごとにそれぞれの内容についての自己評価の回答の平均値を示

したものである。平成 28 年度は、「基本的な業務の流れを理解する。」「業種や

活動の現状を学ぶ。」ということに対して、多くの学生が「できた」と答えてい

る。続いて、「他者とのコミュニケーションを学ぶ。」「社員(職員)の体験談や

アドバイス等から労働観を学ぶ。」ということも「できた」という学生が多い。「基

礎的な事務処理を学ぶ」や「積極性、自主性、責任感をもつことを学ぶ」につ

いては、やや低かった。最も自己評価の平均が低かったのは「プレゼンテーショ

ン(表現)を学ぶ。」であり、4という評価は 1 名もなく、1という評価をした

学生もいたため、平均値が低くなっている。これは、何人かの前で発表したり、

プレゼンテーションソフト等を使って何かをしたりする機会があまりなかった

ととらえている可能性もある。

表 7.学生による自己評価平成 28 年度

平均値平成 29 年度

平均値基本的な業務の流れを理解する 3.6 3.6基礎的な事務処理を学ぶ 3.0 3.0専門的な技術・知識を学ぶ 3.3 3.1業種や活動の現状を学ぶ 3.6 3.3ビジネスマナー(心構え、敬語、接遇、気配りなど)を学ぶ 3.3 3.3

報告・連絡・相談について学ぶ - 3.3他者とのコミュニケーションを学ぶ 3.5 3.4プレゼンテーション(表現)を学ぶ 2.6 2.8社員(職員)の体験談やアドバイス等から労働観を学ぶ 3.5 3.4

積極性、自主性、責任感をもつことを学ぶ 3.0 3.4

 平成 29 年度は、「基本的な業務の流れを理解する」、「他者とのコミュニケー

ションを学ぶ」、「社員(職員)の体験談やアドバイス等から労働観を学ぶ」は

同様にできたと答えた学生が多かった。平成 28 年度よりも「積極性、自主性、

責任感をもつことを学ぶ」ことがかなりできたと答えた学生が多かった。「基礎

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木原 すみ子・宮原 正広

Page 12: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

的な事務処理を学ぶ」や「専門的な技術・知識を学ぶ」の評価がやや低く、「プ

レゼンテーション(表現)を学ぶ。」が平成 28 年度と同様に最も低かった。

 両年度とも、「基礎的な事務処理を学ぶ」ことの自己評価が低いが、映像関係

の実習生が多いこともあり、その業務が少なかったことが推測される。全体的

に自己評価は高い傾向にあるといえる。

4-2.実習で学生が得られた学びや理解

 実習で得られた学びや理解については、自由記述形式で記入してもらった。

自由記述のため、複数の学びや理解を記入している学生が多かった。

 表 8 は、平成 28 年度と平成 29 年度に分け、回答を % 表示にして多い順にま

とめたものである。平成 28 年度は、仕事をする上で基本となる「礼儀・心構え・

マナー・応対」などをあげている学生が多かった。「技術」は、映像関係や事務

処理・作業に関することで具体的に学んでいる。また、業務を体験する中で、「仕

事に対する考え方」や「仕事の内容」、「きびしさ」等を知ることができている。

平成 29 年度は、「コミュニケーション」をあげている学生が多かった。次いで、

技術や効率的な作業の進め方を学んだこと等をあげている。

表 8.実習で得た学びや理解(複数回答)平成 28 年度(11 名) 平成 29 年度(7 名)記述内容 回答率 記述内容 回答率

礼儀・心構え・マナー・応対 81.8% コミュニケーション 42.9%技術 36.4% 技術 28.6%仕事への考え方 36.4% 効率的な作業の進め方 28.6%仕事の内容 18.2% 業務全般 14.3%コミュニケーション 9.1% 専門用語 14.3%きびしさ 9.1% 社会性 14.3%プロの慣れや経験 9.1% 周りを見ての行動 14.3%    事業所による関わり方の違い 14.3%

4-3.実習で学生が得た成果

 学生たちにインターンシップを経験した後に振り返ってみて、実際にインター

ンシップで得られた成果を自由記述で記入してもらった。表 9 は、平成 28 年度

インターンシップの取り組みと成果の考察

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と平成 29 年度に実習した学生の自由記述の中から、一部を抜粋したものである。

表 9.インターシップで得た成果(2年間の抜粋)

・作業の効率化を常に考えるようになった・人と接するときには、常に思いやりをもって接することの大切さ・自分から動く積極性・挨拶の大切さに気付いた・自主性・ケーブルテレビの業務の流れを知ることができた・ラジオの現状を知ることができた・書店独自の業務だけでなく、レジ打ちや接客といったどこの店でも行うことを

経験できた・高齢者とのコミュニケーションの取り方、接し方を学ぶことができた・収録現場でテキパキと動くこと・実習先の担当の方から、現場での作業に主体性があるなどお褒めの言葉をいた

だいた

 また、この実習で得られた成果を平成 28 年度と平成 29 年度の年度別に類似

する成果をまとめて % 表示にして違いをみたものが、表 10 である。両年度とも、

学びや理解の記述と同様に、「マナー・応対・気遣い」、「技術」をあげている学

生が多い。平成 28 年度には、「積極性・自主性がついた」ことや、「仕事の流れ

や現状を知った」こと、平成 29 年度には、「礼儀やマナー」、「就職先の視野が

広がった」ことをあげている。年度により実習先も違うことから、成果のとら

えかたも多少異なってくる。

表 10.実習で得た成果(複数回答)平成 28 年度(11 名) 平成 29 年度(7 名)記述内容 回答率 記述内容 回答率

マナー・応対・気遣いができた 63.6% 技術を学べた 42.9%技術を学べた 45.5% 礼儀やマナー 28.6%積極性・自主性がついた 27.3% 就職先の視野が広がった 28.6%

仕事の流れや現状を知った 27.3% 高齢者とのコミュニケーションの取り方・接し方を学べた 14.3%

働く人の話を聞けた 9.1% 仕事への責任と積極性が身についた 14.3%

コミュニケーション能力がついた 9.1%    

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木原 すみ子・宮原 正広

Page 14: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

4-4.成果の考察

 2週間のインターンシップ後の振り返りは、目指した学びに対する自己評価と、

実習の詳細や成果の確認を学生自身がするためのものである。そして、その後

の学生生活や就職活動にも活かすためのものである。また、この学びや成果を、

次年度の 1 年生のガイダンス時に 2 年生の代表者数名が報告することで、1 年

生のインターンシップの理解と促進へつなげている。

 日ごろの授業では経験することができない仕事の厳しさや社会人としてのマ

ナー、挨拶の大切さ、実習先の従業員とのコミュニケーションの難しさなどに

ついてのコメントが目立った。このようなことからも 2 週間のインターンシッ

プは、これからの進路選択や就職活動に役立ち、社会の現場を体験することで

ビジネスマナーやコミュニケーションスキル不足、技術スキルに気付き、そう

した不足する部分を補い、さらに、自己の能力を開発のための実習であると、

学生自身に自覚させ変革を促すものとなっていることが確認できた。

5.インターンシップ推進のための課題と提案

5-1.インターンシップ研究や他学の取り組みの工夫

 本学のインターンシップは、人間コミュニティ学科がスタートした平成 14 年

度から継続して実施している。木原(2005)が、インターンシップの意義と大

学での推進状況、スタートして 3 年の本学の取り組みを紹介し、成果を高める

検討をしたのち、インターンシップが学生のキャリア形成の支援をする有効な

手段であることを報告している (8)。その後も多くの大学等がインターンシップ

に取り組み、学習効果をあげるための工夫もしている。本学のインターンシッ

プをより充実させるために、それらの事例や調査・課題についていくつか示し

て本学のインターンシップと比較し、検討の参考にしたい。

 まず、インターンシップの意識づけに関して、森山他(2018 年)は、入学直

後の、労働や社会・経済のことにまだ認識がうすい学生に、夏期休暇時のインター

ンシップへの興味・関心を持たせること、無償で働くことに対するモチベーショ

ンを高めさせることができるのかというような大きな課題があるという (9)。そ

インターンシップの取り組みと成果の考察

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Page 15: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

の課題をクリアする方法として、選択必修の正規科目として「キャリアデザイン」

を設定し、その中で働くことへのモチベーションやインターンシップの効用実

例などを示すという教育内容を盛り込むことによって、学生にインターンシッ

プ経験の必要性を痛感させ、参加者数の増加という結果を導いたという。本学

人間コミュニティ学科では、共通科目の中の就業力育成分野に「インターンシッ

プ」、「キャリアデザイン」、「ソーシャルマナー」を選択科目として設置している。

キャリアデザインでは、まず自分を知る、何がしたいかと考えるところから学

んでいく。インターンシップのガイダンスでその意義については説明している

し、他の科目でもインターンシップを勧めることがあるが、残念ながらまだ多

くの履修にはつながっていない。

 インターンシップの理解や意識づけのために、事前教育も重要である。大仲

他(2016 年)は、インターンシップの充実のために、ビジネスマナーだけでなく、

業界研究・企業研究、社会人基礎力の向上が不可欠とし、キャリア教育とインター

ンシップをより充実するために、事前教育に読書活動を導入し、読書そして大

学図書館の利活用を推進・促進する取り組みを報告している (10)。若者の読書離

れが言われる中で、インターンシップの事前教育に実習先の業種と関連ある本

を読むことをとおして、教養や社会人基礎力の向上をめざしたものである。そ

の後の読書や図書館活用にまでにはならなかったようであるが、大学図書館の

資料を活用した学生への就業力育成支援として、また図書館活性化の例として

参考になる。本学では時間的余裕がないが、支援が可能であれば、インターンシッ

プの参考となる資料の整備とともに、指導担当教員と図書館との協働が必要と

なる。

 インターンシップ実習の対応や指導方法について、薮下(2017 年)は学生自

身が体験する授業の形態を総称して体験型学習と位置づけ、その重要性を示し、

多くの学生に実習体験を勧めている (11)。実習は、学生への詳しい事前説明や指

導が今後も重要であるが、大学と学生、企業側が事前に十分な打ち合わせを行い、

学部の目標、専攻学生の授業内容などを実習計画の中に盛り込み、教育効果の

検証に関しても評価が可能な方法を検討すべきだと述べている。学生の主体性、

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木原 すみ子・宮原 正広

Page 16: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

やる気や参加意欲の高揚など、動機付けや実習への参加目的をどこまで充実さ

せるかが課題という。文部科学省も、事前・事後指導と、受け入れ先との事前

の打ち合わせの重要性をあげている。本学のインターンシップは、実習受け入

れ先の確保の難しさもあり、実習内容は実習先にゆだねることが多い。実習先

ごとに業務が異なり、計画だった実習を求めるというのは難しいというのが現

状である。効果的な実習にしていくためには実習受け入れ側との事前打ち合わ

せや終了後の検証が重要となる。

 社会人基礎力でみるインターンシップの効果について、藤島他(2017 年)は、

学生の社会人基礎力の自己評価をもとに、インターンシップの夏季実習と春季

実習の事前・事後による差や就職内定とのかかわりについて分析している (12)。

夏季実習生は実習後に自己評価が低くなっており、インターンシップをするこ

とで求められる社会人基礎力のレベルに気づくという成果をあげている。そし

て、主体性をはじめとする自己評価が高く、積極的な学生が多いという。一方

で、春季実習生の方が早期内定率は高く、インターンシップ終了後の高いモチ

ベーションで就職活動を始めたことの影響を推測している。社会人基礎力の事

前の正しい評価により、インターンシップを通じ、社会人基礎力を向上させる

ことが期待できるという。本学でも、夏期休暇中と春期休暇中にインターンシッ

プを選択科目として実施しているが、1 年次の夏に実習をする学生は積極的な

学生が多く、就業意識もやや高いように思われる。

 インターンシップの効果や影響について、田崎(2013 年)は、インターンシッ

プで出会った他者とのかかわりが職業選択にどのような影響を与えるかについ

て調査・面接を行い、他者とのかかわりと職業選択に関する部分を分析してい

る (13)。職場の観察、社会人や学生との仕事、社会人から自分への支援行動など

の他者とのかかわりが多く生まれることによって、学生自身の自己の強みや価

値観に対する気づきがあり、職業選択の変化につながっていたという。本学の

インターンシップの場合でも、実習先での他者とのかかわりで自分自身への気

づき、他者の自分への配慮や支援などへの気づきが実習記録にも記載されてい

る。職業選択への影響までは確認できていない。一人で未知の職場に身をおき、

インターンシップの取り組みと成果の考察

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Page 17: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

指導を受け、自分ができうる範囲で業務を体験させてもらい、その学生なりの

達成感を感じているが、さらに職場との連絡調整によって、学生にさらに意欲

と自信を持たせる実習内容としていくことが必要である。

 学習成果の調査研究では、吉本(2015 年)が、短期大学と専門学校の卒業生

調査をもとに、インターンシップ、資格取得のための実習やアルバイト等を含

めた「職業統合的学習」を総合的に把握している (14)。専門的な資格取得のため

の実習、インターンシップだけでなく、専門分野と関連したアルバイトなど在

学中にさまざまな経験を通した学習が教育の職業的有用性を高めていることを

明らかにし、これらの諸活動を職業統合的学習として総合的に把握することの

適切性を確認している。学生自身がめざす専門分野に関連する、実習、インター

ンシップ、アルバイト等の経験が学習成果をあげている。本学ではインターン

シップ、実習などは正規の単位認定科目であるため把握できているが、在学中

のアルバイトについての正確な把握はしておらず、それらも含めた十分な学習

成果の検証までには至っていない。

 このように、多くの大学が、インターンシップに対する意識づけや事前教育

の提案、学生への指導や受け入れ事業所との打ち合わせの必要性、効果の確認、

社会人基礎力の向上等について、その必要性をあげ、学習効果をあげるための

努力をしている。本学のインターンシップの現状を踏まえ、課題について検討

する。

5-2.課題の検討

 インターンシップについては、入学時より、その意義、計画、目指す主な実

習内容等を説明している。しかし、インターンシップを促すものの履修者の割

合があまり変わらず、「インターンシップを通して学び、今後の活動に活かす」

という目的に対する理解が学生に十分浸透するまでには至っていない。その理

由として、インターンシップが選択科目であること、資格のための実習もあり、

それとは別に緊張を伴う実習をすることに対する負担感があること等が考えら

れる。今後状況をみながら、インターンシップのあり方や方法をどうするか、

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木原 すみ子・宮原 正広

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実施期間も含めて検討が必要である。インターンシップの推進上検討すべき課

題として、実習期間、実習依頼の方法、他の実習との関係、実習先の開拓、意

欲の啓発・向上等が考えられる。以下では、それぞれについて状況を考察して

いく。

〇実習期間

 実習期間は、1年次の夏期休暇中または春期休暇中の 2 週間(実質 10 日間)

である。インターンシップが就業力育成に役立つ上、自分の適性を考え職業選

択の参考にもなるが、学生にとっては 2 週間の実習は負担感が大きいと思われ、

選択しない学生が多い。

 佐賀県より情報提供される広域インターンシップに関する事業所リストでは、

受け入れ可能な事業所が増えてきているが、ほとんどが短期間の受け入れであ

る。1day という受け入れもある。

 実習期間を半分の 1 週間(実質 5 日間)にして学生の負担感を減らし、選択

しやすくするということも考えられる。

〇実習依頼の方法

 前述したように、本学では、実習先は原則として自己開拓とし、自ら連絡を取り、

受け入れの交渉をする。学生にとって勇気と手間がいることであるが、実習先を

探し依頼をし、承諾をいただくことも大きな学びになる。インターンシップがスター

トした平成 14 年度から、その考えのもと継続している。

〇他の実習との関係

 本学の人間コミュニティ学科では、3コースともそれぞれの専門の実習がある。

仏教コースでは宗教コミュニティ実習、司書・情報コースでは図書館実習、映像・

放送コースでは映像・放送実習である。実施時期や実施方法はそれぞれ異なるが、

いずれも単位認定(2 単位)をしている。その実習だけでよいという学生もいる。

また、高校までに、3 ~ 5 日程度の職場体験をしている学生もいる。

インターンシップの取り組みと成果の考察

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〇意欲の啓発・向上

 実習した学生は、仕事をする上で基本となるマナー・応対・気遣いや、積極性・

自主性、就職先の視野の広がり等の成果をあげている。就業力育成、キャリア形

成のために、学生の意欲を啓発し向上させるさらなる工夫が必要である。

○実習先の開拓

 現在までの実習先は、過去の受け入れ実績がある事業所、別の演習でお世話

になっている事業所、学生の縁故がある事業所が中心である。その他に情報と

して、広域インターンシップで情報提供された事業所、公的機関からの募集等

がある。これらの多くは、地域や期間(短期が多い)が合わないということが

多い。

5-3.課題解決に向けての提案

 他の資格のための実習も継続しながら、学生の就業力育成、キャリア形成の

支援のために、人間コミュニティ学科全体でインターンシップ履修者を増やし

ていきたい。その方策として、期間を1週間に短縮し 1 単位とする短期型イン

ターシップの導入を学科で検討している。受け入れ側の担当者不足や指導によ

る負担増等の理由で 2 週間では難しい事業所もあることや、できるだけ多くの

学生のキャリア形成を支援するという意図からである。本来は、従来どおり 2

週間のインターンシップが効果的と考えるが、履修者を今以上に増やし、また

受け入れ事業所の負担を軽減するために 1 週間(1 単位)とし、平成 31 年度か

らの開始を予定している。短期大学では時間の制約もあるため、1 週間(実質 5

日間)のインターンシップは、履修選択の幅も広がり学生の多数の参加が見込

まれ、学生の就業力向上、キャリア形成の支援につながるという効果も考えて

いる。

 学生が選択しやすくするとともにキャリア形成を高められるように、今以上

に指導強化を行っていきたいと考える。一方で、個別の事前指導、巡回指導、

手続きの事務処理も増えることから、その対応も予測しながら進める必要があ

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木原 すみ子・宮原 正広

Page 20: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

る。

 実習依頼の方法については、学生が自らすることに大きな意義があるため、

従来どおりとする。しかし、現在でもそうであるが、事業所によっては教員が

先に連絡を取る必要がある場合、それに応じて支援をする。

 また、履修しやすい方法を検討しても、学生自身の学習意欲が向上しなければ、

インターンシップにはつながらない。意欲を啓発するために、学生の体験報告

を聞くだけでなく、実習生が学んだり理解したりしたこと、得られた成果など

について、具体的にまとめたものを配布し、その学びの効果をイメージしやす

くする。実習する学生の事前・事後のデータをもとに学習成果を確認する作業

も重要になる。

 さらには、産学官の関係機関と相互に交流、連携をしながら、今後もインター

ンシップに関する情報の収集・提供、受け入れ事業所の開拓等を行い、インター

ンシップの推進を図っていく。

6.終わりに

 以上のように、本学人間コミュニティ学科におけるインターンシップの取り

組みと成果について考察し、より推進していくための検討をした。

 インターンシップの推進に当たっての基本的考え方、文部科学省による大学

等のインターンシップ調査を参考に近年のインターンシップ状況を確認した後、

本学人間コミュニティ学科におけるインターンシップの取り組みと特徴を概観

し、実習した学生の振り返りを中心に、本学でのインターンシップについての

学生による自己評価、学びや理解、得られた成果について確認した。

 さらに、本学のインターンシップの課題について検討をするために、インター

ンシップの研究、他学の工夫事例や成果の研究等も参考にし、多くの学生のイ

ンターンシップへの参加、インターンシップによる成果の向上をめざすための

方策を考察した。

 多くの大学等がインターンシップに取り組み、学習効果をあげる努力をして

いる。学生の実習に対する意欲向上への働きかけや教育効果の検証も継続する

インターンシップの取り組みと成果の考察

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Page 21: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

課題である。

 本学もインターンシップの実績としては長年積み上げてきたものがあるが、

学生のキャリア形成、就業力育成が強く求められるなか、より教育効果を上げ

る指導や実施方法の工夫が必要となる。今回、インターンシップの期間を 1 週

間とすることで多くの学生が取り組みやすくする工夫を始めたが、今後も、多

くの学生がインターンシップを体験し、実習を通して多くの気づきと成果が得

られるように、実施・検討をかさねていく予定である。

参考文献

⑴ 文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの推進に当たっての

基本的考え方」の見直しの背景及び趣旨について 平成 26 年 4 月 8 日

 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/sangaku2/1346606.htm

 2018 年 8 月 19 日アクセス

⑵ 文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの推進に当たっ

ての基本的考え方」

 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldf

ile/2015/12/15/1365292_01.pdf  2018 年 8 月 19 日アクセス

⑶ インターンシップの推進に当たっての基本的考え方 新旧対照表

 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldf

ile/2015/12/15/1365292_02.pdf  2018 年 8 月 19 日アクセス

⑷ 文部科学省・厚生労働省・経済産業省「インターンシップの推進に当たっ

て基本的考え方 」に係る留意点 について ~より教育 的効果の高いインター

ンシップ推進に向けて~ 平成 29 年 10 月 25 日

 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/

afieldfile/2018/02/14/1365292_3.pdf 2018 年 8 月 19 日アクセス

⑸ 文部科学省「平成 27 年度 大学等におけるインターンシップ実施状況につ

いて」

 http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfi

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木原 すみ子・宮原 正広

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le/2017/06/23/1387144_001.pdf 2018 年 8 月 30 日アクセス

⑹ 文部科学省「平成 27 年度(知)の拠点大学による地方創生推進事業」

 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldf

ile/2016/10/28/1378661_01_1.pdf

⑺ 文部科学省 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)

 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/coc/

 地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)事業説明会資料 - 文

部科学省資料(2015 年、PDF ファイル)

⑻ 木原すみ子「インターンシップとキャリア形成支援」『九州龍谷短期大学紀

要』第 51 号、pp.65-83、2005 年。

⑼ 森山 廣美・水原 道子・上田 知美「インターンシップ , キャリア教育 , 短大

生の就業意識 , 社会人基礎力」『四天王寺大学紀要』65 号、pp.465 – 481、2018 年。

⑽ 大仲聡子・山本芳功・島宗俊郎「インターンシップ事前教育での読書活動

導入について -名古屋経営短期大学における取り組み事例報告」『名古屋経

営短期大学紀要』57 号、pp.19-29、2016 年。

⑾ 薮下武司「多様な体験型学習の可能性-インターンシップ実習の勧めと課

題-」『中部学院大学・中部学院大学短期大学部 教育実践研究』第 3 巻第 1 号、

pp.205-213、2017 年。

⑿ 藤島淑恵・梶田鈴子「社会人基礎力でみるインターンシップの効果と課題 

-短期大学生の場合-」『中村学園大学・中村学園大学短期大学部 研究紀要』

第 49 号、pp.149-158、2017 年。

⒀ 田崎 悦子「職業選択に与えるインターンシップでの他者とのかかわりの影

響」『インターンシップ研究年報』 16(0)、pp.11-20、2013 年。

⒁ 吉本圭一「職業統合的学習と学習成果:短期大学・専門学校卒業生調査よ

り」『短期大学コンソーシアム九州紀要:短期高等教育研究』 Vol.5、pp.5-

14、2015 年。

インターンシップの取り組みと成果の考察

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Page 23: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

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木原 すみ子・宮原 正広

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ある保育者像と保育園像に対する学生の反応-『ダンプえんちょう やっつけた』を通して 平成 29 年度調査-

� 松田 祐子

1.はじめに

 本稿は絵本『ダンプえんちょう やっつけた』(古田足日・田畑精一作)に描

かれた、「ダンプえんちょう」と呼ばれる保育者と彼が営む小さな保育園のこど

もたちとの関わり方を学生たちがどのように捉え感じているのかを、アンケー

ト調査して分析したものである。

 平成 23 年度に調査を始めてから、平成 27 年度の中断を挟んで今回で 6 回目

になる。『ダンプえんちょう やっつけた』の概要は最初の平成 23 年度の拙稿

(松田:2011)で紹介しているので、そちらを見るか、できれば実物を読んでも

らえれば、この調査の題材に選んだ意味を理解して頂けると思う。昭和 40 年か

ら 50 年代と思われる地方のまちを舞台にした保育に、平成時代の終わりを区切

られた時代の学生がどのような反応を示すのか興味深い。

2.調査の方法

 本調査は平成 29 年 7 月 31 日、本学保育学科 2 年生の「言語表現」の授業に

おいて、パワーポイントでスライドショーにした『ダンプえんちょう やっつ

けた』を使って筆者が読み聞かせをした後に、記名式でアンケート行ったもの

である。回収したアンケートは 53 枚で、男子 10 名、女子 43 名である。

 昨年度の調査でも述べたように、「言語表現」は平成 23 年度から平成 26 年度

までは 1 年次開講の科目であったが、平成 28 年度から 2 年次の開講になり、平

成 26 年度以前の調査とは、学生の学習・実習の経験の状況が異なっている。平

成 29 年度の調査対象の学生たちは昨年度と同じく、調査の時点で基礎教育実習

(1 年次 9 月)・基礎保育実習(1 年次 2 月)・保育実習(2 年次 6 月)を経験し

ている。

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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アンケートの内容は、平成 28 年度にⅣ群とⅤ群で削除・追加した項目があり平

成 26 年度以前と若干異なる。

 アンケートの結果は、学生の条件が同じである平成 28 年度と、条件が異なる

がアンケートの回答者数が同じであったので平成 28 年度に比較した平成 26 年

度の数値を参考までに挙げておく。

3.アンケートとその結果

 各項目の [ ] の中の数値は左から平成 28 年度・平成 26 年度のものである。

Ⅰ あなたがこどもだったとき

Q1  あなたが通っていたのは

A 幼稚園 22 名(41.5%)[48.8% 43.9%]

B 保育園(所) 33 名(60.4%)[53.7% 58.5%]

C どちらにも通っていない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  0.0%]

AとBの両方回答の学生 2 名( 3.8%)[ 2.4%  2.4%]

Q2  A・Bと答えた人。園はどのような立地にありましたか。

Q3  野原や山・海などの自然の中で遊んでいましたか。

A しょっちゅう 19 名(35.8%)[31.7% 39.0%]

B ときどき 28 名(52.8%)[58.5% 31.1%]

C ほとんどない 6 名(11.3%)[ 9.8% 26.8%]

Q4  遊びに関しては、屋外と室内のどちらが中心でしたか。

A 屋外 22 名(41.5%)[48.8% 36.6%]

B 半々くらい 28 名(52.8%)[48.8% 56.1%]

C 室内 3 名( 5.7%)[ 2.4%  7.3%]

Q5  おもにどんな遊びをしましたか。具体的に書いてください(複数可)。

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松田 祐子

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Ⅱ あなたが今こどもだったとして

Q6  この本に出てくるような遊びをしたいですか。

A ぜひやりたい 13 名(24.5%)[46.3% 43.9%]

B できればやりたい 29 名(54.7%)[26.8% 26.8%]

C どちらでもない 9 名(17.0%)[12.2% 22.0%]

D やりたくない 2 名( 3.8%)[ 9.8%  7.3%]

E ぜったいやりたくない 0 名( 0.0%)[ 2.4%  0.0%]

Q7  理由を具体的に書いてください。

Q8  ダンプ園長のような保育者は好きですか。

A 大好き 11 名(20.8%)[34.1% 26.8%]

B 好き 27 名(50.9%)[48.8% 48.8%]

C ふつう 15 名(28.3%)[14.6% 22.0%]

D 嫌い 0 名( 0.0%)[ 2.4%  2.4%]

E 大嫌い 0 名( 0.0%)[ 0.0%  0.0%]

Q9  理由を具体的に書いてください。

Q10 わらしこ保育園に通ってみたいですか。

A ぜひ通いたい 17 名(32.1%)[34.1% 36.6%]

B できれば通いたい 19 名(35.8%)[34.1% 26.8%]

C どちらでもよい 14 名(26.4%)[22.0% 29.3%]

D 通いたくない 3 名( 5.7%)[ 7.3%  4.9%]

E 絶対通いたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  0.0%]

Q11 理由を具体的に書いてください。

Ⅲ あなたが保護者の立場だったら

Q12 この本に出てくるような遊びを自分のこどもにさせたいですか(私的な

場合も含む)

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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A ぜひさせたい 10 名(18.9%)[29.3% 31.7%]

B できればさせたい 28 名(52.8%)[48.8% 36.6%]

C どちらでもよい 11 名(20.8%)[14.6% 14.6%]

D させたくない 4 名( 7.5%)[ 7.3% 12.2%]

E ぜったいさせたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  2.4%]

Q13 ダンプ園長のような保育者をどう思いますか。

A とても好ましい 11 名(20.8%)[22.0% 43.9%]

B 好ましい 27 名(50.9%)[61.0% 36.6%]

C ふつう 12 名(22.6%)[14.6% 17.1%]

D 好ましくない 3 名( 5.7%)[ 2.4%  2.4%]

E まったく好ましくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  0.0%]

Q14 理由を具体的に書いてください。

Q15 わらしこ保育園に自分のこどもを通わせたいですか。

A ぜひ通わせたい 13 名(24.5%)[34.1% 36.6%]

B できれば通わせたい 17 名(32.1%)[43.9% 31.7%]

C どちらでもよい 19 名(35.8%)[14.6% 24.4%]

D 通わせたくない 4 名( 7.5%)[ 7.3%  4.9%]

E 絶対通わせたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  2.4%]

Q16 理由を具体的に書いてください。

Ⅳ 理想として

Q17 この本に出てくるような遊びを園児にさせてもいいと思いますか。

A ぜひさせた方がよい 8 名(15.1%)[19.5% 26.8%]

B できればさせたほうがよい 24 名(45.3%)[56.1% 56.1%]

C どちらでもよい 16 名(30.2%)[22.0%  9.8%]

D させてはならない 4 名( 7.5%)[ 2.4%  4.9%]

E ぜったいさせてはならない 1 名( 1.9%)[ 0.0%  0.0%]

- 26 -

松田 祐子

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回答なし [ 1 名( 2.4%)]=H26

Q18 理由を具体的に書いてください。

Q19 ダンプ園長のような保育者をどう思いますか。

A とても好ましい 7 名(13.2%)[22.0% 31.4%]

B 好ましい 32 名(60.4%)[61.0% 53.7%]

C ふつう 12 名(22.6%)[14.6%  9.8%]

D 好ましくない 1 名( 1.9%)[ 2.4%  0.0%] (1)

E まったく好ましくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  0.0%]

回答なし 1 名( 1.9%)

Q20 理由を具体的に書いてください。

Ⅴ あなたが保育者の立場だったら(現実として)

Q21 あなたは保育者になりたいですか

A ぜひなりたい 24 名(45.3%) [46.3%]

B できればなりたい 16 名(30.2%) [34.1%]

C どちらでもよい 12 名(22.6%)[ 7.3%]

D なりたくない 1 名( 1.9%)[12.2%]

E ぜったいなりたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%]

Q22 理由を具体的に書いてください。

Q23 この本に出てくる遊びを園児にさせたいですか(Q21 で D・E と答えた

人もこたえてください)(2)。

A ぜひさせたい 7 名(13.2%)[24.4% 12.2%]

B できればさせたい 23 名(43.4%)[36.6% 53.7%]

C どちらでもよい 12 名(22.6%)[22.0% 17.1%] (3)

D させたくない 10 名(18.9%)[17.1%  7.3%]

E ぜったいさせたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  7.3%]

回答なし 1 名( 1.9%)[ 1 名( 2.4%)]=H26

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

- 27 -

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Q24 理由を具体的に書いてください。

Q25 保育者としてのダンプ園長をどう思いますか (4)。

A とても好ましい 9 名(17.0%)[24.4% 29.3%]

B 好ましい 25 名(47.2%)[51.2% 39.0%]

C ふつう 16 名(30.2%)[22.0% 17.1%]

D 好ましくない 3 名( 5.7%)[ 2.4%  7.3%]

E まったく好ましくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  4.9%]

回答なし 1 名( 1.9%)[ 1 名( 2.4%)]=H26

Q26 理由を具体的に書いてください。

Q27 自分はダンプ園長のような保育者になりたいですか (5)。

A ぜひなりたい 7 名(13.2%)[22.0% 22.0%]

B できればなりたい 19 名(35.8%)[43.0% 34.1%]

C どちらともいえない 23 名(43.4%)[31.7% 29.3%]

D なりたくない 4 名( 7.5%)[ 2.4%  9.8%]

E ぜったいなりたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  2.4%]

回答なし 1 名( 1.9%)[ 1 名( 2.4%)]=H26

Q28 理由を具体的に書いてください。

Q29 保育者としてわらしこ保育園のような園に勤めたいですか (6)。

A ぜひ勤めたい 9 名(17.0%)[22.0% 24.4%]

B できれば勤めたい 15 名 (28.3%) [39.0% 29.2%]

C どちらでもよい 24 名(45.3%)[36.6% 26.8%]

D 勤めたくない 5 名( 9.4%)[ 2.4% 12.2%]

E 絶対勤めたくない 0 名( 0.0%)[ 0.0%  4.9%]

回答なし 1 名( 1.9%)[ 1 名( 2.4%)]=H26

Q30 理由を具体的に書いてください。

- 28 -

松田 祐子

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4.分析と考察

Ⅰ群 あなたがこどもだったとき

 幼稚園に通っていた学生は年々減少傾向にあるが、本年度はこれまでの最低

である。

 自然の中で遊んでいた学生は、A と B のときどき以上が 90% 近くおり、また

遊びの場が室内中心だったという学生は、わずか 5.7% であった。

Ⅱ群 あなたが今こどもだったとして

 Q6 のこの本に出てくる遊びをしたいかについて、A ぜひやりたいが著しく減

少し、B できればやりたいが過半数を占めているのが特徴で、過去最高である。

 Q8 のダンプ園長が好きかという問いも、B の好きが半数を超え、A の大好き

が大きく減った分、C が 3 割近くを占めている。

 Q10 のわらしこ保育園に通ってみたいかは、目立った違いはないと言える。

Ⅲ群 あなたが保護者の立場だったら

 Q12 の遊びに関しても、A ぜひさせたいが平成 28 年度より 10 ポイント以上

減り、B できればさせたいが過半数を占めている。

 Q13 ダンプ園長のような保育者については、A が異常に多かった 26 年度を除

けば 20% 前後で B が最大値の例年と大きな変化はない。

 Q15 こどもをわらしこ保育園に通わせたいかについては、平成 28 年度の回答

とは大きく分布が異なり、A が減り C が 3 分の 1 以上を占める。

Ⅳ群 あなたが保育者の立場だったら(理想として)

 Q17 の遊びに関しては、AB ともに平成 28 年度よりポイントを下げた分 C が

増加して 3 割を超え、過去最高となっている。

 Q19 ダンプ園長のような保育者については、最も多かった B の割合は 6 割前

後の例年と大きな違いはないが、A が少ない分 C が増えている。

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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Ⅴ群 あなたが保育者の立場だったら(現実として)

 平成 28 年度から設けた Q21 の保育者になりたいかについて、A ぜひなり

たいは 45.3% で平成 28 年度とほぼ同じである。しかし C のどちらでもよいが

22.6% で、約 3 倍にもなっているのは問題であるが、一方 D なりたくないはわ

ずか 1.9% で 10 ポイント余あまり少ない。平成 28 年度より気持ちのあいまいな

学生が増えたということになる。

 Q23 遊びについては、平成 28 年度より A が 11 ポイントあまり減り、その分

B が増えた形である。

 Q25 ダンプ園長をどう思うかについては、AB ともに平成 28 年度からは減少

し、C 回答が増加して 30% を超える。

 Q27 ダンプ園長のような保育者になりたいかについては、A ぜひなりたいが

28 年度より約 9 ポイント、B も約 7 ポイント減って、その分 C が 43.4% と 12

ポイントも増えている。D なりたくないは 3 ポイントあまり増えている。

 Q29 わらしこ保育園のような園に勤めたいかについては、A が 5 ポイント、

B は 10 ポイントあまりも減少しており、C どちらでもよいが 10 ポイント近く

多い。また D 勤めたくないも 7 ポイントも増えている。

 総じて現実的には、どの設問でも C の増加が目立ち、ダンプ園長・わらしこ

保育園に対する肯定的評価や思いは、平成 28 年度よりも低いと言える。

表 1 現実の保育者に関する比較

保育者(現実の立場で)

A B C D EH29 Q21 24(45.3) 16(30.2) 12(22.6) 1( 1.9) 0( 0.0)

Q25 9(17.0) 25(47.2) 16(30.2) 3( 5.7) 0( 0.0)Q27 7(13.2) 19(35.8) 23(43.4) 4( 7.5) 0( 0.0)

H28 Q21 19(46.3) 14(34.1) 3( 7.3) 5(12.2) 0( 0.0)Q25 10(24.4) 21(51.2) 9(22.0) 1( 2.4) 0( 0.0)Q27 9(22.0) 18(43.9) 13(31.7) 1( 2.4)

H26 - - - - - -Q27 12(29.3) 16(39.0) 7(17.1) 3( 7.3) 2( 4.9)Q29 9(22.0) 14(34.1) 12(29.3) 4( 9.8) 1( 2.4)

H26 の Q27 = H30 の Q25、H26 の Q29 = H28 の Q27

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松田 祐子

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各群の対応質問の比較

 第Ⅱ群から第Ⅴ群の、遊び・ダンプ園長に評価・わらしこ保育園に通うある

いは勤めることに関する質問に対して、立場のちがいによって学生の反応がど

のように変わるのかを、分かりやすくするために、以下のような表にまとめた。

ここでも年度による比較として、平成 28 年度と平成 26 年度の結果をあわせて

記した。

遊び

 まず平成 26 年度の Q7 が Q6 に、Q25 が Q23 に対応する。

平成 29 年度の特徴として、A も B も Q6 から Q23 へと少しずつ減少している。

特に Q17(理想)から Q23(現実)はどちらも 1 名減っただけである。これは

平成 28 年度にも平成 26 年度にも見られない傾向である。

 また A 回答の変動の幅が、平成 26 年度 31.7 ポイント、平成 28 年度 26.8 ポ

イントに比べて、平成 29 年度は 11.3 ポイントと著しく狭く、低い数値の範囲

で動いている。

 D 回答に関しては、平成 28 年度同様 Q17 から Q23 で跳ね上がっているのが、

平成 26 年度とは異なる。これはこういう遊びが、現実の保育の場面ではやはり

危険だと思う学生が多いということであろう。

表 2 遊びにかんする比較

遊び

年度 質問 A B C D EH29 Q6 13(24.5) 29(54.7) 9(17.0) 2( 3.8) 0( 0.0)

Q12 10(18.9) 28(52.8) 11(20.8) 4( 7.5) 0( 0.0)Q17 8(15.1) 24(45.3) 16(30.2) 4( 7.5) 1( 1.9)Q23 7(13.2) 23(43.4) 12(22.6) 10(18.9) 0( 0.0)

H28 Q6 19(46.3) 11(26.8) 5(12.2) 4( 9.8) 1( 2.4)Q12 12(29.3) 20(48.8) 6(14.6) 3( 7.3) 0( 0.0)Q17 8(19.5) 23(56.1) 9(22.0) 1( 2.4) 0( 0.0)Q23 10(24.4) 15(36.6) 9(22.0) 7(17.1) 0( 0.0)

H26 Q7 18(43.9) 11(26.8) 9(22.0) 3( 7.3) 0( 0.0)Q12 13(31.7) 15(36.6) 6(14.6) 5(12.2) 1( 2.4)Q17 11(26.8) 23(56.1) 4( 9.8) 2( 4.9) 0( 0.0)Q25 5(12.2) 22(53.7) 7(17.1) 3( 7.3) 3( 7.3)

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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ダンプ園長に対する評価

 まず平成 26 年度の Q27 が Q25 に対応する。

 平成 29 年度は Q19(理想)より Q25(現実)で若干ながら A が多い。これ

は平成 28 年度と同じである。また A 回答が低いレベルで 7.6 ポイントの狭い範

囲で動いている。どの質問でも A の割合が低いのが目立つ。

それに対して C 回答は、どの質問でも他年度に比べ高い数値で動いているのが

特徴である。

 A と C 回答の状況を合わせると、ダンプ園長を強く支持する学生が減って、

特に肯定も否定もしないという学生が増えたということである。

表 3 ダンプ園長に関する比較

ダンプ園長の評価

年度 質問 A B C D EH29 Q8 11(20.8) 27(50.9) 15(28.3) 0( 0.0) 0( 0.0)

Q13 11(20.8) 27(50.9) 12(22.6) 3( 5.7) 0( 0.0)Q19 7(13.2) 32(60.4) 12(22.6) 1( 1.9) 0( 0.0)Q25 9(17.0) 25(47.2) 16(30.2) 3( 5.7) 0( 0.0)

H28 Q8 14(34.1) 20(48.8) 6(14.6) 1( 2.4) 0( 0.0)Q13 9(22.0) 25(61.0) 6(14.6) 1( 2.4) 0( 0.0)Q19 9(22.0) 25(61.0) 6(14.6) 1( 2.4) 0( 0.0)Q25 10(24.4) 21(51.2) 9(22.0) 1( 2.4) 0( 0.0)

H26 Q8 11(26.8) 20(48.8) 9(22.0) 1( 2.4) 0( 0.0)Q13 18(43.9) 15(36.6) 7(17.1) 1( 2.4) 0( 0.0)Q19 14(31.4) 22(53.7) 4( 9.8) 0( 0.0) 0( 0.0)Q27 12(29.3) 16(39.0) 7(17.1) 3( 7.3) 2( 4.9)

わらしこ保育園のような園に通う・勤める

 まず平成 26 年度の Q31 が Q29 に対応する。また平成 28・29 年度では、Ⅳ群

でこの質問を設定していないので、Ⅱ・Ⅲ・Ⅴの 3 群での比較となる。

 平成 26・28 年度では Q10 と Q15 の A 回答が同じ数値であるが、平成 29 年

度では Q15 で 7.6 ポイントも落ち込んでいる。また Q29 の数値も低い。

 さらに Q29 での C 回答の割合の多さが際立っている。

 自分がこどもだったら通ってみたいが、保護者の立場では是非ともこどもを

通わせたいとまではいかず、現実の保育者としては勤めたい思うものは 3 分の

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松田 祐子

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1強程度で、どちらでもよいが半数近くになる。

表 4 わらしこ保育園に通う・勤める

わらしこ保育園

年度 質問 A B C D EH29 Q10 17(32.1) 19(35.8) 14(26.4) 3( 5.7) 0( 0.0)

Q15 13(24.5) 17(32.1) 19(35.8) 4( 7.5) 0( 0.0)Q29 9(17.0) 15(28.3) 24(45.3) 5( 9.4) 0( 0.0)

H28 Q10 14(34.1) 14(34.1) 9(22.0) 3( 7.3) 0( 0.0)Q15 14(34.1) 18(43.9) 6(14.6) 3( 7.3) 0( 0.0)Q29 9(22.0) 16(39.0) 15(36.6) 1( 2.4) 0( 0.0)

H26 Q10 15(36.6) 11(26.8) 12(29.3) 2( 4.9) 0( 0.0)Q15 15(36.6) 13(31.7) 10(24.4) 2( 4.9) 1( 2.4)Q31 10(24.4) 12(29.3) 11(26.8) 5(12.2) 2( 4.9)

理想と現実のギャップ

 平成 28 年度調査の中で述べたように、平成 26 年度以前と比べて理想と現実

の保育者の立場での回答のギャップが小さいことが分かった。それを学生たち

のアンケート回答の段階での学習や実習経験の回数の違いに由来するのではな

いかと推測した。本年度も遊びとダンプ園長に対する肯定的評価の差を表にし

てみると、以下のようになった。

 遊びに関しては、Ⅳ群の Q17 の A と B 回答の和からⅤ群の Q23(平成 26 年

度以前は Q25)の A と B 回答の和を引いた値である。

 その差は年々縮まっているが、平成 29 年度はわずか 3.8 ポイントでほとんど

差がない状態である。表から明らかなように、これは Q17 の肯定的回答の数値

が従来よりかなり低いことに起因している。

 ダンプ園長に対する評価に関しては、Ⅳ群の Q19 の A と B 回答の和から

Q25(平成 26 年度以前は Q27)の A と B 回答の和を引いた値である。

 平成 29 年度は平成 28 年度より 2 ポイント多いが、平成 26 年度以前に比べる

とかなりその差は小さい。ここでもⅣ群 Q19 の肯定的回答が例年より低いこと

が一因と言える。

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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表 5 理想と現実の立場における遊びに関する肯定的回答の割合の比較H29 H28 H26 H25 H24 H23

Ⅳ Q17 のA+B 60.4 75.6 82.9 77.1 70.0 83.9Ⅴ Q23 のA+B 56.6 61.0 65.9 56.2 48.0 58.9

Q17 - Q23 3.8 14.6 17.0 20.9 22.0 25.0

表 6 理想と現実の立場におけるダンプ園長に関する肯定的回答の割合の比較H29 H28 H26 H25 H24 H23

Ⅳ Q19 のA+B 73.6 83.0 85.1 77.1 88.0 82.2Ⅳ Q25 のA+B 64.2 75.6 68.3 62.5 50.0 64.3

Q19 - Q25 9.4 7.4 16.8 14.6 38.0 17.9

5.まとめ

 平成 29 年度は全体的に A 回答の数値が低く、その分が B 回答が増加してい

るというわけではない。むしろC回答の数値が従来より増えている質問が多かっ

た。これは今までよりもダンプ園長やその保育のありかたを強く支持する学生

が減ったということである。また保育者になりたいかという質問では 5 人に 1

人が C どちらでもよいと答えて、例年よりモチベーションの低い学生が増えて

いるのではないかと思える結果が出た。

 理想と現実の保育者の立場での回答のギャップでは、やはり平成 26 年度以前

に比べてかなり小さくなっている。これが学生の学習や実習経験の差に由来す

るのか、平成 29 年度の A 回答の数値の低さによるのかは判じ難いところである。

《参考文献》

古田足日・田畑精一 『ダンプえんちょう やっつけた』1978 年、童心社

松田祐子 「ある保育者像と保育園像に対する学生の反応―『ダンプえんちょう 

やっつけた』を通して―」 『九州龍谷短期大学紀要』第 58 号、2012 年

松田祐子 「ある保育者像と保育園像に対する学生の反応―『ダンプえんちょう 

やっつけた』を通して 平成 24 年度調査―」  『九州龍谷短期大学紀要』第

59 号、2013 年

松田祐子「ある保育者像と保育園像に対する学生の反応―『ダンプえんちょう 

- 34 -

松田 祐子

Page 36: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

やっつけた』を通して 平成 25 年度調査―」 『九州龍谷短期大学紀要』第

60 号、2014 年

松田祐子「ある保育者像と保育園像に対する学生の反応―『ダンプえんちょう 

やっつけた』を通して― 平成 26 年度調査― 『九州龍谷短期大学紀要』第

61 号、2015 年

松田祐子 「ある保育者像と保育園像に対する学生の反応―『ダンプえんちょう 

やっつけた』を通して―平成 28 年度調査―」 『九州龍谷短期大学紀要』第

63 号、2017 年

《注記》

⑴ 平成 26 年度調査の中で 2 名となっているが、0 名の誤りであり、訂正する。

⑵ 平成 26 年度調査では Q25 である。

⑶ 平成 26 年度調査の中で 117.1% となっているが、17.1% の誤りであり、訂正する。

⑷ 平成 26 年度調査では Q27 である。

⑸ 平成 26 年度調査では Q29 である。

⑹ 平成 26 年度調査では Q31 である。

ある保育者像と保育園像に対する学生の反応

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Page 37: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

Q1

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AA

DC

CC

CC

CC

AD

CC

C

Ⅰ群

Ⅱ群

Ⅲ群

Ⅳ群

Ⅴ群

別    表

- 36 -

松田 祐子

Page 38: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討-保育者経験年数別アンケート調査を通して-

� 余公 敏子

1.研究の背景と目的

 現在、就学前教育・保育機関の代表的なものに、幼稚園、保育所、認定こど

も園がある。認定こども園は、平成 18 年度に創設され、10 年余り経過した。また、

平成 27 年 4 月から、子ども子育て支援制度が始まり、平成 30 年 4 月 1 日現在、

その数も 6,000 園を超えた (1)。

 筆者は、認定こども園は幼稚園文化と保育所文化即ち園文化の統合施設であ

ると捉えている。

 それは、制度や施設のハードに関する面・教育課程や保育内容といったソフ

トに関する面がそれぞれ重要となるが、今日重視されるべき点は、ソフトに関

する保育の質の問題である。筆者は、認定こども園を考える時、これまでの研

究 (2) から、幼稚園と保育所は、戦後、幼保二元化 (3) の途を辿り、学校文化の視

点からは測れないことが明らかとなったため、学校文化からの脱却を図り、学

校文化の下位概念であった組織文化を上位概念とし、組織文化の視点から論ず

ることが有用であると考えた。そして、まだ、創設から 10 年余りという浅い歴

史の中で、健康で良質な園文化を有する認定こども園が形成されるためにはど

のような視点が必要となるのかを明らかにしたいと考えた。そのため、認定こ

ども園の保育者を対象として保育者経験年数別にアンケート調査を行い、シャ

インら組織文化論における、企業等の合併後の文化のタイプに関する理論をベー

スに考察することとした。

2.シャインらによる組織文化論について

 組織文化 (4) は、1980 年代にシャインらによって提唱された企業などの組織に

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 37 -

Page 39: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

関する文化概念である。

 シャインによると組織文化は、企業やある組織などのグループが、外部への

適応、さらに、内部の統合化の問題に取り組むプロセスであり、グループによっ

て学習され、共有される基本的な前提認識のパターンであるとしている。端的

に言うと、組織内に共有化された価値観・規範・信念などであるということが

できる。

 幼稚園や保育所などの組織は、その組織内に保育者や園児・保護者、園目標

やカリキュラム,制度を内包している。学校経営研究における学校文化は、こ

の組織文化の概念を取り入れて検討されてきた (5) と言える。

組織文化の理論は、その後、様々な研究者やシャイン自身により、修正検討さ

れ、組織文化の理論が再構成されている。

 本稿では、幼稚園と保育所の統合を図る手続きや両者の体制、構成員の意識

についてどのようなタイプがあり、配慮しなければならない状況があるのかを

考え、そのよりどころとなる文化の統合のタイプを検討した。

3.二つの文化の統合後の文化のタイプの検討

(1)企業における合併後の文化のタイプ

 筆者は先述したように、認定こども園は、幼稚園文化と保育所文化の統合施

設であると捉えている。

 シャインによると、二つ以上の文化が統合される場合、組織の統合後の文化

のタイプには、①分離、②支配、③対立、④融合の4つのタイプがあるという (6)。

 そこで、シャインのいう一般的な企業などにおける組織の統合を例示し、こ

のことを幼稚園と保育所に適用することを試みた。

- 38 -

余公 敏子

Page 40: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

- 2 -

やカリキュラム,制度を内包している。学校経営研究における学校文化は、こ

の組織文化の概念を取り入れて検討されてきた(6 )と言える。

組織文化の理論は、その後、様々な研究者やシャイン自身により、修正検討

され、組織文化の理論が再構成されている。

本稿では、幼稚園と保育所の統合を図る手続きや両者の体制、構成員の意識

についてどのようなタイプがあり、配慮しなければならない状況があるのかを

考え、そのよりどころとなる文化の統合のタイプを検討した。

3 二つの文化の統合後の文化のタイプの検討

(1)企業における合併後の文化のタイプ

筆者は先述したように、認定こども園は、幼稚園文化と保育所文化の統合施

設であると捉えている。

シャインによると、二つ以上の文化が統合される場合、組織の統合後の文化

のタイプには、①分離、②支配、③対立、④融合の4つのタイプがあるという

( 7 )。

そこで、シャインのいう一般的な企業などにおける組織の統合を例示し、こ

のことを幼稚園と保育所に適用することを試みた。

【図1 ①分離 企業における合併後の文化のタイプ】筆者作成 ①分離【図1】 共通の文化がない、或いは創出できない状況をいう。文化が分離したままの状

態である。子会社が独自のアイデンティティを確保したまま存続している複合企 業等である。各文化が連携していないことが分かっている場合、分離は有効であ

①分離

1 5

複合企業

子会社

子会社

複合企業

子会社

子会社

【図 1 ①分離 企業における合併後の文化のタイプ】筆者作成

①分離【図 1】

 共通の文化がない、或いは創出できない状況をいう。文化が分離したままの

状態である。子会社が独自のアイデンティティを確保したまま存続している複

合企業等である。各文化が連携していないことが分かっている場合、分離は有

効である。

【図 2 ②支配 企業における合併後の文化のタイプ】筆者作成

- 3 -

る。

【図2 ②支配 企業における合併後の文化のタイプ】 筆者作成

②支配【図2】

ある組織が他の組織を買収した場合、一つの文化が一つの文化を支配してし

まう。多くの企業が対等合併といえども常に一方の文化が支配的になっている

ことが現実である。

【図3 ③対立 企業における合併後の文化タイプ】 筆者作成

③対立【図3】

文化の下位概念である、構成要素や構成員等、サブカルチャーが全て組織の

③対立経営者

マーケテ

ィング部門 財務部門

②支配 A社が,B社・C社を買収

A社の方針

B社 C社

異なる視点を持つサブカルチャー

異なる視点を持つ

サブカルチャー

対立

エンジニ

ア部門 製造部門

②支配【図 2】

 ある組織が他の組織を買収した場合、一つの文化が一つの文化を支配してし

まう。多くの企業が対等合併といえども常に一方の文化が支配的になっている

ことが現実である。

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 39 -

Page 41: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

【図 3 ③対立 企業における合併後の文化タイプ】筆者作成

- 3 -

る。

【図2 ②支配 企業における合併後の文化のタイプ】 筆者作成

②支配【図2】

ある組織が他の組織を買収した場合、一つの文化が一つの文化を支配してし

まう。多くの企業が対等合併といえども常に一方の文化が支配的になっている

ことが現実である。

【図3 ③対立 企業における合併後の文化タイプ】 筆者作成

③対立【図3】

文化の下位概念である、構成要素や構成員等、サブカルチャーが全て組織の

③対立経営者

マーケテ

ィング部門 財務部門

②支配 A社が,B社・C社を買収

A社の方針

B社 C社

異なる視点を持つサブカルチャー

異なる視点を持つ

サブカルチャー

対立

エンジニ

ア部門 製造部門

③対立【図 3】

 文化の下位概念である、構成要素や構成員等、サブカルチャーが全て組織の

使命や組織文化に合致しているわけではない。例えばエンジニア部門と製造部

門の対立やマーケティング部門と財政部門の対立等がある。注意すべきは対立

しているのが個々のマネージャー間ではなく、異なる視点を持つサブカルチャー

の対立ということである。

【図 4 ④融合 企業における合併後の文化のタイプ】筆者作成

- 4 -

使命や組織文化に合致しているわけではない。例えばエンジニア部門と製造部

門の対立やマーケティング部門と財政部門の対立等がある。注意すべきは対立

しているのが個々のマネージャー間ではなく、異なる視点を持つサブカルチャ

ーの対立ということである。

【図4 ④融合 企業における合併後の文化のタイプ】 筆者作成

④融合【図4】

両方の文化から最良のものを取り入れ、好ましい成果を上げること。

融合では、新しい組織はこれまで様々なシステムやシステム同士のやりとり

の手順や最良の方法などを基準としてそれらを統合して新しい手順を作り出し

たり、標準化しようとする。

異なったサブカルチャーのメンバー同士が相互に作用しながら働かねばなら

ない状況下ではお互いに注意を払い、お互いの違いを理解し両方の文化の長所

を取り入れた新しい方法を創造することができる。

(2)認定こども園における都合後の文化のタイプ

以上の企業の合併後の文化の4つのタイプを幼稚園と保育所に適用して考察

する。

①分離【図5】

幼稚園と保育所が統合され、認定こども園になっても、それぞれ独自のアイ

デンティティを確保したまま存続するとする。即ち、相容れない要素のまま、

④融合

A社・B社

文化の

融合・統合

B社A社

融合・統合

新しい価値体系

新しい価値体系

④融合【図 4】

 両方の文化から最良のものを取り入れ、好ましい成果を上げること。

- 40 -

余公 敏子

Page 42: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

 融合では、新しい組織はこれまで様々なシステムやシステム同士のやりとり

の手順や最良の方法などを基準としてそれらを統合して新しい手順を作り出し

たり、標準化しようとする。

 異なったサブカルチャーのメンバー同士が相互に作用しながら働かねばなら

ない状況下ではお互いに注意を払い、お互いの違いを理解し両方の文化の長所

を取り入れた新しい方法を創造することができる。

(2)認定こども園における統合後の文化のタイプ

 以上の企業の合併後の文化の4つのタイプを幼稚園と保育所に適用して考察

する。

   

①分離【図 5】

 幼稚園と保育所が統合され、認定こども園になっても、それぞれ独自のアイ

デンティティを確保したまま存続するとする。即ち、相容れない要素のまま、

共通のものを見出したり、共通の文化を創出すべく努力をしない場合、分離と

なる。

 保護者のニーズからみても、幼稚園には幼稚園の機能があり、保育所には保

育所の機能がある。それを一体にする必要はないとの見解がなされたり、その

保育者等の構成員が何も努力しないでいることは分離につながるといえる。

【図 5 ①分離 認定こども園の文化のタイプ】筆者作成

- 5 -

共通のものを見出したり、共通の文化を創出すべく努力をしない場合、分離と

なる。

保護者のニーズからみても、幼稚園には幼稚園の機能があり、保育所には保

育所の機能がある。それを一体にする必要はないとの見解がなされたり、その

保育者等の構成員が何も努力しないでいることは分離につながるといえる。

【図5 ①分離 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

【図6 ②支配 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

②支配【図6】

幼稚園文化と保育所文化を考えた場合、認定こども園になった時、管理職が

「幼稚園の方式を取り入れる!」「保育所の方式を取り入れる!」と宣言した場

合、管理職側の意向により、幼稚園文化・保育所文化、いずれか一方が他者を

「支配」するということが考えられる。

①分離

16

認定こども園

幼稚園

保育所化

認定こども園

保育所

幼稚園化

②支配

22

認定こども園

保育所型 幼稚園型

保育所 幼稚園

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 41 -

Page 43: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

【図 6 ②支配 認定こども園の文化のタイプ】筆者作成

- 5 -

共通のものを見出したり、共通の文化を創出すべく努力をしない場合、分離と

なる。

保護者のニーズからみても、幼稚園には幼稚園の機能があり、保育所には保

育所の機能がある。それを一体にする必要はないとの見解がなされたり、その

保育者等の構成員が何も努力しないでいることは分離につながるといえる。

【図5 ①分離 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

【図6 ②支配 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

②支配【図6】

幼稚園文化と保育所文化を考えた場合、認定こども園になった時、管理職が

「幼稚園の方式を取り入れる!」「保育所の方式を取り入れる!」と宣言した場

合、管理職側の意向により、幼稚園文化・保育所文化、いずれか一方が他者を

「支配」するということが考えられる。

①分離

16

認定こども園

幼稚園

保育所化

認定こども園

保育所

幼稚園化

②支配

22

認定こども園

保育所型 幼稚園型

保育所 幼稚園

②支配【図 6】

 幼稚園文化と保育所文化を考えた場合、認定こども園になった時、管理職が

「幼稚園の方式を取り入れる!」「保育所の方式を取り入れる!」と宣言した場合、

管理職側の意向により、幼稚園文化・保育所文化、いずれか一方が他者を「支配」

するということが考えられる。

③対立【図 7】

 幼稚園と保育所の統合を考えた時、認定こども園という同じ職場でも保育者

のベクトルがそれぞれ多方面に向いている場合、お互いが理解し合わなければ、

対立となる。

【図 7 ③対立 認定こども園の文化のタイプ】筆者作成

- 6 -

③対立【図7】

幼稚園と保育所の統合を考えた時、認定こども園という同じ職場でも保育者

のベクトルがそれぞれ多方面に向いている場合、お互いが理解し合わなければ、

対立となる。

【図7 ③対立 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

【図8 ④融合 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

④融合【図8】

幼稚園と保育所の統合を考えた場合、例えばカリキュラムの差異はそのまま

幼稚園と保育所両者の優劣を示すものではなく、互いの良いところを補完し合

うことが大事である。カリキュラムの範囲では、保育を「養護と教育」の領域

に分けて検討することが可能である。幼稚園は5領域を中心とした「教育」を

重視し、保育所は幼稚園に比べて「生命の保持」と「情緒の安定」という「養

③対立認定こども園

異なる視点を持

④融合認定こども園

融合・統合

新しい価値体系

保育所幼稚園

お互いに注意を払う

双方の長所を取り入れる

つサブカル

チャー

幼稚園 保育所

26

- 42 -

余公 敏子

Page 44: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

【図 8 ④融合 認定こども園の文化のタイプ】筆者作成

- 6 -

③対立【図7】

幼稚園と保育所の統合を考えた時、認定こども園という同じ職場でも保育者

のベクトルがそれぞれ多方面に向いている場合、お互いが理解し合わなければ、

対立となる。

【図7 ③対立 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

【図8 ④融合 認定こども園の文化のタイプ】 筆者作成

④融合【図8】

幼稚園と保育所の統合を考えた場合、例えばカリキュラムの差異はそのまま

幼稚園と保育所両者の優劣を示すものではなく、互いの良いところを補完し合

うことが大事である。カリキュラムの範囲では、保育を「養護と教育」の領域

に分けて検討することが可能である。幼稚園は5領域を中心とした「教育」を

重視し、保育所は幼稚園に比べて「生命の保持」と「情緒の安定」という「養

③対立認定こども園

異なる視点を持

④融合認定こども園

融合・統合

新しい価値体系

保育所幼稚園

お互いに注意を払う

双方の長所を取り入れる

つサブカル

チャー

幼稚園 保育所

26

④融合【図 8】

 幼稚園と保育所の統合を考えた場合、例えばカリキュラムの差異はそのまま

幼稚園と保育所両者の優劣を示すものではなく、互いの良いところを補完し合

うことが大事である。カリキュラムの範囲では、保育を「養護と教育」の領域

に分けて検討することが可能である。幼稚園は 5 領域を中心とした「教育」を

重視し、保育所は幼稚園に比べて「生命の保持」と「情緒の安定」という「養護」

の側面を網羅している。それぞれの優れた側面は、認定こども園でも、互いを

融合・補完する関係として機能させることができる。

 このように考えると認定こども園は、幼稚園文化、保育所文化のお互い良い

ところを補完し合う統合施設として、融合となることが重要である。

以上から、幼稚園と保育所の統合後の文化のタイプは、①分離、②支配、③対立、

④融合のうち、園児、保護者、保育者等、組織の構成員にとって、「融合」が最

も適切な文化のタイプであることが理解できる。

 筆者は、文化の統合後、最も最良な融合に至るまでの経過について、或いは、

融合のイメージをもつため、どのような要素が必要かということを明らかにし

たいと考えた。そこで、実際に認定こども園で働く保育者を対象に、アンケー

ト調査を依頼することを試みた。なぜなら、組織文化において、保育者は大事

な構成員であり、文化を創り出す担い手でもあるからである。保育者は、認定

こども園文化に対してどのようなメージをもっているのか、また、保育者経験

年数別で、イメージにどのような差異があるのか、認定こども園に対する考え

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 43 -

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方やとらえ方の差異等、明らかになるのではないかと考えた。加えて組織のリー

ダーである管理職と保育者の認定こども園への認識の差異についても検討した

いと考えた。

4.方法

 アンケート調査 (7) は、予備調査の後、全国の公立認定こども園の中から無作

為に 100 園を抽出し、質問用紙を郵送した。

 対象は、保育者経験 3 年未満、保育者経験 3 年~ 6 年未満、保育者経験 6 年

以上及び管理職である。調査期間は平成 29 年 5 月~ 8 月であり、回答率は 41%

であった。

 質問項目は次の内容である。

① 認定こども園の前に幼稚園勤務の保育者は当時、保育所勤務をどのように

思っていたか

② 認定こども園の前に保育所勤務の保育者は当時、幼稚園勤務をどのように

思っていたか

③ 認定こども園に勤務している現在、認識は変わったか

④ 勤務する認定こども園には幼稚園のどのような良いところを取り入れているか

⑤ 勤務する認定こども園には保育所のどのような良いところを取り入れているか

⑥ 認定こども園に移行して変わったか

⑦ 認定こども園に移行して変わったところ

⑧ 勤務する認定こども園は幼稚園、保育所のどちらの要素が強いか

⑨ 認定こども園をよりよい施設にするためにはどうしたらよいと思うか

5.結果と考察

① 幼稚園に勤務経験がある保育者は保育所勤務をどのように思っていたか

② 保育所に勤務経験がある保育者は幼稚園勤務をどのように思っていたか

- 44 -

余公 敏子

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【図 9-① 幼稚園勤務や保育所勤務をどう思っていたか保育者経験 3年未満】 筆者作成

- 8 -

⑦認定こども園に移行して変わったところ

⑧勤務する認定こども園は幼稚園、保育所のどちらの要素が強いか

⑨認定こども園をよりよい施設にするためにはどうしたらよいと思うか

5 結果と考察

①幼稚園に勤務経験がある保育者は保育所勤務をどのように思っていたか

②保育所に勤務経験がある保育者は幼稚園勤務をどのように思っていたか

【図9-① 幼稚園勤務や保育所勤務をどう思っていたか

保育者経験3年未満】 筆者作成

保育者経験3年未満【図9-①】は、幼稚園勤務の保育者は、幼稚園がプラ

スのイメージで保育所にマイナスのイメージがあったこと、一方、保育所勤務

の保育者は、保育所がプラスのイメージで幼稚園がマイナスのイメージがあっ

たことがわかる。

保育所勤務者は、幼稚園の教育といえば小学校の教育をそのまま行っている

イメージがある、保護者の目が厳しいと思っている。幼稚園勤務者は、保育所

に対しては、長時間、子どもが預けられてかわいそうである、保育時間、保育

期間が長く大変そう、夏休みがなく朝早く出勤すると思っていたことがわかる。

同じ質問に対する保育者経験3年~6年未満【図9-②】の回答は、双方と

もプラスのイメージがあることがわかる。

(幼)小学校で行う教育をそのまま

行っているイメージがある

(幼)保護者の目が厳しい

(幼)行事が多い

(幼)むずかしそう

(幼)保護者も子どももゆとりがある

(保)保育時間・期間が長く大変

(保)長時間,子どもがかわいそう

(保)夏休みがなく、朝早く出勤する

(保)0歳~6歳までの幅広い知識が必要

幼稚園-のイメージ

保育所+のイメージ

保育所-のイメージ

幼稚園+のイメージ

幼稚園勤務や保育所勤務のことをどのように

思っていたか。(保育者経験

3年未満)

 保育者経験 3年未満【図 9 -①】は、幼稚園勤務の保育者は、幼稚園がプラ

スのイメージで保育所にマイナスのイメージがあったこと、一方、保育所勤務

の保育者は、保育所がプラスのイメージで幼稚園がマイナスのイメージがあっ

たことがわかる。

保育所勤務者は、幼稚園の教育といえば小学校の教育をそのまま行っているイ

メージがある、保護者の目が厳しいと思っている。幼稚園勤務者は、保育所に

対しては、長時間、子どもが預けられてかわいそうである、保育時間、保育期

間が長く大変そう、夏休みがなく朝早く出勤すると思っていたことがわかる。

 同じ質問に対する保育者経験 3年~ 6年未満【図 9 -②】の回答は、双方と

もプラスのイメージがあることがわかる。

 幼稚園に対しては、時差勤務がないところを評価し、マイナスイメージとして、

事務仕事が多い、研修が多い、教材準備が大変そうだと回答している。

 保育所に対しては、事務仕事の時間がない、子どもが長時間いるため大変そう、

年齢も幅広い、慣れるまで戸惑うと思っていることがわかった。

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 45 -

Page 47: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

【図 9-② 保育者経験 3年以上 6年未満】 筆者作成

- 9 -

幼稚園に対しては、時差勤務がないところを評価し、マイナスイメージとし

て、事務仕事が多い、研修が多い、教材準備が大変そうだと回答している。

保育所に対しては、事務仕事の時間がない、子どもが長時間いるため大変そ

う、年齢も幅広い、慣れるまで戸惑うと思っていることがわかった。

【図9-② 保育者経験3年以上6年未満】 筆者作成

【図9-③ 保育者経験6年以上】 筆者作成

(幼)書類作成などの事務量が多い

(幼)研修が多い

(幼)教材準備が大変そう

(保)ゆったりと時間が流れる

(幼)大変なこともあるが楽しそう

(保)大変なこともあるが楽しそう

(幼)保育園との流れが違うためよくわ

からないところ

(幼)時差勤務がないところが良い

(幼)教育的な内容がほとんど

(保)事務仕事などをする時間がない

(保)子どもと過ごす時間が長い

(保)共働きの保護者が多い

(保)子どもの年齢幅が広い

(保)保育の時間等が違い,慣れるまで戸惑う

幼稚園-のイメージ

保育所+のイメージ

保育所-のイメージ

幼稚園+のイメージ

幼稚園勤務や保育所勤務のことをどのように思っていたか。(保育者経験3年~6年未満)

(幼)保育園と行事が違う。教育と保育の違いが

むずかしい。

(幼)研修のための休園は疑問

(幼)保育計画の立案がむずかしそう

(幼)経験がないと園独自の教育は考えられない

(保)給食が楽しみ

(保)研修も事務処理もなく子どもと長い時間関わる

(幼)園児が降園後,翌日の準備ができる。

(幼)研究など幼児教育を深く知った先生が保育する場

(幼)研究に力を入れている。

(幼)小学校とのつながりが深い。

(幼)勤務時間や保育の方法が違う。

(保)早朝保育,延長保育,土曜保育もあり,シフトが大変

(保)0歳児~就学前までいるので大変そう

幼稚園-のイメージ

保育所+のイメージ

保育所-のイメージ

幼稚園+のイメージ

幼稚園勤務や保育所勤務のことをどのように思っていたか。(保育者経験

6年以上)

【図 9-③ 保育者経験 6年以上】 筆者作成

- 9 -

幼稚園に対しては、時差勤務がないところを評価し、マイナスイメージとし

て、事務仕事が多い、研修が多い、教材準備が大変そうだと回答している。

保育所に対しては、事務仕事の時間がない、子どもが長時間いるため大変そ

う、年齢も幅広い、慣れるまで戸惑うと思っていることがわかった。

【図9-② 保育者経験3年以上6年未満】 筆者作成

【図9-③ 保育者経験6年以上】 筆者作成

(幼)書類作成などの事務量が多い

(幼)研修が多い

(幼)教材準備が大変そう

(保)ゆったりと時間が流れる

(幼)大変なこともあるが楽しそう

(保)大変なこともあるが楽しそう

(幼)保育園との流れが違うためよくわ

からないところ

(幼)時差勤務がないところが良い

(幼)教育的な内容がほとんど

(保)事務仕事などをする時間がない

(保)子どもと過ごす時間が長い

(保)共働きの保護者が多い

(保)子どもの年齢幅が広い

(保)保育の時間等が違い,慣れるまで戸惑う

幼稚園-のイメージ

保育所+のイメージ

保育所-のイメージ

幼稚園+のイメージ

幼稚園勤務や保育所勤務のことをどのように思っていたか。(保育者経験3年~6年未満)

(幼)保育園と行事が違う。教育と保育の違いが

むずかしい。

(幼)研修のための休園は疑問

(幼)保育計画の立案がむずかしそう

(幼)経験がないと園独自の教育は考えられない

(保)給食が楽しみ

(保)研修も事務処理もなく子どもと長い時間関わる

(幼)園児が降園後,翌日の準備ができる。

(幼)研究など幼児教育を深く知った先生が保育する場

(幼)研究に力を入れている。

(幼)小学校とのつながりが深い。

(幼)勤務時間や保育の方法が違う。

(保)早朝保育,延長保育,土曜保育もあり,シフトが大変

(保)0歳児~就学前までいるので大変そう

幼稚園-のイメージ

保育所+のイメージ

保育所-のイメージ

幼稚園+のイメージ

幼稚園勤務や保育所勤務のことをどのように思っていたか。(保育者経験

6年以上)

 保育者経験 6年以上【図 9- ③】は、幼稚園に対して、研究に力を入れている、

小学校とのつながりが深い、園児の降園後、翌日の準備ができることなどを評

価し、保育計画や園独自の教育はむずかしい等の考えを示している。

 保育所に対しては、研修も事務処理もなく、子どもと長時間関わることがで

- 46 -

余公 敏子

Page 48: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

きる、給食が楽しみという考えもあった。

 また、保育所に対して、シフトが大変そう、年齢層が幅広く大変そう、早朝保育、

延長保育、土曜保育があり、大変そうという考えもあった。

③ 認定こども園に勤務している現在、認識は変わったか

【図 10-① 認定こども園に勤務して認識は変わったか保育者経験 3年未満】 筆者作成

- 10 -

保育者経験6年以上【図9-③】は、幼稚園に対して、研究に力を入れてい

る、小学校とのつながりが深い、園児の降園後、翌日の準備ができることなど

を評価し、保育計画や園独自の教育はむずかしい等の考えを示している。

保育所に対しては、研修も事務処理もなく、子どもと長時間関わることがで

きる、給食が楽しみという考えもあった。

また、保育所に対して、シフトが大変そう、年齢層が幅広く大変そう、早朝

保育、延長保育、土曜保育があり、大変そうという考えもあった。

③認定こども園に勤務している現在、認識は変わったか

【図10-① 認定こども園に勤務して認識はかわったか

保育者経験3年未満】 筆者作成

保育者経験3年未満【図10-①】は、保護者が厳しいと思っていたが保護

者は協力的で子どもの事を考えていると回答している。

しかしながら、保育所の長時間保育は子どもがかわいそうだという認識に変

わりはなかった。

保育者経験3年以上6年未満【図10-②】は、大変なこともあるが、楽し

いことの方が何倍も多い、子どもたちの午睡中、事務仕事ができるとう前向き

な意見もあった。反面、勤務時間内に事務処理ができない、保育ではなく教育

(認)保護者は保育に対し

て協力的で子どもの

ことを考えている。

(認)長時間預けられ,

子どもがかわいそう

認定こども園-のイメージ

認定こども園になって認識がかわったか(保育者経験

3年未満)

認定こども園+のイメージ

 保育者経験 3年未満【図 10 -①】は、保護者が厳しいと思っていたが保護者

は協力的で子どもの事を考えていると回答している。

 しかしながら、保育所の長時間保育は子どもがかわいそうだという認識に変

わりはなかった。

 保育者経験 3年以上 6年未満【図 10 -②】は、大変なこともあるが、楽しい

ことの方が何倍も多い、子どもたちの午睡中、事務仕事ができるとう前向きな

意見もあった。反面、勤務時間内に事務処理ができない、保育ではなく教育を

しなければならない、役割が多すぎる、資格を持っていない支援員が多い、降

園時間が様々だという悩みもある。

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 47 -

Page 49: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

【図 10-② 保育者経験 3年以上 6年未満】 筆者作成

- 11 -

をしなければならない、役割が多すぎる、資格を持っていない支援員が多い、

降園時間が様々だという悩みもある。

【図10-② 保育者経験3年以上6年未満】 筆者作成

(認)大変なこともあるが楽しいことの方が何倍も多い

(認)子どもたちの午睡中に事務仕事ができるため自分の仕事をする時間がある

また、午睡で子どもたちに深くかかわることができる

(認)周りの先生方との連携が大切だと感じる

(認)ある程度の流れは理解できたが、細かいこと(1号認定と2号認定の様々な違い)が理解でき

ない

(認)勤務時間内に研究事例や書類を作成することが難しい

(認)「保育」ではなく「教育」をしなければならない

(認)役割(係)も多くて大変

(認)資格を持っていない支援員が多いため,日々の指導や時間外の当番が大変

(認)降園時間が早いか遅いかまちまちである。

認定こども園+のイメージ

認定こども園-のイメージ

認定こども園になって認識が変わったか。

(保育者経験3年~6年未満)

(認)教師間の共通理解・質の高い保育のための研修時間の確保

(認)幼稚園も預かり保育が多く,保育園のニーズとあまり変わらない

(認)仕事内容は変わらず,子どもたちの成長を間近に感じることができ,やりがいがある

(認)勤務体制に違いはあるが,子どもに向き合う姿勢は一緒

(認)教育と養護のバランスが大事

(認)幼稚園と保育所の良いところが生かされて認定こども園がなりたっている

(認)保護者対応

(認)教育委員会への書類提出の大変さ

(認)こども園は降園時間が違うのでやりにくい

認定こども園-のイメージ

認定こども園になって認識がかわったか。(保育者経験

6年以上)

認定こども園+のイメージ

【図 10-③ 保育者経験 6年以上】 筆者作成- 11 -

をしなければならない、役割が多すぎる、資格を持っていない支援員が多い、

降園時間が様々だという悩みもある。

【図10-② 保育者経験3年以上6年未満】 筆者作成

(認)大変なこともあるが楽しいことの方が何倍も多い

(認)子どもたちの午睡中に事務仕事ができるため自分の仕事をする時間がある

また、午睡で子どもたちに深くかかわることができる

(認)周りの先生方との連携が大切だと感じる

(認)ある程度の流れは理解できたが、細かいこと(1号認定と2号認定の様々な違い)が理解でき

ない

(認)勤務時間内に研究事例や書類を作成することが難しい

(認)「保育」ではなく「教育」をしなければならない

(認)役割(係)も多くて大変

(認)資格を持っていない支援員が多いため,日々の指導や時間外の当番が大変

(認)降園時間が早いか遅いかまちまちである。

認定こども園+のイメージ

認定こども園-のイメージ

認定こども園になって認識が変わったか。

(保育者経験3年~6年未満)

(認)教師間の共通理解・質の高い保育のための研修時間の確保

(認)幼稚園も預かり保育が多く,保育園のニーズとあまり変わらない

(認)仕事内容は変わらず,子どもたちの成長を間近に感じることができ,やりがいがある

(認)勤務体制に違いはあるが,子どもに向き合う姿勢は一緒

(認)教育と養護のバランスが大事

(認)幼稚園と保育所の良いところが生かされて認定こども園がなりたっている

(認)保護者対応

(認)教育委員会への書類提出の大変さ

(認)こども園は降園時間が違うのでやりにくい

認定こども園-のイメージ

認定こども園になって認識がかわったか。(保育者経験

6年以上)

認定こども園+のイメージ

 保育者経験 6年以上【図 10 -③】は、認定こども園に対してプラスの要素が

多く、マイナスの要素が少なくなっていることがわかる。

 幼稚園も預かりのニーズが高く、保育所のニーズと変わらない、勤務体制に

変わったか。

- 48 -

余公 敏子

Page 50: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

違いはあるが、子どもに向き合う姿勢は同じである、幼稚園と保育所の良い所

が活かされて認定こども園がなりたっているというように、非常に前向きな意

見が多くなっている。

 マイナス面は保護者対応、書類の多さ、降園時間の違いによるやりにくさ等

があげられている。

④幼稚園の良いところをどのように取り入れているか

保育者経験 3年未満

・教育面が豊富。

・保育カリキュラムの様式が誰にでも分かりやすく利用しやすい。

・子どもの学びの場となっている。

・遠足が多い。

 等、回答している。

保育者経験 3年以上 6年未満

・子どもたちが自ら選ぶ活動(遊び)の時間を十分に確保。

・短時間保育の中でも教育的な事が豊富。

・教育時間の充実。

・指導案等でねらいをもって保育をしている。

・教育課程に基づき、ねらいを大切に保育を行っている。

・教育部分が明確。

・小学生とのかかわりがある。

・地域とのかかわりがある。

・環境を大切にしている。

 等、教育の内容に関し、多く記述があった。

保育者経験 6年以上は、さらに教育の内容に関しての記述が増えている。

・集団の中で個を伸ばす教育をしている。

・教育という観点をもち、子どもの学びを支えている。

・話の聴き方、態度など、教育をしっかり意識している。

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 49 -

Page 51: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

・園児の主体的な活動ができるよう環境を整えている。

・研修が多く子どものとらえ方、環境構成や援助を保育に取り入れている。

・午後の時間を研修や研究に使っている。

・徒歩当園があり、小学校や他園、老人施設との交流会を行うなどたくさん

の経験や体験ができている。

・保護者とのつながりが深く、園での様子を伝えたり、行事等での協力がある。

・5 歳児も 1 月から昼寝がない。

・3 歳以上の保育内容が充実している。

・すぐに上司に報告し、共通理解ができている。

・教育面や行事など保護者と深いかかわりがある。

・家庭教育学級などが行われる。

 等、回答している。しかしながら、マイナス面として「研修もしながら専

門的に子どもと関わり、教育できるところが幼稚園の良いところだったが、

こども園になり、研修が思うようにできなくなり、教育的視点がおろそかに

なっている」という指摘もあった。

管理職

・教育内容の充実。

・自主的な姿、活動を大切にしている。

・子どもの主体性を伸ばす環境作りやかかわりをしている。

・ねらいがあり、継続的、計画的に活動を行い記録している。

・全ての子どもが集団の中で教育・保育を受ける事ができる。

・保護者との連携を密にし、様子を伝えている。

・園児は親と一緒に過ごす時間が多いため、降園後、ゆったりと過ごし、情

緒が安定している。

・研修体制をしっかり確立し、充実している。

 等、教育内容や保育計画もさることながら、研修体制の確立や充実の記述

もあるなど、管理職として大切なリーダーシップが窺える。

- 50 -

余公 敏子

Page 52: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

⑤保育所の良いところをどのように取り入れているか

保育者経験 3年未満

・長時間保育や期間も長いなど保護者のニーズに合わせた保育時間。

・長時間保育のため、保護者が安心して働ける。

・保育時間の延長、保育期間も長い。

・0 ~ 5 歳までの様々な年齢の子と触れ合うことができ、大きい子が小さいク

ラスの子とかかわる機会を大切にしている。

 等、長時間保育、幅広い年齢層とのふれあいなどがあげられている。

保育者経験 3年以上 6年未満

・日、祝日以外は運営している。

・長時間保育。

・保護者が安心して働きやすい環境。

・異年齢で交流し、刺激し合える。

・家庭的な雰囲気で保育がきちんとできる。

・養護と教育を一体的に行っている。

 等、長時間保育に加え、異年齢交流、家庭的な雰囲気、養護と教育を一体

的に行っているなどがあげられている。

保育者経験 6年以上

・7:30 ~ 18:00 まで家庭的な雰囲気の中で子どもを預かる。

・盆、土曜日、年末、卒園後の 3 月 31 日まで子どもを預かる。

・共働きが増えているので、長時間見ることで保護者が助かっている。

・保育時間が長く、子どもたちとじっくり関わることができる。

・1 日を通して安心して過ごすことができる。

・家庭的な要素がある。

・園児の家庭状況に合わせて園児を養護しサポートしていくところ。

・保護者のニーズに合わせて保育を行い、保護者支援を通して保護者と地域

や人をつないでいる。

・保護者のニーズにより保育日の開設日や時間の調整をしている。

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 51 -

Page 53: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

・養護の面が充実している。

・保育時間が長く、子どもたちの時間がゆっくり流れるところ。

・生活面の充実。

・保育のサービスが充実。

 等、これまでの保育時間等にプラスして、保護者支援、子育て支援に関す

る回答が多い。

管理職

・土曜、長時間等の預かり。

・乳児と幼児の触れあいなどの異年齢交流。

・0 歳からの発達をふまえて個々に対する配慮ができる。

・小さい頃から園生活をしているので、身の周りのことを自分でできるよう

になるのが早い。

・細かいところまで配慮し、生活スキルが高くなる。

・養護面の指導、生活指導がしっかりとしている。

 等、個々に対する支援、生活スキルのこと、養護面の指導、生活面の指導

などがはいってきており、管理職としてのリーダーシップとしての考えが伺

える。

 以上、幼稚園の良いところ(教育面、指導計画、ねらい、内容、研修等)

は幼稚園文化であり、保育所の良いところ(養護と教育の一体化、生活面、

養護面のきめ細かな指導等)は保育所文化と捉えられる。

⑥認定こども園に移行して変わったかという質問に対する回答

 【図 11】から、保育者経験 3年未満、保育者経験 3年以上 6年未満は認定こ

ども園に移行して戸惑ったというのが多くあり、特に保育者経験 3 年未満が顕

著である。認定こども園に移行してよくなったというのは、保育者経験 6年以

上の保育者のみであった。

- 15 -

どがはいってきており、管理職としてのリーダーシップとしての考えが伺え

る。

以上、幼稚園の良いところ(教育面、指導計画、ねらい、内容、研修等)

は幼稚園文化であり、保育所の良いところ(養護と教育の一体化、生活面、

養護面のきめ細かな指導等)は保育所文化と捉えられる。

⑥認定こども園に移行して変わったかという質問に対する回答

【図11 認定こども園に移行して変わったか】筆者作成

【図11】から、保育者経験3年未満、保育者経験3年以上6年未満は認定

こども園に移行して戸惑ったというのが多くあり、特に保育者経験3年未満が

顕著である。認定こども園に移行してよくなったというのは、保育者経験6年

以上の保育者のみであった。

⑦認定こども園に移行して変わったところ

【図12】から、認定こども園に移行して変わったことは、どの経験年数か

らもカリキュラム、保育時間、子どもの様子の順である。

保護者とのかかわりについては保育者経験6年以上の保育者が多く、このこ

移行前と何も変わら

ない。

移行前とあまり違い

を感じない

移行前と多少は変

わった

移行前と大きく違っ

ていた移行して戸惑った

移行して良くなった

と思ったその他

3年未満 0.0 0.0 0.0 0.0 50.0 0.0 50.03~6年未満 0.0 0.0 42.9 28.6 28.6 0.0 0.06年以上 0.0 0.5 50.0 14.2 14.2 14.2 0.0

0.0  0.0  0.0  0.0 

50.0 

0.0 

50.0 

0.0  0.0 

42.9 

28.6  28.6 

0.0  0.0 0.0  0.5 

50.0 

14.2  14.2  14.2 

0.0 0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.03年未満 3~6年未満 6年以上

【図 11 認定こども園に移行して変わったか】 筆者作成

- 52 -

余公 敏子

Page 54: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

・養護の面が充実している。

・保育時間が長く、子どもたちの時間がゆっくり流れるところ。

・生活面の充実。

・保育のサービスが充実。

 等、これまでの保育時間等にプラスして、保護者支援、子育て支援に関す

る回答が多い。

管理職

・土曜、長時間等の預かり。

・乳児と幼児の触れあいなどの異年齢交流。

・0 歳からの発達をふまえて個々に対する配慮ができる。

・小さい頃から園生活をしているので、身の周りのことを自分でできるよう

になるのが早い。

・細かいところまで配慮し、生活スキルが高くなる。

・養護面の指導、生活指導がしっかりとしている。

 等、個々に対する支援、生活スキルのこと、養護面の指導、生活面の指導

などがはいってきており、管理職としてのリーダーシップとしての考えが伺

える。

 以上、幼稚園の良いところ(教育面、指導計画、ねらい、内容、研修等)

は幼稚園文化であり、保育所の良いところ(養護と教育の一体化、生活面、

養護面のきめ細かな指導等)は保育所文化と捉えられる。

⑥認定こども園に移行して変わったかという質問に対する回答

 【図 11】から、保育者経験 3年未満、保育者経験 3年以上 6年未満は認定こ

ども園に移行して戸惑ったというのが多くあり、特に保育者経験 3 年未満が顕

著である。認定こども園に移行してよくなったというのは、保育者経験 6年以

上の保育者のみであった。

- 15 -

どがはいってきており、管理職としてのリーダーシップとしての考えが伺え

る。

以上、幼稚園の良いところ(教育面、指導計画、ねらい、内容、研修等)

は幼稚園文化であり、保育所の良いところ(養護と教育の一体化、生活面、

養護面のきめ細かな指導等)は保育所文化と捉えられる。

⑥認定こども園に移行して変わったかという質問に対する回答

【図11 認定こども園に移行して変わったか】筆者作成

【図11】から、保育者経験3年未満、保育者経験3年以上6年未満は認定

こども園に移行して戸惑ったというのが多くあり、特に保育者経験3年未満が

顕著である。認定こども園に移行してよくなったというのは、保育者経験6年

以上の保育者のみであった。

⑦認定こども園に移行して変わったところ

【図12】から、認定こども園に移行して変わったことは、どの経験年数か

らもカリキュラム、保育時間、子どもの様子の順である。

保護者とのかかわりについては保育者経験6年以上の保育者が多く、このこ

移行前と何も変わら

ない。

移行前とあまり違い

を感じない

移行前と多少は変

わった

移行前と大きく違っ

ていた移行して戸惑った

移行して良くなった

と思ったその他

3年未満 0.0 0.0 0.0 0.0 50.0 0.0 50.03~6年未満 0.0 0.0 42.9 28.6 28.6 0.0 0.06年以上 0.0 0.5 50.0 14.2 14.2 14.2 0.0

0.0  0.0  0.0  0.0 

50.0 

0.0 

50.0 

0.0  0.0 

42.9 

28.6  28.6 

0.0  0.0 0.0  0.5 

50.0 

14.2  14.2  14.2 

0.0 0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.03年未満 3~6年未満 6年以上

【図 11 認定こども園に移行して変わったか】 筆者作成

⑦認定こども園に移行して変わったところ

【図 12】から、認定こども園に移行して変わったことは、どの経験年数からも

カリキュラム、保育時間、子どもの様子の順である。

 保護者とのかかわりについては保育者経験 6年以上の保育者が多く、このこ

とは保護者対応はベテランの保育者が行っていることがわかる。

- 16 -

とは保護者対応はベテランの保育者が行っていることがわかる。

【図12 認定こども園に移行して変わったところ】筆者作成

⑧幼稚園、保育所、どちらの要素が強いか

【図13 幼稚園、保育所 どちらの要素が強いか】 筆者作成

カリキュラムがかわった 保育時間がかわった 子どもの様子が変わった 保護者の関わりがかわった その他

3年未満 33.3 33.3 16.7 0.0 16.73~6年未満 25.0 25.0 16.7 8.3 25.06年以上 33.3 29.1 8.3 12.5 16.7

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

3年未満 3~6年未満 6年以上

どちらかというと幼稚園の要素が

強い

どちらかというと保育所の要素が

強い

幼稚園と保育所の要素が半々ぐ

らいである。どちらともいえない その他

3年未満 20.0 40.0 40.0 0.0 0.03~6年未満 27.3 9.1 46.5 9.1 9.16年以上 15.4 23.1 38.5 23.1 0.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

3年未満 3~6年未満

6年以上

【図 12 認定こども園に移行して変わったところ】 筆者作成

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 53 -

Page 55: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

⑧幼稚園、保育所、どちらの要素が強いか

- 16 -

とは保護者対応はベテランの保育者が行っていることがわかる。

【図12 認定こども園に移行して変わったところ】筆者作成

⑧幼稚園、保育所、どちらの要素が強いか

【図13 幼稚園、保育所 どちらの要素が強いか】 筆者作成

カリキュラムがかわった 保育時間がかわった 子どもの様子が変わった 保護者の関わりがかわった その他

3年未満 33.3 33.3 16.7 0.0 16.73~6年未満 25.0 25.0 16.7 8.3 25.06年以上 33.3 29.1 8.3 12.5 16.7

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

3年未満 3~6年未満 6年以上

どちらかというと幼稚園の要素が

強い

どちらかというと保育所の要素が

強い

幼稚園と保育所の要素が半々ぐ

らいである。どちらともいえない その他

3年未満 20.0 40.0 40.0 0.0 0.03~6年未満 27.3 9.1 46.5 9.1 9.16年以上 15.4 23.1 38.5 23.1 0.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

3年未満 3~6年未満

6年以上

【図 13 幼稚園、保育所 どちらの要素が強いか】 筆者作成

 【図 13】から、保育者経験 3年未満は、保育所色が強く、幼稚園と保育所両

方が半々というのが、40% で同じであり、幼稚園色は 20% でその約 2 分の 1 で

ある。

 保育者経験 3年以上 6年未満は幼稚園と保育所の要素が半々というのが最も

多く 46.5% であり、次が幼稚園の要素で 27.3% であった。保育所の要素は少なく、

9.1% であった。

 保育者経験 6年以上は、幼稚園と保育所の要素が半々というのが 38.5% で最

も多く、保育所の要素が強い、どちらともいえないが、23.1% で次に多かった。

幼稚園の要素は 15.4% で最も低かった。

 以上、幼稚園、保育所、どちらの要素が強いかということの質問に対しては、

同じ園に勤務する保育者も考えや捉え方が様々であるということがわかった。

⑨認定こども園をよりよい施設にするためにはどうしたらよいと思うか

保育者経験 3年未満

・職員が十分に配置されると良い。

・幼稚園と保育園を体験してきた職員がお互いに良い点、改善点をもっと細

かく話し合う場が定期的に作れると良い。

- 54 -

余公 敏子

Page 56: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

・他のこども園での運営の仕方、考え方などを実際に訪れて研修していけた

ら良い。

・行事や書類の見直しをしたり課題を見つけていく。

・幼稚園型の子は触れあうことの少ない 0 ~ 2 歳児と触れあえるので異年齢

の関わりをより重視する。

 等の回答があり、職員不足や他園のことを知る必要があることがわかった。

保育者経験 3年以上 6年未満

・保育者の処遇改善と支援員の位置づけをしっかりとする。

・職員間でカンファレンスをする時間の確保をする。

・書類等は必要なものだけにする(幼・保 両方のものを書くため重複して

いるものもある)。

・認定こども園とはどのような施設なのかを保護者だけではなく国民全体が

よく理解する必要がある。

・1 号認定児の降園、2 号認定児の午睡、バスなど認定こども園は役割も多い

ので、仕事量が増えている。

 等の回答があり、カンファレンスの時間の確保、国民への認知などの記述

があった。

保育者経験 6年以上

・幼児教育を行うためのカンファレンス・教材研究などの時間を確保する。

・現場と役所の意見交流ができる環境作り。

・保育教諭の数を増やす。

・事務の軽減化。

・幼稚園の機能をはたすため、幼児クラスは午後から担任は教材研究や環境

構成、次の日の保育の準備、記録、研究などの時間が必要。

 等の回答があり、教材研究、現場と役所の意見交流、研究等、保育の質に

関わる記述が多くなっている。

 以上の意見から、より良い認定こども園にするために、換言すれば、より

良い認定こども園文化の創造のためには、職員の数を増やすこと、研修や教

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 55 -

Page 57: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

材研究、事務処理の時間の確保の必要性があることが明らかになった。

5.まとめ

 以上の結果から、保育者経験年数により、認定こども園に対する認識に差異

があることが明らかである。

 そこで、シャインの二つ以上の文化の統合の 4 つのパターンを保育者経験年

数別に考えると、次のように考えられる。

 先ず、保育者経験 3年未満の保育者の認識から考えると、分離となる。

 幼稚園教育といえば、小学校教育を行っているイメージがあると答え、保育

所の子どもは長時間預かりでかわいそうである、保護者も厳しく大変そうだと

いう認識がある。

 認定こども園に移行した後も、戸惑いが多くあり、長時間子どもが預けられ

かわいそうだという認識に変化はなかった。

 保育者経験 3年以上 6年未満は、対立から融合への途が考えられる。

 幼稚園に対しては事務仕事や研修が多い、保育所に対しては長時間保育が大

変など、マイナスイメージがあった。

 しかし、認定こども園に移行し、プラス志向に変化している。

 保育者経験 6年以上は、融合である。

 保育者経験年数 6 年以上になると、非常にポジティブな意見になっている。

保育時間が長いことに関しては、子どもとじっくり関わることができるとし、

養護の面の充実が挙げられている。幼稚園機能に関しても集団の中で個を伸ば

す教育や主体的な活動のための環境の充実を挙げている。

 認定こども園になり、よくなったと回答したのは保育者経験年数 6 年以上の

保育者だけであった。

 管理職は教育内容の充実から、リーダーシップを発揮し、指導助言を繰り返し、

支配から融合への転換が図られていると考えられる。 

個々の組織が融合することを目指す中で、共有される価値観や信念は何なの

か。それは管理職のリーダーシップであると考える。

- 56 -

余公 敏子

Page 58: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

 組織を変えるのは、リーダーである管理職のリーダーシップである。

 したがって、シャインの 4 つの統合後の文化のタイプは、経験年数別に考察

すると、保育者経験 3 年未満は分離、保育者経験 3 年以上 6 年未満は、対立か

ら融合へ、保育者経験 6 年以上は融合及び管理職は支配から融合へと考えるこ

とができる。

 以上、シャインの組織文化論の 4 つの文化のタイプを考察してきた。分離と

対立はお互いネガティブな統合のタイプである。幼稚園、保育所の文化の統合

について考えると、支配(トップダウン)から融合(ボトムアップ)への転換

であるともいえる。 

 融合とは最も望ましい結果を導くものである。この融合についてさらに検討

を加えたい。

 シャインは、融合は困難であるが、お互いの違いを理解し、両方の文化の長

所を取り入れた新しい方法を創造することができると指摘している。

 状況が安定している場合、変化は必ずしも必要ではないかもしれない。そも

そも人間は、自ら変化を好まないが、認定こども園のあるべき姿は、幼稚園文

化と保育所文化を融合するという変化の過程を踏まねばならない。

 ポジティブな園文化の形成の視点として、次のような例が考えられる。

〇幼稚園:預かり保育を多くの園が行っている。預かり保育は教育課程外の活

動だが、保育所の養護と教育のカリキュラムを取り込み、安全安心に過ごす

環境が必要なこと。

〇保育所:いくつかの園におけるカリキュラムの充実を図ることや、5 領域の

教育の積極的な展開を図ること。

〇認定こども園:幼稚園と保育所の円滑な融合を図ることや、様々な子供への

心身の状況へのきめ細かな対応を図ること。

などである。

 私たちは、誰もが子どもの健やかな成長を願っている。

 そのために、教育・保育内容の充実、即ちカリキュラムの工夫も必要である。

 また、リーダーには文化を創造し、発展させ、管理するという特別な役割が

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

- 57 -

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あることをリーダー自身が自覚しなければならないと考える。

6.課題

 今回は保育者経験年数別の教職員を対象としたアンケート調査を行った。そ

の結果をシャインの組織文化の視点から幼稚園と保育所の統合後の文化の 4 つ

のタイプから「融合」が最良の状況だということを導き出した。

 今後は、保育の質を総合的に保障するための意識調査などに焦点化し、教育・

保育の全体的な計画、保育の質を向上させるための教職員のモチベーションや

モラール(意思や態度といった意識面)に関するアンケート内容を調査する必

要があると考える。

 子ども・子育て支援制度が発足して今年で 4 年目であるが、この制度に対す

る課題も散見される。認定こども園の新しい文化を創造していくためには、こ

れらの課題の解決も必要になる。

 今後の課題としたい。

【註】

⑴ 平成 30 年 10 月 10 日付け、内閣府子ども・子育て本部の資料によると、全

国の認定こども園数は 平成 23 年度は 762 園、平成 24 年度は 909 園、平成 25

年度は 1,099 園、平成 26 年度は 1,360 園、平成 27 年度は 2,836 園、平成 28 年

度は 4,001 園、平成 29 年度は 5,081 園、平成 30 年度は 6,160 園になっている。

  これからみても平成 27 年度の子ども子育て支援制度から急激に増加してい

ることが明らかである。

⑵ 次の 2 点の論考による。

  余公敏子「幼稚園文化と保育所文化の差異に関する考察 ~保育者文化と

カリキュラム文化に着目して~」『九州龍谷短期大学紀要』第 63 号、pp.61-

76、2017 年。

  余公敏子「組織文化の視点から見た幼稚園と保育所の関係性の考察」『九州

龍谷短期大学紀要』第 63 号、pp.61-76、2018 年。

- 58 -

余公 敏子

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⑶ 余公敏子『教育・保育の原理 -幼稚園・保育所・認定こども園の文化を

はぐくむために-』光生館、pp.63-65、2017 年。

⑷ エドガー・H /シャイン著 梅津祐良 横山哲夫訳 『組織文化とリーダーシッ

プ』白桃書房、pp.7-26、2012 年。

⑸ 中留は、学校文化の定義を「各学校の構成員によって固有のものとして形

成されている認識枠(ものの見方・考え方)であり、また、行動様式でもある。」

とし、この定義は、E.H. シャインの文化に対する連続的なレベルでの思惟で

あり、これを学校に適用した D.E. デールの考えであるとしている。中留武昭

著『学校経営の改革戦略 日米の比較経営文化論』玉川大学出版部、pp.181-

189、1999 年。

⑹ E.H. シャイン著 尾川丈一監訳 松本美央訳『企業文化 ダイバーシティ

と文化の仕組み』白桃書房、pp.3-19、2016 年。

⑺ 全国の公立認定こども園から無作為に抽出した保育者経験年数別教職員及

び管理職にアンケート調査を行った。アンケート調査の結果から保育者経験

年数の違いにより認定こども園に対する認識の度合いに差異があることが明

らかとなった。

【参考文献】

余公敏子『教育・保育の原理 -幼稚園・保育所・認定こども園の文化をは

ぐくむために-』光生館、2017 年

余公敏子「幼稚園文化と保育所文化の差異に関する考察 ~保育者文化とカ

リキュラム文化に着目して~」『九州龍谷短期大学紀要』第 63 号、pp.61-

76、2017 年

余公敏子「組織文化の視点から見た幼稚園と保育所の関係性の考察」『九州龍

谷短期大学紀要』第 63 号、pp.61-76、 2018 年

エドガー・H /シャイン著 梅津祐良 横山哲夫訳 『組織文化とリーダーシッ

プ』白桃書房、2012 年

E.H. シャイン著 尾川丈一監訳 松本美央訳『企業文化 ダイバーシティと

保育者における認定こども園文化に対するイメージの組織文化論からの検討

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Page 61: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

文化の仕組み』白桃書房、2016 年

中留武昭著『学校経営の改革戦略 日米の比較経営文化論』玉川大学出版部、

1999 年

〔付記〕

※本稿は、日本保育学会第 70 回大会及び日本乳幼児教育学会第 27 回大会にお

いて発表したものを元に加筆修正したものです。

※ご多用の中、アンケートにご協力くださった皆様に感謝申し上げます。

※本稿は、平成 28 年度日本教育公務員佐賀支部研究奨励金による研究成果の一

部です。

- 60 -

余公 敏子

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療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

� 鬼塚 良太郎

1.問題

 九州龍谷短期大学(以下「本学」という。)には、保育士及び幼稚園教諭を養

成する保育学科があり、保育学科の学生は、それぞれの資格及び免許に必要な

実習を卒業までに 10 週間行っている。そのうち、保育士資格取得に必要な実習

として施設実習があり、主に児童福祉施設が実習先となっている。0 歳から 6

歳までの乳幼児を対象とした保育実習や教育実習とは異なり、施設実習は、乳

児院や児童養護施設などの養護系施設のほか、知的障害児(者)施設や重症心

身障害者施設など障害系施設が含まれている。本学の保育学科に入学してくる

学生の多くが、入学時の進路希望調査において保育所や幼稚園での就職希望で

ある。そのような学生にとって、この施設実習は、親からの虐待や親との死別

など心のケアが必要な子どもや、脳性麻痺や自閉スペクトラム症などの障害の

ある子どもや成人など、保育所や幼稚園での実習よりも個別対応を必要とする

対象児(者)と関わる実習となっているため、とまどいや不安の声を学生から

よく耳にする。一方で、実習巡回における学生との面談や実習の事後指導、実

習日誌等から、その他の実習とは異なる学びをしている部分も多々あると感じ

ている。

 以上のことから、保育士養成課程における施設実習で、学生がどのような学

びをしているのかを把握することは重要である。しかし養成校における施設実

習に関する調査・研究が、保育実習や教育実習と比較して少ないことが指摘さ

れている(渡辺、2012)。その理由として考えられるのは、実習先の施設種別が

多様であり、施設種別によって学生が体験し学習する内容に幅があることがあ

げられる。土谷(2004)は、「施設実習」履修者 108 名に対する実習終了後のア

ンケート調査(19 項目)の結果から、実習先の種別による学生の学びの差を指

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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摘している。その中で、実習前後の施設に対するイメージの変化について、障

害児系施設で実習した学生の施設へのイメージの変化が良い方向へ変化したこ

とを報告している。また高橋(2018)は保育実習Ⅰ(施設)を終了した 2 年生

135 名を対象として質問紙調査を実施し、その考察の中で、障害者施設で実習

する学生に対しての障害理解を深める必要性について指摘している。

 このように、施設実習の中でも、障害系施設で実習する学生の事前指導やそ

れに関する授業の中で、障害についてのイメージや理解、援助に関する知識な

どを伝えることの重要性が指摘されている。障害のある乳幼児も定型発達の乳

幼児とともに保育・教育を行うインクルーシブ保育・教育がこれからの主流と

なっていくことも踏まえ、保育士や幼稚園教諭を目指す学生が、障害について

の理解を深め、知識や技術を習得するために、どのような授業またはカリキュ

ラムを構築するかを検討することは重要であると考える。

2.目的

 本学では、保育士資格取得のための施設実習以外に、授業の一環として、障

害系施設または団体等が実施している活動へ「学外実習」という名称で学生を

派遣してきた。その理由は、上記にあるように、障害のある子どもや成人の方

と関わる機会を増やすことで、障害についてのイメージを変え、理解を深める

ことである。先行研究においても、村田(2017)は、実習指導担当教員及び施

設職員を対象とした調査研究の中で、学生が直接施設利用児(者)とかかわる

ことで利用児(者)の人間性や障害特性の多様性を学ぶことを重要視している

と報告している。学外実習は授業の一環として実施しており、施設実習のよう

に 2 週間の実習とは異なり、1 日だけの実習となるため、学生の経験や学びの

量は少ないかもしれない。しかし、授業において教員から一方的に伝えられる

内容から学習するよりも、実際に現場で体験することから学ぶことの方が学習

の質としてもよいと考え、平成 26 年から実施してきた(授業の一環として始め

たのが平成 26 年度であり、それ以前はボランティアとして派遣していた)。具

体的には本学保育学科の 2 年生を対象とし、「障がい児保育 B」(2 年前期)及び「保

- 62 -

鬼塚 良太郎

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育・教職実践演習」(2 年後期)の授業の一環として、放課後等デイサービス事

業所や NPO 団体、障害関係の父母の会が主催する活動へ学生を派遣してきた。

終了後には、活動内容、実習の内容、実習の振り返り及び自己評価の報告書の

提出を義務付けた。

 そこで、本研究では、学生が授業の一環として 1 日のみ参加している学外実

習を通して、どのような体験をし、どのような学習をしたのかを検討するために、

報告書に設けている自己評価をもとにその傾向及びその要因について検討する。

3.方法

(1)調査対象

 平成 27 年度から平成 29 年度に「保育・教職実践演習」を履修した学生及

び平成 30 年度「障がい児保育 B」を履修した学生 160 名

(2)調査項目 実習の自己評価(6 項目:4 段階評価)(表 1)

(3)調査方法 実習の自己評価について統計処理を行った。

表 1.実習の自己評価項目

4.よくできた  3.できた  2.すこしできた  1.できなかった

① 子どもの気持ちに寄り添うことができた 4 3 2 1

② 子どもの行動から子どもの心情を推測することができた 4 3 2 1

③ 子どもへの療育(かかわる上での)のねらいを理解できた 4 3 2 1

④ ねらいを持って子どもとかかわることができた 4 3 2 1

⑤ 子どもとかかわる上でいろいろと工夫することができた 4 3 2 1

⑥ 子どもと仲良くなることができた 4 3 2 1

(4)実習先

 筆者が指導者として参画している障害児(者)の療育活動に学生を派遣した。

実習先としては 3 か所であり、その概要は以下の通りである。

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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実習先 A:障害児通園施設で実施されている放課後等デイサービス事業。対

象者は放課後等デイサービス事業であることから小学校就学後か

ら高校生までの児童・生徒。障害の種別としては発達障害が多い。

実習先 B:NPO 法人が行っている療育活動。福祉制度外の活動であり、利用

者は成人の肢体不自由の方が多い。

実習先 C:障害関係の父母の会が主催する療育活動。福祉制度外の活動であり、

利用者は児童から成人まで幅広い。主に肢体不自由の方が多いが、

発達障害の方も含まれている。

 上記のように、実習先 A ~ C には幼児から成人までが含まれている。報告書

の質問項目(表 1)は「子どもの気持ち~」のように対象を子どもに限定した

表現になっているが、担当した対象が成人の場合は「子ども」を「利用者(ま

たはトレーニー)」と読み替えて質問項目に回答するよう指導した。

(5)活動内容

 実習先 A ~ C で行われている活動は、主に心理リハビリテイションというも

のであり、心理療法の一つである「動作法」を実践している活動である。動作

法についての説明はここでは省略するが、スーパーバイザー(日本リハビリテ

イション心理学会認定資格)の指導のもと、トレーニー(障害のある方)に対

してトレーナー(学生)が 1 対 1 で担当し、動作法を実施している。利用者の

人数や参加する学生の人数によっては、学生 2 名で一人のトレーニーの担当に

なったり、担当トレーナーになれない学生もいる場合はサブトレーナーとして

活動の補助業務を行ったりしている。1 日のスケジュールは実習先によって多

少異なるが、おおよそ以下のようなスケジュールとなっている。

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鬼塚 良太郎

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表 2.1日のスケジュールの例(実習先B)

9:30 ~ 10:30 事前研修

10:30 ~ 10:45 朝の会(開会式)

10:45 ~ 12:00 訓練1(インテイク)

12:00 ~ 13:00 昼食

13:00 ~ 14:00 訓練2

14:00 ~ 14:30 休憩

14:30 ~ 15:15 訓練3(親子訓練)

15:15 ~ 15:30 終わりの会(閉会式)

15:30 ~ 16:30 ミーティング(振り返り)

ⅰ)事前研修

 動作法という心理療法の技法を用いた関わりとなるため、スーパーバイ

ザーが動作法についての説明を行い、実技指導を行っている。

ⅱ)朝の会(開会式)

 その日のトレーナーとトレーニーの組み合わせの発表やスケジュールの

確認、諸注意・諸連絡を行う時間である。

ⅲ)インテイク

 スーパーバイザーが、トレーニーの状態を把握したうえで、その日に行

う課題を決め、トレーナーに対して援助の方法や留意点等について伝える。

ⅳ)昼食

 単に昼食をとる時間ではなく、トレーナーがトレーニー(場合によって

はその保護者)と一緒に食事することで、日常の様子など様々なコミュニ

ケーションをとるための重要な場として位置付けている。

ⅴ)訓練

 動作法では、「訓練」と呼ぶことが多い。内容はインテイクでスーパーバ

イザーから提示された課題をトレーナーがトレーニーに対して実施する時

間である。スーパーバイザーは、トレーナー及びトレーニーの訓練の様子

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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を把握しながら、適宜必要な指導をその場で行う。

ⅵ)親子訓練

 トレーニーが子どもの場合は保護者同伴だが、成人の場合でも保護者同

伴の場合が多い。親子訓練の時間は、その日に行った動作法の内容を保護

者に伝える時間であり、トレーナーはその日に行った動作法について、何

を目的にどのような動作法を行い、その結果どのような変化が見られたか

について報告を行う。保育者を目指す学生にとっては、その日の自分自身

を振り返る時間になるとともに、保護者に説明する訓練場面にもなってい

る。

ⅶ)ミーティング(振り返り)

 トレーナーは、スーパーバイザーに対して、その日の活動について学ん

だことや難しかったことなどの振り返りを報告し、それに対してスーパー

バイザーがアドバイスや助言を行う。

4.結果

(1)単純集計

① 学生の性別

 対象となった学生の内訳は男子学生 20 名

(12%)・女子学生 140 名(88%)であった(図 1)。

自己評価項目との関連において、性差があるか

統計的に分析を行ったが、有意な差が見られな

かったため、以下、性差を独立変数とした分析

については省略する。

② 実習先

 実習先ごとの学生の派遣人数は、実習先 A が

84 名(53%)、 実習先 B が 47 名(29%)、実

習先 C が 29 名(18%)であった(図 2)。自己

図 1 男女比

動 作 法 で は 、「 訓 練 」と 呼 ぶ こ と が 多 い 。内 容 は イ ン テ イ ク で ス ー パ

ー バ イ ザ ー か ら 提 示 さ れ た 課 題 を ト レ ー ナ ー が ト レ ー ニ ー に 対 し て

実 施 す る 時 間 で あ る 。 ス ー パ ー バ イ ザ ー は 、 ト レ ー ナ ー 及 び ト レ ー ニ

ー の 訓 練 の 様 子 を 把 握 し な が ら 、 適 宜 必 要 な 指 導 を そ の 場 で 行 う 。

ⅵ ) 親 子 訓 練

ト レ ー ニ ー が 子 ど も の 場 合 は 保 護 者 同 伴 だ が 、 成 人 の 場 合 で も 保 護

者 同 伴 の 場 合 が 多 い 。 親 子 訓 練 の 時 間 は 、 そ の 日 に 行 っ た 動 作 法 の 内

容 を 保 護 者 に 伝 え る 時 間 で あ り 、 ト レ ー ナ ー は そ の 日 に 行 っ た 動 作 法

に つ い て 、 何 を 目 的 に ど の よ う な 動 作 法 を 行 い 、 そ の 結 果 ど の よ う な

変 化 が 見 ら れ た か に つ い て 報 告 を 行 う 。 保 育 者 を 目 指 す 学 生 に と っ て

は 、 そ の 日 の 自 分 自 身 を 振 り 返 る 時 間 に な る と と も に 、 保 護 者 に 説 明

す る 訓 練 場 面 に も な っ て い る 。

ⅶ ) ミ ー テ ィ ン グ ( 振 り 返 り )

ト レ ー ナ ー は 、 ス ー パ ー バ イ ザ ー に 対 し て 、 そ の 日 の 活 動 に つ い て

学 ん だ こ と や 難 し か っ た こ と な ど の 振 り 返 り を 報 告 し 、 そ れ に 対 し て

ス ー パ ー バ イ ザ ー が ア ド バ イ ス や 助 言 を 行 う 。

4 . 結 果

( 1 ) 単 純 集 計

① 学 生 の 性 別

対 象 と な っ た 学 生 の 内 訳 は 男 子 学 生 2 0 名

( 1 2% )・女 子 学 生 1 4 0 名( 8 8% )で あ っ た( 図

1 )。 自 己 評 価 項 目 と の 関 連 に お い て 、 性 差 が

あ る か 統 計 的 に 分 析 を 行 っ た が 、有 意 な 差 が 見

ら れ な か っ た た め 、以 下 、性 差 を 独 立 変 数 と し

た 分 析 に つ い て は 省 略 す る 。

② 実 習 先

12%

88%男性

女性

53%29%

18%実習先A

実習先B

実習先C

図 2 実習先別人数

動 作 法 で は 、「 訓 練 」と 呼 ぶ こ と が 多 い 。内 容 は イ ン テ イ ク で ス ー パ

ー バ イ ザ ー か ら 提 示 さ れ た 課 題 を ト レ ー ナ ー が ト レ ー ニ ー に 対 し て

実 施 す る 時 間 で あ る 。 ス ー パ ー バ イ ザ ー は 、 ト レ ー ナ ー 及 び ト レ ー ニ

ー の 訓 練 の 様 子 を 把 握 し な が ら 、 適 宜 必 要 な 指 導 を そ の 場 で 行 う 。

ⅵ ) 親 子 訓 練

ト レ ー ニ ー が 子 ど も の 場 合 は 保 護 者 同 伴 だ が 、 成 人 の 場 合 で も 保 護

者 同 伴 の 場 合 が 多 い 。 親 子 訓 練 の 時 間 は 、 そ の 日 に 行 っ た 動 作 法 の 内

容 を 保 護 者 に 伝 え る 時 間 で あ り 、 ト レ ー ナ ー は そ の 日 に 行 っ た 動 作 法

に つ い て 、 何 を 目 的 に ど の よ う な 動 作 法 を 行 い 、 そ の 結 果 ど の よ う な

変 化 が 見 ら れ た か に つ い て 報 告 を 行 う 。 保 育 者 を 目 指 す 学 生 に と っ て

は 、 そ の 日 の 自 分 自 身 を 振 り 返 る 時 間 に な る と と も に 、 保 護 者 に 説 明

す る 訓 練 場 面 に も な っ て い る 。

ⅶ ) ミ ー テ ィ ン グ ( 振 り 返 り )

ト レ ー ナ ー は 、 ス ー パ ー バ イ ザ ー に 対 し て 、 そ の 日 の 活 動 に つ い て

学 ん だ こ と や 難 し か っ た こ と な ど の 振 り 返 り を 報 告 し 、 そ れ に 対 し て

ス ー パ ー バ イ ザ ー が ア ド バ イ ス や 助 言 を 行 う 。

4 . 結 果

( 1 ) 単 純 集 計

① 学 生 の 性 別

対 象 と な っ た 学 生 の 内 訳 は 男 子 学 生 2 0 名

( 1 2% )・女 子 学 生 1 4 0 名( 8 8% )で あ っ た( 図

1 )。 自 己 評 価 項 目 と の 関 連 に お い て 、 性 差 が

あ る か 統 計 的 に 分 析 を 行 っ た が 、有 意 な 差 が 見

ら れ な か っ た た め 、以 下 、性 差 を 独 立 変 数 と し

た 分 析 に つ い て は 省 略 す る 。

② 実 習 先

12%

88%男性

女性

53%29%

18%実習先A

実習先B

実習先C

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鬼塚 良太郎

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評価項目との関連において、実習先の違い(対象者の年齢や障害の種別)によ

る差があるか統計的に分析を行ったが、有意な差が見られなかったため、以下

の分析において、実習先を独立変数とした分析については省略する。

③ 自己評価項目

 自己評価項目(6 項目:4 段階評価)の各項目についての単純集計を行い、各

項目についてχ二乗検定及び下位検定(ライアンの多重比較)を行った。その

結果は以下の通りである。

<質問項目①>「子どもの気持ちに寄り添うことができた」(図 3-1)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「で

きた」と自己評価した人が「よくできた」及び「すこしできた」と自己評価し

た人よりも有意に多かった(p<.01)。

<質問項目②>「子どもの行動から子どもの心情を推測することができた」(図

3-2)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人が「少しできた」及び「できた」と自己評価した

人よりも有意に少なく(p<.01)、「よくできた」と自己評価した人が「できた」

及び「すこしできた」と自己評価した人よりも有意に少なかった(p<.01)。

<質問項目③>「子どもへの療育(かかわる上での)ねらいを理解できた(図

3-3)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「で

きた」と自己評価した人が「よくできた」及び「すこしできた」と自己評価し

た人よりも有意に多かった(p<.01)。また「すこしできた」と自己評価した人が「よ

くできた」と自己評価した人よりも有意に少なかった(p<.01)。

<質問項目④>「ねらいを持って子どもとかかわることができた」(図 3-4)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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なかった」と自己評価した人が「少しできた」及び「できた」と自己評価した

人よりも有意に少なく(p<.01)、「できた」と自己評価した人が「よくできた」

及び「すこしできた」と自己評価した人よりも有意に多かった(p<.01)。また「す

こしできた」と自己評価した人が「よくできた」と自己評価した人よりも有意

に少なかった(p<.01)。

<質問項目⑤>「子どもとかかわる上でいろいろと工夫することができた」(図

3-5)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「よ

くできた」と自己評価した人が「できた」及び「すこしできた」と自己評価し

た人よりも有意に少なかった(p<.01)。

<質問項目⑥>「子どもと仲良くなることができた」(図 3-6)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「す

こしできた」と自己評価した人が「よくできた」及び「できた」と自己

評価した人よりも有意に少なかった(p<.01)。

(2)質問項目間の関連

① 質問項目間の相関

 質問項目間の相関を算出したところ、結果は以下の通りとなった(表 3)。す

べての項目間において中程度の正の相関がみられた(p<.01)。

表 3.質問項目間の相関係数

質問項目① 質問項目② 質問項目③ 質問項目④ 質問項目⑤ 質問項目⑥

質問項目① 1 .517** .448** .440** .458** .590**

質問項目② 1 .500** .356** .446** .328**

質問項目③ 1 .593** .332** .319**

質問項目④ 1 .470** .480**

質問項目⑤ 1 .493**

質問項目⑥ 1

**. 相関係数は 1%水準で有意(両側)

② 質問項目間のクロス集計(χ二乗検定)

 質問項目間の相関係数がすべて正の相関を示したことから、より詳細に検討

するために、クロス集計を行い、χ二乗検定を行った。結果は以下の通りである。

( 2 ) 質 問 項 目 間 の 関 連

① 質 問 項 目 間 の 相 関

質 問 項 目 間 の 相 関 を 算 出 し た と こ ろ 、 結 果 は 以 下 の 通 り と な っ た ( 表

3 )。 す べ て の 項 目 間 に お い て 中 程 度 の 正 の 相 関 が み ら れ た ( p < . 0 1)。

4 37

85

270

20406080

100

図3-1 質問項目①

9

60 68

170

20

40

60

80

図3-2 質問項目②

448

80

220

20406080

100

図3-3 質問項目③

8 45

80

210

20406080

100

図3-4 質問項目④

656 62

300

20

4060

80

図3-5 質問項目⑤

3 28

7350

0

20

40

60

80

図3-6 質問項目⑥

- 68 -

鬼塚 良太郎

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 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「よ

くできた」と自己評価した人が「できた」及び「すこしできた」と自己評価し

た人よりも有意に少なかった(p<.01)。

<質問項目⑥>「子どもと仲良くなることができた」(図 3-6)

 χ二乗検定の結果、1%水準で有意な差がみられた。下位検定の結果、「でき

なかった」と自己評価した人がその他の自己評価も有意に少なく(p<.01)、「す

こしできた」と自己評価した人が「よくできた」及び「できた」と自己

評価した人よりも有意に少なかった(p<.01)。

(2)質問項目間の関連

① 質問項目間の相関

 質問項目間の相関を算出したところ、結果は以下の通りとなった(表 3)。す

べての項目間において中程度の正の相関がみられた(p<.01)。

表 3.質問項目間の相関係数

質問項目① 質問項目② 質問項目③ 質問項目④ 質問項目⑤ 質問項目⑥

質問項目① 1 .517** .448** .440** .458** .590**

質問項目② 1 .500** .356** .446** .328**

質問項目③ 1 .593** .332** .319**

質問項目④ 1 .470** .480**

質問項目⑤ 1 .493**

質問項目⑥ 1

**. 相関係数は 1%水準で有意(両側)

② 質問項目間のクロス集計(χ二乗検定)

 質問項目間の相関係数がすべて正の相関を示したことから、より詳細に検討

するために、クロス集計を行い、χ二乗検定を行った。結果は以下の通りである。

( 2 ) 質 問 項 目 間 の 関 連

① 質 問 項 目 間 の 相 関

質 問 項 目 間 の 相 関 を 算 出 し た と こ ろ 、 結 果 は 以 下 の 通 り と な っ た ( 表

3 )。 す べ て の 項 目 間 に お い て 中 程 度 の 正 の 相 関 が み ら れ た ( p < . 0 1)。

4 37

85

270

20406080

100

図3-1 質問項目①

9

60 68

170

20

40

60

80

図3-2 質問項目②

448

80

220

20406080

100

図3-3 質問項目③

8 45

80

210

20406080

100

図3-4 質問項目④

656 62

300

20

4060

80

図3-5 質問項目⑤

3 28

7350

0

20

40

60

80

図3-6 質問項目⑥

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

- 69 -

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表 3 . 質 問 項 目 間 の 相 関 係 数

質 問 項目 ①

質 問 項目 ②

質 問 項目 ③

質 問 項目 ④

質 問 項目 ⑤

質 問 項目 ⑥

質 問 項目 ① 1 . 5 1 7 * * . 4 4 8 * * . 4 4 0 * * . 4 5 8 * * . 5 9 0 * *

質 問 項目 ② 1 . 5 0 0 * * . 3 5 6 * * . 4 4 6 * * . 3 2 8 * *

質 問 項目 ③ 1 . 5 9 3 * * . 3 3 2 * * . 3 1 9 * *

質 問 項目 ④ 1 . 4 7 0 * * . 4 8 0 * *

質 問 項目 ⑤ 1 . 4 9 3 * *

質 問 項目 ⑥ 1

* * . 相 関 係 数 は 1% 水 準 で 有 意 ( 両 側 )

② 質 問 項 目 間 の ク ロ ス 集 計 ( χ 二 乗 検 定 )

質 問 項 目 間 の 相 関 係 数 が す べ て 正 の 相 関 を 示 し た こ と か ら 、 よ り 詳 細

に 検 討 す る た め に 、 ク ロ ス 集 計 を 行 い 、 χ 二 乗 検 定 を 行 っ た 。 結 果 は 以

下 の 通 り で あ る 。

4 . よ く で き た 3 . で き た 2 . す こ し で き た 1 . で き な か っ た

表 4 - 1 質 問 項 目 ① 表 4 - 2 質 問 項 目 ①

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目②

1 2 ▲ * *

6 ▲ * * 1 0

質問項目③

1 0 2 2 0

2 0 2 3 ▲ * * 3 4 2

▽ * *

2 2 2 0 ▲ * * 2 4 2

▽ * * 3 2 7

▽ * * 4 3 ▲ * 1 5

3 2 1 4 5 2 ▲ * * 1 1

4 0 1 6 1 0 ▲ * *

4 0 1

▽ * 7

▽ * 1 4 ▲ * *

▲ … 有 意 に 多 い ▽ … 有 意 に 少 な い * * p < . 0 1 * p < . 0 5

表 4 - 3 質 問 項 目 ① 表 4 - 4 質 問 項 目 ①

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目④

1 1 6 ▲ * *

1 ▽ * * 0

質問項目⑤

1 2 ▲ * * 4 0

▽ * 0

2 2 1 8 ▲ * * 2 1 4

2 1 2 2 ▲ * * 2 7 6

3 1 1 1 ▽ * *

5 3 ▲ * * 1 4

3 1 9 ▽ *

4 3 ▲ * * 8

4 0 2 1 0 9 ▲ * *

4 0 2

▽ * 1 5 1 3 ▲ * *

表 4 - 5 質 問 項 目 ① 表 4 - 6 質 問 項 目 ②

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑥

1 1 2 0 0 質問項目③

1 2 ▲ * * 1 1 0

2 3 ▲ *

1 7 ▲ * *

8 ▽ * *

0 ▽ *

2 7 2 7

▲ * * 1 1 ▽ * *

3 ▽ *

3 0 1 5 4 8 ▲ * *

8 ▽ *

3 0 ▽

* * 3 0 4 3 ▲ * * 6

4 0 3 ▽ * * 2 8 1 9

▲ * *

4 0 1 ▽ * * 1 3 8

▲ * *

表 4 - 7 質 問 項 目 ② 表 4 - 8 質 問 項 目 ②

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目④

1 4 ▲ * * 3 1

▽ * 0 質問項目⑤

1 2 ▲ * 3 1 0

2 2 2 7 ▲ * *

1 2 ▽ * * 4

2 4 3 3 ▲ * *

1 7 ▽ *

2 ▽ *

3 3 2 5 4 0 1 1 3 3 1 9 3 2 7

4 0 4 ▽ *

1 5 ▲ * 2

4 0 4 ▽ * *

1 8

8 ▲ * *

表 4 - 9 質 問 項 目 ② 表 4 -1 0

質 問 項 目 ③ 1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑥

1 0 1 2 0 質問項目④

1 3 ▲ * * 5 0

▽ * * 0

2 4 1 7 ▲ *

7 ▽ * 0

2 0 3 0 ▲ * *

1 1 ▽ * * 4

3 2 3 3 3 1 7 3 0 1 3

▽ * * 6 1 ▲ * *

6 ▽ * *

4 3 8 ▽ * *

2 8 ▲ *

1 0 ▲ *

4 1 0

▽ * * 8 1 2 ▲ * *

表 4 -

1 1 質 問 項 目 ③ 表 4 -

1 2 質 問 項 目 ③

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑤

1 0 4 2 0 質問項目⑥

1 0 2 1 0

2 2 2 5 ▲ * * 2 3 6

2 2 1 1 1 5 0 ▽ *

3 2 1 5 3 9 ▲ * 6

3 1 2 6 3 8 7

4 0 4 ▽ * 1 6 1 0

▲ * *

4 1 9 ▽ * 2 5 1 5

▲ * *

表 4 -1 3

質 問 項 目 ④ 表 4 -1 4

質 問 項 目 ④ 1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目 ⑤

1 3 ▲ * * 2 1

▽ * 0 質問項目⑥

1 1 2 0 0

2 4 2 5 ▲ * * 2 4 3

▽ *

2 4 ▲ *

1 6 ▲ * *

8 ▽ * * 0

3 1 1 6 3 7 8 3 2 2 1 4 2 7

4 0 2 ▽ * * 1 8 1 0

▲ * *

4 1 6 ▽ * * 2 9 1 4

▲ * *

- 70 -

鬼塚 良太郎

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表 4 -

1 5 質 問 項 目 ⑤

1 2 3 4

質問項目⑥

1 1 2 0 0

2 4 ▲ * *

1 6 ▲ * * 7 1

▽ * 3 1 2 9 3 4 8

▽ * 4 0 9

▽ * * 2 1 2 0 ▲ * *

5 . 考 察

< 単 純 集 計 の 結 果 か ら >

各 質 問 項 目 に お い て 、「で き な か っ た 」と 答 え た 学 生 が 他 の 回 答 よ り も 有 意

に 少 な か っ た 。こ の よ う な 結 果 に な っ た 理 由 と し て は い く つ か 考 え ら れ る が 、

そ の 1 つ が 活 動 内 容 の 特 殊 性 で あ る 。 こ の 学 外 実 習 で 学 生 が 行 っ た 内 容 は 動

作 法 と い う 心 理 療 法 の 1 つ で あ っ た 。 動 作 法 は ト レ ー ナ ー ( 学 生 ) が ト レ ー

ニ ー ( 利 用 者 ) に 対 し て 動 作 課 題 ( 例 え ば 座 位 姿 勢 の 保 持 や 歩 行 な ど ) を 提

示 し 、 ト レ ー ニ ー が 自 分 自 身 の 体 を コ ン ト ロ ー ル す る う え で 難 し い 部 分 を ト

レ ー ナ ー が サ ポ ー ト し な が ら 課 題 を 遂 行 す る 。 そ の 過 程 の 中 で 、 ト レ ー ナ ー

は 、 ト レ ー ニ ー の 体 の 動 き や 緊 張 ( ま た は 弛 緩 ) な ど 体 の 状 態 を 通 し て ト レ

ー ニ ー の 心 の 動 き を 捉 え よ う と す る 。 つ ま り 動 作 法 は 、 体 の 動 き や 状 態 を 通

し て 相 手 の 心 の 動 き を 把 握 し 、 そ の 心 の 動 き に ア プ ロ ー チ す る 手 法 で あ る 。

ス ー パ ー バ イ ザ ー も 、 ト レ ー ナ ー を 指 導 す る 中 で 、 こ の 点 に つ い て の 指 導 を

中 心 に 行 う こ と に な る 。 こ の こ と が 質 問 項 目 ① 「 子 ど も の 気 持 ち に 寄 り 添 う

こ と が で き た 」 や 質 問 項 目 ② 「 子 ど も の 行 動 か ら 子 ど も の 心 情 を 推 測 す る こ

と が で き た 」に お い て 、「で き な か っ た 」と 回 答 し た 学 生 が 少 な い と い う 結 果

に つ な が っ た と 推 測 さ れ る 。 今 回 の 調 査 で は 他 の 活 動 内 容 ( 例 え ば 観 察 型 学

習 や 施 設 実 習 で 行 わ れ る 日 常 生 活 で の 援 助 等 )と の 比 較 を 行 っ て い な い た め 、

今 後 他 の 活 動 内 容 と の 比 較 を 行 う 必 要 が あ る 。

質 問 項 目 ③「 子 ど も へ の 療 育( か か わ る 上 で の )ね ら い を 理 解 で き た 」、質

問 項 目 ④ 「 ね ら い を 持 っ て 子 ど も と か か わ る こ と が で き た 」 及 び 質 問 項 目 ⑤

表 4 - 5 質 問 項 目 ① 表 4 - 6 質 問 項 目 ②

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑥

1 1 2 0 0 質問項目③

1 2 ▲ * * 1 1 0

2 3 ▲ *

1 7 ▲ * *

8 ▽ * *

0 ▽ *

2 7 2 7

▲ * * 1 1 ▽ * *

3 ▽ *

3 0 1 5 4 8 ▲ * *

8 ▽ *

3 0 ▽

* * 3 0 4 3 ▲ * * 6

4 0 3 ▽ * * 2 8 1 9

▲ * *

4 0 1 ▽ * * 1 3 8

▲ * *

表 4 - 7 質 問 項 目 ② 表 4 - 8 質 問 項 目 ②

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目④

1 4 ▲ * * 3 1

▽ * 0 質問項目⑤

1 2 ▲ * 3 1 0

2 2 2 7 ▲ * *

1 2 ▽ * * 4

2 4 3 3 ▲ * *

1 7 ▽ *

2 ▽ *

3 3 2 5 4 0 1 1 3 3 1 9 3 2 7

4 0 4 ▽ *

1 5 ▲ * 2

4 0 4 ▽ * *

1 8

8 ▲ * *

表 4 - 9 質 問 項 目 ② 表 4 -1 0

質 問 項 目 ③ 1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑥

1 0 1 2 0 質問項目④

1 3 ▲ * * 5 0

▽ * * 0

2 4 1 7 ▲ *

7 ▽ * 0

2 0 3 0 ▲ * *

1 1 ▽ * * 4

3 2 3 3 3 1 7 3 0 1 3

▽ * * 6 1 ▲ * *

6 ▽ * *

4 3 8 ▽ * *

2 8 ▲ *

1 0 ▲ *

4 1 0

▽ * * 8 1 2 ▲ * *

表 4 -

1 1 質 問 項 目 ③ 表 4 -

1 2 質 問 項 目 ③

1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目⑤

1 0 4 2 0 質問項目⑥

1 0 2 1 0

2 2 2 5 ▲ * * 2 3 6

2 2 1 1 1 5 0 ▽ *

3 2 1 5 3 9 ▲ * 6

3 1 2 6 3 8 7

4 0 4 ▽ * 1 6 1 0

▲ * *

4 1 9 ▽ * 2 5 1 5

▲ * *

表 4 -1 3

質 問 項 目 ④ 表 4 -1 4

質 問 項 目 ④ 1 2 3 4 1 2 3 4

質問項目 ⑤

1 3 ▲ * * 2 1

▽ * 0 質問項目⑥

1 1 2 0 0

2 4 2 5 ▲ * * 2 4 3

▽ *

2 4 ▲ *

1 6 ▲ * *

8 ▽ * * 0

3 1 1 6 3 7 8 3 2 2 1 4 2 7

4 0 2 ▽ * * 1 8 1 0

▲ * *

4 1 6 ▽ * * 2 9 1 4

▲ * *

5.考察

<単純集計の結果から>

 各質問項目において、「できなかった」と答えた学生が他の回答よりも有意

に少なかった。このような結果になった理由としてはいくつか考えられるが、

その 1 つが活動内容の特殊性である。この学外実習で学生が行った内容は動作

法という心理療法の 1 つであった。動作法はトレーナー(学生)がトレーニー

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

- 71 -

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(利用者)に対して動作課題(例えば座位姿勢の保持や歩行など)を提示し、ト

レーニーが自分自身の体をコントロールするうえで難しい部分をトレーナーが

サポートしながら課題を遂行する。その過程の中で、トレーナーは、トレーニー

の体の動きや緊張(または弛緩)など体の状態を通してトレーニーの心の動き

を捉えようとする。つまり動作法は、体の動きや状態を通して相手の心の動き

を把握し、その心の動きにアプローチする手法である。スーパーバイザーも、

トレーナーを指導する中で、この点についての指導を中心に行うことになる。

このことが質問項目①「子どもの気持ちに寄り添うことができた」や質問項目

②「子どもの行動から子どもの心情を推測することができた」において、「でき

なかった」と回答した学生が少ないという結果につながったと推測される。今

回の調査では他の活動内容(例えば観察型学習や施設実習で行われる日常生活

での援助等)との比較を行っていないため、今後他の活動内容との比較を行う

必要がある。

 質問項目③「子どもへの療育(かかわる上での)ねらいを理解できた」、質問

項目④「ねらいを持って子どもとかかわることができた」及び質問項目⑤「子

どもとかかわる上でいろいろと工夫することができた」において「できなかった」

と回答した学生が少なかった理由として考えられるのは、活動内容(表 2)及

び指導方法である。そもそも今回学生が参加した活動は療育(または訓練)の

場であることから、日常生活場面での援助よりも目的性がわかりやすかった可

能性が考えられる。また学生が参加した活動は「動作法訓練会」(以下「訓練会」

という。)と呼ばれており、スーパーバイザーの指導の下で、トレーナーが動作

法を実施するようになっている。訓練会では、表 2 で示したように、事前研修(も

しくは活動の間の時間で研修)を実施しており、スーパーバイザーが実技を通

して動作法のやり方をトレーナーに伝えている。訓練の時間も、スーパーバイ

ザーは、トレーナーやトレーニーの様子を把握しながら、必要に応じて適宜そ

の場で実技を交えながら指導を行う。つまり、スーパーバイザーは、トレーナー

に対して、インテイクや訓練の時間の中で、そのトレーニーになぜこのような

訓練を行うのかを説明し、トレーナーがうまくできていないときはその時その

- 72 -

鬼塚 良太郎

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場で具体的に実技を通してトレーニーへのかかわり方を伝えている。このこと

が、活動の目的(ねらい)の理解や目的に沿ったかかわりにつながったと推測

される。また、目的が明確化することで学生自身も工夫しやすくなり、質問項

目⑤において「できなかった」と回答した学生が少なくなったと推測される。

 質問項目⑥「子どもと仲良くなることができた」においても、やはり訓練会

の特殊性が影響していると思われる。訓練会では、トレーナーとトレーニーが

1 日ペアとなり、訓練をしたり、昼食をいっしょにとったりすることになる。

つまり学生は、1 日約 6 時間近く、一人の利用者だけに対してかかわり、その

人の体の動きや心の動き、どうのようにかかわれば課題が達成できるのかなど

を考えるのである。このような体験は、施設実習をはじめ他の保育実習や教育

実習では得ることができないものであり、保育者を目指す学生にとって貴重な

場になっていると思われる。長時間、しかも両者とも同じ目的(スーパーバイザー

から提示されたその日の課題)を達成するための共同作業を行うという状況で

は、相互に、良い関係性を構築しようとすることは容易に想像できることであ

り、質問項目⑥の自己評価も高くなる(6 つの質問項目の中で最も「よくできた」

と回答した学生が多かった)と思われる。

<質問項目間の関連>

 6 つの質問項目の関連を相関及びクロス集計による分析を行った結果、すべ

ての項目間において中程度の正の相関がみられた。この結果は、今回の調査が、

①対人援助に関する内容に限定して調査を行ったこと、②質問項目が 6 つと少

なかったことによる可能性が考えられる。①の質問項目の内容を対人援助に限

定した理由としては、「学外実習」が保育士資格に関する施設実習とは異なり授

業の一環として 1 日のみの実習であったことや、動作法という療育(訓練)へ

の参加であったためである。施設実習における学生の自己評価に関する研究を

見ると、10 ~ 20 項目についての自己評価について分析をしているものが多く、

例えば河野(2011)は 23 項目について学生の自己評価の結果を分析している。

その因子分析の結果「施設理解」「利用者理解」「向上心」の 3 つの因子を見出

しており、本研究で調査した質問項目は「利用者理解」と重なると思われる。

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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今後この「学外実習」で学生がどのような体験からどのような学習をしたのか

を検討するためには、今回の研究では時間が足りず取り扱わなかった報告書の

自由記述の内容を詳細に分析し、そこから自己評価の質問項目を抽出する作業

が必要になると考えている。

6.今後の課題

 本研究の今後の課題として考えられる点を以下に述べる。

(1)障害の種別や年齢による差

 本研究の結果からは実習先による差はみられなかった。しかし知的障害児

施設と障害者施設によって学生の自己評価に差があるとの研究結果も報告さ

れている(梅澤、2011)。この点については引き続き調査を行っていく必要が

ある。

(2)実習内容による学びの違い

 本研究では、学生は動作法という療育(訓練)に参加し、そこでの自己評

価を調査した。今回の研究結果が、その限定された実習内容によるものなの

かどうかについては比較対象がないため明確にできなかった。今後感覚統合

や遊戯療法など動作法以外の療育(訓練)活動に参加した際の自己評価の比

較や、日常生活支援やレクリエーション場面など療育(訓練)以外の支援場

面に参加した際の自己評価の比較を行うことで、どのような実習内容が学生

の体験や学びにどのように影響するのかを明らかにし、「学外実習」の実習内

容を検討していく必要がある。

(3)自由記述のより詳細な分析

 今回は 4 段階による自己評価の結果を分析対象としたが、学生が提出する

報告書には「実習内容(実習を通して学んだこと)」や「実習の振り返り」に

ついての自由記述もある。今回は時間の関係上分析は行っていないが、今後

この自由記述を詳細に分析することにより、学生の学びを明確にし、それを

もとに自己評価の質問項目を抽出することが必要と考える。そのことにより

質問項目を増やし、因子分析等の統計処理を行って、学生の学びを体系化し

- 74 -

鬼塚 良太郎

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ていくことが可能になると考えている。

引用文献・参考文献

1.渡辺一弘 「施設実習における学生の自己評価に関する研究-地方私立短

期大学の事例を中心に-」 『別府大学短期大学部紀要』 第 31 号、pp.103-

110、2012 年

2.土谷由美子 「施設実習に関する意欲と現状について-学生のアンケートを

中心に-」 『中国学園紀要』 第 3 巻、pp.77-82、2004 年

3.髙橋 努 「施設実習における学生の自己評価に関する一考察」 『埼玉純真

短期大学研究論文集』 第 11 号、pp.43-49、2018 年

4.村田 恵子 「施設実習で保育学生に期待される学びに関する研究-施設ベ

テラン職員、保育士養成校実習指導担当教員への調査から-」 『就実教育

実践研究』 第 10 巻、pp.73-89、2017 年

5.河野 清志 「保育学生の施設実習に対する自己効力感尺度の作成について」 

『山陽学園短期大学紀要』 第 42 巻、pp.29-35、2011 年

6.梅澤嘉一郎 「社会福祉施設実習における実習評価に関する研究-実習学生

の自己評価と実習施設の評価との関連から-」 『川村学園女子大学研究紀

要』 第 22 巻 第 2 号、pp.79-93、2011 年

療育活動へ参加した学生の自己評価に関する研究

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鬼塚 良太郎

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幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性-幼小連携に焦点を当てた実践から-

� 西村 幸高

1.はじめに

 筆者は文部科学省の学習指導要領において、音楽の授業時間が削減されるこ

とや 2020 年からの国際化の一環として、小学校低学年にも英語教育が導入され

ることにより、昨年の第 64 号本学紀要論文(平成 30 年 3 月発行)において、

音楽科の意義について「リベラル・アーツ」の観点から考察を行なった。

 今回、それらを踏まえ、本学において幼児教育を学び、教職を目指す学生に「リ

トミック」の授業を通し、音楽の持つ可能性について、幼小連携に主に焦点を

当て実践を行った。3 歳児から小学校低学年の子どもたちに対して音楽の楽し

さを自らに抱かせる指導者を育てていくためには、どのようにすればいいのか、

検証していきたいと思う。

2.幼小連携について

 小学校学習指導要領「音楽」(平成 29 年告示)には、幼・小連携に関して、

指導計画の作成と内容の取扱い (1) の中で「幼児期の終わりまでに育ってほしい

姿を踏まえた指導を工夫することにより、幼稚園教育要領等に基づく幼児期の

教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し、児童が主体的

に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすること。(略)音

楽科においては、育成を目指す資質・能力を明らかにした上で、例えば、生活

科などの他教科等の単元(題材)に関連する音楽科の題材について、取り扱う

時期を合わせることなどが考えられる。具体的には、身近な自然、季節や地域

の行事に関連する学習と関わらせて、音楽科で扱うわらべうた、季節や行事の

うたの表現を深めるなどして、より広がりのある表現活動を楽しむことが考え

られる。」(2) と述べられており、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿の 10 項

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

- 77 -

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目の中に音楽科目と最も関係のある部分に「豊かな感性と表現」(3) が挙げられる。

また小学校課程の新学習指導要領では、音楽科の目標である「生活や社会の中

の音や音楽と豊かに関わる資質・能力を育成する」ために、「知識及び技能」の

習得、「思考力・判断力・表現力等」の育成、「学びに向かう力・人間性等」の

涵養をはじめとした 3 点が示されているが (4)、その中でも「共通事項」である「聴

き取ったことと感じ取ったこととの関わり」について焦点をあてることは、子

どもたち自ら表現したいという思いや意図をもつことに効果的であり、それを

理解し、同調した指導者を養成する必要があると考えられる。

 「聴き取ったことと感じ取ったこととの関わり」を理解するために、まず「音

楽を形づくっている要素」を十分学習することが大切であり、リズム、速度、旋律、

強弱、和音の響き、調、音階などの「音楽を特徴付けている要素」は小学校課

程の 6 年間で学習するものであるが、特に低学年では、自発的な活動を通じる

ことにより、活動や体験と感情が密接に結びついており、音楽の情景もイメー

ジしやすいため、指導者はこれらの要素によって興味、関心を引き、学ぶ機会

を多くすることが求められる。そこで、子どもたちへ音楽の楽しさを自ら抱か

せる方法の一つとして、ピアノを用いた「リトミック」が挙げられる。

 「リトミック」は、指導者自身の様々な伴奏により、子どもたちの反応や創造

的な場面を作り出すことができ、またこのような授業を通して、友達との意見

交換や子どもたちが自分の求めている音を持つことができるよう、指導する必

要がある。このことがいずれ、「思考力、判断力、表現力等」の育成にもつなが

ると考えられる。

3.授業での実践

 今回、筆者が担当している授業科目である「リトミック」の前期 4 ヶ月間の

授業を通し、検証を行なった。主な 3 回の授業を取り上げ、それらを幼小連携

の観点から述べていきたい。

- 78 -

西村 幸高

Page 80: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

3-1.リトミック①(2018 年 5月 7日実施)

 この授業では、教材に「メリーさんのひつじ」を使用し (5)、音楽の三要素、

調について聞きとって感じてもらい、それに合わせて、付点のときはスキップ、

長調から短調に変わったら、歩き周る動きを進行方向を逆方向に変えることや

左手の伴奏スタイルで歩行するテンポを変えることを実践した。学生たちのほ

とんどが(参加人数 18 名)、最初は見よう見まねで実践したが、おおよそ半数

ができており、残り半数ができている人を見ながら行なっているのが現状であっ

た。

 またボール遊びについて、バイエル 94 番(譜例 1)を元に実践を行った (6)。

この楽譜は 3 段目に同じメロディーが 2 回繰り返しているため(譜例 1 の□で

囲んでいる部分)、筆者がそれぞれ 2 回の強弱を分け(最初を強く)演奏し、学

生たちは、それにあわせてボールのバウンドや弧を描きボールの動きを変化さ

せていた。具体的には、音が大きいときには大きい半円を、音が小さい時には

小さい半円を作り出す。次にこの曲の 7 小節目の 8 分音符をスタッカートで弾

くと「ボールでどう表現していいか分からない」と戸惑う姿も見られた。徐々

に速度を変えたり、強弱を加えたり、スタッカート、左手の分散和音に付点を

用いたりすることで、大変応用の効く、可能性を秘めた曲であることを把握し

た。リトミックの生みの親であるエミール・ジャック=ダルクローズ(Emile

Jaques-Dalcroze)と共に研究を行なったエルザ・フィンドレィは、「リズムと

創造的表現」の項目で上記のような場面を次のように述べている。

演劇や実際の生活の場で、動作の再現をすることは、こどもたちが、

動作の表現のために、動作のパターンを組み合わせようとして、創造

力を強く刺激する。たとえば、こどもが飛行機の飛んでいるのを真似

するとき、テンポと強弱の要素が組み合わさっている。飛行機が地面

から飛び立って、空中を舞い、着陸するのは、形式の要素をもってい

る。伴奏は、飛行機が最初に舞い上がるときの動作にクレシェンドを、

空中を飛び続けているときは一定のテンポで、下降するときにはディ

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

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Page 81: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

ミヌエンドとリタルダンドが要求される (7)。

 自身で音を聴き取り、考え、行動する一連の動きは、常に創造力を働かせな

ければならない。学生たちの中には、この曲を口ずさみながら、ボール投げし

ているものもおり、例えまだこの曲を演奏したことがないとしても、「目に見え

る」ボールで、空間、時間について(2 拍子の拍の中でのキャッチボール)常

に意識する場面が多く見受けられた。学生からも授業後にいろいろな意見が聞

かれ、前回行った授業教材(5 月 2 日実施)についても、ボールを使ったほう

が分かりやすいという意見もあった。また 3 拍子の曲についてはバイエル 35 番

を参考におこなったが、3 拍子を意識することがすぐに可能であった。ここで

感じたのは、バイエル教材はリトミックに用いるのが、非常に有効であるとい

うことである。なぜなら、学生自身がいずれピアノ試験曲の課題として演奏す

るバイエル曲も「身体の感覚」を通じて、理解することができるからである。

これらは「空間の把握」と「音楽的な時間への理解」に通じる (8)。

とを把握した。リトミックの生みの親であるエミール・ジャック=ダルクローズ(Emile Jaques-Dalcroze)と共に研究を行なったエルザ・フィンドレィは、「リズムと創造的表

現」の項目で上記のような場面を次のように述べている。

演劇や実際の生活の場で、動作の再現をすることは、こどもたちが、動作の表現

のために、動作のパターンを組み合わせようとして、創造力を強く刺激する。た

とえば、こどもが飛行機の飛んでいるのを真似するとき、テンポと強弱の要素が

組み合わさっている。飛行機が地面から飛び立って、空中を舞い、着陸するのは、

形式の要素をもっている。伴奏は、飛行機が最初に舞い上がるときの動作にクレ

シェンドを、空中を飛び続けているときは一定のテンポで、下降するときにはデ

ィミヌエンドとリタルダンドが要求される。(7)

自身で音を聞き取り、考え、行動する一連の動きは、常に創造力を働かせなければな

らない。学生たちの中には、この曲を口ずさみながら、ボール投げしているものもおり、

例えまだこの曲を演奏したことがないとしても、「目に見える」ボールで、空間、時間

について(2拍子の拍の中でのキャッチボール)常に意識する場面が多く見受けられた。

学生からも授業後にいろいろな意見が聞かれ、前回行った授業教材(5 月 2 日実施)に

ついても、ボールを使ったほうが分かりやすいという意見もあった。また 3 拍子の曲に

ついてはバイエル35番を参考におこなったが、3拍子を意識することがすぐに可能で

あった。ここで感じたのは、バイエル教材はリトミックに用いるのが、非常に有効であ

るということである。なぜなら、学生自身がいずれピアノ試験曲の課題として演奏する

バイエル曲も「身体の感覚」を通じて、理解することができるからである。これらは「空

間の把握」と「音楽的な時間への理解」に通じる。(8) 譜例1

譜例 1

3-2.リトミック②(2018 年 5月 21 日実施)

 ここでは、「クラップ&ストンプ」(9)(譜例 2)の復習を行った。通常は 1 ~ 4

のうち 1 番を多くしていたので、今回は二人組みを作り、2、3 番を行った ( 譜

譜例 2譜例2

3.3 リトミック③(2018 年 6 月 11 日実施)

この時に実践したリトミックでは、主に前述の「ダルクローズシステムによるリトミ

ック指導2[4才児用](全音楽譜出版社)」(11)(譜例3)を参考に、実践授業を行った。 この指導案では、4分音符、8分音符、2分音符をうさぎ、りす、くま、と動物別に

分け、筆者の弾くピアノに合わせて、それぞれがジャンプ、ステップと表現する授業で

あった。 学生たち17人は4歳児の設定ということで、まずこれらの提示されている3曲に沿

って身体表現を行った。学生たちの多くが、自分自身で感じたリズムで表現していたが、

なかなか、どのようにすればいいのか迷った学生もおり、そのような学生たちは、周り

を見よう見真似でまずは「うさぎ」を表現した。ここで注意したいのが、全員の表現が

同じになるような意識をなくさせることである。このような表現は、常にクリエイティ

ブを求めているため、個人それぞれが違った表現をすることに意義があると考える。そ

のため、難しいことではあるが、あまり周りと合わせなくてもよいという、指示を出す

ことが重要である。「くま」については、やはり低音域の表現ということで、ゆっくり

ゆっくりと、一歩一歩歩いてリズムを取っていた。 まずは全員で「うさぎ」、「りす」、「くま」をやってみた後、続いて自分のなりたい動

物を決め、その音楽が鳴ったら、自由に移動するという、表現を行った。一旦、全員で

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西村 幸高

Page 82: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

ミヌエンドとリタルダンドが要求される (7)。

 自身で音を聴き取り、考え、行動する一連の動きは、常に創造力を働かせな

ければならない。学生たちの中には、この曲を口ずさみながら、ボール投げし

ているものもおり、例えまだこの曲を演奏したことがないとしても、「目に見え

る」ボールで、空間、時間について(2 拍子の拍の中でのキャッチボール)常

に意識する場面が多く見受けられた。学生からも授業後にいろいろな意見が聞

かれ、前回行った授業教材(5 月 2 日実施)についても、ボールを使ったほう

が分かりやすいという意見もあった。また 3 拍子の曲についてはバイエル 35 番

を参考におこなったが、3 拍子を意識することがすぐに可能であった。ここで

感じたのは、バイエル教材はリトミックに用いるのが、非常に有効であるとい

うことである。なぜなら、学生自身がいずれピアノ試験曲の課題として演奏す

るバイエル曲も「身体の感覚」を通じて、理解することができるからである。

これらは「空間の把握」と「音楽的な時間への理解」に通じる (8)。

とを把握した。リトミックの生みの親であるエミール・ジャック=ダルクローズ(Emile Jaques-Dalcroze)と共に研究を行なったエルザ・フィンドレィは、「リズムと創造的表

現」の項目で上記のような場面を次のように述べている。

演劇や実際の生活の場で、動作の再現をすることは、こどもたちが、動作の表現

のために、動作のパターンを組み合わせようとして、創造力を強く刺激する。た

とえば、こどもが飛行機の飛んでいるのを真似するとき、テンポと強弱の要素が

組み合わさっている。飛行機が地面から飛び立って、空中を舞い、着陸するのは、

形式の要素をもっている。伴奏は、飛行機が最初に舞い上がるときの動作にクレ

シェンドを、空中を飛び続けているときは一定のテンポで、下降するときにはデ

ィミヌエンドとリタルダンドが要求される。(7)

自身で音を聞き取り、考え、行動する一連の動きは、常に創造力を働かせなければな

らない。学生たちの中には、この曲を口ずさみながら、ボール投げしているものもおり、

例えまだこの曲を演奏したことがないとしても、「目に見える」ボールで、空間、時間

について(2拍子の拍の中でのキャッチボール)常に意識する場面が多く見受けられた。

学生からも授業後にいろいろな意見が聞かれ、前回行った授業教材(5 月 2 日実施)に

ついても、ボールを使ったほうが分かりやすいという意見もあった。また 3 拍子の曲に

ついてはバイエル35番を参考におこなったが、3拍子を意識することがすぐに可能で

あった。ここで感じたのは、バイエル教材はリトミックに用いるのが、非常に有効であ

るということである。なぜなら、学生自身がいずれピアノ試験曲の課題として演奏する

バイエル曲も「身体の感覚」を通じて、理解することができるからである。これらは「空

間の把握」と「音楽的な時間への理解」に通じる。(8) 譜例1

譜例 1

3-2.リトミック②(2018 年 5月 21 日実施)

 ここでは、「クラップ&ストンプ」(9)(譜例 2)の復習を行った。通常は 1 ~ 4

のうち 1 番を多くしていたので、今回は二人組みを作り、2、3 番を行った ( 譜

譜例 2譜例2

3.3 リトミック③(2018 年 6 月 11 日実施)

この時に実践したリトミックでは、主に前述の「ダルクローズシステムによるリトミ

ック指導2[4才児用](全音楽譜出版社)」(11)(譜例3)を参考に、実践授業を行った。 この指導案では、4分音符、8分音符、2分音符をうさぎ、りす、くま、と動物別に

分け、筆者の弾くピアノに合わせて、それぞれがジャンプ、ステップと表現する授業で

あった。 学生たち17人は4歳児の設定ということで、まずこれらの提示されている3曲に沿

って身体表現を行った。学生たちの多くが、自分自身で感じたリズムで表現していたが、

なかなか、どのようにすればいいのか迷った学生もおり、そのような学生たちは、周り

を見よう見真似でまずは「うさぎ」を表現した。ここで注意したいのが、全員の表現が

同じになるような意識をなくさせることである。このような表現は、常にクリエイティ

ブを求めているため、個人それぞれが違った表現をすることに意義があると考える。そ

のため、難しいことではあるが、あまり周りと合わせなくてもよいという、指示を出す

ことが重要である。「くま」については、やはり低音域の表現ということで、ゆっくり

ゆっくりと、一歩一歩歩いてリズムを取っていた。 まずは全員で「うさぎ」、「りす」、「くま」をやってみた後、続いて自分のなりたい動

物を決め、その音楽が鳴ったら、自由に移動するという、表現を行った。一旦、全員で

例 2 の□で囲んだ部分 )。最後の即興表現の箇所は率先して手を挙げた二人の

学生にでてきてもらい、筆者の音符カードを貼ってもらった。筆者は、いずれ

これらをリトミック指導案作りにいかせていけたらと考えている。例えば、子

どもは 4 小節を覚えることが難しい場合があるため、覚えやすいように 2 小節

に短縮し、その 2 小節を先生が覚え、同じリズムを子どもに真似をさせる。先

生役 2 人、園児役 4 人を 1 グループに、音楽遊びをする際の導入の場面を含め、

幅広く使用できるのではないかと考えられる。次に、いろいろなリズムがある

ことを知ってもらうため、2 小節の様々なジャンルのリズム打ちを行った (10)。

 ロックでは学生たちに叩かせながら、筆者が「きらきら星」を演奏した。本

来ならば、もっと多くの曲を筆者が弾き、学生が叩き、ということを行いたかっ

たが、時間の都合で 1 曲だけとなった。

 新学習指導要領の「聴き取ったことと感じ取ったこととの関わりについて考

えること」では、ただ単に強弱を聴き分けるのではなく、「だんだん近づいてき

たと感じるのは、だんだん大きくなったからだ。」という強弱の変化とその働き

が生み出すよさや面白さが求められる。そのような点においては、子どもたち

が興味のある曲に合わせて、リズムを取ることは、自己表現能力や友達同士で

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

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Page 83: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

の意見交換など、「自ら気づいたり、捉える」新学習指導要領の方針に沿ってい

ると考えられる。

 また 2020 年から小学校 3 年生に英語教育が導入されることを踏まえ、英語

を使用した楽曲を取り扱うことも行なった。今回は「When You Wish upon a

Star(星に願いを)」を取り上げた。文法から入ると抵抗のある学生も数多くい

るため、発音記号を主とした授業を行い、例えば英語歌詞を読む場合は、連結

(linking)による指導を最初にした。また「n」の発音、come の「o」の発音等、

丁寧に説明を行なったところ、その発音記号に注意しながら、はじめはアカペ

ラにより英語で合唱した。英語教材を音楽の時間に使用する際は、英語の「音」

に重点を置くことが大切であることが把握できた。

3-3.リトミック③(2018 年 6月 11 日実施)

 この時に実践したリトミックでは、主に前述の『ダルクローズシステムによ

るリトミック指導 2[4 才児用](全音楽譜出版社)』(11)(譜例 3)を参考に、実

践授業を行った。

 この指導案では、4 分音符、8 分音符、2 分音符を「うさぎ」、「りす」、「くま」、

と動物別に分け、筆者の弾くピアノに合わせて、それぞれがジャンプ、ステッ

プと表現する授業であった。

 学生たち 17 人は 4 歳児の設定ということで、まずこれらの提示されている 3

曲に沿って身体表現を行った。学生たちの多くが、自分自身で感じたリズムで

表現していたが、なかなか、どのようにすればいいのか迷った学生もおり、そ

のような学生たちは、周りを見よう見真似でまずは「うさぎ」を表現した。こ

こで注意したいのが、全員の表現が同じになるような意識をなくさせることで

ある。このような表現は、常にクリエイティブを求めているため、個人それぞ

れが違った表現をすることに意義があると考える。そのため、難しいことでは

あるが、あまり周りと合わせなくてもよいという、指示を出すことが重要であ

る。「くま」については、やはり低音域の表現ということで、ゆっくりゆっくり

と、一歩一歩歩いてリズムを取っていた。

譜例 3

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西村 幸高

Page 84: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

の意見交換など、「自ら気づいたり、捉える」新学習指導要領の方針に沿ってい

ると考えられる。

 また 2020 年から小学校 3 年生に英語教育が導入されることを踏まえ、英語

を使用した楽曲を取り扱うことも行なった。今回は「When You Wish upon a

Star(星に願いを)」を取り上げた。文法から入ると抵抗のある学生も数多くい

るため、発音記号を主とした授業を行い、例えば英語歌詞を読む場合は、連結

(linking)による指導を最初にした。また「n」の発音、come の「o」の発音等、

丁寧に説明を行なったところ、その発音記号に注意しながら、はじめはアカペ

ラにより英語で合唱した。英語教材を音楽の時間に使用する際は、英語の「音」

に重点を置くことが大切であることが把握できた。

3-3.リトミック③(2018 年 6月 11 日実施)

 この時に実践したリトミックでは、主に前述の『ダルクローズシステムによ

るリトミック指導 2[4 才児用](全音楽譜出版社)』(11)(譜例 3)を参考に、実

践授業を行った。

 この指導案では、4 分音符、8 分音符、2 分音符を「うさぎ」、「りす」、「くま」、

と動物別に分け、筆者の弾くピアノに合わせて、それぞれがジャンプ、ステッ

プと表現する授業であった。

 学生たち 17 人は 4 歳児の設定ということで、まずこれらの提示されている 3

曲に沿って身体表現を行った。学生たちの多くが、自分自身で感じたリズムで

表現していたが、なかなか、どのようにすればいいのか迷った学生もおり、そ

のような学生たちは、周りを見よう見真似でまずは「うさぎ」を表現した。こ

こで注意したいのが、全員の表現が同じになるような意識をなくさせることで

ある。このような表現は、常にクリエイティブを求めているため、個人それぞ

れが違った表現をすることに意義があると考える。そのため、難しいことでは

あるが、あまり周りと合わせなくてもよいという、指示を出すことが重要であ

る。「くま」については、やはり低音域の表現ということで、ゆっくりゆっくり

と、一歩一歩歩いてリズムを取っていた。

譜例 3

 まずは全員で「うさぎ」、「りす」、「くま」をやってみた後、続いて自分のな

りたい動物を決め、その音楽が鳴ったら、自由に移動するという、表現を行った。

一旦、全員で一通りの動物をした後だったため、すぐに活動できた。

 次に先生役(今回は筆者)が、「あっ空にお星様だ」というと、全員で空を見

て(教室の天井)、「きらきら星」を合唱させた。ここでのポイントは歌詞を覚

えさせて歌うことにあると思う。

 最後は、本教材を参考に、動物別にピアノの高音域、中音域、低音域別にピ

アノの反応で手をたたかせる練習を行った。やはり今回は全員が大学生という

こともあり、すぐ実践できたが、応用として中音域より上の音、または中音域

より下の音を(中音域より上の音の場合は胸の高さより少し上に、中音域より

下の音の場合は胸の高さより少し下に)筆者が教えずとも聴き分けることがで

きた。

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

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譜例 4-1

筆者の演奏:タン・タタ・タン(3 和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏

譜例4―1

筆者の演奏:タン・タタ・タン(3和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏 譜例4-2

筆者の演奏:タ・タ・タ・タ・タン(3和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏 このようなリズムを聴いて、音楽の反応による身体の動きを取り入れる授業は、アメ

リカのカリフォルニア州において、明確な基準の下で、取り扱われている。特にダンス

(Dance)、音楽(Music)、舞台芸術(Theatre)、視覚芸術(Visual Arts)の全ての領

域において、3 歳から高等学校まで、1.0「芸術的知覚」(Artistic Perception)、2.0「創

造的表現」(Creative Expression)、3.0「歴史的・文化的文脈」(Historical and Cultural Context)、 4.0「美的評価」(Aesthetic Valuing)、 5.0「結合・関連・応用」

(Connections,Relationships,Applications)という5つの要素が示されている(12)。そ

の中でも 4.0 については、「意味を創出する」ことを目標としており、学習者自らが音

楽作品や演奏について、自分にとってのどのような価値や意味があるか、といった積極

的かつ主体的、創造的関わりが大きな特徴として挙げられている(13)。これは、小学校課

程新学習指導要領で新たな特徴である「子どもの立場」での視点と大いに関係があると

考えられる。そして、この 4.0 について、3 歳児から高等学校まで一貫して求められて

いるのも特徴であり、批評や美的評価を高度な学習と捉えるのではなく、身近な学習と

位置づけている。

筆者の演奏:タ・タ・タ・タ・タン(3 和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏

譜例 4-2

譜例4―1

筆者の演奏:タン・タタ・タン(3和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏 譜例4-2

筆者の演奏:タ・タ・タ・タ・タン(3和音で)←高音域の場合や低音域の場合の演奏 このようなリズムを聴いて、音楽の反応による身体の動きを取り入れる授業は、アメ

リカのカリフォルニア州において、明確な基準の下で、取り扱われている。特にダンス

(Dance)、音楽(Music)、舞台芸術(Theatre)、視覚芸術(Visual Arts)の全ての領

域において、3 歳から高等学校まで、1.0「芸術的知覚」(Artistic Perception)、2.0「創

造的表現」(Creative Expression)、3.0「歴史的・文化的文脈」(Historical and Cultural Context)、 4.0「美的評価」(Aesthetic Valuing)、 5.0「結合・関連・応用」

(Connections,Relationships,Applications)という5つの要素が示されている(12)。そ

の中でも 4.0 については、「意味を創出する」ことを目標としており、学習者自らが音

楽作品や演奏について、自分にとってのどのような価値や意味があるか、といった積極

的かつ主体的、創造的関わりが大きな特徴として挙げられている(13)。これは、小学校課

程新学習指導要領で新たな特徴である「子どもの立場」での視点と大いに関係があると

考えられる。そして、この 4.0 について、3 歳児から高等学校まで一貫して求められて

いるのも特徴であり、批評や美的評価を高度な学習と捉えるのではなく、身近な学習と

位置づけている。

 このようなリズムを聴いて、音楽の反応による身体の動きを取り入れる授業

は、アメリカのカリフォルニア州において、明確な基準の下で、取り扱われて

いる。特にダンス(Dance)、音楽(Music)、舞台芸術(Theatre)、視覚芸術(Visual

Arts)の全ての領域において、3 歳から高等学校まで、1.0「芸術的知覚」(Artistic

Perception)、2.0「創造的表現」(Creative Expression)、3.0「歴史的・文化的文脈」

(Historical and Cultural Context)、4.0「美的評価」(Aesthetic Valuing)、5.0「結合・

関連・応用」(Connections, Relationships, Applications)という 5 つの要素が示

されている(表 1)(12)。その中でも 4.0 については、「意味を創出する」ことを

目標としており、学習者自らが音楽作品や演奏について、自分にとってのどの

ような価値や意味があるか、といった積極的かつ主体的、創造的関わりが大き

な特徴として挙げられている (13)。これは、小学校課程新学習指導要領で新たな

特徴である「子どもの立場」での視点と大いに関係があると考えられる。そして、

この 4.0 について、3 歳児から高等学校まで一貫して求められているのも特徴で

あり、批評や美的評価を高度な学習と捉えるのではなく、身近な学習と位置づ

けている。

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西村 幸高

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表 1譜例5

カリフォルニア州のソミスユニオンスクール(Somis Union School District)で行な

われたスコット・マーフィー(Scott Murphy)教諭の授業では、「音楽に合わせた動き

をつくる」という目標のもと、次のことを実践している。 ① これから聴かせようとする音楽のイメージを手の動きで表現させ、どんな音楽なの

かを問いかける。 ② 音楽を流しながら、それに合わせて指導者が手がかりとなるような動きをして、そ

れを模倣させる。 ③ 1 人の子どもが他の子どもをリードしていくよう指示を出し、その際、最初は手だ

け、それから足だけ、胴体だけ、というように身体を限定し、創造的な動きを創り

出す。 ④ その後、最後に身体全部を使って表現するため、教室の中を動き回る。 マーフィー教諭によると、この「美的評価」の前提となる「音楽に反応してそれを基

に動きで表すことを求める」のは幼稚園児には音楽に対してすぐに見合った動きを創造

させることには無理があるため、音楽を聴く前に、その音楽のイメージを想起させるよ

うな動きを提示している。音楽を聴いた後は、教師の動きを模倣させることで、教師の

イメージを共有させていることになる。子どもたちの多くが、3拍子の音楽では、1拍

目に反応し、足を強く踏み鳴らしたり、少し遅い曲では、自然にレガートの感じを大人

しくスムーズで流れるような手の動きで表現したと述べられている。このように、指導

者は子どもたちに「伝えること」よりも「聞くこと(受け入れること)」に焦点を当て

ることが重要ということである。 このように 4.0「美的評価」は、子どもたちに自ら創造させる機会を与える一方で、

音を注意深く聴く(リスニング)に関わっていることで、指導が難しい一面もあると述

べられている。(14)また、4.0 について「言葉によって感情を表現する」ことについては、

様々な場面で、教師と子どもたちの問いかけによって、経験を伴った学びを習得させる

 カリフォルニア州のソミスユニオンスクール(Somis Union School District)

で行なわれたスコット・マーフィー(Scott Murphy)教諭の授業では、「音楽

に合わせた動きをつくる」という目標のもと、次のことを実践している。

① これから聴かせようとする音楽のイメージを手の動きで表現させ、どんな

音楽なのかを問いかける。

② 音楽を流しながら、それに合わせて指導者が手がかりとなるような動きを

して、それを模倣させる。

③ 1 人の子どもが他の子どもをリードしていくよう指示を出し、その際、最

初は手だけ、それから足だけ、胴体だけ、というように身体を限定し、創

造的な動きを創り出す。

④ その後、最後に身体全部を使って表現するため、教室の中を動き回る。

 マーフィー教諭によると、この「美的評価」の前提となる「音楽に反応して

それを基に動きで表すことを求める」のは幼稚園児には音楽に対してすぐに見

合った動きを創造させることには無理があるため、音楽を聴く前に、その音楽

のイメージを想起させるような動きを提示している。音楽を聴いた後は、教師

の動きを模倣させることで、教師のイメージを共有させていることになる。子

どもたちの多くが、3 拍子の音楽では、1 拍目に反応し、足を強く踏み鳴らした

り、少し遅い曲では、自然にレガートの感じを大人しくスムーズで流れるよう

な手の動きで表現したと述べられている。このように、指導者は子どもたちに「伝

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

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Page 87: インターンシップの取り組みと成果の考察 · 果の高いインターンシップの実施に当たって留意点もあげられている (4)。 2-2.大学等のインターンシップ実施調査結果

えること」よりも「聴くこと(受け入れること)」に焦点を当てることが重要と

いうことである。

 このように 4.0「美的評価」は、子どもたちに自ら創造させる機会を与える一

方で、音を注意深く聴く(リスニング)に関わっていることで、指導が難しい

一面もあると述べられている (14)。また、4.0 について「言葉によって感情を表現

する」ことについては、様々な場面で、教師と子どもたちの問いかけによって、

経験を伴った学びを習得させることができ (15)、これらはアクティブ・ラーニン

グにも繋がり、今後の授業においても、積極的に取り組みたいと感じた部分で

あった。

 今回、筆者が「リトミック」で演奏した曲目は主に以下の通りである。

・線路は続くよ どこまでも 4 拍子(作曲者:アメリカ民謡)

・ぞうさん 3 拍子(作曲者:團伊玖磨)

・きらきら星 4 拍子(作曲者:モーツァルト)

・ぶんぶんぶん 4 拍子(作曲者:チェコスロバキア民謡)

・ロンドン橋がおちる 4 拍子(作曲者:イギリス民謡)

・かっこう 4 拍子(作曲者:ドイツ民謡)

・ちょうちょう 4 拍子(作曲者:スペイン民謡)

・ふしぎなポケット 4 拍子(作曲者:渡辺茂)

・メリーさんの羊 4 拍子(作曲者:アメリカ民謡)

4.おわりに

 今回、本研究では音楽科目において、小学校課程新学習指導要領と幼稚園教

育要領を照らし合わせながら、本学授業の実践での気づき、改善点の検証を行

なった。幼稚園課程から小学校低学年では、音楽に対する憧れが芽生える一方、

この萌芽を大事にすべく指導者側の音楽に対する姿勢が大切である。特に今回

の新学習指導要領は、子どもの立場に立った記述が大きな特徴であることを考

慮すると、友達同士の意見交換や自身の考えを伝え合う場を提供し、目前の成

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西村 幸高

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果に捉われない音楽表現の指導、アプローチが求められる。子どもたちにとっ

て音楽表現の可能性を伸ばす方法はどのようなものか、このような教育を常に

展開していくため、学習者の視点に立った取り組みを今後も工夫していきたい。

⑴ 文部科学省『小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 音楽編』東洋館

出版社 2018 年

⑵ 同上 pp.120 ~ 121

⑶ 幼稚園教育要領での「豊かな感性と表現」とは、「心を動かす出来事などに

触れ感性を働かせる中で、様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き、

感じたことや考えたことを自分で表現したり、友達同士で表現する過程を

楽しんだりし、表現する喜びを味わい、意欲をもつようになる。」と記され

ている。

⑷ 佐野氏は今次改定の大きな特徴は「子どもの立場に立った記述」が多い点

であると述べており、自ら音楽を習って良かったと思える子どもたちを育

てる点が重要である。(初等科音楽教育研究会 『初等科音楽教育法』音楽

之友社 2018 年 p12)。

⑸ ♯、♭の仕組み(ここではそれぞれ二つずつ)、筆者が授業で用いる「ハト

ニイホロヘハ」の表の使い方についても簡単に説明した。

⑹ 本学で使用している「大学ピアノ教本(バイエルとツェルニーによる展開) 

教育芸術社」では 55 番である。

⑺ エルザ・フィンドレィ著 板野平監修『ダルクローズ・リトミックによる「リ

ズムと動き」』 全音楽譜出版社、1980 年 p.71

⑻ 全日本リトミック音楽教育研究会『ダルクローズ・システムによるリトミッ

ク指導 2[4 才児用]』 全音楽譜出版社 p.2

⑼ ここでは、ボディーパーカッションの生みの親である山田俊之氏の教材を

使用した。

⑽ 今回は様々な教材、高等学校教科書を参考にロック、スウィング、マンボ

幼児教育者養成課程におけるリトミックの可能性

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の 3 つを使用した。

⑾ 全日本リトミック音楽教育研究会『ダルクローズ・システムによるリトミッ

ク指導 2[4 才児用]』 全音楽譜出版社 pp.44 ~ 46 を主に使用。

⑿ 日本学校音楽教育実践学会『音楽科カリキュラムと授業実践の国際比較』 

音楽之友社、p.92 2012 年

⒀ 同上 p.93

⒁ 同上 p.100

⒂ 例えば教師がライオンやトラ等の動物の絵を見せ、子どもたちにどうやっ

て鳴くのかと尋ねる。「ガオー」と子どもたちが反応すると、教師はその声

に対し、「それは『大きい音』だよ」とラベリングし、このことによって、「大

きい」という語彙を理解していく。

引用文献・参考資料

文献

・日本学校音楽教育実践学会『音楽科カリキュラムと授業実践の国際比較』 

音楽之友社、2012年

・文部科学省『幼稚園教育要領解説』フレーベル館 2018年

・文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編』東洋館出

版社 2018年

・初等科音楽教育研究会『初等科音楽教育法』 音楽之友社、2018年

・全日本リトミック音楽教育研究会『ダルクローズ・システムによるリトミッ

ク指導2[4才児用]』 全音楽譜出版社、発行年不明

・エルザ・フィンドレィ著 板野平監修『ダルクローズ・リトミックによる

「リズムと動き」』 全音楽譜出版社、1980年

楽譜

・大学音楽教育研究グループ『大学ピアノ教本(バイエルとツェルニーによる展

開)』教育芸術社、2015年

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西村 幸高

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『九州龍谷短期大学紀要』投稿要領(平成 31 年 3 月 改訂)

1.本学で開講されている学問分野もしくはその関連領域に関する未発表の学

術論文であること。

2.投稿資格は原則として、九州龍谷短期大学常勤の教職員、名誉教授及び学

生の九州龍谷学会正会員、九州龍谷学会賛助会員であること。但し、編集委

員会から特に執筆を依頼された場合は、この限りではない。

3.原稿は、横書きの場合は 37 字× 37 行、縦書きの場合は 50 字× 18 行とし、

8,000 字~ 20,000 字程度とする。Word で作成し、プリントアウトした原稿2

部を、「九州龍谷短期大学紀要論文投稿申込書」と併せて提出すること。

4.論文の採否については、査読の上、紀要編集委員会で決定する。

5.採択された場合、最終原稿2部とUSBメモリを提出すること。

6.本誌掲載の著作物の著作権は、本学会に帰属する。また、本誌は学会誌と

して刊行すると共に、原則としてオンライン公開する。

7.提出期限:毎年 10 月末日とする。(期限厳守)

8.提出先:〒 841-0072 佐賀県鳥栖市村田町岩井手 1350

九州龍谷短期大学内 九州龍谷学会事務局

電 話:0942-85-1121

FAX:0942-82-8411

E-mail:[email protected]

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執筆要項1.論文冒頭に題名(副題)と執筆者名を明記する。執筆者名に所属・職名は

付さない。

2.欧文タイトルと氏名のローマ字表記とを併せて提出すること。なお、これ

らは別紙に記して提出することとし、論文冒頭に掲げることはしない。

3.註番号は、括弧つき算用数字で付す。(例:……と考察される⑴。)

4.註は末註形式とし、その冒頭に「註」と表記する。括弧つき算用数字で通

し番号をつけること。

5.独立引用文は2字下げとし、かぎ括弧は用いない。

6.引用文献の記載は、註記においてなすことを原則とする。

  縦書きの場合は、漢数字を用いる。刊行年の記載は、西暦、元号のいずれ

を用いてもよいが、いずれかに統一すること。和文・欧文の両方の文献を引

用する必要がある場合は、和文文献も含めて西暦に統一する。

  この場合、初出箇所で以下の例に準じて記し、2回目以降は適宜略称を用

いる。

和文雑誌論文

 龍谷太郎「鳥栖市との好ましい連携のあり方」『九州龍谷短期大学紀要』

 第 64 号、pp.15-20、2017 年。

 縦書きの場合 第六十四号、一五~二十頁、二〇一七年。

和文書籍

 龍谷太郎・龍谷花子『仏教入門』龍谷出版、pp.15-20、2017 年。 

 縦書きの場合 筒井末春・中野弘一『心身医学入門』南山堂、三五頁、

一九八七年。

欧文雑誌論文:Penelope Wise,“Money Today:

 Two Cents for a Dollar,”No Profit Review 2 (1987):123.

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欧文書籍:David Stafford, Britain and European Resistance, 1940-1945

 (Toronto:University of Toronto Press,1980),90.

7.欧文で論文を執筆する場合は、それぞれの言語圏での一般的な学術論文の

形式に準拠すること。英文の場合は、The Chicago Manual of Style によるこ

とを原則とする。(前に挙げた英文文献の引用例は、同書によるものである。)

8.欧文で表記される書名、雑誌名、およびその略号はイタリックで表記する

ことを原則とする。

9.論文では、常用漢字、現代かなづかいを用いることを原則とする。但し、

古典的資料からの引用文に関してはこの限りではない。

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編集後記

 『九州龍谷短期大学紀要』第 65 号をお届けいたします。

 本号は、論文 5 篇を掲載させていただきました。論文の内容はメディア関係、

保育関係、心理学関係、芸術関係の教育研究と多岐にわたっています。ご多用

の中、ご執筆いただきました諸先生方に、御礼申し上げます。お陰様で、学会員、

賛助会員ならびに学生その他の方々の閲覧に供することができました。

 本紀要は、昭和 28 年 9 月に『龍谷論叢』として創刊され、その後、2 度の名

称変更を経て今日に至っています。また、今号から紀要のサイズをA5版から

B5版に変更し、論文が見やすくなるようにしました。

 昨年度から査読制度を充実させ、査読者、執筆者間の数回のやりとりの後、

完成させた紀要論文集となりました。紀要編集委員会において依頼した査読者

の方々に感謝申し上げます。

 今後、本紀要をより充実した内容にしていくため、次年度もさらに査読を厳

格にしていきたいと考えています。

 会員の皆様におかれましては、年に 1 回発行される本紀要をご活用いただく

べく、研究者としての足跡を記していただきたいと願っております。

 皆様のご寄稿を編集委員一同お待ちしています。

 なお、本紀要は本学ホームページ上でも閲覧できます。

編集委員

 余公 敏子 (委員長)

 原田 泰教 (副委員長)

 水頭 順子

 木原 すみ子

 稲葉 仁佳子

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執筆者紹介

木き

 原はら

 すみ子こ

本学教授(ビジネス実務学・図書館情報学)

松まつ

 田だ

 祐ゆう

 子こ

本学教授(仏教学・文学)

余よ

 公こう

 敏とし

 子こ

本学教授(教育学)

鬼おに

 塚つか

 良りょう

太た

郎ろう

本学准教授(発達心理学)

宮みや

 原はら

 正まさ

 広ひろ

本学准教授(芸術学)

西にし

 村むら

 幸ゆき

 高たか

本学専任講師(音楽教育学)

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九州龍谷短期大学紀要 第 65号平成31年3月1日 印刷平成31年3月11日 発行

編集者 九州龍谷学会会長 後 藤 明 信

発行者 〒 841-0072 鳥栖市村田町岩手井 1350九 州 龍 谷 短 期 大 学

T E L 0942 (85) 1121F A X 0942 (82) 8411

印刷所 〒 849-0936 佐賀市鍋島町大字森田 909 番地株式会社サガプリンティング

T E L 0952 (34) 5100F A X 0952 (34) 5200

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